(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】包装容器
(51)【国際特許分類】
B65D 5/66 20060101AFI20231012BHJP
【FI】
B65D5/66 311G
(21)【出願番号】P 2019183061
(22)【出願日】2019-10-03
【審査請求日】2022-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000129493
【氏名又は名称】株式会社クラウン・パッケージ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲ばん▼澤 篤史
【審査官】永田 勝也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-088717(JP,U)
【文献】実開昭55-115531(JP,U)
【文献】特開2017-001718(JP,A)
【文献】米国特許第05803267(US,A)
【文献】特開2019-137441(JP,A)
【文献】実開昭54-044237(JP,U)
【文献】特開2015-081111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する外壁部と、
前記開口を覆う蓋部と、
前記蓋部に連結されている差込片と、
前記外壁部を貫通しており、前記差込片を受け入れる差込口と、
前記外壁部の内面に沿って配置されている内側板と、
前記内側板の延長上に配置されており、前記外壁部よりも内側において、前記差込口の一部を覆う係止片と、
前記差込片を貫通しており、前記係止片を受け入れる係止貫通部と、を備える、包装容器。
【請求項2】
前記係止片の前記内側板と反対側の端縁は、前記差込口
の前記開口と反対側の端を超えない位置に配置されている、請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記外壁部は、
前記蓋部と隙間を有して対向する対向壁と、
前記蓋部と前記対向壁との間で、前記包装容器の収容空間を囲む側壁と、を備え、
前記差込片は、前記側壁よりも前記包装容器の外側において、前記側壁に沿って延びる連結壁を介して、前記蓋部に連結されており、
前記差込口は、前記対向壁と前記側壁との境界に配置されており、
前記蓋部と前記対向壁とが対向する方向において、前記係止片の前記内側板と反対側の端縁と前記対向壁との距離は、
前記蓋部と前記対向壁とが対向する方向における前記差込片の長さよりも短い、請求項1又は2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記内側板と前記側壁とは、前記蓋部側の端縁同士で、額板を介して互いに連結されており、
前記額板は、前記内側板と前記側壁とのそれぞれの全長に亘って、前記内側板と前記側壁とのそれぞれと連結されている、請求項3に記載の包装容器。
【請求項5】
前記内側板と前記側壁とは、前記蓋部側の端縁同士で、額板を介して互いに連結されており、
前記内側板と前記側壁とが対向する方向における前記係止貫通部の長さは、前記側壁の外面から前記係止片の内面までの距離と略同一である、請求項3又は4に記載の包装容器。
【請求項6】
前記包装容器は、1枚のブランクを折り曲げることによって組み立てられており、
前記側壁は、前記内側板と前記連結壁との間に配置される平板形状の第1側板と、前記第1側板と隣接する一対の第2側板と、を備え、
前記一対の第2側板のそれぞれは、前記第1側板側の端縁から、前記第1側板と前記内側板との間に延びるフラップを備え、
前記フラップの前記対向壁側の端縁は、前記第1側板の前記対向壁側の端縁を越えて前記対向壁側に配置されていない、請求項3から5のいずれか一項に記載の包装容器。
【請求項7】
前記差込片は、前記蓋部に連結されている側と反対側の端縁において、前記差込口に差し込まれる際に前記係止片に当接する位置に、前記蓋部に連結されている側の端部に向かって凹む凹部を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の包装容器
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、天壁に連結されている差込片を、前壁と底壁との境界に配置されている差込穴に差し込むことによって、天壁を閉じる包装容器が開示されている。差込穴の端縁には、ヒンジ線を介して係止舌片が突設されている。前壁の内側には、前内板が前壁に重ねて配置されている。差込片には、係止穴が穿設されている。
【0003】
差込片が差込穴に差し込まれると、係止舌片がヒンジ線で折れ曲がる。差込片が完全に差込穴に差し込まれると、ヒンジ線での折れ曲がりが復元しようとする。これにより、係止舌片が係止穴に嵌り込み、差込片が係止舌片と係合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の技術では、差込片が差込穴に差し込まれる際に、係止舌片がヒンジ線で大きく折り曲げられたり、ヒンジ線以外の箇所で折り曲げられたりするように、係止舌片が意図した状態に折り曲げられない可能性がある。係止舌片が意図した状態で折り曲げられないと、差込片が完全に差込穴に差し込まれても係止舌片が適切に復元されずに、係止舌片が係止穴に嵌りこまない場合がある。この場合、差込片が係止舌片と係合することができず、差込片が差込穴から離脱してしまう。
【0006】
本明細書では、差込片が差込口に差し込まれた状態で、適切に係止され得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書では、包装容器を開示する。包装容器は、開口を有する外壁部と、前記開口を覆う蓋部と、前記蓋部に連結されている差込片と、前記外壁部を貫通しており、前記差込片を受け入れる差込口と、前記外壁部の内面に沿って配置されている内側板と、前記内側板の延長上に配置されており、前記外壁部よりも内側において、前記差込口の一部を覆う係止片と、前記差込片を貫通しており、前記係止片を受け入れる係止貫通部と、を備えていてもよい。
【0008】
差込口に差込片を差し込むと、差込片が係止片に当接して、係止片が包装容器の内側に押圧される。上記の構成では、係止片は、外壁部よりも包装容器の内側に配置されている。このため、係止片と係止片に連結されている内側板との少なくとも一方は、包装容器の外壁部等の部分に接触せずに、包装容器の内側に撓むことができる。この結果、係止片自体、あるいは、係止片と内側板との境界を折り曲げることなく、係止片を変位させることによって、差込片を差込口に差し込むことができる。差込片が差込口に差し込まれると、係止片又は内側板の撓みが復元して、係止片が係止貫通部に適切に嵌まり込む。これにより、差込片は、係止片によって適切に係止され、容易に差込口から離脱することを抑制することができる。
【0009】
前記係止片の前記内側板と反対側の端縁は、前記差込口を超えない位置に配置されていてもよい。この構成によれば、差込片を差し込む際の係止片の変位量を抑制することができる。
【0010】
前記外壁部は、前記蓋部と隙間を有して対向する対向壁と、前記蓋部と前記対向壁との間で、前記包装容器の収容空間を囲む側壁と、を備えていてもよい。前記差込片は、前記側壁よりも前記包装容器の外側において、前記側壁に沿って延びる連結壁を介して、前記蓋部に連結されており、前記差込口は、前記対向壁と前記側壁との境界に配置されており、前記蓋部と前記対向壁とが対向する方向において、前記係止片の前記内側板と反対側の端縁と前記対向壁との距離は、前記差込片の長さよりも短くてもよい。この構成によれば、差込片が差込口に差し込まれる際に、内側板、係止片及び対向壁の少なくとも一部が撓むことによって、差込片を差込口に挿入することができる。これにより、係止片と内側板との境界で係止片を内側板に対して折れ曲がるほど変形させずに、差込片を差し込むことができる。
【0011】
前記内側板と前記側壁とは、前記蓋部側の端縁同士で、額板を介して互いに連結されており、前記額板は、前記内側板と前記側壁とのそれぞれの全長に亘って、前記内側板と前記側壁とのそれぞれと連結されていてもよい。この構成によれば、額板が内側板と側壁の少なくとも一方に対して、一部のみに連結されている構成と比較して、包装容器の強度を向上させることができる。
【0012】
前記内側板と前記側壁とは、前記蓋部側の端縁同士で、額板を介して互いに連結されており、前記係止貫通部の長さは、前記側壁の外面から前記係止片の内面までの距離と略同一であってもよい。この構成によれば、額板の内側板と側壁との間の長さを大きく超える寸法を有する係合貫通部を形成せずに済む。この結果、差込片の長さを抑制することができる。
【0013】
前記包装容器は、1枚のブランクを折り曲げることによって組み立てられており、前記側壁は、前記内側板と前記連結壁との間に配置される平板形状の第1側板と、前記第1側板と隣接する一対の第2側板と、を備え、前記一対の第2側板のそれぞれは、前記第1側板側の端縁から、前記第1側板と前記内側板との間に延びるフラップを備え、前記フラップの前記対向壁側の端縁は、前記第1側板の前記対向壁側の端縁を越えて前記対向壁側に配置されていなくてもよい。この構成によれば、包装容器を組み立てる際に、フラップが蓋部及び対向壁に接触しないように、フラップを予め折り曲げなくてもよい。
【0014】
前記差込片は、前記蓋部に連結されている側と反対側の端縁において、前記差込口に差し込まれる際に前記係止片に当接する位置に、前記蓋部に連結されている側の端部に向かって凹む凹部を有してもよい。この構成によれば、差込片が係止片に当接する前に、差込片の先端部を係止片に差し込むことができる。これにより、差込片が係止片に当接した状態から、差込片をさらに押し込む際に、差込片を差込口に沿って案内することができる。この結果、差込片が差込口から外れることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】第1実施例の包装容器の蓋部が開かれている状態の斜視図を示す。
【
図4】第1実施例の包装容器の差込片が差込口に差し込まれる状態における差込口周辺の拡大図を示す。
【
図5】第1実施例の包装容器の差込片が差込口に差し込まれた後の、包装容器の内側から見た差込片周辺の拡大図を示す。
【
図6】第1実施例の包装容器の差込片が差込口に差し込まれた後の差込片の中央における差込片周辺の断面図を示す。
【
図9】第3実施例の包装容器の蓋部が開かれている状態の斜視図を示す。
【
図11】第4実施例の包装容器の蓋部が開かれている状態の斜視図を示す。
【0016】
(第1実施例)
図1~
図6を参照して、第1実施例の包装容器10を説明する。包装容器10は、日用品等の内容物の包装に用いられる。
図1に示すように、包装容器10は、例えば段ボール紙で作製されるが、包装容器10の材料は段ボール紙以外の紙であってもよいし、紙に限定されず、プラスチック等であってもよい。なお、本実施例では、便宜的に
図1に示す前後上下左右方向を用いて説明がなされるが、包装容器10の使用上の方向を表すものではない。
【0017】
(包装容器10の構成)
包装容器10は、外壁部11と、蓋部12と、で構成される直方体形状を有する。
図3に示すように、外壁部11は、側壁13と、底壁22と、を備える。底壁22は、矩形の平板形状を有する。側壁13は、底壁22の4辺の外周縁から上方に垂直に延びる。側壁13は、上端において、長方形の開口17を画定している。
【0018】
図2に示すように、包装容器10は、1枚の平板のブランク100を折り曲げることによって組み立てられる。なお、
図2において、破線は折曲線を表す。側壁13は、前板16、左右の側板18、14及び後板15を備える。前板16は、底壁22の前縁に折曲線を介して連結されている。前板16は、矩形の平板形状を有する。後板15は、底壁22の後縁に折曲線を介して連結されている。後板15は、前板16に対して平行に配置された矩形の平板形状を有する。側板14、18のそれぞれは、底壁22の左右縁のそれぞれに、折曲線を介して連結されている。側板14、18は、同一の矩形の平板形状を有する。側板14、18の上下方向の長さは、前板16と略同一である。側板14、18のそれぞれは、前板16及び後板15と隣接して配置されている。
【0019】
側板18の前端縁には、フラップ50が連結されている。フラップ50は、側板18の前端縁に折曲線を介して連結されている。フラップ50は、平板形状を有している。フラップ50は、前板16の内側において、前板16に沿って配置されている。フラップ50は、側板18側の端から側板14に向かって中間位置まで、上下方向において、側板18と同一の長さを有する。フラップ50の側板18側の端から右側に向かって中間位置まで、フラップ50の下端縁は、側板18の下端縁よりも若干上方に配置されている。フラップ50の中間位置からさらに側板14に向かって、フラップ50の下端が上方に傾斜することによって、フラップ50の上下方向の長さが、徐々に短くなる。フラップ50の上端は、一定の高さで維持されている。フラップ50の側板18側の上下方向の長さは、前板16よりも若干短い。フラップ50の左右方向の全長に亘って、フラップ50の上下方向の長さは、底壁22と蓋部12との間の距離よりも短い。
【0020】
側板18の後端縁には、フラップ52が連結されている。フラップ52は、側板18の後端縁に折曲線を介して連結されている。フラップ52は、略矩形の平板形状を有している。フラップ52は、後板15の内側において、後板15に沿って配置されている。フラップ52では、上下端縁のそれぞれは、底壁22と平行である。フラップ52の上下方向の長さは、後板15よりも若干短い。側板18の上端縁には、フラップ60が連結されている。フラップ60は、蓋部12が閉じられる場合に、蓋部12の内側に配置される。
【0021】
側板14の前端縁には、フラップ54が折曲線を介して連結されている。フラップ54は、フラップ50と同様の形状を有する。フラップ54は、フラップ50と同様に、前板16の内側において前板16に沿って配置されている。側板14の後端縁には、フラップ56が折曲線を介して連結されている。フラップ56は、フラップ52と同様の形状を有する。フラップ56は、フラップ52と同様に、後板15の内側において、後板15に沿って配置されている。側板14の上端縁には、フラップ62が連結されている。フラップ62は、フラップ60と同様の形状を有する。フラップ62は、蓋部12が閉じられる場合に、蓋部12の内側に配置される。
【0022】
(差込口の構成)
前板16と底壁22との境界には、差込口90が配置されている。差込口90は、前板16の下端部を貫通している。差込口90の上下方向の長さは、左右方向の中央において最も長く、左右方向のそれぞれに進むに従って、徐々に短くなる。また、差込口90は、左右方向のそれぞれにおいて、差込口90の上下方向の長さが一定の区間を有する。上下方向の長さが一定の区間の区間では、差込口90の上下方向の長さは、後述する差込片36の板厚よりも長い。さらに、差込口90は、左右端のそれぞれにおいて、上下方向の長さが0mmのスリットを有する。
【0023】
底壁22には、差込口90の左右端のそれぞれから延びる一対のスリット94が配置されている。スリット94は、前後方向に対して、傾斜して配置されている。底壁22は、一対のスリット94の間において、コルク等の工具によって上下方向に負荷が加えられることによって、厚みが薄くなるように潰されている。底壁22は、一対のスリット94の左右両側のそれぞれにおいて、矩形の貫通口92を備える。
【0024】
前板16の上端には、額板80が連結されている。額板80は、矩形の平板形状を有する。額板80は、前板16の上端から後方に配置されている。額板80は、左右方向において、前板16の全長に亘って、前板16に連結されている。
【0025】
(係止片の構成)
額板80の後端縁には、内側板70が連結されている。額板80は、左右方向において、内側板70の全長に亘って、内側板70に連結されている。この構成では、額板80が左右方向において、前板16及び内側板70よりも短い構成と比較して、包装容器10の強度を向上させることができる。
【0026】
内側板70は、平板形状を有している。内側板70は、フラップ50、52の内側(即ち後側)において、フラップ50、52および前板16の内面に沿って配置されている。内側板70の下端縁は、左右方向の中央部において、左右両端よりも上方に位置する端縁76を有する。端縁76は、差込口90の上端よりも上方に位置する。
【0027】
内側板70の下端縁には、係止片72と、一対の挿入片74と、が配置されている。係止片72は、端縁76の中央位置に配置されている。係止片72は、下端よりも上端の方が左右方向の幅が広い略台形の平板形状を有する。係止片72は、端縁76から、内側板70の延長上に配置されている。係止片72は、内側板70と同一平板上に配置されている。係止片72は、差込口90よりも包装容器10の内側において、差込口90の中央の一部と重複して配置されている。これにより、係止片72は、差込口90の中央の一部を覆う。
【0028】
係止片72の下端縁は、底壁22に当接している。即ち、係止片72は、上下方向の全長に亘って、差込口90を覆っている。なお、変形例では、係止片72は、底壁22に当接していなくてもよい。この場合、上下方向における係止片72の下端縁と底壁との間の距離は、後述する差込片36の厚みよりも短くてもよい。
【0029】
一対の挿入片74は、左右方向において、底壁22の貫通口92と同一の位置に配置されている。挿入片74は、貫通口92に挿入されている。挿入片74は、貫通口92の後端縁に当接することによって、底壁22に係合する。これにより、内側板70が上方に跳ね上がることを防止することができる。
【0030】
(蓋部の構成)
後板15の上端には、折曲線を介して蓋部12が回動可能に連結されている。蓋部12は、矩形の平板形状を有する。蓋部12は、底壁22に隙間を有して対向する位置に配置されると、開口17を閉じる。これにより、包装容器10の収容空間が画定される。
【0031】
蓋部12の後板15と反対側の端縁、即ち、蓋部12が閉じられている状態での前縁には、折曲線を介して、連結壁30が回動可能に連結されている。蓋部12が閉じられている状態で、連結壁30は、前板16の外側、即ち前側において、前板16に沿って配置される。連結壁30の上下方向の長さは、前板16と略同一である。連結壁30の下端縁は、左右方向の端に向かうに従って、上方に傾斜している。このため、前板16の一部は、連結壁30の下端から外側に露出する。
【0032】
連結壁30は、下端部に、切取片34を備える。切取片34には、左右方向の延びるミシン目32が配置されている。
【0033】
連結壁30の下端には、差込片36が折曲線を介して回動可能に連結されている。差込片36は、連結壁30に連結する基端側に、左右方向の長さ(以下、「幅」と呼ぶ)が狭い基端部分を有する。基端部分の幅は、差込口90の上下方向の長さが一定の区間までの幅と略同一であり、若干短い。基端部分の前後方向の長さは、ブランク100の板厚よりも若干長い。差込片36の基端部分の先端側に隣接する部分は、差込片36の幅が差込口90の幅と略同一であり、差込片36の先端に向かって、差込片36の幅は、徐々に狭くなる。
【0034】
差込片36は、先端縁に、凹部39を備える。凹部39は、差込片36の左右方向の中央に配置されている。凹部39では、差込片36の先端縁は、連結壁30に連結されている基端に向かって凹んでいる。
【0035】
差込片36は、連結壁30に連結されている基端側に、係止貫通口38を備える。係止貫通口38は、差込片36と連結壁30との境界から差込片36の先端側に延びている。係止貫通口38の基端から先端に向かう長さ、即ち前後方向の長さは、前板16の外面から係止片72の内面までの距離よりも若干長い。
【0036】
図4に示すように、差込口90の一部は、係止片72に覆われている。このため、差込片36を差込口90の差し込む場合、差込片36は、係止片72に当接する。差込片36は、凹部39において係止片72に当接する。このため、差込片36は、先端側の一部が差込口90に差し込まれた後で、係止片72に当接する。この結果、差込片36を係止片72に当接している状態からさらに差し込む際に、差込片36が差込口90に案内される。このため、差込片36を押し込む際に、差込片36が差込口90から外れることを抑制することができる。
【0037】
差込片36を係止片72に当接している状態からさらに差し込むと、係止片72は、後方に押圧される。包装容器10では、係止片72及び内側板70よりも包装容器10の内側には、収容空間のみが配置されている。このため、係止片72と内側板70とは、包装容器10の他の部材に邪魔されることなく、包装容器10の内側に撓むことができる。この結果、係止片72が差込片36によって後方に押圧されると、係止片72及び内側板70の少なくとも一方が後方に撓んで、係止片72が上方に変位される。これにより、差込片36の先端は、係止片72を越えて包装容器10の内側に差し込まれる。この構成によれば、係止片72自体、あるいは、係止片72と内側板70との境界を折り曲げることなく、係止片72を変位させることができる。
【0038】
また、底壁22には、差込口90の後方に、一対のスリット94が配置されている。このため、底壁22の一対のスリット94に挟まれた部分は、差込片36が差込口90に差し込まれる際に、係止片72と離間する方向に変形し易く構成されている。この結果、差込片36が差込口90に差し込まれる際に、係止片72自体、あるいは、係止片72と内側板70との境界を折り曲げることなく、差込片36が係止片72と底壁22との間を通過することができる。
【0039】
図5及び
図6に示すように、差込片36は、連結壁30が前板16と当接するまで挿入される。これにより、係止貫通口38の一方の端縁は、係止片72を越えて包装容器10の内側に差し込まれる。この結果、係止片72及び内側板70の少なくとも一方の撓みが復元し、係止片72が、係止貫通口38に挿入される。係止片72は、係止貫通口38の一方の端縁に係合する。これにより、包装容器10は封緘される。この構成によれば、接着剤、テープ等を用いずに、包装容器10を封緘することができる。
【0040】
また、係止片72は、底壁22に当接している。即ち、係止片72の下端縁は、上下方向において、差込口90の下端と同一の位置に位置しており、差込口90の下端を越えない。この構成によれば、係止片72の下端縁が差込口90の下端よりも下方に位置している構成と比較して、差込片36の先端部が係止片72を通過する際の係止片72の変位量を抑制することができる。この結果、係止片72自体、あるいは、係止片72と内側板70との境界を折り曲げることなく、係止片72を変位させることができる。
【0041】
係止片72は、内側板70と同一平板上に配置されている。この構成によれば、係止貫通口38の基端から先端に向かう長さを、前板16の外面から係止片72の内面までの距離よりも若干長くすることによって、係止片72と差込片36とを互いに係合させることができる。このため、係止片72が後方に傾いて配置されている構成と比較して、係止貫通口38の基端から先端に向かう長さが長くなることを抑制することができる。これにより、係止片72を、係止貫通口38の長さに合わせて延長せずに済む。
【0042】
組立装置を用いて
図2に示すブランク100から包装容器10を組み立てる場合、側板14、18を底壁22に対して垂直に配置されるまで回動させつつ、フラップ50、52を側板18に対して垂直に配置されるまで、また、フラップ54、56を側板14対して垂直に配置されるまで回動させる。フラップ50、52の下端縁は、側板18の下端縁(即ち底壁22と側板18との境界)の延長線上に配置されている。側板18を底壁22に対して回動させつつ、フラップ50、52を側板18に対して回動させる場合に、フラップ50が展開状態の前板16に接触せずに済む。また、接触を避けるために、フラップ50、52を予め折り曲げておく等の処理をせずに済む。同様に、フラップ52が展開状態の後板15に接触せずに済む。フラップ54、56も同様である。これにより、包装容器10を迅速に組み立てることができる。
【0043】
封緘された包装容器10を開封する際には、切取片34をミシン目に沿って破断させる。その結果、一旦封緘された包装容器10を開封すると、再度元に戻すことはできない。このため、使用者が意図しない第三者が包装容器10を開封することを予防することができる。
【0044】
(第2実施例)
第1実施例と異なる点を説明する。
図7に示すように、本実施例の包装容器10は、ブランク200を折り曲げることによって組み立てられる。本実施例の包装容器10は、差込口290、貫通口292及び係止貫通口238のそれぞれの構成が、差込口90、貫通口92及び係止貫通口38のそれぞれの構成と異なる。
【0045】
差込口290は、スリットによって形成されている。即ち、差込口290の上下方向の長さは、0mmである。なお、変形例では、差込口290の上下方向の長さは、0mm以上であって、差込片36の板厚よりも小さくてもよい。
【0046】
貫通口292は、スリットによって形成されている。即ち、貫通口292の上下方向の長さは、0mmである。なお、変形例では、貫通口292の上下方向の長さは、0mm以上であって、挿入片74の板厚よりも小さくてもよい。
【0047】
係止貫通口238は、スリットによって形成されている。即ち、係止貫通口238の前後方向の長さは、0mmである。なお、変形例では、係止貫通口238の前後方向の長さは、0mm以上であってもよい。
【0048】
(第3実施例)
(包装容器310の構成)
次いで、
図8、
図9を参照して、第3実施例の包装容器310を説明する。包装容器310は、外壁部311と、蓋部312と、で構成される直方体形状を有する。包装容器310は、1枚の平板のブランク300を折り曲げることによって組み立てられる。なお、
図8において、破線は折曲線を表す。外壁部311は、側壁を構成する前板316、左右の側板318、314、及び、後板315と、底壁322と、を備える。底壁322は、矩形の平板形状を有する。各板314、315、316、318は、それぞれ、矩形の平板形状を有する。各板314、315、316、318は、底壁322の4辺の外周縁に、折曲線を介して連結され、外周縁から上方に垂直に延びて、上端において開口を画定している。
【0049】
側板318の前後の端縁のそれぞれには、略矩形の平板形状のフラップ350、352のそれぞれが連結されている。同様に、側板314の前後の端縁のそれぞれには、略矩形の平板形状のフラップ354、356のそれぞれが連結されている。フラップ350、354は、前板316の内側において、前板316に沿って配置されている。フラップ352、356は、後板315の内側において、後板315に沿って配置されている。
【0050】
側板318の上端縁には、フラップ360が連結されている。フラップ360は、蓋部312が閉じられる場合に、蓋部312の内側に配置される。フラップ360と側板318との間には、差込口396が配置されている。差込口396は、スリット形状を有している。側板314の上端縁には、フラップ362が連結されている。フラップ362は、蓋部312が閉じられる場合に、蓋部312の内側に配置される。フラップ362と側板314との間には、フラップ360と側板318との間と同様に、差込口396が配置されている。
【0051】
前板316の上端縁には、フラップ378が連結されている。フラップ378は、前板316の上端縁を折曲線として、前板316に回動可能に連結されている。フラップ378は、平板形状を有している。フラップ378は、前板316に対して、前板316との境界において、後方に向けて垂直に折り曲げられて配置される。
【0052】
(差込口390の構成)
前板316とフラップ378との境界には、左右方向の中央に、差込口390が配置されている。差込口390は、前板316とフラップ378との境界を貫通している。差込口390は、差込口290と同様に、スリット形状を有する。
【0053】
前板316とフラップ378との境界には、さらに、差込口390の左右両側に一対の貫通口392を備える。一対の貫通口392は、それぞれ、スリット形状を有する。
【0054】
(係止片372の構成)
フラップ378には、内側板370と、一対の差込片382と、一対の係止片398と、が連結されている。を備える。一対の差込片382は、フラップ378の左右端片のそれぞれに配置されている。一対の差込片382のそれぞれは、フラップ378に対して垂直に折り曲げられて、左右それぞれの差込口396に差し込まれている。一対の係止片398のそれぞれは、差込口396が差込片382に差し込まれている状態で、フラップ378の左右両側のそれぞれに突出している。
【0055】
内側板370は、フラップ378の左右方向の中央部において、フラップ378に折曲線を介して、連結されている。内側板370は、フラップ378の下面、即ち、収容空間側の面に対向するように折り曲げられている。内側板370のフラップ378との連結されている端縁と反対側の端縁には、係止片372と、一対の挿入片374と、が配置されている。係止片372は、内側板370の中央位置に配置されている。係止片372は、平板形状を有する。係止片372は、内側板370と同一平板上において、内側板370の延長上に配置されている。係止片372は、差込口390よりも包装容器310の内側において、差込口390の中央の一部と重複して配置されている。これにより、係止片372は、差込口390の中央の一部を覆う。
【0056】
係止片372は、前端縁において、前板316に当接している。一対の挿入片374は、左右方向において、貫通口392と同一の位置に配置されている。挿入片374は、貫通口392に挿入されている。挿入片374は、前板316に当接することによって、前板316に係合する。これにより、内側板370は、フラップ378に対向する位置に維持される。
【0057】
後板315の上端には、折曲線を介して蓋部312が回動可能に連結されている。蓋部312は、矩形の平板形状を有する。蓋部312は、底壁322に隙間を有して対向する位置に配置されて、包装容器310が閉じられる。
【0058】
蓋部312の後板315と反対側の端縁、即ち、前縁には、差込片336が折曲線を介して回動可能に連結されている。差込片336は、差込片36と同様の形状を有する。差込片336は、蓋部312に連結されている基端側に、係止貫通口338を備える。係止貫通口338は、係止貫通口238と同様の形状を有する。
【0059】
蓋部312の左右端縁のそれぞれには、差込片394が配置されている。差込片394は、差込片336と同様の構成を有する。差込片394は、蓋部312に連結されている基端側に、係止貫通口395をえる。係止貫通口395は、差込片394を貫通する矩形の開口を有する。
【0060】
蓋部312を閉じる場合、
図9に示す状態から、差込片336を差込口390に差し込むとともに、左右の差込片394を、既に差込片382が差し込まれている差込口396に差し込む。
【0061】
差込片336を係止片372に当接している状態からさらに差し込むと、係止片372は、下方に押圧される。このとき、係止片372と内側板370とは、包装容器310の他の部材に邪魔されることなく、包装容器310の内側に撓むことができる。この構成によれば、係止片372自体、あるいは、係止片372と内側板370との境界を折り曲げることなく、係止片372を変位させることができる。
【0062】
差込片336は、蓋部312がフラップ378と当接するまで挿入される。これにより、係止貫通口338は、係止片372まで差し込まれる。この結果、係止片372及び内側板370の少なくとも一方の撓みが復元し、係止片372が、係止貫通口338に挿入されて、差込片336に係合する。これにより、包装容器10と同様に、包装容器310は封緘される。また、差込片394が差込口396に差し込まれると、係止貫通口395が係止片398に挿入されて、差込片394が係止片398に係止される。
【0063】
封緘された包装容器310を開封する際には、後板315に配置されている指挿入口334に手指を挿入し、蓋部312に配置されているミシン目332を破断させる。これにより、差込片336、394のそれぞれは、差込口390、396のそれぞれに挿入されている状態で、包装容器310を開封することができる。
【0064】
(第4実施例)
(包装容器410の構成)
次いで、
図10、
図11を参照して、第4実施例の包装容器410を説明する。包装容器410は、外壁部411と、蓋部412と、で構成される直方体形状を有する。包装容器410は、1枚の平板のブランク400を折り曲げることによって組み立てられる。なお、
図10において、破線は、折曲線を表す。外壁部411は、側壁を構成する前板416、左右の側板418、414、及び、後板415と、底壁422と、を備える。各板414、415、416、418及び底壁422のそれぞれは、各板314、315、316、318及び底壁322のそれぞれと同様の構成を有する。
【0065】
側板418、414の上端縁のそれぞれには、フラップ460、462が連結されている。フラップ460、462は、蓋部412が閉じられる場合に、蓋部412の内側に配置される。
【0066】
前板416の左右の端縁のそれぞれには、平板形状のフラップ450、452のそれぞれが連結されている。フラップ450、452のそれぞれは、側板418、414の内側に接着されている。後板415の左右の端縁のそれぞれには、平板形状のフラップ454、456のそれぞれが連結されている。フラップ454、456のそれぞれは、側板418、414の内側に接着されている。
【0067】
前板416の上端縁には、フラップ478が連結されている。フラップ478は、前板416の上端縁を折曲線として、前板416に回動可能に連結されている。フラップ478は、平板形状を有している。フラップ478は、前板416に対して、前板416との境界において、後方に向けて垂直に折り曲げて配置される。
【0068】
(差込口490の構成)
前板416とフラップ478との境界には、左右方向の中央に、差込口490が配置されている。差込口490は、差込口390と同様の構成を有している。
【0069】
(係止片472の構成)
フラップ478には、内側板482が連結されている。内側板482は、フラップ478に、折曲線を介して連結されている。内側板482は、フラップ478の下面、即ち、収容空間側の面に部分的に接着されている。内側板482のフラップ478との連結されている端縁と反対側の端縁には、係止片472が配置されている。係止片472は、内側板482の中央位置に配置されている。係止片472は、平板形状を有する。係止片472は、内側板482と同一平板上において、内側板482の延長上に配置されている。係止片472は、差込口490よりも包装容器410の内側において、差込口490の中央の一部と重複して配置されている。これにより、係止片472は、差込口490の中央の一部を覆う。係止片472は、前端縁において、前板416に当接している。
【0070】
後板415の上端には、折曲線を介して、蓋部312と同様の蓋部412が回動可能に連結されている。蓋部412の後板415と反対側の端縁、即ち、前縁には、差込片436が折曲線を介して回動可能に連結されている。差込片436は、差込片336と同様の形状を有する。差込片436は、係止貫通口338と同様の係止貫通口438を備える。
【0071】
蓋部412の左右端縁のそれぞれには、折返片413が配置されている。折返片413は、蓋部412との境界において、蓋部412に対して折り返されて、蓋部412の下面に接着されている。
【0072】
蓋部412を閉じる場合、
図11に示す状態から、差込片436を差込口490に差し込む。差込片436を係止片472に当接している状態からさらに差し込む。この結果、第3実施例と同様に、係止片472が、係止貫通口438に挿入されて、差込片436に係合する。これにより、包装容器10と同様に、包装容器410は封緘される。
【0073】
封緘された包装容器410を開封する際には、後板415に配置されている指挿入口434に手指を挿入し、蓋部412及び折返片413に配置されているミシン目432を破断させる。これにより、差込片436が差込口490に挿入されている状態で、包装容器410を開封することができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0075】
(変形例1)第1実施例では、外壁部11と蓋部12とは、1枚のブランク100から一体的に作製されている。しかしながら、外壁部11と蓋部12とは、別々のブランクで、別体で作製されていてもよい。また、外壁部11と蓋部12とのそれぞれは、複数のブランクから作製される複数部品を組み立てることによって、作製されていてもよい。第2~第4実施例でも同様である。
【0076】
(変形例2)第1実施例では、差込口90は、前板16と底壁22の境界に配置されている。しかしながら、差込口90は、前板16の中間位置、あるいは、底壁22の中間位置に配置されていてもよい。
【0077】
(変形例3)第1実施例では、差込口90は、前板16と底壁22との境界に配置されている。しかしながら、この構成と共に、又は、この構成に替えて、差込口は、側板14、18のいずれか一方と底壁22との境界に配置されていてもよい。この場合、差込片は、蓋部12の左右端縁の連結壁を介して連結されていてもよい。また、内側板及び係止片が、差込口が配置されている側板14、18の上端縁に連結されていてもよい。
【0078】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0079】
10:包装容器
11:外壁部
12:蓋部
13:側壁
22:底壁
30:連結壁
36:差込片
38:係止貫通口
50、54:フラップ
70:内側板
72:係止片
80:額板
100:ブランク