(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】イミダフェナシン含有錠剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4174 20060101AFI20231012BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20231012BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20231012BHJP
A61P 13/00 20060101ALI20231012BHJP
A61P 7/12 20060101ALI20231012BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
A61K31/4174
A61K9/20
A61K47/26
A61P13/00
A61P7/12
A61P25/02
(21)【出願番号】P 2019131961
(22)【出願日】2019-07-17
【審査請求日】2022-07-13
(31)【優先権主張番号】P 2018134088
(32)【優先日】2018-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000209049
【氏名又は名称】沢井製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】及川 倫徳
(72)【発明者】
【氏名】中野 雄太
(72)【発明者】
【氏名】山上 哲史
【審査官】鶴見 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-229076(JP,A)
【文献】国際公開第01/034147(WO,A1)
【文献】特開2017-031117(JP,A)
【文献】特開2010-229075(JP,A)
【文献】国際公開第2014/034929(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 9/00-9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 13/00
A61P 7/12
A61P 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イミダフェナシンと添加剤を混合し、
得られた混合物を粉末圧縮法により製するイミダフェナシン含有錠剤の製造方法
であって、
前記イミダフェナシンを造粒する工程を含まず、
前記イミダフェナシンを含有する素錠にコーティングを施す工程を含まない、イミダフェナシン含有錠剤の製造方法。
【請求項2】
前記イミダフェナシンは、1μmから100μmのメジアン径を有する請求項1に記載のイミダフェナシン含有錠剤の製造方法。
【請求項3】
前記添加剤として、マンニトールを含有する請求項1に記載のイミダフェナシン含有錠剤の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載のイミダフェナシン含有錠剤の製造方法であって、セミ直打法により製するイミダフェナシン含有錠剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イミダフェナシン含有錠剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イミダフェナシン(4-(2-Methyl-1H-imidazol-1-yl)-2,2-diphenylbutanamide)は、過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿、切迫性尿失禁を改善する抗コリン薬であり、一回当たりの服用量がイミダフェナシンとして0.1mgと低用量である(非特許文献1)。そのため、イミダフェナシン含有製剤は、低含量でありながら含量均一性の良好な製剤であることが求められる。
【0003】
また、イミダフェナシンは光に対して不安定であり、光の照射によって類縁物質が発生することが知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、流動層造粒法により製造したイミダフェナシン含有造粒物又はイミダフェナシン含有粒子をポビドンやアミノアルキルメタクリレートコポリマーなどのコーティング剤で被覆した後、賦形剤及び崩壊剤を含む組成物と混合し、その混合物を圧縮成形することにより光安定性に優れたイミダフェナシン含有口腔内速崩壊性錠剤が得られることが記載されている。このように、従来のイミダフェナシンを含有する錠剤は、安定化のために、所定の添加剤を含有するコーティングを施すことを含む製造方法で製造されることが知られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【文献】ウリトス錠 添付文書 2017年6月改訂(第12版)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、保存時にイミダフェナシンの類縁物質の生成が抑制されたイミダフェナシン含有錠剤及びその製造方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によると、イミダフェナシンと添加剤を混合し、得られた混合物を粉末圧縮法により製するイミダフェナシン含有錠剤の製造方法が提供される。本明細書において、粉末圧縮法は、有効成分に賦形剤、結合剤、崩壊剤などの添加剤を加えて混和して均質としたものを、直接圧縮成形して製する方法(直接粉末圧縮法(直打法))および顆粒に製した添加剤に有効成分及び滑沢剤などを加えて混和して均質とした後,圧縮成形する方法(半直接粉末圧縮法(セミ直打法))を含む。すなわち、本発明の一実施形態において、イミダフェナシンと混合される添加剤はあらかじめ顆粒とされていてもよいし、されていなくてもよい。
【0009】
イミダフェナシン含有錠剤の製造方法において、1μmから100μmのメジアン径を有してもよい。イミダフェナシン含有錠剤の製造方法において、添加剤として、マンニトールを含有してもよい。
【0010】
本発明の一実施形態によると、イミダフェナシンと添加剤を混合し、得られた混合物を粉末圧縮法により製造されるイミダフェナシン含有錠剤が提供される。
【0011】
イミダフェナシン含有錠剤において、イミダフェナシンは、1μmから100μmのメジアン径を有してもよい。添加剤として、マンニトールを含有してもよい。セミ直打法により製造されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、保存時にイミダフェナシンの類縁物質の生成が抑制されるイミダフェナシン含有錠剤及びその製造方法が提供される。また、同イミダフェナシン含有錠剤は、色調変化も認められない。従来のイミダフェナシン含有錠剤は、イミダフェナシンを含有する素錠や造粒物を、所定の添加剤を含有するコーティング剤で被覆することにより安定化する必要があったが、本発明によれば、このようなコーティングを施さなくても、粉末圧縮法を用いることにより安定化することが可能である。また、本発明のイミダフェナシン含有錠剤は、有効成分の含量均一性も良好である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るイミダフェナシン含有錠剤およびその製造方法について詳細に説明する。ただし、本発明のイミダフェナシン含有錠剤およびその製造方法は、以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0014】
本発明者らが検討した結果、特許文献1に記載されたイミダフェナシン含有錠剤の製造方法は、流動層造粒法など、原薬を溶解・分散させる工程又は造粒する工程を含むが、当該方法は原薬を不安定化させ、その結果、製剤の保存時に類縁物質が生成することを見出した。
【0015】
さらに検討した結果、本発明者らは、イミダフェナシンと添加剤を混合し、得られた混合物を粉末圧縮法により製することにより得られる錠剤は、保存時に類縁物質の生成が抑制され、錠剤の色調にも変化が認められないことおよび有効成分の含量均一性も良好であることを新たに見出した。
【0016】
本実施形態のイミダフェナシンは、4-(2-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-2,2-ジフェニルブタンアミド(4-(2-Methyl-1H-imidazol-1-yl)-2,2-diphenylbutanamide)である。イミダフェナシンは、本発明に係るイミダフェナシン含有錠剤の1錠中に、例えば0.1mg含まれている。イミダフェナシンの粒子のメジアン径は、イミダフェナシン含有錠剤の保存時に類縁物質の生成を抑制可能な大きさであれば制限はなく、好ましくは、1μmから100μmであり、さらに好ましくは1μmから50μmである。なお、本明細書においては、イミダフェナシンの粒子のメジアン径を「D50」と示すことがある。例えば「D50=10μm」とあるときは、イミダフェナシン粒子のメジアン径が10μmであることを示す。本明細書におけるイミダフェナシン粒子のメジアン径は、分散媒として水を用いた湿式レーザー回折法によって測定される体積基準の粒子径分布から求めることが出来る。分散液中の分散状態を安定化するために、適宜必要な界面活性剤を用いてもよい。装置としては、例えば、Mastersizer3000(マルバーン製)などを用いる事が出来る。
【0017】
本実施形態のイミダフェナシン含有錠剤には、錠剤の形態であれば、特に制限はなく、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、発泡錠、分散錠、溶解錠も含まれる。
【0018】
本実施形態のイミダフェナシン含有錠剤は、錠剤の形態とするために必要な添加剤を含有する。添加剤としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、安定化剤、抗酸化剤、矯味剤、滑沢剤、流動化剤等が挙げられる。また、あらかじめ複数の添加剤を混合して造粒した、いわゆるプレミックス添加剤を含有していても良い。例えば、国際公開第2018/021265号および国際公開第2018/047789号に記載された口腔内崩壊錠添加用組成物の他、Smart EX(登録商標)(信越化学工業株式会社)、Granfiller-D(登録商標)(株式会社ダイセル)など、市販されているプレミックス添加剤を含有していても良い。
【0019】
賦形剤は、例えば、糖類、糖アルコール類、デンプン類、セルロース類、カルメロース類、アラビアゴム、デキストラン、プルラン、ケイ酸塩類、リン酸塩、炭酸塩及び硫酸塩等から選択することができる。糖類としては、例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、トレハロース、マルトース等が挙げられる。糖アルコール類としては、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、イソマルト等が挙げられる。また、デンプン類としては、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン 、デキストリン等が挙げられる。セルロース類としては、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。カルメロース類としては、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム等が挙げられる。ケイ酸塩類としては、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等が挙げられる。リン酸塩としては、リン酸水素カルシウム等が挙げられる。炭酸塩としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。硫酸塩としては、硫酸カルシウム等が挙げられる。これらの賦形剤は、単独又は二種以上組み合わせて使用することができる。
【0020】
結合剤は、例えば、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、エチルセルロースおよびメチルセルロースなどのセルロース類、ポビドン、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール完全けん化物、ポリビニルアルコール部分けん化物、カルボキシビニルポリマー、ポリ塩化ビニルなどのビニル系高分子物質、アミノアルキルメタクリレートコポリマー(E、RS)、メタクリル酸コポリマー(L、S、LD)、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液などのアクリル系高分子物質、ステアリルアルコール、ゼラチン、デキストリン、アラビアゴム、プルラン、マクロゴール、デンプン等から選択することができる。
【0021】
結合剤は、より好ましくは、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、エチルセルロースおよびメチルセルロースなどのセルロース類、ポビドン、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール完全けん化物、ポリビニルアルコール部分けん化物、カルボキシビニルポリマー、ポリ塩化ビニルなどのビニル系高分子物質、ステアリルアルコール、ゼラチン、デキストリン、アラビアゴム、プルラン、マクロゴール、デンプン等などから選択することができる。
【0022】
崩壊剤は、例えば、カルメロース、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびメチルセルロースなどのセルロース類、部分アルファー化デンプンおよびトウモロコシデンプンなどのデンプン類、クロスポビドン等から選択することができる。
【0023】
安定化剤は、例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスパラギン酸、アスパラギン酸ナトリウム、アルギニン、エデト酸ナトリウム、無水クエン酸、クエン酸水和物、クエン酸ナトリウム水和物、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、ステアリン酸、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム等から選択することができる。
【0024】
抗酸化剤は、例えば、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム水和物、無水クエン酸、クエン酸水和物、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、トコフェロール酢酸エステル、ピロ硫酸ナトリウム等から選択することができる。
【0025】
矯味剤は、例えば、アスコルビン酸、アスパラギン酸、アスパラギン酸ナトリウム、アスパルテーム、カラメル、還元麦芽糖水アメ、グリチルリチン酸、サッカリン、サッカリンナトリウム、スクラロース、ステビア抽出精製物、精製白糖、メントール等から選択することができる。
【0026】
滑沢剤は、例えば、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ロイシン等から選択することができる。
【0027】
流動化剤は、例えば、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、トウモロコシデンプン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等から選択することができる。
【0028】
本発明に係るイミダフェナシン含有錠剤の製造方法は、イミダフェナシンと添加剤を混合し、得られた混合物を粉末圧縮法により製することにより、保存時の類縁物質の生成が抑制されたイミダフェナシン含有錠剤を製造可能である。
【0029】
また、本発明に係るイミダフェナシン含有錠剤は、イミダフェナシンと添加剤を混合し、得られた混合物を粉末圧縮法により製する方法によって製造されることで、保存時の類縁物質の生成を抑制可能である。
【0030】
(製造方法)
本発明に係るイミダフェナシン含有錠剤は、公知の粉末圧縮法によって製造することが出来る。粉末圧縮法は、有効成分に賦形剤、結合剤、崩壊剤などの添加剤を加えて混和して均質としたものを、直接圧縮成形して製する(直接粉末圧縮法(直打法))か、又はあらかじめ添加剤で製した顆粒に有効成分及び滑沢剤などを加えて混和して均質とした後、圧縮成形する方法(半直接粉末圧縮法(セミ直打法))である。
【0031】
本発明の一実施形態において、イミダフェナシン含有錠剤は、通常用いられる混合機を用いて、イミダフェナシンと必要な添加剤とを混和して均質な粉末混合物としたものを、通常用いられる打錠機で圧縮成形することにより製造することができる。混合工程の回数には特に制限はなく、数回に分けて混合しても良い。好ましくは、最初に、イミダフェナシンと添加剤の一部を混合し、イミダフェナシンを倍散篩過した後、残りの添加剤を混合する。それにより、イミダフェナシン含有錠剤の含量均一性がより良好となることが期待される。
【0032】
上述の通り、本発明に係るイミダフェナシン含有錠剤を製造する際には、あらかじめ複数の添加剤を混合して造粒した、いわゆるプレミックス添加剤を用いても良い。
【0033】
本発明に係るイミダフェナシン含有錠剤の製造方法の一例を以下に示すが、この記載は一例にすぎず、これに限定されるものではない。
【0034】
国際公開第2018/021265号または国際公開第2018/047789号に開示されている方法で、プレミックス添加剤を得た後、この一部とイミダフェナシンを混合し、通常用いられる篩、または整粒機を用いて倍散篩過する。
【0035】
倍散篩過によって得られた粉末と、プレミックス添加剤の残部と、他の必要な添加剤を通常用いられる混合機に投入し、混合する。
【0036】
この混合により得られた混合物に滑沢剤を投入・混合し、得られた混合物を通常用いられる打錠機により打錠することにより、本発明に係るイミダフェナシン含有錠剤を製造することができる。
【0037】
(総類縁物質)
本明細書において、安定性の評価として、液体クロマトグラフィーを用いてイミダフェナシンの純度を評価する。面積百分率法により、クロマトグラム上に得られたイミダフェナシン及びイミダフェナシン由来の類縁物質の各成分のピーク面積の総和を100とし、ピーク面積の比からイミダフェナシン由来の総類縁物質(%)を算出する。
【0038】
(色調変化)
分光色差計(日本電色工業株式会社製、型式SE-6000))を用いて、製造直後の錠剤の色調を基準に、各安定性条件下に保管した錠剤の色調変化量ΔE値を測定し、5錠の測定値の平均値を算出する。
【実施例】
【0039】
上述した本発明に係るイミダフェナシン含有錠剤の具体的な実施例及び試験結果を示して、詳細に説明する。
【0040】
(実施例1)
実施例1においては、流動層造粒装置(FLO-15、フロイント産業)にて、処方比率として、D-マンニトール97.2mg(マンニットP、三菱商事フードテック株式会社)、結晶セルロース12.0mg(PH-101、旭化成株式会社)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース6.0mg(NBD-022、信越化学工業株式会社)、クロスポビドン2.4mg(コリドンCL-F、BASF)及びクロスポビドン2.4mg(コリドンCL-M、BASF)を混合して、混合物を得た。得られた混合物に精製水を噴霧しながら、流動層造粒を行った。得られた造粒物を乾燥後、整粒機(コーミル、株式会社パウレック)で整粒し、添加剤Aを得た。処方比率として、当該添加剤A 10mgとイミダフェナシン(D50=10μm)0.1mgを、篩(30号、目開き0.500mm)を用いて混合、倍散篩過した。処方比率として、倍散篩過により得られた粉末10.1mg、添加剤A 110.0mg、D-マンニトール3.0mg(ペアリトール100SD、ROQUETTE)、結晶セルロース14.0mg(KG-1000、旭化成株式会社)、軽質無水ケイ酸0.4mg(アドソリダー101、富士シリシア化学株式会社)、及び、クロスポビドン0.7mg(コリドンCL-F、BASF)を袋内で混合後、ステアリン酸マグネシウム1.8mg(太平化学産業株式会社)を加えて、さらに混合し、打錠前粉末を得た。打錠機(VELA5、菊水製作所)を用い、打錠前粉末を打錠し、実施例1に係るイミダフェナシン含有錠剤140.0mgを得た。
【0041】
実施例1のイミダフェナシン含有錠剤を各種条件下で保存し、保存後のイミダフェナシン含有錠剤について、総類縁物質(%)を測定した。具体的には、保存開始時、1万Luxの白色蛍光灯下で5日間保存した場合(120万Lux・hr)及び60℃,60%RHの条件で1週間保存した場合のそれぞれについて、総類縁物質(%)を測定した。
【0042】
(総類縁物質)
総類縁物質については、以下に示す液体クロマトグラフィーを用いてイミダフェナシンの純度を評価した。面積百分率法により、クロマトグラム上に得られたイミダフェナシン及びイミダフェナシン由来の類縁物質の各成分のピーク面積の総和を100とし、ピーク面積の比からイミダフェナシン由来の総類縁物質(%)を算出した。具体的には、カラムはオクタデシルシリル化シリカゲル、移動相は1-オクタンスルホン酸ナトリウム一リン酸水溶液とアセトニトリルの混液、検出器は紫外吸光光度計(測定波長:220nm)を用いた。
【0043】
表1は、実施例1における総類縁物質の測定結果を示す。
【表1】
【0044】
(比較例1)
比較例1においては、処方比率として、イミダフェナシン(D50=10μm)0.1mgを精製水/エタノール混合溶媒(1:1)84.0mgに溶解し、イミダフェナシン0.12%溶解液を調製した。流動層造粒装置(MP01、株式会社パウレック)にて、処方比率として、D-マンニトール97.2mg(マンニットP、三菱商事フードテック株式会社)、結晶セルロース12.0mg(PH-101、旭化成株式会社)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース6.0mg(NBD-022、信越化学工業株式会社)、クロスポビドン2.4mg(コリドンCL-F、BASF)及びクロスポビドン2.4mg(コリドンCL-M、BASF)を混合して、混合物を得た。得られた混合物に調製した溶解液を噴霧しながら、流動層造粒を行った。得られた造粒物を乾燥後、篩サイズ(30号、目開き0.500mm)で整粒し、整粒品Aを得た。当該整粒品A120.1mgに、D-マンニトール3.0mg(ペアリトール100SD、ROQUETTE)、結晶セルロース14.0mg(KG-1000、旭化成株式会社)、軽質無水ケイ酸0.4mg(アドソリダー101、富士シリシア化学株式会社)及びクロスポビドン0.7mg(コリドンCL-F、BASF)を袋内で混合後、ステアリン酸マグネシウム1.8mg(太平化学産業株式会社)を加えて、さらに混合し、打錠前粉末を得た。打錠機(VELA5、菊水製作所)を用い、打錠前粉末を打錠し、比較例1に係るイミダフェナシン含有錠剤140.0mgを得た。
【0045】
比較例1のイミダフェナシン含有錠剤を各種条件下で保存し、保存後のイミダフェナシン含有錠剤について、総類縁物質(%)を測定した。具体的には、保存開始時、1万Luxの白色蛍光灯下で5日間保存した場合(120万Lux・hr)及び60℃,60%RHの条件で1週間保存した場合のそれぞれについて、総類縁物質(%)を測定した。
【0046】
(総類縁物質)
総類縁物質については、実施例1と同じ方法で測定した。
【0047】
表2は、比較例1における総類縁物質の測定結果を示す。
【表2】
【0048】
(比較例2)
比較例2においては、処方比率として、イミダフェナシン(D50=10μm)0.1mgを精製水/エタノール混合溶媒(1:1)10.0mgに溶解し、イミダフェナシン1.0%溶解液を調製した。流動層造粒装置(MP01、株式会社パウレック)にて、当該溶解液を、処方比率として、D-マンニトール19.9mg(ペアリトール100SD、ROQUETTE)に噴霧し、造粒物Bを得た。処方比率として、造粒物B 20.0mg、実施例1における添加剤A 100.0mg、D-マンニトール3.1mg(ペアリトール100SD、ROQUETTE)、結晶セルロース14.0mg(KG-1000、旭化成株式会社)、軽質無水ケイ酸0.4mg(アドソリダー101、富士シリシア化学株式会社)及びクロスポビドン0.7mg(コリドンCL-F、BASF)を袋内で混合後、ステアリン酸マグネシウム1.8mg(太平化学産業株式会社)を加えて、さらに混合し、打錠前粉末を得た。打錠機(VELA5、菊水製作所)を用い、打錠前粉末を打錠し、比較例2に係るイミダフェナシン含有錠剤140.0mgを得た。
【0049】
比較例2のイミダフェナシン含有錠剤を各種条件下で保存し、保存後のイミダフェナシン含有錠剤について、総類縁物質(%)を測定した。具体的には、保存開始時、1万Luxの白色蛍光灯下で5日間保存した場合(120万Lux・hr)及び60℃,60%RHの条件で1週間保存した場合のそれぞれについて、総類縁物質(%)を測定した。
【0050】
(総類縁物質)
総類縁物質については、実施例1と同じ方法で測定した。
【0051】
表3は、比較例2における総類縁物質の測定結果を示す。
【表3】
【0052】
表1より、実施例1においては、保存開始時の総類縁物質(%)は0.65%、1万Luxの白色蛍光灯下で5日間保存した場合(120万Lux・hr)の総類縁物質(%)は2.58%、60℃,60%RHの条件で1週間保存した場合の総類縁物質(%)は1.19%である。
【0053】
これに対し、表2より、比較例1においては、保存開始時の総類縁物質(%)は2.17%、1万Luxの白色蛍光灯下で5日間保存した場合(120万Lux・hr)の総類縁物質(%)は27.00%、60℃,60%RHの条件で1週間保存した場合の総類縁物質(%)は4.19%である。また、表3より、比較例2においては、保存開始時の総類縁物質(%)は0.78%、1万Luxの白色蛍光灯下で5日間保存した場合(120万Lux・hr)の総類縁物質(%)は11.76%、60℃,60%RHの条件で1週間保存した場合の総類縁物質(%)は2.89%である。
【0054】
以上より、粉末圧縮法で製造した実施例1、並びに、イミダフェナシンを造粒する工程を含み粉末圧縮法とは異なる方法で製造した比較例1及び比較例2を比較すると、実施例1における保存開始時の総類縁物質(%)、1万Luxの白色蛍光灯下で5日間保存した場合(120万Lux・hr)、60℃,60%RHの条件で1週間保存した場合の総類縁物質(%)は、比較例1及び比較例2における保存開始時の総類縁物質(%)および各種条件下で保存した場合の総類縁物質(%)よりも小さいといえる。
【0055】
したがって、実施例1のイミダフェナシン含有錠剤を保存した後の総類縁物質(%)の生成は抑制されているといえる。
【0056】
(実施例2)
実施例2においては、処方比率として、実施例1で得られた添加剤A 10mgとイミダフェナシン(D50=10μm)0.1mgを、篩(30号、目開き0.500mm)を用いて混合、倍散篩過した。処方比率として、得られた粉末10.1mg、添加剤A 120.0mg、D-マンニトール2.9mg(ペアリトール100SD、ROQUETTE)、結晶セルロース15.0mg(KG-1000、旭化成株式会社)をコンテナブレンダー(東洋ハイテック株式会社)に投入し、混合した。この混合により得られた混合物にステアリン酸マグネシウム2.0mg(太平化学産業株式会社)を投入・混合し、得られた混合物をロータリー打錠機(VELA5、菊水製作所)により打錠することにより、実施例2に係るイミダフェナシン含有錠剤150.0mgを得た。
【0057】
実施例2のイミダフェナシン含有錠剤を各種条件下で保存し、保存後のイミダフェナシン含有錠剤について、総類縁物質(%)を測定した。具体的には、保存開始時、1万Luxの白色蛍光灯下で2.5日間保存した場合(60万Lux・hr)、1万Luxの白色蛍光灯下で5日間保存した場合(120万Lux・hr)及び60℃,60%RHの条件で1週間保存した場合のそれぞれについて、総類縁物質(%)を測定した。
【0058】
また、1万Luxの白色蛍光灯下で5日間保存した後(120万Lux・hr)の実施例2に係るイミダフェナシン含有錠剤について、色調変化量ΔE値を測定した。
【0059】
(総類縁物質)
総類縁物質については、実施例1と同じ方法で測定した。
【0060】
表4は、実施例2における総類縁物質の測定結果を示す。
【表4】
【0061】
(色調変化量ΔE値)
色調変化量ΔE量については、分光色差計(日本電色工業株式会社製、型式SE-6000)を用いて、製造直後の錠剤の色調を基準に、1万Luxの白色蛍光灯下で5日間(120万Lux・hr)保存した錠剤の色調変化量ΔE値を測定した。表5は、実施例2における色調変化量ΔEの測定結果を示す。
【表5】
【0062】
(実施例3)
実施例3においては、まず、処方比率として、イミダフェナシン(D50=10μm)0.1mgとSmart-Ex(登録商標) QD-50(信越化学工業株式会社)10mgを、篩(30号、目開き0.500mm)を用いて混合、倍散篩過した。処方比率として、得られた粉末10.1mg、Smart-Ex(登録商標) QD-50を125.0mg、Dマンニトール3.1mg(ペアリトール100SD、ROQUETTE)をコンテナブレンダー(東洋ハイテック株式会社)に投入し、混合した。この混合により得られた混合物にステアリン酸マグネシウム1.8mg(太平化学産業株式会社)を投入、混合し、得られた混合物をロータリー打錠機(VELA5、菊水製作所)により打錠することにより、実施例3に係るイミダフェナシン含有錠剤140.0mgを得た。
【0063】
実施例3のイミダフェナシン含有錠剤を各種条件下で保存し、保存後のイミダフェナシン含有錠剤について、総類縁物質(%)を測定した。具体的には、保存開始時、1万Luxの白色蛍光灯下で2.5日間保存した場合(60万Lux・hr)、1万Luxの白色蛍光灯下で5日間保存した場合(120万Lux・hr)及び60℃,60%RHの条件で1週間保存した場合のそれぞれについて、総類縁物質(%)を測定した。
【0064】
また、1万Luxの白色蛍光灯下で5日間保存した後(120万Lux・hr)の実施例3に係るイミダフェナシン含有錠剤について、色調変化量ΔE値を測定した。
【0065】
(総類縁物質)
総類縁物質については、実施例1と同じ方法で測定した。
【0066】
表6は、実施例3における総類縁物質の測定結果を示す。
【表6】
【0067】
(色調変化量ΔE値)
色調変化量ΔE量については、分光色差計(日本電色工業株式会社製、型式SE-6000)を用いて、製造直後の錠剤の色調を基準に、1万Luxの白色蛍光灯下で5日間保存した(120万Lux・hr)錠剤の色調変化量ΔE値を測定した。表7は、実施例3における色調変化量ΔEの測定結果を示す。
【表7】
【0068】
表4より、実施例2においては、保存開始時の総類縁物質(%)は、0.60%であるところ、1万Luxの白色蛍光灯下で2.5日間保存した場合(60万Lux・hr)の総類縁物質(%)は1.11%、1万Luxの白色蛍光灯下で5日間保存した場合(120万Lux・hr)の総類縁物質(%)は1.32%、60℃,60%RHの条件で1週間保存した場合の総類縁物質(%)は0.78%であった。また、表6より、実施例3においては、保存開始時の総類縁物質(%)は、0.59%であるところ、1万Luxの白色蛍光灯下で2.5日間保存した場合(60万Lux・hr)の総類縁物質(%)は1.11%、1万Luxの白色蛍光灯下で5日間保存した場合(120万Lux・hr)の総類縁物質(%)は1.40%、60℃,60%RHの条件で1週間保存した場合の総類縁物質(%)は0.61%であった。
【0069】
これに対し、比較例1においては、表2より、保存開始時の総類縁物質(%)は2.17%であり、1万Luxの白色蛍光灯下で5日間保存した場合(120万Lux・hr)の総類縁物質(%)は27.00%、60℃,60%RHの条件で1週間保存した場合の総類縁物質(%)は4.19%であった。さらに、比較例2においては、表3より、保存開始時の総類縁物質(%)は0.78%であり、1万Luxの白色蛍光灯下で5日間保存した場合(120万Lux・hr)の総類縁物質(%)は11.76%、60℃,60%RHの条件で1週間保存した場合の総類縁物質(%)は2.89%であった。
【0070】
以上より、粉末圧縮法で製造した実施例2及び実施例3並びにイミダフェナシンを造粒する工程を含み粉末圧縮法とは異なる方法で製造した比較例1及び比較例2を比較すると、実施例2及び実施例3における保存開始時の総類縁物質(%)、1万Luxの白色蛍光灯下で5日間保存した場合(120万Lux・hr)の総類縁物質(%)及び60℃,60%RHの条件で1週間保存した場合の総類縁物質(%)は、比較例1及び比較例2における保存開始時の総類縁物質(%)及び各種条件下で保存した場合の総類縁物質(%)よりも小さいといえる。
【0071】
また、表4より、実施例2において、1万Luxの白色蛍光灯下で2.5日間保存した場合(60万Lux・hr)の総類縁物質(%)は1.11%であった。さらに、表6より、実施例3において1万Luxの白色蛍光灯下で2.5日間保存した場合(60万Lux・hr)の総類縁物質(%)は1.11%であった。したがって、実施例2及び実施例3においては、1万Luxの白色蛍光灯下で2.5日間保存した場合(60万Lux・hr)においても、総類縁物質(%)の値は小さい。
【0072】
したがって、粉末圧縮法で製造した実施例2及び実施例3のイミダフェナシン含有錠剤を各種条件下で保存した後の総類縁物質(%)の生成は、同じく粉末圧縮法で製造した実施例1と同様、いずれの条件下においても抑制されているといえる。
【0073】
また、表5より、実施例2において、製造直後の錠剤の色調を基準に、1万Luxの白色蛍光灯下で5日間保存した(120万Lux・hr)錠剤の色調変化量ΔE値は0.25であった。また、表7より、実施例3において、製造直後の錠剤の色調を基準に、1万Luxの白色蛍光灯下で5日間保存した(120万Lux・hr)錠剤の色調変化量ΔE値は0.22であった。
【0074】
人間が認識できる色調変化量ΔEは、3以上と言われていわれているところ、実施例2の色調変化量ΔEは0.25であり、実施例3の色調変化量ΔEは0.22であって、そのいずれも3よりも明らかに小さい。
【0075】
(実施例4)
イミダフェナシン(D50=10μm)に替えてイミダフェナシン(D50=40μm)0.1mgを用いたこと以外は、実施例2と同様の製造方法により、実施例4に係るイミダフェナシン含有錠剤150.0mgを得た。
【0076】
実施例4のイミダフェナシン含有錠剤を実施例2と同様に各種条件下で保存し、保存後のイミダフェナシン含有錠剤について、総類縁物質(%)を測定した。
【0077】
(総類縁物質)
総類縁物質については、実施例1と同じ方法で測定した。
【0078】
表8は、実施例4における総類縁物質の測定結果を示す。
【表8】
【0079】
(実施例5)
イミダフェナシン(D50=10μm)に替えてイミダフェナシン(D50=40μm)0.1mgを用いたこと以外は、実施例3と同様の製造方法により、実施例5に係るイミダフェナシン含有錠剤140.0mgを得た。
【0080】
実施例5のイミダフェナシン含有錠剤を実施例3と同様に各種条件下で保存し、保存後のイミダフェナシン含有錠剤について、総類縁物質(%)を測定した。
【0081】
(総類縁物質)
総類縁物質については、実施例1と同じ方法で測定した。
【0082】
表9は、実施例4における総類縁物質の測定結果を示す。
【表9】
【0083】
表4の実施例2のイミダフェナシン含有錠剤の総類縁物質量と、表8の実施例4のイミダフェナシン含有錠剤の総類縁物質量とを比較すると、メジアン径が40μmのイミダフェナシン粒子を用いた実施例4のイミダフェナシン含有錠剤では、メジアン径が10μmのイミダフェナシン粒子を用いた実施例2のイミダフェナシン含有錠剤よりも総類縁物質量の増加が抑制されることが明らかとなった。
【0084】
また、表6の実施例3のイミダフェナシン含有錠剤の総類縁物質量と、表9の実施例5のイミダフェナシン含有錠剤の総類縁物質量とを比較すると、メジアン径が40μmのイミダフェナシン粒子を用いた実施例5のイミダフェナシン含有錠剤では、メジアン径が10μmのイミダフェナシン粒子を用いた実施例3のイミダフェナシン含有錠剤よりも総類縁物質量の増加が抑制されることが明らかとなった。
【0085】
これらの結果より、メジアン径が大きなイミダフェナシン粒子を用いることにより、添加剤との接触面積がより小さくなり、総類縁物質量の増加が抑制されるものと推察される。
【0086】
(含量均一性)
実施例2及び実施例3のイミダフェナシン含有錠剤を、第十七改正日本薬局方に定める含量均一性試験に準じて試験を行った結果、判定値はそれぞれ、2.0%、3.9%であった。判定値の最大許容限度値は15.0%であるため、いずれも適合と判定された。よって、実施例2及び実施例3のイミダフェナシン含有錠剤は、錠剤中のイミダフェナシン含有量が0.1mgと少量であるにもかかわらず、含量均一性が良好であると言える。
【0087】
イミダフェナシンの粒子のメジアン径と、イミダフェナシン含有錠剤中のイミダフェナシンの含量均一性との関係について検討した。メジアン径が異なるイミダフェナシンの粒子を用いて、実施例2と同様の製造方法により、実施例6~12のイミダフェナシン含有錠剤を製造した。実施例6~12のイミダフェナシン含有錠剤について、上述した含量均一性試験を行った。実施例6~12のイミダフェナシン含有錠剤の製造に用いたメジアン径と、判定値を表10に示す。
【0088】
【0089】
メジアン径が1μm以上30μm以下のイミダフェナシンの粒子を用いた実施例6~10のイミダフェナシン含有錠剤は、最大許容限度値15.0%を下回る判定値となり、含量均一性が良好であることが示された。一方、メジアン径が30μmを超えると、最大許容限度値15.0%を超える判定値となり、含量均一性が低下することが明らかとなった。したがって、メジアン径が1μm以上30μm以下のイミダフェナシンの粒子を用いた実施例6~10のイミダフェナシン含有錠剤は、優れた含量均一性を備えるため、より好ましいことが明らかとなった。
【0090】
このように、イミダフェナシンと添加剤を混合し、得られた混合物を粉末圧縮法により製することにより、添加剤として含まれる物質に依存せずに、保存時の類縁物質の生成が抑制されたイミダフェナシン含有錠剤を製造可能である。また、粉末圧縮法により製造した本発明のイミダフェナシン含有錠剤において、有効成分の含量均一性が良好であることが確認された。
【0091】
(溶出試験)
溶出試験器(富山産業株式会社製)を用いて、第十七改正日本薬局方の溶出試験第2法(パドル法・毎分50回転)に準じて、試験液に第十七改正日本薬局方の溶出試験第2液(pH6.8)900mlを用いて、実施例6~12のイミダフェナシン含有錠剤について溶出試験を行った。なお、溶出試験は、実施例6~12のイミダフェナシン含有錠剤各1錠を試料として3回実施し、その試験開始後5分、10分及び15分の時点での平均値を実施例6~12のイミダフェナシン含有錠剤の溶出率とした。実施例6~12のイミダフェナシン含有錠剤の製造に用いたメジアン径と、試験開始後5分、10分及び15分の時点での溶出率を表11に示す。
【0092】
【0093】
表11において、試験開始後15分の時点での溶出率が85%以上となったイミダフェナシン含有錠剤を適合と判定した。メジアン径が1μm以上40μm以下のイミダフェナシンの粒子を用いた実施例6~11のイミダフェナシン含有錠剤は、試験開始後15分の時点での溶出率が85%以上となり、溶出率が良好であることが示された。一方、メジアン径が40μmを超えると、試験開始後15分の時点での溶出率が低下することが明らかとなった。
【0094】
含量均一性の評価結果と溶出試験の結果より、メジアン径が1μm以上30μm以下のイミダフェナシンの粒子を用いた実施例6~10のイミダフェナシン含有錠剤は、優れた含量均一性と溶出性を兼ね備えるため、より好ましいことが明らかとなった。
【0095】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。