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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】人力駆動車用コンポーネント
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/55 20100101AFI20231011BHJP
   B62M 3/00 20060101ALI20231011BHJP
   F16H 9/24 20060101ALI20231011BHJP
   F16C 3/04 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
B62M6/55
B62M3/00 D
B62M3/00 Z
F16H9/24
F16C3/04
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022003173
(22)【出願日】2022-01-12
(62)【分割の表示】P 2018073860の分割
【原出願日】2018-04-06
(65)【公開番号】P2022044656
(43)【公開日】2022-03-17
【審査請求日】2022-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】北原 洸佑
(72)【発明者】
【氏名】藤原 孝彰
(72)【発明者】
【氏名】野田 慎一朗
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2014/103212(JP,A1)
【文献】特開昭54-83244(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0011201(US,A1)
【文献】再公表特許第2014/009995(JP,A1)
【文献】実開昭54-183860(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0182122(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1097847(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0319797(US,A1)
【文献】実開昭57-128585(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0185419(US,A1)
【文献】米国特許第9869424(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 3/00, 9/10, 6/55,
B62K 19/34,
F16H 9/24,
F16C 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクアームを取付可能な第1取付部、および、回転中心軸心を有するクランク軸と、
前記クランク軸に設けられ、スプロケットを取付可能な第2取付部を有する伝達部と、を含み、
前記第1取付部は、前記回転中心軸心の周方向における前記クランクアームの前記クランク軸に対する予め定める第1の相対位相位置を決定するための第1位置決め部を含み、
前記第2取付部は、前記回転中心軸心の周方向における前記スプロケットの前記クランク軸に対する予め定める第2の相対位相位置を決定するための第2位置決め部を含み、
前記クランクアームは、一対の孔およびスリットを備え、前記一対の孔に挿入されるボルトによって、前記スリットが狭くなるように締め付けられることによって、前記クランク軸に固定され、
前記スリットに挿入される規制部材をさらに含み、
前記規制部材は、前記クランク軸の回転中心軸心に沿う方向における前記クランク軸と前記クランクアームとの相対移動を規制する、人力駆動車用コンポーネント。
【請求項2】
前記伝達部は、前記クランク軸とは別部材である、請求項1に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項3】
前記クランクアームは、第1凹部および第1凸部の少なくとも一方を含み、
前記第1位置決め部は、前記第1凹部および前記第1凸部の前記少なくとも一方と係合する凹部および凸部の少なくとも他方を含む、請求項1または2に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項4】
前記スプロケットは、第2凹部および第2凸部の少なくとも一方を含み、
前記第2位置決め部は、前記第2凹部および前記第2凸部の前記少なくとも一方と係合する凹部および凸部の少なくとも他方を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項5】
前記第1位置決め部は、第1指標部を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項6】
前記第1指標部は、第1刻印部および第1印刷部の少なくとも一方を含む、請求項5に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項7】
前記第2位置決め部は、第2指標部を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項8】
前記第2指標部は、第2刻印部および第2印刷部の少なくとも一方を含む、請求項7に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項9】
前記第1取付部と前記第2取付部とは、前記クランク軸の軸方向において離間している、請求項1から8のいずれか一項に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項10】
前記伝達部は、中空部材である、請求項1から9のいずれか一項に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項11】
前記クランク軸は、前記伝達部を取付可能な第3取付部をさらに含み、
前記第2取付部は、前記クランク軸の前記回転中心軸心に沿う方向において前記伝達部の第1端部に設けられ、
前記第3取付部は、前記回転中心軸心の周方向における前記伝達部の前記クランク軸に対する予め定める第3の相対位相位置を決定するための第3位置決め部を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項12】
前記クランク軸から入力される人力駆動力、または、前記クランク軸の回転状態を検出する検出部をさらに含み、
前記第3取付部は、前記クランク軸の前記回転中心軸心に沿う方向において前記伝達部の第2端部に対応する位置に設けられ、
前記伝達部または前記伝達部の周囲に前記検出部が設けられる、請求項11に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項13】
前記伝達部は、第3凹部および第3凸部の少なくとも一方を含み、
前記第3位置決め部は、前記第3凹部および前記第3凸部の前記少なくとも一方と係合する凹部および凸部の少なくとも他方を含む、請求項11または12に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項14】
前記第3位置決め部は、第3指標部を含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項15】
前記第3指標部は、第3刻印部および第3印刷部の少なくとも一方を含む、請求項14に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項16】
前記クランク軸を回転可能に支持するハウジングをさらに含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項17】
人力駆動車の推進をアシストするモータをさらに含み、
前記モータは、前記ハウジングに設けられ、かつ、前記伝達部を駆動可能に構成される、請求項16に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項18】
前記モータと前記伝達部との間の動力伝達経路に設けられ、かつ、前記伝達部の外周部に設けられるワンウェイクラッチをさらに含む、請求項17に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項19】
前記スプロケットは、第1スプロケットと、前記第1スプロケットよりも直径の小さい第2スプロケットとを含み、
前記第1スプロケットおよび前記第2スプロケットの少なくとも一方は、前記第1スプロケットおよび前記第2スプロケットの間でのチェーンの移動を促進するための少なくとも1つの変速促進領域を含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【請求項20】
前記回転中心軸心の周方向において前記クランクアームが前記クランク軸に対して前記予め定める第1の相対位相位置となるように前記クランクアームを前記第1取付部に取り付け、かつ、前記回転中心軸心の周方向において前記スプロケットが前記クランク軸に対して前記予め定める第2の相対位相位置となるように前記スプロケットを前記第2取付部に取り付けた状態で、前記回転中心軸心に平行な方向から見た場合、前記少なくとも1つの変速促進領域は、前記クランクアームの近傍、または、前記回転中心軸心の周方向において前記クランクアームから180°異なる位置の近傍の少なくとも一方に配置される、請求項19に記載の人力駆動車用コンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力駆動車用コンポーネントに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示される自転車用アシストユニットは、クランク軸と、クランク軸に取り付けられるフロントスプロケットおよびクランクアームとを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-078618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の自転車用アシストユニットでは、クランクアームとスプロケットとの相対位置を定める具体的な構造について開示されていない。
本発明の目的は、クランクアームとスプロケットとの相対位置を容易に定めることができる人力駆動車用コンポーネントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に従う人力駆動車用コンポーネントは、クランクアームを取付可能な第1取付部、および、回転中心軸心を有するクランク軸と、前記クランク軸に設けられ、スプロケットを取付可能な第2取付部を有する伝達部と、を含み、前記第1取付部は、前記回転中心軸心の周方向における前記クランクアームの前記クランク軸に対する予め定める第1の相対位相位置を決定するための第1位置決め部を含み、前記第2取付部は、前記回転中心軸心の周方向における前記スプロケットの前記クランク軸に対する予め定める第2の相対位相位置を決定するための第2位置決め部を含む。
第1側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、クランク軸に対するクランクアームの相対位相位置と、クランク軸に対するスプロケットの相対位相位置とがそれぞれ予め定められるため、クランクアームとスプロケットとの相対位置が一意的に決まる。したがって、クランクアームとスプロケットとの相対位置を容易に定めることができる。
【0006】
前記第1側面に従う第2側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記クランクアームは、凹部および凸部の少なくとも一方を含み、前記第1位置決め部は、前記凹部および前記凸部の前記少なくとも一方と係合する前記凹部および前記凸部の少なくとも他方を含む。
第2側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、クランクアームとクランク軸との相対回転を好適に防止できる。
【0007】
前記第1または第2側面に従う第3側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記スプロケットは、凹部および凸部の少なくとも一方を含み、前記第2位置決め部は、前記凹部および前記凸部の前記少なくとも一方と係合する前記凹部および前記凸部の少なくとも他方を含む。
第3側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、伝達部とスプロケットとの相対回転を好適に防止できる。
【0008】
第1~第3側面のいずれか一つに従う第4側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記第1位置決め部は、第1指標部を含む。
第4側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、第1指標部を視認してクランク軸とクランクアームとを組み付けることにより、クランク軸に対して第1の相対位相位置でクランクアームを容易に組み付けることができる。
【0009】
第4側面に従う第5側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記第1指標部は、第1刻印部および第1印刷部の少なくとも一方を含む。
第5側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、第1刻印部および第1印刷部の少なくとも一方を視認してクランク軸とクランクアームとを組み付けることにより、クランク軸に対して第1の相対位相位置でクランクアームを容易に組み付けることができる。
【0010】
第1~第5側面のいずれか一つに従う第6側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記第2位置決め部は、第2指標部を含む。
第6側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、第2指標部を視認してクランク軸とスプロケットとを組み付けることにより、クランク軸に対して第2の相対位相位置でスプロケットを容易に組み付けることができる。
【0011】
第6側面に従う第7側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記第2指標部は、第2刻印部および第2印刷部の少なくとも一方を含む。
第7側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、第2刻印部および第2印刷部の少なくとも一方を視認してクランク軸とスプロケットとを組み付けることにより、クランク軸に対して第2の相対位相位置でスプロケットを容易に組み付けることができる。
【0012】
第1~第7側面のいずれか一つに従う第8側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記第1取付部と前記第2取付部とは、前記クランク軸の軸方向において離間している。
第8側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、クランクアームにおける第1取付部に取り付けられる部分の構造を簡素化できる。
【0013】
第1~第8側面に従う第9側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記伝達部は、前記クランク軸とは別部材である。
第9側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、クランク軸が複雑な構造になることが抑制できる。
【0014】
第9側面に従う第10側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記伝達部は、中空部材である。
第10側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、伝達部材を軽量化できる。
【0015】
第1~第8側面のいずれか一つに従う第11側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記伝達部は、前記クランク軸の外表面に直接形成される。
第11側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、人力駆動車用コンポーネントの部品点数を低減できる。
【0016】
第9または第10側面に従う第12側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記クランク軸は、前記伝達部を取付可能な第3取付部をさらに含む。
第12側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、クランク軸に伝達部材を直接的に取り付けることができる。
【0017】
第12側面に従う第13側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、第3取付部は、前記回転中心軸心の周方向における前記伝達部の前記クランク軸に対する予め定める第3の相対位相位置を決定するための第3位置決め部を含む。
第13側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、クランク軸に対する伝達部の相対位相位置を予め定められた位置に決めることができる。
【0018】
第13側面に従う第14側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記伝達部は、凹部および凸部の少なくとも一方を含み、前記第3位置決め部は、前記凹部および前記凸部の前記少なくとも一方と係合する前記凹部および前記凸部の少なくとも他方を含む。
第14側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、伝達部からの動力をクランク軸に好適に伝達できる。
【0019】
第13または第14側面に従う第15側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記第3位置決め部は、第3指標部を含む。
第15側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、第3指標部を視認してクランク軸と伝達部とを組み付けることにより、クランク軸に対して第3の相対位相位置で伝達部を容易に組み付けることができる。
【0020】
15側面に従う第16側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記第3指標部は、第3刻印部および第3印刷部の少なくとも一方を含む。
第16側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、第3刻印部および第3印刷部の少なくとも一方を視認してクランク軸と伝達部とを組み付けることにより、クランク軸に対して第3の相対位相位置で伝達部を容易に組み付けることができる。
【0021】
第1~第16側面のいずれか一つに従う第17側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記クランク軸を回転可能に支持するハウジングをさらに含む。
第17側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、ハウジングによってクランク軸を好適に支持できる。
【0022】
第17側面に従う第18側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記人力駆動車の推進をアシストするモータをさらに含み、前記モータは、前記ハウジングに設けられ、かつ、前記伝達部を駆動可能に構成される。
第18側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、モータの駆動力を伝達部に伝達することによって、人力駆動車の推進をアシストできる。
【0023】
第1~第18側面のいずれか一つに従う第19側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記スプロケットは、第1スプロケットと、前記第1スプロケットよりも直径の小さい第2スプロケットとを含み、前記第1スプロケットおよび前記第2スプロケットの少なくとも一方は、前記第1スプロケットおよび前記第2スプロケットの間でのチェーンの移動を促進するための少なくとも1つの変速促進領域を含む。
第19側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、変速促進領域を介して第1スプロケットと第2スプロケットとの間でチェーンが円滑に移動できる。
【0024】
第19側面に従う第20側面の人力駆動車用コンポーネントにおいて、前記回転中心軸心の周方向において前記クランクアームが前記クランク軸に対して前記予め定める第1の相対位相位置となるように前記クランクアームを前記第1取付部に取り付け、かつ、前記回転中心軸心の周方向において前記スプロケットが前記クランク軸に対して前記予め定める第2の相対位相位置となるように前記スプロケットを前記第2取付部に取り付けた状態で、前記回転中心軸心に平行な方向から見た場合、前記少なくとも1つの変速促進領域は、前記クランクアームの近傍、または、前記回転中心軸心の周方向において前記クランクアームから180°異なる位置の近傍の少なくとも一方に配置される。
第20側面の人力駆動車用コンポーネントによれば、クランクアームが上死点または下死点に位置する場合にチェーンが第1スプロケットと第2スプロケットとの間で円滑に移動できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の人力駆動車用コンポーネントは、クランクアームとスプロケットとの相対位置を容易に定めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態の人力駆動車用コンポーネントを含む人力駆動車の側面図。
図2図1の人力駆動車のクランク軸近傍の斜視図。
図3】クランク軸、クランクアーム、および、スプロケットの分解斜視図。
図4】クランクアームにおけるクランク軸に取り付けられる部分を拡大した側面図。
図5】クランク軸および伝達部を回転中心軸心に沿う方向から見た平面図。
図6】スプロケットにおけるクランク軸に取り付けられる部分を拡大した側面図。
図7】クランクアームおよびスプロケットの回転中心軸心の周方向における位置関係を示す側面図。
図8】クランク軸および伝達部の分解斜視図。
図9】伝達部を回転中心軸心に沿う方向から見た平面図。
図10】クランク軸を回転中心軸心に沿う方向から見た平面図。
図11】クランク軸とクランクアームとの取り付け構造を示す斜視図。
図12】(a)は規制部材がクランク軸を規制する前の断面図、(b)は規制部材がクランク軸を規制した後の断面図。
図13】人力駆動車用コンポーネントのクランク軸近傍の断面図。
図14】人力駆動車用コンポーネント、クランクアーム、および、スプロケットの正面図。
図15】人力駆動車用コンポーネント、クランクアーム、および、スプロケットの側面図。
図16】変形例のクランク軸および伝達部の分解斜視図。
図17】(a)は第1刻印部の一例を示す斜視図、(b)は第1印刷部の一例を示す斜視図。
図18】変形例の人力駆動車用コンポーネント、クランクアーム、および、スプロケットの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1を参照して、実施形態の人力駆動車用コンポーネント50を含む人力駆動車Bについて説明する。以下、人力駆動車用コンポーネント50を、単にコンポーネント50と記載する。人力駆動車Bは、少なくとも人力駆動力によって駆動することができる車である。人力駆動車Bは、例えば、自転車を含む。人力駆動車Bは、車輪の数が限定されず、例えば1輪車および3輪以上の車輪を備える車も含む。自転車は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車、ならびに、電動アシスト自転車(E-bike)を含む。以下、実施の形態において、人力駆動車Bを、自転車として説明する。
【0028】
人力駆動車Bは、フレーム20、クランク30、駆動機構10、および、駆動輪12を含む。クランク30には、人力駆動力が入力される。クランク30は、フレーム20に対して回転可能なクランク軸32と、クランク軸32の両端部にそれぞれ設けられるクランクアーム34とを含む。各クランクアーム34には、ペダル36が連結される。駆動輪12は、フレーム20に支持される。クランク30と駆動輪12とは、駆動機構10によって連結される。駆動機構10は、クランク軸32に結合されるスプロケット14を含む。駆動機構10は、連結部材16と、スプロケット18とをさらに含む。連結部材16は、スプロケット14の回転力をスプロケット18に伝達する。連結部材16は、例えば、チェーン、ベルト、または、シャフトを含む。本実施形態では、連結部材16は、チェーン16Aを含む。
【0029】
スプロケット18は、駆動輪12に連結される。スプロケット18と駆動輪12との間には、ワンウェイクラッチが設けられていることが好ましい。ワンウェイクラッチは、スプロケット18が前転した場合に、駆動輪12を前転させ、スプロケット18が後転した場合に、駆動輪12を後転させないように構成される。本実施形態では、スプロケット14は、フロントスプロケットを含み、スプロケット18は、リアスプロケットを含む。以下、フロントスプロケットを単にスプロケット14と記載する。
【0030】
人力駆動車Bは、前輪12Fおよび後輪12Rを含む。以下の実施形態では、後輪12Rを駆動輪12として説明するが、前輪12Fが駆動輪12であってもよい。
フレーム20は、ダウンチューブ20Aを含む。フレーム20は、ヘッドチューブ20B、トップチューブ20C、シートチューブ20D、シートステイ20E、および、チェーンステイ20Fをさらに含む。
【0031】
図1および図2に示されるとおり、人力駆動車Bは、バッテリ24を含む。コンポーネント50およびバッテリ24は、フレーム20に取り付けられる。一例では、コンポーネント50は、少なくとも一部が人力駆動車Bのフレーム20に収容される。バッテリ24は、少なくとも一部が人力駆動車Bのフレーム20に収容されることが好ましい。本実施形態では、バッテリ24は、全体が人力駆動車Bのフレーム20に収容される。本実施形態では、バッテリ24は、全体がダウンチューブ20Aに収容される。バッテリ24は、シートチューブ20Dに収容されていてもよく、トップチューブ20C(図1参照)に収容されていてもよく、シートステイ20E(図1参照)に収容されていてもよく、チェーンステイ20Fに収容されていてもよい。バッテリ24は、複数に分割して構成されていてもよく、ダウンチューブ20A、シートチューブ20D、トップチューブ20C、シートステイ20E、および、チェーンステイ20Fの少なくとも2つ以上に収容されていてもよい。
【0032】
図2に示されるように、フレーム20は、コンポーネント50の少なくとも一部が挿入される取付部22を含む。取付部22は、少なくとも一部がダウンチューブ20Aに設けられる。取付部22は、周壁部22A、開口部22B、および、接続部22Cを含む。取付部22は、コンポーネント50およびバッテリ24の収容空間22Sを含んで形成される。
【0033】
周壁部22Aは、ダウンチューブ20Aの一部を含む。周壁部22Aは、ダウンチューブ20Aの下端部に形成される。図2では、開口部22Bは、人力駆動車Bの下方に開口する。開口部22Bは、ダウンチューブ20Aの下端部に形成される。接続部22Cは、ダウンチューブ20Aの下端部に設けられる。接続部22Cには、シートチューブ20Dおよびチェーンステイ20Fが接続される。接続部22Cは、シートチューブ20Dおよびチェーンステイ20Fと一体に形成されることが好ましいが、溶接、接着などによってシートチューブ20Dおよびチェーンステイ20Fと接続されてもよい。
【0034】
フレーム20は、カバー26をさらに含む。カバー26は、開口部22Bの開口の少なくとも一部を塞ぐ。カバー26は、開口部22Bの全体を塞ぐことが好ましい。カバー26は、開口部22Bおよびコンポーネント50の少なくとも一方に取付可能なフレーム取付部26Aを含む。フレーム取付部26Aは、例えばボルトBTを挿入可能な孔を含む。ボルトBTがフレーム取付部26Aの孔を介して取付部22の開口部22Bの周辺に設けられたねじ孔にねじ込まれることによって、カバー26が開口部22Bに取り付けられる。カバー26が開口部22Bに取り付けられることにより、コンポーネント50は、全体がダウンチューブ20Aおよび接続部22Cに収容される。
【0035】
図2に示されるように、コンポーネント50およびバッテリ24は、互いに連結された状態で、フレーム20の収容空間22Sに収容される。コンポーネント50とバッテリ24とは、物理的および電気的に連結されてもよく、コンポーネント50とバッテリ24とが相互に離間して配置されて電気ケーブルによって電気的に連結されてもよい。
【0036】
図3に示されるとおり、コンポーネント50は、クランクアーム34を取付可能な第1取付部32A、および、回転中心軸心JCを有するクランク軸32と、クランク軸32に設けられ、スプロケット14を取付可能な第2取付部52Aを有する伝達部52と、を含む。第1取付部32Aは、回転中心軸心JCの周方向におけるクランクアーム34のクランク軸32に対する予め定める第1の相対位相位置を決定するための第1位置決め部32Bを含む。第2取付部52Aは、回転中心軸心JCの周方向におけるスプロケット14のクランク軸32に対する予め定める第2の相対位相位置を決定するための第2位置決め部52Bを含む。第1取付部32Aと第2取付部52Aとは、クランク軸32の軸方向において離間している。一例では、第1取付部32Aは、クランク軸32の軸方向の両端部に設けられる。第2取付部52Aは、回転中心軸心JCに沿う方向において伝達部52の第1端部に設けられる。第2取付部52Aは、回転中心軸心JCに沿う方向において2つの第1取付部32Aの間に位置する。より詳細には、第2取付部52Aは、クランク軸32の軸方向における中央位置よりも一方の第1取付部32A寄りに位置する。本実施形態において、クランク軸32は、中空に形成されているが、中実に形成されていてもよい。
【0037】
クランクアーム34は、凹部および凸部の少なくとも一方を含む。第1位置決め部32Bは、クランクアーム34の凹部および凸部の少なくとも一方と係合する凹部および凸部の少なくとも他方を含む。スプロケット14は、凹部および凸部の少なくとも一方を含む。第2位置決め部52Bは、スプロケット14の凹部および凸部の少なくとも一方と係合する凹部および凸部の少なくとも他方を含む。
【0038】
一例では、クランクアーム34は、クランク軸32に取り付けられる取付部34Aを含む。取付部34Aは、クランク軸32が挿入される貫通孔34Bと、貫通孔34Bと連通するスリット34Cと、クランク軸32とクランクアーム34とをボルト(図示略)によって固定するための一対の孔34Dとを含む。スリット34Cは、クランクアーム34の端部においてクランクアーム34が延びる方向に沿って形成される。一対の孔34Dは、クランクアーム34が延びる方向および貫通孔34Bが延びる方向と直交する方向にクランクアーム34の端部を貫通する貫通孔を含む。一対の孔34Dは、スリット34Cと連通する。
【0039】
図4に示されるように、取付部34Aにおける貫通孔34Bを構成する内周面には、クランクアーム34の凹部および凸部の少なくとも一方の一例であるセレーション34Eが形成される。本実施形態では、セレーション34Eは、回転中心軸心JCに沿って延びる複数の凹部を含む。セレーション34Eの複数の凹部は、好ましくは、回転中心軸心JCの周方向の全周にわたり形成される。セレーション34Eの複数の凹部は、回転中心軸心JCの周方向に所定のピッチで並ぶ第1の凹部34Gと、回転中心軸心JCまわりの幅が、第1の凹部34Gよりも広い第2の凹部34Fとを含む。一例では、第2の凹部34Fは、第1の凹部34Gの2ピッチ分の幅になるように形成されている。回転中心軸心JCの周方向において、第2の凹部34Fは、クランク軸32の回転中心軸心JCまわりにスリット34Cと180°離れた位置に設けられる。第1の凹部34Gおよび第2の凹部34Fの幅の大きさ、および、回転中心軸心JCの周方向における第2の凹部34Fの位置はそれぞれ、任意に変更可能である。第2の凹部34Fは、クランクアーム34とクランク軸32との連結作業を行う作業者が第1の凹部34Gとの区別が視認可能なように構成されていればよい。
【0040】
図5に示されるように、クランク軸32の第1位置決め部32Bは、クランクアーム34の凹部および凸部の少なくとも一方と係合する凹部および凸部の少なくとも他方の一例として、クランクアーム34のセレーション34Eと係合するセレーション32Cを含む。本実施形態では、セレーション32Cは、回転中心軸心JCに沿って延びる複数の凸部を含む。セレーション32Cの複数の凸部は、好ましくは、回転中心軸心JCの周方向の全周にわたり形成される。セレーション32Cの複数の凸部は、回転中心軸心JCの周方向に所定のピッチで並ぶ第1の凸部33Aと、回転中心軸心JCまわりの幅が、第1の凸部33Aよりも広い第2の凸部33Bを含む。第1位置決め部32Bは、第1指標部32Dを含む。第1指標部32Dは、第2の凸部33Bを含む。一例では、第2の凸部33Bは、回転中心軸心JCの周方向において180°離れた2箇所に設けられる。一例では、2つの第2の凸部33Bはそれぞれ、第1の凸部33Aの2ピッチ分の幅になるように形成されている。第1取付部32Aのセレーション32Cとクランクアーム34のセレーション34Eとが係合した状態において、一方の第2の凸部33Bは、クランクアーム34の第2の凹部34F(図4参照)と係合し、他方の第2の凸部33Bは、クランクアーム34のスリット34C(図4参照)と係合する。第2の凸部33Bのうちのいずれか一方がクランクアーム34の第2の凹部34Fに係合するように伝達部52がアダプタ46に取り付けられた場合、回転中心軸心JCの周方向におけるクランク軸32に対するクランクアーム34の位置が第1の相対位相位置に決められる。
第2の凸部33Bのうちの一方を省略し、クランクアーム34の第2の凹部34Fを省略してもよい。この場合、第2の凸部33Bのうちの他方が、クランクアーム34のスリット34C(図4参照)と係合する。
【0041】
図5に示されるとおり、伝達部52の第2位置決め部52Bは、スプロケット14の凹部および凸部の少なくとも一方と係合する凹部および凸部の少なくとも他方の一例として、セレーション52Cを含む。第2位置決め部52Bの外径は、第1位置決め部32Bの外径よりも大きい。本実施形態では、セレーション52Cは、回転中心軸心JCに沿って延びる複数の凸部を含む。セレーション52Cの複数の凸部は、好ましくは、が回転中心軸心JCの周方向の全周にわたり形成される。セレーション52Cの複数の凸部は、回転中心軸心JCの周方向に所定のピッチで並ぶ第1の凸部53Aと、回転中心軸心JCまわりの幅が、第1の凸部53Aよりも広い第2の凸部53Bを含む。一例では、セレーション52Cの複数の第1の凸部53Aのピッチと、セレーション32Cの複数の第1の凸部33Aのピッチとは等しい。第2位置決め部52Bは、第2指標部52Dを含む。第2指標部52Dは、第2の凸部53Bを含む。一例では、第2の凸部53Bは、回転中心軸心JCの周方向において180°離れた2箇所に設けられる。回転中心軸心JCの周方向において、第2指標部52Dに含まれる2つの第2の凸部53Bの位置と、第1指標部32Dに含まれる2つの第2の凸部33Bの位置とは、互いに等しい。一例では、第2の凸部53Bは、第1の凸部53Aの2ピッチ分の幅になるように形成されている。
【0042】
セレーション32C,52Cの複数の第1の凸部33A,53Aの所定のピッチはそれぞれ、任意に変更可能である。一例では、セレーション32Cの複数の第1の凸部33Aのピッチと、セレーション52Cの複数の第1の凸部53Aのピッチとが互いに異なってもよい。回転中心軸心JCの周方向における第1指標部32Dの位置および第2指標部52Dの位置はそれぞれ、任意に変更可能である。一例では、回転中心軸心JCの周方向において、第1指標部32Dの位置と第2指標部52Dの位置とが互いに異なる。第1指標部32Dに含まれる第2の凸部33Bの幅の大きさ、および、第2指標部52Dに含まれる第2の凸部53Bの幅の大きさはそれぞれ、任意に変更可能である。
【0043】
図3に示されるように、スプロケット14は、第1スプロケット42と、第1スプロケット42よりも直径の小さい第2スプロケット44とを含む。第1スプロケット42および第2スプロケット44の少なくとも一方は、第1スプロケット42および第2スプロケット44の間でのチェーン16A(図1参照)の移動を促進するための少なくとも1つの変速促進領域40を含む。本実施形態では、第1スプロケット42は、複数の変速促進領域40を含む。
【0044】
第1スプロケット42は、チェーン16Aが掛けられる複数の歯42Aと、複数の取付部42Bとを含む。複数の歯42Aは、第1スプロケット42の外周部に設けられ、複数の取付部42Bは、第1スプロケット42の内周部に設けられる。本実施形態では、第1スプロケット42は、4つの取付部42Bを含む。4つの取付部42Bは、回転中心軸心JCを中心に等間隔に設けられる。取付部42Bは、ボルト(図示略)が挿入される孔42Cを含む。
【0045】
第2スプロケット44は、チェーン16Aが掛けられる複数の歯44Aと、複数の取付部44Bとを含む。複数の歯44Aは、第2スプロケット44の外周部に設けられ、複数の取付部44Bは、第2スプロケット44の内周部に設けられる。第2スプロケット44の歯数は、第1スプロケット42の歯数より少ない。本実施形態では、第2スプロケット44は、4つ複数の取付部44Bを含む。4つの取付部44Bは、回転中心軸心JCを中心に等間隔に設けられる。取付部44Bは、ボルト(図示略)が挿入される孔44Cを含む。
【0046】
図3に示されるように、スプロケット14は、第1スプロケット42および第2スプロケット44が取り付けられるアダプタ46をさらに含む。アダプタ46は、回転中心軸心JCにおける第1側面46Fと第2側面46Gとを有する。第1側面46Fは、第2側面46Gよりもフレーム20側に位置する。第1スプロケット42は、アダプタ46の第2側面46Gに取り付けられる。第2スプロケット44は、アダプタ46の第1側面46Fに取り付けられる。
【0047】
アダプタ46は、取付部46Aおよび複数のアーム部46Bを含む。本実施形態では、アダプタ46は、4つのアーム部46Bを含む。本実施形態では、4つのアーム部46Bは、回転中心軸心JCを中心に等間隔に配置される。4つのアーム部46Bは、回転中心軸心JCを中心に不等間隔に配置されてもよい。各アーム部46Bの先端部には、第1スプロケット42および第2スプロケット44をアダプタ46に固定するためのボルト(図示略)が挿入される孔46Cが形成される。より詳細には、第1スプロケット42の孔42C、第2スプロケット44の孔44C、および、アダプタ46の孔46Cが回転中心軸心JCの周方向において同じ位置となるように第1スプロケット42および第2スプロケット44をアダプタ46に取り付けた状態で、孔42C,44C,46Cにボルトを挿入して、ボルトの頭部とナットとで第1スプロケット42、第2スプロケット44およびアダプタ46を挟み込む。これにより、アダプタ46に第1スプロケット42および第2スプロケット44が固定される。
【0048】
取付部46Aは、伝達部52に取り付けられるように構成される。取付部46Aは、クランク軸32が挿入される貫通孔46Dを含む。取付部46Aにおける貫通孔46Dを構成する内周面には、スプロケット14の凹部および凸部の少なくとも一方の一例として、セレーション46Eが形成される。セレーション46Eは、伝達部52のセレーション52C(図3参照)と係合するように構成される。本実施形態では、セレーション46Eは、回転中心軸心JCに沿って延びる複数の凹部を含む。セレーション46Eの複数の凹部は、好ましくは、回転中心軸心JCの周方向の全周にわたり形成される。
【0049】
図6に示されるとおり、セレーション46Eの複数の凹部は、回転中心軸心JCの周方向に所定のピッチで並ぶ第1の凹部47Aと、回転中心軸心JCまわりの幅が、第1の凹部47Aよりも広い第2の凹部47Bとを含む。一例では、第2の凹部47Bは、第1の凹部47Aの2ピッチ分の幅になるように形成されている。回転中心軸心JCの周方向において、第2の凹部47Bは、クランク軸32の回転中心軸心JCの周方向において180°離れた位置に設けられる。第1の凹部47Aおよび第2の凹部47Bの幅の大きさ、および、回転中心軸心JCの周方向における第2の凹部47Bの位置はそれぞれ、任意に変更可能である。第2の凹部47Bは、スプロケット14と伝達部52との連結作業を行う作業者が第1の凹部47Aとの区別が視認可能なように構成されていればよい。
【0050】
アダプタ46のセレーション46Eと伝達部52のセレーション52Cとが係合した状態において、第2位置決め部52Bの第2指標部52Dに含まれる第2の凸部53Bはそれぞれ、アダプタ46の第2の凹部47Bに係合する。第2指標部52Dに含まれる2つの第2の凸部53Bのうちの一方が、2つの第2の凹部47Bのうちの一方に係合し、2つの第2の凸部53Bのうちの他方が、2つの第2の凹部47Bのうちの他方に係合するように伝達部52がアダプタ46に取り付けられた場合、回転中心軸心JCの周方向におけるクランク軸32に対するスプロケット14の位置が第2の相対位相位置に決められる。また、第2指標部52Dに含まれる2つの第2の凸部53Bのうちの他方が2つの第2の凹部47Bのうちの一方に係合し、2つの第2の凸部53Bのうちの一方が2つの第2の凹部47Bのうちの他方に係合するように伝達部52がアダプタ46に取り付けられた場合であっても、回転中心軸心JCの周方向におけるクランク軸32に対するスプロケット14の位置が第2の相対位相位置に決められる。
第2の凸部53Bのうちの一方を省略し、アダプタ46の第2の凹部47Bのうちの一方を省略してもよい。
【0051】
図7に示すクランクアーム34およびスプロケット14は、回転中心軸心JCの周方向においてクランクアーム34がクランク軸32に対して予め定める第1の相対位相位置となるようにクランクアーム34を第1取付部32Aに取り付け、かつ、回転中心軸心JCの周方向においてスプロケット14がクランク軸32に対して予め定める第2の相対位相位置となるようにスプロケット14を第2取付部52Aに取り付けた状態である。回転中心軸心JCに平行な方向から見た場合、好ましくは、少なくとも1つの変速促進領域40は、クランクアーム34の近傍、または、回転中心軸心JCの周方向においてクランクアーム34から180°異なる位置の近傍の少なくとも一方に配置される。変速促進領域40は、第2スプロケット44から第1スプロケット42へのチェーン16Aの移動を促進する第1変速促進領域40Aと、第1スプロケット42から第2スプロケット44へのチェーン16Aの移動を促進する第2変速促進領域40Bとを含む。回転中心軸心JCに平行な方向から見た場合、好ましくは、少なくとも1つの第2変速促進領域40Bは、クランクアーム34の近傍、または、回転中心軸心JCの周方向においてクランクアーム34から180°異なる位置の近傍の少なくとも一方に配置される。
【0052】
図8に示されるように、本実施形態の伝達部52は、クランク軸32とは別部材である。伝達部52は、中空部材である。伝達部52は、クランク軸32と同軸となるようにクランク軸32に取り付けられる。クランク軸32は、伝達部52と取付可能な第3取付部32Eをさらに含む。第3取付部32Eは、回転中心軸心JCの周方向における伝達部52のクランク軸32に対する予め定める第3の相対位相位置を決定するための第3位置決め部32Fを含む。第3取付部32Eは、クランク軸32の軸方向において、第1取付部32Aおよび第2取付部52Aと離間している。好ましくは、第3取付部32Eは、回転中心軸心JCに沿う方向において伝達部52の第2端部に設けられる。
【0053】
伝達部52は、凹部および凸部の少なくとも一方を含み、第3位置決め部32Fは、凹部および凸部の少なくとも一方と係合する凹部および凸部の少なくとも他方を含む。伝達部52は、凹部および凸部の少なくとも一方の一例として、セレーション52Eを含む。セレーション52Eは、伝達部52において第2端部の内周部に設けられる。本実施形態では、セレーション52Eは、回転中心軸心JCに沿って延びる複数の凹部を含む。セレーション52Eの複数の凹部は、好ましくは、回転中心軸心JCの周方向の全周にわたり形成される。図9に示されるとおり、セレーション52Eの複数の凹部は、回転中心軸心JCの周方向に所定のピッチで並ぶ第1の凹部53Cと、回転中心軸心JCまわりの幅が、第1の凹部53Cよりも広い第2の凹部53Dを含む。一例では、第2の凹部53Dは、回転中心軸心JCの周方向において180°異なる位置に形成される。第2の凹部53Dはそれぞれ、第1の凹部53Cの2ピッチ分幅になるように形成されている。本実施形態では、回転中心軸心JCの周方向において2つの第2の凹部53Dが形成される箇所に対応する伝達部52の外周面には、位置合わせ指標部52Gが形成される。位置合わせ指標部52Gは、伝達部52の外周面のうち平面部を含む。位置合わせ指標部52Gによって、作業者は、クランク軸32に伝達部52を挿入したときに伝達部52における第2の凹部53Dの回転中心軸心JCの周方向のおおよその位置を認識できる。
【0054】
図8に示されるとおり、第3位置決め部32Fは、凹部および凸部の少なくとも一方と係合する凹部および凸部の少なくとも他方の一例として、伝達部52のセレーション52Eと係合するセレーション32Gを含む。本実施形態では、セレーション32Gは、回転中心軸心JCに沿って延びる複数の凸部を含む。セレーション32Gの複数の凸部は、好ましくは、回転中心軸心JCの周方向の全周にわたり形成される。セレーション32Gの複数の凸部は、回転中心軸心JCの周方向に所定のピッチで並ぶ第1の凸部33Cと、回転中心軸心JCまわりの幅が、第1の凸部33Cよりも広い第2の凸部33Dを含む。一例では、セレーション32Gの複数の第1の凸部33Cのピッチと、セレーション52Eの複数の第1の凹部53Cのピッチとは互いに等しい。第3位置決め部32Fは、第3指標部32Hを含む。第3指標部32Hは、第2の凸部33Dを含む。一例では、図10に示されるとおり、第2の凸部33Dは、回転中心軸心JCの周方向において180°離れた2箇所に設けられる。本実施形態では、回転中心軸心JCの周方向において、2つの第2の凸部33Dの位置と、2つの第2の凸部33Bの位置とは、互いに等しい。一例では、第2の凸部33Dはそれぞれ、第1の凸部33Cの2ピッチ分の凸部を含む。セレーション32Gの複数の第1の凸部33Cのピッチと、第1位置決め部32Bのセレーション32Cの複数の第1の凸部33Aのピッチとは互いに等しい。
【0055】
クランク軸32のセレーション32Gと伝達部52のセレーション52Eとが係合した状態において、第3位置決め部32Fの第3指標部32Hに含まれる2つの第2の凸部33Bはそれぞれ、2つの第2の凹部53Dに係合する。第3指標部32Hに含まれる2つの第2の凸部33Dのうちの一方が2つの第2の凹部53Dのうちの一方に係合し、2つの第2の凸部33Dのうちの他方が2つの第2の凹部53Dのうちの他方に係合するように伝達部52がクランク軸32に取り付けられた場合、回転中心軸心JCの周方向におけるクランク軸32に対する伝達部52の位置が第3の相対位相位置に決められる。また、第3指標部32Hに含まれる2つの第2の凸部33Dのうちの他方が2つの第2の凹部53Dのうちの一方に係合し、2つの第2の凸部33Dのうちの一方が2つの第2の凹部53Dのうちの他方に係合するように伝達部52がクランク軸32に取り付けられた場合であっても、回転中心軸心JCの周方向におけるクランク軸32に対する伝達部52の位置が第3の相対位相位置に決められる。
第1の凹部53Cおよび第2の凹部53Dの幅の大きさ、および、回転中心軸心JCの周方向における第2の凹部53Dの位置はそれぞれ、任意に変更可能である。第2の凹部53Dは、クランク軸32と伝達部52との連結作業を行う作業者が第1の凹部53Cとの区別が視認可能なように構成されていればよい。
第2の凹部53Dのうちの一方を省略し、クランク軸32の第2の凸部33Dのうちの一方を省略してもよい。
セレーション32Gの複数の第1の凸部33Cおよびセレーション52Eの複数の第1の凹部53Cの所定のピッチはそれぞれ、任意に変更可能である。
【0056】
次に、図11および図12を参照して、クランク軸32とクランクアーム34との取付構造の一例について説明する。
クランク軸32の第1取付部32Aは、孔32Iを含む。一例では、孔32Iは、回転中心軸心JCの周方向において、第1位置決め部32Bの第1指標部32Dに含まれる2つの第2の凸部33Bのうちの一方と同じ位置に設けられる。クランク軸32は、回転中心軸心JCの周方向において、孔32Iがクランクアーム34のスリット34Cと同じ位置となるようにクランクアーム34の貫通孔34Bに挿入される。クランク軸32のセレーション32Cとクランクアーム34のセレーション34Eとが係合し、クランク軸32の第1指標部32Dに含まれる2つの第2の凸部33Bのうちの他方がクランクアーム34の第2の凹部34Fに係合する。これにより、クランクアーム34は、クランク軸32に対する第1の相対位相位置に位置する。スプロケット14の変速促進領域40が回転中心軸心JCの周方向において180°異なる位置に少なくとも形成される場合、孔32Iは第1指標部32Dに含まれる2つの第2の凸部33Bのそれぞれに設けられてもよい。
【0057】
クランク30は、回転中心軸心JCに沿う方向におけるクランク軸32とクランクアーム34との相対移動を規制する規制部材38を含む。規制部材38は、本体部38A、第1係合部38B、第2係合部38C、および、規制部38Dを含む。一例では、本体部38Aと規制部38Dとは個別に形成され、規制部38Dが本体部38Aに固定されて構成される。本体部38Aは、板状に形成される。第1係合部38Bは、本体部38Aに設けられる貫通孔を含む。第2係合部38Cは、本体部38Aの厚み方向に貫通し、本体部38Aの厚み方向に垂直な第1方向の一方に開口する貫通溝を含む。図11に示されるとおり、回転中心軸心JCに平行な方向において、第1係合部38Bと第2係合部38Cとは隣り合う。規制部38Dは、本体部38Aの外周面から突出する。規制部38Dは、回転中心軸心JCに平行な方向において、第1係合部38Bと第2係合部38Cとの間に位置する。規制部材38は、本体部38Aおよび規制部38Dが一体に形成された構造であってもよい。
【0058】
図11および図12(a)に示されるように、規制部材38は、クランクアーム34のスリット34Cに挿入される。図12(a)では、クランク軸32にクランクアーム34が取り付けられた状態を示している。図12(a)に示されるように、規制部材38は、クランクアーム34の一対の孔34Dのそれぞれに挿入されるボルト39A,39Bによって移動が規制される。規制部材38は、第1係合部38Bの貫通孔に一対の孔34Dの一方に挿入されたボルトが挿入されることにより、クランクアーム34からの脱落が防止される。図12(a)の規制部材38は、第1係合部38Bに挿入されたボルト39Aを中心に回動可能に構成される。
【0059】
図12(b)に示されるように、規制部材38は、第2係合部38Cが一対の孔34Dの他方に挿入されたボルト39Bに係合するように回動することによって、規制部38Dがクランク軸32の孔32Iに挿入される。これにより、回転中心軸心JCに沿う方向におけるクランク軸32とクランクアーム34との相対移動が規制される。そして一対の孔34Dに挿入されたボルト39A,39Bによってスリット34Cが狭くなるように締め付けられることによって、クランクアーム34がクランク軸32に固定される。
【0060】
次に、図13を参照して、コンポーネント50の内部構造の一例について説明する。
コンポーネント50は、クランク軸32を回転可能に支持するハウジング54をさらに含む。コンポーネント50は、人力駆動車Bの推進をアシストするモータ56をさらに含む。モータ56は、ハウジング54に設けられ、伝達部52を駆動可能に構成される。本実施形態では、コンポーネント50は、ドライブユニットとして構成される。
【0061】
コンポーネント50は、モータ56の回転力を伝達部52に伝達する伝達機構58と、第1軸受62Aおよび第2軸受62Bと、モータ56の駆動を制御する駆動回路64とをさらに含む。
【0062】
ハウジング54は、クランク軸32の一部、モータ56、駆動回路64、伝達部52の一部、および、伝達機構58を収容する。駆動回路64は、ハウジング54の外部に設けられてもよい。
【0063】
クランク軸32の一部は、回転中心軸心JCに平行な方向においてハウジング54の両側から突出する。クランク軸32の外周に設けられた伝達部52の一部は、回転中心軸心JCに平行な方向においてハウジング54の一方側から突出する。伝達部52には、スプロケット14を着脱可能に取り付けることができる。
【0064】
図13に示されるように、第1軸受62Aは、クランク軸32をハウジング54に対して回転可能に支持する。第2軸受62Bは、伝達部52をハウジング54に対して回転可能に支持する。
【0065】
モータ56の一例は、ブラシレスモータである。モータ56は、ステータ56A、ロータ56B、出力軸56C、第3軸受62C、および、第4軸受62Dを含む。ステータ56Aは、ハウジング54の内周部に固定される。ロータ56Bは、ステータ56Aの内周部に配置される。出力軸56Cは、ロータ56Bに固定され、ロータ56Bと一体的に回転する。ロータ56Bおよび出力軸56Cは、第3軸受62Cおよび第4軸受62Dによってハウジング54に対して回転可能に支持される。
【0066】
モータ56は、クランク軸32の回転中心軸心JCに平行な方向とは異なる方向に平行な回転中心軸心RCを有する。回転中心軸心RCは、回転中心軸心JCに沿う方向に交差する方向に延びる。一例では、モータ56の回転中心軸心RCと、クランク軸32の回転中心軸心JCとは、同一平面に含まれる。一例では、モータ56の回転中心軸心RCと、クランク軸32の回転中心軸心JCとは直交する。駆動回路64は、回転中心軸心RCに沿う方向において、モータ56に対して伝達機構58とは反対側に配置される。
【0067】
伝達機構58は、モータ56に接続される。伝達機構58は、第1軸線C1まわりに回転する第1回転体66Aと、第1軸線C1と交差する第2軸線C2まわりに回転し、第1回転体66Aと接触する第2回転体66Bと、ワンウェイクラッチ60と、第5軸受62Eおよび第6軸受62Fと、を含む。第1軸線C1は、モータ56の回転中心軸心RCと平行である。第2軸線C2は、クランク軸32の回転中心軸心JCと平行である。図13では、第1軸線C1は、モータ56の回転中心軸心RCと同軸である。第2軸線C2は、クランク軸32の回転中心軸心JCと同軸である。伝達機構58は、第1伝達機構68と、第2伝達機構70とをさらに含む。第1伝達機構68および第2伝達機構70は、回転中心軸心RCに沿う方向に並べて配置される。第1伝達機構68は、回転中心軸心RCに沿う方向においてモータ56と第2伝達機構70との間に配置される。
【0068】
第1伝達機構68は、遊星歯車機構を含む。第1伝達機構68は、第1太陽ギア68A、第1リングギア68B、複数の第1遊星ギア68C、および、第1キャリア68Dを含む。第1太陽ギア68Aは、モータ56の出力軸56Cの外周部に設けられる。第1太陽ギア68Aは、出力軸56Cと一体に形成されてもよく、出力軸56Cと別体に形成されて出力軸56Cに取り付けられてもよい。第1リングギア68Bは、ハウジング54の内周部に設けられる。第1リングギア68Bは、ハウジング54に一体に形成されてもよく、ハウジング54と別体に形成されてもよい。複数の第1遊星ギア68Cは、第1太陽ギア68Aと第1リングギア68Bとの間に配置される。第1キャリア68Dは、複数の第1遊星ギア68Cを支持し、複数の第1遊星ギア68Cを第1太陽ギア68Aまわりに一体的に公転させる。第1キャリア68Dは、ハウジング54の内周部に設けられる第5軸受62Eによって、ハウジング54に対して回転可能に支持される。
【0069】
第2伝達機構70は、遊星歯車機構を含む。第2伝達機構70は、第2太陽ギア70A、第2リングギア70B、複数の第2遊星ギア70C、および、第2キャリア70Dを含む。第2太陽ギア70Aは、第1キャリア68Dと接続されて、第1キャリア68Dと一体的に回転する。第2リングギア70Bは、ハウジング54の内周部に設けられる。第2リングギア70Bは、ハウジング54に一体に形成されてもよく、ハウジング54とは別体に形成されてもよい。複数の第2遊星ギア70Cは、第2太陽ギア70Aと第2リングギア70Bとの間に配置される。第2キャリア70Dは、複数の第2遊星ギア70Cを支持し、複数の第2遊星ギア70Cを第2太陽ギア70Aまわりに一体的に公転させる。第2キャリア70Dは、ハウジング54の内周部に設けられた第6軸受62Fによって、ハウジング54に対して回転可能に支持される。
【0070】
第1回転体66Aには、モータ56のトルクが伝達される。第2回転体66Bは、第1回転体66Aと噛み合い、伝達部52にトルクを伝達する。第1回転体66Aおよび第2回転体66Bは、それぞれかさ歯車を含む。第1回転体66Aは、第2キャリア70Dに接続され、第2キャリア70Dと一体的に回転する。第1回転体66Aの歯数は、第2回転体66Bの歯数よりも少ない。第2回転体66Bは、伝達部52の外周部に設けられる。第2回転体66Bは、第1回転体66Aの第1軸線C1まわりの回転を、第2回転体66Bの第2軸線C2まわりの回転に変換して伝達部52に出力する。
【0071】
モータ56の回転は、第1伝達機構68と、第2伝達機構70と、第1回転体66Aおよび第2回転体66Bとの3段階で減速されて伝達部52に伝達される。伝達機構58は、モータ56の回転を2段階以下、または、4段階以上で減速して伝達部52に伝達してもよい。伝達機構58による減速の段回数および減速比は適宜変更することができる。伝達機構58の構成も、所望の減速比に応じて適宜変更することができる。
【0072】
ワンウェイクラッチ60は、モータ56と伝達部52との間の動力伝達経路に設けられる。ワンウェイクラッチ60は、第2回転体66Bの内周部と伝達部52の外周部との間に設けられることが好ましい。クランク軸32、伝達部52、および、第2回転体66Bは、同軸に設けられる。ワンウェイクラッチ60は、第2回転体66Bの第1回転方向の回転速度が伝達部52の第1回転方向の回転速度以上の場合に、第2回転体66Bの回転を伝達部52に伝達する。ワンウェイクラッチ60は、第2回転体66Bの第1回転方向の回転速度が伝達部52の第1回転方向の回転速度未満の場合に、第2回転体66Bの回転を伝達部52に伝達しない。ワンウェイクラッチ60は、ローラクラッチによって構成されてもよく、ラチェット式のクラッチによって構成されてもよく、スプラグ式のクラッチによって構成されてもよい。
【0073】
コンポーネント50は、検出部72をさらに含む。検出部72は、ハウジング54に設けられる。検出部72は、クランク軸32から入力される人力駆動力を検出する。検出部72は、例えば、伝達部52または伝達部52の周囲に設けられる。検出部72は、歪センサまたは磁歪センサなどを含む。歪センサは、歪ゲージを含む。検出部72が歪センサを含む場合、歪センサは、たとえば伝達部52の外周部に設けられる。検出部72は、無線または有線の通信部を含んでいてもよい。検出部72は、クランク軸32の回転状態を検出するための回転センサを含んでいてもよい。クランク軸32の回転状態は、クランクの回転速度および回転角度の少なくとも一方を含む。
【0074】
次に、図14および図15を参照して、クランクアーム34とスプロケット14との間の隙間へのチェーン16Aの喰い込み抑制構造について説明する。
図14に示すように、第1スプロケット42におけるクランクアーム34側の面には、突出部48が設けられる。一例では、突出部48は、回転中心軸心JCに平行な方向に沿ってクランクアーム34側に向けて延びる円柱状を有する。
【0075】
図15に示すように、回転中心軸心JCと平行な方向から見て、突出部48は、クランクアーム34と重なるように設けられる。図14に示すように、回転中心軸心JCに平行な方向において、突出部48とクランクアーム34との間の隙間は、チェーン16Aが挿入できないような大きさに設定される。これにより、第1スプロケット42の複数の歯42Aからチェーン16Aが外れても突出部48とクランクアーム34とによってチェーン16Aを支持するため、チェーン16Aが第1スプロケット42から脱落した場合に、クランクアーム34とスプロケット14との間の隙間にチェーン16Aが喰い込むことが抑制される。
【0076】
(変形例)
実施形態に関する説明は、本発明に従う人力駆動車用コンポーネントが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う人力駆動車用コンポーネントは、例えば以下に示される実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0077】
・実施形態では、バッテリ24およびコンポーネント50がフレーム20に収容される構成を例示したが、これに限定されず、バッテリ24およびコンポーネント50の少なくとも一方は、フレーム20の外側に取り付けられてもよい。
【0078】
・実施形態およびその変形例において、第1~第3指標部32D,32H,52Dは、セレーション32C,32G,52Cに設けられる幅広の凸部に限られず、作業者に認識可能な予め定める印であってもよい。一例では、図16に示されるように、第1指標部32Dは、クランク軸32の第1取付部32Aに設けられる矢印によって構成される。一例では、第2指標部52Dは、伝達部52の第2取付部52Aに設けられる矢印によって構成される。一例では、第3指標部32Hは、クランク軸32の第3取付部32Eに設けられている矢印によって構成される。
【0079】
一例では、第1指標部32Dは、第1刻印部32Jおよび第1印刷部32Kの少なくとも一方を含む。第2指標部52Dは、第2刻印部52Hおよび第2印刷部52Iの少なくとも一方を含む。第3指標部32Hは、第3刻印部32Lおよび第3印刷部32Mの少なくとも一方を含む。
【0080】
一例では、図17(a)に示されるように、第1刻印部32Jは、第1取付部32Aに予め定める印を刻印することによって形成される。図17(b)に示されるように、第1印刷部32Kは、第1取付部32Aに予め定める印を印刷することによって形成される。第2指標部52Dの第2刻印部52Hおよび第2印刷部52I、ならびに、第3指標部32Hの第3刻印部32Lおよび第3印刷部32Mについても同様に、図17(a)に示されるような予め定める印を刻印することによって形成される刻印部、または、図17(b)に示されるような予め定める印を印刷することによって形成される印刷部であってもよい。印刷は、たとえばインクジェットプリンタ、または、スクリーン印刷機によって行うことができる。
【0081】
・第1~第3指標部32D,32H,52Dは、刻印や印刷に限られず、シールの貼り付け、ペン等による筆記によって形成されてもよい。要するに、第1~第3指標部32D,32H,52Dは、作業者が認識可能な印がクランク軸32や伝達部52に設けられていればよい。
【0082】
・実施形態およびその変形例において、スプロケット14は、1枚のスプロケットのみを有するスプロケット14であってもよい。一例では、スプロケット14は、第1スプロケット42とアダプタ46とが一体に形成された構造を含む。図18に示されるように、スプロケット14は、たとえば4つの取付部42Bを含む。4つの取付部42Bは、回転中心軸心JCの周方向において不等間隔に配置される。4つの取付部42Bは、回転中心軸心JCの周方向において隣り合う取付部42Bの間の間隔が第1の間隔G1と、第1の間隔G1よりも小さい第2の間隔G2となるように配置される。本実施形態において、取付部42Bの間の間隔とは、回転中心軸心JCの中心を通り、かつ、回転中心軸心JCの周方向において取付部42Bの中央を通る取付部42Bの中心線の間隔とする。4つの取付部42Bが、回転中心軸心JCの周方向まわりに、第1取付部、第2取付部、第3取付部および第4取付部の順番で並んでいる場合、第1取付部および第2取付部の間と、第3取付部および第4取付部との間が、第1の間隔G1となり、第2取付部および第3取付部の間と、第1取付部および第4取付部との間が、第2の間隔G2となる。回転中心軸心JCの延びる方向から見て、クランクアーム34が第1の間隔G1に配置されるように、クランク軸32にクランクアーム34およびスプロケット14が取り付けられる。
【0083】
・実施形態およびその変形例において、クランク軸32と伝達部52とが一体化されてもよい。この場合、クランク軸32から第3取付部32E、第3位置決め部32F、および、セレーション32Gが省略され、伝達部52からセレーション52Eが省略される。このように、伝達部52は、クランク軸32の外表面に直接形成されてもよい。
【0084】
・実施形態およびその変形例において、クランクアーム34の取付部34Aに、クランクアーム34の凹部および凸部の少なくとも一方の一例としてセレーション34Eが形成されたが、セレーション34E以外の凹部であってもよい。クランク軸32の第1位置決め部32Bは、凹部および凸部の少なくとも他方の一例としてセレーション32Cが形成されたが、セレーション32C以外の凸部であってもよい。クランクアーム34の凹部および凸部の少なくとも一方と、クランク軸32の第1位置決め部32Bの凹部および凸部の少なくとも他方とは、クランクアーム34とクランク軸32との回転中心軸心JCまわりの相対回転が規制されるような凹部および凸部の係合であればよい。
【0085】
・実施形態およびその変形例において、スプロケット14のアダプタ46の取付部46Aに、スプロケット14の凹部および凸部の少なくとも一方の一例としてセレーション46Eが形成されたが、セレーション46E以外の凹部であってもよい。伝達部52の第2位置決め部52Bは、凹部および凸部の少なくとも他方の一例としてセレーション52Cが形成されたが、セレーション52C以外の凸部であってもよい。スプロケット14の凹部および凸部の少なくとも一方と、伝達部52の第2位置決め部52Bの凹部および凸部の少なくとも他方とは、スプロケット14と伝達部52との回転中心軸心JCまわりの相対回転が規制されるような凹部および凸部の係合であればよい。
【0086】
・実施形態およびその変形例において、伝達部52の凹部および凸部の少なくとも一方の一例としてセレーション52Eが形成されたが、セレーション52E以外の凹部であってもよい。クランク軸32の第3位置決め部32Fは、凹部および凸部の少なくとも他方の一例としてセレーション32Gが形成されたが、セレーション32G以外の凸部であってもよい。伝達部52の凹部および凸部の少なくとも一方と、クランク軸32の第3位置決め部32Fの凹部および凸部の少なくとも他方とは、伝達部52とクランク軸32との回転中心軸心JCまわりの相対回転が規制されるような凹部および凸部の係合であればよい。
・実施形態およびその変形例において、各セレーションは、スプラインに変更してもよい。
・実施形態およびその変形例において、コンポーネント50のモータ56および伝達機構58の構成は、図13に示す構成に限らない。たとえばモータ56は、回転軸がクランク軸と平行になるようにハウジングに設けられていてもよい。たとえば伝達機構58は、平歯車によって構成されていてもよい。
・実施形態およびその変形例において、コンポーネント50から、モータ、減速機、および、駆動回路の少なくとも1つを省略してもよい。実施形態およびその変形例において、ハウジング54は、フレーム20と一体に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0087】
B…人力駆動車、JC…回転中心軸心、14…スプロケット、16A…チェーン、32…クランク軸、32A…第1取付部、32B…第1位置決め部、32D…第1指標部、32E…第3取付部、32F…第3位置決め部、32H…第3指標部、32J…第1刻印部、32K…第1印刷部、32L…第3刻印部、32M…第3印刷部、34…クランクアーム、40…変速促進領域、42…第1スプロケット、44…第2スプロケット、50…コンポーネント(人力駆動車用コンポーネント)、52…伝達部、52A…第2取付部、52B…第2位置決め部、52D…第2指標部、52H…第2刻印部、52I…第2印刷部、54…ハウジング、56…モータ。
図1
図2
図3
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