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特許7365075制御された環境において空気をサンプリングするためのプログラマブルロジックコントローラに基づくシステムおよびユーザーインタフェース
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】制御された環境において空気をサンプリングするためのプログラマブルロジックコントローラに基づくシステムおよびユーザーインタフェース
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/02 20060101AFI20231012BHJP
   G01N 1/22 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
G01N1/02 Z
G01N1/22 A
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2022032257
(22)【出願日】2022-03-03
(62)【分割の表示】P 2021122944の分割
【原出願日】2015-08-21
(65)【公開番号】P2022071116
(43)【公開日】2022-05-13
【審査請求日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】14/471,848
(32)【優先日】2014-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516083298
【氏名又は名称】ベルテック アソシエイツ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VELTEK ASSOCIATES, INC.
【住所又は居所原語表記】15 Lee Boulevard, Malvern, Pennsylvania 19355 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100102934
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 彰
(72)【発明者】
【氏名】コッハー ネイサン ジー.
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0171625(US,A1)
【文献】特開2003-065577(JP,A)
【文献】特開2003-215001(JP,A)
【文献】米国特許第03748906(US,A)
【文献】特開平07-209146(JP,A)
【文献】特開平08-086877(JP,A)
【文献】米国特許第04747315(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0289653(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0132415(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0093381(US,A1)
【文献】特開昭54-020789(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0300790(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2001/0004842(US,A1)
【文献】特開2012-237527(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0161403(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B25/00 -37/20 、41/00 -41/06 、
49/00 -51/00 、
G01N 1/00 - 1/44 、35/00 -37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御された環境において複数の場所の空気をサンプリングするためのシステムであって、
所定の制御された環境内で所定の空気量を監視およびテストするようにそれぞれが構成された複数の空気サンプリング装置と、
複数の真空接続部であって、それぞれが前記空気量を前記複数の空気サンプリング装置からそれぞれ受け取るように構成された複数の真空接続部と、
前記複数の真空接続部がそれぞれの空気サンプリング装置から各々吸引する所望の質量流量を受け取るための設定値を入力するように構成されたグラフィカルユーザーインターフェースと、
前記複数の空気サンプリング装置から前記複数の真空接続部を介して前記空気量を吸引するように構成された1つの真空ポンプと、
前記真空ポンプに電力を供給し、制御するように構成されたコンタクタと、
プログラマブルロジックコントローラ(PLC)であって、
前記複数の真空接続部により受け取られる空気の質量流量を前記グラフィカルユーザーインターフェースにより設定された設定値に基づき監視および制御することと、
所望の質量流量を有する前記複数の真空接続部のいずれか1つにより受け取られた前記空気量の質量流量がゼロであるという判断に応答して、前記真空ポンプへの電力を切断することと、を行うように構成されたPLCを含むフローセンターとを有する、システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記フローセンターは、前記複数の真空接続部の1つにより受け取られる前記空気量の質量流量が、その真空接続部の前記所望の質量流量から所定の警報の範囲を超えて逸脱しているという判断に応答してアラームを出力するようにさらに構成されている、システム。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記コンタクタは、前記真空ポンプへの電力を切断するように構成された緊急停止ボタンを含む、システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記グラフィカルユーザーインターフェースは、前記真空ポンプへの電力を切断するように構成された緊急停止ボタンを含む、システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかにおいて、
前記グラフィカルユーザーインターフェースは、前記フローセンターと同じ場所のオペレータインターフェース端末により出力される、システム。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかにおいて、
前記グラフィカルユーザーインターフェースは、前記複数の空気サンプリング装置の1つと同じ場所のオペレータインターフェース端末により出力される、システム。
【請求項7】
請求項1ないし4のいずれかにおいて、
前記グラフィカルユーザーインターフェースは、サーバにより、ネットワークに接続された機器に出力される、システム。
【請求項8】
請求項1ないし4のいずれかにおいて、
前記グラフィカルユーザーインターフェースは、ウェブサーバにより、インターネットに接続された装置のウェブブラウザに出力される、システム。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかにおいて、
複数の流量制御弁であって、それぞれが前記複数の真空接続部の1つにより受け取られる前記空気量の質量流量を制御するように構成されている、複数の流量制御弁と、
複数のアクチュエータであって、それぞれが前記複数の流量制御弁の1つを開閉するように構成されている、複数のアクチュエータと、
複数の流量センサであって、それぞれが前記複数の真空接続部の1つにより受け取られる前記空気量の質量流量を検出するように構成されている、複数の流量センサとをさらに有し、
前記フローセンターは、測定された流量と前記所望の質量流量との間の差を示すエラーを求め、
前記測定された流量と前記所望の質量流量との差を小さくするように前記複数のアクチュエータに制御信号を出力することにより、前記複数の真空接続部により受け取られる空気の質量流量を制御する、システム。
【請求項10】
請求項9において、
前記複数の空気サンプリング装置は、第1の空気サンプリング装置と、第2の空気サンプリング装置とを含み、
前記複数の真空接続部は、前記第1の空気サンプリング装置から前記空気量を受け取るように構成された第1の真空接続部と、前記第2の空気サンプリング装置から前記空気量を受け取るように構成された第2の真空接続部とを含み、前記第1および第2の真空接続部はマニホールドを介して前記真空ポンプと流体連通されており、さらに、
前記PLCは、前記第2の真空接続部を通る前記空気量の変化により、前記第1の真空接続部により受け取られる前記空気量の測定された流量と前記第1の空気サンプリング装置における前記所望の質量流量との差を低減するように構成されている、システム。
【請求項11】
請求項9において、
前記複数の流量制御弁のそれぞれは、それぞれに対応した真空接続部の前記測定された流量と設定値との差の大きさに比例して、前記複数の流量制御弁のそれぞれの制御ポジションが変化するように構成されている、システム。
【請求項12】
請求項9において、
前記複数の流量制御弁のそれぞれは、それぞれに対応した真空接続部の前記測定された流量と設定値との差の変化率に比例して、前記複数の流量制御弁のそれぞれの制御ポジションの変化率が調整されるように構成されている、システム。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかにおいて、
当該システムは、前記複数の真空接続部により受け取られた前記空気量の質量流量を示すデータを、ネットワーク接続を介して外部装置に出力するように構成されている、システム。
【請求項14】
請求項13において、
前記外部装置は、リモート監視・制御システムまたはデータ収集システムである、システム。
【請求項15】
請求項13において、
前記ネットワーク接続はインターネットを介した通信を含み、前記外部装置はウェブブラウザまたはリモートデスクトップアプリケーションを介して前記データを受信する、システム。
【請求項16】
制御された環境において複数の位置で空気をサンプリングするための方法であって、
複数の空気サンプリング装置により、制御された環境内の複数の空気量を監視およびテストすることと、
複数の真空接続部のそれぞれにより、前記複数の空気サンプリング装置のそれぞれの空気サンプリング装置からの空気量を受け取ることと、
グラフィカルユーザーインターフェースにより、前記それぞれの空気サンプリング装置から吸引する前記複数の真空接続部の所望の質量流量を受け取るための設定値を入力することと、
1つの真空ポンプにより、前記複数の空気サンプリング装置から前記複数の真空接続部を介して前記空気量を吸引することと、
前記真空ポンプへの電力供給と制御とをコンタクタで行うことと、
プログラマブルロジックコントローラ(PLC)を含むフローセンターにより、前記複数の真空接続部により受け取られる空気の質量流量を前記グラフィカルユーザーインターフェースにより設定された設定値に基づき監視および制御することと、
前記PLCによる、所望の質量流量を有する前記複数の真空接続部のいずれか1つにより受け取られた前記空気量の質量流量がゼロであるという前記PLCによる判断に応答して、前記PLCにより前記真空ポンプへの電源を切断することとを有する、方法。
【請求項17】
請求項16において、
前記複数の真空接続部の1つにより受け取られた前記空気量の質量流量が、その真空接続部の前記所望の質量流量に対し警報の所定の範囲を超えているという前記PLCの判断に応答して、前記PLCがアラームを出力することをさらに有する、方法。
【請求項18】
請求項16または17において、
前記コンタクタが、前記真空ポンプへの電力を切断するように構成された緊急停止ボタンを含む、方法。
【請求項19】
請求項16ないし18のいずれかにおいて、
前記グラフィカルユーザーインターフェースが、前記真空ポンプへの電力を切断するように構成された緊急停止ボタンを含む、方法。
【請求項20】
請求項16ないし19のいずれかにおいて、
前記グラフィカルユーザーインターフェースが、前記フローセンターと同じ場所のオペレータインターフェース端末により出力される、方法。
【請求項21】
請求項16ないし19のいずれかにおいて、
前記グラフィカルユーザーインターフェースが、前記複数の空気サンプリング装置の1つと同じ場所のオペレータインターフェース端末により出力される、方法。
【請求項22】
請求項16ないし19のいずれかにおいて、
前記グラフィカルユーザーインターフェースは、サーバにより、ネットワークに接続された機器に出力される、方法。
【請求項23】
請求項16ないし19のいずれかにおいて、
前記グラフィカルユーザーインターフェースは、ウェブサーバにより、インターネットに接続された装置のウェブブラウザに出力される、方法。
【請求項24】
請求項16ないし23のいずれかにおいて、
複数の流量制御弁により、前記複数の真空接続部のそれぞれにより受け取られる空気量の質量流量を制御することと、
複数の流量センサにより、前記複数の真空接続部により受け取られる空気量の質量流量を検出することと、
測定された流量と前記所望の質量流量との間の差を求めることと、
複数のアクチュエータに制御信号を出力して前記複数の流量制御弁を調整し、前記測定された流量と前記所望の質量流量との差を縮小することとをさらに有する、方法。
【請求項25】
請求項24において、
前記複数の空気サンプリング装置は、第1の空気サンプリング装置と、第2の空気サンプリング装置とを含み、
前記複数の真空接続部は、前記第1の空気サンプリング装置から前記空気量を受け取るように構成された第1の真空接続部と、前記第2の空気サンプリング装置から前記空気量を受け取るように構成された第2の真空接続部とを含み、前記第1および第2の真空接続部はマニホールドを介して前記真空ポンプと流体連通されており、さらに、
前記PLCが、前記第2の真空接続部を通る前記空気量の変化により、前記第1の真空接続部により受け取られる前記空気量の測定された流量と前記第1の空気サンプリング装置における前記所望の質量流量との差を低減する、方法。
【請求項26】
請求項24において、
前記複数のアクチュエータが、前記複数の流量制御弁を、それぞれの流量制御弁に対応した真空接続部の前記測定された流量と設定値との差の大きさに比例して、前記複数の流量制御弁のそれぞれの制御ポジションが変化するように制御する、方法。
【請求項27】
請求項24において、
前記複数のアクチュエータが、前記複数の流量制御弁を、それぞれの流量制御弁に対応した真空接続部の前記測定された流量と設定値との差の変化率に比例して、前記複数の流量制御弁のそれぞれの制御ポジションの変化率を調整するように制御する、方法。
【請求項28】
請求項16ないし27のいずれかにおいて、
前記複数の真空接続部により受け取られた前記空気量の質量流量を示すデータを、ネットワーク接続を介して外部装置に出力することをさらに有する、方法。
【請求項29】
請求項28において、
前記外部装置は、リモート監視・制御システムまたはデータ収集システムである、方法。
【請求項30】
請求項28において、
前記ネットワーク接続はインターネットを介した通信を含み、前記外部装置はウェブブラウザまたはリモートデスクトップアプリケーションを介して前記データを受信する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中の汚染物質を監視するための装置および方法に関するものである。具体的には、本発明は、制御環境における空気サンプリングを制御するためのプログラマブルロジックコントローラベース(プログラマブル論理制御装置に基づく)のシステム、およびそれに対応する1つまたは複数のオペレータ・インタフェース端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製造、研究および他の施設で見られるクリーンルームは、大気圧に対する室内の静的空気圧に基づいて、および/またはクリーンルームに隣接するスペースの空気圧に基づいて、典型的には、2つの幅広いカテゴリに分類される。陽圧室は、絶対圧で、大気圧より高い、またはクリーンルームに隣接するスペースの空気圧より高い、あるいはその両方に維持される。このような室内の空気を陽圧にするには、フィルタ処理および/または調整された空気を室内にポンプで注入し、さらに室外への空気の排気流量を制御する。隣接するスペースは、製造設備またはオフィスであってよく、通常、加熱、換気、および空調(HVAC)システムによって、または、隣接するスペースを大気圧と釣り合せることができる環境に開口を設けることによって、大気圧またはそれに近い気圧に維持される。したがって、陽圧クリーンルームからの空気の流れは、隣接する部屋の低圧側へ、または、大気に流れる。
【0003】
空気陽圧クリーンルームが破られる場合、クリーンルームに存在する空気中の汚染物質が隣接するスペースの人々の健康に対して潜在的悪影響をもたらさない限り、隣接するスペースまたは大気へと流れる空気は、通常は問題にならない。典型的には、電子機器、航空宇宙機器、光学系システム、軍備、および防衛に関連する研究、製造が行われているクリーンルーム内の空気は、人間の健康または環境に安全性または健康に関し懸念をもたらす濃度の空中浮遊のガス、蒸気、および粒状物質を含まない。しかしながら、必ずしもそうであるとは限らず、これらの産業内であっても、何らかの作業が許容水準を越える汚染物質を生成することがあり、したがって、それらが処理されずにクリーンルームから流出することを防止する必要がある。
【0004】
陰圧室は、絶対圧で、大気圧未満であるか、またはクリーンルームに隣接するスペースの空気圧より低く、または両方に維持される。陰圧は、フィルタ処理および/または調整された空気が室内に注入されるより速い速度で室外へ空気を排出することにより維持される。室内の空気中の汚染物質が隣接するスペースまたは環境の人間の健康に対する潜在的な健康被害をもたらす可能性があるという懸念があるときに陰圧ルームが使われることが多い。
【0005】
人間の健康および環境への影響にも関わらず、規制要件や業界で採用されている適正製造基準および研究室品質管理基準を満たすために、ある種の生産および研究業務は空気陽圧クリーンルームの中で行われなければならない。例えば、国立労働安全衛生研究所(NIOSH)が公布するものを含めて、州および連邦規則が、陽圧または陰圧クリーンルームの利用を義務付けている場合がある。
【0006】
具体的には、米国食品医薬品局(FDA)は、薬剤製造がクリーンルームの領域内で実施され、薬剤製品の製造バッチが衛生的な環境において生産されていることの検証および証明を提供することを義務付けている。様々なFDA規制および規格は、特定の製薬作業の間、施設の清浄さを検査または検証するために、クリーンルーム内で使われる空気の採取(サンプリング)および/または空気監視装置のための要件も定めている。その規制は、クリーンルーム内で空気品質を監視することに関わる電子データ記録、正確さ、精度、および記録業務にも定められている。生物工学産業など他の産業においても、同様の要件が課されている。
【0007】
制御された環境の空気品質を試験および監視するための現行のシステムは、分散デジタル制御(Distributed Digital Control、DDC)コントローラに接続している複数の滅菌可能な微生物アトリウム(Sterilizable Microbial Atriums、SMA)を含む。SMA―DDCシステムの一例は、ペンシルバニア州マルヴァーンにあるVeltek社製のSMA―DDC―10および統合ワンタッチ制御システムを含む。他のシステムは、米国特許第8,169,330号、米国特許第7,973,668号、米国特許第7,940,188号,米国特許第8,188,874号、米国特許第8,701,980号、および米国特許公開番号2014―0132415A1において開示されており、これらは参照され、本明細書に含まれる。これらのシステムは、一般的に、空気サンプリング装置に対しユーザーが使えるインタフェースとしてハードウェアベースのインタフェースを含む。
【0008】
後述するように、従来システムは、真空接続部の質量流量を制御するために流量スイッチを手動で制御する必要がある。さらに、従来システムは、ユーザーが限られた位置からシステムの状況を監視し、制御することを必要とする。さらに、従来システムの真空ポンプは、真空接続部または空気サンプリング装置が妨害されると、物理的に損傷を受けるかまたは損傷の原因となる場合がある。
【発明の概要】
【0009】
従来の空気サンプリングシステムのこれらおよび他の欠点を克服するため、本発明の例示的実施形態の態様では、オペレータがセットした流量に基づいて、各真空接続部の質量流量の自動調整を可能にする。さらに、本発明の例示的実施形態の態様では、ユーザーがネットワーク接続機器を介してシステムの状況を監視および制御することを可能にする。さらに、本発明の例示的実施形態の態様では、物理的な非常用ボタン、ネットワーク接続機器で利用可能なソフトウェアベースの非常停止ボタン、および真空ポンプに潜在的な影響を与える可能性のある異常な質量流量の測定値に対する自動電源切断に応答して真空ポンプの電源を切ることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
説明のために、本発明の幾つかの実施形態を図面に示す。これらの図面において、同一の数字は全体を通じて同一の要素を指す。本発明は、記載されている具体的な配置、寸法、および機器に限定されないことを理解すべきである。図面は以下の通りである。
図1】本発明の実施例であり、内部にクリーンルームを有する施設の例の概略図である。
図2】本発明の実施例であり、図1のクリーンルームに用いられるトラッキング/ロギングおよび空気サンプリング/監視システムの概略図であり、PLCベースのコントローラおよび1つもしくは複数の付随するタッチパネル・ディスプレイを含む。
図3】本発明の実施例によるフローセンターの概略図である。
図4】本発明の実施例によるグラフィカルユーザーインタフェース(GUI)のシステム概要画面を示す図である。
図5】本発明の実施例によるGUIのフロアプラン画面を示す図である。
図6】本発明の実施例によるGUIのポート概要画面を示す図である。
図7】本発明の実施例によるGUIのラベル画面を示す図である。
図8】本発明の実施例によるGUIのグループ制御画面を示す図である。
図9】本発明の実施例によるGUIのイベントログ画面を示す図である。
図10】本発明の実施例によるGUIのセキュリティ画面を示す図である。
図11】本発明の実施例によるGUIの日時画面を示す図である。
図12】本発明の実施例によるGUIのポンプ概要画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施例に基づき説明する。本明細書は、本発明の特徴を有する1つまたは複数の実施形態を開示する。以下においては、発明者により開発された様々な新規のアプローチおよび特徴を当業者が評価するためのデータ解析の例を含めたいくつかの実施例を開示している。本明細書に記載されているこれらの様々な新規のアプローチおよび特徴は、個々に使用可能であり、また、要望により互いに組み合わせても使用可能である。
【0012】
まず、図1は、本発明の実施例の1つであり、1つまたは複数のクリーンルーム102を有する例示的な施設100の概略を示す。このクリーンルーム102は、隣接するスペース104および屋外の大気106に囲まれている。この隣接するスペース104は、クリーンルーム102を内部に設けた同一の施設100の中にあり、クリーンルーム102に隣接する1つまたは複数の部屋、例えば、個別の製造用の部屋、他のクリーンルーム、仕上げ充填用の部屋、研究室、オフィスであってよい。これらのクリーンルーム102および隣接するスペース104は、壁105のような仕切板によって隔てられる。
【0013】
本例の施設100内のクリーンルーム102は、隣接するスペース104の空気圧Pおよび屋外の大気106の大気圧PATMより低い、またはそれより高い空気圧Pに維持することができる。これは、図1に示すように、制御された流量QINで、空調およびフィルタリングされた空気をクリーンルーム102に送り込むHVACシステム(図示せず)により実現できる。このクリーンルーム102から排出される、または他の要因により流出するクリーンルーム102内部の空気は、QOUTにより表される。QINとQOUTの差(すなわち、QIN-QOUT)がゼロより大きいときは、クリーンルーム102において陽圧が維持される。そして、QINとQOUTの差がゼロ未満であるときは、クリーンルーム102において陰圧が維持される。
【0014】
次に、図2に、本発明の実施例として、空気捕集/監視システム200の概略図を示す。このシステム200は、通常、1つのコントローラ210、複数のフローセンター240、複数の空気サンプリング装置(空気捕集装置)260、複数のオペレータ・インタフェース端末270、1つの真空ポンプ340、および1つの接触器350を含む。これらのコントローラ210、フローセンター240、およびオペレータ・インタフェース端末270は、プロセッサ、ディスプレイ、無線装置、およびメモリーを含んでもよく、本発明に従って作動するものであればよい。後述するように、これらのコントローラ210、フローセンター240、空気サンプリング装置260、およびオペレータ・インタフェース端末270は、それぞれ、固有のセンサ291、または共用センサ291と関連していてもよい。
【0015】
このシステム200は、複数の空気サンプリング装置260により空気をサンプリングする過程で得られるデータを追跡(トラッキング)および記録(ロギング)するために使用されるように構成されている。空気のサンプリングにおいては、クリーンルーム102からの空気がシステム200の複数の空気サンプリング装置260によって吸引され、クリーンルーム102の空気中の汚染物質が集められる。これらの空気サンプリング装置260により得られるデータは、クリーンルーム102の空中浮遊微粒子数や他のパラメータレベルを監視および収集して、その中での実験または生産工程の完全性を維持するために用いられる。
【0016】
1つまたは複数のフローセンター240は、1つまたは複数の真空接続部232を通る空気流を監視および制御するために設けられている。これらのフローセンター240は、自立式であってもよく、壁取り付け式でもよく、クリーンルーム102の中であってもよく、クリーンルーム102の外であってもよく、または複数のクリーンルーム102を対象としてもよい。(図2が示すように、例えば、フローセンター240aはクリーンルーム102内にあり、フローセンター240bはクリーンルーム102の外にある。)これらのフローセンター240は、複数のモジュラポートを含んでいてもよく、例えば、モジュラーポートは米国特許8,169,330において図示および説明されており、各1つのポートが1つの真空接続部232に接続されていてもよい。これらのポートを用いて、複数の空気サンプリング装置260から空気を吸引し、これらの空気サンプリング装置260を使って空気サンプリングを行うように、フローセンター240は構成できる。複数の真空接続部232は、壁取付けのクイック脱着放出口114を介して、壁105を跨いで接続することができ、クリーンルーム102と隣接するスペース104の間の壁105上に放出口を設置できる。
【0017】
クリーンルーム102、または複数のクリーンルームにおいて、複数の空気サンプリング装置260を共通の場所に配置してもよい。これらの空気サンプリング装置260は、所定の体積の空気(空気量、空気容量)を集める公知の空気サンプリング装置のいずれであってもよい。空気サンプリング装置260としての用途に適している空気サンプリング装置の例は、米国特許8,169,330特許および/または米国特許第8、474、335号に記載されており、その内容は参照され、本明細書に含まれる。
【0018】
複数の対象物265は、クリーンルーム102の中の様々な場所に位置する。これらの対象物265は、器材や人員などである。複数の空気サンプリング装置260は、例えば、それぞれの対象物265を取り囲んでいる空気を集めるために、1つまたは複数の対象物265に隣接して配置することができる。すなわち、空気をサンプリングする際に、対象物265の周囲の空気を吸引することで、クリーンルーム102内で対象となる箇所の空気中の汚染物質をこれらの空気サンプリング装置260によって集めることができる。センサ291は、これらの対象物265を識別できるように構成される装置であってもよい。例えば、それらのセンサは、カメラ、無線自動識別(Radio Frequency IDentification、RFID)リーダー、バーコードスキャナなどを含んでいてよい。
【0019】
コントローラ210は、データおよびコマンドを通じ、このシステム200をリアルタイム(またはほぼリアルタイム)で監視および制御し、このコントローラ210が管理するデータベース290にそれらのデータおよびコマンドを記録する。このコントローラ210は、サーバーなどの任意の好適なコンピューティング装置であってもよい。このコントローラ210は、自立型でもよく、ラック式のシャーシによる壁取り付け型でもよい。データベース290は、コンピュータが読み取り可能ないかなるタイプの記憶媒体であってもよく、このコントローラ210と共通の場所に配置されていてもよく、または遠隔地に配置されていてもよい。(このコントローラ210は、本説明で参照している文書に記載されている「コントローラ」または「コントロールセンター」と同一あるいは類似の特徴を含んでいてもよい。)
【0020】
複数のオペレータ・インタフェース端末270は、データおよびコマンドを通じ、このシステム200を監視および制御する。各オペレータ・インタフェース端末270は、デスクトップコンピュータ、ノートパソコン、タッチスクリーン・コンピュータ、識別装置(カメラ、バーコードスキャナ、RFIDリーダ、指紋リーダなど)などの任意の好適なコンピューティング装置であってよい。各オペレータ・インタフェース端末270は、モニタ、スピーカ、タッチスクリーンおよび/またはキーボードを含んでいてもよい。これらのオペレータ・インタフェース端末270は、壁取付け、デスクトップ、ポータブル、またはそれらの組合せでもよい。これらのオペレータ・インタフェース端末270は、システム200のどこに配置してもよい。例えば、これらのオペレータ・インタフェース端末270は、コントローラ210、フローセンター240、空気サンプリング装置260などと共通の場所に配置することができる。他のハードウェア装置(例えばコントローラ210、フローセンター240)と共通の場所に配置された複数のオペレータ・インタフェース端末270は、そのハードウェア装置と、直接、またはネットワーク接続を介して通信してもよい。後述するように、各オペレータ・インタフェース端末270は、グラフィカルユーザーインタフェース(GUI)を含み、ユーザーが容易にアクセスすることにより、このシステム200を監視および制御できる。
【0021】
図2に示されるこのシステム200の実施例では、1つのクリーンルーム102、2つのフローセンター240aおよび240b、4つの真空接続部232a~232dを示しており、真空接続部232a~232dのそれぞれは4つの空気サンプリング装置260a~260dのいずれか1つに対応している。これらのクリーンルーム102、フローセンター240、真空接続部232、空気サンプリング装置260、およびセンサ291の数はそれらに限定されるものではない。すなわち、このシステム200は、実質的には、任意の数n、すなわち、クリーンルーム102a~102n、フローセンター240a~240n、真空接続部232a~232n、空気サンプリング装置260a~260n、対象物265a~265n、およびオペレータ・インタフェース端末270a~270nに線形的に拡張可能である。
【0022】
これらのコントローラ210、フローセンター240、およびオペレータ・インタフェース端末270は、任意の好適な方法によって互いに通信する。例えば、オペレータ・インタフェース端末270およびフローセンター240はネットワーク・アドレスを持っていてもよく、それらのコントローラ210は、共通接続(例えば、イーサネット(登録商標)ネットワークまたは無線ローカルエリアネットワーク(LAN))を介して、それらのネットワーク・アドレスを用いて、複数のフローセンター240および複数のオペレータ・インタフェース端末270と通信してもよい。図2に示される実施例では、フローセンター240aおよび240b、およびオペレータ・インタフェース端末270cおよび270bは、有線ネットワーク接続275を介してコントローラ210と通信する一方、オペレータ・インタフェース端末270aおよび270bは無線信号285を介してコントロールパネル210と通信する。それらの有線ネットワーク接続275は、例えば複数のチャネル112を介して、スペース104からクリーンルーム102へ通じていてもよい。これらのコントローラ210、複数のフローセンター240、および複数のオペレータ・インタフェース端末270は、ネットワーク通信を介して、および/または電気信号自体を介して通信できる。
【0023】
1つの例示的なシナリオでは、第1のオペレータ・インタフェース端末、例えば、第1のオペレータ・インタフェース端末270aは、第1の空気サンプリング装置、例えば、空気サンプリング装置260aの近くに配置されてもよく、第2の空気サンプリング装置、例えば、空気サンプリング装置260bから離れて配置されてもよい。第1のオペレータ・インタフェース端末270aにより提示されるグラフィカルユーザーインタフェースを用いて、ユーザーがコントローラ210および/またはフローセンター240aに信号が送られるようにしてもよく、これにより、第2の空気サンプリング装置260bを制御または監視できる。したがって、任意の空気サンプリング装置260a~260dは、どこに配置されているかに関わらず、任意のオペレータ・インタフェース端末270a~270dを用いて制御または監視が可能である。
【0024】
他の例示的なシナリオでは、第1のオペレータ・インタフェース端末260aによって警報を発生させてもよく、1つまたは複数のオペレータ・インタフェース端末270a~270dに、それらの位置にかかわりなく、警報の通知を表示できるようにしてもよい。例えば、図2に示される例示的な構成においては、オペレータ・インタフェース端末260aが発生する警報はコントローラ210により検出され、次いで、隣接するオペレータ・インタフェース端末270aの代わり、またはそれに加えて、警報に関連付けられた情報を遠隔に位置する1つまたは複数のオペレータ・インタフェース端末270b~270dへ中継してもよい。このようにして、重要な警報情報は、警報が発生した位置であって、ユーザーがいるとは限らない位置のみに示されるのではなく、警報が検出されるときにユーザーがいる1つまたは複数の場所に自動的に表示させてもよい。しかしながら、このオペレータ・インタフェース端末270は、例えば警報信号を停止させるために、相互に直接通信できるようにしてもよい。
【0025】
プログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller、PLC)は、本願明細書において記載されている滅菌可能な微生物アトリウム(Sterilizable Microbial Atriums、SMAs)などの機械の制御を含む電気機械プロセスの自動化の使われるデジタルコンピュータであってよい。汎用コンピュータとは異なり、このPLCは、複数の入出力機構、拡張された温度範囲、電気雑音に対する耐性、および振動と衝撃への耐性を考慮して設計されたものであってもよい。このPLCは、別々の汎用コンピュータ上で実行されるアプリケーションソフトウェアを使用してプログラムされてもよい。この種のコンピュータは、イーサネット(登録商標)、RS―232、RS―485、RS―422または他の好適な通信規格のケーブルによってこのPLCに接続していてもよい。通常、プログラム・ソフトウェアは、PLCソフトウェアをデバッグし、問題を解決するための機能を提供し、例えば、操作中、または、シミュレーションを介して、現在の状況を示すために論理の部分を強調表示する。このソフトウェアは、バックアップおよび復元の目的でPLCプログラムをアップロードおよびダウンロードすることができる。いくつかのPLCの例では、このプログラムは、パーソナルコンピュータからプログラミングボードを通してPLCへ移され、プログラミングボードは、そのプログラムを、SDカード、EEPROM、EPROMなどリムーバブルなメモリーチップに書き込む。このPLCは、構成、警報の報告、または日常的な制御の目的でユーザーと情報をやりとりするために用いてもよい。ヒューマンマシンインタフェース(HMI)は、このために使用される。HMIは、ヒューマンコンピュータインターフェース(HCI)、マンマシンインタフェース(MMI)、およびヒューマンマシンインタフェースに表示されるグラフィカルユーザーインタフェース(GUI)とも呼ばれる。単純なシステムでは、ユーザーと情報をやりとりするためにボタンおよびライトを使用してもよい。グラフィック・タッチスクリーンを用いてもよく、テキスト表示装置を用いてもよい。
【0026】
このシステム200は、顧客の既存のハードウェアと接続できるように構成されてもよい。例えば、このコントローラ210は、リモート監視・制御(SCADA)システム、および/またはデータ収集システム(DCS)などの顧客の既存の産業用の制御システムとの間でデータを送受信してもよい。典型的なSCADAシステムは、デスクトップまたはサーバーベースのコンピュータで稼働しているSCADAアプリケーションである。このコントローラ210は、複数のフローセンター240、複数の分散型のPLC310(後述する)および複数のオペレータ・インタフェース端末270などの遠隔システムのための複数の電力の供給を含んでもよい。
【0027】
図3は、本発明の実施例のフローセンター(流量センター、流量管理センター)240の概要である。このフローセンター240は、1つの分散型PLC310、1つのオペレータ・インタフェース端末270、および1つまたは複数の質量流量制御装置(マスフローコントローラ)320を含む。各質量流量制御装置320は、1つの流量制御弁322、1つのアクチュエータ324、および1つの流量センサ326を含む。各真空接続部232は、1つのマニホールド330および1つの真空ポンプ340と流体連通していてもよい。これらの真空ポンプ340および/またはマニホールド330は、クリーンルーム102の外の隙間となる領域に位置してもよい。
【0028】
このフローセンター240は、1つまたは複数の真空接続部232を含み、それらの各1つが、複数の空気サンプリング装置260のうちの1つと流体連通している。このフローセンター240は、真空接続部232を通じてそれぞれの空気サンプリング装置260から空気を吸引するように構成される。それらの真空接続部232を通じて吸引された空気は、1つのマニホールド330で集合され、真空ポンプ340へと排出される。その真空ポンプ340は、フローセンター240またはコントローラ210と流体連通していてもよい。(例えば、図2においては、真空ポンプ340の真空経路は、コントローラ210によって分岐され、複数のフローセンター240により調整される。)
【0029】
このフローセンター240は、分散型PLC310から各質量流量制御装置320に対し信号が送受信されながら、各真空接続部232の流量を個別に(独立して)監視および調整するように構成される。各質量流量制御装置320は、1つの流量制御弁322を含み、その弁をポジショニング(バルブ位置制御)することにより真空接続部232を通る流量を制御するように構成される。各質量流量制御装置320は、分散型PLC310から受け取る電気信号に基づいて、流量制御弁322を開閉するための電気信号を出力するように構成された1つのアクチュエータ324も含む。各質量流量制御装置320は、さらに、真空接続部を通る流量に基づいて分散型PLC310に電気信号を出力するように構成された1つの流量センサ326も含む。
【0030】
この流量センサ326は、真空接続部232を通過する空気の質量流量に比例した電気信号を出力するように構成される任意の好適な装置であってよい。例えば、この流量センサ326はキャピラリーであってもよく、キャピラリーは少量の空気を吸引し、流量に比例した温度の増加を検出し、抵抗値の変化(温度の増加による)を電圧に変換し、分散型PLC310に電流値を出力するように構成される。分散型PLC310は、電気信号を適切な工学単位に変換するように構成されたソフトウェアを含む。
【0031】
分散型PLC310は、任意の好適な方法によりコントローラ210と通信してもよい。例えば、この分散型PLC310は、無線または有線のネットワーク接続による一般的な産業用のプロトコル(または他のプロトコル)を使用して、コントローラ210と通信してもよい。この分散型PLC310は、各質量流量制御装置320の各流量センサ326から受け取る流量計測結果に基づいてこのフローセンター240の各真空接続部232の流量を監視して、コントローラ210または他のネットワーク装置に流量計測結果を出力するように構成される。
【0032】
分散型PLC310は、また、質量流量制御装置320のアクチュエータ324に電気信号を出力することによって、フローセンター240の各真空接続部232の流量を制御するように構成される。例えば、このフローセンター240は、分散型PLC310が、ユーザーにより設定された望ましい流量(または「設定値」)を、流量センサ326から受け取った流量の実測値(測定流量)と比較して、設定値と測定流量の差(「エラー」)を求めるように構成されてもよい。エラーが正であるか(測定流量が設定値より大きい)または負である(設定値が測定流量より大きい)かによって、分散型PLC310は、流量制御弁322を開くかまたは閉じるようにアクチュエータ324に電気信号を出力する。アクチュエータ324への電気信号出力は、エラーの大きさに比例していてもよい。例えば、エラーが小さい場合、分散型PLC310は、弁324を少しだけ開閉するようにアクチュエータ324に電気信号を出力する。エラーが大きい場合、分散型PLC310は、弁324をより大きく開閉するようにアクチュエータ324に電気信号を出力する。したがって、流量制御弁322のバルブポジションの変化(変量)は、エラーの大きさに比例していてよい。さらに、流量制御弁322が変化する速度(比率)は、質量流量の測定値がどれくらい急速に変化するかに比例してよい。これは、比例積分微分制御またはPID制御として公知である。
【0033】
従来システムにおいては、各真空接続部232の質量流量を手動で制御しなければならず、そのためには、各ライン上の流量スイッチを手動で調整して各弁のポジションを変える必要があった。真空接続部232のいくつかまたは全てが(例えば、1つのマニホールド330を介して)流体連通しているので、1つの真空接続部232の流量スイッチを調整することで、他の真空接続部232の質量流量に悪影響を及ぼすことがある。したがって、従来システムは、1つの真空接続部232の質量流量を調整するとともに、他の真空接続部232の質量流量を一定に維持するためには、複数の流量スイッチを調整する必要があった。さらに、追加で真空接続部232が作動したり、または、空気サンプリング装置260が起動したりした場合に、従来システムでは、複数の流量スイッチを調整しなければならない。このシステム200では、オペレータにより設定される個々の流量に各真空接続部232の質量流量を自動的に合わせることによって、従来システムのこの欠点を解決する。
【0034】
各フローセンター240は、オペレータ・インタフェース端末270を含んでもよく、インターフェース端末270は、ユーザーが容易にアクセスでき、各真空接続部232の質量流量を監視および制御できるグラフィカルユーザーインタフェース(GUI)を含む。さらに、各分散型PLC310は、所有権のある通信プロトコルおよびオープンソースの通信プロトコルを介して、コントローラ210および他の産業および企業向けの装置にネットワーク接続している。これらの分散型PLC310はネットワークに接続されているので、各真空接続部232の質量流量は、コントローラ210、他のオペレータ・インタフェース端末270(フローセンターと共通の場所に配置されていない端末)、および/またはオフィスコンピュータ、産業用ワークステーション、モバイル機器、またはウェブ・ブラウザを介した任意の他のインターネット対応コンピューティング装置から、監視および/または制御されてよい。これらの産業用の制御システムは、リモート監視・制御(Supervisory Control And Data Acquisition、SCADA)システム、データ収集システム(Data Collection Systems、DCS)、ヒューマンマシンインタフェース(Human Machine Interfaces、HMI)、製造実行システム(Manufacturing Execution Systems、MES)、プラント監視システム(Plant-Monitoring Systems、PMS)、および同様のシステムを含んでもよい。これらのコントローラ210、分散型PLC310、オペレータ・インタフェース端末270、および産業用の制御システムは、上記の通りネットワークを介して接続されてもよい。それらのネットワーク接続したシステムは、それぞれインターネットを介して遠隔でアクセスされてもよい。
【0035】
1つまたは複数の空気サンプリング装置(空気採取装置)260または真空接続部232が遮断された場合、それに対応する真空ポンプ340がオーバーヒートするか、または物的損害を被ることがある。損害を受けた真空ポンプ340には、火事を引き起こすかまたは破片が投げ出されることにより、人員の安全を脅かす可能性がある。この潜在的な安全上の危険を最小化するために、各真空ポンプ340はコンタクタ(接触器)350を含み、それぞれの真空ポンプ340への電力の供給を制御する。このシステム200では、流量が1つまたは複数の流量センサ326により検出されない場合に、コンタクタ350が真空ポンプ340から電源を自動的に切断するように構成されてもよい。さらに、各コンタクタ350は、非常停止ボタン352を含んでもよく、それが作動されると、真空ポンプ350へのすべての電力接続を中断して、分散型PLC310、コントローラ210、および/または他のネットワーク接続機器に警報信号を出力する。この非常停止ボタン352に加えて、各コンタクタ350は、オペレータ・インタフェース端末270または他のネットワーク接続機器のグラフィカルユーザーインタフェース(Graphical User Interface、GUI)に含まれるソフトウェアベースの非常停止ボタンによって制御されてもよい。ネットワーク接続機器のいずれかにより非常事態が検出された場合、もしくは、非常停止ボタン352またはソフトウェアベースの停止ボタンのうち1つが他のネットワーク接続機器上で選択された場合は、GUIがそれを示す表示を出力してもよい。
【0036】
このシステム200では、ある真空ポンプ340と流体連通している複数の真空接続部232のうち任意の1つが異常に低い質量流量(例えば、0)の状態であるという判定に応答して、その真空ポンプ340に供給される電力を自動的に切断するようにも構成される。従来システムでは、すべてのサンプルポイントが手動で中断された場合にのみ真空ポンプをシャットダウンするのに対して、このシステム200では、空気サンプリング装置260または真空接続部232が遮断されると損傷を受ける真空ポンプ340に対し、さらなる保護を提供する。
【0037】
上記の通常操作に加えて、このシステム200は、補助モード(または分離モード)に入るように構成されてもよく、このモードでは、システム200が真空接続部232および空気サンプリング装置260をパージするように構成される。米国特許第8,169,330号(本願明細書に参考として組み込まれる)に、パージング・プロセスの例が記載されている。このシステムは、複数の真空接続部232と流体連通している1つまたは複数のパージ・ポンプ(図示せず)を含んでいてよい。各真空接続部232は、複数の空気サンプリング装置260からの空気がフローセンター240を迂回して、代わりにパージ・ポンプへと流れるように構成されたアイソレータ装置(分離装置、図示せず)を含んでもよい。このアイソレータ装置は、フローセンター240と共通の場所、またはフローセンター240の外に配置されてよい。これらのアイソレータ装置およびパージ・ポンプは、上記の通りネットワークを介して接続されてもよい。
【0038】
上述の通り、このシステム200は、グラフィカルユーザーインタフェース(GUI)がオペレータ・インタフェース端末270または他のネットワーク接続機器のいずれかで利用可能であるように構成されてよい。このGUIは、コントローラ210、フローセンター240、または他のネットワーク接続機器から受け取った、それぞれのポート(例えば、空気サンプリング装置260)および真空ポンプ340に関する情報を表示する。このシステム200は、ユーザーがGUIを介してシステム全体のポート(例えば、空気サンプリング装置260)または真空ポンプ340のいずれかを制御できるように構成されてもよい。例えば、図2および図3において、ユーザーは、オペレータ・インタフェース端末270a(空気サンプリング装置260aの隣に位置してもよい)から、GUIを介して空気サンプリング装置260bのための設定値を入力することによって、空気サンプリング装置260bの空気サンプリングの流量を調整してもよい。そのユーザー入力により、このシステム200では、オペレータ・インタフェース端末270aから、空気サンプリング装置260bと流体連通している真空接続部232bに関連する分散型PLC310へ信号を送ってもよい(例えば、無線信号285を介してコントローラ210へ、そして有線または無線信号を介してフローセンター240aの分散型PLC310へ)。フローセンター240aの分散型PLC310は、アクチュエータ324bに信号を送信して流量制御弁322bを調整し、流量センサ324bから真空接続部322bの質量流量に関する信号を受け取る。分散型PLC310は、真空接続部232bの質量流量がユーザー入力に対応する(例えば、予め定められた誤差範囲内になる)まで、上記の通りに、流量センサ324bからの信号に応答して流量制御弁322bを調整する。真空接続部232bはマニホールド330を介して真空接続部232aとも流体連通しているので、上述の真空接続部232bの流量を調整することは、真空接続部232aの流量に間接的に影響を及ぼすことがある。したがって、分散型PLC310は、流量センサ326aから真空接続部232aの質量流量の更新された測定値を受け取り、さらに、アクチュエータ324aに信号を送信し、真空接続部232aの質量流量が、空気サンプリング装置260aに対して予め定められた設定値に一致するまで、真空接続部232aの質量流量の間接的な変化を補償してもよい。
【0039】
図4は、本発明の実施例によるGUIの概要表示画面(オーバービュースクリーン)400を示す。この概要表示画面400は、トップツールバー(上ツールバー)410を含んでいてもよく、トップツールバー410は、上述のシステム停止要求を出すソフトウェアベースの非常停止ボタン412を含む。ユーザーは、このトップツールバー410上の複数のナビゲーションボタンを使用して複数のスクリーン(画面)を遷移(ナビゲート)して、アカウントのログインまたはログアウト、システム設定へのアクセス、サンプルポイント(例えば、各流量センサ326)の監視、真空ポンプ340の監視、システムアクティビティのログの表示を行い、さらに、この概要表示画面400に戻ることができる。この概要表示画面400は、1つまたは複数のポートに関する複数の動作パラメータを含む概要表示エリア450を含む。例えば、概要表示エリア450は、名前452、位置454、状態456、現在の流量458、サンプリング時間460、およびサンプリングされた体積(採取済み体積、サンプリング体積)462を含んでもよい。サンプリングの際、概要表示エリア450はサンプリング残体積および/または残り時間を含んでもよい。また、概要表示エリア450は、ポートが休止状態であるときは休止時間464(サンプリングがどのくらいの時間休止状態であったか)、アイソレータ・モード中は残り時間、サンプリングのときは残体積もしくは残り時間、および/またはサンプルが警報状態である場合の警報継続時間も含んでもよい。概要表示画面400は下ツールバー490を含んでいてもよく、このツールバー490は、システム200について説明する画面に遷移するアバウトボタン492、各ポートを監視および制御するための画面に遷移する複数のポートボタン494、ユーザー名496、および日時498を含む。
【0040】
各ポートは、複数の空気サンプリング装置260のうちの1つに対応する。各ポートの複数の動作パラメータは、GUIを介してユーザーにより設定され、および/または、対応する空気サンプリング装置260と流体連通している真空接続部232に対応する流量制御装置320の流量センサ326により測定される。
【0041】
このシステム200は、所望の流量で、対象物265をサンプリング(採取)する。このシステム200は、予め設定された時間(設定時間)が経過し、および/または予め設定された体積(設定体積)がサンプリングされると自動的に終わるように調節可能に構成されてもよい。ユーザーは、GUIにより、この設定時間を調整することと、この設定体積を調整することと、この設定時間、またはこの設定体積のいずれか、もしくはその両方に達すると自動的に終了するようにシステムを構成することができる。流量が警報の許容範囲を越えて所定の流量から逸脱する場合、このシステム200はネットワーク接続機器に警報を出力する。ユーザーは、このGUIにより、警報に呼応してサンプリングを停止できる。ユーザーは、また、このGUIにより、所望の流量および許容範囲を設定および/または調整することもできる。このGUIは、立方フィート毎分(CFM)、リットル毎分(LPM)、または立方メートル毎分(CMM)のいずれかで流量を示すように構成されてもよい。このGUIは、立方フィート(CF)、リットル(L)または立方メートル(CM)により体積の単位を表示するように構成されてもよい。このシステム200は、上述のアイソレータ・モードに入るように構成されてもよい。このシステム200は、手動で中止されるまで、または予定時間が経過するまで、アイソレータ・モードを維持するように構成されてもよい。ユーザーは、このGUIにより、手動でアイソレータ・モードを中断したり、アイソレータ・モードが自動的に終了する予定された時間を設定または調整することができる。
【0042】
トップツールバー410は、GUIのフロアプラン画面500へ遷移するフロアプランボタン414を含んでもよい。図5は、本発明の実施例によるフロアプラン画面500のうちの1つを示す。フロアプラン画面500は、上述のトップツールバー(上ツールバー)410および下ツールバー490を含んでもよい。各フロアプラン画面500は、ゾーンフロアプランエリア550を含んでもよく、エリア550は建屋図のイメージに重ねて表示された動作パラメータを含む。図5で示された実施例では、このゾーンフロアプランエリア550は、ゾーン#1と示されるシステム200の一部の建屋図552を含み、ルーム170のポート1~3を含む。このゾーンフロアプランエリア550は、各ポートに関する複数の動作パラメータ、例えば、名前452、場所454、ステータス(状態)456、現在の流量458、サンプリング経過時間460、サンプリングされた体積(採取済み容量、サンプリング体積)462、およびサンプリング残体積(残容量)または残り時間464のどちらかを含んでもよい。
【0043】
複数のポートボタン494のうち1つを選択すると、そのポートボタン494が示すポートに対応するポート画面(ポートスクリーン)600に遷移する。図6は、本発明の実施形例によるポート画面600のうちの1つを示す。ポート画面600は、上述のツールバー410および490を含んでもよい。ポート画面600は、それらのポートのうち1つの概要を表示するポートエリア650を含んでもよい。図6に図示された実施例では、このポートエリア650は、ポート#2のプロセス情報を含む。プロセス情報は、選択されたポートの、名前452、配置454、ステータス456、現在の流量458、サンプリング経過時間460、サンプリングされた体積(サンプリング体積)462、およびサンプリング残体積664または残り時間464(該当する場合)のいずれかを含んでもよい。さらに、このポートエリア650は、選択されたポートの流量のグラフィカル表示652を含んでもよい。警報654は発生時に表示されてもよく、異常状態を示すために色を変えることができる。またこのポートエリア650は、サンプリングプロセスを開始するように構成された開始ボタン656および/またはサンプリングプロセスを中止(中断)するように構成された中止ボタン658を含んでもよい。ユーザーは、設定画面に遷移して、所望の流量や、サンプリングを終えるまでの設定時間および/または設定体積(設定容量)など様々なプロセス制御設定を変更することができる。
【0044】
図7は、本発明の実施例によるラベリング画面(ラベリングスクリーン)700を例示する。ラベリング画面700は、上述のツールバー410および490を含んでもよい。またラベリング画面700を含んでもよく、この画面700では、ユーザーが各ポートおよび/または各ポートの位置にラベル付け(名前付け)してもよい。
【0045】
このシステム200は、独立した個々のポートが1つのグループとして制御されてもよいように構成される。図8は、本発明の実施例による、グループ制御画面(グループ制御スクリーン)800を示す。このグループ制御画面800は、単一のユーザー操作によって、複数のポートグループ(例えば、1つの部屋または1つの部屋の区画にある複数またはすべてのポート)を制御するための複数のグループを含むエリア850を含む。また、このグループ制御画面800は、全ポートエリア860を含んでもよい。各グループのエリア850は、そのグループに含まれる各ポートの空気をサンプリングするプロセスを開始および中止するように構成される開始ボタン852および中止ボタン854を含んでもよい。
【0046】
このシステム200は、各システムイベントの時間および各イベントを命令したユーザーを記録するように構成される。図9は、本発明の実施例による、イベントログ画面900を示す。このイベントログ画面(イベントログスクリーン)900には、図4に図示されるトップツールバー410の1つのイベントログボタン416を介してアクセスすることができる。このイベントログ画面900は、各システムイベントの日付902、時間904、および説明906を含む。またこのシステム200は、イベントログの印刷、エクスポート、および/または外部システム上での表示が可能なように構成されてもよい。またこのイベントログ画面900は、警報をリセットするための警報リセットボタン910、イベントログを消去するためのログ消去ボタン912、および警報音を止めるための警報音停止ボタン914を含んでもよい。
【0047】
このシステム200は、(例えば、外部流量計を使用して)現場で較正されてもよい。したがって、このシステム200は、システムが動作流量の設定値が書き換えられるように設定されたメンテナンスモードを含んでもよい。このシステム200は、そのメンテナンスモードにおいて警報機能を無効にするように構成されてもよい。さらに、このシステム200ではユーザーが真空ポンプ340の整備(メンテナンス)の通知(リマインダー)を設定することができる。このシステム200は、メンテナンス通知(リマインダー)の期限をユーザーが設定できるように構成されてもよく、メンテナンス通知は、特定の日付、真空ポンプ340が前回メンテナンスされてからの日数、および/または、真空ポンプ340が前回メンテナンスされてからの真空ポンプ340の動作時間などである。このシステム200は、メンテナンス通知期限に近いかまたは超えたときに、ユーザーに、通知を出力するように構成されてもよい。
【0048】
このシステム200は、ユーザーアカウントに基づいてユーザーを認証するように構成され、それぞれのユーザーアカウントは、ユーザー名およびパスワードを有し、システムとの未承認の操作(対話、交流、インターラクション)を防止する。図10は、本発明の実施例によるセキュリティ画面(セキュリティースクリーン)1000を例示する。このセキュリティ画面1000では、ユーザーはユーザー名およびパスワードを使用してユーザーアカウントにユーザーとしてアクセスすることができる。ユーザーアカウントの種類の違いによって、ユーザーがアクセス権を有する機能は異なる。例えば、「ゲスト・ユーザー」アカウントはシステムの状態を見るのを許可されるが、コマンドを出すのは許可されず、「オペレータ」アカウントはシステムの開始および停止を許可され、「エンジニアリング」アカウントは特定の設定をするのを許可され、「管理者」アカウントはユーザーアカウント設定を許可される。
【0049】
ユーザーは、GUIにより、コントローラ210やオペレータ端末270などの日時を含む、システム200全体の日時を同期させることもできる。図11は、本発明の実施例による、日時画面1100を示す。
【0050】
ユーザーは、GUIにより、個々の真空ポンプ340を監視することもできる。図12は、本発明の実施例による、ポンプ概要表示画面(ポンプオーバービュースクリーン)1200を示す。このポンプ概要表示画面1200は、ツールバー410および419を含んでもよく、トップツールバー410の1つのポンプボタン418を選択することによってユーザーがアクセスすることができる。GUIは、このシステム200に設置されたそれぞれの真空ポンプ340用のポンプ概要表示画面1200を含んでもよい。図12に図示される実施例では、ポンプ概要表示画面1200は、ポンプ番号1のプロセス情報を表示するポンプ概要表示セクション1250を含む。このプロセス情報は、名前1052、設置位置1054、状態1056(作動中または非作動中)、現在の稼働時間1058および全稼働時間1058を含んでもよい。現在の稼働時間1058は、真空ポンプ340が停止された後の稼働時間である。全稼働時間1058は、すべての稼働時間の合計であり、オペレータによってリセットされてもよい。
【0051】
このシステム200は、システム200が、サンプリングにより何らかの警報状態を感知したり、または、異常状態が発生した場合に、警報通知を出力するように構成されてもよい。このシステム200は、GUIを介して複数のオペレータ・インタフェース端末270または他のネットワーク接続機器への警報通知を出力してもよい。警報信号は、異常な流量状態、システムフローの欠如(ロス)、または、非常停止ボタン352またはソフトウェアベースの非常停止ボタン412が押された場合に応答して出力されてもよい。例えば、警報表示は、赤色または「アラーム」という文字であらゆるネットワーク接続画面に出力してもよい。警報表示は、イベントログに記録されてもよい。警報状態は、リセットされるまでそのままの状態であってもよい。特定のユーザーだけが、その警報状態をリセットするように許可されてもよい。
【0052】
GUIによる警報の表示出力に加えて、システム200は、警報状態を示すために複数のパイロットランプおよび複数のライトスタック(積層表示パネル)を含んでもよい。例えば、各フローセンター240および各真空ポンプ340に対応したパイロットランプまたはライトスタックを含んでもよい。フローセンター240または真空ポンプ340の1つが警報状態になった場合、警報状態にあるフローセンター240または真空ポンプ340と関連したパイロットランプまたはライトスタックにより警報を表示出力することができる。
【0053】
警報表示に加えて、警報音が警報状態に応じて出力されてもよい。オペレータ・インタフェース端末270は、警報音を出力するためのスピーカを含んでもよい。
【0054】
複数のプロセスパラメータは、このシステム200のネットワーク接続ハードウェアの各コンポーネント間で送受信することができる。さらに、このシステム200は、複数の外部システムを介して(例えば、ウェブブラウザまたはリモートデスクトップクライアントを介して)権限を持つユーザーからのコマンドを受信するように構成されてもよい。このシステム200は、外部システムから電気信号を個別のコマンドとして受信するように構成されてもよい。外部システムは、プロセスの開始、警報のリセット、警報の起動のための電気的なコマンドを送ってもよい。このシステム200は、外部システムに対してステータスを示す電気信号を提供する。このシステム200は、個々のプロセスの状態を提供するように構成されてもよい。
【0055】
本発明の実施形態の態様では、個々の真空接続部の質量流量をオペレータが設定する個々の流量に自動的に合わせることによって、従来システムの欠点を解決する。さらに、本発明の実施形態の態様では、ユーザーが複数のネットワーク接続機器を介してシステムの態様を監視および制御することができる。さらに、本発明の実施形態の態様では、物理的な非常用ボタン、ネットワーク接続機器に利用可能なソフトウェアベースの非常停止ボタン、および、真空ポンプに潜在的な影響を与える可能性のある異常な質量流量の測定値に対する自動的な電源切断に応答して、真空ポンプの電源を切ることができる。
【0056】
また、このシステム200は、真空ポンプ340と流体連通している複数の真空接続部232のいずれか1つが異常に低い質量流量(例えば、0)であるという判定に応じて、その真空ポンプ340に供給される電力を自動的に切断するようにも構成されている。従来システムでは、すべてのサンプルポイントが手動で遮断された場合にのみ真空ポンプをシャットダウンするのに対して、このシステム200では、空気サンプリング装置260または真空接続部232の遮断により損傷を受ける真空ポンプ340に対する保護を追加できる。
【0057】
本明細書に記載されている実施形態および「一実施例」、「実施形態」、「実施例」などとして参照されている形態は、記載されている1つまたは複数の実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含んでもよく、しかしながら、それらの実施形態が必ずしも、その特定の特徴、構造、または特性を含まなくてもよいことを示す。さらに、それらの特徴などは、必ずしも同じ実施形態では参照されていない。さらに、ある実施例に関連して記載されている特定の特徴、構造、または特性は、それが明示的に記載されているか否かを問わず、当業者であれば、他の実施形態に関して、それらの特徴、構造、または特性を波及させることができる。
【0058】
本発明の実施形態(特に1または複数のコントローラ210、1または複数のフローセンター240、1または複数のオペレータ・インタフェース端末270、1または複数の分散型PLC310、および、1または複数の質量流量制御装置320など)は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装されてもよく、自動化されたコンピューティング機器を用いずに実装されてもよい。また、本発明の実施形態は、機械可読媒体に保存された複数の命令として実装されてもよく、1つまたは複数のプロセッサまたは処理デバイスによって読み込まれ、実行されてもよい。機械可読媒体は、マシン(例えばコンピューティング装置)によって読み込み可能なフォーマットの情報を保存または送信する任意のメカニズムを含んでもよい。例えば、機械可読媒体またはデータベース(例えばデータベース290)は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、PDA、携帯電話、および他のポータブル機器のハードウェア・メモリー、磁気ディスク記憶装置媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリ装置、電気、光学、音響、または他の形式の伝達信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号、アナログ信号など)などを含んでもよい。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、および命令とは、本願明細書において、特定の動作を実行するものとして例示されているものである。しかしながら、これらの説明は単に便宜のためだけであり、実際にはこれらの動作は、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、および命令などを実行しているコンピューティング装置、プロセッサ、コントローラ、または他の装置の結果として生じることが理解されるべきである。
【0059】
本発明の1つの利点は、制御された環境における空気の採取を監視および制御するために必要な空気サンプリング装置および関連したコンポーネントの構成を単純化することで、従来の流量スイッチなど特定のコンポーネントを不要としたことである。また、本発明は、ディスプレイの再編成について高い柔軟性も提供しており、空気の採取および監視と関連した任意の数の個々のパラメータ、例えば、以下に限定されないが、場所の名称、サンプリング時間、または空気品質テスト時間を含むパラメータを表示できる。
以上には、制御された環境において複数の位置の空気をサンプリングするためのシステムであって、所定の制御された環境内で所定の体積の空気を監視およびテストするように構成された複数の空気サンプリング装置と、複数の真空接続部であって、各一つが前記体積の空気を前記複数の空気サンプリング装置の1つから受け取るように構成された複数の真空接続部と、複数の流量制御弁であって、各1つが前記複数の真空接続部の1つにより受け取る前記体積の空気の質量流量を制御するように構成された複数の流量制御弁と、複数の流量センサであって、各1つが前記複数の真空接続部の1つにより受け取る前記体積の空気の前記質量流量を検出するように構成された複数の流量センサと、前記複数の真空接続部により受け取る空気の前記質量流量を監視および制御するように構成されたプログラマブルロジックコントローラ(PLC)を含むフローセンターと、前記複数の真空接続部により受け取る空気の前記質量流量を監視および制御するように構成されたグラフィカルユーザーインタフェース(GUI)を含むオペレータ・インタフェース端末とを有するシステムが開示されている。前記PLCが、さらに、前記複数の真空接続部の望ましい質量流量を表す設定値を受信することと、前記設定値を保存することと、前記複数の流量センサから、前記複数の真空接続部のそれぞれの前記質量流量を表す測定流量を受信することと、前記測定流量と前記設定値との差を表すエラーを求めることと、複数のアクチュエータに制御信号を出力し、各1つが前記流量制御弁の1つを開閉するように構成された前記複数のアクチュエータにより、前記測定流量と前記設定値との差を減らすこととを行うように構成されていてもよい。前記複数の流量制御弁はそれぞれ、それぞれの流量制御弁に対応する前記真空接続部の前記設定値と前記測定流量との差の大きさに比例して、その流量制御弁のポジションを変えて調整するように構成されていてもよい。前記複数の流量制御弁はそれぞれ、それぞれの流量制御弁に対応する前記真空接続部の前記測定流量の変化率に、その流量制御弁のポジションの変化率が比例して開閉するように構成されていてもよい。
当該システムは、前記複数の真空接続部が受け取る前記体積の空気の前記質量流量を表すデータを、ネットワーク接続を介して外部デバイスに出力するように構成されていてもよい。前記外部デバイスは、リモート監視・制御システムまたはデータ収集システムであってもよい。前記ネットワーク接続はインターネットを介した通信を含み、前記外部デバイスがウェブブラウザまたはリモートデスクトップ・アプリケーションを介してデータを受信してもよい。
当該システムは、外部デバイスから受け取る設定値に基づいて、前記複数の真空接続部の1つにより受け取る前記体積の空気の前記質量流量を制御するように構成されていてもよい。当該システムは、インターネットを介してウェブブラウザまたはリモートデスクトップ・アプリケーションから受け取る設定値に基づいて、前記複数の真空接続部の1つにより受け取る前記体積の空気の前記質量流量を制御してもよい。前記複数の真空接続部はそれぞれ、1つのマニホールドを介して1つの真空ポンプと流体連通しており、前記真空ポンプが前記複数の空気サンプリング装置から前記体積の空気を吸引してもよい。前記真空ポンプは、前記真空ポンプへ電源を供給および制御するように構成された接触器をさらに有し、前記接触器が前記真空ポンプへの電源を切断するように構成された非常停止ボタンを含んでもよい。前記グラフィカルユーザーインタフェースが前記真空ポンプへの電源を切断するように構成される非常停止ボタンを有してもよい。当該システムは、前記真空ポンプに流体連通している前記真空接続部の1つにより受け取る前記体積の空気の前記質量流量が予め定められた閾値以下であるとの判定に応じて、前記真空ポンプへの電源を切断するように構成されていてもよい。前記オペレータ・インタフェース端末が前記フローセンターと共通の場所に配置されていてもよい。前記オペレータ・インタフェース端末が前記複数の空気サンプリング装置の1つと共通の場所に配置されていてもよい。
上記には、制御された環境において複数の位置の空気をサンプリングするための方法が開示されており、以下のステップを含む。
複数の空気サンプリング装置により、制御された環境内で複数の体積の空気を監視およびテストすることと、
複数の真空接続部により、前記複数の空気サンプリング装置それぞれから前記複数の体積の空気を受け取ることと、
複数の流量制御弁により、前記複数の真空接続部のそれぞれにより受け取る前記複数の体積の空気の質量流量を制御することと、
複数の流量センサにより、前記真空接続部のそれぞれにより受け取る空気の前記複数の体積の質量流量を検出することと、
プログラマブルロジックコントローラ(PLC)を含むフローセンターにより、前記複数の真空接続部のそれぞれにより受け取る空気の前記質量流量を監視することと、
グラフィカルユーザーインタフェース(GUI)を含むオペレータ・インタフェース端末に、前記複数の真空接続部のそれぞれにより受け取る空気の前記質量流量を表すデータを出力することと、
前記GUIを介して前記オペレータ・インタフェース端末から、前記複数の真空接続部の1つの所望の質量流量を表す設定値を受信することと、
前記設定値に基づいて前記複数の真空接続部の1つにより受け取る空気の前記質量流量を制御すること。
この方法はさらに以下のステップを含んでもよい。
前記複数の真空接続部の所望の質量流量を表す設定値を受け取ることと、
前記設定値を保存することと、
前記複数の流量センサから前記複数の真空接続部の前記質量流量を表す測定流量を受け取ることと、
前記測定流量と前記設定値との差を表すエラーを求めることと、
複数のアクチュエータであって、各1つが前記複数の流量制御弁の1つを開閉するように構成された複数のアクチュエータに信号を出力し、前記測定流量と前記設定値との差を減らすこと。
この方法は、前記複数の流量制御弁のそれぞれを、その流量制御弁の位置の変化が、その流量制御弁に対応する前記真空接続部の前記測定流量と前記設定値との差の大きさに比例するように、調節することをさらに有してもよい。この方法は、前記複数の流量制御弁のそれぞれを、その流量制御弁の位置の前記変化が、その流量制御弁に対応する前記真空接続部の前記測定流量と前記設定値との差の変化率に比例するように調節することをさらに有してもよい。この方法は、ネットワーク接続を介して、前記複数の真空接続部により受け取る前記複数の体積の空気の前記質量流量を表すデータを外部デバイスに出力することをさらに有してもよい。この方法は、前記複数の真空接続部により受け取る前記複数の体積の空気の前記質量流量を表すデータをリモート監視・制御システムまたはデータ収集システムに出力することをさらに有してもよい。この方法は、前記複数の真空接続部により受け取る前記複数の体積の前記質量流量を表すデータをウェブブラウザまたはリモートデスクトップ・アプリケーションを介して外部デバイスに出力することをさら有してもよい。この方法は、前記複数の真空接続部の1つにより受け取る前記体積の空気の前記質量流量を外部デバイスから受け取る設定値に基づいて制御することをさらに有してもよい。この方法は、前記複数の真空接続部の1つにより受け取る前記体積の空気の前記質量流量をインターネットを介してウェブブラウザまたはリモートデスクトップ・アプリケーションから受け取る設定値に基づいて制御することをさらに有してもよい。この方法の、制御された環境内で空気の前記複数の体積を監視およびテストすることは、マニホールドを介して真空ポンプにより、前記複数の真空接続部を通じて前記複数の空気サンプリング装置から前記複数の体積の空気を吸引することをさらに有してもよい。この方法は、前記真空ポンプへの電源を切断するように構成された非常停止ボタンを有する接触器を介して前記真空ポンプへの電源を供給および制御することをさらに有してもよい。この方法は、前記グラフィカルユーザーインタフェースの一部として、前記真空ポンプへの電源を切断するように構成された非常停止ボタンが設けられていてもよい。この方法は、前記真空ポンプに流体連通している前記複数の真空接続部の1つにより受け取る前記体積の空気の前記質量流量が予め定められた閾値以下にあると前記真空ポンプへの電源を切断することをさら有してもよい。前記オペレータ・インタフェース端末は、前記フローセンターと共通の場所に配置されてもよい。前記オペレータ・インタフェース端末は、前記複数の空気サンプリング装置の1つと共通の場所に配置されてもよい。
【0060】
前述の説明により、本発明のこれらおよび他の利点は当業者にとって明らかである。したがって、本発明の広義の概念を逸脱しない範囲で、上記の実施形態に変更または修正がなされてもよいと当業者は認識すべきである。本発明が、本明細書において記載されている具体的な実施形態に限定されず、本発明の範囲および趣旨の範囲内であるすべての変更と修正を含むことを目的とすることを理解すべきである。
図1
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図12