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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】端子、及び、端子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/20 20060101AFI20231012BHJP
   H01R 43/16 20060101ALI20231012BHJP
   H01R 4/2406 20180101ALN20231012BHJP
【FI】
H01R4/20
H01R43/16
H01R4/2406
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019076202
(22)【出願日】2019-04-12
(65)【公開番号】P2020174005
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304023994
【氏名又は名称】国立大学法人山梨大学
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】山形 由紀
(72)【発明者】
【氏名】中山 栄浩
(72)【発明者】
【氏名】山口 徹
(72)【発明者】
【氏名】足立 悠輔
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-165414(JP,A)
【文献】実開昭57-192067(JP,U)
【文献】特開2007-073491(JP,A)
【文献】特開2013-058341(JP,A)
【文献】特開平11-067291(JP,A)
【文献】特開平07-263061(JP,A)
【文献】特公昭45-002267(JP,B1)
【文献】特開2013-048078(JP,A)
【文献】特開2017-224396(JP,A)
【文献】特表2017-526147(JP,A)
【文献】特開2014-164848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/00-4/22
H01R 4/24-4/46
H01R 43/027-43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手電気部品との接続を行う相手接続部と、
前記相手接続部に固定され、多数の素線からなる芯線が外部に露出された電線の一端側が挿入された筒部と、
前記相手接続部に固定され、前記筒部内に突出し、内部に中空部を有する針状棒と、
前記筒部に設けられ、前記芯線を前記針状棒の外周面に押圧する方向に加締め変形された加締め部とを備え、
前記加締め部は、前記筒部の幅方向の両側を互いの内面が当接するように加締めた平坦加締部と、前記筒部の幅方向の中央を前記芯線の断面円形に倣うように加締める円筒加締め部とから構成されていることを特徴とする端子。
【請求項2】
請求項1記載の端子であって、
前記筒部は、電線が挿入する開口側に拡径部が形成され、
前記拡径部には、絶縁被覆で覆われた前記電線の部位が挿入されていることを特徴とする端子。
【請求項3】
請求項2記載の端子であって、
前記針状棒は、先端が前記筒部の前記拡径部の位置まで達していることを特徴とする端子。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれかに記載の端子であって、
前記針状棒は、先端部が先端に向かうに従って径が小さくなるテーパ状に形成されていることを特徴とする端子。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれかに記載の端子であって、
前記針状棒は、外周面に凹凸を有することを特徴とする端子。
【請求項6】
請求項5に記載の端子であって、
前記凹凸は、螺旋形状に形成されていることを特徴とする端子。
【請求項7】
筒状部材の一端側を拡径して拡径部を形成する拡径加工工程と、
前記拡径加工工程の後に行い、針状棒を前記筒状部材の一端側より挿入し、前記筒状部材の他端側を2枚の板が重なり合う平板形状に潰して、重なり合う2枚の板で前記針状棒を挟持して固定する平打ち加工工程と、
前記平打ち加工工程の後に行い、前記平打ち加工工程によって形成された前記平板形状の部位を相手接続部に加工する相手接続部加工工程と、
相手接続部加工工程の後、若しくは、相手接続部加工工程の前で、且つ、前記平打ち加工工程の後に行い、電線の一端側を前記筒状部材の筒部に挿入する電線挿入工程と、
電線挿入工程の後に行われ、芯線を前記針状棒の外周面に押圧する方向に前記筒部を加締め変形する加締め部を形成する加締め加工工程とを備えたことを特徴とする端子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線が接続される端子、及び、端子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例の端子100は、図14及び図15に示すように、相手電気部品(図示せず)との接続を行う相手接続部101と、相手接続部101に固定され、多数の素線からなる芯線111が外部に露出された電線Wの一端側が挿入された筒部102と、筒部102に設けられ、芯線111が筒部102の内面に密着するように加締め変形された加締め部103とを備えている。加締め部103は、筒部102の幅方向の両側を互いの内面が当接するように加締めた平坦加締め部103aと、筒部102の幅方向の中央を芯線111の断面円形に倣うように加締めた円筒加締め部103bとから構成されている。
【0003】
電線Wの露出された芯線111の部位には、電導被覆部(例えば半田)112(図15に示す)が浸透するように配置されている。電導被覆部112は、筒部102の内面と芯線111との間、及び、素線111a同士の間に介在されている。このような隙間を電導被覆部112によって埋めることによって、電線Wと端子100間の電気抵抗の低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-73491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来例では、導電被覆部112は、芯線111の中心部にまで浸透しないため、芯線111の中心部にあっては素線111a間に隙間が発生したままの状態となる。そのため、芯線111の中心部の素線111aと端子100との導通が不十分となり、電気抵抗の十分な低減効果が得られないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、電線との間における電気抵抗を十分に低減できる端子、及び、端子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の端子は、相手電気部品との接続を行う相手接続部と、前記相手接続部に固定され、多数の素線からなる芯線が外部に露出された電線の一端側が挿入された筒部と、前記相手接続部に固定され、前記筒部内に突出する針状棒と、前記筒部に設けられ、前記芯線を前記針状棒の外周面に押圧する方向に加締め変形された加締め部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の端子の製造方法は、筒状部材の一端側を拡径して拡径部を形成する拡径加工工程と、前記拡径加工工程の後に行い、針状棒を前記筒状部材の一端側より挿入し、前記筒状部材の他端側を2枚の板が重なり合う平板形状に潰して、重なり合う2枚の板で前記針状棒を挟持して固定する平打ち加工工程と、前記平打ち加工工程の後に行い、前記平打ち加工工程によって形成された前記平板形状の部位を相手接続部に加工する相手接続部加工工程と、相手接続部加工工程の後、若しくは、相手接続部加工工程の前で、且つ、前記平打ち加工工程の後に行い、前記電線の一端側を前記筒部に挿入する電線挿入工程と、電線挿入工程の後に行われ、前記芯線を前記針状棒の外周面に押圧する方向に前記筒部を加締め変形する加締め部を形成する加締め加工工程とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、加締め部の内周と針状棒の外周の間に芯線の素線が充填された状態で配置されるため、加締め部の内周とその周囲に位置する素線の間、素線同士の間、及び、針状棒の外周とその周囲に位置する素線の間に隙間が出来難いため、電線との間における電気抵抗を十分に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態を示し、端子の斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態を示し、端子の断面図である。
図3】本発明の第1実施形態を示し、図2のA-A線断面図である。
図4】本発明の第1実施形態を示し、(a)は電線を加締め接続する前の端子の断面図、(b)は(a)のB矢視図である。
図5】本発明の第1実施形態を示し、(a)、(b)は端子の拡径加工工程をそれぞれ説明する斜視図である。
図6】本発明の第1実施形態を示し、(a)、(b)は端子の平打ち加工工程をそれぞれ説明する断面図である。
図7】本発明の第1実施形態を示し、(a)、(b)は端子の相手接続部加工工程をそれぞれ説明する断面図である。
図8】本発明の第1実施形態を示し、(a)、(b)は端子の電線挿入工程をそれぞれ説明する断面図である。
図9】本発明の第1実施形態を示し、端子の電線加締め加工工程を説明する断面図である。
図10】本発明の第1実施形態を示し、針状棒の径と電気抵抗の関係を示す図である。
図11】本発明の第2実施形態を示し、端子の断面図である。
図12】本発明の第3実施形態を示し、端子の断面図である。
図13】本発明の第4実施形態を示し、(a)は中空部を潰さない場合の端子の断面図、(b)は中空部を潰した場合の端子の断面図である。
図14】従来例を示し、端子の断面図である。
図15】従来例を示し、図14のD-D線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1図10は本発明の第1実施形態を示す。図1図3に示すように、電線Wは、多数の素線1aからなる芯線1が絶縁被覆2で覆われている。素線1aは、アルミニウム若しくはアルミニウム合金より形成されている。つまり、電線Wは、いわゆるアルミ電線である。電線Wの一端部では、絶縁被覆2が除去されて芯線1が外部に露出されている。この電線Wの一端部に端子10が接続されている。以下、端子10を説明する。
【0013】
端子10は、アルミニウム若しくはアルミニウム合金より形成されている。端子10は、相手電気部品(図示せず)との接続を行う相手接続部11と、相手接続部11に一体に設けられた筒部20と、筒部20内の電線挿入方向に突出する針状棒30と、筒部20に設けられた加締め部25とを備えている。
【0014】
相手接続部11は、筒部20に対して直角方向に折曲されている。相手接続部11は、2枚の板が重なり合う平板形状である。相手接続部11には、孔12が形成されている。相手接続部11は、孔12を利用して相手電気部品(例えば電気機器の端子)等が接続される。
【0015】
筒部20は、円筒形状である。筒部20内には、電線挿入孔21が形成されている。電線挿入孔21は、一端が開口され、且つ、他端が相手接続部11によって閉塞されている。筒部20には、電線挿入孔21の開口側に拡径部22が形成されている。筒部20の電線挿入孔21には、電線Wの一端側が挿入されている。詳細には、筒部20の拡径部22より挿入奥側には、外部に露出された芯線1が挿入され、筒部20の拡径部22には、絶縁被覆2で覆われた電線Wの部位が挿入されている。絶縁被覆2の先端面2aは、拡径部22の段差面22aに当接している。
【0016】
針状棒30は、中実の丸棒である。針状棒30の根元部は、相手接続部11の重なり合う2枚の板で挟持されることで固定されている。針状棒30は、根元部より先端側が筒部20の電線挿入孔21に突出している。針状棒30は、図4に示すように、筒部20の軸中心に位置し、且つ、電線Wの挿入方向に沿って突出している。針状棒30の先端は、筒部20の開口位置、具体的には、拡径部22の開口位置にまで達している。針状棒30の先端部は、先端に向かうに従って径が小さくなるテーパ状に形成されている。針状棒30は、電線Wの芯線1内を食い込んだ状態で配置されている。針状棒30の先端部は、絶縁被覆2で覆われた芯線1の中まで入り込んでいる。
【0017】
加締め部25は、芯線1を針状棒30の外周面に押圧する方向に加締め変形されている。具体的には、図3に示すように、筒部20の幅方向の両側を互いの内面が当接するように加締める平坦加締部25aと、筒部20の幅方向の中央を芯線1の断面円形に倣うように加締める円筒加締め部25bとから構成されている。つまり、加締め部25は、芯線1の全周が筒部20の内面に密着するように加締め変形されている。
【0018】
次に、端子10の製造方法を説明する。先ず、図5に示すように、同一径の筒状部材(円筒アルミパイプ)40の一端側を拡径して拡径部22を形成する(拡径加工工程)。次に、図6(a)に示すように、治具50で保持した針状棒30を筒状部材40の一端側(拡径部22側)より挿入する。そして、図6(b)に示すように、筒状部材40の他端側を圧縮力で潰して2枚の板が重なり合う平板形状に形成すると共に、重なり合う2枚の板で針状棒30を挟持して固定する(平打ち加工工程)。これで、一端側に拡径部22を有し、一端側が開口し、且つ他端側が閉塞する電線挿入孔21が内部に形成された筒部20が作製される。
【0019】
平打ち加工工程は、重なり合う2枚の板で針状棒30を挟持して固定すると共に、後工程で相手接続部11とされる平板形状の基本形態を形成する。従って、工程の簡略化になる。
【0020】
次に、図7(a)に示すように、平板形状の部位に孔12を開け、図7(b)に示すように、平板形状の部位を筒部20に対し直交方向に折り曲げる(相手接続部加工工程の後段)。これで、相手接続部11の作製が完了する。折り曲げ加工によって、針状棒30の根本部も直交方向に折り曲げられる。これによって針状棒30は、相手接続部11に強固に固定される。
【0021】
次に、図8(a)、(b)に示すように、多数の素線1aからなる芯線1が外部に露出された電線Wの一端側を筒部20の一端側(拡径部22側)より挿入する(電線挿入工程)。電線Wの挿入は、針状棒30からの抵抗に効して強制的に行う。電線Wの挿入は、絶縁被覆2の先端面2aが拡径部22の段差面22aに当接する位置まで行う(図9参照)。
【0022】
次に、図9に示すように、芯線1を針状棒30の外周面に押圧する方向に筒部20を加締め変形して加締め部25を形成する(加締め加工工程)。詳細には、図3に示すように、筒部20の幅方向の両側を互いの内面が当接するように加締め、且つ、筒部の幅方向の中央を芯線の断面円形に倣うように加締める。
【0023】
電線挿入工程は、この実施形態のように相手接続部加工工程の後に行っても良いが、相手接続部加工工程の前で、且つ、平打ち加工工程の後に行っても良い。
【0024】
図10は、針状棒30の断面積(直径)と端子接続箇所の電気抵抗値を測定した結果を示す。針状棒30がない場合(針状棒断面積がゼロ)が最も電気抵抗値が高く、針状棒30の断面積(直径)を大きくなるに従って電気抵抗値が減少する傾向になることが確認された。これは、針状棒30の断面積(直径)を大きくなるにつれて、針状棒30の外周面と素線1aとの接触面積が増えるためであると推定される。
【0025】
以上説明したように、端子10は、相手電気部品(図示せず)との接続を行う相手接続部11と、相手接続部11に固定され、多数の素線1aからなる芯線1が外部に露出された電線Wの一端側が挿入された筒部20と、相手接続部11に固定され、筒部20内の電線挿入方向に突出する針状棒30と、筒部20に設けられ、芯線1を針状棒30の外周面に押圧する方向に筒部20が加締め変形された加締め部25とを備えている。
【0026】
また、端子10の製造方法では、筒状部材40の一端側を拡径して拡径部22を形成する拡径加工工程と、拡径加工工程の後に行い、針状棒30を筒状部材40の一端側より挿入し、筒状部材40の他端側を2枚の板が重なり合う平板形状に潰して、重なり合う2枚の板で針状棒30を挟持して固定する平打ち加工工程と、平打ち加工工程の後に行い、平打ち加工工程によって形成された平板形状の部位を相手接続部11に加工する相手接続部工工程と、相手接続部加工工程の後、若しくは、相手接続部加工工程の前で、且つ、平打ち加工工程の後に行い、電線Wの一端側を筒部20に挿入する電線挿入工程と、電線挿入工程の後に行われ、芯線1を針状棒30の外周面に押圧する方向に筒部20を加締め変形する加締め部25を形成する加締め加工工程とを備えている。
【0027】
従って、端子10は、加締め部25の内周と針状棒30の外周の間には、芯線1の素線1aが充填された状態で配置されるため、加締め部25の内周とその周囲に位置する素線1aの間、素線1a同士の間、及び、針状棒30の外周とその周囲に位置する素線1aの間には隙間が出来難いため、電線Wと端子10間の電気抵抗を十分に低減できる。特に、芯線1の中心部の素線1aが針状棒30を介して端子10に導通するため、電気抵抗を十分に低減できる。
【0028】
また、加締め部25の内周に位置する素線1aは、筒部20の加締め過程において、又、芯線1の中心部の素線1aは、針状棒30の挿入過程や筒部20の加締め過程において、せん断に伴う酸化皮膜破壊が促進されるため、電気抵抗の低減が図られる。
【0029】
筒部20は、電線Wが挿入する開口側に拡径部22が形成され、拡径部22には、絶縁被覆2で覆われた電線Wの部位まで挿入されている。芯線1が多数の素線1aからなる電線Wは、1本の太い芯線からなる電線と比較して、屈曲性に優れている。このように屈曲性に優れた電線Wにあって、絶縁被覆2から露出された芯線1のみが筒部20内に収容されている場合には、電線Wが容易に屈曲することより、筒部20の端面に芯線1が接触して切れ易い。しかし、この実施形態のように、絶縁被覆2で覆われた芯線1の部位まで」筒部20内に収容されていると、筒部20の端面に芯線1が接触することがない。以上より、優れた屈曲性を維持しつつ、絶縁被覆2より露出された芯線1切れるのを防止できる。
【0030】
針状棒30は、先端が筒部20の拡径部22の位置まで達している。従って、絶縁被覆2で覆われた芯線1の領域にも針状棒30が入り込んでいるため、絶縁被覆2と針状棒30の間には、芯線1の素線1aが充填され、隙間が出来難い。これにより、電気抵抗値の低減に寄与する。又、芯線1が絶縁被覆2を半径方向の外側に向かって押圧するため、絶縁被覆2と拡径部22の密着性が向上し、これによって芯線1の屈曲疲労を抑制できる。更に、絶縁被覆2と拡径部22の密着性が向上するため、防水性が向上する。
【0031】
針状棒30は、先端部が先端に向かうに従って径が小さくなるテーパ状に形成されている。従って、電線Wの芯線1を筒部20に挿入する際に、挿入抵抗を小さいできるため、電線Wの挿入作業性が良い。
【0032】
(第2実施形態)
図11は第2実施形態に係る端子を示す。この第2実施形態では、針状棒30Aは、外周面に凹凸30aを有する。凹凸30aは、軸方向に沿って凹部と凸部が繰り返された形状である。
【0033】
他の構成は前記第1実施形態と同様にあるため、重複説明を省略する。図面の同一構成箇所には同一符号を付して明確化を図る。
【0034】
この第2実施形態でも、前記第1実施形態と同様な理由によって、電線Wと端子10間の電気抵抗を十分に低減できる。
【0035】
第2実施形態では、筒部20に加締め部25を形成する際に、針状棒30Aの外周面の凹凸30aによって、素線にはせん断に伴う酸化皮膜破壊が発生するため、電気抵抗の更なる低減になる。
【0036】
(第3実施形態)
図12は第3実施形態に係る端子を示す。この第3実施形態では、針状棒30Bの外周面には螺旋形状の凹凸30bが形成されている。
【0037】
他の構成は前記第1実施形態と同様にあるため、重複説明を省略する。図面の同一構成箇所には同一符号を付して明確化を図る。
【0038】
この第3実施形態でも、前記第1実施形態と同様な理由によって、電線Wと端子10間の電気抵抗を十分に低減できる。
【0039】
第3実施形態では、前記第2形態と同様に、筒部20に加締め部25を形成する際に、針状棒30の外周面の凹凸30bによって素線には、せん断に伴う酸化皮膜破壊が発生するため、電気抵抗の更なる低減になる。
【0040】
第3実施形態では、電線Wを回転させつつ芯線1を筒部20に挿入することにより、芯線1が螺旋形状によって回転奥方向に導かれるため、電線Wの挿入作業性が向上する。
【0041】
(第4実施形態)
図13は第4実施形態に係る端子を示す。この第4実施形態では、針状棒30Cは、前記第2実施形態と同様に外周面に凹凸30aを有すると共に、針状棒30Cの内部に中空部30cが形成されている。筒部20の内径より芯線1の断面積が小さい場合には、図13(a)に示すように、針状棒30Cの中空部30cを潰さないで加締め部25を形成する。筒部20の内径より芯線1の断面積が同じ若しくは若干だけ小さい場合には、図13(b)に示すように、針状棒30Cの中空部30cを潰して加締め部25を形成する。
【0042】
他の構成は前記第1実施形態と同様にあるため、重複説明を省略する。図面の同一構成箇所には同一符号を付して明確化を図る。
【0043】
この第4実施形態でも、前記第1実施形態と同様な理由によって、電線Wと端子10間の電気抵抗を十分に低減できる。
【0044】
第4実施形態では、前記第2形態と同様に、筒部20に加締め部25を形成する際に、針状棒30の外周面の凹凸30aによって、素線にはせん断に伴う酸化皮膜破壊が発生するため、電気抵抗の更なる低減になる。
【0045】
第4実施形態では、針状棒30Cに中空部30cを有する。従って、針状棒30Cの中空部30cを潰さなかったり、針状棒30Cの中空部30cの潰したり調整することによって、電線W(芯線1)の種々のサイズに対応できる。
【0046】
(その他)
前記各実施形態において、絶縁被覆2より露出された芯線1の部位には、電導被覆部(例えば半田)が浸透するように配置しても良い。
【0047】
前記各実施形態では、電線Wの素線1aは、アルミニウム若しくはアルミニウム合金より形成されている。つまり、電線Wは、いわゆるアルミ電線である。電線Wの素線1aは、銅若しくは銅合金より形成されたものであっても良い。つまり、電線Wはいわゆる銅電線でも良い。電線Wの素線1aは、上記以外の導電性金属(例えば銀)であっても良い。
【0048】
前記各実施形態では、端子10は、アルミニウム若しくはアルミニウム合金より形成されているが、銅若しくは銅合金より形成されたものであっても良い。電線Wと端子10は、異なる金属より形成されていても良い。この場合には、ガルバニック腐食を防止する手段を講じることが好ましい。
【符号の説明】
【0049】
W 電線
1 芯線
1a 素線
2 絶縁被覆
10 端子
11 相手接続部
20 筒部
22 拡径部
25 加締め部
30、30A~30C 針状棒
30a 凹凸
30b 螺旋状の凹凸
30c 中空部
40 筒状部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15