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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】排水栓装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/22 20060101AFI20231012BHJP
   A47K 1/14 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
E03C1/22 B
A47K1/14 F
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019087834
(22)【出願日】2019-05-07
(65)【公開番号】P2020183648
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】501362906
【氏名又は名称】積水ホームテクノ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】392028767
【氏名又は名称】株式会社日本アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】守谷 淳
(72)【発明者】
【氏名】石垣 征樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 卓実
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-001779(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第03354808(EP,A1)
【文献】特開2002-310119(JP,A)
【文献】実開昭61-188670(JP,U)
【文献】実開平03-050670(JP,U)
【文献】特開2018-115467(JP,A)
【文献】特開2013-224543(JP,A)
【文献】特開2015-071898(JP,A)
【文献】特開2008-223453(JP,A)
【文献】独国実用新案第202015101073(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12-1/298
A47K 1/14
F16K 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽体の底側に設けられ、排水時に前記槽体の水が流入する排水流入口と、
前記槽体に対し相対移動可能に構成された、前記排水流入口を開閉するための栓蓋とを備えた排水栓装置であって、
前記排水流入口は、これを正面から見たときに、縦方向よりも横方向が長い横長形状をなしており、
前記栓蓋は、前記排水流入口の形状に対応する横長形状とされており、
前記栓蓋におけるその背面部に設けられた軸被取付部に対し、先端部が取付けられた往復移動可能な支持軸と、
前記栓蓋を正面から見たときに当該栓蓋の裏側に位置し、前記槽体に対し相対変位不能な状態で設けられた支持部とを有し、
前記支持軸の往復移動に伴い前記栓蓋が往復移動することで、前記排水流入口における開閉状態が切換わるように構成されており、
前記栓蓋は、前記横方向に沿って前記軸被取付部とは異なる位置に設けられるとともに、前記支持部と接触することで前記支持軸に対する前記栓蓋の相対回転及び傾きを規制可能な被支持部を具備し、
前記支持軸に対しその復動方向に沿った付勢力を付与する支持軸引込部と、
前記栓蓋のうち前記軸被取付部の形成箇所とは異なる部位に対し、前記支持軸の復動方向に沿った力を付勢する補助引込部とを有することを特徴とする排水栓装置。
【請求項2】
前記槽体は、浴槽であるとともに、その底面部からその側面部にかけての部位に貫通形成された取付孔を有し、
内側の開口によって前記排水流入口を形成するとともに、前記取付孔に挿通された状態で設置される筒状の排水口部材を備え、
前記排水口部材は、鉛直方向に対し斜めになった状態で設置されていることを特徴とする請求項1に記載の排水栓装置。
【請求項3】
槽体の底側に設けられ、排水時に前記槽体の水が流入する排水流入口と、
前記槽体に対し相対移動可能に構成された、前記排水流入口を開閉するための栓蓋とを備えた排水栓装置であって、
前記排水流入口は、これを正面から見たときに、縦方向よりも横方向が長い横長形状をなしており、
前記栓蓋は、前記排水流入口の形状に対応する横長形状とされており、
前記槽体は、浴槽であるとともに、その底面部からその側面部にかけての部位に貫通形成された取付孔を有し、
内側の開口によって前記排水流入口を形成するとともに、前記取付孔に挿通された状態で設置される筒状の排水口部材を備え、
前記排水口部材は、鉛直方向に対し斜めになった状態で設置されており、
前記栓蓋は、鉛直方向に対し斜めの方向に往復移動可能であり、
前記栓蓋が往復移動することで、前記排水流入口の開閉状態が切換わるように構成されており、
平面視したときに、前記栓蓋の外縁部のうちの少なくとも上方を向く部位を覆うようにして設置された栓蓋保護部を有することを特徴とする排水栓装置。
【請求項4】
前記栓蓋保護部の表面は、前記側面部に対し滑らかに連続し、かつ、水平面に対しほぼ垂直となる形状をなすことを特徴とする請求項に記載の排水栓装置。
【請求項5】
槽体の底側に設けられ、排水時に前記槽体の水が流入する排水流入口と、
前記槽体に対し相対移動可能に構成された、前記排水流入口を開閉するための栓蓋とを備えた排水栓装置であって、
前記排水流入口は、これを正面から見たときに、縦方向よりも横方向が長い横長形状をなしており、
前記栓蓋は、前記排水流入口の形状に対応する横長形状とされており、
前記槽体は、浴槽であるとともに、その底面部からその側面部にかけての部位に貫通形成された取付孔を有し、
内側の開口によって前記排水流入口を形成するとともに、前記取付孔に挿通された状態で設置される筒状の排水口部材を備え、
前記排水口部材は、鉛直方向に対し斜めになった状態で設置されており、
前記栓蓋は、鉛直方向に対し斜めの方向に往復移動可能であり、
前記排水流入口を開状態としたときに、前記栓蓋の外縁部の周囲には、排水が通過可能な排水流路が形成され、
少なくとも前記排水流入口が開状態であるときに前記栓蓋の外縁部上部に近接配置され、前記排水流路のうち前記栓蓋の外縁部上部に対応する流路の通水面積を前記排水流路のうち前記栓蓋の外縁部下部に対応する流路の通水面積よりも小さなものとするように構成された排水能力変動防止部を有することを特徴とする排水栓装置。
【請求項6】
槽体の底側に設けられ、排水時に前記槽体の水が流入する排水流入口と、
前記槽体に対し相対移動可能に構成された、前記排水流入口を開閉するための栓蓋とを備えた排水栓装置であって、
前記排水流入口は、これを正面から見たときに、縦方向よりも横方向が長い横長形状をなしており、
前記栓蓋は、前記排水流入口の形状に対応する横長形状とされており、
前記槽体は、浴槽であるとともに、その底面部からその側面部にかけての部位に貫通形成された取付孔を有し、
内側の開口によって前記排水流入口を形成するとともに、前記取付孔に挿通された状態で設置される筒状の排水口部材を備え、
前記排水口部材は、鉛直方向に対し斜めになった状態で設置されており、
前記浴槽には、洗い場が隣接設置されており、
前記排水流入口から前記排水口部材内に流入した排水は、当該排水口部材における前記排水流入口とは反対側に位置する下部開口から斜め下方に向けて前記洗い場側へと放出されるように構成されており、
前記下部開口と相対向し、当該下部開口から放出される排水が当たる位置に設置され、当該下部開口から放出される排水の前記洗い場側への飛散を防止するための飛散防止カバー部を備えることを特徴とする排水栓装置。
【請求項7】
前記飛散防止カバー部は、半筒状をなしており、前記下部開口から放出された排水が自身の内側面を伝わって自身の両端部から流出可能に構成されていることを特徴とする請求項に記載の排水栓装置。
【請求項8】
槽体の底側に設けられ、排水時に前記槽体の水が流入する排水流入口と、
前記槽体に対し相対移動可能に構成された、前記排水流入口を開閉するための栓蓋とを備えた排水栓装置であって、
前記排水流入口は、これを正面から見たときに、縦方向よりも横方向が長い横長形状をなしており、
前記栓蓋は、前記排水流入口の形状に対応する横長形状とされており、
前記槽体は、浴槽であるとともに、その底面部からその側面部にかけての部位に貫通形成された取付孔を有し、
内側の開口によって前記排水流入口を形成するとともに、前記取付孔に挿通された状態で設置される筒状の排水口部材を備え、
前記排水口部材は、鉛直方向に対し斜めになった状態で設置されており、
記排水口部材は、その内部空間を間に置く部位の各外側面に設けられるとともに、前記横方向に沿って延び、かつ、少なくとも一端部に開放端の形成された部品取付用溝部、及び、外側に突出形成された挟持用突部を有するものであり、
前記部品取付用溝部に配置可能な一対のストレート部、及び、一対の前記ストレート部の一端部同士を連結する連結部を有する固定用部品と、
前記挟持用突部及び前記槽体の間に介在設置されるシール部材とを備え、
前記挟持用突部及び前記槽体間に前記シール部材を配置しつつ、前記部品取付用溝部の前記開放端に前記ストレート部の他端部を配置した上で、前記部品取付用溝部の延びる方向に沿って前記排水口部材に対し前記固定用部品をスライド移動させ、前記挟持用突部及び前記ストレート部により前記槽体及び前記シール部材を挟み込んだ状態とすることにより、前記排水口部材を設置可能に構成されていることを特徴とする排水栓装置。
【請求項9】
前記ストレート部は、一端部から他端部にかけて徐々に形状が変化して全体として楔形状をなしており、
前記部品取付用溝部のうち少なくとも前記ストレート部が配置される部位は、前記開放端から他端部側に向けて徐々に幅が狭くなることを特徴とする請求項に記載の排水栓装置。
【請求項10】
前記固定用部品は、厚さが一定の金属製プレートからなり、
前記ストレート部は、一端部から他端部に向けて凸凹を交互に具備する形状、又は、一端部から他端部に向けて波打った形状をなすことを特徴とする請求項に記載の排水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽体の水が流入する排水流入口を開閉するための排水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、栓蓋を遠隔操作することによって、槽体(例えば、浴槽や洗面ボウルなど)の底側に設けられた、排水時に槽体の水が流入する排水流入口の開閉状態を切換可能な排水栓装置が知られている。
【0003】
排水栓装置としては、往復移動可能であるとともに、先端部に前記栓蓋の取付けられた支持軸と、変位可能な操作部(例えば操作ボタン)と、当該操作部の変位による駆動力を支持軸ひいては栓蓋へと伝達するための伝達部材(例えばワイヤ等)とを備えたものが一般に知られている。このような排水栓装置では、操作部に対する操作に伴い伝達部材が往復移動し、その結果、支持軸及び栓蓋が上下動することで、排水流入口の開閉状態が切換えられるようになっている。
【0004】
また、通常、排水流入口及び栓蓋は、それぞれ平面視円形状をなしており、さらに、栓蓋の背面中心部に支持軸の先端部が取付けられるように構成されている(例えば、特許文献1等参照)。これは、仮に栓蓋が支持軸に対する取付箇所を中心として回転したとしても排水流入口の閉鎖が確実に行われるようにしたり、栓蓋の回転による美観の低下を防止したりする等の理由による。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-154133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、排水能力の向上という点を考慮すると、排水流入口における通水面積を増大させることが好ましい。そこで、排水流入口の内径をより大きなものとし、通水面積の増大を図ることが考えられる。
【0007】
しかしながら、排水流入口の内径を大きなものとし、また、これに伴い栓蓋の外径を大きなものとすると、槽体においては比較的大きな円形の栓蓋が目立つ状態で存在することになり、美観の低下を招いてしまうおそれがある。また、清掃などを行う際において、排水流入口に対応して配置される栓蓋やヘアキャッチャー等を外したときには、槽体の周囲で使用される比較的大きなもの(例えばシャンプーや化粧品などの衛生日用品の容器や固形石鹸など)ですら排水流入口内へと落下しやすくなり、使用者にとって不便となるおそれがある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、排水能力の向上を図りつつ、美観や利便性の低下を抑えることができる排水栓装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0010】
手段1.槽体の底側に設けられ、排水時に前記槽体の水が流入する排水流入口と、
前記槽体に対し相対移動可能に構成された、前記排水流入口を開閉するための栓蓋とを備えた排水栓装置であって、
前記排水流入口は、これを正面から見たときに、縦方向よりも横方向が長い横長形状をなしており、
前記栓蓋は、前記排水流入口の形状に対応する横長形状とされており、
前記栓蓋におけるその背面部に設けられた軸被取付部に対し、先端部が取付けられた往復移動可能な支持軸と、
前記栓蓋を正面から見たときに当該栓蓋の裏側に位置し、前記槽体に対し相対変位不能な状態で設けられた支持部とを有し、
前記支持軸の往復移動に伴い前記栓蓋が往復移動することで、前記排水流入口における開閉状態が切換わるように構成されており、
前記栓蓋は、前記横方向に沿って前記軸被取付部とは異なる位置に設けられるとともに、前記支持部と接触することで前記支持軸に対する前記栓蓋の相対回転及び傾きを規制可能な被支持部を具備し、
前記支持軸に対しその復動方向に沿った付勢力を付与する支持軸引込部と、
前記栓蓋のうち前記軸被取付部の形成箇所とは異なる部位に対し、前記支持軸の復動方向に沿った力を付勢する補助引込部とを有することを特徴とする排水栓装置。
【0011】
尚、「槽体の底側」とあるのは、槽体の底面部のみならず、槽体の側面部のうち前記底面部側に位置する部位(例えば底面部に連なる部位)や底面部から側面部にかけての部位も含む。尚、「支持軸に対する栓蓋の相対回転」とあるのは、より詳しくは、支持軸の先端部を回転中心として栓蓋が支持軸に対し相対回転することをいう。また、「支持軸に対する栓蓋の傾き」とあるのは、より詳しくは、支持軸の先端部をいわば支点として栓蓋が支持軸に対し傾くことをいう。
【0012】
上記手段1によれば、排水流入口は、これを正面から見たときに縦方向よりも横方向が長い横長形状(例えば、矩形状や楕円形状、長円形状など)をなしており、また、栓蓋も同様に横長形状とされている。従って、排水流入口の通水面積を大きなものとして排水能力の増大を図りつつ、排水流入口や栓蓋を円形状とした場合と比較して、排水流入口や栓蓋をスリムな見た目とすることができ、栓蓋等が目立つ存在とはなりにくい状態とすることができる。また、排水流入口を横長形状とすることによって、排水流入口を円形状とした場合と比較して、排水流入口の通水面積を増大させつつ、排水流入口に対する“もの”(容器や固形石鹸など)の落下が生じにくくなる。これらの結果、排水流入口における通水面積を増大させて排水能力の向上を図りつつ、美観や利便性の低下をより確実に抑えることができる。
【0013】
尚、排水流入口を開状態としたときには、栓蓋における外縁部側に形成される隙間(排水流路)を通って水が排出されるため、栓蓋外縁部の長さが大きいほど、排水能力の点で有利となり得る。従って、この点においても、栓蓋を円形状とする場合と比べて、栓蓋を横長形状とすることが有効である。尚、美観や排水能力の点を考慮すると、排水流入口や栓蓋における縦方向長さを1としたとき、排水流入口や栓蓋における横方向長さを2以上とすることが好ましく、3以上とすることがより好ましい。但し、栓蓋の強度等を考慮すると、排水流入口や栓蓋における横方向長さを縦方向長さに対し極端に大きなものとすることは好ましくない。
【0014】
さて、上述したように、美観の向上などを図るという点では排水流入口や栓蓋を横長形状とすることが有効であるが、栓蓋を横長形状とすると、次のような不具合が生じ得る。すなわち、栓蓋が円形状である場合には、支持軸に対し栓蓋が相対回転しても特に問題は生じないが、栓蓋が横長形状である場合には、支持軸に対し栓蓋が相対回転してしまうと、栓蓋による排水流入口の閉鎖に支障が生じたり、美観の低下を招いたりするおそれがある。また、栓蓋が横長形状である場合には、栓蓋のうちの特に前記横方向に沿って端側に位置する部位が支持軸の往復移動方向に沿って動きやすくなり、ひいては支持軸に対する栓蓋の傾きが生じやすくなるおそれがある。支持軸に対し栓蓋が傾いてしまうと、支持軸に対し栓蓋が相対回転した場合と同様に、排水流入口の閉鎖に支障が生じたり、美観の低下を招いたりするおそれがある。
【0015】
この点、上記手段1によれば、栓蓋は被支持部を備えており、栓蓋の裏側に位置し、槽体に対し相対変位不能な支持部に対し当該被支持部が接触することで、支持軸に対する栓蓋の相対回転及び傾きを規制することが可能である。従って、栓蓋を横長形状としたことに伴う上述した各種不具合の発生をより確実に防止することができる。
【0016】
尚、支持部及び被支持部は、栓蓋により隠れた状態となるため、これらの存在により美観の低下が生じることはほとんどない。
【0017】
加えて、支持軸に対し復動方向の付勢力を付与する支持軸引込部(例えばばね等)を設けることにより、排水流入口を閉状態としたときに、栓蓋(例えばパッキン部)を所定の接触対象部〔排水流入口を閉状態としたときに栓蓋(特にパッキン部)と接触するように設定された部位であり、例えば槽体や後述する排水口部材などにより構成される〕に対し十分な圧力をもって接触可能とし、良好なシール性(水密性)を実現するという手法が従来知られている。そこで、栓蓋を横長形状とした排水栓装置に対し、この手法を適用することが考えられる。
【0018】
しかしながら、この場合には、排水流入口を閉状態としたときに、栓蓋のうちの特に支持軸から離間した部位が十分に引込まれない状態となるおそれがある。このような状態では、接触対象部の全域に対し栓蓋を十分な圧力で接触させることができず、シール性(水密性)の低下を招いてしまうおそれがある。
【0019】
この点、上記手段1によれば、支持軸に対しその復動方向に沿った力を付与する支持軸引込部に加えて、栓蓋のうち軸被取付部の形成箇所とは異なる部位(すなわち栓蓋のうち支持軸引込部によって引き込まれる部位とは異なる部位)に対し前記復動方向に沿った力を付勢する補助引込部(例えばばね等)が設けられている。従って、接触対象部の全域(全周)に対し栓蓋を十分な圧力をもって接触させることがより確実に可能となり、良好なシール性(水密性)をより確実に得ることができる。
【0020】
手段2.前記槽体は、浴槽であるとともに、その底面部からその側面部にかけての部位に貫通形成された取付孔を有し、
内側の開口によって前記排水流入口を形成するとともに、前記取付孔に挿通された状態で設置される筒状の排水口部材を備え、
前記排水口部材は、鉛直方向に対し斜めになった状態で設置されていることを特徴とする手段1に記載の排水栓装置。
【0021】
従来、排水口部材は、浴槽の底面部に貫通形成された取付孔に対し、鉛直方向に延びた状態で挿通設置されているが、この場合には、浴槽に対する排水口部材の下側への突出量が大きなものとなる。従って、浴槽の設置面(床面)に対する排水口部材の干渉を回避するためには、浴槽下方に比較的大きなスペースを設ける必要がある。しかし、スペース確保のために、単に浴槽を当該浴槽の設置面に対し多少なりとも上げた状態で設けると、浴槽へと入る際に大きく足を上げる必要が生じて利便性や安全性が低下する。そこで、浴槽の設置面を浴槽へと入る際に立つ側(通常、洗い場)に対し一段下に比較的大きく落とし込んだ状態として、当該設置面に浴槽を設置するのが一般的である。
【0022】
また、介護現場などでは、被介護者が浴槽へとより入りやすくなるように、被介護者の状態(例えば右半身又は左半身に何らかの異常があるなど)に合わせて、洗い場側から見て左右にスライド移動可能となるように浴槽を構成することがある。このような浴槽は、排水口部材が浴槽の設置面と接触しないように所定の部品(スペーサ)によって持ち上げられた状態で維持されつつ、左右にスライド移動可能に構成される。また、このような浴槽についても洗い場に対し一段下の位置が浴槽の設置面とされるが、浴槽を左右にスライド移動可能とするため、浴槽の設置面は平面であって、かつ、左右方向に沿って十分な長さを有するものとされる。さらに、浴槽を左右のどちらか一方に寄せると、浴槽の左側又は右側に、洗い場よりも一段下に比較的大きく落ち込んだ前記設置面が顕出する状態となるため、安全性や介護者の作業性を考慮して、入浴時には、この顕出した設置面を塞ぐようにして床蓋が設置される。しかしながら、このように床蓋を設置する構成では、浴槽を左右に移動させる度に、床蓋を一旦取外して再度設置するといった作業が必要となり、介護者などにとっての作業負担が大きい。これに対し、浴槽の設置面を洗い場と同じ高さ又はほぼ同じ高さ〔例えば、洗い場よりも若干低い程度の高さ(安全性等の面で特に問題とはならない程度の高さ)〕とすれば、床蓋の設置や移動は不要となるが、洗い場に対する浴槽の相対位置が上昇するため、利便性や安全性が低下してしまう。
【0023】
この点、上記手段2によれば、排水口部材は、浴槽における底面部から側面部にかけての部位に形成された取付孔に対し、鉛直方向に対し斜めになった状態で挿通設置されている。従って、浴槽に対する排水口部材の下側への突出量を小さなものとすることができる。これにより、排水口部材の干渉を回避するための浴槽の設置面における比較的大きな落とし込みを不要とすることができる。また、介護現場などで使用される浴槽に適用した場合には、浴槽へと入りやすい状態を維持しつつ、浴槽の設置面を洗い場と同じ高さ又はほぼ同じ高さとすることができる。そのため、床蓋を不要とすることができ、浴槽を移動させる際の床蓋の取外や設置についても不要とすることができる。その結果、作業負担の低減を図ることができる。
【0024】
尚、上記手段2においては、排水流入口が斜め上方に向けて開口することになるため、排水流入口を円形状とすると、浴槽の水位が低下するに従って排水量が減少してしまい、迅速な排水を図ることができないおそれがある。この点、排水流入口を、浴槽の側面部の幅方向に沿って延びる横長形状とすることで、浴槽の水位低下に伴う排水量の減少をより効果的に抑えることができ、迅速な排水を図ることができる。
【0025】
手段3.槽体の底側に設けられ、排水時に前記槽体の水が流入する排水流入口と、
前記槽体に対し相対移動可能に構成された、前記排水流入口を開閉するための栓蓋とを備えた排水栓装置であって、
前記排水流入口は、これを正面から見たときに、縦方向よりも横方向が長い横長形状をなしており、
前記栓蓋は、前記排水流入口の形状に対応する横長形状とされており、
前記槽体は、浴槽であるとともに、その底面部からその側面部にかけての部位に貫通形成された取付孔を有し、
内側の開口によって前記排水流入口を形成するとともに、前記取付孔に挿通された状態で設置される筒状の排水口部材を備え、
前記排水口部材は、鉛直方向に対し斜めになった状態で設置されており、
前記栓蓋は、鉛直方向に対し斜めの方向に往復移動可能であり、
前記栓蓋が往復移動することで、前記排水流入口の開閉状態が切換わるように構成されており、
平面視したときに、前記栓蓋の外縁部のうちの少なくとも上方を向く部位を覆うようにして設置された栓蓋保護部を有することを特徴とする排水栓装置。
【0026】
上記手段3によれば、上記手段2と同様の作用効果が奏される。
【0027】
また、栓蓋が踏み付けられた場合など、栓蓋に対し下方へと大きな力が加わった場合には、栓蓋やこれを支える部品(支持軸など)における破損や変形が生じるおそれがある。ここで、栓蓋が鉛直方向に沿って往復移動する構成では、例えばアブソーバスプリングなどの鉛直方向に沿って弾性変形可能な緩衝用の部品を支持軸などに設けることで、栓蓋に対し下方へと大きな力が加わった場合における栓蓋等の破損や変形を防ぐことができる。しかしながら、上記手段のように、栓蓋が鉛直方向に対し斜めの方向に往復移動する構成においては、仮に栓蓋の移動方向に沿って変形可能な緩衝用の部品を設けたとしても、栓蓋に対し下方へと大きな力が加わったときに、その力をほとんど緩衝することができない。そのため、緩衝用の部品を用いて栓蓋の破損や変形を防止することが難しい。
【0028】
この点、上記手段によれば、平面視したときに栓蓋の外縁部のうちの少なくとも上方を向く部位を覆うようにして、栓蓋保護部が設けられている。従って、栓蓋保護部によって栓蓋を保護して、栓蓋に対し下向きの大きな力が加わることをより確実に防止できる。これにより、栓蓋等における破損や変形を効果的に防ぐことができる。
【0029】
手段.前記栓蓋保護部の表面は、前記側面部に対し滑らかに連続し、かつ、水平面に対しほぼ垂直となる形状をなすことを特徴とする手段に記載の排水栓装置。
【0030】
尚、「栓蓋保護部の表面が、側面部に対し滑らかに連続し」とあるのは、栓蓋保護部の表面が側面部に対し、厳密に凹凸や段差、隙間などが存在しない状態で連続する場合のみならず、栓蓋保護部の表面から側面部にかけて若干の凹凸や段差などが存在する場合も含む。また、「水平面に対しほぼ垂直」とは、水平面に対し厳密に垂直となっている場合のみならず、鉛直面に対しやや傾いた垂直に近い状態(例えば、水平面と栓蓋保護部の表面とのなす角のうち鋭角の角度が60°以上(より好ましくは70°以上)となっている場合を含むという趣旨である。
【0031】
上記手段によれば、栓蓋保護部の存在による美観の低下を防ぐことができるとともに、栓蓋保護部の踏み付けをより生じにくくすることができる。これにより、栓蓋保護部の破損、変形や栓蓋保護部の踏み付けによる使用者のけがなどを効果的に防ぐことができる。
【0032】
手段槽体の底側に設けられ、排水時に前記槽体の水が流入する排水流入口と、
前記槽体に対し相対移動可能に構成された、前記排水流入口を開閉するための栓蓋とを備えた排水栓装置であって、
前記排水流入口は、これを正面から見たときに、縦方向よりも横方向が長い横長形状をなしており、
前記栓蓋は、前記排水流入口の形状に対応する横長形状とされており、
前記槽体は、浴槽であるとともに、その底面部からその側面部にかけての部位に貫通形成された取付孔を有し、
内側の開口によって前記排水流入口を形成するとともに、前記取付孔に挿通された状態で設置される筒状の排水口部材を備え、
前記排水口部材は、鉛直方向に対し斜めになった状態で設置されており、
前記栓蓋は、鉛直方向に対し斜めの方向に往復移動可能であり、
前記排水流入口を開状態としたときに、前記栓蓋の外縁部の周囲には、排水が通過可能な排水流路が形成され、
少なくとも前記排水流入口が開状態であるときに前記栓蓋の外縁部上部に近接配置され、前記排水流路のうち前記栓蓋の外縁部上部に対応する流路の通水面積を前記排水流路のうち前記栓蓋の外縁部下部に対応する流路の通水面積よりも小さなものとするように構成された排水能力変動防止部を有することを特徴とする排水栓装置。
【0033】
上記手段5によれば、上記手段2と同様の作用効果が奏される。
【0034】
また、栓蓋が鉛直方向に対し斜めの方向に往復移動する場合において、排水流入口を開状態として栓蓋の外縁部周囲を通って排水が流れる構成では、浴槽の水面が栓蓋よりも高い位置にあるときには、栓蓋の外縁部周囲の全周を通って排水が流れる状態となるため、水面の低下(水圧の減少)に従って排水能力はほぼ一定の割合で減少していく。しかし、浴槽の水面がさらに下がっていき、水面が栓蓋の外縁部周囲に位置する排水流路のうち栓蓋の外縁部上部に対応する流路よりも低い段階になると、排水は、前記排水流路のうち水面よりも高い位置にある流路を通ることなく、水面よりも低い位置にある流路のみを通ることになる。従って、前記段階をいわば変曲点として、排水能力は、上記のような減少態様とは異なる態様で急激に減少していき、排水完了直前の段階の水位では、相当低いものとなる。
【0035】
0038
そこで、このように排水能力が変動する場合において、排水流入口の通水面積をより増大させること等により、排水完了直前であっても十分な排水能力を得ることができるように設定すると、浴槽の水面が栓蓋よりも上にあるときにおける排水能力が過度に高くなってしまい、排水時に、異音の発生や洗い場側への水の溢れ出しなどの不具合が生じてしまうおそれがある。
【0036】
この点、上記手段によれば、少なくとも排水流入口が開状態であるときに栓蓋の外縁部上部に近接配置される排水能力変動防止部が設けられており、この排水能力変動防止部によって、排水流路のうち栓蓋の外縁部上部に対応する流路の通水面積を、排水流路のうち栓蓋の外縁部下部に対応する流路の通水面積よりも小さなものとすることが可能とされている。従って、排水時には、主として排水流路のうち栓蓋の外縁部下部に対応する流路を通るようにして排水がなされるようにすることができる。これにより、排水初期から排水完了直前にかけて、浴槽の水面高さと栓蓋との位置関係の変化に伴い排水能力が極端に変化することをより確実に防止できる。また、排水完了直前であっても十分な排水能力を得ることができるように設定したときにおいて、浴槽の水面が栓蓋よりも上にあるときに排水能力が過度に高くなることを防止でき、ひいては排水能力が過度に高いことに伴う上述した不具合の発生をより確実に防ぐことができる。
【0037】
手段槽体の底側に設けられ、排水時に前記槽体の水が流入する排水流入口と、
前記槽体に対し相対移動可能に構成された、前記排水流入口を開閉するための栓蓋とを備えた排水栓装置であって、
前記排水流入口は、これを正面から見たときに、縦方向よりも横方向が長い横長形状をなしており、
前記栓蓋は、前記排水流入口の形状に対応する横長形状とされており、
前記槽体は、浴槽であるとともに、その底面部からその側面部にかけての部位に貫通形成された取付孔を有し、
内側の開口によって前記排水流入口を形成するとともに、前記取付孔に挿通された状態で設置される筒状の排水口部材を備え、
前記排水口部材は、鉛直方向に対し斜めになった状態で設置されており、
前記浴槽には、洗い場が隣接設置されており、
前記排水流入口から前記排水口部材内に流入した排水は、当該排水口部材における前記排水流入口とは反対側に位置する下部開口から斜め下方に向けて前記洗い場側へと放出されるように構成されており、
前記下部開口と相対向し、当該下部開口から放出される排水が当たる位置に設置され、当該下部開口から放出される排水の前記洗い場側への飛散を防止するための飛散防止カバー部を備えることを特徴とする排水栓装置。
【0038】
上記手段6によれば、上記手段2と同様の作用効果が奏される。
【0039】
また、上記手段によれば、飛散防止カバー部によって、排水口部材を通って斜め下向きに放出された排水が洗い場側へと飛散してしまうことを防止できる。これにより、洗い場側へと排水が飛散することによる、衛生性や美観の低下をより確実に防止することができる。
【0040】
手段.前記飛散防止カバー部は、半筒状をなしており、前記下部開口から放出された排水が自身の内側面を伝わって自身の両端部から流出可能に構成されていることを特徴とする手段に記載の排水栓装置。
【0041】
上記手段においては、排水口部材の下部開口から放出された排水が、直接的に排水トラップなどの排水用装置へと流れ込むように構成することが考えられるが、このように構成した場合は、排水用装置に対し一度に多量の排水が流れ込むこととなって、排水に支障が生じたり、異音の発生を招いたりするおそれがある。
【0042】
この点、上記手段によれば、飛散防止カバー部は半筒状をなしており、排水口部材の下部開口から放出された排水は、当該飛散防止カバー部の内側面を伝わってその両端部から流出する(流れ落ちる)ように構成されている。従って、前記下部開口から放出された排水が排水トラップ等の排水用装置側へと直接的にかつ多量に流れ込んでしまうことを効果的に抑制でき、円滑な排水や異音の発生防止を図ることができる。
【0043】
尚、飛散防止カバー部における排水が流出する箇所に対応して、防水パンなどを設置することが好ましい。
【0044】
手段槽体の底側に設けられ、排水時に前記槽体の水が流入する排水流入口と、
前記槽体に対し相対移動可能に構成された、前記排水流入口を開閉するための栓蓋とを備えた排水栓装置であって、
前記排水流入口は、これを正面から見たときに、縦方向よりも横方向が長い横長形状をなしており、
前記栓蓋は、前記排水流入口の形状に対応する横長形状とされており、
前記槽体は、浴槽であるとともに、その底面部からその側面部にかけての部位に貫通形成された取付孔を有し、
内側の開口によって前記排水流入口を形成するとともに、前記取付孔に挿通された状態で設置される筒状の排水口部材を備え、
前記排水口部材は、鉛直方向に対し斜めになった状態で設置されており、
記排水口部材は、その内部空間を間に置く部位の各外側面に設けられるとともに、前記横方向に沿って延び、かつ、少なくとも一端部に開放端の形成された部品取付用溝部、及び、外側に突出形成された挟持用突部を有するものであり、
前記部品取付用溝部に配置可能な一対のストレート部、及び、一対の前記ストレート部の一端部同士を連結する連結部を有する固定用部品と、
前記挟持用突部及び前記槽体の間に介在設置されるシール部材とを備え、
前記挟持用突部及び前記槽体間に前記シール部材を配置しつつ、前記部品取付用溝部の前記開放端に前記ストレート部の他端部を配置した上で、前記部品取付用溝部の延びる方向に沿って前記排水口部材に対し前記固定用部品をスライド移動させ、前記挟持用突部及び前記ストレート部により前記槽体及び前記シール部材を挟み込んだ状態とすることにより、前記排水口部材を設置可能に構成されていることを特徴とする排水栓装置。
【0045】
上記手段8によれば、上記手段2と同様の作用効果が奏される。
【0046】
また、上記手段によれば、排水口部材に対し固定用部品をスライド移動させて、当該排水口部材の部品取付用溝部に対し当該固定用部品のストレート部を配置することにより、挟持用突部及びストレート部により槽体及びシール部材を挟み込んだ状態で排水口部材を設置することができる。従って、排水口部材の設置を、特段の工具などを用いることなく非常に容易に行うことができ、装置の設置やメンテナンス等に係る作業性を一層高めることができる。
【0047】
尚、上記手段は、排水口部材が非円筒状であり、相対向する2つの側面部分が平板状となる場合に特に有効である。排水口部材が円筒状である場合には、排水口部材の外周にナット部材や配管を螺合するといった手法により排水口部材を設置することができるが、排水口部材を上記のような非円筒状とした場合、このような手法による排水口部材の設置は難しい。これに対し、上記手段によれば、排水口部材が上記のような非円筒状であっても、排水口部材を極めて容易に設置することができる。
【0048】
手段.前記ストレート部は、一端部から他端部にかけて徐々に形状が変化して全体として楔形状をなしており、
前記部品取付用溝部のうち少なくとも前記ストレート部が配置される部位は、前記開放端から他端部側に向けて徐々に幅が狭くなることを特徴とする手段に記載の排水栓装置。
【0049】
尚、「全体として楔形状」とあるのは、ストレート部がその一端部からその他端部にかけて徐々に薄くなる場合のみならず、ストレート部の厚さ自体は一定であるものの、一端部から他端部にかけて徐々に厚さ方向の大きさが小さくなる凹凸や波打ちをストレート部に形成することにより、ストレート部がその一端部からその他端部にかけての実質的に徐々に薄くなる場合も含むという趣旨である。つまり、ストレート部は、楔としての機能を果し得る形状であればよい。
【0050】
上記手段によれば、部品取付用溝部にストレート部を配置することで、ストレート部が楔として機能し、シール部材を挟持用突部及び固定用部品によってより大きな圧力で挟持することができる。これにより、槽体及び排水口部材間からの水の漏れ出しをより確実に防止することができ、非常に優れたシール性(水密性)を得ることができる。
【0051】
手段10.前記固定用部品は、厚さが一定の金属製プレートからなり、
前記ストレート部は、一端部から他端部に向けて凸凹を交互に具備する形状、又は、一端部から他端部に向けて波打った形状をなすことを特徴とする手段に記載の排水栓装置。
【0052】
上記手段10によれば、ストレート部に凹凸や波打ちを設けることで、一定の厚さの金属製プレートを利用しつつ、ストレート部を全体として楔形状とした固定用部品を得ることができる。従って、固定用部品の製造に係るコストの増大を抑制することができる。
【0053】
また、固定用部品を設置したときに、ストレート部には、凹凸部分や波打ちが潰れるように変形することで反発力が生まれることとなり、シール部材を一層大きな圧力で挟持することができる。これにより、より良好なシール性(水密性)を得ることができる。さらに、前記反発力によって、固定用部品の取付後に、部品取付用溝部に配置されたストレート部の移動がより生じにくくなる。その結果、装置をより安定した状態で設置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】浴槽の貯水空間側から見たときにおける排水栓装置の斜視図である。
図2】栓蓋を正面から見たときにおける排水栓装置を示す図である。
図3】浴槽や洗い場などを示す概略斜視図である。
図4図2のJ-J線断面図である。
図5図2のK-K線断面図である。
図6】浴槽の外側から見たときにおける飛散防止カバー部などを示す図である。
図7】浴槽の外側から見たときにおいて、固定用部品を取外した状態における飛散防止カバー部などを示す図である。
図8】排水流入口を開状態としたときにおいて、支持軸機構を通る位置で切断したときの排水栓装置の断面図である。
図9】排水流入口を開状態としたときにおいて、補助機構を通る位置で切断したときの排水栓装置の断面図である。
図10】固定用部品の斜視図である。
図11】固定用部品の側面図である。
図12】栓蓋を取外した状態において、浴槽の貯水空間側から見たときにおける排水栓装置の斜視図である。
図13】浴槽の外側から見たときにおいて、飛散防止カバー部を取外した状態における排水口部材などを示す図である。
図14】支持軸機構等を示す拡大断面図である。
図15】補助機構等を示す拡大断面図である。
図16】栓蓋の斜視図である。
図17】浴槽の外側から見たときにおいて、飛散防止カバー部を取外した状態における排水口部材などを示す斜視図である。
図18】浴槽の外側から見たときにおいて、排水口部材への取付時における飛散防止カバー部などを示す斜視図である。
図19】浴槽の外側から見たときにおける飛散防止カバー部などを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。排水栓装置1は、槽体としての浴槽100からの排水の可否を切換えるための装置であり、図1及び図2に示すように、浴槽100における底面部101から側面部102にかけた部位に設けられている。尚、底面部101は、浴槽100の底面を構成する部位であり、その上面がほぼ水平面状をなすように構成されている。また、側面部102は、底面部101の周縁に立設された部位であり、本実施形態では、底面部101に連続する部位が湾曲面状をなすように構成されている。排水栓装置1の説明に先立って、まず、浴槽100及びその周囲の構成についてより詳しく説明する。
【0056】
浴槽100は、底面部101から側面部102にかけての部位に貫通形成された取付孔103を備えており、当該取付孔103に対応して排水栓装置1が設置されている(図4等参照)。取付孔103は、正面から見たとき(底面部101の中心側から見たとき)、横方向が縦方向(横方向と直交する方向)よりも長い横長形状とされている。本実施形態において、正面から見たときにおける取付孔103の形状は、横方向に延びる平行な2本の長辺部と、これら二本の長辺部の端部同士を結ぶ2本の湾曲状の短辺部とからなる長円と同一の形状とされている。尚、本実施形態において、横方向とは、側面部102の幅方向(すなわち平面視したときにおける側面部102の延びる方向)をいう。
【0057】
さらに、本実施形態における浴槽100は、例えば介護施設などで利用されるものであり、図3に示すように、ほぼ平坦面状をなす設置面111上に設置されている。設置面111は、浴室床面から若干だけ窪んだ部分の底面により構成されており、当該窪み部分は防水パンとしても機能するようになっている。また、設置面111には、2本のガイド用レール111aが平行に設けられており、各ガイド用レール111a上に、浴槽100の底面部101の背面側に設けられたガイド車輪(図示せず)が設置されている。そして、浴槽100は、後述する洗い場115側から見て左右方向(ガイド用レール111aの延びる方向であり、図3にて白抜き矢印で示す方向)にスライド移動可能となっている。
【0058】
また、設置面111に隣接するようにして、浴槽100の移動方向に延びる排水溝112が設けられている。排水溝112は、排水栓装置1の配設箇所に対応する位置に設けられており、排水栓装置1を経て浴槽100から排出された水が流れ込むようになっている。さらに、排水溝112の長手方向中心部に対応するようにして図示しない排水トラップが設置されており、防水パン112に流れ込んだ排水は、当該排水トラップを通って下流へと流れていくようになっている。尚、排水溝112における上部開口を塞ぐようにして、通水可能な排水溝用カバー113が設けられており、前記排水トラップを覆うようにして、トラップ用カバー114が設けられている。
【0059】
加えて、浴槽100には、洗い場115が隣接設置されている。本実施形態において、洗い場115(の上面)は設置面111よりも若干(例えば20mm以下)だけ高い状態とされており、従来のような洗い場115(の上面)が設置面111よりも相当高い(例えば、洗い場115と設置面111との高さの差が30mm以上)という構成ではないものとなっている。つまり、従来のような洗い場115に対し設置面111が比較的大きく落ち込んだ構成ではなく、設置面111が洗い場115(の上面)とほぼ同じ高さとされている。
【0060】
次いで、排水栓装置1について説明する。図4及び図5に示すように、排水栓装置1は、排水口部材2、固定用部品3、アタッチメント部材4、支持軸機構5(図4参照)、補助機構6(図5参照)、栓蓋7及び飛散防止カバー部8を備えている。尚、図4は、図2のJ-J線断面図であり、図5は、図2のK-K線断面図である。
【0061】
排水口部材2は、取付孔103に挿通された状態で設置される筒状部品である。排水口部材2における内部空間は、浴槽100から排出される水の流路を構成しており、排水口部材2における内側の開口によって、排水時に浴槽100の水が流入する排水流入口21が形成されている。
【0062】
排水流入口21は、側面部102側に位置しており(本実施形態では、側面部102にかかるようにして設けられており)、正面から見たとき(底面部101の中心側から見たとき)、横方向が縦方向よりも長い横長形状(本実施形態では、長円形状)とされている。すなわち、排水流入口21は、側面部102側に配置され、当該側面部102の幅方向に沿って延びる横長形状とされている。
【0063】
また、排水口部材2は、鉛直方向に対し斜めになった状態で設置されている。より詳しくは、排水口部材2は、自身の中心軸CL1(本実施形態では、後述する本体筒部22の中心軸と等しい)を含む鉛直断面において、当該中心軸CL1が鉛直方向に対し斜めになった状態で設置されている。排水口部材2が斜めになった状態で設置されることにより、排水流入口21から排水口部材2内に流入した排水は、当該排水口部材2における排水流入口21とは反対側に位置する下部開口から斜め下方に向けて洗い場115側へと放出されるようになっている。
【0064】
さらに、本実施形態において、排水口部材2は、水平面に対する傾斜角度αが45°以下となる状態で設置されている。すなわち、排水口部材2は、中心軸CL1を含む鉛直断面において、当該中心軸CL1及び水平面HSのなす角のうち鋭角の角度(傾斜角度α)が45°以下となる状態で設置されている。尚、浴槽100に対する排水口部材2の下側への突出を抑えるという点では、傾斜角度αが小さいほど好ましい。従って、傾斜角度αを40°以下とすることがより好ましく、傾斜角度αを30°以下とすることがより一層好ましい。一方、傾斜角度αを過度に小さくすると、排水口部材2を通った排水に支障が生じるおそれがある。従って、傾斜角度αを10°以上とすることが好ましく、20°以上とすることがより好ましい。
【0065】
また、排水口部材2は、本体筒部22及び挟持用突部23を備えている。本体筒部22は、取付孔103の形状に対応する横長の長円筒状をなしている。つまり、本体筒部22は、横方向に延び相対向する平行な2つの平板状部分と、当該平板状部分の端部同士に連なる2つの湾曲板状部分とを備えた形状となっている。
【0066】
さらに、本体筒部22における前記平板状部分の外側面のそれぞれ、つまり、排水口部材2におけるその内部空間を間に置く平板状部位の外側面のそれぞれには、横方向に延びる部品取付用溝部22a及びカバー取付用溝部22bが平行に設けられている。部品取付用溝部22aは、固定用部品3の被取付部として機能し、カバー取付用溝部22bは、飛散防止カバー部8の被取付部として機能する。部品取付用溝部22a及びカバー取付用溝部22bは、少なくとも一端部に開放端が形成されるものであり、本実施形態では、両端部に開放端が形成されている。
【0067】
また、部品取付用溝部22aのうち少なくとも固定用部品3の後述するストレート部31の配置される部位は、その一端側の開放端から他端部に向けて徐々に幅が狭くなる形状とされている(図6,7参照。尚、図7では、固定用部品3を取外した状態を示している)。本実施形態では、部品取付用溝部22aの全域が、その一端側の開放端から他端部に向けて徐々に幅の狭くなる形状とされている。一方、カバー取付用溝部22bは、一端部から他端部に向けて一定の幅を有するものとされている。
【0068】
さらに、本体筒部22における挟持用突部23とは反対側の端部内周には、内側に向けて突出するアタッチメント被取付部22cが設けられている(図4参照)。アタッチメント被取付部22cは、排水口部材2に対しアタッチメント部材4を取付けるために利用される。
【0069】
挟持用突部23は、本体筒部22の端部から外側に突出形成された部位であり、主として浴槽100に対する排水口部材2の取付に利用される。また、挟持用突部23のうち特に栓蓋7の上方に配置される部位は、上方及び底面部101の中心側に向けて大きく突出した形状となっており、この大きく突出した形状の部位によって栓蓋保護部23a及び排水能力変動防止部23bが構成されている。
【0070】
栓蓋保護部23aは、踏み付け等により、栓蓋7に対し上方から比較的大きな力が加わることを防止するためのものである。栓蓋保護部23aは、横方向に延びる扁平板状をなしており、栓蓋7の横方向長さとほぼ同一の横方向長さを有している(図1,2参照)。そして、栓蓋保護部23aは、平面視したときに、栓蓋7の外縁部のうち少なくとも上方を向く部位を“常に”覆うようにして設置されている。尚、“常に”とは、後述するように排水流入口21の開閉状態を切換える際に栓蓋7は鉛直方向に対し斜めの方向に往復移動するところ、往復移動に伴い栓蓋7の配置位置が変化した場合であっても、平面視したときに、栓蓋保護部23aによって栓蓋7の外縁部のうち少なくとも上方を向く部位が覆われるように構成されていることを意味する。
【0071】
また、栓蓋保護部23aの表面(浴槽100の貯水空間側に位置する面)は、滑面状をなすとともに、側面部102の表面(浴槽100の貯水空間側に位置する面)に対し滑らかに連続し、水平面に対しほぼ垂直となる形状とされている。尚、本実施形態では、側面部102の表面から栓蓋保護部23aの表面にかけて若干(例えば栓蓋保護部23aの表面の大部分を占める平坦面を基準とした深さが数mm程度)の段差が存在しているが、浴槽100の大きさを考慮すれば、栓蓋保護部23aの表面は、側面部102の表面に対し十分に滑らかに連続しているといえる。
【0072】
また、「水平面に対しほぼ垂直」とは、栓蓋保護部23aの表面を通常踏み付けることができないようにすることを目的とした構成である。従って、「水平面に対しほぼ垂直」とあるのは、水平面に対し厳密に垂直となっている場合のみならず、鉛直面に対しやや傾いた垂直に近い場合(例えば、水平面と栓蓋保護部23aの表面とのなす角のうち鋭角の角度が60°以上となっている場合)も含む。
【0073】
排水能力変動防止部23bは、横方向に延びており、栓蓋7における上縁部の横方向長さとほぼ同一の長さを有している(図1,2参照)。排水能力変動防止部23bは、排水流入口21が開状態であるときに、栓蓋7の外縁部上部に近接配置される。排水能力変動防止部23bを設けることによって、次述する排水流路DPのうち栓蓋7の外縁部上部に対応する流路DP1の通水面積が、排水流路DPのうち栓蓋7の外縁部下部に対応する流路DP2の通水面積よりも小さなものとされている(図8,9参照)。排水流路DPは、排水流入口21を開状態としたときに、栓蓋7の外縁部の周囲に形成される通水路である。
【0074】
次に、固定用部品3について説明する。固定用部品3は、排水口部材2を浴槽100に取付けるための部品である。固定用部品3は、厚さが一定の金属製プレート(例えばステンレス製プレート等)により形成されており、各部がほぼ同一の厚さを有するものとされている。さらに、固定用部品3は、図10に示すように、前記部品取付用溝部22aに配置可能な一対のストレート部31及び各ストレート部31の一端部同士を連結する連結部32を備えている。
【0075】
一対のストレート部31は、平行に設けられており、それぞれ一端部から他端部に向けて凹凸を交互に具備するとともに、凹凸の高さや深さが徐々に減少する形状とされている。これにより、各ストレート部31は、図11に示すように、一端部から他端部にかけて徐々に形状が変化して全体として楔形状をなすものとされている。
【0076】
また、ストレート部31の厚さは、部品取付用溝部22aの幅よりも小さなものであるが、ストレート部31の厚さ方向に沿った、ストレート部31における凸部の表面と当該凸部に隣接する凹部の裏面との間の距離は、これら凸部や凹部が配置される部品取付用溝部22aの幅よりも若干大きくなるように設定されている。従って、部品取付用溝部22aにストレート部31を配置したときに、凹凸部分が潰れるようにしてストレート部31が撓み変形し、その結果、ストレート部31にはその厚さ方向に沿った反発力が生じるようになっている。
【0077】
連結部32は、各ストレート部31同士を連結し、各ストレート部31間の距離を一定に保つためのものである。本実施形態において、連結部32は、強度向上を図るための折曲部32aを有している。
【0078】
上記のように構成された固定用部品3により、排水口部材2は次のようにして浴槽100に設置される。すなわち、排水口部材2の本体筒部22を取付孔103に挿通しつつ、当該排水口部材2の挟持用突部23と浴槽100の表面との間に、例えばブチルシール等、圧縮変形可能な材料からなる環状のシール部材9(図4,5等参照。尚、図4,5等では、非圧縮変形状態のシール部材9を示している)を配置した状態とする。そして、シール部材9を圧縮変形させるようにして排水口部材2を押込み、部品取付用溝部22aが取付孔103を通過した状態とする(つまり、部品取付用溝部22aが浴槽100外に出た状態とする)。その上で、部品取付用溝部22aの一端部(開放端)にストレート部31の他端部(先端部)を配置した上で、部品取付用溝部22aの延びる方向に沿って排水口部材2に対し固定用部品3をスライド移動させ、挟持用突部23及びストレート部31により浴槽100及びシール部材9を挟み込んだ状態とする。これにより、挟持用突部23及び浴槽100の間にシール部材9が圧縮状態で介在設置されつつ、排水口部材2が浴槽100に設置される。
【0079】
尚、排水口部材2を設置した状態において、ストレート部31は、部品取付用溝部22aに配置され、挟持用突部23との間で浴槽100及びシール部材9を挟み込んだ状態とされる。このとき、凹凸部分の潰れ変形により、ストレート部31にはその厚さ方向に沿った反発力が生じるため、この反発力を利用して、シール部材9を挟持用突部23や浴槽100へとより確実に圧接させることが可能となっている。
【0080】
次に、アタッチメント部材4について説明する。アタッチメント部材4は、支持軸機構5や補助機構6を保持するための部品であり、浴槽100に対し相対変位不能な状態で排水口部材2に取付けられている。アタッチメント部材4は、図12図12は、図1において栓蓋7を省略した場合の図である)に示すように、栓蓋7を正面(底面部101の中心側)から見たときに栓蓋7の裏側に位置するものであり、図12及び図13に示すように、外縁部41、連結支持部42、支持軸機構保持部43及び補助機構保持部44を備えている。尚、図13は、飛散防止カバー部8を取外した状態で、アタッチメント部材4等を浴槽100の外側から見たときの図である。
【0081】
外縁部41は、排水口部材2(本体筒部22)の内周形状に対応する長円筒状をなしている。外縁部41が排水口部材2の前記アタッチメント被取付部22cに載置された状態となること等により、アタッチメント部材4は、排水口部材2の内周に取付けられた状態となっている。
【0082】
連結支持部42は、アタッチメント部材4(特に外縁部41)の強度確保を図りつつ、支持軸機構保持部43及び補助機構保持部44をアタッチメント部材4の内側にて保持するためのものである。連結支持部42は、全体として格子状をなしており、外縁部41の内側面に連結されている。
【0083】
支持軸機構保持部43は、円筒状をなしており、支持軸機構5を保持するためのものである。支持軸機構保持部43は、外縁部41の中心に位置しており、その外周面に対し連結支持部42が連結された状態となっている。
【0084】
補助機構保持部44は、円筒状をなしており、補助機構6を保持するためのものである。補助機構保持部44は、その外周面に対し連結支持部42が連結された状態となっている。また、本実施形態において、補助機構保持部44は、2つ配設されており、支持軸機構保持部43を間に置く位置に対称に設けられている。
【0085】
また、本実施形態において、補助機構保持部44及びこれに連結される連結支持部42は、後述する支持軸52に対する栓蓋7の相対回転及び傾きを規制するためにも利用される。本実施形態では、補助機構保持部44及び連結支持部42が「支持部」に相当する。尚、「支持軸52に対する栓蓋7の相対回転」とあるのは、より詳しくは、支持軸52の先端部を回転中心として栓蓋7が支持軸52に対し相対回転することをいう。また、「支持軸52に対する栓蓋7の傾き」とあるのは、より詳しくは、支持軸52の先端部をいわば支点として栓蓋7が支持軸52に対し傾くことをいう。
【0086】
次に、支持軸機構5について説明する。支持軸機構5は、栓蓋7を往復移動させて排水流入口21の開閉状態を切換えるための機構である。支持軸機構5は、図14に示すように、外筒部51、支持軸52、閉塞ガイド部53及び支持軸引込部54を備えている。
【0087】
外筒部51は、円筒状をなしており、前記支持軸機構保持部43の内周においてこれにより保持されている。その結果、支持軸機構5は、支持軸機構保持部43に取付けられて、排水流入口21における横方向及び縦方向の各中心に設置された状態となっている(図12参照)。
【0088】
支持軸52は、その後端面(下端面)中心に軸方向に延びる穴部52aを備えた円筒状をなしており、外筒部51の内周において往復移動可能な状態で配置されている。本実施形態において、支持軸52は、排水口部材2の設置状態に対応するようにして、鉛直方向に対し斜め方向に往復移動可能となっている。また、支持軸52の上端部(先端部)は、外筒部51の一端側開口から当該外筒部51の外に出ており、栓蓋7の背面中央部分に設けられた後述する軸被取付部71aに嵌合されている。これにより、支持軸52の上端部に栓蓋7が取付けられ、支持軸52によって栓蓋7が支持された状態となっている。
【0089】
さらに、支持軸52の内部には、支持軸52の往復移動方向に沿って弾性変形可能なアブソーバスプリング52bが設けられている。当該アブソーバスプリング52bによって、支持軸52の往復移動方向に沿った負荷が栓蓋7に加わったときに、その負荷を吸収して、支持軸52やアタッチメント部材4における破損や変形を防止可能となっている。
【0090】
閉塞ガイド部53は、前記穴部52aに挿通されて支持軸52の移動をガイドする小径円筒状のガイド筒部53aと、外筒部51の他端側開口を閉塞するための閉塞部53bとを備えている。また、閉塞部53bには、筒状のチューブ部材10が接続されている。
【0091】
尚、チューブ部材10内には、所定の伝達部材11(例えば、ワイヤ等)が配置されており、当該伝達部材11は、チューブ部材10内にて往復移動可能とされている。また、伝達部材11は、図示しない所定の操作部(例えば、往復移動可能な操作ボタンや回動可能な操作ハンドルなど)を変位させることで、往復移動するようになっている。さらに、伝達部材11の一端部は、前記ガイド筒部53aを通って支持軸52(前記穴部52aの底にあたる部位)と接触可能とされており、伝達部材11の移動に伴い支持軸52が移動するようになっている。
【0092】
支持軸引込部54は、例えばばね部材により構成されており、外筒部51の内周面及び支持軸52の外周面間において、支持軸52の往復移動方向に沿って外筒部51及び支持軸52により挟み込まれた状態で設けられている。支持軸引込部54は、圧縮変形状態で設けられており、支持軸52に対しその復動方向(斜め下方向)に沿った力を付与するようになっている。つまり、支持軸引込部54は、支持軸52やこれに取付けられた栓蓋7を支持軸52の復動方向(斜め下方向)に引き込むという機能を有している。
【0093】
次に、補助機構6について説明する。補助機構6は、排水流入口21を閉状態としたときに、栓蓋7(特に後述するパッキン部72)を排水口部材2へとより確実に圧接させて、水密性の向上を図るためのものである。補助機構6は、一対設けられており、各補助機構保持部44に取付けられることで、排水流入口21における横方向に沿った両端側の位置に設置された状態となっている(図12参照)。各補助機構6は、図15に示すように、補助軸部61、蓋部62及び補助引込部63を備えている。
【0094】
補助軸部61は、円柱状をなしており、補助機構保持部44の内周において、支持軸52の往復移動方向と同一方向に往復移動可能な状態で配置されている。また、補助軸部61の上端部(先端部)は、補助機構保持部44の一端側開口から当該補助機構保持部44の外に出ており、栓蓋7の背面両側部分(両サイド部分)に設けられた後述する補助軸被取付部71bに嵌合されている。これにより、補助軸部61の上端部に栓蓋7が取付けられた状態となっている。さらに、補助軸部61の後端側外周には、鍔状の張出部61aが設けられている。
【0095】
蓋部62は、補助機構保持部44の他端側開口を塞いで、補助機構保持部44からの補助軸部61等の脱落を防止するためのものである。
【0096】
補助引込部63は、例えばばね部材により構成されており、補助機構保持部44の内周面及び補助軸部61の外周面間において、補助軸部61の往復移動方向に沿って補助機構保持部44及び前記張出部61a(補助軸部61)により挟み込まれた状態で設けられている。補助引込部63は、支持軸引込部54と同様に圧縮変形状態で設けられており、補助軸部61に対しその復動方向(斜め下方向)に沿った力を付与するようになっている。これにより、栓蓋7のうち後述する軸被取付部71aの形成箇所とは異なる部位(本実施形態では、補助軸被取付部71bの形成された部位)に対し、支持軸52の復動方向(斜め下方向)に沿った力が付勢され、栓蓋7を支持軸52の復動方向(斜め下方向)に沿ってより強く引き込むことができるようになっている。
【0097】
次いで、栓蓋7について説明する。栓蓋7は、排水流入口21を開閉するための栓であり、排水流入口21の形状に対応する横長形状(本実施形態では長円形状)とされている(図1,2参照)。栓蓋7は、支持軸52の往復移動に伴い鉛直方向に対し斜めに往復移動可能とされている。栓蓋7は、図16に示すように、例えば樹脂等からなる扁平状の栓蓋本体部71と、当該栓蓋本体部71の外縁側に取付けられた、弾性変形可能な材料からなるパッキン部72とを有している。
【0098】
栓蓋本体部71は、その背面中心部に、支持軸52を取付けるための円筒状の軸被取付部71a(図4,8参照)を備えており、また、その背面両側部(両サイド部)に、補助軸部61を取付けるための円筒状の補助軸被取付部71b(図5,9参照)を備えている。
【0099】
さらに、栓蓋本体部71における軸被取付部71aの周囲には、先端部に複数(本実施形態では4本)の脚部分を備えた円筒状のガイド部71cが突出形成されている。当該ガイド部71cは、支持軸機構保持部43の外周に配置されるとともに、その脚部分の間に連結支持部42が位置するようになっている(図17参照)。ガイド部71cは、支持軸52の往復移動に伴い栓蓋7が往復移動するときに、当該栓蓋7の移動をガイドする役割を有している。
【0100】
加えて、栓蓋本体部71における軸被取付部71aとは異なる位置(本実施形態では、栓蓋本体部71における補助軸被取付部71bの周囲)には、先端部に複数(本実施形態では4本)の脚部分を備えた円筒状の被支持部71dが突出形成されている。当該被支持部71dは、補助機構保持部44の外周に配置されるともに、その脚部分の間に連結支持部42が位置するようになっている(図17参照)。被支持部71dが補助機構保持部44や連結支持部42(つまり「支持部」に相当する部位)と接触することで、支持軸52に対する栓蓋7の相対回転及び傾きを規制可能となっている。
【0101】
本実施形態では、前記操作部に対する操作に伴い支持軸52が往動(斜め上方に移動)することで、栓蓋7が往動し、その結果、パッキン部72が排水口部材2の内周面から離間した状態となることにより、排水流入口21が開状態とされる(図8,9参照)。一方、この状態で、前記操作部に対する操作に伴い、支持軸引込部54により支持軸52が復動(斜め下方に移動)することで、栓蓋7が復動し、その結果、パッキン部72の外周部分全域が排水口部材2の内周面と接触することにより、排水流入口21が閉状態とされる(図4,5参照)。尚、排水流入口21を閉状態とした場合において、栓蓋7のうち軸被取付部71aの形成箇所とは異なる部位(本実施形態では、補助軸被取付部71bの形成された部位)には、補助引込部63によって支持軸52の復動方向(斜め下方向)に沿った力が付勢されるため、栓蓋7(特にパッキン部72)を排水口部材2に対しより確実に圧接させることが可能である。
【0102】
次に、飛散防止カバー部8について説明する。飛散防止カバー部8は、排水口部材2における排水流入口21とは反対側の下部開口から放出される排水が、洗い場115側へと飛散することを防止するためのものである。飛散防止カバー部8は、図18及び図19に示すように、カバー本体部81、取付用突条部82及び補強部83を備えている。
【0103】
カバー本体部81は、両端部が開口した半円筒状をなしており、排水口部材2における排水流入口21とは反対側の下部開口と相対向し、当該下部開口から放出される排水が当たる位置に設置されている。これにより、排水口部材2からカバー本体部81側に放出された排水は、カバー本体部81(飛散防止カバー部8)の内側面を伝わって、当該カバー本体部81(飛散防止カバー部8)の両端部から流出するようになっている。
【0104】
また、カバー本体部81における長手方向中央部には、外側に突出形成された凸部81aが設けられている。カバー本体部81における凸部81aが形成された箇所の内面は窪んでおり(図4等参照)、この窪みに対し支持軸機構5側から延びるチューブ部材10を配置可能となっている。当該窪みにチューブ部材10を配置することで、チューブ部材10を比較的緩やかな角度で曲げることができ、ひいてはチューブ部材10内において伝達部材11を円滑に往復移動させること等が可能となっている。
【0105】
取付用突条部82は、排水口部材2に対する飛散防止カバー部8の取付に利用される部位である。取付用突条部82は、カバー本体部81の長手方向に沿って延びる突条をなしており、カバー本体部81におけるその周方向に沿った端縁の内周面に対し相対向した状態で一対設けられている。本実施形態では、カバー取付用溝部22bの開放端(他端部)に取付用突条部82の端部を配置した上で、カバー取付用溝部22bの延びる方向に沿って排水口部材2に対し飛散防止カバー部8をスライド移動させ、カバー取付用溝部22bに取付用突条部82を配置することにより、排水口部材2に対し飛散防止カバー部8が取付けられた状態となっている。
【0106】
補強部83は、カバー本体部81におけるその周方向に沿った端縁部同士を連結し、一対の取付用突条部82同士の間隔を一定に保つためのものである。尚、補強部83は、排水口部材2に対する飛散防止カバー部8の取付時や取外時には、持ち手としても機能する。
【0107】
以上詳述したように、本実施形態によれば、排水流入口21は、これを正面から見たときに縦方向よりも横方向が長い横長形状をなしており、また、栓蓋7も同様に横長形状とされている。従って、排水流入口21の通水面積を大きなものとして排水能力の増大を図りつつ、排水流入口21や栓蓋7を円形状とした場合と比較して、排水流入口21や栓蓋7をスリムな見た目とすることができ、栓蓋7等が目立つ存在とはなりにくい状態とすることができる。また、排水流入口21を横長形状とすることによって、排水流入口21を円形状とした場合と比較して、排水流入口21の通水面積を増大させつつ、排水流入口21に対する“もの”(容器や固形石鹸など)の落下が生じにくくなる。これらの結果、排水流入口21における通水面積を増大させて排水能力の向上を図りつつ、美観や利便性の低下をより確実に抑えることができる。
【0108】
また、排水流入口21を開状態としたときには、栓蓋7における外縁部側に形成される隙間(排水流路DP)を通って水が排出されるため、栓蓋7の外縁部の長さが大きいほど、排水能力の点で有利となり得る。従って、この点においても、上記実施形態のように、栓蓋7を横長形状とすることが有効である。尚、美観や排水能力の点を考慮すると、排水流入口21や栓蓋7における縦方向長さを1としたとき、排水流入口21や栓蓋7における横方向長さを2以上とすることが好ましく、3以上とすることがより好ましい。一方、栓蓋7の強度が不足して栓蓋7の変形や破損が生じやすくなること等が懸念されるため、排水流入口21や栓蓋7における横方向長さを縦方向長さに対して極端に大きなものとしないことが好ましい。
【0109】
さらに、排水流入口21は、側面部102側に配置されるとともに、側面部102の幅方向に沿って延びる横長形状とされている。従って、排水流入口21及び栓蓋7を側面部102側に寄せつつ、これらが底面部101中心側へと張り出すようにして存在することをより確実に防止できる。これにより、使用者にとって栓蓋7が邪魔になりにくい状態とすることができ、例えば、浴槽100に“もの”を置く場合などに都合がよくなる。また、より優れた美観を得ることも可能となる。さらに、仮に栓蓋保護部23aが存在しない場合であっても、栓蓋7の踏み付けをより確実に防止することができ、踏み付けによる栓蓋7などの破損や変形を防ぐことができる。また、栓蓋7の踏み付けに伴い使用者が不快感を覚えることもより確実に防止可能となる。
【0110】
加えて、栓蓋7は被支持部71dを備えており、浴槽100に対し相対変位不能な補助機構保持部44や連結支持部42(「支持部」に相当する)に対し当該被支持部71dが接触することで、支持軸52に対する栓蓋7の相対回転及び傾きを規制することが可能である。従って、栓蓋7を横長形状としたことに伴う不具合(栓蓋7の相対回転や傾きにより、排水流入口21の閉鎖に支障が生じたり、美観の低下を招いたりすること)の発生をより確実に防止することができる。
【0111】
尚、補助機構保持部44及び連結支持部42(「支持部」に相当する)並びに被支持部71dは、栓蓋7により隠れた状態となるため、これらの存在により美観の低下が生じることはない。
【0112】
さらに、本実施形態では、支持軸52に対しその復動方向に沿った力を付与する支持軸引込部54に加えて、栓蓋7のうち軸被取付部71aの形成箇所とは異なる部位に対し前記復動方向に沿った力を付勢する補助引込部63が設けられている。従って、排水流入口21を閉状態としたときに、排水口部材2の全周に対し栓蓋7を十分な圧力をもって接触させることがより確実に可能となり、良好なシール性(水密性)をより確実に得ることができる。
【0113】
また、排水口部材2は、底面部101から側面部102にかけての部位に形成された取付孔103に対し、鉛直方向に対し斜めになった状態で挿通設置されている。従って、浴槽100に対する排水口部材2の下側への突出量を小さなものとすることができる。これにより、排水口部材2の干渉を回避するための浴槽100の設置面111における比較的大きな落とし込みを不要とすることができる。また、介護現場などで使用される浴槽100に適用した場合には、浴槽100へと入りやすい状態を維持しつつ、浴槽100が設置される設置面111を洗い場115と同じ高さ又はほぼ同じ高さとすることができる。そのため、設置面111を洗い場115よりも比較的大きく落とし込んだ構成としたときに利用される床蓋を不要とすることができ、浴槽100を移動させる際の床蓋の取外や設置についても不要とすることができる。その結果、作業負担の低減を図ることができる。
【0114】
加えて、傾斜角度αが45°以下とされているため、排水口部材2をより寝かせた状態で設置することができ、浴槽100に対する排水口部材2の下側への突出量を一層小さなものとすることができる。これにより、使用者等が浴槽100へとより入りやすい状態を実現することなどが可能となり、使用者等にとっての利便性を一層高めることができる。
【0115】
尚、排水口部材2を鉛直方向に対し斜めに設置すると、排水流入口21が斜め上方に向けて開口することになるため、排水流入口21を円形状とすると、浴槽100の水位が低下するに従って排水量が減少してしまい、迅速な排水を図ることができないおそれがある。この点、本実施形態において、排水流入口21は、側面部102の幅方向に沿って延びる横長形状とされているため、浴槽100の水位低下に伴う排水量の減少をより効果的に抑えることができ、迅速な排水を図ることができる。
【0116】
また、栓蓋7は鉛直方向に対し斜めの方向に往復移動する構成であるため、アブソーバスプリング52bを設けたとしても、栓蓋7に対し下方へと大きな力が加わったときに、その力をほとんど緩衝することができないおそれがあるところ、本実施形態では、平面視したときに栓蓋7の外縁部のうちの少なくとも上方を向く部位を覆うようにして、栓蓋保護部23aが設けられている。従って、栓蓋保護部23aによって栓蓋7を保護して、栓蓋7に対し下向きの大きな力が加わることをより確実に防止できる。これにより、栓蓋7等における破損や変形を効果的に防ぐことができる。
【0117】
さらに、栓蓋保護部23aの表面は、側面部102に対し滑らかに連続し、かつ、水平面に対しほぼ垂直となる形状をなしている。そのため、栓蓋保護部23aの存在による美観の低下を防ぐことができるとともに、栓蓋保護部23aの踏み付けをより生じにくくすることができる。これにより、栓蓋保護部23aの破損、変形や栓蓋保護部23aの踏み付けによる使用者のけがなどを効果的に防ぐことができる。
【0118】
また、排水能力変動防止部23bを設けることによって、主として排水流路DPのうち栓蓋7の外縁部下部に対応する流路DP2を通るようにして排水がなされるようにすることができる。これにより、排水初期から排水完了直前にかけて、浴槽100の水面高さと栓蓋7との位置関係の変化に伴い排水能力が極端に変化することをより確実に防止できる。また、排水完了直前であっても十分な排水能力を得ることができるように設定したときにおいて、浴槽100の水面が栓蓋7よりも上にあるときに排水能力が過度に高くなることを防止でき、ひいては排水能力が過度に高いことに伴う不具合(例えば、異音の発生や洗い場115側への水の溢れ出し)をより確実に防ぐことができる。
【0119】
加えて、飛散防止カバー部8によって、排水口部材2を通って斜め下向きに放出された排水が洗い場115側へと飛散してしまうことを防止できる。これにより、洗い場115側へと排水が飛散することによる、衛生性や美観の低下をより確実に防止することができる。
【0120】
さらに、飛散防止カバー部8は半円筒状をなしており、排水口部材2の下部開口から放出された排水は、飛散防止カバー部8の両端部から流出する(流れ落ちる)ようになっている。従って、前記下部開口から放出された排水が前記排水トラップ等の排水用装置側へと直接的にかつ多量に流れ込んでしまうことを効果的に抑制でき、円滑な排水や異音の発生防止を図ることができる。
【0121】
また、本実施形態では、排水口部材2を設置するにあたって、排水口部材2に対し固定用部品3をスライド移動させて、部品取付用溝部22aに対し固定用部品3のストレート部31を配置することにより、挟持用突部23及びストレート部31により浴槽100及びシール部材9を挟み込んだ状態で排水口部材2を設置することができる。従って、排水口部材2の設置を、特段の工具などを用いることなく非常に容易に行うことができ、装置の設置やメンテナンス等に係る作業性を一層高めることができる。
【0122】
さらに、ストレート部31は全体として楔形状をなすため、部品取付用溝部22aにストレート部31を配置することで、ストレート部31が楔として機能し、シール部材9を挟持用突部23及び固定用部品3によってより大きな圧力で挟持することができる。これにより、浴槽100及び排水口部材2間からの水の漏れ出しをより確実に防止することができ、非常に優れたシール性(水密性)を得ることができる。
【0123】
加えて、本実施形態では、ストレート部31に凹凸を設けることで、一定の厚さの金属製プレートを利用しつつ、ストレート部31を全体として楔形状とした固定用部品3を得ることができる。従って、固定用部品3の製造に係るコストの増大を抑制することができる。
【0124】
また、固定用部品3を設置したとき、ストレート部31には、凹凸部分が潰れるように変形することで反発力が生まれることとなり、シール部材9を一層大きな圧力で挟持することができる。これにより、より良好なシール性(水密性)を得ることができる。さらに、前記反発力によって、固定用部品3の取付後に、部品取付用溝部22aに配置されたストレート部31の移動がより生じにくくなる。その結果、装置をより安定した状態で設置することが可能となる。
【0125】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0126】
(a)上記実施形態において、排水流入口21は、排水口部材2の内側開口により形成されているが、例えば排水口部材2を設けない場合には、浴槽100に貫通形成された孔(例えば取付孔103のような孔)の開口により排水流入口を構成してもよい。
【0127】
また、上記実施形態において、排水流入口21は長円形状とされているが、排水流入口21の形状はこれに限定されるものではなく、排水流入口21を、例えば矩形状や楕円形状、多角形状などとしてもよい。勿論、排水流入口21の形状に対応して、栓蓋7の形状を適宜変更してもよい。
【0128】
(b)上記実施形態において、栓蓋保護部23aや排水能力変動防止部23bは、排水口部材2により構成されているが、栓蓋保護部23aや排水能力変動防止部23bを、排水口部材2とは別に設けることとしてもよい。従って、例えば、栓蓋保護部23a等を、排水口部材2とは別の部品によって構成してもよいし、浴槽100の一部によって構成してもよい。
【0129】
(c)上記実施形態では、補助機構保持部44及び連結支持部42が「支持部」に相当しているが、補助機構保持部44又は連結支持部42が、支持軸52に対する栓蓋7の相対回転及び傾きを規制するといった役割を備えるものとしてもよい。すなわち、補助機構保持部44及び連結支持部42のうちの一方が「支持部」に相当するように構成してもよい。勿論、補助機構保持部44や連結支持部42以外の部位によって「支持部」を構成してもよい。
【0130】
また、上記実施形態において、「支持部」に相当する補助機構保持部44及び連結支持部42は、支持軸機構保持部43を間に置くようにして一対設けられているが、「支持部」を1つ又は3つ以上設けることとしてもよい。さらに、「支持部」の配設位置を適宜変更してもよい。
【0131】
(d)上記実施形態において、固定用部品3のストレート部31は、一端部から他端部に向けて凹凸を交互に具備する形状とされているが、一端部から他端部に向けて波打った形状をなすように構成してもよい。
【0132】
また、上記実施形態における固定用部品3は、厚さが一定の金属製プレートから形成されているが、固定用部品3を、樹脂等により形成してもよい。さらに、各部で厚さが異なるように固定用部品3を構成してもよい。例えば、ストレート部31をその一端部からその他端部に向けて徐々に薄くなる楔形状としてもよい。
【0133】
(e)上記実施形態では、パッキン部72が排水口部材2の内周面と接触することで、排水流入口21が閉状態となるように構成されているが、パッキン部72が排水口部材2以外の部位(例えば浴槽100)と接触することで、排水流入口21が閉状態となるように構成してもよい。
【0134】
(f)上記実施形態では、カバー取付用溝部22bに対し取付用突条部82を配置することによって、排水口部材2に対し飛散防止カバー部8が取付けられるように構成されているが、ねじ止めやスナップフィットを利用した係合などのその他の手法によって飛散防止カバー部8を排水口部材2に取付けるように構成してもよい。
【0135】
また、飛散防止カバー部8の取付対象は排水口部材2に限定されるものではない。従って、飛散防止カバー部8を、浴槽100やアタッチメント部材4などに取付けるように構成してもよい。
【0136】
(g)上記実施形態において、浴槽100は、スライド移動可能な状態で設置されているが、移動不能な状態で設置されるものであってもよい。また、設置面111が洗い場115と同じ高さとなるように構成してもよい。さらに、浴槽100の側面部102を外側から隠すようなエプロンを設けることとしてもよい。
【0137】
(h)上記実施形態では、槽体として浴槽100を挙げているが、本発明のうち浴槽以外の槽体に適用可能な発明に係る技術思想については、浴槽以外の槽体(例えば、洗面ボウルやキッチンの流し台など)に適用してもよい。
【符号の説明】
【0138】
1…排水栓装置、2…排水口部材、3…固定用部品、7…栓蓋、8…飛散防止カバー部、9…シール部材、21…排水流入口、22a…部品取付用溝部、23…挟持用突部、23a…栓蓋保護部、31…ストレート部、32…連結部、42…連結支持部(支持部)、44…補助機構保持部(支持部)、52…支持軸、54…支持軸引込部、63…補助引込部、71a…軸被取付部、71d…被支持部、100…浴槽(槽体)、101…底面部、102…側面部、103…取付孔、115…洗い場、DP…排水流路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19