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特許7364678バイオセラミックを用いた温熱器兼用座薫器
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  • 特許-バイオセラミックを用いた温熱器兼用座薫器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】バイオセラミックを用いた温熱器兼用座薫器
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20231011BHJP
   C04B 38/08 20060101ALI20231011BHJP
   C04B 38/06 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
A61N5/06 A
C04B38/08 D
C04B38/06 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021534210
(86)(22)【出願日】2019-12-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-03
(86)【国際出願番号】 KR2019017363
(87)【国際公開番号】W WO2020122545
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-08-11
(31)【優先権主張番号】10-2018-0159427
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521257499
【氏名又は名称】イ,キュ シク
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100163544
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 緑
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 晃
(72)【発明者】
【氏名】イ,キュ シク
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0111309(KR,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0340023(KR,Y1)
【文献】特開2003-070920(JP,A)
【文献】特開2002-113068(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1669576(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1840428(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0092782(KR,A)
【文献】米国特許第05827457(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/06 - 5/08
A61F 7/00 - 7/08
A61H 33/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温熱器兼用座薫器で用いられるバイオセラミックの製造方法であって、
温熱器兼用座薫器は、
中心角の大きさが90°である弧状の第1の分割胴体と、一方の端が前記第1の分割胴体に蝶番により結合され、中心角の大きさが90°である弧状の第2の分割胴体と、で構成されて、拡開したり折り畳んだりできる構造からなる本体と、
前記第1の分割胴体及び第2の分割胴体の内周面に配設されて熱を発する温熱モジュールと、
前記第1の分割胴体及び第2の分割胴体の内周面に配設される燻蒸モジュールと、を備え、
前記本体が拡開されて半円状になれば、使用者が前記本体内において横たわった状態で温熱治療を受けられる構造になり、
前記本体が折り畳まれ、その上面に座台が配設されれば、使用者が前記座台に座って温熱治療を受けられる構造に変更可能であり、
前記温熱モジュール又は前記本体の内周面に発泡セラミックであるバイオセラミックが設けられており、
前記燻蒸モジュールは、
前記第1の分割胴体及び第2の分割胴体内に配設された熱板と、前記熱板に接触され、薬剤を収め、折り畳まれた本体の内部空間に薬剤の燻蒸を排出する排出孔が形成される容器と、前記容器の開口部を開閉する蓋体と、で構成されており、
真珠岩を砕いた後、850~950℃の温度に加熱して発泡ケイ石を用意するステップS1と、
前記発泡ケイ石100重量部に対し、無機結合剤20~40重量部を混合した後に成形するステップS2と、
前記ステップS2を経た成形体を900~1,200℃の温度で焼成するステップS3と、を含む、バイオセラミックの製造方法。
【請求項2】
前記ステップS2の無機結合剤は、粘土100重量部と、中空シリカ粉末30~50重量部と、アタパルジャイト(Attapulgite)10~30重量部と、発泡剤5~15重量部と、水50~70重量部と、からなり、
前記ステップS3においては、成形体が焼成されながら発泡することを特徴とする、請求項に記載のバイオセラミックの製造方法。
【請求項3】
前記ステップS2の混合物は、前記発泡ケイ石100重量部に対し、珪藻土、ベントナイト、ゼオライト、アルミナのうちの少なくとも一種の無機充填剤10~30重量部をさらに含むことを特徴とする、請求項に記載のバイオセラミックの製造方法。
【請求項4】
前記中空シリカ粉末は、表面にシリカヒュームがコーティングされた中空シリカ粉末であり、
前記発泡剤は、炭化ケイ素又は炭酸カルシウムであることを特徴とする、請求項に記載のバイオセラミックの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオセラミックを用いた温熱器兼用座薫器に係り、さらに詳しくは、温熱治療と燻蒸治療を両方とも行うことができ、断熱性、超軽量性、不燃性、低ガス有害性、熱伝導率、脱臭性に優れており、遠赤外線放射率、放射エネルギー、陰イオン発生、抗菌性能を通して免疫機能向上及び炎症改善といった効能を有するバイオセラミックを用いた温熱器兼用座薫器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドーム状を呈する内面に放熱装置を取り付けた温熱療法器(大韓民国特許第10-1354987号公報)と、くん蒸器兼用温熱治療器(大韓民国公開特許第10-2014-0024612号)が公知となっている。
【0003】
しかしながら、前記温熱療法器や温熱治療器は、壁体が金属又は鉱物体からなっているため、人体への馴染み性がなく、電気ヒータが円形ヒータとなっているため、放熱面積が狭いといった不都合があった。
【0004】
このような不都合を解消すべく、大韓民国登録特許第10-1662061号公報には、4分の1の円弧状を呈する一対のサウナ器胴体A、Bを組み合わせて2分1の円弧状にし、各胴体にヒータが配設されるサウナ器本体と、前記一対のサウナ器胴体A、Bを折り畳んだ形状と同じ形状の凹溝4aの内面に形成される凹溝外周壁4bが前記胴体A、Bの前方支持板2の外周面に嵌め込まれ、中心部には孔4cが形成された平板状の座浴器 用座台4と、でサウナ器を構成するが、前記各胴体A、Bの前後の支持板2、2aの両端部に地面を向くキャスタ2eがそれぞれ取り付けられた遮へい板2c、2dを取り付けて向かい合わせた後、前記遮へい板の内壁側を織布蝶番3で連結して両側のサウナ器胴体A、Bを折り畳んだり拡開したりできるように構成されるエンピツビャクシン(鉛筆柏槙)を壁体とする 座浴器 兼用温熱サウナ器が開示されている。
【0005】
一方、18世紀以来、科学系では、光を波動として考えてきた。1900年12月にドイツの物理学者の「マックス・プランク(Max Planck)」は、光がエネルギーの粒である粒子であって、光の量子が途切れ途切れに伝達されるということを明らかにした。20世紀に入り、物理学者らは、物質を分解すれば分子になり、分子を分解すれば原子になり、原子を分解すれば原子核及び電気になるということを知見した。電子の正体を明らかにする過程で、電子もまた粒子及び波動の二重性を有するということを裏付けるようになった。存在するあらゆる物質は、粒子及び波動といった二重構造となっているということである。量子とは、それ以上分けられないエネルギーの最小単位として知られている。超量子場が重なり合うと波動の段階に変わり、波動が重なり合うとエネルギーに変わり、エネルギーが重なり合うと、素粒子が重なり合うと原子になり、原子が重なり合うと分子として形成され、分子が重なり合うと物質として形成される。
【0006】
すなわち、あらゆる物質(人間、動物、植物など)は、超量子場の重なり合いにより波動、エネルギーの段階を経て物質として形成されることに伴い、超量子場が重なり合った量子エネルギーがある領域では、人間をはじめとする生命が活性化される。これに対し、量子エネルギーがなく、超量子場が重なり合っていない領域では、人間とあらゆる生命が活性化できずに病気にかかって死に至ってしまう。
【0007】
次元的な現実で生きていく我々は、感覚(五感)を通して全てを認識し、これが全部であるかのように考えるが、あらゆる物質の最小単位である素粒子(原子核、電子)の下の極微世界に入ると、世の中は目に見えない量子エネルギー場の世界として存在する。
【0008】
あらゆる物質は、マイクロ(超極微)世界に至ると、中身の詰まった素材(中身が空洞になっていない素材)ではなく、原子核の周りをとめどもなく飛び回り続ける電子の活動からなる。
【0009】
素粒子である原子核の周りを飛び回る電子の活動を通してその周りに電磁気場が形成され、それに伴い、その物質ならではの固有情報を含んでいる量子エネルギーが発散されるが、このような量子エネルギー場は、自然系と物質系もしくは精神系に関する固有情報を含んでおり、相互間に波動を介して情報のやり取りをする。アインシュタインもまた、量子物理学を通して、「我々が生きているこの世の中の物質を細かく割っていくと、結局一つの振動するエネルギー場として互いにつながっている」と語った。
【0010】
遠赤外線を放出する本発明のバイオセラミックは、量子波動エネルギーが発生して温熱効果を伝えるだけではなく、痛みの緩和、免疫力の向上、冷たい体の血液循環の改善といった役割を果たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】大韓民国登録特許第10-1354987号公報
【文献】大韓民国公開録特許第10-2014-0024612号公報
【文献】大韓民国登録特許第10-1662061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明は、上記のような不都合を解消するために案出されたものであり、その目的は、温熱治療と燻蒸治療を両方とも行うことができ、断熱性、超軽量性、不燃性、低ガス有害性、熱伝導率、脱臭性に優れており、遠赤外線放射率、放射エネルギー、陰イオン発生、抗菌性能を通して免疫機能向上及び炎症改善といった効能を有するバイオセラミックを用いた温熱器兼用座薫器を提供することである。
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、以上において言及したものに何ら限定されるものではなく、未言及の他の解決課題は、以下の記載から当業者にとって明らかに理解できる筈である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このために、本発明に係るバイオセラミックを用いた温熱器兼用座薫器は、 中心角の大きさが90°である弧状の第1の分割胴体と、一方の端が前記第1の分割胴体に蝶番により結合され、中心角の大きさが90°である弧状の第2の分割胴体と、で構成されて、拡開したり折り畳んだりできる構造からなる本体と、前記第1の分割胴体及び第2の分割胴体の内周面に配設されて熱を発する温熱モジュールと、を備え、前記本体が拡開されて半円状になれば、使用者が前記本体内において横たわった状態で温熱治療を受けられる構造になり、前記本体が折り畳まれ、その上面に座台が配設されれば、使用者が前記座台に座って温熱治療を受けられる構造に変更可能であり、前記温熱モジュール又は前記本体の内周面にバイオセラミックが設けられることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るバイオセラミックを用いた温熱器兼用座薫器は、第1の分割胴体及び第2の分割胴体の内周面に配設される燻蒸モジュールをさらに備えることを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明に係るバイオセラミックを用いた温熱器兼用座薫器において、燻蒸モジュールは、前記第1の分割胴体及び第2の分割胴体内に配設された熱板と、前記熱板に接触され、薬剤を収め、折り畳まれた本体の内部空間に薬剤の燻蒸を排出する排出孔が形成される容器と、前記容器の開口部を開閉する蓋体と、で構成されることを特徴とする。
【0017】
さらにまた、本発明に係るバイオセラミックを用いた温熱器兼用座薫器において、容器又は蓋体は、バイオセラミックからなることを特徴とする。
【0018】
さらにまた、本発明に係るバイオセラミックを用いた温熱器兼用座薫器において、バイオセラミックは、真珠岩を砕いた後、850~950℃の温度に加熱して発泡ケイ石を用意するステップS1と、前記発泡ケイ石100重量部を目安として、無機結合剤20~40重量部を混合した後に成形するステップS2と、前記ステップS2を経た成形体を900~1,200℃の温度で焼成するステップS3と、を経て製造されることを特徴とする。
【0019】
さらにまた、本発明に係るバイオセラミックを用いた温熱器兼用座薫器において、ステップS2の無機結合剤は、粘土100重量部と、中空体30~50重量部と、アタパルジャイト(Attapulgite)10~30重量部と、発泡剤5~15重量部と、水50~70重量部と、からなり、前記ステップS3においては、成形体が焼成されながら発泡することを特徴とする。
【0020】
さらにまた、本発明に係るバイオセラミックを用いた温熱器兼用座薫器において、ステップS2の混合物は、前記発泡ケイ石100重量部を目安として、珪藻土、ベントナイト、ゼオライト、アルミナのうちの少なくとも一種の無機充填剤10~30重量部をさらに含むことを特徴とする。
【0021】
これらに加えて、本発明に係るバイオセラミックを用いた温熱器兼用座薫器において、中空体は、表面にシリカヒュームがコーティングされた中空シリカ粉末であり、前記発泡剤は、炭化ケイ素又は炭酸カルシウムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
そこで、本発明は、上記のような不都合を解消するために案出されたものであり、本発明に係るバイオセラミックを用いた温熱器兼用座薫器は、温熱治療と燻蒸治療を両方とも行うことができ、断熱性、超軽量性、不燃性、低ガス有害性、熱伝導率、脱臭性に優れており、遠赤外線放射率、放射エネルギー、陰イオン発生、抗菌性能を通して免疫機能向上及び炎症改善といった効能を有する。
【0023】
本発明の効果は、以上において言及したものに何ら限定されるものではなく、未言及の他の効果は、以下の記載から当業者にとって明らかに理解できる筈である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係るバイオセラミックを用いた温熱器兼用座薫器が拡開された状態を示す斜視図である。
図2】本発明に係るバイオセラミックを用いた温熱器兼用座薫器が折り畳まれた状態を示す斜視図である。
図3】本発明に係るバイオセラミックを用いた温熱器兼用座薫器の底面図である。
図4図3の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態について詳しく説明すれば、次の通りである。
【0026】
本発明について説明するにあたって、関連する公知の技術もしくは構成についての具体的な説明が本発明の要旨を余計に曖昧にする虞があると認められる場合にはその詳細な説明を省略する。なお、後述する用語は、本発明における機能を考慮して定義された用語であって、これらは、使用者、運用者の意図又は判例などに応じて異なってくる。よって、本発明において用いられる用語は、単なる用語の名称ではなく、その用語が有する意味と本発明の全般に亘っての内容を踏まえて定義されるべきである。それらの定義は、この明細書の全般に亘っての内容を踏まえて行われるべきである。
【0027】
図1は、本発明に係るバイオセラミックを用いた温熱器兼用座薫器が拡開された状態を示す斜視図であり、図2は、本発明に係るバイオセラミックを用いた温熱器兼用座薫器が折り畳まれた状態を示す斜視図であり、図3は、本発明に係るバイオセラミックを用いた温熱器兼用座薫器の底面図であり、図4は、図3の断面図である。
【0028】
図1及び図2を参照すると、本発明に係るバイオセラミックを用いた温熱器兼用座薫器100は、大きく、本体110と、温熱モジュール120と、を備えてなる。
【0029】
前記本体110は、中心角の大きさが90°である弧状の第1の分割胴体111aと、一方の端が前記第1の分割胴体111aに蝶番111cにより結合され、中心角の大きさが90°である弧状の第2の分割胴体111bと、で構成されて、拡開したり折り畳んだりできる構造からなることを特徴とする。
【0030】
前記本体110が拡開されて半円状になれば、使用者が前記本体110内において横たわった状態で温熱治療を受けられるドーム状の温熱器の構造になる。
【0031】
前記本体110が拡開されて半円状になった場合、第1の分割胴体111a及び第2の分割胴体111bの下端に配設されたキャスタ112を用いて手軽に所望の位置に移動させながら温熱治療を行うことができる。
【0032】
前記第1の分割胴体111a及び第2の分割胴体111bのどちらか一方の外周面には、電源の供給のためのコンセント117と、温熱モジュール又は後述する燻蒸モジュールの温度の調節、オン・オフ、モジュールの選択が行えるコントローラ118と、が配設される。
【0033】
また、前記第1の分割胴体111a及び第2の分割胴体111bは、ヒノキなどのようにフィトンチッドを発生させる木材で構成してもよく、全体的には木材で構成するが、内周面の一部は板又はバー(bar)状のバイオセラミックを混用して構成してもよい。
【0034】
バイオセラミックは、断熱性、超軽量性、不燃性、低ガス有害性、熱伝導率、脱臭性に優れており、特に、遠赤外線放射率、放射エネルギー、陰イオン発生、抗菌性能を通して免疫機能向上及び炎症改善といった効能を得ることができるという特徴がある。このようなバイオセラミックの製法については後述する。
【0035】
前記温熱モジュール120は、本体110の内部に熱を供給して温熱治療又は乾式サウナ機能を行えるようにするものであって、大きく、熱板121と、前記熱板121の一方の面に配置されて本体110の内部に熱を放射する板状のバイオセラミック115と、安全網125と、で構成されてもよい。これとは異なり、前記温熱モジュールは、熱板の代わりに、遠赤外線ランプと、前記遠赤外線ランプの後方に配置される反射板と、で構成してもよいが、この場合、反射板をバイオセラミックから構成してもよい。
【0036】
前記温熱モジュール120は、前記第1の分割胴体111a及び第2の分割胴体111bに一対が配設される。
【0037】
一方、前記本体110が、図2に示すように、第1の分割胴体111a及び第2の分割胴体111bが当接するように折り畳まれ、その上面に座台135が配設されれば、使用者が前記座台135に座って温熱治療及び燻蒸治療を受けられる座薫器の構造に変更される。
【0038】
前記座台135の中央には、熱又は燻蒸が供給できるように孔135aが形成される。
【0039】
図3及び図4を参照すると、本発明に係るバイオセラミックを用いた温熱器兼用座薫器は、燻蒸治療のために、前記第1の分割胴体111a及び第2の分割胴体111bの内周面には燻蒸モジュール130が配設される。
【0040】
前記燻蒸モジュール130としては、前記第1の分割胴体111a及び第2の分割胴体111b内に配設された熱板131と、前記熱板131に接触され、薬剤Aを収める容器132と、前記容器132の開口部を開閉し、排出孔137aが形成される蓋体137と、で構成されるものが挙げられる。
【0041】
前記燻蒸モジュール130の熱板121の熱は、容器132内の薬剤を加熱して燻蒸を生成し、生成された燻蒸は、排出孔132aと孔135aを介して使用者に届く。
【0042】
前記燻蒸モジュール130は、複数配設されてもよいが、各燻蒸モジュールの容器に異なる薬剤を収めておき、所要の薬剤が収められた燻蒸モジュールのみを作動させることができるという使い勝手のよさを持つ。また、各燻蒸モジュールの容器に薬剤の1回使用量を投入する場合、余計な薬剤の消耗量は低減するが、十分な燻蒸効果を発揮することができるというメリットがある。例えば、容器に1回使用量の2倍に上る薬剤を投入した場合であっても、燻蒸が生成される時間は1回使用量の投入時とは大差なく、むしろ同一の時間で過剰な量の燻蒸が発生してしまって薬剤の無駄使いを招くため、燻蒸モジュールを分割して形成することにより、このような問題を解決することができる。
【0043】
一方、前記熱板131としては、前記容器132が挿入される円筒構造からなって螺合134aされ、前記蓋体137もまた、容器132に螺合134bされるものが挙げられる。
【0044】
以下では、本発明のバイオセラミックの製造方法について詳しく説明する。
【0045】
本発明に係るバイオセラミックの製造方法としては、大きく、真珠岩を砕いた後、850~950℃の温度に加熱して発泡ケイ石を用意するステップS1と、前記発泡ケイ石100重量部を目安として、無機結合剤20~40重量部を混合した後に成形するステップS2と、前記ステップS2を経た成形体を900~1,200℃の温度で焼成するステップS3と、を経て製造されることを特徴とする方法が挙げられる。
【0046】
前記ステップS1は、火成岩の一種である真珠岩を砕いて80~90℃の温度で20~30分間予熱した後、850~950℃の温度まで急速に加熱して内部に含有されている結晶水により発泡するようにした後、冷却させて発泡ケイ石を用意するステップである。
【0047】
既存の発泡セラミックの製造過程においては、大韓民国公開録特許第10-0803513号公報に開示されているように、セラミック原料を発泡剤と混合した後、成形してから焼成しながら発泡させるような方式でセラミックパネルなどを製造していた。この場合、焼成に際してひび割れが発生したり成形体が互いに一塊になってしまったりするなどの不都合があったものの、本発明においては、ステップS1においてバイオセラミックの原料の一つである真珠岩を先に1次的に発泡させた後に残りの材料と混合し、且つ、焼成する過程を経させることにより、上述した不都合を解消することができる。
【0048】
前記ステップS2は、前記発泡ケイ石と無機結合剤、無機充填剤を混合するステップである。
【0049】
前記無機充填剤は、前記発泡ケイ石100重量部を目安として10~30重量部が混合され、前記無機充填剤としては、珪藻土、ベントナイト、ゼオライト、アルミナのうちの少なくとも一種が選ばれるものが挙げられる。
【0050】
前記無機結合剤は、前記発泡ケイ石100重量部を目安として20~40重量部であることが好ましいが、20重量部未満である場合には成形性もまた不良であり、結合力が急激に低下してしまうという不都合があり、40重量部を超える場合には気孔率が低くなり、製品の密度が増加して軽量性が得られ難いため、上述した範囲に制限することが好ましい。
【0051】
本発明においては、2種類の無機結合剤を提示する。
【0052】
一番目の無機結合剤としては、イライト又はモンモリロナイト100重量部と、水40~60重量部と、からなるものが挙げられる。
【0053】
二番目の無機結合剤としては、 粘土100重量部と、中空体30~50重量部と、アタパルジャイト(Attapulgite)10~30重量部と、発泡剤5~15重量部と、水50~70重量部と、からなるものが挙げられる。
【0054】
2種類の無機結合剤間の相違点は、一番目の無機結合剤の場合には2次発泡が行われないため、発泡ケイ石の製造過程における1次発泡による気孔のみが形成されるのに対し、二番目の無機結合剤は、発泡ケイ石の製造過程における1次発泡に加えて、2次発泡が行われるので、気孔率を著しく増加させることができるということである。
【0055】
以下では、二番目の無機結合剤を中心に説明する。
【0056】
前記アタパルジャイト(Attapulgite)は、粘土鉱物であって、化学式は、(Mg,Al)Si20.&middot;4HOであり、イライト又はモンモリロナイトとは異なり、針状であり、ケイ酸4面体の鎖構造によるトンネル(tunnel)構造を有し、トンネル内に水分子を含有しているので、内部に含有されている水分子により焼成に際して発泡性能を向上させる役割を果たすだけではなく、ステップS2の成形に際して粘度の調節を行うことで成形性を向上させる役割を果たす。
【0057】
前記中空体としては、平均粒径が50~300μmである中空シリカ粉末が挙げられる。
【0058】
中空シリカ粉末としては、シリカ(Silica)と酸化カルシウムを混合して溶融させた後、急冷させて砕き、砕かれた粒子を発泡させて得たものが挙げられるが、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、噴霧熱分解、ゾル-ゲル工程など公知の製法により製造可能である。
【0059】
前記中空シリカ粉末は、リサイクル資源であるシリカヒュームと溶媒からなる溶液に含浸した後に乾燥させる過程を経て、表面にシリカヒュームがコーティングされた複合構造であることが好ましい。前記シリカヒュームは、中空シリカ粉末同士が固着されることを防いで分散性を向上させるだけではなく、中空シリカ粉末の耐久性を向上させる役割を果たす。
【0060】
前記発泡剤としては、炭化ケイ素又は炭酸カルシウムが挙げられる。
【0061】
前記炭化ケイ素の発泡のメカニズムについては大韓民国登録特許第10-1067371号公報に、炭酸カルシウムの発泡のメカニズムについては大韓民国公開特許第10-2012-0077746号公報にそれぞれ詳しく説明されているため、その詳しい説明は省略する。
【0062】
一方、シリカヒュームは、大韓民国公開特許第10-2012-0077746号にも開示されているが、1~3μmの大きさの超微小粒子であるため、互いに凝集されるという現象に起因して分散され難く、特に、本発明のような乾式成形方式では、上述したように別途に混合するよりは、中空シリカ粉末にコーティングした方がさらに好ましい。
【0063】
バイオセラミックは、表面に機能性粒子が含まれているコーティング液を噴霧した後に乾燥させたり、コーティング液に沈浸した後に乾燥させたりして、バイオセラミックの表面又は内部の気孔の一部に機能性粒子が付着ないし挿入されるように構成してもよい。
【0064】
前記機能性粒子は、100~500nmの平均粒径を有するものであって、内部の油と、前記油を収めるシリカの殻と、から構成されるが、油としては、ベースオイル100重量部を目安として、シャクヤク(芍薬)エキス10~30重量部が混合されたものが挙げられる。
【0065】
前記ベースオイルは、無炎症・無菌であり、消毒の機能をし、痙攣を予防し、痛みを緩和し、毒性の予防に効くラベンダ油であることが好ましい。前記シャクヤクエキスは、シャクヤクの根を乾燥させた後に熱水で抽出したものであって、女性の生理不順、痛みの緩和に効く。なお、主成分として知られているペオニフロリンは、鎮痛、鎮静、抗炎症、血圧降下、血管拡張、平滑筋の弛緩に効くと知られている。
【0066】
前記機能性粒子は、水100重量部に油1~10重量部と、ショ糖脂肪酸エステル0.1~1重量部とを混合した乳液(エマルジョン)を用意し、この乳液にジエトキシジメチルシラン0.1~1重量部と、エピクロロヒドリン0.1~1重量部とを添加した後に攪拌し、次いで、水グラス10~20重量部を5~10時間かけて少量ずつ添加しながら反応させて得ることができる。最終生成物100重量部を目安として、アラビアガム1~5重量部を混合して機能性粒子が含有されているコーティング液を用意する。
【0067】
前記機能性粒子のシリカの殻の内部に充填されたシャクヤクエキス、ラベンダ油は、バイオセラミックが加熱されれば、前記ラベンダ油とともにシャクヤクエキスの有効成分が放出されて生理不順、抗炎症などの効能を発揮するようになる。
【0068】
以下では、本発明に係るバイオセラミックの製造方法について、より好適な実施例を挙げて詳しく説明する。
【0069】
[実施例1]
真珠岩を130~140μmに砕いた粉末を85℃の温度で25分間予熱した後、890~900℃の温度まで急速に加熱して体積比で11~12倍に発泡・膨張した発泡ケイ石を用意する。
【0070】
前記発泡ケイ石100重量部を目安として、無機結合剤30重量部と、無機充填剤20重量部とを混合した後、圧縮成形する。ここで、無機結合剤は、アタパルジャイト100重量部を目安として、シリカヒュームがコーティングされた中空シリカ粉末40重量部と、炭酸カルシウム10重量部と、水50重量部と、から構成され、無機充填剤としては、珪藻土とゼオライトとを1:1の重量比で混合したものを用いた。
【0071】
前記成形体を950℃の電気炉で焼成してバイオセラミックの製造を完了する。
【0072】
[実験例1]
実施例1のバイオセラミックの密度、撓み強度、湿潤時の撓み強度を測定し、その結果を下記の表1に示す。
【0073】
-密度は、KSF 2459:2002により測定し、撓み強度、湿潤時の撓み強度は、KSF 3200:2006により測定し、全吸収率は、KSF 3504:2003により測定した。
【0074】
【表1】
【0075】
上記の表1を参照すると、実施例1のバイオセラミックの密度は0.32g/&#13220;であって、大韓民国公開特許第10-2012-0077746号公報の0.44g/&#13220;と比べたときに超軽量性を有し、強度もまた非常に良好であることを確認することができる。なお、実施例1のバイオセラミックの全吸収率を見ると、自体重量の89%まで水分を含有することができて、乾燥に際しては水分を排出し、湿った気候のときには水分を吸収して施工空間内の湿度を調節する機能に非常に優れているということを確認することができる。
【0076】
[実験例2]
実施例1のバイオセラミックの不燃性試験を行い、その結果を下記の表2に示す。
【0077】
-不燃性試験は、KSF ISO 1182:2004により行った。
【0078】
【表2】
【0079】
上記の表2を参照すると、韓国の建設交通部告示第2006-476号の建築物内部仕上げ材料の難燃性能基準第2条第1項の不燃材料の欄では、質量減少率は30%以下、昇温は20K以下、炎の持続時間は10秒以下と定めているが、実施例1のバイオセラミックの場合、難燃性能に対する基準をいずれも大きく上回るということを確認することができた。
【0080】
[実験例3]
実施例1のバイオセラミックのガス有害性試験及び新築共同住宅の室内空気質勧告基準(第7条の2に関わる)の試験を行い、その結果を下記の表3に示す。
【0081】
-ガス有害性試験は、KSF 2271:2006により行った。
【0082】
【表3】
【0083】
上記の表3を参照すると、ガス有害性試験の場合、建設告示第2006-476号の第2条第2項にマウスの行動停止時間は9分以上と定められているが、実施例1のバイオセラミックは最短で15分93秒であって目安を大きく上回り、総揮発性有機化合物(TVOC)及びホルムアルデヒド(HCHO)(mg/m2,h)は目安を満たしているということを確認することができた。
【0084】
[実験例4]
実施例1のバイオセラミックの熱伝導率試験を行い、その結果を下記の表4に示す。
【0085】
-熱伝導率試験は、KSL 9016:2005により行った。
【0086】
【表4】
【0087】
上記の表4を参照すると、実施例1のバイオセラミックの熱伝導率(w/mK)は0.059であって、大韓民国公開特許第10-2012-0077746号公報の0.12と比べたときに熱伝導率が著しく向上したということを確認することができる。
【0088】
[実験例5]
実施例1のバイオセラミックの脱臭性能試験を行い、その結果を下記の表5に示す。
【0089】
-下記の表5のBLANKとは、試料を入れなかった状態で測定した値のことをいい、試験方法は、韓国遠赤外線応用評価研究院の規格KFIA-1004に従った方法であり、試験ガスはアンモニアガスであり、ガス濃度の測定値は、ガス検知管を用いて測定した値である。
【0090】
【表5】
【0091】
上記の表5を参照すると、実施例1のバイオセラミックは脱臭率が最高で96%であって、非常に優れた脱臭性能を発揮するということを確認することができる。
【0092】
[実験例6]
実施例1のバイオセラミックの遠赤外線放射率、放射エネルギー及び陰イオンの発生量を測定し、その結果を下記の表6に示す。
【0093】
-遠赤外線放射率、放射エネルギーの試験方法は、韓国遠赤外線応用評価研究院の試験方法KFIA-FI-1005に従った方法であって、40℃のFT-IR(フーリエ変換赤外分光法)分光光度計を用いたBLANK BODY対比の測定結果であり、陰イオン発生量の試験方法は、遠赤外線応用評価研究院の規格KFIA-FI-1042に従った方法であって、電荷粒子の測定装置を用いて、室内温度23℃、湿度32%、大気中の陰イオン数102/ccの条件下で試験を行い、測定対象物から放出される陰イオンを測定して、単位体積当たりのION数で表わした結果である。
【0094】
【表6】
【0095】
上記の表6を参照すると、実施例1のバイオセラミックは、遠赤外線放射能及び陰イオン発生能に優れているということを確認することができる。
【0096】
[実験例7]
実施例1のバイオセラミックに対する抗菌試験を行い、その結果を下記の表7に示す。
【0097】
-熱伝導率試験は、KSL 9016:2005により行った。
【0098】
【表7】
【0099】
上記の表7を参照すると、実施例1のバイオセラミックは、卓越した抗菌性能を発揮するということを確認することができる。
【0100】
一方、本発明の詳細な説明の欄及び添付図面においては、具体的な実施形態について説明したが、本発明は、開示された実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者にとって、本発明の技術的な思想を逸脱しない範囲内において、種々の置換、変形及び変更を加えることが可能である。よって、このような置換、変形及び変更は、添付の特許請求の範囲内に属するものと理解すべきである。よって、本発明の範囲は、説明された実施形態に限られて定められてはならず、特許請求の範囲だけではなく、この特許請求の範囲と均等なものを含むものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0101】
100:温熱器兼用座薫器
110:本体
111a:第1の分割胴体
111b:第2の分割胴体
111c:蝶番
112:キャスタ
117:コンセント
118:コントローラ
120:温熱モジュール
121:熱板
123:バイオセラミック
125:安全網
130:燻蒸モジュール
131:熱板
132:容器
132a:排出孔
134a,134b:螺合
135:座台
135a:孔
137:蓋体
A:薬剤
図1
図2
図3
図4