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特許7364951回転電機、送風機、圧縮機、冷凍装置、車両
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】回転電機、送風機、圧縮機、冷凍装置、車両
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/04 20060101AFI20231012BHJP
   H02K 1/14 20060101ALI20231012BHJP
   H02K 3/50 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
H02K3/04 J
H02K1/14 C
H02K3/50
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022057308
(22)【出願日】2022-03-30
【審査請求日】2023-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】木戸 尚宏
(72)【発明者】
【氏名】柳田 靖人
(72)【発明者】
【氏名】浅利 司
(72)【発明者】
【氏名】浅野 能成
(72)【発明者】
【氏名】日比野 寛
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-067089(JP,A)
【文献】特開2020-167792(JP,A)
【文献】特開2021-180539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/04
H02K 1/14
H02K 3/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸心回りに回転自在な回転子と、
環状に巻き回された巻線と、前記巻線の周囲を包囲するように設けられるクローポール型の鉄心と、を含む固定子と、
前記巻線から延び出す電線と、を備え、
前記鉄心は、前記巻線の径方向の内側又は外側を覆う第1のヨーク部を含み、
前記鉄心には、回転軸心を中心とし、軸方向に貫通する第1の貫通孔と、前記電線が配置される、前記第1のヨーク部を軸方向に貫通する第2の貫通孔と、が設けられる
回転電機。
【請求項2】
前記固定子は、前記巻線と前記鉄心とを含む第1の固定子ユニットと、前記巻線と前記鉄心とを含む第2の固定子ユニットを含み、
前記第1の固定子ユニット及び前記第2の固定子ユニットは、軸方向に積層される、
請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記第1の固定子ユニットの前記第2の貫通孔、及び前記第2の固定子ユニットの前記第2の貫通孔は、軸方向から見て繋がっている、
請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記固定子は、前記第1の固定子ユニット及び前記第2の固定子ユニットを含む、軸方向に積層される3以上の固定子ユニットを含み、
全ての前記固定子ユニットの前記第2の貫通孔は、軸方向から見て繋がっている、
請求項3に記載の回転電機。
【請求項5】
軸方向に貫通するように前記第1の固定子ユニット及び前記第2の固定子ユニットの前記第2の貫通孔に嵌め込まれた管状の管部材を備え、
前記電線は、前記管部材の中に配置される、
請求項3又は4に記載の回転電機。
【請求項6】
軸方向の一端部で前記固定子を保持する保持部を備え、
前記管部材の一端部は、前記保持部に連結されている、
請求項5に記載の回転電機。
【請求項7】
前記第1の固定子ユニット及び前記第2の固定子ユニットの前記鉄心同士は、同じ形状を有する、
請求項2乃至6の何れか一項に記載の回転電機。
【請求項8】
前記鉄心は、前記巻線の軸方向の両端部を覆う第2のヨーク部と、前記第2のヨーク部の外周部又は内周部に周方向に等間隔で設けられる爪磁極とを含み、
軸方向の一端部の前記第2のヨーク部の前記爪磁極と、軸方向の他端部の前記第2のヨーク部の前記爪磁極とは、周方向に交互に並ぶように配置され、
前記第1の固定子ユニット及び前記第2の固定子ユニットは、前記爪磁極の位置が周方向で同じになるように配置される、
請求項7に記載の回転電機。
【請求項9】
前記第1の固定子ユニット及び前記第2の固定子ユニットは、周方向の位置が所定の電気角θ[°]だけずれるように配置され、
前記第1の固定子ユニットは、2以上の所定数の前記第2の貫通孔を有し、
前記第2の固定子ユニットは、前記所定数の前記第2の貫通孔を有し、
前記第1の固定子ユニットの前記所定数の前記第2の貫通孔の周方向の間隔は、電気角(θ+360×N)[°](Nは、0以上の整数)であり、
前記第2の固定子ユニットの前記所定数の前記第2の貫通孔の周方向の間隔は、電気角(θ+360×N)[°](Nは、0以上の整数)である、
請求項7に記載の回転電機。
【請求項10】
M相(Mは、2以上の整数)の交流電力で駆動される回転電機であって、
電気角θ=360/M[°]である、
請求項9に記載の回転電機。
【請求項11】
前記鉄心は、前記巻線の軸方向の両端部を覆う第2のヨーク部と、前記第2のヨーク部の外周部に周方向に等間隔で設けられる爪磁極とを含み、
軸方向の一端部の前記第2のヨーク部の前記爪磁極と、軸方向の他端部の前記第2のヨーク部の前記爪磁極とは、周方向に交互に並ぶように配置され、
前記鉄心は、前記第1のヨーク部で軸方向に分割される、第1の鉄心及び第2の鉄心を含み、
前記第1の鉄心及び前記第2の鉄心は、前記第2の貫通孔を有し、
前記第1の鉄心の前記第2の貫通孔は、一の前記爪磁極が配置される角度位置を基準として、隣り合う同一極となる前記爪磁極同士の間隔の1/4だけ移動した角度位置、又は、第1の角度位置を基準として互いに対称な2つの角度位置に設けられ、
前記第2の鉄心の前記第2の貫通孔は、一の前記爪磁極が配置される角度位置を基準として、隣り合う同一極となる前記爪磁極同士の間隔の1/4だけ移動した角度位置、又は、第1の角度位置を基準として互いに対称な2つの角度位置に設けられる、
請求項1乃至10の何れか一項に記載の回転電機。
【請求項12】
前記鉄心は、前記巻線の軸方向の両端部を覆う第2のヨーク部を含み、
前記鉄心は、前記巻線の軸方向の一端部を覆う前記第2のヨーク部、及び前記第1のヨーク部の周方向の一部分を含む第1の鉄心と、前記巻線の軸方向の他端部を覆う前記第2のヨーク部、及び前記第1のヨーク部の周方向の残りの部分を含む第2の鉄心とに分割される、
請求項1乃至10の何れか一項に記載の回転電機。
【請求項13】
前記第1の鉄心及び前記第2の鉄心の前記第1のヨーク部の周方向で隣り合う面の間に、前記第2の貫通孔と繋がる隙間が設けられ、
前記電線は、前記隙間を通じて、前記第2の貫通孔に配置される、
請求項12に記載の回転電機。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか一項に記載の回転電機を備える、
送風機。
【請求項15】
請求項1乃至13の何れか一項に記載の回転電機を備える、
圧縮機。
【請求項16】
請求項1乃至13の何れか一項に記載の回転電機を備える、
冷凍装置。
【請求項17】
請求項1乃至13の何れか一項に記載の回転電機を備える、
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回転電機等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クローポール型の回転電機のコイルから延び出す電線(以下、「引出線」)のレイアウトに関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、固定子の鉄心の爪磁極同士の間の隙間から引出線を鉄心の外側に通過させて、軸方向に引き出す方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-158072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、特許文献1では、固定子の鉄心の爪磁極同士の間の隙間から引出線を鉄心の外側に通過させて、軸方向に引き出す方法を採用している。そのため、引出線と回転子との距離が相対的に近くなり、その結果、引出線と回転子との接触の可能性がある。
【0006】
本開示は、クローポール型の回転電機において、固定子の巻線から延び出す引出線のより適切なレイアウトを実現可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態では、
回転軸心回りに回転自在な回転子と、
環状に巻き回された巻線と、前記巻線の周囲を包囲するように設けられるクローポール型の鉄心と、を含む固定子と、
前記巻線から延び出す電線と、を備え、
前記鉄心は、回転軸心を中心として設けられ、軸方向に貫通する第1の貫通孔と、前記電線が配置される、軸方向に貫通する第2の貫通孔と、を有する、
回転電機が提供される。
【0008】
本実施形態によれば、第2の貫通孔を通じて、クローポール型の鉄心に内包される巻線から延び出す引出線(電線)を鉄心の外部に引き出すことができる。そのため、例えば、引出線と回転子との接触するような事態を抑制することができる。よって、クローポール型の回転電機において、固定子の巻線から延び出す引出線をより適切にレイアウトすることができる。
【0009】
また、上述の実施形態において、
前記固定子は、前記巻線と前記鉄心とを含む第1の固定子ユニットと、前記巻線と前記鉄心とを含む第2の固定子ユニットを含み、
前記第1の固定子ユニット及び前記第2の固定子ユニットは、軸方向に積層されてもよい。
【0010】
また、上述の実施形態において、
前記第1の固定子ユニットの前記第2の貫通孔、及び前記第2の固定子ユニットの前記第2の貫通孔は、軸方向から見て繋がっていてもよい。
【0011】
また、上述の実施形態において、
前記固定子は、前記第1の固定子ユニット及び前記第2の固定子ユニットを含む、軸方向に積層される3以上の固定子ユニットを含み、
全ての前記固定子ユニットの前記第2の貫通孔は、軸方向から見て繋がっていてもよい。
【0012】
また、上述の実施形態において、
軸方向に貫通するように前記第1の固定子ユニット及び前記第2の固定子ユニットの前記第2の貫通孔に嵌め込まれた管状の管部材を備え、
前記電線は、前記管部材の中に配置されてもよい。
【0013】
また、上述の実施形態において、
軸方向の一端部で前記固定子を保持する保持部を備え、
前記管部材の一端部は、前記保持部に連結されていてもよい。
【0014】
また、上述の実施形態において、
前記第1の固定子ユニット及び前記第2の固定子ユニットの前記鉄心同士は、同じ形状を有していてもよい。
【0015】
また、上述の実施形態において、
前記鉄心は、前記巻線の径方向の内側または外側を覆う第1のヨーク部と、前記巻線の軸方向の両端部を覆う第2のヨーク部と、前記第2のヨーク部の外周部又は内周部に周方向に等間隔で設けられる爪磁極とを含み、
軸方向の一端部の前記第2のヨーク部の前記爪磁極と、軸方向の他端部の前記第2のヨーク部の前記爪磁極とは、周方向に交互に並ぶように配置され、
前記第1の固定子ユニット及び前記第2の固定子ユニットは、前記爪磁極の位置が周方向で同じになるように配置されてもよい。
【0016】
また、上述の実施形態において、
前記第1の固定子ユニット及び前記第2の固定子ユニットは、周方向の位置が所定の電気角θ[°]だけずれるように配置され、
前記第1の固定子ユニットは、2以上の所定数の前記第2の貫通孔を有し、
前記第2の固定子ユニットは、前記所定数の前記第2の貫通孔を有し、
前記第1の固定子ユニットの前記所定数の前記第2の貫通孔の周方向の間隔は、電気角(θ+360×N)[°](Nは、0以上の整数)であり、
前記第2の固定子ユニットの前記所定数の前記第2の貫通孔の周方向の間隔は、電気角(θ+360×N)[°](Nは、0以上の整数)であってもよい。
【0017】
また、上述の実施形態において、
M相(Mは、2以上の整数)の交流電力で駆動される回転電機であって、
電気角θ=360/M[°]であってもよい。
【0018】
また、上述の実施形態において、
前記鉄心は、前記巻線の径方向の内側または外側を覆う第1のヨーク部と、前記巻線の軸方向の両端部を覆う第2のヨーク部と、前記第2のヨーク部の外周部に周方向に等間隔で設けられる爪磁極とを含み、
軸方向の一端部の前記第2のヨーク部の前記爪磁極と、軸方向の他端部の前記第2のヨーク部の前記爪磁極とは、周方向に交互に並ぶように配置され、
前記鉄心は、前記第1のヨーク部で軸方向に分割される、第1の鉄心及び第2の鉄心を含み、
前記第1の鉄心及び前記第2の鉄心は、前記第2の貫通孔を有し、
前記第1の鉄心の前記第2の貫通孔は、一の前記爪磁極が配置される角度位置を基準として、隣り合う同一極となる前記爪磁極同士の間隔の1/4だけ移動した角度位置、又は、第1の角度位置を基準として互いに対称な2つの角度位置に設けられ、
前記第2の鉄心の前記第2の貫通孔は、一の前記爪磁極が配置される角度位置を基準として、隣り合う同一極となる前記爪磁極同士の間隔の1/4だけ移動した角度位置、又は、第1の角度位置を基準として互いに対称な2つの角度位置に設けられてもよい。
【0019】
また、上述の実施形態において、
前記鉄心は、前記巻線の径方向の内側または外側を覆う第1のヨーク部と、前記巻線の軸方向の両端部を覆う第2のヨーク部を含み、
前記鉄心は、前記巻線の軸方向の一端部を覆う前記第2のヨーク部、及び前記第1のヨーク部の周方向の一部分を含む第1の鉄心と、前記巻線の軸方向の他端部を覆う前記第2のヨーク部、及び前記第1のヨーク部の周方向の残りの部分を含む第2の鉄心とに分割されてもよい。
【0020】
また、上述の実施形態において、
前記第1の鉄心及び前記第2の鉄心の前記第1のヨーク部の周方向で隣り合う面の間に、前記第2の貫通孔と繋がる隙間が設けられ、
前記電線は、前記隙間を通じて、前記第2の貫通孔に配置されてもよい。
【0021】
また、本開示の他の実施形態では、
上述の回転電機を備える、
送風機が提供される。
【0022】
また、本開示の更に他の実施形態では、
上述の回転電機を備える、
圧縮機が提供される。
【0023】
また、本開示の更に他の実施形態では、
上述の回転電機を備える、
冷凍装置が提供される。
【0024】
また、本開示の更に他の実施形態では、
上述の回転電機を備える、
車両が提供される。
【発明の効果】
【0025】
上述の実施形態によれば、クローポール型の回転電機において、固定子の巻線から延び出す引出線のより適切なレイアウトを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】クローポールモータ(回転子)の一例を示す斜視図である。
図2】固定子の一例を示す斜視図である。
図3】クローポールモータの一例を示す縦断面図(軸方向に平行な断面を径方向から見た断面図)である。
図4】クローポールモータの他の例を示す縦断面図である。
図5】クローポールモータの更に他の例を示す縦断面図である。
図6】回転子の他の例を示す横断面図(軸方向に垂直な断面を軸方向から見た断面図)である。
図7】固定子ユニット(ステータコア)の第1例を示す分解図である。
図8】固定子ユニット(ステータコア)の第2例を示す分解図である。
図9】固定子ユニット(ステータコア)の第3例を示す斜視図である。
図10】固定子ユニット(ステータコア)の第3例を示す分解図である。
図11】固定子の他の例を示す斜視図である。
図12】クローポールモータの回路構成の一例を示す図である。
図13】クローポールモータの回路構成の他の例を示す図である。
図14】クローポールモータにおけるコイルの引出線のレイアウトの第1例を模式的に示す縦断面図である。
図15】ステータコアの貫通孔の一例を示す上面図である。
図16】ステータコアの貫通孔に配置される管状の部材の一例を示す縦断面図である。
図17】クローポールモータにおけるコイルの引出線のレイアウトの第2例を模式的に示す縦断面図である。
図18】コイルとステータコアの貫通孔との間の引出線の誘導経路の一例を示す縦断面図である。
図19】コイルとステータコアの貫通孔との間の引出線の誘導経路の他の例を示す斜視図である。
図20】コイルとステータコアの貫通孔との間の引出線の誘導経路の更に他の例を示す斜視図である。
図21】クローポールモータにおけるコイルの引出線のレイアウトの第3例を模式的に示す縦断面図である。
図22】ステータコアの貫通孔の配置の一例を示す図である。
図23】ステータコアの貫通孔の配置の一例を示す図である。
図24】空気調和機の一例を示す図である。
図25】車両の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
【0028】
[クローポールモータの基本構成]
図1図11を参照して、本実施形態に係るクローポールモータ1の基本構成について説明する。
【0029】
図1は、クローポールモータ1(回転子10)の一例を示す斜視図である。図2は、クローポールモータ1の固定子20の一例を示す斜視図である。具体的には、図2は、図1において、回転子10(ロータコア11、永久磁石12、及び回転軸部材13)の図示を省略した図である。図3図5は、クローポールモータ1の一例、他の例、及び更に他の例を示す、回転軸心AXを含む平面における縦断面図である。図6は、回転子10の他の例を示す、回転軸心AXに垂直な平面における横断面図である。図7は、固定子ユニット21(ステータコア210)の第1例を示す分解図である。図8は、固定子ユニット21(ステータコア210)の第2例を示す分解図である。図9は、固定子ユニット21(ステータコア210)の第3例を示す斜視図である。図10は、固定子ユニット21(ステータコア211)の第3例を示す分解図である。図11は、固定子20の他の例を示す斜視図である。
【0030】
尚、図1では、回転子10の内部の構造を露出させるため、後述する連結部材14の図示が省略されている。また、図3図5では、簡単のため、爪磁極部211B2の図示が省略される等によって、後述する固定子ユニット21A~21Cの構造が簡略化されている。
【0031】
図1図2に示すように、クローポールモータ(「クローポール型の回転電機」とも称する)1は、アウタロータ型であり、複数相(本例では、3相)の電機子電流で駆動される。
【0032】
尚、クローポールモータ1は、インナロータ型であってもよい。また、クローポールモータ1は、単相や2相の電機子電流で駆動される形態であってもよいし、4相以上の電機子電流で駆動される形態であってもよい。
【0033】
図1図5に示すように、クローポールモータ1は、回転子10と、回転軸部材13と、連結部材14と、固定子20と、支持部材24と、軸受25,26と、固定部材30とを含む。
【0034】
図1図3図5に示すように、回転子(「ロータ」とも称する)10は、固定子20に対して、クローポールモータ1の回転軸心AXを基準(中心)とする径方向(以下、単に「径方向」)の外側に配置され、回転軸心AXまわりに回転可能である。回転子10は、永久磁石界磁であり、ロータコア11と、永久磁石12とを含む。
【0035】
尚、回転子10は、インナロータ型の場合、固定子20に対して、径方向の内側に配置される。また、回転子10は、クローポールモータ1が回転電機として機能することが可能であれば、任意の形態であってよい。例えば、回転子10は、クローポールモータ1が誘導電動機やリラクタンスモータ等のように永久磁石を有しなくてもよい。
【0036】
ロータコア(「回転子鉄心」とも称する)11は、例えば、略円筒形状を有し、クローポールモータ1の回転軸心AXと円筒形状の軸心とが略一致するように配置される。"略"は、例えば、製造上の誤差等を許容する意図であり、以下、同様の意図で用いる。また、ロータコア11は、クローポールモータ1の回転軸心AXに沿う軸方向(以下、単に「軸方向」)において、固定子20と略同等の長さを有する。ロータコア11は、例えば、電磁鋼板、鋳鉄、圧粉磁心等の軟磁性体により形成される。ロータコア11は、例えば、図1に示すように、軸方向において、一の部材で構成される。また、ロータコア11は、例えば、軸方向に積層される複数のロータコアで構成されてもよい。例えば、ロータコア11は、後述する固定子ユニット21A~21Cのそれぞれに対応する3つのロータコアで構成されてもよい。
【0037】
永久磁石12は、電機子としての固定子20と鎖交する磁界を発生させる。永久磁石12は、例えば、ネオジム焼結磁石やフェライト磁石である。
【0038】
例えば、図2に示すように、永久磁石12は、ロータコア11の内周面において、回転軸心AXを基準(中心)とする周方向(以下、単に「周方向」)に略等間隔で複数(本例では、20個)並べられる。つまり、クローポールモータ1は、表面磁石型(SPM:Surface Permanent Magnet)であってよい。
【0039】
また、図6に示すように、永久磁石12は、例えば、ロータコア11に埋設される形で、周方向に略等間隔で複数(本例では、16個)並べられてもよい。つまり、回転子10は、埋込磁石型(IPM:Interior permanent Magnet)であってもよい。
【0040】
永久磁石12は、径方向の両端面に異なる磁極が着磁されている。また、周方向で隣り合う二つの永久磁石12は、固定子20に面する径方向の内側に互いに異なる磁極が着磁されている。そのため、同じ軸方向の位置において、固定子20の径方向の外側には、周方向で、径方向の内側にN極が着磁された永久磁石12と、径方向の内側にS極が着磁された永久磁石12とが交互に配置される。
【0041】
また、周方向に並べられる複数の永久磁石12は、複数の永久磁石12と同様に、異なる磁極が径方向の内面に周方向で交互に並べて配置されるリング磁石やプラスチック磁石に置換されてもよい。この場合、内周面に周方向で交互に異なる磁極が表れるように極異方性の磁化配向で着磁された円環状(略円筒形状)の永久磁石(リング磁石)が採用されてもよい。
【0042】
図3図5に示すように、周方向に並べられる複数の永久磁石12は、それぞれ、後述の軸方向に積層される全ての固定子ユニット21(固定子ユニット21A~21C)と径方向で対向するように、回転子10の軸方向の一端から他端に亘る範囲に配置される。これにより、永久磁石12は、全ての固定子ユニット21に対して磁界を作用させることができる。
【0043】
例えば、図3図5に示すように、周方向に並べられる複数の永久磁石12は、全ての固定子ユニット21に対応する軸方向の範囲において、略同じ周方向の位置になるように配置される。この場合、図3図5に示すように、周方向に並べられる複数の永久磁石12は、それぞれ、回転子10の一端から他端に亘る範囲で一の磁石部材で構成されてもよいし、軸方向で複数の磁石部材に分割される形で構成されていてもよい。例えば、ある周方向の位置の永久磁石12は、積層されるロータコア11の部材の数に対応する3つの磁石部材で構成される。後者の場合、軸方向に分割される永久磁石12を構成する複数の磁石部材は、固定子20に面する径方向の内側に全て同じ磁極が着磁される。上述の如く、周方向に一の部材で構成されるリング磁石やプラスチック磁石が採用される場合の周方向での磁極に位置についても同様であってよい。
【0044】
また、周方向に並べられる複数の永久磁石12は、軸方向において、径方向で対向する固定子ユニット21が切り替わるごとに、周方向の位置が異なるように配置されてもよい。具体的には、軸方向で隣り合う2つの固定子ユニット21のそれぞれに対向する永久磁石12は、電気角で以下の式(1)により規定される角度θe[°]の分だけ周方向でずれるように配置される。上述の如く、周方向に一の部材で構成されるリング磁石やプラスチック磁石が採用される場合の周方向での磁極に位置についても同様であってよい。
【0045】
θe=360/M ・・・(1)
【0046】
尚、Mは、クローポールモータ1を駆動する交流電力(電機子電流)の相数である。
【0047】
例えば、図2に示すように、クローポールモータ1が三相交流(M=3)で駆動される場合、電気角としての角度θeは、120°である。
【0048】
尚、周方向において、一の部材で構成されるプラスチック磁石が採用される場合、ロータコア11は、省略されてもよい。また、周方向に一の部材が構成され、内周面に周方向で交互に異なる磁極が表れるように極異方性の磁化配向で着磁された円環状(略円筒形状)の永久磁石(リング磁石)が採用される場合、ロータコア11は、省略されてもよい。
【0049】
回転軸部材13は、例えば、軸方向に細長い、略円柱形状を有し、クローポールモータ1の回転軸心AXと円柱形状の軸心とが略一致するように配置される。例えば、図3図4に示すように、回転軸部材13は、固定子20の径方向内側の中空部(後述の貫通孔210D)を貫通し軸方向に延びるように設けられる。また、例えば、図5に示すように、回転軸部材13は、固定子20とは軸方向でオフセットされる形で軸方向に延びるように設けられてもよい。
【0050】
図3図5に示すように、回転軸部材13は、例えば、支持部材24の軸方向の両端部に設けられる軸受25,26によって回転可能に支持される。後述の如く、支持部材24は、固定部材30に固定される。これにより、回転軸部材13は、固定部材30に対して回転軸心AX回りで回転することができる。図3図5に示すように、回転軸部材13は、例えば、軸方向において、クローポールモータ1の固定部材30側の端部とは反対側の端部(以下、便宜的に「クローポールモータ1の先端部」)で、連結部材14を介して、ロータコア11と連結される。
【0051】
連結部材14は、上述の如く、ロータコア11及び永久磁石12と回転軸部材13とを連結する。連結部材14は、例えば、ロータコア11の略円筒形状の開放端を閉塞する形の略円板形状を有する。これにより、ロータコア11及びロータコア11の内周面に固定される永久磁石12は、回転軸部材13の回転に合わせて、固定部材30に対してクローポールモータ1の回転軸心AXまわりに回転することができる。
【0052】
図2図5に示すように、固定子(「ステータ」とも称する)20は、回転子10(ロータコア11及び永久磁石12)の径方向の内側に配置される。固定子20は、電機子であり、複数(本例では、3つ)のクローポール型の固定子ユニット21と、複数(本例では、2つ)の相間部材22と、端部材23と、支持部材24とを含む。
【0053】
尚、固定子20は、インナロータ型の場合、回転子10の径方向の外側に配置される。また、相間部材22、端部材23、及び支持部材24は、いずれも必須ではなく、適宜省略されてもよい。
【0054】
図7図10に示すように、固定子ユニット21は、ステータコア210と、コイル212とを含む。
【0055】
ステータコア(「固定子鉄心」とも称する)210は、コイル212の周囲を取り囲むように設けられる。ステータコア210は、一対のステータコア211(第1の鉄心及び第2の鉄心の一例)を含む。
【0056】
ステータコア211は、例えば、圧粉磁心等の軟磁性体で形成される。また、ステータコア211は、例えば、表面が酸化膜等によって絶縁処理されてもよい。ステータコア211は、ヨーク部211Aと、複数の爪磁極(「クローポール」とも称する)211Bと、ヨーク部211Cと、孔部211Dとを含む。
【0057】
ヨーク部211A(第2のヨーク部の一例)は、コイル212の軸方向の端部を覆うように設けられる。ヨーク部211Aは、軸方向に沿って見たときに略円環形状を有すると共に、軸方向に所定の厚みを有する。
【0058】
複数の爪磁極211Bは、ヨーク部211Aの外周面において、周方向に略等間隔で配置され、それぞれ、ヨーク部211Aの外周面から径方向の外側に向かって突出する。例えば、爪磁極211Bの数は、対向する回転子10の径方向の内面に周方向に並べられる永久磁石12の磁極数と同一である。爪磁極211Bは、爪磁極部211B1を含む。
【0059】
爪磁極部211B1は、周方向に所定の幅を有し且つ軸方向にヨーク部211Aの軸方向の厚みと同等程度の厚みを有し、ヨーク部211Aの外周面から径方向に所定の長さだけ延び出す形で突出する。
【0060】
また、爪磁極211Bは、爪磁極部211B2を含む。これにより、コイル212の電機子電流により磁化される爪磁極211Bの磁極面と回転子10との対向面積を相対的に広く確保することができる。そのため、クローポールモータ1の出力トルクを相対的に増加させ、クローポールモータ1の出力を向上させることができる。
【0061】
爪磁極部211B2は、爪磁極部211B1の先端から一対のステータコア211の他方に向かって軸方向に所定の長さだけ延び出す形で突出する。例えば、図7図9図10に示すように、爪磁極部211B2は、爪磁極部211B1からの距離に依らず幅が一定であってよい。また、例えば、図8に示すように、爪磁極部211B2は、爪磁極部211B1から軸方向で離れるにつれて幅が狭くなるテーパ形状を有していてもよい。
【0062】
尚、爪磁極部211B2は、省略されてもよい。
【0063】
ヨーク部211Cは、ヨーク部211Aの内周面付近の部分が一対のステータコア211の他方に向かって所定量だけ突出する形で構成され、コイル212の径方向の内側を包囲する隔壁として機能する。
【0064】
例えば、図7図8に示すように、ヨーク部211Cは、軸方向に沿って見たときにヨーク部211Aより外径が小さい円環形状を有する。これにより、互いのヨーク部211Cの先端部で当接し、ステータコア210には、一対のヨーク部211Cによって、コイル212の径方向の内側を覆うヨーク部210C(第1のヨーク部の一例)が形成される。そして、ステータコア210には、軸方向の両端部のヨーク部211A、及び爪磁極211B(爪磁極部211B1)の間にコイル212を収容する空間が形成される。この場合、一対のステータコア211は、互いに軸方向で対向する合わせ面、換言すれば、互いに軸方向に垂直な合わせ面で連結される。また、この場合、ヨーク部211Cのヨーク部211Aからの突出量の2倍は、爪磁極部211B2の爪磁極部211B1からの突出量と同じか、或いは、それより大きくなるように構成される。これにより、一対のステータコア211が連結される状態で、爪磁極部211B2の先端が一対のステータコア211の軸方向の両端面から突出しないようにすることができる。
【0065】
また、例えば、図9図10に示すように、一対のステータコア211が径方向及び周方向に対向する面で連結されるように、ヨーク部211A,211Cが設けられてもよい。具体的には、ヨーク部211Aは、ヨーク部211A1,211A2を含む。ヨーク部211A1は、ヨーク部211Aにおける径方向の外側の爪磁極211Bの基端との連結部に相当し、軸方向に沿って見たときに略円環形状を有してよい。また、ヨーク部211A2は、ヨーク部211Aにおける径方向の内側のヨーク部211Cの基端との連結部に相当し、ヨーク部211A1の内側面から径方向の内側に突出すると共に、軸方向に沿って見たときに扇形状を有してよい。また、ヨーク部211A2は、周方向に等間隔で複数(本例では、4つ)配置されると共に、周方向で隣り合う2つのヨーク部211A2との間の切欠部分の軸方向視の形状とヨーク部211A2の軸方向視の形状とが略同じになるように構成される。そして、ヨーク部211Cは、複数のヨーク部211A2のそれぞれから他方のステータコア211に向かって軸方向に突出する形で設けられる。これにより、ヨーク部211Cの先端部が他方のステータコア211の周方向で隣り合う2つのヨーク部211A2の間の切欠部分に嵌まり合う形で、一対のステータコア211を連結することができる。この場合、ステータコア210には、一対のステータコア211の周方向で交互に嵌り合うヨーク部211Cによって、コイル212の径方向の内側を覆うヨーク部210Cが形成される。
【0066】
孔部211Dは、ヨーク部211A及びヨーク部211Cの内周面によって形成され、軸方向で貫通するように設けられる。
【0067】
例えば、図7図8に示すように、一対のステータコア211のヨーク部211Cの先端同士が当接することで、孔部211D同士が連通し、ステータコア210には、径方向の中央において、軸方向で貫通する貫通孔210D(第1の貫通孔の一例)が形成される。
【0068】
また、例えば、図9図10に示すように、ステータコア210には、一対のステータコア211の周方向で交互に嵌り合うヨーク部211A及びヨーク部211Cの内周面によって、軸方向で貫通する貫通孔210Dが形成される。
【0069】
コイル(「巻線」とも称する)212は、固定子20の軸心、即ち、クローポールモータ1の回転軸心AXを略中心として、軸方向に沿って見たときに導線が円環状に巻き回されることにより構成される。コイル212の導線は、例えば、軸方向で複数の層を成すように巻き回されてもよいし、径方向で複数の列を成すように巻き回されてもよいし、軸方向で複数の層を成し且つ径方向で複数の列を成すように巻き回されてもよい。また、コイル212の導線は、例えば、断面が円形の丸線である。また、コイル212の導線は、例えば、断面が矩形の角線や平角線であってもよい。複数相(本例では、3相)のコイル212同士がY結線(スター結線)で接続される場合、コイル212は、その一端が外部端子に電気的に繋がっており、その他端が中性点に電気的に繋がっている(後述の図12参照)。また、例えば、複数相のコイル212同士がΔ結線(デルタ結線)で接続される場合、コイル212は、その一端がクローポールモータ1の一の外部端子(同じ相の外部端子)に電気的に繋がっており、その他端がクローポールモータ1の他の外部端子(異なる相の外部端子)に電気的に繋がっている(後述の図13参照)。コイル212は、軸方向において、一対のステータコア211(ヨーク部211A)の間に配置される。また、コイル212は、内周部が一対のステータコア211のヨーク部211Cよりも径方向で外側になり、且つ、外周部が一対のステータコア211の爪磁極部211B2よりも径方向で内側になるように巻き回されている。
【0070】
尚、ステータコア211とコイル212の導線との間には、ステータコア211とコイル212の導線との間を電気的に絶縁する絶縁部が配置される。絶縁部は、例えば、ステータコア211とコイル212との間に配置される、絶縁紙、樹脂成形されたインシュレータ、シリコンゴム、ボビン、ステータコア211或いはコイル212に対する樹脂モールド等である。また、絶縁部は、例えば、コイル212の導線の表面に設けられる樹脂の絶縁皮膜であってもよい。
【0071】
図2に示すように、一対のステータコア211は、一方のステータコア211の爪磁極211Bと他方のステータコア211の爪磁極211Bとが周方向で交互に配置されるように組み合わせられる。また、円環状のコイル212に電機子電流が流れると、一対のステータコア211のうちの一方に形成される爪磁極211Bと他方に形成される爪磁極211Bとは、互いに異なる磁極に磁化される。これにより、一対のステータコア211において、一方のステータコア211から突出する一の爪磁極211Bは、周方向で隣接し、他方のステータコア211から突出する他の爪磁極211Bと異なる磁極を有する。そのため、コイル212に流れる電機子電流により、ある瞬間において、一対のステータコア211の周方向には、N極の爪磁極211B及びS極の爪磁極211Bが交互に配置される。言い換えれば、電機子電流は交流であり、爪磁極211Bは、周方向で交互に180°位相がずれた磁極を示す。
【0072】
尚、インナロータ型の場合、クローポール型のステータコア210のヨーク部210C(ヨーク部211C)は、径方向の外側の端部に設けられ、爪磁極211Bは、ヨーク部211Cから径方向の内側に延びるように設けられる。
【0073】
図2図5図11に示すように、複数の固定子ユニット21は、軸方向に積層される。
【0074】
複数の固定子ユニット21には、複数相(本例では、3相)分の固定子ユニット21が含まれる。具体的には、複数の固定子ユニット21は、U相に対応する固定子ユニット21Aと、V相に対応する固定子ユニット21Bと、W相に対応する固定子ユニット21Cとを含む。複数の固定子ユニット21は、クローポールモータ1の先端部から、U相に対応する固定子ユニット21A、V相に対応する固定子ユニット21B、及びW相に対応する固定子ユニット21Cの順で積層される。
【0075】
例えば、図2に示すように、軸方向で隣り合う異なる相の固定子ユニット21同士は、互いに、周方向の位置が電気角で上述の角度θe[°]だけ異なるように配置される。具体的には、固定子ユニット21A~21Cは、隣り合う固定子ユニット21同士で、周方向の位置が電気角で120°異なるように配置される。この場合、図3図5に示すように、周方向に並べられる複数の永久磁石12は、全ての固定子ユニット21に対応する軸方向の範囲において、略同じ周方向の位置になるように配置される。
【0076】
また、図11に示すように、軸方向で積層される複数相の固定子ユニットは、周方向の位置が同じになるように配置されてもよい。この場合、軸方向で隣り合う2つの固定子ユニット21のそれぞれに対向する永久磁石12は、上述の如く、電気角で角度θe[°]の分だけ周方向でずれるように配置される。
【0077】
尚、クローポールモータ1は、同じ相の固定子ユニット21を複数有してもよい。例えば、U相の対応する2つの固定子ユニット21、V相に対応する2つの固定子ユニット21、及びW相に対応する2つの固定子ユニット21がこの順で軸方向に積層されてもよい。また、クローポールモータ1は、上述の如く、単相や2相の電機子電流で駆動されてもよいし、4相以上の電機子電流で駆動されてもよい。この場合、相数に相ごとの固定子ユニット21の数を乗じた数の分の固定子ユニット21が軸方向に積層される。
【0078】
相間部材22は、軸方向で隣接する異なる相の固定子ユニット21の間に設けられる。相間部材22は、例えば、非磁性体である。これにより、異なる相の二つの固定子ユニット21の間に所定の距離を確保し、異なる相の二つの固定子ユニット21の間での磁束漏れを抑制することができる。相間部材22は、相間部材22A,22Bを含む。
【0079】
相間部材22Aは、軸方向で隣接する、U相の固定子ユニット21AとV相の固定子ユニット21Bとの間に設けられる。相間部材22Aは、例えば、所定の厚みを有する略円柱形状(略円板形状)を有し、径方向の中心部分に軸方向に貫通する貫通孔が形成される。貫通孔は、例えば、軸方向に沿って見たときに、ステータコア211の孔部211Dと同じ或いはそれより小さい径の略円形状を有する。以下、相間部材22Bについても同様であってよい。
【0080】
相間部材22Bは、軸方向で隣接する、V相の固定子ユニット21BとW相の固定子ユニット21Cとの間に設けられる。
【0081】
端部材23は、積層される複数の固定子ユニット21のクローポールモータ1の軸方向の端部に設けられる。
【0082】
例えば、図3図5に示すように、端部材23は,クローポールモータ1の先端部のみに設けられる。具体的には、端部材23は、軸方向において、固定子ユニット21Aの固定子ユニット21Bに面する側と反対側の端面に接するように設けられる。端部材23は、例えば、所定の厚みを有する略円柱形状(略円板形状)を有し、径方向の中心部分に軸方向に貫通する貫通孔が形成される。貫通孔は、例えば、軸方向に沿って見たときに、ステータコア211の孔部211Dと同じ或いはそれより小さい径の略円形状を有する。以下、後述の端部材23A,23Bについても同様である。端部材23は、例えば、非磁性体である。これにより、固定子ユニット21Aのステータコア211からの磁束漏れを抑制することができる。
【0083】
また、例えば、図4に示すように、端部材23は、複数の固定子ユニット21のクローポールモータ1の先端部、及び基端部の双方に設けられてもよい。具体的には、端部材23は、複数の固定子ユニット21のクローポールモータ1の先端部及び基端部のそれぞれに設けられる端部材23A,23Bを含んでよい。端部材23Aは、図3図5の端部材23に相当する。端部材23Bは、固定子ユニット21Cと固定部材30との間に配置される。これにより、固定子ユニット21Cのステータコア211からの磁束漏れを抑制することができる。
【0084】
支持部材24は、軸受25,26が固定され、軸受25,26を介して回転軸部材13を回転可能に支持する。
【0085】
例えば、図3図4に示すように、支持部材24は、固定子20の径方向の内側で軸方向に貫通するように設けられる。具体的には、支持部材24は、挿通部24Aと、拡径部24Bとを含む。
【0086】
挿通部24Aは、例えば、ステータコア211の孔部211Dの内径よりも小さい外径の略円筒形状を有し、その外周面より径方向の外側に固定子20(固定子ユニット21A~21C)が配置される。そして、挿通部24Aは、その先端が固定部材30に固定される。換言すれば、挿通部24Aは、固定部材30から軸方向に延びるように設けられる。例えば、図3図4に示すように、挿通部24Aは、固定部材30に設けられる軸方向に貫通する孔部に圧入等によって嵌合されることにより、固定部材30に固定される。また、例えば、挿通部24Aは、その先端部に雄ネジ加工が成され、固定部材30に設けられる軸方向に貫通する孔部に挿通され反対側に露出するその先端部にナットがねじ込まれることにより、固定部材30に固定されてもよい。
【0087】
拡径部24Bは、クローポールモータ1の先端側の挿通部24Aの端部に設けられ、ステータコア211の孔部211Dよりも大きい外径を有する円板形状を有する。これにより、図4に示すように、挿通部24Aが挿通される、端部材23、固定子ユニット21A、相間部材22A、固定子ユニット21B、相間部材22B、及び固定子ユニット21Cを拡径部24B及び固定部材30の間に挟み込む形で固定することができる。特に、圧粉磁心は、引張応力に対する強度が相対的に低い一方、圧縮応力に対する強度が相対的に高い。よって、圧粉磁心で形成されるステータコア211に圧縮応力が作用する形で、固定子ユニット21A~21Cに固定することができる。
【0088】
また、支持部材24の径方向の中央部には、軸方向に貫通する孔部24Hが設けられる。孔部24Hの両端部には、軸受25,26が取り付けられると共に、回転軸部材13が孔部24Hの軸方向に延びるように配置され、軸受25,26によって回転可能に支持される。
【0089】
また、例えば、図5に示すように、支持部材24は、軸方向で固定子20とオフセットするように配置されてもよい。具体的には、支持部材24は、連結部材14から見て固定子20とは軸方向で反対側において、径方向の中央部で軸方向に延びるように設けられる。支持部材24には、軸方向に貫通する孔部24Hが設けられる。孔部24Hには、軸方向で互いにある程度離間する距離に軸受25,26が設けられ、回転軸部材13が軸受25,26によって回転可能に支持される。この場合、支持部材24は、図示しない他の部材(例えば、筐体)等を介して、固定部材30に固定される。
【0090】
また、例えば、図5に示すように、クローポールモータ1は、固定部材27と、ボルト28とを含んでもよい。
【0091】
固定部材27は、軸方向で端部材23の固定子ユニット21Aが面する側と反対側に設けられる。固定部材27は、ステータコア211の孔部211Dの内径よりも大きい外径の略円板形状を有し、径方向の中央部に略同軸配置される。また、固定部材27は、軸方向に沿って見たときに、ステータコア211の孔部211Dよりも径方向の内側の同心円状に周方向で等間隔に配置される複数(本例では、4つ)の貫通孔を有する。
【0092】
ボルト28は、固定子20の軸方向の長さと、固定部材27の厚みとの合計よりも十分に大きい長さを有する。ボルト28は、固定部材27に設けられる貫通孔と同様に複数(本例では、4つ)設けられる。ボルト28は、固定部材27の貫通孔に挿通され、ステータコア211の孔部211D等により形成される、固定子20の径方向の内側の空間(孔部)を通過し、先端の雄ネジ部が固定部材30に形成される、雌ネジ加工された孔部にネジ込まれる。これにより、ボルト28によって、固定部材27が固定部材30に固定される。そのため、図5に示すように、端部材23、固定子ユニット21A、相間部材22A、固定子ユニット21B、相間部材22B、及び固定子ユニット21Cを固定部材27及び固定部材30の間に挟み込む形で固定することができる。
【0093】
固定部材30(保持部の一例)は、例えば、軸方向に沿って見たときに回転子10(ロータコア11)よりも大きい外径の略円板形状を有する。
【0094】
例えば、図3図4に示すように、固定部材30には、上述の如く、支持部材24を介して、回転子10が回転可能に支持され、固定子20が軸方向に保持されることにより固定される。また、例えば、図5に示すように、固定部材30には、上述の如く、固定部材27及びボルト28を介して固定子20が固定される。
【0095】
尚、固定子20は、例えば、固定子ユニット21、相間部材22、及び端部材23が互いに隣接する構成要素と接着剤等によって連結されると共に、固定部材30に接着材等によって連結されることで、固定部材30に軸方向で固定されてもよい。この場合、拡径部24Bや固定部材27は省略されてもよい。
【0096】
固定部材30は、例えば、銅やアルミニウム等の相対的に高い熱電導性を有する金属で構成される。これにより、コイル212で発生する熱エネルギを固定部材30により効率的に伝導させることができる。そのため、コイル212の冷却を促進させることができる。また、固定部材30は、例えば、軸方向で固定子20と面する領域以外の領域において、段差形状、フィン形状、ピン形状等を有してもよい。これにより、固定部材30は、その表面積が相対的に大きくなり、外気への放熱を促進することができる。そのため、コイル212で発生する熱が伝導される際の固定部材30の温度上昇を更に抑制し、コイル212で発生する熱を確実に固定部材30に移動させ、コイル212の冷却を促進させることができる。
【0097】
[クローポールモータの回路構成]
次に、図12図13を参照して、本実施形態に係るクローポールモータ1の回路構成について説明する。
【0098】
図12図13は、クローポールモータ1の回路構成の一例及び他の例を示す図である。具体的には、図12図13は、複数相(3相)のコイル212がY結線及びΔ結線のそれぞれで接続される場合のクローポールモータ1の回路構成を示す模式図である。
【0099】
図12図13に示すように、クローポールモータ1は、制御装置40を含む。
【0100】
制御装置40は、クローポールモータ1に供給される電力を制御する。例えば、制御装置40は、商用電源等の所定の交流電源から受電される電力から直流電力を生成する整流回路と、直流電力を平滑化する平滑回路と、直流電力から所定の電圧や所定の周波数の交流電力を出力するインバータ回路とを含む電力変換装置である。制御装置40は、例えば、インバータ回路のU相、V相、及びW相の出力線に接続され、外部にU相、V相、及びW相の電流を出力するためのU相端子TA、V相端子TB、及びW相端子TCを含む。また、図12に示すように、Y結線の場合、制御装置40は、中性点端子TNPを含んでもよい。
【0101】
尚、中性点端子TNPは、省略されてもよい。Y結線の場合の中性点は、制御装置40に設けられる必要がないからである。
【0102】
図12に示すように、Y結線の場合、U相の固定子ユニット21Aのコイル212は、一端が引出線LL_AT(電線の一例)を通じてU相端子TAに接続され、他端が引出線LL_AN(電線の一例)を通じて中性点端子TNPに接続される。同様に、V相の固定子ユニット21Bのコイル212は、一端が引出線LL_BT(電線の一例)を通じてV相端子TBに接続され、他端が引出線LL_BN(電線の一例)を通じて中性点端子TNPに接続される。同様に、W相の固定子ユニット21Cのコイル212は、一端が引出線LL_CT(電線の一例)を通じてW相端子TCに接続され、他端が引出線LL_CN(電線の一例)を通じて中性点端子TNPに接続される。
【0103】
このように、Y結線の場合、U相端子TA、V相端子TB、及びW相端子TCには、それぞれ、1本の引出線(引出線LL_AT、引出線LL_BT、及び引出線LL_CT)が接続される。また、中性点端子TNPには、3本の引出線(引出線LL_AN,LL_BN,LL_CN)が接続される。
【0104】
図13に示すように、Δ結線の場合、U相の固定子ユニット21Aのコイル212は、一端が引出線LL_AA(電線の一例)を通じてU相端子TAに接続され、他端が引出線LL_AB(電線の一例)を通じてV相端子TBに接続される。同様に、V相の固定子ユニット21Bのコイル212は、一端が引出線LL_BB(電線の一例)を通じてV相端子TBに接続され、他端が引出線LL_BC(電線の一例)を通じてW相端子TCに接続される。同様に、W相の固定子ユニット21Cのコイル212は、一端が引出線LL_CC(電線の一例)を通じてW相端子TCに接続され、他端が引出線LL_CA(電線の一例)を通じてU相端子TAに接続される。
【0105】
このように、Δ結線の場合、U相端子TA、V相端子TB、及びW相端子には、それぞれ、2本の引出線(引出線LL_AA,LL_CA、引出線LL_AB,LL_BB、及び引出線LL_BC,LL_CC)が接続される。
【0106】
以下、Y結線の場合の引出線LL_AT,LL_BT,LL_CT,LL_AN,LL_BN,LL_CNやΔ結線の場合の引出線LL_AA,LL_AB,LL_BB,LL_BC,LL_CA,LL_CCを包括的に或いは個別に引出線LLと称する場合がある。
【0107】
[コイルの引出線のレイアウト]
次に、図1図13に加えて、図14図21を参照して、コイル212の引出線LLのレイアウトについて説明する。以下、図14図16図17図21の状態を基準とし、軸方向において、固定部材30から見て固定子20が設けられる方向を「上」、固定子20から見て固定部材30が設けられる方向を「下」と便宜的に呼ぶ場合がある。
【0108】
尚、Y結線の場合を中心に説明するが、当然の如く、Δ結線の場合についても同様の構成が採用されてよい。
【0109】
<第1例>
図14は、クローポールモータ1におけるコイル212の引出線LLのレイアウトの第1例を模式的に示す縦断面図である。具体的には、図14は、Y結線の場合のコイル212の引出線LLのレイアウトの具体例を示す図である。図15は、ステータコア210の貫通孔210Eの一例を示す上面図である。図16は、ステータコア210の貫通孔210Eに配置される管状の部材31の一例を示す縦断面図である。
【0110】
尚、図14では、引出線LLのレイアウトを表すため、便宜的に、回転軸部材13、支持部材24、軸受25,26等、固定子20及び固定部材30の径方向の中央部の中空部(貫通孔210D及び孔部30A)に配置される構成要素の図示が省略されている。以下、図16図17図21についても同様である。また、図14では、Y結線の場合の引出線LL_AT,LL_BT,LL_CTのレイアウトが描画されるが、引出線LL_AN,LL_BN,LL_CNのレイアウトについても同様の構成が採用されてよい。
【0111】
図14に示すように、固定部材30の軸方向の一端面に固定子20が配置され、固定部材30の軸方向の他端面に制御装置40が配置される。
【0112】
ステータコア210のヨーク部210Cには、ステータコア210の軸方向の両端部の間を貫通する貫通孔210E(第2の貫通孔の一例)が設けられる。貫通孔210Eの断面形状は、例えば、円形状である。また、貫通孔210Eの断面形状は、円形状以外の形状であってもよい。具体的には、貫通孔210Eの断面形状は、矩形状であってもよいし、周方向に延びるように設けられるスリット形状であってもよいし、その他の任意の形状であってもよい。
【0113】
例えば、図7図8に示すように、一対のステータコア211がヨーク部210Cで軸方向に分割される構造の場合、貫通孔210Eは、軸方向で、一対のステータコア211の双方のヨーク部211Cに跨るように設けられる。具体的には、貫通孔210Eは、一方のステータコア211のヨーク部211Cに設けられる貫通孔211Eと他方のステータコア211のヨーク部211Cに設けられる貫通孔211Eとが軸方向で連通することにより構成されてよい(図18参照)。
【0114】
また、例えば、図9図10に示すように、一対のステータコア211がヨーク部210Cで周方向及び径方向に分割される構造の場合、貫通孔210Eは、一対のステータコア211の何れか一方のヨーク部211Cを軸方向に貫通するように設けられる。貫通孔210Eの延びる方向は、軸方向と平行であってもよいし、軸方向に対して傾いていてもよい。
【0115】
固定子ユニット21A~21Cのステータコア210の貫通孔210Eは、軸方向で繋がるように配置される。具体的には、固定子ユニット21A~21Cのステータコア210の貫通孔210Eは、全て、軸方向に沿って見たときに、その少なくとも一部が重複するように配置されてよい。また、相間部材22A,22Bの内周面は、軸方向に沿って見たときに、貫通孔210Eの一部又は全部と被らない(重複しない)ように配置される。これにより、固定子ユニット21A~21Cのステータコア210のコイル212から延び出す引出線LLを、貫通孔210Eを通じて、軸方向で固定部材30及び制御装置40に向かってレイアウトすることができる。
【0116】
尚、端部材23Bが設けられる場合、端部材23Bの内周面は、軸方向に沿って見たときに、貫通孔210E及び貫通孔30Hの一部又は全部と被らない(重複しない)ように配置される。これにより、固定子ユニット21A~21Cのステータコア210のコイル212から延び出す引出線LLを、貫通孔210Eを通じて、軸方向で固定部材30及び制御装置40に向かってレイアウトすることができる。また、相間部材22A,22Bの内周面は、貫通孔210Eよりも径方向の内側にあってもよく、その代わりに、相間部材22A,22Bには、軸方向に沿って見たときに、貫通孔210Eの少なくとも一部と重複する、軸方向の貫通孔が設けられてよい。同様に、端部材23Bが設けられる場合、端部材23Bには、軸方向に沿って見たときに、貫通孔210E及び貫通孔30Hの双方の少なくとも一部と重複する、軸方向の貫通孔が設けられてよい。
【0117】
相間部材22Aには、使用されない貫通孔210Eの少なくとも1つに差し込まれる突起が設けられ、貫通孔210Eの軸方向の端部の開口を塞いでもよい。これにより、使用されていない貫通孔210Eに蓋をし、異物の侵入を防ぐことができる。また、相間部材22Aは、貫通孔211Eに差し込まれる突起により、上下に隣接する固定子ユニット21(本例の場合、固定子ユニット21A,21B)の間の貫通孔210Eの位置決め機能を果たすことができる。相間部材22Bについても同様であってよい。
【0118】
固定部材30には、貫通孔30Hが設けられる。
【0119】
貫通孔30Hは、固定部材30において、支持部材24が取り付けられる、径方向の中央部の孔部30Aよりも径方向の外側に配置され、固定部材30の軸方向の両端面の間を貫通している。貫通孔30Hは、固定子ユニット21A~21Cのステータコア210の貫通孔210Eと軸方向で繋がるように配置される。具体的には、貫通孔30Hは、軸方向に沿って見たときに、固定子ユニット21A~21Cのステータコア210の貫通孔210Eと少なくとも一部が重複するように配置されてよい。これにより、引出線LLを固定部材30の固定子20が配置される一端側と制御装置40が配置される他端側との間で通過するようにレイアウトし、引出線LLの両端をコイル212及び制御装置40の双方に接続することができる。
【0120】
尚、上述の如く、中性点は、制御装置40に設けられる必要はない。そのため、例えば、軸方向で、中性点が固定部材30よりも固定子20側(上側)に配置される場合、引出線LL_AN、引出線LL_BN、及び引出線LL_CNは、貫通孔30Hを通過しない。
【0121】
例えば、図15に示すように、貫通孔210Eは、6本の引出線LLに合わせて、ステータコア210に6つ設けられる。また、ステータコア210に設けられる貫通孔210Eは、7つ以上であってもよいし、5つ以下であってもよい。後者の場合、1つの貫通孔210Eに複数の引出線LLが配置される。以下、後述の第2例及び第3例の場合についても同様であってよい。
【0122】
また、図15に示すように、貫通孔210Eには、ピンLL_Pが埋め込まれてもよい。これにより、コイル212から引き出される電線及び制御装置40から引き出される電線をピンLL_Pに接続することにより、コイル212と制御装置40との間を電気的に接続することができる。この場合、引出線LLには、ピンLL_Pと、ピンLL_Pとコイル212及び制御装置40のそれぞれとの間を接続する電線とが含まれる。以下、後述の第2例及び第3例の場合についても同様であってよい。
【0123】
尚、1つの貫通孔210Eに複数のピンLL_Pが埋め込まれてもよい。例えば、図15において、周方向で隣り合う3つの貫通孔210Eは、隣同士で繋がっていてもよい。
【0124】
本例では、引出線LL_ATは、上側のステータコア211の周方向で隣接する爪磁極211B同士の隙間を通過して、固定子ユニット21Aのコイル212からステータコア210の上に引き出されるように配置される。また、爪磁極211Bに貫通孔が設けられ、この貫通孔を通じて、引出線LL_ATは、固定子ユニット21Aのコイル212から軸方向でステータコア210の上に引き出されてもよい。
【0125】
端部材23の固定子ユニット21Aに隣接する下面には、溝部23aが設けられる。
【0126】
溝部23aは、引出線LL_ATが固定子ユニット21Aのステータコア210の上に引き出される周方向且つ径方向の位置と、固定子ユニット21Aのステータコア210の貫通孔210Eが設けられる周方向及び径方向の位置との間を繋ぐように設けられる。これにより、溝部23aを通じて、固定子ユニット21Aのコイル212と、固定子ユニット21Aのステータコア210の貫通孔210Eとの間に、引出線LL_ATをレイアウトすることができる。
【0127】
引出線LL_ATは、上から順に、固定子ユニット21A、固定子ユニット21B、及び固定子ユニット21Cのステータコア210の貫通孔210E、並びに固定部材30の貫通孔30Hを軸方向に通過するように配置される。これにより、固定子ユニット21A~21Cのステータコア210の貫通孔210E、及び固定部材30の貫通孔30Hを通じて、固定子ユニット21Aのコイル212と制御装置40との間を繋ぐように、引出線LL_ATをレイアウトすることができる。
【0128】
尚、固定子ユニット21Aのコイル212から延び出す引出線LL_ANについても、引出線LL_ATと同様のレイアウトが採用されてよい。
【0129】
本例では、引出線LL_BTは、上側のステータコア211の周方向で隣接する爪磁極211B同士の隙間を通過して、固定子ユニット21Bのコイル212からステータコア210の上に引き出されるように配置される。
【0130】
相間部材22Aの固定子ユニット21Bに隣接する下面には、溝部22Aaが設けられる。
【0131】
溝部22Aaは、引出線LL_BTが固定子ユニット21Bのステータコア210の上に引き出される周方向且つ径方向の位置と、固定子ユニット21Bのステータコア210の貫通孔210Eが設けられる周方向且つ径方向の位置との間を繋ぐように設けられる。これにより、溝部22Aaを通じて、固定子ユニット21Bのコイル212と、固定子ユニット21Bのステータコア210の貫通孔210Eとの間に、引出線LL_BTをレイアウトすることができる。
【0132】
引出線LL_BTは、上から順に、固定子ユニット21B、及び固定子ユニット21Cのステータコア210の貫通孔210E、並びに固定部材30の貫通孔30Hを軸方向に通過するように配置される。これにより、固定子ユニット21B,21Cのステータコア210の貫通孔210E、及び固定部材30の貫通孔30Hを通じて、固定子ユニット21Bのコイル212と制御装置40との間を繋ぐように、引出線LL_BTをレイアウトすることができる。
【0133】
尚、固定子ユニット21Bのコイル212から延び出す引出線LL_BNについても、引出線LL_BTと同様のレイアウトが採用されてよい。また、固定子ユニット21Aのステータコア210には、引出線LL_BTが配置される固定子ユニット21B,21Cのステータコア210の貫通孔210Eと軸方向で繋がる貫通孔210Eが設けられなくてもよい。
【0134】
本例では、引出線LL_CTは、上側のステータコア211の周方向に隣接する爪磁極211B同士の隙間を通過して、固定子ユニット21Cのコイル212からステータコア210の上に引き出されるように配置される。
【0135】
相間部材22Bの固定子ユニット21Bに隣接する下面には、溝部22Baが設けられる。
【0136】
溝部22Baは、引出線LL_CTが固定子ユニット21Cのステータコア210の上に引き出される周方向且つ径方向の位置と、固定子ユニット21Cのステータコア210の貫通孔210Eが設けられる周方向且つ径方向の位置との間を繋ぐように設けられる。これにより、溝部22Baを通じて、固定子ユニット21Cのコイル212と、固定子ユニット21Cのステータコア210の貫通孔210Eとの間に、引出線LL_CTをレイアウトすることができる。
【0137】
引出線LL_CTは、上から順に、固定子ユニット21Cのステータコア210の貫通孔210E、及び固定部材30の貫通孔30Hを軸方向に通過するように配置される。これにより、固定子ユニット21Cのステータコア210の貫通孔210E、及び固定部材30の貫通孔30Hを通じて、固定子ユニット21Cのコイル212と制御装置40との間を繋ぐように、引出線LL_CTをレイアウトすることができる。
【0138】
尚、固定子ユニット21Cのコイル212から延び出す引出線LL_CNについても、引出線LL_CTと同様のレイアウトが採用されてよい。固定子ユニット21A,21Bのステータコア210には、引出線LL_CTが配置される固定子ユニット21Cのステータコア210の貫通孔210Eと軸方向で繋がる貫通孔210Eが設けられなくてもよい。
【0139】
また、図16に示すように、引出線LLが配置される貫通孔210Eには、管状の部材31(管部材の一例)が挿入されることにより嵌め込まれ、その内側の中空部に引出線LLが配置されてもよい。これにより、ある程度の剛性を有する部材31が軸方向で繋がる複数の貫通孔210Eに連通するように挿入されることで、製造工程において、軸方向で積層される固定子ユニット21同士の周方向の位置決めに部材31を利用することができる。
【0140】
また、部材31は、その一端が貫通孔210Eに挿入されることにより嵌め込まれると共に、その他端が固定部材30に連結されてもよい。これにより、製造工程において、固定子20(固定子ユニット21A~21C)と固定部材30との間の周方向の位置決めに部材31を利用することができる。
【0141】
部材31は、例えば、電気的な絶縁性を有する材料で構成される。これにより、引出線LLとステータコア210との間の電気的な絶縁性を確保することができる。部材31は、部材31A~31Cを含む。
【0142】
部材31Aは、引出線LL_ATが配置される、固定子ユニット21A~21Cのステータコア210の貫通孔210Eに挿入される。具体的には、部材31Aは、その一端と他端との間で、固定子ユニット21A~21Cのステータコア210の貫通孔210E、及び固定部材30の貫通孔30Hに軸方向に挿入されている。これにより、部材31Aの内部の空間を通じて、固定子ユニット21Aのコイル212と制御装置40との間を電気的に繋ぐように、引出線LL_ATをレイアウトすることができる。
【0143】
また、部材31Aは、固定部材30の貫通孔30Hに挿入されることにより嵌め込まれてもよい。これにより、部材31Aを固定部材30に連結することができる。
【0144】
尚、引出線LL_ANが配置される、固定子ユニット21A~21Cのステータコア210の貫通孔210Eにも、部材31Aと同様の管状の部材が挿入されていてもよい。
【0145】
部材31Bは、引出線LL_BTが配置される、固定子ユニット21B,21Cのステータコア210の貫通孔210Eに挿入される。具体的には、部材31Bは、その一端と他端との間で、固定子ユニット21B,21Cのステータコア210の貫通孔210E、及び固定部材30の貫通孔30Hに軸方向に挿入されている。これにより、部材31Bの内部の空間を通じて、固定子ユニット21Bのコイル212と制御装置40との間を電気的に繋ぐように、引出線LL_BTをレイアウトすることができる。
【0146】
また、部材31Bは、固定部材30の貫通孔30Hに挿入されることにより嵌め込まれてもよい。これにより、部材31Bを固定部材30に連結することができる。
【0147】
尚、引出線LL_BNが配置される、固定子ユニット21B,21Cのステータコア210の貫通孔210Eにも、部材31Bと同様の管状の部材が挿入されていてもよい。
【0148】
部材31Cは、引出線LL_CTが配置される、固定子ユニット21Cのステータコア210の貫通孔210Eに挿入される。具体的には、部材31Cは、その一端と他端との間で、固定子ユニット21Cのステータコア210の貫通孔210E、及び固定部材30の貫通孔30Hに軸方向に挿入されている。これにより、部材31Cの内部の空間を通じて、固定子ユニット21Cのコイル212と制御装置40との間を電気的に繋ぐように、引出線LL_CTをレイアウトすることができる。
【0149】
また、部材31Cは、固定部材30の貫通孔30Hに挿入されることにより嵌め込まれてもよい。これにより、部材31Cを固定部材30に連結することができる。
【0150】
尚、引出線LL_CNが配置される、固定子ユニット21Cのステータコア210の貫通孔210Eにも、部材31Cと同様の管状の部材が挿入されていてもよい。
【0151】
例えば、図14に示すように、制御装置40は、固定部材30の下側、具体的には、固定部材30から見て軸方向で固定子20とは反対側に設けられる。制御装置40は、例えば、制振用のマウントラバーを介して固定部材30に固定される。これにより、制御装置40を回転子10及び固定子20等のクローポールモータ1の主要部と一体化させることができる。また、回転子10及び固定子20、固定部材、並びに制御装置40が軸方向に並べられることで、径方向の寸法を維持し、クローポールモータ1の大型化を抑制することができる。
【0152】
本例では、制御装置40は、筐体41と、基板42と、支持部材43とを含む。
【0153】
筐体41は、制御装置40の構成要素を収容する。筐体41は、下側に開放端を有する収容部41Aと、開放端を閉塞する蓋部41Bとを含む。これにより、クローポールモータ1の製造作業や出荷後のメンテナンス作業を行う作業者等は、蓋部41Bを取り外した状態で、筐体41(収容部41A)に内部にアクセスすることができる。
【0154】
基板42は、筐体41(収容部41A)の内部において、軸方向に略垂直に、換言すれば、径方向及び周方向に略平行に設けられる。例えば、基板42には、上述の整流回路、平滑回路、インバータ回路、U相端子TA、V相端子TB、W相端子TC、及び中性点端子TNP等が設けられる。また、例えば、U相端子TA、V相端子TB、W相端子TC、及び中性点端子TNPは、基板42の下面に設けられる。これにより、作業者は、収容部41Aの下側の開放端からU相端子TA、V相端子TB、W相端子TC、及び中性点端子TNPにアクセスすることができる。基板42の外部端子(U相端子TA、V相端子TB、W相端子TC、及び中性点端子TNP)と引出線LLの先端との接続には、公知の手段が任意に適用されてよい。例えば、基板42の外部端子と引出線LLとは、半田づけやコネクタ等によって接続されてよい。
【0155】
支持部材43は、筐体41(収容部41A)の内部の底面(上面)に取り付けられると共に、その先端部(下端部)に基板42が取り付けられることにより、基板42を筐体41の内部で上から支持する形で基板42を筐体41に固定する。
【0156】
例えば、図14に示すように、収容部41Aの底部(上部)には、筐体41の内側(下側)と外側(上側)との間を貫通する貫通孔41Hが設けられる。具体的には、貫通孔41Hは、軸方向に沿って見たときに、固定部材30の貫通孔30Hと一部又は全部が重複するように設けられてよい。これにより、クローポールモータ1の製造時において、固定部材30の貫通孔30H、及び収容部41Aの貫通孔41Hの順に引出線LLを通過させ、制御装置40の内部に引出線LLを容易に引き入れることができる。そのため、クローポールモータ1の組立性を高め、製造効率を向上させることができる。
【0157】
また、例えば、図14に示すように、基板42には、両面の間を軸方向(上下方向)に貫通する貫通孔42Hが設けられる。具体的には、貫通孔42Hは、軸方向に沿って見たときに、固定部材30の貫通孔30Hや収容部41Aの貫通孔41Hと一部又は全部が重複するように設けられてよい。これにより、クローポールモータ1の製造時において、固定部材30の貫通孔30H、収容部41Aの貫通孔41H、及び基板42の貫通孔42Hの順に引出線LLを通過させ、引出線LLの接続先(外部端子)が設けられる基板42の表面に引出線LLを容易に導くことができる。そのため、クローポールモータ1の組立性を高め、製造効率を向上させることができる。
【0158】
また、例えば、図14に示すように、支持部材43は、軸方向に沿ってみたときに、収容部41Aの貫通孔41H及び基板42の貫通孔42Hと重複するように(好適には、覆うように)、設けられる。そして、支持部材43には、軸方向(上下方向)に貫通し、軸方向に沿って見たときに、収容部41Aの貫通孔41H及び基板42の貫通孔42Hと重複するように貫通孔43Hが設けられてよい。例えば、支持部材43は、軸方向に沿ってみたときに、貫通孔41H及び貫通孔42Hを覆うように設けられ、貫通孔42H及び貫通孔42Hと略同じ内径を有する円筒形状の部材であってよい。これにより、収容部41Aの貫通孔41H及び基板42の貫通孔42Hを支持部材43の貫通孔43Hを通じて、引出線LLを連続的に連通させることができる。そのため、クローポールモータ1の製造時に、貫通孔41Hから貫通孔42Hに亘る範囲で、引出線LLを通過させ易くなり、その結果、クローポールモータ1の組立性をより高め、製造効率をより向上させることができる。
【0159】
尚、制御装置40は、例えば、回転子位置検出回路(ホールセンサ等)等の他の構成要素を含んでもよい。また、制御装置40は、その機能が2以上の制御装置に分割して配置されてもよい。例えば、基板42の機能が2以上の基板に分けられてもよい。この場合、引出線LLは、分割される2以上の制御装置(基板)のうちの何れか一つに接続されてよい。
【0160】
<第2例>
図17は、クローポールモータ1におけるコイル212の引出線LLのレイアウトの第2例を模式的に示す縦断面図である。図18は、コイルと212とステータコア210の貫通孔210Eとの間の引出線LLの誘導経路210Fの一例を示す縦断面図である。図19は、コイル212とステータコア210の貫通孔210Eとの間の引出線LLの誘導経路210Fの他の例を示す斜視図である。図20は、コイル212とステータコア210の貫通孔210Eとの間の引出線LLの誘導経路210Fの更に他の例を示す斜視図である。
【0161】
以下、上述の引出線LLのレイアウトの第1例と異なる部分を中心に説明し、その第1例と同じ或いは対応する内容の説明を省略する場合がある。
【0162】
図17に示すように、ステータコア210のヨーク部210Cには、上述の第1例と同様、貫通孔210Eが設けられる。
【0163】
また、本例では、ステータコア210のヨーク部210Cには、ヨーク部210Cの外周面と貫通孔210Eとの間を繋ぐ誘導経路210Fが設けられる。これにより、誘導経路210Fを通じて、コイル212が配置されるヨーク部210Cよりも径方向の外側の空間と、ヨーク部210Cに軸方向に設けられる貫通孔210Eとの間に引出線LLをレイアウトすることができる。
【0164】
誘導経路210Fは、ステータコア210の貫通孔210Eごとに設けられてもよいし、ステータコア210に収容されるコイル212から延び出す引出線LLを引き込む必要がある貫通孔210Eに対してのみ設けられてもよい。
【0165】
例えば、図17に示すように、誘導経路210Fは、ヨーク部210Cの外周面と、貫通孔210Eとの間を径方向に貫通する貫通孔である。
【0166】
例えば、図18に示すように、一対のステータコア211がヨーク部210Cで軸方向に分割される構造の場合(図9図10参照)、誘導経路210Fは、一対のステータコア211に設けられる溝部211Fによって構成されてよい。
【0167】
溝部211Fは、ヨーク部211Cの軸方向の先端面において、径方向の外周面と貫通孔211Eの開口との間を繋ぐように設けられる。これにより、一対のステータコア211のヨーク部211Cの軸方向の端面同士が連結されることで、ステータコア210には、一対のステータコア211の溝部211Fの軸方向の開口同士が重なり、径方向の延びる貫通孔としての誘導経路210Fが形成される。
【0168】
また、ヨーク部210Cの外周面と、貫通孔210Eとの間を径方向に貫通する貫通孔としての誘導経路210Fは、一対のステータコア211の軸方向で分割されるヨーク部211Cの何れか一方に設けられてもよい。この場合、誘導経路210Fは、軸方向において、一対のステータコア211の合わせ面から外れた位置に設けられる。
【0169】
また、ヨーク部210Cの外周面と、貫通孔210Eとの間を径方向に貫通する貫通孔としての誘導経路210Fは、一対のステータコア211の周方向及び径方向に分割されるヨーク部211C(図9図10参照)の何れか一方に設けられてもよい。具体的には、ヨーク部210Cの外周面と、貫通孔210Eとの間を径方向に貫通する貫通孔としての誘導経路210Fは、貫通孔210Eが設けられるヨーク部211Cに設けられてよい。
【0170】
また、図19に示すように、誘導経路210Fは、一対のステータコア211の周方向及び径方向に分割されるヨーク部211Cの貫通孔210Eの径方向の外側がヨーク部211Cの外周面及び径方向の合わせ面まで切り欠かれた切り欠き部(隙間の一例)である。
【0171】
また、図20に示すように、誘導経路210Fは、一対のステータコア211の周方向及び径方向に分割されるヨーク部211Cの貫通孔210Eの径方向の外側だけでなく、内側のヨーク部211Cの内周面まで切り欠かれた切り欠き部であってもよい。
【0172】
<第3例>
図21は、クローポールモータ1におけるコイル212の引出線LLのレイアウトの第3例を模式的に示す縦断面図である。
【0173】
以下、上述の引出線LLのレイアウトの第1例や第2例と異なる部分を中心に説明し、その第1例や第2例と同じ或いは対応する内容の説明を省略する場合がある。
【0174】
図21に示すように、引出線LL_ATは、下側のステータコア211の周方向に隣接する爪磁極211B同士の隙間を通過して、固定子ユニット21Aのコイル212からステータコア210の下に引き出されるように配置される。
【0175】
相間部材22Aの固定子ユニット21に隣接する上面には、溝部22Abが設けられる。
【0176】
溝部22Abは、引出線LL_ATが固定子ユニット21Aのステータコア210の下に引き出される周方向且つ径方向の位置と、固定子ユニット21Bのステータコア210の貫通孔210Eが設けられる周方向及び径方向の位置とを繋ぐように設けられる。これにより、溝部22Abを通じて、固定子ユニット21Aのコイル212と、固定子ユニット21Bのステータコア210の貫通孔210Eとの間に、引出線LL_ATをレイアウトすることができる。
【0177】
引出線LL_ATは、上から順に、固定子ユニット21B、及び固定子ユニット21Cのステータコア210の貫通孔210E、並びに固定部材30の貫通孔30Hを軸方向に通過するように配置される。これにより、固定子ユニット21B,21Cのステータコア210の貫通孔210E、及び固定部材30の貫通孔30Hを通じて、固定子ユニット21Aのコイル212と制御装置40との間を繋ぐように、引出線LL_ATをレイアウトすることができる。
【0178】
尚、固定子ユニット21Aのコイル212から延び出す引出線LL_ANについても、引出線LL_ATと同様のレイアウトが採用されてよい。また、固定子ユニット21Aのステータコア210には、貫通孔211Eが設けられなくてもよい。
【0179】
引出線LL_BTは、下側のステータコア211の周方向に隣接する爪磁極211B同士の隙間を通過して、固定子ユニット21Bのコイル212からステータコア210の下に引き出されるように配置される。
【0180】
相間部材22Bの固定子ユニット21に隣接する上面には、溝部22Bbが設けられる。
【0181】
溝部22Bbは、引出線LL_BTが固定子ユニット21Bのステータコア210の下に引き出される周方向且つ径方向の位置と、固定子ユニット21Cのステータコア210の貫通孔210Eが設けられる周方向且つ径方向の位置との間を繋ぐように設けられる。これにより、溝部22Bbを通じて、固定子ユニット21Bのコイル212と、固定子ユニット21Cのステータコア210の貫通孔210Eとの間に、引出線LL_BTをレイアウトすることができる。
【0182】
引出線LL_BTは、上から順に、固定子ユニット21Cのステータコア210の貫通孔210E、及び固定部材30の貫通孔30Hを軸方向に通過するように配置される。これにより、固定子ユニット21Cのステータコア210の貫通孔210E、及び固定部材30の貫通孔30Hを通じて、固定子ユニット21Bのコイル212と制御装置40との間を繋ぐように、引出線LL_BTをレイアウトすることができる。
【0183】
尚、固定子ユニット21Bのコイル212から延び出す引出線LL_BNについても、引出線LL_BTと同様のレイアウトが採用されてよい。また、固定子ユニット21A,21Bのステータコア210には、引出線LL_BTが配置される固定子ユニット21Cのステータコア210の貫通孔210Eと軸方向で繋がる貫通孔210Eが設けられなくてもよい。
【0184】
引出線LL_CTは、下側のステータコア211の周方向に隣接する爪磁極211B同士の周方向の隙間を通過して、固定子ユニット21Bのコイル212からステータコア210の下に引き出されるように配置される。
【0185】
端部材23Bの固定子ユニット21Cに隣接する上面には、溝部23bが設けられる。
【0186】
溝部23bは、引出線LL_CTが固定子ユニット21Cのステータコア210の下に引き出される周方向且つ径方向の位置と、貫通孔30Hが設けられる周方向且つ径方向の位置との間を繋ぐように設けられる。これにより、溝部23bを通じて、固定子ユニット21Bのコイル212と、固定部材30の貫通孔30Hとの間に、引出線LL_CTをレイアウトすることができる。
【0187】
引出線LL_CTは、固定部材30の貫通孔30Hを軸方向に通過するように配置される。これにより、固定部材30の貫通孔30Hを通じて、固定子ユニット21Cのコイル212と制御装置40との間を繋ぐように、引出線LL_CTをレイアウトすることができる。
【0188】
尚、固定子ユニット21Cのコイル212から延び出す引出線LL_CNについても、引出線LL_CTと同様のレイアウトが採用されてよい。また、固定子ユニット21A~21Cのステータコア210には、引出線LL_CTが配置される貫通孔30Hと軸方向で繋がる貫通孔210Eが設けられなくてもよい。
【0189】
[貫通孔の周方向での配置]
次に、図1図21に加えて、図22図23を参照して、ステータコア210(ステータコア211)の貫通孔210E(貫通孔211E)の周方向での配置について説明する。
【0190】
<第1例>
図22は、ステータコア211の貫通孔211Eの配置の一例を示す図である。具体的には、ヨーク部210Cで軸方向に分割される一対のステータコア211の共通化を図ることが可能な貫通孔211Eの配置の具体例を示す図である。
【0191】
例えば、軸方向に沿って見たときに、爪磁極211Bの周方向の位置(直線LN1)に対して、以下の式(2)で規定される角度Θm[°]だけずれた位置(直線LN2)に貫通孔211Eが設けられる。
【0192】
Θm=360/Pn/2 ・・・(2)
【0193】
尚、Pnは、クローポールモータ1の極数である。
【0194】
極数Pは、ステータコア211の周方向に並べられる爪磁極の数の2倍である。そのため、式(2)は、ステータコア211の一の爪磁極211Bを基準として、その爪磁極211Bから爪磁極211B同士の周方向の間隔の1/4だけ移動した角度位置を意味する。
【0195】
本例(図22)では、ステータコア211は、8つの爪磁極211Bを有するため、極数Pnは、その2倍の16である(Pn=16)。そのため、角度Θmは、11.25[°]である。
【0196】
これにより、固定子ユニット21として組み合わせられたときに、一対のステータコア211の双方の貫通孔211Eの周方向の位置を合わせて、双方の貫通孔211Eを貫通孔210Eとして軸方向に貫通させることができる。そのため、一対のステータコア211を共通化し、同じステータコア211を2つ組み合わせることで、固定子ユニット21を構成することができる。
【0197】
また、貫通孔210Eは、角度Θmに相当する周方向の角度位置(直線LN1)を基準として、互いに対称な2つの角度位置に配置されてもよい。
【0198】
これにより、固定子ユニット21として組み合わせられたときに、一対のステータコア211の双方の2つの貫通孔211Eの周方向の位置を合わせて、双方の2つの貫通孔211Eを2つの貫通孔210Eとして軸方向に貫通させることができる。そのため、一対のステータコア211を共通化し、同じステータコア211を2つ組み合わせることで、固定子ユニット21を構成することができる。
【0199】
本例(図22)では、ステータコア211には、直線LN1上の2つの角度位置に貫通孔211Eが設けられる。更に、本例では、ステータコア211には、直線LN1上の一方の角度位置を基準として互いに対称な2つの角度位置、及び直線LN1上の他方の角度位置を基準として、互いに対称な2つの角度位置の合計4つの角度位置に貫通孔211Eが設けられる。これにより、例えば、それぞれに異なる6つの引出線LLを配置可能な合計6個の貫通孔211Eをステータコア211に設けることができる。
【0200】
尚、一対のステータコア211がヨーク部210Cで周方向及び径方向に分割される構造の場合、貫通孔210Eは、上述の如く、双方のステータコア211のヨーク部211Cの両端部を貫通するように設けられる。そのため、例えば、ステータコア211のヨーク部211Cに3つの貫通孔210Eが設けられることで、同じ2つのステータコア211の組み合わせにより、6つの貫通孔210Eを有するステータコア210を実現することができる。
【0201】
<第2例>
図23は、ステータコア210の貫通孔210Eの配置の一例を示す図である。具体的には、軸方向で隣接する、周方向の位置が電気角で角度θeだけずれた固定子ユニット21同士でステータコア210の共通化を図ることが可能な貫通孔210Eの配置の具体例を示す図である。
【0202】
例えば、軸方向に沿って見たときに、貫通孔210Eは、電気角で表すと、以下の式(3)で規定される間隔(角度)ΔΘe[°]で周方向に複数配置される。
【0203】
ΔΘe=θ+360×N ・・・(3)
【0204】
尚、Nは、0以上の整数である。
【0205】
また、貫通孔210Eは、機械角で表すと、以下の式(4)で規定される間隔ΔΘm[°]で周方向に複数配置される。
【0206】
ΔΘm=ΔΘe/(Pn/2)
=360/M/(Pn/2)+360/(Pn/2)×N ・・・(4)
【0207】
例えば、図23に示すように、ステータコア211は、極数Pnが16であるため、N=0の場合、電気角で角度θe(=120°)、即ち、機械角で15°の間隔で配置される。
【0208】
これにより、異なる相の隣り合う2つの固定子ユニット21のステータコア210が電気角で角度θeだけ周方向にずれるように配置される場合に、同じステータコア210を用いて、双方のステータコア210の貫通孔210Eの周方向の位置を揃えることができる。そのため、異なる相の軸方向で隣り合う2つの固定子ユニット21の間でステータコア210の共通化を図ることができる。よって、ステータコア210に電気角でΔΘeの間隔で3個以上の貫通孔210Eが設けられることで、同じステータコア210を用いて、固定子ユニット21A~21Cの間で軸方向に繋がる(連通する)貫通孔210Eを実現することができる。
【0209】
[他の実施形態]
次に、他の実施形態について説明する。
【0210】
上述の実施形態は、適宜、組み合わせられたり、変形や変更が加えられたりしてもよい。
【0211】
例えば、固定子ユニット21A~21Cごとのコイル212の引出線LLのレイアウトは、上述の第1例~第3例(図14図17図21)のレイアウトから任意に選択される形で組み合わせられてもよい。
【0212】
また、ステータコア210の貫通孔210Eの周方向の位置は、上述の第1例及び第2例の双方の条件を満足するように設定されてもよい。
【0213】
また、貫通孔210Eは、ヨーク部210Cに代えて、ステータコア210の軸方向の両端のヨーク部210Aに設けられ、ヨーク部210Aを通じて、引出線LLがコイル212と制御装置40との間で接続されるように配置されてもよい。
【0214】
[クローポールモータの適用例]
次に、図24図25を参照して、本実施形態に係るクローポールモータ1の具体的な適用例について説明する。
【0215】
<第1の適用例>
図24は、本実施形態に係るクローポールモータ1を搭載する空気調和機100の一例を示す図である。
【0216】
空気調和機100(冷凍装置の一例)は、室外機110と、室内機120と、冷媒経路130,140とを含む。空気調和機100は、室外機110、室内機120、冷媒経路130,140等で構成される冷媒回路を動作させ、室内機120が設置される室内の温度や湿度等を調整する。
【0217】
室外機110は、温度等の調整対象の建物の室外に配置される。室外機110は、冷媒経路130,140のそれぞれの一端に接続され、冷媒経路130,140の何れか一方から冷媒を吸入し、何れか他方に冷媒を排出する。
【0218】
室内機120は、温度等の調整対象の建物の室内に配置される。室内機120は、冷媒経路130,140のそれぞれの他端に接続され、冷媒経路130,140の何れか一方から冷媒を吸入し、何れか他方に冷媒を排出する。
【0219】
冷媒経路130,140は、例えば、管路により構成され、冷媒が室外機110及び室内機120の間で循環可能なように、室外機110及び室内機120との間を接続する。
【0220】
室外機110は、冷媒経路L1~L6と、四方切換弁111と、圧縮機112と、室外熱交換器113と、室外膨張弁114と、ファン115とを含む。
【0221】
冷媒経路L1~L6は、例えば、管路として構成される。
【0222】
冷媒経路L1は、室外機110の外部の冷媒経路130の一端と四方切換弁111との間を接続する。
【0223】
冷媒経路L2は、四方切換弁111と圧縮機112の入口との間を接続する。
【0224】
冷媒経路L3は、四方切換弁111と圧縮機112の出口との間を接続する。
【0225】
冷媒経路L4は、四方切換弁111と室外熱交換器113との間を接続する。
【0226】
冷媒経路L5は、室外熱交換器113と室外膨張弁114との間を接続する。
【0227】
冷媒経路L6は、室外機110の外部の冷媒経路140の一端と室外膨張弁114との間を接続する。
【0228】
四方切換弁111は、空気調和機100の冷房運転の場合と暖房運転の場合とで冷媒が循環する流れを逆転させる。
【0229】
空気調和機100の冷房運転時に、四方切換弁111は、図44中の実線の経路を接続する。具体的には、空気調和機100の冷房運転時に、四方切換弁111は、冷媒経路L1と冷媒経路L2との間、及び冷媒経路L3と冷媒経路L4との間を接続させる。
【0230】
一方、空気調和機100の暖房運転の場合、四方切換弁111は、図44中の点線の経路を接続する。具体的には、空気調和機100の暖房運転時に、四方切換弁111は、冷媒経路L4と冷媒経路L2との間、及び冷媒経路L1と冷媒経路L3との間を接続させる。
【0231】
圧縮機112は、冷媒経路L2から冷媒を吸入し、高圧に圧縮して冷媒経路L3に吐出する。圧縮機112は、クローポールモータ1を搭載(内蔵)し、クローポールモータ1により電気駆動される。
【0232】
空気調和機100の冷房運転時において、圧縮機112により圧縮された高温高圧の冷媒は、冷媒経路L3及び冷媒経路L4を通じて、室外熱交換器113に流入する。
【0233】
一方、空気調和機100の暖房運転時において、圧縮機112により圧縮された高温高圧の冷媒は、冷媒経路L3及び冷媒経路L1を通じて、室外機110の外部の冷媒経路130に流出する。そして、高温高圧の冷媒は、冷媒経路130を通じて、室内機120に流入する。
【0234】
室外熱交換器113は、外気と内部を通過する冷媒との間で熱交換を行う。具体的には、室外熱交換器113には、ファン115が併設され、室外熱交換器113は、ファン115により送風される外気と内部を通流する冷媒との間で熱交換を行う。
【0235】
空気調和機100の冷房運転時において、室外熱交換器113は、冷媒経路L4から流入する、圧縮機112で圧縮された高温高圧の冷媒に外気への放熱を行わせ、凝縮・液化した冷媒(液冷媒)を冷媒経路L5に流出させる。
【0236】
また、空気調和機100の暖房運転時において、室外熱交換器113は、冷媒経路L5から流入する低温低圧の液冷媒に外気から吸熱を行わせ、蒸発した冷媒を冷媒経路L4に流出させる。
【0237】
室外膨張弁114は、空気調和機100の暖房運転時において、所定の開度に閉じられ、冷媒経路L6から流入する冷媒(液冷媒)を所定の圧力に減圧させる。一方、室外膨張弁114は、空気調和機100の冷房運転時において、全開状態にされ、冷媒経路L5から冷媒経路L6に冷媒(液冷媒)を通過させる。
【0238】
ファン115(送風機の一例)は、上述の如く、室外熱交換器113に送風を行い、室外熱交換器113における熱交換を促進させる。ファン115は、クローポールモータ1を搭載し、クローポールモータ1により電気駆動される。
【0239】
室内機120は、室内膨張弁121と、室内熱交換器122と、ファン123とを含む。
【0240】
室内膨張弁121は、空気調和機100の冷房運転時において、所定の開度に閉じられ、冷媒経路140から流入する、過冷却状態の液冷媒を所定の圧力に減圧させる。一方、室内膨張弁121は、空気調和機100の暖房運転時において、全開状態にされ、室内熱交換器122から流出する冷媒(液冷媒)を冷媒経路140に向かって通過させる。
【0241】
室内熱交換器122は、室内空気と内部を通過する冷媒との間で熱交換を行う。具体的には、室内機120に搭載されるファン123の作用で、室内熱交換器122の周囲に室内空気を通過させ、室内熱交換器122の内部の冷媒との間で熱交換が行われた室内空気を室内機120の外部に吹き出すことにより、室内の冷房或いは暖房が実現される。
【0242】
具体的には、空気調和機100の冷房運転時において、室内熱交換器122は、室内膨張弁121により減圧された低温低圧の液冷媒に室内空気から吸熱させ、室内空気の温度を下げる。
【0243】
一方、空気調和機100の暖房運転時において、室内熱交換器122は、冷媒経路130を通じて室外機110から流入する高温高圧の冷媒に室内空気への放熱を行わせ、室内空気の温度を上げる。
【0244】
ファン123(送風機の一例)は、上述の如く、室内熱交換器122に送風を行い、室内熱交換器122の内部の冷媒との間で熱交換が行われた室内空気を室内機120の外部に吹き出させる。ファン123は、クローポールモータ1を搭載し、クローポールモータ1により電気駆動される。
【0245】
尚、圧縮機112、ファン115、及びファン123のうちの一部、即ち、何れか一つ或いは二つにクローポールモータ1が搭載される態様であってもよい。
【0246】
このように、本実施形態に係るクローポールモータ1は、空気調和機100に搭載される圧縮機112やファン115やファン123に適用することができる。
【0247】
尚、クローポールモータ1は、空気調和機100以外の冷凍装置に適用されてもよい。
【0248】
<第2の適用例>
図25は、車両150の一例を示す図である。
【0249】
車両150は、電動車両であり、クローポールモータ1と、駆動輪160と、バッテリ170と、電力変換装置180と、動力伝達機構190とを含む。
【0250】
例えば、車両150は、BEV(Battery Electric Vehicle)である。また、車両150は、HEV(Hybrid Electric Vehicle)やPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)やレンジエクステンダEVであってもよい。
【0251】
クローポールモータ1は、車両150の原動機である。クローポールモータ1は、動力伝達機構190を介して、駆動輪160を駆動し、車両150を走行させる。
【0252】
駆動輪160は、上述の如く、動力伝達機構190を介して伝達される動力によって、駆動される。駆動輪160は、前輪であってもよいし後輪であってもよいし、その両方であってもよい。
【0253】
バッテリ170は、例えば、数百ボルトの出力電圧を有し、電力変換装置180を介して、クローポールモータ1に電気エネルギを供給する。バッテリ170は、例えば、リチウムイオンバッテリである。
【0254】
尚、バッテリ170と電力変換装置180との間には、バッテリ170の出力電圧を昇圧或いは降圧するDC(Direct Current)-DCコンバータが設けられてもよい。
【0255】
電力変換装置180は、バッテリ170の直流電圧を三相交流電圧に変換しクローポールモータ1に供給する。また、電力変換装置180は、車両150の減速時のクローポールモータ1の三相交流電圧の回生エネルギを直流電圧に変換しバッテリ170に充電する。
【0256】
動力伝達機構190は、クローポールモータ1の出力を駆動輪160に伝達する。動力伝達機構190は、減速機191と、ディファレンシャル192と、ドライブシャフト193とを含む。
【0257】
尚、例えば、インホイルモータの形式のように、左右の駆動輪160ごとに、クローポールモータ1が設けられてもよい。この場合、動力伝達機構190は、左右の駆動輪160ごとに設けられ、ディファレンシャル192は省略され、ドライブシャフト193が省略されてもよい。
【0258】
減速機191は、クローポールモータ1の出力軸の一端と接続され、クローポールモータ1の出力軸の動力を所定の減速比で減速して出力する。
【0259】
尚、減速機191は省略されてもよい。
【0260】
ディファレンシャル192は、減速機191の出力を左右のドライブシャフト193を通じて左右の駆動輪160に伝達し、且つ、左右の駆動輪160の旋回時における速度差を吸収する。
【0261】
ドライブシャフト193は、ディファレンシャル192と左右の駆動輪160のそれぞれとの間を接続し、ディファレンシャル192から出力される動力を左右の駆動輪160に伝達する。
【0262】
尚、クローポールモータ1は、車両150の原動機として以外の用途で、車両150に搭載されてもよい。例えば、クローポールモータ1は、車両150のエアコン(空気調和機)の圧縮機に搭載される。
【0263】
このように、本実施形態に係るクローポールモータ1は、車両150に適用することができる。
【0264】
[作用]
次に、本実施形態に係るクローポールモータ1の作用について説明する。
【0265】
本実施形態では、クローポールモータ1は、回転子10と、固定子20と、引出線LLと、を備える。具体的には、回転子10は、回転軸心AX回りに回転自在に構成される。また、固定子20は、環状に巻き回されたコイル212と、コイル212の周囲を包囲するように設けられるクローポール型のステータコア210と、を含む。また、引出線LLは、コイル212から延び出す。そして、ステータコア210は、回転軸心AXを中心として設けられ、軸方向に貫通する貫通孔210Dと、引出線LLが配置される、軸方向に貫通する貫通孔210Eと、を有する。
【0266】
これにより、貫通孔210Eに、コイル212から延びる引出線LLを配置することができる。そのため、例えば、引出線LLが固定子20の径方向の外側の回転子10や固定子20の径方向の内側の回転軸部材13等の回転部と近接し、場合によっては接触するような状況を抑制することができる。よって、引出線LLのより適切なレイアウトを実現することができる。
【0267】
また、本実施形態では、固定子20は、コイル212とステータコア210とを含む第1の固定子ユニット(例えば、固定子ユニット21A)と、コイル212とステータコア210とを含む第2の固定子ユニット(例えば、固定子ユニット21B)とを含んでよい。そして、第1の固定子ユニット及び第2の固定子ユニットは、軸方向に積層されてもよい。
【0268】
これにより、軸方向に積層される第1の固定子ユニット及び第2の固定子ユニットが設けられる場合に、例えば、双方の貫通孔210Eを通じて、一方のコイル212からの引出線LLを軸方向にレイアウトすることができる。
【0269】
また、本実施形態では、第1の固定子ユニットの貫通孔210E、及び第2の固定子ユニットの貫通孔210Eは、軸方向から見て繋がっていてもよい。
【0270】
これにより、第1の固定子ユニット及び第2の固定子ユニットの双方の貫通孔210Eを通じて、引出線LLを軸方向に通過するようにレイアウトすることができる。
【0271】
また、本実施形態では、固定子20は、第1の固定子ユニット及び第2の固定子ユニットを含む、軸方向に積層される3以上の固定子ユニット21(例えば、固定子ユニット21A~21C)を含んでもよい。そして、全ての固定子ユニット21の貫通孔210Eは、軸方向から見て繋がっていてもよい。
【0272】
これにより、3以上の固定子ユニット21が軸方向に積層される場合に、ある固定子ユニット21のコイル212からの引出線LLを、3以上の固定子ユニット21の貫通孔210Eを通じて軸方向にレイアウトすることができる。
【0273】
また、本実施形態では、クローポールモータ1は、軸方向に貫通するように第1の固定子ユニット及び第2の固定子ユニットの貫通孔310Eに嵌め込まれた管状の部材31を備えてもよい。そして、引出線LLは、部材31の中に配置されてもよい。
【0274】
これにより、例えば、製造工程において、部材31によって、第1の固定子ユニット及び第2の固定子ユニットの間での周方向の位置決めを図ることができる。また、例えば、部材31を用いて、貫通孔210Eの内部での引出線LLとステータコア211との間の電気的な絶縁性を確保することができる。
【0275】
また、本実施形態では、クローポールモータ1は、軸方向の一端部で固定子20を保持する固定部材30を備えてもよい。そして、部材31の一端部は、固定部材30に連結されていてもよい。
【0276】
これにより、例えば、製造工程において、第1の固定子ユニット及び第2の固定子ユニットの固定部材30に対する位置決めを図ることができる。
【0277】
また、本実施形態では、第1の固定子ユニット及び第2の固定子ユニットのステータコア210同士は、同じ形状を有していてもよい。
【0278】
これにより、軸方向に積層される第1の固定子ユニット及び第2の固定子ユニットとの間で、ステータコア210の共通化を図ることができる。
【0279】
また、本実施形態では、ステータコア210は、コイル212の径方向の内側または外側を覆うヨーク部210Cと、巻線の軸方向の両端部を覆うヨーク部211Aと、ヨーク部211Aの外周部又は内周部に周方向に等間隔で設けられる爪磁極211Bとを含んでもよい。また、軸方向の一端部のヨーク部211Aの爪磁極211Bと、軸方向の他端部のヨーク部211Aの爪磁極211Bとは、周方向に交互に並ぶように配置されてもよい。そして、第1の固定子ユニット及び第2の固定子ユニットは、爪磁極211Bの位置が周方向で同じになるように配置されてもよい。
【0280】
これにより、第1の固定子ユニット及び第2の固定子ユニットの間で、周方向の貫通孔210Eの位置を揃えて、双方の貫通孔210Eを軸方向で連通させつつ、ステータコア210の共通化を図ることができる。
【0281】
また、本実施形態では、第1の固定子ユニット及び第2の固定子ユニットは、周方向の位置が電気角で所定の角度θe[°]だけずれるように配置されてもよい。また、第1の固定子ユニットは、2以上の所定数の貫通孔210Eを有してもよい。また、第2の固定子ユニットは、第1の固定子ユニットと同様の所定数の貫通孔210Eを有してもよい。また、第1の固定子ユニットの所定数の貫通孔210Eの周方向の間隔ΔΘeは、電気角で(θ+360×N)[°](Nは、0以上の整数)であってもよい。そして、第2の固定子ユニットの所定数の貫通孔210Eの周方向の間隔ΔΘeは、電気角で(θ+360×N)[°](Nは、0以上の整数)であってもよい。
【0282】
これにより、第1の固定子ユニット及び第2の固定子ユニットの間で、周方向の貫通孔210Eの位置を揃えて、双方の貫通孔210Eを軸方向で連通させつつ、ステータコア210の共通化を図ることができる。
【0283】
また、本実施形態では、クローポールモータ1は、相数M(Mは、2以上の整数)の交流電力(電機子電流)で駆動されてもよい。そして、電気角で表される上述の角度θe=360/M[°]であってもよい。
【0284】
これにより、相数Mの交流電力で駆動されるクローポールモータ1において、第1の固定子ユニット及び第2の固定子ユニットの間で、双方の貫通孔210Eを軸方向で連通させつつ、ステータコア210の共通化を図ることができる。
【0285】
また、本実施形態では、ステータコア210は、コイル212の径方向の内側または外側を覆うヨーク部210Cと、コイル212の軸方向の両端部を覆うヨーク部211Aと、ヨーク部211Aの外周部に周方向に等間隔で設けられる爪磁極211Bとを含んでもよい。また、軸方向の一端部のヨーク部211Aの爪磁極211Bと、軸方向の他端部のヨーク部211Aの爪磁極211Bとは、周方向に交互に並ぶように配置されてもよい。また、ステータコア210は、ヨーク部210Cで軸方向に分割される、第1のステータコア及び第2のステータコア(例えば、一対のステータコア211)を含んでもよい。また、第1のステータコア及び第2のステータコアは、貫通孔210E(貫通孔211E)を有してもよい。また、第1のステータコアの貫通孔211Eは、一の爪磁極211Bが配置される角度位置を基準として、隣り合う同一極となる爪磁極211B同士の間隔の1/4だけ移動した角度位置、又は、第1の角度位置を基準として互いに対称な2つの角度位置に設けられてもよい。そして、第2のステータコアの貫通孔211Eは、一の爪磁極211Bが配置される角度位置を基準として、隣り合う同一極となる爪磁極211B同士の間隔の1/4だけ移動した角度位置、又は、第1の角度位置を基準として互いに対称な2つの角度位置に設けられてもよい。
【0286】
これにより、ヨーク部210Cで軸方向に分割される、第1のステータコア及び第2のステータコアについて、組み合わせたときの貫通孔211Eの周方向の位置を揃えて、軸方向で連通させつつ、部品の共通化を図ることができる。
【0287】
また、本実施形態では、ステータコア210は、コイル212の径方向の内側又は外側を覆うヨーク部210Cと、コイル212の軸方向の両端部を覆うヨーク部211Aを含んでもよい。そして、ステータコア210は、コイル212の軸方向の一端部を覆うヨーク部211A、及びヨーク部210Cの周方向の一部分(ヨーク部211C)を含む第1のステータコア(例えば、一対のステータコア211の一方のステータコア211)と、コイル212の軸方向の他端部を覆うヨーク部211A、及びヨーク部210Cの周方向の残りの部分(ヨーク部211C)を含む第2のステータコア(例えば、一対のステータコア211の他方のステータコア211)とに分割されてもよい。
【0288】
これにより、第1のステータコア及び第2のステータコアごとのヨーク部211Cに貫通孔210Eを設けることができる。そのため、第1のステータコア及び第2のステータコアの同じ形状を実現し、部品の共通化を図ることができる。
【0289】
また、本実施形態では、第1の鉄心及び第2の鉄心の第1のヨーク部の周方向で隣り合う面の間に、第2の貫通孔と繋がる隙間(例えば、誘導経路210F)が設けられてもよい。そして、引出線LLは、その隙間を通じて、貫通孔210Eに配置されてもよい。
【0290】
これにより、コイル212から延び出す引出線LLをクローポール型のステータコア210の外側に引き出すことなく、貫通孔210Eに引き込むことができる。
【0291】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0292】
1 クローポールモータ
10 回転子
11 ロータコア
12 永久磁石
13 回転軸部材
14 連結部材
20 固定子
21 固定子ユニット
21A~21C 固定子ユニット
22 相間部材
22A 相間部材
22Aa,22Ab 溝部
22B 相間部材
22Ba,22Bb 溝部
23 端部材
23a23b 溝部
23A,23B 端部材
24 支持部材
24A 挿通部
24B 拡径部
24H 孔部
25,26 軸受
27 固定部材
28 ボルト
30 固定部材
30A 孔部
30H 貫通孔
31 部材
31A~31C 部材
40 制御装置
41 筐体
41A 収容部
41B 蓋部
41H 貫通孔
42 基板
42H 貫通孔
43 支持部材
43H 貫通孔
100 空気調和機
110 室外機
111 四方切換弁
112 圧縮機
113 室外熱交換器
114 室外膨張弁
115 ファン
120 室内機
121 室内膨張弁
122 室内熱交換器
123 ファン
130 冷媒経路
140 冷媒経路
150 車両
160 駆動輪
170 バッテリ
180 電力変換装置
190 動力伝達機構
191 減速機
192 ディファレンシャル
193 ドライブシャフト
210 ステータコア
210A ヨーク部
210C ヨーク部
210D 貫通孔
210E (連通する)貫通孔
210E 貫通孔
210F 誘導経路
211 ステータコア
211A ヨーク部
211A1 ヨーク部
211A2 ヨーク部
211B 爪磁極
211B1 爪磁極部
211B2 爪磁極部
211C ヨーク部
211D 孔部
211E 貫通孔
211F 溝部
212 コイル
310E 貫通孔
AX 回転軸心
L1~L6 冷媒経路
LL_AA 引出線
LL_AB 引出線
LL_AN 引出線
LL_AT 引出線
LL_BB 引出線
LL_BC 引出線
LL_BN 引出線
LL_BT 引出線
LL_CA 引出線
LL_CC 引出線
LL_CN 引出線
LL_CT 引出線
LL_P ピン
TA U相端子
TB V相端子
TC W相端子
TNP 中性点端子
【要約】
【課題】クローポール型の回転電機において、固定子の巻線から延び出す引出線のより適切なレイアウトを実現可能な技術を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態に係るクローポールモータ1は、回転軸心AX回りに回転自在な回転子10と、環状に巻き回されたコイル212と、コイル212の周囲を包囲するように設けられるクローポール型のステータコア210と、を含む固定子20と、コイル212から延び出す引出線LLと、を備え、ステータコア210は、回転軸心を中心として設けられ、軸方向に貫通する貫通孔210Dと、引出線LLが配置される、軸方向に貫通する貫通孔210Eと、を有する。
【選択図】図14
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25