(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】馬の掻痒の治療
(51)【国際特許分類】
A61K 39/00 20060101AFI20231012BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20231012BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20231012BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20231012BHJP
A61P 33/00 20060101ALI20231012BHJP
C12N 15/24 20060101ALN20231012BHJP
C12N 15/40 20060101ALN20231012BHJP
C07K 14/54 20060101ALN20231012BHJP
C07K 14/08 20060101ALN20231012BHJP
C12N 7/01 20060101ALN20231012BHJP
【FI】
A61K39/00 H ZNA
A61P17/04
A61K35/76
A61P37/08
A61P33/00 171
C12N15/24
C12N15/40
C07K14/54
C07K14/08
C12N7/01
(21)【出願番号】P 2019571099
(86)(22)【出願日】2018-03-07
(86)【国際出願番号】 EP2018055644
(87)【国際公開番号】W WO2018162577
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2021-03-05
(32)【優先日】2017-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515098691
【氏名又は名称】ウニヴェルズィテート チューリッヒ
(73)【特許権者】
【識別番号】514232904
【氏名又は名称】ウニヴェルジテート ベルン
(73)【特許権者】
【識別番号】519324503
【氏名又は名称】エヴァックス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】フェッテルショッス, アントーニア
(72)【発明者】
【氏名】フェッテルショッス, ヴィクトリア
(72)【発明者】
【氏名】バッハマン, マルティン
【審査官】大島 彰公
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-522735(JP,A)
【文献】Journal of Allergy and Clinical Immunology, Vol: 117, Nr: 2, Page(s): 411-417,2006年02月01日
【文献】VETERINARY DERMATOLOGY, Vol: 27, Nr: 6, Page(s): 478 - e129,2016年12月01日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K、A61P、C12N、C07K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1つの第1の付着部位を有するコア粒子であって、ウイルス様粒子(VLP)である、前記コア粒子;及び
(b)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つの抗原であって、前記少なくとも1つの抗原が、ウマ(equine)インターロイキン31抗原(eIL-31抗原)であり、前記eIL-31抗原が、配列番号1から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、又は配列番号1と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含む、前記少なくとも1つの抗原;
を含む組成物であって、
(a)及び(b)が、二官能性クロスリンカー及び少なくとも1つの非ペプチド共有結合により前記少なくとも1つの第1の付着部位及び前記少なくとも1つの第2の付着部位を介して連結されており;
ウマ科(equine)哺乳動物の掻痒状態若しくはアレルギー状態から選択される状態又は障害の予防又は治療の方法における使用のためのものであり、前記状態又は障害は、アレルギー性皮膚炎と関連する掻痒である、組成物。
【請求項2】
前記コア粒子が、組換えVLPである、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項3】
有効量の前記組成物が、前記ウマ科(equine)哺乳動物に投与される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記状態又は障害が、ウマ科(equine)哺乳動物の虫刺され過敏症(IBH)の予防又は治療ではない、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項5】
前記ウマ科(equine)哺乳動物は、馬である、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項6】
前記eIL-31抗原が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項7】
前記eIL-31抗原が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質である、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項8】
前記組成物が、さらに、
(c)少なくとも1つの第1の付着部位を有する第2のコア粒子であって、ウイルス様粒子(VLP)である、第2のコア粒子;及び
(d)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つの第2の抗原であって、前記少なくとも1つの第2の抗原が、ウマ(equine)インターロイキン5抗原(eIL-5抗原)であり、前記eIL-5抗原が、配列番号6から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、又は配列番号6と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含む、前記少なくとも1つの第2の抗原;
を含み、
(c)及び(d)が、二官能性クロスリンカー及び少なくとも1つの非ペプチド共有結合により前記少なくとも1つの第1の付着部位及び前記少なくとも1つの第2の付着部位を介して連結されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項9】
前記第2のコア粒子が、組換えVLPである、請求項8に記載の使用のための組成物。
【請求項10】
前記eIL-5抗原が、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9及び配列番号10から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質を含む、請求項8又は9に記載の使用のための組成物。
【請求項11】
前記eIL-5抗原が、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9及び配列番号10から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質である、請求項8又は9に記載の使用のための組成物。
【請求項12】
前記
コア粒子または前記第2のコア粒子が、植物ウイルスに由来する
VLPであるか、又はRNAバクテリオファージのVLPである、請求項1から11のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項13】
前記
コア粒子または前記第2のコア粒子が、RNAバクテリオファージQβのVLPであり、且つ前記RNAバクテリオファージQβのVLPが、配列番号24を含む組換えコートタンパク質を含むか、或いはそれからなる、請求項1~11のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項14】
前記
コア粒子または前記第2のコア粒子が、RNAバクテリオファージQβのVLPであり、且つ前記RNAバクテリオファージQβのVLPが、配列番号24からなる組換えコートタンパク質を含むか、或いはそれからなる、請求項1~11のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項15】
前記
コア粒子または前記第2のコア粒子が、少なくとも1つの改変VLPポリペプチドを含むか或いはそれからなる、改変VLPであり、前記改変VLPポリペプチドが、
(a)VLPポリペプチド、及び
(b)Tヘルパー細胞エピトープ
を含み、
前記VLPポリペプチドが、
(i)ウイルスのコートタンパク質のアミノ酸配列;又は
(ii)変異アミノ酸配列であって、前記変異アミノ酸配列及び前記ウイルスのコートタンパク質が、少なくとも90%の配列同一性を示す、変異アミノ酸配列、
を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項16】
前記
コア粒子または前記第2のコア粒子が、キュウリモザイクウイルス(CMV)の改変VLPであり、CMVの前記改変VLPが、少なくとも1つの改変CMVポリペプチドを含むか、或いはそれからなり、前記改変CMVポリペプチドが、
(a)CMVポリペプチド、及び
(b)Tヘルパー細胞エピトープ
を含み、かつ
前記CMVポリペプチドが、
(i)CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列;又は
(ii)変異アミノ酸配列であって、前記変異アミノ酸配列及び前記CMVのコートタンパク質が、少なくとも90%の配列同一性を示す、変異アミノ酸配列、
を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項17】
前記Tヘルパー細胞エピトープが、前記CMVポリペプチドのN末端領域と置換され、前記CMVポリペプチドの前記N末端領域が、配列番号15のアミノ酸2~12に対応する、請求項16に記載の使用のための組成物。
【請求項18】
前記CMVポリペプチドが、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列を含み、前記アミノ酸配列が、配列番号15若しくは配列番号15と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記アミノ酸配列が配列番号27を含む、請求項16又は17に記載の使用のための組成物。
【請求項19】
前記CMVポリペプチドは、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列を含み、前記アミノ酸配列が、配列番号15若しくは配列番号15と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ前記アミノ酸配列が配列番号27を含む、請求項16又は17に記載の使用のための組成物。
【請求項20】
前記改変CMVポリペプチドが、配列番号20又は配列番号21のアミノ酸配列を含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項21】
前記改変CMVポリペプチドが、配列番号20又は配列番号21のアミノ酸配列からなる、請求項16~19のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項22】
前記組成物の前記投与が、前記投与前の前記掻痒状態若しくは前記アレルギー状態と関連する少なくとも1つのパラメータ又は症状と比較して、前記掻痒状態若しくは前記アレルギー状態と関連する少なくとも1つのパラメータ又は症状を低下させる、請求項
3に記載の使用のための組成物。
【請求項23】
前記掻痒状態若しくは前記アレルギー状態と関連する前記少なくとも1つのパラメータ又は症状が、皮膚病変のレベル又は重症度グレード又は掻痒のレベルである、請求項22に記載の使用のための組成物。
【請求項24】
前記皮膚病変のレベル又は重症度グレードの前記低下が、症状病変スコアリング試験によって決定され、前記掻痒のレベルの前記低下は、掻痒スコアリング試験によって決定される、請求項23に記載の使用のための組成物。
【請求項25】
前記掻痒のレベルの前記低下が、前記ウマ科(equine)哺乳動物の身体の少なくとも1つの場所の引っ掻きの低下によって決定される、請求項24に記載の使用のための組成物。
【請求項26】
第1の組成物及び第2の組成物を含む組成物であって、
前記第1の組成物が、
(a)少なくとも1つの第1の付着部位を有する第1のコア粒子であって、ウイルス様粒子(VLP)である、第1のコア粒子;及び
(b)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つの第1の抗原であって、前記少なくとも1つの第1の抗原が、ウマ(equine)インターロイキン31抗原(eIL-31抗原)であり、前記eIL-31抗原が、配列番号1から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、又は配列番号1と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含む、前記少なくとも1つの第1の抗原;
を含み、
(a)及び(b)が、二官能性クロスリンカー及び少なくとも1つの非ペプチド共有結合により前記少なくとも1つの第1の付着部位及び前記少なくとも1つの第2の付着部位を介して連結されており;
前記第2の組成物が、
(c)少なくとも1つの第1の付着部位を有する第2のコア粒子であって、ウイルス様粒子(VLP)である、第2のコア粒子;及び
(d)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つの第2の抗原であって、前記少なくとも1つの第2の抗原が、ウマ(equine)インターロイキン5抗原(eIL-5抗原)であり、前記eIL-5抗原が、配列番号6から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号6と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含む、少なくとも1つの第2の抗原;
を含み、
(c)及び(d)が、二官能性クロスリンカー及び少なくとも1つの非ペプチド共有結合により前記少なくとも1つの第1の付着部位及び前記少なくとも1つの第2の付着部位を介して連結されている、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の掻痒状態若しくはアレルギー状態から選択される状態又は障害の予防又は治療のための組成物、免疫原性組成物又はワクチン組成物及び医薬組成物に関する。さらに、本発明は、掻痒、好ましくは、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の掻痒状態若しくはアレルギー性皮膚炎などのアレルギー状態に関連する掻痒を予防又は治療する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
関連技術
掻痒状態及びアレルギー状態は、一般的に、馬に見られる(S.D.White,Equine vet.Educ.(2015)27(3)156-166)。皮膚の掻痒媒介性の痒みは、例えば、臨床的に皮膚炎の表現型に現れ、アレルギー起源のものであり得る。アレルギー性皮膚炎の発症については、あまり理解されていない。関連する潜在的な要因は数多くある。潜在的な原因はアレルゲンであるが、抗ヒスタミン薬は、ほとんど影響を及ぼさず、掻痒及び皮膚炎を治癒せず、軽減もしない(S.D.White,Equine vet.Educ.(2015)27(3)156-166)。根本的なアレルギーの原因は、木、草、花粉、カビ、菌類、塵ダニ、埃、鱗屑、飼料(feed(飼料(provender))ダニ、及び昆虫からだけでなく、食品中の成分からのアレルゲンなどの環境起源のものであり得る。さらに、遺伝的素因は、掻痒誘発性アレルギー性皮膚炎を支持すると考えられている(Yu & Rosychuk 2013,Equine Dermatology,Veterinary Clincis of North America:Equine Practice)。
【0003】
アレルギー性皮膚炎と組み合わさった掻痒の特徴を示す馬において最もよく特徴付けられている疾患は、虫刺され過敏症(IBH)と呼ばれ、「皮膚掻痒(sweet itch:甘い痒み)」又は「夏湿疹」としても知られている。それは、ウマ科(equine)哺乳動物、特に馬の最も一般的なアレルギー性皮膚疾患であり、世界の様々な地域にみられるサシバエ属昆虫の咬傷によって引き起こされ、慢性的に再発する季節性アレルギー性皮膚炎として現れる。様々な研究により、IBHがサシバエからの唾液腺タンパク質に対するIgE媒介性反応に関連することが示唆された。IBHの臨床徴候は、吸血昆虫の咬傷に対する過敏性反応によって引き起こされる強烈な掻痒から生じる。この疾患は、最初に、多くの丘疹、房状毛髪、知覚過敏、及び皮膚感作によって特徴付けられ、その後に引っ掻き傷及び擦れが続く。この自己外傷は、局所的な脱毛及び二次感染の永続化に関わる掻破痕につながる。疾患が進行し、慢性化すると、線維症、表皮組織の肥大、並びに顕著な過角化及び苔癬化、皮膚の肥厚の可視化、鱗屑、横方向の隆線及びしわの形成につながり得る(Schaffartzik A.ら,Vet Immunol Immunopathol,2012,147:113-126)。一般的に、他のアレルゲンによって引き起こされるアレルギーは、皮膚炎の同様の臨床徴候に現れる(Yu & Rosychuk 2013,Equine Dermatology,Veterinary Clincis of North America:Equine Practice)。
【0004】
インターロイキン31(IL-31)は、活性化されたTh2 CD4+細胞によってだけでなく、肥満細胞及びマクロファージからも優先的に分泌される(Dillonら,Nat Immunol 2004;5:752-60)。Th2細胞は、I型アレルギー反応に重要な役割を果たしているだけでなく、最近では、連結して、免疫細胞と痒みの感覚神経の間の神経免疫クロストーク中の「ミッシングリンク」を現す。IL-31は、pg130/IL-6サイトカインファミリーに属し、IL-31受容体A(IL-31RA)及びオンコスタチンM受容体ベータ(OSMRβ)サブユニットで構成されるヘテロ二量体受容体複合体に結合する(Dillonら,2004 Nat Immunol 2004;5:752-60;Bilsboroughら,J Allergy Clin Immunol.2006 117(2);418-25)。リガンド結合時に、IL-31受容体複合体は、ヤヌスキナーゼシグナル伝達因子及び転写活性化因子(JAK-STAT)、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)、並びにホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)経路(Zhangら、2008)を活性化する。IL-31は、後根神経節(DRG)の小型侵害受容ニューロンの小さなサブセットが発現するその受容体上に直接結合することができ、このサイトカインが、末梢神経における起痒性シグナルを直接活性化し得ることを示唆する(Mizunoら、2009;Sonkolyら、2006)。さらに、該受容体は、ケラチノサイト、マクロファージ、及び好酸球などの様々な他の細胞上に見られる(Kasraieら、2011;Kasraieら、2010;Zhangら、2008)。
【0005】
IL-31を過剰発現するトランスジェニックマウスは、皮膚への炎症細胞浸潤の増加を伴う重篤な掻痒、脱毛症、及び皮膚病変を発症した(Dillonら、2004)。IL-31の皮内注射は、マウス皮膚において痒み(引っ掻くこと)を誘導することが知られている(Zhangら、2008,Cevikba 2013)。アトピー性皮膚炎(AD)を有する患者は、IL-31を発現する皮膚ホーミングCD45RO+記憶皮膚リンパ球関連抗原(CLA)陽性T細胞を有し、Th2細胞は、真皮においてほぼ独占的に見出された。Th2細胞の約60%はIL-31陽性である一方で、IL-31 mRNAは、ケラチノサイト、内皮細胞、及び線維芽細胞などの他の免疫細胞又は常駐皮膚細胞に見出されなかった。IL-31のTh2細胞以外の他の唯一の供給源は、成熟樹状細胞であるが、Th2細胞と比較して著しく低いレベルで生成された(約100倍)(Ferdac Cevikbas,J Clin Allergy 2013)。AD患者からの皮膚病変におけるIL-31 mRNAのレベルは、健康な患者の病変よりもかなり高い(Sonkolyら,J Allergy Clin Immunol 2006;117:411-7)。ADヒト患者における痒みの治療用のヒトIL-31に対する抗体(Bristol-Myres Squibb)は2012年に臨床試験に入り(www.ClinicalTrials.gov:NCT01614756)、最近、イヌのADの治療用モノクローナル抗イヌIL-31抗体が市場に参入した(Gonzalesら,Vet Dermatol 2013;24:48-e12;Michelsら,Vet Dermatol 2016;27:478-e129)。
【0006】
IL-31誘発性掻痒は、マスト細胞又は好塩基球脱顆粒又はプロテイナーゼ活性化受容体-2(PAR-2)媒介性の痒みとは無関係である。そのため、IL-31媒介性掻痒は、I型メカニズムに直接関連していないように思われるが、IL-4及びIL-13 mRNA発現が、ヒト及びイヌのAD病変におけるIL-31 mRNAレベルに相関しているので、I型アレルギー事象は、さらに掻痒を増加させることができる(Neiら,J.Allergy Clin.Immunol.2006;118,930-937)。それに伴い、IL-31がアレルギー性炎症を促進している可能性が示唆された(Chattopadhyayら,J Biol Chem 2007;282:3014-26;Waiら,Immunology 2007;122,532-541)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ウマ科(equine)哺乳動物、特に、馬の掻痒又はアレルギーの状態及び掻痒及びアレルギーの障害に対処するための現在の治療法は、例えば、グルココルチコステロイド又は他の全身投与されるステロイドを含む。特に、長期治療におけるこれらのグルココルチコステロイドの毒性副作用などの不都合により、ウマ科(equine)哺乳動物、及び特に、馬における前記状態及び障害の代替治療選択肢の必要性がまだ満たされていない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、皮膚炎になった馬の皮膚病変の皮膚生検から、馬のIL-31 mRNAが、掻痒を伴う皮膚炎を有する部位からの皮膚病変で発現しているが、健全な馬の皮膚試料には全く存在しなかったことが示されている。これが、典型的には前記病変に存在する好酸球以外に、馬IL-31が馬の掻痒性皮膚病変で検出された最初であり、そのため、馬におけるアレルギー性掻痒の病理における馬IL-31の主要な役割を示唆する最初である。また、驚くべきことに、コア粒子、好ましくはウイルス様粒子に連結されたウマ(equine)インターロイキン31抗原を含む本発明の組成物の馬への投与は、自己抗体の強力な誘導をもたらすだけでなく、さらに、本発明の組成物は、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは馬の掻痒状態若しくはアレルギー状態から選択される状態又は障害の予防及び治療に有効であり、特に、掻痒及び掻痒関連皮膚炎の予防及び治療に有効であることが判明した。後者は、掻痒性アレルギー性皮膚炎になったアイスランド馬で行われたインビボ研究によって証明された。本発明の組成物の有効性は、驚くべきことに、木、草、花粉、塵ダニ、又は昆虫などからのアレルゲンである、前記掻痒又は掻痒関連皮膚炎を引き起こす可能性のあるアレルギー誘発因子とは無関係である。
【0009】
そのため、複数のアレルゲンによって引き起こされる掻痒又は掻痒関連皮膚炎になった馬に、CMV-VLPに連結されたeIL-31抗原を含む本発明の組成物をワクチン接種すると、本発明の組成物を用いる治療の前のシーズンに決定されたスコアと比較して、平均皮膚病変スコアが著しく減少するだけでなく、特に、平均掻痒スコアが非常に強力に減少した。本発明による好ましい組み合わせワクチン、すなわち、CMV-VLPに連結されたeIL-31抗原を含む組成物とCMV-VLPに連結されたeIL-5抗原を含む組成物を用いて、複数のアレルゲンによって引き起こされる掻痒又は掻痒関連皮膚炎になった馬を治療した場合に、同じ驚くべき結果が見出された。多くの馬は、典型的には単一アレルゲンに対してアレルギーがあるのではなく、むしろ複数のアレルゲンに対して反応するので(また、異なるアレルゲンの交差反応性にもよるので)、前記アレルギー状態又は障害によって引き起こされる一般的な掻痒表現型を効果的に消散するために、アレルゲンに依存しない療法が非常に望ましい。
【発明の効果】
【0010】
したがって、第1の態様において、本発明は、(a)少なくとも1つの第1の付着部位を有するコア粒子;及び(b)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つの抗原を含む組成物であって、前記少なくとも1つの抗原は、ウマ(equine)インターロイキン31抗原(eIL-31抗原)であり、前記eIL-31抗原は、配列番号1から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号1と少なくとも90%、好ましくは、少なくとも92%、さらに好ましくは、少なくとも95%、及び再びさらに好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質であり;(a)及び(b)が、少なくとも1つの非ペプチド共有結合により前記少なくとも1つの第1の付着部位及び前記少なくとも1つの第2の付着部位を介して連結されている、組成物を提供し;ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の掻痒状態若しくはアレルギー状態から選択される状態又は障害の予防又は治療の方法における使用のために、好ましくは、有効量の前記組成物が前記ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、前記馬に投与される。
【0011】
好ましい実施形態において、前記状態又は障害は、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の掻痒である。さらに好ましい実施形態において、前記掻痒は、アレルギー性皮膚炎と関連する掻痒又はアトピー性皮膚炎と関連する掻痒である。さらに好ましい実施形態において、前記掻痒は、アレルギー性皮膚炎と関連する掻痒である。さらに好ましい実施形態において、前記掻痒は、アトピー性皮膚炎と関連する掻痒である。さらに好ましい実施形態において、前記状態又は障害は、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の虫刺され過敏症(IBH)の予防又は治療ではない。さらに好ましい実施形態において、前記状態又は障害は、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の虫刺され過敏症(IBH)の予防又は治療である。
【0012】
さらなる態様において、本発明は、(a)少なくとも1つの第1の付着部位を有するコア粒子;及び(b)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つの抗原を含む組成物であって、前記少なくとも1つの抗原は、ウマ(equine)インターロイキン31抗原(eIL-31抗原)であり、前記eIL-31抗原は、配列番号1から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号1と少なくとも90%、好ましくは、少なくとも92%、さらに好ましくは、少なくとも95%、及び再びさらに好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質であり;(a)及び(b)が、少なくとも1つの非ペプチド共有結合により前記少なくとも1つの第1の付着部位及び前記少なくとも1つの第2の付着部位を介して連結されている、組成物を提供し;ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の掻痒の予防又は治療の方法における使用のために、好ましくは、前記掻痒は、掻痒状態又はアレルギー状態と関連し、再び、さらに好ましくは、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症、掻痒、アレルギー性皮膚炎、夏湿疹(IBH)、細菌性毛嚢炎、皮膚糸状菌症、再発性蕁麻疹、細胞性肺気腫、炎症性気道疾患、再発性気道閉塞、気道過敏反応、慢性閉塞性肺疾患、及び自己免疫から生じる炎症プロセスから選択され、好ましくは、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、掻痒、アレルギー性皮膚炎及び再発性蕁麻疹から選択され、好ましくは、有効量の前記組成物が、前記ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、前記馬に投与される。好ましい実施形態において、前記掻痒は、アレルギー性皮膚炎と関連する掻痒又はアトピー性皮膚炎と関連する掻痒である。好ましい実施形態において、前記状態又は障害は、アレルギー性皮膚炎と関連する掻痒である。別の好ましい実施形態において、前記状態又は障害は、アトピー性皮膚炎と関連する掻痒である。好ましい実施形態において、前記状態又は障害は、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の虫刺され過敏症(IBH)の予防又は治療ではない。好ましい実施形態において、前記状態又は障害は、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の虫刺され過敏症(IBH)の予防又は治療である。
【0013】
再びさらなる態様において、本発明は、第1の組成物及び第2の組成物を含む組成物であって、前記第1の組成物は、(a)少なくとも1つの第1の付着部位を有する第1のコア粒子;及び(b)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つの第1の抗原を含み、前記少なくとも1つの第1の抗原は、ウマ(equine)インターロイキン31抗原(eIL-31抗原)であり、前記eIL-31抗原は、配列番号1から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号1と少なくとも90%、好ましくは、少なくとも92%、さらに好ましくは、少なくとも95%、及び再びさらに好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質であり;(a)及び(b)が、少なくとも1つの非ペプチド共有結合により前記少なくとも1つの第1の付着部位及び前記少なくとも1つの第2の付着部位を介して連結され;前記第2の組成物は、(c)少なくとも1つの第1の付着部位を有する第2のコア粒子;及び(d)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つの第2の抗原を含み、前記少なくとも1つの第2の抗原は、ウマ(equine)インターロイキン5抗原(eIL-5抗原)であり、前記eIL-5抗原は、配列番号6から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号6と少なくとも90%、好ましくは、少なくとも92%、さらに好ましくは、少なくとも95%、及び再びさらに好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質であり;(c)及び(d)が、少なくとも1つの非ペプチド共有結合により前記少なくとも1つの第1の付着部位及び前記少なくとも1つの第2の付着部位を介して連結され;必要に応じて、前記第1又は前記第2の組成物がさらにアジュバントを含む、組成物を提供する。さらなる態様において、本発明は、医薬品として使用するための、前記本発明の組成物を提供する。
【0014】
再びさらなる態様において、本発明は、第1の組成物及び第2の組成物を含むキットであって、前記第1の組成物は、(a)少なくとも1つの第1の付着部位を有する第1のコア粒子;及び(b)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つの第1の抗原を含み、前記少なくとも1つの第1の抗原は、ウマ(equine)インターロイキン31抗原(eIL-31抗原)であり、前記eIL-31抗原は、配列番号1から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号1と少なくとも90%、好ましくは、少なくとも92%、さらに好ましくは、少なくとも95%、及び再びさらに好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質であり;(a)及び(b)が、少なくとも1つの非ペプチド共有結合により前記少なくとも1つの第1の付着部位及び前記少なくとも1つの第2の付着部位を介して連結され;前記第2の組成物が、(c)少なくとも1つの第1の付着部位を有する第2のコア粒子;及び(d)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つの第2の抗原を含み、前記少なくとも1つの第2の抗原が、ウマ(equine)インターロイキン5抗原(eIL-5抗原)であり、前記eIL-5抗原は、配列番号6から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号6と少なくとも90%、好ましくは、少なくとも92%、さらに好ましくは、少なくとも95%、及び再びさらに好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質であり;(c)及び(d)が、少なくとも1つの非ペプチド共有結合により前記少なくとも1つの第1の付着部位及び前記少なくとも1つの第2の付着部位を介して連結され;必要に応じて、前記第1又は前記第2の組成物がさらにアジュバントを含む、キットを提供する。さらなる態様において、本発明は、医薬品として使用するための、前記本発明のキットを提供する。
【0015】
再びさらなる態様において、本発明は、第1の組成物及び第2の組成物を含む組成物であって、前記第1の組成物は、(a)少なくとも1つの第1の付着部位を有する第1のコア粒子;及び(b)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つの第1の抗原を含み、前記少なくとも1つの第1の抗原が、ウマ(equine)インターロイキン31抗原(eIL-31抗原)であり、前記eIL-31抗原が、配列番号1から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号1と少なくとも90%、好ましくは、少なくとも92%、さらに好ましくは、少なくとも95%、及び再びさらに好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質であり;(a)及び(b)が、少なくとも1つの非ペプチド共有結合により前記少なくとも1つの第1の付着部位及び前記少なくとも1つの第2の付着部位を介して連結され;前記第2の組成物が、(c)少なくとも1つの第1の付着部位を有する第2のコア粒子;及び(d)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つの第2の抗原を含み、前記少なくとも1つの第2の抗原が、ウマ(equine)インターロイキン5抗原(eIL-5抗原)であり、前記eIL-5抗原は、配列番号6から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号6と少なくとも90%、好ましくは、少なくとも92%、さらに好ましくは、少なくとも95%、及び再びさらに好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質であり;(c)及び(d)が、少なくとも1つの非ペプチド共有結合により前記少なくとも1つの第1の付着部位及び前記少なくとも1つの第2の付着部位を介して連結されている、組成物を提供し;ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の掻痒状態若しくはアレルギー状態から選択される状態又は障害の予防又は治療の方法における使用のために、好ましくは、有効量の前記組成物が前記ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、前記馬に投与される。好ましくは、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症、掻痒、アレルギー性皮膚炎、夏湿疹(IBH)、細菌性毛嚢炎、皮膚糸状菌症、再発性蕁麻疹、細胞性肺気腫、炎症性気道疾患、再発性気道閉塞、気道過敏反応、慢性閉塞性肺疾患、及び自己免疫から生じる炎症プロセスから選択され、好ましくは、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、掻痒、アレルギー性皮膚炎、夏湿疹(IBH)、細菌性毛嚢炎、皮膚糸状菌症、及び再発性蕁麻疹から選択され、好ましくは、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、掻痒、アレルギー性皮膚炎、夏湿疹(IBH)、及び再発性蕁麻疹から選択され、さらに好ましくは、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、掻痒、アレルギー性皮膚炎及び再発性蕁麻疹から選択される。
【0016】
再びさらなる態様において、本発明は、第1の組成物及び第2の組成物を含む組成物であって、前記第1の組成物は、(a)少なくとも1つの第1の付着部位を有する第1のコア粒子;及び(b)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つの第1の抗原を含み、前記少なくとも1つの第1の抗原は、ウマ(equine)インターロイキン31抗原(eIL-31抗原)であり、前記eIL-31抗原は、配列番号1から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号1と少なくとも90%、好ましくは、少なくとも92%、さらに好ましくは、少なくとも95%、及び再びさらに好ましくは少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質であり;(a)及び(b)が、少なくとも1つの非ペプチド共有結合により前記少なくとも1つの第1の付着部位及び前記少なくとも1つの第2の付着部位を介して連結され;前記第2の組成物が、(c)少なくとも1つの第1の付着部位を有する第2のコア粒子;及び(d)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つの第2の抗原を含み、前記少なくとも1つの第2の抗原が、ウマ(equine)インターロイキン5抗原(eIL-5抗原)であり、前記eIL-5抗原は、配列番号6から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号6と少なくとも90%、好ましくは、少なくとも92%、さらに好ましくは、少なくとも95%、及び再びさらに好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質であり;(c)及び(d)が、少なくとも1つの非ペプチド共有結合により前記少なくとも1つの第1の付着部位及び前記少なくとも1つの第2の付着部位を介して連結されている、組成物を提供し;ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の掻痒の予防又は治療の方法における使用のために、好ましくは、前記掻痒は、掻痒状態又はアレルギー状態と関連し、再びさらに好ましくは、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症、掻痒、アレルギー性皮膚炎、夏湿疹(IBH)、細菌性毛嚢炎、皮膚糸状菌症、再発性蕁麻疹、細胞性肺気腫、炎症性気道疾患、再発性気道閉塞、気道過敏反応、慢性閉塞性肺疾患、及び自己免疫から生じる炎症プロセスから選択され、好ましくは、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、掻痒、アレルギー性皮膚炎、夏湿疹(IBH)、細菌性毛嚢炎、皮膚糸状菌症、及び再発性蕁麻疹から選択され、好ましくは、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、掻痒、アレルギー性皮膚炎、夏湿疹(IBH)及び再発性蕁麻疹から選択され、さらに好ましくは、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、掻痒、アレルギー性皮膚炎及び再発性蕁麻疹から選択され、好ましくは、有効量の前記組成物が、前記ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、前記馬に投与される。好ましい実施形態において、前記掻痒は、アレルギー性皮膚炎と関連する掻痒又はアトピー性皮膚炎と関連する掻痒である。好ましい実施形態において、前記状態又は障害は、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の掻痒である。さらに好ましい実施形態において、前記掻痒は、アレルギー性皮膚炎と関連する掻痒又はアトピー性皮膚炎と関連する掻痒である。さらに好ましい実施形態において、前記掻痒は、アレルギー性皮膚炎と関連する掻痒である。さらに好ましい実施形態において、前記掻痒は、アトピー性皮膚炎と関連する掻痒である。好ましい実施形態において、前記状態又は障害は、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の虫刺され過敏症(IBH)の予防又は治療ではない。好ましい実施形態において、前記状態又は障害は、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の虫刺され過敏症(IBH)の予防又は治療である。
【0017】
再びさらなる態様において、本発明は、第1の組成物及び第2の組成物を含むキットであって、前記第1の組成物は、(a)少なくとも1つの第1の付着部位を有する第1のコア粒子;及び(b)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つの第1の抗原を含み、前記少なくとも1つの第1の抗原は、ウマ(equine)インターロイキン31抗原(eIL-31抗原)であり、前記eIL-31抗原が、配列番号1から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号1と少なくとも90%、好ましくは、少なくとも92%、さらに好ましくは、少なくとも95%、及び再びさらに好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質であり;(a)及び(b)が、少なくとも1つの非ペプチド共有結合により前記少なくとも1つの第1の付着部位及び前記少なくとも1つの第2の付着部位を介して連結され;前記第2の組成物が、(c)少なくとも1つの第1の付着部位を有する第2のコア粒子;及び(d)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つの第2の抗原を含み、前記少なくとも1つの第2の抗原が、ウマ(equine)インターロイキン5抗原(eIL-5抗原)であり、前記eIL-5抗原は、配列番号6から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号6と少なくとも90%、好ましくは、少なくとも92%、さらに好ましくは、少なくとも95%、及び再びさらに好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質であり;(c)及び(d)が、少なくとも1つの非ペプチド共有結合により前記少なくとも1つの第1の付着部位及び前記少なくとも1つの第2の付着部位を介して連結されている、キットを提供し;ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の掻痒の予防又は治療の方法における使用のために、好ましくは、前記掻痒は、掻痒状態又はアレルギー状態と関連し、再びさらに好ましくは、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症、掻痒、アレルギー性皮膚炎、夏湿疹(IBH)、細菌性毛嚢炎、皮膚糸状菌症、再発性蕁麻疹、細胞性肺気腫、炎症性気道疾患、再発性気道閉塞、気道過敏反応、慢性閉塞性肺疾患、及び自己免疫から生じる炎症プロセスから選択され、好ましくは、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、掻痒、アレルギー性皮膚炎、夏湿疹(IBH)、細菌性毛嚢炎、皮膚糸状菌症、及び再発性蕁麻疹から選択され、好ましくは、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、掻痒、アレルギー性皮膚炎、夏湿疹(IBH)及び再発性蕁麻疹から選択され、さらに好ましくは、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、掻痒、アレルギー性皮膚炎及び再発性蕁麻疹から選択され、好ましくは、有効量の前記組成物が、前記ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、前記馬に投与される。好ましい実施形態において、前記掻痒は、アレルギー性皮膚炎と関連する掻痒又はアトピー性皮膚炎と関連する掻痒である。好ましい実施形態において、前記状態又は障害は、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の掻痒である。さらに好ましい実施形態において、前記掻痒は、アレルギー性皮膚炎と関連する掻痒又はアトピー性皮膚炎と関連する掻痒である。さらに好ましい実施形態において、前記掻痒は、アレルギー性皮膚炎と関連する掻痒である。さらに好ましい実施形態において、前記掻痒は、アトピー性皮膚炎と関連する掻痒である。好ましい実施形態において、前記状態又は障害は、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の虫刺され過敏症(IBH)の予防又は治療ではない。好ましい実施形態において、前記状態又は障害は、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の虫刺され過敏症(IBH)の予防又は治療である。
【0018】
本発明のキットは、前記ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、前記馬への前記第1の組成物及び前記第2の組成物の別々の投与を可能にし、好ましくは、前記第1の組成物及び前記第2の組成物の前記別々の投与は、前記第1の組成物及び前記第2の組成物の異なる時点での投与であり、すなわち、同時ではなく順次行われ;かつ/又は前記第1の組成物及び前記第2の組成物の前記別々の投与は、前記ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、前記馬の異なるリンパ節などの異なる位置での、前記第1の組成物及び前記第2の組成物の投与であり、かつ/又は前記第1の組成物及び前記第2の組成物の前記別々の投与は、異なる量、典型的には、異なる有効量の前記第1の組成物及び前記第2の組成物での、前記第1の組成物及び前記第2の組成物の投与である。そのため、典型的には、かつ好ましくは、前記本発明のキットは、本発明に従って併用治療のために使用される。
【0019】
さらなる態様において、本発明は、前記第1の組成物及び前記第2の組成物、並びに医薬として許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0020】
さらなる態様において、本発明は、前記第1の組成物及び前記第2の組成物、並びに医薬として許容される担体を含む医薬組成物を提供し;ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の掻痒の予防又は治療の方法における使用のために、好ましくは、前記掻痒は、掻痒状態又はアレルギー状態と関連している。
【0021】
さらなる態様において、本発明は、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の掻痒状態若しくはアレルギー状態から選択される状態又は障害の予防又は治療の方法であって、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬に、本発明の組成物又は本発明の医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0022】
さらなる態様において、本発明は、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の掻痒の予防又は治療の方法であって、好ましくは、前記掻痒は、掻痒状態又はアレルギー状態と関連し、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬に、本発明の組成物又は本発明の医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0023】
別の態様において、本発明は、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の掻痒状態若しくはアレルギー状態から選択される状態又は障害の予防又は治療のための医薬の製造のための、本発明の組成物又は前記本発明の医薬組成物の使用を提供し、典型的には、かつ好ましくは、有効量の前記本発明の組成物又は前記本発明の医薬組成物が、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬に投与される。
【0024】
別の態様において、本発明は、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の掻痒の予防又は治療のための医薬の製造のための、本発明の組成物又は前記本発明の医薬組成物の使用を提供し、好ましくは、前記掻痒は掻痒状態又はアレルギー状態と関連し、典型的には、かつ好ましくは、有効量の前記本発明の組成物又は前記本発明の医薬組成物が、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬に投与される。
【0025】
本発明のさらなる態様及び実施形態は、この記述が続くに連れて、明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1A】掻痒状態及びアレルギー性皮膚炎状態になった2頭の異なるアイスランド馬からの皮膚パンチ生検;馬ごとに2つの生検、皮膚炎/蕁麻疹を有する病変からのもの、健康な皮膚部からのもの。全RNA単離後に、馬IL-31(eIL-31)及び馬β-アクチン(eβアクチン)に特異的なプライマーを用いるPCRが続く。レーン1、馬1の皮膚炎の病変、レーン2、馬2の皮膚炎及び蕁麻疹の病変、レーン3、馬1の健康な皮膚、レーン4、馬2の健康な皮膚。列a、eIL-31 mRNA、列b、eβアクチン mRNA。
【
図1B】痒みの病変部位(1)、同じ馬からの適合する健康な皮膚(2)、及び健康な馬からの健康な皮膚(3)から採取した皮膚生検のeβアクチンハウスキーピング遺伝子のパーミル(per mille)発現として示されるeIL-31 mRNAレベル、n=3、n.d.:検出できない。
【
図1C】クリコイデス・ヌベクロスス(Culicoides nubeculosus(Cul n))又はクリコイデス・オブソレツス(Culicoides obsoletus(Cul o))アレルゲンに刺激された、IBH罹患馬(1)及び健康な馬(2)からの末梢血単核細胞(PBMC)のインビトロeIL-31発現。eβアクチンレベルに対するeIL-31発現レベルの割合が示されている。
【
図2A】リフォールディングした組換えeIL-31-C-HisのSDS-PAGE。封入体の調製及び精製の様々な段階からの試料を、4~12%のビス-トリス(Bis-Tris)ゲル(NuPAGE、Novex、Invitrogen Life Technologies)にアプライし、還元条件下で泳動した。タンパク質をクマシーブルーで染色した。レーンM、サイズマーカー(シーブルー、プレ染色、NuPAGE、Novex、Invitrogen Life Technologies)、レーン1、細胞溶解物(試料A)、レーン2、可溶性画分(試料B)、レーン3、可溶化封入体(試料C)、レーン4、Ni-NTAカラム(試料E)からのeIL-31単量体(eIL-31、m)溶出液。
【
図2B】リフォールディングした組換えeIL-31-C-Hisの正しい構造。上記のように、タンパク質をリフォールディングし、濃縮した。アリコートを4~12%のビス-トリスゲル(NuPAGE、Novex、Invitrogen Life Technologies)上で分離し、ネイティブ条件下(+SDS、DTTなし、加熱なし)で泳動した。タンパク質を、クマシーブルーで染色した。レーンM、サイズマーカー(シーブルー、プレ染色、NuPAGE、Novex、Invitrogen Life Technologies)、レーン1、Ni-NTAカラムからのプールした溶出液、レーン2、リフォールディングしたeIL-31-C-His。
【
図2C】リフォールディングした組換え馬eIL-31-C-Hisの生物学的活性。注射部位の痒みの数。バー1、eIL-5-C-His対照、バー2、eIL-31-C-His。
【
図3A】NiNTAを用いたeIL-5-C-Hisの精製のSDS-PAGE分析。封入体の調製及び精製の様々な段階からの試料を、4~12%のビス-トリスゲル(NuPAGE、Novex、Invitrogen Life Technologies)にアプライし、還元条件下で泳動した。タンパク質をクマシーブルーで染色した。レーンM、サイズマーカー(シーブルー、プレ染色、NuPAGE、Novex、Invitrogen Life Technologies)、レーン1、細胞溶解物(試料A)、レーン2、可溶性画分(試料B)、レーン3、可溶化封入体(試料C)、レーン4、フロースルー(非結合物質、試料D)、レーン5、Ni-NTAカラム(試料E)からのプールしたeIL-5単量体(eIL-5、m)溶出液。
【
図3B】リフォールディングした組換えeIL-5-C-HisのSDS-PAGE。上記のように、タンパク質をリフォールディングし、濃縮した。アリコートを4~12%のビス-トリスゲル(NuPAGE、Novex、Invitrogen Life Technologies)上で分離し、ネイティブ条件下(+SDS、DTTなし、加熱なし)で泳動した。タンパク質をクマシーブルーで染色した:eIL-5単量体(eIL-5、m)、eIL-5二量体(eIL-5、d)。レーンM、サイズマーカー(シーブルー、プレ染色、NuPAGE、Novex、Invitrogen Life Technologies)、レーン1、Ni-NTAカラムからのプールした変性溶出液、レーン2、リフォールディングしたホモ二量体濃縮eIL-5-C-His。
【
図3C】リフォールディングした組換えeIL-5-C-Hisの正しい構造。PBS緩衝液(点線)と比較した、リフォールディングしたホモ二量体濃縮eIL-5-C-Hisの円二色性(CD)分光法。遠UV(紫外線)CDスペクトルによって測定したαヘリックス及びβシートを反映するIL-5-C-Hisの二次構造。
【
図3D】リフォールディングした組換えeIL-5-C-Hisの正しい構造。ホモ二量体濃縮eIL-5-C-Hisを、市販の抗eIL-5抗体によって検出することができる。抗His抗体コーティングしたELISAプレートを、組換え発現させ、リフォールディングしたホモ二量体濃縮eIL-5とインキュベートし、市販の抗馬IL-5抗体(R&D Systems、英国)により検出した。
【
図4A】eIL-31-C-His-Qβのカップリング反応の分析。SDS-PAGEによる。タンパク質を、クマシーブルーで染色した:eIL-31単量体(eIL-31、m)、eIL-31二量体(eIL-31、d)、Qβ単量体(Qβ、m)、カップリング(c)。レーンM、サイズマーカー(シーブルー、プレ染色、NuPAGE、Novex、Invitrogen Life Technologies)、レーン1、化学的クロスリンカーSMPHで誘導体化した後のQβ-VLP、レーン2、TCEP活性化eIL-31-C-His、レーン3、eIL-31-C-His-Qβカップリング反応。
【
図4B】eIL-31-C-His-Qβのカップリング反応の分析。ウェスタンブロットによる。α-His抗体で染色した:eIL-31単量体(eIL-31、m)、eIL-31二量体(eIL-31、d)、カップリング(c)。レーンM、サイズマーカー(シーブルー、プレ染色、NuPAGE、Novex、Invitrogen Life Technologies)、レーン1、化学的クロスリンカーSMPHで誘導体化した後のQβ-VLP、レーン2、TCEP活性化eIL-31-C-His、レーン3、eIL-31-C-His-Qβカップリング反応。
【
図4C】eIL-31-C-His-CMVtt830のカップリング反応の分析。SDS-PAGEによる。タンパク質をクマシーブルーで染色した:eIL-31単量体(eIL-31、m)、CMVtt830単量体(CMV、m)、カップリング(c)。レーンM、サイズマーカー(シーブルー、プレ染色、NuPAGE、Novex、Invitrogen Life Technologies)、レーン1、TCEP活性化eIL-31-C-His、レーン2、化学的クロスリンカーSMPHで誘導体化した後のCMVtt830-VLP、レーン3、eIL-31-C-His-CMVtt830カップリング反応。
【
図4D】eIL-31-C-His-CMVtt830のカップリング反応の分析。ウェスタンブロットによる。α-His抗体で染色した:eIL-31単量体(eIL-31、m)、eIL-31二量体(eIL-31、d)、カップリング(c)。レーンM、サイズマーカー(シーブルー、プレ染色、NuPAGE、Novex、Invitrogen Life Technologies)、レーン1、TCEP活性化eIL-31-C-His、レーン2、化学的クロスリンカーSMPHで誘導体化した後のCMVtt830-VLP、レーン3、eIL-31-C-His-CMVtt830カップリング反応。
【
図5A】馬の血清中の抗体価のELISA。1頭の馬の免疫前(1、0日目)及びeIL-31-C-His-CMVtt830ワクチンでの2回目のワクチン接種後(2、41日目)の血清を採取した。Y軸は、OD50の抗IL-31 IgG抗体価を示す。
【
図5B】馬の血清中の抗体価のELISA。1頭の馬の免疫前の血清、並びにeIL-5-C-His-Qβ及びeIL-31-C-His-Qβワクチンでの2回目のワクチン接種後(42、93、及び118日目)の血清を採取した。血清を、eIL-5及びeIL-31に対する抗体について分析した。馬を、eIL-5-C-His-Qβで-62日目及び-40日目に、並びにeIL-31-C-His-Qβで0日目及び19日目に免疫した。データは、免疫前の値を差し引いた血清についてのOD50値を示す。黒丸は抗IL-5抗体価及び灰色丸は抗IL-31抗体価。
【
図5C】馬の血清中の抗体価のELISA。馬の免疫前の血清、並びにeIL-5-C-His-CMVtt830及びeIL-31-C-His-CMVtt830ワクチンでの2回目のワクチン接種後(28日以降の数日)の血清を採取した。血清を、eIL-5及びeIL-31に対する抗体について分析した。馬を、0、28及び105日目にeIL-5-C-His-CMVtt830及びeIL-31-C-His-CMVtt830で免疫した。データは、免疫前の値を差し引いた血清についてのOD50値を示す。白丸は抗eIL-5抗体価及び黒丸は抗eIL-31抗体価。Y軸は、OD50抗eIL-5/又は抗eIL-31 IgG抗体価を示す。
【
図5D】馬の血清中の抗体価のELISA。免疫前の血清、並びに同じ日であるが、異なる身体部位に両方のワクチンを接種した馬のeIL-31-C-His-CMVtt830及びeIL-31-C-His-CMVtt830ワクチンでの2回目のワクチン接種(42日目)後の血清。血清を、eIL-5及びeIL-31に対する抗体について分析した。馬を、0及び28日目に、eIL-5-C-His-CMVtt830(左側)及びeIL-31-C-His-CMVtt830(右側)で免疫した。データは、免疫前の値を差し引いた血清についてのOD50値を示す。白丸は抗eIL-5抗体価及び黒丸は抗eIL-31抗体価。Y軸は、OD50の抗eIL-5/又は抗eIL-31 IgG抗体価を示し、x軸、1、0日目の免疫前血清、2、42日目の2回目のワクチン接種後、n=3。
【
図5E】馬の血清中の抗体価のELISA。免疫前の血清及び前年にeIL-5-C-His-CMVtt830をワクチン接種した馬のeIL-31-C-His-CMVtt830ワクチンでの2回目のワクチン接種(42日目)後の血清。血清を、eIL-31に対する抗体について分析した。馬を、0日及び28日目にeIL-31-C-His-CMVtt830で免疫した。データは、免疫前の値を差し引いた血清についてのOD50値を示す。Y軸は、OD50の抗IL-31 IgG抗体価を示し、x軸、1、0日目の免疫前血清、2、42日目の2回目のワクチン接種後、n=2。
【
図5F】eIL-5-CMVtt830とeIL-31-CMVtt830の組み合わせを用いてワクチン接種した際の血液中の好酸球レベルの低下(y軸、×10E09細胞/L中)。X軸は日数を示し、矢印はワクチン注射を示す。
【
図5G】eIL-5-CMVtt830とeIL-31-CMVtt830の組み合わせを用いてワクチン接種した際の、シーズンを超える期間の皮膚病変スコアの低下(y軸)。X軸は日数を示し、矢印はワクチン注射を示す。
【
図5H】eIL-5-CMVtt830とeIL-31-CMVtt830の組み合わせを用いてワクチン接種した際の、シーズンを超える期間の掻痒スコアの低下(y軸)。X軸は日数を示し、矢印はワクチン注射を示す。
【
図5I】未治療の前のシーズン(1)と比較した場合の、eIL-5-CMVtt830とeIL-31-CMVtt830の組み合わせを用いるワクチン接種によって治療シーズン中に低下した平均掻痒スコア(y軸)(2)。
【
図5J】未治療の前のシーズン(1)と比較した場合、eIL-31-CMVtt830を用いるワクチン接種によって治療シーズン中に低下した平均皮膚病変スコア(y軸)(2)。
【
図5K】未治療の前のシーズン(1)と比較した場合の、eIL-31-CMVtt830を用いるワクチン接種によって治療シーズン中に低下した平均掻痒スコア(y軸)(2)。
【
図6A】eIL-5-C-His-Qβのカップリング反応の分析。SDS-PAGEによる。タンパク質を、クマシーブルーで染色した:eIL-5単量体(eIL-5、m)、eIL-5二量体(eIL-5、d)、Qβ単量体(Qβ、m)、カップリング(c)。レーンM、サイズマーカー(シーブルー、プレ染色、NuPAGE、Novex、Invitrogen Life Technologies)、レーン1、化学的クロスリンカーSMPHで誘導体化した後のQβ-VLP、レーン2、TCEP活性化eIL-5-C-His、レーン3、eIL-5-C-His-Qβカップリング反応。
【
図6B】eIL-5-C-His-Qβのカップリング反応の分析。ウェスタンブロットによる。α-His抗体で染色した:eIL-5単量体(eIL-5、m)、eIL-5二量体(eIL-5、d)、カップリング(c)。レーンM、サイズマーカー(シーブルー、プレ染色、NuPAGE、Novex、Invitrogen Life Technologies)、レーン1、化学的クロスリンカーSMPHで誘導体化した後のQβ-VLP、レーン2、TCEP活性化eIL-5-C-His、レーン3、eIL-5-C-His-Qβカップリング反応。
【
図6C】eIL-5-C-His-CMVtt830のカップリング反応の分析。SDS-PAGEによる。タンパク質を、クマシーブルーで染色した:eIL-5単量体(eIL-5、m)、eIL-5二量体(eIL-5、d)、CMV(CMV、m)、カップリング(c)。レーンM、サイズマーカー(シーブルー、プレ染色、NuPAGE、Novex、Invitrogen Life Technologies)、レーン1、化学的クロスリンカーSMPHで誘導体化した後のCMVtt830-VLP、レーン2、TCEP活性化eIL-5-C-His、レーン3、eIL-5-C-His-CMVtt830カップリング反応。
【
図6D】eIL-5-C-His-CMVtt830のカップリング反応の分析。ウェスタンブロットによる。α-His抗体で染色した:eIL-5単量体(eIL-5、m)、eIL-5二量体(eIL-5、d)、カップリング(c)。レーンM、サイズマーカー(シーブルー、プレ染色、NuPAGE、Novex、Invitrogen Life Technologies)、レーン1、化学的クロスリンカーSMPHで誘導体化した後のCMVtt830-VLP、レーン2、TCEP活性化eIL-5-C-His、レーン3、eIL-5-C-His-CMVtt830カップリング反応。
【
図7A】二重盲検プラセボ対照無作為化試験におけるeIL-5-C-His-QβによるIBH疾患パラメータの効率的低下。抗体価の経時変化。血液試料を、注射後いくつかの時点で採取し(ワクチン注射は矢印で示されている)、血清を抗Qβ IgG抗体について分析した。ワクチン接種馬(黒線)及びプラセボ馬(灰色の線)からの血清の、2015年1月1日の時点1、2015年3月20日の時点2、2015年4月3日の時点3、2015年4月30日の時点4、2015年5月28日の時点5、2015年6月25日の時点6、2015年7月30日の時点7、2015年8月27日の時点8、2015年9月30日の時点9のデータである。
【
図7B】二重盲検プラセボ対照無作為化試験におけるeIL-5-C-His-QβによるIBH疾患パラメータの効率的低下。抗体価の経時変化。血液試料を、注射後いくつかの時点で採取し(ワクチン注射は矢印で示されている)、血清を抗eIL-5 IgG自己抗体について分析した。ワクチン接種馬(黒線)及びプラセボ馬(灰色の線)からの血清の、2015年1月1日の時点1、2015年3月20日の時点2、2015年4月3日の時点3、2015年4月30日の時点4、2015年5月28日の時点5、2015年6月25日の時点6、2015年7月30日の時点7、2015年8月27日の時点8、2015年9月30日の時点9のデータである。
【
図7C】二重盲検プラセボ対照無作為化試験におけるeIL-5-C-His-CMVtt830によるIBH疾患パラメータの効率的低下。平均抗体価(+/-SEM)の経時変化。血液試料を、注射後いくつかの時点で採取し(ワクチン注射は矢印で示されている)、血清を抗CMV IgG抗体について分析した。ワクチン接種馬(黒線)及びプラセボ馬(灰色の線)からの血清の、2016年1月の時点1、2016年3月の初めの時点2、2016年3月の終わりの時点3、2016年4月の時点4、2016年5月の時点5、2016年6月の時点6、2016年7月の時点7、2016年8月の時点8、2016年9月の時点9、2016年10月の時点10のデータである。
【
図7D】二重盲検プラセボ対照無作為化試験におけるeIL-5-C-His-CMVtt830によるIBH疾患パラメータの効率的低下。平均抗体価(+/-SEM)の経時変化。血液試料を、注射後いくつかの時点で採取し(ワクチン注射は矢印で示されている)、血清を抗eIL-5 IgG自己抗体について分析した。ワクチン接種馬(黒線)及びプラセボ馬(灰色の線)からの血清の、2016年1月の時点1、2016年3月の初めの時点2、2016年3月の終わりの時点3、2016年4月の時点4、2016年5月の時点5、2016年6月の時点6、2016年7月の時点7、2016年8月の時点8、2016年9月の時点9、2016年10月の時点10のデータである。
【
図7E】血中の好酸球レベルと疾患症状の相関。12頭の皮膚掻痒のある馬の血液中の好酸球レベルを測定し、シーズン中のIBH病変の疾患症状スコアリングに対してブロット(blot)した。相関の精度は、R
2=0.9227、p<0.0001、n=12で示される。
【
図7F】二重盲検プラセボ対照無作為化試験&経過観察試験におけるeIL-5-C-His-QβによるIBH疾患パラメータの効率的低下。事前評価年と治療年を比較して臨床スコアの50%(黒棒)又は75%(灰色の棒)の改善をそれぞれ達成するeIL-5-C-His-Qβワクチン接種馬(V)及びプラセボ馬(P)の割合。V1は、最初の治療年にワクチンを接種した馬を含み(二重盲検プラセボ対照無作為化試験においてn=6)、V2は、最初の治療年及び経過観察年に2回(最初の年及び経過観察年)又は1回(経過観察年)のいずれかでワクチンを接種した全ての馬を含む(全部:n=10;最初の年及び経過観察年にワクチン接種n=6、経過観察年にワクチン接種n=4)。グラフは、全ての馬を含む、n=10、抗体価と無関係:ITT=治療意図。
【
図7G】二重盲検プラセボ対照無作為化試験におけるeIL-5-C-His-CMVtt830によるIBH疾患パラメータの効率的低下。病変スコアの経時変化。病変スコアを、事前評価年(点線)と治療年(実線)の間のいくつかの時点で評価し、ワクチン接種馬を黒線で、プラセボ馬を灰色の線で示している。データの時点1は2016年1月であり、時点2は2016年3月の初めであり、時点3は2016年3月の終わりであり、時点4は2016年4月であり、時点5は2016年5月であり、時点6は2016年6月であり、時点7は2016年7月であり、時点8は2016年8月であり、時点9は2016年9月であり、時点10は2016年10月である。
【
図7H】二重盲検プラセボ対照無作為化試験におけるeIL-5-C-His-CMVtt830によるIBH疾患パラメータの効率的低下。事前評価年と治療年を比較して臨床スコアの50%(黒棒)又は75%(灰色の棒)の改善をそれぞれ達成するeIL-5-CMVtt830ワクチン接種馬(V)及びプラセボ馬(P)の割合。グラフは、全ての馬を含む、n=34、抗体価と無関係:ITT=治療意図。
【
図8A】マウスの血清中の抗体価のELISA。10匹のマウスの免疫前の血清及びmIL-5-C-His-Qβワクチン単独(黒丸)又はmIL-31-C-His-CMVtt830ワクチン単独(灰色丸)でのワクチン接種後41日目からの免疫後の血清をそれぞれ採取した。血清を、eIL-5(黒丸)及びeIL-31(灰色丸)に対する抗体について分析した。マウスを、0、14、及び28日目に免疫した。データは、血清についてのOD50値を示す。mIL-5-C-His-Qβワクチン接種マウスの抗IL-5抗体価は黒丸、及びmIL-31-C-His-CMVtt830ワクチン接種マウスの抗IL-31抗体価は灰色丸。
【
図8B】マウスの血清中の抗体価のELISA。5匹のマウスの免疫前の血清及びmIL-5-C-His-Qβ/mIL-31-C-His-CMVtt830組み合わせワクチン接種後41日目からの免疫後の血清をそれぞれ採取した。血清を、eIL-5(黒丸)及びeIL-31(灰色丸)に対する抗体について分析した。マウスを、0、14、及び28日目に免疫した。データは、血清についてのOD50値を示す。抗IL-5抗体価は黒丸、及び抗IL-31抗体価は灰色丸。
【
図8C】mIL-31-CMVでワクチン接種及びova負荷(1)、CMV VLPでワクチン接種及びova負荷(2)、mIL-5-Qβ&mIL-31-CMVtt830組み合わせでワクチン接種及びova負荷(3)、並びにCMV VLPでワクチン接種及びPBS対照負荷(4)したovaアレルギーマウスにおけるマウスβアクチンハウスキーピング遺伝子のパーミル発現(y軸)として示されるマウスIL-31mRNAレベル。平均+SEMが示されている、n=6。
【
図8D】マウスの血清中の抗ova IgG抗体価のELISA。さらに、mIL-31-CMVでワクチン接種及びova負荷(1)、CMV VLPでワクチン接種及びova負荷(2)、mIL-5-Qβ&mIL-31-CMVtt830組み合わせでワクチン接種及びova負荷(3)、並びにCMV VLPでワクチン接種及びPBS対照負荷(4)したova感作マウスにおける免疫前の血清及び実験の終点(アレルギー性皮膚炎モデルの22日目)での血清。データは免疫前の値を差し引いた血清のOD50値を示し、平均+SEM、n=6。Y軸は、OD50の抗ova IgG抗体価を示す。
【
図8E】マウスの血清中の抗ova IgE抗体価のELISA。さらに、mIL-31-CMVでワクチン接種及びova負荷(1)、CMV VLPでワクチン接種及びova負荷(2)、mIL-5-Qβ&mIL-31-CMVtt830組み合わせでワクチン接種及びova負荷(3)、並びにCMV VLPでワクチン接種及びPBS対照負荷(4)したova感作マウスにおける免疫前の血清及び実験の終点(アレルギー性皮膚炎モデルの22日目)での血清。データは免疫前の値を差し引いた血清のOD50値を示し、平均+SEM、n=6。Y軸は、OD50の抗ova IgE抗体価を示す。
【
図8F】17、18、19、20、21、及び22日目(x軸)に示した左耳の皮膚におけるova負荷時の耳の厚さの増加率(y軸)。mIL-31-C-His-CMVtt830のみでワクチン接種し、ova負荷したグループ1(黒丸);CMVtt830 VLPでワクチン接種し、ova負荷したグループ2(三角);mIL-5C-His-Qβ&mIL-31-C-His-CMVtt830組み合わせでワクチン接種し、ova負荷したグループ3(四角);及びCMVtt830 VLPでワクチン接種し、PBS対照負荷したグループ4(点線)。平均±SEM、n=6匹のマウス。
【発明を実施するための形態】
【0027】
発明の詳細な説明
特に定義しない限り、本明細書で用いる全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0028】
ウイルス様粒子(VLP):本明細書で使用する用語「ウイルス様粒子(VLP)」は、非複製性若しくは非感染性、好ましくは非複製性かつ非感染性のウイルス粒子を指すか、又はウイルス粒子、好ましくはウイルスのキャプシドに似た非複製性若しくは非感染性、好ましくは、非複製性かつ非感染性の構造体を指す。本明細書で使用する用語「非複製性」は、VLPが含むゲノムを複製することができないことを指す。本明細書で使用する用語「非感染性」は、宿主細胞に入ることができないことを指す。本発明によるウイルス様粒子は、ウイルスゲノム若しくはゲノム機能の全部又は一部を欠いているので、非複製性かつ非感染性である。本発明によるウイルス様粒子は、それらのゲノムと異なる核酸を含有し得る。組換え産生したウイルス様粒子は、典型的には、宿主細胞由来のRNAを含有する。本発明によるウイルス様粒子の典型的かつ好ましい実施形態は、本発明のポリペプチドで構成されるウイルスキャプシドである。ウイルス様粒子は、典型的には、ウイルス様粒子あたり60、120、180、240、300、360、又は360超のタンパク質サブユニットを含む、典型的には、ウイルスコートタンパク質で構成される巨大分子集合体である。典型的には、かつ好ましくは、これらのサブユニットの相互作用は、固有の反復組織を有するウイルスキャプシド又はウイルスキャプシド様構造の形成をもたらす。ウイルス様粒子の1つの特徴は、そのサブユニットのその非常に規則正しい反復配置である。
【0029】
RNAバクテリオファージのウイルス様粒子:本明細書で使用する用語「RNAバクテリオファージのウイルス様粒子」は、RNAバクテリオファージのコートタンパク質、その変異体若しくは断片を含むか、又は好ましくは本質的にそれからなるか、又はそれからなるウイルス様粒子を指す。加えて、RNAバクテリオファージのウイルス様粒子は、RNAバクテリオファージの構造に似ており、非複製性かつ/又は非感染性であり、RNAバクテリオファージの複製機構をコードする少なくとも1つの遺伝子又は複数の遺伝子を欠き、典型的には、宿主へのウイルスの付着若しくは侵入に関与するタンパク質又は複数のタンパク質をコードする遺伝子又は複数の遺伝子も欠いている。また、含まれるのは、RNAバクテリオファージのウイルス様粒子であり、その中の前述の遺伝子又は複数の遺伝子は依然として存在するが、不活性であり、したがって、また、RNAバクテリオファージの非複製性かつ/又は非感染性ウイルス様粒子をもたらす。RNAバクテリオファージに由来する好ましいVLPは、正二十面体対称性を示し、180個のサブユニット(単量体)からなる。RNAバクテリオファージのウイルス様粒子を非複製性かつ/又は非感染性にさせるための好ましい方法は、UV照射、ホルムアルデヒド処理、典型的には、かつ好ましくは、遺伝子操作などによる物理的、化学的不活性化によるものである。
【0030】
CMVのウイルス様粒子:用語「CMVのウイルス様粒子」又はCMV VLPは、少なくとも1つのCMVポリペプチドを含むか、又は好ましくは本質的にそれからなるか、又は好ましくはそれからなるウイルス様粒子を指す。好ましくは、CMVのウイルス様粒子は、主として、さらにより好ましくは、キャプシド構造の唯一のタンパク質成分として、前記CMVポリペプチドを含む。典型的には、かつ好ましくは、CMVのウイルス様粒子は、CMVのキャプシドの構造に似ている。CMVのウイルス様粒子は、非複製性かつ/又は非感染性であり、CMVの複製機構をコードする少なくとも1つの遺伝子又は複数の遺伝子を欠き、典型的には、宿主へのウイルスの付着若しくは侵入に関与するタンパク質又は複数のタンパク質をコードする遺伝子又は複数の遺伝子も欠いている。この定義には、前述の遺伝子又は複数の遺伝子は依然として存在するが不活性であるウイルス様粒子も含まれる。CMVのウイルス様粒子を非複製性かつ/又は非感染性にさせるための好ましい方法は、UV照射、ホルムアルデヒド処理などの物理的又は化学的な不活性化によるものである。好ましくは、CMVのVLPは、CMVの複製機構をコードする遺伝子又は複数の遺伝子を欠き、かつ宿主へのウイルスの付着若しくは侵入に関与するタンパク質又は複数のタンパク質をコードする遺伝子又は複数の遺伝子も欠いている。再び、より好ましくは、非複製性かつ/又は非感染性ウイルス様粒子は、遺伝子組換え技術により得られる。本発明によるCMVの組換え生成されるウイルス様粒子は、典型的には、かつ好ましくは、ウイルスゲノムを含まない。モザイクVLPと呼ばれる場合が多い2種以上のポリペプチドを含むウイルス様粒子も本発明に包含される。そのため、一実施形態において、本発明によるウイルス様粒子は、少なくとも2種の異なるポリペプチドを含み、前記ポリペプチド種の少なくとも1種はCMVポリペプチドである。好ましくは、CMVのVLPは、典型的には、VLPあたり180個のコートタンパク質サブユニットを含むCMVコートタンパク質で構成される巨大分子の集合体である。典型的には、かつ好ましくは、本明細書で使用するCMVのVLPは、(i)CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列;又は(ii)変異アミノ酸配列を含むか、又は好ましくはそれからなる少なくとも1種のCMVポリペプチドを含むか、本質的にそれからなるか、或いはそれからなり、変異されるアミノ酸配列は、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であり、前記変異アミノ酸配列及び前記変異されるアミノ酸配列は、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは、少なくとも98%、及び再びより好ましくは、少なくとも99%の配列同一性を示す。
【0031】
抗原:本明細書で使用する用語「抗原」は、MHC分子によって提示される場合、抗体又はT細胞受容体(TCR)が結合することが可能な分子を指す。本明細書で使用する用語「抗原」はまた、T細胞エピトープを指す。さらに、抗原は、免疫系が認識することができ、かつ/又はBリンパ球及び/若しくはTリンパ球の活性化をもたらす体液性免疫応答並びに/又は細胞性免疫応答を誘導することが可能である。しかしながら、これは、少なくともいくつかの場合において、該抗原は、Th細胞エピトープを含有するか、又はTh細胞エピトープに連結され、かつ/又はアジュバントで与えられることが必要とされ得る。抗原は、1以上のエピトープ(Bエピトープ及びTエピトープ)を有することができる。上記で言及する特異的反応は、抗原が、好ましくは、典型的には高度に選択的な方法でその対応する抗体又はTCRと反応するが、他の抗原によって誘発され得る多数の他の抗体又はTCRとは反応しないことを示すことを意味する。特に示されない場合、本明細書で使用する用語「抗原」は、本発明の組成物、免疫原性組成物又はワクチン組成物及び/又は医薬組成物に含有されるコア粒子又はウイルス様粒子を指すものではない。
【0032】
コートタンパク質:用語「コートタンパク質」は、ウイルスキャプシド若しくはVLPに組み込めるウイルスタンパク質、好ましくは、ウイルス、好ましくは、RNAバクテリオファージ又は植物ウイルスの天然キャプシドのサブユニットを指す。コートタンパク質という用語は、天然のコートタンパク質、並びに組換え発現コートタンパク質を包含する。さらに包含されるのは、コートタンパク質の変異体及び断片であり、前記変異体及び断片はVLPを形成する能力を保持する。
【0033】
ポリペプチド:本明細書で使用する用語「ポリペプチド」は、ペプチド結合(アミド結合としても知られる)によって直鎖状に連結されているアミノ酸単量体で構成されるポリマーを指す。ポリペプチドという用語は、アミノ酸の連続鎖を指し、生成物の特定の長さを指すものではない。そのため、ペプチド、及びタンパク質は、ポリペプチドの定義内に含まれる。
【0034】
キュウリモザイクウイルス(CMV)ポリペプチド:本明細書で使用する用語「キュウリモザイクウイルス(CMV)ポリペプチド」は、(i)キュウリモザイクウイルス(CMV)のコートタンパク質のアミノ酸配列、又は(ii)変異アミノ酸配列を含むか、又は好ましくは、それからなるポリペプチドを指し、変異されるアミノ酸配列はCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であり、前記変異アミノ酸配列及び前記変異されるアミノ酸配列、すなわち、前記CMVのコートタンパク質は、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%及び再びより好ましくは、少なくとも99%の配列同一性を示す。典型的には、かつ好ましくは、CMVポリペプチドは、自己アセンブリによって発現時にCMVのウイルス様粒子を形成することができる。
【0035】
キュウリモザイクウイルス(CMV)のコートタンパク質(CP):本明細書で使用する用語「キュウリモザイクウイルス(CMV)のコートタンパク質(CP)」は、天然に存在するキュウリモザイクウイルスのコートタンパク質を指す。キュウリモザイクウイルスの非常に広い宿主範囲により、CMVの多くの異なる株及び分離株が知られており、前記株及び分離株のコートタンパク質の配列が決定され、そのため、当業者にも知られている。CMVの前記コートタンパク質(CP)の配列は、Genbank、www.dpvweb.net、又はwww.ncbi.nlm.nih.gov/protein/などの公知のデータベースに記載されており、そこから検索可能である。例は、EP出願番号14189897.3に記載されている。CMVコートタンパク質のさらなる例を、配列番号15~17に提供する。これらの株及び分離株がコートタンパク質のN末端を含む異なるタンパク質ドメインに非常に類似したコートタンパク質配列を有することは、注目に値する。特に、全て完全に配列決定されたCMV分離株の98.1%が、それらのコートタンパク質配列の最初の28個のアミノ酸内に85%超の配列同一性を共有しており、全て完全に配列決定されたCMV分離株のなお79.5%が、それらのコートタンパク質配列の最初の28個のアミノ酸内に90%超の配列同一性を共有している。
【0036】
典型的には、かつ好ましくは、本発明に使用されるCMVのコートタンパク質は、自己アセンブリによって発現時に、CMVのウイルス様粒子を形成することができる。好ましくは、本発明に使用されるCMVのコートタンパク質は、大腸菌内で自己アセンブリによって発現時に、CMVのウイルス様粒子を形成することができる。
【0037】
キュウリモザイクウイルス(CMV)の改変ウイルス様粒子(VLP):本明細書で使用する用語「キュウリモザイクウイルス(CMV)の改変ウイルス様粒子(VLP)」は、少なくとも1つの改変CMVポリペプチドを含むか、又は好ましくは本質的にそれからなるか、又は好ましくはそれからなるように改変されたものであるCMVのVLPを指し、前記改変CMVポリペプチドは、CMVポリペプチド、及びTヘルパー細胞エピトープを含むか、又は好ましくは、それからなる。典型的には、かつ好ましくは、前記Tヘルパー細胞エピトープは、(i)前記CMVポリペプチドのN末端に融合されるか、(ii)前記CMVポリペプチドのC末端に融合されるか、(iii)前記CMVポリペプチドの連続アミノ酸の領域と置換され、前記CMVポリペプチドの連続アミノ酸の前記置換された領域とTヘルパー細胞エピトープの間の配列同一性が、少なくとも15%、好ましくは、少なくとも20%であるか、又は(iv)前記CMVポリペプチドのN末端領域と置換され、前記CMVポリペプチドの前記置換されたN末端領域は5~15個の連続アミノ酸からなる。好ましくは、前記Tヘルパー細胞エピトープは、前記CMVポリペプチドのN末端領域と置換され、前記CMVポリペプチドの前記置換されたN末端領域は、5~15個の連続アミノ酸、好ましくは9~14個の連続アミノ酸、より好ましくは、11~13個の連続アミノ酸、最も好ましくは、11、12又は13個の連続アミノ酸からなる。好ましくは、本発明のCMVの前記改変VLPは、CMVの組換え改変VLPである。
【0038】
改変CMVポリペプチド:本明細書で使用する用語「改変CMVポリペプチド」は、前記改変CMVポリペプチドが、CMVポリペプチド、及びTヘルパー細胞エピトープを含むか、又は好ましくは、それからなると本明細書で定義されるように改変されたCMVポリペプチドを指す。典型的には、改変CMVポリペプチドは、自己アセンブリによって発現時に、CMVのウイルス様粒子を形成することができる。好ましくは、改変CMVポリペプチドは、組換え改変CMVポリペプチドであり、大腸菌において自己アセンブリによって発現時に、CMVのウイルス様粒子を形成することができる。
【0039】
CMVポリペプチドのN末端領域:本明細書で使用する用語「CMVポリペプチドのN末端領域」は、前記CMVポリペプチドのN末端、特に、CMVのコートタンパク質のN末端、又は前記CMVポリペプチド若しくは前記CMVのコートタンパク質のN末端の領域のいずれかを指すが、前記CMVポリペプチド又は前記コートタンパク質がN末端メチオニン残基を含む場合は、前記CMVポリペプチド又は前記CMVのコートタンパク質のN末端の第2のアミノ酸から始まる。好ましくは、前記CMVポリペプチド又は前記コートタンパク質が、N末端メチオニン残基を含む場合は、実用的な観点から、開始コドンをコードするメチオニンは、通常除去され、Th細胞エピトープのN末端に付加される。さらに好ましくは、1個、2個又は3個の追加のアミノ酸、好ましくは、1個のアミノ酸は、必要に応じて、クローニング目的のために、出発メチオニンとTh細胞エピトープの間に挿入され得る。本明細書で使用する用語「CMVポリペプチド又はCMVコートタンパク質の変異アミノ酸配列のN末端領域」は、前記CMVポリペプチド又は前記CMVのコートタンパク質の前記変異アミノ酸配列のN末端、又は前記CMVポリペプチド又は前記CMVのコートタンパク質の前記変異アミノ酸配列のN末端領域のいずれかを指すが、前記変異アミノ酸配列がN末端メチオニン残基を含む場合は、前記CMVポリペプチド若しくは前記CMVのコートタンパク質の前記変異アミノ酸配列のN末端の第2のアミノ酸から始まる。好ましくは、前記CMVポリペプチド又は前記コートタンパク質がN末端メチオニン残基を含む場合には、実用的な観点から、開始コドンをコードするメチオニンは、通常、除去され、Th細胞エピトープのN末端に付加される。さらに好ましくは、1個、2個又は3個の追加のアミノ酸、好ましくは、1個のアミノ酸は、必要に応じて、クローニング目的のために、出発メチオニンとTh細胞エピトープの間に挿入され得る。
【0040】
組換えポリペプチド:本発明の文脈において、用語「組換えポリペプチド」は、組換えDNA技術の少なくとも1つの工程を含むプロセスにより得られるポリペプチドを指す。典型的には、かつ好ましくは、組換えポリペプチドは、原核生物発現系で生成される。大腸菌などの原核生物発現系で発現される組換え生成ポリペプチドは、N末端メチオニン残基を含み得ることは、当業者には明らかである。N末端メチオニン残基は、典型的には、組換えポリペプチドの成熟中に、発現宿主において組換えポリペプチドから切断される。しかしながら、N末端メチオニンの切断は不完全であり得る。そのため、組換えポリペプチドの調製物は、他の点では同一であるが、N末端メチオニン残基を含むポリペプチドと含まないポリペプチドの混合物を含み得る。典型的には、かつ好ましくは、組換えポリペプチドの調製物は、N末端メチオニン残基を有する10%未満、より好ましくは5%未満、さらにより好ましくは1%未満の組換えポリペプチドを含む。
【0041】
組換えCMVポリペプチド:用語「組換えCMVポリペプチド」は、組換えDNA技術の少なくとも1つの工程を含むプロセスによって得られる、上記で定義したCMVポリペプチドを指す。典型的には、かつ好ましくは、組換えCMVポリペプチドの調製物は、N末端メチオニン残基を有する、10%未満、より好ましくは5%未満、さらにより好ましくは1%未満の組換えCMVポリペプチドを含む。結果として、本発明の組換えウイルス様粒子は、他の点では同一であるが、N末端メチオニン残基を含む組換えポリペプチド及び含まない組換えポリペプチドを含み得る。
【0042】
組換え改変CMVポリペプチド:用語「組換え改変CMVポリペプチド」は、組換えDNA技術の少なくとも1つの工程を含むプロセスによって得られる、上記で定義した改変CMVポリペプチドを指す。典型的には、かつ好ましくは、組換え改変CMVポリペプチドの調製物は、N末端メチオニン残基を有する、10%未満、より好ましくは、5%未満、さらにより好ましくは、1%未満の組換え改変CMVポリペプチドを含む。結果として、本発明の組換えウイルス様粒子は、他の点では同一であるが、N末端メチオニン残基を含む組換えポリペプチド及び含まない組換えポリペプチドを含み得る。
【0043】
組換えウイルス様粒子:本発明の文脈において、用語「組換えウイルス様粒子」は、組換えDNA技術の少なくとも1つの工程を含むプロセスによって得られるウイルス様粒子(VLP)を指す。典型的には、かつ好ましくは、組換えVLPは、宿主内で、好ましくは、細菌細胞内で組換えウイルスコートタンパク質の発現により得られる。典型的には、かつ好ましくは、組換えウイルス様粒子は、少なくとも1つの組換えポリペプチド、好ましくは、組換えCMVポリペプチド又は組換え改変CMVポリペプチドを含む。最も好ましくは、組換えウイルス様粒子は、組換えCMVポリペプチド又は組換え改変CMVポリペプチドで構成されるか、又はそれからなる。その結果、本発明の文脈において、本発明の組換えVLPの定義が、N末端メチオニン残基を含む特定のアミノ酸配列を参照して行われる場合には、これらの本発明の組換えVLPの範囲は、前記N末端メチオニン残基を含まない前記特定のアミノ酸配列によって形成されるVLPを包含するが、同様に、本明細書に示されるように、典型的には少量ではあるが、該VLPは、前記N末端メチオニンを有する前記特定のアミノ酸配列によって形成される。さらに、本発明の組換えVLPの定義が、N末端メチオニン残基を含む特定のアミノ酸配列を参照して行われる場合、依然として、前記N末端メチオニン残基を含むアミノ酸配列及びN末端メチオニン残基を欠くアミノ酸配列の両方を含むVLPが包含されることは本発明の範囲内である。
【0044】
変異アミノ酸配列:用語「変異アミノ酸配列」は、変異されるアミノ酸配列に定義された変異のセットを導入することによって得られるアミノ酸配列を指す。本発明の文脈において、前記変異されるアミノ酸配列は、典型的には、かつ好ましくは、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列である。そのため、変異アミノ酸配列は、少なくとも1個のアミノ酸残基がCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列とは異なり、前記変異アミノ酸配列及び前記変異されるアミノ酸配列は、少なくとも90%の配列同一性を示す。典型的には、かつ好ましくは、前記変異アミノ酸配列及び前記変異されるアミノ酸配列は、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を示す。好ましくは、前記変異アミノ酸配列及び前記変異される配列は、最大で11、10、9、8、7、6、4、3、2、又は1個のアミノ酸残基が異なり、さらに好ましくは、前記違いは、挿入、欠失及びアミノ酸交換から選択される。好ましくは、該変異アミノ酸配列は、少なくとも1個のアミノ酸がCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列と異なり、好ましくは、前記違いはアミノ酸交換である。
【0045】
…残基に対応する位置:別のアミノ酸配列の所定の残基に相当するアミノ酸配列上の位置は、配列アライメントによって、典型的には、かつ好ましくは、BLASTPアルゴリズムを用いることによって、最も好ましくは、標準的な設定を用いて同定することができる。典型的かつ好ましい標準設定は、期待閾値:10;ワードサイズ:3;クエリ範囲で最大一致:0;マトリックス:BLOSUM62;ギャップコスト:存在11、拡張1;組成の調整:条件付きの組成スコアマトリックス調整である。
【0046】
配列同一性:2つの所定のアミノ酸配列の配列同一性は、両方の配列のアライメントに基づいて決定される。配列同一性の決定のためのアルゴリズムは、当業者に利用可能である。好ましくは、2つのアミノ酸配列の配列同一性は、「BLAST」プログラム(http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)又は「CLUSTALW」(http://www.genome.jp/tools/clustalw/)などの公に利用可能なコンピューター相同性プログラムを使用して、かつ本明細書では、好ましくは、http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgiのNCBIのホームページ上で提供される「BLAST」プログラムにより、そこに提供されるデフォルト設定を用いて決定される。典型的かつ好ましい標準設定は、期待閾値:10;ワードサイズ:3;クエリの範囲の最大一致:0;マトリックス:BLOSUM62;ギャップコスト:存在11、拡張1;組成の調整:条件付きの組成スコアマトリックス調整である。
【0047】
アミノ酸交換:アミノ酸交換という用語は、異なる化学構造を有する任意の他のアミノ酸残基による、好ましくは、別のタンパク質原性アミノ酸残基による、アミノ酸配列中の所定のアミノ酸残基の交換を指す。そのため、アミノ酸の挿入又は欠失とは対照的に、該アミノ酸交換は、前記アミノ酸配列のアミノ酸の総数を変えない。本発明の文脈において非常に好ましいのは、リジン残基による、又はシステイン残基による前記変異されるアミノ酸配列のアミノ酸残基の交換である。
【0048】
エピトープ:エピトープという用語は、抗原、好ましくは、ポリペプチドの連続部分又は不連続部分を指し、前記部分は、抗体によって、又はMHC分子の文脈内ではT細胞受容体によって特異的に結合させることができる。抗体に関して、特異的結合は、非特異的結合を排除するが、必ずしも交差反応性を排除するものではない。エピトープは、典型的には、抗原部位に固有の空間的立体構造中に5~20個のアミノ酸を含む。
【0049】
Tヘルパー(Th)細胞エピトープ:本明細書で使用する用語「Tヘルパー(Th)細胞エピトープ」は、ヘルパーTh細胞が認識できるエピトープを指す。別の好ましい実施形態において、前記Tヘルパー細胞エピトープは、ユニバーサルTヘルパー細胞エピトープである。
【0050】
ユニバーサルTh細胞エピトープ:本明細書で使用する用語「ユニバーサルTh細胞エピトープ」は、少なくとも1つ、好ましくは、2以上のMHCクラスII分子に結合することができるTh細胞エピトープを指す。ペプチド配列が、ユニバーサルTh細胞エピトープであるかどうかを判断する最も簡単な方法は、個々のMHCクラスII分子に結合するペプチドの能力を測定することである。これは、MHCクラスII分子への、公知のTh細胞エピトープペプチドの結合と競合するペプチドの能力によって測定され得る。HLA-DR分子の代表的な選択は、例えば、Alexander J,ら,Immunity(1994)1:751-761に記載されている。MHCクラスII分子のTh細胞エピトープの親和性は、少なくとも10-5Mでなければならない。Th細胞エピトープの「普遍性」を決定するために、より面倒であるがより適切な代替の方法は、より大きな人々の集団(30%超)が、IFAに製剤化されたTh細胞エピトープを含有するタンパク質での免疫時及び1ヶ月後の追加免疫時に、測定可能なT細胞応答をもたらすことを実証することである。異なる個体中に存在するMHCクラスII分子の代表的なコレクションは、Panina-Bordignon P,ら,Eur J Immunol(1989)19:2237-2242に与えられている。結果として、本明細書で使用する用語「ユニバーサルTh細胞エピトープ」は、Panina-Bordignon P,ら,Eur J Immunol(1989)19:2237-2242に記載されているように、好ましくは、(IFAに製剤化されたTh細胞エピトープを含有するタンパク質での)免疫時及び(1ヶ月後の)追加免疫時に、選択された個体のグループの30%超において、測定可能なT細胞応答をもたらすTh細胞エピトープを指す。また、再びさらに好ましくは、本明細書で使用する用語「ユニバーサルTh細胞エピトープ」は、好ましくは、DR1、DR2w2b、DR3、DR4w4、DR4w14、DR5、DR7、DR52a、DRw53、DR2w2aから選択される;並びに好ましくは、DR1、DR2w2b、DR4w4、DR4w14、DR5、DR7、DRw53、DR2w2aから選択される少なくとも1つ、好ましくは、少なくとも2つ、さらにより好ましくは、少なくとも3つのDR対立遺伝子に、少なくとも500nMの親和性で結合することができるTh細胞エピトープを指し(Alexander J,ら,Immunity(1994)1:751-761及び本明細書で引用される参考文献に記載されるように)、前記親和性を評価するための好ましい結合アッセイは、Sette A,ら,J Immunol(1989)142:35-40によって記載されているものである。さらに再びより好ましい方法で、本明細書で使用する用語「ユニバーサルTh細胞エピトープ」は、DR1、DR2w2b、DR4w4、DR4w14、DR5、DR7、DRw53、DR2w2aから選択される少なくとも1つ、好ましくは、少なくとも2つ、さらにより好ましくは、少なくとも3つのDR対立遺伝子に、少なくとも500nMの親和性で結合することができるTh細胞エピトープを指し(Alexander J,ら,Immunity(1994)1:751-761及び本明細書で引用される参考文献に記載されるように)、前記親和性を評価するための好ましい結合アッセイは、Sette A,ら,J Immunol(1989)142:35-40によって記載されているものである。
【0051】
ユニバーサルTh細胞エピトープは、Alexander J,ら,Immunity(1994)1:751-761,Panina-Bordignon P,ら,Eur J Immunol(1989)19:2237-2242,Calvo-Calle JM,ら,J Immunol(1997)159:1362-1373,及びValmori D,ら,J Immunol(1992)149:717-721などによって記載されており、当業者に公知である。
【0052】
アジュバント:本明細書で使用する用語「アジュバント」は、宿主内でデポーの発生を可能にし、本発明のワクチン及び医薬組成物とそれぞれ組み合わせた場合に、さらにより増強した免疫応答を提供し得る免疫応答の非特異的刺激因子又は物質を指す。好ましいアジュバントは、完全及び不完全フロイントアジュバント、アルミニウム含有アジュバント、好ましくは、水酸化アルミニウム、及び改変ムラミルジペプチドである。さらに好ましいアジュバントは、水酸化アルミニウムなどのミネラルゲル、リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳剤、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノールなどの界面活性物質、並びにBCG(カルメット・ゲラン桿菌)及びコリネバクテリウムパルブム(Corynebacterium parvum)などのヒトアジュバントである。そのようなアジュバントも当技術分野で周知である。本発明の組成物と共に投与することができるさらなるアジュバントには、モノホスホリル脂質免疫改変物質、AdjuVax 100a、QS-21、QS-18、CRL1005、アルミニウム塩(ミョウバン)、MF-59、OM- 174、OM- 197、OM-294、及びビロソームアジュバント技術が含まれるが、これらに限定されない。アジュバントはまた、これらの物質の混合物を含み得る。ウイルス様粒子は、一般的に、アジュバントとして記載されている。しかしながら、本出願の文脈内で使用される用語「アジュバント」は、本発明のウイルス様粒子ではないアジュバントを指す。むしろ、「アジュバント」は、本発明の組成物、ワクチン又は医薬組成物の追加の明確に異なる成分に関する。
【0053】
用語「アレルギー状態」は、免疫系と身体にとって外来の物質の間の相互作用によって引き起こされる障害又は疾患として本明細書で定義される。この異物は、「アレルゲン」と呼ばれる。一般的なアレルゲンには、花粉、埃、カビ、塵ダニタンパク質などの空気アレルゲン、虫刺されからの注入唾液などが含まれる。アレルギー状態の例には、以下のもの:アレルギー性皮膚炎、夏湿疹、再発性蕁麻疹、掻痒、細胞性肺気腫、炎症性気道疾患、再発性気道閉塞、気道過敏反応、慢性閉塞性肺疾患、及び過敏性腸症候群(IBS)などの自己免疫から生じる炎症プロセスが含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
用語「掻痒状態」は、緩和を得るために、皮膚を擦る又は傷つける衝動をもたらす激しい痒みの感覚によって特徴付けられる疾患又は障害として本明細書で定義される。掻痒状態の例としては、以下のもの:アトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症、掻痒、アレルギー性皮膚炎、細菌性毛嚢炎、皮膚糸状菌症、及び再発性蕁麻疹が含まれるが、これらに限定されない。
【0055】
有効量:本明細書で使用する用語「有効量」は、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬に投与した場合に、有益な又は所望の結果を達成するのに十分な活性成分、典型的には、かつ好ましくは、本発明による組成物の量を指す。有効量は、1以上の投与、適用又は投薬で投与することができる。該組成物、或いは該医薬組成物の有効量は、この選択された結果を達成する量であり、そのような量は当業者によって日常的な問題として決定することができる。好ましくは、本明細書で使用する用語「有効量」は、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の掻痒状態若しくはアレルギー状態から選択される状態又は障害の予防又は治療に関連する1以上のパラメータに客観的に測定される変化を生じさせる量を指す。再びさらに好ましくは、掻痒状態若しくはアレルギー状態から選択される状態又は障害の予防又は治療に関連する前記1以上のパラメータは、皮膚病変のレベル若しくは重症度グレード又は掻痒のレベルである。再びさらに好ましくは、皮膚病変の前記レベル又は重症度グレードの前記低下は、症状病変スコアリング試験によって決定され、前記掻痒のレベルの前記低下は、掻痒スコアリング試験によって決定される。有効量は、特定のウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬、及び治療される状態、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の体重及び年齢、疾患状態の重症度、選択された特定の組成物、従うべき投与計画、投与のタイミング、並びに投与様式などに応じて変えることができ、それらの全ては、過度の実験を必要とすることなく、当業者によって容易に決定することができる。
【0056】
併用治療:本明細書で使用する用語「併用治療」又は本明細書において互換的に使用される「併用ワクチン接種」は、少なくとも2つ、典型的には、かつ好ましくは、正確には2つの異なる本発明の組成物が使用される本発明による治療を指し、前記異なる本発明の組成物は、別々の実体として適用され、1つの組み合わされた、典型的には、かつ好ましくは、前記少なくとも2つの異なる本発明の組成物を含む医薬組成物として適用されない。しかしながら、前記少なくとも2つ、典型的には、かつ好ましくは、正確には2つの異なる本発明の組成物の別々の実体としての使用は、同じ時間及び/又は同じ場所、典型的には、かつ好ましくは、同じ投与部位及び注射部位での、前記少なくとも2つ、典型的には、かつ好ましくは、正確には2つの異なる本発明の組成物の適用、典型的には、かつ好ましくは、投与を排除するものではない。
【0057】
組み合わせ治療:本明細書で使用する用語「組み合わせ治療」又は本明細書において互換的に使用される「組み合わせワクチン接種」は、少なくとも2つ、典型的には、かつ好ましくは、正確には2つの異なる本発明の組成物が使用される本発明による治療を指し、前記異なる本発明の組成物は、1つの実体として適用され、典型的には、かつ好ましくは、本発明による前記少なくとも2つの異なる本発明の組成物を含む1つの医薬組成物の中に及び1つの医薬組成物として含まれ、組み合わされている。
【0058】
治療:本明細書で使用する用語「処置」、「処置する」、「処置される」又は「処置すること」は、予防及び/又は治療を指す。一実施形態において、用語「処置」、「処置する」、「処置される」又は「処置すること」は、治療的処置を指す。別の実施形態において、用語「処置」、「処置する」、「処置される」又は「処置すること」は、予防的処置を指す。典型的には、かつ好ましくは、治療を必要とするウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬には、既に障害を有するもの、並びに障害が予防される予定のものが含まれる。そのため、好ましくは、本発明による疾患、状態又は障害の用語「処置」、「処置する」、「処置される」又は「処置すること」は、疾患、状態若しくは障害に対して予防又は保護すること(すなわち、症状を発症しないようにさせること);疾患、状態又は障害を阻害すること(すなわち、症状の発症を阻止又は抑制すること);並びに/又は疾患、状態又は障害を軽減すること(すなわち、症状の退行を引き起こすこと)を含む。理解されるように、最終的な誘導事象又は複数の事象は未知であるか、又は潜在的であり得るので、疾患、状態又は障害を「予防すること」と「抑制すること」を区別することは必ずしも可能ではない。したがって、用語「予防」は、「予防」と「抑制」の両方を包含する「処置」の種類を構成することが理解される。そのため、用語「治療」は、「予防」を含む。
【0059】
本明細書で使用する用語「予防」は、疾患若しくは状態の発症並びに/又は疾患若しくは状態に起因する症状を予防又は遅延させる手段を指す。
【0060】
付着部位、第1:本明細書で使用する語句「第1の付着部位」は、ウイルス様粒子と共に天然に存在するか、又はウイルス様粒子に人工的に付加され、第2の付着部位が連結され得る要素を指す。第1の付着部位は、好ましくは、タンパク質、ポリペプチド、アミノ酸、ペプチド、糖、ポリヌクレオチド、天然又は合成のポリマー、二次代謝生成物又は化合物(ビオチン、フルオレセイン、レチノール、ジゴキシゲニン、金属イオン、フェニルメチルスルホニルフルオリド)、又はアミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、ヒドロキシル基、グアニジニル基、ヒスチジニル基、又はそれらの組み合わせなどの化学反応基である。第1の付着部位である化学反応基の好ましい実施形態は、アミノ酸残基、好ましくは、リジン残基のアミノ基である。第1の付着部位は、典型的には、表面上、好ましくは、VLPの外表面上に配置されている。複数の第1の付着部位は、表面上、好ましくは、VLPの外表面上に、典型的には反復形状で存在する。好ましい実施形態において、第1の付着部位は、少なくとも1つの共有結合を介して、好ましくは、少なくとも1つのペプチド結合を介してVLPと結合している。さらに好ましい実施形態において、第1の付着部位は、VLPと共に天然に存在する。或いは、好ましい実施形態において、第1の付着部位は、人工的にVLPに付加される。非常に好ましい実施形態において、前記第1の付着部位は、前記VLPポリペプチドのアミノ酸配列のリジン残基のアミノ基である。
【0061】
付着部位、第2:本明細書で使用する語句「第2の付着部位」は、抗原と共に天然に存在するか、又は抗原に人工的に付加され、第1の付着部位が連結され得る要素を指す。抗原の第2の付着部位は、好ましくは、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、アミノ酸、糖、ポリヌクレオチド、天然又は合成のポリマー、二次代謝生成物又は化合物(ビオチン、フルオレセイン、レチノール、ジゴキシゲニン、金属イオン、フェニルメチルスルホニルフルオリド)、又はアミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、ヒドロキシル基、グアニジニル基、ヒスチジニル基、又はそれらの組み合わせなどの化学反応基である。第2の付着部位である化学反応基の好ましい実施形態は、スルフヒドリル基、好ましくは、アミノ酸のシステインのスルフヒドリル基、最も好ましくは、システイン残基のスルフヒドリル基である。用語「少なくとも1つの第2の付着部位を有する抗原」は、したがって、抗原及び少なくとも1つの第2の付着部位を含む構築物を指す。しかしながら、特に、抗原内に天然に存在しない第2の付着部位について、そのような構築物は、典型的には、かつ好ましくは、さらに「リンカー」を含む。別の好ましい実施形態において、第2の付着部位は、少なくとも1つの共有結合を介して、好ましくは、少なくとも1つのペプチド結合を介して抗原と結合している。さらなる実施形態において、第2の付着部位は、抗原内に天然に存在する。別のさらに好ましい実施形態において、第2の付着部位は、リンカーを介して抗原に人工的に付加され、前記リンカーは、システインを含むか、或いは、それからなる。好ましくは、該リンカーは、ペプチド結合によって抗原に融合される。
【0062】
連結される:本明細書で使用する用語「連結される」又は「連結」は、少なくとも1つの第1の付着部位と少なくとも1つの第2の付着部位が互いに結合する全ての可能な方法、好ましくは、化学的相互作用を指す。化学的相互作用には、共有結合相互作用及び非共有結合相互作用が含まれる。非共有結合相互作用の典型的な例は、イオン相互作用、疎水性相互作用又は水素結合であるが、共有結合相互作用は、例えば、エステル、エーテル、ホスホエステル、炭素-リン結合、チオエーテルなどの炭素-硫黄結合、又はイミド結合などの共有結合に基づく。特定の好ましい実施形態において、第1の付着部位と第2の付着部位は、少なくとも1つの共有結合を介して、好ましくは、少なくとも1つの非ペプチド結合を介して、さらにより好ましくは、排他的に非ペプチド結合(複数可)を介して連結される。しかしながら、本明細書で使用する用語「連結される」は、少なくとも1つの第1の付着部位と少なくとも1つの第2の付着部位の直接連結だけでなく、代替的に、かつ好ましくは、少なくとも1つの第1の付着部位と少なくとも1つの第2の付着部位の中間体分子(複数可)を介する、かつ本明細書では、典型的には、かつ好ましくは、少なくとも1つの、好ましくは、1つのヘテロ二官能性クロスリンカーを使用することによる間接的な結合を指す。他の好ましい実施形態において、第1の付着部位及び第2の付着部位は、少なくとも1つの共有結合を介して、好ましくは、少なくとも1つのペプチド結合を介して、さらにより好ましくは、排他的にペプチド結合(複数可)を介して連結される。
【0063】
リンカー:本明細書で使用する「リンカー」は、抗原と第2の付着部位を結合させるか、又は既に第2の付着部位を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるかのいずれかである。好ましくは、本明細書で使用する「リンカー」は、典型的には、かつ好ましくは、しかし、必ずしも必要ではないが、1個のアミノ酸残基として、好ましくは、システイン残基として、既に第2の付着部位を含む。好ましいリンカーは、アミノ酸リンカー、すなわち、少なくとも1個のアミノ酸残基を含有するリンカーである。アミノ酸リンカーという用語は、そのようなリンカーが排他的にアミノ酸残基からなることを意味するものではない。しかしながら、排他的にアミノ酸残基からなるリンカーは、本発明の好ましい実施形態である。該リンカーのアミノ酸残基は、当技術分野で公知の天然アミノ酸又は非天然アミノ酸、全てのL又は全てのD又はそれらの混合物であるか、好ましくは、それらで構成されている。本発明によるリンカーのさらなる好ましい実施形態は、スルフヒドリル基又はシステイン残基を含む分子であり、したがって、そのような分子も本発明に包含される。抗原とリンカーの結合は、好ましくは、少なくとも1つの共有結合によるもの、より好ましくは、少なくとも1つのペプチド結合によるものである。
【0064】
ウマ科(equine)哺乳動物:本明細書で使用する「ウマ科(equine)哺乳動物」は、馬、ポニー、ロバ(ass)(ロバ(donkey))、及びゼブラを含む馬科に含まれる哺乳動物である。好ましくは、本明細書で使用する用語「ウマ科(equine)哺乳動物」は、馬、ポニー、ロバ(ass)(ロバ(donkey))、及びゼブラを指す。再びより好ましくは、本明細書で使用する用語「ウマ科(equine)哺乳動物」は、馬を指す。
【0065】
本発明のいくつかの態様が、本明細書に開示され;さらに本明細書でそれぞれ言及される実施形態及び好ましい実施形態は、明示的に言及されなくても、本明細書に開示される本発明の各々及び任意の態様に適用可能である。
【0066】
発明者らは、驚くべきことに、皮膚炎になった馬の皮膚病変からの皮膚生検において、馬IL-31 mRNAが、掻痒を伴う皮膚炎を有する部位からの皮膚病変で発現しているのに対し、健全な馬の皮膚試料には全く存在していないことを今回発見した。そのため、強力な自己抗体価を誘導する本発明の組成物は、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の掻痒状態若しくはアレルギー状態から選択される状態又は障害の予防及び治療に有効であり、特に、掻痒及び掻痒関連皮膚炎の予防及び治療に有効である。本発明の組成物の有効性は、木、草、花粉、カビ、菌類、塵ダニ、埃、鱗屑、飼料(飼料)ダニ、昆虫又は食品中の成分からのアレルゲンである可能性のあるアレルギー誘発因子とは無関係である。
【0067】
そのため、複数のアレルゲンによって引き起こされる掻痒又は掻痒関連皮膚炎になった馬に、CMV-VLPに連結されたeIL-31抗原を含む本発明の組成物をワクチン接種すると、本発明の組成物を用いた治療の前のシーズンに決定された前記スコアと比較して、平均皮膚病変スコアが著しく減少しただけでなく、特に、平均掻痒スコアが非常に強力に減少した。同じ驚くべき結果が、本発明による組み合わせワクチン、すなわち、CMV-VLPに連結されたeIL-31抗原を含む組成物及びCMV-VLPに連結されたeIL-5抗原を含む組成物を用いて、複数のアレルゲンによって引き起こされる掻痒又は掻痒関連皮膚炎になった馬を治療した場合に見出されている。
【0068】
そのため、第1の態様において、本発明は、(a)少なくとも1つの第1の付着部位を有するコア粒子;及び(b)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つの抗原を含む組成物であって、前記少なくとも1つの抗原は、ウマ(equine)インターロイキン31抗原(eIL-31抗原)であり、前記eIL-31抗原は、配列番号1から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号1と少なくとも90%、好ましくは、少なくとも92%、さらに好ましくは、少なくとも95%、及び再びさらに好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質であり;(a)及び(b)が、少なくとも1つの非ペプチド共有結合により前記少なくとも1つの第1の付着部位及び前記少なくとも1つの第2の付着部位を介して連結されている、組成物を提供し;ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の掻痒状態若しくはアレルギー状態から選択される状態又は障害の予防又は治療の方法における使用のために、好ましくは、有効量の前記組成物が前記ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、前記馬に投与される。好ましい実施形態において、前記状態又は障害は、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の掻痒である。さらに好ましい実施形態において、前記掻痒は、アレルギー性皮膚炎と関連する掻痒又はアトピー性皮膚炎と関連する掻痒である。さらに好ましい実施形態において、前記掻痒は、アレルギー性皮膚炎と関連する掻痒である。さらに好ましい実施形態において、前記掻痒は、アトピー性皮膚炎と関連する掻痒である。さらに好ましい実施形態において、前記状態又は障害は、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の虫刺され過敏症(IBH)の予防又は治療ではない。さらに好ましい実施形態において、前記状態又は障害は、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の虫刺され過敏症(IBH)の予防又は治療である。
【0069】
さらなる態様において、本発明は、第1の組成物及び第2の組成物を含む組成物であって、前記第1の組成物は、(a)少なくとも1つの第1の付着部位を有する第1のコア粒子;及び(b)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つの第1の抗原を含み、前記少なくとも1つの第1の抗原は、ウマ(equine)インターロイキン31抗原(eIL-31抗原)であり、前記eIL-31抗原は、配列番号1から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号1と少なくとも90%、好ましくは、少なくとも92%、さらに好ましくは、少なくとも95%、及び再びさらに好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質であり;(a)及び(b)が、少なくとも1つの非ペプチド共有結合により前記少なくとも1つの第1の付着部位及び前記少なくとも1つの第2の付着部位を介して連結され;前記第2の組成物は、(c)少なくとも1つの第1の付着部位を有する第2のコア粒子;及び(d)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つの第2の抗原を含み、前記少なくとも1つの第2の抗原は、ウマ(equine)インターロイキン5抗原(eIL-5抗原)であり、前記eIL-5抗原は、配列番号6から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号6と少なくとも90%、好ましくは、少なくとも92%、さらに好ましくは、少なくとも95%、及び再びさらに好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質であり;(c)及び(d)が、少なくとも1つの非ペプチド共有結合により前記少なくとも1つの第1の付着部位及び前記少なくとも1つの第2の付着部位を介して連結され、必要に応じて、さらにアジュバントを含む、組成物を提供する。さらなる態様において、本発明は、医薬品として使用するための、前記本発明の組成物を提供する。
【0070】
本発明は、そのため、アレルギー誘発因子とは無関係の全ての掻痒状態又は全てのアレルギー状態に使用するための本発明の組成物を提供する。また、該組成物は、そのため、単独で、又は追加の併用又は組み合わせ治療のいずれかでの本発明による方法に使用される。
【0071】
好ましい実施形態において、前記eIL-31抗原は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。さらに好ましい実施形態において、前記eIL-31抗原は、配列番号1及び配列番号2から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。さらに好ましい実施形態において、前記eIL-31抗原は、配列番号1のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。さらに好ましい実施形態において、前記eIL-31抗原は、配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。さらに好ましい実施形態において、前記eIL-31抗原は、配列番号3のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。さらに好ましい実施形態において、前記eIL-31抗原は、配列番号4のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。さらに好ましい実施形態において、前記eIL-31抗原は、配列番号5のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。
【0072】
別の好ましい実施形態において、前記状態又は障害は、ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、馬の虫刺され過敏症(IBH)の予防又は治療である。
【0073】
好ましい実施形態において、前記組成物はさらに、(c)少なくとも1つの第1の付着部位を有する第2のコア粒子;及び(d)少なくとも1つの第2の付着部位を有する少なくとも1つの第2の抗原を含み、前記少なくとも1つの第2の抗原は、ウマ(equine)インターロイキン5抗原(eIL-5抗原)であり、前記eIL-5抗原は、配列番号6と少なくとも90%、好ましくは、少なくとも92%、さらに好ましくは、少なくとも95%、及び再びさらに好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質であり;(c)及び(d)が、少なくとも1つの非ペプチド共有結合により前記少なくとも1つの第1の付着部位及び前記少なくとも1つの第2の付着部位を介して連結されている。
【0074】
別の好ましい実施形態において、前記eIL-5抗原は、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9及び配列番号10から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。さらに好ましい実施形態において、前記eIL-5抗原は、配列番号6及び配列番号7から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。さらに好ましい実施形態において、前記eIL-5抗原は、配列番号8、配列番号9及び配列番号10から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。さらに好ましい実施形態において、前記eIL-5抗原は、配列番号6のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。さらに好ましい実施形態において、前記eIL-5抗原は、配列番号7のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。さらに好ましい実施形態において、前記eIL-5抗原は、配列番号8のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。さらに好ましい実施形態において、前記eIL-5抗原は、配列番号9のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。さらに好ましい実施形態において、前記eIL-5抗原は、配列番号10のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。
【0075】
さらに好ましい実施形態において、本発明による前記少なくとも1つのeIL-31抗原に連結された前記コア粒子又は前記第1のコア粒子それぞれは、本発明の組成物中に存在する場合、前記少なくとも1つのeIL-5抗原に連結された前記第2のコア粒子と同じである。
【0076】
さらに好ましい実施形態において、本発明による前記少なくとも1つのeIL-31抗原に連結された前記コア粒子又は前記第1のコア粒子それぞれは、本発明の組成物中に存在する場合、前記少なくとも1つのeIL-5抗原に連結された前記第2のコア粒子と異なる。
【0077】
以下において、前記「コア粒子」の実施形態が定義され、前記「コア粒子」の実施形態と単に呼ばれる場合、それは、前記コア粒子又は前記第1のコア粒子又は前記第2のコア粒子のいずれかを指すべきである。典型的には、かつ好ましくは、それは、前記コア粒子又は前記第1のコア粒子それぞれを指すべきである。
【0078】
さらに好ましい実施形態において、前記コア粒子は、ウイルス様粒子(VLP)、好ましくは、組換えVLPである。再びさらなる好ましい実施形態において、前記VLPは、植物ウイルス又はバクテリオファージに由来し、好ましくは、前記バクテリオファージはRNAバクテリオファージである。
【0079】
そのため、さらに好ましい実施形態において、前記コア粒子は、ウイルス様粒子(VLP)であり、前記VLPは、RNAバクテリオファージに由来する。
【0080】
さらに好ましいのは、本発明のコア粒子としてのRNAバクテリオファージの組換えVLPである。さらに好ましい実施形態において、前記VLPは、RNAバクテリオファージの組換えコートタンパク質を含むか、本質的にそれからなるか、或いはそれからなり、好ましくは、前記VLPは、RNAバクテリオファージQβ又はRNAバクテリオファージAP205の組換えコートタンパク質を含むか、本質的にそれからなるか、或いはそれからなり、さらに好ましくは、前記VLPは、RNAバクテリオファージQβの組換えコートタンパク質を含むか、本質的にそれからなるか、或いはそれからなる。
【0081】
さらに好ましい実施形態において、前記VLPは、(a)配列番号24;(b)配列番号24と配列番号25の混合物;又は(c)配列番号26から選択されるアミノ酸配列を含むか又は好ましくはそれからなる組換えコートタンパク質を含むか、本質的にそれからなるか、或いはそれからなる。非常にさらに好ましい実施形態において、前記VLPは、RNAバクテリオファージQβのVLPである。さらに好ましい実施形態において、前記VLPは、RNAバクテリオファージQβの組換えコートタンパク質を含むか、本質的にそれからなるか、或いはそれからなる。再びさらなる好ましい実施形態において、前記VLPは、配列番号24を含むか又は好ましくはそれからなる組換えコートタンパク質を含むか、本質的にそれからなるか、或いはそれからなる。
【0082】
別の好ましい実施形態において、前記コア粒子は、ウイルス様粒子(VLP)であり、前記VLPは、RNAバクテリオファージQβのVLPであり、前記VLPは、RNAバクテリオファージQβの組換えコートタンパク質を含むか、本質的にそれからなるか、或いはそれからなり、前記組換えコートタンパク質は配列番号24を含むか又は好ましくはそれからなる。
【0083】
一実施形態において、前記VLPは、RNAバクテリオファージのVLPではなく、好ましくは、前記VLPは、RNAバクテリオファージの組換えVLPではない。一実施形態において、前記ウイルス様粒子は、RNAバクテリオファージQβのウイルス様粒子ではない。
【0084】
さらに好ましい実施形態において、前記コア粒子は、ウイルス様粒子(VLP)であり、前記VLPは、植物ウイルスに由来する。別の好ましい実施形態において、前記VLPは組換えVLPであり、好ましくは、前記組換えVLPは、植物ウイルスに由来する。別の好ましい実施形態において、前記VLPは、キュウリモザイクウイルス(CMV)のVLPである。
【0085】
好ましい実施形態において、前記VLPは、少なくとも1つの改変VLPポリペプチドを含むか、本質的にそれからなる、或いはそれからなる改変VLPであり、前記改変VLPポリペプチドは、(a)VLPポリペプチド及び(b)Tヘルパー細胞エピトープを含むか、又は好ましくは、それからなり、前記VLPポリペプチドは、(i)ウイルスのコートタンパク質のアミノ酸配列、好ましくは、植物ウイルスのコートタンパク質のアミノ酸配列;又は(ii)変異アミノ酸配列を含むか、又は好ましくは、それからなり、変異されるアミノ酸配列は、前記ウイルスのコートタンパク質のアミノ酸配列であり、前記変異アミノ酸配列及び前記ウイルスのコートタンパク質は、少なくとも90%、好ましくは、少なくとも95%、さらに好ましくは、少なくとも98%及び再びより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を示す。
【0086】
好ましい実施形態において、前記VLPは、キュウリモザイクウイルス(CMV)の改変VLPであり、前記CMVの改変VLPは、少なくとも1つの改変CMVポリペプチドを含むか、本質的にそれからなるか、或いはそれからなり、前記改変CMVポリペプチドは、(a)CMVポリペプチド、及び(b)Tヘルパー細胞エピトープを含むか、又は好ましくは、それからなり、前記CMVポリペプチドは、(i)CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列;又は(ii)変異アミノ酸配列を含むか、又は好ましくは、それからなり、変異されるアミノ酸配列は、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であり、前記変異アミノ酸配列及び前記CMVのコートタンパク質は、少なくとも90%、好ましくは、少なくとも95%、さらに好ましくは、少なくとも98%、及び再びより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を示す。
【0087】
好ましい実施形態において、前記CMVポリペプチドは、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなる。別の好ましい実施形態において、前記CMVポリペプチドは、変異アミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、変異されるアミノ酸配列は、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であり、前記変異アミノ酸配列及び前記CMVのコートタンパク質は、少なくとも90%、好ましくは、少なくとも95%、さらに好ましくは、少なくとも98%、及び再びより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を示す。典型的には、かつ好ましくは、前記変異アミノ酸配列及び前記変異されるアミノ酸配列は、最低で1個及び最大で11、10、9、8、7、6、5、4、3、又は2個のアミノ酸残基が異なり、好ましくは、これらの違いは、(i)挿入、(ii)欠失、(iii)アミノ酸交換、及び(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせから選択される。
【0088】
別の好ましい実施形態において、前記CMVポリペプチドは、(i)(a)配列番号15を含むか、若しくは好ましくは、それからなるCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列、又は(b)配列番号15と少なくとも75%、好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも85%、再びさらに好ましくは、少なくとも90%、再びより好ましくは、少なくとも95%、なおさらに好ましくは、少なくとも98%、なお再びさらにより好ましくは、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列;又は(ii)前記変異されるアミノ酸配列が、この項の(i)で定義される前記アミノ酸配列である変異アミノ酸配列であって、前記変異アミノ酸配列及び前記変異されるアミノ酸配列が、少なくとも95%、好ましくは、少なくとも98%、及びより好ましくは、少なくとも99%の配列同一性を示す変異アミノ酸配列、を含むか、又は好ましくはそれらからなる。
【0089】
別の好ましい実施形態において、前記CMVポリペプチドは、(a)配列番号15を含むか、好ましくは、それからなるCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列、又は(b)配列番号15と少なくとも75%、好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも85%、再びさらに好ましくは、少なくとも90%、再びより好ましくは、少なくとも95%、なおさらに好ましくは、少なくとも98%、なお再びさらにより好ましくは、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むか、又は好ましくはそれらからなる。
【0090】
別の好ましい実施形態において、前記CMVポリペプチドは、(i)(a)配列番号27を含むCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列、又は(b)配列番号27と少なくとも75%、好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも85%、再びさらに好ましくは、少なくとも90%、再びより好ましくは、少なくとも95%、なおさらに好ましくは、少なくとも98%、なお再びさらにより好ましくは、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列領域を含むCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列;又は(ii)前記変異されるアミノ酸配列が、この項の(i)で定義される前記アミノ酸配列である変異アミノ酸配列であって、前記変異アミノ酸配列及び前記変異されるアミノ酸配列が、少なくとも95%、好ましくは、少なくとも98%、及びより好ましくは、少なくとも99%の配列同一性を示す変異アミノ酸配列、を含むか、又は好ましくはそれらからなる。
【0091】
さらに好ましい実施形態において、前記CMVポリペプチドは、(a)配列番号27を含むCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列、又は(b)配列番号27と少なくとも75%、好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも85%、再びさらに好ましくは、少なくとも90%、再びより好ましくは、少なくとも95%、なおさらに好ましくは、少なくとも98%、なお再びさらにより好ましくは、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列領域を含むCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列、を含むか、又は好ましくはそれらからなる。
【0092】
別の好ましい実施形態において、前記CMVポリペプチドは、(i)(a)配列番号15を含むか、又は好ましくはそれからなるCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列、若しくは(b)配列番号15と少なくとも75%、好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも85%、再びさらに好ましくは、少なくとも90%、再びより好ましくは、少なくとも95%、なおさらに好ましくは、少なくとも98%、なお再びさらにより好ましくは、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列((a)若しくは(b)で定義される前記アミノ酸配列が配列番号27を含み;又は(a)若しくは(b)で定義される前記アミノ酸配列が、配列番号27と少なくとも75%、好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも85%、再びさらに好ましくは、少なくとも90%、再びより好ましくは、少なくとも95%、なおさらに好ましくは、少なくとも98%、なお再びさらにより好ましくは、少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列領域を含む);又は(ii)前記変異されるアミノ酸配列がこの項の中の(i)で定義される前記アミノ酸配列である変異アミノ酸配列であって、前記変異アミノ酸配列及び前記変異されるアミノ酸配列が、少なくとも98%、好ましくは、少なくとも99%の配列同一性を示す変異アミノ酸配列、を含むか、又は好ましくはそれらからなる。
【0093】
別の好ましい実施形態において、前記CMVポリペプチドは、(a)配列番号15を含むか、又は好ましくはそれからなるCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列、又は(b)配列番号15と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むか、又は好ましくはそれからなり、この項の中の(a)若しくは(b)で定義される前記アミノ酸配列が配列番号27を含むか;又はこの項の中の(a)若しくは(b)で定義される前記アミノ酸配列が、配列番号27と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列領域を含む。
【0094】
別の好ましい実施形態において、前記Tヘルパー細胞エピトープは、前記CMVポリペプチドのN末端領域と置換される。別の好ましい実施形態において、置換される前記N末端領域のアミノ酸の数は、前記Tヘルパー細胞エピトープが構成されるアミノ酸の数と等しいか、又はそれより少ない。
【0095】
さらに非常に好ましい実施形態において、前記Tヘルパー細胞エピトープは、前記CMVポリペプチドのN末端領域と置換され、前記置換されるN末端領域のアミノ酸の数は、前記Tヘルパー細胞エピトープが構成されるアミノ酸の数と等しいか、又はそれより少ない。典型的には、かつ好ましくは、前記CMVポリペプチドの前記置換されるN末端領域は、5~15個の連続アミノ酸、好ましくは、9~14個の連続アミノ酸、より好ましくは、11~13個の連続アミノ酸からなる。
【0096】
さらに非常に好ましい実施形態において、前記CMVポリペプチドの前記N末端領域は、配列番号15のアミノ酸2~12に対応する。
【0097】
別の非常に好ましい実施形態において、前記Tヘルパー細胞エピトープは、ユニバーサルTヘルパー細胞エピトープである。別の好ましい実施形態において、前記Tヘルパー細胞エピトープは、せいぜい20個のアミノ酸からなる。
【0098】
非常に好ましい実施形態において、前記Th細胞エピトープはPADRE配列である。さらに非常に好ましい実施形態において、前記Th細胞エピトープは、配列番号19のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなる。別の非常に好ましい実施形態において、前記Th細胞エピトープはPADRE配列であり、前記Th細胞エピトープは配列番号19のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなる。
【0099】
別の好ましい実施形態において、前記Tヘルパー細胞エピトープは、ヒトワクチンに由来する。非常に好ましい実施形態において、前記Th細胞エピトープは、破傷風毒素に由来する。さらに非常に好ましい実施形態において、前記Th細胞エピトープは、配列番号18のアミノ酸配列を有し、好ましくは、それからなる。別の非常に好ましい実施形態において、前記Th細胞エピトープは、破傷風毒素に由来し、前記Th細胞エピトープは、配列番号18のアミノ酸配列を有し、好ましくは、それからなる。
【0100】
非常に好ましい実施形態において、前記Th細胞エピトープはPADRE配列であり、前記Th細胞エピトープは、配列番号19のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなるか、又は前記Th細胞エピトープは破傷風毒素に由来し、前記Th細胞エピトープは、配列番号18のアミノ酸配列を有し、好ましくは、それからなる。
【0101】
非常に好ましい実施形態において、前記CMVポリペプチドは、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列を含むか、又は好ましくは、それからなり、前記アミノ酸配列は、配列番号15若しくは配列番号15と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又は好ましくはそれからなり、前記アミノ酸配列は配列番号27を含み、前記Tヘルパー細胞エピトープは、前記CMVポリペプチドのN末端領域と置換され、前記CMVポリペプチドの前記置換されたN末端領域は、11~13個の連続アミノ酸、好ましくは、11個の連続アミノ酸からなり、さらに、好ましくは、前記CMVポリペプチドの前記N末端領域は、配列番号15のアミノ酸2~12に対応する。
【0102】
別の非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなる。別の非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号21のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなる。
【0103】
非常に好ましい実施形態において、前記第1の付着部位及び前記第2の付着部位は、少なくとも1つの共有非ペプチド結合を介して連結されている。別の非常に好ましい実施形態において、前記第1の付着部位は、アミノ基、好ましくは、リジンのアミノ基を含むか、又は好ましくは、そのアミノ基である。さらに非常に好ましい実施形態において、前記第2の付着部位は、スルフヒドリル基、好ましくは、システインのスルフヒドリル基を含むか、又は好ましくは、そのスルフヒドリル基である。
【0104】
非常に好ましい実施形態において、少なくとも1つの第1の付着部位は、アミノ基、好ましくは、リジン残基のアミノ基であり、少なくとも1つの第2の付着部位は、スルフヒドリル基、好ましくは、システイン残基のスルフヒドリル基又は本発明の少なくとも1つの抗原に化学的に付着されているスルフヒドリル基である。さらに好ましい実施形態において、前記第2の付着部位の1つのみが、前記改変されたウイルス様粒子への前記抗原の結合の単一かつ均一な種類をもたらす少なくとも1つの非ペプチド共有結合を介して前記第1の付着部位と結合し、前記第1の付着部位と結合する前記1つのみの第2の付着部位がスルフヒドリル基であり、前記抗原と前記改変ウイルス様粒子は、規則的で反復性の抗原アレイを形成するために、前記結合を介して相互作用する。
【0105】
本発明の1つの好ましい実施形態において、該抗原は、典型的には、かつ好ましくは、ヘテロ二官能性クロスリンカーを使用して、化学的架橋により改変VLPに連結される。好ましい実施形態において、該ヘテロ二官能性クロスリンカーは、好ましい第1の付着部位と、好ましくは、アミノ基と、より好ましくは、改変VLPのリジン残基(複数可)のアミノ基と反応することができる官能基、及び好ましい第2の付着部位、すなわち、好ましくは、抗原に固有であるか、又は抗原に人工的に付加され、必要に応じて、還元による反応にも利用可能にさせたシステイン(複数可)残基のスルフヒドリル基と反応することができるさらなる官能基、を含有する。いくつかのヘテロ二官能性クロスリンカーは、当技術分野で知られている。これらには、好ましいクロスリンカーSMPH(Pierce)、スルホ-MBS、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMPB、スルホ-SMCC、スルホ-KMUS SVSB、SIA、及び例えば、Pierce Chemical社から利用可能で、アミノ基に対して反応性のある1つの官能基及びスルフヒドリル基に対して反応性のある1つの官能基を有する他のクロスリンカーが含まれる。上述のクロスリンカーの全ては、アミノ基との反応の後にアミド結合の形成を、そしてスルフヒドリル基との反応の後にチオエーテル結合の形成をもたらす。本発明の実施に適切なクロスリンカーの別のクラスは、カップリング時の抗原と改変VLPの間へのジスルフィド結合の導入によって特徴付けられる。このクラスに属する好ましいクロスリンカーには、例えば、SPDP及びスルホ-LC-SPDP(Pierce)が含まれる。
【0106】
上記の好ましい方法に従ってヘテロ二官能性クロスリンカーを用いることによる改変VLPへの抗原の連結は、配向様式での改変VLPへの抗原のカップリングを可能にする。改変VLPへ抗原を連結する他の方法には、抗原を、カルボジイミドEDC、及びNHSを用いて、改変VLPに架橋する方法が含まれる。該抗原はまた、最初に、例えば、SATA、SATP又はイミノチオランとの反応によってチオール化され得る。次いで、該抗原は、必要であれば、脱保護後に、以下のように改変VLPへカップリングされ得る。過剰なチオール化試薬の分離後、システイン反応性部分を含み、したがって、例えば、上記のようにチオール化抗原が反応することができるシステイン残基に対して反応性のある少なくとも1つ又はいくつかの官能基を提示するヘテロ二官能性クロスリンカーで事前に活性化した改変VLPと該抗原を反応させる。必要に応じて、少量の還元剤を反応混合物に含める。さらなる方法において、グルタルアルデヒド、DSG、BM[PEO]4、BS3(Pierce)又は改変VLPのアミン基又はカルボキシル基に対して反応性のある官能基での他の公知のホモ二官能性クロスリンカーなどのホモ二官能性クロスリンカーを用いて、該抗原を改変VLPに取り付ける。
【0107】
本発明の非常に好ましい実施形態において、該抗原は、抗原のN末端又はC末端のいずれかに付加されたシステイン残基又は抗原内の天然システイン残基を介して改変ウイルス様粒子のリジン残基に連結している。好ましい実施形態において、本発明の組成物はさらにリンカーを含み、前記リンカーが前記第2の付着部位と前記抗原を結合させ、好ましくは、前記リンカーは前記第2の付着部位を含むか、或いはそれからなる。
【0108】
本発明のさらに非常に好ましい実施形態において、前記コア粒子は、ウイルス様粒子(VLP)、好ましくは、組換えVLPであり、前記eIL-31抗原は、配列番号1から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号1と少なくとも90%、好ましくは、少なくとも92%、さらに好ましくは、少なくとも95%、及び再びさらに好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記eIL-31抗原は、配列番号1から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号1と少なくとも95%、及び好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号1及び配列番号2から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号1のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。
【0109】
本発明のさらに非常に好ましい実施形態において、前記コア粒子は、本発明による改変VLP、好ましくは、組換え改変VLPであり、前記eIL-31抗原は、配列番号1から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号1と少なくとも90%、好ましくは、少なくとも92%、さらに好ましくは、少なくとも95%、及び再びさらに好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記eIL-31抗原は、配列番号1から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号1と少なくとも95%、及び好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号1及び配列番号2から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号1のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号3のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号4のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号5のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。
【0110】
本発明のさらに非常に好ましい実施形態において、前記コア粒子はVLP、好ましくは、組換えVLPであり、前記VLPは、キュウリモザイクウイルス(CMV)の改変VLPであり、前記CMVの改変VLPは、少なくとも1つの改変CMVポリペプチドを含むか、本質的にそれからなるか、或いはそれからなり、前記改変CMVポリペプチドは、(a)CMVポリペプチド、及び(b)Tヘルパー細胞エピトープを含むか、又は好ましくは、それからなり、前記CMVポリペプチドは、(i)CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列;又は(ii)変異されるアミノ酸配列がCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列である変異アミノ酸配列を含むか、又は好ましくは、それからなり、前記変異アミノ酸配列及び前記CMVのコートタンパク質は、少なくとも90%、好ましくは、少なくとも95%、さらに好ましくは、少なくとも98%、及び再びより好ましくは、少なくとも99%の配列同一性を示し、前記eIL-31抗原は、配列番号1から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号1と少なくとも90%、好ましくは、少なくとも92%、さらに好ましくは、少なくとも95%、及び再びさらに好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記eIL-31抗原は、配列番号1から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号1と少なくとも95%、及び好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号1及び配列番号2から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号1のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号3のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号4のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号5のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。
【0111】
本発明のさらに非常に好ましい実施形態において、前記コア粒子はVLP、好ましくは、組換えVLPであり、前記VLPは、キュウリモザイクウイルス(CMV)の改変VLPであり、前記CMVの改変VLPは、少なくとも1つの改変CMVポリペプチドを含むか、本質的にそれからなるか、或いはそれからなり、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号1から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号1と少なくとも90%、好ましくは、少なくとも92%、さらに好ましくは、少なくとも95%、及び再びさらに好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記eIL-31抗原は、配列番号1から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号1と少なくとも95%、及び好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号1及び配列番号2から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号1のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号3のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号4のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号5のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。
【0112】
本発明のさらに非常に好ましい実施形態において、前記コア粒子はVLP、好ましくは、組換えVLPであり、前記VLPは、キュウリモザイクウイルス(CMV)の改変VLPであり、前記CMVの改変VLPは、少なくとも1つの改変CMVポリペプチドを含むか、本質的にそれからなるか、或いはそれからなり、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号21のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号1から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号1と少なくとも90%、好ましくは、少なくとも92%、さらに好ましくは、少なくとも95%、及び再びさらに好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号21のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号1及び配列番号2から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号21のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号1のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号21のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号3のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号4のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-31抗原は、配列番号5のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。
【0113】
本発明のさらに非常に好ましい実施形態において、前記第2のコア粒子は、ウイルス様粒子(VLP)、好ましくは、組換えVLPであり、前記eIL-5抗原は、配列番号6から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号6と少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは、少なくとも95%、及び再びさらに好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、それからなる。本発明の再び好ましい実施形態において、前記eIL-5抗原は、配列番号6から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号6と少なくとも95%及び好ましくは少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5抗原は、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9及び配列番号10から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5抗原は、配列番号7、配列番号8、配列番号9及び配列番号10から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5抗原は、配列番号6のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5抗原は、配列番号7のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5抗原は、配列番号8のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5抗原は、配列番号9のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5抗原は、配列番号10のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。
【0114】
本発明のさらに非常に好ましい実施形態において、前記第2のコア粒子は、本発明による改変VLP、好ましくは、組換え改変VLPであり、前記eIL-5抗原は、配列番号6から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号6と少なくとも90%、好ましくは、少なくとも92%、さらに好ましくは、少なくとも95%、及び再びさらに好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記eIL-5抗原は、配列番号6から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号6と少なくとも95%、及び好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5抗原は、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9及び配列番号10から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5抗原は、配列番号7、配列番号8、配列番号9及び配列番号10から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5抗原は、配列番号6のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5抗原は、配列番号7のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5抗原は、配列番号8のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5抗原は、配列番号9のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5抗原は、配列番号10のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。
【0115】
本発明のさらに非常に好ましい実施形態において、前記第2のコア粒子はVLP、好ましくは、組換えVLPであり、前記VLPは、キュウリモザイクウイルス(CMV)の改変VLPであり、前記CMVの改変VLPは、少なくとも1つの改変CMVポリペプチドを含むか、本質的にそれからなるか、或いはそれからなり、前記改変CMVポリペプチドは、(a)CMVポリペプチド、及び(b)Tヘルパー細胞エピトープを含むか、又は好ましくは、それからなり、前記CMVポリペプチドは、(i)CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列;又は(ii)変異されるアミノ酸配列がCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列である変異アミノ酸配列、を含むか、好ましくは、それからなり、前記変異アミノ酸配列及び前記CMVのコートタンパク質は、少なくとも90%、好ましくは、少なくとも95%、さらに好ましくは、少なくとも98%、再びさらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性を示し、前記eIL-5抗原は、配列番号6から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号6と少なくとも90%、好ましくは、少なくとも92%、さらに好ましくは、少なくとも95%、及び再びさらに好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記eIL-5抗原は、配列番号6から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号6と少なくとも95%、及び好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5抗原は、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9及び配列番号10から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5は、配列番号7、配列番号8、配列番号9及び配列番号10から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5抗原は、配列番号6のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5抗原は、配列番号7のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5抗原は、配列番号8のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5抗原は、配列番号9のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5抗原は、配列番号10のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。
【0116】
本発明のさらに非常に好ましい実施形態において、前記第2のコア粒子はVLP、好ましくは、組換えVLPであり、前記VLPは、キュウリモザイクウイルス(CMV)の改変VLPであり、前記CMVの改変VLPは、少なくとも1つの改変CMVポリペプチドを含むか、本質的にそれからなるか、或いはそれからなり、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5抗原は、配列番号6から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号6と少なくとも90%、好ましくは、少なくとも92%、さらに好ましくは、少なくとも95%、及び再びさらに好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記eIL-5抗原は、配列番号6から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくは配列番号6と少なくとも95%、及び好ましくは、少なくとも98%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5抗原は、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9及び配列番号10から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5抗原は、配列番号7、配列番号8、配列番号9及び配列番号10から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5抗原は、配列番号6のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5抗原は、配列番号7のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5抗原は、配列番号8のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5抗原は、配列番号9のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。本発明の再び非常に好ましい実施形態において、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号20のアミノ酸配列を含み、好ましくは、それからなり、前記eIL-5抗原は、配列番号10のアミノ酸配列を有するタンパク質を含むか、又は好ましくは、そのタンパク質である。
【0117】
好ましい実施形態において、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症、掻痒、アレルギー性皮膚炎、夏湿疹(IBH)、細菌性毛嚢炎、皮膚糸状菌症、再発性蕁麻疹、細胞性肺気腫、炎症性気道疾患、再発性気道閉塞、気道過敏反応、慢性閉塞性肺疾患、及び自己免疫から生じる炎症プロセスから選択される。
【0118】
さらに好ましい実施形態において、前記掻痒状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症、掻痒、アレルギー性皮膚炎、夏湿疹(IBH)、細菌性毛嚢炎、皮膚糸状菌症、及び再発性蕁麻疹から選択され、前記アレルギー状態は、アレルギー性皮膚炎、夏湿疹(IBH)、再発性蕁麻疹、掻痒、細胞性肺気腫、炎症性気道疾患、再発性気道閉塞、気道過敏反応、慢性閉塞性肺疾患、及び自己免疫から生じる炎症プロセスから選択される。
【0119】
再びさらなる好ましい実施形態において、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症、掻痒、アレルギー性皮膚炎、細菌性毛嚢炎、皮膚糸状菌症、再発性蕁麻疹、細胞性肺気腫、炎症性気道疾患、再発性気道閉塞、気道過敏反応、慢性閉塞性肺疾患、及び自己免疫から生じる炎症プロセスから選択される。
【0120】
再びさらなる好ましい実施形態において、前記掻痒状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症、掻痒、アレルギー性皮膚炎、細菌性毛嚢炎、皮膚糸状菌症、及び再発性蕁麻疹から選択され、前記アレルギー状態は、アレルギー性皮膚炎、再発性蕁麻疹、掻痒、細胞性肺気腫、炎症性気道疾患、再発性気道閉塞、気道過敏反応、慢性閉塞性肺疾患、及び自己免疫から生じる炎症プロセスから選択される。
【0121】
再びさらなる好ましい実施形態において、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症、掻痒、アレルギー性皮膚炎、夏湿疹(IBH)、細菌性毛嚢炎、皮膚糸状菌症、及び再発性蕁麻疹から選択される。
【0122】
再びさらなる好ましい実施形態において、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症、掻痒、アレルギー性皮膚炎、夏湿疹(IBH)及び再発性蕁麻疹から選択される。
【0123】
好ましい実施形態において、前記掻痒状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症、掻痒、アレルギー性皮膚炎、夏湿疹(IBH)、細菌性毛嚢炎、皮膚糸状菌症、及び再発性蕁麻疹から選択され、前記アレルギー状態は、アレルギー性皮膚炎、夏湿疹(IBH)、再発性蕁麻疹及び掻痒から選択される。
【0124】
好ましい実施形態において、前記掻痒状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症、掻痒、アレルギー性皮膚炎、夏湿疹(IBH)及び再発性蕁麻疹から選択され、前記アレルギー状態は、アレルギー性皮膚炎、夏湿疹(IBH)、再発性蕁麻疹及び掻痒から選択される。
【0125】
さらに好ましい実施形態において、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症、掻痒、アレルギー性皮膚炎、細菌性毛嚢炎、皮膚糸状菌症、及び再発性蕁麻疹から選択される。
【0126】
さらに好ましい実施形態において、前記掻痒状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症、掻痒、アレルギー性皮膚炎、細菌性毛嚢炎、皮膚糸状菌症、及び再発性蕁麻疹から選択され、前記アレルギー状態は、アレルギー性皮膚炎、再発性蕁麻疹及び掻痒から選択される。
【0127】
さらに好ましい実施形態において、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、掻痒、アレルギー性皮膚炎、細菌性毛嚢炎、皮膚糸状菌症、及び再発性蕁麻疹から選択される。
【0128】
さらに好ましい実施形態において、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、掻痒、アレルギー性皮膚炎及び再発性蕁麻疹から選択される。
【0129】
さらに好ましい実施形態において、掻痒状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、掻痒、アレルギー性皮膚炎、細菌性毛嚢炎、皮膚糸状菌症、及び再発性蕁麻疹から選択され、前記アレルギー状態は、アレルギー性皮膚炎、再発性蕁麻疹及び掻痒から選択される。
【0130】
さらに好ましい実施形態において、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、アトピー性皮膚炎、掻痒、アレルギー性皮膚炎、細菌性毛嚢炎、皮膚糸状菌症、及び再発性蕁麻疹から選択される。
【0131】
さらに好ましい実施形態において、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、アトピー性皮膚炎、掻痒、アレルギー性皮膚炎及び再発性蕁麻疹から選択される。
【0132】
さらに好ましい実施形態において、掻痒状態は、アトピー性皮膚炎、掻痒、アレルギー性皮膚炎、細菌性毛嚢炎、皮膚糸状菌症、及び再発性蕁麻疹から選択され、前記アレルギー状態は、アレルギー性皮膚炎、再発性蕁麻疹及び掻痒から選択される。
【0133】
さらに好ましい実施形態において、掻痒状態は、アトピー性皮膚炎、掻痒、アレルギー性皮膚炎及び再発性蕁麻疹から選択され、前記アレルギー状態は、アレルギー性皮膚炎、再発性蕁麻疹及び掻痒から選択される。
【0134】
さらに好ましい実施形態において、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、アトピー性皮膚炎である。さらに好ましい実施形態において、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、掻痒である。さらに好ましい実施形態において、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、アレルギー性皮膚炎である。さらに好ましい実施形態において、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、再発性蕁麻疹である。
【0135】
再びさらなる好ましい実施形態において、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症、掻痒、アレルギー性皮膚炎、夏湿疹(IBH)、細菌性毛嚢炎、皮膚糸状菌症、再発性蕁麻疹、細胞性肺気腫、炎症性気道疾患、再発性気道閉塞、気道過敏反応、慢性閉塞性肺疾患、及び自己免疫から生じる炎症プロセスから選択され、好ましくは、前記掻痒状態又は前記アレルギー状態は、アトピー性皮膚炎、湿疹、掻痒、アレルギー性皮膚炎、細菌性毛嚢炎、皮膚糸状菌症、及び再発性蕁麻疹から選択される。
【0136】
再びさらなる好ましい実施形態において、前記組成物の前記投与は、前記投与前の前記掻痒状態若しくは前記アレルギー状態と関連する少なくとも1つのパラメータ又は症状と比較して、前記掻痒状態若しくは前記アレルギー状態と関連する少なくとも1つのパラメータ又は症状を低下させ、好ましくは、前記掻痒状態若しくは前記アレルギー状態と関連する前記少なくとも1つのパラメータ又は症状は、皮膚病変のレベル又は重症度グレード又は掻痒のレベルであり、さらに好ましくは、皮膚病変の前記レベル又は重症度グレードの前記低下は、症状病変スコアリング試験によって決定され、前記掻痒のレベルの前記低下は掻痒スコアリング試験によって決定され、さらに好ましくは、前記掻痒のレベルの前記低下は、前記ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、前記馬の身体の少なくとも1つの場所の引っ掻きの低下によって決定され、典型的には、かつ好ましくは、前記症状病変スコアリング試験及び前記掻痒スコアリング試験は、実施例7及び実施例8に記載したように行われる。
【0137】
さらに好ましい実施形態において、前記組成物の前記投与は、前記投与前の前記掻痒状態若しくは前記アレルギー状態と関連する少なくとも1つのパラメータ又は症状と比較して、前記掻痒状態若しくは前記アレルギー状態と関連する少なくとも1つのパラメータ又は症状を低下させ、前記掻痒状態若しくは前記アレルギー状態と関連する前記少なくとも1つのパラメータ又は症状は、皮膚病変のレベル又は重症度グレード及び掻痒のレベルであり、好ましくは、皮膚病変の前記レベル又は重症度グレードの前記低下は、症状病変スコアリング試験によって決定され、前記掻痒のレベルの前記低下は掻痒スコアリング試験によって決定され、さらに好ましくは、前記掻痒のレベルの前記低下は、前記ウマ科(equine)哺乳動物、好ましくは、前記馬の身体の少なくとも1つの場所の引っ掻きの低下によって決定され、典型的には、かつ好ましくは、前記症状病変スコアリング試験及び前記掻痒スコアリング試験は、実施例7及び実施例8に記載したように行われる。
【0138】
実施例
本発明で使用される好ましいコア粒子は、ウイルス様粒子(VLP)、特に、組換えVLPである。1つの好ましい態様において、VLPは、RNAバクテリオファージQβのVLPであり、RNAバクテリオファージQβのVLPは、好ましくは、配列番号24を含む、好ましくは、それからなる組換えコートタンパク質を含み、好ましくは、それからなる。RNAバクテリオファージ、特に、RNAバクテリオファージQβのそのような好ましいウイルス様粒子はWO 02/056905に開示されており、この開示は、参照によりその全体が本明細書に組込まれる。特に、WO 02/056905の実施例18は、RNAバクテリオファージQβのVLP粒子の調製の詳細な説明を含有する。本発明の特定の例については、配列番号24の組換えコートタンパク質からなるRNAバクテリオファージQβのVLPが使用されてきた。別の好ましい実施形態において、該VLPは、キュウリモザイクウイルス(CMV)のVLP、特に、CMVの改変VLPであり、Tヘルパー細胞エピトープは、CMVポリペプチドのN末端領域と置換される。非常に好ましい実施形態において、該VLPは、本明細書に記載され、かつWO 2016/062720に開示されている配列番号20の改変CMVポリペプチドを含むCMVtt830であるか、又は配列番号21の改変CMVポリペプチドを含むCMV-Npadr、好ましくは、配列番号20の改変CMVポリペプチドを含むCMVtt830である。特に、WO 2016/062720の実施例1~6は、配列番号20及び配列番号21の改変CMVポリペプチドのVLP粒子の調製についての詳細な説明を含有する。
【0139】
実施例1
皮膚炎になった馬の皮膚病変及び健康な皮膚の皮膚パンチ生検の試料採取、RNA単離並びにeIL-31特異的PCR
A.皮膚炎になった馬の皮膚病変及び健康な皮膚の皮膚パンチ生検の試料採取
病変及び健康な皮膚からの2~6mmのパンチ生検を、掻痒状態及びアレルギー性皮膚炎状態になった馬から採取した。
【0140】
B.皮膚生検のRNA単離及びcDNA転写
皮膚生検を、4℃でRNAlater(登録商標)溶液(Qiagen)で保存し、全RNAを、DNアーゼI処理及び不活性化を含めて、RNAqueous(登録商標)-マイクロキット(Invitrogen)を用いて単離した。RNAを、逆転写システム(Promega)を用いてcDNAに転写し、eIL-31 mRNAレベル及びハウスキーピングβアクチン遺伝子をPCRによって増幅し、qPCRにより定量化した。
【0141】
C.馬IL-31&βアクチンのPCR及びqPCR
PCR:eIL-31用の遺伝子特異的プライマー(フォワードプライマー:AACAAAGAGAAGGGAGTGC-配列番号11;リバースプライマー:GCTGAGCTGTTGATGTTGC-配列番号12)及びeβアクチン(フォワードプライマー:CCAGCACGATGAAGATCAAG-配列番号13;リバースプライマー:GTGGACAATGAGGCCAGAAT-配列番号14)を用いた皮膚生検におけるeIL-31 eβアクチンの増幅。PCRを、サイクル30秒、98℃、35×[10秒 98℃、20秒 60℃、30秒 72℃]、2分 72℃で、Q5ホットスタートポリメラーゼ(NEB)を用いて行った。
【0142】
qPCR:eIL-31用の遺伝子特異的プライマー(フォワードプライマー:AACAAAGAGAAGGGAGTGC-配列番号11;リバースプライマー:GCTGAGCTGTTGATGTTGC-配列番号12)及びeβアクチン(フォワードプライマー:CCAGCACGATGAAGATCAAG-配列番号13;リバースプライマー:GTGGACAATGAGGCCAGAAT-配列番号14)を用いた皮膚生検におけるeIL-31 eβアクチンの増幅。PCRを、ファストスタートユニバーサルSYBRグリーンマスター(FastStart Universal SYBR Green Master)(Roche)を用いて行った。
【0143】
馬IL-31 mRNAは、馬の掻痒を伴うアレルギー性皮膚炎を有する部位からの皮膚病変中で発現する(
図1A、列a、レーン1&2)が、健康な馬の皮膚試料には存在しなかった(
図1A、列a、レーン3&4)ことが見出された。対照のmRNA βアクチンを、全試料中で増幅した(
図1A、列b、レーン1~4)。典型的には、(アレルギー性)皮膚炎罹患馬の皮膚病変において、基本的に全ての皮膚層中に高含有率の好酸球が存在する。後者は、好酸球が皮膚病変に関与していないヒト又は犬などの他の家畜哺乳動物における皮膚病変とは対照的である。そのため、馬の掻痒を伴うアレルギー性皮膚炎を有する部位からの皮膚病変中の馬IL-31 mRNAの顕著な発現は、掻痒を伴うアレルギー性皮膚炎における馬IL-31の関与を強く示唆する。
【0144】
皮膚生検からのハウスキーピング遺伝子βアクチンに関連する馬IL-31 mRNAの発現は、痒みの皮膚病変から抽出した試料のみが馬IL-31 mRNAを発現するが、eIL-31は、同一の馬の適合する健康な皮膚試料において検出されず、痒みに苦しんでいない馬の健康な皮膚にも存在しなかったことを示した(
図1B)。
【0145】
実施例2
アレルギーのある馬から単離したPBMCによるT細胞のインビトロ刺激
A.インビトロ刺激アッセイ
インビトロ刺激アッセイによる健康な馬に対するアレルギー性皮膚炎罹患馬の血液中のTh細胞サブセット中の馬IL-31レベルの定量化。IBH罹患馬又は健康な馬から血液を採取し、PBMCをフィコールにより単離した。
【0146】
抗原取り込みを、アレルゲン抽出物及び/又は組換えアレルゲンそれぞれ、並びに陽性対照としてコンカナバリンA(Con A)を用いて行った。陰性対照は培地単独であった。PBMCを、刺激の存在下で24時間及び48時間培養した。
【0147】
或いは、馬の単球を、モノクローナル抗馬CD14抗体(クローン105)及び二次ヤギ抗マウスコーティングマイクロビーズを用いて、製造業者による標準的なプロトコルに従って磁気分離(MACS technology、Miltenyi Biotec GmbH、Bergisch-Gladbach、ドイツ)によって単離する。次いで、(Moyoら、2013)に記載のように、細胞を、LSカラム(Miltenyi Biotec)上で分離し、組換え馬IL-4及びGM-CSFの存在下でCD14+単球を3日間培養することによって、MoDCへの分化を誘導する。成熟のために、Moyoら(2013)にしたがって、樹状細胞を、1μg/mlのLPS(Sigma-Aldrich St.Louis MO、USA)、1μg/mlのプロスタグランジンE2(Enzo Life Sciences、Exeter、英国)、20ng/mlの馬腫瘍壊死因子α、10ng/mlの馬IL-1β、20ng/mlの馬IL-6及び100ng/mlの馬IFN-γ(全てR&D Systems、Abingdon、英国)を含む成熟カクテルに一晩暴露する。抗原取り込みを、アレルゲン抽出物及び/又は組換えアレルゲンそれぞれ、及び陽性対照として破傷風トキソイドペプチドを用いて行う。T細胞を、抗原負荷APCと24時間共培養する。
【0148】
B.PBMC細胞のRNA単離及びcDNA転写
全RNAを、DNアーゼI処理及び不活性化を含めて、NucleoSpin(登録商標)RNA XSキット(Macherrey-Nagel)を用いてPBMC細胞から単離した。RNAを、逆転写システム(Promega)を用いてcDNAに転写し、eIL-31 mRNAレベル及びハウスキーピングβアクチン遺伝子コピー数をqPCRにより定量化した。
【0149】
C.馬IL-31 RNAの定量化
Th2細胞によって生成された馬IL-31のレベルを、qPCRによって細胞抽出物からのmRNAレベルで定量化した。
【0150】
qPCR:eIL-31用の遺伝子特異的プライマー(フォワードプライマー:AACAAAGAGAAGGGAGTGC-配列番号11;リバースプライマー:GCTGAGCTGTTGATGTTGC-配列番号12)及びeβアクチン(フォワードプライマー:CCAGCACGATGAAGATCAAG-配列番号13;リバースプライマー:GTGGACAATGAGGCCAGAAT-配列番号14)を用いた皮膚生検におけるeIL-31 eβアクチンの増幅。PCRを、ファストスタートユニバーサルSYBRグリーンマスター(Roche)を用いて行った。
【0151】
IBH罹患馬及び健康な非IBH馬からのサシバエ属アレルゲン刺激PBMCにおける、ハウスキーピング遺伝子eβアクチンに対するeIL-31 mRNAの発現(
図1C)。培地及びアレルゲン刺激は健康な馬においては同等であるが、IL-31発現は、アレルゲン刺激時にIBH罹患馬において培地刺激を上回って増加する。
【0152】
フローサイトメトリーによるIL-31の細胞内サイトカイン染色
Th2細胞内の細胞内馬IL-31レベルを、フローサイトメトリーによってタンパク質レベルで定量化する。
【0153】
実施例3
馬IL-31(eIL-31)のクローニング、発現及び精製
A.eIL-31-C-Hisのクローニング及び大腸菌での封入体としての発現
成熟eIL-31をコードするDNA配列(配列番号1)を、遺伝子合成により作製した。
【0154】
加えて、リンカー(GGC)をC末端に付加した。このインサートには、5’NdeI及び3’XhoIが隣接し、これを、6つのHisのタグ(精製を容易にするため)及び終止コドンをインフレームで含有するpET 42b(+)に組込んだ。該構築物をpET42b-eIL-31(配列番号22)と命名した。クローニング手順の信頼性を、DNA配列決定により確認した。構築物pET42b-eIL-31(配列番号22)を大腸菌株BL21-DE3に形質転換した。大腸菌内で発現させた組換えタンパク質を、eIL-31-C-His(配列番号2)と命名した。
【0155】
BL21-DE3細胞において、クローンpET42b-eIL31-C-HisからのeIL-31-C-Hisの大規模発現を行った。この目的のために、pET42b-eIL31-C-Hisを保有するクローンBL21-DE3細胞を、50mg/Lのカナマイシンを含有する180mlのLB中で一晩増殖させた。この培養物を、50mg/Lのカナマイシンを含有する10LのLBに接種した。培養物を、0.7のOD600nmの光学密度まで成長させ、イソプロピルβ-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)の1.0Mストックを10ml添加することによって発現を4時間誘導した。組換えeIL-31-C-Hisを不溶性形態で発現させ、誘導細胞の封入体画分に置いた。eIL-31-C-Hisの発現を流動的に確認した。培養物を誘導後4時間の時点で採取し、4℃、4200×gで10分間遠心分離した。ペレットを、ultraturex(800rpm)を用いて、再懸濁緩衝液で再懸濁した(4℃で100mM トリス/HCl pH8.0、1mMのEDTA)(3ml/gの細胞)。再懸濁細胞をファルコンチューブに収集し、液体窒素中で瞬間凍結し、一晩、-20℃で保存した。再懸濁細胞を、室温で解凍し、細胞クラッカー又はダウンスホモジナイザー及び超音波処理器によって細胞を開けた(ゲル分析のための試料50μl:試料A=細胞溶解物、50μl)。冷トリトン緩衝液(60mMのEDTA、1.5M NaCl、NaOHでpH7.0に調整し、次いで、6%(v/v)のトリトン-X-100を添加する)の0.5容量を添加し、4℃で30分間攪拌した。その後、溶解物を48000×gで、4℃で30分間遠心分離した(ゲル分析のための試料50μl:試料B=可溶性画分、50ml)。封入体を、ultraturraxを用いて洗浄緩衝液(4℃の100mMのトリス/HCl pH8.0、20mMのEDTA)に再懸濁し、48000×g、4℃で、10分間遠心分離した。この洗浄工程を4回繰り返し、トリトン-x 100を除去し、最終的に封入体を-20℃で保存した。封入体を、室温で解凍し、ultraturexを用いて、可溶化緩衝液(室温の6MのGdmCl、20mMのイミダゾール、100mMのTris-HCl pH8)に再懸濁することにより可溶化し(20ml/gの封入体)、室温で1~2時間攪拌した。可溶化封入体を、平均100000×gで、15℃で30分間、超遠心分離した(ゲル分析のための試料50μl:試料C=可溶化したIB 50μl)。
【0156】
B.eIL-31-C-Hisの精製及びリフォールディング
該タンパク質を、結合緩衝液Aとして可溶化緩衝液を用いて、そして溶出には緩衝液B(6MのGdmCl、100mMのNaH2PO4、10mMのTrisHCl、pH4.5)を用いて、Ni-NTA樹脂(Ni-NTAセファロース6 Fast Flow、Amersham、カタログ番号17-5318-01又はNi-NTAセファローススーパーフロー(SUperflow)、Quiagen、カタログ番号1018142)カラムによってHisタグにより精製した(ゲル分析のための試料50μl:試料D=フロースルーNiNTA;50μl、試料E=ピークのNiNTA 50μl)。精製を、SDS-PAGEによって分析した。eIL-31-C-Hisを含有する溶出工程からの画分をプールし、8kDaのカットオフ膜を用いて、室温で2時間、6MのGdmCl、100mMのNaH2PO4、10mMのTris、pH8.0に対して透析した。
【0157】
不溶性eIL-31-C-Hisを、洗剤で洗浄した封入体から、6Mの塩酸グアニジンで抽出した。異なる洗浄工程:細胞溶解物(
図2A、レーン1)、可溶性画分(
図2A、レーン2)、可溶化封入体(
図2A、レーン3)をSDS-PAGE(
図2A)によって分析した。可溶化タンパク質を、金属キレート親和性クロマトグラフィーにより精製し、SDS-PAGEによって分析した(
図2A、レーン4、プールした画分の溶出液)。組換えeIL-31-C-Hisは、この手順によって高度に濃縮されることが見出された。天然タンパク質を、非還元条件下で行うSDS-PAGEによって評価し(
図2B、レーン1)、主に単量体タンパク質が見出された。変性タンパク質を、下記のリフォールディング手順に供し、必要に応じて、サイズ排除クロマトグラフィーによってさらに精製した。
【0158】
eIL-31-C-Hisをリフォールディングするために、該タンパク質を、順次以下の緩衝液:緩衝液1(2Mの尿素、50mMのNaH2PO4、5mMの還元グルタチオン、0.5mMの酸化グルタチオン、0.5Mのアルギニン、10%グリセロール)、緩衝液2(50mMのNaH2PO4、5mMの還元グルタチオン、0.5mMの酸化グルタチオン、0.5Mのアルギニン、10%グリセロール)、緩衝液3a(50mMのNaH2PO4、0.5Mのアルギニン、10%のグリセロール)、緩衝液3b(50mMのNaH2PO4、10%のグリセロール)、緩衝液4(PBS)により透析した。必要に応じて、リフォールディングしたタンパク質を、遠心フィルター(Amicon、Ultrafree-15 Millipore、10kDaのカットオフ)によって濃縮し、PBS緩衝液を用いて、HiLoad 26/600スーパーデックス75プレップグレード(Superdex 75 prep grade)(GE Healthcare、カタログ番号28-9893-34)上で精製した。溶出画分をプールし、非還元SDS-PAGEによって分析した(SDSあり、DTTなし、試料の加熱なし)。タンパク質濃度を、UV-VIS又はブラッドフォードアッセイによって測定した。
【0159】
精製した組換えeIL-31-C-Hisのリフォールディング後の二量体を形成する能力を、非還元条件下で行うSDS-PAGEによって評価した(
図2B、レーン2)。約33kDaの分子量によって判断されるように、eIL-31-C-Hisは、二量体構造で部分的に存在することが実証された。
【0160】
C.リフォールディングした組換え馬eIL-31-C-Hisの生物学的活性
eIL-31-C-Hisを、馬の首に皮下注射した。痒みを、注射部位(首)での5秒以上の痒みと定義した。1時間あたりの引っ掻き/痒みの数を、注射後1時間から開始して、全部で5時間数えた。eIL-31-C-Hisの注射後の痒みを、eIL-5-C-His対照の注射と比較した。対照よりも増加した痒みの数を、eIL-31-C-Hisについて記録した(
図2C)。
【0161】
実施例4
ウマ(equine)インターロイキン5(eIL-5)のクローニング、発現及び精製
A.eIL-5-C-Hisのクローニング及び大腸菌における封入体としての発現
成熟eIL-5をコードするDNA配列(成熟インターロイキン5、エクゥウス・カバッルス(equus caballus);UniProt O02699)を、遺伝子合成により作製した。配列番号6。
【0162】
加えて、リンカー(GGC)をC末端に付加した。このインサートには、5’NdeI及び3’XhoIが隣接し、これを、6つのHisのタグ(精製を容易にするため)及び終止コドンをインフレームで含有するpET 42b(+)に組込んだ。該構築物をpET42b-eIL-5(配列番号23)と命名した。クローニング手順の信頼性を、DNA配列決定により確認した。構築物pET42b-eIL-5(配列番号23)を大腸菌株BL21-DE3に形質転換した。大腸菌内で発現させた組換えタンパク質を、eIL-5-C-His(配列番号7)と命名した。同様に、配列番号8、配列番号9及び配列番号10を調製し、全ては、システイン残基を含むリンカー及び(配列番号10を除いて)Hisタグを含み、配列番号8、配列番号9及び配列番号10は、C末端にリンカー(GGC)及び(配列番号10を除いて)Hisタグを含んでいた。配列番号7、配列番号8及び配列番号9、特に、配列番号7及び配列番号8は、互換的に「eIL-5-C-His」と本明細書で命名する。さらに、それがこの実施例の節及び説明図内でeIL-5-C-Hisと呼ばれる場合、これらのeIL-5-C-His組換えタンパク質のうちの1つを使用し、様々な実施例において、2以上又は全てを繰り返し実験で使用した。非常に好ましく使用されるeIL-5-C-Hisは、配列番号7及び配列番号8である。BL21-DE3細胞中のクローンpET42b-eIL5-C-HisからのeIL-5-C-Hisの大規模な発現を行った。この目的のために、pET42b-eIL-5-C-Hisを保有するクローンBL21-DE3細胞を、50mg/Lのカナマイシンを含有する180mlのLB中で一晩成長させた。この培養液を50mg/Lのカナマイシンを含有する10LのLBに接種する。培養物を、0.7のOD600nmの光学密度まで成長させ、イソプロピルβ-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)の1.0Mストックを10ml添加することによって発現を4時間誘導した。組換えeIL-5-C-Hisを不溶性形態で発現させ、誘導細胞の封入体画分に置いた。eIL-5-C-Hisの発現を流動的に確認した。培養物を誘導後4時間の時点で採取し、4℃、4200×gで10分間遠心分離した。ペレットを、ultraturex(800rpm)を用いて、再懸濁緩衝液(4℃の100mM トリス/HCl pH8.0、1mMのEDTA)で再懸濁した(3ml/gの細胞)。再懸濁細胞をファルコンチューブに収集し、液体窒素中で瞬間凍結し、一晩、-20℃で保存した。再懸濁細胞を、室温で解凍し、細胞クラッカー又はダウンスホモジナイザー及び超音波処理器によって細胞を開けた(ゲル分析のための試料50μl:試料A=細胞溶解物、50μl)。冷トリトン緩衝液(60mMのEDTA、1.5MのNaCl、NaOHでpH7.0に調整し、次いで、6%(v/v)のトリトン-X-100を添加する)の0.5容量を添加し、4℃で30分間攪拌した。その後、溶解物を48000×gで、4℃で30分間遠心分離した(ゲル分析のための試料50μl:試料B=可溶性画分50ml)。封入体を、ultraturraxを用いて洗浄緩衝液(4℃の100mMのトリス/HCl pH8.0、20mMのEDTA)に再懸濁し、48000×g、4℃で、10分間遠心分離した。この洗浄工程を4回繰り返し、トリトン-x 100を除去し、最終的に封入体を-20℃で保存した。封入体を、室温で解凍し、ultraturexを用いて、可溶化緩衝液(室温で6MのGdmCl、20mMのイミダゾール、100mMのTris-HCl pH8)に再懸濁することにより可溶化(20ml/gの封入体)し、室温で1~2時間攪拌した。可溶化封入体を、平均100000×gで、15℃で30分間、超遠心分離した(ゲル分析のための試料50μl:試料C=可溶化したIB 50μl)。
【0163】
B.eIL-5-C-Hisの精製及びリフォールディング
該タンパク質を、結合緩衝液Aとして可溶化緩衝液を用いて、そして溶出には緩衝液B(6MのGdmCl、100mMのNaH2PO4、10mMのTrisHCl、pH4.5)を用いて、Ni-NTA樹脂(Ni-NTAセファロース6 Fast Flow、Amersham、カタログ番号17-5318-01又はNi-NTAセファローススーパーフロー(SUperflow)、Quiagen、カタログ番号1018142)カラムによってHisタグにより精製した(ゲル分析のための試料50μl:試料D=フロースルーNiNTA;50μl、試料E=ピークのNiNTA 50μl)。精製を、SDS-PAGEによって分析した。eIL-5-C-Hisを含有する溶出工程からの画分をプールし、10kDaのカットオフ膜を用いて、室温で2時間、6MのGdmCl、100mMのNaH2PO4、10mMのTris、pH8.0に対して透析した。
【0164】
不溶性eIL-5-C-Hisを、洗剤で洗浄した封入体から、6Mの塩酸グアニジンで抽出した。異なる洗浄工程:細胞溶解物(
図3A、レーン1)、可溶性画分(
図3A、レーン2)、可溶化封入体(
図3A、レーン3)をSDS-PAGE(
図1)によって分析した。可溶化タンパク質を、金属キレート親和性クロマトグラフィーにより精製し、SDS-PAGEによって分析した(
図3A、レーン4、フロースルー、レーン5、プールした画分の溶出液)。組換えeIL-5-C-Hisは、この手順によって高度に濃縮されることが見出された。天然タンパク質を、非還元条件下(SDSあり、DTTなし、試料の加熱なし)で行うSDS-PAGE(
図3B)によって評価し(
図3B、レーン1)、主に単量体タンパク質が見出された。変性タンパク質を、下記のリフォールディング手順に供し、必要に応じて、サイズ排除クロマトグラフィーによってさらに精製した。
【0165】
eIL-5-C-Hisをリフォールディングするために、該タンパク質を、順次以下の緩衝液:緩衝液1(2Mの尿素、50mMのNaH2PO4、5mMの還元グルタチオン、0.5mMの酸化グルタチオン、0.5Mのアルギニン、10%グリセロール)、緩衝液2(50mMのNaH2PO4、5mMの還元グルタチオン、0.5mMの酸化グルタチオン、0.5Mのアルギニン、10%グリセロール)、緩衝液3(50mMのNaH2PO4、10%のグリセロール)、緩衝液4(PBS)により透析した。必要に応じて、リフォールディングしたタンパク質を、遠心フィルター(Amicon、Ultrafree-15 Millipore、10kDaのカットオフ)によって濃縮し、PBS緩衝液を用いて、HiLoad 26/600スーパーデックス75プレップグレード(GE Healthcare、カタログ番号28-9893-34)上で精製した。溶出画分をプールし、非還元SDS-PAGEによって分析した。タンパク質濃度を、UV-VIS又はブラッドフォードアッセイによって測定した。
【0166】
生物学的に活性のある天然のIL-5はジスルフィド結合ホモ二量体であるので、精製した組換えeIL-5-C-Hisのリフォールディング後に二量体を形成する能力を、非還元条件下で行うSDS-PAGEによって評価した(
図3B、レーン2)。約28kDaの分子量によって判断されるように、eIL-5-C-Hisは天然で二量体であり、天然の三次構造の保存を示すことが実証された。
【0167】
C.組換えホモ二量体濃縮eIL-5-C-Hisの構造
α-ヘリックス及びβ-シートを示す遠UVによるCD分光法を、正しい二次構造を確認するために測定した(
図3C)。
【0168】
質量分析(消化したeIL-5-C-HisのMALDI/MS/MS、その後HPLC)を、タンパク質の二次構造の他に、一次、三次及び四次構造を確認するために行った。典型的には、IL-5単量体は、2つの単量体の先頭から末端の位置をもたらす2つの分子間ジスルフィド架橋によりホモ二量体として連結されている。
【0169】
組換えeIL-5-C-Hisへの市販の抗体結合の能力を、ELISAによって試験した(
図3D)。Maxisorp 96ウェルELISAプレート(Nunc)を、0.5mg/Lの抗His抗体50μlで一晩コーティングした。プレートを0.1%(v/v)のPBS-Tween(PBST)で3回洗浄し、次いで、37℃で1時間、スーパーブロック(Superblock)(Thermo Scientific)でブロッキングした。プレートをPBSTで2回洗浄し、精製組換えeIL-5-C-His(10mg/L)を添加し、1時間インキュベートした。次いで、プレートをPBSTで3回洗浄し、抗eIL-5抗体(馬IL-5親和性精製ポリクローナル抗体、R&D Systems、英国、カタログ番号AF2470)を、4μg/mlから1/3希釈で滴定し、室温で2時間インキュベートした。プレートを、その後、PBSTで3回洗浄し、HRPとコンジュゲートした二次抗ヤギIgG(希釈1:2000)と室温で30分間インキュベートした。プレートを再びPBSで3回洗浄し、50μl/ウェルの発色液(TMB)を添加した。室温での反応の2分後に、1ウェルあたり25μlの5% H
2SO
4でELISAを停止させた。吸光度を、Tecan M200分光光度計(Tecan、オーストリア)を用いて、450nmで測定した。
【0170】
組換えeIL-5-C-Hisの適切なリフォールディングを円二色性(CD)分光法によって測定し、主に、αヘリックスであるがβシートも存在するということを予想されるとおり見出し得た。(
図3C)。2つの分子間ジスルフィド架橋による2つの単量体の連結を、さらにMALDI/MS/MSによって確認した。質量2505、2633、及び2761m/zのMSMS画分は、典型的なジスルフィドフラグメントパターン32/2/32を示す。Cys44はCys86に分子間連結されるので、2つの単量体は2つのジスルフィド架橋を介して連結される(スペクトルは図示せず)。さらに、リフォールディングした馬IL-5-C-Hisは、ELISAで市販の抗馬IL-5抗体によって検出可能であった(
図3D)。
【0171】
実施例5
VLPへのeIL-31抗原のカップリング、馬の免疫化及び掻痒誘発皮膚炎の馬における有効性の実証
A.QβのVLPへの馬IL-31-C-Hisのカップリング
配列番号24のコートタンパク質を含むQβ VLPを、WO 02/056905に記載されるように生成し、7.5倍モル過剰のヘテロ二官能性クロスリンカーのスクシンイミジル-6(β-マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノエート(SMPH)(Pierce)と反応させた。未反応のクロスリンカーを、PD-10脱塩カラム(GE Healthcare)に通すことによって除去した。リンカーに含まれるシステイン残基を還元するために、精製及びリフォールディングした組換えeIL-31-C-Hisを、pH8.0のPBS中の等モル過剰量のトリ(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)で1時間還元した。次いで、還元eIL-31-C-Hisを、eIL-31-C-Hisタンパク質に対するQβ単量体の1:1のモル比で誘導体化Qβ VLPと混合し、架橋を可能にするために、22℃で4時間共にインキュベートした。反応を、300kDaのカットオフ透析膜を使用して、pH7.4のPBSに対して12時間透析するか、又はカップリングしていない遊離eIL-31-C-Hisをサイズ排除クロマトグラフィー又は100kDaのMWCOを使用した接線流濾過のいずれかによって除去した。
【0172】
分析:SDS-PAGEのクマシー染色(
図4A)。Qβ、eIL-31-C-His及びeIL-31-C-His-Qβ VLPをSDS-PAGEにより分離した。その後、ゲルをクマシーブルー(0.025%のクマシーブリリアントブルーR-250、40%のメタノール、10%の酢酸)で染色し、脱染色剤(40%のメタノール、10%の酢酸)で脱染色した。
【0173】
抗His抗体を用いたウェスタンブロット染色(
図4B)。Qβ、eIL-31-C-His及びeIL-31-C-His-Qβ VLPを、SDS-PAGEによって分離し、ニトロセルロース膜に電気ブロットした。該膜を、PBST中5%(w/v)BSA粉末で1時間ブロッキングし、次いで、PBST中1%(w/v)BSA粉末中の1:800希釈した10mlの抗His抗体(ペンタHis抗体、BSA不含、マウスモノクローナルIgG1、カタログ番号34660)とインキュベートした。該膜を、15分間PBSTで洗浄し、次いで、1:10,000希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲート抗マウスIgG抗体を、PBST中1%(w/v)BSA10mlと共に1時間インキュベートした。該膜を、PBSで15分間洗浄し、ECL(Amersham Pharmacia、スウェーデン)で発色させ、写真フィルムに感光した。
【0174】
ウイルス様粒子QβへのeIL-31-C-Hisの共有結合化学カップリングを、SDS-PAGE及びウェスタンブロット分析により評価した。カップリング反応のクマシーブルー染色ゲルは、Qβに共有結合させた馬IL-31-C-Hisについて予測されるものに相当する分子量を有するバンドの出現を実証した(
図4A)。さらに、ウェスタンブロット分析により、抗His抗体で染色した場合、これらのバンドの共局在化が示された(
図4B)。
【0175】
B.CMVtt830 VLPへのeIL31-C-Hisのカップリング
CMVtt830 VLPを、上記のように生成し、10倍モル過剰のヘテロ二官能性クロスリンカーのスクシンイミジル-6(β-マレイミドプロピオンアミド)-ヘキサノエート(SMPH)(Pierce)と反応させた。未反応のクロスリンカーを、PD-10脱塩カラム(GE Healthcare)に通すことによって除去した。リンカーに含まれるシステイン残基を還元するために、精製及びリフォールディングした組換えeIL-31-C-Hisを、pH7.5の20mMのNa2PO4/2mMのEDTA中の等モル過剰量のトリ(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)で1時間還元した。次いで、還元したeIL-31-C-Hisを、eIL-31-C-Hisタンパク質に対するVLP単量体の1:1のモル比で誘導体化したCMVtt830 VLPと混合し、架橋を可能にするために、22℃で4時間共にインキュベートした。反応を、300kDaのカットオフ透析膜を使用して、pH7.5の20mMのNa2PO4/2mMのEDTAに対して12時間透析するか、又はカップリングしていない遊離eIL-31-C-Hisをサイズ排除クロマトグラフィー又は100kDaのMWCOを使用した接線流濾過のいずれかによって除去した。
【0176】
分析:SDS-PAGEのクマシー染色(
図4C)。eIL-31-C-His、CMVtt830、及びeIL31-C-His-CMVtt830 VLPをSDS-PAGEにより分離した。その後、ゲルをクマシーブルー(0.025%のクマシーブリリアントブルーR-250、40%のメタノール、10%の酢酸)で染色し、脱染色剤(40%のメタノール、10%の酢酸)で脱染色した。
【0177】
抗His抗体を用いたウェスタンブロット染色(
図4D)。eIL-31-C-His、CMVtt830、及びeIL31-C-His-CMVtt830 VLPをSDS-PAGEにより分離し、ニトロセルロース膜に電気ブロットした。該膜を、PBST中5%(w/v)BSA粉末で1時間ブロッキングし、次いで、PBST中1%(w/v)BSA粉末中の1:1000希釈した抗His抗体(モノクローナル抗Hisタグ抗体HRPOコンジュゲート、Novagen、カタログ番号71840)10mlとインキュベートした。該膜を、15分間PBSTで洗浄し、次いで、ECL(Amersham Pharmacia、スウェーデン)で発色させ、写真フィルムに感光した。
【0178】
CMVtt830 VLPへのeIL31-C-Hisの共有結合化学カップリングを、SDS-PAGE及びウェスタンブロット分析により評価した。カップリング反応のクマシーブルー染色ゲルは、CMV-tt830に共有結合させた馬IL31-C-Hisについて予測されるものそれぞれに相当する分子量を有するバンドの出現を実証した(
図4C)。さらに、ウェスタンブロット分析は、抗His抗体で染色した場合、これらのバンドの共局在化を示した(
図4D)。
【0179】
C.免疫化プロトコル
eIL-31-C-His-VLPの治療及びワクチン接種を単独でそれぞれ施した馬。馬IL-31への自己反応性抗体を作るために、0、28、及び101日目に、1,000μlのPBS中300μgのeIL-31-C-His-CMVtt830を馬に皮下注射した。免疫前、免疫化プロトコルの少なくとも41日目、及び41日目以降の様々な追加の時点で馬から採血した。血清をELISAによって分析した(
図5A)。
【0180】
eIL-5-C-His-VLP/eIL-31-C-His-VLP併用治療及びワクチン接種(別々の注射)をそれぞれ施した馬。馬IL-5及び馬IL-31に対する自己反応性抗体を作るために、-62及び-40日目に、1,000μlのPBS中eIL5-C-His-Qβワクチン及び0及び19日目に、1,000μlのPBS中300μgのeIL-31-C-His-Qβワクチンを馬に皮下注射した。免疫前、42又は93日目及び118日目に馬から採血した。血清をELISAによって分析した(
図5B)。
【0181】
eIL-5-C-His-VLP/eIL-31-C-His-VLPの組み合わせ治療及びワクチン接種をそれぞれ施した馬。馬IL-5及び馬IL-31に対する自己反応性抗体を作るために、0、28、105日目に、pH7.5の20mM Na
2PO
4/2mM EDTAの合計2,000μl中それぞれ300μgのeIL-5-C-His-CMVtt830及びeIL-31-C-His-CMVtt830を馬に皮下注射した。免疫前、並びに免疫化プロトコルの少なくとも42及び84日目並びに84日目以降の様々な追加の時点で馬から採血した。血清をELISAによって分析した(
図5C)。
【0182】
eIL-5-C-His-VLP/eIL-31-C-His-VLP併用治療及びワクチン接種(別々の注射、同じ日であるが、異なるリンパ節を標的にする)をそれぞれ施した馬。馬IL-5及び馬IL-31に対する自己反応性抗体を作るために、0及び28日目に、それぞれ1,000μlのpH7.5の20mM Na
2PO
4/2mM EDTA中、eIL-5-C-His-CMVtt830を馬の左身体部位に、eIL-31-C-His-CMVtt830を馬の右身体部位にそれぞれ300μg皮下注射した。免疫前、免疫化プロトコルの少なくとも42日目及び42日目以降の様々な追加の時点で馬から採血した。血清をELISAによって分析した(
図5D)。
【0183】
事前にeIL-5-C-His-VLPの治療及びワクチン接種を施した後に、eIL-31-C-His-VLPの治療及びワクチン接種をそれぞれ施した馬。事前にeIL-5-C-His-CMVtt830ワクチン接種した後に馬IL-31への自己反応性抗体を作るために、1,000μlのpH7.5の20mM Na
2PO
4/2mM EDTA中300μgのeIL-31-C-His-CMVtt830で0及び28日目に馬に皮下注射した。免疫前、免疫化プロトコルの少なくとも42日目、及び42日後の様々な追加の時点で馬から採血した。血清をELISAによって分析した(
図5E)。
【0184】
D.ELISAによる血清分析
eIL-31-C-His-VLPの治療及びワクチン接種を単独でそれぞれ施した馬:Maxisorp 96ウェルELISAプレート(Nunc)を、50μlの精製したeIL-31-C-His(5μg/ml)で一晩コーティングした。プレートを、PBSTで3回洗浄し、室温で2時間、5% BSA/PBST(Thermo Scientific)でブロッキングした。次いで、プレートをPBSTで3回洗浄し、馬血清の3倍希釈液をスーパーブロックに添加し、室温で2時間インキュベートした。プレートを、その後、PBSTで3回洗浄し、HRPとコンジュゲートした抗馬IgG(希釈1:2000)と室温で30分間インキュベートした。プレートを再びPBSで4回洗浄し、50μl/ウェルの発色液(TMB)を添加した。室温での反応の約2分後に、1ウェルあたり25μlの5% H2SO4でELISAを停止させた。吸光度を、Tecan M200分光光度計又はTecan Spark(Tecan、オーストリア)にて450nmで測定した。
【0185】
免疫前血清及びeIL-31-C-His-CMVtt830単独でワクチン接種した馬からの41日目の免疫後の血清を採取し、ELISAによって分析した。対応するナイーブ血清希釈液を差し引いた各希釈液のOD450値から計算したデルタOD
50(ΔOD
50)値として、馬血清をブロットした。馬のワクチン接種の結果は、自己抗原IL-31に対する免疫寛容が克服されたことを示す(
図5A)。応答のピーク時の最大半分力価は、1:1,000を超えた。
【0186】
eIL-5-C-His-VLP/eIL-31-C-His-VLP併用治療及びワクチン接種をそれぞれ施した馬:Maxisorp 96ウェルELISAプレート(Nunc)を、50μlの精製したeIL-5-C-His(5μg/ml)又はeIL-31-C-His(5μg/ml)で一晩コーティングした。プレートを、PBSTで3回洗浄し、室温で2時間、5% BSA/PBST(Thermo Scientific)でブロッキングした。次いで、プレートをPBSTで3回洗浄し、抗原を事前吸収させた馬血清(eIL-31-C-His ELISAについては:eIL-5-C-His抗原(5μg/ml)で事前吸収;eIL-5-C-His ELISAについては:eIL-31-C-His抗原(5μg/ml)で事前吸収;室温で30分プレインキュベーション)の3倍希釈液をスーパーブロックに添加し、室温で2時間インキュベートした。プレートを、その後、PBSTで3回洗浄し、HRPとコンジュゲートした抗馬IgG(希釈1:2000)と室温で30分間インキュベートした。プレートを再びPBSで4回洗浄し、50μl/ウェルの発色液(TMB)を添加した。室温での反応の約2分後に、1ウェルあたり25μlの5% H2SO4でELISAを停止させた。吸光度を、Tecan M200分光光度計又はTecan Spark(Tecan、オーストリア)にて450nmで測定した。
【0187】
免疫前血清及びeIL-5-C-His-Qβ/eIL-31-C-His-Qβでワクチン接種した馬からの42、93又は118日目の免疫後の血清をそれぞれ採取し、ELISAによって分析した。対応するナイーブ血清希釈液を差し引いた各希釈液のOD450値から計算したデルタOD
50(ΔOD
50)値として、馬血清をブロットした。馬のワクチン接種の結果は、自己抗原IL-5及びIL-31に対する免疫寛容が克服されたことを示す(
図5B)。応答のピーク時の最大半分力価は、約1:1,000であった。
【0188】
eIL-5-C-His-VLP/eIL-31-C-His-VLP組み合わせ治療及びワクチン接種をそれぞれ施した馬:Maxisorp 96ウェルELISAプレート(Nunc)を、50μlの精製したeIL-5-C-His(5μg/ml)又はeIL-31-C-His(5μg/ml)で一晩コーティングした。プレートを、PBSTで3回洗浄し、室温で2時間、5% BSA/PBST(Thermo Scientific)でブロッキングした。次いで、プレートをPBSTで3回洗浄し、抗原を事前吸収させた馬血清(eIL-31-C-His ELISAについては:eIL-5-C-His抗原(5μg/ml)で事前吸収;eIL-5-C-His ELISAについては:eIL-31-C-His抗原(5μg/ml)で事前吸収;室温で30分プレインキュベーション)の3倍希釈液をスーパーブロックに添加し、室温で2時間インキュベートした。プレートを、その後、PBSTで3回洗浄し、HRPとコンジュゲートした抗馬IgG(希釈1:2000)と室温で30分間インキュベートした。プレートを再びPBSで4回洗浄し、50μl/ウェルの発色液(TMB)を添加した。室温での反応の約2分後に、1ウェルあたり25μlの5% H2SO4でELISAを停止させた。吸光度を、Tecan M200分光光度計又はTecan Spark(Tecan、オーストリア)にて450nmで測定した。
【0189】
免疫前血清及びeIL-5-C-His-CMVtt830/eIL-31-C-His-CMVtt830でワクチン接種した馬からの42、84日目の免疫後の血清、並びにその後の血清をそれぞれ採取し、ELISAによって分析した。対応するナイーブ血清希釈液を差し引いた各希釈液のOD450値から計算したデルタOD
50(ΔOD
50)値として、馬血清をブロットした。馬のワクチン接種の結果は、自己抗原IL-5及びIL-31に対する免疫寛容が克服されたことを示す(
図5C)。抗IL-5応答及び抗IL-31応答の両方のピーク時の最大半分力価は、約1:1,000であった。
【0190】
eIL-5-C-His-VLP/eIL-31-C-His-VLP併用治療及びワクチン接種(別々の注射、同じ日であるが、異なるリンパ節を標的にする)をそれぞれ施した馬。Maxisorp 96ウェルELISAプレート(Nunc)を、50μlの精製したeIL-5-C-His(5μg/ml)又はeIL-31-C-His(5μg/ml)で一晩コーティングした。プレートを、PBSTで3回洗浄し、室温で2時間、5% BSA/PBST(Thermo Scientific)でブロッキングした。次いで、プレートをPBSTで3回洗浄し、抗原を事前吸収させた馬血清(eIL-31-C-His ELISAについては:eIL-5-C-His抗原(5μg/ml)で事前吸収;eIL-5-C-His ELISAについては:eIL-31-C-His抗原(5μg/ml)で事前吸収;室温で30分プレインキュベーション)の3倍希釈液をスーパーブロックに添加し、室温で2時間インキュベートした。プレートを、その後、PBSTで3回洗浄し、HRPとコンジュゲートした抗馬IgG(希釈1:2000)と室温で30分間インキュベートした。プレートを再びPBSで4回洗浄し、50μl/ウェルの発色液(TMB)を添加した。室温での反応の約2分後に、1ウェルあたり25μlの5% H2SO4でELISAを停止させた。吸光度を、Tecan M200分光光度計又はTecan Spark(Tecan、オーストリア)にて450nmで測定した。
【0191】
免疫前血清及びeIL-5-C-His-CMVtt830/eIL-31-C-His-CMVtt830でワクチン接種した3頭の馬からの42日目の免疫後の血清を採取し、ELISAによって分析した。eIL-5-C-His-CMVtt830/eIL-31-C-His-CMVtt830のワクチンを別々に注射した。別のリンパ節を標的化するために、ワクチンを異なる身体部位に注射した。抗体価を、2回のワクチン接種時に評価し、皮膚炎疾患の症状、掻痒及び血中好酸球増加に対するワクチン接種の効果を記録する。対応するナイーブ血清希釈液を差し引いた各希釈液のOD450値から計算したデルタOD
50(ΔOD
50)値として、馬血清をブロットした。馬(n=3)のワクチン接種の結果は、自己抗原eIL-5及びeIL-31に対する免疫寛容が克服されたことを示す(
図5D)。抗eIL-31応答の42日目の平均最大半分力価は約1:1,000であり、抗eIL-5応答の平均最大半分力価は約1:3,000であった。
【0192】
事前にeIL-5-C-His-VLPの治療及びワクチン接種を施した後に、eIL-31-C-His-VLPの治療及びワクチン接種をそれぞれ施した馬:Maxisorp 96ウェルELISAプレート(Nunc)を、50μlの精製したeIL-5-C-His(5μg/ml)又はeIL-31-C-His(5μg/ml)で一晩コーティングした。プレートを、PBSTで3回洗浄し、室温で2時間、5% BSA/PBST(Thermo Scientific)でブロッキングした。次いで、プレートをPBSTで3回洗浄し、馬血清の3倍希釈液をスーパーブロックに添加し、室温で2時間インキュベートした。プレートを、その後、PBSTで3回洗浄し、HRPとコンジュゲートした抗馬IgG(希釈1:2000)と室温で30分間インキュベートした。プレートを再びPBSで4回洗浄し、50μl/ウェルの発色液(TMB)を添加した。室温での反応の約2分後に、1ウェルあたり25μlの5% H2SO4でELISAを停止させた。吸光度を、Tecan M200分光光度計又はTecan Spark(Tecan、オーストリア)にて450nmで測定した。
【0193】
免疫前血清及びeIL-31-C-His-CMVtt830でワクチン接種した2頭の馬からの42日目の免疫後の血清を採取し、ELISAによって分析した。これらの馬には、前年に、eIL-5-C-His-CMVtt830ワクチンをワクチン接種している。抗体価を、2回のワクチン接種時に評価し、皮膚炎疾患の症状、掻痒及び血中好酸球増加に対するワクチン接種の効果を記録する。対応するナイーブ血清希釈液を差し引いた各希釈液のOD450値から計算したデルタOD
50(ΔOD
50)値として、馬血清をブロットした。馬には、同じVLP骨格を使用して、前年にeIL-5-C-His-CMVtt830ワクチンでワクチン接種をしていたが、馬のワクチン接種の結果は、自己抗原eIL-31に対する免疫寛容が克服されたことを示す(
図5E)。抗eIL-31応答の42日目の最大半分力価は1:2,500を超えていた。
【0194】
E.インビボでの有効性:
ケーススタディ1:eIL-5-C-His-Qβ/eIL-31-C-His-Qβ併用ワクチン接種。同時にIL-5及びIL-31に対する自己抗体を誘導する能力を評価するために、掻痒性アレルギー性皮膚炎になったアイスランド馬(IDEXX Diavet、スイスによって行われたグリーアアレルゲン(Greer allergen)を用いたアレルギースクリーニングによって、ハンノキ属、ナガバギシギシ、コナヒョウヒダニ、ケナガコナダニ、コナダニ及びサシバエ属についての試験が陽性であった)に、eIL-5-C-His-QβとeIL-31-C-His-Qβの併用ワクチンを接種した。
【0195】
第1の馬に、eIL-5-C-His-Qβ/eIL-31-C-His-Qβ併用ワクチンを使用して皮下に2回ワクチン接種した。1mlの総量のPBS中300μgの各ワクチンを、ワクチン接種日ごとに皮下注射する。馬に、-62及び-40日目に1,000μlのPBS中のeIL5-C-His-Qβワクチンを、0及び19日目に1,000μlのPBS中300μgのeIL-31-C-His-Qβワクチンを注射した。42、93及び118日目の血清中の抗体価をELISAにより分析した。両方のサイトカインに対する抗体価を、eIL-5-C-His-QβとeIL-31-C-His-Qβワクチンでの併用ワクチン接種時に確立した(
図5B、抗eIL-5抗体、黒丸、抗IL-31抗体、灰色丸)。
【0196】
ケーススタディ2:eIL-5-C-His-CMVtt830/eIL-31-C-His-CMVtt830組み合わせワクチン接種。抗体価並びに皮膚炎疾患の症状、掻痒及び血中好酸球増加症に対するワクチン接種の効果を評価するために、掻痒性アレルギー性皮膚炎になったアイスランド馬(IDEXX Diavet、スイスによって行われたグリーアアレルゲンを用いたアレルギースクリーニングによってイエカ、サシバエ属、ブユ属の種、サシバエ(Stomoxys c.)、及びアブ属についての試験が陽性であった)に、eIL-5-C-His-CMVtt830とIL-31-C-His-CMVtt830からなる組み合わせワクチンを接種した。
【0197】
第1の馬に、eIL-5-C-His-CMVtt830/eIL-31-C-His-CMVtt830組み合わせワクチンを使用して、3回皮下にワクチン接種した。総量2mlのpH7.5の20mM Na
2PO
4/2mM EDTA中300μgの各ワクチンを、ワクチン接種日ごとに皮下注射する。馬に、0、28、及び105日目に注射した。血清中のIL-5及びIL-31に対する抗体価をELISAによって分析した(
図5C)。ワクチン接種前及び後に、血液中の好酸球数を分析し、皮膚炎の病変及び掻痒を、実施例7及び8に記載の症状スコアリングによってそれぞれスコア化する。血液中の好酸球レベルは、eIL-5-C-His-CMVtt830/eIL-31-C-His-CMVtt830組み合わせワクチンを用いる免疫化の際に減少した(
図5F)。好酸球レベルの減少に伴い、皮膚病変スコアは減少し、病変スコアのコースは、最初の測定と比較して低下した値を示した(
図5G)。病変スコアと同等に、掻痒スコアのコースは第2の免疫後に減少し、長い期間痒みが存在しなかった(
図5H)。治療前のシーズン及び治療中のシーズンからの平均掻痒スコアを比較すると、掻痒はワクチンの存在下で強く減少した(
図5I)。
【0198】
ケーススタディ3:eIL-31-C-His-CMVtt830単独を接種した馬。抗体価並びに皮膚炎疾患の症状、掻痒及び血中好酸球増加症に対するワクチン接種の効果を評価するために、掻痒性アレルギー性皮膚炎になったアイスランド馬(IDEXX Diavet、スイスによって行われたグリーアアレルゲンを用いたアレルギースクリーニングによってハンノキ属、ナガバギシギシ、コナヒョウヒダニ、ケナガコナダニ、及びコナダニについての試験が陽性であった)に、IL-31-C-His-CMVtt830ワクチンのみを接種した。
【0199】
第1の馬に、eIL-31-C-His-CMVtt830ワクチンを使用して、3回皮下に接種した。総量1mlのpH7.5の20mM Na
2PO
4/2mM EDTA中300μgのワクチンを、ワクチン接種日ごとに皮下注射した。馬に、0、28、及び101日目に注射した。血清中のIL-31に対する抗体価をELISAによって分析した(
図5A)。ワクチン接種前及び後に、血液中の好酸球数を分析し、皮膚炎の病変及び掻痒を、実施例7及び8に記載の症状スコアリングによってそれぞれスコア化する。eIL-31-C-His-CMVtt830ワクチンを用いる治療シーズン中の平均皮膚病変スコアは、前の未治療シーズンと比較して、スコアが低下した(
図5J)。同じ程度に、治療前のシーズン及び治療中のシーズンからの平均掻痒スコアを比較すると、掻痒はワクチンの存在下で強く減少した(
図5K)。
【0200】
実施例6
IBHになりやすい馬における異なるVLPへのeIL-5抗原のカップリング、馬の免疫化及び有効性の実証
A.QβのVLPへのeIL5-C-Hisのカップリング
配列番号24のコートタンパク質を含むQβ VLPをWO 02/056905に記載のように生成し、10倍モル過剰のヘテロ二官能性クロスリンカーのスクシンイミジル-6(β-マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノエート(SMPH)(Pierce)と反応させた。未反応クロスリンカーを、PD-10脱塩カラム(GE Healthcare)に通すことによって除去した。リンカーに含まれるシステイン残基を還元するために、精製及びリフォールディングした組換えeIL-5-C-Hisを、pH8.0のPBS中等モル過剰量のトリ(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)で1時間還元した。次いで、還元eIL-5-C-Hisを、eIL-5-C-Hisタンパク質に対するQβ単量体の1:2のモル比で誘導体化Qβ VLPと混合し、架橋を可能にするために、22℃で4時間共にインキュベートした。必要に応じて、反応を、300kDaのカットオフ透析膜を使用して、pH7.4のPBSに対して12時間透析するか、又はカップリングしていない遊離eIL-5-C-Hisをサイズ排除クロマトグラフィー又は100kDaのMWCOを使用した接線流濾過のいずれかによって除去した。
【0201】
分析:SDS-PAGEのクマシー染色(
図6A):Qβ、eIL5-C-His及びeIL5-C-His-Qβ VLPをSDS-PAGEにより分離した。その後、ゲルをクマシーブルー(0.025%のクマシーブリリアントブルーR-250、40%のメタノール、10%の酢酸)で染色し、脱染色剤(40%のメタノール、10%の酢酸)で脱染色した。
【0202】
抗His抗体を用いたウェスタンブロット染色(
図6B):Qβ、eIL5-C-His及びIL5-C-His-Qβワクチンを、SDS-PAGEによって分離し、ニトロセルロース膜に電気ブロットした。該膜を、PBST中5%(w/v)BSA粉末で1時間ブロッキングし、次いで、PBST中1%(w/v)BSA粉末中の1:800希釈した10mlの抗His抗体(ペンタHis抗体、BSA不含、マウスモノクローナルIgG1、カタログ番号34660)とインキュベートした。該膜を、15分間PBSTで洗浄し、次いで、1:10,000の希釈で西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲート抗マウスIgG抗体を、PBST中10mlの1%(w/v)BSAと共に1時間インキュベートした。該膜を、PBSで15分間洗浄し、ECL(Amersham Pharmacia、スウェーデン)で発色させ、写真フィルムに感光した。
【0203】
ウイルス様粒子QβへのeIL5-C-Hisの共有結合化学カップリングを、SDS-PAGE及びウェスタンブロット分析により評価した。カップリング反応のクマシーブルー染色ゲルは、Qβに共有結合させた馬IL5-C-Hisについて予測されるものに相当する分子量を有するバンドの出現を実証した(
図6A)。さらに、ウェスタンブロット分析は、抗His抗体で染色した場合、これらのバンドの共局在化を示した(
図6B)。
【0204】
B.CMVtt830 VLPへのeIL5-C-Hisのカップリング
配列番号20の改変CMVポリペプチドを含むCMVtt830 VLPを、WO 2016/062720に記載のように生成し、10倍モル過剰のヘテロ二官能性クロスリンカーのスクシンイミジル-6(β-マレイミドプロピオンアミド)-ヘキサノエート(SMPH)(Pierce)と反応させた。未反応クロスリンカーを、PD-10脱塩カラム(GE Healthcare)に通すことによって除去した。リンカーに含まれるシステイン残基を還元するために、精製及びリフォールディングした組換えeIL-5-C-Hisを、PBS又はpH7.5の20mM Na2PO4/2mM EDTA中の等モル過剰量のトリ(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)で1時間還元した。次いで、還元eIL-5-C-Hisを、eIL-5-C-Hisタンパク質に対するVLP単量体の1:2のモル比で誘導体化CMVtt830 VLPと混合し、架橋を可能にするために、22℃で4時間共にインキュベートした。必要に応じて、反応を、300kDaのカットオフ透析膜を使用して、pH7.4のPBS又はpH7.5の20mM Na2PO4/2mM EDTAに対して12時間透析するか、又はカップリングしていない遊離eIL-5-C-Hisをサイズ排除クロマトグラフィー又は100kDaのMWCOを使用した接線流濾過のいずれかによって除去した。
【0205】
分析:SDS-PAGEのクマシー染色(
図6C):CMVtt830、eIL5-C-His、eIL5-C-His-CMVtt830 VLPをSDS-PAGEにより分離した。その後、ゲルをクマシーブルー(0.025%のクマシーブリリアントブルーR-250、40%のメタノール、10%の酢酸)で染色し、脱染色剤(40%のメタノール、10%の酢酸)で脱染色した。
【0206】
抗His抗体を用いたウェスタンブロット染色(
図6D):CMV-tt830、eIL5-C-His、eIL5-C-His-CMVtt830 VLPを、SDS-PAGEによって分離し、ニトロセルロース膜に電気ブロットした。該膜を、PBST中5%(w/v)BSA粉末で1時間ブロッキングし、次いで、PBST中1%(w/v)BSA粉末中の1:1000希釈した10mlの抗His抗体(モノクローナル抗Hisタグ抗体HRPOコンジュゲート、Novagen、カタログ番号71840)とインキュベートした。該膜を、15分間PBSTで洗浄し、次いで、ECL(Amersham Pharmacia、スウェーデン)で発色させ、写真フィルムに感光した。
【0207】
CMVtt830 VLPへのeIL5-C-Hisの共有結合化学カップリングを、SDS-PAGE及びウェスタンブロット分析により評価した。カップリング反応のクマシーブルー染色ゲルを、CMV-tt830に共有結合させた馬IL5-C-Hisについて予測されるものに相当する分子量を有するバンドの出現を実証した(
図6C)。さらに、抗His抗体で染色した場合に、ウェスタンブロット分析は、これらのバンドの共局在化を示した(
図6D)。
【0208】
C.免疫化プロトコル
馬、eIL-5-C-His-Qβ VLP。馬IL-5への自己反応性抗体を作るために、注射の30分前に300μlのミョウバンと混合した1,000μlのPBS中300μgのeIL5-C-His-Qβ VLPを、0、21、及び42日目に馬に皮下注射した。示すように、追加免疫を124日目に施した。或いは、馬に、0、28、56、及び84日目に、アジュバントの非存在下で、1,000μlのPBS中300μgのeIL5-C-His-Qβ VLPを皮下注射した。2年目の治療の経過観察のために、馬に、アジュバントの非存在下で、1,000μlのPBS中300μgのeIL5-C-His-Qβ VLPを4週間隔で皮下に2回追加免疫した。免疫化前、及び免疫化プロトコルの少なくとも42日目、56日目及び56日目以降の様々な追加の時点で、馬から採血した。血清をELISAにより分析した。血清をELISAにより分析した。
【0209】
馬、eIL-5-C-His-CMVtt830。馬IL-5に対する自己反応性抗体を作るために、馬に、0、28、56、84及び126日目に、アジュバントの非存在下で、1,000μlのPBS中400μgのeIL5-C-His-CMVtt830 VLPを皮下注射した。免疫化前、並びに免疫化プロトコルの少なくとも56日目及び84日目のいずれか、並びに84日目以降の様々な追加の時点で、馬から採血した。血清をELISAにより分析した。血清をELISAにより分析した。
【0210】
D.ELISAによる血清分析
Maxisorp 96ウェルELISAプレート(Nunc)を、50μlの精製eIL-5-C-His、Qβ又は精製CMVtt830(5μg/ml)で一晩コーティングした。プレートを、PBSTで3回洗浄し、室温で2時間、PBS中のスーパーブロック(Thermo Scientific)でブロッキングした。次いで、プレートをPBSTで3回洗浄し、馬血清の3倍希釈液をPBS中のスーパーブロック(Thermo Scientific)に添加し、室温で2時間インキュベートした。プレートを、その後、PBSTで3回洗浄し、HRPとコンジュゲートした抗馬IgG(希釈1:2000)と室温で30分間インキュベートした。プレートを再びPBSで4回洗浄し、50μl/ウェルの発色液(TMB)を添加した。室温での反応の約2分後に、1ウェルあたり25μlの5% H2SO4でELISAを停止させた。吸光度を、Tecan M200分光光度計(Tecan、オーストリア)にて450nmで測定した。
【0211】
免疫前血清及びeIL5-C-His-Qβ VLPをワクチン接種した馬からの免疫後の様々な血清を採取し、eIL-5-C-Hisに対する抗体(
図7A)及びQβ VLPに対する抗体(
図7B)についてELISAにより分析した。免疫前血清及びeIL-5-C-His-CMVtt830 VLPワクチン接種馬からの免疫化後の様々な血清を、eIL-5-C-Hisに対する抗体(
図7C)及びCMVtt830に対する抗体(
図7D)について分析した。対応するナイーブ血清希釈液を差し引いた各希釈液のOD450値から計算したデルタOD
50(ΔOD
50)値として、馬血清をブロットした。馬のワクチン接種の結果は、自己抗原IL-5に対する免疫寛容が克服されたことを示す。応答のピーク時の最大半分力価は、1:1,000~1:50,000の範囲であった。
【0212】
E.馬でのインビボ有効性
血液中の好酸球レベルとIBH疾患症状の相関
12頭のIBH罹患アイスランド馬からのEDTA血液を採取し、好酸球レベルを分析した。さらに、疾患症状スコアリングを、シーズン中、すなわち、4月~10月の間に評価した。血液中の好酸球のレベルは、病変症状スコアリングによる平均疾患症状尺度と相関した。病変症状スコアリングを実施例7に従って行った。実際に、病気の馬の血液中の好酸球数とIBH病変強度スコアの間に正の相関が見られ(R
2=0.9227、p<0.0001、n=12)(
図7E)、IBH罹患馬を免疫化する方法における本発明の組成物及びそれらの使用は、IBHの治療に有益であることが示された。
【0213】
二重盲検プラセボ対照無作為化試験IL-5-C-His-Qβ。疾患症状及び血中好酸球増加に対するワクチン接種の効果を評価するために、10頭のIBH罹患アイスランド馬を、二重盲検プラセボ対照無作為化試験に登録した。ワクチン接種の前のIBHシーズン(4月~10月)中に、全ての馬についての隔週症状スコアリングを評価し、血中好酸球増加を、8月の初めに定量化した。その後のIBHシーズンが始まる前に、0、21及び42日目に(2月/3月)、6頭のアイスランド馬に300μgのeIL-5-C-His-Qβで免疫し、4頭のアイスランド馬にプラセボを投与した。1mlのPBS中のワクチンを投与した。全ての注射を、0.3mlのミョウバン(Imject Alum、Thermo Scientific、カタログ番号77161)と新たに(注入の約30分前に)予備混合させて投与した。124日目に、全ての馬に追加免疫ワクチン接種を行い、抗体価及び好酸球数を、3月から10月まで毎月測定した。さらに、病変スコアリングを隔週で評価した。また、馬の健康状態だけでなく、馬の寄生状態を3月及び10月に分析した。
【0214】
経過観察試験IL-5-C-His-Qβ。IL-5-C-His-Qβを用いる二重盲検プラセボ対照無作為化試験からの10頭の馬を、次のシーズン2016に経過観察した。事前にワクチン接種した6頭の馬に、4週間隔で2月及び3月に300μgのeIL-5-C-His-Qβを2回追加免疫した。事前にプラセボを投与した4頭の馬に、0、28、56、及び84日目に300μgのeIL-5-C-His-Qβの能動免疫を与えた。全ての馬に、経過観察年にアジュバント不含の1mlのPBSでワクチンを投与した。抗体価及び好酸球数を、1月及び3月から10月まで毎月測定した。さらに、病変スコアリングを隔週から毎月評価した。また、馬の健康状態だけでなく、馬の寄生状態を1月及び10月に分析した。病変の重症度を4月~10月まで経過観察した。Qβ(
図7A)及びeIL-5(
図7B)に対する抗体価のタイムラインを、シーズン全体にわたって経過観察した。馬に、3週間隔で2月から始める3回の注射によるワクチン接種を、その後、最後の注射後約2ヶ月の時点で追加免疫を行った。しかしながら、最初にかなりの程度で変化した活性のある馬におけるeIL-5に対する確立された抗体価は、力価の点で追加免疫後の有効性を上回るほどの変動はなかった(
図7B)。
【0215】
その後の経過観察シーズンについては、試験を非盲検化し、全ての馬にワクチンを投与する半分クロスオーバー試験として続けた。詳細な試験レジメンは以下のとおりである:その後のIBHシーズンが始まる前に、全てのプラセボ馬に、1月から始めて4週間隔で4回免疫し、前シーズンからの全てのワクチン馬に、2月から始めて4週間隔で2回の追加免疫を行った。経過観察の年に、全てのワクチン接種をミョウバンの非存在下で施した。
【0216】
事前評価年2014年、最初の治療年2015年(二重盲検プラセボ対照無作為化試験)、及び2年目の治療年2016年(経過観察試験)における、4月から9月又は10月までのプラセボ馬とワクチン接種馬それぞれを比較した病変スコア。ワクチン接種馬の80%超(V1:1年目の試験及びV2:2年目の試験)は、治療年(複数可)中の病変スコアにおいて50%及びそれ以上の改善を達成した。ワクチン接種馬(V1:1年目の試験及びV2:1年目及び2年目の試験)のほぼ20%でさえ、治療年(複数可)中の病変スコアにおいて75%及びそれ以上の改善を達成した(
図7F)。プラセボグループでは、病変スコアが50%又は75%の改善に達成した馬はいなかった(
図7F)。したがって、eIL-5-C-His-Qβワクチンは、病変の重症度、ひいては、治療的に改善される疾患症状に有益な効果を有していた。
【0217】
二重盲検プラセボ対照無作為化試験IL-5-C-His-CMVtt830。疾患症状及び血中好酸球増加に対するワクチン接種の効果を評価するために、34頭のIBH罹患アイスランド馬を、二重盲検プラセボ対照無作為化試験に登録した。ワクチン接種の前のIBHシーズン(2015年4月~10月)中に、全ての馬について、毎月の症状スコアリングを評価し、血中好酸球増加をシーズン中のある時点で定量化した。その後のIBHシーズンが始まる前に、0、28、56及び84日目に(2016年1月~4月)、18頭のアイスランド馬に400μgのeIL-5-C-His-CMVtt830で免疫し、15頭のアイスランド馬にプラセボを投与した。アジュバント不含の1mlのPBSでワクチンを投与した。126日目に、全ての馬に、追加免疫ワクチン接種を行い、抗体価、好酸球数及び病変スコアを2016年の1月及び3月から10月まで毎月測定した。
【0218】
事前評価年2015年及び治療年2016年における、4月から9月又は10月までのプラセボ馬とワクチン接種馬を比較した病変スコア。eIL-5-C-His-CMVtt830ワクチン接種馬の臨床スコア(黒実線)を、事前評価シーズン(黒の点線)及び同じシーズン(灰色の実線)からのプラセボ処置馬(灰色の線)と比較すると、強く減少することが見出された(
図7G)。eIL-5-C-His-CMVtt830ワクチン接種馬における治療年と事前評価年の間の病変スコアの低下は、プラセボ処置馬と比較した場合、統計的に有意に大きくなることが見出された。また、ワクチン接種馬の47%及び16%が、治療年の間、病変スコアの50%(及びそれ以上)並びに75%(及びそれ以上)の改善をそれぞれ達成した(
図7H)。プラセボグループでは、75%低下に達した馬はおらず、わずか7%が、病変スコアの50%低下の改善に達した(
図7H)。したがって、IL-5-C-His-CMVtt830ワクチンは、病変の重症度、ひいては、治療的に改善される疾患症状に有益な効果を有していた。
【0219】
実施例7
皮膚炎症状病変スコアリング
アレルギー性皮膚炎症状スコアリングについては、病変が生じる場所(尾、たてがみ、腹、脇腹、顔、耳、及び足など)を記録する。各場所は、3つの部分:上、中央、下に分けられる。さらに、病変数に応じて、各場所を、軽度及び重症に分類する。どれくらい多くの部分が影響を受けているのか(上/中/下)及び場所あたりどれくらい多くの病変が見られるのか(軽度/重症)に応じて、1~4点をスコア化することができる(1点=1つの部分が影響を受けている、病変軽度;4点=全3つの部分が影響を受けている、病変重症)。
【0220】
また、これらの場所を、6つのさらなる性質:サイズ(直径)、血液、脱毛、鱗屑、かさぶた、及び苔癬化/腫れについて分類する。全てのこれらの性質についても、1~4点をスコア化することができる。サイズを、<0.5cm(1点)、0.5≧x>1cm(2点)、1≧x>2cm(3点)、及び≧2cm(4点)に分ける。血液を、無傷の表皮(1点)、軽度(2点)、中程度(3点)、及び重度(4点)に分ける。脱毛を、軽度(1点)、中程度(2点)、重度(3点)、及び無毛(4点)に分ける。鱗屑を、なし(1点)、小さい、少数(2点)、中程度、中型(3点)、及び多い、大きい(4点)に分ける。かさぶたを、なし(1点)、小さい(2点)、半分(3点)、及び全部(4点)に分ける。苔癬化及び/又は腫れを、なし(1点)、軽度(2点)、中程度(3点)、及び重度(4点)に分ける。
【0221】
さらに、シース又は乳房が膨潤した場合、最小5又は最大20点:グレード1(5点)、グレード2(10ポイント)、グレード3(15点)、及びグレード4(20点)にスコア化することができる。
【0222】
最終的に全てのポイントを加算すると、アレルギー性皮膚炎症状スコアになる。
【0223】
実施例8
掻痒スコアリング
各馬の訪問の期間中の掻痒スコアリング評価。身体の異なる場所での軽度、中程度及び重度の引っ掻きをスコア化する。身体の各部分を別々にスコア化する。さらに、軽度、中程度及び重度に同様に区別される首振りの強さをスコア化する。また、軽度、中程度及び重度に同様に区別される全体的な休みのない行動を判断する。軽度に1点、中程度に2点、及び重度に3点を与える。全てのポイントを加算すると、掻痒スコアが得られる。
【0224】
実施例9
マウスアレルギー性皮膚炎モデル、マウスのワクチン接種、並びに抗体価の分析、皮膚上へのアレルゲン負荷時の皮膚における局所的なIL-31 mRNA発現、抗アレルゲンIgE及びIgGレベル、並びに耳の膨張
A.マウスアレルギー性皮膚炎モデル(改変アトピー性マーチモデル)
マウスを、モデルアレルゲンのオボアルブミン(Ova)に対して感作させた。一般的なアレルギー性掻痒現象を強調するサシバエ属アレルゲンと無関係であること、ひいては、IBHと無関係であることを示すために、Ovaを選択した。マウスがアレルギー性皮膚炎を発症するように、マウスに、最初に、0日目に、PBS中10mg/mlのミョウバン(Thermo Scientific)中1μgのOva(Sigma Aldrich)を腹腔内(i.p.)に1回負荷し、その後、テープを剥がした右耳の皮膚に2nmol MC903(カルシポトリオール)中200μgのOvaを経皮(e.c.)経路によって局所的に負荷した。局所的な皮膚感作が、0(=ワクチン接種プロトコルの21日目)、2、4、6、8、及び10日目に起きた。その後、マウスの左耳に、17、18、19、及び20日目に皮膚を介して200μgのOvaを負荷した。皮膚炎及び掻痒が発症した後、実施例7及び8に従ってスコア化し、負荷した左耳の耳膨張を、耳の厚さを測定することにより定量化した。また、負荷した耳におけるIL-31 mRNAを22日目にqPCRにより定量化した。また、ovaに対するアレルギー状態を、22日目に、血清中の抗ova IgG及びIgE抗体レベルによって定量化した。アレルギー性皮膚炎の実験にマウスの5グループ、n=6匹のマウスを含めた:グループ1には、mIL-31-C-His-CMVでワクチン接種し、左耳にova負荷を与えた;グループ2には、CMVtt830 VLPでワクチン接種し、左耳にova負荷を与えた;グループ3には、mIL-5-C-His-Qβ&mIL-31-C-His-CMVtt830の組み合わせでワクチン接種し、左耳にova負荷を与えた;かつグループ4には、CMVtt830 VLPでワクチン接種するが、左耳にPBS対照負荷を与えた。
【0225】
B.マウスのワクチン接種
マウスにおけるマウスIL-5及び/又はIL-31に対する抗体を作るために、C57BL/6又はBALB/cマウスに、0、14及び28日目に、100μlのPBS若しくはpH7.5の20mMのNa2PO4/2mM EDTA中25又は50μgのmIL-5-C-His-Qβ VLP及びmIL-31-C-His-CMVtt830それぞれを皮下又は静脈内に注射した。組成物mIL-5-C-His-Qβ VLPを、Zou,Vaccine 28(2010)3192-3200に記載されるのと同様の方法で、かつ本明細書に記載のeIL-5及びeIL-31対応物と同様の方法で調製した。mIL-31(配列番号28)及びmIL-31-C-His(配列番号29)それぞれを含む組成物mIL-31-C-His-CMVtt830を、eIL-5及びeIL-31対応物について本明細書に記載されるのと同様の方法で調製した。マウスから、免疫前及び免疫化プロトコルの41日目に採血した。血清をELISAにより分析した。
【0226】
C.抗体価分析
Maxisorp 96ウェルELISAプレート(Nunc)を、50μlの精製したmIL-5-C-His又はmIL-31-C-His(10μg/ml)で一晩コーティングした。プレートを、PBSTで3回洗浄し、室温で2時間、スーパーブロック(Thermo Scientific)でブロッキングした。次いで、プレートをPBSTで3回洗浄し、マウス又は馬の血清の3倍希釈液をスーパーブロックに添加し、室温で2時間インキュベートした。プレートを、その後、PBSTで3回洗浄し、HRPとコンジュゲートした抗マウスIgG又は抗馬IgG(希釈1:2000)と室温で30分間インキュベートした。プレートを再びPBSで4回洗浄し、50μl/ウェルの発色液(TMB)を添加した。室温での反応の約2分後に、1ウェルあたり25μlの5% H2SO4でELISAを停止させた。吸光度を、Tecan M200又はTecan Spark分光光度計(Tecan、オーストリア)にて450nmで測定した。
【0227】
免疫前血清及びmIL-5-C-His-Qβ及び/又はmIL-31-C-His-CMVtt830でワクチン接種したマウスからの41日目の血清を採取し、ELISAによって分析した。マウス血清を、デルタOD
50(ΔOD
50)値としてブロットした。マウスにおけるワクチン接種の結果は、自己抗原IL-5及びIL-31に対する免疫寛容が克服されたことを示す(
図8A及び
図8B)。mIL-5-C-His-Qβをワクチン接種したマウスは、約1:2000の抗IL-5抗体価を確立した(
図8A、黒丸)。mIL-31-C-His-CMVtt830でワクチン接種したマウスは、約1:300の抗IL-5抗体価を確立し(
図8A、灰色丸)、mIL-5-C-His-Qβ/mIL-31-C-His-CMVtt830組み合わせワクチンを接種したマウスは、約1:1000の抗IL-5抗体価を確立し(
図8B、黒丸)、かつ約1:200の抗IL-31抗体価を確立した(
図8B、灰色丸)。応答のピーク時の最大半分力価は約1:1,000であった。
【0228】
D.負荷耳のRNA単離及びcDNA転写
耳の皮膚生検を、-80℃で、トリゾール試薬(Life Technologies)中で保存し、全RNAをDNアーゼI処理及び不活性化を含むハイピュアRNA単離キット(High Pure RNA Isolation Kit)(Roche)を用いて単離した。RNAを、逆転写システム(Promega)を使用してcDNAに転写し、マウスIL-31 mRNAレベル及びハウスキーピングβアクチン遺伝子をPCRによって増幅し、qPCRにより定量化した。
【0229】
E.マウスIL-31&βアクチンqPCR
mIL-31用の遺伝子特異的RT2 qPCRプライマーアッセイ(Qiagen)及びmβアクチン用の遺伝子特異的プライマー(フォワードプライマー:GGCTGTATTCCCCTCCATCG-配列番号30;リバースプライマー:CCAGTTGGTAACAATGCCATGT-配列番号31)を用いる皮膚生検におけるマウスIL-31(mIL-31)マウスβアクチン(mβアクチン)の増幅。PCRを、ファストスタートユニバーサルSYBRグリーンマスター(Roche)を用いて行った。
【0230】
mIL-31-C-His-CMV(グループ1)、CMVtt830 VLP(グループ2)、mIL-5-C-His-Qβ&mIL-31-C-His-CMVtt830組み合わせ(グループ3)のいずれかをワクチン接種したovaアレルギーマウスのova負荷耳におけるマウスIL-31 mRNA発現レベルが示されている。第2のCMVtt830 VLPワクチン接種グループ4に、ovaの代わりにPBS対照で負荷した。mIL-31に対するワクチンを接種したマウスのova負荷グループ、mIL-31-C-His-CMVtt830のみを用いてワクチン接種したグループ1又はmIL-5-Qβ&mIL-31-C-His-CMVtt830組み合わせを用いてワクチン接種したグループ3のいずれかは、ova負荷耳において低いmIL-31 mRNAレベルを示した。PBS対照で負荷したCMVtt830 VLPワクチン接種グループ4のmIL-31 mRNAレベルと同等であった。対照的に、グループ2のova負荷耳を有するCMVtt830 VLPワクチン接種マウスは、mIL-31 mRNA発現の増加を示した。そのため、mIL-31に対するワクチン接種は、ovaアレルゲン負荷時に、皮膚においてmIL-31発現を効率的に低下させた(
図8C)。
【0231】
E.抗アレルゲン(Ova)IgE及びIgGレベル
IgE:Maxisorp 96ウェルELISAプレート(Nunc)を、50μlの抗マウスIgEモノクローナル抗体(3μg/ml)で一晩コーティングした。プレートをPBSTで3回洗浄し、室温で2時間、PBS中の2.5%ミルク粉末でブロッキングした。次いで、プレートをPBSTで3回洗浄し、マウス血清の3倍希釈液をスーパーブロックに添加し、室温で2時間インキュベートした。その後、プレートをPBSTで3回洗浄し、ビオチン化Ova(希釈1:250)と室温で2時間インキュベートした。その後、プレートをPBSTで3回洗浄し、ストレプトアビジン-HRP(Biolegend)を添加した。プレートを、再び、PBSで4回洗浄し、50μl/ウェルの発色液(TMB)を添加した。室温での反応の約2分後に、1ウェルあたり25μlの5% H2SO4でELISAを停止させた。吸光度を、Tecan M200又はTecan Spark分光光度計(Tecan、オーストリア)にて450nmで測定した。
【0232】
IgG:Maxisorp 96ウェルELISAプレート(Nunc)を、50μlの精製Ova(10μg/ml)で一晩コーティングした。プレートをPBSTで3回洗浄し、室温で2時間、スーパーブロック(Thermo Scientific)でブロッキングした。次いで、プレートをPBSTで3回洗浄し、マウス血清の3倍希釈液をスーパーブロックに添加し、室温で2時間インキュベートした。その後、プレートをPBSTで3回洗浄し、HRPとコンジュゲートした抗マウスIgG(希釈1:2000)と室温で30分間インキュベートした。プレートを、再び、PBSで4回洗浄し、50μl/ウェルの発色液(TMB)を添加した。室温での反応の約2分後に、1ウェルあたり25μlの5% H2SO4でELISAを停止させた。吸光度を、Tecan M200又はTecan Spark分光光度計(Tecan、オーストリア)にて450nmで測定した。
【0233】
免疫前血清及びmIL-31-C-His-CMVtt830(グループ1)、CMVtt830 VLP(グループ2及び4)、又はmIL-5-C-His-Qβ&mIL-31-C-His-CMVtt830組み合わせ(グループ3)でさらにワクチン接種したova感作マウスからの22日目の血清(アレルギー性皮膚炎タイムラインの、実験の終点)を採取し、ELISAによって分析した。グループ1~3にはovaアレルゲンで負荷し、グループ4には負荷耳にPBSで負荷した。抗ova IgG(
図8D)及び抗ova IgE(
図8E)抗体価は、異なるグループのマウスのovaアレルゲンに対するアレルゲン感作を示す。マウスの全てのグループは、ovaに対するアレルギー性免疫応答を発症した(
図8D&8E)。
【0234】
F.耳のovaアレルゲン負荷時の耳の膨張
i.p.注射を用いたova感作及びマウスの右耳における皮膚感作の後に、左耳にovaアレルゲン負荷を行った。耳の膨張を、17、18、19、20、21、及び22日目に、耳の厚さを測定することによって定量化した。17日目(負荷の初日)と比較した耳の厚さの増加率を示す(
図8F)。CMVtt830 VLPに対してワクチンを接種し、ova負荷を与えたグループ2は、負荷耳において耳の厚さの連続的な増加を示した(
図8F、三角)。mIL-31-C-His-CMVtt830単独(
図8F、黒丸)、及びmIL-5C-His-Qβ&mIL-31-C-His-CMVtt830組み合わせ(
図8F、四角)をワクチン接種し、ova負荷を与えたグループは、耳の厚さの増加から保護され、CMVtt830 VLPワクチン接種し、PBS対照負荷を与えたグループ(点線)と同等の値を示した。そのため、IL-31又はIL-5又は両方の組み合わせのいずれかに対するワクチン接種は、皮膚感作及び負荷モデルにおいてモデルアレルゲンのovaを用いた場合、アレルゲン負荷時の耳の膨張からマウスを保護した。
【配列表】