(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】加熱処理装置
(51)【国際特許分類】
B08B 3/02 20060101AFI20231012BHJP
A47J 27/16 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
B08B3/02 D
A47J27/16 G
(21)【出願番号】P 2019145631
(22)【出願日】2019-08-07
【審査請求日】2022-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】藤井 保
(72)【発明者】
【氏名】西田 渉
(72)【発明者】
【氏名】北村 隆人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】加賀 忠
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-276907(JP,A)
【文献】特開平04-256475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/02
A47J 27/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に加熱室が形成された筐体と、上記筐体の入口から加熱室内に物品を搬入して出口より搬出する物品搬送手段と、上記加熱室の内部に設けられて上記物品搬送手段によって搬送される物品を加熱する加熱手段とを備えた加熱処理装置において、
洗浄液を噴射する洗浄ノズルと、当該洗浄ノズルを上記物品搬送手段に設置する支持部材とを備え、
上記物品搬送手段が上記支持部材と共に洗浄ノズルを上記筐体の入口もしくは出口より上記加熱室の内部に移動させると、上記洗浄ノズルが加熱室の内部で洗浄液を噴射することを特徴とする加熱処理装置。
【請求項2】
上記物品搬送手段は、並行に設けられた搬送チェーンと、これら搬送チェーンに跨って所定間隔に取り付けられた複数の棒状部材とを備え、
上記洗浄ノズルは洗浄液を下方に向けて噴射可能に構成され、上記支持部材は、上記洗浄ノズルより噴射された洗浄液が当該棒状部材と棒状部材との間を通過するよう、当該洗浄ノズルを支持することを特徴とする請求項1に記載の加熱処理装置。
【請求項3】
筐体の外部に、上記洗浄ノズルに洗浄液を供給する洗浄液供給手段を設け、当該洗浄液供給手段と洗浄ノズルとを供給ホースを介して接続したことを特徴とする
請求項1又は請求項2に記載の加熱処理装置。
【請求項4】
上記筐体の外部に、上記供給ホースを収納するホース収納手段を設け、
当該ホース収納手段は、洗浄ノズルの位置に応じて上記供給ホースの送り出しおよび引き込みを行うことを特徴とする
請求項3に記載の加熱処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加熱処理装置に関し、詳しくは内部に加熱室が形成された筐体と、上記筐体の入口から加熱室内に物品を搬入して出口より搬出する物品搬送手段と、上記加熱室の内部に設けられて過熱水蒸気を噴射する加熱ノズルとを備えた加熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品に過熱水蒸気を噴射して加熱処理を行う加熱処理装置が知られ、このような加熱処理装置として、内部に加熱室が形成された筐体と、上記筐体の入口から加熱室内に物品を搬入して出口より搬出する物品搬送手段と、上記加熱室の内部に設けられて過熱水蒸気を噴射する加熱ノズルとを備えたものが知られている(特許文献1、2)。
ここで、この加熱処理装置を食品の加熱調理に用いる場合、食品の加熱処理の際に脂分や食品残さが飛散することから、加熱処理後には加熱処理装置の洗浄を行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-213166号公報
【文献】特開2019-72221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、食品を加熱処理した際に発生する食品の脂分等は上記加熱室の内面にも飛散して付着してしまうため加熱室の洗浄をしなければならないが、加熱室の内面を洗浄する作業は煩雑なものとなっていた。
このような問題に鑑み、本発明は加熱室の洗浄を効率的に行うことが可能な加熱処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明にかかる加熱処理装置は、内部に加熱室が形成された筐体と、上記筐体の入口から加熱室内に物品を搬入して出口より搬出する物品搬送手段と、上記加熱室の内部に設けられて上記物品搬送手段によって搬送される物品を加熱する加熱手段とを備えた加熱処理装置において、
洗浄液を噴射する洗浄ノズルと、当該洗浄ノズルを上記物品搬送手段に設置する支持部材とを備え、
上記物品搬送手段が上記支持部材と共に洗浄ノズルを上記筐体の入口もしくは出口より上記加熱室の内部に移動させると、上記洗浄ノズルが加熱室の内部で洗浄液を噴射することを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上記請求項1の発明によれば、加熱室の内部を洗浄するための洗浄ノズルを物品搬送手段に設置することで、洗浄ノズルを加熱室内に移動させることができるため、当該洗浄ノズルより噴射される洗浄液によって加熱室を効率的に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】洗浄ユニットを昇降させる昇降手段を説明する図
【
図6】第2実施例にかかる洗浄ユニットを説明する図
【
図7】第3実施例にかかる洗浄ユニットを説明する図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について説明すると、
図1は物品としての食品Fに過熱水蒸気を吹き付けて加熱処理する加熱処理装置1を示し、当該加熱処理装置1は、内部に加熱室Raが形成された筐体2と、上記筐体2の入口2aから加熱室Ra内に食品Fを搬入して出口2bより搬出する物品搬送手段3と、上記加熱室Raの内部に設けられて過熱水蒸気を噴射する加熱ノズル4とを備えている。
上記筐体2の内部は複数の仕切壁2cによって区画され、筐体2の内部には、2つの加熱室Raと、上記入口2aの形成された入口室Rbと、上記出口2bの形成された出口室Rcとが形成されている。
【0009】
上記物品搬送手段3は、上記筐体2を上記入口2aから出口2bにかけて貫通するように設けられ、上記入口2aより上流側に突出した位置に食品Fが載置されると、当該食品Fを筐体2に形成された加熱室Raへと搬入し、食品Fを移動させながら加熱処理が行われるようになっている。
図2に示すように、本実施例の物品搬送手段3は、並行に設けられた複数の搬送チェーン11と、これら搬送チェーン11に跨って所定間隔に取り付けられた棒状部材12と、搬送チェーン11の両端に設けられたスプロケット13(
図1参照)と、当該スプロケット13を駆動する図示しない駆動モータとから構成されている。
上記搬送チェーン11は棒状部材12の設けられた支持コマ11aと、支持コマ11aと支持コマ11aとの間に設けられた棒状部材12の設けられていない連結コマ11bとを連結させた構成を有している。
そして上記支持コマ11a、連結コマ11bは、それぞれ複数の略長円状を有した2枚のプレートと、当該プレートの両端部に設けられたピンとによって構成されている。
【0010】
上記構成により、上記棒状部材12は上記搬送チェーン11が駆動されることによって循環移動し、当該棒状部材12が上方を移動している際にはその上部に食品Fが載置される搬送部を構成し、その後上記スプロケット13の位置で下方に折り返すことでリターン部を構成するようになっている。
上記駆動モータは制御手段によって制御され、食品Fを加熱処理する際には
図1において上記搬送部を図示左方から右方の下流側へと食品Fを移動させ、加熱室Raを洗浄する際には搬送部に設置された洗浄ユニット22を下流側および上流側の両方向に往復動させるようになっている。
ここで、上記洗浄ユニット22を移動させて加熱室Raを洗浄する際、制御手段は物品搬送手段3に設けられた図示しないエンコーダからの信号に基づいて上記洗浄ユニット22の位置を認識しながら移動させるようになっている。
【0011】
上記筐体2の内部に形成された加熱室Raには、それぞれ搬送手段4の搬送部の上下となる位置に加熱ノズル4が設けられており、これら各加熱ノズル4は過熱水蒸気を供給する過熱水蒸気供給手段14に接続されている。
上記各加熱ノズル4は水平面内で平行に配置された多数のパイプを備えており、物品搬送手段3の搬送部に載置された食品Fの上下から過熱水蒸気を噴射することで、食品Fを加熱処理するようになっている。
また加熱ノズル4は容易に取り外すことが可能な構成を有しており、加熱処理装置1を洗浄する際に取り外すことで、加熱ノズル4の洗浄やメンテナンスを容易に行うことが可能となっている。
そして上記筐体2に形成された入口室Rbと出口室Rcとには、それぞれの天面にダクト15が設けられており、加熱室Raから漏れ出た過熱水蒸気を外へ排出するようになっている。
【0012】
さらに、上記筐体2の底部にはドレンパン2dが形成されており、食品Fの加熱処理を行う際には当該ドレンパン2dに水を収容しておくことで、食品Fの加熱処理によって発生する油脂等が落下して回収されるようになっている。
またドレンパン2dの底部には排水管16が設けられており、食品Fの加熱処理終了後には、上記水に落下した油脂等を排出することが可能となっている。
【0013】
上記構成を有する加熱処理装置1の動作について簡単に説明すると、最初に上記筐体2よりも外部に露出した位置で上記物品搬送手段3に食品Fを載置すると、物品搬送手段3は当該食品Fを上記筐体2に形成された上記入口2aを通過させ、さらに入口室Rbを通過させる。
その後加熱室Raでは、物品搬送手段3によって搬送される食品Fに対して加熱ノズル4が上下より過熱水蒸気を噴射し、この過熱水蒸気によって食品Fが加熱処理される。
このようにして加熱処理された食品Fは、物品搬送手段3によって出口室Rcを通過した後、筐体2の出口2bから外部へと搬出され、その後図示しない後工程へと排出される。
なお、このように加熱処理装置1を用いて食品Fを加熱処理すること自体は公知であり、加熱処理装置1による食品Fの加熱処理の動作についてのこれ以上の説明を省略する。
【0014】
上記加熱処理装置1によって食品Fの加熱処理を行う場合、上記食品Fが例えばハンバーグや魚の切り身などの脂分を含む食材である場合、加熱により油脂が飛散したり、また食品残さが飛散することがある。
これらの油脂等は加熱室Raの内面に付着したり、上下の加熱ノズル4に付着するが、また飛散した油脂等がドレンパン2dに落下した後、当該ドレンパン2dから水を排出した際にも、一部の油脂等がドレンパン2dの底部に付着したまま残存してしまうことがある。
このような加熱室Raや加熱ノズル4に付着した油脂等は、食品Fの加熱処理が終了する度に除去することが望ましいが、当該加熱室Raは筐体2の内部に形成されていることから、洗浄作業が煩雑であるという問題がある。
【0015】
そこで本実施例では、
図3に示すように加熱処理装置1に洗浄装置21を設けて、加熱処理終了後に加熱室Raの洗浄を行うようになっている。
上記洗浄装置21は、洗浄液を噴射するとともに上記物品搬送手段3によって移動可能に設けられた洗浄ユニット22と、筐体2の外部に設けられて上記洗浄ユニット22に洗浄液を供給する洗浄液供給手段23と、上記洗浄ユニット22と洗浄液供給手段23との間に配設された供給ホース24と、当該供給ホース24を収納するホース収納手段としてのホースリール25とを備えている。また上記筐体2の入口室Rbには、上記洗浄ユニット22によって物品搬送手段3を洗浄する際に使用する昇降手段としてのシリンダ26が設けられている。
上記洗浄装置21は台車27によって移動可能に設けられ、加熱処理装置1の使用後に上記筐体2の入口2aもしくは出口2bより突出した物品搬送手段3の端部近傍に位置させて使用するようになっている。
【0016】
図2は上記洗浄ユニット22を正面から見た図を、
図4は上記洗浄ユニット22を側面から見た図を示している。ここで上記洗浄ユニット22は、洗浄装置21を使用しない際には上記台車27に載せて上記台車27とともに移動させることが可能となっている。
上記洗浄ユニット22は、加熱室Raの内面に向けて設けられた洗浄ノズル31と、当該洗浄ノズル31が設けられるとともに上記物品搬送手段3に設置される支持部材32とによって構成されている。
上記支持部材32は、上記物品搬送手段3の搬送方向に対して直交する向きに設けられ、上記支持部材32の両端には上記搬送チェーン11に設置される脚部32aが設けられている。
上記脚部32aには下方に向けて係合ピン32bが設けられており、上記脚部32aを搬送チェーン11に設置する際、上記係合ピン32bを連結コマ11bを構成するプレートとプレートとの間に挿入することで、係合ピン32bが連結コマ11bと係合し、物品搬送手段3が作動した際の洗浄ユニット22のずれが防止されるようになっている。
【0017】
上記洗浄ノズル31は、上記支持部材32の上部および下部のそれぞれに、物品搬送手段3の幅方向の略全域にわたって一列に設けられ、図示しないが支持部材32の内部に形成された配管を介して、上記供給ホース24に連通している。
上記洗浄液供給手段23から供給ホース24を介して洗浄液が供給されると、上記洗浄ノズル31からは洗浄液が噴射され、これにより加熱室Raの内面や加熱ノズル4に付着した油脂等が除去されるようになっている。
ここで、上記支持部材32の脚部32aを上記搬送チェーン11の連結コマ11bに設置することで、下方に向けて設けられた洗浄ノズル31は棒状部材12と棒状部材12との間に位置するようになっている。
その結果、下方を向いた洗浄ノズル31から洗浄液を噴射すると、当該洗浄液は棒状部材12と棒状部材12との間を通過して下方に噴射され、搬送部の下方に位置する加熱ノズル4やドレンパン2dまで到達するようになっている。
【0018】
上記洗浄液供給手段23は、所要の位置に設けられた洗浄液タンク23aと、配管を介して接続されたポンプ23bとによって構成され、上記ポンプ23bが洗浄液タンク23aの洗浄液を圧送することで、上記洗浄ノズル31より洗浄液を噴射させるようになっている。なお、上記洗浄液タンク23aを上記台車27に設けてもよい。
上記供給ホース24は上記ポンプ23bと上記洗浄ユニット22との間に配設され、上記筐体2の入口2aを通過してこれらを接続するようになっており、換言すると筐体2の外部より洗浄液を洗浄ユニット22へと供給するようになっている。
【0019】
上記ホースリール25は上記制御手段によって制御されるモータMによって駆動され、制御手段は、上記物品搬送手段3のエンコーダからの信号に基づいて洗浄ユニット22の位置を認識し、ホースリール25を正逆に回転させることで供給ホース24の送り出しおよび引き込みを行うようになっている。
このようにすることで、洗浄ユニット22とホースリール25との間で供給ホース24がたるまず、供給ホース24が加熱室Ra内で絡まったり、物品搬送手段3に巻き込まれてしまうのを防止することができる。
なお、ホースリール25をばねによって付勢し、ホースリール25と洗浄手段との間で一定の張力を維持しながら、供給ホース24の送り出しおよび引き込みを行うような構成としてもよい。
【0020】
上記シリンダ26は、
図3に示すように上記筐体2の入口室Rbに設けられ、また
図5に示すように物品搬送手段3の両側に2つ設けられている。
上記洗浄ユニット22の支持部材32には、上記シリンダ26が下方から当接する当接部材32cが設けられており、この当接部材32cをシリンダ26によって下方から押し上げることで洗浄ユニット22を上方に移動させることが可能となっている。
上記シリンダ26が洗浄ユニット22を上昇させると、上記支持部材32の脚部32aに設けられた係合ピン32bが搬送チェーン11の連結コマ11bより離脱し、洗浄ユニット22を上記昇降手段26の位置で停止させたまま、搬送チェーン11や棒状部材12を相対的に移動させることができ、物品搬送手段3の洗浄を行うことが可能となる。
【0021】
このような構成を有する加熱処理装置1の洗浄装置21の動作について説明すると、まず加熱処理装置1において食品Fの加熱処理が終了すると、上記排水口16を用いてドレンパン2dの水を排出する。
続いて、作業者は上記洗浄装置21を上記台車27によって移動させ、物品搬送手段3の上流端もしくは下流端(本実施例では上流端)近傍に位置させ、上記洗浄ユニット22を物品搬送手段3の搬送部に設置する。
このとき、当該洗浄ユニット22を構成する上記支持部材32の脚部32aを、搬送チェーン11を構成する連結コマ11bの上部に載置し、上記係合ピン32bを連結コマ11bに係合させる。
これにより、物品搬送手段3が洗浄ユニット22を筐体2の内部へと移動させる際に、洗浄ユニット22の位置ずれを防止することができる。
【0022】
物品搬送手段3が作動して洗浄ユニット22が筐体2の内部に向けて移動すると、制御手段は物品搬送手段3に設けられたエンコーダからの信号に基づいて、上記洗浄ユニット22の位置を認識しながら上記ホースリール25の回転を制御し、洗浄ユニット22とホースリール25との間で供給ホース24がたるまないように送り出す。
また制御手段は、上記洗浄ユニット22が筐体2の内部の加熱室Raに進入したことを認識すると、上記洗浄液供給手段23を作動させ、洗浄ユニット22へと洗浄液を供給して洗浄ノズル31より洗浄液を噴射させる。
上記洗浄ユニット22には洗浄ノズル31が上下方向に向けて設けられているため、洗浄液は物品搬送手段3の搬送部の上下に設けられた加熱ノズル4や、加熱室Raの内面に噴射されて、これらに付着した油脂等の除去が行われる。
このとき、下方を向いた洗浄ノズル31より噴射される洗浄液が棒状部材12と棒状部材12との間を通過して下方に噴射されるように上記洗浄ユニット22の位置を設定することにより、搬送部の下方に設けられた加熱ノズル4やドレンパン2dも洗浄される。
そして制御手段は物品搬送手段3を制御し、洗浄ユニット22を加熱室Raの設けられた範囲で複数回往復動させ、その際洗浄ノズル31より噴射された洗浄液は除去された油脂等と共にドレンパン2dの排水管16より排出される。
【0023】
このようにして加熱室Raおよび加熱ノズル4の洗浄が終了すると、制御手段は物品搬送手段3によって洗浄ユニット22を上記入口室Rbに設けた昇降手段26へと移動させる。
すると、シリンダ26が洗浄ユニット22を上昇させ、この状態で物品搬送手段3を作動させることで、洗浄ユニット22の下方を物品搬送手段3の搬送チェーン11や棒状部材12が移動することとなる。
そして下方を向いた洗浄ノズル31から洗浄液を噴射させることで、これら搬送チェーン11や棒状部材12を洗浄することができる。また洗浄液はドレンパン2dに落下する。
なお、この物品搬送手段3の洗浄については、上記加熱室Raの洗浄の前に行うことも可能であり、また昇降手段26を出口室Rcに設けてもよく、加熱室Raに設けてもよい。
【0024】
このように、加熱処理装置1の洗浄装置21を用いることで、筐体2の内部の加熱室Raや洗浄ノズル31の洗浄を自動的に行うことができる。
つまり、閉鎖された加熱室Ra内であっても、上記物品搬送手段3により洗浄ユニット22を加熱室Ra内に進入させることができるため、人手によりも効率的に加熱室Ra内の洗浄を行うことが可能となっている。
また、下方を向いた洗浄ノズル31から噴射される洗浄液が棒状部材12と棒状部材12との間を通過するように上記支持部材32を搬送チェーン11に位置決めすることにより、下方に位置した加熱ノズル4やドレンパン2dの底面も洗浄することが可能となっている。
さらに、上記洗浄ユニット22を物品搬送手段3によって移動させる際に、供給ホース24をホースリール25によって送り出すことで、供給ホース24がたるんだり、物品搬送手段3に巻き込まれるのを防止することができる。
そして、上記洗浄ユニット22をシリンダ26によって上昇させることで、物品搬送手段3の搬送チェーン11や棒状部材12の洗浄も行うことができる。
【0025】
なお、上記実施例では洗浄液供給手段23を筐体2の外部に設置し、洗浄ユニット22との間に供給ホース24を配設しているが、洗浄液供給手段23を洗浄ユニット22と一体的に設けて、洗浄液供給手段23ごと加熱室Ra内で移動させるようにしてもよい。
また、加熱室Raの加熱ノズル4については、洗浄装置21によって洗浄を行う前に加熱室Raから取り外し、その他の場所で洗浄を行ってもよいが、上記洗浄装置21によって洗浄液を噴射することで予備洗浄を行い、その後取り外して作業者により洗浄するようにしてもよい。
【0026】
ここで本実施例の洗浄ユニット22は、支持部材32の上下にそれぞれ洗浄ノズル31を一列に整列させた構成を有し、これらの洗浄ノズル31から一斉に洗浄液を噴射するようになっている。
しかしながら、上記洗浄液供給手段23からの洗浄液の供給圧が不十分な場合、各洗浄ノズル31から十分な圧力で洗浄液を噴射することができないことから、上記洗浄ノズル31に制御手段によって制御可能な開閉バルブを設けて、洗浄ノズル31からの洗浄液の噴射を制御するようにしてもよい。
例えば、下方を向いた洗浄ノズル31の開閉バルブを閉鎖して、上方を向いた洗浄ノズル31の開閉バルブを開放すれば、洗浄液を上方にのみ噴射させることができ、一方、上記入口室Rbに設けた昇降手段26で洗浄ユニット22を上昇させる際、上方を向いた洗浄ノズル31からの洗浄液の噴射を停止させることで、下方を移動する物品搬送手段3に対して洗浄液を噴射することができる。
その他にも、複数の洗浄ノズル31によって複数のグループを作成し、各グループごとに洗浄液を噴射させるようにしてもよい。
【0027】
図6は第2の実施例についての加熱処理装置2を説明する図であって、特に上記洗浄ユニット22を説明する図となっている。
第1実施例の洗浄ユニット22は、支持部材32の上下に洗浄ノズル31を設けているが、上述したようにすべての洗浄ノズル31から一斉に洗浄液を噴射すると噴射圧が不足する場合があった。
そこで本実施例では、洗浄ユニット22の支持部材32に洗浄ノズル31を一列だけ設け、当該支持部材32の両端部を、上記物品搬送手段3の搬送チェーン11に設置される脚部32aに回転可能に軸支したものとなっている。
上記支持部材32は制御手段によって制御されるモータ41によって回転し、これにより上記洗浄ノズル31を上方または下方に向けることが可能となっている。
洗浄ユニット22をこのような構成とすることで、上記モータ41によって洗浄ノズル31を上方や下方に向けれることにより、上記第1実施例の洗浄ユニット22と同様、加熱室Raの内面や加熱ノズル4に洗浄液を噴射することができる。
また、本実施例の洗浄ユニット22についても、
図5に示す昇降手段26によって上昇させた状態で洗浄ノズル31を下方に向ければ、物品搬送手段3の洗浄を行うことができる。
【0028】
図7は第3の実施例についての加熱処理装置2を説明する図であって、特に上記洗浄ユニット22を説明する図となっている。
上記第1、第2実施例の洗浄ユニット22は、物品搬送手段3の幅方向略全域にわたって洗浄ノズル31を整列させた構成であるのに対し、本実施例では幅方向の一部分に洗浄ノズル31を設け、当該洗浄ノズル31を物品搬送手段3の幅方向に移動させるものとなっている。
そこで本実施例の洗浄ユニット22の支持部材32は、上下に向けて3つずつ、計6個の洗浄ノズル31を設けた保持部材42と、当該保持部材42を物品搬送手段3の幅方向に移動させる往動手段43とを備えている。
上記往動手段43は、上記支持部材32の上部に物品搬送手段3の幅方向に設けられたボールねじ43aと、上記ボールねじ43aを回転させるモータ43bと、上記保持部材42に連結されるとともに上記ボールねじ43aの回転に伴って移動するナット43cとから構成されている。
上記モータ43bは制御手段によって制御され、ボールねじ43aを回転させることで、上記ナット43cと共に上記保持部材42を物品搬送手段3の幅方向に往復動させることが可能となっている。
また上記保持部材42によって支持された洗浄ノズル31は、物品搬送手段3の棒状部材12と棒状部材12との間に位置し、洗浄液を棒状部材12と棒状部材12との間から下方に噴射することが可能となっている。
このような構成により、上記洗浄ユニット22を物品搬送手段3によって移動させながら、上記往動手段43が上記保持部材42を幅方向に移動させることで、洗浄ノズル31より噴射された洗浄液によって加熱室Raや加熱ノズル4の洗浄を行うことができる。
また本実施例の構成の場合、油脂等が付着しやすい位置に上記保持部材42を位置させて、洗浄ユニット31を往復動させれば、これらの油脂等を重点的に除去することが可能となる。
【0029】
図8は第4実施例にかかる加熱処理装置1の側面図を示している。上記第1~第3実施例では上記洗浄ユニット22を上記物品搬送手段3によって移動させるのに対し、この第4実施例では上記洗浄ユニット22を物品搬送手段3と並行に設けた洗浄ユニット移動手段51によって移動させるものとなっている。
本実施例における洗浄ユニット22としては、上記第1から第3実施例にかかる洗浄ユニット22と同様の構成を有したものを使用することができ、上方および下方に洗浄液を噴射することで、加熱室Raの内部に洗浄液を噴射することが可能な構成を有している。
上記洗浄ユニット移動手段51は、上記物品搬送手段3と上方に設けられた加熱ノズル4との間に設けられ、上記物品搬送手段3と並行に設けられるとともに、図示しないが少なくともその上流端は上記筐体2の入口2aの外部に突出するように設けられている。
【0030】
上記洗浄ユニット移動手段51は、平行に設けられた搬送チェーン52と、洗浄ユニット22を保持するとともに搬送チェーン52によって移動する装着手段53とによって構成されている。
上記装着手段53は、各搬送チェーン52にブラケットを介して連結された一対のシリンダ53aによって構成されており、上記洗浄ユニット22の支持部材32には上記シリンダ53aが係合する係合部32dが設けられている。
このような構成により、上記装着手段53を作動させて上記シリンダ53aを洗浄ユニット22の係合部32dに係合させると、洗浄ユニット22を上記洗浄ユニット移動手段51によって移動可能に保持することが可能となる。
【0031】
また、上記洗浄ユニット22の洗浄ノズル31に洗浄液を供給する洗浄液供給手段については、上記第1~第3実施例と同様、台車によって移動可能な構成とすることができ、また洗浄ユニット22に接続される供給ホース24についても、モータMによって駆動されるホースリール25によって当該供給ホース24の送り出しや引き込みを行うことができる。
これに対し、筐体2に洗浄液供給手段23を設け、加熱室Raの内部で当該洗浄液供給手段23と洗浄ユニット22との間に供給ホース24を配設してもよく、また洗浄液供給手段23を洗浄ユニット22と一体的に設けてもよい。
【0032】
このような構成を有する加熱処理装置2によれば、上記第1の実施例に対し、洗浄ユニット22を洗浄ユニット移動手段51によって移動させることにより、加熱室Raや上下の加熱ノズル4を洗浄できるほか、物品搬送手段3の洗浄も行うことができる。
このとき、例えば洗浄ユニット移動手段51によって洗浄ユニット22を上流側から下流側に移動させ、物品搬送手段3を下流側から上流側に向けて作動させることで、物品搬送手段3の搬送チェーン11や棒状部材12が洗浄ユニット22に対して相対的に移動することから、これらを効率的に洗浄することが可能となる。
なお、第4実施例における上記洗浄ユニット22の構成を、上記第2、第3実施例に記載した洗浄ユニット22と同様の構成としてもよい。
【0033】
なお上記第1~第3実施例において、上記洗浄ユニット22の支持部材32を物品搬送手段3に設置するための構成としては、これらの実施例に記載した以外の構成であってもよく、例えば上記係合ピン32bを省略して、上記脚部32aを直接搬送チェーン11に載置する構成としてもよい。
また上記各実施例において、上記洗浄ユニット22の洗浄ノズル31は支持部材32に対して固定された状態となっているが、洗浄ノズル31の噴射方向を変更できるように揺動可能に取り付けることで、洗浄液による洗浄範囲を広げることが可能となる。
さらに各実施例において、最初に薬剤を含んだ洗浄液を用いて加熱室Raを洗浄し、その後すすぎ水としての水によって加熱室Raのすすぎ洗いをするようにしてもよい。
この場合、薬剤用とすすぎ水用に個別の洗浄ユニット22を使用してもよく、もしくは一つの洗浄ユニット22に上記洗浄液供給手段23としての薬剤供給手段およびすすぎ水供給手段を接続して、薬剤とすすぎ水の供給の切り替えを行うようにしてもよい。
そして上記各実施例では、加熱処理装置1として過熱水蒸気を用いて物品の加熱処理を行っているが、その他、蒸気を噴射する加熱ノズルを備えた加熱処理装置や、ヒーターを備えた加熱処理装置、バーナーを備えた加熱処理装置であってもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 加熱処理装置 2 筐体
2d ドレンパン 3 物品搬送手段
4 加熱ノズル 11 搬送チェーン
12 棒状部材 21 洗浄装置
22 洗浄ユニット 23 洗浄液供給手段
24 供給ホース 25 ホースリール(ホース供給手段)
26 昇降手段 31 洗浄ノズル
32 支持部材 51 洗浄ユニット移動手段