IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャープ株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社アデランスの特許一覧

<図1>
  • 特許-美顔器 図1
  • 特許-美顔器 図2
  • 特許-美顔器 図3
  • 特許-美顔器 図4
  • 特許-美顔器 図5
  • 特許-美顔器 図6
  • 特許-美顔器 図7
  • 特許-美顔器 図8
  • 特許-美顔器 図9
  • 特許-美顔器 図10
  • 特許-美顔器 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】美顔器
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
A61N5/06 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021504986
(86)(22)【出願日】2020-03-05
(86)【国際出願番号】 JP2020009354
(87)【国際公開番号】W WO2020184365
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】P 2019045027
(32)【優先日】2019-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000126676
【氏名又は名称】株式会社アデランス
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】池原 正博
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/134552(WO,A1)
【文献】特許第6164834(JP,B2)
【文献】特許第4382820(JP,B2)
【文献】特開2010-162157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なるピーク波長を有するLEDを複数種類備えた美顔器であって、
表面に複数の前記LEDが配置されたLED照射部を有し、
複数前記LEDのうち、紫色光又は赤外光を発光する第1LEDに隣接して、青色光又は赤色光から選択される可視光のうち、前記第1LEDが発光する光のピーク波長と相対的に近い可視光を発光する第2LEDが配置され、
複数の前記第1LEDは、ニキビ対策用のLEDを含み、前記ニキビ対策用のLEDは、前記LED照射部において、人の顔における、おでこの部分に相当する位置、鼻の部分に相当する位置、頬の部分に相当する位置、顎の部分に相当する位置に配置されていることを特徴とする美顔器。
【請求項2】
複数の前記第1LEDは、血行促進対策用のLEDを含み、前記血行促進対策用のLEDは、人の顔における皮膚の薄い直近を外して散らばらせて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の美顔器
【請求項3】
前記第1LEDは、ピーク波長が415nm以下のLEDであることを特徴とする請求
項1又は2に記載の美顔器。
【請求項4】
前記第2LEDは、ピーク波長が455nmのLEDであることを特徴とする請求項に記載の美顔器。
【請求項5】
前記第1LEDは、ピーク波長が840nm以上のLEDであることを特徴とする請求項1又は2に記載の美顔器。
【請求項6】
前記第2LEDが、ピーク波長が630nmのLEDであることを特徴とする請求項に記載の美顔器。
【請求項7】
前記第1LEDは、ピーク波長が415nmのLED及びピーク波長が840nmのLEDを含み
前記第2LEDは、ピーク波長が415nmのLEDに隣接配置されるピーク波長が455nmのLED及びピーク波長が840nmのLEDに隣接配置されるピーク波長が630nmのLEDを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の美顔器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美顔器に関し、特にLED(light emitting diode:発光ダイオード)を用いた美顔器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に、LEDを用いた美顔器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国公開特許公報「特開2011-98207号公報」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、美顔用途のLEDには、可視光領域外の光(紫外線や赤外線)あるいは紫外線や赤外線に近い可視光領域内の光があり、これらの光は視認し難い。そのため、美顔器を使用する際に、目的とするLED光を所望する肌の位置に照射することができないという問題生じる。
【0005】
本発明の一態様は、視認し難いLED光を用いる場合であっても、目的とするLED光を安全に所望する肌の位置に照射することができる美顔器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る美顔器は、異なるピーク波長を有するLEDを複数種類備えた美顔器であって、表面に複数の前記LEDが配置されたLED照射部を有し、複数前記LEDのうち、紫色光又は赤外光を発光する第1LEDに隣接して、青色光又は赤色光から選択される可視光のうち、前記第1LEDが発光する光のピーク波長と相対的に近い可視光を発光する第2LEDが配置され、複数の前記第1LEDは、ニキビ対策用のLEDを含み、前記ニキビ対策用のLEDは、前記LED照射部において、人の顔における、おでこの部分に相当する位置、鼻の部分に相当する位置、頬の部分に相当する位置、顎の部分に相当する位置に配置されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、視認し難いLED光を用いる場合であっても、目的とするLED光を所望する肌の位置に照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態1に係る美顔器の斜視図である。
図2図1に示す美顔器の(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は上面図、(d)は(a)のXX線矢視断面図である。
図3図1に示す美顔器のLED照射部における各色のLEDの配置例を示す図である。
図4図3に示すLED照射部を構成しているLEDの概略構成図である。
図5図4に示すLEDが備えるレンズの一例を示す図である。
図6図4に示すLEDが備えるレンズの他の例を示す図である。
図7図3に示すLED照射部を構成している各LEDの光軸の向きを説明するための図である。
図8】人の顔において、一般にニキビの出来やすい場所を示す図である。
図9図3に示すLED照射部の照射パターンを示す図である。
図10】本発明の実施形態2に係る美顔器の斜視図である。
図11】本発明の実施形態3に係る美顔器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0010】
(美顔器の概要)
図1は、本実施形態に係る美顔器の斜視図である。図2は、図1に示す美顔器の(a)正面図、(b)側面図、(c)上面図、(d)(a)のXX線矢視断面図である。
【0011】
美顔器101は、図1に示すように、装置本体を構成する筐体1、筐体1を支持する脚部2を備えている。筐体1の正面1aにはLED照射部3が設けられ、背面1bにはイオン発生装置4が設けられている。また、美顔器は、商用電源に図示しない電源コードを接続して使用する。なお、バッテリーにより駆動する構造であってもよい。
【0012】
LED照射部3は、標準的な人の顔の大きさに合わせた大きさであり、表面に複数のLED31が配置されている。配置されるLED31は、美顔に効果的なピーク波長を有するものである。LED31の詳細については後述する。
【0013】
LED照射部3の中央部、人の目に相当する部分には、LED31が配置されておらず、代わりに2つの開口部3a・3aが形成されている。開口部3aから、筐体1の背面1b側に設けられたイオン発生装置4が発生するイオンを排出するようになっている。
【0014】
イオン発生装置4は、脚部2側から、シロッコファンからなる送風ファン41、プラスイオンとマイナスイオンを発生するイオン発生部42、イオン発生部42で発生したイオンを送風ファン41からの風に乗せて運ぶ送風路43を有する。送風路43の排出口43aは、LED照射部3の開口部3aに連通しており、当該開口部3aからイオン発生装置4にて発生したイオンが排出されるようになっている。ここで、2つの開口部3aからは、それぞれ異なる極性のイオンが別々に排出される。つまり、一方の開口部3aからはプラスイオン、他方の開口部3aからはマイナスイオンが排出される。
【0015】
筐体1は、正面1aに設けられたLED照射部3の大きさを考慮して縦横のサイズが設定されている。LED照射部3の大きさは、一般的な人の顔の大きさを考慮して設定される。例えば、筐体1の正面1aのサイズは、横の長さAが190mm、縦の長さBが230mmとなる。但し、各サイズは一例であり、これらのサイズに限定されるものではない。
【0016】
脚部2は、筐体1の背面1bの下方に設けられた2枚の板状部材からなる。2枚の板状部材の間の距離については特に限定しないが、当該2枚の板状部材の間に介在するイオン発生装置4の幅よりも大きくすることが好ましい。このように、2枚の板状部材の間の距離がイオン発生装置4の幅よりも大きければ、当該2枚の板状部材を、筐体1側を支点として回転自在とすることで、筐体1の背面1b側に回転させて脚部2を収容した状態とすれば、美顔器101をコンパクトにできる。コンパクトにした美顔器101は持ち運びも容易になる。なお、このとき、脚部2は、イオン発生装置4と接触しない形状となっていることが好ましい。このようにすることで、よりコンパクトにすることができる。
【0017】
上記構成の美顔器101は、図1の(a)に示すように、脚部2をテーブル(図示せず)に載置した状態で、LED照射部3側に顔を近づけることで、当該LED照射部3の各LED31が照射するLED光を顔に照射することができる。このとき、LED照射部3の2つの開口部3a・3aからは、それぞれプラスイオン、マイナスイオンが排出される。これにより、LED光による美顔効果に加えて、プラスイオンおよびマイナスイオンによる保湿効果も得られる。
【0018】
(LED照射部の説明)
図3は、図1に示す美顔器101のLED照射部3における各色のLED31の配置例を示す図である。
【0019】
LED照射部3は、LED31としてピーク波長はそれぞれ異なる4種類の光を発光するLED31a,31b,31c,31dが用いられている。
【0020】
LED31aは、ピーク波長が415nmの紫色光を発光する紫色LEDであり、ニキビ菌対策として用いられる。すなわち、ピーク波長が415nmの紫色光は、ニキビ菌に吸収され易いため、当該紫色光を肌の所定の位置に照射することで、照射位置に存在するニキビ菌を死滅させることができる。
【0021】
LED31bは、ピーク波長が455nmの青色を発光する青色LEDであり、気分の低下を抑制し不快さを低減する効果が得られる。また、LED31bは、LED31aに隣接して配置することで、LED31bおよびLED31aが配置されていることを使用者に知らせ易くしている。
【0022】
LED31cは、ピーク波長が630nmの赤色光を発光する赤色LEDであり、コラーゲン生成を促進させるために用いられる。すなわち、ピーク波長が630nmの赤色光は、繊維芽細胞に働きかけコラーゲン生成を促進する。従って、LED31cが発光する赤色光を肌に照射することで、当該肌内のコラーゲン生成を促進させることができる。
【0023】
LED31dは、ピーク波長が840nmの赤外光を発光する赤外LEDであり、血行促進対策として用いられる。すなわち、ピーク波長が840nmの光は、赤外領域の光であり、皮膚深くまで浸透することで、血行促進させることができる。
【0024】
LED照射部3において、各波長のLED31は、上記の効果効能を考慮して配置数および配置位置が設定される。LED31の配置についての詳細は後述する。
【0025】
(LED詳細)
図4は、LED照射部3を構成しているLED31の概略構成図である。
【0026】
LED31は、図4に示すように、発光源となるLEDチップ(発光部)32、LEDチップ32の光出射面32aの上部に設けられたレンズ33を有している。
【0027】
レンズ33は、拡大レンズである。レンズ33は、LEDチップ32の光出射面32aに対向する凹部33aと、凹部33aの底面に形成され、当該LEDチップ32が発光する光が入射される光入射面33bと、光入射面33bから入射された光を出射する光出射面33cとを有する。レンズ33は、LEDチップ32の光出射面32a側に、当該LEDチップ32の発光面の面積を、少なくとも10倍以上に拡大する拡大部材である。
【0028】
上記構成によれば、LEDチップ32の光出射面32a側に、当該LEDチップ32の光出射面32aの見かけ上の面積(以下、発光面の面積と称する)を、少なくとも10倍以上に拡大する拡大部材が形成されている。これにより、単位面積あたりの光のエネルギー(輝度)を1/10以下にすることができる。このとき、光の量(光束)は変わらないため、LED31から出射される光の量(光束)を変えずに輝度を1/10以下にすることができる。従って、LED31が発光した光が目の網膜に照射されても、輝度が1/10以下に低減されているため、網膜に対するLED光の悪影響を低減できる。例えば、LED31から出射される光として、ピーク波長が415nm、455nmの青色LED光の場合、輝度が低い方が好ましい。これにより、網膜に青色LED光が入り込んだとしても、輝度が低いため、輝度が高い場合に比して、まぶしさを低減できる。
【0029】
しかも、レンズ33は拡大レンズであることで、簡単な構成でLEDチップ32の光出射面32aの投影面積を容易に拡大することができる。
【0030】
なお、LEDチップ32の発光面の面積の拡大率が大きければ、輝度の下げ幅も大きくできるため、より好ましい。
【0031】
本実施形態では、レンズ33の光出射面33cの面積は、LEDチップ32の発光面の面積(チップ面積)の0.5mm×0.5mm=0.25mmの1000倍に設定されている。なお、レンズ33の光入射面33bはシボ加工されている。また、レンズ33の光出射面33cの全面が均一に光る訳ではないので、少なくともチップ面積と比して、100倍以上の発光面積となる。この場合、顔に照射されるLED光の輝度は、LEDチップ32の輝度の1/10以下となる。
【0032】
つまり、レンズ33は、LEDチップ32が発光する光の量(光束)を落とさずに、輝度を下げる手段として用いられる。レンズ33の構造については、図4に示す構造に限定されるものではない。また、基板上に形成された各LEDチップ32それぞれに対して1個のレンズ33を並べて配置してもよいし、全てのLEDチップ32に対応するように一体成形されたレンズ(拡大部材)を配置してもよい。
【0033】
なお、レンズ33において、光出射面33cに凹凸加工することで光を拡散させてもよい。この場合、レンズ33の光入射面33bのシボ加工は省略してもよい。
【0034】
また、顔の特定の場所にピンポイントでLED光を照射したい場合、例えばニキビのでき易い場所にピーク波長が415nmのLED光を照射する場合、狭配光とするためにその位置のレンズだけ配光設計を変えてもよい。
【0035】
さらに、レンズ33の光出射面33cの外径は直径5~20mmであることが好ましく、さらに直径10~15mmであることが好ましい。レンズ33の光出射面33cの外径が上記の範囲であれば、LED31の数を減らさずに、且つ光量を落とさず、輝度を下げることが可能となる。LED照射部3の面積が一定であれば、レンズ33の光出射面33cの外径が上記の範囲外、例えば直径5mmよりも小さければ、輝度を下げる効果が低減し、且つLED31の配置数も増えるため、製造コストが高くなり、直径20mmよりも大きければ、輝度を下げる効果が高まるものの、LED31の配置数を減らすことになるため、見栄えが悪いという問題が生じる。
【0036】
(レンズ)
図5は、LED31が備える他のレンズ34の一例を示す図である。図6は、LED31が備える他のレンズ35の一例を示す図である。
【0037】
レンズ34は、図5の(a)(b)に示すように、凹部34aの内面、光入射面34b、光出射面34cのいずれもシボ加工されていないレンズである。このレンズ34は、表面にシボ加工されていないレンズであるため、狭配光のレンズとなる。
【0038】
レンズ35は、図6の(a)(b)に示すように、凹部35aの底面にある光入射面35bおよび光出射面34cにシボ加工され、さらに側面35dに凹凸加工されたレンズである。通常、レンズの光入射面、光出射面、側面にレンズ35対して、シボ加工箇所を増やしたり、凹凸を大きくしたりするほど狭配光から広配光に変化する。従って、レンズ35は、レンズ34に比べて配光の範囲が広い広拡配光のレンズである。
【0039】
従って、レンズに対する、シボ加工や凹凸加工によって、LEDチップ32の発光強度に応じレンズを設計することになる。このように、広配光のレンズを用いて光エネルギーが集中しないようにするのが好ましい。
【0040】
また、LED31から出射される光は、レンズ33~35を用いることで、顔よりも外側にも出射される恐れがある。つまり、顔以外に向けて照射されれば、顔に効果的に光を照射させることができず、エネルギー効率が悪い。そこで、後述するように、各LED31の光軸が顔に向かうようレンズ33~35を設計する。
【0041】
(光軸)
図7は、LED照射部3を構成している各LED31の光軸の向きを説明するための図である。
【0042】
LED照射部3の各LED31は、図7に示すように、光軸OAが顔201の中心Xに向けて傾けるように設計されている。図7に示す例では、LED照射部3の最縁部に存在するLED31から、中央に存在するLED31までの距離をFmm、個々のLED31の照射部中央からの距離をxmm、使用想定距離(顔201の中心XからLED照射部3のLED31配置面までの距離)をGmm(200mm~300mmであることが一般的である)とすると、照射部中央からの距離がxmmの位置のLEDの光軸OAの傾きψx°は、xの関数となる(例えば、ψx°=a*arctan(x/G) aは,0<a≦1を満たす定数)。なお、光軸OAの傾きψx°=a*arctan(x/G)は一例であり、これに限定されるものではない。
【0043】
LED31のエネルギー効率を考慮した場合、全ての光軸OAを顔の中央に向けるように傾けるのが好ましい(この場合、ψmax°=arctan(F/G)となるが、ψmax°はψmax°≦arctan(F/G)であることが好ましい)。すなわち、レンズ33の光軸OAは、LED31が発光するLED光の照射対象である顔201の中心Xに向かうように設定されていることが好ましい。但し、その場合は顔の照度分布が顔中央で大きくなるぶん、顔の周辺での照度が中央より低くなる。従って顔の照度分布の均一性を考慮した場合、配光角2θ1/2をφ°としたとき、ψmax°≦φ°であることが好ましい。
【0044】
また、光軸OAを傾ける方法として、上述したように、LED31を同一平面上に実装して、レンズ33の設計により光軸OAを傾けるようにしてもよい。つまり、光軸OAは、レンズ33同士を傾けて設定してもよい。あるいは、個々のLED31を向けたい光軸OAと直交するよう傾けた面に実装するようにして、光軸OAを傾けるようにしてもよい。つまり、光軸OAは、レンズ33毎にずらして設定してもよい。
【0045】
(LED配置)
図8は、人の顔200において、一般にニキビの出来やすい場所200aを示す図である。
【0046】
人の顔200において、一般にニキビの出来やすい場所200aは、図8の(a)に示すおでこの部分(斜線領域)、図8の(b)に示す鼻の部分(斜線領域)、図8の(c)に示す頬の部分(斜線領域)、図8の(d)に示す顎の部分(斜線領域)である。
【0047】
従って、図3に示すLED照射部3において、ニキビ対策用のピーク波長が415nmのLED31aを、おでこに相当する位置、鼻に相当する位置、頬に相当する位置、顎に相当する位置に配置する。
【0048】
ピーク波長が840nmのLED31dは、血行促進対策として用いられるため、発光する光は皮膚深くまで浸透する。このため、特に皮膚の薄い瞼直近を外して適度に散らばらせて配置する。
【0049】
ピーク波長が630nmのLED31cは、コラーゲン生成を促進させるために用いられるため、顔全体にLED光を照射できるように、LED31a、LED31b、LED31dが配置されていない位置全てに配置する。
【0050】
本実施形態に係る美顔器101におけるLED照射部3では、図3に示すように、複数個のLED31のうち、利用者が視認し難い色の光を発光するピーク波長が415nmのLED31a(第1LED)およびピーク波長が840nmのLED31d(第1LED)に隣接して、当該第1LEDが発光する色に近い可視光を発光するピーク波長が455nmのLED31b(第2LED)およびピーク波長が630nmのLED31c(第2LED)が配置されている。
【0051】
上記構成によれば、美顔効果があるが利用者が視認し難い色の光を発光する第1LEDに隣接して、当該第1LEDが発光する色に近い可視光を発光する第2LEDが配置されていることで、第1LEDがどこに配置されているかが視認し易くなる。つまり、視認し難いLED光を用いる場合であっても、目的とするLED光を所望する肌の位置に照射することができる。
【0052】
これにより、美顔器の利用者は、自分の顔のどの位置に第1LEDが発光する光を照射させるべきかを容易に把握することができるため、美顔器の利便性が向上する。
【0053】
上述のように、ピーク波長が415nm以下のLED31aは視認し難いため、青系のピーク波長が455nmのLED31bを、LED31aに隣接して配置する。これにより、美顔器101の利用者に、ニキビ対策用のLEDの配意位置を認識してもらいやすくしている。
【0054】
しかも、ピーク波長が455nmのLEDが発光する光は、気分の低下を抑制し、不快さを低減するという効能があるため、美顔器の利用者は、ニキビ対策をしつつ、気持ちを落ち着かせることができるという効果が得られる。
【0055】
また、ピーク波長が840nm以上の第1LEDから発光される光は、視認できないが、ピーク波長が630nmの赤色のLEDから発光される光は視認できるため、美顔器の利用者は、血行促進に有効な光がどこから照射されていることを認識できる。従って、美顔器の利用者は、第1LEDが発光する光を血行促進すべき顔の位置に適切に照射させることが可能となる。
【0056】
なお、図3に示すLED31の配置は一例であり、この配置に限定されるものではない。
【0057】
美顔器101を利用する場合、利用者には目を瞑った状態で数十分という時間過ごしてもらう必要がある。このため、定常的な点灯のみならず各色のバランスを変化させて各LED31を点灯することが好ましい。例えば、「飽きない」点灯パターン「残り時間の見当がつく」点灯パターンとなるようにLED31の点灯を制御するようにしてもよい。
【0058】
(LED発光パターン)
図9は、LED照射部3の照射パターン(LED31の点灯パターン)を示す図である。
【0059】
LED照射部3は、例えば図9に示す4通りの発光パターンを設定できる。
【0060】
図9の(a)は、全てのLED31を点灯させる発光パターンである。
【0061】
図9の(b)は、図9の(a)の発光パターンから青色のLED31bを弱発光させた発光パターンである。
【0062】
図9の(c)は、赤色のLED31cのみを点灯させる発光パターンである。
【0063】
図9の(d)は、図9の(a)の発光パターンから赤色のLED31cを弱発光させた発光パターンである。
【0064】
美顔器101の利用者は、図示しない操作パネルから、図9の(a)~(d)の4つの発光パターンから目的に応じて選択できるようになっている。
【0065】
通常は、全ての効能効果が期待できる図9の(a)に示す全LED31を点灯する発光パターンが選択される。
【0066】
しかしながら、青色光を軽減し、網膜への影響を考慮し、ニキビ対策、コラーゲン生成を目的とする場合、図9の(b)に示す発光パターンを選択するのが好ましい。
【0067】
また、コラーゲン生成のみを目的とする場合、図9の(c)に示す発光パターンを選択するのが好ましい。
【0068】
さらに、コラーゲン生成は少しで、ニキビ対策を主目的とする場合、図9の(d)に示す発光パターンにするのが好ましい。
【0069】
さらに、LED照射部3の発光を目覚まし機能として用いることもできる。
【0070】
例えば、LED照射部3の発光のさせ方として以下の方法がある。
【0071】
(1)明るさで目覚めさせる点灯:LED照射部3の全てのLED31をフル点灯して照度を上げることで目覚めさせる。
【0072】
(2)波長で目覚めさせる点灯:LED照射部3のLED31a、LED31bを点灯させた短波長の光を利用して脳を活性化させる。
【0073】
LED照射部3は、LED31の配光角が狭く制御されているので、同じ部屋に寝ている他の人に影響を与え難い目覚ましとなる。
【0074】
さらに、同じ部屋に寝ている人を起こす心配がない場所で、美顔器101を目覚ましとして機能させるには、LED31の点灯に加えて、目覚まし用の音を出すようにしてもよい。
【0075】
なお、変形例として、イオン発生装置4を備えていない美顔器であってもよい。この場合、実施形態1で開口部3aの位置は、LED31が配置されていない人の目の位置に相当する位置であったので、開口部3aの部分をLED31が配置されていない板部として、目の位置合わせ部としてもよい。その際、目の位置合わせ部分に目のアイコンやイラストを記載すれば、ユーザーは目をその位置に合わせることがかわりやすくなる。
【0076】
前記実施形態1では、イオン発生装置4が発生したイオンをLED照射部3の開口部3aから放出していた。この開口部3aの位置は、LED31が配置されていない人の目の位置に相当する位置であった。しかしながら、開口部3aの形成位置は他の位置であってもよい。つまり、美顔器101の利用者の顔に向かってイオンを放出できる位置であれば、どこに開口部3aを形成してもよい。以下の実施形態2では、開口部3aの位置を前記実施形態1と異なる位置にした例について説明する。
【0077】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0078】
(美顔器の概要)
図10は、本実施形態に係る美顔器102の斜視図である。
【0079】
美顔器102は、前記実施形態1の美顔器101とほぼ同じ構成であるが、イオンの吹出し位置が異なるイオン発生装置5を備えている点で異なる。すなわち、イオンの吹出し位置以外は、美顔器102のLED照射部3は、前記実施形態1の美顔器101と同じである。
【0080】
美顔器102は、図10に示すように、筐体1の上端部側のLED照射部3におけるLED31の設置範囲外にイオンを吹き出すための開口部3aが形成されている。前記実施形態のイオン発生装置4の送風路43を延設することで、当該送風路43の排出口43aを、筐体1の上端部側に形成された開口部3aに連通させている。なお、LED照射部3において目に対応する位置(前記実施形態1のLED照射部3では開口部3aが形成された位置)には、何れのLED31も配置されない。
【0081】
上記構成の美顔器102によれば、当該美顔器102の使用者の顔の上部から下部に向かってイオンが吹き付けられるようになるため、イオンが顔全体に当たるようになる。これにより、顔への保湿効果をさらに高めることができる。
【0082】
なお、前記実施形態1,2では、イオン発生装置4の送風ファンとして、シロッコファンを用いた例について説明したが、送風ファンはシロッコファンに限定されるものではなく、例えば、プロペラファンやクロスフローファンなど他のファンであってもよい。以下の実施形態3では、イオン発生装置4の送風ファンとしてプロペラファンを用いた例について説明する。
【0083】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0084】
(美顔器の概要)
図11は、本実施形態に係る美顔器103の斜視図である。
【0085】
美顔器103は、前記実施形態1の美顔器101とほぼ同じ構成であるが、イオン発生装置6に用いられる送風ファンの種類が異なる。すなわち、イオン発生装置6以外は、美顔器102のLED照射部3は、前記実施形態1の美顔器101と同じである。
【0086】
イオン発生装置6は、送風ファンとしてプロペラファン(図示せず)を備えている。プロペラファンは、シロッコファンに比べて静粛性が高いため、静粛性が必要とされる場所で美顔器103を使用するのが好ましい。例えばイオン発生装置6を寝室に置き、就寝中に顔などの保湿を行うようにすることが考えられる。
【0087】
前記実施形態1~3の美顔器101、美顔器102、美顔器103の何れも、目の位置に相当する位置にLED31が配置されていないため、利用者が目を瞑っていても、美顔器使用上の適正な位置からの位置ずれを感じることができる。つまり、瞑った目にLED光が照射されない状態が美顔器使用上の適正な位置であれば、瞑った目にLED光が照射されていることを感じる位置は美顔器使用上の適正な位置でないことになる。
【0088】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 筐体
1a 正面
1b 背面
2 脚部
3 LED照射部
3a 開口部
4、5、6 イオン発生装置
31,31a,31b,31c,31d LED
32 LEDチップ
32a 光出射面
33~35 レンズ(拡大部材)
33a 凹部
33b 光入射面
33c 光出射面
34a 凹部
34b 光入射面
34c 光出射面
35a 凹部
35b 光入射面
35d 側面
41 送風ファン
42 イオン発生部
43 送風路
43a 排出口
101,102,103 美顔器
200a 場所
200 顔
OA 光軸
X 中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11