(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】ロボットアーム、ロボットアームインサート射出成形用金型及びロボットアームインサート射出成形方法
(51)【国際特許分類】
B29C 33/14 20060101AFI20231012BHJP
B29C 45/14 20060101ALI20231012BHJP
B29C 70/68 20060101ALI20231012BHJP
B25J 18/00 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
B29C33/14
B29C45/14
B29C70/68
B25J18/00
(21)【出願番号】P 2019223207
(22)【出願日】2019-12-10
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】391006083
【氏名又は名称】三光合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095740
【氏名又は名称】開口 宗昭
(72)【発明者】
【氏名】安田 満雄
(72)【発明者】
【氏名】小西 勉
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-131590(JP,A)
【文献】特開平08-057791(JP,A)
【文献】特開2011-140975(JP,A)
【文献】特開2018-176337(JP,A)
【文献】実開平01-061854(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00 - 33/76
B29C 45/00 - 45/84
B29C 70/00 - 70/88
B25J 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂と繊維を複合した複合樹脂からなる機能部がFRP製筒体の外径側に
取り付けられ、前記FRP製筒体が貫通孔を有し、前記貫通孔に前記熱可塑性樹脂と繊維を複合した複合樹脂が充填されており、前記FRP製筒体の内側に前記熱可塑性樹脂と繊維を複合した複合樹脂内側片が形成されており、その複合樹脂内側片の溶融温度以上の溶融温度を有する内筒体が前記FRP製筒体の内側に装着され、前記内筒体の前記FRP製筒体内側面との当接面に溝が形成され、前記溝が前記貫通孔の開口と連通する態様で前記内筒体が装着されてなることを特徴とするロボットアーム。
【請求項2】
前記機能部が前記熱可塑性樹脂と繊維を複合した複合樹脂と補強体とからなり、前記補強体が一体な金属製の環状片と取付部とよりなる請求項1に記載のロボットアーム。
【請求項3】
前記取付部には前記機能部を別部材に装着するための装着ねじ部が設けられている請求項2に記載のロボットアーム。
【請求項4】
前記取付部には前記機能部を別の部材に装着する際の別部材に対する装着面が形成されている請求項2記載のロボットアーム。
【請求項5】
前記内筒体は環状に形成され、この内筒体に、前記溝が環状に形成され、前記複合樹脂内側片が環状に形成されてなる
請求項1に記載のロボットアーム。
【請求項6】
FRP製筒体を熱可塑性樹脂と繊維を複合した樹脂でインサート射出成形するための金型であり、FRP製筒体内側を支持する中子と熱可塑性樹脂と繊維を複合した複合樹脂を前記FRP製筒体の外径側で成形する金型部とより成るロボットアームインサート射出成形用金型において、
進退動するロッドを有する傾斜コアを備え、前記ロッドの進退動に伴い前記傾斜コア先端部の傾斜機能部の内側を進退するプレートが前記ロッドの先端部に装着され、前記傾斜機能部はその最先端部が外側に拡開可能な円環状にされ、最大に拡開した状態で円環状の外側面がFRP製円筒体内側面に当接可能にされてなることを特徴とするロボットアームインサート射出成形用金型。
【請求項7】
前記中子には前記FRP製筒体の内側から外側に貫通する貫通孔に連通する凹部が形成される請求項6に記載のロボットアームインサート射出成形用金型。
【請求項8】
前記中子には前記FRP製筒体の内側に装着された内筒体を収納する内筒体収納部が形成され、前記内筒体収納部に収納される前記内筒体はそのFRP製筒体の内側当接面に溝が形成され、前記溝が前記貫通孔開口と連通する態様で前記内筒体が装着されるように前記中子が配置されてなる請求項7に記載のロボットアームインサート射出成形用金型。
【請求項9】
FRP製筒体内側を支持する中子と熱可塑性樹脂と繊維を複合した複合樹脂を前記FRP製筒体の外径側で成形する金型部とより成るロボットアームインサート射出成形用金型を用いて行うロボットアームインサート射出成形方法であり、FRP製筒体内側を中子によって支持して熱可塑性樹脂と繊維を複合した複合樹脂を前記FRP製筒体の外径側で射出成形することを特徴とするロボットアームインサート射出成形方法。
【請求項10】
前記中子には前記FRP製筒体の内側から外側に貫通する貫通孔に連通する凹部が形成され、熱可塑性樹脂と繊維を複合した複合樹脂を前記FRP製筒体の外径側で射出成形する際に前記貫通孔及び前記凹部に前記複合樹脂を充填する請求項9に記載のロボットアームインサート射出成形方法。
【請求項11】
FRP製筒体の内側に内筒体を装着し、前記中子には前記内筒体を収納する内筒体収納部を形成し、前記内筒体収納部に収納される前記内筒体のFRP製筒体内側当接面に形成された溝が前記FRP製筒体の内側から外側に貫通する貫通孔開口と連通する態様で前記内筒体が装着されるように前記中子を配置する請求項10に記載のロボットアームインサート射出成形方法。
【請求項12】
前記内筒体の剛性を前記FRP製筒体以上とする請求項11に記載のロボットアームインサート射出成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FRP(繊維強化プラスチックス)製の筒体を熱可塑性樹脂と繊維を複合した樹脂でインサート射出成形して成るロボットアームに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に例えばレーザー加工等に用いる工業用ロボットは1/100mm程度の先端精度が必要であり、そのためには高い剛性が必要であった。これに対して近年、少子高齢化の進展と共に人間の間で、人間と共にあるいは人間を補助して動作する工業用ロボットの必要性が高まって来ている。この様な工業用ロボットには従来の工業用ロボットの様な高い剛性は必要ではなくむしろ省エネルギーの観点や地球環境保全の観点等から、軽量化が強く望まれている。その一つの手段としてロボットアームの本体部分をFRP製筒体に代替させることが検討されてきた。その際、使用する強化繊維にも種々あり、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等が検討されているが、この中で特に、比強度、比弾性率の面で優れた炭素繊維を強化繊維とするCFRP(炭素繊維強化プラスチックス)が有力とされている。
【0003】
この本体部分をFRP製筒体としてなるロボットアームは本体部分に機能部分を装着して各種機能を果たすことが可能となるようにする必要がある。このFRP製筒体からなる本体部分への機能部分の装着には、FRP製筒体の捩り強度とバランスが採れた接合法が必要とされている。
【0004】
特許文献1にはFRP製円筒体の端部に金属製の継ぎ手が圧入される機械装置部品において、必要とされる高い捩り強度を確保しつつ、金属製継ぎ手の圧入接合操作に伴うFRP製円筒体端部からの損傷の発生を防止し、かつ、その部分の劣化進行も防止し得る構造を提供することを課題としてFRP製円筒体と、該FRP製円筒体の端部に圧入された金属製継ぎ手との機械装置部品であって、FRP製円筒体の端面から軸方向にスリット加工が施されていることを特徴とする機械装置部品が開示された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし特許文献1に開示された機械装置部品はFRP製円筒体の端部に金属製継ぎ手を圧入してなるものであり、金属製継ぎ手を用いるという点で未だ軽量化が不十分であるという問題がある。
しかも人間の間で、人間と共にあるいは人間を補助して動作するロボットに剛性が過剰な金属製継ぎ手を用いることは危険を伴い用途に対する適性を欠くという問題がある。
本発明は以上の従来技術における問題点に鑑み、必要とされる高い捩り強度を確保しつつ、本体部分をFRP製筒体としてなるロボットアームの本体部分に機能部分を装着して充分に軽量でしかも人間の間で、人間と共にあるいは人間を補助して動作するロボットアームとして安全性が高いロボットアーム、ロボットアームインサート射出成形用金型及びロボットアームインサート射出成形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係るロボットアームは、FRP製筒体を熱可塑性樹脂と繊維を複合した樹脂でインサート射出成形して成り、前記熱可塑性樹脂と繊維を複合した複合樹脂からなる機能部が前記FRP製筒体の外径側に成形されて成ることを特徴とする。
【0008】
また本発明のロボットアームインサート射出成形用金型は、FRP製筒体を熱可塑性樹脂と繊維を複合した樹脂でインサート射出成形するための金型であり、FRP製筒体内側を支持する中子と熱可塑性樹脂と繊維を複合した複合樹脂を前記FRP製筒体の外径側で成形する金型部とより成る。
【0009】
さらに本発明のロボットアームインサート射出成形方法は本発明のロボットアームインサート射出成形用金型を用いて行うロボットアームインサート射出成形方法であり、FRP製筒体内側を中子によって支持して熱可塑性樹脂と繊維を複合した複合樹脂を前記FRP製筒体の外径側で射出成形することを特徴とする。
【0010】
FRP製筒体としては、とくに強化繊維が少なくとも比強度、比弾性率に優れた炭素繊維を含むものであることが、高い強度や捩りトルク伝達特性発現の点から好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のロボットアームによれば、必要とされる高い捩り強度を確保しつつ、充分に軽量でしかも人間の間で、人間と共にあるいは人間を補助して動作する機械装置として安全性が高いロボットアームとすることができる。また本発明のロボットアームインサート射出成形用金型及びロボットアームインサート射出成形方法によれば、本発明のロボットアームを生産性高く生産することができる。、
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1本発明の一実施の形態のロボットアームの斜視図である。
【
図3】
図2の部分断面図と同一部分について上下方向を反転させて示す斜視図である。
【
図4】本発明の他の実施の形態のロボットアームであり、
図2の部分断面図と同一部分について上下方向を反転させて示す他の斜視図である。
【
図5】本発明の他の実施の形態のロボットアームの部分断面図である。
【
図6】本発明のさらに他の実施の形態のロボットアームの部分断面図である。
【
図7】
図6に示す実施の形態のロボットアームの部分切り欠き斜視図である。
【
図8】
図6に示す実施の形態のロボットアームの他の部分切り欠き斜視図である。
【
図9】
図6に示す実施の形態のロボットアームのさらに他の部分切り欠き斜視図である。
【
図10】
図6に示す実施の形態のロボットアームの別の部分切り欠き斜視図である。
【
図11】本実施の形態のロボットアームインサート射出成形用金型の(a)上面図、(b)側面図である。
【
図12】本発明のロボットアームを実際に製造するための型構造の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施の形態のロボットアーム1を示す。
ロボットアーム1はFRP製筒体の一態様であるFRP製円筒体2を熱可塑性樹脂と繊維を複合した樹脂でインサート射出成形して成り、熱可塑性樹脂と繊維を複合した複合樹脂からなる機能部3a、3bがFRP製円筒体2両端の外径側に成形されて成る。機能部3a、3bは例えば図示しない動作部、把持部、関節部等との継ぎ手として機能する。
【0014】
図2、
図3に示す様に本実施の形態のロボットアーム1ではFRP製円筒体2が貫通孔4を有し、機能部3a、3bが射出成形されると同時に貫通孔4に熱可塑性樹脂と繊維を複合した複合樹脂が充填された係止部5が形成されて成る。
【0015】
本実施の形態では貫通孔4はFRP製円筒体2の内側から外側に貫通するネジ穴とされ、機能部3a、3bの射出成形にあたっては熱可塑性樹脂と繊維を複合した複合樹脂がFRP製円筒体2内側を支持する中子6外面6aにせき止められる態様で貫通孔4に熱可塑性樹脂と繊維を複合した複合樹脂が充填された係止部5が形成される。
【0016】
図4は本発明の他の実施の形態のロボットアーム1を示す。本実施の形態のロボットアーム1は補強体21を有する点で前述の実施の形態と異なる。補強体21は予め別工程で金属製の環状片21aと取付部21bとを一体成形してなる。
取付部21bには機能部3a、3bを図示しない別の部材に装着するための装着ねじ部22が設けられている。
この様に金属製の環状片21aと取付部21bとを一体成形する結果、装着ねじ部22近傍には特には構造的な脆弱部は形成されず、取付部21bの強度が向上される。
補強体21は環状片21a内側とFRP製筒体2外側面に所定の間隙24が形成されるように配置され、その状態で上述の実施の形態同様にFRP製筒体2を熱可塑性樹脂と繊維を複合した樹脂でインサート射出成形することによって、補強体21をインサートして保持した態様で機能部3a、3bが形成される。
取付部21bは機能部3a、3bを図示しない別の部材に装着する際の別部材に対する装着面21cが形成されている。
【0017】
図5は本発明の他の実施の形態のロボットアーム1を示す。本実施の形態のロボットアーム1はFRP製円筒体2の内側に熱可塑性樹脂と繊維を複合した複合樹脂内側片7を有してなる。本実施の形態のロボットアーム1は係る複合樹脂内側片7を具えることによってFRP製円筒体2外側を機能部3a、3bが回転する回り止めが可能となり、機能部3a、3bによるFRP製円筒体2に対するグリップ力が向上し、さらにFRP製円筒体2と機能部3a、3bとの熱膨張差でグリップ力が低下することを防止することができる。
【0018】
図6は本発明のさらに他の実施の形態のロボットアーム1を示す。本実施の形態のロボットアーム1はFRP製円筒体2の内側に複合樹脂内側片7の溶融温度以上の溶融温度を有する内筒体8が装着されてなる。内筒体8はそのFRP製円筒体2の内側との当接面8aに溝8bが形成され、溝8bが貫通孔4のFRP製円筒体2の内側開口と連通する態様で内筒体8がFRP製円筒体2の内側に装着される。
【0019】
その結果本実施の形態のロボットアーム1は溝8b内側に熱可塑性樹脂と繊維を複合した複合樹脂内側片7を有する。
【0020】
図7、
図8、
図9、
図10は以上の実施の形態によって得られたロボットアーム1の部分切り欠き斜視図である。
各図に示す様にFRP製円筒体2の内側に装着される内筒体8は環状に形成され、この内筒体8に、FRP製円筒体2の内側との当接面8aに溝8bが環状に形成され、その結果、得られるロボットアーム1には環状の複合樹脂内側片7が形成される。
【0021】
以上の各実施の形態のロボットアーム1は本発明の実施の形態のFRP製円筒体2を熱可塑性樹脂と繊維を複合した樹脂でインサート射出成形するための金型を用いて製作される。
図11に示す様に本実施の形態のロボットアームインサート射出成形用金型9はFRP製円筒体2内側を支持する中子6と熱可塑性樹脂と繊維を複合した複合樹脂をFRP製円筒体2の外径側で成形する金型部10a,b,cとより成る。金型部10aは樹脂射出孔11を具え、係る樹脂射出孔11から射出される熱可塑性樹脂と繊維を複合した複合樹脂によって金型部10a,b,c内側にてFRP製円筒体2両端の外径側に機能部3a、3bが成形される。
【0022】
図5に示す他の実施の形態のロボットアームインサート射出成形用金型9は砂型である中子6の端部に凹部6dを形成し、中子6bと中子6cによって支持された中子6とを型合わせした状態でFRP製円筒体2の内側から外側に貫通する貫通孔4に連通する凹部6dが形成される。なお中子6cはその基端部6fにおいてボルト6eによってロボットアームインサート射出成形用金型9に対し固定されており、この中子6cを介して中子6に対する支持力が付与されている。なお、中子6は本実施の形態では砂型とされており、樹脂成形後破壊して除去することができる。また中子6cはその直径が環状の複合樹脂内側片7の直径よりも小にされており、また本実施の形態では中子6bの直径よりも小にされている。この中子6cは樹脂成形後ボルト6eをロボットアームインサート射出成形用金型9から取り外し、基端部6fと共に引き抜かれる。
【0023】
図6に示す実施の形態のロボットアームインサート射出成形用金型9では中子6の端部に凹部6d2を形成し、この凹部6d2に内筒体収納部12が形成される。内筒体収納部12には、内筒体8が収納される。内筒体8はFRP製円筒体2内側との当接面に溝8bが形成され、溝8bが貫通孔4のFRP製円筒体2の内側開口と連通する態様でFRP製円筒体2の内側に装着されている。
【0024】
以上の本発明のロボットアームインサート射出成形用金型を用いて本発明のロボットアームインサート射出成形方法によればFRP製円筒体2内側を中子6によって支持して熱可塑性樹脂と繊維を複合した複合樹脂をFRP製円筒体2の外径側で金型部10a,b,cにて射出成形する。
【0025】
その際、中子6にはFRP製円筒体2の内側から外側に貫通する貫通孔4に連通する凹部6dが形成されており、熱可塑性樹脂と繊維を複合した複合樹脂をFRP製円筒体2の外径側で射出成形する際に同時に貫通孔4及び凹部6dに複合樹脂を充填する。
【0026】
本発明の他の実施の形態のロボットアームインサート射出成形方法によればFRP製円筒体2の内側に内筒体8を装着し、中子6には内筒体8を収納する内筒体収納部12を形成し、内筒体収納部12に収納される内筒体8外側面に形成された溝8bがFRP製円筒体2の内側から外側に貫通する貫通孔4のFRP製円筒体2の内側開口と連通する態様で内筒体8がFRP製円筒体2の内側に装着されるように中子6を配置する。
【0027】
内筒体8の剛性をFRP製円筒体2以上とし、必要に応じてアルミ合金等の軽金属を使用する。
その場合内筒体8はFRP製円筒体2内側に装着され、ロボットアーム1が人間の間で、人間と共にあるいは人間を補助して動作する機械装置に用いられてもその硬度や剛性が周囲の人間を害する危険は生じない。
【0028】
本発明のロボットアームインサート射出成形方法に用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミドなどがある。樹脂材料が熱可塑性樹脂を主成分とするものとすることによって射出成形後立体形状へと変形させ、繊維を複合させる場合の取り扱い性が向上し、生産性が向上する。なお、主成分とは樹脂材料を構成する成分の中で、その割合が最も多い成分である。
【0029】
なお以上の実施の形態ではFRP製円筒体2を用いる場合を説明したが、FRP製筒体は円筒体に限られず実施の態様によって楕円筒体、角筒の角頂部を面取りする態様等を採用することができる。
【0030】
図12~
図14には本発明のロボットアーム1を実際に製造するための型構造13を示す。
型構造13によって製造される
図5に示す実施の形態のロボットアーム1はFRP製円筒体2の内側に熱可塑性樹脂と繊維を複合した複合樹脂内側片7を有してなる。ロボットアーム1は係る複合樹脂内側片7を具えることによってFRP製円筒体2外側を機能部3a、3bが回転する回り止めが可能となり、機能部3a、3bによるFRP製円筒体2に対するグリップ力が向上し、さらにFRP製円筒体2と機能部3a、3bとの熱膨張差でグリップ力が低下することを防止することができる。
【0031】
型構造13はFRP製円筒体2内側を支持する中子である傾斜コア6と熱可塑性樹脂と繊維を複合した複合樹脂をFRP製円筒体2の外径側で成形する金型部10a,bとより成る。金型部10aは樹脂射出孔11を具え、係る樹脂射出孔11から射出される熱可塑性樹脂と繊維を複合した複合樹脂によって金型部10a,b内側にてFRP製円筒体2両端の外径側に機能部3a、3bが成形される。
【0032】
傾斜コア6は進退動するロッド14を有し、このロッド14の先端部に装着されたプレート15がロッド14の進退動に伴い傾斜コア6先端部の傾斜機能部16の内側を進退する。この傾斜機能部16はその最先端部16aが外側に拡開可能な円環状にされ、最大に拡開した状態で円環状の外側面がFRP製円筒体2内側面に当接可能にされてなる。
したがってロッド14の伸長に伴いプレート15は傾斜機能部16内側を先端方向に進行し、傾斜機能部16の最先端部にプレート15が到達すると傾斜機能部16の円環状の最先端部16aが外側に最大に拡開した状態でその外側面がFRP製円筒体2内側面に当接する。これによって傾斜機能部16の外側面とFRP製円筒体2内側面間に複合樹脂が射出されるキャビティである凹部6dが形成される。
【0033】
一方、凹部6dに複合樹脂が射出されて固化した後は、ロッド14の退行に伴いプレート15は傾斜機能部16内側を先端方向とは反対方向に退行し、これに伴い傾斜機能部16の円環状の最先端部が外側に最大に拡開した状態から内側に閉じていき、凹部6d内で固化した複合樹脂と干渉しない位置まで閉じられる。その状態で傾斜コア6全体を特には干渉する部分無く、FRP製円筒体2外側に引き出すことができる。
【符号の説明】
【0034】
1・・・ロボットアーム、2・・・FRP製円筒体、3a、3b・・・機能部、4・・・貫通孔、6・・・中子、9・・・ロボットアームインサート射出成形用金型、10a,b,c・・・金型部、12・・・内筒体収納部、8・・・内筒体、21・・・補強体、21a・・・環状片、21b・・・取付部、22・・・装着ねじ部、24・・・間隙。