(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-10
(45)【発行日】2023-10-18
(54)【発明の名称】イオン伝導性材料、イオン伝導性材料を含む電解質、およびその形成方法
(51)【国際特許分類】
C01F 17/36 20200101AFI20231011BHJP
H01B 1/06 20060101ALI20231011BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20231011BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20231011BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20231011BHJP
【FI】
C01F17/36
H01B1/06 A
H01M4/62 Z
H01M10/052
H01M10/0562
(21)【出願番号】P 2022562169
(86)(22)【出願日】2021-04-14
(86)【国際出願番号】 US2021027359
(87)【国際公開番号】W WO2021211763
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-10-11
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593150863
【氏名又は名称】サン-ゴバン セラミックス アンド プラスティクス,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】SAINT-GOBAIN CERAMICS AND PLASTICS, INC.
【住所又は居所原語表記】One New Bond Street, Worcester, MA 01615, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウスペンスキー、ウラジミール
(72)【発明者】
【氏名】アサット、ゴーラブ
(72)【発明者】
【氏名】フランク、ジョン エム.
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/146295(WO,A1)
【文献】特開2017-168393(JP,A)
【文献】特開平10-206902(JP,A)
【文献】国際公開第2019/189821(WO,A1)
【文献】H J SEIFERT,Ternary chlorides of the trivalent late lanthanides,Journal of Thermal Analysis and Calorimetry,2006年,Vol. 83,No. 2,p.479-505,DOI: 10.1007/s10973-005-7132-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01F 17/00 - 17/38
H01B 1/06
H01M 4/62
H01M 10/052
H01M 10/0562
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合金属ハロゲン化物材料を含む、固体イオン伝導性材料であって、
ここで、前記複合金属ハロゲン化物材料は、M
3-z(Me
k+)
fX
3-z+k*f、で表され、
-3≦z<3;
2≦k≦6;
0≦f≦1;
Mはアルカリ金属元素を含み;
Meは、2価の金属元素、3価の金属元素、4価の金属元素、5価の金属元素、6価の金属元素、またはそれらの組み合わせを含み;そして、Xはハロゲンを含み;
ここで、前記複合金属ハロゲン化物材料は、電荷中性のMe
xN
k
の少なくとも1つを含み、xは窒素Nの原子価、kはMeの原子価である、固体イオン伝導性材料。
【請求項2】
M
3-z(Me
k+)
fX
3-z+k*f
で表される複合金属ハロゲン化物材料を含む配向セラミック材料を含む、固体イオン伝導性材料であって、
-3≦z<3;
2≦k≦6;
0≦f≦1;
Mは、Liを含むアルカリ金属元素を含み;
Meは、2価の金属元素、3価の金属元素、4価の金属元素、5価の金属元素、6価の金属元素、またはそれらの組み合わせを含み、Xは、ハロゲンを含
み、
前記複合金属ハロゲン化物材料が、前記複合金属ハロゲン化物材料の重量に対して、単純金属ハロゲン化物の合計含有量が最大10wt%である、固体イオン伝導性材料。
【請求項3】
前記複合金属ハロゲン化物材料が、(Li
1-d-e,Na
d,M’
e)
2Li
1-z’(Me
k+)
fX
3+k*f-z’で表され:
0≦d≦1;
0≦e<1;
0
≦(d+e)<1;
-1≦z’<1;
Mは、Li、Na、およびM’のうちの少なくとも1つを含み;および
M’は、K、Rb、
およびCsのうち少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の固体イオン伝導性材料。
【請求項4】
zが-0.95~0.95であり、MがNaおよびLiの少なくとも一方から成る、請求項1または2記載の固体イオン伝導性材料。
【請求項5】
Meが、希土類元素、アルカリ土類金属元素、Sn、In、Zn、Zr、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性材料。
【請求項6】
Meが、Y、Ce、Gd、Er、Zr、La、Yb、In、Mg、Sn、Znまたはそれらの組み合わせを含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性材料。
【請求項7】
Xが、F、Cl、Br、およびI、及び場合により-NH
2(アミド)、-(NH)
0.5(イミド)、-OH(水酸化物)、-BH
4(ボロハイドライド)、-BF
4基またはそれらのいかなる組み合わせを含むアニオン基の少なくとも1つから成る、請求項1~6のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性材料。
【請求項8】
前記複合金属ハロゲン化物が、(Li
1-dNa
d)
2Li
1-zMe
k+X
3+k-zで表され、
Meが希土類元素、In、Sn、Zr、またはそれらの組み合わせを含み、
0≦d<1、-0.95≦z
≦0.95である、請求項1~6のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性材料。
【請求項9】
z≦0.5またはz≦0.3またはz≦0.2である、請求項1~8のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性材料。
【請求項10】
d≧0.01またはd≧0.05またはd≧0.1であり、かつ、d≦0.8またはd≦0.5である、請求項
3に記載の固体イオン伝導性材料。
【請求項11】
前記複合金属ハロゲン化物材料は、単結晶、セラミックス、またはそれらのいかなる組み合わせを含む、請求項1に記載の固体イオン伝導性材料。
【請求項12】
前記複合金属ハロゲン化物材料が、前記複合金属ハロゲン化物材料の重量に対して、単純金属ハロゲン化物の合計含有量が最大
8wt%である、請求項1~11のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性材料。
【請求項13】
前記複合金属ハロゲン化物材料は、<HKL>又は<HKLM>で表される結晶方位を有し、<HKL>又は<HKLM>の前記結晶方位におけるイオン伝導度が、異なる結晶方位におけるイオン伝導度よりも高い、請求項1~12のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性材料。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性材料を含む層を含み、該層が、電解質層、イオン・電子混合伝導層、またはそれらのいかなる組み合わせを含む、固体リチウム二次電池。
【請求項15】
(NH
4)
nMe
k+X
3+kを形成することを含む、固体イオン伝導性材料を形成する方法であって、
(NH
4)
nMe
k+X
3+kを形成することが、REX
3を含む水和塩中の水分を、NH
4Xで化学的に置換することを含み、ここで、n>0;Meは希土類元素、Zrまたはその組み合わせを含み、Xは1以上のハロゲンである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
以下、固体イオン伝導性材料、該イオン伝導性材料を含む電解質、およびその形成方法に関し、特に、複合金属ハロゲン化物を含む固体イオン伝導性材料、それを含む電解質、およびその形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
背景技術
固体リチウム電池は、リチウム金属を負極に用いることで、従来のリチウムイオン電池に比べ、エネルギー密度が高く、充電時間が短く、安全性への懸念が少ないと期待されている。現在の固体電解質材料には、酸化物、ハロゲン化物、硫化物、フッ化物、固体高分子電解質などがある。
【0003】
酸化物系材料は、安全性が高く、良好な化学的・電気化学的安定性を有するとされてきた。これらの化合物の合成には、一般に1000-1200℃を超える高温が使用される。酸化物系材料は、一般的に緻密で硬く脆く、室温でのイオン伝導度は最大1.0mS/cmである(ICRT)。
【0004】
塩化物や臭化物などのハロゲン化物化合物は一般的に安全であり、化学的および電気化学的安定性、変形性、可塑性が良好で、電極活物質との比較的高い相溶性を可能にする。Li3YCl6(LYC)とLi3YBr6(LYB)電解質の中には、室温で1mS/cm以上のイオン伝導度ICRTを示すものがある。ハロゲン化物は一般に吸湿性があり、水分にさらされると水和物を形成したり、加水分解を起こしたりする。LYCやLYBのようなハライド系固体電解質は、高エネルギーボールミリングを用いた固体合成法により合成される。しかし、高価な二元系ハライド反応剤や高温アニールを使用するため、大量生産には課題がある。
【0005】
フッ化物は、物理的、化学的、電気化学的特性において酸化物と非常によく似ているが、一般にICRTの値は1mS/cm未満である。
【0006】
硫化物は比較的高いイオン伝導度を有する。例えば、ICRTは25mS/cmと高く、商業的に関連する硫化物またはチオリン酸塩固体電解質は2~10mS/cmを達成することができる。硫化物系材料は機械的に柔らかく、変形しやすい。しかし、硫化物材料は電気化学的安定性が低い傾向があり、水や熱と誤って反応して有毒なH2Sガスを放出する危険性があるため、安全上の懸念がある。また、高表面積の硫化物固体電解質粉末は、湿度下でも反応性が高いため、特にH2Sのリスクが高い。
【0007】
一般にリチウム塩を含む固体高分子電解質は、ICRT値や電気化学的な安定性が比較的低い。
【0008】
業界では、固体電解質材料の改良が求められ続けている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図面の簡単な説明
本開示は、添付図面を参照することによって、よりよく理解され、その多数の特徴および利点が当業者に明らかにされ得る。
【
図1】
図1は、実施形態に係る固体イオン伝導性材料を形成する工程を示すフローチャートを含む。
【
図2】
図2は、他の実施形態による固体イオン伝導性材料を形成する工程を示すフローチャートを含む。
【
図3】
図3Aは、実施形態に係る固体イオン伝導性材料の断面説明図を含む。
図3Bは、
図3Aの固体イオン伝導性材料の例示的な結晶学的配向を示す説明図を含む。
【
図4】
図4は、実施形態に係る固体イオン伝導性材料の形成工程を示すフローチャートを含む。
【
図5】
図5は、実施形態に係る固体電池の一部を示す断面説明図を含む。
【0010】
当業者は、図中の要素は、単純化及び明確化のために図示されており、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解する。例えば、図中のいくつかの要素の寸法は、本発明の実施形態の理解を助けるために、他の要素に対して誇張され得る。異なる図面における同じ参照符号の使用は、類似または同一の項目を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
好ましい実施形態の詳細な説明
図と組み合わせた以下の説明は、本明細書に開示された教示を理解するのに役立つように提供される。以下の議論は、本教示の特定の実装および実施形態に焦点を当てる。この焦点は、教示を説明するのを助けるために提供され、教示の範囲または適用性を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0012】
本明細書で使用される場合、用語「含む」、「含み」、「包含する」、「有する」、「有し」、又はそれらの他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図している。例えば、特徴のリストを含むプロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの特徴のみに限定されるわけではなく、明示的にリストされていない他の特徴またはそのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有の特徴を含むことが可能である。さらに、明示的に反対を表明しない限り、「または」は包括的な「または」を指し、排他的な「または」を指さない。例えば、条件AまたはBは、以下のいずれか1つによって満たされる。例えば、条件AまたはBは、Aが真(または存在)、Bが偽(または存在しない)、Aが偽(または存在しない)、Bが真(または存在)、AおよびBの両方が真(または存在)であることのいずれかによって満たされる。
【0013】
「1つ」または「1個」の使用は、本明細書に記載される要素および構成要素を説明するために採用される。これは、単に便宜上、および本発明の範囲について一般的な感覚を与えるために行われる。本明細書は、そうでないことが明らかでない限り、1つまたは少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、単数形は複数形も含み、またはその逆もまた然りである。
【0014】
特に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術用語および科学用語は、この発明が属する技術分野の通常の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。材料、方法、および例は、例示に過ぎず、限定を意図するものではない。
【0015】
本明細書の実施形態は、複合金属ハロゲン化物を含む固体イオン伝導性材料に関し、金属は少なくとも1つのアルカリ金属元素を含むことができる。一実施形態では、固体イオン伝導性材料は、アンモニウムを含むドーパントを含むことができる。別の実施形態では、固体イオン伝導性材料は、結晶性材料、及び特定の実施形態では、特定の結晶学的方位を有する単結晶又は配向セラミックなどの配向性結晶性材料を含むことができる。固体イオン伝導性材料は、従来の金属ハロゲン化物材料と比較して、純度、バルクイオン伝導性、電気化学的安定性、又はそれらのいかなる組み合わせなどの改善された特性を有することができる。実施形態において、固体イオン伝導性材料は、電解質、アノード、及び/又はカソード、又は電気化学デバイスの別の構成要素を形成するために使用することができる。特定の実施形態では、固体イオン伝導性材料は、固体リチウム電池の好適な構成要素とすることができる。
【0016】
実施形態は、イオン伝導性材料を形成する方法に関する。この方法は、純度、イオン伝導度、電気化学的安定性、またはそれらの組み合わせなどの改善された特性を有するイオン伝導性材料の形成を可能にすることができる。また、本方法は、イオン伝導性材料の形成の改善を可能にすることができる。本方法は、コスト効率の良い方法でイオン伝導性材料を大量生産するのに好適であり得る。
【0017】
図1を参照すると、固体イオン伝導性材料100を形成するための工程が示されている。
【0018】
プロセス100は、従来の複雑な金属ハロゲン化物を形成するための固体合成とは異なるものである。従来のプロセスは、高エネルギーボールミリングを利用したり、反応物混合物(例えば、単純な金属ハロゲン化物)を金属ハロゲン化物の融点付近またはそれ以下の温度で直接加熱して固相反応を行うものである。混合物中の個々に分離した粒子は、反応が進むにつれて反応する確率が低下するため、100.00%の反応完了には理論上、無限の時間がかかると考えられる。このため、従来の高エネルギーボール粉砕による固体合成で得られる反応生成物は、単純な金属ハロゲン化物(例えば、ハロゲン化リチウムおよび/またはハロゲン化イットリウム)の反応が不完全であるため、不純物が高濃度となることが理解される。
【0019】
さらに注目すべきは、アンモニウム-ハロゲン化物経路に基づく従来の複合ハロゲン化物の合成が、複合金属ハロゲン化物の形成に適用できない場合があることである。金属ハロゲン化物は、出発物質として従来から使用されている。3価、4価の金属ハロゲン化物、特に希土類金属ハロゲン化物は、安定な金属ハロゲン化物水和物を形成しやすく、水和物から水分子を完全に除去することが困難な場合があるため、3価の金属ハロゲン化物を出発物質として用いる。温度を上げると、望ましくない金属オキシハライドや金属オキシハイドレートのハロゲン化物化合物が高濃度で生成されることがある。さらに、金属ハロゲン化物水和物および金属オキシハロゲン化物、特に希土類金属を含むものは、むしろ安定な化合物であり、Li3RE(OX)Cl3、ここでXはCl以外のハロゲンであるなどの高濃度のLiを含む錯化合物相を形成する可能性は少ない。また、そのような複雑な化合物は安定ではなく、単純な化合物に分解される可能性が高い。
【0020】
本開示における実施形態に記載されたプロセスは、上述の問題を克服している。
【0021】
プロセス100は、ブロック102で開始してもよい。出発材料を含む反応混合物が形成されてもよい。実施形態において、出発材料は、ハロゲン化アンモニウム、NH4Xを含むことができ、Xは、Cl、Br、I、F、またはそれらの任意の組合せを含む。出発材料は、1つ以上の金属化合物をさらに含むことができ、金属は、アルカリ元素、アルカリ土類元素、遷移金属元素、ランタニド、希土類元素、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0022】
特定の実施形態では、金属化合物は非吸湿性であってもよい。ある態様において、金属化合物は、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、水和物、水酸化物、シュウ酸塩、酢酸塩、硝酸塩、またはそれらのいかなる組み合わせの形態で金属を含むことができる。特定の態様において、出発材料は、1つ以上の金属酸化物を含むことができる。例えば、出発材料は、Me2Okを含むことができ、ここでMeは、2価の金属、3価の金属、4価の金属、5価の金属、または6価の金属であることができ;kは金属の原子価;および2≦k≦6であることができる。特定の例では、Meは、Ce、Dy、Er、Eu、Gd、Ho、La、Lu、Nd、Pr、Pm、Sm、Sc、Tb、Tm、Yb、Sc、およびY、In、Zn、アルカリ金属元素、Hf、Zr、またはそれらのいかなる組み合わせなどの希土類元素を含むことができる。より具体的な例では、出発材料は、希土類酸化物または水酸化物または炭酸塩、ZrO2またはZr(OH)4またはZr(CO3)2またはZr(OH)2CO3・ZrO2またはそのいかなる組み合わせの1以上を含むことができる。
【0023】
別の態様では、出発材料は、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、またはそれらの組み合わせなどのアルカリ金属化合物を含むことができる。出発材料は、水溶液、アルコール、または他の極性分子液体溶液中での酸性合成を促進するために、酸をさらに含むことができる。
【0024】
別の特定の例では、金属化合物は、アルカリ金属化合物を含むことができる。例えば、出発材料は、アルカリ金属ハロゲン化物(例えば、NaCl、CsCl、及びLiCl)を含み、Meを含む化合物を含まないことができる。
【0025】
実施態様において、出発材料は、化学量論的比で混合され得る。他の実施態様では、出発材料間の比率は、非化学量論的な複合金属ハロゲン化物の形成を可能にすることができる。
【0026】
例示的な実施態様において、NH4X、1つ以上の希土類金属酸化物(以下、「RE2O3」と称する)、炭酸リチウム、および塩酸または臭化水素酸を含む反応混合物が形成され得る。以下に、水溶液中の出発物質と反応生成物を記し、反応の一例を示す。
3*Li2CO3+ RE2O3+ 12*HX+ 6*NH4X ---> 2*(NH4)3REX6+ 6*LiX + 6*H2O+ 3*CO2
【0027】
上記の反応は、プロセス100の理解を助けるために意図された例である。本出願の観点から、当業者は、Na2CO3またはNaClのような別のアルカリ金属化合物が出発物質として使用され得ることを理解する。同様に、非希土類元素の酸化物、例えばFe2O3、を反応に添加してもよい。当業者はさらに、出発物質が変われば、反応生成物もそれに応じて変化しうることを理解する。
【0028】
特定の実施形態において、プロセス100は、MeXkを含む水和塩中の水分(すなわち、水)をNH4Xで化学的に置換することを含むことができる。一態様において、プロセスは、(NH4)nMek+Xn+k(ここでn>0;及び2≦k<6)を形成することを含むことができる。特定の実施態様において、0<n≦3である。特定の例では、nは、Meが何であるかに応じて、0.33、0.5、1、1.5、2、3、または4であり得る。上記の例示された反応において、水和希土類ハロゲン化物が中間生成物として形成されてもよく、水和物中の水がNH4Xで置換されて、有利な非形成水和物化合物で(NH4)3REX6を形成して、水酸化物を含まないハライド相を操作して保つことが許可された。さらに例示されるように、LiXのようなアルカリ金属ハロゲン化物も形成される。
【0029】
一例では、反応生成物の混合物は、固体状態での後続の反応を促進するために、より大きな粒子を除去するために濾過されてもよい。より大きな粒子には、出発材料のいずれかに付随する不純物、出発材料の残存粒子、炭素、またはそれらのいかなる組み合わせが含まれ得る。
【0030】
プロセス100は、ブロック104に継続することができる。実施形態において、反応生成物の混合物は、(NH4)nMek+Xn+kとアルカリ金属ハロゲン化物、MX(ここで、Mはアルカリ金属元素)の固体反応を促進するために乾燥させることができる。乾燥は、空気または乾燥空気中、および/または真空または減圧下、例えば100mbar、40mbar、1mbar、あるいは0.01mbarで実施することができる。ある例では、水分の除去を促進するために、N2、またはArフローを使用してもよい。別の例では、水の蒸発を助けるために、熱を加えてもよい。加熱温度は、100℃~160℃とすることができる。乾燥は、混合物中に微量の水、例えば1wt%~3wt%が残るまで実施されてもよい。
【0031】
実施形態において、プロセス100は、(NH4)nMek+Xn+k及びMXの固体反応を実行することを含み得る。特定の例では、上記の反応生成物から、(NH4)3REX6及びLiXの固体反応を実行することができる。別の実施形態において、プロセス100は、(NH4)nM3-zMek+X3+n+k-zを形成することを含み得、ここで-3≦z=<3である。z=0のとき、(NH4)nM3-zMek+X3+n+k-zは、化学量論的である。zが0でないとき、(NH4)nM3-zMek+X3+n+k-zは非化学量論的である。特定の例では、0≦z<1である。さらなる例では、工程100は、M3-z(Mek+)fX3-z+k*fを形成することを含み得、ここで-3≦z<3;2≦k<6;0≦f≦1である。
【0032】
プロセス100は、ブロック106に継続することができる。実施形態において、イオン伝導性材料を形成することは、ハロゲン化アンモニウムを分解することを含むことができる。一態様において、分解は、ハロゲン化アンモニウム相から複合金属ハロゲン化物相を分離することを含むことができる。別の態様では、イオン伝導性材料を形成することは、ハロゲン化アンモニウムの脱離をさらに含むことができる。
【0033】
ある態様では、分解は、反応物および生成物に対して不活性な材料で作られたるつぼの中で行われてもよい。例えば、るつぼは、石英、アルミナ、シリカ-アルミナ、BN、ガラス状炭素、またはグラファイトで作られてもよい。特定の実施態様において、グラファイトは、熱分解炭素のコーティングを有することができる。
【0034】
別の態様では、分解は、空気または乾燥空気などの乾燥した中性雰囲気で実施されてもよい。N2またはArなどの不活性ガスを使用して、プロセスを促進してもよい。
【0035】
さらなる態様において、分解は、少なくとも15分~最大24時間行われてもよい。ある態様において、固体溶液は、350℃~800℃の範囲の温度に加熱して、ハロゲン化アンモニウムの部分的または完全な昇華を可能にしてもよい。いくつかの態様において、NH4Xの昇華は、収集され、反対側で凝縮する逃げたNH4Xを計量することによって監視することができる。
【0036】
さらなる態様において、最初に添加されたハロゲン化アンモニウムの重量と比較して、少なくとも60wt%、少なくとも80wt%、または少なくとも90wt%のハロゲン化アンモニウムの大部分を除去するように、昇華が実行されてもよい。さらなる態様において、本質的にハロゲン化アルミニウムは、昇華によって除去されてもよい。別の態様では、残留するハロゲン化アンモニウムがイオン伝導性材料によって含有されるように、昇華が行われてもよい。
【0037】
別の態様では、アンモニウム含有複合金属ハロゲン化物の分解は、複合金属ハロゲン化物以外の反応生成物を固相溶体から除去するのに役立つ。例えば、水、CO2、アンモニア、ハロゲンを蒸発させることができる。
【0038】
あるいは、アンモニウム含有複合金属ハロゲン化物が一段階で形成されるように、出発物質をより高い温度で加熱してもよい。例示的な一段階反応を以下に示す。
3*Li2CO3+ RE2O3+ 18*NH4Br ----> 2*(NH4)3Li3REBr9+ 6*H2O+ 3*CO2+ 12*NH3.
【0039】
特に、アンモニウムの分解と固相反応を同時に行うことができるように、加熱を行うことができる。例えば、加熱温度は、固相溶体の形成とハロゲン化アンモニウムの昇華を可能にするために、250℃~650℃の範囲または800℃までであることができる。複雑な金属ハロゲン化物を形成するために一段階合成を使用する場合、比較的高い含有量のオキシハライドが生成される可能性があることが指摘されている。
【0040】
別の実施形態では、プロセス100は、複合金属ハロゲン化物を含むイオン伝導性材料を形成することを含むことができる。一態様において、複合金属ハロゲン化物は、M3-zMek+X3-z+kで表されてもよい。別の態様では、複合金属ハロゲン化物は、M3-z(Mek+)fX3-z+k*fで表され、ここで、0≦f≦1であってもよい。
【0041】
ある態様では、分解後、冷却を行ってもよい。例えば、冷却は、空気、乾燥空気、または窒素雰囲気で行われてもよい。別の例では、冷却温度は、せいぜい100℃、せいぜい70℃、せいぜい50℃、又はせいぜい30℃など、200℃以下であってよい。特定の実施態様において、冷却は、室温(例えば、20~25℃)の乾燥雰囲気中で行うことができる。任意に、ArまたはN2、冷却を促進するために使用することができる。
【0042】
別の態様では、複合金属ハロゲン化物を含むイオン伝導性材料は、冷却後に形成されてもよい。
【0043】
実施形態において、複合金属ハロゲン化物は、残留ハロゲン化アンモニウムの特定の含有量を含んで形成されることができる。少なくとも1つの例では、イオン伝導性材料は、複合金属ハロゲン化物の総重量に対して少なくとも2ppmのハロゲン化アンモニウム、例えば少なくとも10ppm、少なくとも100ppm、少なくとも300ppm、少なくとも500ppm、少なくとも0.2wt%、少なくとも0.5wt%、または少なくとも1wt%のハロゲン化アンモニウムを含むことができる。別の例では、イオン伝導性材料は、複合金属ハロゲン化物の重量に対して、最大5wt%、例えば、最大3wt%のハロゲン化アンモニウムを含むことができる。複合金属ハロゲン化物は、本明細書に記された最小値または最大値のいずれかを含む範囲の残留ハロゲン化アンモニウムの含有量を含み得ることが理解されよう。少なくとも1つの例において、複合金属ハロゲン化物は、ハロゲン化アンモニウムを本質的に含まないものであってもよい。
【0044】
実施形態において、イオン伝導性材料は、複合金属ハロゲン化物の粒子を含むような粉末の形態であってもよい。一態様において、粉末は、少なくとも0.3ミクロン、少なくとも0.5ミクロン、または少なくとも1ミクロンなどの少なくとも0.1ミクロンの平均粒子サイズ(D50)を有することができる。別の態様において、平均粒子径は、最大1mm、最大800ミクロン、最大500ミクロン、最大200ミクロン、最大100ミクロン、最大50ミクロン、最大10ミクロン、最大5ミクロン、または最大1ミクロンであってよい。特定の態様において、粉末は、本明細書に記された最小値又は最大値のいずれかを含む範囲の平均粒子径を有する粒子を含んでもよい。別の態様において、粉末は、凝集粒子を含んでもよい。
【0045】
さらなる態様において、粒子は、電解質及び/又は電極の改善された形成及び性能を促進することができる特定の形状を有することができる。例えば、粒子は、球状又は細長いものとすることができる。別の例では、粒子は、ロッド、フレーク、または針の形状を有することができる。粒子の形状は、複合金属ハロゲン化物のイオン伝導度の2次元または1次元異方性に応じて選択することができる。
【0046】
別の態様では、粉末は、改善されたイオン伝導性を有する電解質及び/又は電極の形成を促進するために、長さ:幅の特定の平均アスペクト比を有する粒子を含むことができる。一例では、平均アスペクト比は、少なくとも1、例えば少なくとも1.2、少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.3、少なくとも2.5、少なくとも2.8、または少なくとも3であり得、別の例では、平均アスペクト比は、最大30、最大25、最大22、最大20、最大15、最大12、最大10、最大8、最大5、または最大4であり得ると言える。さらに、粒子は、本明細書に記された最小値及び最大値のいずれかを含む範囲内の平均アスペクト比を有することができる。
【0047】
実施形態において、イオン伝導性材料は、比較的低い含有量で特定の不純物を含むことができる。不純物は、Mek+Xkを含む単純な金属ハロゲン化物、例えば希土類ハロゲン化物、LiClおよび/またはNaClなどのアルカリハライド、M3N、およびMexNyなどの金属窒化物、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。係数xおよびyは、電荷が中性のMexNyに対するNおよびMeのそれぞれの価数である。さらなる例では、不純物は、アミド(NH2)、イミド(NH)、水酸化物(OH)、アンモニア(NH3)、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0048】
実施形態において、複合金属ハロゲン化物は、M3-z(Mek+)fX3-z+k*fで表すことができ、ここで、-3≦z≦3;2≦k<6;および0≦f≦1である。特定の態様において、fはゼロではない。特定の態様において、z<3である。さらに特定の態様において、f=0のとき、zは3でないことがある。Mはアルカリ金属元素を含むことができ;Meは2価の金属元素、3価の金属元素、4価の金属元素、5価の金属元素、6価の金属元素、またはそれらのいかなる組み合わせを含むことができ;そしてXはハロゲンを含むことができる。
【0049】
別の実施形態では、複合金属ハロゲン化物は、M3-zMek+X3-z+kで表すことができ、ここで-3≦z≦3;Mはアルカリ金属元素を含むことができ;Mは2価金属元素、3価金属元素、4価金属元素、5価金属元素、6価金属元素またはそれらのいかなる組み合わせを含むことができ;およびXはハロゲンを含むことができる。特定の態様において、z<3である。
【0050】
ある局面では、Mは、Li、Na、Cs、およびRbを含む1つまたは複数のアルカリ金属元素を含むことができる。さらなる態様において、Mは、Liを含むことができる。例えば、Mは、Liを含むことができる。別の態様において、Mは、Liおよび別のアルカリ金属を含むことができる。例えば、Mは、Liと、Na、Cs、およびRbのうちの少なくとも1つとを含むことができる。別の例では、Mは、Liと、Na、Cs、およびRbのうちの少なくとも1つとを含むことができる。より具体的な例では、Mは、LiとNaの組み合わせを含むことができる。別の態様では、Mは、Na、またはNaとCsおよびRbの少なくとも1つの組合せを含むことができる。別の例では、Mは、NaおよびCsの少なくとも1つを含むことができる。
【0051】
特定の実施態様では、Naは、Mの最大40mol%、例えばMの最大34mol%を構成することができ、例えば、Mは、0mol%~40mol%のNaを含むことができる。特定の例では、Mは、最大20mol%のNa、さらに詳細には、最大10mol%のNaを含むことができる。少なくとも1つの例では、Naは、Mの40mol%から100mol%を構成することができる。
【0052】
さらなる特定の実施態様において、Liは、Mの少なくとも50mol%または少なくとも60mol%または少なくとも66mol%または少なくとも75mol%を構成することができ、特定の例において、Mは60mol%~100mol%のLiを含むことができる。
【0053】
別の例では、CsはMの少なくとも25mol%、例えばMの少なくとも30mol%、少なくとも40mol%、または少なくとも50mol%を占めることができ、別の例では、CsはMの最大50mol%または最大40mol%または最大30mol%または最大20mol%または最大10mol%を占めてもよく、特定の例では、CsはMの最大1mol%を占めてもよい。
【0054】
実施形態において、複合金属ハロゲン化物は、(Li1-d,Nad)2Li1-zMek+X3+k-z、ここで、0<d<1;-0.95≦z≦0.95;Meは、2価金属元素、3価金属元素、4価金属元素、5価金属元素、6価金属元素またはそれらのいかなる組み合わせを含み得、Xはハロゲンを含むことができる、で表すことができる。
【0055】
実施形態において、(Li1-d-e,Nad,M’e)2Li1-z’(Mek+)fX3+k*f-zで表される複合金属ハライドは、0≦d≦1;0≦e<1;-3≦z’≦3;2≦k<6;0≦f≦1;M’はK、Rb及びCsの少なくとも一つを含むことができる。およびMeは、2価の金属元素、3価の金属元素、4価の金属元素、5価の金属元素、6価の金属元素、またはそれらのいかなる組み合わせを含むことができ;そしてXは、少なくともハロゲンを含んでなる。特定の局面では、z’<3である。特定の局面では、d+e>0である。特定の局面では、fは0ではない。より特定の局面では、e=0であり、dはゼロではない。
【0056】
ある局面では、dは少なくとも0.01または少なくとも0.05、または少なくとも0.1または少なくとも0.2であってよい。別の態様では、dは最大0.8または最大0.5であってもよい。特定の態様において、dは最小値および最大値のいずれかを含む範囲にあることができる。
【0057】
ある局面では、eは少なくとも0.01または少なくとも0.05、または少なくとも0.1または少なくとも0.2であってよい。別の態様では、eは、多くとも0.8または多くとも0.5であってもよい。特定の態様において、eは最小値および最大値のいずれかを含む範囲にあることができる。
【0058】
実施形態において、Li3-zMek+X3-z+kで表される複合金属ハロゲン化物は、-0.95≦z=<0.95であり、Meは、2価の金属元素、3価の金属元素、4価の金属元素、5価の金属元素、6価の金属元素、またはそれらのいかなる組み合わせを含み得;およびXは、ハロゲンを含むことができる。
【0059】
ある態様では、zは多くとも0.5、例えば多くとも0.3または多くとも0.2とすることができる。別の態様では、zは、少なくとも-0.5または少なくとも-0.2であってもよい。特定の例では、zは、本明細書で指摘した最小値および最大値のいずれかを含む範囲にあることができる。zが0でないとき、複合金属ハロゲン化物は非化学量論的であり得る。zが0であるとき、複合金属ハロゲン化物は化学量論的であることができる。
【0060】
例示的な二価の金属元素は、Mg及び/又はCa、Zn、又はそれらのいかなる組み合わせなどのアルカリ土類元素を含むことができる。特定の実施態様において、Meは、Zn、Ca、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。特定の実施態様において、ZnおよびMgなどの比較的小さい半径を有するイオンは、ハロゲンがClを含むかまたはClを含む場合に特に適している場合があり、Caなどの比較的大きい半径を有するイオンは、ハロゲンがBrを含むかまたはBrを含む場合に特に適した場合がある。別の特定の実施態様において、ベースイオンより大きい半径を有する置換イオンを含むことは、電解質材料中のイオン伝導チャンネルを拡大するのに役立つ場合がある。例えば、MeはCaおよびYを含むことができ、CaはYを部分的に置換するのに適していることができる。別の実施態様では、Mg、ZnおよびCaなどの比較的軽い重量を有する二価の元素が好ましいことがある。特定の実施態様において、YをSrまたはBaで置換すると、SrX2またはBaX2の化合物が形成される場合があり、これは複合金属ハロゲン化物のバルクイオン伝導度に影響を与える不純物となり得る。
【0061】
例示的な3価の金属元素は、希土類元素、希土類元素以外の3価の金属、例えばIn、Ga、Al、またはBi、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。特定の例では、Meは、Sc、Y、La、Gd、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。より特定の例では、Meは、Y、Gd、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0062】
例示的な4価の金属元素は、Zr、Hf、Ti、Sn、Ge、Th、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。特定の例では、Meは、Zr及びHfを含むことができる。別の特定の例では、Meは、Zrを含むことができる。
【0063】
例示的な5価の元素は、Ta、Nb、W、Sb、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0064】
ある態様において、Meは、希土類元素、アルカリ土類金属元素、3d遷移金属、Zn、Zr、Hf、Ti、Sn、Th、Ge、Ta、Nb、Mo、W、Sb、In、Bi、Sc、Yb、Al、Ga、Feまたはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0065】
さらなる態様において、Meは、希土類元素、Zr、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0066】
別の態様では、Meは、Y、Ce、Gd、Er、Zr、La、Yb、In、Mg、Zn、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0067】
Meが複数の金属元素を含む場合、kは各Me金属元素の原子価の合計の平均値とすることができる。例えば、Meが3価の元素と4価の元素を等モル数で含む場合、k=(3+4)/2=3.5とすることができる。特定の態様において、kは3または4または5であってもよい。
【0068】
さらなる態様において、Meは、Y、Gd、La、および/またはScを含む希土類元素、アルカリ土類金属元素、3d遷移金属、Zn、Zr、Hf、Ti、Sn、Th、Ta、Nb、Mo、W、Sb、In、Bi、Al、Ga、Geまたはこれらの任意の組合せを含むことができる。特定の例では、Meは、Y、Gd、Zr、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。特定の例では、Meは、別のMe元素によって部分的に置換されているYを含むことができる。例えば、Yは、複合金属ハロゲン化物の改善された結晶構造および特性を促進することができる別のMe元素の特定の含有量によって置換されることができる。特定の例では、Meは、70mol%までのYと、5mol%~30mol%の置換Me元素とを含むことができる。さらなる例では、Yは、複合金属ハロゲン化物の安定相の形成を可能にし得る適切な有効イオン半径を有するMe元素によって部分的に置換されてもよい。特定の例では、Me元素は、Laの有効イオン半径103.2Aより小さく、Liの有効イオン半径0.76Aに少なくとも類似するイオン半径を有していてもよく、より特定の例では、Me元素は0.76A±5%~93.5A±5%の有効イオン半径を有していてもよい。
【0069】
特定の実施態様において、Meは、Gd、Y、Ce、Er、Zr、Yb、またはそれらのいかなる組み合わせから構成することができる。例えば、MeはYから成ることができ、別の例では、MeはYと、Ce、Er、Zr、及びGdの少なくとも1つから成ることができる。さらなる例では、Meは、YbおよびCeを含む。別の例では、Meは、In、Y、Zr、Hf、Sc、Zn、およびMgのうちの2つ以上から成ることができる。
【0070】
ある態様において、XはCl、Br、I、およびFの少なくとも1つを含むことができる。例えば、XはClまたはBrを含むことができ、別の例において、XはFを含むことができる。別の例において、XはCl、Br、およびIの少なくとも2つを含むことができ、さらに別の例において、XはCl、Br、およびIの全てを含むことができる。
【0071】
ある態様において、Xは、ハロゲン以外の元素を含むことができる。いくつかの実施態様では、Xは、ハロゲンに加えて、アニオン基を含むことができる。そのようなアニオン基は、アミド(-NH2)、-(NH)0.5(イミド)、水酸化物(-OH)、-BF4、-BH4(水素化ホウ素)、またはそれらの組合せを含むことができる。アニオン基は、不純物またはドーパントとして含まれていてもよい。
【0072】
特定の局面において、Xは、F、Cl、Br、およびIのうちの少なくとも1つと、任意に、-NH2(アミド)、-(NH)0.5(イミド)、-OH(水酸化物)、-BH4(ボロハイドライド)、-BF4基、またはそれらのいかなる組み合わせを含むアニオン基を含むことが可能である。例えば、Xは、ClおよびBrの一方または両方と、少なくとも1つのアニオン基とを含むことができる。さらなる例では、Xは、Fおよび少なくとも1つのアニオン基を含むことができる。少なくとも1つの実施形態において、Xは、1つ以上のハロゲンであってもよい。
【0073】
特定の例では、MはLiであり、MeはIn、Mg、Zr、およびScの組み合わせであり、XはClまたはClとアニオン基の組み合わせであることが可能である。
【0074】
別の特定の例では、MはLiであり、MeはY、Zr、およびHfであり、XはClまたはClとアニオン基の組み合わせであることが可能である。
【0075】
別の特定の例では、MはNaであり、MeはZrであり、XはClまたはClとアニオン基の組み合わせであることが可能である。
【0076】
特定の実施形態において、複合金属ハロゲン化物は、(Li(1-d-e),Na(d),M’(e))2Li(1-z)Me3+
(1-u-p-q-r)Me4+
(u)Me2+
(p)Me5+
(q)Me6+
(r)(Cl(1-y-w)Br(y)I(w))(6+u-p+2q+3r-z)で表されるが、0≦d≦1、0≦e<1;-3≦z≦3;M’は、K、Rb、Csの少なくとも1つを含み、M3+は、希土類元素、In、Bi、Sc、Y、Al、Gaまたはそれらのいかなる組み合わせを含む;Me4+は、Zr4+,Hf4+,Ti4+,Sn4+,Th4+,Ge4+またはそれらのいかなる組み合わせである。Me2+は、Mg2+,Zn2+,Ca2+,Yb2+,Eu2+またはそれらのいかなる組み合わせを含む;Me5+は、Ta5+,Nb5+,W5+,Sb5+またはそれらのいかなる組み合わせを含む;Me6+は、W6+,Mo6+またはそれらのいかなる組み合わせを含む;0<=w<=1;0<=y<=1;-0.95<z<0.95;0<=u<0.95;0<=p<0.95;0<=q<0.95;および0<=r<0.95である。
【0077】
特定の局面において、M3+は、Y3+、Gd3+、In3+、Er3+、Sc3+、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。より特定の局面では、M3+は、Y3+、Gd3+、In3+、Er3+、Sc3+、またはそれらのいかなる組み合わせで構成することができる。
【0078】
特定の局面において、M4+は、Zr4+、Hf4+、Ce4+、またはそれらの組合せを含むことができる。より特定の局面では、M4+は、Zr4+,Hf4+,Ce4+,またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0079】
別の特定の局面では、p、q、r、およびuのいずれか1つ以上が0であることができ、より特定の局面では、p、q、r、およびuのすべてが0であることができる。
【0080】
特定の態様において、kは2または3または4または5であり得る。
【0081】
別の特定の態様において、複合金属ハロゲン化物は、(Li(1-d),Na(d))2Li(1-z)RE(1-u)Zr4+
(u)(Cl(1-y)Br(y))(6+u-z)で表され、ここで0<d<1;0<z<0.95;および0<=u<0.95である。ある例では、dは少なくとも0.0001、少なくとも0.001、少なくとも0.005、少なくとも0.008、少なくとも0.01、少なくとも0.02、少なくとも0.03、少なくとも0.05、または少なくとも0.06であってもよい。さらなる例では、dは最大0.5、最大0.3、最大0.2、最大0.1、最大0.08、最大0.06、最大0.05、最大0.04、または最大0.03であってよい。さらなる例では、dは、本明細書で指摘した最小値及び最大値のいずれかを含む範囲内であってもよい。例えば、0<d<0.05である。さらなる例では、zは、少なくとも0.02、少なくとも0.03、少なくとも0.05、少なくとも0.07、少なくとも0.09、少なくとも0.1、少なくとも0.15、少なくとも0.18、または少なくとも0.2であることができる。別の例では、zは、最大0.5、最大0.4、最大0.38、最大0.35、最大0.33、最大0.3、最大0.28、最大0.25、最大0.23、または最大0.2であっても良い。さらに、zは、本明細書で指摘した最小値及び最大値のいずれかを含む範囲にあることができる。例えば、0<z<0.2である。別の例では、uは、少なくとも0.01、少なくとも0.03、少なくとも0.05、少なくとも0.07、少なくとも0.09、少なくとも0.1、少なくとも0.13、少なくとも0.15、少なくとも0.18、少なくとも0.2、少なくとも0.22、少なくとも0.25又は少なくとも0.3であってもよい。別の例では、uは、最大0.8、最大0.78、最大0.75、最大0.73、最大0.7、最大0.68、最大0.65、最大0.63、または最大0.6であってもよい。さらに、uは、本明細書で指摘した最小値および最大値のいずれかを含む範囲にあることができる。例えば、0.2<u<0.6である。
【0082】
特定の実施形態では、複合金属ハロゲン化物は、ドーパントでドープされてもよい。特定の例では、Liは、ドーパントによって部分的に置換されてもよい。より特定の例では、ドーパントは、アンモニウム、例えばハロゲン化アンモニウムNH4Xを含むことができ、XはCl、Br、I、F、またはそれらの任意の組合せであり得る。
【0083】
ある態様では、複合金属ハロゲン化物は、複合金属ハロゲン化物の総重量に対して多くても20wt%、例えば多くても15wt%、多くても10wt%、多くても8wt%、多くても5wt%、又は多くても3wt%のハロゲン化アンモニウムを含むことができる。別の態様では、ハロゲン化アンモニウムは、複合金属ハロゲン化物の総重量に対してハロゲン化アンモニウムの質量で少なくとも10ppm、例えば少なくとも100ppm、少なくとも500ppm、少なくとも0.1wt%、少なくとも0.3wt%、少なくとも0.5wt%、少なくとも0.8wt%、または少なくとも1wt%の含有量でイオン伝導性材料に存在し得る。さらに、複合金属ハロゲン化物は、本明細書に記された最小値および最大値のいずれかを含む範囲の含有量でハロゲン化アンモニウムを含むことができる。
【0084】
図2を参照すると、固体イオン伝導性材料を形成するための例示的なプロセス200が図示されている。プロセス200は、
図1のブロック102、104、及び106に例示され、プロセス100に関して実施形態で説明したステップと同様のステップを含むことができる。
【0085】
プロセス200は、ブロック106で複合金属ハロゲン化物を得た後、ブロック208に継続することができる。実施形態において、プロセス200は、複合金属ハロゲン化物を含む単結晶材料を含む固体イオン伝導性材料を形成することを含むことができる。一態様において、結晶成長は、複合金属ハロゲン化物に対して不活性な材料で作られたるつぼの中で行われてもよい。例えば、るつぼは、石英、アルミナ、シリカ-アルミナ、BN、ガラス状炭素、またはグラファイトで作られてもよい。特定の実施態様において、グラファイトは、熱分解炭素のコーティングを有することができる。
【0086】
プロセス100によって得られた複合金属ハロゲン化物は、単結晶を形成するための電荷として直接使用することができる。一態様において、プロセス200は、複雑な金属ハロゲン化物を部分的または完全に溶融することを含むことができる。いくつかの態様において、金属化合物などのドーパント材料を溶融物に添加して、複合金属ハロゲン化物の1つ以上の金属元素の置換を促進することができる。
【0087】
さらなる態様において、プロセス200は、最大10センチメートルの単結晶ブロックなどの巨視的サイズを有する単結晶の成長を促進することができる特定の結晶成長速度を含むことができる。例えば、成長速度は、少なくとも0.2mm/時間、少なくとも0.3mm/時間、又は少なくとも0.5mm/時間とすることができる。別の例では、成長速度は、最大10mm/時間、例えば最大8mm/時間、最大6mm/時間、最大5mm/時間、最大3mm/時間、又は最大1mm/時間とすることができる。特定の例において、成長速度は、本明細書に記された最小値及び最大値のいずれかを含む範囲にあることができる。
【0088】
別の態様では、プロセス200は、溶融物を冷却することを含むことができる。特定の態様において、冷却は、複合金属ハロゲン化物を有する単結晶の形成を支援するために制御された方法で実施することができる。特定の態様において、冷却は、10℃/時間~50℃/時間の冷却速度を有する外部熱場によって促進することができる。別の特定の例では、複合金属ハロゲン化物の出発材料は、単純金属ハロゲン化物などの不純物の存在により不整合な融解相を形成することがあり、それらの例では、融液は、自己フラックス条件での化学量論的単相結晶の形成を促進するために過剰量の複合金属ハロゲン化物とドーパント材料を含むオフ化学量論の混合物を含有することが可能である。
【0089】
単結晶は、プロセス100によって形成され、本明細書の実施形態で説明される複合金属ハロゲン化物と同じ組成を有することができる。
【0090】
単結晶は、数mmオーダーの小さな塊でも、数十cmの大きさの緻密なブロックや大きなインゴットでもよい。
【0091】
実施形態では、インゴットまたはブロックは、目に見える不純物および/または寄生相が存在する場合、それらを除去するために研磨されてもよい。
【0092】
さらなる実施形態において、単結晶は、単結晶粒子を有する微粉末を形成するために粉砕されてもよい。例示的な用途において、単結晶粒子は、電気化学デバイスにおけるイオン伝導性コンポーネントを形成するために使用されてもよい。別の実施形態では、単結晶インゴット又はブロックは、薄いシートにスライスされてもよい。例えば、薄板は、5ミクロン~500ミクロンの厚さを有することができる。
【0093】
特定の実施形態では、プロセス200は、特定の結晶学的配向を有する単結晶を形成することを含むことができる。一態様では、単結晶の配向成長を実施することができる。特定の態様では、異方性である結晶に対して配向結晶成長を実施することができる。例示的な実施態様では、より高い導電性を有する結晶学的方向に伸長したペレットまたは粒子の結晶化を実施することができる。別の例では、単結晶の配向成長を促進するために、10℃/cm以上のような高温勾配を適用することができる。さらなる例では、X線ゴニオメータを使用して、結晶の配向を特定することができる。別の態様では、透磁率または誘電率について異方性を有する結晶について、強永久磁場、強電場下での凝固、またはそれらのいかなる組み合わせを用いて配向結晶成長を実施することができる。さらに別の態様では、配向セラミックス材料に近い格子定数を有する支持シード層を利用し、フラックス媒体中で固化することで、配向多結晶構造を維持することができる場合がある。
【0094】
別の態様では、より高い導電率を有する結晶学的方向が薄いシートの厚み方向になるように、単結晶をスライスすることができる。
【0095】
特定の実施形態において、イオン伝導性材料は、<HKL>又は<HKLM>で表される結晶学的方位を有する単結晶材料などの配向結晶材料を含み得、<HKL>又は<HKLM>の結晶学的方位におけるイオン伝導率は、単結晶が配向し得る異なる結晶学的方位におけるイオン伝導率より高くなる。
【0096】
例えば、Li3YBr6は、<001>と比較して、結晶学的方位<100>において高いイオン伝導度を有する。結晶学的方位<100>を有するLi3YBr6単結晶は、より高いバルクイオン伝導度を有するように形成されてもよい。あるいは、結晶方位<001>に延びる切断面を有するLi3YBr6のスライスを単結晶から形成し、その厚さを結晶方位<100>に延ばしてもよい。
【0097】
図3Aを参照すると、シート300が図示されている。実施形態では、シート300は、本明細書の実施形態で説明した単結晶を含むことができる。シート300は、主要面302及び304の間に延在する厚さtを有することができる。
図3Bは、単結晶の結晶学的配向の例示的な図解を含む。単結晶は、層の長さが結晶学的方向<100>に延び、層のスタックが結晶学的方向<001>に延びる、ミカ状の層状構造を有し得る。特定の単結晶は、結晶学的方向<100>において、<001>と比較してより大きなイオン伝導度を有することができる。特定の例では、シート300の厚さtは、結晶学的方向<100>の方向に延びることができる。更なる例では、302及び304の主要面の一方又は両方は、スライスされた表面とすることができる。あるいは、シート300は、結晶学的配向を有するように配向結晶成長によって形成することができ、厚さtは、結晶学的方向<100>に延在する。
【0098】
本明細書の実施形態の形成工程は、より高い純度を有するイオン伝導性材料の形成を可能にすることができることは注目される。より高い純度を有するイオン伝導性材料は、さらに改善されたイオン伝導性を有し得ることは、さらに注目される。
【0099】
ボールミリングを用いた固体反応のような従来の方法を用いて複雑な金属ハロゲン化物を形成すると、単純な金属ハロゲン化物のような不純物の含有量が高くなることがある。単純金属ハロゲン化物の含有量が多い複合金属ハロゲン化物を用いたり、単純化合物を直接出発原料としてブリッジマン-ストックバーガー、グラディエント-フリーズ、チョクラルスキー、バグダサロフ(水平ブリッジマン)のプロセスに従って結晶を成長させると、融液は不一致の融解を示し、得られた結晶中に高い含有量の不純物相および寄生相が形成される。不純物相および寄生相は、LiXおよびMek+Xkなどの1つまたは複数の単純な金属ハロゲン化物を含み、XはClおよび/またはBrなどのハロゲンである。
【0100】
本明細書の実施形態のプロセスは、不純物の含有量が少ない複合金属ハロゲン化物を形成することを可能にし得る。実施形態において、複合金属ハロゲン化物は、複合金属ハロゲン化物の総重量に対してせいぜい15wt%の単純金属ハロゲン化物の総含有量、例えばせいぜい12wt%、せいぜい11wt%、せいぜい10wt%、せいぜい9wt%、せいぜい8wt%、せいぜい7wt%、せいぜい6wt%、せいぜい5wt%、せいぜい4wt%、せいぜい3wt%、せいぜい2wt%、せいぜい1wt%又はせいぜい0.を有することができる。5wt%である。特定の実施形態において、複合金属ハロゲン化物の単結晶は、単純な金属ハロゲン化物を本質的に含まないことができる。例えば、全ての単純な金属ハロゲン化物の合計含有量は、単結晶の重量に対して0.2wt%未満であってよい。また、本明細書の実施形態の複合金属ハロゲン化物は、従来の方法を用いて製造されたものと比較して、より高いバルクイオン伝導度を有することが注目される。
【0101】
実施形態では、結晶成長を行うことにより、複合金属ハロゲン化物のさらなる精製を容易にすることができる。さらなる実施形態では、結晶成長は、改善されたバルクイオン伝導度を有するイオン伝導性材料の形成を促進することができる。本明細書の実施形態の複合金属ハロゲン化物の単結晶は、本明細書の実施形態の同じ複合金属ハロゲン化物を有する非単結晶形態(例えば、粉末)と比較して、さらに改善されたバルクイオン伝導性を有する傾向にあることは注目に値する。
【0102】
少なくとも1つの実施形態において、本明細書の実施形態の単結晶は、窒化物系相の不純物の低含有量を含むことができる。窒化物系相は、金属窒化物、金属酸窒化物、金属炭素窒化物、又はそれらのいかなる組み合わせの1つ又は複数の相を含むことができる。窒化物系相の形成は、プロセス100、プロセス200、またはそれらの組み合わせから生じてもよい。いくつかの実施態様において、Li3Nなどの金属窒化物の特定の種の存在は、金属ハロゲン化物材料のバルクイオン伝導性を向上させるのに役立つ場合がある。
【0103】
図4を参照すると、イオン伝導性材料を形成するためのプロセス400が図示されている。プロセス400は、
図1に例示され、プロセス100に関して実施形態で説明された全てのステップを含むことができる。
【0104】
実施形態において、プロセス400は、配向セラミック材料を含む固体導電性材料を形成することを含むことができる。一態様では、プロセス100によって形成された複合金属ハロゲン化物の粒子を使用することができる。一例では、粒子は、細長い形状などの特定の形状を有することができ、粒子の長手方向軸が、より高いイオン伝導度を有する結晶学的配向の方向に平行に延びるように配置されてもよい。別の例では、粒子の配向を容易にするために、鋳造、圧縮、プレス、加熱、成形、またはそれらのいかなる組み合わせが使用されてもよい。別の例では、磁場、放電、熱勾配、またはそれらの組み合わせを使用して、セラミック粒子の結晶配向を促進させてもよい。
【0105】
別の実施形態では、プロセス400は、配向セラミックを形成するために結晶成長を行うことを含むことができる。一態様において、プロセス400は、プロセス200と同様の融液を形成することを含むことができる。さらなる態様において、結晶成長は、特定の成長速度で実施することができる。例えば、成長速度は、少なくとも8mm/時間、少なくとも10mm/時間、少なくとも15mm/時間、または少なくとも20mm/時間であってもよい。別の例では、成長速度は、最大80mm/時間、最大70mm/時間、最大60mm/時間、最大50mm/時間、または最大40mm/時間であり得る。別の例では、成長速度は、本明細書に記された最小値及び最大値のいずれかを含む範囲にあることができる。別の態様において、配向した多結晶体結晶の成長を促進するために、熱勾配を適用することができる。
【0106】
実施形態では、プロセス400は、プロセス200に関連する実施形態で説明したように、単結晶を形成することを含むことができる。一態様において、単結晶ペレットは、特定の結晶学的配向を有するセラミックイオン伝導性材料を形成するように配置されてもよい。一例では、鋳造、圧縮、プレス、加熱、成形、またはそれらのいかなる組み合わせが、結晶方位を有するセラミックイオン伝導性材料の形成を促進するために使用されてもよい。特定の例では、単結晶ペレットは、配向し、好ましい結晶学的配向を有することができる。
【0107】
一例では、複合金属ハロゲン化物は、結晶学的配向<100>においてより高いイオン伝導度を有し、結晶学的配向<001>においてより低いイオン伝導度を有する異方性であり得る。
図3bを参照すると、複素金属ハロゲン化物322の単結晶又はセラミックペレットを図示のように配列して、結晶配向セラミック材料を形成することができる。
【0108】
本明細書の実施形態の固体イオン伝導性材料は、異なる形態とすることができる。一実施形態では、イオン伝導性材料は、複合金属ハロゲン化物を含む粉末を含むことができる。別の実施形態では、イオン伝導性材料は、複合金属ハロゲン化物の単結晶を含むことができる。例えば、イオン伝導性材料は、単結晶の粒子を含む粉末を含むことができる。別の例では、イオン伝導性材料は、単結晶シート、単結晶フィルム、単結晶ブロック、単結晶インゴット、又は別の形態の単結晶、又はそれらのいかなる組み合わせを含むことができる。さらなる実施形態において、イオン伝導性材料は、複合金属ハロゲン化物を含むセラミック材料を含むことができる。例えば、セラミック材料は、セラミック粒子、単結晶粒子、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0109】
別の実施形態では、固体イオン伝導性材料は、多結晶、単結晶、または結晶学的に配向した結晶性材料とすることができる。例えば、固体導電性材料は、複合金属ハロゲン化物の単結晶とすることができる。別の例では、固体導電材料は、複合金属ハロゲン化物の単結晶を含むセラミックとすることができる。別の例では、固体導電材料は、複合金属ハロゲン化物の結晶学的に配向した結晶性材料とすることができる。
【0110】
実施形態において、固体イオン伝導性材料は、不純物の含有量を含んでもよい。不純物は、複合金属ハロゲン化物とは別の相として存在してもよいし、同じ相で金属ハロゲン化物と錯体化してもよい。例えば、単純な金属ハロゲン化物は、複合金属ハロゲン化物とは別の相で存在してもよい。例では、ハロゲン化アンモニウムは、複合金属ハロゲン化物と完全にまたは部分的に錯体化していてもよい。特に、固体イオン伝導性材料は、同じ一般式で表され得るが、本明細書の実施形態で指摘する工程とは異なる工程を用いて形成される従来の固体イオン伝導性材料と比較して、改善された純度を含むことができる。例えば、全ての不純物の含有量の合計(「不純物の含有量の合計」ともいう)は、本明細書の実施形態の固体イオン伝導性材料中の複合金属ハロゲン化物の重量に対して最大15wt%を構成してもよい。例えば、不純物の総含有量は、複合金属ハロゲン化物の重量に対して多くても14wt%であり得、例えば、多くても13wt%、多くても12wt%、多くても11wt%、多くても10wt%、多くても9wt%、多くても8wt%、多くても7wt%、多くても6wt%、多くても5wt%、多くても4wt%、多くても3wt%、多くても2wt%、多くても1wt%、多くても0.5wt%、多くても0.3wt%、多くても0.1wt%、多くても500ppm、多くても300ppm、多くても100ppm、多くても50ppm、多くても40ppm、多くても30ppm、多くても20ppm、または多くても10ppmの重量で複合金属ハライドを得ることができる。別の例では、複合金属ハロゲン化物は、複合金属ハロゲン化物の重量に対して少なくとも0.2ppm、例えば、複合金属ハロゲン化物の重量に対して少なくとも0.5ppm、少なくとも1ppm、または少なくとも2ppmの不純物の総含有量を含むことが可能である。別の態様では、不純物の総含有量は、本明細書に記された最小値または最大値のいずれかを含む範囲内であってもよい。
【0111】
不純物相の含有量は、以下のように決定することができる。各不純物の相は、寄生相に対応する特徴的な回折ピークの存在を通じて定量的に分析するためのリートベルト精密化と結合したXRD分析によって検出することができる。リートベルト法(RR)は、XRDダイアグラムにおけるピークの形状や位置を解析し、2角度を少しずつ増やしながらXRD回折時の2データを収集し、異なる相の比率に変換することで定量的に各相の寄与度を特定することができる。
【0112】
窒化物系不純物相については、特に窒化物系不純物相がモル量または質量量で0.1%未満で存在する場合、LECO分析を用いてその存在を判定し定量することも可能である。LECO分析は、試料の燃焼と、沸騰した原料ガスの熱伝導率または赤外線吸収図による窒素(または硫黄、炭素、水素、酸素)の存在の分析に基づくものである。
【0113】
さらなる態様において、イオン伝導性材料中に存在する金属窒化物、金属酸窒化物、および/または金属-炭素窒化物などのすべての窒化物系不純物相の含有量は、複合金属ハロゲン化物の重量に対して、多くても0.3wt%、多くとも0.2wt%、多くとも0.1wt%、多くとも500ppm、多くとも300ppm、多くとも100ppm、多くとも50ppm、多くとも40ppm、多くとも30ppm、多くとも20ppm、または多くとも10ppmの複合金属ハライドの重量を有することができる。別の例では、全金属窒化物の含有量は、複合金属ハロゲン化物の重量に対して少なくとも0.2ppm、例えば、複合金属ハロゲン化物の重量に対して少なくとも0.5ppm、少なくとも1ppm、または少なくとも2ppmであることができる。別の態様では、全ての窒化物系相の含有量は、本明細書に記された最小値または最大値のいずれかを含む範囲であってよい。
【0114】
さらなる態様において、ハロゲン化アルカリ(MX)の含有量は、複合金属ハロゲン化物の重量に対して多くても10wt%、例えば多くても9wt%、多くても8wt%、多くても7wt%、多くても6wt%、多くても5wt%、多くても4wt%、多くても3wt%、多くても2wt%、多くても1wt%、多くても0.5wt%、多くても0.3wt%、多くても0.2wt%、多くても0.1wt%、多くても500ppm、多くても300ppm、多くても100ppm、多くても50ppm、多くても40ppm、多くても30ppm、多くても20ppm、または多くても10ppmの複合金属ハライドの重量に対して、である。別の例では、MXの含有量は、複合金属ハロゲン化物の重量に対して少なくとも0.2ppm、例えば、複合金属ハロゲン化物の重量に対して少なくとも0.5ppm、少なくとも1ppm、または少なくとも2ppmとすることができる。別の態様では、MXの含有量は、本明細書に記された最小値または最大値のいずれかを含む範囲内であってもよい。
【0115】
さらなる態様において、希土類オキシハライドなどの金属オキシハライド(MeOX)の含有量は、複合金属ハロゲン化物の重量に対して多くても5wt%、例えば多くても4wt%、多くても3wt%、多くても2wt%、多くても1wt%、多くても0.5wt%、多くとも0.3wt%、多くとも0.2wt%、多くとも0.1wt%、多くとも500ppm、多くとも300ppm、多くとも100ppm、多くとも50ppm、多くとも40ppm、多くとも30ppm、多くとも20ppm、または多くとも10ppmの複合金属ハライドの重量に対して、そのようにすることができる。別の例では、MeOX相の含有量は、複合金属ハロゲン化物の重量に対して少なくとも0.2ppm、例えば、複合金属ハロゲン化物の重量に対して少なくとも0.5ppm、少なくとも1ppm、または少なくとも2ppmとすることができる。別の態様では、MeOX相の含有量は、本明細書に記された最小値または最大値のいずれかを含む範囲内であってもよい。特定の態様において、複合金属ハロゲン化物は、MeOXを本質的に含まないことができる。
【0116】
さらなる態様において、金属窒化物MexNkの含有量は、複合金属ハロゲン化物の重量に対して多くても0.3wt%、例えば多くても0.1wt%、多くても500ppm、多くても300ppm、多くても100ppm、多くても50ppm、多くても40ppm、多くても30ppm、多くても20ppm、または多くても10ppmであることができる。別の例では、金属窒化物の含有量は、複合金属ハロゲン化物の重量に対して少なくとも0.2ppm、例えば、複合金属ハロゲン化物の重量に対して少なくとも0.5ppm、少なくとも1ppm、または少なくとも2ppmとすることができる。別の態様では、金属窒化物MexNkの総含有量は、本明細書で指摘した最小値または最大値のいずれかを含む範囲であってよい。
【0117】
さらなる態様において、金属窒化物MxNの含有量は、複合金属ハロゲン化物の重量に対して最大0.3wt%、例えば最大0.1wt%、最大500ppm、最大300ppm、最大100ppm、最大50ppm、最大40ppm、最大30ppm、最大20ppm、または最大10ppmであることができる。別の例では、金属窒化物の含有量は、複合金属ハロゲン化物の重量に対して少なくとも0.2ppm、例えば、複合金属ハロゲン化物の重量に対して少なくとも0.5ppm、少なくとも1ppm、または少なくとも2ppmとすることができる。別の態様では、金属窒化物MeNの総含有量は、本明細書に記された最小値または最大値のいずれかを含む範囲であってよい。
【0118】
本開示では、窒化物系相の総含有量と、窒化アルカリやMexNkなどの金属窒化物の含有量は、以下の方法で検出することができる。イオン伝導性材料は、錯体である金属ハロゲン化物は吸湿性があるため、水に溶解して使用することができる。窒化金属は吸湿性がないため、水溶液をろ過した後、回収して分析することができる。0.2wt%以上であれば、X線回折分析で検出可能である。0.2wt%以下の場合は、LECOを使用することができます。
【0119】
単に金属ハロゲン化物の含有量については、イオン伝導性材料を溶解することなく、X線回折で分析することが可能である。
【0120】
特定の例では、固体イオン伝導性材料は、NH3、NH4X、またはそれらの組み合わせを含むことができ、ここでXはハロゲンを含む。例において、NH3及び/又はNH4Xは、複合金属ハロゲン化物に加えて、別個の相として存在してもよい。別の例では、NH3および/またはNH4Xは、複合金属ハロゲン化物のドーパントまたは不純物であってもよい。
【0121】
さらに別の例では、固体イオン伝導性材料は、Li4(NH2)3Cl、Li7(NH2)6Cl、Li2Br(NH2)、Li13[NH]6Cl、LiCl-NH3、LiBr-4NH3、またはそれらの組合せを含むことができる。一例では、複合金属ハロゲン化物に加えて、1つ以上の化合物が別相で存在してもよい。別の例では、1つ以上の化合物は、プロセス100、200、および/または300から生じた副産物であってもよい。別の例では、化合物は、複合金属ハロゲン化物の存在するドーパントまたは不純物であってもよい。
【0122】
実施形態において、イオン伝導性材料は、イオン遮断電極の間に挟まれたペレット化試料上で実施される電気化学インピーダンス分光法によって測定された、少なくとも0.01mS/cm、例えば、少なくとも0.05mS/cm、少なくとも0.08mS/cm、又は少なくとも0.1mS/cm、又は少なくとも0.3mS/cm、又は少なくとも0.5mS/cmのバルクイオン伝導率を有することが可能である。特定の例では、バルクイオン伝導度は、少なくとも0.6mS/cm、少なくとも1.2mS/cm、少なくとも1.8mS/cm、または少なくとも2.2mS/cmであり得る。別の例では、バルクイオン伝導度は、最大15mS/cm、最大13mS/cm、最大11mS/cm、最大8mS/cm、最大7.2mS/cm、または最大6.2mS/cmとすることができる。特定の例において、バルクイオン伝導度は、本明細書に記された最小値及び最大値のいずれかを含む範囲にあることができる。バルクイオン伝導率は、22℃などの室温で、0.2eV及び0.5eVの範囲の活性化エネルギーで測定され得る。さらなる実施態様では、200℃から-80℃の温度に対して、0から1eVの活性化エネルギーを使用してもよい。80℃から-30℃の温度については、0.1~0.6eVの活性化エネルギーであってもよい。0℃以上または10℃以下の場合、活性化エネルギーは0.1~0.5eVとすることができる。
【0123】
実施形態では、固体電解質は、イオン伝導性材料を含むことができる。イオン伝導性材料は、単結晶、多結晶、またはそれらの組み合わせであり得る。固体電解質は、従来形成された複雑なリチウムベースの金属ハロゲン化物を含む固体電解質と比較して、改善されたイオン伝導性を有することができる。特定の例では、固体電解質は、イオン伝導性材料で構成され得る。より具体的な例では、固体電解質は、単結晶の複合金属ハロゲン化物、多結晶の複合金属ハロゲン化物、または特定の結晶方位を有する単結晶または配向セラミックスを含む配向結晶の複合金属ハロゲン化物から構成され得る。特定の用途において、電解質は、結晶学的に配向した固体イオン伝導性材料を含んでもよく、電解質は、固体イオン伝導性材料の配向に平行な方向に延びる厚さを有していてもよい。
【0124】
実施形態において、複合イオン伝導層は、イオン伝導性材料と有機材料とを含むことができる。有機材料は、バインダー材料、高分子電解質材料、又はそれらの組合せとして含むことができる。別の例では、複合イオン伝導層は、可塑剤、溶媒、またはこれらの組み合わせを含むことができる。例示的な有機材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素ゴム、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(NBR)、パラフィンワックス、炭酸ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリビニルピロリドン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ(酸化プロピレン)、ポリ塩化ビニル、などを含み得る。ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ[ビス(メトキシエトキシ)-ホスファゼン]、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリ(トリメチレンカーボネート)、水素化ニトリルブタジエンゴム、ポリ(エチレン酢酸ビニル)、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリウレタンまたはこれらのいかなる組み合わせである。別の例では、複合イオン伝導層は、リチウム塩を含むことができる。例示的なリチウム塩は、LiSbF6, LiN(SO2CF3)2, LiN(SO2C2F5)2, LiN(SO2CF3)(SO2C4F9), LiC(SO2CF3)3, LiAsF6, LiClO4, LiPF6, LiBF4, LiCF3SO3, あるいはそのいかなる組み合わせを含むことができる。
【0125】
別の実施形態では、電子とイオンの混合導電層は、イオン伝導性材料を含むことができる。一態様において、混合電子及びイオン伝導層は、正極活物質をさらに含むことができる。正極活物質の例としては、Li(NiCoAl)O2およびLiCoO2などのリチウム含有遷移金属酸化物、遷移金属フッ化物、ポリアニオン、およびフッ化ポリアニオン材料、および遷移金属硫化物、遷移金属オキシフルオリド、遷移金属オキシスルフィド、遷移金属オキシナイトライド、あるいはそれらの任意の組合せを含むことができるが、それだけに限られるわけではない。
【0126】
別の態様では、混合イオン及び電子伝導層は、負極活物質を含むことができる。例示的な負極活物質は、炭素材料、例えば、人造黒鉛、黒鉛炭素繊維、樹脂焼成炭素、熱分解気相成長炭素、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、フルフリルアルコール樹脂焼成炭素、ポリアセン。ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、天然黒鉛、非黒鉛化炭素等、リチウム金属、リチウムアロイ等の金属材料、酸化物、窒化物、錫化合物、ケイ素化合物、またはそれらの組み合わせ。
【0127】
いくつかの実施態様では、混合イオン及び電子伝導層は、電子伝導性添加剤を含むことができる。電子伝導性添加物の例としては、炭素繊維、炭素粉末、ステンレス鋼繊維、ニッケル被覆グラファイト等、又はそれらのいかなる組み合わせを含むことができる。
【0128】
実施形態では、固体リチウム電池は、陽極と陰極との間に配置された電解質を含むことができる。
図5を参照すると、例示的な固体電池500の断面の一部が図示されている。電解質層502は、本明細書の実施形態で指摘した電解質層又は複合層のいずれであってもよい。アノード504は、電解質502を覆っている。実施形態において、負極504は、固体イオン伝導性材料と負極活物質とを含むことができる。特定の実施形態では、負極504は、3次元構造化された負極であってよい。別の実施形態において、負極504は、金属負極であってもよい。例えば、負極はリチウムで構成されてもよい。陰極506は、陽極502と反対側の電解質506の反対側に配置されてもよい。正極506は、固体電解質材料と、正極活物質とを含むことができる。特定の実施形態では、正極506は、3次元構造化正極であってもよい。
【0129】
特定の例では、電解質502は、
図3に図示された単結晶シート302とすることができる。陽極504は、
図3に図示された主要面304の上にあることができる。
図3に図示されている主要面306は、陰極506の上にあることができる。
【0130】
固体電解質材料を用いて、電解質、複合イオン伝導層、負極、正極、又は固体リチウム電池の他の構成要素を形成するために、公知の技術を用いることができる。そのような技術には、鋳造、成形、堆積、印刷、プレス、加熱等、又はそれらのいかなる組み合わせが含まれるが、これらに限定されるものではない。特定の実施態様では、多層構造を形成するために、電解質と負極及び/又は正極などの層は別々に形成され、その後積層されて多層構造を形成してもよい。あるいは、緑色の電解質および陽極および/または陰極の層のスタックを形成し、その後、プレス、加熱、乾燥、またはそれらのいかなる組み合わせなどのさらなる処理を行い、最終的に形成される多層構造を形成してもよい。
【0131】
特定の実施形態では、単結晶ブロックまたはインゴットは、正極または負極活物質とともに、例えば、機械的プレスまたは熱活性化共押出によって処理することができ、電極と電解質の親密な接触を確保することができる。
【0132】
別の特定の実施形態では、単結晶ブロック及びインゴットは、負極及び/又は正極活物質の粒子の周りに直接成長させて、電子及びイオン伝導性の混合層を形成することができる。一態様において、混合イオン及び電子伝導層は、負極又は正極活物質を含む介在物を含む単結晶イオン伝導性材料を含むことができる。別の態様では、混合イオン及び電子伝導層は、単結晶インゴット又はブロック内に高密度に充填されている負極又は正極活物質を含むことができる。
【0133】
多くの異なる態様と実施形態が可能である。それらの態様および実施形態のいくつかが本明細書に記載されている。本明細書を読んだ後、当業者は、それらの態様および実施形態が例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないことを理解するであろう。実施形態は、以下に列挙する実施形態のうちのいずれか1つ以上に従ってもよい。
【0134】
実施形態
実施形態1.複合金属ハロゲン化物を含む、固体イオン伝導性材料:
前記複合金属ハロゲン化物は、アンモニウムを含むドーパントでドープされ;および
複合金属ハロゲン化物は、M3-z(Mek+)fX3-z+k*fで表され、ここで、
-3≦z<3;
2≦k<6;
0≦f≦1;
Mはアルカリ金属元素を含む、
Meは、2価の金属元素、3価の金属元素、4価の金属元素、5価の金属元素、6価の金属元素、またはそれらのいかなる組み合わせを含む;および
Xはハロゲンを含む。
実施形態2.下記を含む、固体イオン伝導性材料:
M3-z(Mek+)fX3-z+k*fで表される複合金属ハロゲン化物、
-3≦z<3;
2≦k<6;
0≦f≦1;
Mはアルカリ金属元素を含む、
Meは、2価の金属元素、3価の金属元素、4価の金属元素、5価の金属元素、6価の金属元素、またはそれらの組み合わせを含み;そして、Xはハロゲンを含む;
電荷中性のMexNkまたはMxNの少なくとも1つであり、xはNの原子価、kはMeの原子価である。
実施形態3.実施形態1または2に記載の固体イオン伝導性材料であって、前記複合金属ハロゲン化物は、(Li1-d-e,Nad,M’e)2Li1-z’(Mek+)fX3+k*f-z、で表されることを特徴とする固体イオン伝導性材料:
0≦d≦1;
0≦e<1;
Mは、Li、Na、およびM’のうちの少なくとも1つから成り;および
M’は、K、Rb、Csのうち少なくとも1つから成る。
実施形態4.Li1-d-e,Nad,M’e)2Li1-z(Mek+)fX3+k*f-z、で表される複合金属ハロゲン化物を含む、固体イオン伝導性材料。
-3≦z<3;
2≦k<6;
0≦f≦1;
0<d≦1;
0≦e<1;
Mはアルカリ金属元素を含む、
Meは、2価の金属元素、3価の金属元素、4価の金属元素、5価の金属元素、6価の金属元素、またはそれらの組み合わせを含み;そして、Xはハロゲンを含む;
電荷中性のMexNkまたはMxNの少なくとも1つであり、xはNの原子価、kはMeの原子価である。
MはLi、Na、M’のうち少なくとも1つから成り、M’はK、Rb、Csのうち少なくとも1つからなる。
実施形態5.zは-0.95~0.95であり、MはNaおよびLiから成る、実施形態1~4のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性材料。
実施形態6.Meは、希土類元素、アルカリ土類金属元素、3d遷移金属、Zn、Zr、Hf、Ti、Sn、Th、Ge、Ta、Nb、Mo、W、Sb、In、Bi、Al、Ga、Feまたはこれらの組み合わせから選択される1つ以上を含む、実施形態1から5のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性材料。
実施形態7.Meは、希土類元素、Zr、またはそれらのいかなる組み合わせを含む、実施形態1から6のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性材料。
実施形態8.Meが、Y、Ce、Gd、Er、Zr、La、Yb、In、Mg、Zn、またはそれらのいかなる組み合わせを含む、実施形態1から7のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性材料。
実施形態9.Xが、F、Cl、Br、及びIの少なくとも1つ、並びに任意に、-NH2(アミド)、-(NH)0.5(イミド)、-OH(水酸化物)、-BH4(ボロハイドライド)、-BF4基、又はこれらのいかなる組み合わせを含むアニオン基を含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性材料。
実施形態10.MeがGd、Y、またはそれらの組み合わせから成る、実施形態1~9のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性材料。
【0135】
実施形態11.MeがCe、Y、またはそれらの組み合わせから成る、実施形態1から9のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性材料。
実施形態12.MeがEr、Y、またはそれらの組み合わせから成る、実施形態1~9のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性材料。
実施形態13.MeがYb、Ce、またはそれらの組み合わせから成る、実施形態1~9のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性材料。
実施形態14.MeがY、Zr、またはそれらの組み合わせから成る、実施形態1~9のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性材料。
実施形態15.Meは、In、Y、Zr、Hf、Sc、Zn、Mgのうち2種類以上から成る、実施形態1から9のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性材料。
実施形態16.ハロゲンがCl、Br、I、Fのいずれかから成る、実施形態1~15のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性材料。
実施形態17.ハロゲンは、Cl、Br、I、及びFのうち少なくとも2つ以上から成る、実施形態1~16のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性材料。
実施形態18.ハロゲンがCl、Br、Iから成る、実施形態1~17のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性材料。
実施形態19.前記複合金属ハロゲン化物は、Li3-zMek+X3-z+kで表され、Meは希土類元素、Zr、またはそれらのいかなる組み合わせから成る、実施形態1および4から18のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性材料。
実施形態20.実施形態1から18のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性材料であって、(Li1-dNad)2Li1-zMek+X3+k-zで表される複合金属ハライドであって、Meが希土類元素、Zr、またはそれらの組み合わせを含む、および0≦d<1,-0.95≦z=<0.95である。
【0136】
実施形態21.実施形態1から20のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性材料であって、z≦0.5またはz≦0.3またはz≦0.2である。
実施形態22.実施形態2から21のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性材料であって、d≧0.01またはd≧0.05またはd≧0.1である、固体イオン伝導性材料。
実施形態23.実施形態2~22のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性材料であって、d≦0.
実施形態24.実施形態1~9のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性材料であって、複合金属ハロゲン化物が、(Li(1-d-e),Na(d),M’(e))2Li(1-z’)Me3+
(1-u-p-q-r)Me4+
(u)Me2+
(p)Me5+
(q)Me6+
(r)(Cl(1-y-w)Br(y)I(w )(6+u-p+2q+3r-z’)、で表されることを特徴とする、固体イオン伝導性材料。
0≦d≦1;
0≦e<1;
-3≦z’<3;
M’は、K、Rb、Csのうちの少なくとも1つを含む。
M3+は、希土類元素、In、Bi、Sc、Y、Al、Ga、またはそれらのいかなる組み合わせを含む。
Me4+は、Zr4+,Hf4+,Ti4+,Sn4+,Th4+,Ge4+またはその組み合わせである。
Me2+は、Mg2+,Zn2+,Ca2+,Sr2+,Ba2+,Yb2+,Eu2+またはそのいかなる組み合わせである。
Me5+は、Ta5+、Nb5+、W5+、Sb5+、またはその組み合わせである。
Me6+は、W6+、Mo6+、またはそれらのいかなる組み合わせである。
0<=w<=1;
0<=y<=1;
-0.95<z<0.95;
0<=u<0.95;
0<=p<0.95;
0<=q<0.95;および
0<=r<0.95。
実施形態25.M3+が、Y3+、Gd3+、In3+、Er3+、La3+、Sc3+、またはそれらのいかなる組み合わせを含み、M3+が、Y3+、Gd3+、In3+、Er3+、La3+、Sc3+またはそれらのいかなる組み合わせから成る、実施形態24の固体イオン伝導性材料。
実施形態26.M4+がZr4+、Hf4+、Ce4+、またはそれらの組み合わせを含み、M4+がZr4+、Hf4+、Ce4+、またはそれらの組み合わせから成る、実施形態24または25の固体イオン伝導性材料。
実施形態27.実施形態24から26のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性材料であって
p=0;
q=0;
r=0;
u=0;または
その組み合わせ。
実施形態28.k=2または3または4または5である、実施形態1~9および24~27のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性材料。
実施形態29.実施形態1から28のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性材料であって、複合金属ハロゲン化物の全重量に対して、少なくとも10質量ppmのハロゲン化アンモニウム、少なくとも100ppm、少なくとも500ppm、少なくとも0.1wt%、少なくとも0.3wt%、少なくとも0.5wt%、少なくとも0.8wt%または少なくとも1wt%を含む固体イオン伝導性材料。
実施形態30.複合金属ハロゲン化物の全重量に対して、アンモニウムを多くても20wt%、多くても15wt%、多くても10wt%、多くても8wt%、多くても5wt%、または多くても3wt%含む、実施形態1~29のいずれか1つに記載の固体イオン伝導体材料。
【0137】
実施形態31.複合金属ハロゲン化物の重量に対して、多くても0.5wt%、多くても0.3wt%、多くても0.1wt%、多くても500ppm、多くても300ppm、多くても100ppm、多くても50ppm、多くても40ppm、多くても30ppm、多くても20ppmまたは多くても10ppmの単純金属ハロゲン化物合計含有量をさらに含む、実施形態1~30のいずれか1つの固体イオン伝導体材料。
実施形態32.複合金属ハロゲン化物の総重量に対して、単純金属ハロゲン化物を少なくとも0.2ppm、少なくとも0.5ppm、または少なくとも1ppm含む、実施形態31に記載の固体イオン伝導性材料。
実施形態33.単純な金属ハロゲン化物は、アルカリ金属ハロゲン化物、希土類ハロゲン化物、またはそれらのいかなる組み合わせを含む、実施形態31または32に記載の固体イオン伝導性材料。
実施形態34.電荷中性のMexNkを、複合金属化合物の重量に対して少なくとも0.1質量ppm、最大10質量ppm含む、実施形態1~33のいずれか1つに記載のイオン伝導性材料。
実施形態35.複合金属化合物の重量に対してx、電荷中性MxNを少なくとも0.1質量ppm、最大10質量ppm含む、実施形態1から34のいずれか1つに記載のイオン伝導性材料。
実施形態36.少なくとも0.001mS/cm、少なくとも0.01mS/cm、少なくとも0.1mS/cm、少なくとも0.4mS/cm、少なくとも0.8mS/cm、少なくとも1.2mS/cm、少なくとも1.8mS/cmまたは少なくとも2.2mS/cmのバルクでのイオン伝導度を含む、実施形態1~35いずれか一つの固体イオン伝導体材料。
実施形態37.最大15mS/cm、最大13mS/cm、最大11mS/cm、最大8mS/cm、最大7.2mS/cm、または最大6.2mS/cmのバルクでのイオン伝導度を含む、実施形態36の固体イオン伝導体材料。
実施形態38.複合金属ハロゲン化物は、少なくとも0.1ミクロン~1mmの平均粒子径を含む粉末の形態である、実施形態1~37のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性材料。
実施形態39.固体導電材料は、単結晶または多結晶である、実施形態1~38のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性材料。
実施形態40.固体イオン伝導性材料が、単結晶または<HKL>もしくは<HKLM>で表される結晶方位を有する配向性多結晶であり、<HKL>もしくは<HKLM>の結晶方位におけるイオン伝導率が、異なる結晶方位におけるイオン伝導率よりも高い、実施形態39に記載の固体イオン伝導性材料。
【0138】
実施形態41.固体イオン伝導性材料は、<100>及び<001>を含む群から選択される結晶学的配向を有する、実施形態39又は40に記載の固体イオン伝導性材料。
実施形態42.Li4(NH2)3Cl、Li7(NH2)6Cl、Li2Br(NH2)、Li13[NH]6Cl、LiCl・NH3、LiBr・4NH3、またはそれらの組み合わせをさらに含む、実施形態1から41のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性材料。
実施形態43.NH3、NH4X、またはそれらの組み合わせをさらに含む、実施形態1から42のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性材料。
実施形態44.実施形態1~43のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性材料を含む、固体電解質層。
実施形態45.実施形態1から43のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性材料と、正極または負極活物質と、任意に電子伝導性添加剤とを含む、電子およびイオン伝導性の混合層。
実施形態46.実施形態44に記載の固体電解質層を備える、固体リチウム電池。
実施形態47.実施形態45に記載の電子・イオン混合伝導層を備える、固体リチウム電池。
実施形態48.M3-z(Mek+)fX3-z+k*fで表される複合金属ハロゲン化物を含む単結晶材料を含む固体電解質層。
-3≦z<3;
2≦k<6;
0≦f≦1;
Mはアルカリ金属元素を含む。
Meは、2価の金属元素、3価の金属元素、4価の金属元素、5価の金属元素、6価の金属元素、またはそれらのいかなる組み合わせを含む;および
Xはハロゲンで構成され;そして
ここで、単結晶材料は、電荷中性のMexNk、およびMxNのいずれかをさらに含み、xはNの原子価、kはMeの原子価である。
実施形態49.M3-z(Mek+)fX3-z+k*fで表される組成を有する配向結晶性材料を含む、固体電解質層。
-3≦z<3;
2≦k<6;
0≦f≦1;
Mはアルカリ金属元素を含む。
Meは、2価の金属元素、3価の金属元素、4価の金属元素、5価の金属元素、6価の金属元素、またはそれらのいかなる組み合わせを含む;および
Xはハロゲンを含む。
実施形態50.配向結晶材料が配向セラミックまたは配向単結晶である、実施形態49に記載の固体電解質層。
【0139】
実施形態51.Mは、Li及びNaの少なくとも1つを含む、実施形態48から50のいずれか1つに記載の固体電解質層。
実施形態52.Mは、Li、またはLiとNa、Cs、Rb、およびKの少なくとも1つとの組み合わせを含む、実施形態48から51のいずれか1つに記載の固体電解質層。
実施形態53.組成物が、(Li1-d,Nad)2Li1-zMek+X3+k-zで表される、実施形態47から51のいずれか1項に記載の固体電解質層。
0≦d<1;
-0.95≦z<=0.95;
2≦k<6;
Meは、2価の金属元素、3価の金属元素、4価の金属元素、5価の金属元素、6価の金属元素、またはそれらのいかなる組み合わせを含む;および
Xはハロゲンを含む。
実施形態54.Meは、希土類元素と、任意にアルカリ土類金属元素、Zn、Zr、Hf、Ti、Sn、Th、Ta、Nb、Mo、W、Sb、In、及びBiの1つ以上とを含む実施形態47~53のいずれか1項に記載の固体電解質層。
実施形態55.Meは、Y、Ce、Gd、Er、Zr、La、Yb、In、Mg、またはそれらのいかなる組み合わせを含む、実施形態47から54のいずれか1つに記載の固体電解質層。
実施形態56.Xが、F、Cl、Br、及びIのうちの少なくとも1つ、並びに任意に、-NH2(アミド)、-(NH)0.5(イミド)、-OH(水酸化物)、-BF4基、又はそれらの組み合わせを含むアニオン基を含む、実施形態47~55のいずれか1項に記載の固体電解質層。
実施形態57.Meが、Gd、Ce、Er、Yb、Zr、Y、またはそれらのいかなる組み合わせを含む、実施形態47から55のいずれか1つに記載の固体電解質層。
実施形態58.Meは、Gdと、場合によりCe、Er、Y、及びZrのうちの少なくとも1つとを含む、実施形態47から55のいずれか1つに記載の固体電解質層。
実施形態59.MeがYb及びCeから成る、実施形態47から55のいずれか1つに記載の固体電解質層。
実施形態60.Meは、Yと、場合によりZr、Ce、Er、及びGdのうちの少なくとも1つとから成る、実施形態47から55のいずれか1つに記載の固体電解質層。
【0140】
実施形態61.ハロゲンは、Cl、Br、I、及びFのうちの1つから成る、実施形態47から60のいずれか1つに記載の固体電解質層。
実施形態62.ハロゲンは、Cl、Br、I、及びFのうち少なくとも2つ以上から成る、実施形態47から61のいずれか1つに記載の固体電解質層。
実施形態63.ハロゲンは、Cl、Br、及びIから成る、実施形態47から62のいずれか1つに記載の固体電解質層。
実施形態64.組成が、Li3-zREk+X3-z+kで表され、REが希土類元素、Zr、またはそれらのいかなる組み合わせを含む、実施形態47から63のいずれか1つに記載の固体電解質層。
実施形態65.k=3または4または5である、実施形態47から64のいずれか1つに記載の固体電解質層。
実施形態66.組成物が、(Li(1-d),Na(d))2Li(1-z)Me3+
(1-u-p-q-r) Me4+
(u)Me2+
(p)Me5+
(q)Me6+
(r)(Cl(1-y-w)Br(y)I(w))(6+u-p+2q+3r-z)で表される、実施形態47~65のいずれか一つの固体電解質層、ここで、:
0<d<=1;
-0.95≦z<=0.95;
0<=u<0.95;
0<=p<0.95;
0<=q<0.95;
0<=r<0.95;
M3+希土類元素を含む。
Me4+は、Zr4+、Hf4+、Ti4+、Sn4+、Th4+、またはそれらのいかなる組み合わせである。
Me2+は、Mg2+,Zn2+,Ca2+,Sr2+,Ba2+,Yb2+,Eu2+またはそのいかなる組み合わせである。
Me5+は、Ta5+、Nb5+、W5+、Sb5+、またはその組み合わせである。
Me6+が、W6+;
0<=y<=1;かつ
w<=1.
実施形態67.M3+が、Y3+、Gd3+、In3+、Er3+、La3+、またはそれらのいかなる組み合わせを含み、M3+が、Y3+、Gd3+、In3+、Er3+、La3+、またはそれらのいかなる組み合わせから成る、実施形態66の固体電解質層。
実施形態68.M4+がZr4+、Ce4+、またはそれらの組み合わせを含み、M4+がZr4+、Ce4+、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態66または67に記載の固体電解質層。
実施形態69.実施形態63から68のいずれか1つに記載の固体電解質層。
p=0;
q=0;
u=0;または
その組み合わせ。
実施形態70.実施形態47から69のいずれか1つに記載の固体電解質層であって、z≦0.5またはz≦0.3またはz≦0.2である、固体電解質層。
【0141】
実施形態71.実施形態47から70のいずれか1つに記載の固体電解質層であって、d≧0.01またはd≧0.05またはd≧0.1である、実施形態47から70のいずれか1つに記載の固体電解質層。
実施形態72.実施形態47から71のいずれか1つに記載の固体電解質層であって、d≦0.8またはd≦0.5。
実施形態73.実施形態47から72のいずれか1つに記載の固体電解質層であって、結晶性材料は、結晶性材料の総重量に対して、多くとも0.5wt%、多くとも0.2wt%、多くとも0.1wt%、多くとも500ppm、多くとも200ppm、多くとも100ppm、または多くとも50ppmの不純物の合計含有量を含む、。
実施形態74.不純物が、希土類ハロゲン化物、アルカリハライド、電荷中性MexNk、電荷中性MxN、またはそれらのいかなる組み合わせを含む、実施形態73に記載の固体電解質層。
実施形態75.不純物の総含有量が、複合金属ハロゲン化物の重量に対して少なくとも2ppm、少なくとも5ppm、または少なくとも10ppmである結晶性物質を含む、実施形態47から74のいずれか1項に記載の固体電解質層。
実施形態76.結晶性材料が、複合金属ハロゲン化物の重量に対して、少なくとも0.1質量ppm、最大10質量ppmの電荷中性MexNkを含む、実施形態47から75のいずれか1つに記載の固体電解質層。
実施形態77.結晶性材料が、複合金属ハロゲン化物の重量に対して少なくとも0.1質量ppm、最大10質量ppmの電荷中性MxNを含む、実施形態47から76のいずれか1項に記載の固体電解質層。
実施形態78.結晶材料が、Li4(NH2)3Cl、Li7(NH2)6Cl、Li2Br(NH2)、Li13[NH]6Cl、LiCl-NH3,LiBr-4NH3、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態47から77のいずれか1つに記載の固体電解質層。
実施形態79.結晶性材料が、NH3、NH4X、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態47から78のいずれか1つに記載の固体電解質層。
実施形態80.結晶材料が、22℃で少なくとも0.01mS/cm、少なくとも0.1mS/cm、少なくとも0.2mS/cm、少なくとも0.4mS/cm、少なくとも0.5mS/cm、少なくとも0.8mS/cm、少なくとも1.2mS/cm、少なくとも1.8mS/cmのバルクイオン導電率を含む実施形態47~79のいずれか一つに記載の固体電解質層であって、結晶は、少なくとも0.01eV~0.5eVの範囲内の活性エネルギーを有する、結晶を含んで構成され、晶は、少なくとも0.01eVのイオン導電率の結晶である実施形態79に記載されている。8mS/cm、または22℃で少なくとも2.2mS/cm、および0.01eVおよび0.5eVの範囲の活性化エネルギー、または結晶性材料が最大15mS/cm、最大11mS/cm、最大9mS/cm、最大8mS/cm、最大7.2mS/cmまたは最大6.2mS/cmのイオン伝導度を構成している、結晶性材料の例。
【0142】
実施形態81.厚みを有し、厚みが<HKL>又は<HKLM>の結晶学的方位に延び、<HKL>又は<HKLM>の結晶学的方位におけるイオン伝導度が異なる結晶学的方位におけるイオン伝導度よりも高い、実施形態1~80のいずれか1つに記載の固体電解質層。
実施形態82.結晶学的方向が、<100>、<001>、及び<010>を含む群から選択される、実施形態81に記載の固体電解質層。
実施形態83.単結晶材料は、シート状である、実施形態47から82のいずれか1つに記載の固体電解質層。
実施形態84.厚さが5ミクロン~500ミクロンである、実施形態1~83のいずれか1つに記載の固体電解質層。
実施形態85.固体イオン伝導性材料を形成する工程であって、以下を含む。
(NH4)nMek+
3+kを形成することであり、(NH4)nMek+
3+kを形成することは、水和塩含有REX3の水分をNH4Xで化学的に置換することを含み、n>0;Meは希土類元素、Zrまたはその組み合わせを含み、Xは1以上のハロゲンである。
実施形態86.(NH4)nMek+
3+k及びMXの固体反応を行うことをさらに含み、ここでMはアルカリ金属を含む、実施形態85に記載のプロセス。
実施形態87.(NH4)nMek+X3+kを分解することをさらに含む、実施形態85または86に記載のプロセス。
実施形態88.M3-zMek+X3-z+k、式中、-3≦z<3;2≦k<6;MはLiおよびNaの少なくとも1つを含み、固体イオン伝導性材料は、固体イオン伝導性材料の重量に対して最大0.5wt%の不純物の合計含有量を含む複素金属ハライドを形成することをさらに含む実施形態85~87のいずれか1項に記載のプロセス。
実施形態89.不純物が、Mek+Xk、MX、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態88に記載のプロセス。
実施形態90.複合金属ハロゲン化物を含む結晶を成長させることをさらに含む、実施形態86から89のいずれか1つに記載のプロセス。
【0143】
実施形態91.<010>、<100>、及び<001>を含む群から選択される結晶学的配向を含む配向結晶性材料を形成することをさらに含む、実施形態85から90のいずれか1項に記載のプロセス。
実施形態92.融液から結晶を成長させることをさらに含み、融液は、複合金属ハロゲン化物と任意にドーパント材料とを含む、実施形態90又は91に記載のプロセス。
実施形態93.イオン伝導性材料が多結晶体である、実施形態85から92のいずれか1つに記載のプロセス。
実施形態94.イオン伝導性材料が、イオン伝導性材料の重量に対して最大0.5wt%の電荷中性MexNkの含有量を含む、実施形態85から93のいずれか1つに記載のプロセス。
実施形態95.イオン伝導性材料が、イオン伝導性材料の重量に対して質量比で少なくとも0.1ppm、多くても10ppmのMexNkの含有量を含む、実施形態85から94のいずれか1つに記載のプロセス。
実施形態96.イオン伝導性材料が、イオン伝導性材料の重量に対して最大0.5wt%の電荷中性MxNの含有量を含む、実施形態85から95のいずれか1つに記載のプロセス。
実施形態97.イオン伝導性材料が、イオン伝導性材料の重量に対して質量比で少なくとも0.1ppm、多くても10ppmの電荷中性MxNの含有量を含む、実施形態85から96のいずれか1つに記載のプロセス。
実施形態98.イオン伝導性材料が、Li4(NH2)3Cl、Li7(NH2)6Cl、Li2Br(NH2)、Li13[NH]6Cl、LiCl-NH3,LiBr-4NH3, 又はそれらの組み合わせを形成することをさらに含む、実施形態85から97のいずれか1つに記載のプロセス。
実施形態99.イオン伝導性材料が、NH3、NH4X、またはそれらの組み合わせをさらに含む、実施形態85から97のいずれか1つに記載のプロセス。
【0144】
例
例1
表1に示す組成の試料1~30を作製した。表1には、単純な金属ハロゲン化物の不純物の含有量が記載されており、各不純物の相は、寄生相に対応する特徴的な回折ピークの存在により定量分析するためのリートベルト精密化と組み合わせたXRD分析により検出されました。
【0145】
すべてのサンプルは、最大10ppmの金属窒化物の含有量を有していた。
試料1、2、4~6、15、17、30は、セラミックスペレットをプレス成形し、乾燥不活性条件下で加熱したものである。ペレットは、試料6を除き、本明細書の実施形態で説明した湿式アンモニウムルートに従って形成された。試料6は、本明細書の実施形態に記載された1段階成形プロセスを用いて成形された。ペレットは、5~13mm(直径)×0.5~4mm(厚さ)である。試料8~14及び試料18~29は、本明細書の実施形態に従って形成された単結晶からスライスされたものである。また、試料20、21、23の形成には、アニオン置換化合物の結晶成長用出発原料料の添加物として、LiCl塩、LiBr塩、LiI塩をそれぞれ使用した。
【0146】
試料のイオン伝導度は、金ブロック電極を用いた電気化学インピーダンス分光法により、交流周波数3MHz-10Hz、ピーク・トゥ・ピークの正弦波交流電圧信号10~50mV、室温(約22℃)の条件で測定したものである。
【0147】
試料1、2、4~6、15、17、30のバルク結晶のイオン伝導度を表1に含めた。バルク粒の導電率の特徴は最も高い周波数に現れ、二重層キャパシタンスの最低値と関連しているため、バルク粒からの導電率の寄与は粒界および電極接触から分離することができる。
【0148】
試料3では、方向Aと方向Bのどちらも、Li3YCl6の最大熱伝導率および/またはイオン伝導率を示す方位には対応していない。方向Aにスライスした場合、ランダムな結晶方位の結晶粒を持つセラミック試料が得られた。方向Aはベクトルaによって決定することができ、a=α*<100>+β*<010>であり、-1.0<α<1.0および-1.0<β<1.0である。B方向にスライスすると、結晶方位<001>に近い配向を持つ配向セラミック試料が得られた。
【0149】
【0150】
例2
Li3YB6の多結晶体ブロックが、7cmx10cmの円柱状に形成された。このブロックは,mmからcmサイズの単結晶が雲母状の層状に密に配列したものである。このブロックの中心から切り出した小片について、バルクのイオン伝導度を測定した。この小片を厚さ約0.7mmの平行平板試料に研磨し、例1と同様の方法でインピーダンスを測定したところ、選択した試料の方向により、約0.5または2.5mS/cmであった。XRD分析により、2つの試料が異なる結晶学的配向を有することが確認された。
【0151】
結晶学的方向<100>にほぼ沿って配向した結晶粒を主に(80%以上)有する第1の試料は、熱伝導率も最大であり、より高いイオン伝導率を示した。第二の試料は、<001>方向に直交する平面に属する結晶学的配向を有するランダムに配向した結晶粒を実証するものである。
【0152】
例3
結晶性の純原料は、自動乳鉢と乳棒のグラインダーを使って粉砕されました。この低エネルギー粉砕により、材料の純度が保たれる。同じ材料を高エネルギーボールミルで粉砕したところ、XRD分析で単純なハロゲン化物の小さなシグナルの出現で示されるように、純物質の部分的な分解が観察された。分解した粉末の導電率は、純粉末や配向した結晶・セラミックよりも低い値であった。
【0153】
【0154】
高エネルギーボールミリング合成は、主要な複合金属ハロゲン化物相の合成反応だけでなく、分解反応も並行して発生させることができることに注目されたい。高エネルギーボールミリング合成は、本明細書の実施形態のプロセスと比較して、主要なLi3YX6相の近傍に不純物として存在するLiXおよびYX3のような単純化合物の含有量が著しく高くなる可能性がある。
【0155】
また、酸化物(Y2O3)または炭酸塩材料(Li2CO3)から出発し、1バール大気圧での固相反応でハロゲン化アンモニウムを加えた場合、Li3YX6の単相が合成されない場合があることに注目される。希土類金属(すなわち、Li3YX6の例ではY)のハロゲン化物化合物への変換には、少なくとも2つの化学反応が起こり得る。1つの主要な反応は、さらに反応してLi3YX6相を形成することができるYX3の合成をもたらすことができる。第二の反応は、YOXの形成をもたらすことができる。YOXは安定した化合物であり、Li3YX6の最終製品に不純物として存在することがある。
【0156】
例5
追加の試料を形成した。試料35は、LiBrとYBrの化学量論的混合物3を溶接した石英アンプルに入れ、真空下で650℃まで加熱して合成した。反応混合物が溶融した後、650℃で最大1時間のソーク時間をかけて、反応生成物が自己フラックスに溶解するようにした。その後、石英アンプルの温度を速やかに(2~3分で)400℃まで下げ、不一致のLi3YBr6相の部分的な分解を最小限に抑えるのに役立てた。その後、石英アンプルの温度を50~100℃/時間の速度で室温まで徐々に下げた。
【0157】
試料36及び37は、本明細書の実施形態に従って合成され、アンモニウムを随意に保持した。残留アンモニウムの量は、電荷からハロゲン化アンモニウムを完全に昇華させることを可能にする融解温度まで化合物を後過熱することによって推定された。試料のバルクにおけるイオン伝導度を、例1に記載したのと同様の方法で測定した。
【表5】
【0158】
利点、他の利点、及び問題に対する解決策を、特定の実施形態に関して上述してきた。しかしながら、利点、利点、問題に対する解決策、及び任意の利点、利点、又は解決策を生じさせるか又はより顕著にする可能性のある任意の特徴(複数可)は、任意の又は全ての請求項の重要、必須、又は必須の特徴として解釈されるべきではない。本明細書において、1つ以上の成分を含む材料への言及は、材料が特定された1つ以上の成分から本質的になる少なくとも1つの実施形態を含むと解釈することができる。「本質的に成る」という用語は、特定されたこれらの材料を含み、材料の特性を著しく変化させない少数含有量(例えば、不純物含有量)以外の他の全ての材料を除外した組成物を含むと解釈されるであろう。加えて、又は代替的に、特定の非限定的な実施形態において、本明細書で特定される組成物のいずれかは、明示的に開示されていない材料を本質的に含まない可能性がある。本明細書の実施形態は、材料内の特定の成分の含有量の範囲を含み、所定の材料内の成分の含有量は合計100%であることが理解されよう。
【0159】
本明細書に記載された実施形態の明細書及び図解は、様々な実施形態の構造の一般的な理解を提供することを意図している。本明細書及び図解は、本明細書に記載された構造又は方法を使用する装置及びシステムの要素及び特徴の全てについて網羅的かつ包括的な説明として機能することを意図していない。別々の実施形態はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよく、逆に、簡潔さのために、単一の実施形態の文脈で説明される様々な特徴はまた、別々にまたは任意のサブコンビネーションで提供されてもよい。さらに、範囲内に記載された値への言及は、その範囲内の各値およびすべての値を含む。他の多くの実施形態は、本明細書を読んだ後に初めて当業者に明らかになる場合がある。他の実施形態は、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的置換、論理的置換、または別の変更を行うことができるように、本開示から使用され、導出されてもよい。したがって、本開示は、制限的ではなく例示的なものとみなされる。