(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】ストッカ及びストッカシステム
(51)【国際特許分類】
B65G 61/00 20060101AFI20231011BHJP
A47G 29/12 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
B65G61/00 550
A47G29/12 D
(21)【出願番号】P 2021550812
(86)(22)【出願日】2019-10-01
(86)【国際出願番号】 JP2019038756
(87)【国際公開番号】W WO2021064862
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-02-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 実可子
(72)【発明者】
【氏名】河口 浩二
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 武
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特許第6164599(JP,B1)
【文献】国際公開第2019/054146(WO,A1)
【文献】特開2000-197557(JP,A)
【文献】特開昭64-31264(JP,A)
【文献】特開2015-81459(JP,A)
【文献】特開2015-48630(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 61/00
A47G 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容するストッカと物品を運搬し前記ストッカと前記物品のやりとりを行う移動体とを有するストッカシステムに用いられるストッカであって、
物品を収容する納品庫と、
前記納品庫を閉鎖し施錠可能な扉と、
前記扉の開放及び閉鎖を行
い、前記扉の開度を調節可能な機構である扉駆動部と、
前記移動体からの開放指令を取得すると前記物品を収容及び取出可能な開度で前記扉を開放し前記移動体の作業が終了すると前記扉を閉鎖する第1の態様で前記扉駆動部を制御し、使用者からの開放信号を取得すると前記第1の態様と異なり該使用者が扉の開放を認識できる第2の態様を実行した後に前記扉が閉鎖されたか否かを判定し前記扉が閉鎖されていないと判定したときには前記扉を閉鎖する旨のメッセージを出力する制御部と、
を備え
、
前記扉駆動部は、
駆動部により伸張、短縮可能なアーム部材と、
前記アーム部材の一端と前記扉とに回動可能に接続する接続部と、
前記納品庫の開口端に沿って配設されるガイド軸と、
前記アーム部材の他端に回動可能に接続し、前記ガイド軸に沿ってスライドする支持部と、
を備えたストッカ。
【請求項2】
前記扉は、支持軸に支持され回動して前記納品庫を開放するものであり、
前記制御部は、前記移動体からの開放指令を取得すると、前記第1の態様として前記扉を90°以上の角度範囲で開放するよう前記扉駆動部を制御する、請求項1に記載のストッカ。
【請求項3】
前記制御部は、前記使用者からの開放信号を取得すると、前記第2の態様として前記扉を45°以下の角度範囲で開放するよう前記扉駆動部を制御する、請求項2に記載のストッカ。
【請求項4】
前記ストッカシステムは、前記ストッカを管理する管理装置を更に有し、
前記制御部は、前記管理装置を介して前記移動体からの開放指令を取得する、請求項1~
3のいずれか1項に記載のストッカ。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載のストッカであって、
使用者からの入力を受け付ける操作パネル、を備え、
前記制御部は、前記操作パネルから前記使用者からの開放信号を取得する、ストッカ。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載のストッカと、
物品を運搬し前記ストッカと前記物品のやりとりを行い前記ストッカの近傍で前記扉の開放指令を出力する移動体と、
を備えたストッカシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、ストッカ、ストッカシステム及びストッカの制御方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、宅配用のストッカシステムとしては、例えば、複数の宅配ボックス部と、荷物の配送先に基づいて複数の宅配ボックス部の中から配送先に対応する宅配ボックス部を特定する配送先特定処理部と、特定された宅配ボックス部が設置された場所に自動運転により荷物を配送する移動体とを備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この移動体は、特定された宅配ボックス部に対応する開閉扉が開かれて露出した内部空間領域に向けて延伸し宅配ボックス部に架設される延伸レール部と、延伸レール部を介して移動体により配送されてきた荷物を内部空間領域に収納する収納機構とを含む。このストッカシステムでは、人手による作業を削減しつつ、効率よく配送を行うことを可能とする、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1のストッカでは、移動体によって自動で物品を出し入れすることは考慮されていたが、使用者が物品を取出、収容する場合や、移動体が物品を収容、取出する場合などは考慮されていなかった。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、自動運搬する移動体や使用者が物品を収容、取り出しやすいストッカ、ストッカシステム及びストッカの制御方法を提供することを主目的とする。
【0006】
本開示のストッカは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本明細書で開示するストッカは、
物品を収容するストッカと物品を運搬し前記ストッカと前記物品のやりとりを行う移動体とを有するストッカシステムに用いられるストッカであって、
物品を収容する納品庫と、
前記納品庫を閉鎖し施錠可能な扉と、
前記扉の開放及び閉鎖を行う扉駆動部と、
前記移動体からの開放指令を取得すると前記物品を収容及び取出可能な開度で前記扉を開放する第1の態様で前記扉駆動部を制御し、使用者からの開放信号を取得すると前記第1の態様と異なり該使用者が扉の開放を認識できる第2の態様を実行する制御部と、
を備えたものである。
【0008】
このストッカでは、移動体からの開放指令を取得すると物品を収容及び取出可能な開度で扉を開放する第1の態様で扉駆動部を制御する。一方、ストッカは、使用者からの開放信号を取得すると第1の態様と異なりこの使用者が扉の開放を認識できる第2の態様を実行する。このように、このストッカでは、移動体と使用者とでそれぞれに適した扉の開放態様を実行する。このストッカでは、自動運搬する移動体や使用者が物品を収容、取り出しやすい。ここで、使用者からは開放信号、移動体からは開放指令を取得するものとしているが、区別を容易にするためであり、信号と指令とは特別な差異を意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ストッカシステム10の一例を示す概略説明図。
【
図2】納品庫20及び運搬装置50の一例を示す説明図。
【
図3】扉制御ルーチンの一例を表すフローチャート。
【
図5】使用者Mへ扉22の解錠を報知する一例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は、ストッカシステム10の一例を表す概略説明図である。
図2は、納品庫20及び運搬装置50の一例を示す説明図であり、
図2Aが側面視した図、
図2Bが上部からみた図である。なお、本実施形態において、左右方向、前後方向及び上下方向は、各図に示した通りとする。
【0011】
ストッカシステム10は、1又は2以上のストッカ11と、管理装置12とを備えている。なお、
図1では、ストッカ11を1つだけ示した。管理装置12は、ネットワーク13を介してストッカ11と情報のやりとりを行うサーバとして構成されている。この管理装置12は、ストッカ11の利用状況などを管理する。
【0012】
ストッカ11は、
図1に示すように、物品Aを納入可能な箱状の複数の納品庫20と、各納品庫20への物品Aの納入や取り出しに関する各種操作を受け付けたり各納品庫20の施錠や解錠に関する各種処理を行ったりする制御ユニット30とを備える。ストッカ11は、上下に複数個(
図1では4個)ずつの納品庫20が左右に複数列(
図1では5列)並んで配置されており、左端の列の1の納品庫20に代えて制御ユニット30が配置されている。このストッカ11は、オフィスやコンビニエンスストア、駅、学校、マンション、ショッピングセンタなど様々な場所に設置され、屋内だけでなく屋外にも設置可能に構成されている。ストッカ11は、いずれかの納品庫20を配達先として運搬装置50(
図2参照)又は配達者により物品Aが納入された後に、物品Aを受け取る使用者Mがこの納品庫20から物品Aを取り出して物品Aを受け取ることで、配達者により配達される物品Aの受け渡しに用いられる。
【0013】
納品庫20は、
図1に示すように、本体21と、扉22と、扉駆動部23とを備える。本体21は、物品Aを収容する直方体状の空間を有する箱体である。納品庫20は、扉22を開いて本体21内の空間に物品Aを納入可能となっている。本体21には図示しないロック機構が配設されており、このロック機構により扉22が施錠される。ロック機構は、駆動部により駆動され機械的にロックする機構としてもよいし、電磁的にロックする機構としてもよい。扉22は、本体21の開口部を開放及び閉鎖し施錠可能な矩形板状の部材である。この扉22は、支持軸に支持され回動して納品庫を開放、閉鎖するものである。この納品庫20では、上下方向に沿った支持軸が扉22の右側に配設されており、支持軸に支持された扉22が右開きで開口部を開放する(
図1参照)。扉駆動部23は、扉22を駆動し開放及び閉鎖するものであり、例えば、モータとしてもよい。この扉駆動部23は、支持軸に直結されていてもよいし、支持軸にギアを介して接続されているものとしてもよい。
【0014】
制御ユニット30は、
図1に示すように、制御部32と、操作パネル33とを備える。制御部32は、各納品庫20と同じサイズの直方体状の本体内の空間に配置されている。制御部32は、ストッカ11の全体を制御するものであり、図示しないCPUや記憶部を備えている。操作パネル33は、前面パネル31の中央に配設されている。操作パネル33は、タッチ操作が可能な画面を有している。この操作パネル33は、例えば、物品Aの納入や取り出しに関する操作案内などを表示する案内画像や物品Aの納入や取り出しに関する入力操作などを受け付ける操作画像などを画面に表示する。この前面パネル31には、そのほかの機器として、カードリーダ、コードリーダ、受領印モジュール、カメラモジュール、シリンダ錠、音声ユニット及び人感センサなどが配設されている。制御部32は、前面パネル31に配設された操作パネル33やその他の機器の操作により配達者や受取者などの使用者が入力した情報などに基づいて、扉22の開錠や施錠などを行う。
【0015】
運搬装置50は、物品Aを運搬しストッカ11と物品Aのやりとりを行う移動体として構成されている。運搬装置50は、物品Aが保管される保管庫とストッカ11との間で自動運転により移動する装置である。この運搬装置50は、
図2に示すように、載置台51と、伸張アーム52と、支持台53と、昇降ガイド54と、収容部56と、移動部58と,制御装置59とを備えている。載置台51は、本体21へ収容する物品Aや本体21から回収した物品Aなどを載置する部材である。載置台51は、矩形平板状の部材であり、伸張アーム52によって収容部56から外部に送り出され、また伸張アーム52により収容部56へ収容される。伸張アーム52は、一端側に載置台51が配設され、他端側で支持台53に配設されている柱状部材である。この伸張アーム52は、図示しない駆動部により伸張、短縮し、載置台51を収容部56の内外で移動させる。支持台53は、図示しない駆動部からの駆動力によって昇降ガイド54に沿って昇降する部材であり、伸張アーム52を介して載置台51を支持する。昇降ガイド54は、上下方向を長手方向とする溝が形成された部材であり、収容部56の側壁に2箇所ずつ設けられている。収容部56は、運搬装置50の本体の内側に形成されている物品Aを収容する空間である。移動部58は、運搬装置50を移動するものであり、駆動モータと、車輪とを備えている。制御装置59は、装置全体を制御するものであり、図示しないCPUや記憶部、外部機器と通信する通信部などを備えている。制御装置59は、通信部を介して管理装置12などから目的のストッカ11の位置や保管庫の位置、移動する物品Aの情報などを取得する。制御装置59は、目的のストッカ11や保管庫へ移動するよう移動部58を制御し、物品Aのやりとりを実行するよう載置台51を移動させる。なお、運搬装置50は、載置台51、伸張アーム52、支持台53を各1つずつ収容部56内に備えるものとしたが、これらを複数備えるものとしてもよい。また、運搬装置50は、収容部56内で物品Aを昇降させるものとしたが、物品Aを収容する収容部56とは別に物品Aを昇降する空間を有するものとしてもよい。
【0016】
次に、このように構成された納品庫20において、扉22を開放する際の動作について説明する。
図3は、制御部32が実行する扉制御ルーチンの一例を表すフローチャートである。
図4は、扉22を開放する一例の説明図であり、
図4Aが運搬装置50の開放指令に基づく開放、
図4Bが使用者Mの開放信号に基づく開放の説明図である。扉制御ルーチンは、制御部32が有する記憶部に記憶され、制御ユニット30が起動されたあと、所定のタイミングで繰り返し実行される。このルーチンを開始すると、制御部32は、扉22の開放に関する情報を取得したか否かを判定する(S100)。扉22の開放に関する情報を取得していないときには、そのままこのルーチンを終了する。
【0017】
一方、S100で、運搬装置50からの開放指令を取得すると、物品Aを収容及び取出可能な開度で扉22を開放する第1の態様で扉駆動部23を制御し、扉22を開放する(S110)。制御部32は、運搬装置50からの指令や情報を運搬装置50から直接受信してもよいし、管理装置12を介して間接的に受信してもよい。前者では処理時間を短縮でき、後者ではストッカ11の処理などについて管理装置12でより確実に管理することができる。ここでは、制御部32は、
図4Aに示すように、第1の態様として、90°以上の角度範囲で扉22を開放するよう扉駆動部23を制御する。この運搬装置50からの開放指令に基づく扉22の開放角度θ1は、90°であるものとしてもよいし、これを超えた100°や120°としてもよい。このように、本体21の開口部を開放すると、運搬装置50がこの開口部にアクセスしやすい。また、制御部32は、扉22を全開するに際して、図示しないカメラモジュールの撮像画像に基づいて、周りに障害物があるか否かを判定したのち、扉22を開放するものとしてもよい。運搬装置50の制御装置59は、扉22が開放されたことを確認すると、予め定められた作業を実行する。例えば、制御部32が、扉22が開放されたことを示す情報を発信し、その情報を、運搬装置50の制御装置59が直接、あるいは管理装置12を介して間接的に受信することにより、運搬装置50の制御装置59は扉22が開放されたことを確認してもよい。あるいは、運搬装置50の制御装置59は、開放指令の発信時から所定時間経過したことを認識すると、扉22が開放されたものとして推定してもよい。また、運搬装置50が物品Aを本体21へ収容する場合、制御装置59は、該当する本体21の前へ移動させ、載置台51の高さを調節し、載置台51を本体21の内部空間へ移動させる(
図2B参照)。作業が終了すると、制御装置59は、作業終了の信号を制御ユニット30及び/又は管理装置12へ送信する。
【0018】
S110のあと、制御部32は、運搬装置50の作業が終了したか否かを運搬装置50からの信号に基づいて判定し(S120)、作業が終了していないときには、そのまま待機する。一方、運搬装置50の作業が終了したときには、制御部32は、扉22を閉鎖するよう扉駆動部23を制御する(S130)。続いて、制御部32は、扉22の施錠を実行し(S170)、処理内容を記憶すると共に処理内容を管理装置12へ出力し(S180)、このルーチンを終了する。このように、運搬装置50によって、物品Aのストッカ11への配送を自動で行うことができる。
【0019】
一方、S100で、使用者Mからの開放信号を取得すると、制御部32は、使用者が扉の開放を認識できる第2の態様を実行する(S140)。制御部32は、使用者Mからの開放信号を操作パネル33からの入力に基づいて取得する。なお、制御部32は、使用者Mからの開放信号を操作パネル33を介さずに使用者Mの携帯端末から直接あるいは管理装置12などを介して間接的に取得するものとしてもよい。制御部32は、
図4Bに示すように、第2の態様として、第1の態様の開放角度θ1よりも小さな開放角度θ2で扉22を開放する。制御部32は、第2の態様として、45°以下の角度範囲で扉22を開放するよう扉駆動部23を制御するものとしてもよい。この使用者Mからの開放信号に基づく開放角度θ2は、45°であるものとしてもよいし、45°よりも小さい30°以下や20°以下としてもよい。使用者Mは、開放角度がより小さくても、扉22の開放を視認することができる。また、開放角度がより小さいと、扉22が通行人などへ接触することをより抑制することができる。使用者Mは、扉22が開放されたことを確認すると、所望の作業を行う。例えば、使用者Mが物品Aを受け取る場合、使用者Mは、扉22が開放された本体21の前へ移動し、扉22をより開放して中に収容された物品Aを取り出し、扉22を閉鎖する。
【0020】
S140のあと、制御部32は、図示しない扉センサからの信号に基づいて扉22が閉鎖されたか否かを判定し(S150)、扉22が閉鎖されていないときには、作業終了後に扉22を閉鎖する旨のメッセージを操作パネル33に表示させ(S160)、S150以降の処理を実行する。一方、S150で扉22が閉鎖されたときには、制御部32は、扉22の施錠を実行し(S170)、処理内容を記憶すると共に処理内容を管理装置12へ出力し(S180)、このルーチンを終了する。このように、ストッカ11は、使用者Mに応じた扉22の開放を行い、物品Aのやりとりを行うことができる。
【0021】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の納品庫20が本開示の納品庫に相当し、扉22が扉に相当し、扉駆動部23が扉駆動部に相当し、制御部32が制御部に相当し、運搬装置50が移動体に相当する。なお、本実施形態では、ストッカ11の動作を説明することにより、本開示のストッカシステムや本開示のストッカの制御方法の一例も明らかにしている。
【0022】
以上説明した本実施形態のストッカ11では、移動体としての運搬装置50からの開放指令を取得すると物品Aを収容及び取出可能な開度で扉22を開放する第1の態様で扉駆動部23を制御する。一方、ストッカ11は、使用者Mからの開放信号を取得すると第1の態様と異なりこの使用者Mが扉22の開放を認識できる第2の態様を実行する。運搬装置50は、扉22が完全に開放されていないと、本体21へアクセスすることが困難である。また、運搬装置50では、扉22を開放させる機構を備えるものとした場合、扉22を全開に開放するためには、複雑な動作を要する。一方、使用者Mでは、どの扉22が解錠されたかを視認できれば、使用者Mが扉22を開放できるため、扉22を全開にする必要はない。このように、このストッカ11では、運搬装置50と使用者Mとでそれぞれに適した扉22の開放態様を実行する。このストッカ11では、自動運搬する運搬装置50や使用者Mが物品Aを収容、取り出しやすい。
【0023】
また、扉22は、支持軸に支持され回動して納品庫20を開放するものであり、制御部32は、運搬装置50からの開放指令を取得すると、第1の態様として扉22を90°以上の角度範囲で開放するよう扉駆動部23を制御する。このストッカ11では、納品庫20の全面が開放されるため、運搬装置50が納品庫20内へよりアクセスしやすい。また、制御部32は、使用者Mからの開放信号を取得すると、第2の態様として扉を45°以下の角度範囲で開放するよう扉駆動部23を制御する。このストッカ11では、使用者Mが扉22を開放する場合に、より抑制して扉22を開放するため、人が扉に接触するなどの状態をより抑制することができる。更に、扉駆動部23は、支持軸を回転駆動して扉22を開放及び閉鎖するため、このストッカ11では、支持軸の回転により簡便な機構で扉22を開放、閉鎖することができる。
【0024】
また、ストッカシステム10は、ストッカ11を管理する管理装置12を有し、制御部32は、管理装置12を介して運搬装置50からの開放指令を取得する。このストッカ11では、管理装置12の管理を経て扉22を開放するため、セキュリティ体制や管理体制がより好ましい。また、ストッカ11は、使用者Mからの入力を受け付ける操作パネル33を備え、制御部32は、操作パネル33から使用者Mからの開放信号を取得する。このストッカ11では、操作パネル33で使用者Mによる扉22の開放を受け付けることができる。
【0025】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0026】
例えば、上述した実施形態では、制御部32は、第2の態様として、扉22を45°以下の角度範囲で開放するものとしたが、施錠解除されて扉22が開放可能と使用者Mが認識できれば、特にこれに限定されず、扉を開放しないものとしてもよい。このとき、制御部32は、使用者Mに対して施錠解除を報知するものとしてもよい。
図5は、使用者Mへ扉22の解錠を報知する一例の説明図である。
図5に示すように、例えば、ストッカ11は、納品庫20の各々に照明を有するものとし、制御部32は、第2の態様として、解錠された納品庫20の照明を点灯するものとしてもよい。
図5では、扉22を点灯するものを例示したが、扉22に透明又は半透明の部材を設け、本体21の内部を点灯するものとしてもよい。あるいは、制御部32は、第2の態様として、解錠した納品庫20の位置を操作パネル33に表示するものとしてもよい。このようにしても、使用者Mは、解錠された納品庫20を特定することができる。
【0027】
上述した実施形態では、扉22は、支持軸により軸支され、回動して納品庫20を開放するものとしたが、特にこれに限定されず、例えば、扉22は、垂直又は水平に移動して納品庫20を開放、閉鎖するシャッタとしてもよい。このとき、扉駆動部23は、シャッタを移動させるものとすればよい。このストッカ11においても、自動運搬する運搬装置50や使用者Mに応じて、扉22の開放態様を切り替えるため、物品Aを収容、取り出しやすい。
【0028】
上述した実施形態では、扉駆動部23は、扉22の支持軸を回転駆動するものとして説明したが、扉22の開放態様を制御することができれば、特にこれに限定されず、例えば、扉駆動部23は、扉22の開度を調節可能な機構としてもよい。
図6は、別の扉駆動部24を備えた納品庫20Bの一例の説明図であり、
図6Aが扉22の閉鎖、
図6Bが第2の態様、
図6Cが第1の態様で扉22を開放した図である。この納品庫20Bは、アーム部材41と、接続部42と、支持部43と、ガイド軸44とを備えた扉駆動部24を備えている。アーム部材41は、図示しない駆動部により伸張、短縮可能な棒状部材である。接続部42は、アーム部材41の一端と扉22とに回動可能に接続する部材である。支持部43は、アーム部材41の他端に回動可能に接続し、ガイド軸44に沿ってスライドする部材である。支持部43は、図示しない駆動部に駆動されガイド軸44に沿って移動する。ガイド軸44は、納品庫20の開口縁に沿って左右方向に配設されている。この扉駆動部24では、扉22が閉鎖された状態から(
図6A)、支持部43をスライドすることによってアーム部材41により接続部42が押し出され、扉22が開放される(
図6B)。また、アーム部材41を伸張することによって、扉22を更に開放することができる(
図6C)。ストッカ11は、このような扉駆動部24を用いても、扉22の開放態様を制御することができる。
【0029】
上述した実施形態では、ストッカ11が複数の納品庫20を備えるものとしたが、これに限られず、1つの納品庫20を備えるものとしてもよい。また、上述した実施形態では、ストッカシステム10は、ネットワーク13に接続された管理装置12を有するものとしたが、管理装置12を省略してもよいし、管理装置12の機能を制御部32に備えるものとしてもよい。
【0030】
ここで、本開示は、以下のように構成してもよい。
【0031】
本開示のストッカにおいて、前記扉は、支持軸に支持され回動して前記納品庫を開放するものであり、前記制御部は、前記移動体からの開放指令を取得すると、前記第1の態様として前記扉を90°以上の角度範囲で開放するよう前記扉駆動部を制御するものとしてもよい。このストッカでは、納品庫の全面が開放されるため、移動体が納品庫内へよりアクセスしやすい。扉が回動する本開示のストッカにおいて、前記制御部は、前記使用者からの開放信号を取得すると、前記第2の態様として前記扉を45°以下の角度範囲で開放するよう前記扉駆動部を制御するものとしてもよい。このストッカでは、使用者が扉を開放する場合に、より抑制して扉を開放するため、人が扉に接触するなどの状態をより抑制することができる。なお、第2の態様では、使用者が施錠解除されて扉が開放可能と認識できればよく、制御部は、扉を開放しないものとしてもよい。このとき、制御部は、使用者に対して施錠解除を報知するものとしてもよい。また、扉が回動する本開示のストッカにおいて、前記扉駆動部は、前記支持軸を回転駆動して前記扉を開放及び閉鎖するものとしてもよい。このストッカでは、支持軸の回転により簡便な機構で扉を駆動できる。
【0032】
本開示のストッカにおいて、前記ストッカシステムは、前記ストッカを管理する管理装置を更に有し、前記制御部は、前記管理装置を介して前記移動体からの開放指令を取得するものとしてもよい。このストッカでは、管理装置の管理を経て扉を開放するため、セキュリティ体制や管理体制がより好ましい。
【0033】
本開示のストッカは、使用者からの入力を受け付ける操作パネル、を備え、前記制御部は、前記操作パネルから前記使用者からの開放信号を取得するものとしてもよい。このストッカでは、操作パネルで使用者による扉の開放を受け付けることができる。あるいは、ストッカは、使用者の有する携帯端末から開放信号を取得するものとしてもよい。
【0034】
本開示のストッカシステムは、上述したいずれかのストッカと、物品を運搬し前記ストッカと前記物品のやりとりを行い前記ストッカの近傍で前記扉の開放指令を出力する移動体と、を備えたものである。このストッカシステムは、上述したストッカを備えるため、採用するストッカの態様に応じた効果を得ることができる。
【0035】
本開示のストッカの制御方法は、
物品を収容するストッカと物品を運搬し前記ストッカと前記物品のやりとりを行う移動体とを有するストッカシステムに用いられ、物品を収容する納品庫と、前記納品庫を閉鎖し施錠可能な扉と、前記扉の開放及び閉鎖を行う扉駆動部と、を備えるストッカの制御方法であって、
前記移動体からの開放指令を取得すると前記物品を収容及び取出可能な開度で前記扉を開放する第1の態様で前記扉駆動部を制御し、使用者からの開放信号を取得すると前記第1の態様と異なり該使用者が扉の開放を認識できる第2の態様を実行するステップ、
を含むものである。
【0036】
このストッカの制御方法は、上述したストッカと同様に、移動体と使用者とでそれぞれに適した扉の開放態様を実行するから、自動運搬する移動体や使用者が物品を収容、取り出しやすい。なお、このストッカの制御方法において、上述したストッカやストッカシステムの種々の態様を採用してもよいし、また、上述したストッカやストッカシステムの各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本開示のストッカは、商品を配送する商品流通システムの技術分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0038】
10 ストッカシステム、11 ストッカ、12 管理装置、13 ネットワーク、20,20B 納品庫、21 本体、22 扉、23,24 扉駆動部、30 制御ユニット、31 前面パネル、32 制御部、33 操作パネル、41 アーム部材、42 接続部、43 支持部、44 ガイド軸、50 運搬装置、51 載置台、52 伸張アーム、53 支持台、54 昇降ガイド、56 収容部、58 移動部、59 制御装置、A 物品、M 使用者、θ1,θ2 開放角度。