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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】振動子及び発振器
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/05 20060101AFI20231012BHJP
   H03B 5/32 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
H03H9/05
H03B5/32 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019183886
(22)【出願日】2019-10-04
(65)【公開番号】P2021061500
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000232483
【氏名又は名称】日本電波工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【弁理士】
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 孝文
【審査官】志津木 康
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/090912(WO,A1)
【文献】特開2009-253883(JP,A)
【文献】特開2007-158566(JP,A)
【文献】特開2017-076886(JP,A)
【文献】特開2001-094379(JP,A)
【文献】特開2013-038672(JP,A)
【文献】特開2018-164126(JP,A)
【文献】特開2012-129679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H3/007-H03H3/10
H03H9/00-H03H9/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブランクと、前記ブランクを搭載する台座と、前記台座を収納するパッケージとを備えた振動子であって、
前記パッケージは、凹部の角部が丸く形成され、
前記ブランクは、略矩形であり、
前記台座は、当該台座本体の四隅の角部が、斜めに切り欠かれた形状に形成され、前記台座本体の四隅の内側で前記ブランクの四隅が固定されて、前記パッケージの凹部に収納されることを特徴とする振動子。
【請求項2】
前記台座は、当該台座本体の表面中央に設けられた凹部と、
前記台座本体の凹部の両端に隣接して設けられ、ベベル加工が施されたブランクが固定される縁部とを備えることを特徴とする請求項1記載の振動子
【請求項3】
ブランクと、前記ブランクを搭載する台座と、前記台座を収納するパッケージと、発振回路とを備えた発振器であって、
前記パッケージは、凹部の角部が丸く形成され、
前記ブランクは、略矩形であり、
前記台座は、当該台座本体の四隅の角部が、斜めに切り欠かれた形状に形成され、前記台座本体の四隅の内側で前記ブランクの四隅が固定されて、前記パッケージの表面の凹部内の基板に設置され、
前記発振回路は、前記パッケージの表面の基板又は裏面の基板に設置されたことを特徴とする発振器。
【請求項4】
前記台座は、当該台座本体の表面中央に設けられた凹部と、
前記台座本体の凹部の両端に隣接して設けられ、ベベル加工が施されたブランクが固定される縁部とを備えることを特徴とする請求項3記載の発振器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブランク(振動素子)を搭載する台座、振動子及び発振器に係り、特に凹部の角部が丸く形成されているパッケージの凹部内壁に接触することなく、ブランク及び電極の面積を十分確保して、振動特性を向上させることができる台座、振動子及び発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
[先行技術の説明]
従来の水晶振動子では、パッケージ及びパッケージ外部からの水晶片に与える影響を抑制し、位相雑音特性を良好にする構成として、主に水晶から成る台座(水晶台座)を用いる構成が知られている。
また、凹部を備えたパッケージに、水晶片と発振回路のIC(Integrated Circuit)を搭載した発振器がある。
【0003】
また、パッケージを表裏に凹部が形成されたH型構造とし、表側に水晶片と水晶台座を搭載し、裏面に発振回路のICを搭載した水晶発振器がある。
パッケージの表面又は裏面に温度補償回路を設けた温度補償型水晶発振器(TCXO:Temperature Compensated Crystal Oscillator)がある。
【0004】
[パッケージ凹部の形状]
台座の上にブランクを搭載した振動子では、信頼性の観点から、台座が搭載されるパッケージの凹部の形状は、応力が集中しないよう、角部が丸く加工されている(Rが掛かっている)。
そして、水晶振動子において、CI(Crystal Impedance)特性を良好にするためには、ブランクの外形形状、及び電極を大きく(広く)設計することが望ましい。
そこで、パッケージの凹部のRが掛かった側面に接触せずに、できるだけ面積の大きい台座を確保する必要がある。
【0005】
[ベベル加工]
また、水晶ブランクは、振動特性を良好にするために、中心部を厚く周辺部を薄くし、外周部を面取りするように研磨するベベル加工が施されるものがある。
【0006】
[従来の台座の形状:図6
ここで、従来の台座の形状について図6を用いて説明する。図6は、従来の台座の形状を示す平面図である。
図6では、セラミック等から成るパッケージ1の凹部11内の基板に、ブランク5が搭載された台座4が固定された状態を示している。
図6に示すように、従来の台座4は、水晶等で矩形形状に形成され、角部は略直角に形成されている。
【0007】
上述したように、パッケージ1は、凹部11の角部12が丸く加工され、角部が直角に形成される場合よりも、内壁が内側(中心に向かって)にせり出している。
そのため、従来の台座4は、凹部11の角部12に接触しない寸法に形成され、ブランク5は、当該台座4に搭載される形状に形成されていた。台座4やブランク5がパッケージに接触すると、ブランク5の振動特性が劣化する。
図6では、凹部11の長辺の寸法(パッケージ内径長)をL1′、台座4の長辺寸法をL2′、ブランク長辺をL3′とすると、L1′>L2′>L3′となっている。
【0008】
図6に示すように、凹部11の長辺の長さL1′に比べると、台座4の長辺の長さL2′は十分小さく形成されており、パッケージ1の凹部11の内壁と台座4との間に広い隙間が形成されている。
つまり、パッケージ1の大きさの割には台座4及びブランク5は小さい形状となっており、凹部11の面積を有効に活用して十分な大きさの台座やブランクを搭載することはできなかった。
【0009】
[関連技術]
尚、台座を備えた振動子の従来技術としては、特許第3017750号公報「水晶振動子」(特許文献1)がある。
特許文献1には、基台上に、凹部を備えた保持用水晶板を固着し、凹部の上に矩形の水晶片を搭載した水晶振動子で、保持用水晶板の固着される両端部を結ぶ固着方向と、水晶片の固着される長手方向の両端部を結ぶ固着方向とを直交方向とすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特許第3017750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来の台座を用いた振動子では、パッケージの凹部角部が丸く加工されているため、内側にせり出している内壁に接触しないように、台座の大きさを制限しなければならず、台座の周辺に隙間が生じてしまい、凹部の面積を有効に活用してブランク及び電極の面積を十分広くすることができないという問題点があった。
【0012】
尚、特許文献1には、外部からの振動を抑えるための台座(制振台座)の角部を斜めに切り欠くことは記載されていない。
【0013】
本発明は上記実状に鑑みて為されたもので、凹部の角部が丸く加工されたパッケージに搭載される場合に、ブランク及び電極の面積を十分確保して、良好な振動特性を得ることができる台座、振動子及び発振器台座を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、ブランクと、ブランクを搭載する台座と、台座を収納するパッケージとを備えた振動子であって、パッケージは、凹部の角部が丸く形成され、ブランクは、略矩形であり、台座は、当該台座本体の四隅の角部が、斜めに切り欠かれた形状に形成され、台座本体の四隅の内側でブランクの四隅が固定されて、パッケージの凹部に収納されることを特徴としている。
【0015】
また、本発明は、上記振動子において、台座は、当該台座本体の表面中央に設けられた凹部と、台座本体の凹部の両端に隣接して設けられ、ベベル加工が施されたブランクが固定される縁部とを備えることを特徴としている。
【0016】
また、本発明は、ブランクと、ブランクを搭載する台座と、台座を収納するパッケージと、発振回路とを備えた発振器であって、パッケージは、凹部の角部が丸く形成され、ブランクは、略矩形であり、台座は、当該台座本体の四隅の角部が、斜めに切り欠かれた形状に形成され、台座本体の四隅の内側でブランクの四隅が固定されて、パッケージの表面の凹部内の基板に設置され、発振回路は、パッケージの表面の基板又は裏面の基板に設置されたことを特徴としている。
【0017】
また、本発明は、上記発振器において、台座は、当該台座本体の表面中央に設けられた凹部と、台座本体の凹部の両端に隣接して設けられ、ベベル加工が施されたブランクが固定される縁部とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ブランクと、ブランクを搭載する台座と、台座を収納するパッケージとを備えた振動子であって、パッケージは、凹部の角部が丸く形成され、ブランクは、略矩形であり、台座は、当該台座本体の四隅の角部が、斜めに切り欠かれた形状に形成され、台座本体の四隅の内側でブランクの四隅が固定されて、パッケージの凹部に収納される振動子としているので、パッケージの凹部の角部にRが掛けられて丸く形成されていても、凹部内壁に接触することなく台座の長辺及び短辺の寸法を大きくでき、電極やブランクの面積を十分確保して、良好な振動特性を得ることができる効果がある。
【0019】
また、本発明によれば、上記振動子において、台座は、当該台座本体の表面中央に設けられた凹部と、台座本体の凹部の両端に隣接して設けられ、ベベル加工が施されたブランクが固定される縁部とを備える振動子としているので、台座にブランクを搭載すると、厚みが大きいブランクの中央部が台座の凹部の上に位置することになり、ブランクが台座に接触するのを防ぎ、良好な振動特性を得ることができる効果がある。
また、本発明によれば、ブランクと、ブランクを搭載する台座と、台座を収納するパッケージと、発振回路とを備えた発振器であって、パッケージは、凹部の角部が丸く形成され、ブランクは、略矩形であり、台座は、当該台座本体の四隅の角部が、斜めに切り欠かれた形状に形成され、台座本体の四隅の内側でブランクの四隅が固定されて、パッケージの表面の凹部内の基板に設置され、発振回路は、パッケージの表面の基板又は裏面の基板に設置された発振器としているので、パッケージの凹部の角部にRが掛けられて丸く形成されていても、凹部内壁に接触することなく台座の長辺及び短辺の寸法を大きくでき、電極やブランクの面積を十分確保して、良好な振動特性を得ることができる効果がある。
また、本発明によれば、上記発振器において、台座は、当該台座本体の表面中央に設けられた凹部と、台座本体の凹部の両端に隣接して設けられ、ベベル加工が施されたブランクが固定される縁部とを備える発振器としているので、台座にブランクを搭載すると、厚みが大きいブランクの中央部が台座の凹部の上に位置することになり、ブランクが台座に接触するのを防ぎ、良好な振動特性を得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1の台座の形状を示す説明図である。
図2】第1の台座を用いた振動子の構成を示す上面図である。
図3】第2の台座の形状を示す説明図である。
図4】第2の台座を用いた振動子の断面説明図である。
図5】第2の台座を用いた発振器の構成を示す断面説明図である。
図6】従来の台座の形状を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る台座(本台座)は、ブランクを搭載する略矩形の台座であって、台座の四隅の角部を、斜めに切り欠いた形状に形成(C面加工)したものであり、パッケージ内の凹部の角部が丸く形成されて(Rが掛けられて)いても、凹部内壁に接触することなく、台座の長辺寸法及び短辺寸法を大きくして、ブランク及び電極の面積を十分確保することができ、良好な振動特性を得ることができるものである。
【0022】
更に、本台座は、ブランクが搭載される表面の中央部分に凹部が形成され、当該凹部に隣接して、縁(ふち)部が形成された略矩形の台座において、四隅の角部をC面加工したものであり、パッケージ内の凹部の角部が丸く形成されていても、凹部内壁に接触することなく、台座の長辺寸法及び短辺寸法を大きくすると共に、ベベル加工されたブランク中央部が台座表面に接触するのを防ぐことができ、振動特性を良好にすることができるものである。
【0023】
また、本発明の実施の形態に係る振動子(本振動子)は、本台座の上にブランクを搭載してパッケージに収納された表面実装型の振動子であり、本発明の実施の形態に係る発振器(本発振器)は、本振動子と同じパッケージに発振回路を備えたものである
【0024】
[第1の台座の形状:図1
本発明の第1の実施の形態に係る台座(第1の台座)の形状について図1を用いて説明する。図1は、第1の台座の形状を示す説明図である。
図1では、パッケージ1の凹部に、第1の台座2を搭載し、更にその上にブランク3を搭載した状態を上面から見たところを示している。
図1に示すように、パッケージ1の凹部11の角部12は、R(内径R)が掛けられて丸く形成されている。
また、ここでは、ブランク3は、周辺部が薄く中央部が厚くなるよう、また角部が丸くなるよう、面取り加工(ベベル加工)が施されているが、ベベル加工されていない形状でもよい。
【0025】
そして、第1の台座2は、水晶等で形成され、略矩形形状であって、四隅の角部22斜めに切り欠かれた形状に形成されている。つまり、第1の台座2は、四隅の角部22がC面加工されている。
【0026】
これにより、第1の台座2は、パッケージ1の内径Rに接触することなく、凹部の面積を有効に利用して、台座の面積を広くすることができるものである。
具体的には、図6に示した従来の台座4に比べて第1の台座2は大きく形成され、第1の台座2の長辺及び短辺と、パッケージ1の凹部11の側面との隙間が狭くなっていることがわかる。
【0027】
パッケージ1の凹部11の長辺の長さL1、第1の台座2の長辺の長さL2、ブランク3の長辺の長さL3の関係は、L1>L2≧L3である。
また、短辺については図示は省略するが、長辺と同様の関係であり、凹部11の短辺の長さ>第1の台座の短辺の長さ≧ブランク3の短辺の長さとなっている。
つまり、第1の台座2とブランク3は同じ大きさでも構わない。但し、第1の台座2と同程度の大きさとする場合には、ブランク3は、C面加工された台座2の角部から突出しないように面取りされているものとする。
【0028】
[第1の台座を用いた振動子の構成:図2
次に、第1の台座を用いた振動子の構成について図2を用いて説明する。図2は、第1の台座を用いた振動子(第1の振動子)の構成を示す上面図である。
図2に示すように、第1の振動子は、図1に示した第1の台座2の上に、ブランク3を搭載し、導電性接着剤34で四隅を固定した構成である。
ブランク3には、表面に励振電極31、裏面に励振電極32が形成されており、励振電極31,32は、導電性接着剤34によって第1の台座の表面に形成された電極及び配線に接続されている。
【0029】
第1の台座2は、角部22をC面加工しているため、長辺短辺を従来よりも長くしても、パッケージ1の凹部11の角部12に接触しないものであり、台座表面の面積を従来より大きくして、台座上に搭載されるブランク3や、台座表面に形成される電極及び配線(図示省略)の面積を大きくすることができ、良好な特性を得ることができるものである。
【0030】
[第1の台座を用いた発振器]
図示は省略するが、例えば、上面と下面に凹部を備えたH型のパッケージの一方の凹部に、ブランク3を搭載した第1の台座2を搭載し、他方の凹部に発振回路を搭載し、ブランク3と発振回路とを接続して、発振器を構成する。
【0031】
[第2の台座の形状:図3
次に、本発明の第2の実施の形態に係る台座(第2の台座)の形状について図3を用いて説明する。図3は、第2の台座の形状を示す説明図であり、(a)は上面図、(b)は底面図である。
第2の台座6は、ベベル加工が施されたブランクを搭載する台座であって、図3(a)に示すように、表面中央部に凹部6cが形成されている。
凹部6cは、第2の台座6本体の一方の長辺から他方の長辺に亘って形成されている。
また、台座6本体の短辺と凹部6cとの間は、縁となる縁部6a,6bが設けられている。
【0032】
凹部6cは、フォトリソグラフィ及びウェットエッチングにより、第2の台座6の表面が削られて形成される。具体的には、台座本体の表面が平坦な状態から、フォトリソグラフィで縁部6a、6bをマスクして、ウェットエッチングで削ることにより凹部6cを形成する。
【0033】
ベベル加工が施されたブランクは、周辺部に比べて中央部が凸形状となっている。そのため、導電性接着剤によって台座上に固定した場合に、ブランク中央部が台座表面に接触してしまうことがあった。
第2の台座では、凹部6cを設けたことにより、ベベル加工が施されたブランクを搭載した場合に、ブランクの中央部が凹部6cの上に位置することになり、ブランクが台座に接触するのを防ぐことができるものである。
【0034】
そして、第2の台座6では、角部62が斜めに切り欠かれた形状にC面加工されている。
第2の台座6は、長辺が2.328mm、短辺が1.628mmの略矩形であり、角部62は、長辺側、短辺側それぞれについて0.15mm切り欠かれている。
また、凹部6cは、第2の台座6本体の長辺方向の長さが1.624mm、深さが0.035mmである。
縁部6a,bの幅は0.352mmに形成されている。
【0035】
これにより、第2の台座6では、ベベル加工されたブランクを搭載するための凹部を備えた台座について、凹部の角部が丸く形成されたパッケージに搭載する場合でも、凹部の角部に接触することなく、台座の長辺及び短辺を長くして面積を大きくすることができ、台座上に形成される電極の面積や搭載されるブランクを大きくして、特性を良好にすることができるものである。
【0036】
また、ここでは、凹部6cの形状を、台座本体の一方の長辺から他方の長辺に亘って形成されているものとしたが、台座本体のいずれの辺にも接しないように、周囲を全て縁部で囲まれた形状としてもよい。
【0037】
[第2の台座を用いた振動子の断面説明図:図4
次に、第2の台座6を用いた振動子の構成について図4を用いて説明する。図4は、第2の台座を用いた振動子(第2の振動子)の断面説明図である。
図4に示すように、第2の振動子は、従来と同様のセラミック等から成るパッケージ10の凹部に、ベベル加工が施されたブランク3を搭載した第2の台座6が半田(又は導電性接着剤)35によって固定された構成である。
そして、ブランク3は、第2の台座6の縁部6a,6bの上に導電性接着剤34によって固定されている。
【0038】
上述したように、ブランク3の中央部分は、第2の台座6の凹部6cの上に搭載されているので、ブランク3の中央部が下に凸になっていても、凹部6cの深さで吸収して、ブランク3の中央部が凹部6の内側底面に接触しないように保持することができ、振動を妨げないものである。
【0039】
[第2の台座を用いた発振器の断面説明図:図5
次に、第2の台座6を用いた発振器の構成について図5を用いて説明する。図5は、第2の台座を用いた発振器(第2の発振器)の構成を示す断面説明図である。
図5に示すように、第2の発振器は、上面と下面に凹部を備えたH型のパッケージ7の、上面の凹部に、上述した第2の振動子と同様に第2の台座6及びベベル加工されたブランク3を搭載し、裏面の凹部に発振回路17を搭載したものである。
【0040】
パッケージ7の上面の凹部表面及び下面の凹部表面には電極及び配線が形成され、上面凹部の電極と下面凹部の電極とはパッケージ7に形成されたスルーホール等により接続されている。
そして、ブランク3の励振電極31,32と発振回路17、及びパッケージ7の裏面に設けられた外部端子18とが電気的に接続されている。
第2の発振器では、ブランク3が第2の台座6に接触しないので、振動を妨げることなく、良好な特性が得られるものとなる。
【0041】
また、H型のパッケージではなく、凹部を1つだけ備えたパッケージに、ブランク3を搭載した第2の台座と発振回路とを並べて搭載した構成としてもよい。
【0042】
[実施の形態の効果]
第1の台座2によれば、ブランク3を搭載する略矩形の台座であって、台座本体の四隅の角部22がC面加工されて斜めに切り欠かれた形状に形成されているので、凹部11の内壁の角部12にRが掛けられて丸く形成されていても、凹部11の角部12に接触せずに台座の長辺及び短辺を長くでき、台座表面に形成される電極や配線の面積、台座に搭載されるブランクの大きさを大きくすることができ、パッケージ1の凹部11の広さを有効に活用して、特性の良好な振動子及び発振器を実現することができる効果がある。
【0043】
また、第2の台座6も同様に台座本体の四隅の角部62が斜めに切り欠かれた形状に形成されているので、同様にパッケージ1の凹部11の広さを有効に活用して、特性の良好な振動子及び発振器を実現することができる効果がある。
【0044】
更に、第2の台座6によれば、ベベル加工されたブランク3が搭載される表面の中央部分に凹部6cが形成され、当該凹部6cの両端には、縁となる縁部6a及び6bが形成された構成としているので、縁部6a,6bに導電性接着剤を塗布してブランク3を搭載すれば、厚みが大きいブランク3の中央部が凹部6cの上に位置することになり、ブランク3の中央部が下に突出しても、凹部6cの空間内に収まり、中央部が台座表面に接触するのを防ぐことができ、ブランク3の振動を妨げず、振動特性を良好にすることができる効果がある。
また、台座を使用することにより、熱応力や加速度に対する耐性を良好にする効果もある。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、凹部の角部が丸く形成されているパッケージの凹部内壁に接触することなく、ブランク及び電極の面積を十分確保して、振動特性を向上させることができる台座、振動子及び発振器に適している。
【符号の説明】
【0046】
1,7…パッケージ、 2…第1の台座、 11…凹部、 12…凹部の角部、 22第1の台座の角部、 3…ブランク、 6…第2の台座、 6a,6b…縁部、6c…凹部、 31,32…励振電極、 34…導電性接着剤、 62…第2の台座の角部、 35…半田、 17…発振回路、 18…外部端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6