(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】アリールスルホンアミド誘導体
(51)【国際特許分類】
C07C 311/21 20060101AFI20231011BHJP
C07D 213/42 20060101ALI20231011BHJP
C07D 213/71 20060101ALI20231011BHJP
C07D 231/12 20060101ALI20231011BHJP
C07D 231/18 20060101ALI20231011BHJP
C07D 263/58 20060101ALI20231011BHJP
C07D 401/12 20060101ALI20231011BHJP
C07C 303/38 20060101ALI20231011BHJP
A61K 31/18 20060101ALI20231011BHJP
A61K 31/415 20060101ALI20231011BHJP
A61K 31/423 20060101ALI20231011BHJP
A61K 31/44 20060101ALI20231011BHJP
A61K 31/4402 20060101ALI20231011BHJP
A61K 31/4406 20060101ALI20231011BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20231011BHJP
A61P 1/08 20060101ALI20231011BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20231011BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20231011BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20231011BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20231011BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20231011BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
C07C311/21
C07D213/42
C07D213/71 CSP
C07D231/12 E
C07D231/18
C07D263/58
C07D401/12
C07C303/38
A61K31/18
A61K31/415
A61K31/423
A61K31/44
A61K31/4402
A61K31/4406
A61K31/4439
A61P1/08
A61P3/10
A61P25/16
A61P25/22
A61P25/24
A61P25/28
A61P35/00
(21)【出願番号】P 2022506629
(86)(22)【出願日】2020-08-13
(86)【国際出願番号】 EP2020072693
(87)【国際公開番号】W WO2021028512
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-02-01
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ビーマンス,バルバラ
(72)【発明者】
【氏名】ゴッビ,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】ヤーシュケ,ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】クヌスト,ヘンナー
(72)【発明者】
【氏名】リンデマン,ローター
(72)【発明者】
【氏名】オハラ,フィオン
(72)【発明者】
【氏名】プランシャー,ジャン-マルク
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/015024(WO,A1)
【文献】特表2013-507350(JP,A)
【文献】Journal of the Chemical Society,1931年,pp.2338-2343
【文献】Scientific Reports,2015年,Vol.5, No.1,13869,DOI: 10.1038/srep13869
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】
(式中、
Lは結合または-C≡C-であり、
R
1は、場合により、ハロゲン、ヒドロキシ、
C
1~7
-アルキル、
C
1~7
-アルコキシまたはハロアルキルから独立して選択される1もしくは2個の置換基で置換されているフェニル、または
場合により、ハロゲン、
C
1~7
-アルキル、
C
1~7
-アルコキシまたはハロアルキルで置換されているピリジル、または
場合により、ハロゲン、ヒドロキシ、
C
1~7
-アルキル、
C
1~7
-アルコキシまたはハロアルキルで置換されているピラゾリルであり、
R
2は、場合により、ハロゲン、ヒドロキシ、
C
1~7
-アルキル、
C
1~7
-アルコキシ、ハロアルキルもしくはアルコキシアルキルから選択される1~3個の置換基で置換されているフェニル、または
場合により、ハロゲン、ヒドロキシ、
C
1~7
-アルキル、
C
1~7
-アルコキシ、ハロアルキル、またはアルコキシアルキルで置換されている、下記から選択されるヘテロアリール基であり、
【化2】
R
3およびR
4は、ハロゲン、ハロアルキル、
C
1~7
-アルキルまたは
C
1~7
-アルコキシである)
(ただし、3:5-ジブロモ-4-p-トルエンスルホンアミドジフェニル及び3:5:4’-トリブロモ-4-p-トルエンスルホンアミドジフェニルを除く)、
またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項2】
Lが-C≡C-である、請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項3】
R
1が、下記から選択される基である、請求項1または2に記載の式(I)の化合物、
【化3】
(式中、
R
5は、水素またはハロゲンであり、
R
6は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、
C
1~7
-アルキルまたは
C
1~7
-アルコキシであり、
R
7は、水素またはハロゲンであり、
R
8は、水素、ヒドロキシまたは
C
1~7
-アルキルである)
またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項4】
R
1が、下記から選択されるフェニルまたはピリジルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、
【化4】
(式中、
R
5は、水素またはハロゲンであり、
R
6は、水素、ハロゲンまたはヒドロキシであり、
R
7は、水素またはハロゲンである)
またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項5】
R
1が、下記から選択されるフェニルまたはピリジルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、
【化5】
(式中、
R
5は、水素またはフッ素であり、
R
6は、水素、フッ素、塩素またはヒドロキシであり、
R
7は、水素またはフッ素である)
またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項6】
R
2が、下記から選択される基である、請求項1~5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、
【化6】
(式中、
R
9は、ハロゲン、
C
1~7
-アルキル、
C
1~7
-アルコキシ、ハロアルキルまたはアルコキシアルキルであり、
R
10は、水素、ハロゲンまたは
C
1~7
-アルキルであり、
nは、1、2または3である)
またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項7】
R
2が、下記から選択されるフェニルまたはピラゾリルである、請求項1~6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、
【化7】
(式中、
R
9は、ハロゲン、
C
1~7
-アルキルまたは
C
1~7
-アルコキシであり、
nは、1、2または3である)
またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項8】
R
2が、下記から選択されるフェニルまたはピラゾリルである、請求項1~7のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、
【化8】
(式中、
R
9は、塩素、フッ素、メチルまたはメトキシであり、
nは、1、2または3である)
またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項9】
R
3およびR
4がハロゲンである、請求項1~8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項10】
R
3およびR
4がフッ素である、請求項1~9のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項11】
Lが、-C≡C-であり、
R
1が下記から選択される基であり、
【化9】
(式中、
R
5は、水素またはハロゲンであり、
R
6は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、
C
1~7
-アルキルまたは
C
1~7
-アルコキシであり、
R
7は、水素またはハロゲンであり、
R
8は、水素、ヒドロキシまたは
C
1~7
-アルキルである)
R
2が下記から選択される基であり、
【化10】
(式中、
R
9は、ハロゲン、
C
1~7
-アルキル、
C
1~7
-アルコキシ、ハロゲンで置換された
C
1~7
-アルキル、またはアルコキシアルキルであり、
R
10は、水素、ハロゲンまたは
C
1~7
-アルキルであり、
nは、1、2または3である)、
R
3およびR
4がハロゲンである、
請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項12】
Lが、-C≡C-であり、
R
1が、下記から選択されるフェニルまたはピリジルであり、
【化11】
(式中、
R
5は、水素またはハロゲンであり:
R
6は、水素、ハロゲンまたはヒドロキシであり、
R
7は、水素またはハロゲンである)
R
2が、下記から選択されるフェニルまたはピラゾリルであり、
【化12】
(式中、
R
9は、ハロゲン、
C
1~7
-アルキルまたは
C
1~7
-アルコキシであり、
nは、1、2または3である)、
R
3およびR
4がハロゲンである、
請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項13】
Lが、-C≡C-であり、
R
1が、下記から選択されるフェニルまたはピリジルであり、
【化13】
(式中、
R
5は、水素またはフッ素であり、
R
6は、水素、フッ素、塩素またはヒドロキシであり、
R
7は、水素またはフッ素である)
R
2が、下記から選択されるフェニルまたはピラゾリルであり、
【化14】
(式中、
R
9は、塩素、フッ素、メチルまたはメトキシであり、
nは、1、2または3である)、
R
3およびR
4がフッ素である、
請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項14】
2-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド、
2,3-ジクロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-2-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド、
2,5-ジクロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-2-フルオロ-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]ピリジン-3-スルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド、
2-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-ピリジル)エチニル]フェニル]ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]ピリジン-2-スルホンアミド、
2,4-ジクロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド、
2-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]ベンゼンスルホンアミド、
2,3-ジクロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-2-メトキシ-ベンゼンスルホンアミド、
2-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-3-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
2-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-3-フルオロ-ベンゼンスルホンアミド、
2-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-5-メトキシ-ベンゼンスルホンアミド、
2-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-5-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-2-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド、
2-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]ピリジン-3-スルホンアミド、
5-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]ピリジン-3-スルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-5-フルオロピリジン-3-スルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-1-メチル-1H-ピラゾール-5-スルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-1-メチル-ピラゾール-3-スルホンアミド、
2-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-3-メトキシ-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-2-メチル-3-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-2-メチル-ピリジン-3-スルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-4-メチル-ピリジン-3-スルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-2-(メトキシメチル)ベンゼンスルホンアミド、
2-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-3-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-1,3-ベンゾキサゾール-7-スルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-2-フルオロ-ベンゼンスルホンアミド、
N-(2,6-ジフルオロ-4-(フェニルエチニル)フェニル)-3-メチルベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-3-フルオロ-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、2,2,2-トリフルオロ酢酸塩、
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-2-メチル-ピラゾール-3-スルホンアミド2,2,2-トリフルオロ酢酸塩、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-1,3-ジメチル-ピラゾール-4-スルホンアミド、2,2,2-トリフルオロ酢酸塩、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-メトキシフェニル)エチニル]フェニル]-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-フルオロフェニル)エチニル]フェニル]-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[4-[2-(3-クロロフェニル)エチニル]-2,6-ジフルオロ-フェニル]-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-フルオロフェニル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-3-フルオロ-2-メトキシ-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-メトキシフェニル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[4-[2-(3-クロロフェニル)エチニル]-2,6-ジフルオロ-フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[4-[2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチニル]-2,6-ジフルオロ-フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-ピリジル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(m-トリル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-5-フルオロ-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-(2,6-ジフルオロ-4-((5-フルオロピリジン-3-イル)エチニル)フェニル)-2,5-ジメチルベンゼンスルホンアミド2,2,2-トリフルオロ酢酸塩、
3-クロロ-N-(4-((5-クロロピリジン-3-イル)エチニル)-2,6-ジフルオロフェニル)-2-メチルベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-メチル-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、2,2,2-トリフルオロ酢酸塩、
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、2,2,2-トリフルオロ酢酸塩、
N-[4-(4-tert-ブチルピラゾール-1-イル)-2,6-ジフルオロ-フェニル]-2-クロロ-ベンゼンスルホンアミド、
N-[4-(4-tert-ブチルピラゾール-1-イル)-2,6-ジフルオロ-フェニル]-2,3-ジクロロ-ベンゼンスルホンアミド、
N-[4-(4-tert-ブチルピラゾール-1-イル)-2,6-ジフルオロ-フェニル]-3,5-ジクロロ-ベンゼンスルホンアミド、および
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-ヒドロキシフェニル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
から選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物
またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項15】
2,3-ジクロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-2-メトキシ-ベンゼンスルホンアミド、
2-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-3-フルオロ-ベンゼンスルホンアミド、
2-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-5-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-1-メチル-1H-ピラゾール-5-スルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-3-フルオロ-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、2,2,2-トリフルオロ酢酸塩、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-フルオロフェニル)エチニル]フェニル]-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-フルオロフェニル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-メトキシフェニル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[4-[2-(3-クロロフェニル)エチニル]-2,6-ジフルオロ-フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[4-[2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチニル]-2,6-ジフルオロ-フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-ピリジル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-5-フルオロ-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-(2,6-ジフルオロ-4-((5-フルオロピリジン-3-イル)エチニル)フェニル)-2,5-ジメチルベンゼンスルホンアミド2,2,2-トリフルオロ酢酸塩、
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、2,2,2-トリフルオロ酢酸塩、および
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-ヒドロキシフェニル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
から選択される、請求項1~14のいずれか一項に記載の式(I)の化合物
またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩の製造方法であって、
アミン1
【化15】
をスルホニルクロリド2
【化16】
(式中、
L,R
1、R
2、R
3およびR
4は請求項1~15のいずれか一項に記載された通りである)と反応させて前記式(I)の化合物を形成し、必要に応じて得られた化合物をその薬学的に許容され得る塩に変換することを含む、方法。
【請求項17】
治療活性物質として使用するための、
請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項18】
請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩と、薬学的に許容され得る賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項19】
がん、不安症、嘔吐、強迫性障害、自閉症、神経保護、パーキンソン病、うつ病および2型糖尿病の治療的および/または予防的処置に使用するための、
請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項20】
がん、不安症、嘔吐、強迫性障害、自閉症、神経保護、パーキンソン病、うつ病および2型糖尿病の治療的および/または予防的処置のための、
請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項21】
がん、不安症、嘔吐、強迫性障害、自閉症、神経保護、パーキンソン病、うつ病および2型糖尿病の治療的および/または予防的処置のための医薬を調製するための、
請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、mGluR4ネガティブアロステリックモジュレーターとして有用なアリールスルホンアミド化合物、その製造、前記化合物を含む医薬組成物、ならびにがん、不安症、嘔吐、強迫性障害、自閉症、神経保護、パーキンソン病、うつ病および2型糖尿病などのmGluR4に関連する疾患の治療的および/または予防的処置のための医薬品としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
代謝型グルタミン酸受容体4は、ヒトにおいてGRM4遺伝子によってコードされるタンパク質である。
【0003】
GRM6、GRM7およびGRM8と共に、mGluR4は、代謝型グルタミン酸受容体ファミリーのグループIIIに属し、Gαi/oタンパク質の活性化を介してアデニル酸シクラーゼに負に結合している。mGluR4は主にシナプス前終末で発現され、自己受容体またはヘテロ受容体として機能し、その活性化はシナプス前終末からの伝達物質放出の減少をもたらす。mGluR4は、主にその独特の分布、およびこの受容体の活性化と非活性化が多くのCNS経路および非CNS経路において重要な調節的役割を果たすという最近の証拠に基づいて、現在多くの注目を集めている(Celanire S,Campo B,Expert Opinion in Drug Discovery,2012)。
【0004】
グループIIIのmGluRのリガンド結合ドメインにおける類似性は、この受容体の選択的オルソステリックリガンドを特定するための課題をもたらすが、この分野においてはある程度進歩が見られる。しかし、オルソステリックリガンドではなくアロステリックモジュレーターを標的にすることにより、mGluR間で排他的に選択的な分子を同定するより広い機会がもたらされる。
【0005】
mGluR4アロステリックモジュレーターは、非ドーパミン作動性アプローチによるパーキンソン病の運動(および非運動)症状の治療のための有望な治療薬および疾患修飾剤として浮上してきた。
【0006】
パーキンソン病(PD)は、黒質(SN)におけるドーパミン作動性ニューロンの喪失をもたらす進行性の神経変性疾患である。この疾患においてドーパミンが枯渇することの結果の1つは、動作緩慢、無動症、振戦、歩行障害、およびバランスの問題を含む一連の運動障害である。これらの運動障害はPDの特徴をなすが、疾患に関連する多くの他の非運動症状が存在する。疾患の初期に、PDの症状は、ドーパミンD2受容体アゴニスト、レボドパまたはモノアミンオキシダーゼB阻害剤を使用して、ドーパミン補充または増強によって効果的に処置される。しかし、疾患が進行するにつれて、これらの薬剤の運動症状を制御する効果は低下する。さらに、ドーパミン作動薬誘発性ジスキネジアを含む有害作用が出現することにより、それら薬剤の使用は制限される。その結果、運動症状の制御の有効性を改善するPDの治療への新しいアプローチが依然として必要とされている。
【0007】
選択的mGluR4モジュレーターの神経保護効果は、Neuroreport,19(4),475-8,2008,Proc.Natl.Acad.Sci,USA,100(23),13668-73,2003、J.Neurosci.26(27),7222-9,2006およびMol.Pharmacol.74(5),1345-58,2008.にも開示されている。
【0008】
さらに、mGluR4は、前立腺癌細胞株(Anticancer Res.29(1),371-7,2009)または結腸直腸癌Cli.Cancer Research,11(9)3288-95,2005)において発現されることが示された。したがって、mGluR4モジュレーターは、がんの治療にも有望な役割を果たし得る。結腸直腸癌では、mGluR4の過剰発現は再発率および不良な無病生存率と相関関係がある(Changら.Clin Cancer Res May1 2005(11)(9)3288-3295.)mGluR4の過剰発現が5-フルオロウラシル(5-FU)耐性表現型を媒介することも示され、5-FU耐性が発生することにより結腸直腸癌化学療法における主要な障害となっていた。T(Yooら.Clin Cancer Res 2004,10(12Pt1):4176-4184)。mGluR4アンタゴニストMAP4は、5-FUと相乗的に作用して、mGluR4を高発現する5-FU耐性細胞の細胞死が増えた。
【0009】
不安障害は、世界で最も一般的な精神障害の1つであり、パーキンソン病と併発する(Prediger R,ら.Neuropharmacology 2012;62:115-24)。過剰なグルタミン酸作動性神経伝達は、不安病態生理学の1つの重要な特徴である。不安および気分障害に関与する脳領域におけるmGluR4のシナプス前局在化、および過剰な脳興奮性を抑制することから、mGluR4モジュレーターは新世代の抗不安療法薬(Eur.J.Pharmacol.,498(1-3)、153-6,2004)と言える。mGluR4に作用するグループIIIのmGlu受容体アンタゴニスト(RS)-α-シクロプロピル-4-ホスホノフェニルグリシン(CPPG)は、抗不安作用を有することが示された。(Stachowiczら,Neuropharmacology52(2007)306-331}。
【0010】
mGluR4モジュレーターは抗うつ作用を発揮することも示された(Neuropharmacology,46(2)、151-9,2004)。
【0011】
したがって、mGluR4活性を調節することは、mGluR4に関連する疾患、例えばがん、不安症、パーキンソン病、嘔吐、強迫性障害、食欲不振、自閉症、神経保護、うつ病および2型糖尿病を治療または予防するための有望な戦略である。いくつかの最近の刊行物は、この受容体の生物学を解明し、選択的mGlu4ネガティブアロステリックモジュレーター(NAM)が、治療的意義を探るのに役立つ薬理学的ツールとして必要であることを強調している(Stansleyら,Trends in Pharmacological Sciences,2019,40,240-252;Harpsoeら,Scientific Reports,2015,5,13869;Chakiら,Chronic Stress,2019,doi:10.1177/2470547019837712})。2種のみ公開されているmGlu4NAM-小分子(Utleyら,Bioorganic&Medicinal Chemistry Letters,2011,21,6955-6959)および光電スイッチ可能なツール化合物photoswitchable tool compound(Roviraら,Cell Chemical Biology,2016,23,929-934)は効力が低いという問題がある(5~10μM)。
【0012】
mGluR4 NAMが少ないため、そのような化合物を提供する必要がある。
【0013】
したがって、本発明の目的は、治療特性が改善された、がん、不安、嘔吐、強迫性障害、食欲不振、自閉症、神経保護、パーキンソン病、うつ病および2型糖尿病などのmGluR4媒介疾患および障害の治療または予防または改善に有用なmGluR4 NAM、ならびにそのような疾患および障害を処置するための製剤、処置および療法を提供することである。
【発明の概要】
【0014】
本発明の第1の目的は、式(I)の化合物
【化1】
(式中、
Lは結合または-C≡C-であり、
R
1は、場合により、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシまたはハロアルキルから独立して選択される1もしくは2個の置換基で置換されているフェニル、または
場合により、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシまたはハロアルキルで置換されているピリジル、または
場合により、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシまたはハロアルキルで置換されているピラゾリルであり、
R
2は、場合により、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロアルキルもしくはアルコキシアルキルから選択される1~3個の置換基で置換されているフェニル、または
場合により、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロアルキル、またはアルコキシアルキルで置換されている、下記から選択されるヘテロアリール基であり、
【化2】
R
3およびR
4は、ハロゲン、ハロアルキル、低級アルキルまたは低級アルコキシである)、
またはその薬学的に許容され得る塩である。
本発明のさらなる目的は、本明細書に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を調製する方法であって、アミン1
【化3】
をスルホニルクロリド2
【化4】
(式中、R
1、R
2、R
3およびR
4は上記に記載された通りである)と反応させて式(I)の化合物を形成し、必要に応じて得られた化合物をその薬学的に許容され得る塩に変換することを含む、方法である。
【0015】
本発明のさらなる目的は、本明細書に記載される方法により製造された、本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容され得る塩である。
【0016】
本発明のさらなる目的は、治療活性物質として使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩である。
【0017】
本発明のさらなる目的は、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩と、薬学的に許容され得る賦形剤とを含む、医薬組成物である。
【0018】
本発明のさらなる目的は、がん、不安症、嘔吐、強迫性障害、自閉症、神経保護、パーキンソン病、うつ病および2型糖尿病の治療的および/または予防的処置に使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩である。
【0019】
本発明のさらなる目的は、がん、不安症、嘔吐、強迫性障害、自閉症、神経保護、パーキンソン病、うつ病および2型糖尿病の治療的および/または予防的処置のための、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩の使用である。
【0020】
本発明のさらなる目的は、がん、不安症、嘔吐、強迫性障害、自閉症、神経保護、パーキンソン病、うつ病および2型糖尿病の治療的および/または予防的処置のための医薬を調製するための、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩の使用である。
【0021】
本発明のさらなる目的は、有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を投与することを含む、がん、不安症、嘔吐、強迫性障害、自閉症、神経保護、パーキンソン病、うつ病および2型糖尿病の治療的および/または予防的処置方法である。
【0022】
意外にも、本発明の化合物がmGluR4 NAMであることが見出された。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、mGlu4 NAM Ca
2+動員スクリーニングアッセイの実験概要、ならびにEC
50および%Emax値の決定を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書で使用される一般用語の以下の定義は、当の用語が単独で現れるか、他の基と組み合わせて現れるかに関係なく、適用される。
【0025】
用語「低級アルキル」は、単独でまたは他の基と組み合わせて、単一または複数の分岐を有する飽和直鎖または分岐鎖アルキル基を指し、アルキル基は一般に、1~7個の炭素原子を含む(「C1~7-アルキル」)、例えば、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル、イソプロピル(i-プロピル)、n-ブチル、i-ブチル(イソブチル)、2-ブチル(sec-ブチル)、t-ブチル(tert-ブチル)、イソペンチル、2-エチル-プロピル、1,2-ジメチル-プロピルなどである。特定の低級アルキル基は、1~4個の炭素原子を有する(「C1-4-アルキル」)。
【0026】
用語「アルコキシ」は、単独でまたは組み合わせて、用語「アルキル」が、前に示される意味を有する、式アルキル-O-の基、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシおよびtert-ブトキシを表す。特定の「アルコキシ」は、メトキシおよびtert-ブチルオキシである。
「低級アルコキシ」という用語は、アルキル残基が酸素原子を介して結合している、上記で定義したアルキル基を表す。
【0027】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、単独でまたは組み合わせて、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、特にフッ素、塩素または臭素、さらに特にフッ素および塩素を表す。用語「ハロ」は、別の基と組み合わせて、少なくとも1つのハロゲン、特に、1つから5つのハロゲンで置換された、特に、1つから4つのハロゲン、すなわち、1つ、2つ、3つ、または4つのハロゲン置換された前記基の置換を意味する。
【0028】
「ハロアルキル」という用語は、アルキル基の水素原子の少なくとも1つがハロゲン原子、好ましくはフルオロで置き換えられているアルキル基を指す。好ましくは、「ハロアルキル」は、アルキル基の1、2または3個の水素原子がハロゲン原子、最も好ましくはフルオロによって置換されているアルキル基を指す。ハロアルキルの特に好ましいが非限定的な例は、トリフルオロメチルおよびトリフルオロエチルである。
【0029】
「アルコキシアルキル」という用語は、アルキル基の水素原子の少なくとも1つがアルコキシ基で置き換えられているアルキル基を指す。好ましくは、「アルコキシアルキル」は、アルキル基の1、2または3個の水素原子、最も好ましくは、1個の水素原子がアルコキシ基で置換されているアルキル基を指す。アルコキシアルキルの特に好ましいが非限定的な例は、2-メトキシエチルである。
【0030】
用語「薬学的に許容され得る塩」は、生物学的にまたはそれ以外の点で望ましくないものではない、遊離塩基または遊離酸の生物学的な有効性および特性を保持する塩を指す。塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、特に塩酸、並びに、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、N-アセチルシステインなどの有機酸と共に形成される。
特に好ましくは、式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、およびメタンスルホン酸の塩である。
【0031】
用語「保護基」(PG)は、化学反応が、合成化学において慣用的に関連する意味において、別の保護されていない反応部位で選択的に行われ得るように、多官能性化合物中の反応部位を選択的に遮断する基を表す。保護基は適切な時点で除去することができる。例示的な保護基は、アミノ保護基、カルボキシ保護基またはヒドロキシ保護基である。具体的な保護基は、tert-ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)およびベンジル(Bn)である。さらなる具体的な保護基は、tert-ブトキシカルボニル(Boc)およびフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)である。より具体的な保護基は、tert-ブトキシカルボニル(Boc)である。例示的な保護基および有機合成におけるそれらの用途は、例えば、「Protective Groups in Organic Chemistry」、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wutts著、第5版(2014年)、John Wiley&Sons(ニューヨーク州)に記載されている。
【0032】
用語「不斉炭素原子」は、4つの異なる置換基を有する炭素原子を意味する。カーン・インゴルド・プレローグ順位則によれば、不斉炭素原子は、「R」または「S」立体配置のものであり得る。
【0033】
本発明の化合物
第1の態様において、本発明は、式(I)の化合物
【化5】
(式中、
Lは結合または-C≡C-であり、
R
1は、場合により、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシまたはハロアルキルから独立して選択される1もしくは2個の置換基で置換されているフェニル、または
場合により、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシまたはハロアルキルで置換されているピリジル、または
場合により、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシまたはハロアルキルで置換されているピラゾリルであり、
R
2は、場合により、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロアルキルもしくはアルコキシアルキルから選択される1~3個の置換基で置換されているフェニル、または
場合により、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロアルキル、またはアルコキシアルキルで置換されている、下記から選択されるヘテロアリール基であり、
【化6】
R
3およびR
4は、ハロゲン、ハロアルキル、低級アルキルまたは低級アルコキシである)、
またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0034】
一実施形態では、Lは-C≡C-である。
【0035】
一実施形態では、本明細書に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が提供され、式中、R
1は、下記から選択される基である。
【化7】
(式中、
R
5は、水素またはハロゲンであり、
R
6は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルまたは低級アルコキシであり、
R
7は、水素またはハロゲンであり、
R
8は、水素、ヒドロキシまたは低級アルキルである)
【0036】
一実施形態では、R
1が、下記から選択されるフェニルまたはピリジルである、本明細書に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が提供される。
【化8】
(式中、
R
5は、水素またはハロゲンであり、
R
6は、水素、ハロゲンまたはヒドロキシであり、
R
7は、水素またはハロゲンである。)
【0037】
一実施形態では、R
1が、下記から選択されるフェニルまたはピリジルである、本明細書に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が提供される。
【化9】
(式中、
R
5は、水素またはフッ素であり、
R
6は、水素、フッ素、塩素またはヒドロキシであり、
R
7は、水素またはフッ素である。)
【0038】
一実施形態では、R
2が、下記から選択される基である、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、
【化10】
(式中、
R
9は、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロアルキルまたはアルコキシアルキルであり、
R
10は、水素、ハロゲンまたは低級アルキルであり、
nは、1、2、または3である)
またはその薬学的に許容され得る塩が提供される。
【0039】
一実施形態では、R
2が、下記から選択されるフェニルまたはピラゾリルである、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩が提供される。
【化11】
(式中、
R
9は、ハロゲン、低級アルキルまたは低級アルコキシであり、
nは、1、2、または3である)
【0040】
さらなる実施形態では、R
2が、下記から選択されるフェニルまたはピラゾリルである、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩が提供される。
【化12】
(式中、
R
9は、塩素、フッ素、メチルまたはメトキシであり、
nは、1、2、または3である)
【0041】
さらなる実施形態では、R
3およびR
4がハロゲンである、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩が提供される。
好ましい実施形態では、R
3およびR
4がフッ素である、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩が提供される。
さらなる実施形態では、
Lが、-C≡C-であり、
R
1が下記から選択される基であり、
【化13】
(式中、
R
5は、水素またはハロゲンであり、
R
6は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルまたは低級アルコキシであり、
R
7は、水素またはハロゲンであり、
R
8は、水素、ヒドロキシまたは低級アルキルである)
R
2が下記から選択される基であり、
【化14】
(式中、
R
9は、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲンで置換された低級アルキル、またはアルコキシアルキルであり、
R
10は、水素、ハロゲンまたは低級アルキルであり、
nは、1、2、または3である)
R
3およびR
4がハロゲンである、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩が提供される。
【0042】
さらなる実施形態では、
Lが、-C≡C-であり、
R
1が、下記から選択されるフェニルまたはピリジルであり、
【化15】
(式中、
R
5は、水素またはハロゲンであり、
R
6は、水素、ハロゲンまたはヒドロキシであり、
R
7は、水素またはハロゲンである)
R
2が、下記から選択されるフェニルまたはピラゾリルであり、
【化16】
(式中、
R
9は、ハロゲン、低級アルキルまたは低級アルコキシであり、
nは、1、2、または3である)
R
3およびR
4がハロゲンである、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩が提供される。
【0043】
さらなる実施形態では、
Lが、-C≡C-であり、
R
1が、下記から選択されるフェニルまたはピリジルであり、
【化17】
(式中、
R
5は、水素またはフッ素であり、
R
6は、水素、フッ素、塩素またはヒドロキシであり、
R
7は、水素またはフッ素である)
R
2が、下記から選択されるフェニルまたはピラゾリルであり、
【化18】
(式中、
R
9は、塩素、フッ素、メチルまたはメトキシであり、
nは、1、2、または3である)
R
3およびR
4が、フッ素である、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩が提供される。
【0044】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩は、1つ以上の不斉中心を含み得、光学的に純粋なエナンチオマー、例えば、ラセミ体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性体ラセミ体またはジアステレオ異性体ラセミ体の混合物などのエナンチオマーの混合物の形態として存在し得る。
【0045】
さらに好ましい実施形態では、以下から選択される、本明細書に記載される式(I)の化合物、
2-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド、
2,3-ジクロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-2-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド、
2,5-ジクロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-2-フルオロ-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]ピリジン-3-スルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド、
2-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-ピリジル)エチニル]フェニル]ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]ピリジン-2-スルホンアミド、
2,4-ジクロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド、
2-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]ベンゼンスルホンアミド、
2,3-ジクロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-2-メトキシ-ベンゼンスルホンアミド、
2-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-3-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
2-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-3-フルオロ-ベンゼンスルホンアミド、
2-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-5-メトキシ-ベンゼンスルホンアミド、
2-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-5-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-2-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド、
2-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]ピリジン-3-スルホンアミド、
5-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]ピリジン-3-スルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-5-フルオロピリジン-3-スルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-1-メチル-1H-ピラゾール-5-スルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-1-メチル-ピラゾール-3-スルホンアミド、
2-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-3-メトキシベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-2-メチル-3-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-2-メチル-ピリジン-3-スルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-4-メチル-ピリジン-3-スルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-2-(メトキシメチル)ベンゼンスルホンアミド、
2-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-3-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-1,3-ベンゾキサゾール-7-スルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-2-フルオロ-ベンゼンスルホンアミド、
N-(2,6-ジフルオロ-4-(フェニルエチニル)フェニル)-3-メチルベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-3-フルオロ-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、2,2,2-トリフルオロ酢酸塩、
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-2-メチル-ピラゾール-3-スルホンアミド2,2,2-トリフルオロ酢酸塩、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-1,3-ジメチル-ピラゾール-4-スルホンアミド、2,2,2-トリフルオロ酢酸塩、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-メトキシフェニル)エチニル]フェニル]-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-フルオロフェニル)エチニル]フェニル]-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[4-[2-(3-クロロフェニル)エチニル]-2,6-ジフルオロ-フェニル]-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-フルオロフェニル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-3-フルオロ-2-メトキシ-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-メトキシフェニル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[4-[2-(3-クロロフェニル)エチニル]-2,6-ジフルオロ-フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[4-[2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチニル]-2,6-ジフルオロ-フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-ピリジル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(m-トリル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-5-フルオロ-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-(2,6-ジフルオロ-4-((5-フルオロピリジン-3-イル)エチニル)フェニル)-2,5-ジメチルベンゼンスルホンアミド2,2,2-トリフルオロ酢酸塩、
3-クロロ-N-(4-((5-クロロピリジン-3-イル)エチニル)-2,6-ジフルオロフェニル)-2-メチルベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-メチル-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、2,2,2-トリフルオロ酢酸塩、
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、2,2,2-トリフルオロ酢酸塩、
N-[4-(4-tert-ブチルピラゾール-1-イル)-2,6-ジフルオロ-フェニル]-2-クロロ-ベンゼンスルホンアミド、
N-[4-(4-tert-ブチルピラゾール-1-イル)-2,6-ジフルオロ-フェニル]-2,3-ジクロロ-ベンゼンスルホンアミド、
N-[4-(4-tert-ブチルピラゾール-1-イル)-2,6-ジフルオロ-フェニル]-3,5-ジクロロ-ベンゼンスルホンアミド、および
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-ヒドロキシフェニル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
またはその薬学的に許容され得る塩が提供される。
【0046】
さらに好ましい実施形態では、以下から選択される、本明細書に記載される式(I)の化合物、
2,3-ジクロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-2-メトキシ-ベンゼンスルホンアミド、
2-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-3-フルオロ-ベンゼンスルホンアミド、
2-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-5-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-1-メチル-1H-ピラゾール-5-スルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-3-フルオロ-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、2,2,2-トリフルオロ酢酸塩、
N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-フルオロフェニル)エチニル]フェニル]-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-フルオロフェニル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-メトキシフェニル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[4-[2-(3-クロロフェニル)エチニル]-2,6-ジフルオロ-フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[4-[2-(3,5-ジフルオロフェニル)エチニル]-2,6-ジフルオロ-フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-ピリジル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-5-フルオロ-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
3-クロロ-N-(2,6-ジフルオロ-4-((5-フルオロピリジン-3-イル)エチニル)フェニル)-2,5-ジメチルベンゼンスルホンアミド2,2,2-トリフルオロ酢酸塩、
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、2,2,2-トリフルオロ酢酸塩、および
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-ヒドロキシフェニル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、
またはその薬学的に許容され得る塩が提供される。
【0047】
製造方法
本明細書に記載される式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を製造する方法も本発明の目的である。
【0048】
本明細書に記載される式(I)の化合物の調製は、逐次的または収束的な合成経路で行い得る。本発明の合成は、以下の一般的なスキームで示される。得られた生成物の反応および精製を行うために必要な技能は、当業者に知られている。以下の方法の説明で使用される置換基および指数は、反対の指示がない限り、本明細書で前に示される意味を有する。
【0049】
式(I)の出発物質、中間体または化合物の1つが、1つまたは複数の反応ステップの反応条件下で安定でないまたは反応性である1個または複数の官能基を含む場合、適切な保護基(例えば、「Protective Groups in Organic Chemistry」T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts著、第3版、1999年、Wiley、ニューヨークに記載される)を、当技術分野で周知の方法を適用して、重要なステップの前に導入し得る。このような保護基は、文献に記載される標準的な方法を使用して、合成の後の段階で除去し得る。保護基の例は、tert-ブトキシカルボニル(Boc)、9-フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc)、2-トリメチルシリルエチルカルバメート(Teoc)、カルボベンジルオキシ(Cbz)およびp-メトキシベンジルオキシカルボニル(Moz)である。
【0050】
出発物質または中間体が立体中心を含む場合、式(I)の化合物はジアステレオマーまたはエナンチオマーの混合物として得ることができ、これは、当該技術分野で周知の方法、例えばキラルHPLC、キラルSFC、またはキラル結晶化によって分離することができる。ラセミ化合物は、例えば、光学的に純粋な酸による結晶化によって、またはキラル吸着剤もしくはキラル溶離液のいずれかを使用する特異的なクロマトグラフ方法により対掌体を分離することによって、ジアステレオマー塩を介してそれらの対掌体に分離することができる。立体中心を含む出発物質および中間体を分離して、ジアステレオマー的/エナンチオマー的に濃縮された出発物質および中間体を得ることも、同様に可能である。式(I)の化合物の合成においてこのようなジアステレオマー的/エナンチオマー的に濃縮された出発物質および中間体を使用すると、典型的には、式(I)のそれぞれのジアステレオマー的/エナンチオマー的に濃縮された化合物が得られる。
【0051】
当業者は、反応の順序が中間体の反応性および性質に応じて変化し得ることを認識するであろう。
【0052】
より詳細には、式(I)の化合物は、以下に示す方法、実施例に示す方法、または類似の方法によって製造することができる。個々の反応工程のための適切な反応条件は、当業者に知られている。また、記載された反応に影響を及ぼす文献に記載された反応条件については、例えば、以下を参照されたい:「Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations」、第2版、Richard C.Larock.、John Wiley&Sons、ニューヨーク州ニューヨーク(1999年))。溶媒の有無にかかわらず反応は容易に行うことができた。使用される溶媒の性質に関しては、それが反応または関与する試薬に悪影響を及ぼさず、かつそれが試薬を少なくともある程度溶解することができるならば、特に制限はない。記載された反応は広範囲の温度にわたって起こる可能性があり、正確な反応温度は本発明にとって重要ではない。-78℃~還流までの温度範囲で記載された反応を行うのが便利である。反応に要する時間もまた、多くの因子、特に反応温度および試薬の性質に依存して、大きく変動し得る。しかしながら、記載された中間体および化合物を産生するには、通常、0.5時間~数日の期間で充分である。反応順序はスキームに示された順序に限定されないが、出発物質およびそれらのそれぞれの反応性に応じて、反応工程の順序を自由に変更し得る。
【0053】
出発物質若しくは中間体が市販されていない場合、またはそれらの合成が文献に記載されていない場合には、類似物質についての既存の手順に類推して、または実験の項目で概説されているように、調製し得る。
【0054】
一実施形態では、本明細書に記載される式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩は、アミン1
【化19】
をスルホニルクロリド2
【化20】
(式中、R
1、R
2、R
3およびR
4は上記に記載された通りである)と反応させて前記式(I)の化合物を形成し、必要に応じて得られた化合物をその薬学的に許容され得る塩に変換することを含む、方法により製造され得る。
【0055】
さらなる実施形態では、本発明の方法は、塩基性条件下、例えばピリジンまたはLiHMDSを使用して実施し得る。
【0056】
一実施形態では、R1、R2、R3およびR4が本明細書に記載される通りである、式(I)の化合物、およびそれらの中間体は、文献の手順、ならびに/または、例えばそれぞれスキーム1~7に示されるのと同様に調製され得る。
【0057】
本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩は、塩基性条件下で、例えば溶媒としてピリジンを使用して(必要に応じて、高温または求核触媒(例えばDMAP)を使用し得る)、または低温で、THF中、LiHMDSを使用して、式1のアミンを、式2のスルホニルクロライドと反応させることにより、調製され得る(スキーム1)。4などの単純なスルホンアミド構成要素もまた、これらの方法を使用して生成し得る。
【化21】
【0058】
あるいは、L=アルキン三重結合である場合、式(I)の化合物は、薗頭条件(X=H、Y=Br、I)、シラ薗頭条件または檜山条件(X=SiMe
3、Y=Br、I)などの遷移金属触媒クロスカップリング反応を使用して、アルキン誘導体3および適切に官能化されたアリール前駆体4を使用して調製し得る(スキーム2)。
【化22】
【0059】
あるいは、クロスカップリングの方向性は交換可能であり、式(I)の化合物は、薗頭条件(X=H、Y=Br、I)、シラ薗頭条件または檜山条件(X=SiMe
3、Y=Br、I)などの遷移金属触媒クロスカップリング反応を使用して、(ヘテロ)ハロゲン化アリール誘導体5およびアルキン誘導体6から生成し得る。(スキーム3)。
【化23】
【0060】
アリールアルキニルシラン構成要素(例えば、3および6、式中、X=SiMe3である)は、Pd触媒作用(薗頭条件下)下で適切なアリールハライド構成要素(例えば、4または5、式中、Y=Br、I)およびトリメチルシリルアセチレンから生成し得る。
【0061】
あるいは、L=結合であり、R1=(置換)N結合ヘテロアリールである場合、式(I)の化合物は、N-H複素環と適切なヨウ化アリール誘導体4との金属触媒クロスカップリング、例えば、Buchwald条件または銅触媒クロスカップリングを用いて生成し得る。あるいは、N結合ヘテロアリールR1は、標準的な複素環合成技術を使用して構築し得る。
【0062】
L=結合であり、R
1=(置換)N結合ピラゾールである場合、式(I)の化合物は、ジアルデヒド誘導体10とヒドラジノ誘導体9との縮合によって生成し得る。ヒドラジノ誘導体9は、ジアゾ化および還元によってアミン誘導体8から調製し得、アミンは、還元(例えば、鉄粉の使用)によってニトロ誘導体7から調製し得る(スキーム4)。スキーム1のように、ニトロ誘導体7は、塩基性条件下で、適切なニトロ-アニリンと適切なスルホニルクロリド誘導体2とを反応させることによって生成し得る。
【化24】
【0063】
式1の構成要素は、金属触媒クロスカップリング反応を使用して適切なヨウ化アリールから合成し得る。具体的には、L=アルキンであり、R
1=(ヘテロ)アリールである場合、式1の構成要素は、薗頭条件下でヨウ化アリールおよび(ヘテロ)アリールアルキンから合成され得る。(スキーム5)
【化25】
【0064】
市販されていない、式2の(ヘテロ)アリールスルホニルクロリドは、例えばパラジウム触媒作用下でベンジルメルカプタンと反応させてベンジルスルファニル誘導体11を生成することによって、適切なハロゲン化アリール(X=Br、I)から生成し得、これをスルホニルクロリド(例えば、AcOH中のN-クロロスクシンイミドの使用)に酸化し得る。あるいは、(ヘテロ)ハロゲン化アリールは、金属ハロゲン交換(例えば、nBuLiまたはiPrMgCl)、それに続くSO
2またはDABSO(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンビス(二硫化イオウ)付加物)との反応、および酸化(例えば、塩化スルフリルまたはN-クロロスクシンイミドを使用)により(ヘテロ)アリールスルホニルクロリド2に変換し得る。(スキーム6)
【化26】
【0065】
あるいは、式2の(ヘテロ)アリールスルホニルクロリドは、適切なニトロアリール化合物12から、アニリン13への還元(例えば、SnCl
2を使用)およびSandmeyer条件下でのスルホニルクロリドへの変換(すなわち、NaNO
2を使用したジアゾニウム塩への変換、それに続くSO
2およびCuClとの反応)を介して生成し得る。(スキーム7)
【化27】
【0066】
医薬組成物および投与
本発明の他の目的は、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩と、薬学的に許容され得る賦形剤とを含む、医薬組成物である。
【0067】
式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容され得る塩は、医薬製剤の形態で、医薬として使用し得る。医薬製剤は、経口(例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬質ゼラチンカプセルおよび軟質ゼラチンカプセル、溶液、エマルションまたは懸濁液の形態)、経鼻(例えば、点鼻薬の形態)、または直腸(例えば、坐薬の形態)などで、体内に投与し得る。しかしながら、投与は、筋肉内または静脈内(例えば、注射液の形態)などで非経口的に行い得る。投与は、例えば経皮投与、または点眼薬もしくは点耳薬の形態で局所的に行い得る。
【0068】
式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容され得る塩は、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬質ゼラチンカプセル、注射液または局所製剤などの医薬調製物の製造のために、薬学的に不活性な無機または有機担体で処理し得る。ラクトース、コーンスターチまたはその誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩などを、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠および硬質ゼラチンカプセルのためのこのような担体として使用し得る。
【0069】
軟質ゼラチンカプセルに適した担体は、例えば、植物油、ワックス、油脂、半固形物および液体ポリオールなどである。しかしながら、活性物質の性質にもよるが、軟質ゼラチンカプセルの場合には通常、担体は必要とされない。
【0070】
溶液およびシロップの製造に適した担体は、例えば、水、アルコール、ポリオール、サッカロース、グルコース、転化糖、植物油等である。
【0071】
注射液に適した担体は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油等である。
【0072】
坐剤に適した担体は、例えば、天然または硬化した油、ワックス、油脂、半液体または液体ポリオール等である。
【0073】
局所眼製剤に適した担体は、例えば、シクロデキストリン、マンニトール、または当技術分野で知られている多くの他の担体および賦形剤である。
【0074】
さらに、医薬製剤は、防腐剤、可溶化剤、粘度増加物質、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、着香剤、浸透圧を変化させるための塩、緩衝剤、マスキング剤、または酸化防止剤を含有し得る。本発明の医薬製剤は更に、他の治療上有益な物質を含み得る。
【0075】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と、治療上不活性な担体とを含む医薬もまた、1種もしくは複数の式(I)の化合物および/またはその薬学的に許容され得る塩と、所望であれば、1種または複数の他の治療上有益な物質を、1種または複数の治療上不活性な担体と一緒にガレヌス製剤投与形態にすることを含む、それらの製造方法と同様に本発明の目的である。
【0076】
投与量は、広範囲内で変化させることができ、当然、それぞれの具体的な症例において個々の要件に対して調整されなければならない。一般に、経口投与の場合、約0.1mg~20mg/kg体重、好ましくは0.5mg~4mg/kg体重(例えば、約300mg/人)の1日投与量を、好ましくは、例えば同じ量からなることができる1~3の個々の投与量に分けることが適切であろう。局所投与の場合、製剤は、0.001%~15重量%の医薬を含み得、0.1~25mgの間であり得る必要用量は、1日当たりの単回投与でも、1週間当たりの単回投与でも、1日当たりの複数回の投与(2~4回)でも、1週間当たりの複数回の投与でも投与し得る。ただし、これが示されている場合は、本明細書に記載されている上限または下限を超える可能性があることは明らかである。
【0077】
本発明の医薬組成物は、以下のように調製し得る。
【0078】
本発明の化合物を含む医薬組成物の調製
錠剤製剤(湿式造粒)
【表1】
【0079】
製造手順
1.材料1、2、3、および4を混ぜ合わせ、精製水で造粒する。
2.顆粒を50℃で乾燥させる。
3.顆粒を適切な粉砕装置に通す。
4.材料5を加えて3分間混ぜ、適当なプレス機で圧縮する。
【0080】
【0081】
製造手順
1.材料1、2、および3を適当なミキサーで30分間混ぜる。
2.材料4と5を加えて3分間混ぜる。
3.適切なカプセルに充填する。
【0082】
【0083】
製造手順
式(I)の化合物(一部)を、ポリエチレングリコール400および注射用水の混合物に溶解する。pHは酢酸により5.0に調整する。残量の水を加えて、体積を1.0mlに調整する。溶液をフィルタにかけ、適切な過量を用いてバイアルに充填し、滅菌する。
【0084】
また、本発明の目的は、治療活性物質として使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩である。
【0085】
上述のように、式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容され得る塩は、mGluR4ネガティブアロステリックモジュレーターとして有用である。
【0086】
一態様では、本発明は、がん、不安症、嘔吐、強迫性障害、自閉症、神経保護、パーキンソン病、うつ病および2型糖尿病などのmGluR4と関連する疾患の治療的および/または予防的処置に使用するための、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0087】
さらなる態様では、本発明は、がん、不安症、嘔吐、強迫性障害、自閉症、神経保護、パーキンソン病、うつ病および2型糖尿病などのmGluR4と関連する疾患の治療的および/または予防的処置のための、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩の使用を提供する。
【0088】
さらなる態様では、本発明は、がん、不安症、嘔吐、強迫性障害、自閉症、神経保護、パーキンソン病、うつ病および2型糖尿病などのmGluR4と関連する疾患の治療的および/または予防的処置のための医薬を調製するための、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩の使用を提供する。
【0089】
さらなる態様では、本発明は、有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を投与することを含む、がん、不安症、嘔吐、強迫性障害、自閉症、神経保護、パーキンソン病、うつ病および2型糖尿病などのmGluR4と関連する疾患の治療的および/または予防的処置方法を提供する。
【0090】
実施例
本発明は、以下の実施例を参照することによってより充分に理解される。しかしながら、特許請求の範囲は、本実施例の範囲に限定されるものと解釈されるべきではない。
【0091】
調製実施例
特に記載のない限り、全ての反応例および中間体は、アルゴン雰囲気下で調製した。
【0092】
略号
AcOH=酢酸、ACN=アセトニトリル、Bn=ベンジル、BINAP=(2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル)、Boc=tert-ブチルオキシカルボニル、CAS RN=ケミカルアブストラクツ登録番号、Cbz=ベンジルオキシカルボニル、Cs2CO3=炭酸セシウム、CO=一酸化炭素、CuCl=塩化銅(I)、CuCN=シアン化銅(I)、CuI=ヨウ化銅(I)、DABCO=1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン;トリエチレンジアミン、DAST=三フッ化(ジエチルアミノ)硫黄、DBU=1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン、DEAD=ジエチルアゾジカルボキシレート、DIAD=ジイソプロピルアゾジカルボキシレート、DIBAL-H=水素化ジイソブチルアルミニウム、DMAP=4-ジメチルアミノピリジン、DME=ジメトキシエタン、DMEDA=N,N’-ジメチルエチレンジアミン、DMF=N,N-ジメチルホルムアミド、DIPEA=N,N-ジイソプロピルエチルアミン、dppf=1,1ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、EDC.HCl=N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩、EI=電子衝撃、ESI=エレクトロスプレーイオン化、EtOAc=酢酸エチル、EtOH=エタノール、h=時間、FA=蟻酸、H2O=水、H2SO4=硫酸、HATU=1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム-3-オキシドヘキサフルオロホスフェート、HBTU=O-ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-テトラメチル-ウロニウム-ヘキサフルオロ-ホスフェート、HCl=塩化水素、HOBt=1-ヒドロキシ-1H-ベンゾトリアゾール、HPLC=高速液体クロマトグラフィー、iPrMgCl=イソプロピルマグネシウムクロリド、I2=ヨウ素、IPA=2-プロパノール、ISP=正イオンスプレー(モード)、ISN=負イオンスプレー(モード)、K2CO3=炭酸カリウム、KHCO3=炭酸水素カリウム、KI=ヨウ化カリウム、KOH=水酸化カリウム、K3PO4=リン酸三カリウム、LiAlH4またはLAH=水素化リチウムアルミニウム、LiHMDS=リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、LiOH=水酸化リチウム、mCPBA=メタ-クロロ過安息香酸、MgSO4=硫酸マグネシウム、min=分、mL=ミリリットル、MPLC=中圧液体クロマトグラフィー、MS=質量スペクトル、nBuLi=n-ブチルリチウム、NaBH3CN=シアノ水素化ホウ素ナトリウム、NaH=水素化ナトリウム、NBS=N-ブロモスクシンイミド、NaHCO3=炭酸水素ナトリウム、NaNO2=亜硝酸ナトリウム、NaBH(OAc)3=トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、NaOH=水酸化ナトリウム、Na2CO3=炭酸ナトリウム、Na2SO4=硫酸ナトリウム、Na2S2O3=チオ硫酸ナトリウム、NBS=N-ブロモスクシンイミド、nBuLi=n-ブチルリチウム、NEt3=トリエチルアミン(TEA)、NH4Cl=塩化アンモニウム、NMP=N-メチル-2-ピロリドン、OAc=アセトキシ、T3P=プロピルホスホン無水物、PE=石油エーテル、PG=保護基、Pd-C=パラジウム-活性炭素、PdCl2(dppf)-CH2Cl2=1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体、Pd2(dba)3=トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、Pd(OAc)2=酢酸パラジウム(II)、Pd(OH)2=水酸化パラジウム、Pd(PPh3)4=テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、PTSA=p-トルエンスルホン酸、R=任意の基、RP=逆相、RT=室温、SFC=超臨界流体クロマトグラフィー、S-PHOS=2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル、TBAI=テトラブチルアンモニウムヨージド、TEA=トリエチルアミン、TFA=トリフルオロ酢酸、THF=テトラヒドロフラン、TMEDA=N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、ZnCl2=塩化亜鉛、Hal=ハロゲン、prep-TLC=分取薄層クロマトグラフィー。
【0093】
実施例1
2-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]ベンゼンスルホンアミド
【化28】
2,6-ジフルオロ-4-(フェニルエチニル)アニリン(A.1)(100mg、436μmol、式:1.00)をピリジン(1.5mL)と合わせて黄色溶液を得た。2-クロロベンゼン-1-スルホニルクロリド(CAS:2905-23-9)(113mg、72.8μl、524μmol、式:1.20)を添加した。反応混合物を22℃まで加熱し、20時間撹拌した。粗反応混合物を減圧濃縮し、ヘプタン中EtOAc(0~30%)で溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製して初期生成物を得て、これを分取HPLCによってさらに精製して、標題化合物(27mg、15%)を白色固体として得た。MS(ESI):m/z=402.2[M-H]
-。
【0094】
以下の表の実施例2~15は、実施例1と同様に、アニリンおよび塩化スルホニルの構成要素を使用して調製した。場合によっては、反応物を50℃に加熱するか、またはDMAPを触媒として添加した。
【表4】
【0095】
実施例16
2-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-3-メチル-ベンゼンスルホンアミド
【化29】
2,6-ジフルオロ-4-フェニルエチニル-フェニルアミン(70.0mg、0.3mmol)および2-クロロ-3-メチルベンゼン-1-スルホニルクロリド(CAS:1191545-47-7)(103.2mg、0.5mmol)のTHF(2mL)中攪拌溶液に、LiHMDS(THF中1M)(0.3mL、0.3mmol)を-78℃で添加し、同じ温度で1時間攪拌した。その後、反応混合物を1時間にわたって25℃の温度にした。水の添加によって反応を停止し、引き続いて酢酸エチルで抽出した。有機層をNa
2SO
4上で乾燥させ、減圧下で蒸発させて粗塊を得た。粗塊を分取HPLC法によって精製して、標題化合物2-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-フェニルエチニル)フェニル]-3-メチルベンゼン-1-スルホンアミド(72.0mg、56%)を灰白色固体として得た。MS(ESI):m/z=416.2[M-H]
-.
【0096】
下記表の実施例17~41は、実施例16と同様に、アニリンおよび塩化スルホニル構成要素を使用して調製した。
【表5】
【0097】
実施例42
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-メトキシフェニル)エチニル]フェニル]-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド;
【化30】
3-エチニルアニソール(89mg、0.680mmol)、3-クロロ-N-(2,6-ジフルオロ-4-ヨード-フェニル)-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド(B.8)(200mg、0.450mmol)、ヨウ化第一銅(9mg、0.050mmol)、Pd(dppf)Cl
2(16.5mg、0.020mmol)およびトリエチルアミン(0.09mL、0.680mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(5mL)中の溶液を80℃で12時間撹拌した。混合物を水(10mL)で希釈し、酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。合わせた有機相を食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、フィルタにかけ、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を分取HPLC(FA)によって精製し、凍結乾燥させ、3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-メトキシフェニル)エチニル]フェニル]-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド(130mg、0.290mmol、収率64.3%)を淡黄色固体として得た。MS(ESI):m/z=448.2[M+H]
+.
【0098】
下記表の実施例43~51は、実施例42と同様に、スルホンアミド構成要素B.Xおよび以下のアルキレン構成要素を使用して調製した。
【表6】
【0099】
実施例52
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド;
【化31】
3-クロロ-N-(2,6-ジフルオロ-4-ヨード-フェニル)-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド(B.8)(100mg、0.230mmol、1当量)を含むDMF(3mL)および水(0.600mL)の溶液に、2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル-トリメチル-シラン(1.27mL、0.340mmol)、ヨウ化銅(I)(4.29mg、0.020mmol)、フッ化セシウム(0.02mL、0.680mmol、3当量)および[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(8.25mg、0.010mmol)を25℃で添加した。混合物を90℃まで加熱し、N
2下、16時間撹拌した。反応混合物にEtOAc(6mL)を添加し、次いで、溶液を食塩水(10mL×3)で洗浄した。有機層をNa
2SO
4上で乾燥させ、フィルタにかけ、減圧濃縮し、粗生成物を黒茶色油状物として得た。粗生成物を分取-TLC(PE:EtOAc=2:1)によって精製して、所望の生成物を淡黄色固体として得た(20.9mg、収率20.9%、純度98.6%)。MS(ESI):m/z=437.0[M+H]
+.
【0100】
工程a)2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル-トリメチル-シラン
【化32】
3-フルオロ-5-ヨードピリジン(1.0g、4.48mmol)のTHF(10mL)中溶液に、トリメチルシリルアセチレン(1.27mL、8.97mmol)、ヨウ化銅(I)(85.4mg、0.450mmol)、トリエチルアミン(1.88mL、13.5mmol)およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(314.77mg、0.450mmol)を25℃で添加した。混合物をN
2下、25℃で16時間撹拌した。溶液にH
2O(10mL)を添加し、次いでEtOAc(15mL)で抽出し、食塩水(15mL×2)で洗浄した。有機層をNa
2SO
4上で乾燥させ、フィルタにかけ、濾液を減圧濃縮して、粗生成物を黄色の油状物として得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=1:0~50:1)によって精製することにより、標題化合物(EtOAcで汚染されている)を黄色油状物(1.15g、収率132%)として得、これをさらに精製することなく次の工程で使用し得たMS(ESI):m/z=194.2[M-H]
-.
【0101】
実施例53
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-5-フルオロ-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、
【化33】
3-クロロ-N-(2,6-ジフルオロ-4-ヨード-フェニル)-5-フルオロ-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド(400mg,0.870mmol)および2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル-トリメチル-シラン(334mg,1.73mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(15mL)中溶液に、ヨウ化第一銅(8.25mg、0.040mmol)、Pd(dppf)Cl
2(63.4mg,0.090mmol)およびフッ化セシウム(0.1mL,2.6mmol)を25℃で添加した。混合物を80℃で15時間撹拌した。混合物に20mLの水を加え、酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。有機層を合わせて食塩水(10mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、減圧濃縮した。残渣を分取HPCLによって精製し、画分を減圧下で凍結乾燥した。標題の化合物、3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-5-フルオロ-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド(123mg、0.270mmol、収率31%)を黄色固体として得た。MS(ESI):m/z=455.0[M+H]
+.
【0102】
工程(a)1-ベンジルスルファニル-3-クロロ-5-フルオロ-2-メチル-ベンゼン
【化34】
1-ブロモ-3-クロロ-5-フルオロ-2-メチル-ベンゼン(1.33g、5.95mmol)およびベンジルメルカプタン(1.48g、11.9mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(30mL)中の混合物に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(272mg、0.300mmol)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(344mg、0.600mmol)およびトリエチルアミン(1.24mL、8.93mmol)をN
2下、25℃で添加した。次に、混合物を100℃で15時間撹拌した。混合物を水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(50mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、フィルタにかけ、減圧濃縮して、残渣を得た。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(PE:EA=10:1~5:1)により精製して、1-ベンジルスルファニル-3-クロロ-5-フルオロ-2-メチル-ベンゼン(1.4g、5.25mmol、収率88%)を白色の固体として得た。
1H NMR(400 MHz,CHLOROFORM-d)δ 7.35(m,5H),6.91-6.97(m,2H),4.12(s,2H),2.36(s,3H).
【0103】
工程b)3-クロロ-5-フルオロ-2-メチル-ベンゼンスルホニルクロリド
【化35】
1-ベンジルスルファニル-3-クロロ-5-フルオロ-2-メチル-ベンゼン(1.0g、3.75mmol)の酢酸(18mL)および水(6mL)中の混合物に、N-クロロスクシンイミド(2.0g、15.0mmol)を25℃で添加した。次に、混合物を25℃で3時間撹拌した。混合物に20mLの水を加え、酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、フィルタにかけ、減圧濃縮した。粗化合物3-クロロ-5-フルオロ-2-メチル-ベンゼンスルホニルクロリド(900mg、3.7mmol、収率98%)を無色油状物として得、これを精製することなく直接使用した。
【0104】
工程c)3-クロロ-N-(2,6-ジフルオロ-4-ヨード-フェニル)-5-フルオロ-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド
【化36】
2,6-ジフルオロ-4-ヨードアニリン(1.42g、5.55mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)中の混合物に、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(5.55mL、5.55mmol)を-70℃で添加した。混合物を-70℃で1時間撹拌し、次いで、3-クロロ-5-フルオロ-2-メチルベンゼンスルホニルクロリド(900mg、3.7mmol)を添加した。次に、混合物を25℃で2時間撹拌した。混合物に20mLの水を加え、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、減圧濃縮した。残渣を、石油エーテル中20%酢酸エチルで溶出するシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製し、画分を減圧濃縮した。化合物3-クロロ-N-(2,6-ジフルオロ-4-ヨード-フェニル)-5-フルオロ-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド(900mg、1.95mmol、収率53%)を褐色の固体として得た。MS(ESI):m/z=483.8[M+Na]
+.
【0105】
実施例54
3-クロロ-N-(2,6-ジフルオロ-4-((5-フルオロピリジン-3-イル)エチニル)フェニル)-2,5-ジメチルベンゼンスルホンアミド2,2,2-トリフルオロ酢酸塩、
【化37】
3-クロロ-N-(2,6-ジフルオロ-4-ヨード-フェニル)-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド(20.0mg、0.040mmol)の1,4-ジオキサン(1mL)中の溶液に、Na
2CO
3(9.26mg、0.090mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(30.7mg、0.040mmol)、2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル-トリメチル-シラン(8.45mg、0.040mmol)およびCuI(8.32mg、0.040 mmol)を添加した。混合物を90℃まで加熱し、N
2下、3時間撹拌した。2mLのH
2Oを添加し、次いで、EtOAc(5mL×3)で抽出し、有機物を5mLの食塩水で洗浄した。有機層を、Na
2SO
4上で乾燥させ、フィルタにかけた。濾液を減圧濃縮して、粗生成物(69mg)を黄色の油状物として得、これを分取HPLC-TFA)によって精製し、凍結乾燥させて、3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド、2,2,2-トリフルオロ酢酸塩(8.8mg、0.020mmol、収率35.7%)を白色固体として得た。MS(ESI):m/z=451.0[M-H]
-.
【0106】
工程a)3-クロロ-2,5-ジメチルアニリン
【化38】
1-クロロ-2,5-ジメチル-3-ニトロ-ベンゼン(400mg、2.16mmol)のEtOAc(10mL)中の溶液に、SnCl
2*2H
2O(972mg、4.31mmol、2当量)を加え、混合物を90℃で3時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を(PE:EA=20:1→10:1→5:1)で溶出されるシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製し、3-クロロ-2,5-ジメチル-アニリン(120mg、0.770mmol、収率35.8%)を黄色油状物として得た。MS=156.0、158.1[M+H]
+。
【0107】
工程b)3-クロロ-2,5-ジメチルベンゼン-1-スルホニルクロリド
【化39】
3-クロロ-2,5-ジメチル-アニリン(80.0mg、0.510mmol、1当量)を、HCl水溶液(0.4mL、4 N)を含む三つ口フラスコに加え、氷浴に入れ、約0℃に温度制御し、1mLのNaNO
2(53.2mg、0.770mmol、1.5当量)溶液(H
2O中6.0mol/L)をゆっくり滴加し、温度を5℃未満に維持し、60分間撹拌し、ジアゾニウム塩溶液を得た。アセトン溶液(2mL)中の飽和SO
2を添加し、次いで、室温で60分間撹拌した後、CuCl(101.79mg、1.03mmol、2当量)を添加し、DCM(10mL×3)で抽出した。合わせた有機相を10mLの飽和食塩水で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、減圧濃縮し、残渣を精製することなく直接黄色固体として使用した。
【0108】
工程c)3-クロロ-N-(2,6-ジフルオロ-4-ヨードフェニル)-2,5-ジメチルベンゼンスルホンアミド
【化40】
2,6-ジフルオロ-4-ヨードアニリン(100mg、0.390mmol)のTHF(10mL)中の溶液に、LiMHDS(0.86mL、0.860mmol、2.2当量)を-70℃で添加し、混合物を-70℃で30分間撹拌し、3-クロロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホニルクロリド(93.8mg、0.390mmol)を添加した。混合物を20℃まで加熱し、N
2下、30分間撹拌した。LCMSにより所望のMSが示され、溶媒を減圧によって除去し、残渣を分取TLC(PE:EtOAc=5:1)によって精製し、3-クロロ-N-(2,6-ジフルオロ-4-ヨード-フェニル)-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド(20mg、0.040mmol、収率11.14%)を黄色油状物として得た。MS=457.9 [M+H]
+.
【0109】
実施例55
3-クロロ-N-(4-((5-クロロピリジン-3-イル)エチニル)-2,6-ジフルオロフェニル)-2-メチルベンゼンスルホンアミド、
【化41】
ヨウ化銅(I)(39.8mg、0.210mmol)のACN(10mL)中の溶液に、トリエチルアミン(0.87mL、6.26mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(147mg、0.210mmol)、2-(5-クロロ-3-ピリジル)エチニル-トリメチル-シラン(100mg、0.480mmol)およびヨウ化銅(I)(39.8mg、0.210mmol)、3-クロロ-N-(2,6-ジフルオロ-4-ヨード-フェニル)-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド(実施例B.8)(212mg、0.480mmol)を25℃で添加した。混合物を60℃まで加熱し、N
2下、4時間撹拌した。溶液に5mLのH
2Oを添加し、次いで混合物を5mLのEtOAcで3回抽出し、次いで合わせた有機層を15mLの食塩水で洗浄した。有機層を、Na
2SO
4上で乾燥させた。フィルタにかけた後、濾液を減圧濃縮し、粗生成物(169mg)を黄色の油状物として得、これを分取HPLC(NH
3.H
2O)によって精製し、凍結乾燥させて、3-クロロ-N-[4-[2-(5-クロロ-3-ピリジル)エチニル]-2,6-ジフルオロ-フェニル]-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、2,2,2-トリフルオロ酢酸塩(14.2mg、0.030mmol、収率6.46%)を白色固体として得た。MS(ESI):m/z=452.9[M-H]
-.
【0110】
工程a)3-クロロ-5-((トリメチルシリル)エチニル)ピリジン
【化42】
3-クロロ-5-ヨード-ピリジン(500mg、2.09mmol)のTHF(10mL)中の溶液に、トリメチルシリルアセチレン(0.59mL、4.18mmol)、ヨウ化銅(I)(39.8mg、0.210mmol)、トリエチルアミン(0.87mL、6.26mmol)およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(147mg、0.210mmol)を25℃で添加した。混合物を25℃まで加熱し、N
2下、3時間撹拌した。溶液に5mLのH
2Oを添加し、EtOAc(5mL×3)で抽出し、有機物を15mLの食塩水で洗浄した。有機層を、Na
2SO
4上で乾燥させた。フィルタにかけた後、濾液を減圧濃縮して、粗生成物(169mg)を黄色油状物として得た。粗生成物を分取-TLC(PE:EA=3:1)によって精製して、標題の化合物2-(5-クロロ-3-ピリジル)エチニル-トリメチル-シラン(260mg、1.24mmol、収率59.4%)を無色油状物として得た。MS(ESI):m/z=293.0、210.1[M+H]
+
【0111】
実施例56
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-メチル-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、2,2,2-トリフルオロ酢酸塩
【化43】
3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-トリメチルシリルエチニル)フェニル]-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド(67.0mg、0.160mmol)のDMF(1mL)および水(0.200mL)中の溶液に、3-ブロモ-5-メチルピリジン(27.8mg、0.160mmol、1当量)、ヨウ化銅(I)(3.08mg、0.020mmol)、フッ化セシウム(73.8mg、0.490mmol)および[1,1′-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(5.92mg、0.010mmol)を25℃で添加した。混合物を90℃まで加熱し、N
2下、16時間撹拌した。溶液にEtOAc(3mL)を添加し、得られた溶液を食塩水(3mL×3)で洗浄した。有機層をNa
2SO
4上で乾燥させ、フィルタにかけ、濾液を減圧濃縮して、粗生成物を黒茶色の油状物として得た。粗生成物の全てのバッチを分取TLC(PE:EtOAc=1:1)によって精製し、次いで、分取HPLC(TFA)によって精製して、所望の生成物を白色固体(6.3mg、収率7.1%、純度99.7%)として得た。MS(ESI):m/z=433.0[M+H]
+.
【0112】
工程a)3-クロロ-N-[2,6-ジフルオロ-4-(2-トリメチルシリルエチニル)フェニル]-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド
【化44】
3-クロロ-N-(2,6-ジフルオロ-4-ヨード-フェニル)-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド(B.8)(300mg、0.680mmol)のTHF(4mL)中の溶液に、トリメチルシリルアセチレン(0.19mL、1.35mmol)、ヨウ化銅(I)(12.9mg、0.070mmol)、トリエチルアミン(0.28mL、2.03mmol)およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(47.5mg、0.070mmol)を25℃で添加した。混合物を、N
2下、25℃で16時間撹拌した。溶液にH
2O(5mL)を添加し、次いで、得られた溶液をEtOAc(5mL×2)で抽出し、合わせた有機層を食塩水(15mL)で洗浄した。有機層をNa
2SO
4上で乾燥させ、フィルタにかけ、濾液を減圧濃縮して、粗生成物を黄色の油状物として得た。粗生成物を分取-TLC(PE:EtOAc=5:1)によって精製して、所望の生成物を黄色の油状物として得た(117mg、収率39.8%)。MS(ESI):m/z=414.1[M+H]
+.
【0113】
実施例57
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド、2,2,2-トリフルオロ酢酸塩、
【化45】
N-(2,6-ジフルオロ-4-ヨード-フェニル)-3-フルオロ-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド(100mg、0.230mmol)のDMF(4mL)および水(0.800mL)中の溶液に、2-(5-フルオロ-3-ピリジル)エチニル-トリメチル-シラン(45.25mg、0.230mmol)、ヨウ化銅(I)(4.46mg、0.020mmol)、フッ化セシウム(107mg、0.700mmol)および[1,1′-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(8.56mg、0.010mmol)を25℃で添加した。混合物を90℃まで加熱し、N
2下、16時間撹拌した。溶液にEtOAc(10mL)を添加し、次いで、食塩水(10mL×3)で洗浄した。有機層をNa
2SO
4上で乾燥させ、フィルタにかけ、濾液を減圧濃縮して、粗生成物を黒茶色の油状物として得た。粗生成物を分取TLC(PE:EtOAc=2:1)によって精製し、次いで、分取HPLC(TFA)によって精製して、所望の生成物を白色固体(26.4mg、収率26.7%、純度99.7%)として得た。MS(ESI):m/z=421.0[M-H]
-.
【0114】
工程a)N-(2,6-ジフルオロ-4-ヨード-フェニル)-3-フルオロ-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド
【化46】
2,6-ジフルオロ-4-ヨードアニリン(300.0mg、1.18mmol)のテトラヒドロフラン(3mL)中の混合物を-70℃に冷却し、LiHMDS(THF中1M)(1.76mL、1.76mmol)を-60℃以下の温度を維持しながら滴下し、次いで1時間撹拌した。3-フルオロ-2-メチル-ベンゼンスルホニルクロリド(CAS:875166-92-0)(589.1mg、2.82mmol、2.4当量)のテトラヒドロフラン(0.500mL)中の溶液を、内部温度を-60℃以下に維持しながら滴加し、次いで、これを-70℃でさらに4時間撹拌した。溶液に、NH
4Cl溶液(5mL)を添加し、次いでEtOAc(5mL×3)で抽出した。有機層を食塩水(10mL)で洗浄した。有機層をNa
2SO
4上で乾燥させ、フィルタにかけ、濾液を減圧濃縮して、粗生成物を黒茶色の油状物として得た。粗生成物を分取-TLC(PE:EtOAc=4:1)によって精製して、所望の生成物を淡黄色の油状物として得た(233.0mg、収率44.4%)。MS(ESI):m/z=449.9[M+Na]
+.
【0115】
実施例58
N-[4-(4-tert-ブチルピラゾール-1-イル)-2,6-ジフルオロ-フェニル]-2-クロロ-ベンゼンスルホンアミド
【化47】
2-クロロ-N-(2,6-ジフルオロ-4-ヒドラジノ-フェニル)ベンゼンスルホンアミド(50mg、0.150mmol)および2-tert-ブチルプロパンジアル(19.2mg、0.150mmol)の1-ブタノール(0.5mL)中の溶液を120℃で12時間撹拌した。反応物を分取HPLCによって精製し、凍結乾燥させて、N-[4-(4-tert-ブチルピラゾール-1-イル)-2,6-ジフルオロフェニル]-2-クロロ-ベンゼンスルホンアミド(2mg、収率3%)を白色固体として得た。MS(ESI):m/z=425.9[M-H]
-.
【0116】
工程a)2-クロロ-N-(2,6-ジフルオロ-4-ニトロ-フェニル)ベンゼンスルホンアミド
【化48】
2,6-ジフルオロ-4-ニトロ-アニリン(1.0g、5.74mmol)のTHF(10mL)中の混合物に、-75℃で、THF中の1M LiHMDS(6.32mL、6.32mmol)を添加した。反応混合物を25℃で30分間撹拌し、次いで、2-クロロベンゼンスルホニルクロリド(1.33g、6.32mmol)を添加し、混合物を25℃で11.5時間連続的に撹拌した。反応を20mLの飽和塩化アンモニア溶液によって停止し、次いで、酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(20mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、フィルタにかけ、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(PE:EA=100:1~5:1)により精製して、2-クロロ-N-(2,6-ジフルオロ-4-ニトロ-フェニル)ベンゼンスルホンアミド(1.1g、3.15mmol、収率55%)を黄色の固体として得た。
【0117】
工程b)N-(4-アミノ-2,6-ジフルオロ-フェニル)-2-クロロ-ベンゼンスルホンアミド
【化49】
2-クロロ-N-(2,6-ジフルオロ-4-ニトロ-フェニル)ベンゼンスルホンアミド(1.1g、3.15mmol)、塩化アンモニウム(337mg、6.31mmol)のエタノール(10mL)および水(2mL)中の溶液に、鉄粉(352mg、6.31mmol)を添加した。反応物を80℃で2時間撹拌した。反応混合物をフィルタにかけ、濾液を濃縮して、N-(4-アミノ-2,6-ジフルオロ-フェニル)-2-クロロ-ベンゼンスルホンアミド(1g、3.14mmol、収率99%)を淡褐色固体として得た。
【0118】
工程c)2-クロロ-N-(2,6-ジフルオロ-4-ヒドラジノ-フェニル)ベンゼンスルホンアミド
【化50】
N-(4-アミノ-2,6-ジフルオロ-フェニル)-2-クロロ-ベンゼンスルホンアミド(500mg、1.57mmol)、37%HCl水溶液(2mL)および水(1mL)の撹拌混合物を加熱して、窒素雰囲気下で完全溶液(約70℃)を形成した。次いで、溶液を-5℃に冷却し、亜硝酸ナトリウム(130mg、1.88mmol、1.2当量)の水(1mL)中の溶液を添加した反応混合物を-5℃で1時間撹拌した。次いで、混合物を-20℃まで冷却し、二塩化スズ二水和物(1.06g、4.71mmol)の37%HCl水溶液(2ml)中の溶液を添加した。反応混合物を20℃で2時間撹拌した。反応混合物を1mol/LのNaOH水溶液でpH=9に塩基性化し、酢酸エチル(20mL×3)で希釈し、食塩水(10mL×2)で洗浄した。合わせた有機層を、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物を分取HPLCによって精製して、2-クロロ-N-(2,6-ジフルオロ-4-ヒドラジノ-フェニル)ベンゼンスルホンアミド(60mg、0.180mmol、収率11%)を黄色の固体として得た。MS(ESI):m/z=355.9[M+Na]
+.
【0119】
工程d)2-tert-ブチロプロパンジアル
【化51】
2-tert-ブチルプロパンジニトリル(200mg、1.64mmol)のトルエン(1mL)中の溶液に、DIBAL-H(3.27mL、4.91mmol)を-60℃で添加した。反応物を25℃で4時間撹拌した。反応混合物を1mol/LのHCl水溶液でpH=2に酸性化し、酢酸エチル(50mL×3)で希釈し、食塩水(20mL×2)で洗浄した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、次いで濃縮して、2-tert-ブチルプロパンジアル(60mg、0.470mmol、収率28%)を淡黄色液体として得た。
【0120】
下記表の実施例59~60は、工程a)における2-クロロベンゼンスルホニルクロリドに代えて、以下のスルホニルクロリド構成要素を使用し、実施例58と同様にして調製した。
【表7】
実施例61
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-ヒドロキシフェニル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド
【化52】
【0121】
N-[2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-メトキシフェニル)エチニル]フェニル]-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド(実施例47)(426mg、0.960mmol)のDCM(4.5mL)中の溶液に、BBr3(0.27mL、2.87mmol)を0℃で添加した。溶液を15℃で4時間撹拌した。溶液に飽和NaHCO3溶液(4mL)を0℃で添加し、次いでEtOAc(4mL×3)で抽出し、有機物を食塩水(10mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、フィルタにかけ、濾液を減圧濃縮して、粗生成物を褐色の油状物として得た。粗生成物を分取-HPLC(TFA)により精製し、所望の生成物を淡褐色の固体として得た(99.7mg、収率23.8%、純度98.7%)。MS(ESI):m/z=449.0[M+NH4]+.
【0122】
構成要素の合成
実施例A.1
2,6-ジフルオロ-4-(フェニルエチニル)アニリン
【化53】
2,6-ジフルオロ-4-ヨード-フェニルアミン(3.0g、11.8mmol)のTHF(30mL)中の溶液に、フェニルアセチレン(2.6mL、23.5mmol)およびEt
3N(3.4mL、23.5mmol)を添加し、窒素を20分間パージした。次いで、Pd(PPh
3)
2Cl
2(495.0mg、0.7mmol)およびCuI(67mg、0.4mmol)を添加し、溶液を再びさらに10分間脱気した。反応混合物を70℃で16時間撹拌した。反応混合物を25℃まで冷却し、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(30~40%EtOAc/ヘキサン)により精製して、2,6-ジフルオロ-4-フェニルエチニル-フェニルアミン(2.2g、82%)を淡黄色固体として得た。MS(ESI):m/z=230.1[M-H]
-.
【0123】
実施例A.2
2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-ピリジル)エチニル]アニリン
【化54】
2,6-ジフルオロ-4-ヨードアニリン(10.0g、39.22mmol)のTHF(150mL)中の溶液に、3-エチニルピリジン(12.1g、117mmol)およびEt
3N(10.9mL、78.4mmol)を添加し、窒素を10分間パージした。次いで、Pd(PPh
3)
2Cl
2(1.67g、2.35mmol)およびCuI(0.22g、1.18mmol)を添加し、溶液を再びさらに10分間脱気した。反応混合物を70℃で6時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、得られた粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製し、2,6-ジフルオロ-4-[2-(3-ピリジル)エチニル]アニリン(9.2g、40.0mmol、収率96.8%)を黄色固体として得た。MS(ESI):m/z=230.8[M-H]
-.
【0124】
実施例A.3
2,6-ジフルオロ-4-(5-フルオロ-ピリジン-3-イルエチニル)-フェニルアミン
【化55】
2,6-ジフルオロ-4-ヨード-フェニルアミン(1.5g、5.9mmol)のTHF(30mL)中の溶液に、3-エチニル-5-フルオロ-ピリジン(2.2g、17.7mmol)およびEt
3N(1.6ml、11.7mmol)を添加し、窒素を10分間パージした。次いで、Pd(PPh
3)
2Cl
2(250.0mg、0.35mmol)およびCuI(34.0mg、0.17mmol)を添加し、溶液を再びさらに10分間脱気した。混合物を70℃で5時間撹拌した。TLCをモニタリングすることにより、始動の完全な消費が確認された。次いで、溶媒を蒸発させ、得られた粗生成物を20%EtOAc-ヘキサンで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製し、2,6-ジフルオロ-4-(5-フルオロ-ピリジン-3-イルエチニル)-フェニルアミン(1.1g、75%)を黄色固体として得た。
【0125】
実施例B.1
2-クロロ-3-メトキシベンゼンスルホニルクロリド
【化56】
SO
2/CuCl/AcOHの溶液を、SO
2ガスを0℃で10分間AcOH(11.0mL)溶液にバブリングすることによって調製し、次いで、CuCl(190.0mg、1.9mmol)を添加し、続いて同じ温度で5分間SO
2ガスを再度バブリングした。別のフラスコ内で、NaNO
2(660mg、9.5mmol)のH
2O(9.5mL)中の水溶液を、濃HCl(9.5mL)中の2-クロロ-3-メトキシフェニルアミン(CAS:113206-03-4)(1.0g、6.3mmol)のあらかじめ冷却しておいた(0℃)溶液に添加した。1時間攪拌した後、反応混合物を0℃でSO
2/CuCl/AcOHに添加し、25℃まで加温した。この温度で、反応を2時間続けた。その後、水を添加し、白色沈殿をフィルタにかけて取り除いた。白色固体を凍結乾燥させ、所望の生成物2-クロロ-3-メトキシ-ベンゼンスルホニルクロリド(1.3g、粗製)を灰白色固体として得、これをさらに精製することなく次の工程に直接使用した。
【0126】
実施例B.2
2-メチル-3-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニルクロリド
【化57】
SO
2/CuCl/AcOHの溶液を、SO
2ガスを0℃で10分間AcOH(11.0mL)溶液にバブリングすることによって調製し、次いで、CuCl(190.0mg、1.9mmol)を添加し、続いて同じ温度で5分間SO
2ガスを再度バブリングした。別のフラスコ内で、NaNO
2(660mg、9.5mmol)のH
2O(9.5mL)中の水溶液を、濃HCl(9.5mL)中の2-クロロ-3-メトキシフェニルアミン(CAS:113206-03-4)(1.0g、6.3mmol)のあらかじめ冷却しておいた(0℃)溶液に添加した。1時間攪拌した後、反応混合物を0℃でSO
2/CuCl/AcOHに添加し、25℃まで加温した。この温度で、反応を2時間続けた。その後、水を添加し、白色沈殿をフィルタにかけて取り除いた。白色固体を凍結乾燥させ、所望の生成物2-クロロ-3-メトキシ-ベンゼンスルホニルクロリド(1.3g、粗製)を灰白色固体として得、これをさらに精製することなく次の工程に直接使用した。
【0127】
実施例B.3
2-メチルピリジン-3-スルホニルクロリド
【化58】
3-ブロモ-2-メチルピリジン(500mg、2.91mmol)のTHF(10mL)中の溶液に、n-ブチルリチウム(1.74mL、4.36mmol)を-70℃で添加した。次いで、混合物を-70℃で1時間撹拌し、DABCO-ビス(二酸化硫黄)(1.05g、4.36mmol)を添加した。混合物を、再び-70℃で1時間撹拌した。次いで、混合物に塩化スルフリル(1.96g、14.53mmol、5当量)を添加し、反応混合物をゆっくりと25℃まで温め、2時間撹拌した。混合物に20mLの水を添加し、酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、減圧濃縮した。粗化合物2-メチルピリジン-3-スルホニルクロリド(500mg、2.61mmol、収率90%)を褐色の油状物として得た。
【0128】
実施例B.4
4-メチルピリジン-3-スルホニルクロリド
【化59】
工程a)3-ベンジルスルファニル-4-メチル-ピリジン
【化60】
ベンジルメルカプタン(3.25g、26.16mmol、1.5当量)および3-ブロモ-4-メチルピリジン(3.0g、17.4mmol、1当量)のN,N-ジメチルホルムアミド(30mL)中の混合物に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(800mg、0.870mmol)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(1.01g、1.74mmol)およびトリエチルアミン(3.65mL、26.16mmol)を25℃で添加した。次に、混合物を100℃で15時間撹拌した。次に、混合物に20mLの水を加え、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機層を合わせて食塩水(15mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(PE/EA=20/1~5/1)により精製した。化合物3-ベンジルスルファニル-4-メチル-ピリジン(400mg、1.86mmol、収率11%)を褐色の油状物として得た。MS(ESI):m/z=216.1[M+H]
+.
【0129】
工程b)4-メチルピリジン-3-スルホニルクロリド
【化61】
3-ベンジルスルファニル-4-メチル-ピリジン(400mg、1.86mmol)の酢酸(6mL)および水(6mL)中の混合物に、N-クロロスクシンイミド(992mg、7.43mmol)を25℃で添加した。次に、混合物を25℃で3時間撹拌した。混合物に20mLの水を加え、酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、フィルタにかけ、減圧濃縮した。粗化合物4-メチルピリジン-3-スルホニルクロリド(300mg、1.57mmol、収率84%)を無色油状物として得、これを精製することなく直接使用した。
【0130】
実施例B.5
3-クロロ-2-(メトキシメチル)ベンゼンスルホニルクロリド
【化62】
工程a)(2-ブロモ-6-クロロ-フェニル)メタノール
【化63】
2-ブロモ-6-クロロベンズアルデヒド(3.0g、13.67mmol)のメタノール(50mL)中の混合物に、水素化ホウ素ナトリウム(776mg、20.5mmol)を0℃でゆっくり添加した。次に、混合物を25℃で1時間撹拌した。50mLの水により混合物の反応を停止し、酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、減圧濃縮した。白色固体としての粗化合物(2-ブロモ-6-クロロ-フェニル)メタノール(2.5g、11.29mmol、収率82%)をさらに精製することなく次の反応に使用した。
【0131】
工程(b)1-ブロモ-3-クロロ-2-(メトキシメチル)ベンゼン
【化64】
(2-ブロモ-6-クロロ-フェニル)メタノール(2.5g、11.3mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)中の混合物に、水素化ナトリウム(677mg、16.9mmol)を0℃で添加し、1時間撹拌した。次いで、混合物にヨードメタン(1.05mL、16.9mmol)を0℃で添加した。最後に、混合物を25℃で2時間撹拌した。30mLの水により混合物の反応を停止し、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、減圧濃縮した。残渣を100%石油エーテルで溶出するシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製した。化合物1-ブロモ-3-クロロ-2-(メトキシメチル)ベンゼン(2.5g、10.6mmol、収率94%)を無色油状物として得た。
1H NMR(400 MHz,CHLOROFORM-d)δ 7.53(d,J=8.0 Hz,1H),7.39(d,J=8.0 Hz,1H),7.14(t,J=8.0 Hz,1H),4.77(s,2H),3.47(s,3H)
【0132】
工程c)3-クロロ-2-(メトキシメチル)ベンゼンスルホニルクロリド
【化65】
1-ブロモ-3-クロロ-2-(メトキシメチル)ベンゼン(300mg、1.27mmol)のTHF(15mL)中の溶液に、イソプロピルマグネシウムクロリド(1.47mL、1.91mmol、1.5当量)を-40°Cで添加した。次いで、混合物を-40℃で1時間攪拌し、DABCO-ビス(二酸化イオウ)(459mg、1.91mmol)を添加した。混合物を、再び-40℃で1時間撹拌した。次いで、混合物にN-クロロスクシンアミド(258mg、1.91mmol)を添加し、25℃までゆっくり昇温させ、2時間撹拌した。20mLにより混合物の反応を停止し、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、減圧濃縮した。化合物3-クロロ-2-(メトキシメチル)ベンゼンスルホニルクロリド(200mg、0.780mmol、収率61%)を無色油状物として得た。
【0133】
実施例B.6
2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニルクロリド
【化66】
1-ブロモ-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンゼン(500mg、1.93mmol)のTHF(50mL)中の溶液に、イソプロピルマグネシウムクロリド(2.89mL、2.89mmol)を-70℃で加えた。次いで、混合物を-70℃で1時間攪拌し、DABCO-ビス(二酸化イオウ)(695mg、2.89mmol)を添加した。混合物を-70℃で1時間撹拌した。次いで、混合物にN-クロロスクシンイミド(386mg、2.89mmol)を添加し、25℃までゆっくり昇温させ、2時間撹拌した。20mLにより混合物の反応を停止し、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、減圧濃縮した。粗化合物2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニルクロリド(500mg、1.79mmol、収率93%)を黄色の固体として得、これを精製することなく直接使用した。
【0134】
実施例B.7
ベンゾ[d]オキサゾール-7-スルホニルクロリド
【化67】
工程a)7-ベンジルスルファニル-1,3-ベンゾキサゾール
【化68】
ベンジルメルカプタン(1.88g、15.2mmol)および7-ブロモ-1,3-ベンゾキサゾール(2.0g、10.1mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(15mL)中の混合物に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(462mg、0.500mmol)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(584mg、1.01mmol)およびトリエチルアミン(2.11mL、15.2mmol)を25℃で添加した。次に、混合物を100℃で15時間撹拌した。混合物に20mLの水を加え、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機層を合わせて食塩水(10mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーカラム(PE/EA=50/1~10/1)により精製した。化合物7-ベンジルスルファニル-1,3-ベンゾキサゾール(2g、8.29mmol、収率82%)を赤色の油状物として得た。
【0135】
工程b)ベンゾ[d]オキサゾール-7-スルホニルクロリド
【化69】
7-ベンジルスルファニル-1、3-ベンゾキサゾール(1.0g、4.14mmol)および酢酸(4mL)のDCM(20mL)中の混合物に、二塩化スルフリル(4.0g、29.7mmol、7.15当量)および水(0.8mL)を25℃で添加した。次に、混合物を25℃で4時間撹拌した。混合物に20mLの水を加え、DCM(20mL×3)で抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、減圧濃縮した。粗化合物1,3-ベンゾキサゾール-7-スルホニルクロリド(500mg、2.3mmol、収率55%)を精製することなく使用した。
【0136】
実施例B.8
【0137】
3-クロロ-N-(2,6-ジフルオロ-4-ヨード-フェニル)-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド
【化70】
2,6-ジフルオロ-4-ヨードアニリン(10.0g、39.2mmol)のTHF(150mL)中の混合物を-70℃に冷却し、次いで、温度を-60℃以下に維持しながらLiHMDS(47.1mL、THF中1M、47.1mmol)を滴下し、次いで、1時間撹拌し、3-クロロ-2-メチルベンゼンスルホニルクロリド(10.6g、47.1mmol、1.2当量)のTHF(50mL)中の溶液を添加した。最後に、混合物を-65℃でさらに4時間撹拌した。飽和NH
4Cl水溶液(100mL)により反応を停止し、EtOAc(200mL×2)で抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、減圧濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(PE/EA=100/0~5/1)により精製して、3-クロロ-N-(2,6-ジフルオロ-4-ヨード-フェニル)-2-メチル-ベンゼンスルホンアミド(9.6g、21.6mmol、収率55%)を灰色の固体として得た。1H NMR(400 MHz,CHLOROFORM-d)δ 7.88(d,J=8 Hz,1H),7.65(d,J=8 Hz,1H),7.24-7.30(m,3H),6.37(br,1H),2.79(s,3H).
【0138】
実施例B.9
3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホニルクロリド
【化71】
工程a)1-ブロモ-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼン
【化72】
3-ブロモ-5-フルオロトルエン(5.0g、26.5mmol)のTHF(50mL)中の溶液に、LDA(14.6mL、29.1mmol)を-70℃で滴下した。。混合物を-70℃で1時間撹拌した。混合物に、ヨードメタン(3.75g、26.45mmol)のTHF(5mL)中の溶液を-70℃で添加した。混合物を25℃で6時間撹拌した。飽和NH
4Cl水溶液(30mL)により溶液の反応を停止し、次いでEtOAc(30mL×2)で抽出し、有機物を食塩水(50mL)で洗浄した。有機層をNa
2SO
4上で乾燥させ、フィルタにかけ、濾液を減圧濃縮して、粗精製物を黄色の油状物として得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=1:0)によって精製し、標題化合物(5.34g、収率99.4%)を無色の油状物として得、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0139】
工程b)3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホニルクロリド
【化73】
1-ブロモ-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼン(500mg、2.46mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)中の溶液に、n-ブチルリチウム溶液(1.48mL、3.69mmol)を-70℃で添加した。混合物を-70℃で0.5時間撹拌した。得られた溶液に二酸化硫黄(158mg、2.46mmol)を10分間通し(内部温度を10℃未満に維持)、25℃までゆっくり昇温させ、0.5時間撹拌した。混合物に、10℃でDCM(5mL)中のN-クロロスクシンイミド(394mg、2.95mmol)を添加し、次いで、溶液を25℃で0.5時間撹拌した。水(1mL)により混合物の反応を停止し、Na
2SO
4上で乾燥した。混合物をフィルタにかけ、EtOAc(6mL×2)で洗浄した。有機層を減圧濃縮し、粗生成物を淡黄色の油状物として得た(564mg、収率102.9%)。粗生成物を次の工程で直接使用した。
【0140】
実施例B.10
【0141】
N-(2,6-ジフルオロ-4-ヨード-フェニル)-3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド
【化74】
2,6-ジフルオロ-4-ヨードアニリン(300mg、1.18mmol)のテトラヒドロフラン(3mL)中の混合物を-70℃に冷却し、LiHMDS(1.41mL、1.41mmol)を-60℃以下の温度を維持しながら滴下し、次いで0.5時間撹拌した。3-フルオロ-2,5-ジメチル-ベンゼンスルホニルクロリド(B.9)(563mg、2.53mmol、2.15当量)のテトラヒドロフラン(1mL)中の溶液を、内部温度を-60℃以下に維持しながら滴加し、次いで、反応混合物を-70℃でさらに4時間撹拌した。溶液に飽和NH
4Cl水溶液(3mL)を加え、得られた溶液をEtOAc(3mL×3)で抽出した。有機層をNa
2SO
4上で乾燥させ、フィルタにかけ、濾液を減圧濃縮し、粗生成物を黄色の油状物として得た。粗生成物を分取-TLC(PE:EtOAc=4:1)によって精製して、所望の生成物を黄色の固体として得た(100mg、収率17.2%)。MS(ESI):m/z=459.0[M+NH
4]
+.
【0142】
実施例B.11
【0143】
N-(2,6-ジフルオロ-4-ヨード-フェニル)-3-フルオロ-2-メトキシ-ベンゼンスルホンアミド
【化75】
工程a)3-フルオロ-2-メトキシ-ベンゼンスルホニルクロリド
【化76】
2-ブロモ-6-フルオロアニソール(500.0mg、2.44mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)中の溶液に、n-ブチルリチウム溶液(ヘキサン中2.5M)(1.46mL、3.66mmol、1.5当量)を、-70℃で添加した。混合物を-70℃で0.5時間撹拌した。得られた溶液に二酸化硫黄(156mg、2.44mmol)を10分間通し(内部温度を-40℃未満に維持)、25℃で0.5時間撹拌した。混合物に、N-クロロスクシンイミド(391mg、2.93mmol)を25℃で添加し、次いで、溶液を25℃で0.5時間撹拌した。水(1mL)により混合物の反応を停止し、Na
2SO
4上で乾燥した。溶液をフィルタにかけ、EtOAc(5mL×2)で洗浄した。有機層を減圧濃縮し、粗生成物を黄色固体として得た(555mg、収率101.3%)。粗生成物を次の工程で直接使用した。
【0144】
工程b)N-(2,6-ジフルオロ-4-ヨード-フェニル)-3-フルオロ-2-メトキシ-ベンゼンスルホンアミド
【化77】
2,6-ジフルオロ-4-ヨードアニリン(300mg、1.18mmol)のテトラヒドロフラン(3mL)中の混合物を-70℃に冷却し、LiHMDS(THF中1M)(1.76mL、1.76mmol)を-60℃以下の温度を維持しながら滴下し、次いで1時間撹拌した。3-フルオロ-2-メトキシ-ベンゼンスルホニルクロリド(555mg、2.47mmol)のテトラヒドロフラン(0.500mL)中の溶液を、内部温度を-60℃以下に維持しながら滴加し、次いで、これを-70℃でさらに4時間撹拌した。溶液にNH
4Cl溶液(3mL)を0℃で添加し、次いで混合物をEtOAc(3mL×3)で抽出し、有機物を食塩水(9mL)で洗浄した。有機層をNa
2SO
4上で乾燥させ、フィルタにかけ、濾液を減圧濃縮し、粗生成物を黒茶色の油状物として得た。粗生成物を分取-TLC(PE:EtOAc=4:1)によって精製して、所望の生成物を淡黄色の油状物として得た(196mg、収率32.2%)。MS(ESI):m/z=444.0[M+H]
+.
【0145】
生物学的実施例
2.1)細胞内Ca2+動員アッセイ(FLIPR)
ヒトmGlu4受容体をコードするcDNAを安定にトランスフェクトしたモノクローナルHEK-293細胞株を作製した。細胞を、1mMグルタミン、10%(vol/vol)熱不活性化仔ウシ血清、ペニシリン/ストレプトマイシン、50μg/mlハイグロマイシンおよび15μg/mlブラストサイジン(Invitrogen,Basel,Switzerlandからの全ての細胞培養試薬および抗生物質)を補充した高グルコースを含むダルベッコ改変イーグル培地中で標準プロトコル(Freshney、2000年)に従って培養した。
【0146】
実験の約24時間前に、ポリ-D-リシンコーティング、ブラック/透明平底96穴ウェルプレートに、ウェルあたり5×104細胞になるように播種した。ローディングバッファー(1×HBSS、20mM HEPES)中の2.5μM Fluo-4AMを用いて、細胞を37℃で1時間ロードし、ローディングバッファーで5回洗浄した。細胞をFunctional Drug Screening System 7000(Hamamatsu,Paris,France)に移し、37℃で試験化合物の11段階の半対数段階希釈液を添加し、蛍光のオンライン記録をしながら細胞を10~30分間インキュベートした。このプレインキュベーション工程に続いて、アゴニスト(2S)-2-アミノ-4-ホスホノブタン酸(L-AP4)をEC80に相当する濃度で細胞に添加し、蛍光のオンライン記録を行った。細胞の応答性における日々の変動を説明するために、L-AP4のEC80は、L-AP4の完全な用量応答曲線を記録することによって各実験の直前に決定した。
【0147】
応答は、飽和濃度のL-AP4で得られた最大刺激効果に対して正規化された、蛍光のピーク増加から基底値(すなわち、L-AP4を添加しない場合の蛍光)を引いたものとして測定した。グラフは、Levenburg Marquardtアルゴリズムを使用してデータを反復的にプロットするカーブフィッティングプログラムであるXLfitを使用して最大刺激%でプロットした。使用した単一部位競合分析式は、y=A+((B-A)/(1+((x/C)D)))である(式中、yは最大刺激効果%、Aは最小y、Bは最大y、CはIC50、xは競合化合物の濃度のlog10、Dは曲線の傾き(Hill係数)である。)。これらの曲線から、IC50(実験におけるL-AP4の添加から達成された受容体活性化の50%が阻害された薬物濃度)、Hill係数、ならびに飽和濃度のL-AP4で得られた最大刺激効果の%での最大応答を計算した(
図1参照)。
【0148】
2.2)結果
以下の表は、FLIPRアッセイについての全ての化合物のデータを示す。
【表8】