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特許7364923空気調和システム、サーバ、空気調和システムの制御方法、プログラム及び記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】空気調和システム、サーバ、空気調和システムの制御方法、プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/64 20180101AFI20231012BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20231012BHJP
   F24F 110/20 20180101ALN20231012BHJP
【FI】
F24F11/64
F24F110:10
F24F110:20
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021000304
(22)【出願日】2021-01-05
(62)【分割の表示】P 2019012702の分割
【原出願日】2019-01-29
(65)【公開番号】P2021047012
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2021-10-22
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】小川 耕平
(72)【発明者】
【氏名】周防 聖行
(72)【発明者】
【氏名】中山 麻祐子
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/013316(WO,A1)
【文献】特開2017-010176(JP,A)
【文献】特開2017-083526(JP,A)
【文献】国際公開第2019/073618(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
G01L 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定空間に対して設置され、音声操作が可能な入出力機器(200)に音声で入力された指示に応じて前記所定空間の空気の状態を変化させることが可能な第1空調機器(21)と、
前記所定空間に対して設置され、前記入出力機器に音声で入力された前記指示に応じて前記所定空間の空気の状態を変化させることが可能な第2空調機器(22,24)と、
予め設定された所定条件を記憶する記憶部(154)と、
を備え、
機器を特定しない前記指示を示す指示情報を取得した場合に、前記第1空調機器と前記第2空調機器の中から前記記憶部が記憶している予め設定された前記所定条件に従って選択した空調機器を用いて前記指示に対応する処理を行い、
前記所定条件が、予め入力されている前記第1空調機器及び前記第2空調機器のいずれの機器を優先的に運転するかという優先順位に従うという条件であり、
前記第1空調機器及び前記第2空調機器のいずれの機器を優先的に運転するかという選択にユーザと前記第1空調機器または前記第2空調機器を対応付ける情報が用いられない、空気調和システム(10)。
【請求項2】
前記所定条件を設定する設定部(155)をさらに備える、
請求項1に記載の空気調和システム(10)。
【請求項3】
前記指示情報に、前記指示に対応する機器として前記第1空調機器と前記第2空調機器のうちの少なくとも一方を特定する機器特定情報が含まれている場合には、前記所定条件に関わらず前記機器特定情報に従って選択する、
請求項1または請求項2に記載の空気調和システム(10)。
【請求項4】
前記所定空間の空気の状態が前記所定空間の中にある空気の温度及び/または湿度である場合に、前記指示情報が示す温度及び/または湿度の調整について、前記指示に対応する空調機器を選択し、選択した空調機器を用いて、前記所定空間の中にある空気の温度及び湿度のうちの少なくとも一方を調整する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の空気調和システム(10)。
【請求項5】
前記第1空調機器と前記第2空調機器のうちの一方で前記所定空間の空気の温度を調整するとともに他方で湿度を調整する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の空気調和システム(10)。
【請求項6】
所定空間に対して設置され、音声操作が可能な入出力機器(200)に音声で入力された指示に応じて前記所定空間の空気の状態を変化させることが可能な第1空調機器(21)と、
前記所定空間に対して設置され、前記入出力機器に音声で入力された前記指示に応じて前記所定空間の空気の状態を変化させることが可能な第2空調機器(22,24)と、
に対して選択的に処理を行わせるため、
予め設定された所定条件を記憶する記憶部(154)を有し、
機器を特定しない前記指示を示す指示情報を取得し、
前記第1空調機器と前記第2空調機器の中から、前記記憶部が記憶している予め設定された前記所定条件に従って選択した空調機器に前記指示に対応する処理を行わせるための命令を送信する、サーバであって、
前記所定条件が、予め入力されている前記第1空調機器及び前記第2空調機器のいずれの機器を優先的に運転するかという優先順位に従うという条件であり、
前記第1空調機器及び前記第2空調機器のいずれの機器を優先的に運転するかという選択にユーザと前記第1空調機器または前記第2空調機器を対応付ける情報が用いられない、サーバ(150)。
【請求項7】
所定空間に対して設置され、音声操作が可能な入出力機器(200)に音声で入力された指示に応じて前記所定空間の空気の状態を変化させることが可能な第1空調機器(21)と、
前記所定空間に対して設置され、前記入出力機器に音声で入力された前記指示に応じて前記所定空間の空気の状態を変化させることが可能な第2空調機器(22,24)と
の制御方法であって、
機器を特定しない前記指示を示す指示情報を取得するステップと、
記憶部(154)から所定条件を読み出すステップと、
前記第1空調機器と前記第2空調機器の中から、前記記憶部が記憶している予め設定された前記所定条件に従って選択した空調機器に、前記指示に対応する処理を行わせるステップと
を備え、
前記所定条件が、予め入力されている前記第1空調機器及び前記第2空調機器のいずれの機器を優先的に運転するかという優先順位に従うという条件であり、
前記第1空調機器及び前記第2空調機器のいずれの機器を優先的に運転するかという選択にユーザと前記第1空調機器または前記第2空調機器を対応付ける情報が用いられない、空気調和システム(10)の制御方法。
【請求項8】
所定空間に対して設置され、音声操作が可能な入出力機器(200)に音声で入力された指示に応じて前記所定空間の空気の状態を変化させることが可能な第1空調機器(21)と、
前記所定空間に対して設置され、前記入出力機器に音声で入力された前記指示に応じて前記所定空間の空気の状態を変化させることが可能な第2空調機器(22,24)と
に対して選択的に処理を行わせるCPUに、
機器を特定しない前記指示を示す指示情報を取得するステップと、
記憶部(154)から所定条件を読み出すステップと、
前記第1空調機器と前記第2空調機器の中から、前記記憶部が記憶している予め設定された前記所定条件に従って選択した空調機器に前記指示に対応する処理を行わせるための命令を送信するステップと
を実行させるためのプログラムであって、
前記所定条件が、予め入力されている前記第1空調機器及び前記第2空調機器のいずれの機器を優先的に運転するかという優先順位に従うという条件であり、
前記第1空調機器及び前記第2空調機器のいずれの機器を優先的に運転するかという選択にユーザと前記第1空調機器または前記第2空調機器を対応付ける情報が用いられない、プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムを記録した記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
複数の空調機器を備える空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、空気調和システムには、例えば特許文献1(特開2002-89942号公報)に記載されているように、温度及び湿度などの空間の状態を調整する室内機と加湿ユニットなどの複数の空調機器を備えるものがある。このような空気調和システムは、複数の空調機器を管理して、空間の状態を検知したり変化させたりする機能を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載されているような空気調和システムでは、ユーザが音声で管理しようとすると、リモートコントローラのボタン入力で管理する場合に比べて、入力に手間が掛かる。このような空気調和システムでは、管理する空調機器が多くなると、音声によって空調機器を特定しなければならないために、音声に含まれる語数が多くなる傾向がある。
【0004】
従って、このような音声を使って入力する空気調和システムには、ユーザの利便性を向上させるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1観点の空気調和システムは、所定空間に対して設置され、音声操作が可能な入出力機器に音声で入力された指示に応じて所定空間の空気の状態を変化させることが可能な第1空調機器と、所定空間に対して設置され、入出力機器に音声で入力された指示に応じて所定空間の空気の状態を変化させることが可能な第2空調機器と、を備え、機器を特定しない指示を示す指示情報を取得した場合に、第1空調機器と第2空調機器の中から予め設定された所定条件に従って選択した空調機器を用いて指示に対応する処理を行う。
【0006】
この空気調和システムは、音声で入力された指示が機器を特定しない指示であっても、機器を特定しない指示を示す指示情報の場合には、第1空調機器と第2空調機器のうちの少なくとも一方を、予め設定されている所定条件に従って選択することができる。空気調和システムは、ユーザに第1空調機器と第2空調機器を特定する情報を求めなくても、指示に対応する処理を行うことができる。このように、空気調和システムは、指示に対応する処理を行う際に、入出力機器に入力する音声に含まれる単語の数を削減させ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0007】
第2観点の空気調和システムは、第1観点のシステムであって、所定条件を設定する設定部をさらに備える、ものである。
【0008】
この空気調和システムは、ユーザの所望する所定条件の設定を、設定部によって受け付けることができる。言い換えれば、空気調和システムは、機器を特定しない指示の場合の指示に対応する処理を行う空調機器の選択について、カスタマイズできる環境を提供するということである。
【0009】
第3観点の空気調和システムは、第2観点のシステムであって、所定条件が、第1空調機器のみが指示に対応可能なときには第1空調機器を選択し、第2空調機器のみが指示に対応可能なときは第2空調機器を選択するという条件、予め入力されている優先順位に従うという条件、及び所定空間の中の空気の状態に応じて選択するという条件、のうちの少なくとも一つを含む、ものである。
【0010】
第4観点の空気調和システムは、第1観点から第3観点のいずれかのシステムであって、指示情報に、指示に対応する機器として第1空調機器と第2空調機器のうちの少なくとも一方を特定する機器特定情報が含まれている場合には、所定条件に関わらず機器特定情報に従って選択する、ものである。
【0011】
この空気調和システムは、所定条件に関わらず機器特定情報に従って選択することで、ユーザの意向に沿った選択をしてユーザの満足度を高める。
【0012】
第5観点の空気調和システムは、第1観点から第4観点のいずれかのシステムであって、所定空間の空気の状態が所定空間の中にある空気の温度及び/または湿度である場合に、指示情報が示す温度及び/または湿度の調整について、指示に対応する空調機器を選択し、選択した空調機器を用いて、所定空間の中にある空気の温度及び湿度のうちの少なくとも一方を調整する、ものである。
【0013】
第6観点の空気調和システムは、第1観点から第5観点のいずれかのシステムであって、第1空調機器と第2空調機器のうちの一方で所定空間の空気の温度を調整するとともに他方で湿度を調整する、ものである。
【0014】
第7観点のサーバは、所定空間に対して設置され、音声操作が可能な入出力機器に音声で入力された指示に応じて所定空間の空気の状態を変化させることが可能な第1空調機器と、所定空間に対して設置され、入出力機器に音声で入力された指示に応じて所定空間の空気の状態を変化させることが可能な第2空調機器とに対して選択的に処理を行わせるためのサーバである。このサーバは、機器を特定しない指示を示す指示情報を取得し、第1空調機器と第2空調機器の中から予め設定された所定条件に従って選択した空調機器に指示に対応する処理を行わせるための命令を送信する。
【0015】
第8観点の空気調和システムの制御方法は、所定空間に対して設置され、音声操作が可能な入出力機器に音声で入力された指示に応じて所定空間の空気の状態を変化させることが可能な第1空調機器と、所定空間に対して設置され、入出力機器に音声で入力された指示に応じて所定空間の空気の状態を変化させることが可能な第2空調機器との制御方法であって、機器を特定しない指示を示す指示情報を取得するステップと、第1空調機器と第2空調機器の中から予め設定された所定条件に従って選択した空調機器に、指示に対応する処理を行わせるステップとを備える。
【0016】
第9観点のプログラムは、所定空間に対して設置され、音声操作が可能な入出力機器に音声で入力された指示に応じて所定空間の空気の状態を変化させることが可能な第1空調機器と、所定空間に対して設置され、入出力機器に音声で入力された指示に応じて所定空間の空気の状態を変化させることが可能な第2空調機器とに対して選択的に処理を行わせるCPUに、機器を特定しない指示を示す指示情報を取得するステップと、第1空調機器と第2空調機器の中から予め設定された所定条件に従って選択した空調機器に指示に対応する処理を行わせるための命令を送信するステップとを実行させるためのプログラムである。
【0017】
第10観点の記録媒体は、第9観点のプログラムを記録した記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係る空気調和システムの構成を説明するための模式図である。
図2】空気調和システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図3】変形例Aに係る空気調和システムの構成を説明するための模式図である。
図4】変形例Fに係る空気調和システムの構成を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(1)全体構成
本開示に係る空気調和システムは、第1空調機器と第2空調機器と選択部と送信部とを備えている。ここで、空調機器は、対象とする空間の空気の状態を変化させる機能を有する機器である。空間の空気の状態とは、例えば、空気の温度、湿度、空調機器の吹出口から吹出される風量及び風向、または清浄度である。空調機器には、例えば、エアーコンディショナ(以下、エアコンと省略して記載する場合がある。)、除湿機、加湿機、除加湿機、床暖房器、ラジエータ、及びサーキュレータが含まれる。
【0020】
第1空調機器と第2空調機器は、同じ所定空間に対して設置されている。この実施形態では、後述する第1部屋RM1(図1参照)が所定空間に対応する。ここで、空間の状態とは、空間の空気の状態だけでなく、空気以外の所定空間の中の他の物体の状態も含む概念である。所定空間の状態には、例えば、空間の中の人の存在、及び空間の中の人の動作も含まれる。
【0021】
ここで、音声操作が可能な入出力機器は、音声の中のある特徴を取り出した信号によって他の装置を操作する入出力機器である。ある場面で、ユーザが、この入出力機器に、例えば、「○○、リビングの湿度を50%(ゴジュッパーセント)にして。」という音声を入力したとする。このとき、入出力機器は、「○○、リビングの湿度を50%にして。」という音声の中から、「○○」、「リビング」、「湿度」、「50%」、「にして」という音声に対応する語句を認識する。別の場面で、ユーザが、この入出力機器に、例えば、「○○、リビングのエアコンを、湿度60%(ロクジュッパーセント)で運転して。」という音声を入力したとする。このとき、入出力機器は、「○○、リビングのエアコンを、湿度60%で運転して。」という音声の中から、「○○」、「リビングの」、「エアコンを」、「湿度」、「60%」、「運転して」という音声に対応する語句を認識する。
【0022】
入出力装置が認識した「○○」という語句は、入出力機器に入力を受け付けさせるための語句である。この語句によって、入出力機器は、音声による指示を受け付けることが可能になる。言い換えると、この語句によって、ユーザは、入出力機器を音声操作することが可能になる。「○○、」という語句の音声入力を入出力機器が受けると、この入出力機器は、本開示に係る空気調和システムに、「○○、」に続く内容の指示を示す指示情報を出力する。
【0023】
ある場面の音声入力の指示である「リビングの湿度を50%にして。」の中には、空気調和システムが備えている空調機器を特定する語句が含まれていない。言い換えると、ある場面の音声入力の指示は、機器を特定しない指示である。それに対し、別の場面の音声入力の指示である「リビングのエアコンを、湿度60%で運転して。」の中には、空気調和システムが備えるエアコンを、処理対象の空調機器として特定する「エアコンを」という語句が含まれている。この「エアコンを」という語句が、空調機器を特定する機器特定情報である。従って、この場合、入出力機器から空気調和システムに出力される指示情報にも、「エアコンを」に対応する機器特定情報が含まれる。
【0024】
ある場面の音声入力の指示である「リビングの湿度を50%にして。」の指示に対して、入出力機器は、空気調和システムに、「リビング」という設置場所に対して設置されている空調機器について、「湿度」という空気の状態を、「50%」に「する」ための指示を示す指示情報を与える。例えば、図1に示されている空気調和システム10では、「リビング」に対応する第1部屋RM1に、「湿度」を調整可能な空調機器として、第1空調機器であるエアコン21と第2空調機器である空気清浄機22が設置されているとする。ある場面の音声入力の指示が、「リビング」という設置場所に対して設置されている空調機器を特定しない指示であるので、図1に示されている空気調和システム10は、自動的に、湿度を50%にするための空調機器として、エアコン21及び空気清浄機22のうちの少なくとも一方を選択する。
【0025】
別の場面の音声入力の指示である「リビングのエアコンを、湿度60%で運転して。」の指示に対して、入出力機器は、例えば図1の空気調和システム10に、「リビング」である第1部屋RM1という設置場所に設置されている「エアコン」という空調機器について、「湿度」という空気の状態を、「60%」にするように「運転」するための指示を示す指示情報を与える。例えば、第1空調機器であるエアコン21を特定する機器特定情報が指示情報に含まれているので、図1に示されている空気調和システム10は、第1部屋RM1のエアコン21を選択して指示に対応する処理を行う。具体的には、空気調和システム10が、エアコン21により第1部屋RM1の湿度を60%に調整する。
【0026】
(2)入出力機器
(2-1)音声入出力装置
図1に示されている入出力機器200は、音声入出力装置211,212と、ルータ61と、第2サーバ250とを含んで構成されている。ルータ61は、入出力機器200と空気調和システム10で共用されている。しかし、例えば2台のルータを設置して、入出力機器200と空気調和システム10を互いに異なるルータに接続するように構成することも可能である。例えば複数台のルータを用いて、後述する第1部屋RM1と第2部屋RM2に、異なるルータを設置する構成とすることもできる。音声入出力装置211は、第1部屋RM1に配置されている。音声入出力装置212は、第1部屋RM1から仕切られて音声が遮断された第2部屋RM2に配置されている。
【0027】
音声入出力装置211,212は、それぞれ、音声入力部220と音出力部240とを備えている。音声入出力装置211,212は同じ構成とすることができるので、以下では、音声入出力装置211の構成について説明し、音声入出力装置212の構成の説明を省略する。
【0028】
音声入力部220は、人の発する音声をデジタルデータに変換して、ネットワークを通じて送受信できる音声データを生成する。音声入力部220は、例えば、マイクロフォン221と増幅器222とA/D変換器223を備えている。マイクロフォン221が、人の発した音声をアナログ電気信号に変換する。増幅器222が、マイクロフォン221から出力された音声のアナログ電気信号を増幅する。A/D変換器223が、増幅器222から出力されたアナログ電気信号をデジタル信号に変換する。A/D変換器223から出力されるデジタル信号が、音声データである。この音声データは、音声入力部220に接続されている通信部230から送信される。音声データは、ノイズの除去及び圧縮などのデータ処理が施されたものであってもよい。
【0029】
音出力部240は、ネットワークを通じて受信したデジタルの音データを、人が聞き取れる音に変換して出力する。音出力部240が出力する音には、音声が含まれる。音出力部240が出力する音には、音声以外にも、例えば報知音が含まれる。音出力部240は、例えば、D/A変換器241と増幅器242とスピーカ243を備えている。D/A変換器241が、通信部230で受信した音データを通信部230から入力して、入力した音データをアナログ信号に変換する。増幅器242が、D/A変換器241が出力した音のアナログ電気信号を増幅する。スピーカ243が、増幅器242で増幅されたアナログ電気信号を音に変換して出力する。
【0030】
音声入出力装置211,212は、ルータ61に接続されている。音声入出力装置211,212の通信部230は、ルータ61を介して公衆回線60に接続することができる。音声入出力装置211,212の通信部230は、ルータ61及び公衆回線60を介して、第2サーバ250と通信することができる。通信部230は、例えば、通信部251から送信されてくる音データを音出力部240に出力する。通信部230は、例えば、「リビングのエアコンを、設定湿度60%で運転します。」という音データに従ってスピーカ243から出力するように、音出力部240に命令する。
【0031】
ここでは、公衆回線60を介して音声入出力装置211,212と第2サーバ250が送受信を行う場合を例に挙げて説明しているが、音声入出力装置211,212と第2サーバ250が公衆回線60を介さずに通信するように構成することもできる。例えば、音声入出力装置211,212と第2サーバ250が、ローカルエリアネットワークを介して通信するように構成することができる。例えば、音声入出力装置211,212と第2サーバ250(コンピュータ)が、信号線で繋がっていて、直接通信するように構成することができる。
【0032】
音声入出力装置211,212は、例えば、第2サーバ250との間の通信を確立するために、少なくとも1つのアカウントを有している。
【0033】
(2-2)第2サーバ250
第2サーバ250は、通信部251と音声認識部252と解釈部253と応答部254と記憶部255とを備えている。例えば、第2サーバ250は、CPU(図示せず)とメモリ(図示せず)を備えて構成される。通信部251と音声認識部252と解釈部253と応答部254と記憶部255とからなる構成は、例えば、メモリに記憶されているプログラムをCPUが実行することにより形成される。
【0034】
通信部251は、公衆回線60に接続して、音声入出力装置211,212との通信、第1サーバ150との通信及びスマートフォン50との通信ができるように構成されている。第2サーバ250は、音声入出力装置211,212との通信、第1サーバ150との通信及びスマートフォン50との通信のためのアカウントを記憶部255に記憶している。ここでは、1つのアカウントで、ユーザが、音声入出力装置211,212と第2サーバ250との間で通信し、第1サーバ150と第2サーバ250との間で通信し、及びスマートフォン50と第2サーバ250との間で通信する場合を例に挙げて説明する。
【0035】
第2サーバ250の通信部251が、音声入出力装置211,212から音声データを受信する。音声認識部252は、音声データを通信部251から入力する。音声認識部252は、音声認識機能により、音声データをテキストデータに変換する。テキストデータは、文字コードと関連付けられているデータであり、文字に変換可能なデータである。音声認識部252は、音声認識機能により音声データの発話者を識別する構成を持つこともできる。解釈部253は、音声認識部252からテキストデータを入力する。解釈部253は、構文解析などにより、テキストデータで記述されている内容を解釈する。言い換えると、解釈部253は、音声で入力されたユーザの指示を理解する。解釈部253は、指示の内容を示す指示情報を出力する。
【0036】
ここでは、解釈部253を第2サーバ250に設ける場合について説明するが、解釈部を第2サーバ250に設けずに第1サーバ150に設けるように構成することもできる。
【0037】
通信部251は、指示情報を解釈部253から入力する。このとき、通信部251は、記憶部255に記憶されているアカウントと当該アカウントに関連付けられているIDとを取得する。IDとは、空気調和システム10のユーザを識別するための符号である。第2サーバ250の通信部251と第1サーバ150の受信部151及び送信部152は、アカウントと空気調和システム10のIDとで互いに認識して、公衆回線60を介して相互にデータを送受信する。通信部251は、受信部151に指示情報を送信する。
【0038】
第2サーバ250の通信部251は、第1サーバ150の送信部152から出力情報を受信する。出力情報は、入出力機器200の出力の内容を示す情報である。通信部251は、応答部254に出力情報を出力する。応答部254は、出力情報に応じて、応答内容を決定する。応答部254は、応答内容を、例えば人工知能を使って決定する。例えば、応答部254は、音声入出力装置211のスピーカ243から、「リビングのエアコンを、設定湿度60%で運転します。」という音声を出力させる。応答部254は、例えば、音声合成機能を有しており、「リビングのエアコンを、設定湿度60%で運転します。」という音声の音データを生成する。応答部254は、音データに応じた音を音出力部240から出力させるための命令を通信部251に出力する。通信部251は、応答部254から入力した命令と音データを、公衆回線60とルータ61を介して音声入出力装置211に送信する。
【0039】
(3)空気調和システム10
図1に示されている空気調和システム10は、エアコン21,23と、空気清浄機22,24と、第1サーバ150と、ルータ61と、スマートフォン50とを備えている。本実施形態では、空気調和システム10がスマートフォン50を備える場合について説明するが、スマートフォン50を備えていない空気調和システム10を構築することもできる。
【0040】
(3-1)エアコン21,23と空気清浄機22,24
ここでは、エアコン21が第1空調機器であり、空気清浄機22が第2空調機器であり、エアコン23が第3空調機器であり、空気清浄機24が第4空調機器である、として説明する。エアコン21と空気清浄機22は、第1部屋RM1に対して設置されている。エアコン23と空気清浄機24は、第2部屋RM2に対して設置されている。第1部屋RM1は、例えばリビングルームであり、第2部屋RM2は、例えば寝室である。第1部屋RM1が所定空間の例であり、第2部屋RM2が所定空間以外の他の空間の例である。第1部屋RM1に対して設置されているという場合には、第1部屋RM1に作用を及ぼせば、任意の場所に設定してよい。例えば、第1部屋RM1に対して設置されているエアコン21は、第1部屋RM1の中に置かれていなくてもよく、エアコン21の一部または全部が第1部屋RM1の外に置かれていてもよい。
【0041】
ここでは、エアコン21,23が、冷房機能と暖房機能と送風機能と除湿機能と加湿機能とを備え、空気清浄機22,24が空気清浄機能と送風機能と除湿機能と加湿機能とを備えている場合について説明する。しかし、本開示の技術を適用するためには、エアコン21,23及び空気清浄機22,24は、前述の機能を全て備えていなくてもよい。ユーザが音声により行う指示が、機器を特定しない指示であった場合に、空気調和システム10が、自動的に、第1空調機器と第2空調機器の選択を行う点が重要である。送風機能と除湿機能と加湿機能のうちの少なくとも一つを使って行う処理は、エアコン21を選択しても空気清浄機22を選択しても行うことができる。第1空調機器であるエアコン21と第2空調機器である空気清浄機22は、第1部屋RM1の空気の状態を変化させる同種の機能を有している。
【0042】
エアコン21,23は、室内の湿度を検知する室内湿度センサ31,33を備えている。室内湿度センサ31,33は、例えば、エアコン21,23の吸込口(図示せず)の近傍のケーシング21a,23aの中に配置されている。空気清浄機22,24は、室内の湿度を検知する室内湿度センサ32,34を備えている。室内湿度センサ32,34は、例えば、空気清浄機22,24の吸込口(図示せず)の近傍のケーシング22a,24aの中に配置されている。
【0043】
エアコン21,23と空気清浄機22,24は、それぞれコントローラ71,73,72,74を備え、無線LANアダプタ41,43と無線LANアダプタ42,44を備えている。エアコン21,23及び空気清浄機22,24のコントローラ71,73,72,74は、それぞれ、例えばCPUとメモリで構成されている。エアコン21,23及び空気清浄機22,24は、無線LANアダプタ41~44を使ってルータ61と通信する。エアコン21,23及び空気清浄機22,24のコントローラ71,73,72,74は、同じIDを記憶している。エアコン21,23及び空気清浄機22,24のコントローラ71,73,72,74は、無線LANアダプタ41~44及びルータ61を使って、室内湿度センサ31,32,33,34で検知した室内湿度の値を第1サーバ150に送信することができる。
【0044】
例えば、エアコン21,23は、商用電源に接続されている状態では、常時、室内湿度センサ31,33により、室内湿度(第1部屋RM1の空気の湿度、第2部屋RM2の空気の湿度)を検知している。エアコン21,23は、定期的に、室内湿度センサ31,33で検知した室内湿度の値を第1サーバ150に送信する。例えば、エアコン21,23は、5分毎に室内湿度の値を第1サーバ150に送信する。
【0045】
これら空気清浄機22,24は、商用電源に接続されている状態でも、運転状態でなければ、室内湿度センサ32,34による室内湿度を検知しない。空気清浄機22,24も、定期的に(例えば5分毎に)、室内湿度センサ31,33で検知した室内湿度の値を第1サーバ150に送信する。空気清浄機22,24は、運転を停止している停止状態のときには、室内湿度を検知していないという情報を送信する。言い換えると、空気清浄機22,24は、運転状態のときに室内湿度センサ32,34で検知した室内湿度の値を第1サーバ150に送信するが、停止状態のときには室内湿度の値を第1サーバ150に送信しない。
【0046】
(3-2)ルータ61
ルータ61は、エアコン21,23、空気清浄機22,24、音声入出力装置211,212を含むローカルエリアネットワークと、公衆回線60を含むネットワークとを接続する通信機器である。ルータ61は、前述のローカルエリアネットワークと公衆回線60を含むネットワークとの間でデータを中継する。
【0047】
(3-3)第1サーバ150
第1サーバ150は、受信部151と送信部152と選択部153と記憶部154とを備えている。例えば、第1サーバ150は、CPU(図示せず)とメモリ(図示せず)を備えて構成される。受信部151と送信部152と選択部153と記憶部154とを含む構成は、例えば、メモリに記憶されているプログラムをCPUが実行することにより形成される。
【0048】
受信部151は、定期的にルータ61と通信し、ルータ61から送られてくる室内湿度センサ31~34の検知結果を受信する。受信部151は、公衆回線60を介して第2サーバ250の通信部251から送られてくる指示情報を受信する。第1サーバ150の受信部151及び送信部152と、第2サーバ250の通信部251とは、アカウントとIDを使用して、通信可能な状態を確立する。
【0049】
選択部153は、受信部151から指示情報を取得する。選択部153は、指示情報に記述されている指示に対応するために、予め設定されている所定条件に従って、空調機器を選択する。例えば、選択部153は、第1空調機器であるエアコン21を用いて指示に対応する処理を行うという(a)選択肢と、第2空調機器である空気清浄機22を用いて指示に対応する処理を行うという(b)選択肢と、エアコン21と空気清浄機22の両方を用いて指示に対応する処理を行うという(c)の選択肢のうちのいずれかを選択できるように構成されている。例えば他に、選択部153は、上述の(a)選択肢と(b)選択肢のいずれか一方を選択できるように構成されてもよい。選択部153は、選択した選択肢を送信部152に出力する。
【0050】
例えば、「○○、リビングの湿度を50%にして。」という音声入力が入出力機器200にあり、選択部153が、上述の(a)選択肢を選択したものとする。このとき、選択部153は、エアコン21で処理を行うという情報とともに、「リビング」、「湿度」、「50%」という情報を送信部152に送信する。送信部152は、選択部153から送信されてきた情報を含む出力情報を入出力機器200に送信する。このとき、選択部153は、例えば、上述の情報に加えて他の情報、例えば現在の湿度を記憶部154から読み出して読み出した湿度の値を現在の湿度の情報として送信部152に送信する。
【0051】
第1サーバ150の送信部152は、選択部153から送信されてきた情報に基づく命令を、公衆回線60及びルータ61を介してエアコン21に送信する。エアコン21は、送信部152から送られてきた命令に従い、第1部屋RM1(リビング)の湿度を50%に調整する運転を行う。送信部152は、選択部153から受信した情報を含む出力情報を、通信部251から受信した指示情報に対する返信として、第2サーバ250の通信部251に送信する。
【0052】
第2サーバ250は、リビングに在る音声入出力装置211から例えば「リビングのエアコンを、設定湿度60%で運転します。」のような応答を出力する命令を、合成した音声を含む音データとともに、音声入出力装置211に送信する。このとき、第2サーバ250の命令には、他の命令、例えば第1部屋RM1の湿度を音声で出力させるという命令が含まれてもよい。
【0053】
このように、ユーザは、「リビング」の「湿度」を教えて欲しい旨の指示を音声入出力装置211に対して音声で指示する際に、機器を特定しない指示を行うことができる。ユーザが機器を特定しなくても、空気調和システム10が、自動制御により、エアコン21及び空気清浄機22のうちの少なくとも一方を選択して、ユーザの指示に応じた処理を行う。
【0054】
ユーザが機器を特定した指示を行う場合も、選択部153が空調機器を選択する。ユーザが機器を特定した指示に応じて行われる選択部153の選択が、機器を特定しない指示に応じて行われる選択と異なる点は、後者が所定条件に従って選択が行われるのに対して、前者が機器特定情報に従って選択が行われる点である。選択後に行われる、機器を特定した指示を行う場合の第1サーバ150及び第2サーバ250の動作は、機器を特定しない指示を行う場合と同様である。
【0055】
次に、選択部153が、エアコン21と空気清浄機22の両方を選択した場合について説明する。両方を選択した場合も、いずれか一方を選択した場合と同様に、選択された空調機器に命令が公衆回線60及びルータ61を介して空調機器に送られる。エアコン21も、空気清浄機22も、設定湿度が50%に設定されて除加湿を行うように運転される。エアコン21と空気清浄機22は、それぞれ独立したコントローラ71,72を有している。各コントローラ71,72が、互いに独立して、室内湿度センサ31,32で検出される湿度が50%になるようにエアコン21と空気清浄機22を制御して、第1部屋RM1の室内の湿度を調整する。このような湿度の調整を行う場合には、エアコン21と空気清浄機22の一方だけで室内の湿度を調整する場合に比べて加湿機能及び除湿機能が向上する。
【0056】
なお、エアコン21と空気清浄機22に対する第1サーバ150の動作について説明したが、エアコン23と空気清浄機24に対する第1サーバ150の動作についても同様に構成できるので、ここでは、エアコン23と空気清浄機24に対する第1サーバ150の動作については説明を省略する。
【0057】
(3-3-1)選択のための所定条件
選択部153は、予め設定された所定条件に従って選択肢の選択を行う。所定条件は、空気調和システム10の構成に応じて、適宜設定されるものである。以下に、所定条件の複数の具体例を挙げて、所定条件について説明する。
【0058】
(3-3-1-1)所定条件の一例
図1に示されている空気調和システム10では、エアコン21と空気清浄機22の選択について、例えば、次の3つの条件Re1~Re3が設定されている。エアコン23と空気清浄機24の選択については、エアコン21と空気清浄機22の選択の条件と同様の設定ができるので、ここでは説明を省略する。
【0059】
第1条件Re1は、エアコン21のみが指示に対応可能なときにはエアコン21を選択し、空気清浄機22のみが指示に対応可能なときには空気清浄機22を選択するという条件である。この条件Re1に従えば、選択部153は、例えば、冷房機能及び/または暖房機能によって第1部屋RM1の空気の状態を変化させる場合には、エアコン21を選択し、空気清浄機能によって第1部屋RM1の空気の状態を変化させる場合には、空気清浄機22を選択する。
【0060】
第2条件Re2は、例えば、所定空間である第1部屋RM1の中の空気の状態に応じて選択するという条件である。この場合、空気の状態と選択される空調機器とが関連付けられている。次に、このような第2条件Re2の具体例について説明する。この条件Re2に従う具体例では、選択部153は、例えば、設定湿度が現在の湿度よりも30%以上解離しているときには、エアコン21と空気清浄機22の両方を選択する。この条件Re2に従う具体例では、選択部153は、例えば、設定湿度が現在の湿度よりも小さく且つ10%以上30%未満しか解離していないときは空気清浄機22を選択する。この条件Re2に従う具体例では、選択部153は、例えば、設定湿度が現在の湿度よりも大きく且つ20%以上30%未満しか解離していないときはエアコン21を選択する。条件Re2のこの例は、要するに、設定湿度が現在の湿度よりも第1所定値以上解離しているときには両方を選択し、設定湿度が現在の湿度よりも小さく且つ第2所定値以上第1所定値未満しか解離していないときは第2空調機器を選択し、設定湿度が現在の湿度よりも大きく且つ第2所定値以上第1所定値未満しか解離していないときは第1空調機器を選択するというものである。さらに、選択部153は、設定湿度が現在の湿度から第2所定値(ここでは10%)未満しか解離していないときには第3条件Reに従う。なお、現在の湿度には、例えば、室内湿度センサ31,32で検知された湿度の値が用いられる。または、エアコン21と空気清浄機22から第1サーバ150に送信されて記憶部154に記憶されている湿度の値が用いられる。
【0061】
第3条件Re3は、例えば、予め入力されている優先順位に従うという条件である。この条件Re3に従えば、選択部153は、例えば、除湿機能及び/または加湿機能を用いる指示ではエアコン21を空気清浄機22よりも優先するという所定条件が設定されている場合、機器を特定しない指示であって除加湿器を用いる指示を受けたときには、エアコン21を選択する。
【0062】
上述の例では、3つの条件Re1~Re3に従って、選択部153が選択を行う場合であるが、選択部153に設定される所定条件は、3つの条件Re1~Re3に限られるものではない。所定条件は、例えば、第1空調機器のみが指示に対応可能なときには第1空調機器を選択し、第2空調機器のみが指示に対応可能なときは第2空調機器を選択するという条件と、予め入力されている優先順位に従うという条件とを組み合わせたものであってもよい。所定条件は、例えば、第1空調機器のみが指示に対応可能なときには第1空調機器を選択し、第2空調機器のみが指示に対応可能なときは第2空調機器を選択するという条件と、所定空間の中の空気の状態に応じて選択するという条件とを組み合わせたものであってもよい。所定条件は、例えばサービスマンにより設定されてもよく、また製造時に工場などで設定されてもよい。このような所定条件が、例えば、記憶部154に記憶されており、選択部153は、選択を行う際に記憶部154から所定条件を読み出す。
【0063】
(3-3-1-2)所定条件の他の例
上記の所定条件の例は、いずれかの空調機器または両方の空調機器で、一つの機能を担う場合の例である。しかし、所定条件は、このようなものに限られるものではない。例えば、異なる2つの機能を発揮して空気の状態を変化させるように指示された場合、第1空調機器と第2空調機器が発揮する機能を異ならせるように所定条件を設定することも可能である。
【0064】
2つの異なる機能(第1機能、第2機能)について、例えば、第1機能が湿度を調節する機能であり、第2機能が温度を調節する機能である。あるいは、例えば、第1機能が空気清浄機能であり、第2機能が温度を調節する機能である。あるいは、例えば、第1機能が空間の空気を移動させる機能(送風機能)であり、第2機能が湿度を調節する機能である。
【0065】
例えば、ユーザが、「リビングの温度を24度にして、リビングの湿度を50%にして。」と、音声により指示したとする。このような指示に応じて第1部屋RM1(所定空間)の空気の状態を変化させるには、幾つかの選択肢がある。第1の選択肢は、エアコン21の冷房機能と暖房機能及び除湿機能及び/または加湿機能を使って、しかし空気清浄機22を使わずに指示に応じた処理を行う、という選択肢である。第2の選択肢は、エアコン21の冷房機能と暖房機能を使って、且つ空気清浄機22の除湿機能と加湿機能を使って指示に応じた処理を行う、という選択肢である。第3の選択肢は、エアコン21の冷房機能と暖房機能及び除湿機能と加湿機能を使って、且つ空気清浄機22の除湿機能と加湿機能を使って指示に応じた処理を行う、という選択肢である。他の選択肢として、例えば、エアコン21の冷房機能と暖房機能及び除湿機能を使って、且つ空気清浄機22の加湿機能を使って指示に応じた処理を行う、という選択肢などもある。ここでは、上述の第1の選択肢から第3の選択肢のいずれかを選択するように、選択部153が構成されている場合について説明する。
【0066】
このような複数の機能を用いる処理の選択に使われる所定条件として、上述の3つの条件Re1~Re3が設定されている。エアコン23と空気清浄機24の選択については、エアコン21と空気清浄機22の選択の条件と同様の設定ができるので、ここでは説明を省略する。
【0067】
第1条件Re1は、エアコン21のみが指示に対応可能なときにはエアコン21を選択し、空気清浄機22のみが指示に対応可能なときには空気清浄機22を選択するという条件である。この条件Re1に従えば、選択部153は、例えば、冷房機能及び/または暖房機能によって第1部屋RM1の空気の状態を変化させるために、エアコン21を選択する。しかし、除湿機能と加湿機能については、エアコン21及び空気清浄機22の両方が対応可能であるので、選択部153は、第1条件Re1に従った選択ができない。
【0068】
第2条件Re2は、例えば、所定空間である第1部屋RM1の中の空気の状態に応じて選択するという条件である。この場合、空気の状態と選択される空調機器とが関連付けられている。次に、このような第2条件Re2の具体例について説明する。この条件Re2に従う具体例では、選択部153は、例えば、設定湿度が現在の湿度よりも30%以上解離しているときには、エアコン21と空気清浄機22の両方を選択する。この選択の結果に従えば、エアコン21が冷房機能及び/または暖房機能と除湿機能及び加湿機能を発揮し、空気清浄機22が除湿機能及び加湿機能を発揮する。
【0069】
この条件Re2に従う具体例では、選択部153は、例えば、設定湿度が現在の湿度よりも小さく且つ10%以上30%未満しか解離していないときは空気清浄機22を選択する。この選択の結果に従えば、エアコン21が冷房機能及び/または暖房機能を発揮し、空気清浄機22が除湿機能及び加湿機能を発揮する。
【0070】
この条件Re2に従う具体例では、選択部153は、例えば、設定湿度が現在の湿度よりも大きく且つ20%以上30%未満しか解離していないときはエアコン21を選択する。この選択の結果に従えば、エアコン21が冷房機能及び/または暖房機能と除湿機能及び加湿機能を発揮するが、空気清浄機22が運転を停止している。
【0071】
さらに、選択部153は、設定湿度が現在の湿度から第2所定値(ここでは10%)未満しか解離していないときには第3条件Reに従う。第3条件Re3は、例えば、予め入力されている優先順位に従うという条件である。この条件Re3に従えば、選択部153は、例えば、除湿機能及び/または加湿機能を用いる指示では空気清浄機22をエアコン21よりも優先するという所定条件が設定されている場合、機器を特定しない指示であって除加湿器を用いる指示を受けたときには、空気清浄機22を選択する。この選択の結果に従えば、エアコン21が冷房機能及び/または暖房機能を発揮し、空気清浄機22が除湿機能及び加湿機能を発揮する。
【0072】
上述の例では、3つの条件Re1~Re3に従って、選択部153が選択を行う場合であるが、既に説明したように、選択部153に設定される所定条件は、3つの条件Re1~Re3に限られるものではない。
【0073】
(3-3-2)選択のための機器特定情報
指示情報に機器特定情報が含まれている場合、言い換えると機器を特定した指示の場合、空気調和システムが機器特定情報に応じた対応をとるように構成することができる点は既に説明した。機器特定情報は、指示情報に対する応答に関係すべき機器として第1空調機器と第2空調機器のうちの少なくとも一方を特定する情報である。
【0074】
図1の入出力機器200は、機器特定情報を指示情報に含めることができるように構成されている。例えば、「リビングの空気清浄機で、湿度50%で運転して。」という音声をユーザが音声入出力装置211に入力した場合を説明する。この音声の中に含まれている「空気清浄機」という単語が機器特定情報である。音声入力部220が、音声入出力装置211に入力された前述の音声を、音声データに変換する。音声入出力装置211は、この音声データを、ルータ61と公衆回線60を介して第2サーバ250に送信する。第2サーバ250は、音声認識部252での音声認識と解釈部253での解釈によりユーザが室内温度の値を検知する機器を「空気清浄機」に特定したという機器特定情報を抽出し、指示情報に機器特定情報を含めて第1サーバ150の受信部151に送信する。受信部151は、機器特定情報を含む指示情報を選択部153に出力する。上記の(3-3-1)で説明したように、除湿機能及び/または加湿機能を用いる場合には空気清浄機22よりもエアコン21を優先する、という優先順位が設定されている場合について説明する。選択部153は、機器特定情報が指示情報に含まれている場合には所定条件に関わらず機器特定情報に従って選択するように構成されているので、優先順位に関わらず「空気清浄機」を選択する。
【0075】
機器特定情報に従ってリビングの空気清浄機22を選択した選択部153は、空気清浄機22を選択したことを示す情報を送信部152に出力する。空気清浄機22が運転されていない場合には、第1サーバ150から空気清浄機22への命令により、空気清浄機22が運転状態にされ、空気清浄機22が除湿機能及び/または加湿機能を発揮していない場合にはこれらの機能を発揮するように運転状態が変更される。
【0076】
(4)湿度の調整に関する空気調和システム10の動作
既に説明した湿度の調整に関する空気調和システム10の動作について、フローチャートを用いて簡単に説明する。
【0077】
空気調和システム10の第1サーバ150が指示情報の受信を待っている(ステップS1)。指示情報を第1サーバ150が受信すると(ステップS2のYes)、受信部151は、選択部153に指示情報を出力する。選択部153は、指示情報に機器特定情報が含まれているか否かを判断する(ステップS4)。
【0078】
指示情報に機器特定情報が含まれている場合には(ステップS4のYes)、選択部153は、機器特定情報に従って空調機器を選択する(ステップS5)。指示情報に機器特定情報が含まれていない場合には(ステップS4のNo)、選択部153は、記憶部154から所定条件を読み出す(ステップS6)。選択部153は、所定条件に従って、空調機器であるエアコン21と空気清浄機22の選択を行う(ステップS7)。選択部153は、選択結果を示す情報を送信部152に出力する(ステップS8)。
【0079】
送信部152は、選択部153で選択された選択肢に基づいて、入出力機器200の出力のための出力情報を入出力機器200に送信する(ステップS9)。
【0080】
(5)変形例
(5-1)変形例A
上記実施形態では、設定条件が記憶部154に予め記憶され、設定条件を途中で変更しない場合について説明した。しかし、図3に示されている設定部155を備えるように空気調和システム10を構成することができる。この設定部155に所定条件が記述されたデータを入力すると、設定部155が所定条件を設定する。例えば、ユーザは、スマートフォン50から第1サーバ150に、公衆回線60を介して、所定条件が記述されたデータを送信する。スマートフォン50は、アカウントとIDを記憶しており、第1サーバ150との間でアカウントとIDを使って送受信できる。
【0081】
所定条件が記述されたデータを受信した受信部151は、所定条件が記述されたデータを設定部155に出力する。設定部155は、所定条件が記述されたデータに従って、所定条件を設定する。例えば、設定部155は、記憶部154に記憶されている所定条件を、スマートフォン50から送られてきた、所定条件が記述されたデータに従って書き換える。
【0082】
上記実施形態では、記憶部154に所定条件として優先順が記憶されている場合について説明した。このような場合に、例えば、除湿機能及び/または加湿機能を用いる場合には、エアコン21を空気清浄機22よりも優先して選択するという条件が記憶部154に記憶されているとする。ユーザは、この優先順位を設定部155により書き換えて、空気清浄機22をエアコン21よりも優先させるように設定することができる。
【0083】
ユーザは、設定部155を使って、例えば、エアコン21と空気清浄機22の両方が運転されているときには、予め入力されている優先順位に従うという条件に従い、エアコン21のみが運転しているときまたは空気清浄機22のみが運転しているときは運転している方を選択するという条件に従うように設定を変更することができる。
【0084】
ユーザは、設定部155を使って、予め入力されている優先順位に従うという条件Re3を、所定空間の状態に応じて選択するという条件Re2に変更することができる。例えば、エアコン21が、第1部屋RM1に人が居るか居ないかを検知する人検知センサを有する場合がある。この人検知センサが検知した結果が、定期的に(例えば、5分毎に)、エアコン21から第1サーバ150に送信される。記憶部154は、第1サーバ150が受信した人検知センサの検知結果を記憶している。例えば、所定空間である第1部屋RM1に人が居る状態のときには、空気清浄機22を選択し、第1部屋RM1に人が居ない状態のときには、エアコン21を選択するという条件を、所定条件として設定することができる。このような所定条件が、所定空間の状態に応じて選択するという条件の一例である。選択部153は、記憶部154に記憶されている人検知センサの検知結果と、人検知センサの検知結果(所定空間の状態)に応じて選択するという所定条件とを、記憶部154から読み出して、所定条件に応じた選択を行うことができる。
【0085】
(5-2)変形例B
上記実施形態では、音声入出力装置211がエアコン21と空気清浄機22から分離された別々の装置である場合について説明した。しかし、音声入出力装置211は、エアコン21または空気清浄機22の中に組み込まれていてもよい。音声入出力装置211の中の一部の構成が、エアコン21及び/または空気清浄機22の中に組み込まれていてもよい。例えば、音出力部240が、エアコン21及び/または空気清浄機22の中に組み込まれていてもよい。例えば、音声入力部220が、エアコン21及び/または空気清浄機22の中に組み込まれていてもよい。例えば、音声入力部220が、エアコン21及び/または空気清浄機22の中に組み込まれた場合、エアコン21及び/または空気清浄機22のコントローラ71,72と無線LANアダプタ41,42が、通信部230の代わりをする。音声入出力装置211は、第1部屋RM1に設置されている他の家電製品と一体化されていてもよい。
【0086】
音声入出力装置211は、スマートフォン50に組み込まれてもよい。スマートフォン50に音声入出力装置211が組み込まれた場合に、例えば、ユーザが音声で指示した温度の通知は、スマートフォン50のスピーカを用いて行われてもよいが、スマートフォン50のタッチスクリーンを用いて行われてもよい。ユーザが音声で指示した温度の通知に対する応答として、例えば、スマートフォン50が、タッチスクリーンに、「リビングのエアコンを、設定湿度60%で運転します。」と表示するように構成されてもよい。このようにタッチスクリーンに、「リビングのエアコンを、設定湿度60%で運転します。」と表示させる場合も、送信部152が、選択部153で選択された選択肢に基づいて、入出力機器200の出力のための出力情報を入出力機器200に送信する場合に該当する。この場合、送信部152から出力情報を受信した第2サーバ250が、「リビングのエアコンを、設定湿度60%で運転します。」という内容のテキストデータをスマートフォン50に送信する。このテキストデータと同時に「リビングのエアコンを、設定湿度60%で運転します。」という音データがスマートフォン50に送信されるように、空気調和システム10が構成されてもよい。
【0087】
(5-3)変形例C
上記実施形態では、第1サーバ150の各機能ブロック及び第2サーバの各機能ブロックが、メモリに格納された実行可能なプログラム及びデータをCPUによって解釈実行することで形成される場合について説明した。また、エアコン21,23及び空気清浄機22,24のコントローラ71,73,72,74が、メモリに格納された実行可能なプログラム及びデータをCPUによって解釈実行することで制御を行う場合について説明した。これらプログラム及びデータは、記録媒体を介してメモリ内に導入されてもよいし、記録媒体上から直接実行されてもよい。また、記録媒体からメモリへのプログラム及びデータの導入は、電話回線や搬送路等を介して行ってもよい。しかし、上記各機能ブロックは、CPUとメモリを用いて行うのと同様の機能を実現することができる集積回路(IC)を用いて構成されてもよい。エアコン21,23及び空気清浄機22,24のコントローラ71,73,72,74は、CPUとメモリを用いて行うのと同様の制御を行うことができる集積回路(IC)を用いて構成されてもよい。ここでいうICには、LSI(large-scale integrated circuit)、ASIC(application-specific integrated circuit)、ゲートアレイ、FPGA(field programmable gate array)等が含まれる。
【0088】
(5-4)変形例D
上記実施形態では、1つの所定空間である第1部屋RM1に第1空調機器としてのエアコン21と第2空調機器としての空気清浄機22が設定されている場合について説明した。しかし、1つの所定空間に設置される空調機器は、第1空調機器と第2空調機器の2台には限られない。例えば、第1部屋RM1に、除湿機能と送風機能を有する除湿器または加湿機能と送風機能を有する加湿器が、さらなる空調機器として、設置されてもよい。第1部屋RM1に設置される除湿器または加湿器は、室内湿度センサと、コントローラと、無線LANアダプタとを備えている。このように構成されている場合に、選択部153は、「リビングの湿度を下げて。」または「リビングの湿度を上げて。」とユーザに指示された場合に、機器を選択する単語が音声で指示されなくても、所定条件に従って、例えば、エアコン21、空気清浄機22及び除湿器または加湿器の中から適切なものを自動的に選択する。同一の所定空間に設置される空調機器が4つ以上であっても、同様に機器を選択する単語が音声で指示されなくても、同種の検知情報の中から一つを自動的に選択させるように構成することが可能である。
【0089】
(5-5)変形例E
上記実施形態では、第1部屋RM1を所定空間とみなしたが、第1部屋RM1と第2部屋RM2を含む家屋を所定空間とみなすこともできる。このような家屋を所定空間とみなした場合に、エアコン21を第1空調機器とみなし、エアコン23を第2空調機器とみなす。例えば、ユーザが、第1部屋RM1に設置されている音声入出力装置211、第1部屋RM1に設置されている音声入出力装置212、または音声入出力装置が組み込まれているスマートフォン50に、例えば「家のエアコンが運転されているか?」という質問をする場合を想定する。
【0090】
第2サーバ250から指示情報を受信した空気調和システム10の動作を図2に従って説明すると次のようになる。例えば、「家のエアコンの運転状態を通知する」という内容の指示情報を第1サーバ150が受信し、(ステップS2のYes)、受信部151は、選択部153に指示情報を出力する。選択部153は、指示情報に機器特定情報が含まれているか否かを判断する(ステップS4)。
【0091】
この指示情報には機器特定情報が含まれていないので(ステップS4のNo)、選択部153は、記憶部154から所定情報として優先順位を読み出す(ステップS6)。記憶部154から読み出した優先順位では、リビングのエアコン21が、寝室のエアコン23よりも優先されるとする。選択部153は、優先順位に従って、リビングのエアコン21を選択する(ステップS7)。選択部153は、選択結果を示す情報を送信部152に出力する(ステップS8)。送信部152は、選択部153で選択された選択肢に基づいて、入出力機器200の出力のための出力情報を入出力機器200に送信する(ステップS9)。入出力機器200は、エアコン21,23から送信されてくる運転状態に関する情報または記憶部154に記憶されている情報を参照して、音声入出力装置211,212及びスマートフォン50の中の指示が入力された機器に対して、例えば「家のリビングのエアコンは停止中です。」という音データを返信する。
【0092】
例えば、所定条件として、AM8:00~PM8:00の間に質問が在ったときにはエアコン21を優先し、PM8:01~AM7:59の間に質問が在ったときにはエアコン23を優先するという条件を設定することもできる。このような所定条件を設定しておくと、比較的昼間に使用頻度の高いリビングの温度を適当なタイミングで、家の中の場所を指定しなくても通知することができ、比較的夜間に使用頻度の高い寝室の温度を適当なタイミングで、家の中の場所を指定しなくても通知することができる。
【0093】
(5-6)変形例F
上記の実施形低の説明でも触れているが、図4に示されているように、第1サーバ150が解釈部156を備えるように構成されてもよい。第1サーバ150の解釈部156の機能は、既に説明した第2サーバ250の解釈部253と同様である。第1サーバ150が解釈部156を備えている場合に、第2サーバ250が解釈部253を備えていてもよい。
【0094】
(6)特徴
(6-1)
上記実施形態及び変形例で説明された空気調和システム10では、第1空調機器であるエアコン21及び、第2空調機器である空気清浄機22が、所定空間である第1部屋RM1に対して設置されている。言い換えると、エアコン21及び空気清浄機22が第1部屋RM1の空気の状態を変化させることが可能であるということである。エアコン21及び空気清浄機22は、入出力機器200に音声で入力された指示に応じて空気の状態を変化させる。入出力機器200に入力される指示には、処理を行う空調機器がエアコン21か空気清浄機22か若しくはそれら両方かなどを特定する指示と、処理を行う空調機器を特定しない指示の2種類の指示がある。上述の空気調和システム10は、これら2種類の指示のいずれにも対応できるように構成されている。空気調和システム10は、機器を特定しない指示を示す指示情報を取得した場合、第1サーバ150の選択部153により、エアコン21と空気清浄機22のうちの少なくとも一方を、所定条件に従って自動的に選択することができる構成となっている。言い換えると、空気調和システム10は、処理を行う機器をエアコン21とするか空気清浄機とするかなどというようなエアコン21と空気清浄機22を特定する情報をユーザに求めなくても指示に対応する処理を行うことができるように構成されている。ユーザが空調機器を特定しなくても空気調和システム10が指示に対応する処理を行うことができるということは、空気調和システム10が、ユーザが入出力機器200に入力する音声から「エアコン」の単語または「空気清浄機」の単語を省いて入力音声に含まれる単語の数を削減させているということである。言い換えると、空気調和システム10は、ユーザの利便性を向上させているということである。
【0095】
(6-2)
図3に示されている空気調和システム10は、ユーザなどの所望する所定条件の設定を、設定部155により受け付けることができる。言い換えると、設定部155を備える空気調和システム10は、機器を特定しない指示に対応する処理を行う空調機器の選択を、カスタマイズできる環境をユーザなどに提供することができる。ユーザなどは、設定部155により、機器を特定しない指示をした場合でも、ユーザ所望の空調機器を用いて処理が行われるように設定できるため、空気調和システム10に対する満足度が向上する。
【0096】
(6-3)
上記実施形態及び変形例で説明された空気調和システム10では、予め設定されている所定条件が、エアコン21のみが指示に対応可能なときにはエアコン21を選択し、空気清浄機22のみが指示に対応可能なときは空気清浄機22を選択するという条件Re1、第1部屋RM1の中の空気の状態に応じて選択するという条件Re2、及び予め入力されている優先順位に従うという条件Re3である。このような3つの条件Re1~Re3を用いることで、機器を特定しない指示を示す指示情報を取得した場合に、エアコン21と空気清浄機22の中から所定条件に従って選択した空調機器を用いて指示に対応する処理を行う空気調和システム10を容易に実現できる。なお、条件Re1と条件Re2だけを使っても空気調和システム10が容易に実現できる。
【0097】
(6-4)
上記実施形態及び変形例で説明された空気調和システム10は、所定条件に関わらず機器特定情報に従って、指示に応じた処理をする空調機器を選択することで、ユーザの意向に沿った選択をしてユーザの満足度を高めている。
【0098】
(6-5)
上記実施形態及び変形例で説明された空気調和システム10は、第1部屋RM1の空気の状態が第1部屋RM1の空気の温度及び/または湿度である場合に、指示情報が示す温度及び/または湿度の調整について、エアコン21及び空気清浄機22の中から指示に対応する空調機器を選択する。空気調和システム10は、選択した空調機器を用いて、第1部屋RM1の空気の温度及び湿度のうちの少なくとも一方を調整する。空気調和システム10は、指示情報が示す温度及び/または湿度の調整につき、エアコン21及び空気清浄機22の中から指示に対応する空調機器を選択して、温度及び/または湿度の調整を適切に行うことができる。
【0099】
(6-6)
上記実施形態及び変形例で説明された空気調和システム10は、エアコン21で第1部屋RM1の空気の温度を調整し、空気清浄機22で湿度を調整することができる。空気調和システム10は、エアコン21と空気清浄機22に役割を適正に振り分け、快適な第1部屋RM1の環境をユーザに提供できる。
【0100】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0101】
10 空気調和システム
21 エアコン(第1空調機器の例)
22 空気清浄機(第2空調機器の例)
152 送信部
153 選択部
155 設定部
200 入出力機器
【先行技術文献】
【特許文献】
【0102】
【文献】特開2002-89942号公報
図1
図2
図3
図4