IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スカイワークス ソリューションズ,インコーポレイテッドの特許一覧

特許7364738減衰器回路、無線周波数モジュール及び無線デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】減衰器回路、無線周波数モジュール及び無線デバイス
(51)【国際特許分類】
   H03H 11/24 20060101AFI20231011BHJP
   H03H 11/16 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
H03H11/24 B
H03H11/16 B
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022075655
(22)【出願日】2022-05-02
(62)【分割の表示】P 2019531560の分割
【原出願日】2017-08-28
(65)【公開番号】P2022110018
(43)【公開日】2022-07-28
【審査請求日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】62/381,367
(32)【優先日】2016-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503031330
【氏名又は名称】スカイワークス ソリューションズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SKYWORKS SOLUTIONS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、 ヤン
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ジュンヒョン
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-182048(JP,A)
【文献】特開2003-309454(JP,A)
【文献】特開2005-086310(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0326205(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0088403(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0134259(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 11/00-11/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数の減衰器回路であって、
入力ノード及び出力ノードと、
前記入力ノードと前記出力ノードとの間に第1スイッチ、第1ノード、直列に配列された複数の減衰ブロック、第2ノード、及び第2スイッチを含む減衰経路であって、各減衰ブロックが、抵抗と前記抵抗に並列なバイパススイッチングトランジスタとを含み、前記バイパススイッチングトランジスタはオン又はオフにされることにより前記抵抗のスイッチング可能なバイパスを許容し、前記バイパススイッチングトランジスタはオフのときにローカルオフ容量を与え、前記複数の減衰ブロックの少なくともいくつかはそれぞれが、対応する前記バイパススイッチングトランジスタのローカルオフ容量を補償するべく構成されるローカル位相補償回路を含む、減衰経路と、
前記入力ノードと前記出力ノードとの間に前記減衰経路に並列に実装されたグローバルバイパス経路であって、オン又はオフにされることにより前記減衰経路のスイッチング可能なバイパスを許容するべく構成されたグローバルバイパススイッチングトランジスタを含み、前記グローバルバイパススイッチングトランジスタは、オフのときにグローバルオフ容量を与え、前記減衰経路の前記第1スイッチ及び第2スイッチはそれぞれが、前記グローバルバイパススイッチングトランジスタがオンのときにオフにされ、前記グローバルバイパススイッチングトランジスタがオフのときにオンにされるように構成される、グローバルバイパス経路と、
前記第1ノードと前記第2ノードとの間に実装されたグローバル位相補償回路であって、前記グローバルオフ容量を補償するべく構成されたグローバル位相補償回路と
を含み、
各減衰ブロックが、
対応する前記抵抗と、
前記抵抗の一端とグランドとの間に実装された第1シャント経路と、
前記抵抗の他端と前記グランドとの間に実装された第2シャント経路と
を有するπ型減衰器として構成され、
前記第1シャント経路及び第2シャント経路はそれぞれがシャント抵抗を有し、
前記ローカル位相補償回路は、
前記第1シャント経路のシャント抵抗に電気的に並列されるように配列された第1ローカル補償容量と、
前記第2シャント経路のシャント抵抗に電気的に並列されるように配列された第2ローカル補償容量と
を含み、
前記グローバル位相補償回路は、前記入力ノードと前記出力ノードとの間に直列に配列された第1グローバル補償抵抗及び第2グローバル補償抵抗を含み、
前記グローバル位相補償回路はさらに、グランドと前記第1グローバル補償抵抗及び第2グローバル補償抵抗間のノードとの間に実装されたグローバル補償容量を含む、減衰器回路。
【請求項2】
前記グローバル位相補償回路は、
直列に配列された第1グローバル補償抵抗及び第2グローバル補償抵抗と、
グランドと前記第1グローバル補償抵抗及び第2グローバル補償抵抗間のノードとの間に実装されたグローバル補償容量と
を含む、請求項1の減衰器回路。
【請求項3】
前記グローバルバイパススイッチングトランジスタのグローバルオフ容量は位相進み変化をもたらし、
前記グローバル位相補償回路は、前記位相進み変化を補償する位相遅れ変化を与えるべく構成される、請求項2の減衰器回路。
【請求項4】
前記グローバル補償容量は、一つ以上のプロセスばらつきにより前記グローバルバイパススイッチングトランジスタと実質的に同じ影響を受けるように構成される、請求項2の減衰器回路。
【請求項5】
前記グローバル補償容量はトランジスタ系デバイスとして構成される、請求項4の減衰器回路。
【請求項6】
前記グローバル補償容量及び前記グローバルバイパススイッチングトランジスタの各トランジスタ系デバイスはMOSFETデバイスとして実装される、請求項5の減衰器回路。
【請求項7】
各減衰ブロックの前記バイパススイッチングトランジスタは、対応する減衰ブロックに対してローカルバイパスモードにあるときにオンとなり、ローカル減衰モードにあるときにオフとなるように構成される、請求項1の減衰器回路。
【請求項8】
前記バイパススイッチングトランジスタのローカルオフ容量は位相進み変化をもたらし、
前記ローカル位相補償回路は、前記位相進み変化を補償する位相遅れ変化を与えるべく構成される請求項の減衰器回路。
【請求項9】
前記第1ローカル補償容量及び第2ローカル補償容量はそれぞれが、一つ以上のプロセスばらつきにより前記バイパススイッチングトランジスタと実質的に同じ影響を受けるように構成される、請求項の減衰器回路。
【請求項10】
前記第1ローカル補償容量及び第2ローカル補償容量はそれぞれがトランジスタ系デバイスとして構成される、請求項の減衰器回路。
【請求項11】
前記第1ローカル補償容量及び第2ローカル補償容量のトランジスタ系デバイスと前記バイパススイッチングトランジスタとはそれぞれがMOSFETデバイスとして実装される、請求項10の減衰器回路。
【請求項12】
前記複数の減衰ブロックの少なくともいくつかは、2進重み付け減衰値を与えるように構成される、請求項1の減衰器回路。
【請求項13】
無線周波数モジュールであって、
複数のコンポーネントを受容するべく構成されたパッケージ基板と、
前記パッケージ基板に実装された無線周波数減衰器回路と
を含み、
前記無線周波数減衰器回路は、
入力ノード及び出力ノードと、
前記入力ノードと前記出力ノードとの間に第1スイッチ、第1ノード、直列に配列された複数の減衰ブロック、第2ノード、及び第2スイッチを含む減衰経路と
を含み、
各減衰ブロックが、抵抗と前記抵抗に並列なバイパススイッチングトランジスタとを含み、
前記バイパススイッチングトランジスタはオン又はオフにされることにより前記抵抗のスイッチング可能なバイパスを許容し、
前記バイパススイッチングトランジスタはオフのときにローカルオフ容量を与え、
前記複数の減衰ブロックの少なくともいくつかはそれぞれが、対応する前記バイパススイッチングトランジスタのローカルオフ容量を補償するべく構成されるローカル位相補償回路を含み、
前記無線周波数減衰器回路はさらに、前記入力ノードと前記出力ノードとの間に前記減衰経路に並列に実装されたグローバルバイパス経路を含み、
前記グローバルバイパス経路は、オン又はオフにされることにより前記減衰経路のスイッチング可能なバイパスを許容するべく構成されたグローバルバイパススイッチングトランジスタを含み、
前記グローバルバイパススイッチングトランジスタは、オフのときにグローバルオフ容量を与え、
前記減衰経路の前記第1スイッチ及び第2スイッチはそれぞれが、前記グローバルバイパススイッチングトランジスタがオンのときにオフにされ、前記グローバルバイパススイッチングトランジスタがオフのときにオンにされるように構成され、
前記無線周波数減衰器回路はさらに、前記第1ノードと前記第2ノードとの間に実装されたグローバル位相補償回路であって、前記グローバルオフ容量を補償するべく構成されたグローバル位相補償回路を含み、
各減衰ブロックが、
対応する前記抵抗と、
前記抵抗の一端とグランドとの間に実装された第1シャント経路と、
前記抵抗の他端と前記グランドとの間に実装された第2シャント経路と
を有するπ型減衰器として構成され、
前記第1シャント経路及び第2シャント経路はそれぞれがシャント抵抗を有し、
前記ローカル位相補償回路は、
前記第1シャント経路のシャント抵抗に電気的に並列されるように配列された第1ローカル補償容量と、
前記第2シャント経路のシャント抵抗に電気的に並列されるように配列された第2ローカル補償容量と
を含み、
前記グローバル位相補償回路は、前記入力ノードと前記出力ノードとの間に直列に配列された第1グローバル補償抵抗及び第2グローバル補償抵抗を含み、
前記グローバル位相補償回路はさらに、グランドと前記第1グローバル補償抵抗及び第2グローバル補償抵抗間のノードとの間に実装されたグローバル補償容量を含む、無線周波数モジュール。
【請求項14】
前記無線周波数モジュールは、受信した無線周波数信号を処理するべく構成される、請求項13の無線周波数モジュール。
【請求項15】
無線デバイスであって、
無線周波数信号を受信するべく構成されたアンテナと、
前記アンテナと通信する送受信器と、
前記アンテナと前記送受信器との間の信号経路と、
前記信号経路に沿って実装された無線周波数減衰器回路と
を含み、
前記無線周波数減衰器回路は、
入力ノード及び出力ノードと、
前記入力ノードと前記出力ノードとの間に第1スイッチ、第1ノード、直列に配列された複数の減衰ブロック、第2ノード、及び第2スイッチを含む減衰経路と
を含み、
各減衰ブロックが、抵抗と前記抵抗に並列なバイパススイッチングトランジスタとを含み、
前記バイパススイッチングトランジスタはオン又はオフにされることにより前記抵抗のスイッチング可能なバイパスを許容し、
前記バイパススイッチングトランジスタはオフのときにローカルオフ容量を与え、
前記複数の減衰ブロックの少なくともいくつかはそれぞれが、対応する前記バイパススイッチングトランジスタのローカルオフ容量を補償するべく構成されるローカル位相補償回路を含み、
前記無線周波数減衰器回路はさらに、前記入力ノードと前記出力ノードとの間に前記減衰経路に並列に実装されたグローバルバイパス経路を含み、
前記グローバルバイパス経路は、オン又はオフにされることにより前記減衰経路のスイッチング可能なバイパスを許容するべく構成されたグローバルバイパススイッチングトランジスタを含み、
前記グローバルバイパススイッチングトランジスタは、オフのときにグローバルオフ容量を与え、
前記減衰経路の前記第1スイッチ及び第2スイッチはそれぞれが、前記グローバルバイパススイッチングトランジスタがオンのときにオフにされ、前記グローバルバイパススイッチングトランジスタがオフのときにオンにされるように構成され、
前記無線周波数減衰器回路はさらに、前記第1ノードと前記第2ノードとの間に実装されたグローバル位相補償回路であって、前記グローバルオフ容量を補償するべく構成されたグローバル位相補償回路を含み、
各減衰ブロックが、
対応する前記抵抗と、
前記抵抗の一端とグランドとの間に実装された第1シャント経路と、
前記抵抗の他端と前記グランドとの間に実装された第2シャント経路と
を有するπ型減衰器として構成され、
前記第1シャント経路及び第2シャント経路はそれぞれがシャント抵抗を有し、
前記ローカル位相補償回路は、
前記第1シャント経路のシャント抵抗に電気的に並列されるように配列された第1ローカル補償容量と、
前記第2シャント経路のシャント抵抗に電気的に並列されるように配列された第2ローカル補償容量と
を含み、
前記グローバル位相補償回路は、前記入力ノードと前記出力ノードとの間に直列に配列された第1グローバル補償抵抗及び第2グローバル補償抵抗を含み、
前記グローバル位相補償回路はさらに、グランドと前記第1グローバル補償抵抗及び第2グローバル補償抵抗間のノードとの間に実装されたグローバル補償容量を含む、無線デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子アプリケーション用の減衰器に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、2016年8月30日に出願された「位相シフト回路及び利得補償回路を有す
る減衰器」との名称の米国仮出願第62/381,367号の優先権を主張する。その開
示は、参照によりその対応する全体がここに明示的に組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
無線周波数(RF)アプリケーションのような電子アプリケーションにおいて、信号を
増幅し又は減衰させることが望まれることがある。例えば、送信予定の信号を電力増幅器
により増幅することができ、受信した信号を低雑音増幅器により増幅することができる。
他例において、一つ以上の減衰器を、前述した送信経路及び受信経路のいずれか一方又は
その双方に沿って、それぞれの信号を減衰させる必要又は所望に応じて実装することがで
きる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2016/0134259(A1)号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0326205(A1)号明細書
【発明の概要】
【0005】
一定数の実装によれば、本開示は、入力ノードと出力ノードとの間に直列に配列された
一つ以上の減衰ブロックを含む無線周波数(RF)減衰器回路に関する。各減衰ブロック
はローカルバイパス経路を含む。RF減衰器回路はさらに、入力ノードと出力ノードとの
間に実装されたグローバルバイパス経路を含む。RF減衰器回路はさらに、グローバルバ
イパス経路及び一つ以上のローカルバイパス経路の少なくとも一つに関連付けられるオフ
容量効果を補償するべく構成された位相補償回路を含む。
【0006】
いくつかの実施形態において、グローバルバイパス経路は、グローバルバイパスモード
にあるときにオンとなり、グローバル減衰モードにあるときにオフとなるべく構成された
グローバルバイパススイッチングトランジスタを含み得る。グローバルバイパススイッチ
ングトランジスタは、グローバル減衰モードにあるときにグローバルオフ容量を与える。
位相補償回路は、無線周波数減衰器回路がグローバル減衰モードにあるときにグローバル
オフ容量を補償するべく構成されたグローバル位相補償回路を含み得る。
【0007】
いくつかの実施形態において、グローバル位相補償回路は、入力ノードと出力ノードと
の間に直列に配列された第1グローバル補償抵抗及び第2グローバル補償抵抗と、グラン
ドと第1グローバル補償抵抗及び第2グローバル補償抵抗間のノードとの間に実装された
グローバル補償容量を含み得る。グローバルバイパススイッチングトランジスタのグロー
バルオフ容量は位相進み変化をもたらし得るので、グローバル位相補償回路は、当該位相
進み変化を補償するべく位相遅れ変化を与えるように構成される。第1グローバル補償抵
抗及び第2グローバル補償抵抗は、実質的に同じ値を有してよい。位相進み変化は
【数1】
として計算される量だけとなり、位相遅れ変化は
【数2】
として計算される量だけとなり得る。ここで、ωは2π倍の周波数であり、Rは負荷イ
ンピーダンスであり、RG1は第1グローバル補償抵抗であり、Cはグローバル補償容
量である。第1グローバル補償抵抗及びグローバル補償容量の値は、位相遅れ変化の大き
さが位相進み変化の大きさと実質的に同じになるように選択することができる。グローバ
ル補償容量の値は、減衰器回路のグローバル利得が、選択された周波数範囲にわたって近
似的に平坦となるように選択することができる。
【0008】
いくつかの実施形態において、グローバル補償容量は、グローバルバイパススイッチン
グトランジスタと実質的に同じく、一つ以上のプロセスばらつきにより影響を受けるよう
に構成され得る。グローバル補償容量は、トランジスタ系デバイスとして構成することが
できる。グローバル補償容量のトランジスタ系デバイスとグローバルバイパススイッチン
グトランジスタとはそれぞれが、MOSFETデバイスとして実装可能である。
【0009】
いくつかの実施形態において、ローカルバイパス経路は、ローカルバイパスモードにあ
るときにオンとなり、ローカル減衰モードにあるときにオフとなるべく構成されたローカ
ルバイパススイッチングトランジスタを含み得る。ローカルバイパススイッチングトラン
ジスタは、ローカル減衰モードにあるときにローカルオフ容量を与える。位相補償回路は
、無線周波数減衰器回路がローカル減衰モードにあるときにローカルオフ容量を補償する
べく構成されたローカル位相補償回路を含み得る。
【0010】
いくつかの実施形態において、減衰ブロックは、ローカル抵抗と、当該ローカル抵抗の
一端とグランドとの間に実装された第1シャント経路と、当該ローカル抵抗の当該端とグ
ランドとの間に実装された第2シャント経路とを有するπ型減衰器として構成することが
できる。第1シャント経路及び第2シャント経路はそれぞれがシャント抵抗を含む。ロー
カル位相補償回路は、第1シャント抵抗に電気的に並列されるように配列された第1ロー
カル補償容量と、第2シャント抵抗に電気的に並列されるように配列された第2ローカル
補償容量とを含み得る。
【0011】
いくつかの実施形態において、ローカルバイパススイッチングトランジスタのローカル
オフ容量は、位相進み変化をもたらし得るので、ローカル位相補償回路は、当該位相進み
変化を補償する位相遅れ変化を与えるべく構成され得る。第1シャント抵抗及び第2シャ
ント抵抗が実質的に同じ値を有し、第1ローカル補償容量及び第2ローカル補償容量が実
質的に同じ値を有し得る。位相進み変化は
【数3】
として計算される量だけとなり、位相遅れ変化は
【数4】
として計算される量だけとなり得る。ここで、ωは2π倍の周波数であり、Rは負荷イ
ンピーダンスであり、Rはローカル抵抗であり、Cは第1ローカル補償容量であり、
’は、第1シャント抵抗と負荷インピーダンスとの並列配列体の等価抵抗である。第
1ローカル補償容量の値は、位相遅れ変化の大きさが位相進み変化の大きさと実質的に同
じになるように選択することができる。ローカル補償容量の値は、減衰ブロックのローカ
ル利得が、選択された周波数範囲にわたって近似的に平坦となるように選択することがで
きる。
【0012】
いくつかの実施形態において、第1ローカル補償容量及び第2ローカル補償容量はそれ
ぞれが、ローカルバイパススイッチングトランジスタと実質的に同じく、一つ以上のプロ
セスばらつきにより影響を受けるように構成され得る。第1ローカル補償容量及び第2ロ
ーカル補償容量はそれぞれが、トランジスタ系デバイスとして構成され得る。第1ローカ
ル補償容量及び第2ローカル補償容量のトランジスタ系デバイスと、ローカルバイパスス
イッチングトランジスタとはそれぞれが、MOSFETデバイスとして実装され得る。
【0013】
いくつかの実施形態において、一つ以上減衰ブロックは、2進重み付け減衰値を有する
複数の減衰ブロックを含み得る。
【0014】
いくつかの教示において、本開示は、無線周波数回路を有する半導体ダイに関する。半
導体ダイは、半導体基板と、当該半導体基板に実装された減衰器回路とを含む。減衰器回
路は、入力ノードと出力ノードとの間に直列に配列された一つ以上の減衰ブロックを含む
。各減衰ブロックはローカルバイパス経路を含む。減衰器回路はさらに、入力ノードと出
力ノードとの間に実装されたグローバルバイパス経路を含む。減衰器回路はさらに、グロ
ーバルバイパス経路及び一つ以上のローカルバイパス経路の少なくとも一つに関連付けら
れるオフ容量効果を補償するべく構成された位相補償回路を含む。
【0015】
一定数の実装において、本開示は、複数のコンポーネントを受容するべく構成されたパ
ッケージ基板と、当該パッケージ基板に実装された無線周波数減衰器回路とを含む無線周
波数モジュールに関する。減衰器回路は、入力ノードと出力ノードとの間に直列に配列さ
れた一つ以上の減衰ブロックを含む。各減衰ブロックはローカルバイパス経路を含む。減
衰器回路はさらに、入力ノードと出力ノードとの間に実装されたグローバルバイパス経路
を含む。減衰器回路はさらに、グローバルバイパス経路及び一つ以上のローカルバイパス
経路の少なくとも一つに関連付けられるオフ容量効果を補償するべく構成された位相補償
回路を含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、無線周波数減衰器回路の一部又はすべてを半導体ダイに
実装してよい。いくつかの実施形態において、無線周波数減衰器回路の実質的にすべてを
半導体ダイに実装してよい。
【0017】
いくつかの実施形態において、無線周波数モジュールは、受信した無線周波数信号を処
理するべく構成することができる。無線周波数モジュールは、ダイバーシティ受信モジュ
ールとしてよい。
【0018】
いくつかの実施形態において、無線周波数モジュールはさらに、無線周波数減衰器回路
と通信して当該無線周波数減衰器回路の動作のために制御信号を与えるべく構成された制
御器を含み得る。制御器は、例えば、モバイル産業用プロセッサインタフェイス制御信号
を与えるべく構成することができる。
【0019】
いくつかの実装によれば、本開示は、無線周波数信号を受信するべく構成されたアンテ
ナと、当該アンテナと通信する送受信器と、当該アンテナと当該送受信器との間の信号経
路とを含む無線デバイスに関する。無線デバイスはさらに、信号経路に沿って実装された
無線周波数減衰器回路を含む。減衰器回路は、入力ノードと出力ノードとの間に直列に配
列された一つ以上の減衰ブロックを含む。各減衰ブロックはローカルバイパス経路を含む
。減衰器回路はさらに、入力ノードと出力ノードとの間に実装されたグローバルバイパス
経路を含む。減衰器回路はさらに、グローバルバイパス経路及び一つ以上のローカルバイ
パス経路の少なくとも一つに関連付けられるオフ容量効果を補償するべく構成された位相
補償回路を含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、無線デバイスはさらに、無線周波数減衰器回路と通信し
て当該無線周波数減衰器回路の動作のために制御信号を与えるべく構成された制御器を含
み得る。制御器は、例えば、モバイル産業用プロセッサインタフェイス制御信号を与える
べく構成することができる。
【0021】
いくつかの実装において、本開示は、入力ノードと出力ノードとの間に直列に配列され
た一つ以上のローカル減衰ブロックを含む信号減衰器回路に関する。各減衰ブロックはロ
ーカルバイパス経路を含む。信号減衰回路はさらに、入力ノードと出力ノードとの間に実
装されたグローバルバイパス経路を含む。信号減衰回路はさらに、グローバルバイパス経
路に関連付けられるオフ容量効果を補償するべく構成されたグローバル位相補償回路を含
む。
【0022】
いくつかの実装において、本開示は、入力ノードと出力ノードとの間に直列に配列され
た一つ以上のローカル減衰ブロックを含む信号減衰器回路に関する。各減衰ブロックはロ
ーカルバイパス経路を含む。信号減衰器回路はさらに、入力ノードと出力ノードとの間に
実装されたグローバルバイパス経路を含む。信号減衰器回路はさらに、一つ以上のローカ
ル減衰ブロックの少なくとも一つに関連付けられるローカル位相補償回路を含む。ローカ
ル位相補償回路は、それぞれのローカルバイパス経路に関連付けられるオフ容量効果を補
償するべく構成される。
【0023】
いくつかの実装によれば、本開示は、入力ノードと出力ノードとの間に直列に配列され
た一つ以上のローカル減衰ブロックを含む信号減衰器回路に関する。各減衰ブロックはロ
ーカルバイパス経路を含む。信号減衰器回路はさらに、入力ノードと出力ノードとの間に
実装されたグローバルバイパス経路を含む。信号減衰器回路はさらに、グローバルバイパ
ス経路に関連付けられるオフ容量効果を補償するべく構成されたグローバル位相補償回路
を含む。信号減衰器回路はさらに、一つ以上のローカル減衰ブロックの少なくとも一つに
関連付けられるローカル位相補償回路を含む。ローカル位相補償回路は、それぞれのロー
カルバイパス経路に関連付けられるオフ容量効果を補償するべく構成される。
【0024】
一定数の実装によれば、本開示は、半導体基板と、当該半導体基板に実装された信号減
衰器回路とを含む半導体ダイに関する。信号減衰器回路は、入力ノードと出力ノードとの
間に直列に配列された一つ以上の減衰ブロックを含む。各減衰ブロックはローカルバイパ
ス経路を含む。信号減衰器回路はさらに、入力ノードと出力ノードとの間に実装されたグ
ローバルバイパス経路を含む。信号減衰器はさらに、グローバルバイパス経路に関連付け
られるオフ容量効果を補償するべく構成されたグローバル位相補償回路を含む。
【0025】
一定数の実装によれば、本開示は、半導体基板と、当該半導体基板に実装された信号減
衰器回路とを含む半導体ダイに関する。信号減衰器回路は、入力ノードと出力ノードとの
間に直列に配列された一つ以上の減衰ブロックを含む。各減衰ブロックはローカルバイパ
ス経路を含む。信号減衰器回路はさらに、入力ノードと出力ノードとの間に実装されたグ
ローバルバイパス経路を含む。信号減衰器回路はさらに、一つ以上のローカル減衰ブロッ
クの少なくとも一つに関連付けられるローカル位相補償回路を含む。ローカル位相補償回
路は、それぞれのローカルバイパス経路に関連付けられるオフ容量効果を補償するべく構
成される。
【0026】
一定数の実装によれば、本開示は、半導体基板と、当該半導体基板に実装された信号減
衰器回路とを含む半導体ダイに関する。信号減衰器回路は、入力ノードと出力ノードとの
間に直列に配列された一つ以上の減衰ブロックを含む。各減衰ブロックはローカルバイパ
ス経路を含む。信号減衰器回路はさらに、入力ノードと出力ノードとの間に実装されたグ
ローバルバイパス経路と、当該グローバルバイパス経路に関連付けられるオフ容量効果を
補償するべく構成されたグローバル位相補償回路とを含む。信号減衰器回路はさらに、一
つ以上のローカル減衰ブロックの少なくとも一つに関連付けられるローカル位相補償回路
を含む。ローカル位相補償回路は、それぞれのローカルバイパス経路に関連付けられるオ
フ容量効果を補償するべく構成される。
【0027】
いくつかの実装において、本開示は、複数のコンポーネントを受容するべく構成された
パッケージ基板と、当該パッケージ基板に実装された信号減衰器回路とを含む無線周波数
モジュールに関する。信号減衰器回路は、入力ノードと出力ノードとの間に直列に配列さ
れた一つ以上の減衰ブロックを含む。各減衰ブロックはローカルバイパス経路を含む。信
号減衰器回路はさらに、入力ノードと出力ノードとの間に実装されたグローバルバイパス
経路を含む。信号減衰器はさらに、グローバルバイパス経路に関連付けられるオフ容量効
果を補償するべく構成されたグローバル位相補償回路を含む。
【0028】
いくつかの実装において、本開示は、複数のコンポーネントを受容するべく構成された
パッケージ基板と、当該パッケージ基板に実装された信号減衰器回路とを含む無線周波数
モジュールに関する。信号減衰器回路は、入力ノードと出力ノードとの間に直列に配列さ
れた一つ以上の減衰ブロックを含む。各減衰ブロックはローカルバイパス経路を含む。信
号減衰器回路はさらに、入力ノードと出力ノードとの間に実装されたグローバルバイパス
経路を含む。信号減衰器回路はさらに、一つ以上のローカル減衰ブロックの少なくとも一
つに関連付けられるローカル位相補償回路を含む。ローカル位相補償回路は、それぞれの
ローカルバイパス経路に関連付けられるオフ容量効果を補償するべく構成される。
【0029】
いくつかの実装において、本開示は、複数のコンポーネントを受容するべく構成された
パッケージ基板と、当該パッケージ基板に実装された信号減衰器回路とを含む無線周波数
モジュールに関する。信号減衰器回路は、入力ノードと出力ノードとの間に直列に配列さ
れた一つ以上の減衰ブロックを含む。各減衰ブロックはローカルバイパス経路を含む。信
号減衰器回路はさらに、入力ノードと出力ノードとの間に実装されたグローバルバイパス
経路と、当該グローバルバイパス経路に関連付けられるオフ容量効果を補償するべく構成
されたグローバル位相補償回路とを含む。信号減衰器回路はさらに、一つ以上のローカル
減衰ブロックの少なくとも一つに関連付けられるローカル位相補償回路を含む。ローカル
位相補償回路は、それぞれのローカルバイパス経路に関連付けられるオフ容量効果を補償
するべく構成される。
【0030】
いくつかの実装において、本開示は、無線周波数信号を受信するべく構成されたアンテ
ナと、当該アンテナと通信する送受信器と、当該アンテナと当該送受信器との間の信号経
路とを含む無線デバイスに関する。無線デバイスはさらに、信号経路に沿って実装された
信号減衰器回路を含む。信号減衰器回路は、入力ノードと出力ノードとの間に直列に配列
された一つ以上の減衰ブロックを含む。各減衰ブロックはローカルバイパス経路を含む。
信号減衰器回路はさらに、入力ノードと出力ノードとの間に実装されたグローバルバイパ
ス経路を含む。信号減衰器はさらに、グローバルバイパス経路に関連付けられるオフ容量
効果を補償するべく構成されたグローバル位相補償回路を含む。
【0031】
いくつかの実装において、本開示は、無線周波数信号を受信するべく構成されたアンテ
ナと、当該アンテナと通信する送受信器と、当該アンテナと当該送受信器との間の信号経
路とを含む無線デバイスに関する。無線デバイスはさらに、信号経路に沿って実装された
信号減衰器回路を含む。信号減衰器回路は、入力ノードと出力ノードとの間に直列に配列
された一つ以上の減衰ブロックを含む。各減衰ブロックはローカルバイパス経路を含む。
信号減衰器回路はさらに、入力ノードと出力ノードとの間に実装されたグローバルバイパ
ス経路を含む。信号減衰器回路はさらに、一つ以上のローカル減衰ブロックの少なくとも
一つに関連付けられるローカル位相補償回路を含む。ローカル位相補償回路は、それぞれ
のローカルバイパス経路に関連付けられるオフ容量効果を補償するべく構成される。
【0032】
いくつかの実装において、本開示は、無線周波数信号を受信するべく構成されたアンテ
ナと、当該アンテナと通信する送受信器と、当該アンテナと当該送受信器との間の信号経
路とを含む無線デバイスに関する。無線デバイスはさらに、信号経路に沿って実装された
信号減衰器回路を含む。信号減衰器回路は、入力ノードと出力ノードとの間に直列に配列
された一つ以上の減衰ブロックを含む。各減衰ブロックはローカルバイパス経路を含む。
信号減衰器回路はさらに、入力ノードと出力ノードとの間に実装されたグローバルバイパ
ス経路と、当該グローバルバイパス経路に関連付けられるオフ容量効果を補償するべく構
成されたグローバル位相補償回路とを含む。信号減衰器回路はさらに、一つ以上のローカ
ル減衰ブロックの少なくとも一つに関連付けられるローカル位相補償回路を含む。ローカ
ル位相補償回路は、それぞれのローカルバイパス経路に関連付けられるオフ容量効果を補
償するべく構成される。
【0033】
本開示をまとめる目的で、本発明の所定の態様、利点、及び新規な特徴がここに記載さ
れてきた。理解すべきことだが、かかる利点のすべてが必ずしも、本発明の任意の特定実
施形態によって達成できるわけではない。すなわち、本発明は、ここに教示される一つの
利点又は複数の利点の群を、ここに教示され又は示唆され得る他の利点を達成する必要な
しに、達成又は最適化する態様で具体化し又は実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】入力ノードにおいて信号を受信して出力ノードにおいて減衰された信号を生成するべく構成された減衰器回路を描く。
図2】バイパス経路、グローバル位相補償回路及びローカル位相補償回路を有する減衰回路のブロック図を示す。
図3図2の減衰回路の具体的な例となり得る減衰回路を示す。
図4図3の3つの減衰ブロック例のそれぞれを表し得る個別のローカル減衰ブロックを示す。
図5】様々なスイッチングトランジスタがオフ容量又はオン抵抗のいずれかとして表される図4の減衰ブロック例の回路表現を示す。
図6図3の例と同様であるが、ローカル減衰ブロックを一緒にまとめて描いた減衰回路を示す。
図7図6のグローバルバイパス経路及びグローバル位相補償回路の回路表現を示す。
図8図5の回路表現と同様の回路表現を示す。
図9】プロセスばらつきがどのようにして減衰器回路における位相変化に影響を与えるのか、及びかかる位相変化がどのようにして補償され得るのか、の一例を示す。
図10図3の減衰回路のためのグローバルバイパス動作モードの一例を示す。
図11図3の減衰回路のための減衰動作モードの一例を示す。ここで、減衰は第1減衰ブロックにより与えられ、第2減衰ブロック及び第3減衰ブロックはそれぞれがバイパスされる。
図12図3の減衰回路のための減衰動作モードの他例を示す。ここで、減衰は第2減衰ブロック及び第3減衰ブロックにより与えられ、第1減衰ブロックはバイパスされる。
図13】いくつかの実施形態において、グローバルバイパススイッチトランジスタが、幅及び長さの寸法を有し、所与の長さに対しては、グローバルバイパススイッチトランジスタ(ONの場合)における挿入損失が、数量幅が増加するにつれて一般に減少することを示す。
図14】減衰回路の不整合レベルが、グローバルバイパススイッチトランジスタのサイズが増加するにつれて所定の均一レベルから有意に変化し得ることを示す。
図15】トランジスタのサイズが増加するにつれて、減衰レベルが、望ましいレベルから減少するプロットを示す。
図16】いくつかの実施形態において、トランジスタのサイズが増加するにつれて、減衰レベルが、高い周波数に対しては、望ましいレベルから早期に減少し得ることを示す。
図17図17Aは、ローカル補償容量を含むローカル補償経路を示す。図17Bは、いくつかの実施形態において、図17Aの容量が、望ましい容量値を与えるべく構成されたトランジスタデバイスとして実装され得ることを示す。
図18】いくつかの実施形態において、ここに記載される一つ以上の特徴を有する減衰回路が、制御器によって制御され得ることを示す。
図19】いくつかの実施形態において、ここに記載される一つ以上の特徴を有する減衰回路の一部又はすべてが半導体ダイに実装され得ることを示す。
図20】ここに記載される一つ以上の特徴を有する減衰回路の一部又はすべてがパッケージ状モジュールに実装され、かかるパッケージ状モジュールが、図19の例と同様の半導体ダイを含み得る一例を示す。
図21】ここに記載される一つ以上の特徴を有する減衰回路の一部又はすべてがパッケージ状モジュールに実装され、かかるパッケージ状モジュールが複数の半導体ダイを含み得る他例を示す。
図22】ここに記載される一つ以上の特徴を有する減衰器が、どのようにすれば無線周波数システムに実装可能となるかの非限定例を示す。
図23】ここに記載される一つ以上の特徴を有する減衰器を含むダイバーシティ受信モジュールの一例を示す。
図24】ここに記載される一つ以上の有利な特徴を有する無線デバイスの一例を描く。
【発明を実施するための形態】
【0035】
ここに与えられる見出しは、たとえあったとしても、便宜のみのためであって、必ずし
も請求項に係る発明の範囲又は意味に影響するわけではない。
【0036】
ここに開示されるのは、例えば無線周波数(RF)アプリケーションにおいて利用可能
な減衰器に関する回路、デバイス及び方法の様々な例である。様々な例がRFアプリケー
ションの文脈でここに記載されるにもかかわらず、減衰器に関する回路、デバイス及び方
法が他の電子アプリケーションのためにも利用可能であることが理解される。
【0037】
図1は、入力ノード(IN)においてRF信号を受信して出力ノード(OUT)におい
て減衰されたRF信号を生成するべく構成された減衰器回路100を描く。かかる減衰器
回路は、位相シフト補償、利得補償、及び低損失バイパス能力のような所望の機能を与え
るべく、ここに記載される一つ以上の特徴を含み得る。ここに記載されるように、かかる
位相補償は、例えば、減衰ブロック及び/又は減衰器回路自体からもたらされる近似的に
ゼロの位相シフトを与えることができる。またもここに記載されるように、かかる利得補
償は、例えば、一定周波数範囲にわたり近似的に平坦な利得を与えることができる。
【0038】
留意されることだが、入力信号が減衰器を通過するときの位相ばらつき及び利得勾配は
一般に望ましくない。このような効果は、通信リンクにおける性能劣化を引き起こし得る
からである。いくつかの実施形態において、図1の減衰回路100は、位相ばらつき問題
に対処するべくグローバル補償スキーム及び/又はローカル補償スキームを含み得る。こ
こに記載されるように、かかる補償スキームは、かかる位相ばらつきのソースに対処する
べく構成することができる。またもここに記載されるように、かかる補償スキームはまた
、相対的に広い周波数範囲にわたる近似的に平坦な利得を与えることもできる。またもこ
こに記載されるように、かかる補償スキームはまた、いくつかの状況において(例えば減
衰経路が使用されていない場合)、信号減衰を最小限に維持するのに望ましい相対的に低
い損失を有するバイパス経路を与えることができる。
【0039】
記載の目的上、減衰回路はまた、減衰器アセンブリ又は単に減衰器とも称する。かかる
減衰回路、減衰器アセンブリ、減衰器等の記載は、一つ以上の減衰ブロック(ここではロ
ーカル減衰とも称する)、減衰回路全体(ここではグローバル減衰とも称する)、又はこ
れらの任意の組み合わせに当てはまる。
【0040】
図2は、入力ノード(IN)においてRF信号を受信して出力ノード(OUT)におい
て出力RF信号を与えるべく構成された減衰回路100のブロック図を示す。かかる出力
RF信号は、一つ以上の減衰値だけ減衰され、又は減衰が望まれない場合は(例えばバイ
パス機能を介して)入力RF信号と実質的に同じとされ得る。かかる減衰値及びバイパス
機能をどのようにして実装することができるのかの複数例が、ここに詳述される。またも
ここに記載されるのは、位相補償をどのようにして、ローカル減衰レベル、グローバルレ
ベル、又はこれらの任意の組み合わせで実装することができるのかの複数例である。
【0041】
図2の例において、減衰回路100の入力ノード(IN)及び出力ノード(OUT)は
、一つ以上減衰ブロック102a、102b、102cを介して、又はバイパス経路10
6を介して結合され得る。前者を達成するべく、2つのスイッチS1、S2はそれぞれが
閉とされ、バイパス経路106が適切に構成され得る。後者を達成するべく、当該スイッ
チS1、S2はそれぞれが開とされ、バイパス経路106が適切に構成され得る。かかる
減衰ブロック及びバイパス経路の複数例がここに詳述される。
【0042】
図2の例において、及び他の図において、減衰経路は、3つの減衰ブロック例A、B及
びCを有するように示される。しかしながら、本開示の一つ以上の特徴はまた、これより
も多い又は少ない数の減衰ブロックを有する減衰回路にも実装可能であることが理解され
る。またも理解すべきことだが、ここに記載される一つ以上の特徴を有する減衰回路は、
逆に動作することもできる。
【0043】
図2を参照すると、第1例の減衰ブロック102aが、AdBの減衰を与えるべく示さ
れる。同様に、第2減衰ブロック102b及び第3減衰ブロック102cがそれぞれ、B
dB及びCdBの減衰を与えるべく示される。すなわち、かかる減衰ブロックを利用する
ことにより、一定数の合計減衰値(例えばAdB、BdB、CdB、(A+B)dB、(
A+C)dB、(B+C)dB、(A+B+C)dB)を達成することができる。
【0044】
図2の例において、減衰ブロック102a、102b、102cはそれぞれが、それぞ
れのローカル位相補償回路(104a、104b又は104c)を含むように示される。
かかるローカル位相補償回路に関する複数例が、ここに詳述される。図2の例において、
減衰ブロックのすべてが、それぞれのローカル位相補償回路を有するように示される。し
かしながら、いくつかの実施形態において、一つ以上の減衰ブロックが、かかるローカル
位相補償回路を有してもよく、有しなくてもよいことが理解される。
【0045】
図2の例において、減衰回路100はまた、グローバル位相補償回路108も含むよう
に示される。かかるグローバル位相補償回路は、減衰ブロック(102a、102b、1
02c)の前のノード(110)と後ろのノード(112)との間に実装することができ
る。かかるグローバル位相補償回路に関する複数例が、ここに詳述される。
【0046】
いくつかの実施形態において、ここに記載される一つ以上の特徴を有する減衰ブロック
(例えば図2の102a、102b、102)は、2進重み付け構成で実装することがで
きる。かかる2進重み付け構成に関する複数例は、「補償回路を有する2進重み付け減衰
器」との名称の米国特許出願第15/687,476号明細書に記載される。その開示は
、本願と同じ日に出願され、その全体が参照によりここに組み入れられ、本願の明細書の
一部とみなされる。
【0047】
図3は、図2の減衰回路100の詳しい例となり得る減衰回路100を示す。図3の例
において、スイッチS1及びS2を、例えば電界効果トランジスタ(FET)として実装
することができる。したがって、S1を入力ノード(IN)と第1ノード110との間に
実装することができ、S2を出力ノード(OUT)と第2ノード112との間に実装する
ことができる。
【0048】
図3の例において、3つの減衰ブロック102a、102b、102cはそれぞれが、
π型構成及びローカルバイパス経路(105a、105b又は105c)を含むように示
される。例えば、第1減衰ブロック102aは、π型構成で配列された抵抗R1、R2
、R3を含むように示される。抵抗R1は、第1減衰ブロック102aの入力ノー
ドと出力ノードとの間に実装されるように示される。抵抗R2は、入力ノードとグラン
ドとの間に実装されるように示される。同様に、抵抗R3は、出力ノードとグランドと
の間に実装されるように示される。
【0049】
図3の第1減衰ブロック102aのπ型構成において、スイッチングFET M2
、入力ノードと抵抗R2の一端との間に設けることができる。抵抗R2の他端はグラ
ンドに結合される。同様に、スイッチングFET M3を、出力ノードと抵抗R3
一端との間に設けることができる。抵抗R3の他端はグランドに結合される。かかるス
イッチングFET(M2及びM3)は、第1減衰ブロック102dに対して減衰が有
効にされるとONにされ、減衰がバイパス経路105aを介してバイパスされるときにO
FFにされ得る。かかるローカルバイパス経路(105a)は、例えば、スイッチングF
ET M1を含み得る。スイッチングFET M1は、第1減衰ブロック102aに対
して減衰が有効にされるとOFFにされ、ローカルバイパス経路105aを介して減衰が
バイパスされるとONにされる。
【0050】
図3の第1減衰ブロック102aのπ型構成において、容量C2は、抵抗R2と電
気的に並列となるように設けることができる。同様に、容量C3が、抵抗R3と電気
的に並列になるように設けられる。ここに記載されるように、かかる容量は、RF信号が
減衰ブロックを通過するときに生じる位相シフトを補償するべく選択することができる。
またもここに記載されるように、かかる容量はまた、減衰ブロックが、相対的に広い周波
数範囲にわたり望ましい平坦な利得プロファイルを与えることを許容し得る。
【0051】
図3の例において、第2減衰ブロック102bは、π型構成で配列された抵抗R1
R2、R3を含むように示される。抵抗R1は、第2減衰ブロック102bの入力
ノードと出力ノードとの間に実装されるように示される。抵抗R2は、入力ノードとグ
ランドとの間に実装されるように示される。同様に、抵抗R3は、出力ノードとグラン
ドとの間に実装されるように示される。
【0052】
図3の第2減衰ブロック102bのπ型構成において、スイッチングFET M2
、入力ノードと抵抗R2の一端との間に設けることができる。抵抗R2の他端はグラ
ンドに結合される。同様に、スイッチングFET M3を、出力ノードと抵抗R3
一端との間に設けることができる。抵抗R3の他端はグランドに結合される。かかるス
イッチングFET(M2及びM3)は、第2減衰ブロック102bに対して減衰が有
効にされるとONにされ、減衰がバイパス経路105aを介してバイパスされるとOFF
にされ得る。かかるローカルバイパス経路(105b)は、例えば、スイッチングFET
M1を含み得る。スイッチングFET M1は、第2減衰ブロック102bに対して
減衰が有効にされるとOFFにされ、ローカルバイパス経路105bを介して減衰がバイ
パスされるとONにされる。
【0053】
図3の第2減衰ブロック102bのπ型構成において、容量C2が、抵抗R2と電
気的に並列となるように設けられる。同様に、容量C3が、抵抗R3と電気的に並列
になるように設けられる。ここに記載されるように、かかる容量は、RF信号が減衰ブロ
ックを通過するときに生じる位相シフトを補償するべく選択することができる。またもこ
こに記載されるように、かかる容量はまた、減衰ブロックが、相対的に広い周波数範囲に
わたり望ましい平坦な利得プロファイルを与えることを許容し得る。
【0054】
図3の例において、第3減衰ブロック102cは、π型構成で配列された抵抗R1
R2、R3を含むように示される。抵抗R1は、第3減衰ブロック102cの入力
ノードと出力ノードとの間に実装されるように示される。抵抗R2は、入力ノードとグ
ランドとの間に実装されるように示される。同様に、抵抗R3は、出力ノードとグラン
ドとの間に実装されるように示される。
【0055】
図3の第3減衰ブロック102cのπ型構成において、スイッチングFET M2
、入力ノードと抵抗R2の一端との間に設けることができる。抵抗R2の他端はグラ
ンドに結合される。同様に、スイッチングFET M3を、出力ノードと抵抗R3
一端との間に設けることができる。抵抗R3の他端はグランドに結合される。かかるス
イッチングFET(M2及びM3)は、第3減衰ブロック102cに対して減衰が有
効にされるとONにされ、減衰がバイパス経路105cを介してバイパスされるとOFF
にされ得る。かかるローカルバイパス経路(105c)は、例えば、スイッチングFET
M1を含み得る。スイッチングFET M1は、第3減衰ブロック102cに対して
減衰が有効にされるとOFFにされ、ローカルバイパス経路105cを介して減衰がバイ
パスされるとONにされ得る。
【0056】
図3の第3減衰ブロック102cのπ型構成において、容量C2は、抵抗R2と電
気的に並列となるように設けることができる。同様に、容量C3が、抵抗R3と電気
的に並列になるように設けられる。ここに記載されるように、かかる容量は、RF信号が
減衰ブロックを通過するときに生じる位相シフトを補償するべく選択することができる。
またもここに記載されるように、かかる容量はまた、減衰ブロックが、相対的に広い周波
数範囲にわたり望ましい平坦な利得プロファイルを与えることを許容し得る。
【0057】
減衰ブロック102a、102b、102cにおいて、容量C2及びC3’がそれぞれ
の抵抗R2及びR3と並列に存在することにより、ここに記載される位相補償が許容され
る。またもここに記載されるように、かかる位相補償はまた、スイッチングトランジスタ
M2及びM3のオン抵抗値(Ron)と同様に、抵抗R2及びR3の値にも依存し得る。
したがって、104a、104b又は104cとして示される囲みが、それぞれのローカ
ル位相補償回路の回路素子のいくつか又はすべてを含み、又はかかるローカル位相補償に
影響を与え得る回路素子のいくつか又はすべてを含むことが理解される。
【0058】
図3の例において、RF信号が前述の減衰ブロック(102a、102b、102c)
をバイパスするのを許容するべく、入力ノード(IN)と出力ノード(OUT)との間に
バイパス経路106を設けることができる。好ましくは、かかるバイパス経路はまた、ス
イッチS1及びS2もバイパスして、かかるスイッチに関連付けられ得るいずれの損失も
生じさせない。
【0059】
いくつかの実施形態において、バイパス経路106は、減衰ブロック(102a、10
2b、102c)のバイパスが望ましいときにONにされるように実装されたスイッチン
グFET SBypassを含み得る。かかる状態において、スイッチS1及びS2はそ
れぞれがOFFとされ得る。スイッチングFET SBypassは、減衰ブロックの一
つ以上による減衰が望ましいときにOFFにされ得る。かかる状態において、スイッチS
1及びS2はそれぞれがONとされ得る。
【0060】
図3の例において、前述のバイパス回路106からもたらされる位相シフトを補償する
べく、グローバル位相補償回路108を設けることができる。例えば、スイッチングFE
T SBypassがOFF状態(減衰モード)にあるとき、オフ容量値Coffが存在
し、かかるCoffは、減衰対象のRF信号に位相シフトを引き起こし得る。
【0061】
いくつかの実施形態において、グローバル位相補償回路108は、第1ノード110と
第2ノード112との間に実装された第1抵抗RG1及び第2抵抗RG2を含み得る。さ
らに、グランドとRG1及びRG2間のノードとの間に容量Cを設けることができる。
かかる抵抗値及び容量値を、所望の位相補償を与えるべくどのようにして選択することが
できるのかの複数例が、ここに詳述される。
【0062】
図3の例において、様々なスイッチングFETのいくつか又はすべてを、例えば、シリ
コンオンインシュレータ(SOI)デバイスとして実装することができる。理解されるこ
とだが、かかる様々なスイッチングFETがNFETとして描かれる一方、本開示の一つ
以上の特徴はまた、他のタイプのFETを利用して実装することもできる。またも理解さ
れることだが、図3の例における様々なスイッチは、非FETトランジスタを含む他のタ
イプのトランジスタとして実装してもよい。
【0063】
図4及び5は、所与のローカル減衰ブロック102に対して位相補償がどのようにして
実装できるのかの一例を示す。図6及び7は、グローバル位相補償をどのようにして実装
できるのかの一例を示す。
【0064】
図4は、個別のローカル減衰ブロック102を示し、かかる減衰ブロックは、図3の3
つの減衰ブロック例102a、102b、102cのそれぞれを表す。したがって、減衰
ブロック102の様々な素子の参照番号は、添え字なしで示される。
【0065】
図4の例において、ローカル減衰ブロック102が減衰モードにある結果、ローカル入
力ノード(IN)において受信したRF信号が減衰され、ローカル出力ノード(OUT)
に与えられる。したがって、ローカルバイパス経路105のローカルバイパススイッチン
グFETM1がOFFにされ、回路104のスイッチングFET M2及びM3のそれぞ
れがONにされる。
【0066】
図5は、様々なスイッチングFETがオフ容量又はオン抵抗のいずれかとして表される
図4の減衰ブロック例102の回路表現120を示す。例えば、M1のOFF状態はオフ
容量Coffとして表され、M2及びM3それぞれのON状態がオン抵抗Ronとして表
される。記載の目的上、図4のπ型減衰器構成は一般に対称的であると仮定する。したが
って、M2はM3と同様になり得る。M2のRonがM3のRonと近似的に同じとなる
ので、図5は、M2及びM3それぞれをRonとして描く。同様に、図4の抵抗R2及び
R3は近似的に同じと仮定されるので、図5は、R2及びR3それぞれを、抵抗R2を有
するものとして描く。同様に、図4の容量C2及びC3は近似的に同じと仮定されるので
図5は、C2及びC3のそれぞれを、補償容量Cを有するものとして描く。
【0067】
図5において、回路表現120は、ローカル入力(IN)においてソースインピーダン
スRsを有し、ローカル出力(OUT)において負荷インピーダンスRLを有するように
示される。かかるインピーダンス値は同じであっても、そうでなくてもよい。しかしなが
ら、記載の目的上、Rs及びRLの値は、特性インピーダンスZ(例えば50Ω)にお
いて同じであることが仮定される。
【0068】
前述の仮定により、図5の例におけるR及びRの値は、以下のように取得すること
ができる。
【数5】
式1及び2において、パラメータKは、減衰ブロック120の減衰値を表す。留意される
ことだが、減衰が大きくなるにつれ、Rは一般に増加し、Rは一般に減少する。
【0069】
図5を参照して、M2及びM3それぞれのオン抵抗Ronが近似的にゼロと仮定すると
、ネットワーク1として示される減衰ブロック120の一部分は、以下のように減衰ブロ
ック120のフォワード利得及び位相シフト(例えば位相進み)に寄与し得る。
【数6】
【0070】
図5において、ネットワーク2として示される減衰ブロック120の一部分は、以下の
ように減衰ブロック120のフォワード利得及び位相シフト(例えば位相遅れ)に寄与し
得る。
【数7】
式3~6においてω=2πfである。ここで、fは周波数であり、R’は、R及びR
の並列配列体の抵抗値である。
【0071】
留意されることだが、図4及び5並びに式4及び6を参照すると、パラメータω、R
、Coff、R及びRは典型的に、所与の周波数、特性インピーダンス、スイッチン
グFET構成及び減衰値に対して設定される。しかしながら、いくつかの実施形態におい
て、補償容量Ccの値は、式6の位相遅れが式4の位相進みを補償するように調整するこ
とができる。かかる位相補償により、図4及び5の減衰ブロック102/120に関連付
けられる位相が所望の値となり又はその近くとなり得る。例えば、減衰ブロック102/
120に関連付けられる補償済み位相は、基準モードと実質的に同じ位相ばらつきを有し
得る。
【0072】
留意されることだが、図4及び5を参照すると、CoffがRと並列配列にあること
により、インピーダンス1/((jωCoff))によって、入力ノードと出力ノードと
の間の等価直列インピーダンスが、周波数が増加するにつれて小さくなる。その結果、周
波数が高ければ高いほど減衰が小さくなる。逆に、減衰が高ければ高いほど、周波数は低
くなる。
【0073】
さらに留意されることだが、補償容量Cが、対応するシャント抵抗Rに並列に配列
される。よって、補償容量Ccのインピーダンス(1/((jωC)))により、シャ
ントアームの等価インピーダンスが小さくなり、その結果、減衰ブロックの減衰が大きく
なる。すなわち、いくつかの実施形態において、補償容量Cは、Coffの利得に対す
る影響を補償するべく選択することができる。これにより、減衰ブロックに対し、広い周
波数範囲にわたる所望の利得プロファイル(例えば近似的に平坦なプロファイル)が達成
される。いくつかの実施形態において、補償容量Ccは、減衰ブロックのために、ここに
記載される少なくともある程度の利得補償を与えるのと同様に、ここに記載される少なく
ともある程度の位相補償を与えるべく、選択することができる。
【0074】
図6は、図3の例と同様であるが、単純さを目的としてまとめて102として示される
ローカル減衰ブロックを有する減衰回路を示す。バイパス経路106及びグローバル位相
補償回路108は、図3の例と実質的に同じである。
【0075】
図6の例において、減衰回路は、減衰モードにあってよい。グローバル入力ノード(I
N)において受信したRF信号は、減衰されてグローバル出力ノード(OUT)において
与えられる。かかる減衰モードにおいて、バイパス経路106のグローバルバイパススイ
ッチングFET SBypassは、Coffのグローバルオフ容量を与えるべくOFF
にされてよい。
【0076】
図7は、図6のグローバルバイパス経路106及びグローバル位相補償回路108の回
路表現130を示す。記載の目的上、グローバル位相補償回路108の抵抗RG1及びR
G2が実質的に同じであると仮定する。
【0077】
図7において、回路表現130は、グローバル入力(IN)においてソースインピーダ
ンスRsを有し、グローバル出力(OUT)において負荷インピーダンスRLを有するよ
うに示される。かかるインピーダンス値は同じであっても、そうでなくてもよい。しかし
ながら、記載の目的上、Rs及びRLの値は、特性インピーダンスZ(例えば50Ω)
において同じであることが仮定される。さらに、抵抗RG1(及びひいては前述の仮定に
おけるRG2)もまた、50Ωの値を有すると仮定される。
【0078】
前述の仮定により、ネットワーク1として示される回路130の一部分が、以下のよう
に回路130のフォワード利得及び位相シフト(例えば位相進み)に寄与し得る。
【数8】
【0079】
図7において、ネットワーク2として示される回路130の一部分は、以下のように回
路130のフォワード利得及び位相シフト(例えば位相遅れ)に寄与し得る。
【数9】
【0080】
留意されることだが、図6及び7並びに式8及び10を参照すると、パラメータω、R
及びCoffは典型的に、所与の周波数、特性インピーダンス及びグローバルバイパス
スイッチFET(SBypass)構成に対して設定される。しかしながら、いくつかの
実施形態において、グローバル補償抵抗RG1及び補償容量Cの値のいずれか一方又は
その双方は、式10の位相遅れが式8の位相進みを補償するように調整することができる
。かかる位相補償により、図6及び7の回路130に関連付けられる位相が所望の値とな
り又はその近くとなり得る。
【0081】
留意されることだが、図6及び7を参照すると、Coffが2RG1と並列配列にある
ことにより、インピーダンス1/((jωCoff))によって、入力ノードと出力ノー
ドとの間の等価直列インピーダンスが、周波数が増加するにつれて小さくなる。その結果
、周波数が高ければ高いほど減衰が小さくなる。逆に、減衰が高ければ高いほど、周波数
は低くなる。
【0082】
さらに留意されることだが、グローバル補償容量Cは単独で、シャント容量とされる
。すなわち、グローバル補償容量Cのインピーダンス(1/((jωC)))により
、シャントアームの等価インピーダンスが小さくなる。その結果、グローバル減衰回路に
対する減衰が大きくなる。すなわち、いくつかの実施形態において、グローバル補償容量
は、利得に対するCoffの影響を補償するべく選択することができる。これにより
、グローバル減衰回路に対し、広い周波数範囲にわたる所望の利得プロファイル(例えば
近似的に平坦プロファイル)が達成される。いくつかの実施形態において、グローバル補
償容量Cは、グローバル減衰回路のために、ここに記載される利得補償の少なくとも一
部を与えるのと同様に、ここに記載される位相補償の少なくとも一部を与えるように選択
することができる。
【0083】
いくつかの実施形態において、ここに記載される一つ以上特徴を有する位相補償回路は
、プロセスばらつきの説明をつけるべく構成することができる。一例によれば、図8は、
図5の回路表現120(これは、図4の減衰ブロック例102に対応する)と同様の回路
表現120を示す。ここに記載されるように、バイパス容量のオフ容量(Coff)は、
補償容量Ccによって補償され得る位相変化をもたらす。図8の例のオフ容量(Coff
)は、(例えば一つのウェハ上に一緒に作製された一定数のデバイス間の)プロセスばら
つきを被り得るバイパススイッチトランジスタのOFF状態からもたらされる。すなわち
、バイパススイッチトランジスタの、Coffを含む一つ以上の電気的特性が、かかるプ
ロセスばらつきに起因して変わり得る。したがって、かかるCoff(例えば式4又は8
のような)に起因する位相変化も変わり得る。
【0084】
図8は、かかるプロセスばらつき及び関連するCoffの効果が、位相補償回路におい
て説明可能であることを示す。例えば、シャントアームにおける複数の補償容量Cは、
バイパススイッチトランジスタの容量(Coff)と同様に、プロセスばらつきによる影
響を受けるように構成され得る。いくつかの実施形態において、かかる補償容量Ccは、
トランジスタ又はトランジスタ系デバイスとして構成することができる。その結果、バイ
パススイッチトランジスタ(Coff)に影響を与える任意のプロセスばらつきが、さら
に補償容量Cにも影響を与える。例えば、適切なCoffを有するバイパススイッチト
ランジスタがMOSFETデバイスとして実装される場合、複数の補償容量Ccはそれぞ
れが、MOSFET又はMOSFET系デバイスとして実装され得る。したがって、バイ
パススイッチMOSFETにおける任意のプロセス関連ばらつきもまた、補償容量C
MOSFETデバイスに、ひいては、補償容量Cの、プロセスばらつきへの(例えばバ
イパススイッチMOSFETにおいて現れるプロセスばらつきへの)依存性の実質的な除
去又は低減に、影響を与える。
【0085】
図8において、バイパススイッチMOSFET(Coff)及びMOSFETデバイス
間の前述の共通プロセスばらつきは、まとめて124として描かれる。様々な抵抗間のか
かる共通プロセスばらつきも実装され得る。例えば、抵抗R1、R2(まとめて122と
して描く)も、同じプロセスばらつきを受ける同じタイプの抵抗器として実装され得る。
【0086】
図8の例において、回路表現120及び関連プロセスばらつきは、個別の減衰ブロック
及びそのバイパス経路の文脈において記載される。理解されることだが、一般にプロセス
ばらつきから独立した位相補償もまた、グローバルバイパス経路及び対応グローバル位相
補償回路に実装することができる。
【0087】
図9は、プロセスばらつきがどのようにして減衰器回路における位相変化に影響を与え
るのか、及びかかる位相変化がどのようにして補償され得るのか、の一例を示す。図9
おいて、周波数の関数としての(例えば式4においてのような)位相進みが、3つの異な
るプロセスコーナーFF、TT、SSからもたらされる3つの異なるRC値例に対して描
かれる。
【0088】
ここに記載されるように、かかる位相進みは典型的に、抵抗と容量との何らかの組み合
わせ(例えばRC)に依存する。すなわち、図8を参照して記載されるように、所与のバ
イパス回路及び対応位相補償回路間の容量及び抵抗へのプロセス依存性を除去又は低減す
ることにより、位相補償の実効性を高めることができる。図9の例において、プロセス依
存性の除去又は低減により、周波数軸に関して、位相遅れの形態で得られる位相補償(破
線)の、対応位相進みとの対称性を高めることができる。いくつかの実施形態において、
バイパス経路に起因する所与の位相進みと、補償回路に起因して得られる位相遅れとを実
質的に対称とすることができるので、一定範囲の周波数に対し、正味の位相変化が近似的
にゼロとなる。例えば、FF位相進みとFF位相遅れとを、周波数軸について実質的に対
称にすることができるので、所与の減衰ブロックにおける正味位相変化が、一定範囲の周
波数に対して近似的にゼロになる。他例において、TT位相進み(プロセスばらつきに起
因してFF位相進みとは異なる)を、一定範囲の周波数にわたり実質的にゼロの位相変化
を与えるべく、TT位相遅れによって補償することができる。
【0089】
図10~12は、図3の減衰回路100に対して実装可能な異なる動作モードの例を示
す。図10において、減衰回路100は、グローバルバイパススイッチSBypass
ONとなりスイッチS1及びS2それぞれがOFFとなるグローバルバイパスモードにあ
るように示される。したがって、RF信号は、経路140により示されるように引き回さ
れることが図示される。かかるモードにおいて、RF信号は一般にCoff容量に従わず
、ひいては、望しくない位相シフトが一般に生じない。
【0090】
図11において、減衰回路100は、AdBの減衰が第1減衰ブロックにより与えられ
て第2減衰ブロック及び第3減衰ブロックそれぞれがバイパスされる減衰モードにあるよ
うに示される。したがって、グローバルバイパススイッチFET SBypassがOF
Fにされ、スイッチS1及びS2それぞれがONにされる。さらに、第1ローカルバイパ
ススイッチFET M1がOFFにされ、シャントアームスイッチFET M2、M3
それぞれがONにされる一方、第2ローカルバイパススイッチFET M1及び第3
ローカルバイパススイッチFET M1それぞれがONにされる。
【0091】
かかるモードにおいて、グローバルバイパススイッチFET SBypassはグロー
バルCoffを表し、得られるグローバル位相シフトは、ここに記載されるように、グロ
ーバル位相補償回路108によって補償することができる。ローカルレベルにおいて、第
1ローカルバイパススイッチFET M1はローカルCoffを表し、得られるローカ
ル位相シフトは、ここに記載されるように、一般に104aとして示されるローカル位相
補償回路によって補償することができる。
【0092】
図12において、減衰回路100は、(B+C)dBの減衰が第2減衰ブロック及び第
3減衰ブロックにより与えられて第1減衰ブロックがバイパスされる減衰モードにあるよ
うに示される。したがって、グローバルバイパススイッチFET SBypassがOF
Fにされ、スイッチS1及びS2それぞれがONにされる。さらに、第2ローカルバイパ
ススイッチFET M1及び第3ローカルバイパススイッチFET M1それぞれがO
FFにされ、シャントアームスイッチFET M2、M3、M2、M3それぞれ
がONにされる一方、第1ローカルバイパススイッチFET M1がONにされる。
【0093】
かかるモードにおいて、グローバルバイパススイッチFET SBypassはグロー
バルCoffを表し、得られるグローバル位相シフトは、ここに記載されるように、グロ
ーバル位相補償回路108によって補償することができる。ローカルレベルにおいて、第
1ローカルバイパススイッチFET M1及び第2ローカルバイパススイッチFET M
それぞれが、それぞれのローカルCoffを表し、得られるローカル位相シフトは、
ここに記載されるように、一般に104b又は104cとして示されるそれぞれのローカ
ル位相補償回路によって補償することができる。
【0094】
図13~16は、ここ(例えば図3及び10~12)に記載されるグローバルバイパス
スイッチFET(SBypass)が、グローバルバイパスモードにあるとき及び減衰モ
ードにあるときに、どのようにして望ましい性能を与えるべく構成することができるのか
の例を示す。例えば、図13は、いくつかの実施形態において、グローバルバイパススイ
ッチFET(SBypass)が幅(W)寸法及び長さ(L)寸法を有し、所与のLに対
し、(ONのときの)グローバルバイパススイッチFETにおける挿入損失が一般に、数
量W/Lが増加するにつれて減少すること(プロット150に示される)を示す。すなわ
ち、グローバルバイパスモード中に低い挿入損失が望ましい場合、グローバルバイパスス
イッチFETは、相対的に大きくなり得る。例えば、いくつかの実施形態において、グロ
ーバルバイパススイッチFETの幅Wは、約1~2mmもの大きさとなり得る。
【0095】
いくつかの実施形態において、グローバルバイパススイッチFETは、相対的に大きな
デバイスとなり得るので、OFF状態にあるとき(例えば減衰モードにおいて)相対的に
大きな寄生容量を与え得る。かかる寄生容量は、補償されない場合、何らかの望ましくな
い効果を引き起こし得る。
【0096】
例えば、図14は、グローバルバイパススイッチFETのサイズ(例えば所与のLに対
するW/L)が増加すると、減衰回路(例えば図3の100)の不整合レベルが所定の均
一レベルから有意に変化することを示す。図14の例において、かかる均一レベルからの
偏差は、曲線152として描かれる。
【0097】
ここに記載されるように、(例えば図3における)バイパス補償容量CGの使用により
、曲線154に示されるようにさらに均一な不整合レベルを与えることもできる。かかる
不整合の補償は、グローバルバイパススイッチFETが大きくなればなるほど有意になる
【0098】
図13及び14の例に基づくと、ここに記載される一つ以上特徴を有する減衰回路にお
いて、グローバルバイパススイッチFETのようなバイパススイッチFETは、挿入損失
を低減するべく相対的に大きくなるように実装することができる。かかる大きなFETを
使用することにより、増加した不整合レベルはいずれも、グローバル位相補償回路のよう
な位相補償回路によって補償することができる。
【0099】
ここに記載されるように、図3の例のような減衰回路が、利得ばらつきの補償と同様に
、位相ばらつきの補償も与えることができる。いくつかの実施形態において、かかる利得
ばらつきは、少なくとも部分的にグローバルバイパススイッチFET(SBypass
の寄生容量に起因し得る。他の視点から見れば、(減衰モードにあるときの)減衰回路に
より与えられる減衰レベルは、サイズ(例えば所与のLに対してW/L)が変わるにつれ
て、望ましいレベルから変わり得る。
【0100】
例えば、図15は、FETサイズ(W/L)が増加するにつれて望ましいレベルから減
少する減衰レベルのプロット156を示す。かかる効果は典型的に、減衰回路がグローバ
ルバイパス補償なしで動作しているときに生じる。減衰回路が、ここに記載されるグロー
バルバイパス補償回路を含むとき、減衰回路が与える減衰は、FETサイズ(W/L)が
増加しても(プロット158により描かれるように)有意に均一なままとなる。
【0101】
留意されることだが、前述の減衰効果が少なくとも部分的にグローバルバイパススイッ
チFETのオフ状態容量に起因するので、かかる減衰効果もまた、信号の周波数が減衰さ
れるにつれて変化し得る。図16は、いくつかの実施形態において、FETのサイズが増
加するにつれて、減衰レベルが、高い周波数に対しては、望ましいレベルから早期に減少
し得ることを示す。動作周波数f1、f2、f3及びf4が、f1<f2<f3<f4と
なる値を有すると仮定する。かかる状況において、160として示されるように、最大周
波数(f4)の信号の減衰がまず、FETサイズが増加するにつれて偏向し始める。2番
目に大きな周波数(f3)が次に、FETサイズが増加するにつれて偏向し始める。3番
目に大きな周波数(f2)、それに引き続いて最小周波数(f1)が同様に、FETサイ
ズが増加するにつれて偏向し始める。
【0102】
すなわち、いくつかの実施形態において、減衰回路が、ここに記載されるグローバルバ
イパス補償回路とともに動作するとき、図16の例に示されるように、減衰レベルは、広
い範囲の動作周波数に対して有意に均一のままとなる。かかる近似的に均一な減衰レベル
は、一定の周波数範囲及び一定のFETサイズ範囲にわたってプロット162のように描
かれる。
【0103】
ここに記載されるように、ローカル補償回路(例えば図3における104a、104b
、104c)はローカル補償容量(例えば図3におけるC2、C3、C2、C3
、C2、C3、及び図8におけるCc)を含み得る。図17Aは、かかるローカル補
償容量(C2として示される)を含むローカル補償経路170を示す。かかるローカル補
償経路はまた、C2と並列の抵抗R2を有するように示される。
【0104】
図17Bは、いくつかの実施形態において、図17AのキャパシタンスC2が、所望の
キャパシタンス値C2を与えるべく構成されたFETデバイス172として(例えばMO
SFETデバイスとして)実装可能なことを示す。例えば、FETデバイス172のソー
ス及びドレインを、抵抗R2の2つの端に接続することができ、FETデバイス172の
ゲートを、ゲートバイアスなしでグランドすることができる。その結果、FETデバイス
172は、図17AのC2と同様のキャパシタンスとして作用する。
【0105】
ローカル補償キャパシタンスが図17Bの例のように実装されると、一定数の所望の特
徴を達成することができる。例えば、ローカル補償容量素子は、様々なFET(例えば図
3におけるローカルバイパスFET M1、M1、M1)と本質的に一緒に作製す
ることができる。他例において、前述の作製プロセス共通点を仮定すれば、キャパシタン
スとして作用するFETデバイス172は、本質的に同じプロセスばらつきにより影響を
受ける。このばらつきは、他のFET(ローカルバイパスFET M1、M1、M1
を含む)にも影響を与える。したがって、例えばFETデバイス172と他のFETと
の間で、プロセスの独立性を達成することができる。
【0106】
図18は、いくつかの実施形態において、ここに記載される一つ以上特徴を有する(例
えば図2の減衰回路100のような)減衰回路100が、制御器180によって制御され
得ることを示す。かかる制御器は、例えば、(例えば図10においてのような)バイパス
モードを達成するべく、又は(例えば図11及び12においてのような)様々な減衰モー
ドを与えるべく、様々なスイッチを動作させる様々な制御信号を与えることができる。い
くつかの実施形態において、制御器180は、MIPI(モバイル産業用プロセッサイン
タフェイス)機能を含むように構成することができる。
【0107】
図19は、いくつかの実施形態において、ここに記載される一つ以上の特徴を有する減
衰回路100の一部又はすべてが、半導体ダイ200に実装可能なことを示す。かかるダ
イは、基板202を含み、位相/利得補償回路204(例えば図3のグローバル位相補償
回路108及びローカル位相補償回路104a、104b、104cのいずれか一方又は
その双方)の少なくとも一部を基板202に実装することができる。例えば、グローバル
補償容量C及びローカル補償容量C2、C3、C2、C3、C2、C3
一部又はすべてを、オンダイキャパシタとして実装することができる。
【0108】
図20及び21は、いくつかの実施形態において、ここに記載される一つ以上の特徴を
有する減衰回路100の一部又はすべてが、パッケージ状モジュール300に実装可能な
ことを示す。かかるモジュールは、一つ以上のダイ及び一つ以上の受動コンポーネントの
ような複数のコンポーネントを受容するべく構成されたパッケージ基板302を含み得る
【0109】
図20は、いくつかの実施形態において、パッケージ状モジュール300が、図19
例と同様の半導体ダイ200を含み得ることを示す。したがって、かかるダイは、減衰回
路100の一部又はすべてを含み得る。位相/利得補償回路204(例えば図3のグロー
バル位相補償回路108及びローカル位相補償回路104a、104b、104cのいず
れか一方又はその双方)の少なくとも一部がダイ200に実装される。
【0110】
図21は、いくつかの実施形態において、パッケージ状モジュール300が、減衰回路
100の一部を有する第1半導体ダイ210を含み得る一方、減衰回路100の残りは、
他のダイ212に、ダイの外側に(例えばパッケージ基板302に)、又はこれらの任意
の組み合わせで実装される。かかる構成において、位相/利得補償回路204(例えば図
3のグローバル位相補償回路108及びローカル位相補償回路104a、104b、10
4c)の一部を第1ダイ210に実装し、位相/利得補償回路204の残りを他のダイ2
12に、ダイの外側に(例えばパッケージ基板302に)、又はこれらの任意の組み合わ
せで実装することができる。
【0111】
図22は、ここに記載される一つ以上の特徴を有する減衰器がどのようにしてRFシス
テム400に実装可能となるかの非限定例を示す。かかるRFシステムは、RF信号の受
信及び/又は送信を容易にするべく構成されたアンテナ402を含み得る。受信の文脈に
おいて、アンテナ402が受信したRF信号は、(例えば帯域通過フィルタ410により
)フィルタリングされ、減衰器100を通過した後に低雑音増幅器(LNA)412によ
って増幅される。かかるLNAにより増幅されたRF信号は、(例えば帯域通過フィルタ
414により)フィルタリングされ、減衰器100を通過して混合器440へと引き回さ
れる。混合器440は、中間周波数(IF)信号をもたらすべく発振器(図示せず)とと
もに動作し得る。かかるIF信号は、(例えば帯域通過フィルタ442により)フィルタ
リングされ、減衰器100を通過した後に中間周波数(IF)増幅器416へと引き回さ
れる。受信経路に沿った前述の減衰器100のいくつか又はすべては、ここに記載される
一つ以上の特徴を含み得る。
【0112】
送信の文脈において、IF信号は、IF増幅器420に与えられる。IF増幅器420
の出力は、(例えば帯域通過フィルタ444)によりフィルタリングされ、減衰器100
を通過した後に混合器446へと引き回される。混合器446は、RF信号をもたらすべ
く発振器(図示せず)とともに動作し得る。かかるRF信号は、(例えば帯域通過フィル
タ422により)フィルタリングされ、減衰器100を通過した後に電力増幅器(PA)
424へと引き回される。PAにより増幅されたRF信号は、送信を目的として減衰器1
00及びフィルタ (例えば帯域通過フィルタ426)を介してアンテナ402へと引き
回される。送信経路に沿った前述の減衰器100のいくつか又はすべては、ここに記載さ
れる一つ以上の特徴を含み得る。
【0113】
いくつかの実施形態において、RFシステム400に関連付けられる様々な動作を、シ
ステム制御器430により制御し及び/又は容易にすることができる。かかるシステム制
御器は、例えば、プロセッサ432と、非一時的コンピュータ可読媒体(CRM)434
のような記憶媒体とを含み得る。いくつかの実施形態において、RFシステム400にお
ける一つ以上の減衰器100の動作に関連付けられる少なくともいくつかの制御機能を、
システム制御器430により行うことができる。
【0114】
いくつかの実施形態において、ここに記載される一つ以上の特徴を有する減衰回路は、
受信(Rx)チェーンに沿って実装することができる。例えば、ダイバーシティ受信(D
Rx)モジュールは、受信した信号の処理をダイバーシティアンテナの近くで達成可能と
するように実装することができる。図23は、かかるDRxモジュールの一例を示す。
【0115】
図23において、ダイバーシティ受信器モジュール300が、図20及び21のジュー
ル300の一例となり得る。いくつかの実施形態において、かかるDRxモジュールは、
オフモジュールフィルタ513に結合することができる。DRxモジュール300は、複
数のコンポーネントを受容するべく構成されたパッケージ基板501と、パッケージ基板
501に実装された受信システムとを含み得る。DRxモジュール300は、DRxモジ
ュール300から出るように引き回されてシステムインテグレータ、設計者又は製造者に
とって任意の所望帯域のためのフィルタをサポートするべく利用可能とされる一つ以上の
信号経路を含み得る。
【0116】
図23のDRxモジュール300は、DRxモジュール300の入力部と出力部との間
に一定数の経路を含むように示される。DRxモジュール300はまた、入力部と出力部
との間に、DRx制御器502が制御するバイパススイッチ519によりアクティブにさ
れるバイパス経路を含む。図23が単数のバイパススイッチ519を描くにもかかわらず
、いくつかの実装において、バイパススイッチ519は、多重スイッチ(例えば入力部の
物理的近くに設けられた第1スイッチ、及び出力部の物理的近くに設けられた第2スイッ
チ)を含んでよい。図23に示されるように、バイパス経路は、フィルタ又は増幅器を含
まない。
【0117】
DRxモジュール300は、第1マルチプレクサ511及び第2マルチプレクサ512
を含む一定数のマルチプレクサ経路を含むように示される。マルチプレクサ経路は、第1
マルチプレクサ511と、パッケージ基板501に実装された帯域通過フィルタ613a
~613dと、パッケージ基板501に実装された増幅器614a~614dと、第2マ
ルチプレクサ512とを含む一定数のオンモジュール経路を含む。マルチプレクサ経路は
、第1マルチプレクサ511と、パッケージ基板501の外に実装された帯域通過フィル
タ513と、増幅器514と、第2マルチプレクサ512とを含む一つ以上のオフモジュ
ール経路を含む。増幅器514は、パッケージ基板501に実装された広帯域増幅器とし
てよく、パッケージ基板501の外に実装されてもよい。いくつかの実施形態において、
増幅器614a~614d、514は、可変利得増幅器及び/又は可変電流増幅器として
よい。
【0118】
DRx制御器502は、入力と出力との間にある複数の経路の一つ以上を選択的にアク
ティブにするべく構成することができる。いくつかの実装において、DRx制御器502
は、複数の経路の一つ以上を、DRx制御器502が(例えば通信制御器から)受信した
帯域選択信号に基づいて選択的にアクティブにするべく構成することができる。DRx制
御器502は、例えば、バイパススイッチ519の開閉により、増幅器614a~614
d、514の有効化若しくは無効化により、マルチプレクサ511、512の制御により
、又は他のメカニズムにより、当該経路を選択的にアクティブにすることができる。例え
ば、DRx制御器502は、(例えばフィルタ613a~613d、513と増幅器61
4a~614d、514との間の)経路に沿って、又は増幅器614a~614d、51
4の利得を実質的にゼロに設定することにより、スイッチを開閉することができる。
【0119】
図23のDRxモジュール例300において、増幅器614a~614d、514のい
くつか又はすべてには、ここに記載される一つ以上の特徴を有する減衰回路100を設け
ることができる。例えば、かかる増幅器はそれぞれが、入力側に実装された減衰回路10
0を有するように示される。いくつかの実施形態において、所与の増幅器が、入力側及び
/又は出力側に減衰回路を有し得る。
【0120】
いくつかの実装において、ここに記載される一つ以上の特徴を有するアーキテクチャ、
デバイス及び/又は回路は、無線デバイスのようなRFデバイスに含めることができる。
かかるアーキテクチャ、デバイス及び/又は回路は、無線デバイスに直接、ここに記載さ
れる一つ以上のモジュラー形態で、又はこれらの何らかの組み合わせで実装することがで
きる。いくつかの実施形態において、かかる無線デバイスは、例えば、携帯電話機、スマ
ートフォン、電話機能あり又はなしのハンドヘルド無線デバイス、無線タブレット、無線
ルータ、無線アクセスポイント、無線基地局等を含み得る。理解されることだが、無線デ
バイスの文脈で記載されているにもかかわらず、本開示の一つ以上の特徴は、基地局のよ
うな他のRFシステムに実装することもできる。
【0121】
図24は、ここに記載される一つ以上の有利な特徴を有する無線デバイス例700を描
く。図22及び23を参照して記載されるように、ここに記載される一つ以上の特徴を有
する一つ以上の減衰器は、かかる無線デバイスにおいて一定数の場所に実装可能である。
例えば、いくつかの実施形態において、かかる有利な特徴は、一つ以上の低雑音増幅器(
LNA)を有するダイバーシティ受信(DRx)モジュール300のようなモジュールに
実装可能である。かかるDRxモジュールは、図20、21及び23を参照してここに記
載されるように構成することができる。いくつかの実施形態において、ここに記載される
一つ以上の特徴を有する減衰器は、LNAの前及び/又は後ろにおいてRF信号経路に沿
って実装可能である。
【0122】
図24の例において、PAモジュール712における電力増幅器(PA)は、それぞれ
のRF信号を、増幅及び送信対象のRF信号を生成するべく構成し及び動作させることが
できる送受信器710から受信し、受信した信号を処理することができる。送受信器71
0は、ユーザに適切なデータ及び/又は音声信号と送受信器710に適切なRF信号との
間の変換を与えるべく構成されたベース帯域サブシステム708と相互作用をするように
示される。送受信器710は、無線デバイス700の動作を目的として電力を管理するべ
く構成された電力管理コンポーネント706に接続されるように示される。かかる電力管
理はまた、無線デバイス700のベース帯域サブシステム708及び他のコンポーネント
の動作を制御することができる。
【0123】
ベース帯域サブシステム708は、ユーザに与えられ及びユーザから受信する音声及び
/又はデータの様々な入力及び出力を容易にするべくユーザインタフェイス702に接続
されるように示される。ベース帯域サブシステム708はまた、無線デバイスの動作を容
易にし及び/又はユーザのための情報記憶を与えるデータ及び/又は命令を記憶するよう
に構成されたメモリ704に接続することもできる。
【0124】
図24の例において、DRxモジュール300は、一つ以上のダイバーシティアンテナ
(例えばダイバーシティアンテナ730)とASM714との間に実装することができる
。かかる構成により、ダイバーシティアンテナ730を介して受信されたRF信号を、ダ
イバーシティアンテナ730からのRF信号の損失がほとんど若しくは全く存在せず、及
び/又は当該RF信号への雑音の付加がほとんど若しくは全く存在せず、処理することが
できる(いくつかの実施形態においてLNAによる増幅を含む)。DRxモジュール30
0からの当該処理済み信号はその後、一つ以上の信号経路を介してASMへと引き回すこ
とができる。
【0125】
図24の例において、主要アンテナ720は、例えば、PAモジュール712からのR
F信号の送信を容易にするべく構成することができる。いくつかの実施形態において、受
信動作もまた、主要アンテナを介して達成することができる。
【0126】
一定数の他の無線デバイス構成が、ここに記載される一つ以上の特徴を利用し得る。例
えば、無線デバイスは、多重帯域デバイスとする必要がない。他例において、無線デバイ
スは、ダイバーシティアンテナのような付加的なアンテナ、並びにWi-Fi、Blue
tooth(登録商標)及びGPSのような付加的な接続特徴を含んでよい。
【0127】
本明細書及び特許請求の範囲全体にわたり、文脈上そうでないことが明らかでない限り
、「含む」等の用語は、排他的又は網羅的な意味とは反対の包括的意味に、すなわち「~
を含むがこれらに限られない」との意味に解釈すべきである。ここで一般に使用される用
語「結合」は、直接接続されるか又は一つ以上の中間要素を介して接続されるかいずれか
となり得る2以上の要素を言及する。加えて、用語「ここ」、「上」、「下」及び同様の
趣旨の用語は、本願において使用される場合、本願全体を言及し、本願の任意の特定部分
を言及するわけではない。文脈が許容する場合、単数又は複数を使用する上述の詳細な説
明における用語はそれぞれ、複数又は単数をも含み得る。2つ以上の項目のリストを参照
する用語「又は」及び「若しくは」について、当該用語は以下の解釈のすべてをカバーす
る。すなわち、当該リストの任意の項目、当該リストのすべての項目、及び当該リストの
項目の任意の組み合わせである。
【0128】
本発明の実施形態の上記詳細な説明は、排他的であることすなわち本発明を上記開示の
正確な形態に制限することを意図しない。本発明の及びその例の特定の実施形態が例示を
目的として上述されたが、当業者が認識するように、本発明の範囲において様々な均等の
修正も可能である。例えば、プロセス又はブロックが所与の順序で提示されるが、代替実
施形態は、異なる順序でステップを有するルーチンを行うこと又はブロックを有するシス
テムを用いることができ、いくつかのプロセス又はブロックは削除、移動、追加、細分化
、結合、及び/又は修正することができる。これらのプロセス又はブロックはそれぞれが
、様々な異なる態様で実装することができる。また、プロセス又はブロックが直列的に行
われるように示されることがあるが、これらのプロセス又はブロックは、その代わりに、
並列して行い又は異なる時に行うこともできる。
【0129】
ここに与えられた本発明の教示は、必ずしも上述のシステムに限られることがなく、他
のシステムにも適用することができる。上述の様々な実施形態要素及び行為は、さらなる
実施形態を与えるべく組み合わせることができる。
【0130】
本発明のいくつかの実施形態が記載されたが、これらの実施形態は、例のみとして提示
されており、本開示の範囲を制限することを意図しない。実際のところ、ここに記載され
る新規な方法及びシステムは、様々な他の形態で具体化することができる。さらに、ここ
に記載される方法及びシステムの形態における様々な省略、置換及び変更が、本開示の要
旨から逸脱することなくなし得る。添付の特許請求の範囲及びその均等物が、本開示の範
囲及び要旨に収まるかかる形態又は修正をカバーすることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24