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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】半導体装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20231011BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20231011BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20231011BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20231011BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L21/78 Q
H01L23/12 501Z
H01L23/30 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021196366
(22)【出願日】2021-12-02
(62)【分割の表示】P 2017548674の分割
【原出願日】2016-09-28
(65)【公開番号】P2022019935
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】P 2015217638
(32)【優先日】2015-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】岸田 栄一郎
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-040672(JP,A)
【文献】特開2011-100903(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0025710(US,A1)
【文献】特開2012-169556(JP,A)
【文献】特開2009-206253(JP,A)
【文献】特開2010-056292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 23/12
H01L 23/29
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップサイズパッケージングで作製された半導体素子と、
前記半導体素子の光学素子形成面を覆うように接着剤で接着された透光材と、
前記半導体素子と前記透光材の層構造が露出した側面全体を覆う側面保護樹脂と、を備え、
前記接着剤により形成された接着層を間に挟んで前記半導体素子と前記透光材を積層した部分を主構造体とし、
前記透光材は、上面の全体を露出させて前記主構造体の上面とするものであり、
前記側面保護樹脂は、前記主構造体の側面の全体を覆う略均一な厚みの部分と、前記略均一な厚みの部分と同じ厚みで前記透光材の上面よりも上方に延設されて平坦な上端面をなす突出部と、を有
前記透光材の上面及び前記上端面を装置の上面とする
半導体装置。
【請求項2】
前記側面保護樹脂は、前記接着剤により形成される接着層に比べて透湿性及び透水性が低い樹脂で形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記側面保護樹脂は、前記透光材の表面に沿って庇状に延設された庇状部を有し、
当該庇状部は、前記光学素子形成面の非受光領域又は非発光領域を覆うように形成されている、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
チップサイズパッケージングで作製された半導体素子と、
前記半導体素子の光学素子形成面を覆うように接着剤で接着された透光材と、
前記半導体素子と前記透光材の層構造が露出した側面全体を覆う側面保護樹脂と、を有し、
前記接着剤により形成された接着層を間に挟んで前記半導体素子と前記透光材を積層した部分を主構造体とし、
前記透光材は、上面の全体を露出させて前記主構造体の上面とするものであり、
前記側面保護樹脂は、前記主構造体の側面の全体を覆う略均一な厚みの部分と、前記略均一な厚みの部分と同じ厚みで前記透光材の上面よりも上方に延設されて平坦な上端面をなす突出部と、を有
前記透光材の上面及び前記上端面を装置の上面とする
半導体装置を備える、電子機器。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、半導体装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体基板やウェハに再配線や保護膜,端子の形成を行った後に個片化するチップサイズパッケージ(CSP)が知られており、特にウェハについて同様の工程で作製されたものをウェハレベルチップサイズパッケージ(WCSP)と呼ぶ。CPSで作製された半導体装置は、半導体素子と略同等のサイズで実現できるため、小型化、薄型化、軽量化等のメリットがある。
【0003】
CSPにより作製される固体撮像装置は、固体撮像素子の受光素子が形成された側面を覆うように平坦な透明板が接着剤を用いて接着した後、切削器具で切断して個片化される。透明板の接着に用いられる接着剤は透明であり、固体撮像素子の全面を接着してもよいし、受光素子の外側を囲うように接着してもよい。
【0004】
ここで、特許文献1において、接着剤の界面を通って侵入する水分が、受光素子と透明板の間に設ける空間に到達すると、固体撮像装置の画像に悪影響を及ぼす問題が指摘されている。
【0005】
特許文献1では、センサ部が設けられた半導体基板の表面に接着シートを介してガラス等の透光材から成る支持体を取付ける一方、半導体装置の裏面に絶縁膜とソルダ―レジストを順に積層させた半導体チップが開示されている。当該半導体チップの裏面の絶縁膜とソルダ―レジストの積層構造は、半導体チップの裏面から側面へ回り込むように、半導体チップの側面の透光材の途中まで、絶縁膜とソルダ―レジストの積層構造を延設して、センサ部の上に形成されるエアギャップへの水分侵入を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-238729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1の技術は、半導体チップの側面に現れる接着シートの層を絶縁膜とソルダ―レジストの2層構造で覆うことにより、半導体チップの側面に略垂直に侵入する水や湿気を阻止する構成になっている。しかしながら、特許文献1に記載の半導体チップの側面を覆う絶縁膜とソルダ―レジストの2層構造は、透光材の途中までしか設けられていない。このため、水や湿気が絶縁膜の界面を通って接着シートに到達する可能性があった。
【0008】
また、特許文献1の半導体チップは、透光材(支持体)上に接着シートを介して半導体基板を載置接着し、グリッドラインに沿って半導体基板と接着シートを切断し、半導体基板の底面及び切断溝の内壁面に沿って絶縁膜を形成し、エッチングにより不要個所の絶縁膜を除去し、再配線等の工程を経た後、半導体基板の裏面全体及び切断溝の内壁面を覆うソルダーレジストを形成し、不要個所のソルダ―レジストを除去し、最後に切断溝の中央部に沿って透光材を含めて切断して個片化することにより作製される。このため、側面保護の形成に精密複雑な製造工程が必要になっていた。
【0009】
また、上述した課題は、受光素子を有する固体撮像装置としての半導体装置のみならず、発光素子を有する半導体装置においても同様に存在する。その他、CSPで作製される半導体装置が受光素子や発光素子等の光学素子を有する場合は、切断により積層構造が露出した側面から入射する光によるフレア、ゴーストの問題もある。
【0010】
本技術は、前記課題に鑑みてなされたもので、光学素子形成面に接着剤を介して透光材を積層された半導体装置における光の入射/出射環境の悪化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本技術の態様の1つは、チップサイズパッケージングで作製された半導体素子と、半導体素子の光学素子形成面を覆うように接着剤で接着された透光材と、前記半導体素子と前記透光材の層構造が露出した側面全体を覆う側面保護樹脂と、を備え、前記側面保護樹脂の分光透過率は、波長300~1200nmにおいて5%以下である、半導体装置である。
【0012】
本技術の他の態様の1つは、チップサイズパッケージングで複数の半導体素子を形成された半導体基板と、前記半導体素子の光学素子形成面を覆うように前記半導体基板に透光材を接着剤で接着してワークを形成するワーク形成工程と、前記ワークをダイシングシートに固定した状態で複数の半導体素子の主構造体に個片化する第1切削工程と、前記ダイシングシートに固定された複数の前記主構造体の隙間の第1溝に樹脂を充填硬化させて複数の前記主構造体を再連結する再連結工程と、前記第1溝の略中央に沿って前記第1溝より狭い第2溝を形成して、複数の前記主構造体の側面に前記樹脂を残しつつ複数の半導体装置として個片化する第2切削工程と、を含んで構成される半導体装置の製造方法である。
【0013】
本技術の他の態様の1つは、チップサイズパッケージングで複数の半導体素子を形成された半導体基板と、前記半導体素子の光学素子形成面を覆うように前記半導体基板に透光材を接着剤で接着してワークを形成するワーク形成工程と、前記透光材の側から前記半導体素子の境界に沿ってV字溝を形成するV字溝形成工程と、前記ワークをダイシングシートに固定した状態で前記V字溝の先端に沿って切断して複数の半導体素子の主構造体に個片化する第1切削工程と、前記ダイシングシートに固定された複数の前記主構造体の隙間の第1溝及び前記V字溝に樹脂を充填硬化させて複数の前記主構造体を再連結する再連結工程と、前記第1溝の略中央に沿って前記第1溝より狭い第2溝を形成して、複数の前記主構造体の側面に前記樹脂を残しつつ複数の半導体装置として個片化する第2切削工程と、を含んで構成される半導体装置の製造方法である。
【0014】
本技術の他の態様の1つは、チップサイズパッケージングで作製された半導体素子と、半導体素子の光学素子形成面を覆うように接着剤で接着された透光材と、前記半導体素子と前記透光材の層構造が露出した側面全体を覆う側面保護樹脂と、を有し、前記側面保護樹脂の分光透過率は、波長300~1200nmにおいて5%以下である、半導体装置を備える、電子機器である。
【0015】
なお、以上説明した半導体装置や電子機器は、他の機器に組み込まれた状態で実施されたり他の方法とともに実施されたりする等の各種の態様を含む。また、上述した半導体装置の製造方法は、他の製造方法の一環として実施されたり、製造方法の各工程に対応する手段を備えた製造装置や当該製造装置を制御するための制御プログラムとして実現されたりする等の各種の態様を含む。
【発明の効果】
【0016】
本技術によれば、光学素子形成面に接着剤を介して透光材を積層された半導体装置における光の入射/出射環境の悪化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態に係る半導体装置の模式的な断面構成を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
図3】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
図4】部分マスクを用いた第1溝への液状樹脂の充填を説明する図である。
図5】部分マスクを用いた第1溝への液状樹脂の充填を説明する図である。
図6】第2の実施形態に係る半導体装置の模式的な断面構成を示す図である。
図7】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
図8】第3の実施形態に係る半導体装置の模式的な断面構成を示す図である。
図9】第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
図10】第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
図11】撮像装置の一例の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、下記の順序に従って本技術を説明する。
(A)第1の実施形態:
(B)第2の実施形態:
(C)第3の実施形態:
(D)電子機器の一例:
【0019】
(A)第1の実施形態:
本実施形態に係る半導体装置100は、チップサイズパッケージング(CSP)で作製された半導体素子10と、半導体素子10の光学素子形成面を覆うように接着剤で接着された透光材20と、半導体素子10と透光材20の層構造が露出した側面全体を覆う側面保護樹脂50と、を備えている。なお、チップサイズパッケージング(CSP)には、ウェハレベルチップサイズパッケージ(WCSP)が含まれる。
【0020】
図1は、本実施形態に係る半導体装置100の模式的な断面構成を示す図である。
【0021】
半導体素子10は、平面視、略矩形の薄板状の素子であり、一方の面である光学素子形成面11には複数の光学素子が形成され、他方の面である端子形成面12には実装基板との接続端子が形成されている。光学素子形成面11に形成される光学素子としては、フォトダイオード、フォトトランジスタなどの受光素子、あるいはCCD(Charge-Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)で代表されるイメージセンサ(固体撮像素子)、さらには発光ダイオードなどの発光素子などがある。以下では、光学素子形成面11に受光素子が形成された固体撮像素子としての半導体素子10を例に取り説明を行う。
【0022】
半導体素子10の光学素子形成面11は、必要光領域としての受光領域R1と、不要光領域としての非受光領域R2と、を有する。受光領域R1には、透光材20を透過して入射する外部光を受光する受光素子が複数配設されており、非受光領域R2には、外部光を受光する受光素子が配設されていない。受光領域R1は光学素子形成面11の縁部から離れた範囲に形成され、非受光領域R2は受光領域R1の周囲に光学素子形成面11の縁部に沿って形成されている。
【0023】
透光材20は、透明な光学ガラス等で構成されており、半導体素子10の光学素子形成面に対して接着剤で接着されている。これにより、半導体素子10と透光材20の間には、接着剤が固化した接着層30が形成されている。なお、透光材20には、光学ガラスの上に反射防止膜や赤外線カット膜を積層する等して反射防止機能や赤外線カット機能を持たせてもよい。
【0024】
接着層30は、光学素子形成面11と透光材20の間の全面に亘って形成してもよいし、光学素子形成面11と透光材20の間の非受光領域R2の範囲にだけ形成してもよい。図1には、前者の場合を例示してある。光学素子形成面11の全体に接着層30を形成する場合、接着層30は透明な接着剤で形成する。
【0025】
接着層30は、半導体装置100の仕様に応じた耐熱性、耐湿性、耐光性、耐薬品性を備え、屈折率が1.48~1.6、透過率が90%以上の材料である。
【0026】
半導体装置100は、上述した接着層30を間に挟んで半導体素子10と透光材20を積層した部分が主構造体Mとなり、この主構造体Mの側面には、積層方向に沿う方向に切断して形成された切断面CFが形成されている。この切断面CFの全体(透光材20の上面から半導体素子10の下面の範囲)を側方から覆うように樹脂で側面保護樹脂50が設けられている。側面保護樹脂50は、半導体素子10及び透光材20に対向する面(切断面CFに対向する面)からその反対側の面(半導体装置100の側面)までの厚みdが、半導体素子10及び透光材20の積層方向の全体に亘って一定に形成されている。
【0027】
側面保護樹脂50を形成する樹脂は、可視光や紫外光の吸収体であることが望ましく、例えば黒色等の不透明樹脂で形成される。また、側面保護樹脂50の分光透過率は、波長300~1200nmにおいて5%以下とし、より好ましくは1%以下とする。このような樹脂としては、例えばカーボンを含有したエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂等がある。
【0028】
また、側面保護樹脂50は、接着剤により形成される接着層30に比べて透湿性及び透水性が低い樹脂で形成されている。このような側面保護樹脂50と接着層30の樹脂の組み合わせとしては、接着層30の樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂等があり、側面保護樹脂50の樹脂としては、例えばカーボンを含有したエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂等がある。
【0029】
側面保護樹脂50は、主構造体Mに対面しない側の側面51が半導体装置100の側面として外部に露出しているが、この側面51は切削器具により切断されて形成された側面である。このため、側面51には、全体的に切削器具の種類に応じた切断痕が残っている。切削器具としては、ダイシングブレード、レーザー切断機、超音波切断機、ワイヤーソー、ウォータージェット、等がある。
【0030】
その他、半導体素子10の端子形成面12には、実装基板との接続端子となる不図示の金属パッドが複数形成されており、金属パッド上に半田バンプ40が形成されている。なお、半田バンプ40は設けない場合もある。また、半導体素子10では、表面と裏面の間を貫通する不図示の貫通電極及び配線により、表面の光学素子の周囲に形成された不図示の電極パッドと端子形成面12の金属パッドとの間を電気的に接続している。半導体素子10の光学素子形成面11には、受光素子の上にカラーフィルタとマイクロレンズを順次に積層して形成してある。
【0031】
次に、図2図3を参照しつつ、上述した半導体装置100の製造方法を説明する。なお、以下では側面保護樹脂50の形成方法について説明を行うものとし、個片化前の複数の半導体装置100をウェハ上にCSPにより作製する工程については、公知の各種手法及び今後開発される各種手法を適宜に採用可能である。
【0032】
図2(a)には、複数の半導体素子10が形成された個片化前のウェハの上に透光材20としてのシート状のガラスを接着剤で接着して、切断前の互いに連続的に形成された複数の主構造体Mを有するワークWを示してある。
【0033】
本製造方法では、まず、図2(b)に示すように、ワークWを半導体素子10の端子形成面12を上に向けて配置し、半導体素子10の端子形成面12に保護部材PSを貼着する。保護部材PSは、ワークWの底面に密着して回路面を異物から保護し、バックグラインド時やダイシング時の破損から守るものであり、例えば切断用の半導体ウェハ製造プロセス用テープを用いることができる。
【0034】
次に、図2(c)に示すように、ワークWをダイシングシートDS上に載置し、透光材20の上面をダイシングシートDSに貼着する。ダイシングシートDSは、後述するワークWを切断する際、又は、切断した後において、個片化された主構造体Mや半導体装置100の相対位置関係が変動しないように固定する。
【0035】
次に、図2(d)に示すように、ダイシングブレード等の第1切削器具CD1を用いて、ワークWを第1切削幅w1でダイシングラインに沿って切断して複数の主構造体Mに個片化する。このとき、第1切削器具CD1は、ワークWについては完全に切り離しつつダイシングシートDSを切り離さないように切断する。これにより、複数の主構造体Mは、切断前の相対位置関係を保ちつつダイシングシートDS上に固定された状態で個片化される。すなわち、ダイシングシートDS上の複数の主構造体Mの間には、ダイシングシートDSを底とし、主構造体Mの側壁である切断面CFを側壁とする幅w1の第1溝T1が形成される。
【0036】
次に、図3(e)に示すように、マスクMKを用いて第1溝T1に液状樹脂LPを注入する。ここで使用するマスクMKは、ワークW全体を一括して覆うマスクではなく、ワークWを部分的に覆う部分マスクを使用する。いずれの部分マスクも、例えば図4に示すように、マスク開口の縦横サイズh、wが、第1溝T1を挟んで隣接配置した状態で形成される4つの主構造体Mが占める縦横サイズh0、w0以下となる。
【0037】
図4図5は、部分マスクを用いた第1溝T1への液状樹脂LPの充填を説明する図である。なお、液状樹脂LPとしては、硬化後の固形樹脂SPが黒色等の不透明になる樹脂であり、分光透過率が、波長300~1200nmにおいて5%以下、より好ましくは1%以下の樹脂である。
【0038】
図4図5には、複数種類の部分マスクMK1~MK3を用いる場合を示してある。すなわち、図4(a)に示すように、第1部分マスクMK1は十字型のマスク開口H1を有し、第2部分マスクMK2は上下方向に延びる縦直線状のマスク開口H2を有し、第3部分マスクMK3は左右方向に延びる横直線状のマスク開口H3を有する。図4(b)に示すワークWは、図2(d)に示す工程により切断されて第1溝T1を形成されており、格子状に形成された第1溝T1を挟んで複数の主構造体Mがマトリクス状に配列された状態である。
【0039】
第1部分マスクMK1は、図5(a)に示すように、第1溝T1の交差部への液状樹脂LPの充填に用いる。第2部分マスクMK2は、図5(b)に示すように、第1溝T1の交差部の間で上下方向に延びる第1溝T1への液状樹脂LPの充填に用いる。第3部分マスクMK3は、図5(c)に示すように、第1溝T1の交差部の間で左右方向に延びる第1溝T1への液状樹脂LPの充填に用いる。
【0040】
部分マスクMK1~MK3を適宜に使い分けて第1溝T1へ液状樹脂LPを充填することで、格子状に形成される第1溝T1全体に液状樹脂LPを充填することができる。第1溝T1に充填する液状樹脂LPとしては、UV(紫外線)硬化型樹脂、熱硬化型樹脂等の後処理によって硬化させることが可能な樹脂を用いる。なお、部分マスクの形状は、部分マスクMK1~MK3の形状組み合わせに限るものではなく、複数の部分マスクの開口パターンの組み合わせによって第1溝T1の形状を公約数的に漏れなく表現可能であれば、様々な形状の組み合わせを採用可能である。
【0041】
次に、図3(f)に示すように、UV照射、加熱等を行って、第1溝T1に充填した液状樹脂LPを硬化させる。これにより、複数の主構造体Mに分断されていたワークWが固形樹脂SPにより連結されて再連結ワークW’として一体化される。なお、第1溝T1の充填に熱硬化型樹脂を用いる場合は、耐熱仕様のダイシングシートDSや保護部材PSを用い、第1溝T1の充填にUV硬化型樹脂を用いる場合は、耐UV仕様のダイシングシートDSや保護部材PSを用いる。固形樹脂SPは、可視光や紫外光の吸収体であることが望ましく、例えば黒色等の不透明樹脂で形成される。また、固形樹脂SPの分光透過率は、波長300~1200nmにおいて5%以下とし、より好ましくは1%以下とする。このような樹脂としては、例えばカーボンを含有したエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂等がある。
【0042】
次に、図3(g)に示すように、ダイシングブレード等の第2切削器具CD2を用いて、再連結ワークW’を第2切削幅w2でダイシングラインに沿って切断して複数の半導体装置100に個片化する。第2切削器具CD2の第2切削幅w2は、第1切削器具CD1の第1切削幅w1よりも幅狭であり、第2切削器具CD2により形成される第2溝T2の幅w2は、第1溝T1の幅w1より幅狭となる。第2切削器具CD2は、第1溝T1に充填硬化された固形樹脂SPを、各主構造体Mの側面に固形樹脂SPが残存するように、第1溝T1の延びる方向に沿って切断して第2溝T2を形成する。なお、主構造体Mの全て側面で均一な厚みの側面保護樹脂50が形成されるようにするためには、第1溝T1の延びる方向に沿って溝の幅方向の略中央を切断する。更に具体的には、WCSPで作製された半導体装置100を個片化する際は、第1溝T1の溝幅w1は第2溝T2の溝幅w2の2倍以上とすることが望ましく、更に具体的には、第2溝T2の幅は50μm以下で形成することが望ましい。
【0043】
この第2切削器具CD2を用いた切断においても、第2切削器具CD2が再連結ワークW’を完全に切り離しつつダイシングシートDSを切り離さないように切断する。これにより、複数の半導体装置100は、切断前の位置関係を相対的に保ちつつダイシングシートDS上で個片化される。すなわち、ダイシングシートDS上の複数の半導体装置100の間に、ダイシングシートDSを底とし、半導体装置100の側面51を側壁とする幅w2の第2溝T2が形成される。
【0044】
このように、第1切削幅w1よりも狭い第2切削幅w2で第1溝T1内の固形樹脂SPを切削しつつ主構造体Mの側面に固形樹脂SPを残して半導体装置100に個片化するため、主構造体Mの切断面CFが略均一な厚みの側面保護樹脂50で覆われた半導体装置100が作製される。また、半導体装置100の側面保護樹脂50の側面51は、第2切削器具CD2で切削された切削痕を有することになる。
【0045】
最後に、ダイシングシートDSから個片化された半導体装置100を分離することにより、図1に示す半導体装置100が複数作製される。以上の製造方法により作製された半導体装置100は、半導体素子10と透光材20とを接着層30によって接着した層構造が露出した側面全体が側面保護樹脂50によって覆われた構造となり、その側面保護樹脂50の側面51全体に第2切削器具CD2による切断痕を有する。また、側面保護樹脂50は、接着剤により形成される接着層30に比べて透湿性及び透水性が低く、黒色等の不透明な樹脂で形成される。
【0046】
(B)第2の実施形態:
図6は、本実施形態に係る半導体装置200の模式的な断面構成を示す図である。なお、半導体装置200は、側面保護樹脂の形状を除くと半導体装置100と同様の構成であるため、側面保護樹脂以外の構成については半導体装置100と同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0047】
半導体装置200は、主構造体Mの側面に露出する切断面CFの全体(透光材20の上面から半導体素子10の下面の範囲)を側方から覆うように樹脂で側面保護樹脂250が設けられており、しかも、側面保護樹脂250は、透光材20よりも上方に突出量d3だけ延設された突出部252を有している。
【0048】
突出部252の上端面は略平坦に形成されており、この上端面を基準面として他の部材を載置可能である。突出部252に載置する部材としては、例えば、半導体装置200が固体撮像装置の場合、受光領域R1に外部光を集光するレンズ筐体や、レンズ及びレンズ駆動部としてのモーターを一体化したレンズモジュール等が例示される。突出部252の突出量d3は、突出部252に載置する部材の光学長やその他必要な距離に合わせて適宜に選択される。
【0049】
このように、側面保護樹脂250に突出部252を設けて、他の部材を載置可能にすることで、本半導体装置200を搭載する電子機器の全体サイズを小型化することができる。
【0050】
半導体装置200の製造方法は、基本的には、図2図3に示す半導体装置100の製造方法と同様であるが、使用するダイシングシートDSの厚みと図2(d)に示す第1切削器具CD1を用いた切断深さ、及び、これに伴う充填樹脂の形状において相違する。
【0051】
すなわち、図7に示すように、突出部252の突出量d3を考慮して、この突出量d3よりも厚いダイシングシートDS’を用いる。そして、第1切削器具CD1を用いた溝の形成時に、第1溝T1と同じ幅w1、且つ、第1溝T1よりも深さ方向に深さd3だけ長い第1溝T1’を形成する。
【0052】
これにより、第1溝T1に液状樹脂LPを充填する際に、ダイシングシートDSを切削して形成した部位にも液状樹脂LPが充填され、熱または紫外線の照射により、第1溝T1’の液状樹脂LPを硬化した固形樹脂SPが形成される。このようにして形成された固形樹脂SPを第2切削器具CD2で切り離すことにより、突出部252が一体形成された側面保護樹脂250を主構造体Mの側面の切断面CFを覆うように形成することができる。
【0053】
(C)第3の実施形態:
図8は、本実施形態に係る半導体装置300の模式的な断面構成を示す図である。半導体装置300は、側面保護樹脂が透光材20の表面付近で主構造体Mの側に庇状に張り出して形成されており透光材20の縁部を側面保護樹脂が覆う形状である点で上述した半導体装置100と相違する。なお、この構造を除くと半導体装置300は半導体装置100とほぼ同様の構成であり、半導体装置100と共通又は対応する構成については、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0054】
半導体装置300の主構造体M’は、半導体装置100の主構造体Mの上面の縁部の角が斜めにカットして斜面SFを形成した形状である。斜面SFと透光材20表面との角部E1は、非受光領域R2の範囲内において、透光材20表面に主構造体M’の縁に沿って形成される。斜面SFと主構造体M’の切断面CFとの角部E2は、透光材20の上面と半導体素子10の表面との間である透光領域R3の範囲内において、主構造体M’の側面に主構造体M’の上縁に沿って形成される。
【0055】
このような斜面SFを設けることにより、主構造体M’の側面には、その下部において、積層方向に沿う方向に切断して形成された切断面CFが露出し、その上部において、角を斜めに切断して形成された斜面SFが露出する。これら露出する切断面CFと斜面SFは、いずれも側面保護樹脂350によって覆われる。側面保護樹脂350は、斜面SFの露出範囲も含めて、全体的に切断面CFからの厚みdが略一定となるように形成されており、図8に示す半導体装置300の断面が略矩形になっている。
【0056】
以下、図9図10を参照しつつ、上述した半導体装置300の製造方法を説明する。なお、以下では側面保護樹脂350の形成方法について説明を行うものとし、個片化前の複数の半導体装置300をウェハ上にCSPにより作製する工程については、公知の各種手法及び今後開発される各種手法を適宜に採用可能である。
【0057】
図9(a)には、複数の半導体素子10が形成された個片化前のウェハの上に透光材20としてのシート状のガラスを接着剤で接着した、切断前の互いに連続的に形成された複数の主構造体M’を有するワークWを示してある。
【0058】
本製造方法では、まず、図9(b)に示すように、ワークWを半導体素子10の端子形成面12を下に向けて配置し、ワークWをダイシングシートDS上に載置し、端子形成面12をダイシングシートDSに貼着する。ダイシングシートDSは、後述するワークWを切断する際、又は、切断した後において、個片化された主構造体M’や半導体装置100の相対位置関係が変動しないように固定する。
【0059】
次に、図9(c)に示すように、ダイシングブレード等の第3切削器具CD3を用いて、ワークWに互いに隣接形成されている分離前の主構造体M’の斜面SFを形成する。図9に示す第3切削器具CD3は、切削対象に当接する切削部がV字状に突出した尖端の断面形状を有する。この尖端をワークWのダイシングラインに沿うように移動させつつ、第3切削器具CDの尖端が透光領域R3の範囲内で一定深さまで到達するように、透光材20の側からワークWを切削する。これにより、ワークWには、ダイシングラインに沿って断面V字の第4溝T4が形成される。
【0060】
次に、図9(d)に示すように、ダイシングブレード等の第1切削器具CD1を用いて、ワークWを第1切削幅w1でダイシングラインに沿って切断して複数の主構造体M’に個片化する。このとき、ワークWについては第1切削器具CD1が完全に切り離しつつダイシングシートDSを切り離さないように切断する。これにより、複数の主構造体M’は、切断前の相対位置関係を保ちつつダイシングシートDS上で個片化される。すなわち、ダイシングシートDS上の複数の主構造体M’の間には、ダイシングシートDSを底とし、主構造体M’の側壁である切断面CFを側壁とする幅w1の第1溝T1’が形成される。また、上述した第4溝T4は、V字溝の尖端に沿って左右に分断され、V字の各斜面が上述した斜面SFとなる。
【0061】
次に、図10(e)に示すように、マスクMK’を用いて第1溝T1’及び第4溝T4に液状樹脂LPを注入する。マスクMK’は、上述した第1実施形態のマスクMKと基本的に同様の形状を有しており、ワークW全体を一括して覆うマスクではなくワークWを部分的に覆う部分マスクを使用する。ただし、その開口幅は、斜面SFの開口幅が広くなる分だけ広く形成される。
【0062】
次に、図10(f)に示すように、UV照射、加熱等を行って、第1溝T1’及び第4溝T4に充填した液状樹脂LPを硬化させる。これにより、複数の主構造体M’に分断されていたワークWが固形樹脂SP’により連結されて再連結ワークW”として一体化される。なお、樹脂の特性、ダイシングシートDSの特性については、上述した第1実施形態と同様である。
【0063】
次に、図10(g)に示すように、ダイシングブレード等の第2切削器具CD2を用いて、再連結ワークW”を第2切削幅w2でダイシングラインに沿って切断して複数の半導体装置300に個片化する。第2切削器具CD2の形状は、上述した第1実施形態と同様である。第2切削器具CD2は、第1溝T1’及び第4溝T4に充填硬化された固形樹脂SP’を、各主構造体M’の側面に固形樹脂SP’が残存するように、第1溝T1の延びる方向に沿って切断して第2溝T2’を形成する。なお、主構造体M’の下部側面で均一な厚みの側面保護樹脂350が形成されるようにするためには、第1溝T1’の延びる方向に沿って溝の幅方向の略中央を切断する。更に具体的には、WCSPで作製された半導体装置300を個片化する際は、第1溝T1’の溝幅w1は第2溝T2’の溝幅w2の2倍以上とすることが望ましく、更に具体的には、第2溝T2’の幅は50μm以下で形成することが望ましい。
【0064】
この第2切削器具CD2を用いた切断においても、第2切削器具CD2が再連結ワークW”を完全に切り離しつつダイシングシートDSを切り離さないように切断する。これにより、複数の半導体装置300は、切断前の位置関係を相対的に保ちつつダイシングシートDS上で個片化される。すなわち、ダイシングシートDS上の複数の半導体装置300の間に、ダイシングシートDSを底とし、半導体装置300の側面51を側壁とする幅w2の第2溝T2’が形成される。
【0065】
このように、第1切削幅w1よりも狭い第2切削幅w2で第1溝T1内の固形樹脂SPを切削しつつ主構造体M’の側面に固形樹脂SPを残して半導体装置300に個片化するため、主構造体M’の切断面CFの下部が略均一な厚みの側面保護樹脂350で覆われ、主構造体M’の側面上部が透光材20の表面付近で主構造体M”の側に張り出して透光材20の縁部を側面保護樹脂350が覆う半導体装置300が作製される。また、半導体装置300の側面保護樹脂350の側面351は、第2切削器具CD2で切削された切削痕を有することになる。
【0066】
最後に、ダイシングシートDSから個片化された半導体装置300を分離することにより、図8に示す半導体装置300が複数作製される。以上の製造方法により作製された半導体装置300は、半導体素子10と透光材20とを接着層30によって接着した層構造が露出した側面全体が側面保護樹脂350によって覆われた構造となり、その側面保護樹脂350の側面51全体に第2切削器具CD2による切断痕を有する。また、側面保護樹脂350は、接着剤により形成される接着層30に比べて透湿性及び透水性が低く、黒色等の不透明な樹脂で形成されている。しかも、側面保護樹脂350が非受光領域R2の範囲内で庇状に張り出した形状を有するため、光学特性が更に良好になる。
【0067】
(D)電子機器の一例:
図11は、上述した各実施形態に係る半導体装置を搭載した電子機器の一例としての撮像装置600の一例の概略構成を示すブロック図である。撮像装置600は、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、カメラ付き携帯電話等である。
【0068】
撮像装置600は、モジュール500、カメラ信号処理部610と、画像処理部620、表示部630、リーダ/ライタ640、演算処理部650、操作入力部660、及びレンズ駆動制御部670を備えている。
【0069】
モジュール500は、撮像機能を担う構成要素であり、撮像レンズとしてのレンズを含む光学系530、CCD(Charge Coupled Devices)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子540とを有している。この撮像素子540が上述した半導体装置に相当する。撮像素子540は、光学系530が形成する光学像を電気信号に変換し、光学像に応じた撮像信号(画像信号)を出力する。
【0070】
カメラ信号処理部610は、撮像素子540が出力する画像信号に対してアナログ/デジタル変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の各種の信号処理を行う。
【0071】
画像処理部620は、画像信号の記録再生処理を行うものであり、所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデータ仕様の変換処理等を行う。
【0072】
表示部630は、操作入力部660に対する操作入力に応じた表示や撮影した画像等の各種のデータを表示する機能を有している。
【0073】
リーダ/ライタ640は、メモリーカード等の外部記憶媒体に対するデータ書き込み及び外部記憶媒体からのデータ読み出しを行うものであり、例えば、画像処理部620が符号化した画像データを外部記憶媒体へ書き込んだり、外部記憶媒体が記憶する画像データを読み出して画像処理部620へ出力したりする。
【0074】
演算処理部650は、撮像装置600の各回路ブロックを制御する制御部として機能する構成要素であり、操作入力部660からの操作入力信号等に基づいて各回路ブロックを制御する。演算処理部650からの制御信号に基づいて、モジュール500の駆動ドライバはレンズを駆動する駆動モーター等を制御する。
【0075】
操作入力部660は、ユーザが所要の操作を行うためのスイッチやタッチパネル等からなり、例えば、シャッタ操作を行うためのシャッタレリーズ操作要素や、動作モードを選択するための選択操作要素等によって構成され、ユーザが行った操作入力に応じた操作入力信号を演算処理部650に出力する。
【0076】
なお、本技術は上述した各実施形態に限られず、上述した各実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した各実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も含まれる。また,本技術の技術的範囲は上述した各実施形態に限定されず,特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【0077】
そして、本技術は、以下のような構成を取ることができる。
【0078】
(1)
チップサイズパッケージングで作製された半導体素子と、
半導体素子の光学素子形成面を覆うように接着剤で接着された透光材と、
前記半導体素子と前記透光材の層構造が露出した側面全体を覆う側面保護樹脂と、を備える、半導体装置。
【0079】
(2)
前記側面保護樹脂は、前記接着剤により形成される接着層に比べて透湿性及び透水性が低い樹脂で形成されている、前記(1)に記載の半導体装置。
【0080】
(3)
前記側面保護樹脂は、不透明である、前記(1)又は前記(2)に記載の半導体装置。
【0081】
(4)
前記側面保護樹脂は、前記半導体素子及び前記透光材に対向する面と反対側の面全体に切削器具による切断痕を有する、前記(1)~前記(3)の何れか1項に記載の半導体装置。
【0082】
(5)
前記側面保護樹脂は、前記半導体素子及び前記透光材に対向する面からその反対側の面までの厚みが、前記半導体素子及び前記透光材の積層方向の全体に亘って略一定である、前記(1)~前記(4)の何れか1項に記載の半導体装置。
【0083】
(6)
前記側面保護樹脂は、前記透光材の表面に沿って庇状に延設された庇状部を有し、
当該庇状部は、前記光学素子形成面の非受光領域又は非発光領域を覆うように形成されている、前記(1)~前記(5)の何れか1項に記載の半導体装置。
【0084】
(7)
チップサイズパッケージングで複数の半導体素子を形成された半導体基板と、前記半導体素子の光学素子形成面を覆うように前記半導体基板に透光材を接着剤で接着してワークを形成するワーク形成工程と、
前記ワークをダイシングシートに固定した状態で複数の半導体装置の主構造体に個片化する第1切削工程と、
前記ダイシングシートに固定された複数の前記主構造体の隙間の第1溝に樹脂を充填硬化させて複数の前記主構造体を再連結する再連結工程と、
前記第1溝の略中央に沿って前記樹脂に前記第1溝より狭い第2溝を形成して、複数の前記主構造体の側面に前記樹脂を残しつつ複数の半導体装置として個片化する第2切削工程と、を含んで構成される半導体装置の製造方法。
【0085】
(8)
チップサイズパッケージングで複数の半導体素子を形成された半導体基板と、前記半導体素子の光学素子形成面を覆うように前記半導体基板に透光材を接着剤で接着してワークを形成するワーク形成工程と、
前記透光材の側から前記半導体素子の境界に沿ってV字溝を形成するV字溝形成工程と、
前記ワークをダイシングシートに固定した状態で前記V字溝の尖端に沿って切断して複数の半導体素子の主構造体に個片化する第1切削工程と、
前記ダイシングシートに固定された複数の前記主構造体の隙間の第1溝及び前記V字溝に樹脂を充填硬化させて複数の前記主構造体を再連結する再連結工程と、
前記第1溝の略中央に沿って前記樹脂に前記第1溝より狭い第2溝を形成して、複数の前記主構造体の側面に前記樹脂を残しつつ複数の半導体装置として個片化する第2切削工程と、を含んで構成される半導体装置の製造方法。
【0086】
(9)
チップサイズパッケージングで作製された半導体素子と、
半導体素子の光学素子形成面を覆うように接着剤で接着された透光材と、
前記半導体素子と前記透光材の層構造が露出した側面全体を覆う側面保護樹脂と、を有する半導体装置を備える、電子機器。
【符号の説明】
【0087】
10…半導体素子、11…光学素子形成面、12…端子形成面、20…透光材、30…接着層、40…半田バンプ、50…側面保護樹脂、51…側面、100…半導体装置、200…半導体装置、250…側面保護樹脂、252…突出部、300…半導体装置、350…側面保護樹脂、CF…切断面、CD1…第1切削器具、CD2…第2切削器具、CD3…第3切削器具、DS…ダイシングシート、E1…角部、E2…角部、H1…マスク開口、H2…マスク開口、H3…マスク開口、LP…液状樹脂、M…主構造体、M’…主構造体、MK…マスク、MK’…マスク、MK1…第1部分マスク、MK2…第2部分マスク、MK3…第3部分マスク、MK1~MK3…部分マスク、PS…保護部材、R1…受光領域、R2…非受光領域、R3…透光領域、SF…斜面、SP…固形樹脂、SP’…固形樹脂、T1…第1溝、T2…第2溝、T3…第3溝、T4…第4溝、T1’…第1溝、T2’…第2溝、W…ワーク、W…再連結ワーク、W’…再連結ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11