(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20231011BHJP
F25D 17/06 20060101ALI20231011BHJP
F25D 17/08 20060101ALI20231011BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20231011BHJP
F25D 27/00 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
F25D23/00 302M
F25D17/06 308
F25D17/08 307
F25D11/00 101A
F25D27/00
(21)【出願番号】P 2021182807
(22)【出願日】2021-11-09
(62)【分割の表示】P 2020211765の分割
【原出願日】2020-12-21
【審査請求日】2021-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和人
【審査官】五十嵐 公輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-112295(JP,A)
【文献】特開平07-270045(JP,A)
【文献】特開2002-350041(JP,A)
【文献】国際公開第2016/132537(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/00
F25D 17/06
F25D 17/08
F25D 25/00
F25D 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
野菜室として使用可能な貯蔵室を有した筐体と、
前記貯蔵室内に収容された容器と、
前記筐体内に設けられ、内部を冷気が流れる冷気通路部と、
前記冷気通路部に設けられ、前記冷気を冷却する冷却器と、
前記容器の少なくとも一部の上辺よりも上方に配置され、上方から見た場合に、前記上辺が位置する高さにおける前記容器の後端部と前記冷却器との間に位置した部分を含み、前記貯蔵室内にウイルスまたは菌を抑制する効果を有する光を照射する光照射
ユニットと、
を備え、
前記冷気通路部は、光透過部を含む壁部を有し、
前記光照射
ユニットは、前記冷気通路部の内部に配置され
て前記光透過部を通して前記貯蔵室内に前記光を照射
する光照射部と、前記冷気通路部の内部に配置されて前記光照射部の少なくとも一部との間に隙間を空けて前記光透過部とは反対側から前記光照射部を覆うカバーと、前記光照射部を収容した前記光透過部と前記カバーとの間の空間を前記冷気通路部内の他の空間から封止した封止部と、を有する、
冷蔵庫。
【請求項2】
前記冷気通路部は、前記筐体内の冷気が前記冷却器に戻るために流れる冷気通路を含み、
前記光照射部は、前記冷気通路内に設けられた、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
物を貯蔵可能な貯蔵室を有した筐体と、
前記貯蔵室内に収容された第1容器と、
前記貯蔵室内に収容され、前記第1容器の上方に配置された第2容器と、
前記第2容器の少なくとも一部の上辺よりも上方に配置され、前記貯蔵室内にウイルスまたは菌を抑制する効果を有する光を照射する光照射部と、
を備え、
前記第2容器の後端部は、前記第1容器の後端部よりも前方に位置し、
前記光照射部の少なくとも一部は、上方から見た場合に、前記第1容器の後端部と前記第2容器の後端部との間に位置する、
冷蔵庫。
【請求項4】
前記光照射部は、水平方向に対して斜め下方に向けて前記光を照射する、
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記光照射部は、前記水平方向に対して45度よりも小さい角度の方向に前記光の照射中心が向くように前記水平方向に対して傾けて設けられている、
請求項4に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記筐体は、前記貯蔵室である第1貯蔵室と、前記第1貯蔵室の上方に設けられた第2貯蔵室と、前記第1貯蔵室と前記第2貯蔵室との間に位置した仕切部とを有し、
前記光照射部の少なくとも一部は、前記仕切部の最下部よりも上方に配置されている、
請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記光照射部は、当該光照射部の少なくとも一部が前記仕切部の最下部よりも上方に配置された状態で、水平方向に対して斜め下方に向けて前記光を照射する、
請求項6に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
チルド室に紫外線光源を備えた冷蔵庫が提案されている。冷蔵庫は、さらなる除菌機能の向上が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、ウイルスまたは菌の抑制機能の向上を図ることができる冷蔵庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷蔵庫は、筐体と、容器と、冷気通路部と、冷却器と、光照射ユニットとを持つ。前記筐体は、野菜室として使用可能な貯蔵室を有する。前記容器は、前記貯蔵室内に収容される。前記冷気通路部は、前記筐体内に設けられ、内部を冷気が流れる。前記冷却器は、前記冷気通路部に設けられ、前記冷気を冷却する。前記光照射ユニットは、前記容器の少なくとも一部の上辺よりも上方に配置され、上方から見た場合に、前記上辺が位置する高さにおける前記容器の後端部と前記冷却器との間に位置した部分を含み、前記貯蔵室内にウイルスまたは菌を抑制する効果を有する光を照射する。前記冷気通路部は、光透過部を含む壁部を有する。前記光照射ユニットは、前記冷気通路部の内部に配置されて前記光透過部を通して前記貯蔵室内に前記光を照射する光照射部と、前記冷気通路部の内部に配置されて前記光照射部の少なくとも一部との間に隙間を空けて前記光透過部とは反対側から前記光照射部を覆うカバーと、前記光照射部を収容した前記光透過部と前記カバーとの間の空間を前記冷気通路部内の他の空間から封止した封止部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】
図1中に示された冷蔵庫のF2-F2線に沿う断面図。
【
図3】
図1中に示された冷蔵庫のF3-F3線に沿う斜視断面図。
【
図4】第1実施形態の冷蔵用ダクト部品の一部を示す斜視図。
【
図5】
図2中に示された冷蔵庫のF5線で囲まれた領域を示す断面図。
【
図6】
図5中に示された冷蔵庫のF6線で囲まれた領域を示す断面図。
【
図7】第1実施形態の光照射部による紫外線の照射中心を示す断面図。
【
図8】
図6中に示された光照射ユニットの矢印F8の方向から見た平面図。
【
図9】第1実施形態の光照射ユニットを一部分解して示す断面図。
【
図10】第1実施形態の紫外線の限定後の照射範囲を示す断面図。
【
図11】第1実施形態の第1変形例の冷蔵庫を示す断面図。
【
図12】第1実施形態の第2変形例の冷蔵庫を示す断面図。
【
図13】第1実施形態の第3変形例の冷蔵庫を示す断面図。
【
図14】第1実施形態の第4変形例の冷蔵庫を示す断面図。
【
図16】第2実施形態の第1変形例の冷蔵庫を示す断面図。
【
図17】第2実施形態の第2変形例の冷蔵庫を示す断面図。
【
図19】
図18中に示された冷蔵庫のF19-F19線に沿う断面図。
【
図20】第3実施形態の変形例の冷蔵庫を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の冷蔵庫を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本明細書では、冷蔵庫の正面に立つユーザから冷蔵庫を見た方向を基準に、左右を定義している。また、冷蔵庫から見て冷蔵庫の正面に立つユーザに近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義している。「冷蔵庫の左右方向」とは「冷蔵庫の幅方向」と同じ意味である。「冷蔵庫の前後方向」とは「冷蔵庫の奥行方向」と同じ意味である。
【0008】
本明細書で「除菌」とは、説明の便宜上の呼称であり、ウイルスまたは菌の抑制(例えば、ウイルスの感染性の低下や不活化、菌の増殖抑制)を意味する広い意味の用語として用いている。すなわち、本明細書で「除菌」とは、菌を除去する(減らす)ことに限定されず、菌が増えることを抑制すること、および/または、菌以外のウイルスなどの広まりを抑制することの意味で用いている。「ウイルスなどの広まりを抑制する」とは、冷蔵庫内でウイルスが広まることを抑制することに限定されず、ウイルスの感染性が弱まり、そのウイルスが冷蔵庫の外部に出た後に広まることを抑制する場合も該当し得る。
【0009】
(第1実施形態)
[1.冷蔵庫の全体構成]
図1から
図10を参照し、第1実施形態の冷蔵庫1について説明する。まず、冷蔵庫1の全体構成について説明する。
【0010】
図1は、冷蔵庫1を示す正面図である。冷蔵庫1は、例えば、筐体10と、複数の扉20とを備えている。
【0011】
筐体10は、上壁10a、下壁10b、左右の側壁10c,10d、および後壁10e(
図2参照)を有する。上壁10aおよび下壁10bは、水平方向に広がる。左右の側壁10c,10dは、下壁10bの左右の端部から上方に起立し、上壁10aの左右の端部に繋がっている。左側壁10cは、後述する野菜室11Bに露出して野菜室11Bの左側面を形成する左側壁部S1を含む。右側壁10dは、野菜室11Bに露出して野菜室11Bの右側面を形成する右側壁部S2を含む。後壁10eは、下壁10bの後端部から上方に起立し、上壁10aの後端部に繋がっている。筐体10は、筐体10の内面を形成する内箱10iと、内箱10iの外側に位置して筐体10の外面を形成する外箱10jと、内箱10iと外箱10jとの間に設けられた発泡ウレタンのような発泡断熱材10kとを含み(
図2参照)、断熱性を有する。
【0012】
筐体10の内部には、複数の貯蔵室11が設けられている。複数の貯蔵室11は、例えば、冷蔵室11A、チルド室11Aa、野菜室11B、製氷室11C、小冷凍室11D、および主冷凍室11Eを含む。冷蔵室11Aは、例えば、約2℃~6℃である冷蔵温度帯に冷却される。チルド室11Aaは、例えば、約-1℃~+1℃であるチルド温度帯に冷却される。野菜室11Bは、例えば、約3℃~7℃である野菜室温度帯に冷却される。製氷室11C、小冷凍室11D、および主冷凍室11Eは、例えば、約-20℃~-18℃である冷凍温度帯に冷却される。
【0013】
本実施形態では、最上部に冷蔵室11Aが配置され、冷蔵室11Aの下方に野菜室11Bが配置され、野菜室11Bの下方に製氷室11Cおよび小冷凍室11Dが配置され、製氷室11Cおよび小冷凍室11Dの下方に主冷凍室11Eが配置されている。ただし、貯蔵室11の配置は、上記例に限定されない。筐体10は、各貯蔵室11の前面側に、各貯蔵室11に対して食材の出し入れを可能にする開口を有する。
【0014】
野菜室11Bは、「野菜室として使用可能な貯蔵室」の一例であり、「第1貯蔵室」の一例である。本明細書で「野菜室として使用可能な貯蔵室」とは、野菜室専用として設けられた貯蔵室11に限定されず、複数の用途(例えば、冷蔵室、冷凍室、または野菜室)に応じて温度帯が切り替え可能な切り替え室であって、少なくとも野菜室の温度帯に切り替え可能な貯蔵室11でもよい。「野菜室」とは、冷蔵室よりも温度帯が高い貯蔵室である。
【0015】
チルド室11Aaは、冷蔵室11Aの下部の一画に設けられている。チルド室11Aaは、「特別貯蔵室」の一例であり、「第2貯蔵室」の一例である。本明細書で「特別貯蔵室」とは、冷蔵室よりも温度帯が低く、冷凍室よりも温度帯が高い貯蔵室である。「特別貯蔵室」は、チルド室11Aaに限定されず、パーシャル温度帯(約-4℃~-2℃)に冷却されるパーシャル室などでもよい。このため、以下の説明における「チルド室11Aa」は、「特別貯蔵室」または「パーシャル室」と読み替えられてもよい。
【0016】
筐体10は、第1および第2の仕切部15,16を有する(
図2参照)。第1および第2の仕切部15,16は、例えば、それぞれ略水平方向に沿う仕切壁である。第1仕切部15は、冷蔵室11Aおよびチルド室11Aaと、野菜室11Bとの間に位置し、冷蔵室11Aおよびチルド室11Aaと、野菜室11Bとの間を仕切っている。例えば、第1仕切部15は、断熱性を有しない仕切壁である。第1仕切部15は、筐体10と一体に設けられていてもよく、筐体10とは別体に設けられて筐体10内に取り付けられていてもよい。第1仕切部15は、冷蔵室11Aまたはチルド室11Aaを通った冷気を野菜室11Bに導く通気孔を有する。一方で、第2仕切部16は、野菜室11Bと、製氷室11Cおよび小冷凍室11Dとの間に位置し、野菜室11Bと、製氷室11Cおよび小冷凍室11Dとの間を仕切っている。第2仕切部16は、例えば筐体10と一体に設けられ、断熱性を有する。
【0017】
複数の貯蔵室11は、複数の扉20によって開閉可能に閉じられる。複数の扉20は、例えば、冷蔵室11Aの開口を閉じる左右の冷蔵室扉20Aa,20Ab、野菜室11Bの開口を閉じる野菜室扉20B、製氷室11Cの開口を閉じる製氷室扉20C、小冷凍室11Dの開口を閉じる小冷凍室扉20D、および主冷凍室11Eの開口を閉じる主冷凍室扉20Eを含む。左右の冷蔵室扉20Aa,20Abは、例えばフレンチ扉(観音開き扉)を構成する。野菜室扉20B、製氷室扉20C、小冷凍室扉20D、および主冷凍室扉20Eの各々は、冷蔵庫1の前側に引き出し可能な引出扉である。
【0018】
ここでは、野菜室扉20Bについて詳しく説明する。野菜室扉20Bは、例えば、扉本体21と、レール部材22とを含む。扉本体21は、筐体10の外部に位置し、冷蔵庫1の前側から野菜室11Bの開口に向かい合う。扉本体21は、野菜室11Bの開口よりも大きな外形を有し、野菜室11Bの開口を開閉可能に閉じる。扉本体21の上端部には、野菜室扉20Bを開くときにユーザが手を掛ける取手が設けられている。レール部材22は、扉本体21の内面(後面)に取り付けられ、扉本体21から後方に延びている。レール部材22は、筐体10の左側壁部S1および右側壁部S2に設けられたレール受け部によって支持されている。これにより、野菜室扉20Bは、筐体10に対して冷蔵庫1の前後方向にスライド移動可能である。
【0019】
図2は、
図1中に示された冷蔵庫1のF2-F2線に沿う断面図である。冷蔵庫1は、例えば、複数の棚30、複数の容器40、流路形成部品50、冷却ユニット60、光照射ユニット70、および制御装置80を備えている。複数の棚30は、冷蔵室11Aに配置されている。
【0020】
複数の容器40は、チルド室11Aaに収容された第1および第2のチルド室容器41,42、野菜室11Bに収容された第1および第2の野菜室容器43,44、製氷室11Cに収容された製氷室容器(不図示)、小冷凍室11Dに収容された小冷凍室容器46、および主冷凍室11Eに収容された第1および第2の主冷凍室容器47,48を含む。
【0021】
ここではまず、第1および第2のチルド室容器41,42について説明する。第1チルド室容器41は、2段式のチルド室容器41,42のうち下側に位置する容器である。第2チルド室容器42は、2段式のチルド室容器41,42のうち上側に位置する容器である。第2チルド室容器42は、第1チルド室容器41の上方に位置する。第1および第2のチルド室容器41,42は、それぞれ独立して前方に引き出し可能である。なお、チルド室11Aaに配置されるチルド室容器は、1つだけでもよい。
【0022】
次に、第1および第2の野菜室容器43,44について説明する。第1野菜室容器43は、2段式の野菜室容器43,44のうち下側に位置する容器である。第1野菜室容器43は、野菜室扉20Bによって支持され、野菜室扉20Bと一体に冷蔵庫1の前側に引き出し可能である。第1野菜室容器43の前端部43aは、野菜室扉20Bの扉本体21の近くに位置する。第1野菜室容器43の内部には、仕切り43pが設けられている。第1野菜室容器43の前端部42aと仕切り43pとの間には、ペットボトルを立てて収容可能な収容領域CRが形成されている。収容領域CRは、第1野菜室容器43の内部おいて第1野菜室容器43の前端部43aに隣接する収容領域である。一方で、第1野菜室容器43の後端部43bは、第1野菜室容器43が野菜室11Bに収容された状態で、筐体10の後壁10eの近くに位置する。第1野菜室容器43は、「第1容器」の一例である。
【0023】
第2野菜室容器44は、2段式の野菜室容器43,44のうち上側に位置する容器である。第2野菜室容器44は、第1野菜室容器43の上方に配置されている。冷蔵庫1の前後方向における第2野菜室容器44の寸法は、同方向における第1野菜室容器43の寸法よりも小さい。第2野菜室容器44の前端部44aは、第1野菜室容器43の仕切り43pの直上に位置するか、または仕切り43pよりも後側に位置する。すなわち、第2野菜室容器44の前端部44aは、第1野菜室容器43の前端部43aと比べて後側に位置する。第2野菜室容器44の前端部44aには、第2野菜室容器44を前側に引き出すときにユーザが手を掛ける取手Hが設けられている。第2野菜室容器44の後端部44bは、第1野菜室容器43の後端部43bと比べて前側に位置する。第2野菜室容器44は、「第2容器」の一例である。
【0024】
本実施形態では、第2野菜室容器44は、「ある貯蔵室(野菜室11B)に収容された少なくとも1つの容器のうち最上段に位置した容器」の一例である。ただし、野菜室11Bに配置される野菜室容器は、1つでもよい。この場合、野菜室11Bに配置された当該1つの野菜室容器が「ある貯蔵室(野菜室11B)に収容された少なくとも1つの容器のうち最上段に位置した容器」の一例に該当する。
【0025】
流路形成部品50は、冷蔵用ダクト部品51と、冷凍用ダクト部品52とを含む。冷蔵用ダクト部品51は、筐体10内に設けられ、後壁10eに沿って鉛直方向に延びている。冷蔵用ダクト部品51は、筐体10の後壁10eの近くに、冷気(空気)が流れる通路であるダクト空間D1を形成している。本明細書で「ダクト部品」とは、筒状の部品に限定されず、他の部品(例えば筐体10の後壁10e)と協働することで冷気の通路の少なくとも一部を規定する部品を含み得る。例えば、本実施形態の冷蔵用ダクト部品51は、筐体10の後壁10eに取り付けられ、筐体10の後壁10eとの間にダクト空間D1を形成するカバーである。
【0026】
冷蔵用ダクト部品51は、冷気吹出口51a,51bおよび冷気戻り口51c,51dを有する。冷気吹出口51aは、冷蔵室11Aに開口し、後述する冷蔵用冷却器62により冷却された冷気を冷蔵室11Aに供給する。冷気吹出口51bは、チルド室11Aaに開口し、後述する冷蔵用冷却器62により冷却された冷気をチルド室11Aaに供給する。冷気戻り口51cは、チルド室11Aaに開口し、チルド室11Aaを通過することで温められた冷気をダクト空間D1に向けて導く。冷気戻り口51dは、野菜室11Bに開口し、冷蔵室11Aや野菜室11Bなどを通過することで温められた冷気をダクト空間D1に導く。冷蔵用ダクト部品51については詳しく後述する。
【0027】
冷凍用ダクト部品52は、筐体10内に設けられ、後壁10eに沿って鉛直方向に延びている。冷凍用ダクト部品52は、筐体10の後壁10eの近くに、冷気(空気)が流れる通路であるダクト空間D2を形成している。冷凍用ダクト部品52は、冷気吹出口52aおよび冷気戻り口52bを有する。冷気吹出口52aは、製氷室11C、小冷凍室11D、または主冷凍室11Eに開口し、後述する冷凍用冷却器64により冷却された冷気を、製氷室11C、小冷凍室11D、または主冷凍室11Eに供給する。冷気戻り口52bは、主冷凍室11Eの下部に開口し、製氷室11C、小冷凍室11D、および主冷凍室11Eのうち1つ以上を通過することで温められた冷気をダクト空間D2に導く。
【0028】
冷却ユニット60は、例えば、圧縮器61、冷蔵用冷却器62、冷蔵室ファン63、冷凍用冷却器64、および冷凍室ファン65を含む。冷蔵用冷却器62および冷蔵室ファン63は、ダクト空間D1に配置されている。冷蔵用冷却器62は、圧縮器61により圧縮された冷媒が供給され、ダクト空間D1を流れる冷気を冷却する。冷蔵室ファン63が駆動されると、冷蔵用冷却器62により冷却された冷気が冷気吹出口51a,51bから冷蔵室11Aおよびチルド室11Aaに供給される。冷蔵室11Aまたはチルド室11Aaを通った冷気の一部は、野菜室11Bに流入する。そして、冷蔵室11A、チルド室11Aa、および野菜室11Bのうち1つ以上で温められた冷気が冷気戻り口51c,51dからダクト空間D1に戻る。
【0029】
冷凍用冷却器64および冷凍室ファン65は、ダクト空間D2に配置されている。冷凍用冷却器64は、圧縮器61により圧縮された冷媒が供給され、ダクト空間D2を流れる冷気を冷却する。冷凍室ファン65が駆動されると、冷凍用冷却器64により冷却された冷気が冷気吹出口52aから冷凍室(製氷室11C、小冷凍室11D、主冷凍室11E)に供給され、上記冷凍室で温められた空気が冷気戻り口52bからダクト空間D2に戻る。
【0030】
光照射ユニット70は、筐体10内に設けられている。本実施形態では、光照射ユニット70は、野菜室11Bの後方に配置され、野菜室11Bの内部に紫外線を照射する。光照射ユニット70については詳しく後述する。
【0031】
制御装置80は、回路基板と、回路基板に実装された電子部品とを有する。制御装置80は、冷蔵庫1の全体を統括的に制御する。例えば、制御装置80は、上述した圧縮器61、冷蔵室ファン63、および冷凍室ファン65の動作などを制御する。また、制御装置80は、光照射ユニット70による紫外線の照射を制御する。本実施形態では、制御装置80は、野菜室扉20Bの開閉状態を検出する扉スイッチの検出結果に基づき、光照射ユニット70を制御する。例えば、制御装置80は、野菜室扉20Bが開かれたことが検出された場合、光照射ユニット70による紫外線の照射を停止させる。一方で、制御装置80は、野菜室扉20Bが閉じられたことが検出された場合、光照射ユニット70による紫外線の照射を再開させる。
【0032】
[2.野菜室の周辺構造の詳細]
次に、野菜室11Bの周辺構造について詳しく説明する。
図3は、
図1中に示された冷蔵庫1のF3-F3線に沿う斜視断面図である。なお
図3では、冷蔵用冷却器62および冷蔵室ファン63の図示は省略されている。
【0033】
[2.1 第1仕切部]
まず、第1仕切部15について説明する。第1仕切部15は、上述したように冷蔵室11Aおよびチルド室11Aaと、野菜室11Bとの間に設けられ、冷蔵室11Aおよびチルド室11Aaと、野菜室11Bとの間を仕切っている。第1仕切部15は、比較的薄い板状に形成されている。第1仕切部15は、冷蔵室11Aおよびチルド室11Aaの底壁を形成するとともに、野菜室11Bの天井を形成している。第1仕切部15は、前側から、第1部分15a、第2部分15b、第3部分15c、第4部分15d、および第5部分15eを含む。第1から第5の部分15a,15b,15c,15d,15eの各々は、冷蔵庫1の幅方向において野菜室11Bの全幅に亘るように設けられている。
【0034】
第1部分15aは、第1チルド室容器41よりも前側に位置し、冷蔵室11Aの底壁の一部を形成している。第1部分15aは、水平方向に広がる壁部である。第2部分15bは、第1部分15aの後端と隣接する。第2部分15bは、第1チルド室容器41の下方に位置し、チルド室11Aaの底壁の一部を形成している。第2部分15bは、水平方向に対して傾斜した傾斜壁である。第2部分15bは、第1部分15aの後端から後方に進むに従い下方に位置するように傾斜している(すなわち後ろ下がりに傾斜している)。
【0035】
第3部分15cは、第2部分15bの後端と隣接している。第3部分15cは、第1チルド室容器41の下方に位置し、チルド室11Aaの底壁の一部を形成している。第3部分15cは、第2部分15bの後端から水平方向に広がる壁部である。すなわち、第3部分15cは、第1部分15aおよび後述する第5部分15dと比べて低い高さ位置に設けられている。例えば、第3部分15cは、第1仕切部15の最下部を形成している。
【0036】
第4部分15dは、第3部分15cの後端と隣接している。第4部分15dは、第1チルド室容器41の下方に位置し、チルド室11Aaの底壁の一部を形成している。第4部分15dは、水平方向に対して傾斜した傾斜部である。第4部分15dは、第3部分15cの後端から後方に進むに従い上方に位置するように傾斜している(すなわち後ろ上がりに傾斜している)。
【0037】
第5部分15eは、第4部分15dの後端と隣接している。第5部分15eは、第1チルド室容器41の下方に位置し、チルド室11Aaの底壁の一部を形成している。第5部分15eは、第4部分15dの後端から水平方向に広がる部分を含む壁部である。第5部分15eは、第1仕切部15の後端部を形成している。本実施形態では、第5部分15e(すなわち、第1仕切部15の後端部)は、第2野菜室容器44の後端部44bと比べて前側に位置する。
【0038】
[2.2 冷蔵用ダクト部品]
次に、冷蔵用ダクト部品51について説明する。
図4は、冷蔵用ダクト部品51(以下では単に「ダクト部品51」と称する)の一部を示す斜視図である。
図4は、ダクト部品51のなかで、チルド室11Aaおよび野菜室11Bに露出する部分を抜き出して示している。ダクト部品51は、例えば、第1前壁部91、張出部92、第2前壁部93、左側壁部94、右側壁部95、および下壁96を有する。
【0039】
第1前壁部91は、冷蔵庫1の前側に向いた壁部である。第1前壁部91は、チルド室11Aaに露出し、チルド室11Aaの後壁部の一部を形成している(
図5参照)。第1前壁部91には、複数の冷気吹出口51bが設けられている。冷気吹出口51bは、例えば、第2チルド室容器42の上辺よりも高い位置に配置されている(
図5参照)。
【0040】
張出部92は、第1前壁部91の下端から前側に張り出している。張出部92は、冷蔵庫1の幅方向におけるダクト部品51の全幅の大部分に亘り設けられている。張出部92は、チルド室11Aaと野菜室11Bとの間の高さ位置に対応して設けられている(
図5参照)。本実施形態では、張出部92は、第1仕切部15の第5部分15eと接続される。これにより、張出部92は、第1仕切部15と協働して、チルド室11Aaと野菜室11Bとの間を仕切る仕切壁として機能する。本実施形態では、第1仕切部15の第5部分15eは、張出部92の先端部92eの上に載せられている(
図5参照)。これにより、張出部92は、第1仕切部15の第5部分15eを下方から支持する。
【0041】
本実施形態では、張出部92は、第1前壁部91の下端から前側に進むに従い高さ位置が低くなるように傾斜している(すなわち、前下がりに傾斜している)。張出部92には、複数の冷気戻り口51c(チルド室11Aaからの冷気の戻り口)が設けられている。複数の冷気戻り口51cは、冷蔵庫1の幅方向に並べて設けられている。複数の冷気戻り口51cの各々は、冷蔵庫1の前後方向に沿う長穴状である。張出部92の上方に位置する第1チルド室容器41の後端部には、第1チルド室容器41の内部を流れた冷気を張出部92の冷気戻り口51cに向けて通す通気孔41hが設けられている(
図5参照)。
【0042】
第2前壁部93は、張出部92の下方に設けられている。第2前壁部93は、冷蔵庫1の前側に向いた壁部であり、ダクト部品51の前面の少なくとも一部を形成している。第2前壁部93は、野菜室11Bに露出し、野菜室11Bの後壁部の一部を形成している(
図5参照)。第2前壁部93は、冷蔵庫1の前後方向における張出部92の途中部分92mから下方に延びている。途中部分92mは、張出部92において冷気戻り口51cの前端に隣接する部分である。第2前壁部93は、「前壁」の一例である。第2前壁部93については、光照射ユニット70の説明と合わせて詳しく後述する。
【0043】
左側壁部94は、第1前壁部91の左端および第2前壁部93の左端から後方に向けて延びている。一方で、右側壁部95は、第1前壁部91の右端および第2前壁部93の右端から後方に向けて延びている。左側壁部94および右側壁部95は、ダクト空間D1の左右の側方を塞いでいる。下壁96は、第2前壁部93の下端から後方に向けて延びている。下壁96は、ダクト空間D1の下方を塞いでいる。本実施形態では、下壁96には、複数の冷気戻り口51d(野菜室11Bからの冷気の戻り口)が設けられている(
図5参照)。
【0044】
図5は、
図2中に示された冷蔵庫1のF5線で囲まれた領域を示す断面図である。図中の矢印は、空気(冷気)の流れを示す。ダクト部品51の内部には、断熱部材55が設けられている。断熱部材55は、例えば、ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS:Expanded Poly-Styrene)のような発泡断熱材であり、高い断熱性を有する。断熱部材55は、単位厚さ当たりの断熱性がダクト部品51よりも良好な断熱部材である。
【0045】
断熱部材55は、第1前壁部91の内面(後面)に沿って設けられている。断熱部材55は、ダクト部品51の内部において第1前壁部91とダクト空間D1との間に位置し、ダクト空間D1の前面の一部を規定している。言い換えると、断熱部材55は、第1前壁部91と冷蔵用冷却器62との間に位置する。断熱部材55は、冷蔵用冷却器62の前面に沿って、第1前壁部91よりも下方に延びている。
【0046】
本実施形態では、断熱部材55は、張出部92と冷蔵用冷却器62との間、および第2前壁部93の少なくとも一部と冷蔵用冷却器62との間に位置する。第2前壁部93は、断熱部材55から離れて位置する。第2前壁部93と断熱部材55との間には、チルド室11Aaから冷気戻り口51cに流入する空気(冷気)が下方に向けて流れる冷気通路A1が形成されている。
【0047】
冷気戻り口51cからダクト部品51の内部に流入した空気は、第2前壁部93と断熱部材55との間の冷気通路A1を通り、野菜室11Bの後方であって冷蔵用冷却器62の下方に位置する空間A2(以下では説明の便宜上「合流空間A2」と称する)に導かれる。冷気戻り口51cから合流空間A2に流入した空気は、野菜室11Bから冷気戻り口51dを通じて合流空間A2に流入した空気と合流し、合流空間A2から冷蔵用冷却器62に向けて流れる。
【0048】
[3.光照射ユニット]
[3.1 光照射ユニットの構成]
次に、光照射ユニット70の構成について詳しく説明する。
図6は、
図5中に示された冷蔵庫1のF6線で囲まれた領域を示す断面図である。本実施形態では、光照射ユニット70は、ダクト部品51の内部(例えば、第2前壁部93、左側壁部94、右側壁部95により3方向から囲まれる空間)に設けられている。すなわち、光照射ユニット70は、ダクト部品51の内部で冷気通路A1に露出し、冷気戻り口51cから合流空間A2を経由して冷蔵用冷却器62に向かう冷気(いわゆる戻り冷気)に晒される。言い換えると、冷気通路A1は、光照射ユニット70と断熱部材55との間に形成される。本実施形態では、光照射ユニット70は、光照射部71と、ケース72と、封止部材73とを有する。
【0049】
[3.1.1 光照射部]
光照射部71は、回路基板101と、紫外線LED102とを含む。回路基板101は、第2前壁部93の内面(後面)と並行に配置されている。回路基板101は、第2前壁部93と向かい合う第1面101aと、第1面101aとは反対側に位置した第2面101101bとを有する。紫外線LED102は、回路基板101の第1面101aに実装され、冷蔵庫1の前方に向けて紫外線を照射する。紫外線LED102は、「紫外線光源」の一例である。なお、紫外線光源は、紫外線LED102に限らず、紫外線ランプなどでもよい。
【0050】
紫外線は、「ウイルスまたは菌を抑制する効果を有する光」の一例である。本明細書で「紫外線」とは、中心波長が10nm~400nmの範囲内にある電磁波を意味する。すなわち「紫外線」とは、中心波長が、UVA(波長320nm~400nm)の電磁波でもよく、UVB(波長280nm~320nm)の電磁波でもよく、UVC(波長100nm~280nm)の電磁波でもよい。また「紫外線」とは、中心波長が10nm~400nmの範囲内にあればよく、紫外線LED102から照射される一部の電磁波の波長が400nm以上でもよい(すなわち可視光領域の波長でもよい)。紫外線LED102により照射される紫外線は、人間が見える光を含んでもよく、人間が見える光を含まなくてもよい。なお、「ウイルスまたは菌を抑制する効果を有する光」は、紫外線に限定されず、他の波長の光でもよい。
【0051】
本実施形態では、紫外線LED102は、中心波長がUVAの電磁波を照射する。このような波長の電磁波によれば、例えばUVCの電磁波と比べて、例えばプラスチック製の第1および第2野菜室容器43,44の劣化を抑制しつつ、ウイルスまたは菌を抑制することができる。
【0052】
図6に示すように、第2前壁部93のなかで紫外線LED102に向かい合う部分には、紫外線を通す窓部(光透過部)103が設けられている。窓部103は、アクリルまたはガラスのような紫外線を通す光透過性部材で形成されている。紫外線LED102は、窓部103を通じて野菜室11Bの内部に紫外線を照射する。これにより、野菜室11Bの内部の少なくとも一部は、光照射部71により照射される紫外線の照射範囲内にある。
【0053】
本実施形態では、光照射部71は、第2野菜室容器44よりも後方である野菜室11Bの奥部に設けられている。光照射部71は、第2野菜室容器44の少なくとも一部の上辺44u(例えば、第2野菜室容器44の後端部44bの上辺44u)よりも上方に配置されている。
【0054】
詳しく述べると、第2野菜室容器44は、上方が開放された箱状に形成されている。第2野菜室容器44は、上述した前端部44aおよび後端部44bに加え、左端部および右端部を有する。本実施形態では、光照射部71は、第2野菜室容器44の全ての端部の上辺44u(すなわち、前端部44a、後端部44b、左端部、および右端部の各々の上辺44u)よりも上方に配置されている。本明細書で「光照射部が容器の上辺と比べて上方に位置する」とは、光照射部71に含まれる紫外線LED102が容器の上辺と比べて上方に位置することを意味し、光照射部71に含まれる回路基板101の一部が容器の上辺よりも下方に位置する場合も含み得る。
【0055】
本実施形態では、光照射部71は、第2野菜室容器44よりも後方に配置され、水平方向に対して斜め下方に向けて紫外線を照射する。例えば、光照射部71は、第2野菜室容器44の内部に向けて紫外線を照射する。これにより、第2野菜室容器44の内部の少なくとも一部は、光照射部71により照射される紫外線の照射範囲内にある。
【0056】
図7は、光照射部71による紫外線の照射中心Cを示す図である。光照射部71は、水平方向に対して比較的小さい角度の方向に紫外線を照射する。例えば、光照射部71は、水平方向に対して45度よりも小さい角度の方向に紫外線の照射中心C(すなわち照射中心に対応する光軸CA)が向くように水平方向に対して傾けて設けられている。本実施形態では、光照射部71は、水平方向に対して25度だけ傾いた方向に紫外線の照射中心Cが向くように傾けて設けられている。このように光照射部71を傾けて設けることで、光照射部71によって野菜室11B内のより広い範囲に紫外線を照射することができる。
【0057】
本実施形態では、光照射部71による紫外線の照射中心Cは、第2野菜室容器44が野菜室11Bに収容された状態で、冷蔵庫1の前後方向における第2野菜室容器44の底面の中心よりも前側の領域FRに設定されている。
【0058】
[3.1.2 ケース]
図6に戻り、ケース72について説明する。ケース72は、前側が開放された矩形の扁平箱状に形成されている。光照射部71は、ケース72の内部に収容される。ケース72は、第2前壁部93と当該ケース72との間に封止部材73を挟んで、第2前壁部93の内面(後面)に取り付けられる。ケース72が第2前壁部93の内面に取り付けられることで、光照射部71の周囲が封止される。これにより、光照射部71の周りに冷気が流れることが抑制され、光照射部71に結露が生じることが抑制される。ケース72は、「カバー」の一例である。
【0059】
詳しく述べると、ケース72は、背壁部72aと、周壁部72bと、押さえ部72cとを有する。背壁部72aは、第2前壁部93とは反対側から光照射部71を覆う。周壁部72bは、背壁部72aの周端部から第2前壁部93の内面に向いて延びている。周壁部72bは、光照射部71の上下左右を囲む矩形状の環状(筒状)に形成されている。周壁部72bは、光照射部71とは別に、第2前壁部93の内面に取り付けられる。これについては後述する。押さえ部72cは、周壁部72bの内周側に設けられている。押さえ部72cは、封止部材73に接するとともに、封止部材73を第2前壁部93の内面に向けて押さえる。背壁部72aは、「第1部分」の一例である。周壁部72bは、「第2部分」の一例である。押さえ部72cは、「第3部分」の一例である。ただし、周壁部72bと押さえ部72cは、一体に設けられてもよい。
【0060】
図8は、
図6中に示された光照射ユニット70の矢印F8の方向から見た平面図である。
封止部材73は、例えばソフトテープなどの弾性部材である。封止部材73は、周壁部72bの全周に沿って環状に形成されている。封止部材73は、第2前壁部93の内面にケース72の周壁部72bが取り付けられることで、第2前壁部93の内面とケース72の押さえ部72cとの間に挟まれ、第2前壁部93の内面とケース72の周壁部72bとの間を封止する。これにより、光照射部71の周りに冷気が流れることがより確実に抑制される。
【0061】
本実施形態では、ケース72は、一般的なプラスチック部材である。ケース72の単位厚さ当たりの断熱性は、断熱部材55と比べて低い。ケース72の背壁部72aおよび周壁部72bの各々の厚さは、断熱部材55の厚さと比べて薄い。ただし、ダクト部品51内の冷気通路A1を流れる冷気は、チルド室11Aaを流れることで温められた冷気であり、冷蔵用冷却器62により冷却されたばかりの冷気と比べて温度が高い。このため、上述したようなケース72によっても光照射部71に結露が生じることが抑制することができる。また上述したようなケース72であれば、比較的安価に製造することができ、ダクト部品51の内部に設けてもダクト部品51が大型化することを抑制することもできる。
【0062】
[3.2 光照射ユニットの配置構造]
次に、
図6に戻り、光照射ユニット70の配置構造について説明する。本実施形態では、光照射ユニット70の少なくとも一部(例えばケース72の少なくとも一部)は、第1仕切部15の最下部(例えば第3部分15c)よりも上方に配置されている。さらに言えば、光照射部71の少なくとも一部(例えば回路基板110の少なくとも一部)は、第1仕切部15の最下部(例えば第3部分15c)よりも上方に配置されている。すなわち、光照射部71は、当該光照射部71の少なくとも一部が第1仕切部15の最下部よりも上方に配置された状態で、斜め下方に向けて紫外線を照射する。
【0063】
言い換えると、本実施形態の光照射ユニット70は、野菜室11Bに紫外線を照射する紫外線LED102を実装する実装構造の一部を、チルド室11Aaの空間を利用して配置したものである。これにより、野菜室11Bに紫外線を照射する紫外線LED102を設ける場合において、野菜室11Bの内容積が小さくなることを抑制することができる。
【0064】
本実施形態では、第2チルド室容器42の後端部は、上方に向けて傾斜した傾斜部41iを有する。傾斜部41iは、後方に進むに従い上方に位置するように傾斜している(すなわち後ろ上がりに傾斜している)。光照射ユニット70のケース72の少なくとも一部は、鉛直方向で、第2チルド室容器42の後端部の傾斜部41iと重なる位置に配置されている。この観点でも、本実施形態の光照射ユニット70は、野菜室11Bに紫外線を照射する紫外線LED102を実装する実装構造の一部を、チルド室11Aaの空間を利用して配置している。これにより、野菜室11Bに紫外線を照射する紫外線LED102を設ける場合において、野菜室11Bの内容積が小さくなることを抑制することができる。
【0065】
本実施形態では、光照射部71は、ダクト部品51の内部において、鉛直方向で冷気戻り口51cの少なくとも一部と重なる位置に配置されている。本実施形態では、光照射部71は、鉛直方向で複数の冷気戻り口51cと重なる。
【0066】
本実施形態では、ダクト部品51の少なくとも一部は、第1仕切部15の最下部(例えば第3部分15c)よりも上方に延びている。そして、光照射部71の少なくとも一部は、ダクト部品51の内部において第1仕切部15の最下部よりも上方に配置され、水平方向に対して斜め下方に向けて紫外線を照射する。
【0067】
[3.3 光照射ユニットの取り付け構造]
図9は、光照射ユニット70を一部分解して示す断面図である。ここではまず、ダクト部品51の第2前壁部93について、詳しく説明する。第2前壁部93は、第1部分93aと、第2部分93bとを有する。第1部分93aは、冷蔵庫1の前後方向における張出部92の途中部分92mに接続され、張出部92の途中部分92mから下方に延びている。第1部分93aは、鉛直方向に対する光照射部71の傾き角度と同じ傾き角度で、鉛直方向に対して傾斜している。すなわち、鉛直方向に対して第1部分93aが傾いて設けられることで、光照射部71が傾いて設けられる。第2部分93bは、第1部分93aの下端から下方に延びている。第2部分93bは、ダクト部品51の下壁96に繋がっている。
【0068】
本実施形態では、第2前壁部93の第1部分93aには、第1固定部93cと、第2固定部93dとが設けられている。第1固定部93cは、例えば、第1部分93aの内面に設けられた爪部である。第1固定部93cは、第2前壁部93の内面から水平方向に沿って後方に突出している。光照射部71の回路基板101は、第1固定部93cに係合して第2前壁部93に固定される。すなわち、光照射部71は、ケース72を介して第2前壁部93に固定されるわけではなく、第2前壁部93に直接に固定される。
【0069】
第2固定部93dは、例えば、第2前壁部93の第1部分93aに設けられた係合穴である。本実施形態では、ケース72の周壁部72bは、係合穴である第2固定部93dに係合する爪部72dを有する。ケース72は、周壁部72bに設けられた爪部72dが第2前壁部93の第1部分93aに係合することで、第2前壁部93に固定される。すなわち、ケース72は、光照射部71を伴わずに、第2前壁部93に直接に固定される。言い換えると、光照射部71とケース72は、直接には互いに接しておらず、それぞれ独立して第2前壁部93に固定されている。
【0070】
[3.4 紫外線に対する遮蔽部]
次に、
図6に戻り、紫外線に対して設けられた遮蔽部111について説明する。本実施形態では、冷蔵庫1には、筐体10内で光照射部71による紫外線の照射範囲SRの一部を遮蔽する遮蔽部111が設けられている。
【0071】
詳しく述べると、紫外線LED102は、紫外線の照射範囲として上下および左右に180度近い照射範囲を有する。このため、紫外線LED102から窓部103を通じて野菜室11Bの内部に照射される紫外線は、比較的広い方位に亘って照射される。遮蔽部111は、例えば、紫外線がユーザの目に入りにくいようにするため、または別の目的で、紫外線LED102から野菜室11Bの内部に照射される紫外線の一部を遮蔽する。
【0072】
本実施形態では、ダクト部品51の張出部92は、第2前壁部93が接続された途中部分92mよりも前方に位置した前方部分92aと、途中部分92mよりも後方に位置した後方部分92bとを含む。そして本実施形態では、ダクト部品51の張出部92の前方部分92aと、第1仕切部15の第3から第5部分15c,15d,15eとにより、紫外線の照射範囲SRの上側部分の少なくとも一部を遮蔽する遮蔽部111が形成されている。本明細書で「上側部分」とは、紫外線の照射中心Cに対応する仮想的な光軸CAに対して上側に位置する照射範囲を意味する。
図6に示すように、遮蔽部111は、紫外線の照射範囲SRの上側部分の一部を遮蔽することで、紫外線の照射範囲SRを紫外線の照射範囲SR´に限定する。その結果、照射範囲SR´では、光軸CAに対する上側の照射範囲(照射角度SRa´)と下側の照射範囲(照射角度SRb´)とが異なる。
【0073】
本実施形態では、遮蔽部111は、ダクト部品51の第2前壁部93(すなわち窓部103)から離れた位置に設けられている。例えば、遮蔽部111は、第2野菜室容器44の上方に設けられている。
【0074】
本実施形態では、遮蔽部111の最下部(例えば、第1仕切部15の第3部分15c)は、光照射ユニット70の一部(例えばケース72の一部)よりも下方に位置する。さらに言えば、遮蔽部111の最下部は、光照射部71の回路基板101の一部よりも下方に位置する。
【0075】
図10は、紫外線の限定後の照射範囲SR´を示す断面図である。
図10は、野菜室扉20Bを前方に最大限に引き出された状態を示す。本実施形態の遮蔽部111は、野菜室11Bに対して野菜室扉20Bが最大限に引き出された状態で、野菜室扉20Bの扉本体21に対する紫外線の照射範囲SR´の上端SRe´が野菜室扉20Bの扉本体21の上端21eよりも低くなるように、紫外線の照射範囲SRの上側部分を遮蔽する。このためユーザは、野菜室扉20Bの扉本体21の上端21eよりも顔を下にしてのぞき込まない限り、紫外線が直接に目に入る可能性が小さい。
【0076】
[4.利点]
本実施形態では、光照射部71は、野菜室11Bに収容される最上段の容器である第2野菜室容器44の少なくとも一部の上辺よりも上方に配置され、野菜室11B内に紫外線を照射する。このような構成によれば、野菜室11Bに収容される1つ以上の容器によってあまり邪魔されずに、野菜室11Bの内部に効率的に紫外線を照射することができる。これにより、ウイルスまたは菌の抑制機能の向上を図ることができる。
【0077】
ここで、野菜室11Bの天井部や、野菜室11B内の後壁部に光照射部71を搭載すると、野菜室11Bに収容される容器(例えば、第2野菜室容器44)の内部において、光照射部71に近い部位と、光照射部71から遠い部位とで、紫外線の照度のばらつきが大きくなる。そこで、本実施形態では、光照射部71は、第2野菜室容器44よりも後方に配置され、水平方向に対して斜め下方に傾いて紫外線を照射する。このような構成によれば、野菜室11Bに収容される容器(例えば、第2野菜室容器44)の内部の広範囲に紫外線を照射することができ、照度のばらつきを小さくすることができる。
【0078】
本実施形態では、光照射部71は、水平方向に対して45度よりも小さい角度の方向に光の照射中心Cが向くように水平方向に対して傾けて設けられている。このような構成によれば、野菜室11Bに収容される容器(例えば、第2野菜室容器44)の内部に対してより広範囲に紫外線を照射することができる。
【0079】
本実施形態では、光照射部71による紫外線の照射中心Cは、第2野菜室容器44が野菜室11Bに収容された状態で、冷蔵庫1の前後方向における第2野菜室容器44の底面の中心よりも前側に設定されている。このような構成によれば、中心よりも前側の領域に食材や容器などの収容物が置かれやすい第2野菜室容器44において、収容物に対してより効率的に紫外線を照射することができる。
【0080】
本実施形態では、光照射部71の少なくとも一部は、第1仕切部15の最下部よりも上方に配置されている。すなわち、野菜室11Bに紫外線を照射する光照射部71の少なくとも一部が、チルド室11Aaの空間(例えばデッドスペース)を利用して配置されている。このような構成によれば、光照射部71を設けることによる野菜室11Bの内容積の減少を抑制することができる。
【0081】
本実施形態では、第1チルド室容器41の後端部は、上方に向けて傾斜した傾斜部41iを有する。光照射ユニット70のケース72の少なくとも一部は、鉛直方向で、第1チルド室容器41と傾斜部41iと重なる位置に配置されている。すなわち、野菜室11Bに紫外線を照射する光照射部71の少なくとも一部が、チルド室容器41の後端部の傾斜部41iによるデッドスペースを利用して配置されている。このような構成によれば、光照射部71を設けることによる野菜室11Bの内容積の減少を抑制することができる。
【0082】
本実施形態では、冷蔵庫1は、筐体10内で光照射部71による紫外線の照射範囲SRの一部を遮蔽する遮蔽部111を有する。このような構成によれば、紫外線がユーザの目に入る可能性をより確実に小さくすることができる。これにより、ユーザに安心感を提供することができる。
【0083】
本実施形態では、遮蔽部111は、紫外線の照射範囲SRの上側部分の少なくとも一部を遮蔽する。このような構成によれば、正面上方への紫外線の照射を抑制することができる。
【0084】
本実施形態では、遮蔽部111は、野菜室11Bに対して野菜室扉20Bが最大限に引き出された状態で、野菜室扉20Bの扉本体21に対する紫外線の照射範囲SR´の上端SRe´が野菜室扉20Bの扉本体21の上端21eよりも低くなるように、紫外線の照射範囲SRの上側部分の少なくとも一部を遮蔽する。このような構成によれば、ユーザは、野菜室扉20Bの扉本体21の上端21eよりも顔を下にしてのぞき込まない限り、紫外線が直接に目に入る可能性が小さい。これにより、ユーザに対してより高い安心感を提供することができる。
【0085】
本実施形態では、遮蔽部111は、第2野菜室容器44の上方に設けられている。このような構成によれば、第2野菜室容器44の上方に存在するデッドスペースを利用して遮蔽部111が設けられている。これにより、野菜室11Bの内容積の減少を抑制することができる。
【0086】
野菜室11Bに紫外線を照射する光照射部71を搭載する場合、光照射部71を保持する構造物などにより、第1および第2野菜室容器43,44の容量や、野菜室11Bの内容積が減少してしまうことが考えられる。しかしながら本実施形態では、光照射部71は、ダクト部品51の内部に設けられている。このような構成によれば、第1および第2野菜室容器43,44の容量や、野菜室11Bの内容積の減少を抑制しつつ、野菜室11Bに紫外線を照射する光照射部71を搭載することができる。
【0087】
本実施形態では、ダクト部品51は、チルド室11Aaで温められた冷気を冷蔵用冷却器62に向けて導くダクト部品である。このような構成によれば、野菜室11Bに対して紫外線を照射する光照射部71を、別の貯蔵室であるチルド室11Aaからの冷気のリターンダクトを形成するダクト部品を利用して設けることができる。これにより、野菜室11Bの内容積の減少をさらに抑制することができる。
【0088】
本実施形態では、ダクト部品51は、チルド室11Aaに開口した冷気戻り口51cを有する。光照射部71は、ダクト部品51の内部において鉛直方向で冷気戻り口51cの少なくとも一部と重なる位置に配置されている。一般的に、ダクト部品51の内部で冷気戻り口51cと重なる領域には部品は実装されない。しかしながら本実施形態では、このような領域を有効活用して光照射部71を設けている。このような構成によれば、野菜室11Bの内容積の減少をさらに抑制することができる。
【0089】
本実施形態では、ダクト部品51の内面に取り付けられ、ダクト部品51の内部で光照射部71を覆うケース72が設けられている。このような構成によれば、ダクト部品51を流れる冷気が発熱部品である光照射部71の周囲に流入しにくく、光照射部71で結露が生じることを抑制することができる。
【0090】
本実施形態では、ダクト部品51は、ダクト部品51の前面の少なくとも一部を形成し紫外線を通す窓部103が設けられた第2前壁部93と、第2前壁部93に設けられて光照射部71を固定する第1固定部93cとを有する。ケース72は、第2前壁部93とは反対側から光照射部71を覆う背壁部72aと、光照射部71とは別に第2前壁部93に取り付けられる周壁部72bとを有する。このような構成によれば、光照射部71は、冷気に晒されて低い温度になるケース72に保持されていない。このため、光照射部71の温度が下がりにくく、光照射部71で結露が生じることをさらに抑制することができる。
【0091】
本実施形態では、第2前壁部93の内面とケース72との間に挟まれ、第2前壁部93の内面とケース72との間を封止する封止部材73が設けられている。このような構成によれば、光照射部71の周囲に冷気が流入することをより確実に抑制することができる。これにより、光照射部71で結露が生じることをさらに抑制することができる。
【0092】
本実施形態では、チルド室11Aaを通ることで温められた冷気が流れる冷気通路A1は、ダクト部品51の内部において光照射部71と冷蔵用冷却器62との間に形成されている。このような構成によれば、冷気通路A1に比較的温かい冷気が流れるため、冷蔵用冷却器62の冷たい温度が伝熱により光照射部71に伝わることを抑制することができる。これにより、光照射部71で結露が生じることをさらに抑制することができる。
【0093】
本実施形態では、光照射部71と冷蔵用冷却器62との間に設けられた断熱部材55をさらに備える。冷気通路A1は、光照射部71と断熱部材55との間に形成されている。このような構成によれば、光照射部71の周り(光照射ユニット70の周り)で冷気が流動するので、光照射部71の温度が過度に下がりにくい。これにより、光照射部71で結露が生じることをさらに抑制することができる。
【0094】
以下、第1実施形態のいくつかの変形例について説明する。なお各変形例で説明する以外の構成については、第1実施形態の構成と同様である。
【0095】
(第1実施形態の第1変形例)
図11は、第1実施形態の第1変形例の冷蔵庫1を示す断面図である。本変形例では、遮蔽部111の少なくとも一部は、光照射部71の紫外線LED102よりも下方に位置する。第1変形例では、ダクト部品51の張出部92の前方部分92aの一部、および第1仕切部15の第4部分15dの一部は、光照射部71の紫外線LED102よりも下方に位置する。
【0096】
このような構成によれば、紫外線の限定後の照射範囲SR´を、水平方向よりも下向きの方向に限定することができる。これにより、野菜室11Bの外部に照射される紫外線の量を少なくすることができる。また、第1実施形態と比べて、ユーザが顔をより低くして野菜室11Bの内部をのぞき込まない限り、紫外線が直接に目に入る可能性が小さい。これにより、ユーザにさらに高い安心感を提供することができる。
【0097】
(第1実施形態の第2変形例)
図12は、第1実施形態の第2変形例の冷蔵庫1を示す断面図である。本変形例では、ダクト部品51の張出部92の前方部分92aの一部は、第1仕切部15の最下部(例えば第3部分15c)よりも下方に位置する。例えば、本変形例では、ダクト部品51の張出部92の前方部分92aは、前方部分92aから下方に向けて突出した壁部92wを含む。壁部92wは、第1仕切部15の最下部よりも下方まで突出している。本変形例では、ダクト部品51の張出部92の少なくとも一部(例えば壁部92wの下端部)は、光照射部71の紫外線LED102よりも下方に位置する。
【0098】
このような構成によれば、紫外線の限定後の照射範囲SR´を、より下向きの方向に限定することができる。これにより、紫外線が直接にユーザの目に入る可能性をより小さくすることができる。
【0099】
(第1実施形態の第3変形例)
図13は、第1実施形態の第3変形例の冷蔵庫1を示す断面図である。本変形例では、ダクト部品51の張出部92は、前方部分92aに相当する部分を有さずに、後方部分92bに相当する部分により構成されている。本変形例では、第1仕切部15の第5部分15eは、ダクト部品51において第2前壁部93の近傍まで延びている。本変形例では、第1仕切部15によって遮蔽部111が構成されている。このような構成によっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0100】
(第1実施形態の第4変形例)
図14は、第1実施形態の第4変形例の冷蔵庫1を示す断面図である。本変形例では、遮蔽部111は、光照射部71から照射された紫外線の少なくとも一部を野菜室11Bに収容される容器(例えば第2野菜室容器44)の内部に向けて反射させる反射部材115を有する。
【0101】
詳しく述べると、反射部材115は、例えば、ダクト部品51の張出部92の前方部分92aの下面(または第1仕切部15の第4部分15d)の下面に取り付けられている。反射部材115は、ガラスフィルムまたはアルミ箔のような紫外線の少なくとも一部を反射可能な素材で形成されている。本実施形態では、反射部材115は、例えば、前方に進むに従い下方に位置するように傾斜して(すなわち前下がりに傾斜して)配置されており、光照射部71から反射部材115に届く紫外線の少なくとも一部を、第2野菜室容器44の後部領域(奥部領域)に向けて反射させる。
【0102】
このような構成によれば、紫外線が照射されにくい第2野菜室容器44の後部領域(奥部領域)にも紫外線を照射することができる。これにより、ウイルスまたは菌の抑制機能のさらなる向上を図ることができる。
【0103】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、ダクト部品51の内部に代えて/加えて、光照射部71が野菜室11Bの天井部S3に設けられた点で、第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態の構成と同様である。
【0104】
図15は、第2実施形態の冷蔵庫1を示す断面図である。第1仕切部15は、野菜室11Bの天井を形成する天井部S3を含む。本実施形態では、光照射部71は、例えば、複数の光源モジュール121,122,123を有する。複数の光源モジュール121,122,123の各々は、回路基板101および紫外線LED102を含む。複数の光源モジュール121,122,123は、天井部S3に設けられている。例えば、複数の光源モジュール121,122,123は、冷蔵庫1の前後方向で互いに異なる位置に配置されている。本実施形態では、複数の光源モジュール121,122,123の各々は、第2野菜室容器44の少なくとも一部の上辺44uよりも上部に位置する。
【0105】
本実施形態では、光源モジュール121は、野菜室11Bに収容された第2野菜室容器44の前端部44aよりも前側に配置されている。すなわち、光源モジュール121は、第1野菜室容器43の収容領域CRの上方に配置されている。光源モジュール121は、天井部S3から第1野菜室容器43の収容領域CRに向けて紫外線を照射する。これにより、収容領域CRの少なくとも一部は、紫外線の照射範囲内にある。また本実施形態では、第2野菜室容器44の前端部44aに設けられた取手Hの少なくとも一部は、光源モジュール121による紫外線の照射範囲内にある。
【0106】
光源モジュール122は、例えば、第1仕切部15の第1部分15aに設けられている。一方で、光源モジュール123は、例えば、第1仕切部15の第5部分15eに設けられている。言い換えると、光源モジュール122,123は、第1仕切部15の最下部である第3部分15cと、傾斜部である第2および第4部分15b,15dとを外れた領域に設けられている。光源モジュール122,123は、天井部S3から第2野菜室容器44の内部に向けて紫外線を照射する。
【0107】
このような構成によれば、野菜室11Bの内部に紫外線を照射することができる。これにより、ウイルスまたは菌の抑制機能の向上を図ることができる。
【0108】
以下、第2実施形態のいくつかの変形例について説明する。なお各変形例で説明する以外の構成については、第2実施形態の構成と同様である。
【0109】
(第2実施形態の第1変形例)
図16は、第2実施形態の第1変形例の冷蔵庫1を示す断面図である。本変形例では、光源モジュール121,122の各々は、鉛直方向に対して後方に傾けて設けられ(すなわち、野菜室11Bの奥側に向かう方向に傾けて設けられ)、鉛直方向に対して後方に向けて紫外線を照射する。このような構成によれば、光源モジュール121,122からの紫外線は、冷蔵庫1の前側(ユーザ側)には照射されにくくなる。これにより、紫外線がユーザの目に入る可能性をより確実に小さくすることができ、ユーザに安心感を提供することができる。
【0110】
(第2実施形態の第2変形例)
図17は、第2実施形態の第2変形例の冷蔵庫1を示す断面図である。本変形例では、光源モジュール121,122の各々は、第1変形例と同様に、鉛直方向に対して後方に傾いて設けられ、鉛直方向に対して後方に向けて紫外線を照射する。本変形例では、光源モジュール123は、鉛直方向に対して前方に傾いて設けられ、鉛直方向に対して前方に向けて紫外線を照射する。このような構成によれば、野菜室11Bの内部により効率的に紫外線を照射することができる。
【0111】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、ダクト部品51の内部に代えて/加えて、光照射部71が野菜室11Bの左側壁部S1または右側壁部S2に設けられた点で、第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態の構成と同様である。
【0112】
図18は、第3実施形態の冷蔵庫1を示す断面図である。
図19は、
図18中に示された冷蔵庫1のF19-F19線に沿う断面図である。本実施形態では、光照射部71は、例えば、複数の光源モジュール131,132,133を有する。複数の光源モジュール131,132,133の各々は、回路基板101および紫外線LED102を含む。複数の光源モジュール131,132,133は、左側壁部S1または右側壁部S2に設けられている。例えば、の光源モジュール131,132,133は、冷蔵庫1の前後方向で互いに異なる位置に配置されている。本実施形態では、光源モジュール131,132,133の各々は、第2野菜室容器44の少なくとも一部の上辺よりも上部に位置する。
【0113】
本実施形態では、光源モジュール131は、野菜室11Bに収容された第2野菜室容器44の前端部44aよりも前側に配置されている。すなわち、光源モジュール131は、第1野菜室容器43の収容領域CRに対応した位置に配置されている。光源モジュール131は、左側壁部S1または右側壁部S2から第1野菜室容器43の収容領域CRに向けて紫外線を照射する。
【0114】
光源モジュール132は、例えば、第1仕切部15の第1部分15aに対応する位置に設けられている。一方で、光源モジュール133は、例えば、第1仕切部15の第5部分15eに対応する位置に設けられている。言い換えると、第2および第3光源モジュール132,133は、第1仕切部15の最下部である第3部分15cと、傾斜部である第2および第4部分15b,15dとは異なる領域に対応する位置に設けられている。第2および第3光源モジュール132,133は、左側壁部S1または右側壁部Sから第2野菜室容器44の内部に向けて紫外線を照射する。
【0115】
このような構成によれば、野菜室11Bの内部に紫外線を照射することができる。これにより、ウイルスまたは菌の抑制機能の向上を図ることができる。
【0116】
(第3実施形態の変形例)
図20は、第3実施形態の変形例の冷蔵庫1を示す断面図である。なお本変形例で説明する以外の構成については、第3実施形態の構成と同様である。本変形例では、光源モジュール131,132の各々は、冷蔵庫1の幅方向に対して後方に傾いて設けられ、冷蔵庫1の幅方向に対して後方に向けて紫外線を照射する。このような構成によれば、光源モジュール131,132からの紫外線は、冷蔵庫1の前側(ユーザ側)には照射されにくくなる。これにより、紫外線がユーザの目に入る可能性をより確実に小さくすることができ、ユーザに安心感を提供することができる。
【0117】
なお、第3実施形態の第3光源モジュール133は、第2実施形態の第2変形例の光源モジュール123と同様に、冷蔵庫1の幅方向に対して前方に傾いて設けられ、冷蔵庫1の幅方向に対して前方に向けて紫外線を照射してもよい。
【0118】
以上、いくつかの実施形態および変形例について説明したが、実施形態および変形例は、上述した例に限定されない。上述した実施形態は、「第2貯蔵室」がチルド室11Aaである例である。ただし、「第2貯蔵室」は、「特別貯蔵室」に限定されず、冷蔵室11Aでもよい。上述した実施形態では、野菜室11Bの天井部S3は、仕切部15により構成されている。ただし、野菜室11Bの天井部S3は、筐体10によって構成されてもよい。
【0119】
1つの観点によれば、第3実施形態において、左側壁部S1および右側壁部S2に設けられる光源モジュール131,132,133は、貯蔵室に収容される容器の上辺よりも上方に配置されることに限定されず、貯蔵室に収容される容器の上辺よりも下方に配置されてもよい。例えば、第2野菜室容器44の前端部44aの取手Hが、ユーザが手を下から入れるタイプの取手H(上側に凹む形状を有した取手H)である場合、光源モジュール131は、取手Hよりも下方に設けられ、取手Hの内部に向けて紫外線を照射してもよい。
【0120】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、冷蔵庫は、貯蔵室に収容される容器の少なくとも一部の上辺よりも上方に配置され、上記上辺が位置する高さにおける上記容器の後端部よりも後方に位置した部分を含み、貯蔵室内にウイルスまたは菌を抑制する効果を有する光を照射する。このような構成によれば、ウイルスまたは菌の抑制機能の向上を図ることができる冷蔵庫を提供することができる。
【0121】
以下、いくつかの冷蔵庫について付記する。
<観点A>
(A1)野菜室として使用可能な貯蔵室を有した筐体と、
前記貯蔵室内に収容された少なくとも1つの容器と、
前記少なくとも1つの容器のうち最上段の容器の少なくとも一部の上辺よりも上方に配置され、前記貯蔵室内にウイルスまたは菌を抑制する効果を有する光を照射する光照射部と、
を備えた冷蔵庫。
(A2)、(A1)に記載の冷蔵庫において、
前記光照射部は、前記冷蔵庫の前後方向で前記最上段の容器よりも後方に配置され、水平方向に対して斜め下方に向けて前記光を照射する。
(A3)、(A1)に記載の冷蔵庫において、
前記光照射部は、前記水平方向に対して45度よりも小さい角度の方向に前記光の照射中心が向くように前記水平方向に対して傾けて設けられている。
(A4)、(A2)または(A3)に記載の冷蔵庫において、
前記光照射部による前記光の照射中心は、前記最上段の容器が前記貯蔵室に収容された状態で、前記冷蔵庫の前後方向における前記最上段の容器の底面の中心よりも前側に設定されている。
(A5)、(A1)から(A4)のうちいずれか1つの冷蔵庫において、
前記筐体は、前記貯蔵室である第1貯蔵室と、前記第1貯蔵室の上方に設けられた第2貯蔵室と、前記第1貯蔵室と前記第2貯蔵室との間に位置した仕切部とを有し、
前記光照射部の少なくとも一部は、前記仕切部の最下部よりも上方に配置されている。
(A6)、(A5)に記載の冷蔵庫において、
前記光照射部は、当該光照射部の少なくとも一部が前記仕切部の最下部よりも上方に配置された状態で、水平方向に対して斜め下方に向けて前記光を照射する。
(A7)、(A5)または(A6)に記載の冷蔵庫において、
前記第2貯蔵室に収容された容器と、
前記光照射部を収容するケースと、をさらに備え、
前記第2貯蔵室に収容された容器の後端部は、上方に向けて傾斜した傾斜部を有し、
前記ケースの少なくとも一部は、鉛直方向で前記傾斜部と重なる位置に配置され、前記仕切部の最下部よりも上方に配置されている。
(A8)、(A1)に記載の冷蔵庫において、
前記筐体または前記筐体内に設けられた仕切部は、前記貯蔵室の天井部を有し、
前記光照射部は、前記天井部に設けられている。
(A9)、(A1)に記載の冷蔵庫において、
前記筐体は、前記貯蔵室の側壁部を有し、
前記光照射部は、前記側壁部に設けられている。
(A10)、(A8)または(A9)に記載の冷蔵庫において、
前記光照射部は、鉛直方向または前記冷蔵庫の幅方向に対して、前記冷蔵庫の前側から奥側に向かう方向に傾いて前記光を照射する。
(A11)、(A8)から(A10)のうちいずれか1つの冷蔵庫において、
前記少なくとも1つの容器は、第1容器と、前記第1容器の上方に配置される第2容器とを含み、前記第2容器は、前記最上段の容器であり、
前記第2容器の前端部は、取手を有し、
前記取手の少なくとも一部は、前記光照射部による前記光の照射範囲内にある。
(A12)、(A8)から(A11)のうちいずれか1つの冷蔵庫において、
前記少なくとも1つの容器は、第1容器と、前記第1容器の上方に配置される第2容器とを含み、前記第2容器は、前記最上段の容器であり、
前記冷蔵庫の前後方向において、前記第1容器および前記第2容器が前記貯蔵室に収容された状態で、前記第2容器の前端部は、前記第1容器の前端部よりも後方に位置し、
前記第1容器の内部おいて前記第1容器の前端部に隣接する収容領域の少なくとも一部は、前記光照射部による前記光の照射範囲内にある。
【0122】
<観点B>
(B1)貯蔵室を有した筐体と、
前記貯蔵室内にウイルスまたは菌を抑制する効果を有する光を照射する光照射部と、
前記筐体内で前記光照射部による前記光の照射範囲の一部を遮蔽する遮蔽部と、
を備えた冷蔵庫。
(B2)、(B1)に記載の冷蔵庫において、
前記遮蔽部は、前記光の照射範囲の上側部分の少なくとも一部を遮蔽する。
(B3)、(B1)または(B2)に記載の冷蔵庫において、
前記貯蔵室を開閉可能に閉じる扉本体を含む引出扉をさらに備え、
前記遮蔽部は、前記貯蔵室に対して前記引出扉が最大限に引き出された状態で、前記扉本体に対する前記光の照射範囲の上端が前記扉本体の上端よりも低くなるように、前記光の照射範囲の上側部分の少なくとも一部を遮蔽する。
(B4)、(B1)から(B3)のうちいずれか1つの冷蔵庫において、
前記光照射部は、前記光を照射する光源と、前記光源が実装された基板とを含み、
前記遮蔽部の少なくとも一部は、前記光源よりも下方に位置する。
(B5)、(B1)から(B4)のうちいずれか1つの冷蔵庫において、
前記筐体は、前記貯蔵室である第1貯蔵室と、前記第1貯蔵室の上方に設けられた第2貯蔵室と、前記第1貯蔵室と前記第2貯蔵室との間に位置した仕切部とを有し、
前記遮蔽部の少なくとも一部は、前記仕切部により形成されている。
(B6)、(B1)から(B5)のうちいずれか1つの冷蔵庫において、
前記筐体内に設けられ、内部を冷気が流れるダクト部品をさらに備え、
前記遮蔽部の少なくとも一部は、前記ダクト部品により形成されている。
(B7)、(B1)から(B6)のうちいずれか1つの冷蔵庫において、
前記貯蔵室に収容された容器をさらに備え、
前記遮蔽部は、前記容器の上方に設けられている。
(B8)、(B1)から(B7)のうちいずれか1つの冷蔵庫において、
前記貯蔵室に収容された容器をさらに備え、
前記遮蔽部は、前記光照射部から照射された前記光の少なくとも一部を前記容器の内部に向けて反射させる反射部材を有する。
【0123】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0124】
1…冷蔵庫、10…筐体、11Aa…チルド室(第2貯蔵室)、11B…野菜室(貯蔵室、第1貯蔵室)、20B…野菜室扉、21…扉本体、43…第1野菜室容器(第1容器)、44…第2野菜室容器(第2用域)、51…ダクト部品、70…光照射ユニット、71…光照射部、72…ケース(カバー)、111…遮蔽部、H…取手。