(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】駐車場管理装置および駐車場管理方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/14 20060101AFI20231012BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20231012BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20231012BHJP
【FI】
G08G1/14 A
G07B15/00 L
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2018176979
(22)【出願日】2018-09-21
【審査請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 博美
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 公基
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-260027(JP,A)
【文献】特開2002-324138(JP,A)
【文献】特開2018-073307(JP,A)
【文献】特表2018-503204(JP,A)
【文献】特開2017-194968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/14
G07B 15/00
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め登録された
一般利用者および優先利用者が利用可能であり、前記一般利用者よりも前記優先利用者を優先して利用させる優先駐車スペース
を有する駐車場を管理する駐車場管理装置であって
、前記一般利用者が携帯する一般利用者端末および前記優先利用者が携帯する優先利用者端末に近距離無線通信で接続可能な状態で前記優先駐車スペースに設置された優先駐車スペース制御装置に通信可能に接続され、
予め登録された一般利用者の連絡先情報を記憶する利用者情報記憶部と、
前記一般利用者端末から近距離無線通信により送信された前記優先駐車スペースの利用許可要求を、前記優先駐車スペース制御装置を介して取得したときに、前記優先駐車スペースが空き状態であれば、前記一般利用者に対する前記優先駐車スペースの利用許可情報を生成して前記一般利用者端末に送信し、
前記一般利用者による前記優先駐車スペースの利用中に、前記優先利用者により、当該優先駐車スペースに駐車している車両の移動を要求する操作が行われると、前記利用者情報記憶部に記憶された、前記一般利用者の連絡先情報宛てに、車両移動要求情報を送信する優先駐車スペース管理部と
を備えることを特徴とする駐車場管理装置。
【請求項2】
前記優先駐車スペースに設置された出力装置に接続され、
前記優先駐車スペース管理部は、前記車両移動要求情報を送信した後、所定時間が経過しても前記一般利用者による前記優先駐車スペースの利用が継続していることを検知した場合には、前記出力装置から車両の移動を指示するための報知情報を出力させる
ことを特徴とする請求項1に記載の駐車場管理装置。
【請求項3】
前記優先駐車スペース管理部は、前記車両移動要求情報を送信した後、所定時間が経過しても前記優先駐車スペースの利用が継続した状況が、同一の一般利用者について所定回数発生した場合には、前記一般利用者の登録を削除するかまたは、前記一般利用者に対する課金処理を実行する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の駐車場管理装置。
【請求項4】
前記優先駐車スペース管理部は、前記利用許可要求の操作を行った利用者が予め登録された一般利用者であるか否かの判断、および前記車両の移動を要求する操作を行った利用者が、前記予め登録された優先利用者であるか否かの判断を、当該利用者が携帯する利用者端末の識別情報、当該利用者が所持する
記憶媒体から読み取った情報、当該利用者により入力された暗証番号、または、当該利用者から読み取った生体情報を用いて判断する
ことを特徴とする請求項1~3いずれか1項に記載の駐車場管理装置。
【請求項5】
予め登録された
複数の優先利用者により利用される優先駐車スペースの利用状況を管理する駐車場管理装置であって、
前記複数の優先利用者それぞれが携帯する優先利用者端末に近距離無線通信で接続可能な状態で前記優先駐車スペースに設置された優先駐車スペース制御装置に通信可能に接続され、
予め登録された
複数の優先利用者ごとの、優先度合いを示すランク情報および連絡先情報を記憶する利用者情報記憶部と、
いずれかの優先利用者端末から近距離無線通信により送信された前記優先駐車スペースの利用許可要求を、前記優先駐車スペース制御装置を介して取得したときに、前記優先駐車スペースが空き状態であれば、当該優先利用者端末を携帯する優先利用者に対する前記優先駐車スペースの利用許可情報を生成して前記優先利用者端末に送信し、
いずれかの優先利用者による前記優先駐車スペースの利用中に、当該利用中の優先利用者よりも高いランク情報を有する優先利用者により、当該優先駐車スペースに駐車している車両の移動を要求する操作が行われると、前記利用者情報記憶部に記憶された、利用中の優先利用者の連絡先情報宛てに、車両移動要求情報を送信する優先駐車スペース管理部と
を備えることを特徴とする駐車場管理装置。
【請求項6】
予め登録された
一般利用者および優先利用者が利用可能であり、前記一般利用者よりも前記優先利用者を優先して利用させる優先駐車スペース
を有する駐車場を管理し、前記一般利用者が携帯する一般利用者端末および前記優先利用者が携帯する優先利用者端末に近距離無線通信で接続可能な状態で前記優先駐車スペースに設置された優先駐車スペース制御装置に通信可能に接続された駐車場管理装置が、
予め登録された一般利用者の連絡先情報を記憶し、
前記一般利用者端末から近距離無線通信により送信された前記優先駐車スペースの利用許可要求を、前記優先駐車スペース制御装置を介して取得したときに、前記優先駐車スペースが空き状態であれば、前記一般利用者に対する前記優先駐車スペースの利用許可情報を生成して前記一般利用者端末に送信し、
前記一般利用者による前記優先駐車スペースの利用中に、前記優先利用者により、当該優先駐車スペースに駐車している車両の移動を要求する操作が行われると、記憶した前記一般利用者の連絡先情報宛てに、車両移動要求情報を送信する
ことを特徴とする駐車場管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優先利用者用の駐車スペースが設けられた駐車場の利用状況を管理する、駐車場管理装置および駐車場管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、商業施設や病院などの駐車場には、一般利用者用の一般駐車スペースとは別に、特定の利用者による利用を優先させる優先駐車スペースが設けられている。このような優先駐車スペースを設けることにより、乗降に広いスペースを必要とする車椅子利用者等が駐車場を利用しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような優先駐車スペースは、通常は一般利用者の利用が制限されているが、一般駐車スペースが混雑しており、優先駐車スペースが空いているときには一般利用者であっても優先駐車スペースを利用可能にすることが望まれる。しかし、一般利用者が優先駐車スペースに駐車した後に優先駐車スペースの利用対象である優先利用者が来場すると、当該優先利用者が優先駐車スペースを利用することができず、不都合が生じるという問題があった。
【0005】
また、優先利用者が優先駐車スペースに駐車している場合であっても、その後に、より優先駐車スペースを必要とする他の優先利用者が来場したときには、後から来場した優先利用者に優先駐車スペースを譲ることが望まれていた。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、駐車場の優先駐車スペースに関し、特定の利用者による利用を優先させつつ、利用効率を向上させるための、駐車場管理装置および駐車場管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の駐車場管理装置は、予め登録された一般利用者および優先利用者が利用可能であり、前記一般利用者よりも前記優先利用者を優先して利用させる優先駐車スペースを有する駐車場を管理する駐車場管理装置であって、前記一般利用者が携帯する一般利用者端末および前記優先利用者が携帯する優先利用者端末に近距離無線通信で接続可能な状態で前記優先駐車スペースに設置された優先駐車スペース制御装置に通信可能に接続され、予め登録された一般利用者の連絡先情報を記憶する利用者情報記憶部と、前記一般利用者端末から近距離無線通信により送信された前記優先駐車スペースの利用許可要求を、前記優先駐車スペース制御装置を介して取得したときに、前記優先駐車スペースが空き状態であれば、前記一般利用者に対する前記優先駐車スペースの利用許可情報を生成して前記一般利用者端末に送信し、前記一般利用者による前記優先駐車スペースの利用中に、前記優先利用者により、当該優先駐車スペースに駐車している車両の移動を要求する操作が行われると、前記利用者情報記憶部に記憶された、前記一般利用者の連絡先情報宛てに、車両移動要求情報を送信する優先駐車スペース管理部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の駐車場管理方法は、予め登録された一般利用者および優先利用者が利用可能であり、前記一般利用者よりも前記優先利用者を優先して利用させる優先駐車スペースを有する駐車場を管理し、前記一般利用者が携帯する一般利用者端末および前記優先利用者が携帯する優先利用者端末に近距離無線通信で接続可能な状態で前記優先駐車スペースに設置された優先駐車スペース制御装置に通信可能に接続された駐車場管理装置が、予め登録された一般利用者の連絡先情報を記憶し、前記一般利用者端末から近距離無線通信により送信された前記優先駐車スペースの利用許可要求を、前記優先駐車スペース制御装置を介して取得したときに、前記優先駐車スペースが空き状態であれば、前記一般利用者に対する前記優先駐車スペースの利用許可情報を生成して前記一般利用者端末に送信し、前記一般利用者による前記優先駐車スペースの利用中に、前記優先利用者により、当該優先駐車スペースに駐車している車両の移動を要求する操作が行われると、記憶した前記一般利用者の連絡先情報宛てに、車両移動要求情報を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の駐車場管理装置および駐車場管理方法によれば、駐車場の優先駐車スペースに関し、特定の利用者による利用を優先させつつ、利用効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態による駐車場管理装置を利用した駐車場管理システムの構成を示す全体図である。
【
図2】一実施形態による駐車場管理装置を利用した駐車場管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態による駐車場管理装置を利用した駐車場管理システムにおいて、一般利用者が優先駐車スペースの利用を開始するときの動作を示すシーケンス図である。
【
図4】一実施形態による駐車場管理装置を利用した駐車場管理システムにおいて、優先利用者が優先駐車スペースの利用を開始するときの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〈一実施形態による駐車場管理装置を用いた駐車場管理システムの構成〉
本発明の一実施形態による駐車場管理システムの構成について、
図1および
図2を参照して説明する。本実施形態による駐車場管理システム1は、例えば商業施設等の大型の施設の駐車場を管理するシステムである。管理対象の駐車場は、一般利用者が利用する複数の一般駐車スペースP1~P5と、特定の優先利用者による利用を優先させる優先駐車スペースQとを備える。優先駐車スペースQには、利用を制限するためのゲートGと、当該優先駐車スペースQに駐車している車両を検知する優先駐車スペースセンサSとが設置されている。
【0012】
駐車場管理システム1は、優先駐車スペースQのゲートGおよび優先駐車スペースセンサSに接続された優先駐車スペース制御装置10と、一般利用者Xが携帯する一般利用者端末20と、車椅子利用者等の優先利用者Yが携帯する優先利用者端末30と、優先駐車スペース制御装置10、一般利用者端末20、および優先利用者端末30に通信ネットワーク40を介して接続された駐車場管理装置50とを備える。
図1および
図2においては、説明を簡略化するために、駐車場管理装置50に接続された一般利用者端末20および優先利用者端末30がそれぞれ1台の場合を示しているが、複数台の一般利用者端末20および複数台の優先利用者端末30が駐車場管理装置50に接続されていてもよい。
【0013】
優先駐車スペース制御装置10は、利用状況判断部11と、第1ネットワーク通信部12と、第1近距離無線通信部13と、認証処理部14と、ゲート開閉制御部15とを有する。利用状況判断部11は、優先駐車スペースセンサSによる検知状況に基づいて、優先駐車スペースQに車両が駐車しているか否かを判断し、判断結果に基づいて利用状況情報を生成する。第1ネットワーク通信部12は、通信ネットワーク40を介して駐車場管理装置50との通信を行う。第1近距離無線通信部13は、所定距離内にある一般利用者端末20または優先利用者端末30との無線通信を行う。認証処理部14は、優先駐車スペースQを利用可能な利用者の利用者端末情報を予め記憶し、いずれかの利用者端末からゲート開要求を取得すると、該当する利用者が優先駐車スペースQを利用可能な利用者であるか否かを判定する認証処理を行う。ゲート開閉制御部15は、認証処理部14で優先駐車スペースQを利用可能な利用者が認証されたと判定されると、ゲートGを開状態にする。
【0014】
一般利用者端末20は、タッチパネル21と、第2近距離無線通信部22と、第2ネットワーク通信部23とを有する。タッチパネル21は、当該一般利用者端末20を携帯する一般利用者による操作情報を入力するとともに、当該操作情報、並びに、優先駐車スペース制御装置10および駐車場管理装置50から取得した情報に基づいて表示情報を生成して表示する。第2近距離無線通信部22は、自端末20が優先駐車スペース制御装置10から所定距離内の位置にあるときに、優先駐車スペース制御装置10と無線通信を行う。第2ネットワーク通信部23は、通信ネットワーク40を介して駐車場管理装置50との通信を行う。
【0015】
優先利用者端末30は、タッチパネル31と、第3近距離無線通信部32と、第3ネットワーク通信部33とを有する。タッチパネル31は、当該優先利用者端末30を携帯する優先利用者による操作情報を入力するとともに、当該操作情報、並びに、優先駐車スペース制御装置10および駐車場管理装置50から取得した情報に基づいて表示情報を生成して表示する。第3近距離無線通信部32は、自端末30が優先駐車スペース制御装置10から所定距離内の位置にあるときに、優先駐車スペース制御装置10と無線通信を行う。第3ネットワーク通信部33は、通信ネットワーク40を介して駐車場管理装置50との通信を行う。
【0016】
駐車場管理装置50は、利用者情報記憶部51と、第4ネットワーク通信部52と、優先駐車スペース管理部53とを有する。利用者情報記憶部51は、予め登録された、優先駐車スペースQの優先利用者の識別情報と、優先駐車スペースQが空いているときに利用可能な一般利用者の識別情報および連絡先情報とを記憶する。第4ネットワーク通信部52は、通信ネットワーク40を介して、優先駐車スペース制御装置10、一般利用者端末20、および優先利用者端末30との通信を行う。優先駐車スペース管理部53は、一般利用者による優先駐車スペースQの利用中に、優先利用者端末30から、当該優先駐車スペースQに駐車している車両の移動要求を取得すると、利用者情報記憶部51に記憶された当該一般利用者の連絡先情報宛てに、車両移動要求情報を送信する。
【0017】
〈一実施形態による駐車場管理装置を用いた駐車場管理システムの動作〉
次に、本実施形態による駐車場管理システム1の動作について、
図3~
図5を参照して説明する。本実施形態において、優先駐車スペース制御装置10の認証処理部14には、優先駐車スペースQを利用可能な利用者の利用者端末情報として、一般利用者端末20および優先利用者端末30が予め記憶されている。また、駐車場管理装置50の利用者情報記憶部51には、予め登録された、優先駐車スペースQが空いているときに利用可能な一般利用者Xの識別情報と、当該一般利用者Xの連絡先情報とが記憶されている。ここでは、一般利用者Xの識別情報として一般利用者端末20の識別情報が記憶され、一般利用者Xの連絡先情報として一般利用者端末20のアドレス情報が記憶されている。また、利用者情報記憶部51には、予め登録された、優先駐車スペースQの優先利用者Yの識別情報として、優先利用者端末30の識別情報が記憶されている。また、優先駐車スペース制御装置10の第1近距離無線通信部13から、周辺の所定距離内のエリアに、自装置10の識別情報を含む識別信号が所定時間間隔で出力されている。
【0018】
また、優先駐車スペース制御装置10の利用状況判断部11では、優先駐車スペースセンサSによる検知状況に基づいて、優先駐車スペースQに車両が駐車しているか否かが所定時間間隔で判断され、当該判断に基づいて優先駐車スペースQの利用状況情報が生成されている。生成された利用状況情報は駐車場管理装置50に送信され、優先駐車スペース管理部53で取得される(S1)。
【0019】
このように各種情報が処理されている状況で、優先駐車スペースQが空いているときに、一般利用者Xが一般利用者端末20を携帯して優先駐車スペースQに近づくと、優先駐車スペース制御装置10から出力されている識別信号が一般利用者端末20の第2近距離無線通信部22で受信される。一般利用者端末20では、優先駐車スペース制御装置10の識別信号が受信されると、第2近距離無線通信部22により優先駐車スペース制御装置10の第1近距離無線通信部13に対し、通信接続要求が送信される(S2)。優先駐車スペース制御装置10では、一般利用者端末20から送信された通信接続要求が第1近距離無線通信部13で受信され、これにより一般利用者端末20と優先駐車スペース制御装置10との間に通信が確立される(S3、S4)。そして、当該通信が確立されたことを示す情報が、一般利用者端末20のタッチパネル21上に表示される。
【0020】
表示された情報を一般利用者Xが視認し、タッチパネル21上で、優先駐車スペースQの利用状況情報を要求する操作を行うと、利用状況情報要求が一般利用者端末20から優先駐車スペース制御装置10に送信される(S5)。優先駐車スペース制御装置10では、一般利用者端末20から送信された利用状況情報要求が第1近距離無線通信部13から受信され、利用状況判断部11により判断された最新の優先駐車スペースQの利用状況情報「空き状態」が取得される。取得された利用状況情報「空き状態」は、一般利用者端末20に送信され、タッチパネル21に表示される(S6)。
【0021】
表示された利用状況情報「空き状態」を一般利用者Xが視認し、優先駐車スペースQが空いていることから、利用許可を要求する操作を行うと、利用許可要求が第2ネットワーク通信部23、通信ネットワーク40を介して駐車場管理装置50に送信される(S7)。駐車場管理装置50では、一般利用者端末20から送信された利用許可要求が第4ネットワーク通信部52を介して優先駐車スペース管理部53で取得される。優先駐車スペース管理部53では、利用許可要求が取得されると、優先駐車スペース制御装置10から送信された最新の優先駐車スペースQの利用状況情報に基づいて現在優先駐車スペースQが空き状態であると判断される。そして、当該利用許可要求の送信元の一般利用者端末20が利用者情報記憶部51に予め登録された、優先駐車スペースQを利用可能な一般利用者の端末であるか否かが判定される(S8)。ここでは、当該一般利用者端末20が優先駐車スペースQを利用可能な一般利用者の端末であると判断され(S8の「YES」)、当該利用許可要求の送信元の一般利用者端末20に対する優先駐車スペースQの利用許可情報が生成されて一般利用者端末20に送信される(S9)。送信された利用許可情報は、一般利用者端末20のタッチパネル21に表示される。また、駐車場管理装置50では、利用を許可した一般利用者端末20の識別情報が、優先駐車スペースQを利用中の一般利用者Xの識別情報として優先駐車スペース管理部53に記憶される。
【0022】
一般利用者Xは、タッチパネル21に表示された利用許可情報を視認し、優先駐車スペースQの利用が許可されたことから、一般利用者端末20でゲート開を要求する操作を行うと、ゲート開要求が優先駐車スペース制御装置10に送信される(S10)。優先駐車スペース制御装置10では、一般利用者端末20から送信されたゲート開要求が取得されると、認証処理部14の認証処理により、予め記憶した情報に基づいて、該当する一般利用者Xが優先駐車スペースQを利用可能な利用者であると判定される。一般利用者Xが優先駐車スペースQを利用可能な利用者であると判定されると、ゲート開閉制御部15により、ゲートGが開状態にされる(S11)。
【0023】
ゲートGが開状態になったことにより、一般利用者Xが車両を優先駐車スペースQに駐車させ、利用を開始する。優先駐車スペースQに車両が駐車されると、優先駐車スペースセンサSで当該車両が検知され、当該検知情報が優先駐車スペース制御装置10の利用状況判断部11で取得される。利用状況判断部11では、当該検知情報に基づいて、優先駐車スペースQの利用が開始されたと判断され、該当する利用状況情報が生成される(S12)。生成された利用状況情報は、駐車場管理装置50に送信されるとともに、他の利用者端末から利用状況情報要求が取得されたときに提供する利用状況情報として用いられる。ここで、他の利用者端末から利用状況情報要求が取得されたときには、ステップS10における認証処理部14で一般利用者Xを認証していることから、一般利用者による利用中であることを示す利用状況情報が提供される。
【0024】
その後、一般利用者Xによる優先駐車スペースQの利用終了が検知されるまでの間(S13の「NO」)に実行される処理について、
図4のシーケンス図を参照して説明する。一般利用者Xの車両が優先駐車スペースQに駐車されている間に、優先利用者Yが優先駐車スペースQを利用しようとして、優先利用者端末30を携帯して優先駐車スペースQに近づくと、優先駐車スペース制御装置10から出力されている識別信号が優先利用者端末30の第3近距離無線通信部32で受信される。優先利用者端末30では、優先駐車スペース制御装置10の識別信号が受信されると、第3近距離無線通信部32により優先駐車スペース制御装置10の第1近距離無線通信部13に対し、通信接続要求が送信される(S21)。優先駐車スペース制御装置10では、優先利用者端末30から送信された通信接続要求が第1近距離無線通信部13で受信され、これにより優先利用者端末30と優先駐車スペース制御装置10との間に通信が確立される(S22、S23)。そして、当該通信が確立されたことを示す情報が、優先利用者端末30のタッチパネル31上に表示される。
【0025】
表示された情報を優先利用者Yが視認し、タッチパネル31上で、優先駐車スペースQの利用状況情報を要求する操作を行うと、利用状況情報要求が優先利用者端末30から優先駐車スペース制御装置10に送信される(S24)。優先駐車スペース制御装置10では、優先利用者端末30から送信された利用状況情報要求が第1近距離無線通信部13から受信され、利用状況判断部11により判断された最新の優先駐車スペースQとして、一般利用者による利用中であることを示す利用状況情報が取得される。取得された利用状況情報は、優先利用者端末30に送信され、タッチパネル31に表示される(S25)。
【0026】
表示された利用状況情報を優先利用者Yが視認し、優先駐車スペースQを一般利用者が利用中であることから、当該優先駐車スペースQに駐車している車両の移動を要求する操作を行うと、車両移動要求が第3ネットワーク通信部33、通信ネットワーク40を介して駐車場管理装置50に送信される(S26)。駐車場管理装置50では、優先利用者端末30から送信された車両移動要求が第4ネットワーク通信部52を介して優先駐車スペース管理部53で取得される。
【0027】
優先駐車スペース管理部53では、記憶した情報に基づいて、一般利用者Xによる優先駐車スペースQの利用中に、優先利用者から車両移動要求が取得されたと判断される。そして、当該車両要求の送信元の優先利用者端末30が利用者情報記憶部51に予め記憶された、優先駐車スペースQを利用可能な優先利用者の端末であるか否かが判定される(S27)。ここでは、当該優先利用者端末30が優先駐車スペースQを利用可能な優先利用者Yの端末であると判断される(S27の「YES」)。そして、利用者情報記憶部51に記憶された、現在優先駐車スペースQを利用中の一般利用者Xの連絡先である一般利用者端末20のアドレス情報宛てに、車両移動要求情報が転送される(S28)。
【0028】
一般利用者端末20では、駐車場管理装置50から送信された車両移動要求情報がタッチパネル21に表示される(S29)。一般利用者Xは、タッチパネル21に表示された車両移動要求情報を視認し、優先駐車スペースQに駐車した車両を移動させる。
【0029】
一般利用者Xが優先駐車スペースQから車両を移動させると、優先駐車スペースセンサSで車両が移動したことが検知され、当該検知情報が優先駐車スペース制御装置10の利用状況判断部11で取得される。利用状況判断部11では、当該検知情報に基づいて、一般利用者Xによる優先駐車スペースQの利用が終了したと判断され、該当する利用状況情報が生成される(S30)。生成された利用状況情報は、駐車場管理装置50に送信される。駐車場管理装置50では、優先駐車スペース管理部53により、優先駐車スペース制御装置10から送信された情報に基づいて一般利用者Xによる優先駐車スペースQの利用が終了したと判断され、優先駐車スペース管理部53に記憶された、利用中の一般利用者Xの識別情報が消去される。
【0030】
ここで、車両移動要求が送信された後、所定時間が経過しても一般利用者Xによる優先駐車スペースQの利用が継続している場合には、優先駐車スペースQに設置された出力装置、例えばスピーカ装置(図示せず)から、車両の移動を指示するための報知情報を出力させるようにしてもよい。
【0031】
このようにして一般利用者Xの車両が優先駐車スペースQから移動されたことにより、優先利用者Yが当該優先駐車スペースQを利用可能な状態になり、優先利用者Yが優先利用者端末30でゲート開を要求する操作を行うと、ゲート開要求が優先駐車スペース制御装置10に送信される(S31)。優先駐車スペース制御装置10では、優先利用者端末30から送信されたゲート開要求が取得されると、認証処理部14の認証処理により、予め記憶した情報に基づいて、該当する優先利用者Yが優先駐車スペースQを利用可能な利用者であると判定される。優先利用者Yが優先駐車スペースQを利用可能な利用者であると判定されると、ゲート開閉制御部15により、ゲートGが開状態にされる(S32)。
【0032】
ゲートGが開状態になったことにより、優先利用者Yが車両を優先駐車スペースQに駐車させ、利用を開始する。優先駐車スペースQに車両が駐車されると、優先駐車スペースセンサSで当該車両が検知され、当該検知情報が優先駐車スペース制御装置10の利用状況判断部11で取得される。利用状況判断部11では、当該検知情報に基づいて、優先駐車スペースQの利用が開始されたと判断され、該当する利用状況情報が生成される(S33)。生成された利用状況情報は、駐車場管理装置50に送信されるとともに、他の利用者端末から利用状況情報要求が取得されたときに提供する利用状況情報として用いられる。
【0033】
上述した処理の中で、ステップS8において、利用許可要求の送信元の一般利用者端末が優先駐車スペースQを利用可能な一般利用者の端末ではないと判断された場合(S8の「NO」)、ステップS13において、一般利用者による優先駐車スペースQの利用終了が検知された場合(S13の「YES」、および、ステップS27において、車両移動要求の送信元の優先利用者端末が優先駐車スペースQを利用可能な優先利用者の端末ではないと判断された場合(S27の「NO」)には、処理が終了される。
【0034】
上述した実施形態によれば、特定利用者による優先駐車スペースの利用を優先させつつ、一般利用者による駐車スペースの利用効率を向上させることができる。
【0035】
上述した実施形態において、駐車場管理装置50の優先駐車スペース管理部53は、車両移動要求を送信した後、所定時間が経過しても優先駐車スペースQの利用が継続した状況が、同一の一般利用者について所定回数発生した場合には、駐車場管理装置50における該当する一般利用者の登録、および優先駐車スペース制御装置10の認証処理部14における該当する一般利用者の登録を削除するかまたは、当該一般利用者に対する課金処理を実行するようにしてもよい。
【0036】
また、上述した実施形態においては、駐車場管理装置50の優先駐車スペース管理部53および優先駐車スペース制御装置10の認証処理部14において、各種要求の送信操作を行った利用者が優先駐車スペースQを利用可能な利用者であるか否かを、一般利用者端末の識別情報または優先利用者端末の識別情報を用いて判断する場合について説明した。しかし、この形態には限定されず、当該利用者が所持するICカード等の記憶媒体から読み取った情報、当該利用者により入力された暗証番号、当該利用者から読み取った生体情報を用いて判断するようにしてもよい。
【0037】
また、他の形態として、予め登録された複数の優先利用者ごとの、優先度合いを示すランク情報および連絡先情報を駐車場管理装置50の利用者情報記憶部51に記憶させておき、いずれかの優先利用者による優先駐車スペースQの利用中に、当該利用中の優先利用者よりも高いランク情報を有する優先利用者により、当該優先駐車スペースに駐車している車両の移動を要求する操作が行われると、利用中の優先利用者の連絡先情報宛てに、車両移動要求情報を送信するようにしてもよい。このように処理することにより、限られた数の優先駐車スペースの利用を希望する利用者の中で、最も優先度合いの高い利用者の利用を優先させることができる。
【符号の説明】
【0038】
1…駐車場管理システム、10…優先駐車スペース制御装置、11…利用状況判断部、12…第1ネットワーク通信部、13…第1近距離無線通信部、14…認証処理部、15…ゲート開閉制御部、20…一般利用者端末、21…タッチパネル、22…第2近距離無線通信部、23…第2ネットワーク通信部、30…優先利用者端末、31…タッチパネル、32…第3近距離無線通信部、33…第3ネットワーク通信部、40…通信ネットワーク、50…駐車場管理装置、51…利用者情報記憶部、52…第4ネットワーク通信部、53…優先駐車スペース管理部