IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝情報システム株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電源供給制御システム及び電気機器端末 図1
  • 特許-電源供給制御システム及び電気機器端末 図2
  • 特許-電源供給制御システム及び電気機器端末 図3
  • 特許-電源供給制御システム及び電気機器端末 図4
  • 特許-電源供給制御システム及び電気機器端末 図5
  • 特許-電源供給制御システム及び電気機器端末 図6
  • 特許-電源供給制御システム及び電気機器端末 図7
  • 特許-電源供給制御システム及び電気機器端末 図8
  • 特許-電源供給制御システム及び電気機器端末 図9
  • 特許-電源供給制御システム及び電気機器端末 図10
  • 特許-電源供給制御システム及び電気機器端末 図11
  • 特許-電源供給制御システム及び電気機器端末 図12
  • 特許-電源供給制御システム及び電気機器端末 図13
  • 特許-電源供給制御システム及び電気機器端末 図14
  • 特許-電源供給制御システム及び電気機器端末 図15
  • 特許-電源供給制御システム及び電気機器端末 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】電源供給制御システム及び電気機器端末
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20231012BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20231012BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20231012BHJP
【FI】
H02J50/10
H02J50/40
H02J50/80
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019175535
(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公開番号】P2021052552
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】391016358
【氏名又は名称】東芝情報システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100074147
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】大下 晃司
【審査官】佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/189959(WO,A1)
【文献】特開2011-081475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/10
H02J 50/40
H02J 50/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発生する磁界の強度が最大となる所定位置を中心として、第1の周波数を共振点とする第1の強度の電界を発生する第1の磁界発生装置と、
発生する磁界の強度が最大となる前記所定位置を中心として、第2の周波数を共振点とする第2の強度の電界を発生する第2の磁界発生装置、
を具備する電源供給システムと、
前記第1の周波数と前記第2の周波数の中間点の周波数を中心として所定幅の周波数帯に感度を有し、前記第1の磁界発生装置が発生する磁界の強度が最大となる中心から第1の半径のエリア内の前記第1の磁界発生装置と前記第2の磁界発生装置とによる電界及び前記第2の磁界発生装置が発生する磁界の強度が最大となる中心から前記第1の半径より短い第2の半径のエリア内の前記第1の磁界発生装置と前記第2の磁界発生装置とによる電界によって発電可能であると共に前記第1の半径付近を超える半径のエリアにおける前記第1の磁界発生装置と前記第2の磁界発生装置とによる電界によっては発電不可能となる発電素子と、
所定機能及び/または所定処理を行う電気機器本体部であって、電源供給を受ける電気機器本体部と、
前記第1の磁界発生装置と前記第2の磁界発生装置とによる電界によって前記発電素子により発電された電圧を前記電気機器本体部の動作電圧まで昇圧する昇圧回路と、
前記発電素子が磁界を検出して発電を行っているときに前記昇圧回路から前記電気機器本体部への電源供給をオンとする電源供給制御部と、
を具備する電気機器端末と、
を含んで構成されることを特徴とする電源供給制御システム。
【請求項2】
前記発電素子は、第3の周波数帯に感度を有する第1の発電素子と、第4の周波数帯に感度を有する第2の発電素子とにより構成され、
前記昇圧回路は、前記第1の発電素子により発電された電圧を昇圧する第1の昇圧回路と、前記第2の発電素子により発電された電圧を昇圧する第2の昇圧回路とにより構成され、
前記電源供給制御部は、前記第1の発電素子または前記第2の発電素子のうち、先に磁界を検出して発電を開始した発電素子により発電された電圧を昇圧する第1の昇圧回路または第2の昇圧回路を選択して、この昇圧回路から前記電気機器本体部への電源供給を行うことを特徴とする請求項1に記載の電源供給制御システム。
【請求項3】
前記電源供給制御部は、前記電気機器へ供給されている電圧が所定閾値以上の場合に、現在選択されている昇圧回路から現在選択されていない昇圧回路へ切り換えを行って、前記電気機器本体部への電源供給を行うことを特徴とする請求項2に記載の電源供給制御システム。
【請求項4】
前記電気機器端末は、認証機能を有する認証部を有し、
前記電源供給制御部は、前記認証部による認証結果に基づき前記電気機器本体部への電源供給の継続または停止を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電源供給制御システム。
【請求項5】
上記電源供給制御部は、前記発電素子による磁界に基づく発電がなされているか否かに応じて前記電気機器本体部への電源供給の継続または停止を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電源供給制御システム。
【請求項6】
発生する磁界の強度が最大となる所定位置を中心として、第1の周波数を共振点とする第1の強度の電界を発生する第1の磁界発生装置と、発生する磁界の強度が最大となる前記所定位置を中心として、第2の周波数を共振点とする第2の強度の電界を発生する第2の磁界発生装置とを具備する電源供給システムに用いられる電気機器端末において、
前記第1の周波数と前記第2の周波数の中間点の周波数を中心として所定幅の周波数帯に感度を有し、前記第1の磁界発生装置が発生する磁界の強度が最大となる中心から第1の半径のエリア内の前記第1の磁界発生装置と前記第2の磁界発生装置とによる電界及び前記第2の磁界発生装置が発生する磁界の強度が最大となる中心から前記第1の半径より短い第2の半径のエリア内の前記第1の磁界発生装置と前記第2の磁界発生装置とによる電界によって発電可能であると共に前記第1の半径付近を超える半径のエリアにおける前記第1の磁界発生装置と前記第2の磁界発生装置とによる電界によっては発電不可能となる発電素子と、
所定機能及び/または所定処理を行う電気機器本体部であって、電源供給を受ける電気機器本体部と、
前記第1の磁界発生装置と前記第2の磁界発生装置とによる電界によって前記発電素子により発電された電圧を前記電気機器本体部の動作電圧まで昇圧する昇圧回路と、
前記発電素子が磁界を検出して発電を行っているときに前記昇圧回路から前記電気機器本体部への電源供給をオンとする電源供給制御部と、
を具備する電気機器端末。
【請求項7】
前記発電素子は、第3の周波数帯に感度を有する第1の発電素子と、第4の周波数帯に感度を有する第2の発電素子とにより構成され、
前記昇圧回路は、前記第1の発電素子により発電された電圧を昇圧する第1の昇圧回路と、前記第2の発電素子により発電された電圧を昇圧する第2の昇圧回路とにより構成され、
前記電源供給制御部は、前記第1の発電素子または前記第2の発電素子の
うち、先に磁界を検出して発電を開始した発電素子により発電された電圧を昇圧する第1の昇圧回路または第2の昇圧回路を選択して、この昇圧回路から前記電気機器本体部への電源供給を行うことを特徴とする請求項6に記載の電気機器端末。
【請求項8】
前記電源供給制御部は、前記電気機器へ供給されている電圧が所定閾値以上の場合に、現在選択されている昇圧回路から現在選択されていない昇圧回路へ切り換えを行って、前記電気機器本体部への電源供給を行うことを特徴とする請求項7に記載の電気機器端末。
【請求項9】
認証機能を有する認証部を有し、
前記電源供給制御部は、前記認証部による認証結果に基づき前記電気機器本体部への電源供給の継続または停止を行うことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の電気機器端末。
【請求項10】
記電源供給制御部は、前記発電素子による磁界に基づく発電がなされているか否かに応じて前記電気機器本体部への電源供給の継続または停止を行うことを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の電気機器端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、第1の周波数を共振点とする第1の磁界発生装置と、第2の周波数を共振点とする第2の磁界発生装置とを具備する電源供給システムを備える電源供給制御システム及び上記電源供給システムに用いられる電気機器端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、磁界の共振を利用し各種装置の電源供給制御を行う場合、受信側と送信側の距離が離れてしまうと取り出すことができる起電力が微弱な電圧となってしまう。微弱な電圧を装置が起動できる電圧(例えば、1V以上)まで昇圧することが困難とされていた。このため、磁界を利用するシステムは受信側の装置と送信側の装置の距離を極めて近くにする必要があった。
【0003】
また受信側と送信側の距離が近い場合は、起電力が過剰に上昇してしまう問題を抱えている。その結果、対象となる端末が故障するケースや、異常発熱によって利用者が影響を受ける可能性が考えられる。上記の問題は共振周波数を調整することで解決できるが、共振回路内の受動素子のパラメータ調整機構を実装しなければならないため、ハードウェアが冗長になるという問題がある。
【0004】
特許文献1には磁気発電装置が開示されている。この発明では、特に電力供給を適切に行うことは触れられていない。特許文献2にも磁気発電装置が開示されているが、S/N比の改善を目的とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-112971号公報
【文献】特開昭55-139065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように従来の磁気発電においては、電力の適切な供給という観点はなかった。本発明の実施形態の目的は、電気機器の動作が必要なときには電気機器へ適切な電力供給がなされるようにした電源供給制御システム及び電気機器端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る電源供給制御システムは、発生する磁界の強度が最大となる所定位置を中心として、第1の周波数を共振点とする第1の強度の電界を発生する第1の磁界発生装置と、発生する磁界の強度が最大となる前記所定位置を中心として、第2の周波数を共振点とする第2の強度の電界を発生する第2の磁界発生装置とを具備する電源供給システムと、
前記第1の周波数と前記第2の周波数の中間点の周波数を中心として所定幅の周波数帯に感度を有し、前記第1の磁界発生装置が発生する磁界の強度が最大となる中心から第1の半径のエリア内の前記第1の磁界発生装置と前記第2の磁界発生装置とによる電界及び前記第2の磁界発生装置が発生する磁界の強度が最大となる中心から前記第1の半径より短い第2の半径のエリア内の前記第1の磁界発生装置と前記第2の磁界発生装置とによる電界によって発電可能であると共に前記第1の半径付近を超える半径のエリアにおける前記第1の磁界発生装置と前記第2の磁界発生装置とによる電界によっては発電不可能となる発電素子と、所定機能及び/または所定処理を行う電気機器本体部であって、電源供給を受ける電気機器本体部と、前記第1の磁界発生装置と前記第2の磁界発生装置とによる電界によって前記発電素子により発電された電圧を前記電気機器本体部の動作電圧まで昇圧する昇圧回路と、前記発電素子が磁界を検出して発電を行っているときに前記昇圧回路から前記電気機器本体部への電源供給をオンとする電源供給制御部と、を具備する電気機器端末と、を含んで構成されることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態に係る電源供給制御システムの構成図。
図2】本発明の第1の実施形態に係る電源供給制御システムが用いる発電素子の感度領域を示す図。
図3】本発明の第1の実施形態に係る電源供給制御システムが用いる昇圧回路の昇圧動作を説明する図。
図4】所定の磁界環境のエリアにおける、本発明の第1の実施形態に係る電源供給制御システムが用いる昇圧回路の昇圧動作を説明する図。
図5】本発明の第1の実施形態に係る電源供給制御システムが用いる昇圧回路の、昇圧制御部による制御下における昇圧動作を説明する図。
図6】本発明の第1の実施形態に係る電源供給制御システムが用いる磁界監視動作を説明する図。
図7】本発明の第1の実施形態に係る電源供給制御システムにおいて行われる動作を説明するためのフローチャート。
図8】本発明の第1の実施形態に係る電源供給制御システムが投入される場所の磁界環境変化の第1の例を説明する図。
図9】本発明の第1の実施形態に係る電源供給制御システムが投入される場所の磁界環境変化の第2の例を説明する図。
図10】本発明の第2の実施形態に係る電気機器端末の構成図。
図11】本発明の第2の実施形態に係る電気機器端末が備える認証装置の構成図。
図12】本発明の第2の実施形態に係る電気機器端末の動作を説明するためのフローチャート。
図13】本発明の第3の実施形態に係る電気機器端末が備える認証装置の構成図。
図14】本発明の第3の実施形態に係る電気機器端末の動作を説明するためのフローチャート。
図15】本発明の第3の実施形態に係る電気機器端末が備える認証装置の構成図。
図16】本発明の第4の実施形態に係る電気機器端末の動作を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下添付図面を参照して本発明の実施形態に係る電源供給制御システム及び電気機器端末を説明する。各図において同一の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1に、本発明の第1の実施形態に係る電源供給制御システムの構成図を示す。本実施形態に係る電源供給制御システムは、電源供給システム500と電気機器端末100とを備える。電源供給システム500は、第1の周波数を共振点とする第1の磁界発生装置501と、第2の周波数を共振点とする第2の磁界発生装置502とを具備する。第1の磁界発生装置501と第2の磁界発生装置502と共に、磁界を発生させるもので、例えば円形のエリアA11と、エリアA11の中心のエリアA12とにおけるエリアA11の地面に設けられる。エリアA11とエリアA12の広さに制限はないが、第1の磁界発生装置501と第2の磁界発生装置502の磁界によってエリアA11においても発電が可能である。なお、エリアA11とエリアA12は、建物の中に存在しても良く、また屋外に存在しても良い。
【0010】
電気機器端末100は、図1においては人物Pが手に持っているが、手に持って移動できるものに限定されず、所定機能及び/または所定処理を行う電気機器本体部110を有する。この電気機器本体部110は、テレビや掃除機などの家電製品、或いはパーソナルコンピュータ等の電子機器、更には自動車など何らかのときに電気電源で動作する装置とすることができる。
【0011】
電気機器端末100には、電気機器本体部110以外に、制御用電源部140と電源供給制御部130とが備えられている。制御用電源部140には、発電素子141と昇圧回路142と昇圧制御部143とが備えられている。発電素子141は、上記第1の周波数と上記第2の周波数の中間点の周波数を中心として所定幅の周波数帯に感度を有し、磁界から発電を行うものである。即ち、第1の磁界発生装置501の共振点の周波数が図2のf1であり、第2の磁界発生装置502の共振点の周波数が図2のf2であるとき、この中間点の周波数f3(=(f1+f2)/2)を中心として、所定幅Wの周波数範囲に感度を有する。
【0012】
昇圧回路142は、上記発電素子141により発電された電圧を昇圧するものである。例えば、図3に示すように、上記発電素子141により発電される電圧は、30~100mVであり、これを電気機器本体部110の動作電圧である数V(1~5V)程度まで昇圧する。昇圧回路142の出力電圧の変化は、図3に示すようにする。30~100mVの電圧が例えば図1のエリアA11の最外縁付近で起電されたとして、この時刻がt1とする。次に人物PがエリアA12の方向へ移動して、エリアA11とエリアA12の境界付近に到達する時刻t2までには、電気機器本体部110の動作電圧にまで上昇するように、第1の磁界発生装置501と第2の磁界発生装置502の位置と磁界強度を設計し、また、昇圧回路142を設計する。
【0013】
また、第1の磁界発生装置501と第2の磁界発生装置502の位置と磁界強度の設計は、図4に示すように行うことができる。エリアA12の中心がグラフの最左端であり、本実施形態の昇圧回路142の出力電圧が図4の如く変化する。即ち、エリアA12の中心からエリアA11の適当な位置まで一定の出力が続き、その後、エリアA11の最外縁付近で発電可能から発電不可能となるように設計する。図4に破線で示す従来の昇圧回路出力に比べてエリアA12の中心から遥かに遠い距離まで電気機器本体部110の動作電圧への昇圧出力が可能である。
【0014】
制御用電源部140には、昇圧制御部143が設けられている。昇圧制御部143は、昇圧回路142の出力電圧を制御するもので、ユーザがスイッチ等で設定を行って昇圧回路142の出力電圧を選択することができる。例えば、図5に示すように、出力電圧A、出力電圧B、出力電圧Cのいずれかを選択することができる。勿論、3段階でなく、連続的に出力電圧を制御するようにしても良い。なお、電圧の大きさは、出力電圧A>出力電圧B>出力電圧Cとなっており、「しきい値」が電気機器本体部110へ与える基準の電圧である。この昇圧回路142には、特願2019-2965に記載のDC/DCコンバータを採用することができる。
【0015】
電源供給制御部130は、昇圧回路142からの電力で動作し、上記発電素子141が磁界を検出して発電を行っているときに上記昇圧回路142から上記電気機器本体部110への電源供給をオンとするものである。上記発電素子141が磁界を検出して発電を行っているか否かについては、電源供給制御部130が、発電素子141から出力される電圧を監視して、所定以上の電圧のときに「磁界を検出して発電を行っている」と判定するものとすることができる。上記電源供給制御部130は、上記発電素子141による磁界に基づく発電がなされているか否かに応じて上記電気機器本体部110への電源供給の継続または停止を行う。上記監視は、一定時間間隔で行うことができる。つまり、図6に示すように、同一時間間隔Tで監視を行う。この図6の例は、時刻t00において、磁界が所定以上であり、発電素子141から出力される電圧を監視して所定以上の電圧であった場合に、時刻t01、時刻t02、時刻t03、・・・と監視を行った場合を示すものである。
【0016】
以上のように構成された電源供給制御システムでは、図7に示されるフローチャートに沿って制御が行われる。電気機器端末100を保持する人物Pが図1に示すような磁界が発生されている環境に入る前から磁界検出を待つ状態にあり(STEP1)、磁界検出となるかを判定している状態にある(STEP2)。このSTEP1とSTEP2では、発電が行われていないので、機械が動作しているものではない。
【0017】
STEP2において、YESとなると(磁気)発電素子141による発電がなされ、発電された電圧が昇圧回路142によって昇圧され電気機器本体部110へ供給がなされる(STEP3)。次のSTEP4において磁界が所定強度であるかを、発電素子141から出力される電圧を監視して、所定以上の電圧であるかにより、電源供給制御部130が検出する(STEP4)。STEP4でYESとなると、STEP3が続けられる。この結果、図3によって説明した通り、時刻がt1でスタートし、人物PがエリアA12の方向へ移動して、エリアA11とエリアA12の境界付近に到達する時刻t2までには、電気機器本体部110の動作電圧にまで上昇が行われる。
【0018】
従って、本実施形態によれば、電気機器本体部110の動作が必要なエリアA12へ到着するまでには、電気機器本体部110の電源環境が整っており、特に待ち時間を要することなく電気機器本体部110を操作することができる。従って、電気機器本体部110が所定エリアに居るときに、当該電気機器本体部110をスマートフォンの如き端末として表示や音声で連絡や説明を行うような使用形態を的確に適用できる。即ち、エリアA11、A12に電気機器端末100がある限り、第1の磁界発生装置501の磁界強度と第2の磁界発生装置502の磁界強度とが変化し、図8のように第2の磁界発生装置502の磁界強度が弱くなっても、また、図9のように、第1の磁界発生装置501の磁界強度が弱くなっても、発電素子141の感度が図2により説明した通り、周波数f3(=(f1+f2)/2)を中心として、所定幅Wの周波数範囲に感度を有するため、必要な電圧を得ることができる発電が行われる。
【0019】
そして、図7のSTEP4でNOとなると、電気機器本体部110の給電が停止される(STEP5)。従って、電気機器本体部110の使用が認められない所、エリアA11、A12外)へ出たような場合には、無用な或いは不許可な電気機器本体部110の使用が行われることがなく、無駄のない適切な使用制限ができるシステムとなる。
【0020】
図10に第2の実施形態に係る電気機器端末100Aの構成を示す。本実施形態の電気機器端末100Aは、認証装置150を備える点において第2の実施形態に係る電気機器端末100と異なっており、その他の構成は同一である。認証装置150は、電源供給制御部130を介して制御用電源部140から動作電源の供給を受け、認識結果を電源供給制御部130へ与える。認証装置150は、生体認証装置であっても良いし、簡単にはパスワード認証を行う装置であっても良い。
【0021】
認証装置150は、例えば指紋認証装置であり、図11に示す構成を備えている。即ち、主メモリ21に格納されているプログラム及びデータを用いて指紋認証を行うCPU20が、各部を統括制御する構成を有している。CPU20には、バス22を介して、外部記憶インタフェース23、センサインタフェース24、表示インタフェース25、ネットワークインタフェース26が接続されている。
【0022】
外部記憶インタフェース23には、外部記憶装置33が接続されている。外部記憶装置33には、この電気機器110の使用が許される人の指紋データや指紋認証用プログラムなどが記憶されている。センサインタフェース24には、静電容量式指紋センサ34が接続されている。表示インタフェース25には、表示装置35が接続されている。表示装置35はLEDなどの小さなディスプレイを有するもので、認証結果について「この機器の使用が許可されました。」や「この機器の使用はできません。」などが表示される。ネットワークインタフェース26には、ネットワーク回線36が接続されており、このネットワーク回線36を介してこの電気機器システム100を管理するサーバなどから定期的に或いは不定期で、この電気機器110の使用が許される人の指紋データの更新データや指紋認証用プログラムの更新プログラムなどのダウンロードを行い、外部記憶装置33の内容の更新が行われる。
【0023】
以上のように構成された電気機器端末100Aは、図12に示すフローチャートに沿って処理を行うので、このフローチャートに基づき動作説明を行う。第1の実施形態に係る電気機器端末100の動作と同一のSTEPには、図7と同一の符号が付されている。STEP1、STEP2は、第1の実施形態と同様であり、磁界検出を待つ状態(STEP1)と、磁界検出できたかの判定状態にある(STEP2)。STEP2において、YESとなると(磁気)発電素子141による発電がなされ、発電された電圧が昇圧回路142によって昇圧され認証装置150へ供給がなされる(STEP3A)。STEP3Aに続いて認証ができたか判定され(STEP11)、NOとなると、表示装置35に「この機器の使用はできません。」などの表示を行い(STEP12)、現在給電中の機器である電気機器本体部110への給電を停止し(STEP5A)、処理を終了する。
【0024】
一方、STEP11においてYESへ分岐すると、電気機器本体部110へ供給がなされ、電気機器本体部110が使用可能な状態とされる(STEP3)。このSTEP3においては、表示装置35に「この機器の使用が許可されました。」などの表示を行っても良い。STEP3の以降には電気機器210の使用が行われ、発電素子141から出力される電圧を監視して、所定以上の電圧であるかにより、電源供給制御部130が検出する(STEP4)。STEP4でYESとなると、STEP3において電気機器本体部110の使用が続けられる。
【0025】
上記のようにして本実施形態では、認証処理が行われる結果、これに要する時間が必要であるが、基本的に第1の実施形態と同様に、電気機器本体部110の動作が必要なエリアA12へ到着するまでには、電気機器本体部110の電源環境が整っており、特に待ち時間を要することなく電気機器本体部110を操作することができる。図12のSTEP4でNOとなると、電気機器本体部110の給電が停止される(STEP5A)。
【0026】
図13に、第3の実施形態に係る電気機器端末100Tの構成を示す。この電気機器端末100Tでは、制御用電源部140Aと制御用電源部140Bが備えられており、いずれからも給電が可能となっている。
【0027】
制御用電源部140Aには、第1の発電素子141Aと第1の昇圧回路142Aが備えられている。制御用電源部140Bには、第2の発電素子141Bと第2の昇圧回路142Bが備えられている。第1の発電素子141Aは、第3の周波数帯に感度を有する。第2の発電素子141Bは、第4の周波数帯に感度を有する。第3の周波数帯と第4の周波数帯は、図2において説明した中間点の周波数f3(=(f1+f2)/2)を中心として、所定幅Wの周波数範囲に含まれる。第3の周波数帯と第4の周波数帯は、同一周波数体でも異なる周波数帯でも良い。
【0028】
第1の昇圧回路142Aは、昇圧制御部143の制御の基に、上記第1の発電素子141Aにより発電された電圧を何倍かに昇圧するもので、電気機器本体部110の動作可能電圧まで昇圧を行う。第2の昇圧回路142Bは、昇圧制御部143の制御の基に、上記第2の発電素子141Bにより発電された電圧を何倍かに昇圧するもので、電気機器本体部110の動作可能電圧まで昇圧を行う。
【0029】
電源供給制御部130は、上記第1の発電素子141Aまたは上記第2の発電素子141Bのうち、先に磁界を検出して発電を開始した発電素子により発電された電圧を昇圧する第1の昇圧回路142Aまたは第2の昇圧回路142Bを選択して、この昇圧回路から上記電気機器本体部110への電源供給を行う制御を行う。
【0030】
以上の構成を有する電気機器端末100Tは、図14に示すフローチャートのように動作を行う。即ち、電源供給制御部130は、先に磁界検出を行って発電を開始した発電素子側の昇圧回路からの電力を、電気機器本体部110へ供給し(STEP21)、現用の発電素子側の電圧(即ち、昇圧回路からの電圧)が過大又は過少となったかを所定の閾値を用いて検出する(STEP22)。なお、過大になる場合としては、磁界の発生源に極めて接近した場合などであり、過少となる場合としては、電気機器端末100Tの使用可能エリア或いは使用許可エリアから外れた場合などである。
【0031】
上記STEP22においてNOとなると、現状の給電状態を維持し(STEP23)、上記STEP22へ戻って処理を続ける。一方、上記STEP22においてYESとなると、現在選択している発電素子側とは別の発電素子側の電力(即ち、昇圧回路からの電力)を電気機器本体部110へ供給し(STEP24)、上記STEP22へ戻って処理を続ける。このような電力供給に関する間において、気機器端末100Tは、図7により説明した処理動作を行っている。斯くして本実施形態によれば、過大な電界により電気機器端末100Tが故障したり使用者が不測の被害を受けたりする可能性を極めて少なくでき、本来動作すべきエリアに居るが或る周波数帯で磁界検出ができ難くなるような障害からの復旧を図ることができる。
【0032】
図15に、第4の実施形態に係る電気機器端末100Fの構成を示す。この電気機器端末100Fは、第2の実施形態に係る電気機器端末100Aについて、制御用電源部140Aと制御用電源部140Bが備えられており、いずれからも給電が可能となっている。即ち、第2の実施形態と第3の実施形態の組み合わせに係る構成を採用したものである。
具体的な構成については、第3の実施形態において説明した通りであり、その説明を省略する。
【0033】
この第4の実施形態に係る電気機器端末100Fの動作フローチャートは図16に示す通りである。図16に示すフローチャートは、図14に示す第3の実施形態に係る電気機器端末100Tの動作フローチャートと略同一である。異なるステップは、STEP21FとSTEP24Fである。
【0034】
第3の実施形態のSTEP21を変更したSTEP21Fでは、先に磁界検出を行って発電を開始した発電素子側の昇圧回路からの電力を、電気機器本体部110と認証装置150のうち稼働中の機器へ供給する。また、第3の実施形態のSTEP24を変更したSTEP24Fでは、現在選択している発電素子側とは別の発電素子側の電力(即ち、昇圧回路からの電力)を、電気機器本体部110と認証装置150のうち稼働中の機器へ供給する。
【0035】
この第4の実施形態によれば、過大な電界により認証装置150を含む電気機器端末100Fが故障したり使用者が不測の被害を受けたりする可能性を極めて少なくでき、本来動作すべきエリアに居るにも拘らず或る周波数帯で磁界検出ができ難くなるような障害からの復旧を図ることができ、認証を含めた電気機器端末100Fの機能を遺憾なく発揮できる。
【符号の説明】
【0036】
A11、A12 エリア
100、100A、100F、100T 電気機器端末
110 電気機器本体部
130 電源供給制御部
140 、140A、140B 制御用電源部
141 発電素子
141A 第1の発電素子
141B 第2の発電素子
142 昇圧回路
142A 第1の昇圧回路
142B 第2の昇圧回路
143 昇圧制御部
150 認証装置
500 電源供給システム
501 第1の磁界発生装置
502 第2の磁界発生装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16