(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】エアーバッグ
(51)【国際特許分類】
B65D 88/62 20060101AFI20231012BHJP
B65D 88/12 20060101ALI20231012BHJP
B65D 90/00 20060101ALI20231012BHJP
B65D 90/04 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
B65D88/62
B65D88/12 X
B65D90/00 J
B65D90/04 G
(21)【出願番号】P 2019223416
(22)【出願日】2019-12-11
【審査請求日】2022-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000187138
【氏名又は名称】昭和パックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100194629
【氏名又は名称】小嶋 俊之
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 裕太
(72)【発明者】
【氏名】畑 健太郎
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3175169(JP,U)
【文献】特開2001-192089(JP,A)
【文献】特開2008-302968(JP,A)
【文献】特開平08-011656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 88/62
B65D 88/12
B65D 90/00
B65D 90/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物コンテナー内に装備され且つ粉粒体が充填されたライナーからの粉粒体の排出を助長するための、エアーが注入されておらず平坦な形態に展開された状態において三角形又は台形を呈する合成樹脂フィルム製バッグを具備するエアーバッグにおいて、
該三角形の底辺部又は該台形の下底辺部には、合成樹脂製フィルムを内側に折り込むことによって生成されたガゼットが配設されて
おり、
該バッグの片面及び他面には、夫々、該バッグの形状に対応した三角形又は台形である可撓性補強カバーが積層されており、
該バッグは該三角形の両斜辺又は該台形の両脚辺に沿って該片面及び該他面が相互に溶着されており、該補強カバーは該バッグの該三角形の該両斜辺又は該台形の該両脚辺に沿って該バッグの該片面及び該他面に、夫々、接合されている、
ことを特徴とするエアーバッグ。
【請求項2】
該バッグの該三角形の片斜辺部又は該台形の該片脚辺部にはエアー注入チューブと共に短いエアー排気チューブが接続されている、請求項
1記載のエアーバッグ。
【請求項3】
該エアー注入チューブ及び該エアー排気チューブは合成樹脂フィルム製である、請求項
2記載のエアーバッグ。
【請求項4】
貨物コンテナー内に装備され且つ粉粒体が充填されたライナーからの粉粒体の排出を助長するための、エアーが注入されておらず平坦な形態に展開された状態において三角形又は台形を呈する合成樹脂フィルム製バッグを具備するエアーバッグにおいて、
該バッグの片面及び他面には、夫々、該バッグの形状に対応した三角形又は台形である可撓性補強カバーが積層されて
おり、
該バッグは該三角形の両斜辺又は該台形の両脚辺に沿って該片面及び該他面が相互に溶着されており、該補強カバーは該バッグの該三角形の両斜辺又は該台形の両脚辺に沿って該バッグの該片面及び該他面に、夫々、接合されている、
ことを特徴とするエアーバッグ。
【請求項5】
該バッグの該三角形状の片斜辺部又は該台形の片脚辺部にはエアー注入チューブと共に短いエアー排気チューブが接続されている、請求項
4記載のエアーバッグ。
【請求項6】
該エアー注入チューブ及び該エアー排気チューブは合成樹脂フィルム製である、請求項
5記載のエアーバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物コンテナー内に装備され且つ粉粒体(即ち粉体及び/又は粒体)が充填されたライナーからの粉粒体の排出を助長するためのエアーバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1及び2には、貨物コンテナー内に装備され且つ粉粒体が充填されたライナーからの粉粒体の排出を助長するためのエアーバッグが開示されている。かかるエアーバッグは、エアーが注入されておらず平坦な形態に展開された状態において三角形又は台形を呈する合成樹脂フィルム製バッグを具備する。かかるエアーバッグは、例えば、片端壁に排出口が形成されているライナー内の所定位置、即ちライナーの片端壁に三角形の底辺又は台形の下底辺を整合せしめてライナーの片側壁の内面及び底壁上面に沿って延在する状態に配設され、或いはライナーとライナーが装備されている貨物コンテナーとの間の所定位置、即ちライナーの片端壁に三角形の底辺又は台形の下底辺を整合せしめてライナーの片側壁の外面及び底壁下面に沿って延在する状態に配設される。貨物コンテナーを傾斜せしめてライナーの上記片端壁を下方に向け、排出口を開放してライナーから粉粒体の略全体を排出した後に、エアーバッグ内にエアーを注入してバッグを膨らませ、これによってライナーの片端壁の片側下部に残留している粉粒体を排出口に向けて強制して粉粒体の排出を助長する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-192089号公報
【文献】特開2008-302968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したとおりの従来のエアーバッグには、(1)バッグが膨らませられた時に三角形の底辺又は台形の下底辺が三角形の頂点又は台形の上底辺に向かって凸円弧状に変形されて所謂ポケット空間が生成され、それ故にライナーの片端壁の片側下部に残留している粉粒体を充分効果的に排出口に向けて強制することができず、上記ポケット空間に相当量の粉粒体が残留し続ける(上記特許文献1には、ポケット空間の生成を抑制するためにエアーバッグに延長部を付設することが開示されているが、かような延長部を付設すると、ライナーに形成されている複数個の排出口のうちの1個または複数個に延長部が干渉するという問題が発生する)、(2)バッグを膨らませた時に、バッグ、特にその加熱溶着された辺部(三角形の両斜辺部又は台形の両脚辺部)が破損されてしまう虞がある、(3)エアーバッグは繰り返し使用することができず、1回の使用によって破棄されてしまう、という問題が存在する。
【0005】
本発明は上記のとおりの事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、従来のエアーバッグに存在する上記のとおりの問題の少なくとも1つを解決する、新規且つ改良されたエアーバッグを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の局面によれば、従来のエアーバッグにおける上記問題(1)乃至(3)を解決するエアーバッグとして、
貨物コンテナー内に装備され且つ粉粒体が充填されたライナーからの粉粒体の排出を助長するための、エアーが注入されておらず平坦な形態に展開された状態において三角形又は台形を呈する合成樹脂フィルム製バッグを具備するエアーバッグにおいて、
該三角形の底辺部又は該台形の下底辺部には、合成樹脂製フィルムを内側に折り込むことによって生成されたガゼットが配設されており、
該バッグの片面及び他面には、夫々、該バッグの形状に対応した三角形又は台形である可撓性補強カバーが積層されており、
該バッグは該三角形の両斜辺又は該台形の両脚辺に沿って該片面及び該他面が相互に溶着されており、該補強カバーは該バッグの該三角形の該両斜辺又は該台形の該両脚辺に沿って該バッグの該片面及び該他面に、夫々、接合されている、
ことを特徴とするエアーバッグが提供される。
【0007】
本発明の第二の局面によれば、従来のエアーバッグにおける上記問題(2)及び(3)を解決するエアーバッグとして、
貨物コンテナー内に装備され且つ粉粒体が充填されたライナーからの粉粒体の排出を助長するための、エアーが注入されておらず平坦な形態に展開された状態において三角形又は台形を呈する合成樹脂フィルム製バッグを具備するエアーバッグにおいて、
該バッグの片面及び他面には、夫々、該バッグの形状に対応した三角形又は台形である可撓性補強カバーが積層されており、
該バッグは該三角形の両斜辺又は該台形の両脚辺に沿って該片面及び該他面が相互に溶着されており、該補強カバーは該バッグの該三角形の両斜辺又は該台形の両脚辺に沿って該バッグの該片面及び該他面に、夫々、接合されている、
ことを特徴とするエアーバッグが提供される。
【0009】
該エアー注入チューブ及び該エアー排気チューブは合成樹脂フィルム製であるのが好ましい。該ライナーの排出口が形成された片端壁に該バッグの該三角形の該底辺又は該台形の該下底辺を整合せしめて、該コンテナーの片側壁内面及び底壁上面と該コンテナーの該片側壁内面及び該底壁上面に対向する該ライナーの片側壁外面及び底壁外面との間に配設されるのが好都合である。
【0010】
本発明の第一の局面において提供されるエアーバッグによれば、三角形の底辺部又は台形の下底辺部には、合成樹脂製フィルムを片面側と他面側との双方から両面の内側に折り込むことによって生成されたガゼットが配設されている故に、バッグが膨らませられた時に三角形の底辺又は台形の下底辺には略平坦な底面が生成され、従って三角形の頂点又は台形の上底辺に向かって凸円弧状に変形されて所謂ポケット空間の生成されることが回避され、かくしてライナーの片端壁の片側下部に残留している粉粒体を充分効果的に排出口に向けて強制することができる。また、バッグの片面及び他面には、夫々、バッグの三角形又は台形に対応した三角形又は台形である可撓性補強カバーが積層されている故に、バッグを膨らませた時に、バッグ、特にその加熱溶着された辺部(三角形の両斜辺部又は台形の両脚辺部)が破損されてしまうことが可及的に回避され、エアーバッグを繰り返し再使用することができる。
【0011】
本発明の第二の局面において提供されるエアーバッグによれば、バッグの片面及び他面には、夫々、バッグの三角形又は台形に対応した三角形又は台形である可撓性補強カバーが積層されている故に、バッグを膨らませた時に、バッグ、特にその加熱溶着された辺部(三角形の両斜辺部又は台形の両脚辺部)が破損されてしまうことが可及的に回避され、エアーバッグを繰り返し再使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】貨物コンテナー内に装備され粉粒体が充填されるライナーの典型例を示す斜面図。
【
図2】本発明に従って構成されたエアーバッグの好適実施形態におけるバッグを示す平面図。
【
図4】
図2及び
図3に図示するバッグの製作様式の一例を説明するための簡略図。
【
図5】
図2及び
図3に図示するバッグの両面に補強カバーを配設して完成された、本発明に従って構成されたエアーバッグの好適実施形態を示す平面図。
【
図8】
図5乃至
図7に図示するエアーバッグのバッグにエアーを注入した状態を示す斜面図。
【
図9】従来のエアーバッグ(ガゼットが配設されておらず、補強カバー及びエアー排気チューブを備えていない)にエアーを注入した状態を示す斜面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に従って構成されたエアーバッグの好適実施形態について、添付図面を参照して更に詳細に説明する。
【0015】
図1には、粉粒体の排出を助長するために本発明に従って構成されたエアーバッグが適用されるライナーの典型例が図示されている。全体を番号2で示すライナーは、細長い中空直方体形であり、片端壁4、他端壁6、上壁8、底壁10並びに両側壁12及び14を有する。片端壁4には1個の注入口16と2個の排出口18a及び18bとが付設されている。注
入口16は、片端壁4の上部に形成された開口に、チューブの基端縁を溶着することによって形成されている。2個の排出口18a及び18bは、片端壁4の下部に横方向に間隔をおいて形成された2個の開口の各々に、チューブの基端縁を溶着することによって形成されている。片端壁4、他端壁6、上壁8、底壁10並びに両側壁12及び14を有するライナー2はポリエチレンフィルムの如き適宜の合成樹脂フィルムに適宜の加工を施すことによって形成することができ、上記チューブもポリエチレンフィルムの如き適宜の合成樹脂フィルムから形成することができる。ライナー2の上端部における4角部には、夫々、ライナー2に溶着される連結片24を介して連結紐26が連結されている。連結片24及び連結紐26もポリエチレンの如き適宜の合成樹脂から形成することができる。かようなライナー2は、上端部における4角部に配設された連結紐26を貨物コンテナー(図示していない)のラッシングリング(図示していない)に結束することによって、貨物コンテナー内に収納される。貨物コンテナーはライナー2の片端壁4に対向して位置する一対の扉(図示していない)を有する。かかる一対の扉は、通常、鉛直軸線を中心として旋回開閉動される所謂観音開き扉であり、最初に向かって右側の扉が開放され、しかる後に向かって左側の扉が開放される。貨物コンテナーには、更に、ライナー2の片端壁4の一部(注入口16並びに排出口18a及び18bの領域を除く部分)の前面及びライナー2の底壁10の下面に当接してライナー2を支持するバルクヘッド(図示していない)も装備される。貨物コンテナー内に収納された上記のとおりのライナー2には、その2個の排出口18a及び18bを構成しているチューブを例えば結束紐を結び付けて閉塞した状態で、その注入口16を通して粉粒体が充填される。粉粒体を所要とおりに充填して後には、注入口16を構成しているチューブも例えば結束紐を結び付けて閉塞する。ライナー2から粉粒体を排出する様式について後述する。
【0016】
而して、上述したライナー2、貨物コンテナー及びバルクヘッド自体は周知の形態であり、本発明に従って構成されたエアーバッグの一部を構成するものではなく、それ故にこれらについての詳細な説明は本明細書においては省略する。
【0017】
図2及び
図3には、本発明に従って構成されたエアーバッグの好適実施形態が図示されている。全体を番号30で示すエアーバッグは、ポリエチレンフィルムの如き適宜の合成樹脂フィルムから形成することができる合成樹脂製バッグ32から構成されている。図示のバッグ32は、エアーが充填されておらず平坦な形態に展開されている状態、即ち
図2に図示する状態において、上底辺34、下底辺36並びに両脚辺38a及び38bを有する台形であり、両脚辺38a及び38bの傾斜角度は同一である。バッグ32の形態は、
図2に図示するとおりの形状に限定されるものではなく、両脚辺の傾斜角度が異なる台形或いは適宜の三角形(例えば二等辺三角形)でもよい。台形の下底辺部(即ち下底辺36からその幾分上方の部位までの領域)には、フィルムを片面(上面)側と他面(下面)側との双方から両面の内側に折り込むことによって生成されたガゼット40が配設されていることが重要である。
図2及び
図3に図示するとおりの形態のバッグ32を製作する好適様式について説明すると、第4図に図示するように、合成樹脂フィルム製大径チューブ42を準備する。そして、平坦化したチューブ42の片縁部において片面(上面)側と他面(下面)側との双方からフィルムを両面間に折り込んでガゼット40を形成する。そして、チューブ42を2本の切断線44a及び44bに沿って切断し、溶着線46a及び46bに沿って溶着し、かくして
図2及び
図3に図示するとおりのバッグ32を完成する。
図2に図示するように、ガゼット40には、その幅方向両端部においてガゼット40の外側両面に跨って接着テープ48が貼着されているのが好都合である。かかる接着テープ48は、バッグ32内にエアーが注入される際にガゼット40の開きを抑制し、バッグ32の両脚辺38a及び38b近傍においてバッグ32が破損されてしまうことを防止する。
【0018】
台形のバッグ32には、その片脚辺38aにエアー注入チューブ50及びエアー排気チューブ52が接続されている。エアー注入チューブ50は比較的長く、エアー排気チューブ52は比較的短いことが重要である(その理由は後述する)。バッグ32内に連通していることが必要であるエアー注入チューブ50及びエアー排出チューブ52は、ポリエチレンフィルムの如き適宜の合成樹脂フィルムから形成されたチューブを所要長さに切断し、かかるチューブの片端部を、上記溶接線46aに沿った溶着に先立ってチューブ42の両面間に位置せしめ、次いで溶着線46aに沿ってチューブ42の両面を溶着することによって、バッグ32に接続することができる。チューブ42の両面を溶着する際に、エアー注入チューブ50及びエアー排気チューブ52自体も溶着されて閉塞されてしまうことを防止するために、エアー注入チューブ50及びエアー排気チューブ52の上記片端部内に、紙シート片の如き非溶着性シート材片(図示していない)を挿入することができる。
【0019】
図5、
図6及び
図7を参照して説明を続けると、上記バッグ32の両面には、夫々、補強カバー54a及び54bが積層されている。補強カバー54a及び54bはバッグ32の形状及び寸法と実質上同一でよく、従って図示の実施形態においてはバッグ32にエアーが充填されておらず平坦な形態に展開されている状態で、上底辺56、下底辺58並びに両脚辺60a及び60bを有する台形であり、両脚辺60a及び60bの傾斜角度は同一である。かような補強カバー54a及び54bは、可撓性を有する適宜の材料から形成することができるが、一般にブルーシ-トと称されている積層合成樹脂製シート、或いは未晒クラフト紙に高密度ポリエチレンの如き合成樹脂製クロス(網)を積層したPEクロス紙から形成されているのが好適である。バッグ32の両面への補強カバー54a及び54bの積層は、バッグ32の溶着線46a及び46bに沿って補強カバー54a及び54bの対応部位を、両面接着テープの如き適宜の接着手段によって接着することによっ
て遂行
されている。
図5及び
図6においては、バッグ32と補強シート54a及び54bとの接着部位62を多数の点を付して表示している。上記エアー注入チューブ50及びエアー排気チューブ52が接続されている部位においては、エアーを注入又は排出する際にエアー注入チューブ50及びエアー排気チューブ52の膨らみが阻害されるのを回避するために、バッグ32と補強シート54a及び54bとは相合に接着されていないことが望ましい。
【0020】
バッグ32の他面(
図2に図示されていない面)に積層された補強シート54bには、
図6に図示するように、上底辺56近傍の幅方向中央部、上底辺56の片端部(
図6において右端部)、下底辺58近傍の幅方向中間部、下底辺58の幅方向両端部に、補強シート54bに接合される適宜の連結片63によって適宜の結束紐64が連結されている。
【0021】
次に、上記のとおりのエアーバッグ30の典型的使用様式について説明する。
図1に図示する実施形態においては、エアーバッグ30は、その長手方向中心線に沿って折られて2個の半部が相互に実質上90度の角度をなす形態にせしめられて、貨物コンテナー(図示していない)とライナー2との間に介在せしめられ、エアーバッグ30の各半部が、夫々、ライナー2の片側壁12及び底壁10の外面に対向して位置せしめられる。エアーバッグ30は、貨物コンテナーにライナー2を装備する前に貨物コンテナーの所要位置に配置し、補強シート54bに付設された結束紐64を貨物コンテナーのラッシングリング等に結束することができる。
図2を参照することによって理解されるように、エアーバッグ30におけるバッグ32の下底辺36並びに補強シート54a及び54bの下底辺58は、ライナー2の片端壁4と実質上整合せしめられている。
【0022】
ライナー2から粉粒体を排出する際には、貨物コンテナーを傾動せしめてライナー2をその他端壁6から片端壁4に向かって下方に傾斜せしめる。貨物コンテナーの傾動に先立って、貨物コンテナーの一方の扉、即ち向かって右側に位置する扉を開き、かくするとライナー2の一方の排出口18bが露呈される。しかる後に、排出口18bを構成するチューブに結び付けられている結束紐を解いて排出口18bを開口し、排出口18bに適宜の排出案内パイプ(図示していない)を接続し、排出口18b及び排出案内パイプを通してライナー2から粉粒体を排出する。ライナー2内の粉粒体の殆どが排出されたのちにおいても、ライナー2の片端壁4の下部における右側部に配設されている排出口18bを通して粉粒体を排出することに起因して、ライナー2の片端壁4と片側壁12との角部の下部には相当量の粉粒体が残留する。かかる残留した粉粒体の排出を助長するために、エアーバッグ30に配設されている比較的長いエアー注入チューブ50を貨物コンテナーから引出し、エアー注入チューブ50を通してバッグ32内にエアーを注入する。かくすると、
図8に図示するようにバッグ32が膨らみ、これによってライナー2の片端壁4と片側壁12との角部の下部に残留していた粉粒体が排出口18bに向けて強制的に移動され、排出口18bを通して排出される(
図8においては、図面の明瞭化のために補強カバー54a及び54bの図示を省略している)。この際には、エアー排出チューブ52はバッグ32が膨らむことに起因しバッグ32の片脚辺38a近傍にてバッグ32の両面間で圧迫されて実質上閉塞される故に、結束紐を結び付ける等によってエアー排出チューブ52を積極的に閉塞する必要はない。
【0023】
而して、本発明に従って構成されたエアーバッグ30におけるバッグ32には、その下底辺部にガゼット40が配設されている故に、
図8に明確に図示するように、バッグ32の下底辺36には略平坦な底面が生成され、バッグ32の下底辺36がライナー2の片端壁4から内側に実質上変位することがなく、所謂ポケット空間の発生が回避され、それ故にライナー2の片端壁4と片側壁12との角部の下部に残留していた粉粒体を充分効果的に排出口18bに向けて強制的に移動して排出口18bから排出することができる。これに対して、ガゼットが配設されていない従来のバッグ32’の場合、
図9に図示するように、バッグ32’の下底辺36’が内側に凸円弧状に変形されて所謂ポケットが生成され、かかるポケットに起因して相当量の粉粒体が残留してしまう傾向がある。
【0024】
更に、本発明に従って構成されたエアーバッグ30においては、エアーバッグ32の両面に補強カバー54a及び54bが積層されている故に、エアーバッグ32内にエアーを注入することによって、例えばエアーバッグ32の両脚辺38a及び38b或いはその近傍にてエアーバッグ32が破断されてしまうことが可及的に防止される。
【0025】
エアーバッグ30の作用によってライナー2内の粉粒体が充分に排出された後おいては、は、通常ライナー2は貨物コンテナーから取り出されて破棄される。しかる後には、貨物コンテナー内に作業員が入ることが可能になり、貨物コンテナー内に進入した作業員は、貨物コンテナー外から持ち込んだエアー吸引機の吸引ノズル(図示していない)をエアーバッグ30のエアー排気チューブ52を通してエアーバッグ32に挿入し、エアー吸引機を作動させ、エアーバッグ32からエアーを排気する(エアー排気チューブ52の外側端に単にエアー吸引機の吸引ノズルを接続してエアーバッグ32内のエアーを排気せんとした場合には、エアーの吸引に起因してエアー排気チューブ52が閉塞されてしまってエアーの排気が不可能になる)。本発明に従って構成されたエアーバッグ30においては、貨物コンテナー内にライナー2が装備されている状態で使用されるエアー注入チューブ50は貨物コンテナーから外部に引き出すことが必要である故に比較的長いが、ライナー2が貨物コンテナーから取り出された後に作業人が貨物コンテナー内に進入してアクセスすることができるエアー排出チューブ52は比較的短く、従って充分容易にエアー排気チューブ52を通してエアー吸引器の吸引ノズルをエアーバッグ32内に挿入することができる。バッグ32からエアーが排出されたエアーバッグ30は、貨物コンテナー内に装備され粉粒体が充填される次のライナーに対して繰り返し使用することができる。
【0026】
ライナー2から粉粒体を排出する際に、貨物コンテナーの2個の扉を開動して、片方の排出口18bのみではなく他方の排出口18aも利用する場合には、ライナー2内に残留する粉粒体の量は微小であり、従ってエアーバッグ30を必ずしも作動させる必要はない。他方、片端壁にはその幅方向中央に1個の排出口のみが配設されている形態のライナーの場合には、ライナーの両側部において粉粒体が残留する傾向がある。この場合には、ライナーの片側のみではなくてライナーの両側の各々に関連せしめて2個のエアーバック30を配設することができる。
【符号の説明】
【0027】
2:ライナー
4:ライナーの片端壁
6:ライナーの他端壁
8:ライナーの上壁
10:ライナーの底壁
12:ライナーの側壁
14:ライナーの側壁
16:ライナーの注入口
18a:ライナーの排出口
18b:ライナーの排出口
30:エアーバッグ
32:バッグ
34:バッグの上底辺
36:バッグの下底辺
38a:バッグの脚辺
38b:バッグの脚辺
40:ガゼット
50:エアー注入チューブ
52:エアー排出チューブ
54a:補強カバー
54b:補強カバー