特許 7364744 少なくとも二つのボタン電池のための包装ユニット

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2023-10-10

(45)【発行日】2023-10-18

(54)【発明の名称】少なくとも二つのボタン電池のための包装ユニット

(51)【国際特許分類】

   B65D 75/36 20060101AFI20231011BHJP

   B65B 15/02 20060101ALI20231011BHJP

【ＦＩ】

B65D75/36

B65B15/02

【請求項の数】 10

(21)【出願番号】P 2022093280

(22)【出願日】2022-06-08

(65)【公開番号】P2023010596

(43)【公開日】2023-01-20

【審査請求日】2022-06-08

(31)【優先権主張番号】21184720

(32)【優先日】2021-07-09

(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP

(73)【特許権者】

【識別番号】317008263

【氏名又は名称】ヴァルタ マイクロバッテリー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング

(73)【特許権者】

【識別番号】521214056

【氏名又は名称】ヴァルタ コンシューマ バッテリーズ ゲーエムベハー ウント コー． カゲーアウフアクツィエン

(74)【代理人】

【識別番号】100103816

【弁理士】

【氏名又は名称】風早 信昭

(74)【代理人】

【識別番号】100120927

【弁理士】

【氏名又は名称】浅野 典子

(72)【発明者】

【氏名】ゲオルク・フェルバー

(72)【発明者】

【氏名】ウェルナー・レグネール

【審査官】吉澤 秀明

(56)【参考文献】

【文献】国際公開第２０１４／１８７５５２（ＷＯ，Ａ２）

【文献】国際公開第２０２０／２００６６２（ＷＯ，Ａ１）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｂ６５Ｄ ７５／３６

Ｂ６５Ｂ １５／０２

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

以下の特徴を有する、少なくとも二つのボタン電池（５０）のための包装ユニット（１００；２００；３００；４００）：
（ａ）包装ユニットが、ボタン電池（５０）の各々についてボタン電池を包囲する独立した個別の区画（１０）を含み、
（ｂ）個別の区画（１０）の各々が、独立した熱成形プラスチックフード（１１）、及びそれに固定された背面プラスチックフィルム（１２）から形成され、
（ｃ）熱成形プラスチックフード（１１）と背面プラスチックフィルム（１２）が溶接もしくは接着剤結合によって又は熱封止によって相互に対して固定されており、その結果として、個別の区画（１０）が、道具なしでは開放されることができず、
（ｄ）包装ユニットが、個別の区画（１０）が取り付けられるキャリア（２０）を含み、
（ｅ）個別の区画（１０）が、キャリア（２０）上で互いに間隔をあけられており、
（ｆ）キャリア（２０）が、キャリアボール紙カードであり、
（ｇ）キャリア（２０）が、つり下げ小穴（２１）を含む。

【請求項2】

以下の追加の特徴を有する、請求項１に記載の包装ユニット：
（ａ）キャリア（２０）に個別の区画（１０）を取り付けるために、個別の区画（１０）の背面プラスチックフィルム（１２）がキャリア（２０）に取り付けられ、特にキャリア（２０）に接着結合又は溶接される。

【請求項3】

以下の追加の特徴を有する、請求項１に記載の包装ユニット：
（ａ）キャリア（２０）が、その少なくとも一部を二次ファイバーボード、特に再生パルプで構成されている。

【請求項4】

以下の追加の特徴の少なくとも一つを有する、請求項１に記載の包装ユニット：
（ａ）熱成形プラスチックフード（１１）が、ボタン電池（５０）を収容するために円形の外形を有するボウル形状の凹所を形成し、
（ｂ）ボウル形状の凹所の円形の外形が、円形の領域の一部において、周囲に広がった部分（１３）を有し、
（ｃ）周囲に広がった部分（１３）が、ボウル形状の凹所の円形の外形の最大２５％、特に最大２０％にわたって広がり、
（ｄ）熱成形プラスチックフード（１１）が、背面プラスチックフィルム（１２）が固定される取り囲み平坦面（１４）を有する。

【請求項5】

以下の追加の特徴を有する、請求項１に記載の包装ユニット：
（ａ）熱成形プラスチックフード（１１）の材料が、背面プラスチックフィルム（１２）の材料より大きい厚さを有する。

【請求項6】

以下の追加の特徴の少なくとも一つを有する、請求項１に記載の包装ユニット：
（ａ）熱成形プラスチックフード（１１）の材料が、２５０～３５０μｍの範囲、特に３００μｍのフィルム厚さを有し、
（ｂ）背面プラスチックフィルム（１２）の材料が、１５０～２５０μｍの範囲、特に２００μｍのフィルム厚さを有する。

【請求項7】

以下の追加の特徴を有する、請求項１に記載の包装ユニット：
（ａ）熱成形プラスチックフード（１１）の材料及び背面プラスチックフィルム（１２）の材料が、それぞれポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）であり、
（ｂ）熱成形プラスチックフード（１１）の材料及び背面プラスチックフィルム（１２）の材料が、透明である。

【請求項8】

以下の追加の特徴を有する、請求項１に記載の包装ユニット：
（ａ）包装ユニット（１００；２００；３００；４００）が、各ボタン電池（５０）のために二つ、四つ、又は五つの個別の区画（１０）を含む。

【請求項9】

以下の工程を含む、請求項１～８のいずれかに記載の少なくとも二つのボタン電池（５０）のための包装ユニット（１００；２００；３００；４００）を製造するための方法：
（ａ）ボウル形状の凹所をそれぞれ有する少なくとも二つの熱成形プラスチックフード（１１）が与えられ、
（ｂ）それぞれのボタン電池（５０）が、各ボウル形状の凹所中に導入され、
（ｃ）各熱成形プラスチックフード（１１）が、それぞれの背面プラスチックフィルム（１２）で溶接もしくは接着剤結合によって又は熱封止によって閉じられて、個別の区画（１０）を形成し、
（ｄ）少なくとも二つの個別の区画（１０）が、キャリア（２０）上に互いに間隔をあけて取り付けられて、包装ユニットを形成する。

【請求項10】

以下の追加の特徴を有する、請求項９に記載の方法：
（ａ）熱成形プラスチックフード（１１）を閉じるための熱封止が、時間、圧力、及び温度のパラメーターの制御下で実施される。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、少なくとも二つのボタン電池のためのチャイルドプルーフ包装ユニットに関する。特に、包装ユニットは、ブリスターカード（ｂｌｉｓｔｅｒ ｃａｒｄ）タイプの包装である。

【背景技術】

【0002】

ボタン電池に対する需要は大きいため、この大量生産物品であるボタン電池の包装も不可避的に重要である。前述の包装は、一方では経済的でなければならないが、他方では購入に興味を促すための魅力的な外観を持たなければならない。ブリスターカードタイプの小売り用電池包装、即ちカード形状の視認性包装（この包装では、ボタン電池はプラスチックフィルムの成形部品に包装されている）は、特に広く行き渡っている。

【0003】

ＥＰ２５９５７４Ａ２は、ボタン電池のためのブリスターカードタイプの小売り用電池包装の一例を開示する。この包装は、一方ではボタン電池を収容するためのボウル形状のエンボス加工を有するＰＶＣ又はポリ塩化ビニリデンから作られた耐引裂性の好ましくは透明のフィルムによって、そして他方では滑らかな表面態様でその上に封止されるアルミニウムから作られた閉鎖箔によって形成される。ボタン電池を取り出すためには、容易に引裂可能なアルミニウム箔を通して外側へとボタン電池を押すことのみが必要である。

【0004】

しかしながら、このプロセスは、おそらく小さな子供でさえも極めて簡単に実施されることができる。小さな子供が意図せずにボタン電池を取り出して飲み込むかもしれない危険を最小にするため、小さな子供によって容易に開放できないチャイルドプルーフ包装ユニットが既に知られている。かかる包装は、より良い安全性を保障し、特に子供によるボタン電池の偶然の取り出しを防止することを確実にすることを意図される。

【0005】

例えば、ＤＥ２０２０１９１０１８６１Ｕ１は、ブリスターカードタイプの小売り用電池包装を開示する。この包装中のプラスチック成形部品は、例えばボール紙ブランクによって形成されるキャリアに固定される。プラスチック成形部品は、円筒形ボタン電池のための円形－円筒形基本空間を有する閉鎖された受器をキャリアとともに形成する少なくとも一つの熱成形された凹所を含む。さらに、受器は、側部空間を含み、それは、中央空間の膨らみとして構成されることが好ましく、それは、ボタン電池によって満たされることができないように構成される。この包装の構成では、側部空間は、包装からボタン電池を取り出すことができるためにはさみ切断によって開放されることが必要である。道具を使わない開放は、容易に実現できず、その結果、子供に対する安全に関して、小さな子供による偶然の開放が防止される。さらに、ボタン電池がはさみ切断時にはさみによって接触されないようにするため、側部空間は、ボタン電池がそのサイズに関して側部空間中に突出しないように設計される。これは、ボタン電池が短絡又は損傷されることを防止する。

【0006】

子供の安全性についてのさらなる側面は、ボタン電池の偶然の飲み込みであり、それは、ボタン電池の放電による食道における深刻な炎症の危険、及び胃腸管における他の深刻な問題と関連する。

【発明の概要】

【0007】

この背景技術に対して、本発明は、子供の安全の重要な側面を考慮し、かつフレキシブルなデザインの視覚的に心地の良い販売提示を可能にする二つ以上のボタン電池のための改良された包装ユニットを提供する目的を持つ。さらに、包装ユニットの特に経済的な製造を可能にすることが意図される。

【0008】

この目的は、請求項１の特徴を有する包装ユニットによって達成される。包装ユニットの特に有利な構成は、請求項１に従属する請求項から明らかである。さらに、この目的は、さらなる独立請求項によるかかる包装ユニットを製造するための方法によって達成される。この方法の好ましい構成は、それに従属するさらなる請求項から明らかである。

【0009】

少なくとも二つのボタン電池のための本発明による包装ユニットは、以下の特徴によって特徴づけられる：
（ａ）包装ユニットが、ボタン電池の各々についてボタン電池を包囲する独立した個別の区画を含み、
（ｂ）個別の区画の各々が、独立した熱成形プラスチックフード、及びそれに固定された背面プラスチックフィルムから形成され、
（ｃ）個別の区画が、道具なしでは開放されることができないように構成され、
（ｄ）包装ユニットが、個別の区画が取り付けられるキャリアを含み、
（ｅ）個別の区画が、キャリア上で互いに間隔をあけられている。

【0010】

本発明によれば、包装ユニットの各ボタン電池は、独立した個別の区画に封入され、個別の区画は、キャリア上で互いに離間されている。本発明による包装ユニットには、複数のボタン電池が包装されることができ、各個々のボタン電池は、別個に封入される。個別の区画は、各ボタン電池が別個にしっかりと閉鎖されかつ封入されるように、熱成形プラスチックフード、及びそれに固定されたプラスチックフィルムによって形成される。プラスチックフードへの背面プラスチックの固定は、この固定が容易に解放されることができないように、即ち特に引き出されたり又は引き裂かれたりできないように構成される。むしろ、例えばはさみ又はナイフのような道具が個別の区画の開放のために要求され、従って小さな子供は、一般に個別の区画又はカプセルを開放することができない。堅固な封入によって達成されるものは、たとえ個別の区画に封入されるボタン電池が飲み込まれたとしても、ボタン電池は、有意な危険を与えないことである。なぜなら特にボタン電池による食道管又は胃腸管の炎症が起こらないからである。ボタン電池はまた、胃腸通過時に個別の区画内に存在しているままであり、一般に単一ユニットとして前述の個別の区画とともに再び排泄されるだろう。

【0011】

さらに、個別の区画内のボタン電池の封入は、小さな子供がボタン電池を見てスイーツなどを連想することを防止する。従って、小さな子供は、かかる個別の区画をそこに含まれるボタン電池とともに飲み込むことを思いとどまる。

【0012】

さらに、個別の区画は、小さな子供がそれらを飲み込むことを思いとどまらせる特定の最小サイズを持つことが好ましい。

【0013】

個々のボタン電池のための個別の区画と関連したさらなる特定の利点は、製造面にある。従来のボタン電池のためのブリスターは、包装ユニット中のボタン電池の数に依存して異なっていた。二つの電池のための包装ユニットは、三つ、四つ、又は五つのボタン電池のためのものとは異なるブリスターを要求した。専用の道具が各ブリスターを製造するために要求された。これは、本発明によれば完全に異なる：本発明では、包装ユニットが含むことを意図されるボタン電池の数とは無関係に、同じ個別の区画を使用することが常に可能である。本発明では、キャリア上の個別の区画の配置及び数に関してのみ違いがある。

【0014】

キャリア上の個別の区画の間の距離によって達成される利点は、ボタン電池が、例えば隣接する個別の区画が偶然に損傷されずに特にユーザーに優しい方法でそれぞれの個別の区画から個別に取り除かれることができることである。

【0015】

一般に、ボタン電池は、円筒形ハウジングを有する電気化学エネルギー貯蔵電池を意味するものと理解され、その全高さは、その直径より小さい。

【0016】

本発明による包装ユニットのボタン電池は、特にリチウムボタン電池であることができ、それらは、それらが飲み込まれる場合に比較的大きな危険を投げかける。しかしながら、ボタン電池はまた、別のタイプのエネルギー貯蔵電池、例えばアルカリボタン電池又は酸化銀ボタン電池又は空気亜鉛ボタン電池であることができる。

【0017】

キャリア上へのボタン電池を含む個別の区画の取り付けに関して、包装ユニットは、好ましい構成では、以下の特徴を有する：
（ａ）キャリアに個別の区画を取り付けるために、個別の区画の背面プラスチックフィルムがキャリアに取り付けられ、特にキャリアに接着結合又は溶接される。

【0018】

背面プラスチックフィルムの表面全体（即ち個別の区画の裏側全体）をキャリアに固定することによって、キャリア上の個別の区画のしっかりとした保持が確保される。接着結合又は溶接は、それ自体公知の方法で実施されることができる。好ましくはキャリア面上の封止ラッカーの助けで実施されることができる熱封止が特に好適である。

【0019】

包装ユニットは、特に小売り用及び／又は電池用包装である。

【0020】

特に、包装ユニットのキャリアは、一般にボタン電池のため又はエネルギー貯蔵電池のためのブリスター包装の分野で一般的であるように、シート材料である。

【0021】

キャリアに関して、包装ユニットは、以下の特徴の少なくとも一つを有することが特に好ましい：
（ａ）キャリアが、キャリアボール紙カードであり、
（ｂ）キャリアが、その少なくとも一部を二次ファイバーボード、特に再生パルプで構成されている。

【0022】

上述の特徴（ａ）及び（ｂ）は、互いに組み合わせて実施されることが好ましい。

【0023】

キャリアは、ボール紙ブランクとして構成されることが好ましい。かかるボール紙ブランクは、この種のブリスター包装で広く使用されている。環境負荷を低減するためには、ボール紙ブランク（及び個別の区画の製造）用に再生材料を使用することが特に好ましい。この場合において、ボール紙ブランクの少なくとも一方の側がカラーで印刷され、特に製品についての情報を与えられることができる。印刷された側は、特に、個別の区画が取り付けられる側である。しかしながら、キャリアはまた、原則として異なる材料、例えばプラスチックから構成されてもよく、又は例えばボール紙とプラスチックから作られた複合材料のような種々の材料から構成されてもよい。

【0024】

本発明による包装ユニットは、以下の特徴の少なくとも一つを有することが特に好ましい：
（ａ）熱成形プラスチックフードが、ボタン電池を収容するために円形の外形を有するボウル形状の凹所を形成し、
（ｂ）ボウル形状の凹所の円形の外形が、円形の領域の一部において、周囲に広がった部分を有し、
（ｃ）周囲に広がった部分が、ボウル形状の凹所の円形の外形の最大２５％、特に最大２０％にわたって広がり、
（ｄ）熱成形プラスチックフードが、背面プラスチックフィルムが固定される取り囲み平坦面を有する。

【0025】

特に好ましくは、上述の特徴（ａ）及び（ｂ）、又は（ａ）及び（ｂ）及び（ｃ）、さらに特に好ましくは上述の特徴（ａ）～（ｄ）が、結合した態様で互いに実施される。

【0026】

プラスチックフードのボウル形状の凹所の円形の外形のため、受器は、それぞれのボタン電池の形状及びサイズに最適な方法で適応されることが可能である。受器の円形の外形は、ボタン電池より少し大きいことが好ましく、その結果、包装プロセス時の挿入のため、及びボタン電池の取り出しのための特定の量の遊びがある。

【0027】

上述の特徴（ｂ）による周囲に広がった部分は、子供の安全性を与えながら同時に個々のボタン電池を取り出すために使用者による包装のユーザーに優しい開放のために与えられる。周囲に広がった部分又は膨らみ（側部空間）は、はさみ切断又はナイフ切断による個別の区画の開放のための係合部分を表わす。この開放操作は、道具を要求するので、これは、本発明による包装ユニットの子供の安全に関して極めて有利な構成を与える。

【0028】

周囲に広がった部分は、個別の区画内のボタン電池が広がった部分中にスライドできないように、広がった部分が円形の外形の４分の１以下しか構成しないような方法で上述の特徴（ｃ）に従って設計されることが好ましい。これはまた、ボウル形状の凹所の残りより小さい高さを有する広がった部分によって助けられることができ、その結果、周囲に広がった部分の方向のボタン電池のスライドは、確実に避けられる。

【0029】

さらに、それぞれの個別の区画の周囲に広がった部分の領域のキャリア上に少なくとも一つのはさみ切断の印が設けられることができ、前記はさみ切断の印は、広がった部分を貫通して案内され、従って個別の区画をどのように開放すべきかに関して正確な案内を使用者に与えることができる。

【0030】

さらに、上述の特徴（ｄ）によれば、プラスチックフードが背面プラスチックフィルムの固定のための取り囲み平坦面を形成することが極めて有利である。これは、いわば封止周囲を与え、それは、背面プラスチックフィルムの固定のための良好な係合面を与え、従って個別の区画の封止又は特別にしっかりとした閉鎖を可能にする。

【0031】

ボウル形状の凹所は、平坦なベース及び包囲壁を有することが好ましい。ベースは、キャリアと平行に配向される。ベースとキャリアの間の距離は、ボタン電池のための受器の高さを規定する。

【0032】

既に述べたように、受器は、そこに挿入されるボタン電池の形状及び寸法に適応されることが好ましい。受器は、ボタン電池の直径の１．０５～１．３倍の直径を有することが好ましい。さらに好ましい実施形態では、受器は、ボタン電池の高さの１．０１～１．２倍の高さを有する。

【0033】

受器の側部空間を形成する、周囲に広がった部分がなければ、凹所及び受器は、厳密に円形－円筒形の構成を持つだろう。側部空間の存在は、厳密に円形－円筒形の幾何学形状からの逸脱を保証する。本発明によれば、側部空間の形状は、重要ではなく、従って周囲に広がった部分は、例えば丸められた態様で湾曲されたり、一つ又は複数の角を有することができる。しかしながら、側部空間は、それがボタン電池によって満たされることができないように構成されることが有利である。それゆえ、側部空間は、少なくとも一つの副領域を含むことが好ましく、この副領域中に、ボタン電池は、たとえ広がった部分内で限られた動きを持つとしても、少なくとも広がった部分を破壊又は変形せずには中に侵入できない。

【0034】

側部空間は、受器の残りより小さい高さ、特にボタン電池より小さい高さを有することが好ましい。これは、はさみによる切断を容易にする。さらに、これは、ボタン電池が側部空間内に侵入することを効果的に防止する、特に簡単な方法である。

【0035】

個別の区画の特に好ましい構成では、以下の特徴が与えられる：
（ａ）熱成形プラスチックフードの材料が、背面プラスチックフィルムの材料より大きい厚さを有する。

【0036】

プラスチックフードのための材料の厚さと背面プラスチックフィルムのための材料の厚さを異ならせることによって、背面プラスチックフィルムの可撓性を正面のプラスチックフードの可撓性より大きくすることができる。さらに、背面プラスチックフィルムの大きな可撓性は、キャリア上の個別の区画の背面プラスチックフィルムの特に安定した固定を可能にする。この文脈においては、プラスチックフードの材料は、ボタン電池の受器のための安定した造形が達成されるように選択されることが好ましい。

【0037】

個別の区画のための材料に関して、本発明による包装ユニットは、以下の特徴（ａ）及び（ｂ）の少なくとも一つ、好ましくは両方を有することが好ましい：
（ａ）熱成形プラスチックフードの材料が、２５０～３５０μｍの範囲、特に３００μｍのフィルム厚さを有し、
（ｂ）背面プラスチックフィルムの材料が、１５０～２５０μｍの範囲、特に２００μｍのフィルム厚さを有する。

【0038】

原則として、特にプラスチックフードのための材料は、例えばポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）又はポリエチレン、特に低密度ポリエチレン（ＰＥ－ＬＤ）の熱成形可能なプラスチックから構成されることができる。

【0039】

特に好ましくは、各場合においてプラスチックフードのための材料、好ましくはプラスチックフィルムの材料のためにポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）が使用される。プラスチックフード及び背面プラスチックフィルムの両方のためにＰＥＴを使用するとき、個別の区画の特にしっかりとした閉鎖を達成することが可能であり、従ってボタン電池の封入は、特に封入されたボタン電池を含む個別の区画のありうる飲み込みに対して安全性を与える。プラスチックフードのためのＰＥＴフィルムが２５０～３５０μｍの範囲、特に３００μｍの上で既に述べたフィルム厚さを有し、背面プラスチックフィルムのＰＥＴ材料が１５０～２５０μｍの範囲、特に２００μｍのフィルム厚さを有することが特に好ましい。

【0040】

プラスチックフードの材料、及び好ましくは背面プラスチックフィルムの材料は、透明であることが特に好ましい。これにより、特に魅力的な視覚的外観及びフレキシブルなデザインの包装ユニットを製造することが可能である。なぜなら包装ユニットの視覚的外観は、そのとき実質的にキャリアのデザインによって影響されるからである。

【0041】

キャリア（即ち、例えばボール紙ブランク）は、補強フィルム、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン及び／又はＰＶＣから構成されるフィルムをさらに与えられることができる。フィルムは、例えば５μｍ～５０μｍの範囲の厚さを持つことができる。補強フィルムによって、キャリアは、追加の安全手段として耐引っ掻き性の態様で設計される。この場合において、キャリア、特にボール紙ブランクは、全領域において又は特定の領域のみにおいて補強フィルムでカバーされることができる。例えば補強フィルムは、ボタン電池のための個別の区画に嵌合されるキャリアの領域のみをカバーすることができる。追加的に又は代替的に、キャリアの背面側又は個別の区画から離れて面するキャリアの側はまた、補強フィルムでカバーされることができ、及び／又はキャリアの周囲は、補強フィルムによって保護されかつ補強されることができる。

【0042】

例えば、補強フィルムは、標準規格ＡＳＴＭ Ｄ８８２に従って約１０００ｋｇ／ｃｍ^２～３５００ｋｇ／ｃｍ^２の範囲、好ましくは標準規格ＡＳＴＭ Ｄ８８２に従って１２００ｋｇ／ｃｍ^２～３３００ｋｇ／ｃｍ^２の範囲の引張強度を持つことができる。

【0043】

本発明による包装ユニットは、以下の追加の特徴を有することが特に好ましい：
（ａ）個別の区画が、丸められた縁を有する菱形の外形を有する。

【0044】

個別の区画の場合の菱形又は丸められた縁を有する菱形の外形は、本発明による包装ユニットの極めてフレキシブルなデザインを可能にする。個別の区画は、例えば互いに隣接して又は格子パターンで又は円形パターンでキャリア上に配置されることができる。この場合の菱形は、キャリア上の極めて空間を節約する配置を可能にする。従って、例えば極めて魅力的な態様で一つの包装ユニットに対して二つ又は四つ又は五つの個別の区画を与えることが可能である。２×５のボタン電池を有するダブルパックもまた可能である。キャリア上の個別の区画の他の配置及び数も可能であることは言うまでもない。

【0045】

さらに、キャリアの個々の部分を簡単な方法で脱着できるためにはキャリア上にせん孔を与えることができる。例えば、これは、分離のために個別の区画をそれぞれ含む部分を与えることを可能にする。

【0046】

全体的に、個別の区画の形のボタン電池の包装は、包装プロセスにおける極めて柔軟な使用、及び包装ユニットあたりのボタン電池の数及びキャリア上の個別の区画の幾何学的配置及び視覚的外観に関する包装ユニットのデザインの大きなフレキシビリティを可能にする。個別の区画は、極めて簡単な方法で多量に製造され、次いでキャリア上に本質的にいかなる希望の数及び配置でも固定されることができる。

【0047】

熱成形されたプラスチックフードの形状及び小さなサイズは、熱成形操作時のプラスチックの最適な使用を達成することを可能にし、従って不必要なプラスチック廃棄物（骨格廃棄物）の発生を大きく回避することができる。

【0048】

さらに、個別の区画のための例えばＰＥＴ、特に１００％ＰＥＴの使用は、極めて環境に優しい。なぜならそれは、簡単な方法で潜在的な再生プロセスに供給されることができるからである。

【0049】

本発明による包装ユニットは、極めて環境に優しい方法で全体を設計されることができる。なぜならキャリア及び個別の区画の両方が、再生された及び／又は再生可能な材料から製造されることが可能であるからである。キャリアは、例えば環境に優しいキャリアボール紙カードであり、それは、少なくとも９０％再生された二次ファイヤーボードから構成されることができる。例えば８０％再生されたＰＥＴ材料は、プラスチックフード及び背面プラスチックのためのプラスチック材料として使用されることができる。さらに、プラスチック材料のための条件は、プラスチックが一般にキャリアの表面全体にわたって与えられるブリスターカードタイプの従来の包装の場合より明らかに低い。

【0050】

全体的に、本発明による包装ユニットは、特にプラスチックに対する低い条件のため、特に環境に優しい方法で保護されることができる。

【0051】

本発明は、少なくとも二つのボタン電池のための包装ユニットを製造するための方法をさらに含む。上記の包装ユニットが製造されることができる、この方法は、以下の工程を含む：
（ａ）ボウル形状の凹所をそれぞれ有する少なくとも二つの熱成形プラスチックフードが与えられ、
（ｂ）それぞれのボタン電池が、各ボウル形状の凹所中に導入され、
（ｃ）各熱成形プラスチックフードが、それぞれの背面プラスチックフィルムで閉じられて、個別の区画を形成し、
（ｄ）少なくとも二つの個別の区画が、キャリア上に互いに間隔をあけて取り付けられて、包装ユニットを形成する。

【0052】

プラスチックフードの閉鎖に関して、本発明による方法は、特に以下の特徴（ａ）～（ｃ）の少なくとも一つを有する：
（ａ）熱成形プラスチックフードを背面プラスチックフィルムで閉じることが、溶接又は接着剤結合によって実施され、
（ｂ）熱成形プラスチックフードを背面プラスチックフィルムで閉じることが、熱封止によって実施され、
（ｃ）熱成形プラスチックフードを閉じるための熱封止が、時間、圧力、及び温度のパラメーターの制御下で実施される。

【0053】

プラスチックフードへの背面プラスチックフィルムの溶接又は接着結合は、個別の区画のしっかりとした固定を達成し、それは、道具がなければ容易に開放されることができない。これは、個別の区画がボタン電池のための気密的に封止された空間を形成することを確実にし、それはまた、例えば個別の区画の偶然の飲み込みの場合に食道管又は胃腸管で開放しない。

【0054】

個別の区画が道具なしでは開放されることができないことを確実にするために、背面プラスチックフィルムは、個別の区画に溶接によって独立した熱成形プラスチックフードに固定されること、そして背面プラスチックフィルム及び熱成形プラスチックフードはそれぞれ、補強フィルムと同様に標準規格ＡＳＴＭ Ｄ８８２に従って約１０００ｋｇ／ｃｍ^２～３５００ｋｇ／ｃｍ^２の範囲、好ましくは標準規格ＡＳＴＭ Ｄ８８２に従って約１２００ｋｇ／ｃｍ^２～３３００ｋｇ／ｃｍ^２の範囲の引張強度を有することが特に好ましい。

【0055】

特に好ましくは、熱封止は、個別の区画を閉鎖するために実施される。時間、圧力、及び温度のパラメーターを制御することによって、これは、包装ユニットのための製造プロセスに有利に一体化され、高度に満足のいく方法で制御されることができる。

【0056】

特に好ましくは、本発明による方法は、以下の追加の特徴の少なくとも一つ、好ましくは特徴（ａ）及び（ｂ）の組み合わせによってさらに特徴づけられる：
（ａ）個別の区画の取り付けの前に、キャリアが封止ラッカーを与えられ、
（ｂ）キャリアへの個別の区画の取り付けが、熱封止によって実施される。

【0057】

封止ラッカーは、特に熱封止操作のための製造において、キャリア上への個別の区画の取り付けが強化され、保証されることを可能にする。封止ラッカーの使用はまた、特に好ましい製造プロセスを可能にする。

【0058】

本発明のさらなる特徴及び利点は、図面と関連して好ましい例示的な実施形態の続く記載から明らかである。ここで、個々の特徴は、各場合において単独で又は互いに組み合わせて実施されることができる。

【図面の簡単な説明】

【0059】

【図1】図１は、封入したボタン電池を含む本発明による包装ユニットの個別の区画の斜視平面図を示す。

【0060】

【図2】図２は、細い平行線を付けた封止面を有する本発明による包装ユニットの個別の区画の平面図を示す。

【0061】

【図3】図３は、二つの断面図で本発明による包装ユニットの個別の区画の平面図を示す。

【0062】

【図4】図４は、二つの独立した個別の区画を含む本発明による包装ユニットの平面図を示す。

【0063】

【図5】図５は、四つの独立した個別の区画を含む本発明による包装ユニットの平面図を示す。

【0064】

【図6】図６は、五つの独立した個別の区画を含む本発明による包装ユニットの平面図を示す。

【0065】

【図7】図７は、列で配置された五つの独立した個別の区画を含む本発明による包装ユニットの平面図を示す。

【発明を実施するための形態】

【0066】

図１は、本発明による包装ユニットのための独立した個別の区画１０を示し、そこでは二つ以上のかかる個別の区画１０がキャリア上に取り付けられている。個別の区画１０は、ボタン電池５０、例えばリチウムボタン電池を入れている。この場合において、個別の区画１０は、ボウル形状の凹所を有する熱成形プラスチックフード１１及びそれに固定された背面プラスチックフィルム１２によって形成される。ボウル形状の凹所は、ボタン電池を収容するための略円形の外形を有する。さらに、周囲に広がった部分１３がボウル形状の凹所に与えられる。周囲に広がった部分１３の寸法は、この場合において、個別の区画１０内に封入されるボタン電池５０が周囲に広がった部分１３中にスライドできないか、又は少なくともその中に完全にスライドできないように選択される。

【0067】

個別の区画１０又は熱成形プラスチックフード１１及び個別の区画１０を形成する背面プラスチックフィルム１２は、プラスチック材料、好ましくはＰＥＴから製造されることが好ましい。ここで、プラスチックフード１１は、より寸法的に安定した材料、特に背面プラスチックフィルムより厚いプラスチックフィルムから製造されることが好ましい。個別の区画の封止におけるＰＥＴ同士の使用により、ボタン電池の特に子供に対して安全な封入が得られ、それはまた、個別の区画の偶然の飲み込みの場合に溶解又は分解されない。

【0068】

特に好ましい実施形態では、プラスチックフード１１の材料は、３００μｍの厚さを有するＰＥＴである。特に、ここでは再生材料、例えば８０％再生材料を使用することも可能である。背面プラスチックフィルム１２は、同様にＰＥＴ（２００μｍのフィルム厚さが特に好ましい）から、おそらく再生材料、好ましくは８０％再生材料から構成されることが好ましい。

【0069】

個別の区画１０を開放するためには、プラスチックフード１１の周囲に広がった部分１３の領域において使用者がはさみ切断又はナイフ切断を実施することが必要である。これにより、個別の区画を開放するための係合が作られ、ボタン電池５０が除去されることができる。従って、この個別の区画１０の開放は、道具の助けでのみ実現できる。

【0070】

熱成形プラスチックフード１１のボウル形状凹所は、包装されるボタン電池のサイズに適応されることが好ましい。例えば、２０．９ｍｍの直径を有するボウル形状凹所は、２０ｍｍまでの直径を有するボタン電池のために使用されることができる。より大きい又はより小さいボタン電池については、それに応じてボウル形状凹所の直径を適応させることができる。

【0071】

図２は、個別の区画１０の平面図であり、そこにはボタン電池５０が封入されている。プラスチックフード１１のボウル形状凹所は、包囲平坦面１４によって包囲され、それは、それに固定された背面プラスチックフィルムのための封止面を形成する。熱成形プラスチックフード１１及び背面プラスチックフィルムは、封止領域１４の領域で互いにしっかりと接続され、その結果、個別の区画１０内に位置されるボタン電池５０は、外側に対して気密的に封止される。従って、ボタン電池５０は、個別の区画１０にしっかり封入され、従って個別の区画１０の偶然の飲み込みの場合に危険がほぼない。

【0072】

封止面１４は、個別の区画１０の外形を規定し、この好ましい例示的な実施形態では、外形は、丸められた縁を有する菱形の構成を有する。この形状は、キャリア上の多数の個別の区画１０の様々な配置、特に空間を節約する配置を可能にする。個別の区画に他の形状を与えてもよいことは言うまでもない。

【0073】

図３は、個別の区画１０のさらなる平面図を示し、そこでは断面線Ａ－Ａ及びＢ－Ｂに沿った対応する断面が追加して示されている。

【0074】

断面Ｂ－Ｂは、ボタン電池５０が個別の区画１０の受器内で特定の量の遊びを伴なって横たわることを示す。しかしながら、ボタン電池は、断面Ａ－Ａによって示されるように、ボウル形状凹所の周囲に広がった部分１３中にスライドすることができない。なぜなら広がった部分は、ボウル形状凹所の周囲の１／４より小さく広がるのみだからである。

【0075】

図４は、二つの個別の区画１０を含む本発明による包装ユニット１００を示し、二つの個別の区画１０は、その上に固定され、それぞれボタン電池を封入する。個別の区画１０の特徴は、上記から明らかである。個別の区画１０は、それらの背面プラスチックフィルムによって、キャリア２０、特にボール紙ブランクの上に接着結合又は溶接される。熱封止は、このために特に好適である。キャリア２０への個別の区画１０の取り付けを改良するため、キャリアは、特に付与される個別の区画１０の領域において封止ラッカーを与えられることができる。包装ユニット１００が販売台からつり下げられるように、キャリア２０の上部領域中につり下げ小穴２１をあけることが好ましい。

【0076】

キャリア２０は、矩形のキャリアである。キャリア２０は、様々な色及びグラフィックのデザインを与えられることができる。包装ユニット１００は、特に小売り包装として、例えば貯蔵包装としても使用されることができる。

【0077】

図５は、本発明によるさらなる包装ユニット２００を示し、そこでは各々が封入されたボタン電池を含む全部で四つの個別の区画１０が与えられている。個別の区画１０は、二つの個別の区画をそれぞれ持つ二列で配置されている。図４からの包装ユニット１００と同様に、つり下げ小穴２１はまた、ここでは矩形キャリア２０に与えられる。

【0078】

図６は、本発明によるさらなる包装ユニット３００を示す。この場合において、全部で五つの個別の区画が矩形のキャリア２０上に取り付けられている。個別の区画１０は、空間を節約する方法で、しかし互いにそれぞれ離してキャリア２０に固定されている。

【0079】

図７は、本発明によるさらなる包装ユニット４００を示す。ここでも、それぞれボタン電池を含む全部で五つの個別の区画１０がキャリア２０上に取り付けられている。この場合において、個別の区画１０は上から下まで一列で配置される。独立した個別の区画１０の間で、各せん孔２２がキャリアに与えられ、その結果、各個別の区画を含む又はボタン電池を含むキャリアの対応する部分を脱着することができる。各ボタン電池を含む部分を引きちぎれる可能性を持つ包装ユニット４００のデザインはまた、「引きちぎり（ｔｅａｒ－ｏｆｆ）」として言及される。

【0080】

個別の区画１０の周囲に広がった部分１３を通って延びることができる可能なはさみ切断の印は、図に示されていない。かかるはさみ切断の印は、広がった部分１３の領域におけるはさみ切断による個別の区画１０の開放の可能性を使用者に示すことができる。

【0081】

本発明による包装ユニット及び個別の区画の製造中、個別の区画の閉鎖は、熱封止によって実施されることが好ましく、熱封止は、三つの封止パラメーター（時間、圧力、及び温度）によって制御される。この方法では、背面プラスチックフィルムへのプラスチックフードの極めてしっかりとした溶接が達成されることができる。個別の区画自体はまた、熱封止によってキャリアに付与されることができ、キャリアは、この場合において正面側に封止ラッカーを与えられることが好ましく、前記封止ラッカーは、個別の区画が極めて良好な接着を有することを確実にする。

【0082】

本発明による包装ユニットの特別な利点は、製造が自動化された方法で実施されることができることである。特に、ボタン電池の自動化された分配及び自動中間及び輸送包装を有する包装機械が、この場合において使用される。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】