(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】サポート装置
(51)【国際特許分類】
G03B 17/56 20210101AFI20231011BHJP
G03B 15/05 20210101ALI20231011BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20231011BHJP
G03B 15/00 20210101ALN20231011BHJP
G03B 35/20 20210101ALN20231011BHJP
G03B 15/02 20210101ALN20231011BHJP
【FI】
G03B17/56 A
G03B15/05
H04N5/222 100
G03B15/00 W
G03B15/00 T
G03B15/00 H
G03B35/20
G03B15/02 T
G03B15/02 G
G03B15/00 U
(21)【出願番号】P 2021145931
(22)【出願日】2021-09-08
【審査請求日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】P 2020213122
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】520447916
【氏名又は名称】合同会社アパラティス
(73)【特許権者】
【識別番号】520029860
【氏名又は名称】株式会社ワールドスキャンプロジェクト
(74)【代理人】
【識別番号】110003018
【氏名又は名称】弁理士法人プロテクトスタンス
(72)【発明者】
【氏名】山舩 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】上瀧 良平
(72)【発明者】
【氏名】市川 泰雅
【審査官】小川 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-026350(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107900455(CN,A)
【文献】国際公開第2017/145204(WO,A1)
【文献】特開2019-033348(JP,A)
【文献】特開2015-214335(JP,A)
【文献】特表2020-514181(JP,A)
【文献】特開2000-128076(JP,A)
【文献】特開2002-311498(JP,A)
【文献】特開2016-022935(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0099399(US,A1)
【文献】国際公開第2014/182880(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/56
G03B 15/05
H04N 5/222
G03B 15/00
G03B 35/20
G03B 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人潜水機が着脱される着脱マウントを有し、十字状に形成された第1フレームと、
前記第1フレームに対して対向して配置されるとともに十字状に形成された第2フレームと、
前記第1フレームと前記第2フレームとを結合するように、前記第1フレームと前記第2フレームとの間に配置される、比重1よりも小さい浮力材で形成されるサポート材と、
前記サポート材に取り付けられる照明ライト用の照明マウントと、
前記第1フレーム、前記第2フレーム又は前記サポート材に取り付けられる撮影カメラ用の撮影マウントと、
を備えるサポート装置。
【請求項2】
前記第2フレームは前記第2フレームを覆う大きさの平板を有し、前記第1フレーム、前記サポート材もしくは前記第2フレームに代えて前記平板に前記撮影マウントが取り付けられている、
請求項1に記載のサポート装置。
【請求項3】
無人潜水機が着脱される着脱マウントを有する第1フレームと、
前記第1フレームに対して交差して配置された第2フレームと、
比重1よりも小さい浮力材で形成されるサポート材と、
前記第1フレームの一端と前記第2フレームの一端とを接続する補強アームと、
前記第2フレーム又は前記サポート材に取り付けられる照明ライト用の照明マウントと、
前記第1フレームの前記一端に及び前記第2フレームの前記一端に、それぞれ取り付けられる撮影カメラ用の撮影マウントと、を備え、
前記第1フレームは、直線状に形成されるとともに前記サポート材を取り付ける第1取付部を有し、
前記第2フレームは、直線状に形成されるとともに前記サポート材を取り付ける第2取付部を有し、
前記サポート材が、少なくとも前記第1取付部及び前記第2取付部の一方に配置される、
サポート装置。
【請求項4】
無人潜水機が着脱される着脱マウントを有し、
第1方向と該第1方向と交差する第2方向に伸びる十字状
の第1フレームと、
前記第第1フレームの
前記第1方向に伸びるフレームと前記第2方向に伸びるフレームとを覆う円形状、円環状又は多角形状の平板と、
前記第1フレームと前記平板とを結合するように前記第1フレームと前記平板との間に配置され、比重1よりも小さい浮力材で形成されるサポート材と、
前記サポート材に取り付けられる照明ライト用の照明マウントと、
前記平板に取り付けられる撮影カメラ用の撮影マウントと、
を備えるサポート装置。
【請求項5】
前記照明マウントに取り付けられた照明ライトの照明方向を調整できるように、前記照明マウントは軸を中心に回転可能であり、
前記撮影マウントに取り付けられた撮影カメラの撮影方向を調整できるように、前記撮影マウントは軸を中心に回転可能である、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のサポート装置。
【請求項6】
前記撮影マウントは、前記第2フレームに下向きに取り付けられ、
前記照明マウントは、取り付けられる撮影カメラの撮影方向の後方に設けられる、請求項1に記載のサポート装置。
【請求項7】
前記サポート材は、第1面と該第1面より凹んだ第2面とを含む段差を有し、前記照明マウントが前記第1面に配置される、請求項1又は請求項4に記載のサポート装置。
【請求項8】
前記第1フレーム、前記第2フレーム及び前記サポート材の少なくとも1カ所に、対象物にレーザー光を照射するレーザーポインタ用のポインタマウントをさらに備える、
請求項1から請求項3及び請求項5から請求項7のいずれか一項に記載のサポート装置。
【請求項9】
前記ポインタマウントに取り付けられたレーザーポインタの照射方向を調整できるように、前記ポインタマウントは軸を中心に回転可能である、
請求項8に記載のサポート装置。
【請求項10】
前記サポート装置のバランス調整用に、前記第2フレームにウエイト用のウエイトマウントをさらに備える、請求項1に記載のサポート装置。
【請求項11】
前記第1フレームは、前記着脱マウントを移動させるレール、を備える、
請求項1から
請求項10に記載のサポート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の二次元写真から、視差情報を解析して三次元写真を生成するフォトグラメトリーに用いられる撮影装置のサポート装置に関する。特に、水中ドローン等の無人潜水機に使用されるサポート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の画像処理技術及びコンピュータ処理速度の向上により、フォトグラメトリが注目を集め始めている。フォトグラメトリは、様々な角度から撮影した写真から、その画像や位置を精密にデータ化し、そこからリアルな三次元オブジェクトを再現する技術である。フォトグラメトリー用の写真撮影を容易にするために、例えば特許文献1では、2つのカメラを有するカメラユニットと、照射ユニットとを含むスキャナを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のスキャナは、撮影カメラ及び照明ライトがアームの所定位置に固定され、作業者がスキャナを手に持って適切な方向にスキャナを向けたりしなければならない。またスキャナは作業者が担持するため、作業者が移動しがたい水中及び海中(以下、水中及び海中を総称して水中と言う。)でのフォトグラメトリ用の撮影には適していない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明は、無人潜水機に着脱可能で、撮影カメラ及び照明ライトを取り付けることができるサポート装置を提供する。
【0006】
本実施形態のサポート装置は、無人潜水機が着脱される第1フレームと、第1フレームに対応して設けられた第2フレームと、第1フレーム又は第2フレームに結合され、比重1よりも小さい浮力材で形成されるサポート材と、第1フレーム、第2フレーム又はサポート材に取り付けられる照明ライト用の照明マウントと、第1フレーム、第2フレーム又はサポート材に取り付けられる撮影カメラ用の撮影マウントと、 を備える。
【0007】
また第1フレームが十字状に形成され、第2フレームが第1フレームに対向して配置されるとともに十字状に形成されても良く、サポート材は、第1フレームと第2フレームとを結合するように、第1フレームと第2フレームとの間に配置されても良い。
第2フレームは第2フレームを覆う大きさの平板を有し、サポート材もしくは第2フレームに代えて平板に撮影マウントが取り付けられてもよい。
またサポート装置は、第1フレームと第2フレームとを接続する接続アームを備えてもよく、第1フレームが直線状に形成されるとともにサポート材を取り付ける第1取付部を有し、第2フレームが直線状に形成されるとともにサポート材を取り付ける第2取付部を有していることが好ましい。そして、第1フレームに交差して接続アームで接続されて配置され、サポート材が少なくとも第1取付部及び第2取付部に一方に配置されることが好ましい。
【0008】
別実施形態のサポート装置は、無人潜水機が着脱される、十字状に形成された第1フレームと、第1フレームの大きさに対応した平板と、第1フレームと平板とを結合するように第1フレームと平板との間に配置され、比重1よりも小さい浮力材で形成されるサポート材と、サポート材に取り付けられる照明ライト用の照明マウントと、平板に取り付けられる撮影カメラ用の撮影マウントと、を備える。
【0009】
照明マウントに取り付けられた照明ライトの照明方向を調整できるように、照明マウントは軸を中心に回転可能であり、撮影マウントに取り付けられた撮影カメラの撮影方向を調整できるように、撮影マウントは軸を中心に回転可能である。
また、照明マウントに取り付けられた照明ライトの光源位置が、撮影マウントに取り付けられた撮影カメラの撮影画角の後方に配置されるように、照明マウントと撮影マウントとが位置決めされていることが好ましい。
【0010】
サポート材は、照明マウントが配置される第1面と、該第1面よりも内側に凹んだ第2面とを有してもよい。
また第1フレーム、第2フレーム及びサポート材の少なくとも1カ所に、対象物にレーザー光を照射するレーザーポインタ用のポインタマウントをさらに備えても良い。そしてポインタマウントに取り付けられたレーザーポインタの照射方向を調整できるように、ポインタマウントは軸を中心に回転可能であることが好ましい。
【0011】
サポート装置のバランス調整用に、ウエイト用のウエイトマウントをさらに備えることが好ましい。
また第1フレームに無人潜水機が着脱される着脱マウントと、着脱マウントを移動させるレールと、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のサポート装置は、無人潜水機に着脱可能で、撮影カメラ及び照明ライトを取り付けることができるができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】撮影カメラ及び照明ライト等を取り付けた状態のサポート装置の斜視図である。
【
図4】(A1)はサポート材の正面図であり、(A2)はサポート材の側面図である。(B)は、別実施例のサポート装置の正面図である。
【
図5】サポート装置でバックスキャッタが発生しない理由を示す説明図である。
【
図6】第2実施形態のサポート装置であり、特にウエイト用のウエイトマウントを示す図である。
【
図7】(A)及び(B)は、9台の撮影カメラを搭載できる第3実施形態及び第4実施形態のサポート装置の底面図である。
【
図8】撮影カメラ及び照明ライト等を取り付けた状態の第5実施形態のサポート装置の斜視図である。第5実施形態のサポート装置は、携帯性を重視した構造である。
【
図9】第5実施形態のサポート装置のフレームの斜視図である。
【
図10】(A)は第5実施形態のサポート装置の平面図であり、(B)はその正面図であり、(C)はその側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施の形態を、図を参照しながら詳しく説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また各図面では部材を強調するため実際の寸法通りに描かれていない。
【0015】
<<第1実施形態のサポート装置>>
<サポート装置の概要>
図1は、第1実施形態のサポート装置100の斜視図であり、水中ドローン等の無人潜水機ROVの装着前の状態を示している。サポート装置100は、撮影カメラCA(水中ハウジング付き)、照明ライトLT、レーザーポインタLP等を少なくとも1つ以上を取り付けることができる。以下の説明において、上下・前後・左右の各方向を
図1に示すように定義する。サポート装置100が水中において潜行している際の基本姿勢において、水面側を上(+Z軸)、水底側を下(-Z軸)と定義する。後述する十字形状の第1フレームの一方の1軸方向で、レーザーポインタLPが配置される方向を前(+X軸)と定義し、その反対側を後(-X軸)とする。そして、第1フレームの他方の2軸方向で、
図1の紙面奥側を右(+Y軸)、紙面手前側を左(-Y軸)とする。また、以下の説明では、前後軸を中心とする回転の方向をロール方向、左右軸を中心とする回転の方向をピッチ方向、上下軸を中心とする回転の方向をヨー方向とする。
【0016】
サポート装置100は、水中ドローン等の無人潜水機ROVに着脱可能に取り付けられるものである。ほぼ毎年のように新たに出てくる無人潜水機ROVに対して、サポート装置100を、柔軟に着脱可能である。
【0017】
サポート装置100のサイズは、例えばX軸方向に50cm、Y軸方向に50cm、Z軸方向に50cmに収まるように構成されている。無人潜水機ROVは小型化が進んでいるため、サポート装置100はさらに小さいサイズであってもよい。第1実施形態のサポート装置100は、無人潜水機ROVと電気的な接続もしくは無線・有線の信号送受信はない。しかし、サポート装置100は、必要に応じて無人潜水機ROVと電気的な接続(電源・信号)をしてもよい。
【0018】
サポート装置100に取り付けられる撮影カメラCA(静止画カメラ及び動画カメラも含む。)及び照明ライトLTは、用途に応じて自在に変更できる。例えば撮影カメラCAに対して、水深60m耐水の水中ハウジング、水深250m耐圧の水中ハウジングがある。またこれは照明ライトLTも同様に限界水深が60m、100m、150m用等がある。無人潜水機ROVの限界水深、運用場所の水深又は使用者が目的によって、サポート装置100に取り付けられる撮影カメラCAとその水中ハウジングの種類、又は照明ライトLTを変えることができる。
【0019】
サポート装置100は、十字状に形成された上側の第1フレーム10Uと、十字状に形成された下側の第2フレーム10Bとを有する。第1フレーム10Uと第2フレーム10Bとは、互いに対向して配置される。またサポート装置100は、第1フレーム10Uと第2フレーム10Bとを結合するように、第1フレーム10Uと第2フレーム10Uとの間に配置されたサポート材20を有し、そのサポート材20は、比重1よりも小さい浮力材で形成されている。またサポート装置100は、サポート材20に取り付けられる照明ライト用の照明マウント30と、第2フレーム10Bに取り付けられる撮影カメラ用の撮影マウント40と、サポート材20に取り付けられるレーザーポインタ用のポインタマウント60とを有する。以下
図2及び
図3を使用して、これら部材を詳細に説明する。
【0020】
<フレームの概要>
図2は+Z軸方向からサポート装置100を観察した平面図であり、
図3は-Z軸方向からサポート装置100を観察した底面図である。
図2に示される第1フレーム10Uは、3Dプリンター等で、ステンレス材、アルミ合金、もしくはクロム鋼等の金属、又はガラス繊維もしくは炭素繊維などで強度を高くした繊維強化プラスチックで形成される。海などで使用されることを考慮して錆びやすい金属、例えば鉄材は好ましくないが、第1フレーム10Uに鉄材を使用する場合には防錆塗料で保護されることが好ましい。また第1フレーム10Uの幅は例えば3cm~8cmであり、第1フレーム10Uの前後方向又は左右方向の長さは例えば30cmから60cmである。第1実施形態では、第1フレーム10Uの前後方向及び左右方向の長さが同じであるが、互いに異なった長さであってもよい。
【0021】
図3に示される第2フレーム10Bも、第1フレーム10Uと同様な金属材料又は強化プラスチックで形成される。第1フレーム10U及び第2フレーム10Bは、後述する板状のサポート材20で結合されるため、上方向又は下方向から観察すると、互いに重なり合っている。第1実施形態では、十字状の第1フレーム及び第2フレームは、X軸方向及びY軸方向に90度で直交した十字状で形成されているが、交差角が例えば45度と135度であってもよい。
【0022】
<サポート材の概要>
第1フレーム10U及び第2フレーム10Bの前後端(X軸方向)及び左右端(Y軸方向)に、サポート材20が固定されている。サポート材20は比重1以下の浮力体であり、例えばガラス繊維強化プラスチック材料 発泡ウレタン、発砲ポリエチレン、スチレンフォームもしくは発砲スチロールフォーム等から構成されていてよい。無人潜水機ROVは水中深くまで移動することもあるので、耐圧・耐水性のある強化発砲スチロールが特に好ましい。サポート装置100には、上述したように、撮影カメラCA(水中ハウジング付き)、照明ライトLT、レーザーポインタLP等が取り付けられる。第1実施形態では、最大、撮影カメラCAが5台、照明ライトLTが8本、レーザーポインタLPが2本取り付けられる。
【0023】
取り付けられる撮影カメラCA、照明ライトLT及びレーザーポインタLP等の最大重量をオフセットできるように、サポート材20浮力体の体積及びサポート材20の材質が選択されることが好ましい。例えば撮影カメラCAが軽い場合や取り付ける撮影カメラの数が少ない場合などには、ウエイト(不図示)がサポート装置100に取り付けられる。例えば1kgのウエイトが第2フレーム10Bにテープで固定されてもよい。
【0024】
第1実施形態のサポート材20は、第1フレーム10U及び第2フレーム10Bの前後端及び左右端に、それぞれ1つずつ配置されているが、例えば前後のサポート材20が第1フレーム10Uの前後方向の長さと同等の長さの1つのサポート材20であってもよい。つまり、X軸方向に長く伸びた1つのサポート材20と、
図2又は
図3に示されるようなY軸方向に伸びた2つのサポート材20との3つのサポート材から構成されてもよい。取り付けられる撮影カメラCA、照明ライトLT及びレーザーポインタLPの総重量が非常に重くなる場合には、X軸方向に長く伸びた1つのサポート材20を用意することで、浮力体の体積を増やして、最大重量をオフセットできる。
【0025】
<照明マウントの概要>
図2及び
図3に示されるように、サポート材20の第1面21には照明ライトLT用の照明マウント30がネジ止めもしくは接着等で取り付けられる。本実施形態では、4つのサポート材20の8つの第1面21に、8つの照明マウント30が取り付けられる。照明マウント30は、撮影カメラCAの撮影方向に合わせて照明ライトLTの照明方向を向けることができるように、ライトホルダ32は、照明マウント30の土台の軸に対して回転できるようにしてもよい。または照明マウント30の土台とライトホルダ32とが固定(回転不可)されている場合には、サポート材20に照明マウント30を取り付けるネジ穴を円周上に例えば30度ごとに配置し、照明マウント30の土台がサポート材20に対して軸中心に回転できるようにしてもよい。また照明マウント30の土台とライトホルダ32とが固定されている場合、照明マウント30の土台にターンテーブルが設けられても良い。
【0026】
撮影カメラCAの撮影方向が限定されている場合には、必ずしも8つの照明マウント30を設ける必要はなく、例えば4つの照明マウント30が配置されているだけでもよい。しかし、フォトグラメトリでの3Dモデル作成は、撮影された写真がシャープであることが好ましい。シャープな写真を撮るためには、シャッタースピードを速くして動きによるブレのない写真にし、絞り値(F値)を高くしボケの無い写真にし、ISO値を低くしノイズの少ない写真にすることが好ましい。このため、照明マウント30を4以上、好ましくは6以上配置して、照明ライトLTからの光量を確保することが好ましい。
【0027】
<ポインタマウントの概要>
図2及び
図3に示されるように、サポート材20のX軸方向の両端の第4面27にはレーザーポインタLP用の2つのポインタマウント60がネジ止めもしくは接着等で取り付けられる。サポート材20のY軸方向の両端にポインタマウント60が取り付けられても良い。第1フレーム10Uの前後方向の長さが左右方向の長さよりも長い場合には、長い方の両端にポインタマウント60が取り付けられる方が好ましい。レーザーポインタLPは、例えば水底や水中の崖(壁面)等に、レーザーポインタLPの光点を形成し、撮影カメラCAで撮影した写真に写った2つの光点の距離を活用して、作成されたデジタル3Dモデルに寸法を与えることが可能である。ポインタマウント60は、光点の方向を撮影カメラの撮影方向に合わせて軸を中心に回転可能できるように構成することが好ましい。第1実施形態ではサポート材20の第4面27にポインタマウント60が取り付けられているが、第1フレーム10U又は第2フレーム10Bに設けられても良い。
【0028】
<着脱マウントの概要>
図2に示される着脱マウント70は、無人潜水機ROVを着脱するマウントである。無人潜水機ROVに着脱装置がある場合には、その着脱装置と勘合することができる。無人潜水機ROVに着脱装置がない場合には、着脱マウント70の孔(不図示)にテープ又はバンド等を通して、テープ又はバンドで無人潜水機ROVを装着したり外したりすることができる。なお、
図2では、着脱マウント70が3つ設けられているが、例えば十字の中央の1つだけでもよく、中央と前後左右の5つ設けられても良い。また、着脱マウント70は第1フレーム10U上で移動できるようにしてもよい。なお着脱マウント70を設けることなく、テープ又はバンドで第1フレーム10Uと無人潜水機ROVとを装着したり外したりしてもよい。
【0029】
<撮影マウントの概要>
図3に示される撮影マウント40は、撮影カメラCAの水中ハウジングを着脱するマウントである。水底(海底)を撮影することが多いため、撮影マウント40は第2フレーム10Bに取り付けられることが好ましい。またサポート材20が、第2フレーム10Bを下方(-Z軸)に突き抜ける構造(
図6を参照)であれば、サポート部材20の底面に撮影マウント40が取り付けられても良い。
【0030】
撮影マウント40は、例えば三脚の雲台と同等の機能を有し、ロール方向、ピッチ方向及びヨー方向を、自由に設定できるように構成される。撮影マウント40の基準軸は、水中ハウジングに入れられた撮影カメラCAの撮影方向は水底(海底)を観察する-Z軸方向である。撮影マウント40は、-Z軸方向を0度とすると、撮影カメラCAはロール方向に-90度方向から+90度方向まで、ピッチ方向に-90度方向から+90度方向まで撮影できることが好ましい。
【0031】
フォトグラメトリでデジタル3Dモデルを作成するための写真撮影は、各写真にオーバーラップが十分に確保されていることである。つまり、1枚目の写真と2枚目の写真とは60%(横方向)または80%(縦方向)以上のオーバーラップしていることが好ましい。さらに精密な3Dモデルを作成するためには撮影の対象物は少なくとも3以上の別々の角度から撮影されていることが好ましい。そのためにサポート装置100にはあらかじめ撮影カメラCAを下方、前方斜め下方、左方斜め下方、右方斜め下方、及び後方斜め下方の方向に5台搭載できるようにすることが好ましい。これまでに水中で行われていたフォトグラメトリは、無人潜水機ROVではなくダイバーによって手持ちカメラで角度をかえ一カ所を多角度から撮影することにより行っていたが、撮影方向の異なる撮影カメラCAを5台取り付ければ、無人潜水機ROVが一方向(例えば+X軸方向)に移動するだけで、フォトグラメトリ用の写真が撮影できる。撮影マウント40は、5つ設けられることが好ましいが、例えば、水中の切り立った崖(壁面)を主に撮影するのであれば、撮影マウント40が3つであっても良い。
【0032】
<サポート材の形状>
図4(A)は第1実施例のサポート材20であり、その(A1)は+Y軸方向からサポート材20を観察した図であり、(A2)は-X軸方向からサポート材20を観察した図である。
図4(B)は第2実施例のサポート材20を+Y軸方向から観察した図である。
図4(A2)に示されるように、サポート材20は片側に、第1面21と第2面23と第3面25とを有し、その反対側に第1面21と第2面23と第3面25とを有する。このため、第1面21と第1面21とは厚さD1を形成し、第2面23と第2面23とは厚さD2を形成し、第3面25と第3面25とは厚さD3を形成する。照明マウント30は、第1面21に配置されている。
【0033】
図4(A)に示されるように、照明ライトLTは一般に、胴体断面が円形で光源ヘッドLTHがラッパ状に直径が広がっている。また、照明ライトLTは一般に、一次電池もしくは二次電池を入れるための電池蓋LTTを有しており、胴体よりも直径が大きいことが多い。このため、照明マウント30に取り付けられた照明ライトLTの回転範囲で、光源ヘッドLTHもしくは電池蓋LTTが、サポート材20と干渉しないように、第2面23は、第1面21よりも内側に凹んでいることが好ましく、また第3面25は、第1面21よりも内側に凹んでいることが好ましい。照明ライトLTの形状にもいろいろあるため、第1面21よりも内側に凹んだ第2面23もしくは第3面25を設ける必要はない。
【0034】
図4(A)に示されるサポート材20の段差22(第1面と第2面との段差及び第1面と第3面との段差)は、X軸もしくはY軸と並行な直線状に形成されている。しかし、
図4(B)に示されるように、サポート材20の段差22は円周状に形成されてもよい。
【0035】
<バックスキャッタの防止>
上述したように、フォトグラメトリでの3Dモデル作成のため、撮影カメラCAはシャープな写真を撮影することが望まれている。そのため照明ライトLTからの光はできるだけ強い方が好ましい。しかし、照明ライトLTからの光が水中浮遊物に当たると、その光が散乱して光が来た方向への拡散反射し視界を遮ってしまうバックスキャッタ(後方散乱)現象が発生する。このバックスキャッタを低減するため、照明ライトLTと撮影カメラCAとの位置関係を調整している。
【0036】
図5は、4つの照明ライトLTと3つの撮影カメラCAが描かれた、サポート装置100の右側面図である。4つの照明ライトLTの+X軸側の照明ライトLTは前方(+X軸方向)に向いており、-X軸側の照明ライトLTは後方(-X軸方向)に向いている。また4つの照明ライトLTの2つの照明ライトLTは下側(-Z軸方向)に向いている。照明マウント30に取り付けられた4つの照明ライトLTは、水平方向から下方に向けて回転可能に動かすと、照明ライトLTの光源ヘッドLTHの軌跡LCは、点線で示される軌跡となる。
【0037】
図5において、前方(+X軸方向)の撮影カメラCAは前方(+X軸方向)が撮影方向として描かれており、後方(-X軸方向)の撮影カメラCAは後方方向(-X軸方向)が撮影方向として描かれており、中央の撮影カメラCAが水底方向(-Z軸方向)を撮影するように描かれている。各撮影カメラCAの撮影レンズが広角レンズもしくは望遠レンズかによって画角AFは変動するが、撮影マウント40を各方向に回転させた場合に、これら3つの撮影カメラCAの全画角範囲は扇状に示された最大画角WAFである。
【0038】
図5に示されるように、光源ヘッドLTHの軌跡LCは、撮影カメラCAの最大画角WAFよりも内側(+Z軸方向)にある。このように光源ヘッドLTHの軌跡LCが撮影カメラCAの最大画角WAFよりも内側にあるとバックスキャッタを低減することができる。照明ライトLTの長さは、約10cmから40cm以上とさまざまであるが、光源ヘッドLTHの軌跡LCが撮影カメラCAの最大画角WAFよりも内側にあるように、サポート材20のZ軸方向の長さの半分よりも上側に照明マウント30の中心位置があることが好ましい。また撮影マウント40はサポート装置100のできるだけ下方になるように、第2フレーム10Bもしくはサポート材20の底面に取り付けられることが好ましい。図示されていないが、照明マウント30がサポート材20の上端(+Z軸)に設けられても良い。なお、
図5ではサポート装置100の右側面図を示したが、左側面図、前側面図及び後側面図でも、照明マウント30と撮影マウント40との位置関係は同様である。
【0039】
<<第2実施形態のサポート装置>>
図6は、第2実施形態のサポート装置100Aの側面図である。サポート装置100Aのサポート材20Aは、第1フレーム10Uと第2フレーム10Bとを結合するとともに、第2フレーム10Bを下方(-Z軸)に突き抜ける構造である。このため、サポート材20Aの底面に撮影マウント40が取り付けられている。またサポート装置100Aは、第1実施形態のサポート装置100が有していなかったウエイトマウント80を有している。
【0040】
照明マウント30及び撮影マウント40に、同じ重量の照明ライトLT及び撮影カメラCAが取り付けられていれば、サポート装置100(及び100A)はバランスよく第1フレーム10Uの十字状の交点と第1フレーム10Uの十字状の交点を結ぶ軸状に重心がある。しかし、照明ライトLT及び撮影カメラCAの重さが異なっていたり、一部の照明マウント30もしくは一部の撮影マウントに照明ライトLTもしくは撮影カメラCAが取り付けられたりしていると、重心が十字状の交点を結ぶ軸状から外れる。また、サポート装置100はバランスよく照明ライトLT及び撮影カメラCAが取り付けられていても、水流(海流)によって、サポート装置100(及び100A)が傾くこともある。逆に、水中の切り立った崖(壁面)を撮影する場合には、サポート装置100(及び100A)を一定角度傾いている状態に維持して、撮影カメラCAで撮影した方が良い場合もある。
【0041】
図6に示されるウエイトマウント80は、レール82、台座84及びロック機構86を有している。レール82は溝を有する、プラスチック製又はステンレス又はアルミ合金等からなる金属製である。台座84は、プラスチック製又は金属製で、ウエイトWTを留める留め棒85とレール82の溝に入り込む突起(不図示)とを有しており、台座84はレール82に沿って移動可能である。また、台座84にはレール82に台座84をロックするロック機構86が設けられている。
【0042】
ウエイトWTには孔部(不図示)及び積み重ねがズレないような凹凸があることが好ましく、留め棒85にウエイトWTの孔部を差し込んで、例えば250gのウエイトWTを1段、2段…5段と積み重ね、ウエイトWTの重量を調整できることが好ましい。台座84に留め棒85を設けることなく、平板のウエイトWTをテープ等で留めてもよい。
【0043】
図6を使って、サポート装置100Aのバランス調整の一例を説明する。撮影カメラCA、照明ライトLT及びレーザーポインタLPを含むサポート装置100Aの総重量と浮力のバランスが、前方(+X軸側)の台座84に4つのウエイトWTと後方(-X軸側)の台座84に2つのウエイトWTで合っていると仮定する。また前方の台座84がレール82の中央位置においてロック機構86でロックされ、後方の台座84もレール82の中央位置でロック機構86においてロックされていると仮定する。この状態で前方が若干軽い場合(50g程度)には、後方の2つのウエイトWTが載った台座84のロックを解除し前方に移動させて調整しロック機構86でロックする。ウエイトWTが台座84を長い距離動かした方が微調整しやすい。
【0044】
図6では、手動で台座84を移動させロック機構86でロックする例を示しているが、レール82にボールネジと電動モータ及び電気回路とを加えて、自動でバランス調整するようにしてもよい。なお、
図6ではサポート装置100Aの右側面図を示したが、前側面図から観察すると、サポート装置100AはY軸方向に伸びるレール82を有するウエイトマウント80を同様に有している。
【0045】
<<第3実施形態及び第4実施形態のサポート装置>>
図7(A)は、第3実施形態のサポート装置100Bの底面図である。サポート装置100Bは、第2フレーム10Bの下方(-Z軸方向)に第2フレーム10Bをほぼ覆う円環状の平板90を有する。この円環状の平板90は、第2フレーム10Bにネジ止め又は溶接などで結合している。円環状の平板90は、ステンレス材、アルミ合金、又はクロム鋼等の金属で形成され、特に水流等の影響を受けにくいようにメッシュ構造であることが好ましい。円環状の平板90の角度45度ごとに撮影マウント40が配置され、第2フレーム10Bの十字中心に配置される撮影マウント40と合わせ、最大9台の撮影カメラCA(水中ハウジング付き)を配置することができる。撮影カメラCAの台数が多いため、フォトグラメトリの写真撮影において、各写真にオーバーラップを十分に確保することができる。
【0046】
図7(B)は、第4実施形態のサポート装置100Cの底面図である。サポート装置100Cは、第2フレーム10Bの代わりに第2フレーム10BとXY軸方向の長さがほぼ同じ八角形の平板95を有する。この八角形の平板95は、第1フレーム10Uにサポート材20で結合される。八角形の平板95も、ステンレス材等の金属で形成される。八角形の平板95の角に撮影マウント40が配置され、八角形の平板95の中心にも撮影マウント40が配置され、最大9台の撮影カメラCAを配置することができる。
【0047】
図7(B)の八角形の平板95には、孔が形成されていないが、水流の影響を受けにくくするために、平板90のように大きな孔を有していた方が好ましく、またメッシュ構造であることが好ましい。第3実施形態では、第2フレーム10Bの下方に円環状の平板90を取り付けたが、第4実施形態のように、第2フレーム10Bの代わりに円環状の平板90を取り付けてもよい。また、第4実施形態では、八角形の平板95を取り付けたが八角形以外の多角形の平板であってもよい。また第3実施形態のように、第2フレーム10Bの下方に多角形の平板を取り付けてもよい。
【0048】
第4実施形態のように第2フレーム10Bの代わりに平板が取り付けられた場合、第2実施形態で示したウエイトマウント80は、平板の放射方向(円形状の場合)もしくは長手方向(多角形状の場合)に取り付けられても良い。
【0049】
<<第5実施形態のサポート装置>>
<サポート装置の概要>
図8~
図10は、第5実施形態のサポート装置100Dを示す。
図8はサポート装置100Dの斜視図であり、水中ドローン等の無人潜水機ROVの装着前の状態を示している。
図9は、サポート装置100Dのフレームの斜視図である。また
図10(A)はサポート装置100Dの平面図であり、(B)はその正面図であり、(C)はその側面図である。サポート装置100Dは、撮影カメラCA(水中ハウジング付き)、照明ライトLT、レーザーポインタLP等を少なくとも1つ以上を取り付けることができる。以下の説明において、上下・前後・左右の各方向を
図8に示すように定義する。
【0050】
サポート装置100Dは、第1実施形態から第4実施形態と同様に、水中ドローン等の無人潜水機ROVに着脱可能に取り付けられる。またサポート装置100Dは、第1実施形態から第4実施形態と比べて、軽量小型化したものである。サポート装置100Dのサイズは、例えばX軸方向に40cm以下、Y軸方向に15cm以下、Z軸方向に40cm以下に収まるように構成され、旅行用のスーツケースに収納できる大きさであることが好ましい。サポート装置100Dに取り付けられる撮影カメラCA及び照明ライトLTは、用途に応じて自在に変更できる。
【0051】
第5実施形態では、最大、撮影カメラCAが2台、照明ライトLTが4本サポート装置100Dに取り付けられる。サポート装置100Dは、サポート材20及び第2フレーム10Vに取り付けられる照明ライト用の照明マウント30と、第1フレーム10H及び第2フレーム10Vにそれぞれ取り付けられる撮影カメラ用の撮影マウント40とを有する。
【0052】
第5実施形態では、レーザーポインタLPが取り付けられていないが、第1実施形態と同様なレーザーポインタ用のポインタマウント60がサポート装置100Dに取り付けられてもよい。第5実施形態では、ポインタマウント60は後述する第1フレーム10H、第2フレーム10Vまたはサポート材20に取り付けられる。第5実施形態のサポート材20も第1実施形態等と同様な浮力体であればよい。
【0053】
<フレームの概要>
特に
図9に示されるように、サポート装置100Dは、水平に伸びる板状の第1フレーム10Hと、第1フレーム10Uに対して交差するように垂直に伸びる板状の第2フレーム10Vとを有する。第1フレーム10H及び第2フレーム10Vは、第1実施形態の第1フレーム10Uと同様な金属材料又は強化プラスチックで3Dプリンター等によって形成される。
【0054】
第1フレーム10H及び第2フレーム10Vの幅D4は、例えば3cm~8cmであり、第1フレーム10Uの前後方向の長さ及び第2フレーム10Vの上下方向の長さは例えば20cmから40cmである。第5実施形態では、第1フレーム10Hと第2フレーム10Vの幅D4は同じであるが、互いに異なった幅であってもよい。第1フレーム10Hの一端と第2フレーム10Vの一端とは、ブレース材10AAで補強されて80-100度の角度で交差して接合している。また第1フレーム10Hの他端と第2フレーム10Vの他端とは、第1補強アーム10A1で補強されている。
【0055】
また第1フレーム10Hは、上側(+Z軸側)と下側(-Z軸側)とにそれぞれ、サポート材20を取り付ける第1取付部10SH(10SH1,10SH2)を有し、第2フレーム10Vは、前方(+X軸側)と後方(-X軸側)とにそれぞれ、サポート材20を取り付ける第2取付部10SV(10SV2,10SV1)を有している。下側の第1取付部10SH2の一部と前方の第2取付部10SV2の一部とは、第2補強アーム10A2で補強されている。
【0056】
第1取付部10SH1及び第2取付部10SV1は、Y軸方向から見て(XZ面)、長方形のサポート材20が取り付けられるようになっており、第1取付部10SH2及び第2取付部10SV2が、Y軸方向から見て、台形のサポート材20が取り付けられるようになっているが、この形状に限定されない。例えば、第1取付部10SH及び第2取付部10SVの形状は、半円形状であっても三角形であってもよい。また第1取付部10SH及び第2取付部10SVは、長方形もしくは台形のサポート材20の4面を覆うように形成されているが、少なくとも1面を有しており、紐等でサポート材20を括り付ける構造でもよい。
【0057】
<サポート材の形状>
サポート部材20は、第1取付部10SH1及び第2取付部10SV1に合わせた形状の浮力体であり、また第1取付部10SH2及び第2取付部10SV2に合わせた形状の浮力体である。
図8及び
図10では、サポート材20の幅(Y軸方向)は、第1取付部10SH又は第2取付部10SHの幅D4と一致しているが、取り付けられる撮影カメラCA及び照明ライトLT等の重量をオフセットできるように、サポート材20の幅広もしくは幅狭に調整してもよい。
【0058】
<バックスキャッタの防止>
第5実施形態のサポート装置50でも、第1実施形態等と同様に、バックスキャッタを低減するため、照明ライトLTと撮影カメラCAとの位置関係を調整している。前方を向く1つの撮影カメラCAの撮影マウント40の後方(-X軸方向)に2つの照明ライトLT用の照明マウント30が配置され、下方を向く1つの撮影カメラCAの撮影マウント40の上方(+Z軸方向)に2つの照明ライトLT用の照明マウント30が配置される。各照明ライトLTは撮影カメラCAの撮影方向の後方部に設置されることになり、水中の浮遊物に光が当たることによって起こるバックスキャッタを最小限に抑えることができる。
【0059】
<着脱マウントの概要>
図10A及び
図10Cに示される着脱マウント70は、無人潜水機ROVを着脱するマウントである。第1~第4実施形態のサポート装置100(100Aから100C)は、第1フレーム10Uの十字状の交点と第1フレーム10Uの十字状の交点を結ぶ軸状に重心がある。一方、第5実施形態のサポート装置100Dは、左右(Y軸)方向には対称であるが、前後(X軸)方向には対称に構成されていない。このため、無人潜水機ROVが着脱マウント70を介して、サポート装置100Dを装着した場合に、前後方向にバランスを取れない場合がある。このため
図10A及び
図10Cに示される着脱マウント70は、着脱マウント70が移動するためのレール72及び着脱マウント70をロックするロック機構76が設けられている。
【0060】
レール72は、プラスチック製又は金属製であり、着脱マウント70はレール72に沿って移動可能である。作業者は、サポート装置100Dの撮影マウント40及び照明マウント30に撮影カメラCA及び照明ライトLTを装着した後、無人潜水機ROVを、着脱マウント70を介してサポート装置100Dに装着する。無人潜水機ROVがサポート装置100Dに装着された状態で水中に沈めて、サポート装置100Dのバランスを考慮して、ロック機構76で着脱マウント70の位置を決める。
【0061】
なお、第5実施形態では着脱マウント70が前後方向に移動できるようにしたが、着脱マウント70は固定であってもよい。この場合には、
図6で説明した、ウエイトマウント80をサポート装置100Dに設けることが好ましい。ウエイトマウント80でウエイトWTを前後方向に移動させて、バランスを取ることができる。
【0062】
第1実施形態では、サポート装置100に5台の撮影カメラCAが搭載できるため、無人潜水機ROVが一方向(例えば+X軸方向)に移動するだけで、フォトグラメトリ用の写真が撮影できる。一方、第5実施形態では2台の撮影カメラCAしか搭載できないため、無人潜水機ROVが一方向を往復することが好ましい。例えば、無人潜水機ROVは+X軸方向に移動し、+30度ロールして-X軸方向に移動し、最後に-30度ロールして+X軸方向に移動することで、第1実施形態とほぼ同じような、フォトグラメトリ用の写真が撮影できる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本開示のサポート装置は、様々な角度から撮影する撮影カメラを配置することができるため、フォトグラメトリに有効である。また人が水中に潜水することなく、簡易に写真撮影を行うことが可能になるため、水中での各種作業を行う装置に対して広く適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
100(100A~100D) … サポート装置
10U、10H … 第1フレーム、 10B、10S … 第2フレーム
10SH(10SH1,10SH2) … 第1取付部
10SV(10SV2,10SV1) … 第2取付部
20 … サポート材、 30 … 照明マウント
40 … 撮影マウント 60 … ポインタマウント
70 … 着脱マウント、 72 … レール、76 … ロック機構
80 … ウエイトマウント、 82 … レール、86 … ロック機構
90,95 … 平板
CA … 撮影カメラ
LT … 照明ライト
LP … レーザーポインタ
WT … ウエイト
ROV … 無人潜水機(水中ドローン)