(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】駐車支援装置、駐車支援方法及び駐車支援プログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20231012BHJP
B60T 7/12 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
B60W30/06
B60T7/12 A
(21)【出願番号】P 2019188232
(22)【出願日】2019-10-11
【審査請求日】2022-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水谷 友一
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 博紀
(72)【発明者】
【氏名】立花 裕之
(72)【発明者】
【氏名】清川 裕介
(72)【発明者】
【氏名】小▲瀬▼垣 慶彦
(72)【発明者】
【氏名】友澤 元克
(72)【発明者】
【氏名】大村 明寛
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 和磨
(72)【発明者】
【氏名】横田 尚大
(72)【発明者】
【氏名】東條 惇
(72)【発明者】
【氏名】水瀬 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】大林 幹生
【審査官】楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-002957(JP,A)
【文献】特開2006-273122(JP,A)
【文献】特開2013-082376(JP,A)
【文献】特開2018-118550(JP,A)
【文献】特開2005-170295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00~60/00
B60T 7/12
B60R 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車速度の目標である目標速度パターンを設
定する設定部と、
前記目標速度パターンに基づいて前記車両の制駆動制御を行う制御部と
を具備
し、
前記設定部は、
誘導開始位置から所定の加速度で車両を加速させた後に、前記車両を駐車させる目標位置である目標駐車位置までの残距離が第1の残距離の位置から前記第1の残距離より小さい第2の残距離の位置までの間は前記車両を第1の減速度で減速させ、前記第2の残距離の位置から前記目標駐車位置までの間は前記車両を前記第1の減速度より大きい第2の減速度で減速させるように、前記目標速度パターンを設定した場合に、
前記目標速度パターンに基づく制駆動制御によって、前記所定の加速度で前記車両を加速させる際の走行距離と、前記第1の減速度で前記車両を減速させる際の走行距離と、前記第2の減速度で前記車両を減速させる際の走行距離との和が、前記誘導開始位置から前記目標駐車位置までの距離以下のとき、前記目標速度パターンを第1の目標速度パターンとして設定し、
前記目標速度パターンに基づく制駆動制御によって、前記所定の加速度で前記車両を加速させる際の走行距離と、前記第1の減速度で前記車両を減速させる際の走行距離と、前記第2の減速度で前記車両を減速させる際の走行距離との和が、前記誘導開始位置から前記目標駐車位置までの距離より大きいとき、前記第1の残距離より小さく、かつ、前記第2の残距離より大きい残距離の位置から前記第1の減速度での減速を開始させ、前記第1の目標速度パターンにおける前記第1の減速度での走行距離よりも短い走行距離だけ前記第1の減速度で走行するように前記目標速度パターンを第2の目標速度パターンとして設定する駐車支援装置。
【請求項2】
前記設定部は、
前記目標速度パターンに基づく制駆動制御によって、前記所定の加速度で前記車両を加速させる際の走行距離と、前記第2の減速度で前記車両を減速させる際の走行距離との和が、前記誘導開始位置から前記目標駐車位置までの距離より大きいとき、前記所定の加速度で前記車両を加速させた後に、前記第1の減速度を使用せず、前記第2の減速度で前記車両を減速させるように
第3の目標速度パターンを設定する、請求項
1に記載の駐車支援装置。
【請求項3】
駐車支援における上限速度ごとの前記第1の減速度及び前記第2の減速度を示すテーブルを記憶する記憶部をさらに備える、請求項1
又は2に記載の駐車支援装置。
【請求項4】
前記設定部は、走行モードに応じて前記第1の減速度及び前記第2の減速度を選択する、請求項1から
3のうちのいずれか1項に記載の駐車支援装置。
【請求項5】
設定部によって、車両の車速度の目標である目標速度パターンを設定することと、
制御部によって、前記目標速度パターンに基づいて前記車両の制駆動制御を行うことと
を含
み、
前記設定部は、
誘導開始位置から所定の加速度で車両を加速させた後に、前記車両を駐車させる目標位置である目標駐車位置までの残距離が第1の残距離の位置から前記第1の残距離より小さい第2の残距離の位置までの間は前記車両を第1の減速度で減速させ、前記第2の残距離の位置から前記目標駐車位置までの間は前記車両を前記第1の減速度より大きい第2の減速度で減速させるように、前記目標速度パターンを設定した場合に、
前記目標速度パターンに基づく制駆動制御によって、前記所定の加速度で前記車両を加速させる際の走行距離と、前記第1の減速度で前記車両を減速させる際の走行距離と、前記第2の減速度で前記車両を減速させる際の走行距離との和が、前記誘導開始位置から前記目標駐車位置までの距離以下のとき、前記目標速度パターンを第1の目標速度パターンとして設定し、
前記目標速度パターンに基づく制駆動制御によって、前記所定の加速度で前記車両を加速させる際の走行距離と、前記第1の減速度で前記車両を減速させる際の走行距離と、前記第2の減速度で前記車両を減速させる際の走行距離との和が、前記誘導開始位置から前記目標駐車位置までの距離より大きいとき、前記第1の残距離より小さく、かつ、前記第2の残距離より大きい残距離の位置から前記第1の減速度での減速を開始させ、前記第1の目標速度パターンにおける前記第1の減速度での走行距離よりも短い走行距離だけ前記第1の減速度で走行するように前記目標速度パターンを第2の目標速度パターンとして設定する駐車支援方法。
【請求項6】
コンピュータに、
車両の車速度の目標である目標速度パターンを設定
させることと、
前記目標速度パターンに基づいて前記車両の制駆動制御を行
わせることと
、を含み、
前記目標速度パターンを設定させるときは、
誘導開始位置から所定の加速度で車両を加速させた後に、前記車両を駐車させる目標位置である目標駐車位置までの残距離が第1の残距離の位置から前記第1の残距離より小さい第2の残距離の位置までの間は前記車両を第1の減速度で減速させ、前記第2の残距離の位置から前記目標駐車位置までの間は前記車両を前記第1の減速度より大きい第2の減速度で減速させるように、前記目標速度パターンを設定した場合に、
前記目標速度パターンに基づく制駆動制御によって、前記所定の加速度で前記車両を加速させる際の走行距離と、前記第1の減速度で前記車両を減速させる際の走行距離と、前記第2の減速度で前記車両を減速させる際の走行距離との和が、前記誘導開始位置から前記目標駐車位置までの距離以下のとき、前記目標速度パターンを第1の目標速度パターンとして設定し、
前記目標速度パターンに基づく制駆動制御によって、前記所定の加速度で前記車両を加速させる際の走行距離と、前記第1の減速度で前記車両を減速させる際の走行距離と、前記第2の減速度で前記車両を減速させる際の走行距離との和が、前記誘導開始位置から前記目標駐車位置までの距離より大きいとき、前記第1の残距離より小さく、かつ、前記第2の残距離より大きい残距離の位置から前記第1の減速度での減速を開始させ、前記第1の目標速度パターンにおける前記第1の減速度での走行距離よりも短い走行距離だけ前記第1の減速度で走行するように前記目標速度パターンを第2の目標速度パターンとして設定すること
を
前記コンピュータに実行させるための駐車支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、駐車支援装置、駐車支援方法及び駐車支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両を制御して、当該車両を駐車領域に駐車させる駐車支援装置が知られている。駐車支援装置は、駐車領域までの移動経路を算出し、当該移動経路に従って車両を操舵することで、車両を駐車領域まで案内する。また、車両を駐車領域まで案内する際に、操舵制御に加えて、ブレーキ制御や加減速制御も行う駐車支援装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-038296号公報
【文献】特開2016-002957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
駐車支援においては、駐車領域内における停車位置精度の向上が望まれる場合があった。しかしながら、ブレーキ制御や加減速制御などの自動駐車の制駆動制御において、目標速度に対する車両の実速度の追従性が低い場合には、車両を駐車領域内に精度良く停止させることは困難であった。
【0005】
実施形態は、自動駐車の制駆動制御における停車位置精度を向上させることができる駐車支援装置、駐車支援方法及び駐車支援プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る駐車支援装置は、例えば、車両の車速度の目標である目標速度パターンを設定する設定部と、上記目標速度パターンに基づいて上記車両の制駆動制御を行う制御部とを具備し、上記設定部は、誘導開始位置から所定の加速度で車両を加速させた後に、上記車両を駐車させる目標位置である目標駐車位置までの残距離が第1の残距離の位置から上記第1の残距離より小さい第2の残距離の位置までの間は上記車両を第1の減速度で減速させ、上記第2の残距離の位置から上記目標駐車位置までの間は上記車両を上記第1の減速度より大きい第2の減速度で減速させるように、上記目標速度パターンを設定した場合に、上記目標速度パターンに基づく制駆動制御によって、上記所定の加速度で上記車両を加速させる際の走行距離と、上記第1の減速度で上記車両を減速させる際の走行距離と、上記第2の減速度で上記車両を減速させる際の走行距離との和が、上記誘導開始位置から上記目標駐車位置までの距離以下のとき、上記目標速度パターンを第1の目標速度パターンとして設定し、上記目標速度パターンに基づく制駆動制御によって、上記所定の加速度で上記車両を加速させる際の走行距離と、上記第1の減速度で上記車両を減速させる際の走行距離と、上記第2の減速度で上記車両を減速させる際の走行距離との和が、上記誘導開始位置から上記目標駐車位置までの距離より大きいとき、上記第1の残距離より小さく、かつ、上記第2の残距離より大きい残距離の位置から上記第1の減速度での減速を開始させ、上記第1の目標速度パターンにおける上記第1の減速度での走行距離よりも短い走行距離だけ上記第1の減速度で走行するように上記目標速度パターンを第2の目標速度パターンとして設定する。この構成によれば、例えば、自動駐車の制駆動制御における、目標速度に対する車両の実速度の追従性を向上させることができる。目標速度に対する車両の実速度の追従性の向上は、自動駐車の制駆動制御における停車位置精度の向上に寄与する。
【0007】
また、この構成によれば、例えば、駐車支援における総走行距離が短い場合であっても、2段階減速により駐車位置精度を向上させることができる。
【0008】
実施形態に係る駐車支援装置の上記設定部は、例えば、上記目標速度パターンに基づく制駆動制御によって、上記所定の加速度で上記車両を加速させる際の走行距離と、上記第2の減速度で上記車両を減速させる際の走行距離との和が、上記誘導開始位置から上記目標駐車位置までの距離より大きいとき、上記所定の加速度で上記車両を加速させた後に、上記第1の減速度を使用せず、上記第2の減速度で上記車両を減速させるように第3の目標速度パターンを設定する。この構成によれば、例えば、目標速度に対する車両の実速度の追従性の低下の影響が小さい場合には、1つの減速度で減速する1段階減速を実行することができる。
【0009】
実施形態に係る駐車支援装置は、例えば、駐車支援における上限速度ごとの上記第1の減速度及び上記第2の減速度を示すテーブルを記憶する記憶部をさらに備える。この構成によれば、例えば、上限速度に応じて第1の減速度及び第2の減速度が決定されるため、駐車位置精度を向上させるとともに、運転者等のユーザに違和感を与えにくくすることができる。
【0010】
実施形態に係る駐車支援装置の上記設定部は、例えば、走行モードに応じて上記第1の減速度及び上記第2の減速度を選択する。この構成によれば、例えば、ユーザの選択した走行モードに応じた第1の減速度及び第2の減速度が決定されるため、駐車位置精度を向上させるとともに、運転者等のユーザに違和感を与えにくくすることができる。
【0011】
実施形態に係る駐車支援方法は、例えば、設定部によって、車両の車速度の目標である目標速度パターンを設定することと、制御部によって、上記目標速度パターンに基づいて上記車両の制駆動制御を行うこととを含み、上記設定部によって上記目標速度パターンを設定するときは、誘導開始位置から所定の加速度で車両を加速させた後に、上記車両を駐車させる目標位置である目標駐車位置までの残距離が第1の残距離の位置から上記第1の残距離より小さい第2の残距離の位置までの間は上記車両を第1の減速度で減速させ、上記第2の残距離の位置から上記目標駐車位置までの間は上記車両を上記第1の減速度より大きい第2の減速度で減速させるように、上記目標速度パターンを設定した場合に、上記目標速度パターンに基づく制駆動制御によって、上記所定の加速度で上記車両を加速させる際の走行距離と、上記第1の減速度で上記車両を減速させる際の走行距離と、上記第2の減速度で上記車両を減速させる際の走行距離との和が、上記誘導開始位置から上記目標駐車位置までの距離以下のとき、上記目標速度パターンを第1の目標速度パターンとして設定し、上記目標速度パターンに基づく制駆動制御によって、上記所定の加速度で上記車両を加速させる際の走行距離と、上記第1の減速度で上記車両を減速させる際の走行距離と、上記第2の減速度で上記車両を減速させる際の走行距離との和が、上記誘導開始位置から上記目標駐車位置までの距離より大きいとき、上記第1の残距離より小さく、かつ、上記第2の残距離より大きい残距離の位置から上記第1の減速度での減速を開始させ、上記第1の目標速度パターンにおける上記第1の減速度での走行距離よりも短い走行距離だけ上記第1の減速度で走行するように上記目標速度パターンを第2の目標速度パターンとして設定する。この構成によれば、例えば、自動駐車の制駆動制御における、目標速度に対する車両の実速度の追従性を向上させることができる。目標速度に対する車両の実速度の追従性の向上は、自動駐車の制駆動制御における停車位置精度の向上に寄与する。
【0012】
実施形態に係る駐車支援プログラムは、例えば、コンピュータに、車両の車速度の目標である目標速度パターンを設定させることと、上記目標速度パターンに基づいて上記車両の制駆動制御を行わせることと、を含み、上記目標速度パターンを設定させるときは、誘導開始位置から所定の加速度で車両を加速させた後に、上記車両を駐車させる目標位置である目標駐車位置までの残距離が第1の残距離の位置から上記第1の残距離より小さい第2の残距離の位置までの間は上記車両を第1の減速度で減速させ、上記第2の残距離の位置から上記目標駐車位置までの間は上記車両を上記第1の減速度より大きい第2の減速度で減速させるように、上記目標速度パターンを設定した場合に、上記目標速度パターンに基づく制駆動制御によって、上記所定の加速度で上記車両を加速させる際の走行距離と、上記第1の減速度で上記車両を減速させる際の走行距離と、上記第2の減速度で上記車両を減速させる際の走行距離との和が、上記誘導開始位置から上記目標駐車位置までの距離以下のとき、上記目標速度パターンを第1の目標速度パターンとして設定し、上記目標速度パターンに基づく制駆動制御によって、上記所定の加速度で上記車両を加速させる際の走行距離と、上記第1の減速度で上記車両を減速させる際の走行距離と、上記第2の減速度で上記車両を減速させる際の走行距離との和が、上記誘導開始位置から上記目標駐車位置までの距離より大きいとき、上記第1の残距離より小さく、かつ、上記第2の残距離より大きい残距離の位置から上記第1の減速度での減速を開始させ、上記第1の目標速度パターンにおける上記第1の減速度での走行距離よりも短い走行距離だけ上記第1の減速度で走行するように上記目標速度パターンを第2の目標速度パターンとして設定することを上記コンピュータに実行させる。この構成によれば、例えば、自動駐車の制駆動制御における、目標速度に対する車両の実速度の追従性を向上させることができる。目標速度に対する車両の実速度の追従性の向上は、自動駐車の制駆動制御における停車位置精度の向上に寄与する。また、この構成によれば、例えば、駐車支援における総走行距離が短い場合であっても、2段階減速により駐車位置精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係る駐車支援装置を搭載する車両の車室の一部が透視された状態を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る駐車支援装置を搭載する車両の例示的な平面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る駐車支援装置を搭載する車両のダッシュボードを車両後方から臨む場合の例示的かつ模式的な図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る駐車支援装置を含む制御システムの構成の例示的なブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る制御システムにおいて実現される、駐車支援装置の有する機能構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る駐車支援装置において生成される誘導経路を示す例示的かつ模式的な図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る駐車支援装置において設定される目標速度パターンを示す例示的かつ模式的な図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る駐車支援装置において実行される、後退誘導時の駐車支援処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施形態に係る駐車支援装置において、減速開始時点の目標速度が駐車支援における上限速度に満たない場合に設定される目標速度パターンを示す例示的かつ模式的な図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る駐車支援装置において、減速開始時点の目標速度が2段階目移行時の目標速度に満たない場合に設定される目標速度パターンを示す例示的かつ模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下の実施形態の構成は一例である。また、当該構成によってもたらされる作用、結果及び効果は一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や派生的な効果のうち、少なくとも1つを得ることが可能である。
【0015】
図1は、実施形態に係る画像処理装置を搭載する車両1の車室2aの一部が透視された状態の例示的かつ模式的な斜視図である。
図2は、実施形態に係る駐車支援装置を搭載する車両1の例示的かつ模式的な平面図である。
図3は、実施形態に係る駐車支援装置を搭載する車両のダッシュボードを車両後方から臨む場合の例示的かつ模式的な図である。
【0016】
実施形態に係る駐車支援装置を搭載する車両1は、内燃機関(エンジン)を駆動源とする自動車(内燃機関自動車)であってもよいし、電動機(モータ)を駆動源とする自動車(電気自動車、燃料電池自動車等)であってもよいし、それらの双方を駆動源とする自動車(ハイブリッド自動車)であってもよい。また、車両1は、種々の変速装置、内燃機関や電動機の駆動に必要な種々の装置(システム、部品等)を搭載可能である。また、車両1における車輪3の駆動に関わる装置の方式、個数、レイアウト等は、種々に設定可能である。
【0017】
図1に例示するように、車両1の車体2は、不図示の乗員が乗車する車室2aを構成している。車室2a内には、乗員としての運転者の座席2bに臨む状態で、操舵部4や、加速操作部5、制動操作部6、変速操作部7等が設けられている。操舵部4は、例えば、ダッシュボード24から突出したステアリングホイールである。加速操作部5は、例えば、運転者の足下に位置されたアクセルペダルである。制動操作部6は、例えば、運転者の足下に位置されたブレーキペダルである。変速操作部7は、例えば、センターコンソールから突出したシフトレバーである。
【0018】
また、車室2a内には、表示装置8(表示部)や、音声出力部としての音声出力装置9が設けられている。表示装置8は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や、OELD(Organic Electroluminescent Display)等である。音声出力装置9は、例えば、スピーカである。また、表示装置8は、例えば、タッチパネル等、透明な操作入力部10で覆われている。乗員(利用者)は、操作入力部10を介して表示装置8の表示画面に表示される画像を視認することができる。また、乗員(運転者等)は、表示装置8の表示画面に表示される画像に対応した位置で手指等により操作入力部10を触れたり押したり動かしたりして操作することで、操作入力を実行することができる。これら表示装置8や、音声出力装置9、操作入力部10等は、例えば、ダッシュボード24の車幅方向すなわち左右方向の中央部に位置されたモニタ装置11に設けられている。モニタ装置11は、スイッチや、ダイヤル、ジョイスティック、押しボタン等の不図示の操作入力部を有することができる。また、モニタ装置11とは異なる車室2a内の他の位置に不図示の音声出力装置を設けることができるし、モニタ装置11の音声出力装置9と他の音声出力装置から、音声を出力することができる。なお、モニタ装置11は、例えば、ナビゲーションシステムやオーディオシステムと兼用されうる。
【0019】
また、車室2a内には、表示装置8とは別の表示装置12が設けられている。
図3に例示すように、表示装置12は、例えば、ダッシュボード24の計器盤部25に設けられ、計器盤部25の略中央で、速度表示部25aと回転数表示部25bとの間に位置されている。
図3に例示するように、表示装置12の画面12aの大きさは、表示装置8の画面8aの大きさよりも小さい。この表示装置12には、主として車両1の駐車支援に関する情報を示す画像が表示されうる。車両1の駐車支援に関する情報は、文字情報やインジケータによる表示情報等を含む。表示装置12で表示される情報量は、表示装置8で表示される情報量より少なくてもよい。表示装置12は、例えば、LCDや、OELD等である。なお、表示装置8に、表示装置12で表示される情報が表示されてもよい。
【0020】
図1及び
図2に示すように、車両1は、四輪自動車等であり、左右2つの前輪3Fと、左右2つの後輪3Rとを有する。4つの車輪3の全て又は一部が、転舵可能である。
【0021】
車体2には、複数の撮像部15として、例えば四つの撮像部15a~15dが設けられている。撮像部15は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(CMOS Image Sensor)等の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。撮像部15は、所定のフレームレートで動画データを出力することができる。撮像部15は、それぞれ、広角レンズ又は魚眼レンズを有し、水平方向には例えば140°~220°の範囲を撮影することができる。また、撮像部15の光軸は斜め下方に向けて設定されている。よって、撮像部15は、車両1が移動可能な路面や車両1が駐車可能な領域を含む車体2の周辺の外部の環境を逐次撮影し、撮像画像データとして出力する。
【0022】
撮像部15aは、例えば、車体2の後側の端部2eに位置され、トランクのドア2hの下方の壁部に設けられて、車両1の後方領域の状況を撮像する。撮像部15bは、例えば、車体2の右側の端部2fに位置され、右側のドアミラー2gに設けられて、車両1の右前方、右側方、右後方を含む領域の状況を撮像する。撮像部15cは、例えば、車体2の前側、すなわち車両前後方向の前方側の端部2cに位置され、フロントバンパ等に設けられて、車両1の前方領域の状況を撮像する。撮像部15dは、例えば、車体2の左側、すなわち車幅方向の左側の端部2dに位置され、左側の突出部としてのドアミラー2gに設けられて、車両1の左前方、左側方、左後方を含む領域の状況を撮像する。画像処理装置を構成するECU14(
図4参照)は、複数の撮像部15で得られた撮像画像データに基づいて演算処理や画像処理を実行し、より広い視野角の画像を生成したり、車両1を上方(真上や斜め上方)から見た仮想的な俯瞰画像を生成したりすることができる。
【0023】
また、車両1は、当該車両1の外部に存在する物体との距離を計測可能な複数の測距部16,17を有する。測距部16は、例えば、ミリ波レーダー等であり、車両1の進行方位に存在する物体との距離を計測可能である。車両1の進行方位とは、例えば車両1の向く方向を示す。本実施形態では、車両1は、複数の測距部16a~16dを有する。測距部16aは、例えば、車両1のリアバンパの左側の端部に設けられ、車両1の左後方に存在する物体との距離を計測可能である。また、測距部16bは、車両1のリアバンパの右側の端部に設けられ、車両1の右後方に存在する物体との距離を計測可能である。測距部16cは、車両1のフロントバンパの右側の端部に設けられ、車両1の右前方に存在する物体との距離を計測可能である。また、測距部16dは、車両1のフロントバンパの左側の端部に設けられ、車両1の左前方に存在する物体との距離を計測可能である。測距部16は、比較的長距離の物体の検出に用いられうる。
【0024】
また、車両1は、車両1から比較的近距離に存在する外部の物体との距離を計測可能な測距部17を有する。測距部17は、例えば、超音波を発射して、その反射波を捉えるソナーである。本実施形態では、車両1は、複数の測距部17a~17hを有する。測距部17a~17dは、車両1のリアバンパに設けられ、車両の後方に存在する物体との距離を計測可能である。測距部17e~17hは、車両1のフロントバンパに設けられ、車両1の前方に存在する物体との距離を計測可能である。
【0025】
測距部16は、本実施形態において、例えば車両1を駐車する際に、車両1と並ぶ障害物や駐車するためのスペースの奥側に存在する障害物を検出し、その障害物までの距離を測定することができる。ここで、車両1と並ぶ障害物とは、例えば隣接車両や壁等を示す。また、駐車するためのスペースの奥側に存在する障害物とは、例えば、縁石や段差、壁、フェンス等を示す。また、測距部17は、例えば車両1に対して障害物(物体)が所定の距離を超えて接近した場合、その接近する障害物(物体)を検出し、その障害物までの距離を測定することができる。所定の距離としては、例えば、0.3mである。特に、車両1の後方両側に配置された測距部17a,17dは、車両1が後退しながら駐車領域に進入する場合の車両1の後方コーナ部と隣接車両等の障害物との距離や、進入後さらに後方コーナ部と壁等の障害物との距離を測定するセンサ(クリアランスソナー)として機能する。ECU14は、測距部16,17の検出結果により、車両1の周囲に位置された障害物等の物体の有無や当該物体までの距離を測定することができる。すなわち、測距部16,17は、車両1の周囲に存在する物体(静止物体や移動物体)を検出する物体検出部の一例である。静止物体としては、駐車車両、壁、縁石、街路樹等であり、移動物体としては、走行車両、自転車、歩行者、動物等である。
【0026】
図4は、実施形態に係る駐車支援装置を含む制御システム100の構成の例示的なブロック図である。
図4に例示するように、制御システム100は、ECU14、モニタ装置11、測距部16,17等の他、操舵システム13、ブレーキシステム18、舵角センサ19、アクセルセンサ20、シフトセンサ21、車輪速センサ22、駆動システム23等が、電気通信回線としての車内ネットワーク26を介して電気的に接続されている。車内ネットワーク26は、例えば、CAN(Controller Area Network)として構成されている。ECU14は、車内ネットワーク26を通じて制御信号を送ることで、操舵システム13、ブレーキシステム18、駆動システム23等を制御することができる。
【0027】
また、ECU14は、車内ネットワーク26を介して、トルクセンサ13b、ブレーキセンサ18b、舵角センサ19、測距部16,17、アクセルセンサ20、シフトセンサ21、車輪速センサ22等の検出結果や、操作入力部10の操作信号等を、受け取ることができる。
【0028】
操舵システム13は、電動パワーステアリングシステムやSBW(Steer By Wire)システム等である。操舵システム13は、アクチュエータ13a及びトルクセンサ13bを有する。そして、操舵システム13は、ECU14等によって電気的に制御され、アクチュエータ13aを動作させて、ステアリングホイール等の操舵部4(
図1,
図3参照)に対して、トルクを付加して操舵力を補うことによって、車輪3を転舵する。トルクセンサ13bは、運転者が操舵部4に与えるトルクを検出し、その検出結果をECU14に送信する。
【0029】
ブレーキシステム18は、車両1のブレーキのロックを制御するABS(Anti-lock Brake System)、コーナリング時の車両1の横滑りを抑制する横滑り防止装置(ESC:Electronic Stability Control)、ブレーキ力を増強させてブレーキをアシストする電動ブレーキシステム及びBBW(Brake By Wire)を含む。ブレーキシステム18は、アクチュエータ18a及びブレーキセンサ18bを有する。ブレーキシステム18は、ECU14等によって電気的に制御され、アクチュエータ18aを介して、車輪3に制動力を付与する。ブレーキシステム18は、左右の車輪3の回転差等から、ブレーキのロック、車輪3の空回り及び横滑りの兆候等を検出して、ブレーキのロック、車輪3の空回り及び横滑りを抑制する制御を実行する。ブレーキセンサ18bは、制動操作部6の可動部としてのブレーキペダルの位置を検出する変位センサであり、ブレーキペダルの位置の検出結果をECU14に送信する。
【0030】
舵角センサ19は、ステアリングホイール等の操舵部4の操舵量を検出するセンサである。舵角センサ19は、ホール素子等で構成され、操舵部4の回転部分の回転角度を操舵量として検出し、その検出結果をECU14に送信する。アクセルセンサ20は、加速操作部5の可動部としてのアクセルペダルの位置を検出する変位センサであり、その検出結果をECU14に送信する。
【0031】
シフトセンサ21は、変速操作部7のバー、アーム、ボタン等の可動部の位置を検出するセンサであり、その検出結果をECU14に送信する。車輪速センサ22は、ホール素子等を有し、車輪3の回転量や単位時間当たりの車輪3の回転数を検出するセンサであり、その検出結果をECU14に送信する。
【0032】
駆動システム23は、駆動源としての内燃機関(エンジン)システムやモータシステムである。駆動システム23は、アクセルセンサ20により検出された運転者(利用者)の要求操作量に従い、エンジンの燃料噴射量や吸気量の制御やモータの出力値を制御する。運転者の要求操作量とは、例えばアクセルペダルの踏み込み量を示す。また、利用者の操作に拘わらず、車両1の走行状態に応じて、操舵システム13やブレーキシステム18の制御と協働してエンジンやモータの出力値を制御しうる。例えば、駐車支援を含む通常の走行支援を実行することができる。
【0033】
なお、上述した各種センサやアクチュエータの構成や、配置、電気的な接続形態等は、一例であって、種々に設定したり変更したりすることができる。
【0034】
ECU14は、コンピュータ等で構成され、ハードウェアとソフトウェアとが協働することにより、車両1の制御全般を司る。具体的には、ECU14は、CPU(Central Processing Unit)14a、ROM(Read Only Memory)14b、RAM(Random Access Memory)14c、表示制御部14d、音声制御部14e及びSSD(Solid State Drive)14fを備える。CPU14a、ROM14b及びRAM14cは、同一の回路基板内に設けられていてもよい。
【0035】
CPU14aは、ROM14b等の不揮発性の記憶装置にインストールされ記憶されたプログラムを読み出し、当該プログラムにしたがって演算処理を実行することができる。ROM14bは、各種プログラム及び当該プログラムの実行に必要なパラメータ等を記憶する。ROM14bは、駐車支援における上限速度ごとの第1の減速度及び第2の減速度を示すテーブルを記憶する。ROM14bは、記憶部の一例である。RAM14cは、CPU14aでの演算で用いられる各種データを一時的に記憶する。表示制御部14dは、ECU14での演算処理のうち、主として、撮像部15から取得してCPU14aへ出力する撮像画像データに対する画像処理、CPU14aから取得した画像データを表示装置8,12に表示させる表示用の画像データへの変換等を実行する。音声制御部14eは、ECU14での演算処理のうち、主として、CPU14aから取得して音声出力装置9に出力させる音声の処理を実行する。SSD14fは、書き換え可能な不揮発性の記憶部であって、ECU14の電源がオフされた場合にあってもCPU14aから取得したデータを記憶し続ける。なお、CPU14aや、ROM14b、RAM14c等は、同一パッケージ内に集積されうる。また、ECU14は、CPU14aに替えて、DSP(Digital Signal Processor)等の他の論理演算プロセッサや論理回路等が用いられる構成であってもよい。また、SSD14fに替えてHDD(Hard Disk Drive)が設けられてもよいし、SSD14fやHDDは、ECU14とは別に設けられてもよい。
【0036】
図5は、実施形態に係る制御システム100において実現される、駐車支援装置の有する機能構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。ECU14において、CPU14aは、ROM14bから読み出した駐車支援プログラムをRAM14cにロードして実行することにより、
図5に示すように、目標駐車位置決定部141、経路生成部142、距離算出部143、目標速度設定部144、移動制御部145等のモジュールを含む駐車支援装置を実現する。
【0037】
なお、目標駐車位置決定部141、経路生成部142、距離算出部143、目標速度設定部144、移動制御部145等は、その一部又は全部を回路等のハードウェアによって構成してもよい。また、
図5では、図示を省略しているが、CPU14aは、車両1の走行に必要な各種モジュールを実現することもできる。また、
図5では、主として駐車支援処理を実行するCPU14aを示しているが、車両1の走行に必要な各種モジュールを実現するためのCPUを備えてもよいし、ECU14とは別のECUを備えてもよい。
【0038】
図6は、実施形態に係る駐車支援装置において生成される誘導経路Rを示す例示的かつ模式的な図である。
図6に示す例において、誘導経路Rは、駐車場200に進入した車両1を誘導開始位置から切返し位置RSを介して駐車領域Pまで誘導する経路である。ここで、誘導開始位置は、例えば
図6に示す車両1の位置であるとする。また、切返し位置RSは、前進誘導経路RFの終端であり、前進停止位置である。また、駐車領域Pは、駐車支援における車両1の最終目的地であるとする。
図7は、実施形態に係る駐車支援装置において設定される目標速度パターンLを示す例示的かつ模式的な図である。
図7に示す例において、縦軸は速度を示し、横軸は時間を示す。
図7に示す例において、目標速度パターンLは、加速ラインL1、保持ラインL2、第1の減速ラインL3及び第2の減速ラインL4を含む。
図7に例示する目標速度パターンLは、切返し位置RSから目標駐車位置Ptに向けて後退誘導する際の駐車支援に関する。後退誘導する際の駐車支援における誘導開始位置は、切返し位置RSである。以下、
図6及び
図7を参照しつつ、駐車支援装置の有する各機能について説明する。
【0039】
目標駐車位置決定部141は、駐車領域P及び駐車領域P内の目標駐車位置Ptを決定する。具体的には、目標駐車位置決定部141は、車両1の周囲状況を示す周辺情報に基づいて、駐車領域Pの候補を探索する。この場合、目標駐車位置決定部141は、車両1の車幅や車長を考慮し、車両1が収まり、かつ、車幅方向及び車長方向に所定の余裕領域を確保可能なスペースを駐車領域Pの候補として探索する。目標駐車位置決定部141は、例えば駐車支援を要求する要求信号の受信を契機として、駐車領域Pの候補の探索を開始する。要求信号は、例えばユーザの操作に応じて操作入力部10や操作部14g(
図3、
図4参照)から出力される。例えば、目標駐車位置決定部141は、車両1が駐車場200内を低速で走行している間に駐車領域Pの候補を探索する。目標駐車位置決定部141は、
図6に示すように、車両1が駐車場200内で停車している間に駐車領域Pの候補を探索してもよい。
【0040】
周辺情報としては、撮像部15が撮像した撮像画像データや、測距部16,17が測定した測距データ等が適宜利用可能である。撮像画像データや測距データ等の周辺情報は、表示制御部14dや車内ネットワーク26を介して取得されうる。なお、撮像部15や測距部16,17による周辺情報の取得は、車両1が起動している場合に常時実行するようにしてもよいし、駐車支援の要求信号の受信を契機として駐車支援が終了するまでの期間に実行されてもよい。また、周辺情報は、車両1が駐車場200内を移動中に取得されてもよいし、車両1が駐車場200内の案内開始位置に停車しているときに取得されてもよい。
【0041】
目標駐車位置決定部141は、駐車領域Pの候補が取得できた場合、表示装置8に周囲の状況を示す例えば俯瞰画像とともに、駐車領域Pの候補を提示して、運転者に選択させる。目標駐車位置決定部141は、駐車領域Pの候補が複数ある場合、表示装置8に全ての駐車領域Pを提示して運転者に選択させるようにしてもよい。この場合、目標駐車位置決定部141は、所定の優先度の高い順に駐車領域Pの候補を表示装置8に選択的に提示してもよい。優先度の高い順としては、例えば、自車の現在位置から最も近い順やスペースが最も広い順等が適宜利用可能である。運転者は、表示装置8に提示された駐車領域Pを、操作入力部10等を用いて選択することにより、駐車の意思表示をすることができる。なお、駐車領域Pの候補が一つの場合でも、目標駐車位置決定部141は、その駐車領域Pを表示装置8に表示して、運転者に選択させることで、駐車の意思を確認するようにしてもよい。
【0042】
なお、要求信号やユーザによる駐車領域Pの選択結果を示す制御信号は、ユーザの音声入力やジェスチャ入力等に応じて生成されてもよい。
【0043】
目標駐車位置決定部141は、運転者により駐車を希望する駐車領域Pが選択された場合、車両1を選択された駐車領域Pに移動させるための、目標駐車位置Ptを決定する。目標駐車位置Ptは、車両1を駐車領域Pに移動させる場合の移動目標位置であり、例えば、
図6に示すように、車両1の後輪軸中心位置Ctに基づいて決定することができる。目標駐車位置Ptは、例えば、駐車領域Pを規定する複数の白線210の先端を結ぶ駐車基準線PLから所定の距離だけ離れた位置に設定される。したがって、後輪軸中心位置Ctと目標駐車位置Ptとが一致するように、車両1を移動させれば、車両1が駐車領域Pに収まるように誘導することができる。なお、車両1を誘導する際に基準とする基準位置は、後輪軸中心位置Ct以外でもよく、例えば、車両1の前方の端部2cに設定してもよい。この場合、端部2cの位置に対応する目標駐車位置Ptが設定される。
【0044】
経路生成部142は、目標駐車位置決定部141が設定した目標駐車位置Ptと車両1の現在の位置とに基づき、誘導経路Rを生成する。誘導経路Rとしては、例えば、切返し回数が最小で車両1を現在の位置から目標駐車位置Ptまで誘導できる経路が利用可能である。ここで、誘導を開始する車両1の現在位置を誘導開始位置とする。なお、誘導経路Rの算出は周知の技術が利用可能であり、詳細な説明は省略する。
【0045】
なお、実施形態に係る駐車支援装置は、車両1を基本的には後退姿勢で駐車領域Pに駐車させる。したがって、誘導経路Rは、
図6に示すように、車両1を現在位置から一旦前進させて、車両1の後部を駐車領域Pの入口に向けるように誘導し、その後で後退させる。したがって、誘導経路Rは、車両1の誘導開始位置から前進誘導するための前進誘導経路RFと、切返し位置RSから目標駐車位置Ptに向けて後退誘導するための後退誘導経路RBとを含むものとする。
【0046】
なお、誘導経路Rは、例えば駐車場の管理装置等の車両1の外部の処理装置において生成されてもよい。この場合、経路生成部142は、車両1の位置及び目標駐車位置Ptを外部の処理装置に送信し、そこで生成された誘導経路Rを受信する。このとき、車両1の位置は、駐車場の監視カメラ等により取得されてもよい。また、駐車領域Pの探索が外部の処理装置において実行され、駐車領域Pの候補が受信される場合もありうる。また、目標駐車位置Ptの決定が外部の処理装置において実行されてもよい。
【0047】
距離算出部143は、経路生成部142により生成された誘導経路Rに関して、経路上の距離を算出する。具体的には、誘導開始前の段階において、距離算出部143は、切返し位置RSから目標駐車位置Ptまでの後退誘導の総走行距離を算出する。総走行距離としては、誘導開始位置から目標駐車位置Ptまでの誘導経路Rの総走行距離や誘導開始位置から切返し位置RSまでの前進誘導時の総走行距離がさらに算出されてもよい。距離算出部143は、目標速度設定部144により設定された目標速度パターンLに基づいて、減速開始時点t1の残距離DR´、第1の走行距離DA及び第2の走行距離DBを算出する。具体的には、距離算出部143は、第1の減速ラインL3及び第2の減速ラインL4に基づいて、減速開始時点t1の残距離DR´を算出する。距離算出部143は、第1の減速ラインL3に基づいて、第1の減速度で減速する第1の区間の第1の走行距離DAを算出する。距離算出部143は、第2の減速ラインL4に基づいて、第2の減速度で減速する第2の区間の第2の走行距離DBを算出する。ここで、
図7に示す例では、減速開始時点t1の残距離DR´は、第1の走行距離DA及び第2の走行距離DBの和に等しい。
【0048】
また、後退誘導開始後の段階において、距離算出部143は、誘導経路Rの経路上の任意の位置から目標駐車位置Ptまでの残距離DRを算出する。任意の位置は、
図7に示す例の任意の時点tにおける位置に対応する。距離算出部143は、例えば誘導経路R及び車両1の現在位置に基づいて残距離DRを算出する。距離算出部143は、例えば切返し位置RSからの車両1の走行距離を後退走行時の総走行距離から減算することにより残距離DRを算出する。なお、残距離DR及び残距離DR´は、それぞれ目標駐車位置Ptに到達するまでに当該位置の車両1が走行する走行距離である。
【0049】
目標速度設定部144は、後退誘導開始前の段階において、例えば
図7に例示する、目標速度パターンLを設定する。目標速度パターンLを設定する目標速度設定部144は、設定部の一例である。具体的には、目標速度設定部144は、第1の区間では車両1を第1の減速度で減速させ、第2の区間では車両1を第2の減速度で減速させるように、目標速度パターンLを設定する。ここで、第1の区間は、後退誘導時の減速開始位置から減速度変更位置までの間である。換言すれば、第1の区間は、減速開始時点t1から減速度変更時点t2までの期間に車両1が走行する範囲である。減速開始位置は、後退誘導経路RBの経路上における目標駐車位置Ptまでの残距離DRが残距離DR´(第1の残距離)の位置である。残距離DR´は、例えば第1の走行距離DA及び第2の走行距離DBの和に等しい。減速度変更位置は、目標駐車位置Ptまでの残距離DRが第2の走行距離DB(第2の残距離)の位置である。第2の区間は、減速度変更位置から目標駐車位置Ptまでの間である。換言すれば、第2の区間は、減速度変更時点t2から駐車時点t3までの期間に車両1が走行する範囲である。目標駐車位置Ptは、車両1を駐車させる目標位置である。第2の区間は、第1の区間に連続する区間である。第2の減速度は、第1の減速度より大きい。目標速度パターンLは、車両1の車速度の目標である。
【0050】
より具体的には、目標速度設定部144は、駐車支援における上限速度Vmaxを設定する。目標速度設定部144は、例えばその時点で設定されている走行モードに応じて、上限速度Vmaxの値を設定する。走行モードごとの上限速度Vmaxは、例えば予め設定されてROM14b等に記憶されている。上限速度Vmaxとしては、例えば、5km/hである。
【0051】
また、目標速度設定部144は、例えば走行モードの設定に応じて、1段階目減速時の第1の減速度と、2段階目減速時の第2の減速度とを設定する。走行モードごとの第1の減速度及び第2の減速度を示すテーブルは、例えば予め設定されてROM14b等に記憶されている。なお、ROM14bには、駐車支援における上限速度Vmaxごとの第1の減速度及び第2の減速度を示すテーブルが記憶されていてもよい。このように、目標速度設定部144は、ユーザの選択している走行モードに応じて第1の減速度及び第2の減速度を選択する。換言すれば、ユーザの選択している走行モードに応じて決定された上限速度Vmaxに基づいて第1の減速度及び第2の減速度を選択する。これにより、ユーザの選択した走行モードに応じた第1の減速度及び第2の減速度が決定されるため、駐車位置精度を向上させるとともに、運転者等のユーザに違和感を与えにくくすることができる。
【0052】
第1の減速度としては、例えば、車両1の目標速度への追従性が担保できる減速度が設定されている。第1の減速度は、例えば駆動システム23やブレーキシステム18の応答性等の車両1の特性に応じて適宜設定されている。第2の減速度としては、予め試験等により定めた、運転者等に制動ショックを感じさせないような減速度が設定されている。また、第2の減速度としては、予め試験等により定めた、運転者等に「減速が遅い」との違和感を覚えさせないような減速度が設定されている。第2の減速度は、第1の減速度と同様にして、車両1の特性に応じてさらに設定されていてもよい。第1の減速度と、第2の減速度との比としては、例えば1:2である。第1の減速度の第1の区間の時間長さと、第2の減速度の第2の区間の時間長さとの比としては、例えば1:1である。なお、これらの比は、上述の車両1の特性や運転者等のユーザの感覚に応じて適宜設定されていればよい。
【0053】
また、目標速度設定部144は、例えば走行モードの設定に応じて、2段階目移行時の目標速度Vswを設定する。走行モードごとの2段階目移行時の目標速度Vswは、例えば予め設定されてROM14b等に記憶されている。2段階目移行時の目標速度Vswとしては、車両1の車速推定精度を担保できる下限の車速度より大きい車速度が設定されている。また、2段階目移行時の目標速度Vswは、例えば、車両1の特性に応じて設定されている。2段階目移行時の目標速度Vswとしては、例えば0.7km/h~1km/h以上の車速度である。2段階目移行時の目標速度Vswとしては、例えば3km/hである。
【0054】
このように、実施形態に係る駐車支援装置は、後退誘導開始前の段階において、目標速度パターンLを設定する。なお、車両1の誘導開始前に生成される目標速度パターンLとしては、目標速度の時系列である必要はなく、各減速度と、減速度を切り替えるタイミングとを示す情報であればよい。
【0055】
また、目標速度設定部144は、後退誘導開始後の段階において、設定された目標速度パターンLと、車輪速センサ22の出力に応じて取得される車両1の車速度とに基づいて車両1の制駆動制御を行う。制駆動制御を行う目標速度設定部144は、制御部の一例である。具体的には、目標速度設定部144は、車両1の車速度が目標速度パターンLに追従するように、車両1の車速度の加速、維持又は減速を指示する制御信号を生成し、生成された制御信号を移動制御部145に供給する。目標速度設定部144は、
図7に示すように後退誘導経路RBに沿って車両1を誘導する場合、例えば切返し位置RSで停止している車両1を所定の加速度で駐車支援における上限速度Vmaxまで加速させる(加速ラインL1)。ここで、切返し位置RSは、後退誘導する際の駐車支援における誘導開始位置である。その後、目標速度設定部144は、所定の上限速度Vmaxを維持させる(保持ラインL2)。そして、目標速度設定部144は、第1の減速度で上限速度Vmaxから2段階目移行時の目標速度Vswまで減速させる(第1の減速ラインL3)。また、目標速度設定部144は、第2の減速度で2段階目移行時の目標速度Vswから速度ゼロまで減速させて、目標駐車位置Ptで車両1を停止させる(第2の減速ラインL4)。
【0056】
移動制御部145は、誘導経路Rに沿って車両1を移動させるための各種制御を実行する。本実施形態に係る移動制御部145は、車両1を誘導経路Rに沿って誘導する場合、例えば、操舵システム13、ブレーキシステム18、駆動システム23等を全て自動制御する完全自動制御を実行させたり、操舵システム13、ブレーキシステム18、駆動システム23等の一部の制御を自動制御する半自動制御を実行させたりする。また、移動制御部145は、誘導経路Rに沿って車両1が移動できるように、操舵システム13、ブレーキシステム18、駆動システムダッシュボード24等の操作案内を運転者に提供して、運転者に運転操作を実行させる手動制御を実行させることもできる。
【0057】
本実施形態では、一例として、完全自動制御で車両1を誘導する場合を説明する。移動制御部145は、目標速度設定部144から供給される制御信号に応じて、急加速及び急減速することなく車両1が誘導経路Rに沿ってスムーズに移動するように、駆動システム23を制御してエンジン出力又はモータ出力を調整する。移動制御部145は、目標速度設定部144から供給される制御信号に応じて、急加速及び急減速することなく車両1が誘導経路Rに沿ってスムーズに移動するように、ブレーキシステム18を制御して、制動発生タイミングと制動力を調整する。移動制御部145は、操舵システム13を制御して、車両1が誘導経路R沿って進むように舵角を制御する。
【0058】
以上のように構成される駐車支援装置の後退誘導時の動作の一例について、図面を参照しつつ説明する。
図8は、実施形態に係る駐車支援装置において実行される、後退誘導時の駐車支援処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図8のフローチャートでは、車両1が駐車場200に進入した後、自動で駐車領域Pの探索が実行され、誘導開始位置に停止している車両1を選択された駐車領域Pに自動的に誘導して駐車を完了する例を説明する。
【0059】
目標駐車位置決定部141は、駐車領域P及び目標駐車位置Ptを決定する(S101)。経路生成部142は、車両1を誘導開始位置から目標駐車位置Ptまで誘導するための誘導経路Rを生成する(S102)。距離算出部143は、生成された誘導経路Rに基づいて総移動距離を算出する(S103)。総移動距離は、誘導開始位置から目標駐車位置Ptまでの距離である。
【0060】
その後、目標速度設定部144は、駐車支援における上限速度Vmaxを設定する(S104)。また、目標速度設定部144は、1段階目減速時の第1の減速度を設定する(S105)とともに、2段階目減速時の第2の減速度を設定(S106)する。また、目標速度設定部144は、2段階目移行時の目標速度Vswを設定する(S107)。
【0061】
その後、目標速度設定部144は、車両1の誘導を開始する(S108)。目標速度設定部144は、例えば、運転者がブレーキペダルを離したことを契機として、車両1の誘導を開始する。運転者がブレーキペダルを離したことは、ブレーキセンサ18bの出力する制御信号に基づいて検知される。具体的には、目標速度設定部144は、加速ラインL1に沿って車両1が加速を開始するように、車両1の車速度の加速を指示する制御信号を生成し、生成された制御信号を移動制御部145に供給する。
【0062】
車両1の後退誘導が開始された後、距離算出部143は、車両1の現在位置から目標駐車位置Ptまでの残距離DRの算出を開始する(S109)。また、目標速度設定部144は、上限速度Vmax及び各減速度に基づいて、1段階目減速時の第1の走行距離DA(S110)及び2段階目減速時の第2の走行距離DBを算出(S111)する。なお、第1の走行距離DA及び第2の走行距離DBは、例えば予め算出された値が各減速度とともに上述のテーブルに記憶されていてもよい。
【0063】
また、目標速度設定部144は、加速ラインL1に沿って加速することにより、残距離DR´の位置までに上限速度Vmaxに到達できるか否かを確認する。つまり、目標速度設定部144は、上限速度Vmaxから第1の減速ラインL3に沿って減速する区間の走行距離(第1の走行距離DA)と、2段階目移行時の目標速度Vswから第2の減速ラインL4に沿って減速する区間の走行距離(第2の走行距離DB)と、加速ラインL1に沿って切返し位置RSから上限速度Vmaxまで加速する区間の走行距離との和がS103の処理で算出された総走行距離に収まっているか否かを確認する。切返し位置RSは、後退誘導する際の駐車支援における誘導開始位置である。第1の走行距離DAと、第2の走行距離DBと、加速ラインL1に沿って加速する区間の走行距離との和が総走行距離以下である場合、目標速度設定部144は、目標駐車位置Ptから減速開始時点t1の残距離DR´の位置までの区間を減速区間として設定する。より具体的には、目標駐車位置Ptから目標速度が2段階目移行時の目標速度Vswの位置までを第2の減速ラインL4に沿って減速する区間として設定する。また、目標速度が2段階目移行時の目標速度Vswの位置から減速開始時点t1の残距離DR´の位置までの区間を第1の減速ラインL3に沿って減速する区間として設定する。その後、目標速度設定部144は、加速ラインL1に沿って加速する区間を設定するとともに、残りの区間を保持ラインL2に沿って一定速走行させる区間として設定する。このようにして、目標速度設定部144は、
図7に例示するように、少なくとも2つの減速度で車両1を減速させる目標速度パターンLを生成する。
【0064】
目標速度設定部144は、その時点での残距離DRが第1の走行距離DA及び第2の走行距離DBの和(第1の残距離)より大きいか否かを判定する(S112)。換言すれば、目標速度設定部144は、残距離DRが残距離DR´より大きいか否かを判定する。ここで、残距離DRが残距離DR´より大きいときとは、車両1が後退誘導時の減速開始位置に到達していないときを意味する。目標速度設定部144は、残距離DRが残距離DR´より大きいとき(S112:Yes)、その時点での残距離DRに応じて、車両1を加速させたり、一定速走行させたりする(S113)。具体的には、目標速度設定部144は、その時点での残距離DRに応じて、車両1の車速度を加速ラインL1又は保持ラインL2に追従させるための制御信号を生成し、生成された制御信号を移動制御部145に供給する。
【0065】
目標速度設定部144は、残距離DRが残距離DR´以下であるとき(S112:No)、残距離DRが第2の走行距離DB(第2の残距離)より大きいか否かを判定する(S114)。ここで、残距離DRが第2の走行距離DBより大きいときとは、車両1の車速度が2段階目移行時の目標速度Vswより大きいときを意味する。換言すれば、S114において、目標速度設定部144は、第1の減速度で車両1を減速させる第1の区間であるか否かを判定する。目標速度設定部144は、残距離DRが第2の走行距離DBより大きいとき(S114:Yes)、車両1を第1の減速度で減速させる(S115)。具体的には、目標速度設定部144は、車両1の車速度を第1の減速ラインL3に追従させるための制御信号を生成し、生成された制御信号を移動制御部145に供給する。
【0066】
目標速度設定部144は、残距離DRが第2の走行距離DB以下であるとき(S114:No)、車両1を第2の減速度で減速させる(S116)。ここで、残距離DRが第2の走行距離DB以下であるとは、第2の減速度で車両1を減速させる第2の区間であることを意味する。具体的には、目標速度設定部144は、車両1の車速度を第2の減速ラインL4に追従させるための制御信号を生成し、生成された制御信号を移動制御部145に供給する。その後、目標速度設定部144は、残距離DRがゼロであるとき、目標速度=0とし、後退誘導時の車両1の誘導を終了する。
【0067】
このように、実施形態に係る駐車支援装置は、車両1を第1の減速度で減速させた後に、第1の減速度より大きい第2の減速度で減速させる。これにより、自動駐車の制駆動制御における、目標速度に対する車両1の実速度の追従性を向上させることができる。つまり、実施形態に係る技術によれば、自動駐車の制駆動制御における停車位置精度を向上させることができる。
【0068】
図9は、実施形態に係る駐車支援装置において、減速開始時点t1の目標速度Vsが駐車支援における上限速度Vmaxに満たない場合に設定される目標速度パターンLを示す例示的かつ模式的な図である。
図9に示す例において、縦軸は速度を示し、横軸は時間を示す。
図9に示す例において、目標速度パターンLは、加速ラインL1、第1の減速ラインL3及び第2の減速ラインL4を含む。
図8のS111の処理において、目標速度設定部144は、上限速度Vmaxから第1の減速ラインL3に沿って減速する区間の走行距離(
図7の第1の走行距離DA)と、2段階目移行時の目標速度Vswから第2の減速ラインL4に沿って減速する区間の走行距離(
図7の第2の走行距離DB)と、加速ラインL1に沿って上限速度Vmaxまで加速する区間の走行距離との和が総走行距離より大きい場合、
図9に示すように、加速ラインL1に沿って加速する区間と、第1の区間とを調節する。具体的には、目標速度設定部144は、加速ラインL1に沿って加速する際の走行距離と、減速開始後の走行距離との和が、S103の処理で算出された総走行距離の範囲内に収まるように、加速ラインL1に沿って加速する区間と、第1の区間とを調節する。したがって、
図9の目標速度パターンLは、S103の処理で算出された総走行距離の範囲内に収まるように、
図7の目標速度パターンLを紙面左側にシフトさせた形態となる。つまり、
図9の第1の走行距離DAは、
図7の第1の走行距離DAより小さい。
【0069】
図10は、実施形態に係る駐車支援装置において、減速開始時点t1の目標速度Vsが2段階目移行時の目標速度Vswに満たない場合に設定される目標速度パターンLを示す例示的かつ模式的な図である。
図10に示す例において、縦軸は速度を示し、横軸は時間を示す。
図10に示す例において、目標速度パターンLは、加速ラインL1及び第2の減速ラインL4を含む。
図8のS111の処理において、目標速度設定部144は、
図7の減速度変更時点t2の残距離DR、すなわち2段階目移行時の目標速度Vswから第2の減速ラインL4に沿って減速する区間の走行距離(
図7の第2の走行距離DB)と、加速ラインL1に沿って上限速度Vmaxまで加速する区間の走行距離との和が総走行距離より大きい場合、
図10に示すように、第1の走行距離DAをゼロにするとともに、加速ラインL1に沿って加速する区間と、第2の区間とを調節する。具体的には、目標速度設定部144は、加速ラインL1に沿って加速する際の走行距離と、第2の減速度で減速する第2の区間の走行距離との和が、S103の処理で算出された総走行距離の範囲内に収まるように、加速ラインL1に沿って加速する区間と、第2の区間とを調節する。したがって、
図10の目標速度パターンLは、S103の処理で算出された総走行距離の範囲内に収まるように、
図9の目標速度パターンLを紙面左側にさらにシフトさせた形態となる。つまり、
図10の第2の走行距離DBは、
図7及び
図9の第2の走行距離DBより小さい。
【0070】
このように、実施形態に係る駐車支援装置は、切返し位置RSから目標駐車位置Ptまでの後退誘導の総走行距離が短い場合には、第1の区間の走行距離を短く設定(変更)することにより、2段階減速を実行する。換言すれば、駐車支援装置は、切返し位置RSから目標駐車位置Ptまでの後退誘導の総走行距離が短い場合には、残距離DR´(第1の残距離)より小さく、かつ、第2の走行距離DB(第2の残距離)より大きい残距離の位置から第1の減速度での減速を開始させるように目標速度パターンを設定する。このとき、駐車支援装置は、第2の走行距離DB(第2の残距離)を変更しない。この構成によれば、2段階減速により駐車位置精度を向上させることができる。ここで、切返し位置RSから目標駐車位置Ptまでの後退誘導の総走行距離が短い場合には、車速度の追従性を考慮して設定される第1の区間が短くなることにより、車速度の追従性が低くなるおそれがある。しかしながら、切返し位置RSから目標駐車位置Ptまでの後退誘導の総走行距離が短い場合には、加速又は減速による速度変化も小さいため、追従性の低下による影響が小さい。また、実施形態に係る駐車支援装置は、2段階減速できない程度に切返し位置RSから目標駐車位置Ptまでの後退誘導の総走行距離が短い場合には、追従性の低下による影響が小さいため、1つの減速度で減速する1段階減速を実行する。
【0071】
なお、本実施形態では、
図7に例示するように、主に後退誘導時の制駆動制御について説明したが、これに限らない。実施形態に係る技術は、車両1を案内開始位置から切返し位置RSまで誘導する前進誘導時に適用されてもよいし、前進誘導時及び後退誘導時に適用されてもよい。また、誘導経路Rとしては、前進誘導経路RF又は後退誘導経路RBのいずれか一方であってもよい。これらの構成であっても上述と同様の効果が得られる。
【0072】
なお、本実施形態では、
図7に例示するように、2つの減速度を用いて2段階の減速を行う場合を例示したが、これに限らない。3以上の複数段階の減速が行われてもよい。この構成であっても上述と同様の効果が得られる。
【0073】
本実施形態では、上述したように、第1の減速度での減速を開始するタイミング(減速開始時点t1)は、誘導経路R(前進誘導経路RF及び/又は後退誘導経路RB)の経路上の残距離DRにより規定されている。この減速開始時点t1としては、例えば、車両1の車体が駐車領域Pに侵入するタイミングが利用可能である。この場合、減速開始時点t1の残距離DR´としては、例えば、駐車基準線PLと目標駐車位置Ptとの間の距離である。換言すれば、減速開始時点t1の残距離DR´としては、例えば、車両1の前方の端部2cと、後輪軸中心位置Ctとの間の距離が利用可能である。この構成であれば、車両1の大きさにより予め減速開始時点t1の残距離DR´を規定できる。また、例えば画像処理により車両1の現在位置が取得される場合であっても、画像処理による認識精度が高い白線210や駐車基準線PLに基づいて減速開始時点t1を決定できるため、駐車位置精度の低下を抑制できるという効果がある。
【0074】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態及び変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。
【符号の説明】
【0075】
1…車両、2a…車室、2b…座席、2c,2d,2e,2f…端部、2g…ドアミラー、2h…ドア、3…車輪、3F…前輪、3R…後輪、4…操舵部、5…加速操作部、6…制動操作部、7…変速操作部、8…表示装置、8a…画面、9…音声出力装置、10…操作入力部、11…モニタ装置、12…表示装置、12a…画面、13…操舵システム、13a…アクチュエータ、13b…トルクセンサ、14…ECU、14a…CPU、14b…ROM、14c…RAM、14d…表示制御部、14e…音声制御部、14f…SSD、14g…操作部、15,15a,15b,15c,15d…撮像部、16,16a~16d,17,17a~17h…測距部、18…ブレーキシステム、18a…アクチュエータ、18b…ブレーキセンサ、19…舵角センサ、20…アクセルセンサ、21…シフトセンサ、22…車輪速センサ、23…駆動システム、24…ダッシュボード、25…計器盤部、25a…速度表示部、25b…回転数表示部、141…目標駐車位置決定部、142…経路生成部、143…距離算出部、144…目標速度設定部、145…移動制御部、200…駐車場、210…白線、Ct…後輪軸中心位置、DA…第1の走行距離、DB…第2の走行距離、DR,DR´…残距離、L…目標速度パターン、L1…加速ライン、L2…保持ライン、L3…第1の減速ライン、L4…第2の減速ライン、t…任意の時点、t1…減速開始時点、t2…減速度変更時点、t3…駐車時点、Vmax…上限速度、Vs…減速開始時点の目標速度、Vsw…2段階目移行時の目標速度、P…駐車領域、PL…駐車基準線、Pt…目標駐車位置、R…誘導経路、RB…後退誘導経路、RF…前進誘導経路、RS…切返し位置。