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特許7364831縦続接続された燃料電池を用いる発電システムおよびそれに関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】縦続接続された燃料電池を用いる発電システムおよびそれに関連する方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20231012BHJP
   H01M 8/0612 20160101ALI20231012BHJP
   H01M 8/04014 20160101ALI20231012BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20231012BHJP
【FI】
H01M8/04 J
H01M8/0612
H01M8/04014
H01M8/12 101
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017206710
(22)【出願日】2017-10-26
(65)【公開番号】P2018137209
(43)【公開日】2018-08-30
【審査請求日】2020-10-13
(31)【優先権主張番号】15/343,318
(32)【優先日】2016-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523269812
【氏名又は名称】カミンズ・エンタープライズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Cummins Enterprise LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・フィリップ・シャピーロ
(72)【発明者】
【氏名】アーファン・サイフ・フセイニ
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-015318(JP,A)
【文献】特開2003-109628(JP,A)
【文献】特開昭62-274560(JP,A)
【文献】特開2013-243060(JP,A)
【文献】特開2003-272677(JP,A)
【文献】特開平11-233129(JP,A)
【文献】特表2006-525626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04-8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のアノード入口、第1のアノード出口チャネル、および第1のカソード出口チャネルを含む第1の燃料電池であって、第1のアノード排ガスの流れおよび第1のカソード排ガスの流れを生成し、前記第1のカソード出口チャネルを使用して前記第1のカソード排ガスの流れを排出するように構成された第1の燃料電池と、
第2のアノード入口を含む第2の燃料電池であって、第2のアノード排ガスの流れおよび第2のカソード排ガスの流れを生成するように構成された第2の燃料電池と、
前記第1のアノード出口チャネルと直接連通し、前記第1のアノード排ガスの流れを第1の部分および第2の部分に分割するように構成された分割機構と、
前記分割機構の出口と連通する第1の燃料経路であって、前記分割機構の前記出口を介して前記第1のアノード排ガスの流れの前記第1の部分と、炭化水素燃料入口チャネルを介して前記分割機構の下流において炭化水素燃料の流れとを受け取り、前記炭化水素燃料の流れを前記第1のアノード排ガスの流れの前記第1の部分と混合して第1の混合流を形成し、前記第1の混合流を前記第1の燃料電池の前記第1のアノード入口へと循環させるように構成され、前記第1の燃料電池は、少なくとも部分的に、前記第1の混合流を燃料として使用することによって第1の電力を生成するようにさらに構成される、第1の燃料経路と、
前記第2のアノード入口を介して前記第1のアノード排ガスの流れの前記第2の部分を前記第2の燃料電池に直接供給するように構成された第2の燃料経路であって、少なくとも部分的に、前記第1のアノード排ガスの流れの前記第2の部分を燃料として使用することによって第2の電力を生成するようにさらに構成されている、第2の燃料経路と、
前記分割機構の下流に位置して前記第1の燃料経路に組み合わせられた少なくとも1つの燃料改質器であって、前記第1の混合流を受け取り、改質流を生成し、前記改質流の第1の部分を、前記改質流の前記第1の部分を使用することによって前記第1の電力が生成されるように、前記第1の燃料電池へと循環させるように構成されている、少なくとも1つの燃料改質器と
を備える、発電システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの燃料改質器から前記第2の燃料経路へと延びるスリップ流チャネルをさらに備え、前記第2の燃料経路は、前記スリップ流チャネルを介して前記改質流の第2の部分を受け取り、前記第1のアノード排ガスの流れの前記第2の部分と混合して第2の混合流を形成し、該第2の混合流を、該第2の混合流を使用することによって前記第2の電力が生成されるように、前記第2の燃料電池へと循環させるように構成されている、請求項1に記載の発電システム。
【請求項3】
前記第1のカソード出口チャネルおよび前記第1の燃料経路に組み合わせられた第1の復熱器をさらに備え、該第1の復熱器は、前記第1のカソード排ガスの流れから熱を抽出し、該抽出した熱を前記改質流の前記第1の部分へと移すように構成されている、請求項2に記載の発電システム。
【請求項4】
前記第1のカソード出口チャネルおよび第1の流体経路に組み合わせられた第2の復熱器をさらに備え、該第2の復熱器は、前記第1のカソード排ガスの流れから熱を抽出し、該抽出した熱を第1の酸化剤の流れへと移すように構成されている、請求項3に記載の発電システム。
【請求項5】
第2のカソード出口チャネルおよび第2の流体経路に組み合わせられた第3の復熱器をさらに備え、該第3の復熱器は、前記第2のカソード排ガスの流れから熱を抽出し、該抽出した熱を第2の酸化剤の流れへと移すように構成されている、請求項4に記載の発電システム。
【請求項6】
前記第2の燃料電池の下流に配置された触媒酸化装置をさらに備え、該触媒酸化装置は、(i)前記第2のアノード排ガスの流れ、前記第2のカソード排ガスの流れ、および第3の酸化剤の流れを受け取り、(ii)前記第2のアノード排ガスの流れおよび前記第2のカソード排ガスの流れを酸化して、酸化された流れを生成し、(iii)該酸化された流れを酸化装置出口チャネルを介して前記第1のカソード出口チャネルへともたらすように構成されている、請求項5に記載の発電システム。
【請求項7】
前記第2の燃料経路および前記炭化水素燃料入口チャネルに組み合わせられた第1の燃料予熱器をさらに備え、該第1の燃料予熱器は、前記第1のアノード排ガスの流れの前記第2の部分から熱を抽出し、該抽出した熱を前記炭化水素燃料の流れへと移すように構成されている、請求項2に記載の発電システム。
【請求項8】
前記分割機構の下流に配置されて前記第2の燃料経路に組み合わせられた水分離ユニットをさらに備え、該水分離ユニットは、前記第2の燃料電池へと送られる前の前記第1のアノード排ガスの流れの前記第2の部分または前記第2の混合流から水の少なくとも一部を分離するように構成されている、請求項7に記載の発電システム。
【請求項9】
前記水分離ユニットの下流において第2のアノード出口チャネルおよび前記第2の燃料経路に組み合わせられた第2の燃料予熱器をさらに備え、該第2の燃料予熱器は、前記第2のアノード排ガスの流れから熱を抽出し、該抽出した熱を前記第1のアノード排ガスの流れの前記第2の部分または前記第2の混合流へと移すように構成されている、請求項8に記載の発電システム。
【請求項10】
第1の燃料電池においてアノード排ガスの流れを生成するステップと、
前記第1の燃料電池の第1のアノード出口チャネルと直接連通する分割機構を用いて前記アノード排ガスの流れを第1の部分および第2の部分に分割するステップと、
前記分割機構の出口と連通する第1の燃料経路において、前記分割機構の前記出口を介して前記アノード排ガスの流れの前記第1の部分と、炭化水素燃料入口チャネル介して前記分割機構の下流において炭化水素燃料の流れとを受け取るステップと、
前記炭化水素燃料の流れを前記アノード排ガスの流れの前記第1の部分と混合して第1の混合流を形成するステップと、
前記分割機構の下流に位置し、前記第1の燃料経路に組み合わせられた少なくとも1つの燃料改質器へと、前記第1の混合流を供給するステップと、
前記少なくとも1つの燃料改質器を使用して改質流を生成するステップと、
前記少なくとも1つの燃料改質器からの前記改質流を前記第1の燃料電池に供給するステップと、
前記改質流の前記第1の部分を用いることによって前記第1の燃料電池において第1の電力を生成するステップと、
第2の燃料経路を介して第2の燃料電池へと前記アノード排ガスの流れの前記第2の部分を供給するステップと、
少なくとも部分的に、前記アノード排ガスの流れの前記第2の部分を燃料として用いることによって、前記第2の燃料電池において第2の電力を生成するステップと
を含む、方法。
【請求項11】
前記第1の燃料電池へと前記第1の混合流を供給するステップ、前記第1の燃料電池において前記第1の電力を生成するステップ、前記第2の燃料電池へと前記アノード排ガスの流れの前記第2の部分を供給するステップ、および前記第2の燃料電池において前記第2の電力を生成するステップは、
前記分割機構の下流に位置し、前記第1の燃料経路に組み合わせられた少なくとも1つの燃料改質器へと、前記第1の混合流を供給するステップと、
前記少なくとも1つの燃料改質器を使用して、改質流を生成するステップと、
前記少なくとも1つの燃料改質器からの前記改質流の第1の部分を、前記第2の燃料電池へと供給するステップと、
前記改質流の前記第1の部分を用いることによって、前記第1の燃料電池において前記第1の電力を生成するステップと、
前記少なくとも1つの燃料改質器からの前記改質流の第2の部分を前記第2の燃料経路へと、前記少なくとも1つの燃料改質器から前記第2の燃料経路へと延びるスリップ流チャネルを介して供給するステップと、
前記改質流の前記第2の部分を前記アノード排ガスの流れの第2の部分と混合して、前記第2の燃料経路において第2の混合流を形成するステップと、
前記第2の混合流を前記第2の燃料電池へと供給するステップと、
前記第2の混合流を用いることによって前記第2の燃料電池において前記第2の電力を生成するステップと
を含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、発電システムに関し、より詳細には、縦続接続(cascaded)された燃料電池に基づく発電システムおよびその関連方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、発電システムに用いられたときの効率の高さおよび環境汚染の少なさに関して、将来性が証明済みの電気化学エネルギ変換装置である。一般に、燃料電池は、例えばインバータによって交流(AC)へと変換することができる直流(DC)を生成する。燃料電池の一般的な種類として、リン酸燃料電池(PAFC)、溶融炭酸塩燃料電池(MCFC)、プロトン交換膜燃料電池(PEMFC)、および固体酸化物燃料電池(SOFC)が挙げられる。SOFCなどの燃料電池は、産業および地方自治体のニーズを満たす大規模発電システムにおいて動作することができる。他の種類の燃料電池は、例えば自動車の動力など、より小型の移動の用途に有用であり得る。実際には、燃料電池を、必要とされる電圧または電流の電気を生み出すために、電気システムにおいて直列または並列のいずれかにて配置することができる。
【0003】
一般に、燃料電池は、2つの電極と、それらの間に配置された電解質とを含む。動作時に、電気化学反応が燃料電池内で生じ、水素(燃料)および酸素(酸化剤)を水または蒸気(副生成物)に変換し、電気を発生させる。典型的には、電気化学反応は、電極において生じるが、電極には、そのような反応を促進するために、触媒が配置されていることが多い。電極は、電気化学反応を生じさせるためのより大きな表面積を提供する。電解質は、荷電粒子を一方の電極から他方の電極へと移動させるが、燃料および酸化剤の両方に対して実質的に不透過性である。副生成物が、高い動作温度で燃料電池から出る可能性がある。副生成物は、蒸気または水に加えて、水素、一酸化炭素、メタン、および二酸化炭素など、種々の他の成分を含み得る。
【0004】
一般に、発電システムは、燃料電池の副生成物を使用して炭化水素燃料を改質することによって相当量の水素を含む改質流を生成するための改質器をさらに含む。次いで、改質流を燃料電池へと循環させることで、燃料電池の効率をさらに改善することができる。しかしながら、このようなシステムにおいて、改質流の量がかなり多くなり、結果として処理が困難になることが多い。さらに、改質流の水蒸気対炭素比が所望の値を超えてしまい、改質流の燃料としての品質(例えば、発熱量)が低下し、燃料電池の全体としての効率を低くする可能性がある。さらに、発電システムは、燃料電池からの高温の副生成物を処理するために高温熱交換物質を必要とする可能性があり、これがシステムの全体コストをさらに増加させる可能性がある。したがって、より効率的な燃料電池を取り入れたより効率的な発電システムが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2016/0006065号明細書
【発明の概要】
【0006】
1つの典型的な実施形態によれば、縦続接続された燃料電池を有する発電システムが開示される。発電システムは、第1の燃料電池と、第2の燃料電池と、分割機構と、第1の燃料経路と、第2の燃料経路とを含む。各々の燃料電池は、アノード入口、アノード出口、カソード入口、およびカソード出口を含む。第1の燃料電池は、第1のアノード排ガスの流れおよび第1のカソード排ガスの流れを生成するように構成される。第2の燃料電池は、第2のアノード排ガスの流れおよび第2のカソード排ガスの流れを生成するように構成される。分割機構は、第1のアノード排ガスの流れを第1の部分および第2の部分に分割するように構成される。第1の燃料経路は、炭化水素燃料入口チャネルを介して分割機構の下流において炭化水素燃料を受け取り、炭化水素燃料を第1のアノード排ガスの流れの第1の部分と混合して第1の混合流を形成するように構成される。第1の燃料経路は、第1の混合流を第1の燃料電池のアノード入口へと循環させるようにさらに構成され、第1の燃料電池は、少なくとも部分的に第1の混合流を燃料として用いることによって第1の電力を生成するようにさらに構成される。第2の燃料経路は、第1のアノード排ガスの流れの第2の部分を第2の燃料電池へと供給するように構成され、第2の燃料電池は、少なくとも部分的に第1のアノード排ガスの流れの第2の部分を燃料として使用することによって第2の電力を生成するようにさらに構成される。
【0007】
別の典型的な実施形態によれば、縦続接続された燃料電池を有する発電システムを使用して電力を生成するための方法が開示される。この方法は、第1の燃料電池においてアノード排ガスの流れを生成し、分割機構を用いてアノード排ガスの流れを第1の部分および第2の部分に分割することを含む。この方法は、炭化水素燃料入口チャネルを介して分割機構の下流において炭化水素燃料を受け取り、第炭化水素燃料をアノード排ガスの流れの第1の部分と混合して第1の混合流を形成することをさらに含む。さらに、この方法は、第1の燃料経路を介して第1の燃料電池に第1の混合流を供給し、少なくとも部分的に第1の混合流を燃料として使用することによって第1の燃料電池において第1の電力を生成することを含む。この方法は、アノード排ガスの流れの第2の部分を第2の燃料経路を介して第2の燃料電池に供給し、少なくとも部分的にアノード排ガスの流れの第2の部分を燃料として使用することによって第2の燃料電池において第2の電力を生成することをさらに含む。
【0008】
本開示の実施形態のこれらの特徴および態様ならびに他の特徴および態様は、以下の詳細な説明を添付の図面を参照しつつ検討することによってよりよく理解され、添付の図面において、同様の符号は、個々の図面において同様の部分を表している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の1つの典型的な実施形態による発電システムの概略図である。
図2】本開示の1つの典型的な実施形態による燃料電池内に配置された改質器を含む発電システムの概略図である。
図3】本開示の別の典型的な実施形態による分割機構の下流に配置された少なくとも1つの外部改質器を含む発電システムの概略図である。
図4図2の典型的な実施形態による燃料電池から延びる燃料経路への少なくとも1つの外部改質器からのスリップ流チャネルを含む発電システムの概略図である。
図5】1つの典型的な実施形態による縦続接続された燃料電池を有する発電システムを使用して電力を生成するための方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
主題をより明確かつ簡潔に記載および指摘するために、特定の実施形態に関してとくに明記されない限り、以下の説明および添付の特許請求の範囲の全体を通して使用される特定の用語について、以下の定義が定められる。この文脈において使用される用語「第1の混合流」は、アノード排ガスの流れと炭化水素燃料の流れとの混合物を指す。本明細書において使用される用語「改質流」は、改質器における水蒸気を用いる炭化水素燃料の流れの改質から誘導される生成物を含む燃料を指す。改質流中の生成物は、一般に、これに限られるわけではないが、水素(H2)および一酸化炭素(CO)の混合物を含む。
【0011】
本明細書において論じられる本開示の実施形態は、縦続接続された燃料電池を含む発電システムに関する。具体的には、発電システムは、第1の燃料電池と、第2の燃料電池と、分割機構と、第1の燃料経路と、第2の燃料経路とを含む。各々の燃料電池は、アノード入口、アノード出口、カソード入口、およびカソード出口を含む。第1の燃料電池は、第1のアノード排ガスの流れおよび第1のカソード排ガスの流れを生成するように構成される。第2の燃料電池は、第2のアノード排ガスの流れおよび第2のカソード排ガスの流れを生成するように構成される。分割機構は、第1のアノード排ガスの流れを第1の部分および第2の部分に分割するように構成される。第1の燃料経路は、炭化水素燃料入口チャネルを介して分割機構の下流において炭化水素燃料の流れを受け取り、炭化水素燃料の流れを第1のアノード排ガスの流れの第1の部分と混合して第1の混合流を形成するように構成される。第1の燃料経路は、第1の混合流を第1の燃料電池のアノード入口へと循環させるようにさらに構成され、第1の燃料電池は、少なくとも部分的に第1の混合流を燃料として用いることによって第1の電力を生成するようにさらに構成される。第2の燃料経路は、第1のアノード排ガスの流れの第2の部分を第2の燃料電池へと供給するように構成され、第2の燃料電池は、少なくとも部分的に第1のアノード排ガスの流れの第2の部分を燃料として使用することによって第2の電力を生成するようにさらに構成される。
【0012】
いくつかの実施形態において、発電システムは、第1燃料電池の内部に配置され、蒸気を使用して第1の混合流を改質して燃料電池において改質流を生成するように構成された内部燃料改質器をさらに含む。改質流は、H2とCOとの混合物を含むことができる。いくつかの実施形態において、第1の混合流は、水蒸気を含む。いくつかの他の実施形態において、水蒸気は、例えば発電システムの始動などの動作条件に応じて、アノード入口を介して少なくとも1つの内部燃料改質器へと供給される。いくつかの他の実施形態において、発電システムは、分割機構の下流に配置されて第1の燃料経路に組み合わせられた少なくとも1つの外部燃料改質器をさらに含む。このような実施形態において、少なくとも1つの外部燃料改質器は、水蒸気を用いて第1の混合流を改質して、H2とCOとの混合物を含む改質流を生成する。いくつかの実施形態において、第1の混合流は、水蒸気を含む。いくつかの他の実施形態において、水蒸気は、例えば発電システムの始動などの動作条件に応じて、アノード入口を介して少なくとも1つの外部燃料改質器へと供給される。さらに、水蒸気を含む第1のアノード排ガスの流れが、炭化水素燃料との混合ならびに混合流の少なくとも1つの燃料改質器または内部燃料改質器への供給に先立って分割されるため、改質流の水蒸気対炭素比を所望の値に制御することができる。水蒸気対炭素比を制御する能力は、燃料としての改質流の品質(例えば、発熱量)を改善し、したがって燃料電池の全体としての効率を高める。さらに、水蒸気を含む第1のアノード排ガスの流れは、炭化水素燃料の流れと混合されて混合流を形成する前に、分割される。したがって、第1の燃料電池において改質流を生成するために形成されて少なくとも1つの内部改質器へと循環させられる混合流の量が、実質的に少なくなり、取り扱いがより容易になる。同様に、改質流を生成するために形成されて少なくとも1つの外部改質器へと供給される混合流の量が、実質的に少なくなり、取り扱いがより容易になる。さらに、分割機構が、第1のアノード排ガスの流れ(すなわち、副生成物)をアノード排ガスの流れの第1の部分および第2の部分に分割するように構成され、第1の燃料経路が、アノード排ガスの流れの第1の部分のみを循環させるように構成されているため、第1の燃料経路は、第1の燃料電池からの第1のアノード排ガスの流れの全量を取り扱う必要はない。発電システムによる処理/循環を必要とするアノード排ガスの流れの量のこのような低減も、発電システムの全体コストの削減を助ける。
【0013】
図1は、1つの典型的な実施形態による発電システム100の概略図である。発電システム100は、第1の燃料電池102と、第2の燃料電池104と、分割機構106と、第1の燃料経路108と、第2の燃料経路110とを含む。特定の実施形態において、発電システム100は、第1の流体経路114と、第1のアノード出口チャネル116と、第1のカソード出口チャネル118と、第2の流体経路120と、第2のアノード出口チャネル122と、第2のカソード出口チャネル124と、炭化水素燃料源126と、炭化水素燃料入口チャネル128とをさらに含む。
【0014】
分割機構106は、第1の燃料電池102の下流に配置され、第1のアノード出口チャネル116を介して第1の燃料電池102に接続される。さらに、分割機構106は、第1の燃料経路108を介して第1の燃料電池102のアノード入口130に接続され、第2の燃料経路110を介して第2の燃料電池104のアノード入口132に接続される。炭化水素燃料入口チャネル128は、分割機構106の下流において第1の燃料経路108に接続される。
【0015】
一実施形態において、第1の燃料電池102は、アノード134と、カソード136と、アノード134とカソード136との間に配置された電解質138とを含む。当業者であれば、燃料電池の一般的な構造および機能を理解できるであろう。特定の実施形態において、第1の燃料電池102は、固体酸化物燃料電池(SOFC)である。図示の実施形態において、始動の動作の際に、第1の燃料電池102は、第1の燃料経路108を介して炭化水素燃料の流れ10を受け取る。具体的には、炭化水素燃料の流れ10は、炭化水素燃料入口チャネル128および第1の燃料経路108を介し、炭化水素燃料源126からアノード入口130へと導かれる。いくつかの他の実施形態においては、始動の動作の際に、炭化水素燃料の流れ10を、炭化水素燃料供給チャネル(図示せず)を介してアノード入口130へと直接供給することができる。さらに、第1の燃料電池102は、第1の流体経路114を介して第1の酸化剤の流れ12を受け取る。具体的には、第1の酸化剤の流れ12は、酸化剤源(図示せず)から、第1の流体経路114を介して第1の燃料電池102のカソード入口140へと導かれる。炭化水素燃料の流れ10は、任意の適切な燃料を含むことができ、その例としては、これらに限られるわけではないが、メタン、エタン、プロパン、メタノール、合成ガス、天然ガス、またはこれらの組み合わせが挙げられる。る。特定の実施形態において、炭化水素燃料の流れ10は、燃料としてメタンを含む。後で詳述されるように、例えば、発電システム100の連続運転の最中に、炭化水素燃料の流れ10は、第1のアノード排ガスの流れの第1の部分と組み合わせられて第1の混合流を形成し、次いで第1の混合流は、第1の燃料電池102のアノード入口130へと導かれる。第1の酸化剤の流れ12は、酸素または空気を含むことができる。典型的な実施形態において、第1の酸化剤の流れ12は、空気を含む。電解質138は、固体酸化物電解質またはセラミック電解質であってよい。
【0016】
一実施形態において、第1の燃料電池102は、炭化水素燃料の流れ10における炭化水素燃料を、水素(H2)および一酸化炭素(CO)の混合物に変換する。酸素イオンのH2との電気化学反応が、アノード134において生じ、水(多くの場合、水蒸気の形態である)および電子が生成される。電子は、外部の電気回路(図示せず)を介してアノード134からカソード136へと運ばれる。さらに、第1の酸化剤の流れ12は、カソード136において電子を吸収し、電解質138を通ってカソード136からアノード134へと運ばれて電池サイクルを完成させる酸素イオンを生じる。特定の実施形態において、外部の電気回路を通って運ばれる電子は、電気または第1の電力101あるいは第1の電力量または第1の電力負荷を生成する。特定の実施形態においては、酸素イオンのCOとの電気化学反応もアノード134において生じ、二酸化炭素(CO2)の形成をもたらしてもよい。このような実施形態において、アノード134は、炭化水素燃料の流れ10と、H2、CO、水蒸気、および二酸化炭素のうちの1つ以上とを含むことができる。これらの成分は、任意の適切な経路を介してアノード134から出て、本明細書において「第1のアノード排ガスの流れ」14と呼ばれるアノード排気の少なくとも一部を構成することができる。例えば、一実施形態において、第1のアノード排ガスの流れ14は、H2、CO、水、水蒸気、CO2、および未改質の炭化水素燃料(例えば、メタン)を含むことができる。いくつかの実施形態において、第1のアノード排ガスの流れ14は、少なくとも10体積%のH2と、COとからなってよい。いくつかの他の実施形態において、第1のアノード排ガスの流れ14は、少なくとも20%のH2と、COとを含む。さらに別の実施形態において、第1のアノード排ガスの流れ14は、最大で40%のH2と、COとを含む。未吸収の第1の酸化剤の流れは、「第1のカソード排ガスの流れ」16と呼ばれることが多いカソード排気の少なくとも一部分を構成する。
【0017】
分割機構106は、第1のアノード排ガスの流れ14を第1のアノード出口チャネル116を介して受け取る。分割機構106は、第1のアノード排ガスの流れ14を、第1のアノード排ガスの流れの第1の部分18と、第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20とに分割する。使用される分割機構の種類に制限はなく、図は、例えば弁または配管機構などの任意の種類の標準的な分割機構を包含するように意図されていることに、留意されたい。一実施形態において、第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20に対する第1のアノード排ガスの流れの第1の部分18の比は、約6~約1.7の範囲にある(すなわち、約15体積パーセントに対して約85体積パーセント)。具体的には、特定の実施形態において、第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20に対する第1のアノード排ガスの流れの第1の部分18の比は、約2~約0.5の範囲にある(すなわち、約33体積パーセントに対して約67体積パーセント)。いくつかの実施形態において、アノード排ガスの流れの第1および第2の部分18,20の各々は、H2、CO、水、水蒸気、未改質のメタン、およびCO2の実質的に同じ組成を有することができる。
【0018】
第1の燃料経路108は、分割機構106からの第1のアノード排ガスの流れの第1の部分18を受け取るとともに、炭化水素燃料入口チャネル128を介して分割機構106の下流において炭化水素燃料の流れ10を受け取る。次いで、炭化水素燃料の流れ10は、第1の燃料経路108において第1のアノード排ガスの流れの第1の部分18と混ざり合い、第1の混合流22を形成する。第1の燃料経路108は、第1の混合流22を第1の燃料電池102のアノード入口130へと循環させるように構成される。さらに、第1の混合流22の電気化学反応(すなわち、H2とO2との間の反応)がアノード134において生じることで、第1のアノード排ガスの流れ14、第1のカソード排ガスの流れ16、および第1の電力101の生成が、少なくとも部分的に第1の混合流22を燃料として使用することによってもたらされる。
【0019】
特定の実施形態においては、第1のアノード排ガスの流れ14を分割し、第1の混合流22を生成し、混合流22を第1の燃料電池102へと循環させることにより、第1の燃料電池102に供給される第1の混合流22の量および発電システム内を循環している第1のアノード排ガスの流れ14の量を、効率的に取り扱うことが可能になる。さらに、混合流22を循環させることによって、第1の燃料電池102の効率も向上する。本明細書に記載の循環の特徴によってもたらされる他の利点として、これに限られるわけではないが、改質流を生成するための少なくとも1つの内部燃料改質器または外部燃料改質器に水(水蒸気)が自動的に供給され、別途の水の供給が不要になることを挙げることができる。いくつかの実施形態においては、混合流22を第1の燃料電池102に直接供給することにより、混合流22の品質(例えば、発熱量)および熱エネルギを維持することができ、したがって第1の燃料電池102の全体としての効率を高めることができる。さらに、第1のアノード排ガスの流れ14を分割することにより、アノード134において電気化学反応を生じさせるための実質的に高い水蒸気対炭素比を有するように混合流22を改質/変換するための充分な量の水蒸気が第1の燃料電池102にもたらされる。
【0020】
図1に示される第2の燃料電池104は、第1の燃料電池102と実質的に同様であってよい。したがって、第2の燃料電池104も、アノード144と、カソード146と、アノード144とカソード146との間に配置された電解質148とを含む。いくつかの実施形態においては、第1の燃料電池102および第2の燃料電池104の両方が、SOFCであってよい。第2の燃料経路110は、分割機構106から第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20を受け取り、第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20を第2の燃料電池104のアノード入口132へともたらす。特定の実施形態において、アノード144は、随意により、炭化水素燃料源126から炭化水素燃料の流れ10を受け取ることができる。さらに、第2の燃料電池104は、酸化剤源(図示せず)から第2の酸化剤の流れ26を受け取り、第2の酸化剤の流れ26を第2の燃料電池104のカソード入口150へともたらす。動作時に、第1の燃料電池102に関して本明細書で説明したように、第2の燃料電池104は、第2のアノード排ガスの流れ28、第2のカソード排ガスの流れ30、ならびに電気または第2の電力103あるいは第2の電力量または第2の電力負荷を生成する。具体的には、第2の燃料電池104は、少なくとも部分的に第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20を燃料として使用することによって第2の電力103を生成する。いくつかの実施形態においては、第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20を第2の燃料電池104に直接供給することにより、第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20における品質(例えば、発熱量)および熱エネルギを維持することができ、したがって第2の燃料電池104の全体的な効率を高めることができる。第1および第2の電力101,103を生成するために、縦続接続による燃料電池システムの第1および第2の燃料電池102、104へと第1のアノード排ガスの流れの第1および第2の部分18、20をそれぞれ循環させることで、発電システム100の全体的な効率を高めることができる。
【0021】
図1の実施形態および他の実施形態に関しては、少なくとも2つの燃料電池が存在し、したがって少なくとも2つの発電源が存在する。第1の燃料電池102自体が、第1の発電装置であり、例えば外部の電気回路などの所望の場所へと第1の電力101をもたらす。第2の発電装置は、第2の電力103を所望の場所へと生成する第2の燃料電池104である。第1のアノード排ガスの流れ14を分割し、第1の燃料電池102への第1のアノード排ガスの流れの第1の部分18と、第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20とを循環させることに由来する「ブースト」を有する2つの電力源を提供するという発電システム100の能力は、種々の産業における動作において明白な利点となり得る。
【0022】
さらに、2つ以上の燃料電池を組み合わせることにより、65%を超える電気効率を、容易に達成することができる。さらに、第1および第2の燃料電池102,104は、電気化学反応プロセスを利用して電力を発生させるため、NOx排出物を実質的になくすことができるが、これは、内燃/外燃プロセスに依存する従来からの複合サイクルシステムでは不可能である。さらに、本開示のいくつかの実施形態は、第1および第2の燃料電池102,104の一方または両方で発生した熱を使用し、1つ以上の他の流れ(例えば、第1または第2の酸化剤の流れ)を加熱することにより、発電システム全体の効率向上およびエネルギコスト削減をもたらすことを、好都合に提供する。
【0023】
図2は、本開示の1つの典型的な実施形態による発電システム200の概略図である。発電システム200は、第1の燃料電池202と、第2の燃料電池204と、分割機構206と、第1の燃料経路208と、第2の燃料経路210とを含む。さらに、発電システム200は、第1の流体経路214と、第1のアノード出口チャネル216と、第1のカソード出口チャネル218と、第2の流体経路220と、第2のアノード出口チャネル222と、第2のカソード出口チャネル224と、炭化水素燃料源226と、炭化水素燃料入口チャネル228とを含む。
【0024】
第1の燃料電池202は、第1のアノード出口チャネル216を介して分割機構206に接続される。分割機構206は、第1の燃料電池202に対して下流に配置されている。さらに、分割機構206は、(第1の燃料電池202に燃料を供給するために)第1の燃料経路208を介して第1の燃料電池202に接続され、(第2の燃料電池204に燃料を供給するために)第2の燃料経路210を介して第2の燃料電池204に接続される。炭化水素燃料入口チャネル228は、分割機構206の下流において第1の燃料経路208に接続される。
【0025】
特定の実施形態において、発電システム200は、第1のアノード出口チャネル216および第1の燃料経路208に組み合わせられた第1の復熱器252をさらに含む。図示の実施形態において、第1の復熱器252は、低温復熱器252aおよび高温復熱器252bを含む。低温復熱器252aは、第1の混合流22の流れに関して高温復熱器252bの上流に配置されている。さらに、発電システム200は、第1の燃料経路208に組み合わせられた燃料冷却器254および第1のブロア256を含む。具体的には、第1のブロア256は、燃料冷却器254の下流に配置される。さらに、燃料冷却器254および第1のブロア256は、炭化水素燃料入口チャネル228の下流かつ第1の復熱器252の上流に配置される。特定の実施形態において、発電システム200は、第1のカソード出口チャネル218および第1の流体経路214に組み合わせられた第2の復熱器258をさらに含む。図示の実施形態において、第2の復熱器258は、低温復熱器258aおよび高温復熱器258bを含む。低温復熱器258aは、第1の酸化剤の流れ12の流れに関して高温復熱器258bの上流に配置される。さらに、発電システム200は、マニホルド276を介して第1の流体経路214に接続された第2のブロア260を含む。図1の実施形態と同様に、発電システム200は、第1の燃料電池202内に配置された内部燃料改質器262をさらに含む。具体的には、内部燃料改質器262は、第1の燃料電池202のアノード(図示せず)に配置される。
【0026】
発電システム200は、第2のアノード出口チャネル222と第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20を運ぶ第2の燃料経路210とに組み合わせられた第3の復熱器264をさらに含むことができる。図示の実施形態において、第3の復熱器264は、低温復熱器264aおよび高温復熱器264bを含む。低温復熱器264aは、第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20の流れに関して高温復熱器258bの上流に配置される。発電システム200は、第2のカソード出口チャネル224および第2の流体経路220に組み合わせられた第4の復熱器266をさらに含むことができる。
【0027】
特定の実施形態において、発電システム200は、第2の燃料電池204の下流に配置された触媒酸化装置268を含む。触媒酸化装置268は、第2のアノード出口チャネル222、第2のカソード出口チャネル224、および第3の流体経路270に接続される。発電システム200は、触媒酸化装置268の酸化装置出口チャネル274と第2の流体経路220とに組み合わせられた第5の復熱器272をさらに含む。そのような実施形態において、酸化装置出口チャネル274を、第2の復熱器258の上流において第1のカソード出口チャネル218にさらに接続することができる。一実施形態において、第2のブロア260は、マニホルド276を介して第1、第2、および第3の流体経路214,220,270に接続される。発電システム200は、分割機構206の下流に配置され、第2の燃料経路210に組み合わせられる随意による水分離ユニット278をさらに含むことができる。
【0028】
1つ以上の実施形態において、第1、第2、第3、第4、および第5の復熱器252,258,264,266,272は、技術的に公知のシェルアンドチューブ(shell and tube)熱交換器であってよい。同様に、第1および第2のブロア256,260は、圧縮機であってよい。分割機構206は、弁または配管機構であってよい。いくつかの実施形態において、第1および第2の燃料電池202,204は、SOFCである。水分離ユニット278は、重力式の分離器または堰による分離器であってよい。特定の実施形態においては、第1の燃料電池202および第2の燃料電池204を、それぞれ第1の炭化水素燃料供給チャネルおよび第2の炭化水素燃料供給チャネル(図示せず)を介して別の炭化水素燃料源(図示せず)へと接続することができる。そのような実施形態において、別の炭化水素燃料源は、例えば発電システム200の始動時などの特定の動作条件において炭化水素燃料の流れ10を第1および第2の燃料電池202,204に供給するように構成されてよい。
【0029】
動作時に、第1の燃料電池202は、第1の燃料経路208を介して分割機構206から第1の混合流22を受け取る。第1の混合流22は、炭化水素燃料の流れ10と第1のアノード排ガスの流れの第1の部分18との混合物を含む。第1の燃料電池202は、第1の流体経路214およびマニホルド276を介して、第2のブロア260から第1の酸化剤の流れ12をさらに受け取る。第1の酸化剤の流れ12は、空気流であってよい。内部燃料改質器262は、混合流22を使用して改質流24を生成するように構成される。改質流24は、H2およびCOを、図1の実施形態において説明したとおりの他の成分と共に含む。図1の実施形態において説明したように、第1の燃料電池202は、少なくとも部分的に、第1の酸化剤の流れ12と第1の混合流22から生成された改質流24とを燃料として使用することによって、第1のアノード排ガスの流れ14、第1のカソード排ガスの流れ16、および第1の電力101を生成するように構成される。
【0030】
分割機構206は、第1のアノード排ガスの流れ14を第1のアノード出口チャネル216を介して受け取る。次いで、分割機構206は、第1のアノード排ガスの流れ14を、第1のアノード排ガスの流れの第1の部分18と、第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20とに分割する。第1の燃料経路208は、分割機構206からの第1のアノード排ガスの流れの第1の部分18を受け取るとともに、炭化水素燃料入口チャネル228を介して炭化水素燃料源226から分割機構206の下流において炭化水素燃料の流れ10を受け取る。次いで、炭化水素燃料の流れ10は、第1の燃料経路208において第1のアノード排ガスの流れの第1の部分18と混ざり合って第1の混合流22を形成し、第1の混合流22を第1の燃料電池202へと循環させる。第1の燃料電池202は、少なくとも部分的に第1の混合流22を使用することによって第1の電力101を生成する。このようにして、本明細書において述べられるように、第1の燃料電池202は、第1のアノード排ガスの流れ14、第1のカソード排ガスの流れ16、および第1の電力101を生成する。
【0031】
図2に示される典型的な実施形態において、燃料冷却器254は、第1の混合流22を受け取り、第1の混合流22を冷却する。第1のブロア256は、第1の混合流22を受け取り、第1の混合流22を第1の復熱器252へと送る前に、第1の混合流22の圧力を高める。一実施形態において、第1の復熱器252は、第1のアノード排ガスの流れ14から熱を抽出し、抽出した熱を第1の混合流22へと移す。具体的には、低温復熱器252aが、高温復熱器252bと比べて実質的に少量の熱を第1のアノード排ガスの流れ14から抽出し、抽出した熱を第1の混合流22へと移す。第2の復熱器258は、第1のカソード排ガスの流れ16から熱を抽出し、抽出した熱を第1の酸化剤の流れ12へと移す。具体的には、低温復熱器258aが、高温復熱器258bと比べて実質的に少量の熱を第1のカソード排ガスの流れ16から抽出し、抽出した熱を第1の酸化剤の流れ12へと移す。一般に、1つ以上の実施形態に関して、低温復熱器は、流れの経路における低温復熱器の位置ならびに/あるいは例えば低温復熱器に用いられる材料などの特定の特性ゆえに、より少量の熱を抽出するように構成される。
【0032】
図2に示される実施形態において、第2の燃料経路210は、分割機構206から第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20を受け取り、第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20を水分離ユニット278へともたらす。このような実施形態において、水分離ユニット278は、第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20をさらに第2の燃料経路210を介して第2の燃料電池204へともたらす前に、第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20から水の少なくとも一部を分離する。第2の燃料電池204は、第2の流体経路220およびマニホルド276を介して第2のブロア260から第2の酸化剤の流れ26をさらに受け取る。第2の酸化剤の流れ26は、空気の流れを含むことができる。図1の実施形態において述べたように、第2の燃料電池204は、少なくとも部分的に、第2の酸化剤の流れ26および第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20を燃料として使用することによって、第2のアノード排ガスの流れ28、第2のカソード排ガスの流れ30、および第2の電力103を生成する。
【0033】
図2の第3の復熱器264は、第2のアノード排ガスの流れ28から熱を抽出し、抽出した熱を第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20へと移す。具体的には、低温復熱器264aが、高温復熱器264bと比べて実質的に少量の熱を第2のアノード排ガスの流れ28から抽出し、抽出した熱を第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20へと移す。第4の復熱器266は、第2のカソード排ガスの流れ30から熱を抽出し、抽出した熱を第2の酸化剤の流れ26へと移す。触媒酸化装置268は、第2のアノード排ガスの流れ28、第2のカソード排ガスの流れ30、および第3の流体経路270を介する第3の酸化剤の流れ31を受け取り、第2のアノード排ガスの流れ28および第2のカソード排ガスの流れ30を酸化して、酸化された流れ32を生成する。さらに、触媒酸化装置268は、酸化された流れ32を酸化装置出口チャネル274を介して第1のカソード出口チャネル218へと供給する。第5の復熱器272は、酸化された流れ32を第1のカソード出口チャネル218へと向ける前に、酸化された流れ32から熱を抽出し、抽出した熱を第2の酸化剤の流れ26へと移す。特定の実施形態において、第2の復熱器258は、第1のカソード排ガスの流れ16および酸化された流れ32を環境へと排出する前に、第1のカソード排ガスの流れ16および酸化された流れ32から熱をさらに抽出し、抽出した熱を第1の酸化剤の流れ12へと移すように構成される。特定の実施形態においては、第1の復熱器252を、第1のカソード排ガスの流れ16および第2のカソード排ガスの流れ30を受け取り、第1のカソード排ガスの流れ16および第2のカソード排ガスの流れ30から熱を抽出し、抽出した熱を第1のカソード排ガスの流れ16および第2のカソード排ガスの流れ30を環境へと排出する前に第1の混合流22へと移すようにさらに構成することができる。
【0034】
図3は、本開示の別の典型的な実施形態による発電システム300の概略図である。図3の発電システム300は、第1の燃料電池302と、第2の燃料電池304と、分割機構306と、第1の燃料経路308と、第2の燃料経路310とを含む。発電システム300は、第1の流体経路314と、第1のアノード出口チャネル316と、第1のカソード出口チャネル318と、第2の流体経路320と、第2のアノード出口チャネル322と、第2のカソード出口チャネル324と、炭化水素燃料源326と、炭化水素燃料入口チャネル328と、少なくとも1つの外部燃料改質器362とをさらに含む。
【0035】
第1の燃料電池302は、第1のアノード出口チャネル316を介して分割機構306に接続される。分割機構306は、第1の燃料電池302に対して下流に配置されている。さらに、分割機構306は、第1の燃料経路308を介して第1の燃料電池302へと接続され、第2の燃料経路310を介して第2の燃料電池304へと接続される。炭化水素燃料入口チャネル328は、分割機構306の下流かつ少なくとも1つの燃料改質器362の上流において第1の燃料経路308へと接続される。少なくとも1つの燃料改質器362は、分割機構306および炭化水素燃料入口チャネル328の下流に配置される。
【0036】
特定の実施形態において、発電システム300は、第1のカソード出口チャネル318および第1の燃料経路308に組み合わせられた第1の復熱器352をさらに含む。発電システム300は、第1の燃料経路308に組み合わせられた熱交換器、燃料冷却器354、および第1のブロア356をさらに含む。具体的には、第1のブロア356は、燃料冷却器354の下流に配置される。熱交換器353は、第1の燃料経路308のループへと接続される。具体的には、ループは、第1の燃料経路308のうちの少なくとも1つの燃料改質器362および燃料冷却器354から延びる第1の部分と、第1の燃料経路308のうちの第1のブロア356から第1の復熱器352まで延びる部分とに対応する。図示の実施形態において、熱交換器353、燃料冷却器354、および第1のブロア356は、第1の混合流の流れの方向における少なくとも1つの燃料改質器362の下流かつ第1の復熱器352の上流に配置される。特定の実施形態において、発電システム300は、第1のカソード出口チャネル318および第1の流体経路314に組み合わせられた第2の復熱器358をさらに含む。図示の実施形態において、第2の復熱器358は、低温復熱器358aおよび高温復熱器358bを含む。低温復熱器358aは、第1の酸化剤の流れ12の流れに関して高温復熱器358bの上流に配置される。さらに、発電システム300は、マニホルド376を介して第1の流体経路314に接続された第2のブロア360を含む。
【0037】
発電システム300は、第2のカソード出口チャネル324および第2の流体経路320に組み合わせられた第3の復熱器364をさらに含む。図示の実施形態において、第3の復熱器364は、低温復熱器364aおよび高温復熱器364bを含む。低温復熱器364aは、第2の酸化剤の流れ26の流れに関して高温復熱器364bの上流に配置される。発電システム300は、第1の燃料予熱器380、第3のブロア382、随意による水分離ユニット378、および第2の燃料予熱器384をさらに含む。第1の燃料予熱器380は、第2の燃料経路310および炭化水素燃料入口チャネル328に組み合わせられる。第3のブロア382は、第1の燃料予熱器380の下流に配置され、第2の燃料経路310に組み合わせられる。水分離ユニット378は、分割機構306の下流に配置され、第2の燃料経路310に組み合わせられる。具体的には、水分離ユニット378は、第3のブロア382の下流に配置される。第2の燃料予熱器384は、水分離ユニット378の下流に配置され、第2のアノード出口チャネル322および第2の燃料経路310に組み合わせられる。
【0038】
特定の実施形態において、発電システム300は、第2の燃料電池304の下流に配置された触媒酸化装置368を含む。触媒酸化装置368は、第2のアノード出口チャネル322、第2のカソード出口チャネル324、および第3の流体経路370に接続される。発電システム300は、触媒酸化装置368および第1のカソード出口チャネル318に接続された酸化装置出口チャネル374をさらに含む。一実施形態において、第2のブロア360は、マニホルド376を介して第1、第2、および第3の流体経路314,320,370に接続される。
【0039】
1つ以上の実施形態において、第1、第2、および第3の復熱器352,358,364は、技術的に公知のシェルアンドチューブ熱交換器であってよい。同様に、第1および第2の燃料予熱器380,384は、技術的に公知のシェルアンドチューブ熱交換器であってよい。第1および第2のブロア356,360は、圧縮機であってよい。分割機構306は、弁または配管機構であってよい。いくつかの実施形態において、第1の燃料電池302および第2の燃料電池304の両方は、SOFCである。水分離ユニット378は、重力式の分離器または堰による分離器であってよい。特定の実施形態においては、第1の燃料電池302および第2の燃料電池304を、それぞれ第1の炭化水素燃料供給チャネルおよび第2の炭化水素燃料供給チャネル(図示せず)を介して別の炭化水素燃料源(図示せず)へと接続することができる。そのような実施形態において、別の炭化水素燃料源は、例えば発電システム300の始動時などの特定の動作条件において炭化水素燃料の流れ10を第1および第2の燃料電池302,304に供給するように構成されてよい。
【0040】
動作時に、第1の燃料電池302は、第1の燃料経路308を介して少なくとも1つの燃料改質器362から改質流24を受け取る。少なくとも1つの燃料改質器362は、混合流22を使用して改質流24を生成するように構成される。そのような実施形態において、改質流24は、一般に、H2とCOとの混合物を含む。第1の燃料電池302は、第1の流体経路314およびマニホルド376を介して、第2のブロア360から第1の酸化剤の流れ12をさらに受け取る。第1の酸化剤の流れ12は、酸化剤として空気を含むことができる。第1の燃料電池302は、少なくとも部分的に、第1の酸化剤の流れ12および改質流24を燃料として使用することによって、第1のアノード排ガスの流れ14、第1のカソード排ガスの流れ16、および第1の電力101を生成するように構成される。
【0041】
分割機構306は、第1のアノード排ガスの流れ14を第1のアノード出口チャネル316を介して受け取る。分割機構306は、第1のアノード排ガスの流れ14を、第1のアノード排ガスの流れの第1の部分18と、第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20とに分割する。第1の燃料経路308は、分割機構306からの第1のアノード排ガスの流れの第1の部分18を受け取るとともに、炭化水素燃料入口チャネル328を介して炭化水素燃料源326から分割機構306の下流において炭化水素燃料の流れ10を受け取る。次いで、炭化水素燃料の流れ10は、第1の燃料経路308において第1のアノード排ガスの流れの第1の部分18と混ざり合って第1の混合流22を形成し、第1の混合流22を少なくとも1つの燃料改質器362へともたらす。少なくとも1つの燃料改質器362は、第1の混合流22を使用して改質流24を生成するように構成される。このような実施形態において、改質流24は、一般に、H2およびCOを含む。第1の燃料経路308は、改質流24を第1の燃料電池302へとさらに循環させる。第1の燃料電池302は、少なくとも部分的に改質流24を燃料として使用することによって第1のアノード排ガスの流れ14、第1のカソード排ガスの流れ16、および第1の電力101をさらに生成する。
【0042】
図3に示されるように、燃料冷却器354は、改質流24から熱を抽出するように構成された熱交換器353を介して、少なくとも1つの燃料改質器362から改質流24を受け取る。さらに、燃料冷却器354は、改質流24を冷却し、改質流24の圧力を高めるように構成された第1のブロア356へと改質流24を供給する。そのような実施形態において、熱交換器353は、抽出した熱を第1のブロア356から受け取った改質流へと移すようにさらに構成される。その後に、改質流24は、熱交換器353から第1の復熱器352へともたらされる。一実施形態において、第1の復熱器352は、第1のカソード排ガスの流れ16から熱を抽出し、抽出した熱を改質流24へと移す。第2の復熱器358は、第1のカソード排ガスの流れ16から熱を抽出し、抽出した熱を第1の酸化剤の流れ12へと移す。具体的には、低温復熱器358aが、高温復熱器358bと比べて実質的に少量の熱を第1のカソード排ガスの流れ16から抽出し、抽出した熱を第1の酸化剤の流れ12へと移す。
【0043】
第2の燃料経路310は、分割機構306から第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20を受け取り、第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20を第1の燃料予熱器380へともたらす。そのような実施形態において、第1の燃料予熱器380は、第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20から熱を抽出し、抽出した熱を炭化水素燃料の流れ10へと移す。さらに、第1の燃料予熱器380は、第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20を第3のブロア382へともたらす。このような実施形態において、第3のブロア382は、第1アノード排ガスの流れの第2の部分20の圧力を高め、第1アノード排ガスの流れの第2の部分20を水分離ユニット378へともたらす。このような実施形態において、水分離ユニット378は、第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20を第2の燃料予熱器384へともたらす前に、第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20から水の少なくとも一部を分離する。このような実施形態において、第2の燃料予熱器384は、第2のアノード排ガスの流れ28から熱を抽出し、抽出した熱を第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20へと移す。さらに、第2の燃料予熱器384は、第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20を、第2の燃料経路310を介して第2の燃料電池304へとさらにもたらす。第2の燃料電池304は、第2の流体経路320およびマニホルド376を介して第2のブロア360から第2の酸化剤の流れ26をさらに受け取る。第2の酸化剤の流れ26は、空気を含む。図1の実施形態吐同様に、図3の第2の燃料電池304は、少なくとも部分的に、第2の酸化剤の流れ26および第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20を燃料として使用することによって、第2のアノード排ガスの流れ28、第2のカソード排ガスの流れ30、および第2の電力103を生成する。
【0044】
第3の復熱器364は、第2のカソード排ガスの流れ30から熱を抽出し、抽出した熱を第2の酸化剤の流れ26へと移す。具体的には、低温復熱器364aが、高温復熱器364bと比べて実質的に少量の熱を第2のカソード排ガスの流れ30から抽出し、抽出した熱を第2の酸化剤の流れ26へと移す。触媒酸化装置368は、第2のアノード排ガスの流れ28、第2のカソード排ガスの流れ30、および第3の流体経路370を介する第3の酸化剤の流れ31を受け取り、第2のアノード排ガスの流れ28および第2のカソード排ガスの流れ30を酸化して、酸化された流れ32を生成する。さらに、触媒酸化装置368は、酸化された流れ32を酸化装置出口チャネル374を介して第1のカソード出口チャネル318へと供給する。特定の実施形態において、第2の復熱器358は、第1のカソード排ガスの流れ16および酸化された流れ32を環境へと排出する前に、第1のカソード排ガスの流れ16および酸化された流れ32から熱をさらに抽出し、抽出した熱を第1の酸化剤の流れ12へと移すように構成される。
【0045】
特定の実施形態においては、第1のアノード排ガスの流れ14を分割することにより、約2~約3の範囲内の実質的により高い水蒸気対炭素比を維持することが可能になる。さらに、第1のアノード排ガスの流れ14を分割するこのようなプロセスは、第1および第2の燃料電池302,304へともたらされる燃料の品質(すなわち、発熱量)を向上させることにより、発電システム300の全体としての効率を改善する。
【0046】
図4は、図2の典型的な実施形態によるスリップ流(slip-stream)チャネル386を含む発電システムの概略図である。第1の燃料経路308は、少なくとも1つの燃料改質器362から改質流の第1の部分34を受け取り、改質流の第1の部分34を第1の燃料電池302へと循環させる。第1の燃料電池302は、少なくとも部分的に改質流の第1の部分34を燃料として使用することによって第1のアノード排ガスの流れ14、第1のカソード排ガスの流れ16、および第1の電力101を生成する。図示の実施形態において、スリップ流チャネル386は、少なくとも1つの燃料改質器362から第2の燃料経路310へと延びている。具体的には、スリップ流チャネル386は、第1の燃料予熱器380の下流かつ第3のブロア382の上流において第2の燃料経路310へと接続される。このような実施形態において、第2の燃料経路310は、少なくとも1つの燃料改質器362から改質流の第2の部分36をスリップ流チャネル386を介して受け取り、改質流の第2の部分36を第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20と混合して第2の混合流38を形成し、第2の混合流38を第2の燃料電池304に循環させる。このような実施形態において、第3のブロア382は、第2の燃料経路310から第2の混合流38を受け取り、第2の混合流38の圧力を高め、第2の混合流38を水分離ユニット378へともたらす。水分離ユニット378は、第2の混合流38を第2の燃料予熱器384へともたらす前に、第2の混合流38から水の少なくとも一部を分離する。第2の燃料予熱器384は、第2のアノード排ガスの流れ28から熱を抽出し、抽出した熱を第2の混合流38へと移す。さらに、第2の燃料予熱器384は、第2の混合流38を第2の燃料経路310を介して第2の燃料電池304へと供給する。第2の燃料電池304は、第2の流体経路320およびマニホルド376を介して第2のブロア360から第2の酸化剤の流れ26をさらに受け取る。第2の燃料電池304は、少なくとも部分的に、第2の酸化剤の流れ26および第2の混合流38を燃料として使用することによって、第2のアノード排ガスの流れ28、第2のカソード排ガスの流れ30、および第2の電力103を生成する。特定の実施形態においては、改質流の第2の部分36を第1のアノード排ガスの流れの第2の部分20へと混合することにより、第2の燃料電池304へともたらされる燃料(すなわち、第2の混合流38)の品質が高められ、結果として発電システム300の全体の効率が改善される。
【0047】
図5は、上述のような縦続接続された燃料電池を有する発電システムを使用して電力を生成するための方法400の1つの典型的実施形態のフロー図である。方法400は、ステップ402において第1の燃料電池においてアノード排ガスの流れを生成することを含む。特定の実施形態において、第1の燃料電池は、第1の酸化剤の流れならびに第1の混合流または改質流を受け取り、アノード排ガスの流れを生成するように構成される。さらに、方法400は、ステップ404において分割機構を用いてアノード排ガスの流れを第1の部分および第2の部分に分割することを含む。さらに、方法400は、ステップ406において炭化水素燃料入口チャネルを介して分割機構の下流において炭化水素燃料を受け取ることと、ステップ408において炭化水素燃料をアノード排ガスの流れの第1の部分と混合して第1の混合流を形成することとを含む。1つ以上の実施形態において、ステップ406,408は、第1の燃料経路において実行される。さらに、方法400は、ステップ410において第1の燃料経路を介して第1の燃料電池へと第1の混合流を供給することと、ステップ412において少なくとも部分的に第1の混合流または改質流を燃料として用いることによって第1の燃料電池において第1の電力を生成することとを含む。特定の実施形態において、第1の燃料電池は、固体酸化物燃料電池(SOFC)である。さらに、方法400は、ステップ414において第2の燃料経路を介して第2の燃料電池へとアノード排ガスの流れの第2の部分を供給することと、ステップ416において少なくとも部分的にアノード排ガスの流れの第2の部分を燃料として用いることによって第2の燃料電池において第2の電力を生成することとを含む。いくつかの実施形態においては、第2の燃料電池も、SOFCである。
【0048】
一実施形態において、ステップ410,412は、i)第1の混合流を第1の燃料電池の内部に配置された少なくとも1つの内部燃料改質器に供給する下位ステップと、ii)少なくとも1つの内部燃料改質器を用いて改質流を生成する下位ステップと、iii)改質流を用いることによって第1の燃料電池において第1の電力を生成する下位ステップとを含む。
【0049】
別の実施形態において、ステップ410,412は、i)分割機構の下流に位置し、第1の燃料経路に接続された少なくとも1つの燃料改質器へと、第1の混合流を供給する下位ステップと、ii)少なくとも1つの燃料改質器を使用して、改質流を生成する下位ステップと、iii)少なくとも1つの燃料改質器からの改質流を第1の燃料電池へと供給する下位ステップと、iv)改質流を用いることによって第1の燃料電池において第1の電力を生成する下位ステップとを含む。
【0050】
さらに別の実施形態において、ステップ410,412,414,416は、i)分割機構の下流に位置し、第1の燃料経路へと接続された少なくとも1つの燃料改質器へと、第1の混合流を供給する下位ステップと、ii)少なくとも1つの燃料改質器を使用して、改質流を生成する下位ステップと、iii)少なくとも1つの燃料改質器からの改質流の一部を、第1の燃料電池へと供給する下位ステップと、iv)改質流の第1の部分を用いることによって、第1の燃料電池において第1の電力を生成する下位ステップと、v)少なくとも1つの燃料改質器からの改質流の第2の部分を第2の燃料経路へと、少なくとも1つの燃料改質器から第2の燃料経路へと延びるスリップ流チャネルを介して供給する下位ステップと、vi)改質流の第2の部分をアノード排ガスの流れの第2の部分と混合して、第2の燃料経路において第2の混合流を形成する下位ステップと、vii)第2の混合流を第2の燃料電池へと供給する下位ステップと、viii)第2の混合流を用いることによって第2の燃料電池において第2の電力を生成する下位ステップとを含む。
【0051】
本明細書に記載の1つ以上の実施形態によれば、典型的な発電システムは、燃料電池の効率を高めるように構成される。特定の実施形態においては、第1のアノード排ガスの流れを分割することにより、発電のために第1の燃料電池に供給された混合流の量を効率的に処理することが可能になる。さらに、混合流を循環させることによって、第1および第2の燃料電池の効率も向上する。また、混合流を第1および第2の燃料電池に供給することにより、品質(例えば、発熱量)および熱エネルギを維持することができ、したがって発電システムの全体としての効率を向上させることができる。さらに、第1のアノード排ガスの流れを分割することにより、それぞれの燃料電池のアノードにおける電気化学反応の発生のための実質的に高い水蒸気対炭素比を維持することが可能になる。同様に、スリップ流を第1のアノード排ガスの流れの第2の部分と混合することで、実質的により高い水蒸気対炭素比がもたらされ、第2の燃料電池へと供給された燃料の品質が向上する。
【0052】
図1図4の実施形態において述べたとおりの発電システムは、全体としての効率を改善するために、多数の縦続接続された燃料電池を含むことができる。換言すると、図1図4の実施形態は、2つの燃料電池を使用して電力を生成することを教示しているが、発電システムをさらにもっと効率的にするために、3つ以上の燃料電池が存在してもよい。現在の開示は、燃料電池を2つだけ有するように限定されると解釈されるべきではない。
【0053】
本開示の発明は、その精神または本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化可能である。上述の実施形態は、種々のすべての可能な実施形態または実施例の中から選択された実施形態または実施例である。したがって、上述の実施形態は、あらゆる点において、本明細書に記載の発明を限定するものではなく、例示として考えられるべきである。本発明の特定の特徴だけを図示し、本明細書において説明したが、当業者であれば、本開示の恩恵に鑑みて、本発明の原理による方法を使用するために、これらの種類および他の種類の用途に合わせて、適切な条件/パラメータを特定し、選択し、最適化し、あるいは変更できることを、理解すべきである。分割機構の位置の選択、少なくとも1つの内部または外部の燃料改質器を有するという選択、少なくとも1つの外部燃料改質器に接続されるスリップ流を有するという選択、などによる発電システムの正確な使用は、大部分は、発電システムについて意図される個々の用途に依存する。したがって、添付の特許請求の範囲が、本発明の真の精神の範囲に含まれるこのようなすべての修正および変更を包含するように意図されていることを、理解すべきである。さらに、特許請求の範囲の均等物の意味および範囲に入るすべての変更は、特許請求の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0054】
10 炭化水素燃料の流れ
12 第1の酸化剤の流れ
14 第1のアノード排ガスの流れ
16 第1のカソード排ガスの流れ
18 第1のアノード排ガスの流れの第1の部分
20 第1のアノード排ガスの流れの第2の部分
22 第1の混合流
24 改質流
26 第2の酸化剤の流れ
28 第2のアノード排ガスの流れ
30 第2のカソード排ガスの流れ
31 第3の酸化剤の流れ
32 酸化された流れ
34 改質流の第1の部分
36 改質流の第2の部分
38 第2の混合流
100 発電システム
101 第1の電力
102 第1の燃料電池
103 第2の電力
104 第2の燃料電池
106 分割機構
108 第1の燃料経路
110 第2の燃料経路
114 第1の流体経路
116 第1のアノード出口チャネル
118 第1のカソード出口チャネル
120 第2の流体経路
122 第2のアノード出口チャネル
124 第2のカソード出口チャネル
126 炭化水素燃料源
128 炭化水素燃料入口チャネル
130 第1の燃料電池のアノード入口
132 第2の燃料電池のアノード入口
134 第1の燃料電池のアノード
136 第1の燃料電池のカソード
138 第1の燃料電池の電解質
140 第1の燃料電池のカソード入口
144 第2の燃料電池のアノード
146 第2の燃料電池のカソード
148 第2の燃料電池の電解質
150 第2の燃料電池のカソード入口
200 発電システム
202 第1の燃料電池
204 第2の燃料電池
206 分割機構
208 第1の燃料経路
210 第2の燃料経路
214 第1の流体経路
216 第1のアノード出口チャネル
218 第1のカソード出口チャネル
220 第2の流体経路
222 第2のアノード出口チャネル
224 第2のカソード出口チャネル
226 炭化水素燃料源
228 炭化水素燃料入口チャネル
252 第1の復熱器
252a 低温復熱器
252b 高温復熱器
254 燃料冷却器
256 第1のブロア
258 第2の復熱器
258a 低温復熱器
258b 高温復熱器
260 第2のブロア
262 内部燃料改質器
264 第3の復熱器
264a 低温復熱器
264b 高温復熱器
266 第4の復熱器
268 触媒酸化装置
270 第3の流体経路
272 第5の復熱器
274 酸化装置出口チャネル
276 マニホルド
278 水分離ユニット
300 発電システム
302 第1の燃料電池
304 第2の燃料電池
306 分割機構
308 第1の燃料経路
310 第2の燃料経路
314 第1の流体経路
316 第1のアノード出口チャネル
318 第1のカソード出口チャネル
320 第2の流体経路
322 第2のアノード出口チャネル
324 第2のカソード出口チャネル
326 炭化水素燃料源
328 炭化水素燃料入口チャネル
352 第1の復熱器
353 熱交換器
354 燃料冷却器
356 第1のブロア
358 第2の復熱器
358a 低温復熱器
358b 高温復熱器
360 第2のブロア
362 外部燃料改質器
364 第3の復熱器
364a 低温復熱器
364b 高温復熱器
368 触媒酸化装置
370 第3の流体経路
374 酸化装置出口チャネル
376 マニホルド
378 水分離ユニット
380 第1の燃料予熱器
382 第3のブロア
384 第2の燃料予熱器
386 スリップ流チャネル
400 方法
図1
図2
図3
図4
図5