(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】半導体集積回路装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/82 20060101AFI20231012BHJP
【FI】
H01L21/82 B
H01L21/82 L
(21)【出願番号】P 2020563138
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(86)【国際出願番号】 JP2019049626
(87)【国際公開番号】W WO2020137746
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-11-16
(31)【優先権主張番号】P 2018242901
(32)【優先日】2018-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白木 陽子
【審査官】田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/025580(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/025597(WO,A1)
【文献】特表2014-505995(JP,A)
【文献】国際公開第2017/090389(WO,A1)
【文献】特開2011-49477(JP,A)
【文献】特開2007-13156(JP,A)
【文献】特開2018-67693(JP,A)
【文献】国際公開第2015/025441(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/82
H01L 21/822
H01L 21/8234
H01L 21/8238
H01L 27/04
H01L 27/088
H01L 27/092
H01L 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタンダードセルを含む半導体集積回路装置であって、
前記スタンダードセルは、
第1方向に延び、第1電源電圧を供給する第1電源配線と、
前記第1方向に延び、前記第1電源電圧と異なる第2電源電圧を供給する第2電源配線と、
平面視で前記第1電源配線と前記第2電源配線との間にある第1導電型の立体構造トランジスタである、第1トランジスタと、
深さ方向において前記第1トランジスタよりも上に形成されており、平面視で前記第1電源配線と前記第2電源配線との間にある第2導電型の立体構造トランジスタである、第2トランジスタと、
前記第1方向と垂直をなす方向である第2方向に延びており、前記第1トランジスタのソースまたはドレインと接続された第1ローカル配線と、
前記第2方向に延びており、前記第1ローカル配線と平面視で重なっており、前記第2トランジスタのソースまたはドレインと接続された第2ローカル配線とを備え、
前記第1および第2ローカル配線は、いずれも、平面視で、前記第1および第2電源配線と重なっている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記第1および第2ローカル配線は、いずれも、前記第1および第2電源配線と電気的に分離されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記第1ローカル配線と前記第2ローカル配線とは、コンタクトを介して接続されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項4】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記第1および第2ローカル配線は、前記第2方向における両端の位置がそろっている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項5】
スタンダードセルを含む半導体集積回路装置であって、
前記スタンダードセルは、
第1方向に延び、第1電源電圧を供給する第1電源配線と、
前記第1方向に延び、前記第1電源電圧を供給する第2電源配線と、
前記第1電源配線と前記第2電源配線との間において前記第1方向に延び、前記第1電源電圧と異なる第2電源電圧を供給する第3電源配線と、
平面視で前記第1電源配線と前記第3電源配線との間にある第1導電型の立体構造トランジスタである、第1トランジスタと、
深さ方向において前記第1トランジスタよりも上に形成されており、平面視で前記第1電源配線と前記第3電源配線との間にある第2導電型の立体構造トランジスタである、第2トランジスタと、
前記第1方向と垂直をなす方向である第2方向に延びており、前記第1トランジスタのソースまたはドレインと接続された第1ローカル配線と、
前記第2方向に延びており、前記第1ローカル配線と平面視で重なっており、前記第2トランジスタのソースまたはドレインと接続された第2ローカル配線とを備え、
前記第1および第2ローカル配線のうち少なくともいずれか一方は、平面視で、前記第1、第2および第3電源配線と重なっている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項6】
請求項5記載の半導体集積回路装置において、
前記少なくともいずれか一方のローカル配線は、前記第1、第2および第3電源配線と電気的に分離されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項7】
請求項5記載の半導体集積回路装置において、
前記第1および第2ローカル配線の両方が、平面視で、前記第1、第2および第3電源配線と重なっている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項8】
請求項7記載の半導体集積回路装置において、
前記第1ローカル配線と前記第2ローカル配線とは、コンタクトを介して接続されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項9】
請求項7記載の半導体集積回路装置において、
前記第1および第2ローカル配線は、前記第2方向における両端の位置がそろっている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項10】
請求項5記載の半導体集積回路装置において、
前記スタンダードセルは、
平面視で前記第2電源配線と前記第3電源配線との間にある前記第1導電型の立体構造トランジスタである、第3トランジスタと、
深さ方向において前記第3トランジスタよりも上に形成されており、平面視で前記第2電源配線と前記第3電源配線との間にある前記第2導電型の立体構造トランジスタである、第4トランジスタとを備え、
前記第1ローカル配線は、前記第3トランジスタのソースまたはドレインと接続されており、
前記第2ローカル配線は、前記第4トランジスタのソースまたはドレインと接続されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項11】
第1スタンダードセルと、前記第1スタンダードセルと第1方向において隣接配置された第2スタンダードセルとを含む半導体集積回路装置であって、
前記第1スタンダードセルは、
前記第1方向に延び、第1電源電圧を供給する第1電源配線と、
前記第1方向に延び、前記第1電源電圧と異なる第2電源電圧を供給する第2電源配線と、
平面視で前記第1電源配線と前記第2電源配線との間にある第1導電型の立体構造トランジスタである、第1トランジスタと、
深さ方向において前記第1トランジスタよりも上に形成されており、平面視で前記第1電源配線と前記第2電源配線との間にある第2導電型の立体構造トランジスタである、第2トランジスタとを備え、
前記第2スタンダードセルは、
前記第1方向に延び、前記第1電源電圧を供給する第3電源配線と、
前記第1方向に延び、前記第2電源電圧を供給する第4電源配線と、
平面視で前記第3電源配線と前記第4電源配線との間にある前記第1導電型の立体構造トランジスタである、第3トランジスタと、
深さ方向において前記第3トランジスタよりも上に形成されており、平面視で前記第3電源配線と前記第4電源配線との間にある前記第2導電型の立体構造トランジスタである、第4トランジスタとを備え、
前記第1スタンダードセルと前記第2スタンダードセルとの間の境界であるセル境界を挟んで、前記第1トランジスタと前記第3トランジスタとが対向しているとともに、前記第2トランジスタと前記第4トランジスタとが対向しており、
前記第1スタンダードセルは、
前記第1方向と垂直をなす方向である第2方向に延びており、前記第1トランジスタのソースまたはドレインのうち前記セル境界に近い方に接続された第1ローカル配線と、
前記第2方向に延びており、前記第1ローカル配線と平面視で重なっており、前記第2トランジスタのソースまたはドレインのうち前記セル境界に近い方に接続された第2ローカル配線とを備え、
前記第1および第2ローカル配線は、いずれも、平面視で、前記第1および第2電源配線と重なっている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、立体構造トランジスタを含むスタンダードセルを備えた半導体集積回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上に半導体集積回路を形成する方法として、スタンダードセル方式が知られている。スタンダードセル方式とは、特定の論理機能を有する基本的単位(例えば、インバータ,ラッチ,フリップフロップ,全加算器など)をスタンダードセルとして予め用意しておき、半導体基板上に複数のスタンダードセルを配置して、それらのスタンダードセルを配線で接続することによって、LSIチップを設計する方式のことである。
【0003】
また、LSIの基本構成要素であるトランジスタは、ゲート長の縮小(スケーリング)により、集積度の向上、動作電圧の低減、および動作速度の向上を実現してきた。しかし近年、過度なスケーリングによるオフ電流と、それによる消費電力の著しい増大が問題となっている。この問題を解決するため、トランジスタ構造を従来の平面型から立体型に変更した立体構造トランジスタが盛んに研究されている。
【0004】
非特許文献1,2では、新規デバイスとして、立体構造のP型FETとN型FETを基板に対して垂直方向に積層した立体構造デバイスと、これを用いたスタンダードセルが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Ryckaert J. et al., "The Complementary FET (CFET) for CMOS scaling beyond N3", 2018 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers
【文献】A. Mocuta et al., "Enabling CMOS Scaling Towards 3nm and Beyond", 2018 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書では、立体構造のP型FETとN型FETを基板に対して垂直方向に積層した立体構造デバイスのことを、非特許文献1の記載にならい、CFET(Complementary FET)と呼ぶことにする。また、基板に対して垂直をなす方向のことを、深さ方向と呼ぶ。
【0007】
微細プロセスにおいては、レイアウトパタンの仕上がりは、レイアウトパタンの粗密や周囲のパタン形状等によって左右される。レイアウトパタンの仕上がりがばらつくと、半導体集積回路の性能ばらつき、信頼性低下、歩留まり低下等の問題が発生する。また、周囲のパタンの形状が定まらないと、半導体集積回路の性能の予測性が低下する。
【0008】
本開示は、CFETを用いたスタンダードセルについて、レイアウトパタン形状のばらつきを抑制可能であり、かつ、半導体集積回路の性能の予測性を向上可能であるレイアウト構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1態様では、スタンダードセルを含む半導体集積回路装置であって、前記スタンダードセルは、第1方向に延び、第1電源電圧を供給する第1電源配線と、前記第1方向に延び、前記第1電源電圧と異なる第2電源電圧を供給する第2電源配線と、平面視で前記第1電源配線と前記第2電源配線との間にある第1導電型の立体構造トランジスタである、第1トランジスタと、深さ方向において前記第1トランジスタよりも上に形成されており、平面視で前記第1電源配線と前記第2電源配線との間にある第2導電型の立体構造トランジスタである、第2トランジスタと、前記第1方向と垂直をなす方向である第2方向に延びており、前記第1トランジスタのソースまたはドレインと接続された第1ローカル配線と、前記第2方向に延びており、前記第1ローカル配線と平面視で重なっており、前記第2トランジスタのソースまたはドレインと接続された第2ローカル配線とを備え、前記第1および第2ローカル配線は、いずれも、平面視で、前記第1および第2電源配線と重なっている。
【0010】
この態様によると、スタンダードセルにおいて、平面視で第1電源配線と第2電源配線との間に、第1導電型の立体構造トランジスタである第1トランジスタと、第2導電型の立体構造トランジスタである第2トランジスタとがある。第2トランジスタは、深さ方向において、第1トランジスタよりも上に形成されている。第1ローカル配線は第1トランジスタのソースまたはドレインと接続されており、第2ローカル配線は第2トランジスタのソースまたはドレインと接続されている。第1および第2ローカル配線は、第1および第2電源配線が延びる第1方向と垂直をなす第2方向に延びており、平面視で互いに重なっている。そして、第1および第2ローカル配線はいずれも、平面視で第1および第2電源配線と重なっている。すなわち、第1および第2ローカル配線は、論理機能を構成するためには必要としない冗長な部分を有している。これにより、半導体集積回路装置におけるローカル配線の粗密が低減されるとともに、第1および第2ローカル配線の周囲の配線パタン形状のばらつきが低減される。したがって、半導体集積回路の性能ばらつき、信頼性低下、歩留まり低下を抑制できるとともに、半導体集積回路の性能の予測性を向上させることができる。
【0011】
本開示の第2態様では、スタンダードセルを含む半導体集積回路装置であって、前記スタンダードセルは、第1方向に延び、第1電源電圧を供給する第1電源配線と、前記第1方向に延び、前記第1電源電圧を供給する第2電源配線と、前記第1電源配線と前記第2電源配線との間において前記第1方向に延び、前記第1電源電圧と異なる第2電源電圧を供給する第3電源配線と、平面視で前記第1電源配線と前記第3電源配線との間にある第1導電型の立体構造トランジスタである、第1トランジスタと、深さ方向において前記第1トランジスタよりも上に形成されており、平面視で前記第1電源配線と前記第3電源配線との間にある第2導電型の立体構造トランジスタである、第2トランジスタと、前記第1方向と垂直をなす方向である第2方向に延びており、前記第1トランジスタのソースまたはドレインと接続された第1ローカル配線と、前記第2方向に延びており、前記第1ローカル配線と平面視で重なっており、前記第2トランジスタのソースまたはドレインと接続された第2ローカル配線とを備え、前記第1および第2ローカル配線のうち少なくともいずれか一方は、平面視で、前記第1、第2および第3電源配線と重なっている。
【0012】
この態様によると、スタンダードセルにおいて、平面視で第1電源配線と第3電源配線との間に、第1導電型の立体構造トランジスタである第1トランジスタと、第2導電型の立体構造トランジスタである第2トランジスタとがある。第2トランジスタは、深さ方向において、第1トランジスタよりも上に形成されている。第1ローカル配線は第1トランジスタのソースまたはドレインと接続されており、第2ローカル配線は第2トランジスタのソースまたはドレインと接続されている。第1および第2ローカル配線は、第1、第2および第3電源配線が延びる第1方向と垂直をなす第2方向に延びており、平面視で互いに重なっている。そして、第1および第2ローカル配線のうち少なくともいずれか一方は、平面視で第1、第2および第3電源配線と重なっている。すなわち、第1および第2ローカル配線のうち少なくともいずれか一方は、論理機能を構成するためには必要としない冗長な部分を有している。これにより、半導体集積回路装置におけるローカル配線の粗密が低減されるとともに、第1および第2ローカル配線の周囲の配線パタン形状のばらつきが低減される。したがって、半導体集積回路の性能ばらつき、信頼性低下、歩留まり低下を抑制できるとともに、半導体集積回路の性能の予測性を向上させることができる。
【0013】
本開示の第3態様では、第1スタンダードセルと、前記第1スタンダードセルと第1方向において隣接配置された第2スタンダードセルとを含む半導体集積回路装置であって、前記第1スタンダードセルは、前記第1方向に延び、第1電源電圧を供給する第1電源配線と、前記第1方向に延び、前記第1電源電圧と異なる第2電源電圧を供給する第2電源配線と、平面視で前記第1電源配線と前記第2電源配線との間にある第1導電型の立体構造トランジスタである、第1トランジスタと、深さ方向において前記第1トランジスタよりも上に形成されており、平面視で前記第1電源配線と前記第2電源配線との間にある第2導電型の立体構造トランジスタである、第2トランジスタとを備え、前記第2スタンダードセルは、前記第1方向に延び、前記第1電源電圧を供給する第3電源配線と、前記第1方向に延び、前記第2電源電圧を供給する第4電源配線と、平面視で前記第3電源配線と前記第4電源配線との間にある前記第1導電型の立体構造トランジスタである、第3トランジスタと、深さ方向において前記第3トランジスタよりも上に形成されており、平面視で前記第3電源配線と前記第4電源配線との間にある前記第2導電型の立体構造トランジスタである、第4トランジスタとを備え、前記第1スタンダードセルと前記第2スタンダードセルとの間の境界であるセル境界を挟んで、前記第1トランジスタと前記第3トランジスタとが対向しているとともに、前記第2トランジスタと前記第4トランジスタとが対向しており、前記第1スタンダードセルは、前記第1方向と垂直をなす方向である第2方向に延びており、前記第1トランジスタのソースまたはドレインのうち前記セル境界に近い方に接続された第1ローカル配線と、前記第2方向に延びており、前記第1ローカル配線と平面視で重なっており、前記第2トランジスタのソースまたはドレインのうち前記セル境界に近い方に接続された第2ローカル配線とを備え、前記第1および第2ローカル配線は、いずれも、平面視で、前記第1および第2電源配線と重なっている。
【0014】
この態様によると、第1スタンダードセルにおいて、平面視で第1電源配線と第2電源配線との間に、第1導電型の立体構造トランジスタである第1トランジスタと、第2導電型の立体構造トランジスタである第2トランジスタとがある。第2トランジスタは、深さ方向において、第1トランジスタよりも上に形成されている。第2スタンダードセルにおいて、平面視で第3電源配線と第4電源配線との間に、第1導電型の立体構造トランジスタである第3トランジスタと、第2導電型の立体構造トランジスタである第4トランジスタとがある。第4トランジスタは、深さ方向において、第3トランジスタよりも上に形成されている。そして、第1および第2スタンダードセルのセル境界を挟んで、第1トランジスタと第3トランジスタとが対向し、第2トランジスタと第4トランジスタとが対向している。
【0015】
第1ローカル配線は第1トランジスタのソースまたはドレインのうちセル境界に近い方に接続されており、第2ローカル配線は第2トランジスタのソースまたはドレインのうちセル境界に近い方に接続されている。第1および第2ローカル配線は、第1および第2電源配線が延びる第1方向と垂直をなす第2方向に延びており、平面視で互いに重なっている。そして、第1および第2ローカル配線はいずれも、平面視で第1および第2電源配線と重なっている。このため、第1および第2ローカル配線は、論理機能を構成するためには必要としない冗長な部分を有している。これにより、第2スタンダードセルにおけるローカル配線の仕上がり寸法の予測性が上がるので、半導体集積回路の性能の予測性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によると、CFETを用いたスタンダードセルを含む半導体集積回路装置について、性能ばらつき、信頼性低下、歩留まり低下を抑制できるとともに、性能の予測性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】(a),(b)は第1実施形態に係るスタンダードセルのレイアウト構造の例を示す平面図
【
図2】
図1のレイアウト構造の平面視横方向における断面図
【
図3】(a)~(c)は
図1のレイアウト構造の平面視縦方向における断面図
【
図5】(a),(b)は第1実施形態に係るスタンダードセルのレイアウト構造の他の例を示す平面図
【
図7】(a),(b)は
第1実施形態に係るスタンダードセルのレイアウト構造の
他の例を示す平面図
【
図9】(a),(b)は第2実施形態に係るスタンダードセルのレイアウト構造の例を示す平面図
【
図11】各実施形態で示したスタンダードセルを用いた回路ブロックのレイアウトの例
【
図12】各実施形態で示したスタンダードセルを用いた回路ブロックのレイアウトの例
【
図13】CFETを備えた半導体装置の構造を示す断面図
【
図14】CFETを備えた半導体装置の構造を示す断面図
【
図15】CFETを備えた半導体装置の構造を示す断面図
【
図16】CFETを備えた半導体装置の構造を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。以下の実施の形態では、半導体集積回路装置は複数のスタンダードセル(本明細書では、適宜、単にセルという)を備えており、この複数のスタンダードセルのうち少なくとも一部は、CFET、すなわち、立体構造のP型FETとN型FETを基板に対して垂直方向に積層した立体構造デバイスを備えるものとする。
【0019】
まず、CFETの基本構造について説明する。
図13~
図16はCFETを備えた半導体装置の構造を示す図であり、
図13はX方向における断面図、
図14はY方向におけるゲート部分の断面図、
図15はY方向におけるソース・ドレイン部分の断面図、
図16は平面図である。なお、X方向はナノワイヤが延びる方向、Y方向はゲートが延びる方向、Z方向は基板面と垂直をなす方向としている。また、
図13~
図16は概略図であり、各部の寸法や位置等は必ずしも整合していない。
【0020】
この半導体装置では、シリコン(Si)基板等の半導体基板301の表面に素子分離領域302が形成されており、素子分離領域302により、素子活性領域30aが画定されている。素子活性領域30aでは、P型FET上にN型FETが形成されている。
【0021】
素子活性領域30aでは、半導体基板301上に積層トランジスタ構造390aが形成されている。積層トランジスタ構造390aは、半導体基板301上に形成されたゲート構造391を含む。ゲート構造391は、ゲート電極356、複数のナノワイヤ358、ゲート絶縁膜355、絶縁膜357を含む。ゲート電極356は、Y方向に延び、Z方向に立ち上がる。ナノワイヤ358は、X方向でゲート電極356を貫通し、Y方向及びZ方向に配列されている。ゲート絶縁膜355は、ゲート電極356とナノワイヤ358との間に形成されている。ゲート電極356及びゲート絶縁膜355は、X方向において、ナノワイヤ358の両端から後退した位置に形成されており、この後退した部分に絶縁膜357が形成されている。半導体基板301上に、絶縁膜357の両脇において、絶縁膜316が形成されている。321,322は層間絶縁膜である。
【0022】
また、
図14に示すように、ゲート電極356は、開口部375に設けられたビア385によって、上層の配線と接続される。
【0023】
例えば、ゲート電極356には、チタン、チタン窒化物又は多結晶シリコン等を用いることができる。例えば、ゲート絶縁膜355には、ハフニウム酸化物、アルミニウム酸化物又はハフニウム及びアルミニウムの酸化物等の高誘電率材料を用いることができる。例えば、ナノワイヤ358にはシリコン等を用いることができる。例えば、絶縁膜316、絶縁膜357には、シリコン酸化物又はシリコン窒化物等を用いることができる。
【0024】
この半導体装置では、Z方向に配列するナノワイヤ358の本数は4であり、素子活性領域30aでは、半導体基板301側の2本のナノワイヤ358の各端部にp型半導体層331pが形成されている。p型半導体層331pに接する2つのローカル配線386がX方向でゲート構造391を挟むようにして形成されている。また、半導体基板101から離間する側の2本のナノワイヤ358の各端部にn型半導体層341nが形成されている。n型半導体層341nに接する2つのローカル配線388がX方向でゲート構造391を挟むようにして形成されている。ローカル配線386とローカル配線388との間に絶縁膜332が形成されている。ローカル配線388の上に絶縁膜389が形成されている。例えば、p型半導体層331pはp型SiGe層であり、n型半導体層341nはn型Si層である。例えば、絶縁膜332には、シリコン酸化物又はシリコン窒化物等を用いることができる。
【0025】
また、
図15に示すように、ローカル配線388は、ビア3071を介して、埋め込み配線3101と接続される。ローカル配線386は、ビア3072を介して、埋め込み配線3102と接続される。
【0026】
このように、積層トランジスタ構造390aは、ゲート電極356、ナノワイヤ358、ゲート絶縁膜355及びP型半導体層331pを含むP型FETを有する。このP型FETでは、一方のP型半導体層331pがソース領域として機能し、他方のP型半導体層331pがドレイン領域として機能し、ナノワイヤ358がチャネルとして機能する。積層トランジスタ構造390aは、ゲート電極356、ナノワイヤ358、ゲート絶縁膜355及びN型半導体層341nを含むN型FETも有する。このN型FETでは、一方のN型半導体層341nがソース領域として機能し、他方のN型半導体層341nがドレイン領域として機能し、ナノワイヤ358がチャネルとして機能する。
【0027】
なお、積層トランジスタ構造より上層については、ビアおよび金属配線によりトランジスタ間の配線等が行われるが、これらは既知の配線プロセスによって実現が可能である。
【0028】
なお、ここでは、P型FETおよびN型FETにおけるナノワイヤの本数は、それぞれ、Y方向に4本、Z方向に2本、計8本ずつであるものとしたが、ナノワイヤの本数はこれに限られるものではない。また、P型FETとN型FETのナノワイヤの本数は、異なっていてもかまわない。
【0029】
また、本明細書では、ナノワイヤの両端に形成され、トランジスタのソースまたはドレインとなる端子を構成する半導体層部のことを「パッド」という。上述したCFETの基本構造例では、p型半導体層331pおよびn型半導体層341nが、パッドに相当する。
【0030】
また、以降の実施形態における平面図および断面図においては、各絶縁膜等の記載は省略することがある。また、以降の実施形態における平面図および断面図については、ナノワイヤおよびその両側のパッドを、簡易化した直線状の形状で記載することがある。また、本明細書において、「同一サイズ」等のように、サイズ等が同じであることを意味する表現は、製造上のばらつき範囲を含んでいるものとする。
【0031】
(第1実施形態)
図1~
図3は第1実施形態に係るセルのレイアウト構造の例を示す図であり、
図1(a),(b)は平面図、
図2は平面視横方向における断面図、
図3(a)~(c)は平面視縦方向における断面図である。具体的には、
図1(a)は下部、すなわち基板に近い側に形成された立体構造トランジスタ(ここではP型ナノワイヤFET)を含む部分を示し、
図1(b)は上部、すなわち基板から遠い側に形成された立体構造トランジスタ(ここではN型ナノワイヤFET)を含む部分を示す。
図2は線X1-X1’の断面、
図3(a)は線Y1-Y1’の断面、
図3(b)は線Y2-Y2’の断面、
図3(c)は線Y3-Y3’の断面である。
【0032】
また
図4は
図1~
図3に示すセルの回路図である。
図4に示すように、
図1~
図3に示すセルは、P型トランジスタP1およびN型トランジスタN1を有し、入力A、出力Yのインバータ回路を実現している。
【0033】
なお、以下の説明では、
図1等の平面図において、図面横方向をX方向(第1方向に相当)、図面縦方向をY方向(第2方向に相当)、基板面に垂直な方向をZ方向(深さ方向に相当)としている。また、
図1等の平面図において縦横に走る点線、および、
図2等の断面図において縦に走る点線は、設計時に部品配置を行うために用いるグリッドを示す。グリッドは、X方向において等間隔に配置されており、またY方向において等間隔に配置されている。なお、グリッド間隔は、X方向とY方向とにおいて同じであってもよいし異なっていてもよい。また、グリッド間隔は、層ごとに異なっていてもかまわない。さらに、各部品は必ずしもグリッド上に配置される必要はない。ただし、製造ばらつきを抑制する観点から、部品はグリッド上に配置される方が好ましい。
【0034】
図1(a)に示すように、セルのY方向における両端において、X方向に延びる電源配線11,12がそれぞれ設けられている。電源配線11,12はともに、埋め込み配線層に形成された埋め込み電源配線(BPR:Buried Power Rail)である。電源配線11は電源電圧VDDを供給し、電源配線12は電源電圧VSSを供給する。
【0035】
M1配線層には、X方向に延びる配線61,62が形成されている。配線61は入力A、配線62は出力Yに相当する。
【0036】
セルの下部には、X方向に延びるナノワイヤ21が形成されており、セルの上部には、X方向に延びるナノワイヤ26が形成されている。ナノワイヤ21,26は、平面視で重なっている。ナノワイヤ21の両端に、P型半導体がドーピングされたパッド22a,22bが形成されている。ナノワイヤ26の両端に、N型半導体がドーピングされたパッド27a,27bが形成されている。ナノワイヤ21がP型トランジスタP1のチャネル部を構成し、パッド22a,22bがP型トランジスタP1のソースまたはドレインとなる端子を構成する。ナノワイヤ26がN型トランジスタN1のチャネル部を構成し、パッド27a,27bがN型トランジスタN1のソースまたはドレインとなる端子を構成する。P型トランジスタP1は、Z方向において埋め込み配線層よりも上に形成されており、N型トランジスタN1は、Z方向においてP型トランジスタP1よりも上に形成されている。
【0037】
ゲート配線31は、セルのX方向におけるほぼ中央においてY方向に延びており、かつ、セルの下部から上部にかけてZ方向に延びている。ゲート配線31は、P型トランジスタP1およびN型トランジスタN1のゲートとなる。すなわち、ナノワイヤ21、ゲート配線31、およびパッド22a,22bによって、P型トランジスタP1が構成される。ナノワイヤ26、ゲート配線31、およびパッド27a,27bによって、N型トランジスタN1が構成される。また、セルのX方向における両端に、ダミーゲート配線35a,35bが形成されている。ダミーゲート配線35a,35bは、ゲート配線31と同様に、Y方向およびZ方向に延びている。
【0038】
セルの下部において、Y方向に延びるローカル配線41,42が形成されている。ローカル配線41は、パッド22aと接続されている。ローカル配線42は、パッド22bと接続されている。セルの上部において、Y方向に延びるローカル配線43,44が形成されている。ローカル配線43は、パッド27aと接続されている。ローカル配線44は、パッド27bと接続されている。
【0039】
ローカル配線41は、電源配線11と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト51を介して、電源配線11と接続されている。コンタクト51は、平面視で電源配線11とローカル配線41とが重なる位置に形成されている。ローカル配線43は、電源配線12と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト52を介して、電源配線12と接続されている。コンタクト52は、平面視で電源配線12とローカル配線43とが重なる位置に形成されている。ローカル配線42,44は、コンタクト53を介して接続されている。コンタクト53は、平面視でローカル配線42とローカル配線44とが重なる位置に形成されている。
【0040】
配線61は、コンタクト71を介して、ゲート配線31と接続されている。配線62は、コンタクト72を介して、ローカル配線44と接続されている。
【0041】
ここで、本実施形態に係るセルのレイアウト構造では、ローカル配線が、論理機能を構成するためには必要としない冗長な部分を有している。これにより、半導体集積回路装置においてローカル配線の粗密が低減されるとともに、当該ローカル配線の周囲の配線形状のばらつきが低減される。
【0042】
具体的には、ローカル配線42,43,44は、平面視で電源配線11,12の両方と重なる位置まで延びている。ローカル配線42,44は、コンタクト53を介して接続されているが、電源配線11,12とは電気的に分離されている。平面視で重なっているローカル配線42,44は、Y方向において長さおよび両端の位置がそろっている。
【0043】
すなわち、ローカル配線42はトランジスタP1のドレインを出力Yに接続するための配線であり、ローカル配線44はトランジスタN1のドレインを出力Yに接続するための配線である。このため、ローカル配線42,44は、出力YとなるM1配線62に接続できるように形成すればよく、平面視で電源配線12と重なる位置まで延ばす必要はない。ところが本実施形態では、ローカル配線42,44はY方向下向きに延ばされており、平面視で電源配線12と重なっている。
【0044】
また、ローカル配線43は、トランジスタN1のソースに電源電圧VSSを供給するための配線である。このため、ローカル配線43は、電源配線12と接続できるように形成すればよく、平面視で電源配線11と重なる位置まで延ばす必要はない。ところが本実施形態では、ローカル配線43はY方向上向きに延ばされており、平面視で電源配線11と重なっている。
【0045】
以上のように本実施形態によると、ローカル配線42とローカル配線44は、Y方向に延びており、平面視で互いに重なっている。ローカル配線42,44はいずれも、平面視で電源配線11,12と重なっている。すなわち、ローカル配線42,44は、論理機能を構成するためには必要としない冗長な部分を有している。これにより、半導体集積回路装置におけるローカル配線の粗密が低減されるとともに、ローカル配線42,44の周囲の配線パタン形状のばらつきが低減される。したがって、半導体集積回路の性能ばらつき、信頼性低下、歩留まり低下を抑制できるとともに、半導体集積回路の性能の予測性を向上させることができる。
【0046】
なお、平面視で重なっているローカル配線42,44は、Y方向において、長さおよび両端の位置がそろっているが、そろっていなくてもかまわない。
【0047】
(他の例その1)
図5は第1実施形態に係るセルのレイアウト構造の他の例を示す平面図であり、(a)はP型ナノワイヤFETを含む下部、(b)はN型ナノワイヤFETを含む上部を示す。また
図6は
図5に示すセルの回路図である。
図6に示すように、
図5に示すセルは、P型トランジスタP11,P12およびN型トランジスタN11,N12を有し、入力A,B、出力Yの2入力NAND回路を実現している。なお、セルの断面構造は、第1実施形態で示した
図2および
図3を参照して、理解することができる。
【0048】
M1配線層には、X方向に延びる配線161,162,163が形成されている。配線161は入力A、配線162は入力B、配線163は出力Yに相当する。
【0049】
セルの下部には、X方向に延びるナノワイヤ121a,121bが形成されており、セルの上部には、X方向に延びるナノワイヤ126a,126bが形成されている。ナノワイヤ121aの図面左側に、P型半導体がドーピングされたパッド122aが形成されており、ナノワイヤ121bの図面右側に、P型半導体がドーピングされたパッド122bが形成されている。また、ナノワイヤ121a,121bの間に、P型半導体がドーピングされたパッド122cが形成されている。ナノワイヤ126aの図面左側に、N型半導体がドーピングされたパッド127aが形成されており、ナノワイヤ126bの図面右側に、N型半導体がドーピングされたパッド127bが形成されている。また、ナノワイヤ126a,126bの間に、N型半導体がドーピングされたパッド127cが形成されている。
【0050】
ゲート配線131,132は、Y方向に延びており、かつ、セルの下部から上部にかけてZ方向に延びている。ゲート配線131は、P型トランジスタP11およびN型トランジスタN11のゲートとなり、ゲート配線132は、P型トランジスタP12およびN型トランジスタN12のゲートとなる。また、セルのX方向における両端に、ダミーゲート配線135a,135bが形成されている。ダミーゲート配線135a,135bは、ゲート配線131,132と同様に、Y方向およびZ方向に延びている。
【0051】
セルの下部において、Y方向に延びるローカル配線141,142,143が形成されている。ローカル配線141は、パッド122aと接続されている。ローカル配線142は、パッド122bと接続されている。ローカル配線143は、パッド122cと接続されている。セルの上部において、Y方向に延びるローカル配線144,145,146が形成されている。ローカル配線144は、パッド127aと接続されている。ローカル配線145は、パッド127bと接続されている。ローカル配線146は、パッド127cと接続されている。
【0052】
ローカル配線141は、電源配線11と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト151を介して、電源配線11と接続されている。ローカル配線142は、電源配線11と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト152を介して、電源配線11と接続されている。ローカル配線144は、電源配線12と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト153を介して、電源配線12と接続されている。
【0053】
配線161は、コンタクト171を介して、ゲート配線131と接続されている。配線162は、コンタクト172を介して、ゲート配線132と接続されている。配線163は、コンタクト173を介して、ローカル配線145と接続されており、また、コンタクト174を介して、ローカル配線143と接続されている。
【0054】
ここで、本例に係るセルのレイアウト構造でも、ローカル配線が、論理機能を構成するためには必要としない冗長な部分を有している。これにより、半導体集積回路装置におけるローカル配線の粗密が低減されるとともに、当該ローカル配線の周囲の配線形状のばらつきが低減される。
【0055】
具体的には、ローカル配線142,143,144,145は、平面視で電源配線11,12の両方と重なる位置まで延びている。平面視で重なっているローカル配線142,145は、Y方向において、長さおよび両端の位置がそろっている。また、ローカル配線146は、平面視で電源配線12と重なる位置まで延びている。
【0056】
すなわち、ローカル配線142は、トランジスタP12のソースに電源電圧VDDを供給するための配線である。このため、ローカル配線142は、電源配線11と接続できるように形成すればよく、平面視で電源配線12と重なる位置まで延ばす必要はない。また、ローカル配線143は、トランジスタP11,P12のドレインを出力Yに接続するための配線である。このため、ローカル配線143は、出力YとなるM1配線163に接続できるように形成すればよく、平面視で電源配線12と重なる位置まで延ばす必要はない。ところが本例では、ローカル配線142,143はY方向下向きに延ばされており、平面視で電源配線12と重なっている。
【0057】
また、ローカル配線144は、トランジスタN11のソースに電源電圧VSSを供給するための配線である。このため、ローカル配線144は、電源配線12と接続できるように形成すればよく、平面視で電源配線11と重なる位置まで延ばす必要はない。ところが本例では、ローカル配線144はY方向上向きに延ばされており、平面視で電源配線11と重なっている。
【0058】
また、ローカル配線145は、トランジスタN12のドレインを出力Yに接続するための配線である。このため、ローカル配線145は、出力YとなるM1配線163に接続できるように形成すればよく、平面視で電源配線12と重なる位置まで延ばす必要はない。また、ローカル配線146は、トランジスタN11,N12の接続ノードとなる配線である。
図6の回路図から分かるとおり、トランジスタN11,N12の接続ノードは他の配線と接続されていない。このため、ローカル配線146は、平面視で電源配線12と重なる位置まで延ばす必要はない。ところが本例では、ローカル配線145,146はY方向下向きに延ばされており、平面視で電源配線12と重なっている。
【0059】
以上のように本例によると、ローカル配線142とローカル配線145は、Y方向に延びており、平面視で互いに重なっている。ローカル配線142,145はいずれも、平面視で電源配線11,12と重なっている。すなわち、ローカル配線142,145は、論理機能を構成するためには必要としない冗長な部分を有している。これにより、半導体集積回路装置におけるローカル配線の粗密が低減されるとともに、ローカル配線142,145の周囲の配線パタン形状のばらつきが低減される。したがって、半導体集積回路の性能ばらつき、信頼性低下、歩留まり低下を抑制できるとともに、半導体集積回路の性能の予測性を向上させることができる。
【0060】
また、他の配線と接続されないトランジスタN11,N12の接続ノードとなるローカル配線146が、冗長な部分を有している。これにより、半導体集積回路装置におけるローカル配線の粗密がさらに低減されるとともに、ローカル配線146の周囲の配線パタン形状のばらつきがさらに低減される。
【0061】
なお、平面視で重なっているローカル配線142,145は、Y方向において、長さおよび両端の位置がそろっていなくてもかまわない。
【0062】
(他の例その2)
図7は第1実施形態に係るセルのレイアウト構造の他の例を示す平面図であり、(a)はP型ナノワイヤFETを含む下部、(b)はN型ナノワイヤFETを含む上部を示す。また
図8は
図7に示すセルの回路図である。
図8に示すように、
図7に示すセルは、P型トランジスタP21,P22およびN型トランジスタN21,N22を有し、入力A,B、出力Yの2入力NOR回路を実現している。なお、セルの断面構造は、第1実施形態で示した
図2および
図3を参照して、理解することができる。
【0063】
M1配線層には、X方向に延びる配線261,262,263が形成されている。配線261は入力A、配線262は入力B、配線263は出力Yに相当する。
【0064】
セルの下部には、X方向に延びるナノワイヤ221a,221bが形成されており、セルの上部には、X方向に延びるナノワイヤ226a,226bが形成されている。ナノワイヤ221aの図面左側に、P型半導体がドーピングされたパッド222aが形成されており、ナノワイヤ221bの図面右側に、P型半導体がドーピングされたパッド222bが形成されている。また、ナノワイヤ221a,221bの間に、P型半導体がドーピングされたパッド222cが形成されている。ナノワイヤ226aの図面左側に、N型半導体がドーピングされたパッド227aが形成されており、ナノワイヤ226bの図面右側に、N型半導体がドーピングされたパッド227bが形成されている。また、ナノワイヤ226a,226bの間に、N型半導体がドーピングされたパッド227cが形成されている。
【0065】
ゲート配線231,232は、Y方向に延びており、かつ、セルの下部から上部にかけてZ方向に延びている。ゲート配線231は、P型トランジスタP21およびN型トランジスタN21のゲートとなり、ゲート配線232は、P型トランジスタP22およびN型トランジスタN22のゲートとなる。また、セルのX方向における両端に、ダミーゲート配線235a,235bが形成されている。ダミーゲート配線235a,235bは、ゲート配線231,232と同様に、Y方向およびZ方向に延びている。
【0066】
セルの下部において、Y方向に延びるローカル配線241,242,243が形成されている。ローカル配線241は、パッド222aと接続されている。ローカル配線242は、パッド222bと接続されている。ローカル配線243は、パッド222cと接続されている。セルの上部において、Y方向に延びるローカル配線244,245,246が形成されている。ローカル配線244は、パッド227aと接続されている。ローカル配線245は、パッド227bと接続されている。ローカル配線246は、パッド227cと接続されている。
【0067】
ローカル配線241は、電源配線11と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト251を介して、電源配線11と接続されている。ローカル配線244は、電源配線12と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト252を介して、電源配線12と接続されている。ローカル配線245は、電源配線12と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト253を介して、電源配線12と接続されている。
【0068】
配線261は、コンタクト271を介して、ゲート配線231と接続されている。配線262は、コンタクト272を介して、ゲート配線232と接続されている。配線263は、コンタクト273を介して、ローカル配線242と接続されており、また、コンタクト274を介して、ローカル配線246と接続されている。
【0069】
ここで、本例に係るセルのレイアウト構造でも、ローカル配線が、論理機能を構成するためには必要としない冗長な部分を有している。これにより、半導体集積回路装置におけるローカル配線の粗密が低減されるとともに、当該ローカル配線の周囲の配線形状のばらつきが低減される。
【0070】
具体的には、ローカル配線243,244,246は、平面視で電源配線11,12の両方と重なる位置まで延びている。平面視で重なっているローカル配線243,246は、Y方向において、長さおよび両端の位置がそろっている。また、ローカル配線246は、平面視で電源配線12と重なる位置まで延びている。
【0071】
すなわち、ローカル配線243は、トランジスタP21,P22の接続ノードとなる配線である。
図8の回路図から分かるとおり、トランジスタP21,P22の接続ノードは、他の配線と接続されていない。このため、ローカル配線243は、平面視で電源配線11,12と重なる位置まで延ばす必要はない。ところが本例では、ローカル配線243はY方向において両方の向きに延ばされており、平面視で電源配線11,12と重なっている。
【0072】
また、ローカル配線244は、トランジスタN21のソースに電源電圧VSSを供給するための配線である。このため、ローカル配線244は、電源配線12と接続できるように形成すればよく、平面視で電源配線11と重なる位置まで延ばす必要はない。ところが本例では、ローカル配線244はY方向上向きに延ばされており、平面視で電源配線11と重なっている。
【0073】
また、ローカル配線246は、トランジスタN21,N22のドレインを出力Yに接続するための配線である。このため、ローカル配線246は、出力YとなるM1配線263に接続できるように形成すればよく、平面視で電源配線12と重なる位置まで延ばす必要はない。ところが本例では、ローカル配線246はY方向下向きに延ばされており、平面視で電源配線12と重なっている。
【0074】
以上のように本例によると、ローカル配線243とローカル配線246は、Y方向に延びており、平面視で互いに重なっている。ローカル配線243,246はいずれも、平面視で電源配線11,12と重なっている。すなわち、ローカル配線243,246は、論理機能を構成するためには必要としない冗長な部分を有している。これにより、半導体集積回路装置におけるローカル配線の粗密が低減されるとともに、ローカル配線243,246の周囲の配線パタン形状のばらつきが低減される。したがって、半導体集積回路の性能ばらつき、信頼性低下、歩留まり低下を抑制できるとともに、半導体集積回路の性能の予測性を向上させることができる。
【0075】
また、他の配線と接続されないトランジスタP21,P22の接続ノードとなるローカル配線243が、冗長な部分を有している。これにより、半導体集積回路装置におけるローカル配線の粗密がさらに低減されるとともに、ローカル配線243の周囲の配線形状のばらつきがさらに低減される。
【0076】
なお、平面視で重なっているローカル配線243,246は、Y方向において、長さおよび両端の位置がそろっていなくてもかまわない。
【0077】
(第2実施形態)
図9は第2実施形態に係るセルのレイアウト構造の例を示す平面図であり、(a)はP型ナノワイヤFETを含む下部、(b)はN型ナノワイヤFETを含む上部を示す。
図9に示すセルは、いわゆるダブルハイトセルであり、第1実施形態で示したセル(シングルハイトセル)の2倍の高さ(Y方向におけるサイズ)を有する。また
図10は
図9に示すセルの回路図である。
図10に示すように、
図9に示すセルは、P型トランジスタP41,P42,P43,P44,P45,P46およびN型トランジスタN41,N42,N43,N44,N45,N46を有し、入力A,B,C、出力Yの3入力NAND回路を実現している。なお、セルの断面構造は、第1実施形態で示した
図2および
図3を参照して、理解することができる。
【0078】
図9(a)に示すように、セルのY方向における両端において、X方向に延びる電源配線411,412がそれぞれ設けられている。また、セルのY方向における中央部において、X方向に延びる電源配線413が設けられている。電源配線413のY方向における幅は、電源配線411,412のほぼ2倍になっている。電源配線411,412,413はいずれも、埋め込み配線層に形成されたBPRである。電源配線411,412は電源電圧VDDを供給し、電源配線413は電源電圧VSSを供給する。
【0079】
M1配線層には、X方向に延びる配線461,462,463,464が形成されている。配線461は入力A、配線462は入力B、配線463は入力C、配線464は出力Yに相当する。
【0080】
電源配線411,413の間の領域において、セルの下部には、X方向に延びるナノワイヤ421a,421b,421cが形成されており、セルの上部には、X方向に延びるナノワイヤ425a,425b,425cが形成されている。ナノワイヤ421a,421b,421cとナノワイヤ425a,425b,425cは、平面視で重なっている。
【0081】
ナノワイヤ421aの図面左側に、P型半導体がドーピングされたパッド422aが形成されている。ナノワイヤ421a,421bの間に、P型半導体がドーピングされたパッド422bが形成されている。ナノワイヤ421b,421cの間に、P型半導体がドーピングされたパッド422cが形成されている。ナノワイヤ421cの図面右側に、P型半導体がドーピングされたパッド422dが形成されている。ナノワイヤ421aがP型トランジスタP41のチャネル部を構成し、パッド422a,422bがP型トランジスタP41のソースまたはドレインとなる端子を構成する。ナノワイヤ421bがP型トランジスタP42のチャネル部を構成し、パッド422b,422cがP型トランジスタP42のソースまたはドレインとなる端子を構成する。ナノワイヤ421cがP型トランジスタP43のチャネル部を構成し、パッド422c,422dがP型トランジスタP43のソースまたはドレインとなる端子を構成する。
【0082】
ナノワイヤ425aの図面左側に、N型半導体がドーピングされたパッド426aが形成されている。ナノワイヤ425a,425bの間に、N型半導体がドーピングされたパッド426bが形成されている。ナノワイヤ425b,425cの間に、N型半導体がドーピングされたパッド426cが形成されている。ナノワイヤ425cの図面右側に、N型半導体がドーピングされたパッド426dが形成されている。ナノワイヤ425aがN型トランジスタN41のチャネル部を構成し、パッド426a,426bがN型トランジスタN41のソースまたはドレインとなる端子を構成する。ナノワイヤ425bがN型トランジスタN42のチャネル部を構成し、パッド426b,426cがN型トランジスタN42のソースまたはドレインとなる端子を構成する。ナノワイヤ425cがN型トランジスタN43のチャネル部を構成し、パッド426c,426dがN型トランジスタN43のソースまたはドレインとなる端子を構成する。
【0083】
電源配線412,413の間の領域において、セルの下部には、X方向に延びるナノワイヤ423a,423b,423cが形成されており、セルの上部には、X方向に延びるナノワイヤ427a,427b,427cが形成されている。ナノワイヤ423a,423b,423cとナノワイヤ427a,427b,427cは、平面視で重なっている。
【0084】
ナノワイヤ423aの図面左側に、P型半導体がドーピングされたパッド424aが形成されている。ナノワイヤ423a,423bの間に、P型半導体がドーピングされたパッド424bが形成されている。ナノワイヤ423b,423cの間に、P型半導体がドーピングされたパッド424cが形成されている。ナノワイヤ423cの図面右側に、P型半導体がドーピングされたパッド424dが形成されている。ナノワイヤ423aがP型トランジスタP44のチャネル部を構成し、パッド424a,424bがP型トランジスタP44のソースまたはドレインとなる端子を構成する。ナノワイヤ423bがP型トランジスタP45のチャネル部を構成し、パッド424b,424cがP型トランジスタP45のソースまたはドレインとなる端子を構成する。ナノワイヤ423cがP型トランジスタP46のチャネル部を構成し、パッド424c,424dがP型トランジスタP46のソースまたはドレインとなる端子を構成する。
【0085】
ナノワイヤ427aの図面左側に、N型半導体がドーピングされたパッド428aが形成されている。ナノワイヤ427a,427bの間に、N型半導体がドーピングされたパッド428bが形成されている。ナノワイヤ427b,427cの間に、N型半導体がドーピングされたパッド428cが形成されている。ナノワイヤ427cの図面右側に、N型半導体がドーピングされたパッド428dが形成されている。ナノワイヤ427aがN型トランジスタN44のチャネル部を構成し、パッド428a,428bがN型トランジスタN44のソースまたはドレインとなる端子を構成する。ナノワイヤ427bがN型トランジスタN45のチャネル部を構成し、パッド428b,428cがN型トランジスタN45のソースまたはドレインとなる端子を構成する。ナノワイヤ427cがN型トランジスタN46のチャネル部を構成し、パッド428c,428dがN型トランジスタN46のソースまたはドレインとなる端子を構成する。
【0086】
ゲート配線431,432,433は、Y方向に延びており、かつ、セルの下部から上部にかけてZ方向に延びている。ゲート配線431,432,433は、電源配線411から電源配線412までの領域に形成されている。ゲート配線431は、P型トランジスタP41,P44およびN型トランジスタN41,N44のゲートとなる。ゲート配線432は、P型トランジスタP42,P45およびN型トランジスタN42,N45のゲートとなる。ゲート配線433は、P型トランジスタP43,P46およびN型トランジスタN43,N46のゲートとなる。また、セルのX方向における両端に、ダミーゲート配線435a,435bが形成されている。ダミーゲート配線435a,435bは、ゲート配線431,432,433と同様に、Y方向およびZ方向に延びている。
【0087】
セルの下部において、Y方向に延びるローカル配線441,442,443,444,445が形成されている。ローカル配線441は、パッド422aと接続されている。ローカル配線442は、パッド424aと接続されている。ローカル配線443は、パッド422b,424bと接続されている。ローカル配線444は、パッド422c,424cと接続されている。ローカル配線445は、パッド422d,424dと接続されている。セルの上部において、Y方向に延びるローカル配線446,447,448,449が形成されている。ローカル配線446は、パッド426a,428aと接続されている。ローカル配線447は、パッド426b,428bと接続されている。ローカル配線448は、パッド426c,428cと接続されている。ローカル配線449は、パッド426d,428dと接続されている。
【0088】
ローカル配線441は、電源配線411と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト451を介して、電源配線411と接続されている。ローカル配線442は、電源配線412と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト455を介して、電源配線412と接続されている。ローカル配線444は、電源配線411,412と平面視で重なる位置まで延びており、コンタクト452を介して電源配線411と接続されるとともに、コンタクト456を介して電源配線412と接続される。ローカル配線446は、コンタクト453,454を介して、電源配線413と接続されている。
【0089】
ローカル配線445とローカル配線449とは、コンタクト457を介して接続されている。
【0090】
配線461は、コンタクト473を介して、ゲート配線433と接続されている。配線462は、コンタクト474を介して、ゲート配線432と接続されている。配線463は、コンタクト475を介して、ゲート配線431と接続されている。配線464は、コンタクト471を介して、ローカル配線443と接続されており、かつ、コンタクト472を介して、ローカル配線449と接続されている。
【0091】
ここで、本実施形態に係るセルのレイアウト構造では、ローカル配線が、論理機能を構成するためには必要としない冗長な部分を有している。これにより、半導体集積回路装置におけるローカル配線の粗密が低減されるとともに、当該ローカル配線の周囲の配線パタンの形状のばらつきが低減される。
図9では、ローカル配線が有する冗長な部分を太破線で囲んでいる。
【0092】
具体的には、ローカル配線446,448は、パッド426a,426cからY方向上向きにさらに延びており、電源配線411と平面視で重なりを有している。また、ローカル配線443,445,446,447,448,449は、パッド424b,424d,428a,428b,428c,428dからY方向下向きにさらに延びており、電源配線412と平面視で重なりを有している。また、ローカル配線444は、パッド422cに接続された部分とパッド424cに接続された部分とに分離して形成してもかまわないが、ここでは一体に形成されており、電源配線413と平面視で重なりを有している。
【0093】
この結果、ローカル配線443,444,445,446,448,449は、平面視で電源配線411,412,413と重なっている。ローカル配線443,445,448,449は、電源配線411,412,413と電気的に分離されている。また、平面視で重なっているローカル配線444,448は、Y方向において長さおよび両端の位置がそろっている。平面視で重なっているローカル配線445,449は、コンタクト457を介して接続されており、Y方向において長さおよび両端の位置がそろっている。
【0094】
以上のように本実施形態によると、ローカル配線441,442とローカル配線446とは平面視で互いに重なっており、ローカル配線446は平面視で電源配線411,412,413と重なっている。ローカル配線443とローカル配線447とは平面視で互いに重なっており、ローカル配線443は平面視で電源配線411,412,413と重なっている。ローカル配線444とローカル配線448とは平面視で互いに重なっており、ローカル配線444,448はともに平面視で電源配線411,412,413と重なっている。ローカル配線445とローカル配線449とは平面視で互いに重なっており、ローカル配線445,449はともに平面視で電源配線411,412,413と重なっている。すなわち、ローカル配線443,444,445,446,448,449は、論理機能を構成するためには必要としない冗長な部分を有している。これにより、半導体集積回路装置におけるローカル配線の粗密が低減されるとともに、ローカル配線443,444,445,446,448,449の周囲の配線パタン形状のばらつきが低減される。したがって、半導体集積回路の性能ばらつき、信頼性低下、歩留まり低下を抑制できるとともに、半導体集積回路の性能の予測性を向上させることができる。
【0095】
(他の例)
本実施形態に係るセルは、下部はN型FETを含み、上部はP型FETを含むように構成してもよい。この場合は、セルのY方向における両端に電源電圧VSSを供給する電源配線を設けて、セルのY方向における中央部に電源電圧VDDを供給する電源配線を設けて、上の例と同様のレイアウトとすればよい。
【0096】
(回路ブロックのレイアウト例)
図11および
図12は上述の各実施形態で示したセルを用いた回路ブロックのレイアウトの例である。
図11はセルの下部を図示しており、
図12はセルの上部を図示している。C11,C12,C13,C14,C15,C16,C17,C18は第1実施形態で示したインバータセル、C21,C22,C23は第1実施形態で示した2入力NANDセル、C31,C32,C33は第1実施形態で示した2入力NORセル、C41は第2実施形態で示したダブルハイトの3入力NANDセルである。ダブルハイトの3入力NANDセルC41およびインバータセルC15は、X方向において反転されている。2入力NORセルC32、インバータセルC13および2入力NANDセルC22は、Y方向において反転されている。インバータセルC14は、X方向およびY方向において反転されている。
【0097】
図11および
図12のレイアウトにおいて、破線で囲んだ部分A1,A2,A3では、本開示に係る特徴が表されている。部分A1では、X方向に隣接する2個のセルの一方において、セル境界に最も近いローカル配線が冗長な部分を有している。これにより、他方のセルのパタンの仕上がり寸法の予測性が上がり、半導体集積回路の性能予測性が向上する。例えば、最上列左端のインバータセルC11と2入力NANDセルC21とが隣接する部分A1では、インバータセルC11の右端近傍にあるローカル配線501,502が冗長な部分を有している。すなわち、インバータセルC11と2入力NANDセルC21は、その間の境界を挟んで、P型トランジスタ同士が対向しているとともに、N型トランジスタ同士が対向している。そして、インバータセルC11において、ローカル配線501はP型トランジスタのソースまたはドレインのうちセル境界に近い方に接続されており、ローカル配線502はN型トランジスタのソースまたはドレインのうちセル境界に近い方に接続されている。ローカル配線501,502は平面視で重なっており、いずれも、平面視で、電源電圧VDDを供給する電源配線、および、電源電圧VSSを供給する電源配線の両方と重なっている。これにより、2入力NANDセルC21のパタンの仕上がり寸法の予測性が上がり、半導体集積回路の性能予測性が向上するとともに、配線パタン形状のばらつきが抑制される。
【0098】
部分A2では、X方向に隣接する2個のセルの両方において、セル境界に最も近いローカル配線が冗長な部分を有している。これにより、両方のセルのパタンの仕上がり寸法の予測性が上がり、半導体集積回路の性能予測性が向上するとともに、配線パタン形状のばらつきが抑制される。例えば、最下列左端の2入力NANDセルC23とインバータセルC15とが隣接する部分A2では、2入力NANDセルC23の右端近傍にあるローカル配線511,512、および、インバータセルC15の左端近傍にあるローカル配線513,514が、冗長な部分を有している。これにより、2入力NANDセルC23およびインバータセルC15のパタンの仕上がり寸法の予測性が上がり、半導体集積回路の性能予測性が向上するとともに、配線パタン形状のばらつきが抑制される。
【0099】
部分A3では、Y方向に隣接する2個のセルの一方または両方において、ローカル配線がセル境界に近い側に冗長な部分を有している。これにより、他方または両方のセルのパタンの仕上がり寸法の予測性が上がり、半導体集積回路の性能予測性が向上するとともに、配線パタン形状のばらつきが抑制される。例えば、最上列左端のインバータセルC11と中央列左端の2入力NORセルC32とが隣接する部分A3では、インバータセルC11のローカル配線501,502がY方向下側に冗長な部分を有しており、2入力NORセルC32のローカル配線521,522がY方向上側に冗長な部分を有している。これにより、インバータセルC11および2入力NORセルC32のパタンの仕上がり寸法の予測性が上がり、半導体集積回路の性能予測性が向上するとともに、配線パタン形状のばらつきが抑制される。
【0100】
なお、上述の各実施形態では、トランジスタは1本のナノワイヤを備えるものとしたが、トランジスタの一部または全部は、複数本のナノワイヤを備えてもよい。この場合、平面視でY方向において複数本のナノワイヤを設けてもよいし、Z方向において複数本のナノワイヤを設けてもよい。また、Y方向およびZ方向の両方においてそれぞれ複数本のナノワイヤを設けてもよい。また、セルの上部と下部とにおいて、トランジスタが備えるナノワイヤの本数が異なっていてもよい。
【0101】
また、上述の各実施形態では、ナノワイヤの断面形状はほぼ正方形としているが、これに限られるものではない。例えば、円形や長方形であってもよい。
【0102】
また、上述の各実施形態では、立体構造トランジスタとしてナノワイヤFETを例にとって説明を行ったが、これに限られるものではない。例えば、セルの下部に形成されるトランジスタは、フィン型トランジスタであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本開示では、CFETを用いたスタンダードセルを備えた半導体集積回路装置について、性能ばらつき、信頼性低下、歩留まり低下を抑制できるとともに、性能の予測性を向上させることができるので、例えば半導体チップの性能向上に有用である。
【符号の説明】
【0104】
11,12 電源配線
42,44 ローカル配線
53 コンタクト
142,145 ローカル配線
243,246 ローカル配線
411,412,413 電源配線
441~449 ローカル配線
457 コンタクト
501,502,511,512,513,514 ローカル配線
VDD,VSS 電源電圧
P1,P11,P12,P21,P22,P41~P46 P型トランジスタ
N1,N11,N12,N21,N22,N41~N46 N型トランジスタ
C11~C18,C21~C23,C31~C33,C41 スタンダードセル