(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】コード巻取部を具える電気機器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/21 20060101AFI20231012BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
A47J27/21 101F
A47J27/21 101H
H05K7/00 A
(21)【出願番号】P 2019097681
(22)【出願日】2019-05-24
【審査請求日】2021-12-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】家中 達朗
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/128509(WO,A1)
【文献】特開2014-233349(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02508744(GB,A)
【文献】特許第6422139(JP,B1)
【文献】実開昭62-151788(JP,U)
【文献】実開昭48-095191(JP,U)
【文献】英国特許出願公開第02406975(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/21
H05K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源コードを巻取り可能なコード巻取部を具える電気機器であって、
前記コード巻取部は、前記電源コードが巻き付けられるリール部と、前記リール部の一方の端縁に
鍔部と、を有し、
前記鍔部は、周面に1又は複数の凸部が形成されており、
前記凸部は、頂部と、前記電源コードの巻取方向と同じ第1の向きで前記頂部に向かう第1周面と、前記第1の向きとは逆向きの第2の向きで前記頂部に向かう第2周面を有しており、
前記頂部と前記鍔部の中心とを結ぶ仮想線に関し、前記第1周面と前記第2周面は、非シンメトリーな形状であ
り、
前記電源コードは、前記第1周面に巻き付けるときには、前記第2周面に巻き付けるときよりスムーズに巻き付けでき
る、
コード巻取部を具える電気機器。
【請求項2】
前記第1周面は径方向外側に凸形状であり、前記第2周面は前記鍔部の中心側から見て凹形状であって、前記頂部間に位置する第1周面と第2周面は、前記鍔部の中心までの距離が最も短くなる部分を境界とする、
請求項1に記載のコード巻取部を具える電気機器。
【請求項3】
前記第1周面は、前記第2周面よりも曲率半径が大きい、
請求項1又は請求項2に記載のコード巻取部を具える電気機器。
【請求項4】
前記第1周面は径方向外側に凸形状であり、前記第2周面は前記鍔部の中心側から見て凹形状であって、前記頂部間に位置する第1周面と第2周面は、前記鍔部の中心までの距離が最も短くなる部分を境界とし、
前記境界と前記鍔部の中心と前記頂部のなす第1周面の第1角度は、前記境界と前記鍔部の中心と前記頂部のなす第2周面の第2角度よりも大きい、
請求項1又は請求項2に記載のコード巻取部を具える電気機器。
【請求項5】
前記コード巻取部は、電源台に設けられる、
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のコード巻取部を具える電気機器。
【請求項6】
前記電源台には、加熱手段を有するケトル本体が載置可能である、
請求項5に記載のコード巻取部を具える電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気ケトルなどのコード巻取部を具える電気機器に関するものであり、より詳細には、ユーザーによる電源コードの巻取方向を所定方向に誘導することのできるコード巻取部を具える電気機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気ケトルでは、加熱手段を具えたケトル本体を電源台に載置し、電源台からケトル本体に給電を行ない、加熱手段に通電している(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
電源台は、上面側にケトル本体に給電を行なう給電端子を具え、裏面側にコード巻取部を具える。コード巻取部は、電源台の中央に環状のリール部を具え、リール部の下縁に巻き取られた電源コードの脱落を防ぐ鍔部が形成されている。電源コードは、リール部から外向きに延出しており、使用時には、リール部から電源コードを解きつつ引き出して、また、非使用時や収納時には電源コードをリール部に巻き付けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
鍔部は、円板状、或いは、特許文献1では外周に向けて複数の凸部が形成された形状である。円板状の鍔部は、鍔部中心に関してシンメトリーな形状であり、凸部を有する鍔部であっても、凸部はその頂部と鍔部中心を結ぶ仮想線に関してシンメトリーな形状である。
【0006】
従って、コード巻取を行なう際に何れの方向にも電源コードの巻き付けを行なうことができる。しかしながら、電源コードの劣化を抑えるには、巻取方向を一方向のみに規制することが望まれる。
【0007】
本発明の目的は、ユーザーによる電源コードの巻取方向を所定方向に誘導することのできるコード巻取部を具える電気機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電気機器は、
電源コードを巻取り可能なコード巻取部を具える電気機器であって、
前記コード巻取部は、前記電源コードが巻き付けられるリール部と、前記リール部の一方の端縁に鍔部と、を有し、
前記鍔部は、周面に1又は複数の凸部が形成されており、
前記凸部は、頂部と、前記電源コードの巻取方向と同じ第1の向きで前記頂部に向かう第1周面と、前記第1の向きとは逆向きの第2の向きで前記頂部に向かう第2周面を有しており、
前記頂部と前記鍔部の中心とを結ぶ仮想線に関し、前記第1周面と前記第2周面は、非シンメトリーな形状である。
【0009】
前記第1周面は径方向外側に凸形状であり、前記第2周面は径方向内側に凹形状とすることができる。
【0010】
前記第1周面は、前記第2周面よりも径方向外側に緩やかに広がる形状とすることができる。
【0011】
前記第1周面の最も前記鍔部の中心に近い第1点と前記鍔部の中心と前記頂部のなす第1角度は、前記第2周面の最も前記鍔部の中心に近い第2点と前記鍔部の中心と前記頂部のなす第2角度よりも大きい構成とすることができる。
【0012】
前記コード巻取部は、電源台に設けることができる。
【0013】
前記電源台には、加熱手段を有するケトル本体が載置可能な構成とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のコード巻取部を具える電気機器によれば、鍔部に設けられた凸部の形状を非シンメトリーな形状としている。具体的には、たとえば、第1周面を径方向外側に膨らむ凸形状、第2周面を径方向内側に凹む凹形状とする。これにより、推奨される電源コードの巻取方向と同じ第1の向きでリール部に電源コードを巻き付ける場合には、電源コードは第1周面に沿ってスムーズに巻き付けを行なうことができる。一方、第2の向きでリール部に電源コードを巻き付けようとすると、第2周面に電源コード又はユーザーの指が引っ掛かるためスムーズに巻き付けを行なうことができない。従って、電源コードの巻取方向を推奨する方向に誘導することができ、電源コードの劣化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図6】
図6は、電源コードを巻回した電源台の底面図である。
【
図8】
図8は、電源台からコード巻取部を取り外した状態を示す底面側斜視図である。
【
図13】
図13は、コード巻取部に電源コードを巻回する過程を示す説明図である。
【
図14】
図14は、鍔部の凸部形状の異なるコード巻取部の底面図である。
【
図15】
図15は、鍔部の凸部形状の異なるコード巻取部の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照しながら本発明のコード巻取部60を具える電気機器について説明を行なう。なお、以下では、電気機器としてヤカン型の電気湯沸かし器である電気ケトル10を例示して説明を行なうが、電気機器は、電気ケトル10に限らず、たとえばコーヒーメーカー、炊飯器、ポットなどの調理機器、扇風機やヒーターなどの家電製品などであってもよい。また、説明する電気ケトル10は、ケトル本体20を電源台30に載置可能な構成としているが、電源台30は電気機器と一体に構成されているものであってもよいことは勿論である。
【0017】
図1及び
図2は、電気ケトル10を示している。図示の電気ケトル10は、ケトル本体20を電源台30に載置可能な構成である。ケトル本体20は、内部に水を入れる本体容器21、また上縁に本体容器21に連通する注ぎ口22を具え、注ぎ口22と対向する背面側に取っ手23を具える。また、本体容器21の上面は、着脱可能又はヒンジ等により開閉可能な蓋体24で塞がれている。本体容器21の下方には
図2に示すようにヒーター等の加熱手段25を具える。ケトル本体20の下面中央には、受電部26が凹設されており、加熱手段25は、取っ手23に設けられたスイッチ28の操作により、受電部26に設けられた受電端子27を介して電源台30側から電源供給を受けて本体容器21を加熱し、湯を沸かす。
【0018】
電源台30は、ケトル本体20の載置台であると共に、載置状態で受電端子27に電源を供給する。電源台30は、台座本体40と、給電部50、電源コード52、コード巻取部60を主要構成として具える。
【0019】
より詳細には、電源台30は、
図3乃至
図5に示すように、上面にはケトル本体20を載置する皿状の載置面41を有する台座本体40を具える。載置面41には、略中央に給電部50を突設する給電部突出用孔42が形成されている。また、給電部突出用孔42の周囲には複数の水抜き孔43が形成されている。水抜き孔43は、載置面41の下面側に設けられた環状リブ43aと連通しており(
図8参照)、載置面41に溜まった水を下方に排出可能となっている。
【0020】
ケトル本体20の受電部26に嵌まる給電部50は、
図3、
図4及び
図7に示すように、載置面41の給電部突出用孔42から上向きに突出するよう配置されている。給電部50の上面には、
図3に示すように、受電端子27と電気的に接続可能な給電端子51が配置されており、電源台30の載置面41にケトル本体20を載置することで、
図2に示す如く給電部50にケトル本体20の受電部26が嵌まり、給電端子51と受電端子27が電気的に接続されようにしている。給電端子51は、
図8に示すように電源コード52と電気的に接続されている。なお、電源コード52は、他端側に図示省略するプラグを具え、商用電源と接続可能となっている。
【0021】
台座本体40は、載置面41の周面に下向きに周壁44が形成されており、周壁44と載置面41によって電源台30の下面側には、給電端子51と電気的に接続される電源コード52を収容する巻取空間31が形成されている。また、周壁44の下縁には、1又は複数のコード引出し孔44aが凹設されている。
【0022】
図8は、電源台30から後述するコード巻取部60を取り外した台座本体40の下面側の斜視図である。台座本体40には、周壁44の内周側に概略環状の立壁45が形成されている。立壁45は、コード通し孔45aが形成されており、給電部50から引き出された電源コード52は、コード通し孔45aを通って立壁45の外周に延出している。なお、本実施形態では、コード通し孔45aは開口幅の異なる2種を設けており、電源コード52の種類、たとえば、2線式電源コード、3線式電源コードや、太さに応じて、挿通するコード通し孔45aを選択可能となっている。図示の実施形態では、電源コード52は、2線式である。
【0023】
また、立壁45には、
図8に示すようにコード巻取部60を係止するための係止受部46が形成されている。本実施形態では、コード巻取部60側に後述するよう爪状の係止片62を設けており、係止受部46は係止片62が係合可能なスリットである。
【0024】
前述した水抜き孔43に連通する環状リブ43aは、
図8では涙滴状の孔を有する構成としており、径の大きい先端側の円環部分が
図8に示すように電源台30の下面側から見て斜め右向きに傾斜している。このため、電源コード52は、コード通し孔45aを通って時計回り方向に延出されることになる。なお、この電源コード52の延出方向が後述する電源コード52の巻取方向WD(
図6参照)になる。
【0025】
その他、台座本体40には、次に説明するコード巻取部60をねじ止めするためのボス孔47が立壁45中又は立壁45に接近して突設されている。ボス孔47は、コード通し孔45aを挟む位置に夫々一対ずつ形成することが望ましい。また、台座本体40には、周壁44の内側には滑り止めゴム付きの脚部48が複数箇所に形成されている。
【0026】
前述した台座本体40に形成された巻取空間31には、
図6及び
図7に示すように、電源コード52を巻き取るコード巻取部60が装着される。コード巻取部60の単独図面を
図9乃至
図12に斜視図、平面図、側面図及び底面図として示す。図を参照すると理解されるように、コード巻取部60は、環状のリール部61とリール部61の下端縁に鍔部63を有している。
【0027】
リール部61は、略円筒状に形成されて、
図7に示すように、外周に電源コード52が巻き付けられる。リール部61は、台座本体40の立壁45よりも大径に形成されており、内周面には、
図9及び
図10に示すように、爪状の係止片62が形成されている。係止片62は、
図8に示す立壁45の係止受部46に係合可能となっている。
【0028】
また、リール部61には、立壁45のコード通し孔45aから引き出された電源コード52をリール部61の外周側に導くリール部側コード通し孔61aが切欠き形成されている。また、リール部61は、台座本体40のボス孔47(
図8参照)と対向する位置に切欠き部を有し、当該切欠き部には、次に説明する鍔部63に前述の台座本体40のボス孔47と連通するねじ孔63aが開設されている。ねじ孔63a,63aの一部は、リール部側コード通し孔61aを挟むように形成されている。
【0029】
鍔部63は、リール部61の下端縁に設けられ、外周側に1又は複数の凸部64を形成して構成される。鍔部63は、リール部61に巻き付けられた電源コード52がリール部61から脱落することを防止するガイドとして機能する。本発明では、鍔部63は、
図9乃至
図12に示すように、リール部61の中心と一致する鍔部63の中心をOとしたときに、中心Oから最も離れた凸部64の頂部65とを結ぶ仮想線Lに関して、凸部64の形状が非シンメトリーであることを特徴とするものである。非シンメトリーな形状を採用する理由は、電源コード52の巻き易さ、巻き難さを鍔部63に付与することで、ユーザーによる電源コード52の巻取方向を自然と所望する巻取方向WDに誘導しようとするためである。なお、鍔部63の凸部64の形状や巻取方向、巻き易さ、巻き難さは、まとめて後述する。
【0030】
然して、台座本体40には、電源コード52が装着された給電部50を、給電部突出用孔42に配置し、電源コード52はコード通し孔45aを通して外側に引き出す。この状態で、コード巻取部60は、リール部側コード通し孔61aが電源コード52の通されたコード通し孔45aと位置合わせしつつ、
図6や
図7に示すようにリール部61を立壁45の外周に被せる。これにより、コード巻取部60の係止片62は立壁45の係止受部46に嵌まる(
図7中丸囲みCで示す)。この状態でねじ孔63aとボス孔47をビス47a止めすることで(同じく
図7中丸囲み部Dで示す)、台座本体40に給電部50、電源コード52及びコード巻取部60が装着され、電源台30を得ることができる。
【0031】
そして、電源台30は、電源コード52を鍔部63と周壁44との間に通しつつ円環状に引っ張ることで、
図6、
図7に示すようにリール部61に巻き付けることができる。
【0032】
以下、本発明が特徴とする鍔部63の凸部64の形状や巻取方向、巻き易さ、巻き難さについて説明する。
【0033】
凸部64は、
図6において電源コード52の所望の巻取方向WDとしたときに、巻取方向WDと同じ第1の向き66Dで頂部65に向かう周面を第1周面66、また、巻取方向WDとは逆の第2の向き67Dで頂部65に向かう周面を第2周面67とする。このとき、凸部64の第1周面66と第2周面67は、鍔部63の中心Oから最も離れた凸部64の頂部65とを結ぶ仮想線Lに対して非シンメトリーな形状としている。
【0034】
たとえば、
図9や
図10、
図12に示すように、凸部64は、第1周面66が径方向外側に膨らんだ凸形状、第2周面67は径方向内側に凹んだ凹形状とすることができる。さらに望ましくは、凸形状である第1周面66の曲率半径は、凹形状の第2周面67の曲率半径よりも大きく形成する。この形状を採用することにより、所望の巻取方向WDに電源コード52の巻取りを行なう場合には、電源コード52及び/又は電源コード52を掴むユーザーの指先Fは、
図13中矢印αで示すように凸形状である第1周面66に案内されて凸部64を超え、次の凸部64に進み、電源コード52がリール部61に巻き付けられていく。従って、所望の巻取方向WDが巻き易い方向となる。
【0035】
一方、巻取方向WDとは逆向きに電源コード52を巻取りしようとすると、電源コード52及び/又は電源コード52を掴むユーザーの指先Fは、
図13中矢印βで示すように凹形状である第2周面67に当たって(図中バツ印で示す)、引っ掛かってしまう。従って、所望の巻取方向WDとは逆向きは、電源コード52を巻き難い方向となる。勿論、凸部64を超えて巻取を行なうことも可能ではあるが、この場合、電源コード52及び/又は電源コード52を掴むユーザーの指先Fは台座本体40の周壁44に近い位置を慎重に通す必要があり、手間が掛かるため巻き難いから、電源コード52の巻取方向は、自然と上記した巻取方向WDになるように誘導される。
【0036】
これにより、電源コード52の巻取方向は推奨される所望の方向WDとなるから、両方向に巻き取る場合に比べて電源コード52の劣化を抑えることができる。とくに、
図8に示すように、電源コード52はコード通し孔45aから巻取方向WD側に向けて延出(矢印68で示す)させている場合には、巻取方向WDとは逆向きに電源コード52を巻き取ると、電源コード52が大きく屈曲してしまい、劣化を促進させてしまう虞がある。また、電源コード52が大きく屈曲することで外向きに膨らむ結果、電源コード52の巻付半径が大きくなってしまい、電源コード52をすべてリール部61に巻き付けることができなくなる虞がある。しかしながら、電源コード52の巻取方向を推奨される方向WDに誘導できることで、これら問題を解消することができる利点もある。
【0037】
なお、凸部64の非シンメトリーな形状の規定として、上記した第1周面66を凸形状、第2周面67を凹形状にする以外に、或いは、凸形状、凹形状と併せて下記の形状とすることができる。
【0038】
たとえば、第1周面66は、第2周面67よりも径方向外側に緩やかに広がる形状とすることができる。すなわち、第2周面67は、第1周面66に比べて急峻に径方向外側に向かう形状とする。上記及び
図6及び
図7に示す凸部64の形状はこの規定を満たす。これにより、電源コード52を巻取方向WDとして巻き取る場合には電源コード52及び/又は電源コード52を掴むユーザーの指先Fは、
図13中矢印αで示すように緩やかに広がる第1周面66に沿って凸部64を超えるから所望の巻取方向WDを巻き易い方向とすることができる。一方、逆向きに巻いた場合には、
図13中矢印βで示すように急峻な第2周面67に電源コード52及び/又は電源コード52を掴むユーザーの指先Fが引っ掛かり、電源コード52は巻き難いから、自然と巻取方向は方向WDに誘導される。
【0039】
また、
図6、
図10、
図12及び
図13に示すように、第1周面66について最も鍔部63の中心Oまでの距離が短くなる点を第1点66a、第2周面67について最も鍔部63の中心Oまでの距離が短くなる点を第2点67aとし、第1点66a、中心O及び凸部64の頂部65のなす角度を第1角度66b、第2点67a、中心O及び凸部64の頂部65のなす角度を第2角度67bとしたときに、第1角度66bを第2角度67bよりも大きく採ることで、上記と同様、巻取方向WDを巻きやすい方向とすることができる。図示の実施形態では、隣り合う凸部64に関し、第1点66aと第2点67aは同じ点になっている。
【0040】
なお、上記では、コード巻取部60に3つの凸部64を設け、各凸部64の形状を非シンメトリーな形状としているが、
図14に示すように、少なくとも1つの凸部64aについてのみ非シンメトリーな形状とし、他の凸部64bはシンメトリーな形状としてもよい。この場合、非シンメトリーな形状とする凸部64aは、推奨される巻取方向WDが時計回りの場合、電源コード52の延出する位置(矢印68)から反時計回りに近接する位置に第2周面67が設けられ、反時計回り(β方向)に電源コード52を巻き取ろうとしたときに第2周面67に電源コード52及び/又は電源コード52を掴むユーザーの指先Fが引っ掛かり(図中バツ印)、電源コード52は巻き難い構成とすることが好適である。
【0041】
また、上記実施形態では、第1周面66、第2周面67を夫々曲線形状としているが、
図15に示すように、第1周面66、第2周面67は直線形状の組み合わせであっても構わない。また、曲線形状と直線形状を組み合わせた形状としてもよいことは勿論である。
【0042】
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【0043】
たとえば、鍔部63には、推奨する電源コード52の巻取方向を示す矢印を記すことで、さらに電源コード52の巻取方向を推奨する方向に誘導することができる。
【符号の説明】
【0044】
10 電気ケトル
20 ケトル本体
26 受電部
30 電源台
40 台座本体
50 給電部
52 電源コード
60 コード巻取部
61 リール部
63 鍔部
64 凸部
65 頂部
66 第1周面
67 第2周面
O 鍔部の中心
WD 巻取方向
L 仮想線