(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】鉄筋切断装置及び鉄筋切断方法
(51)【国際特許分類】
B21F 11/00 20060101AFI20231012BHJP
B23D 33/02 20060101ALI20231012BHJP
B23D 23/00 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
B21F11/00 E
B23D33/02 A
B23D23/00 A
B21F11/00 B
(21)【出願番号】P 2019201700
(22)【出願日】2019-11-06
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000223056
【氏名又は名称】東陽建設工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102048
【氏名又は名称】北村 光司
(72)【発明者】
【氏名】西田 万里
(72)【発明者】
【氏名】新屋敷 賢治
(72)【発明者】
【氏名】平塚 純一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正徳
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-330265(JP,A)
【文献】特開昭56-026636(JP,A)
【文献】特開平09-085524(JP,A)
【文献】実開昭57-181519(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21F 11/00
B23D 33/02
B23D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対的に近接離間する固定刃と可動刃とから成る鉄筋切断機、
非切断状態の前記鉄筋切断機における前記固定刃と前記可動刃との間に鉄筋を送り供給する鉄筋供給装置を設け、
前記鉄筋供給装置によって前記鉄筋切断機に供給され、且つ、非切断状態で離間する前記固定刃と前記可動刃との間を通過させた鉄筋の先端側を支持する鉄筋支持部を設け、
前記鉄筋供給装置によって送られる鉄筋の先端部を突き当てて位置決めする突き当て装置を、前記鉄筋支持部に設けてある鉄筋切断装置であって、
前記鉄筋供給装置を、鉄筋を挟持しながら送り供給する挟持回転機構から構成し、
前記突き当て装置に鉄筋の先端部が突き当たるのを検知する第1検知手段を設け、
前記第1検知手段による検知結果に基づいて前記鉄筋供給装置の鉄筋の送り供給を停止する第1停止指令部を制御装置に設け、
前記鉄筋支持部上において、前記突き当て装置の設定距離手前の第1ポイントから前記突き当て装置までの間で、前記第1ポイントを鉄筋の先端部が通過するときに、前記挟持回転機構によるトルクを、他の送り移動時よりも低下させるトルク制御指令を前記挟持回転機構に出すトルク指令部を、前記制御装置に設け、前記第1停止指令部からの停止指令に基づいて前記鉄筋供給装置の鉄筋送り供給の停止後に、前記鉄筋切断機による鉄筋切断駆動指令を出す切断指令部を前記制御装置に設け、
前記鉄筋切断機による鉄筋の切断後に前記突き当て装置による鉄筋先端部の位置決め機能を解除して、
切断鉄筋片の後端部に接当して前記鉄筋支持部の始端部まで押し込んで、
切断鉄筋片の後端部を前記固定刃から前記鉄筋支持部側に遠ざける鉄筋移動補助機構を、前記鉄筋切断機における前記可動刃の下方に設けてある鉄筋切断装置。
【請求項2】
前記挟持回転機構は、回転ローラ、チェーンコンベア、ベルトコンベア、の内の少なくとも一種を複数個使用して鉄筋を挟持搬送するものである請求項1に記載の鉄筋切断装置。
【請求項3】
相対的に近接離間する固定刃と可動刃とから成る鉄筋切断機、
非切断状態の前記鉄筋切断機における前記固定刃と前記可動刃との間に鉄筋を送り供給する鉄筋供給装置を設け、
前記鉄筋供給装置によって前記鉄筋切断機に供給され、且つ、非切断状態で離間する前記固定刃と前記可動刃との間を通過させた鉄筋の先端側を支持する鉄筋支持部を設け、
前記鉄筋供給装置によって送られる鉄筋の先端部を突き当てて位置決めする突き当て装置を、前記鉄筋支持部に設けてある鉄筋切断装置における鉄筋切断方法であって、
前記鉄筋供給装置を、鉄筋を挟持しながら送り供給する挟持回転機構から構成し、
前記突き当て装置に鉄筋の先端部が突き当たるのを検知し、
その検知結果に基づいて前記鉄筋供給装置の鉄筋の送り供給を停止し、
前記鉄筋支持部上において、前記突き当て装置の設定距離手前の第1ポイントから前記突き当て装置までの間で、前記第1ポイントを鉄筋の先端部が通過するときに、前記挟持回転機構によるトルクを、他の送り移動時よりも低下させるトルク制御指令を発し、前記鉄筋供給装置の鉄筋送り供給の停止指令に基づいて、前記鉄筋切断機による鉄筋切断駆動指令を出し、
前記鉄筋切断機による鉄筋の切断後に前記突き当て装置による鉄筋先端部の位置決め機能を解除して、
前記鉄筋切断機における可動刃の下方に設ける鉄筋移動補助機構で、
前記鉄筋切断機内に位置する切断鉄筋片の後端部を、接当によって前記鉄筋支持部の始端部まで押し込んで、
前記固定刃から前記鉄筋支持部側に遠ざける請求項1又は2に記載の鉄筋切断装置における鉄筋切断方法。
【請求項4】
前記挟持回転機構は、回転ローラ、チェーンコンベア、ベルトコンベア、の内の少なくとも一種を複数個使用して鉄筋を挟持搬送するものである請求項3に記載の鉄筋切断装置における鉄筋切断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は相対的に近接離間する固定刃と可動刃とから成る鉄筋切断機、非切断状態の前記鉄筋切断機における前記固定刃と前記可動刃との間に鉄筋を送り供給する鉄筋供給装置を設け、前記鉄筋供給装置によって前記鉄筋切断機に供給され、且つ、非切断状態で離間する前記固定刃と前記可動刃との間を通過させた鉄筋の先端側を支持する鉄筋支持部を設け、前記鉄筋供給装置によって送られる鉄筋の先端部を突き当てて位置決めする突き当て装置を、前記鉄筋支持部に設けてある鉄筋切断装置及び鉄筋切断装置における鉄筋切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前記鉄筋供給装置を、鉄筋を載せて搬送する回転ローラやベルトコンベアなどの載置式搬送機構で構成したものがあり(例えば、特許文献1参照)、また、チェーンコンベアと駆動ローラとにより鉄筋を挟持して搬送する挟持回転機構で構成したものもあった(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-149634号公報
【文献】特開2004-330265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の前記載置式搬送機構では、処理効率を上げるべく搬送速度を上げれば上げるほど、鉄筋Fの先端が突き当て装置6に当たった瞬間に反発力により跳ね返り、再び前記載置式搬送機構による搬送力によって鉄筋先端を突き当て装置6に突き当てる動作を繰り返し、結局、突き当て装置6に突き当たった位置で停止するまでに時間がかかる場合があり、また、前記挟持回転機構10により鉄筋Fを搬送する装置の場合、搬送速度を上げるためには、回転トルクを上げなければならず、その回転トルクは一定であったために、回転トルクを上げれば、鉄筋Fの先端が突き当て装置6に突き当たると、鉄筋Fが長ければ長いほど、鉄筋Fが撓み安くなり、切断寸法の精度が悪くなるという問題点があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、切断寸法精度を上げながら、鉄筋切断効率を上げられるようにするところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の鉄筋切断装置の第1の特徴構成は、相対的に近接離間する固定刃と可動刃とから成る鉄筋切断機、非切断状態の前記鉄筋切断機における前記固定刃と前記可動刃との間に鉄筋を送り供給する鉄筋供給装置を設け、前記鉄筋供給装置によって前記鉄筋切断機に供給され、且つ、非切断状態で離間する前記固定刃と前記可動刃との間を通過させた鉄筋の先端側を支持する鉄筋支持部を設け、前記鉄筋供給装置によって送られる鉄筋の先端部を突き当てて位置決めする突き当て装置を、前記鉄筋支持部に設けてある鉄筋切断装置であって、前記鉄筋供給装置を、鉄筋を挟持しながら送り供給する挟持回転機構から構成し、前記突き当て装置に鉄筋の先端部が突き当たるのを検知する第1検知手段を設け、前記第1検知手段による検知結果に基づいて前記鉄筋供給装置の鉄筋の送り供給を停止する第1停止指令部を制御装置に設け、前記鉄筋支持部上において、前記突き当て装置の設定距離手前の第1ポイントから前記突き当て装置までの間で、前記第1ポイントを鉄筋の先端部が通過するときに、前記挟持回転機構によるトルクを、他の送り移動時よりも低下させるトルク制御指令を前記挟持回転機構に出すトルク指令部を、前記制御装置に設け、前記第1停止指令部からの停止指令に基づいて前記鉄筋供給装置の鉄筋送り供給の停止後に、前記鉄筋切断機による鉄筋切断駆動指令を出す切断指令部を前記制御装置に設け、前記鉄筋切断機による鉄筋の切断後に前記突き当て装置による鉄筋先端部の位置決め機能を解除して、切断鉄筋片の後端部に接当して前記鉄筋支持部の始端部まで押し込んで、切断鉄筋片の後端部を前記固定刃から前記鉄筋支持部側に遠ざける鉄筋移動補助機構を、前記鉄筋切断機における前記可動刃の下方に設けたところにある。
【0007】
本発明の第1の特徴構成によれば、前記鉄筋供給装置を、鉄筋を挟持しながら送り供給する挟持回転機構から構成し、前記突き当て装置に鉄筋の先端部が突き当たるのを検知する第1検知手段を設け、前記第1検知手段による検知結果に基づいて前記鉄筋供給装置の鉄筋の送り供給を停止する第1停止指令部を制御機構に設け、前記鉄筋支持部上において、前記突き当て装置の設定距離手前の第1ポイントから前記突き当て装置までの間で、前記第1ポイントを鉄筋の先端部が通過するときに、前記挟持回転機構によるトルクを、他の送り移動時よりも低下させるトルク制御指令を前記挟持回転機構に出すトルク指令部を、前記制御装置に設けてあることにより、鉄筋切断処理の作業効率を上げるために挟持回転機構による回転トルクを上げて鉄筋供給装置による供給速度を上げても、前記突き当て装置の設定距離手前の第1ポイントから前記突き当て装置までの間で、挟持回転機構によるトルクが、他の送り移動時よりも低下して、鉄筋の先端部が突き当て装置に突き当たり、第1検知手段の検知に基づいて制御機構の第1停止指令部からの停止指令により、長尺の鉄筋でも撓むことが少なく鉄筋供給装置の供給操作が速やかに停止し、従来技術よりも切断寸法精度を高くした状態で迅速に切断処理作業が行われる。
制御装置に設けた切断指令部からの切断指令に基づいて、鉄筋が鉄筋切断機により切断された後に、突き当て装置による鉄筋先端部の位置決め機能を解除して、鉄筋移動補助機構により、切断鉄筋片の後端部が、固定刃から鉄筋支持部側に遠ざけられ、次の鉄筋切断操作が迅速に行える体制になる。
そのために、鉄筋切断処理のスピードアップが可能になる。
【0008】
本発明の第2の特徴構成は、前記挟持回転機構は、回転ローラ、チェーンコンベア、ベルトコンベア、の内の少なくとも一種を複数個使用して鉄筋を挟持搬送するものである。
【0009】
本発明の第2の特徴構成によれば、本発明の第1の特徴構成による上述の作用効果を叶えることができるのに加えて、トルク制御を簡単な挟持回転機構により実現できるようになる。
【0010】
【0011】
本発明の第3の鉄筋切断装置における鉄筋切断方法の特徴構成は、相対的に近接離間する固定刃と可動刃とから成る鉄筋切断機、非切断状態の前記鉄筋切断機における前記固定刃と前記可動刃との間に鉄筋を送り供給する鉄筋供給装置を設け、前記鉄筋供給装置によって前記鉄筋切断機に供給され、且つ、非切断状態で離間する前記固定刃と前記可動刃との間を通過させた鉄筋の先端側を支持する鉄筋支持部を設け、前記鉄筋供給装置によって送られる鉄筋の先端部を突き当てて位置決めする突き当て装置を、前記鉄筋支持部に設けてある鉄筋切断装置における鉄筋切断方法であって、前記鉄筋供給装置を、鉄筋を挟持しながら送り供給する挟持回転機構から構成し、前記突き当て装置に鉄筋の先端部が突き当たるのを検知し、その検知結果に基づいて前記鉄筋供給装置の鉄筋の送り供給を停止し、前記鉄筋支持部上において、前記突き当て装置の設定距離手前の第1ポイントから前記突き当て装置までの間で、前記第1ポイントを鉄筋の先端部が通過するときに、前記挟持回転機構によるトルクを、他の送り移動時よりも低下させるトルク制御指令を発し、前記鉄筋供給装置の鉄筋送り供給の停止指令に基づいて、前記鉄筋切断機による鉄筋切断駆動指令を出し、前記鉄筋切断機による鉄筋の切断後に前記突き当て装置による鉄筋先端部の位置決め機能を解除して、前記鉄筋切断機における可動刃の下方に設ける鉄筋移動補助機構で、前記鉄筋切断機内に位置する切断鉄筋片の後端部を、接当によって前記鉄筋支持部の始端部まで押し込んで、前記固定刃から前記鉄筋支持部側に遠ざけるところにある。
【0012】
本発明の第3の特徴構成は、前記鉄筋供給装置を、鉄筋を挟持しながら送り供給する挟持回転機構から構成し、前記突き当て装置に鉄筋の先端部が突き当たるのを検知し、その検知結果に基づいて前記鉄筋供給装置の鉄筋の送り供給を停止し、前記鉄筋支持部上において、前記突き当て装置の設定距離手前の第1ポイントから前記突き当て装置までの間で、前記第1ポイントを鉄筋の先端部が通過するときに、前記挟持回転機構によるトルクを、他の送り移動時よりも低下させるトルク制御指令を発することにより、鉄筋切断処理の作業効率を上げるために挟持回転機構による回転トルクを上げて鉄筋供給装置による供給速度を上げても、前記突き当て装置の設定距離手前の第1ポイントから前記突き当て装置までの間で、挟持回転機構によるトルクが、他の送り移動時よりも低下して、鉄筋の先端部が突き当て装置に突き当たり、長尺の鉄筋でも撓むことが少なく鉄筋供給装置の供給操作が速やかに停止し、従来技術よりも切断寸法精度を高くした状態で迅速に切断処理作業が行われる。
鉄筋が鉄筋切断機により切断された後に、突き当て装置による鉄筋先端部の位置決め機能を解除して、切断鉄筋片の後端部が、固定刃から鉄筋支持部側に遠ざけられ、次の鉄筋切断操作が迅速に行える体制になる。
そのために、鉄筋切断処理のスピードアップが可能になる。
【0013】
本発明の第4の特徴構成は、前記挟持回転機構は、回転ローラ、チェーンコンベア、ベルトコンベア、の内の少なくとも一種を複数個使用して鉄筋を挟持搬送するものである。
【0014】
本発明の第4の特徴構成によれば、トルク制御を簡単な挟持回転機構により実現できるようになる。
【0015】
【0016】
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図6A】要部正面図で、鉄筋先端部を突き当て装置に突き当てる状態を示す。
【
図6B】要部正面図で、鉄筋を切断する状態を示す。
【
図6C】要部正面図で、突き当て装置を鉄筋片の先端部から後退する状態を示す。
【
図6D】要部正面図で、鉄筋後端部を鉄筋支持部に押し込む状態を示す。
【
図9A】切断鉄筋片回収手段の側面図で、鉄筋片を樋状鉄筋受け装置に支持している状態を示す。
【
図9B】切断鉄筋片回収手段の側面図で、鉄筋片を鉄筋支持部から鉄筋片貯留装置に落下供給する状態を示す。
【
図9C】切断鉄筋片回収手段の側面図で、鉄筋片を鉄筋片貯留装置から移送装置に落下供給する状態を示す。
【
図9D】切断鉄筋片回収手段の側面図で、鉄筋片を移送装置で移送する状態を示す。
【
図10A】本発明の鉄筋切断処理装置の作用図で、鉄筋を挟持回転機構を備えた鉄筋供給装置によって突き当て装置に向けて供給する途中の状態を示す。
【
図10B】鉄筋供給装置によって突き当て装置に鉄筋が突き当てられ、鉄筋切断機によって切断された状態を示す作用図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~
図5に示すように、相対的に近接離間する固定刃1と可動刃2とから成る鉄筋切断機3を設け、非切断状態の鉄筋切断機3における固定刃1と可動刃2との間に鉄筋Fを送り供給するために、鉄筋Fを上下に挟み込んで回転する2対の送りローラから成る挟持回転機構10を設けた鉄筋供給装置4を設け、鉄筋供給装置4によって鉄筋切断機3に供給され、且つ、非切断状態で離間する固定刃1と可動刃2との間を通過させた鉄筋の先端側を支持する鉄筋支持部5を設け、鉄筋供給装置4によって送られた鉄筋Fの先端部を突き当てて位置決めする突き当て装置6を、鉄筋支持部5に設け、鉄筋切断機3によって切断された鉄筋片F1を鉄筋支持部5から移動させて切断寸法毎に仕分けして回収する切断鉄筋片回収手段7を設けて、鉄筋切断処理装置を構成してある。
【0019】
前記鉄筋支持部5は、
図3~
図5に示すように、縦断面Vの字の樋状鉄筋受け装置9と、その樋状鉄筋受け装置9の溝内でその長手方向に沿って変位自在に取り付けてある突き当て装置6とから構成されたものである。
前記樋状鉄筋受け装置9は、
図3~
図7~
図9Dに示すように、固定底板部材11と上下揺動する可動底板部材12とから構成され、固定底板部材11の下端辺と可動底板部材12の下端辺とが互いに接当する状態で、断面Vの字形状に成る鉄筋片支持状態を成し(
図9A)、枢支軸13で上下揺動自在に支持された可動底板部材12の下端辺を、下方に揺動操作することで(
図9B)、支持した鉄筋片F1を下方に落下放出可能にする鉄筋片落下放出状態を成し、夫々の状態に切り替え操作するように構成してある。
【0020】
前記突き当て装置6は、
図3~
図6D,
図11に示すように、上下に垂下する突当板14と、前後に第1枢支軸18A介して支持フレーム15に前後揺動自在に支持する前後揺動支持アーム16を設けると共に、前後揺動支持アーム16を揺動駆動する流体圧シリンダー17を設け、前後揺動支持アーム16に対して突当板14を第2枢支軸18Bを介して前後に揺動自在に取り付けてある。
そして、鉄筋供給装置4によって送られてくる鉄筋Fの先端が、突当板14に当たった時に(
図6A)、突当板14の設定したわずかな後退揺動を検知する第1検知手段19としての近接スイッチ19を、前後揺動支持アーム16に取り付けてあり、近接スイッチ19による突当板14の近接検出に基づいて鉄筋供給装置4の鉄筋送り駆動を停止させる第1停止指令部31を、制御装置32に設けてある。
【0021】
前記鉄筋支持部5上において、
図10A、
図10B、
図11に示すように、突き当て装置6の設定距離手前で設定された第1ポイントから突き当て装置6までの間で、挟持回転機構10の回転数検出手段26によって鉄筋送り距離Lを演算手段39によって割り出して、前記第1ポイントを鉄筋Fの先端部が通過するときに(
図10A)、挟持回転機構10によるトルクを、他の送り移動時よりも低下させる(
図10A→
図10B)トルク制御指令を挟持回転機構10に出すトルク指令部38を、制御装置32に設けてある。
【0022】
また、
図4~
図6D、
図11に示すように、鉄筋切断機3による鉄筋Fの切断端部(切断鉄筋片の後端部)を、固定刃1から鉄筋支持部5側に遠ざけるべく、鉄筋支持部5の始端部まで押し込む鉄筋移動補助機構23を、鉄筋切断機3の下方に設けてある。
尚、鉄筋移動補助機構23により鉄筋後端部を鉄筋支持部5に押し込まれるときには(
図6D)、突き当て装置6は、鉄筋支持部5の長手方向に沿って鉄筋の先端部から更に離間するように移動すると共に、突当板14が流体圧シリンダー17の突出作動により後退揺動すると共に(
図6C)、突き当て装置6全体が更に下手側に後退移動する(
図6D)ように制御される。
【0023】
つまり、スタートスイッチ25のON操作に基づいて、制御装置32の第1停止指令部31からの指令が発せられるまで、鉄筋供給装置4は作動する(
図6A)。
その後、鉄筋供給装置4の停止に伴って、切断指令部35からの指令に基づいて、鉄筋切断機3が切断作動する(
図6B)。
尚、鉄筋Fが切断されると、可動刃2が切断前の位置に戻り(
図6C)、未切断の鉄筋Fによって、切断後の鉄筋片F1の後端を突き出す(
図6D)。
鉄筋切断機3による所定長さの鉄筋Fの切断後は、制御装置32に設けた鉄筋片落下放出指令部36の指令に基づいて、鉄筋支持部5における可動底板部材12を揺動操作して鉄筋片支持状態から鉄筋片落下放出状態に切り替え操作する(
図9A~
図9B)。
【0024】
前記切断鉄筋片回収手段7を構成するのに、
図1、
図9A~
図9D、
図11に示すように、鉄筋支持部5の下方で落下放出される鉄筋片F1を受け止めて貯留可能な鉄筋片受け溝部20を、鉄筋の横幅方向に複数併設した鉄筋片貯留装置21を設け(
図9A、
図9B)、鉄筋片貯留装置21を鉄筋の横幅方向に移動操作自在に構成し、鉄筋支持部5の下方に落下操作する鉄筋片F1を、切断寸法毎に複数の鉄筋片受け溝部20に仕分けして受け止めさせるべく鉄筋片貯留装置21を選択的に横移動操作するように選択的貯留指令を出す選択的貯留指令部33を、制御装置32に設けてある。
【0025】
更に、前記鉄筋片貯留装置21における複数の鉄筋片受け溝部20は、夫々貯留した鉄筋片F1を下方に落下放出可能に構成され、鉄筋片貯留装置21の下方に、鉄筋片受け溝部20から下方に落下放出される切断鉄筋片F1を受け止めて(
図9C、
図9D)、その横幅方向に搬送して取り出し可能にするチェーンコンベア装置から成る移送装置22を設け、複数の鉄筋片受け溝部20の中から選択的に貯留鉄筋片を下方に落下放出させて(
図9C→
図9D)移送装置22の駆動操作によって特定の鉄筋片F1群を取り出し可能にする選択的取出し指令部37を制御装置32に設けてある。
【0026】
尚、
図1~
図4に示すように、前記鉄筋切断処理装置は、前記鉄筋切断機3、前記鉄筋供給装置4、前記鉄筋支持部5、前記突き当て装置6とから成る鉄筋切断装置の複数組を、鉄筋の横幅方向に併設し、各鉄筋切断装置によって切断された鉄筋片F1を夫々の鉄筋支持部5から移動させて切断寸法毎に仕分けして回収する切断鉄筋片回収手段7を構成するのに、
図9A~
図9D、
図11に示すように、複数の鉄筋支持部5を、鉄筋片F1が夫々で支持される鉄筋支持状態と鉄筋支持部5の下方に落下操作される鉄筋片落下放出状態とに切換え可能に構成し、複数の鉄筋支持部5の下方で鉄筋片落下放出される鉄筋片F1を受け止めて貯留可能な鉄筋片受け溝部20を、鉄筋の横幅方向に複数併設した鉄筋片貯留装置21を一つ設け、鉄筋片貯留装置21を鉄筋の横幅方向に移動操作自在に構成し、鉄筋支持部5から下方に落下操作する鉄筋片F1を、切断寸法毎に複数の鉄筋片受け溝部20に仕分けして受け止めさせるべく鉄筋片貯留装置21を横移動操作する制御装置32を設けてある。
これにより、一度に複数本の鉄筋を同時に切断して、鉄筋切断処理効率を上げられるようにしてある。
【0027】
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
なお、以下の他の実施形態において、上記実施形態と同様の部材には同一の符号を附してある。
〈1〉 鉄筋切断処理装置は、
図1~
図5に示すように、前記鉄筋切断機3、前記鉄筋供給装置4、前記鉄筋支持部5、前記突き当て装置6とから成る鉄筋切断装置の複数組を、鉄筋の横幅方向に併設しなくても、前記鉄筋切断機3、前記鉄筋供給装置4、前記鉄筋支持部5、前記突き当て装置6とから成る鉄筋切断装置の1組のみ設けてもよい。
〈2〉 また、前記鉄筋切断機3、前記鉄筋供給装置4、前記鉄筋支持部5、前記突き当て装置6とから成る鉄筋切断装置の2組を設けた上記実施形態に代えて、3組以上一体に設けてあってもよい。
〈3〉 前記挟持回転機構は、回転ローラ以外に、回転ローラと、チェーンコンベア、ベルトコンベア、の内の少なくとも一種を複数個使用して鉄筋を挟持搬送するものであってもよい。
【0028】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0029】
1 固定刃
2 可動刃
3 鉄筋切断機
4 鉄筋供給装置
5 鉄筋支持部
6 突き当て装置
10 挟持回転機構
19 第1検出手段
23 鉄筋移動補助機構
31 第1停止指令部
32 制御装置
35 切断指令部
38 トルク指令部