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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】複室容器
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/05 20060101AFI20231012BHJP
   B65D 81/32 20060101ALI20231012BHJP
   B65D 77/04 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
A61J1/05 351A
B65D81/32 D
B65D77/04 F
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020019707
(22)【出願日】2020-02-07
(65)【公開番号】P2021122640
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】513141418
【氏名又は名称】エイワイファーマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088731
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 悟
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/103411(WO,A1)
【文献】特開2008-212552(JP,A)
【文献】特開2005-324419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/05
B65D 81/32
B65D 77/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性フィルムの外周部を剥離不能に溶着して袋状に形成し、液状薬剤を収容する少なくとも一つの主隔室を形成する外側容器と;外側容器の外周部に固着され、薬剤を排出するための排出口と;外側容器の幅方向に細長い長方形状をなし、外側容器の内部における排出口との近接側に設置され、可撓性フィルムを剥離可能に溶着して袋状になす封止部を外周に有し、内部に補助薬剤を収容した副隔室を形成した内側容器と;主隔室に近接側の長方形の長辺に封止部に沿って、内側容器と外側容器の対向面同士を高強度にて溶着し、主隔室に収容された液状薬剤部分の外部からの加圧下、主隔室に近接側の内側容器の封止部を開封させる外力付与部と;長方形の対向短辺に封止部に沿って、内側容器と外側容器対向面同士を高強度にて溶着し、外側容器に対する内側容器の封止及び固着を行う内側容器封着部と;外力付与部と内側容器封着部との連接部における主隔室近接側において直下の内側容器封止部の膠着を防止するべく、外側容器と内側容器の対向面同士を低強度にて溶着する弱溶着部と;を具備して成る複室容器。
【請求項2】
請求項1に記載の発明において、内側容器は主隔室に近接側の長方形の長辺に沿って封止部より主隔室内部に向けて延出される張出部を有し、外力付与部は、前記張出部を外側容器の対向内面に剥離不能に溶着することにより構成され、前記弱溶着部は外力付与部の外側容器外周部に向けての延長上に位置する複室容器。
【請求項3】
請求項2に記載の発明において、外力付与部は内側容器の主隔室に近接側の長方形の長辺に沿った封止部に対して主隔室と離間側において被るように配置される又は外力付与部は内側容器の主隔室に近接側の長方形の長辺に沿った封止部と被らないように長方形の長辺に沿った封止部の主隔室近接側に配置される複室容器。
【請求項4】
請求項1に記載の発明において、外側容器は排出口側において内部の幅が狭小化され、内側容器は、外側容器内部の幅が狭小化された部位に設置される複室容器。
【請求項5】
請求項に記載の発明において、内側容器は、長方形の長辺に沿って設けられた開封可能な中間封止部により区画された複数の副隔室を有しており、中間封止部に沿って外側容器と内側容器との対向面を剥離不能に溶着し、中間封止部にその開通のための外力を加える別の外力付与部を具備する複室容器。
【請求項6】
請求項に記載の発明において、中間封止部は、夫々が長辺方向に延び、短辺方向に離間した多数の筋状に構成される複室容器。
【請求項7】
請求項1に記載の複室容器のシール方法であって、外側容器の幅方向に外側容器を挟むように一対設けられた第1のシール金型と、外側容器の両端部の夫々において外側容器の縦方向に外側容器を挟むように一対設けられた第2のシール金型とを備え、第1のシール金型は、外側容器の外周部側両端において対向シール面が離間方向にテーパ状とされ、第2のシール金型は主隔室側端部がテーパ状とされ、第1のシール金型により外力付与部が、次いで、第2のシール金型により内側容器封着部が形成され、第1のシール金型による成形時のテーパ面によるシール部と第2のシール金型による成形時のテーパ面によるシール部とが合体して前記弱溶着部を形成するシール方法。
【請求項8】
請求項に記載のシール方法において、第2のシール金型は、外側容器を構成する合成樹脂フィルムと内側容器を構成する合成樹脂フィルムとが重なった部位でのシール用の高シール面と外側容器を構成する合成樹脂フィルムのみの部位でのシール用の低シール面とを備え、これにより外側容器を構成する合成樹脂フィルムと内側容器を構成する合成樹脂フィルムとが重なった部位と外側容器を構成する合成樹脂フィルムのみの部位との段差に関わらず外側容器と内側容器とを密着させるシール方法。
【請求項9】
請求項に記載のシール方法の実施のためのシール金型であって、第2のシール金型における高シール面の形成のための金型部分と低シール面の形成のための金型部分とは入れ子構造をなすシール金型。
【請求項10】
請求項1に記載の複室容器における内側容器となる輸液容器の製造方法であって、上が開き底が閉じた二つ折りの連続合成樹脂フィルムを間欠的に横送りし、連続合成樹脂フィルムの送り停止状態において、順次、連続合成樹脂フィルムに上部は開口した一連の空洞部の加熱下の成形、開口部より空洞部への薬剤の注入、薬剤注入された空洞部における開口部のシール、及び連続合成樹脂フィルムのカットによる輸液容器の取り出しを行う輸液容器の製造方法。
【請求項11】
請求項に記載の複室容器における内側容器の前記別の外力付与部による内側容器の開通強度調整方法であって、上記中間封止部は、筋状のシール面を呈したシール金型により形成されるものであり、シール面の筋間隔により前記別の外力付与部による中間封止部の開通強度を調節するようにした複室容器における内側容器の開通強度調整方法。
【請求項12】
請求項1に記載の複室容器において、主隔室に近接した前記外力付与部(第1外力付与部)より排出口側において、内側容器の封止部を外力下開封するべく外側容器と内側容器の対向面を剥離不能に溶着する別の外力付与部(第2外力付与部)を具備しており、シール金型による合成樹脂フィルムの外周に沿った剥離可能溶着による内側容器の封止部の形成に際して、第1外力付与部により開封される封止部の部位と、第2外力付与部により開封される封止部の部位とで、シール金型における金型加熱部材との距離を違えることにより第1外力付与部及び第2外力付与部の夫々による内側容器の封止部の開通強度を調節するようにした内側容器の開通強度調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は輸液等に使用するための可撓性(軟弱)合成樹脂フィルムよりなる袋状物として構成され、内部を開通可能な隔壁により仕切ることにより、多種類の薬剤を個別に収納するようにした複室容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
術後の患者等のための高カロリー輸液用の輸液バッグ(複室容器)として、合成樹脂フィルムを素材として、混合により経時的な品質の変化のおそれがあるアミノ酸を含む液状薬剤と、ブドウ糖を含む液状薬剤とを弱シール部(隔壁)により区画された別個の隔室に分離収容しておくものが近年は広く採用されている。輸液時(患者への薬液投与)直前に一方の隔室の薬液収容部分を外部より加圧することで輸液バッグを弱シール部との接続部において拡開変形させて弱シール部に外圧を加えることで、隔室間を分離する弱シール部の剥離及び双方の薬剤の混合に至らしめ、輸液に供することができる。このような2液混合型の輸液バッグの改良として、長期にわたり輸液を継続する患者のためビタミン等の微量栄養素の補給のため、ブドウ糖とアミノ酸をそれぞれ含む2室と微量栄養素が収容された小型の袋状体を備えたものが提案されている(特許文献1、2)。輸液バッグは、矩形形状をなし、合成樹脂フィルムにて形成された上下の二つの主隔室を形成した外袋 (外側容器)と容器本体内部に収容された内袋(内側容器)とからなり、内袋は外周が対向面にて剥離可能溶着により封止され、内部の副隔室にビタミン等の少量薬剤が収容される。上下の二つの主隔室は剥離可能シールとしての第1の隔壁により分離されている。第1の隔壁は外袋を薬液収容部分において外部から加圧することにより開通されるが、内袋の開封を惹起させるため、内側容器の主隔室側(排出口から離間側)の内袋の封止部に沿って外袋と内袋との対向面に剥離不能に固着する強シール部よりなる外力付与部が設けられる。内袋は外袋に対する挿入構造となっているが、挿入部分に不可避的に生ずる隙間部分を埋めシール性を確保するため、強シール部は内側容器の外側容器の外周部近接側(内側容器の側面側)にも設けられ、外袋に対し内袋は封着構造なっており、主隔室側における内袋の封止部が第1の隔壁の開通に後続して開通される第2の隔壁を構成している。
【0003】
また、内袋は異なった微量成分の収容のため上下を分ける隔壁を備えた2室構造となっており、第1及び第2の隔壁の順次開通に内袋を上下に分けるこの隔壁(第3の隔壁)を開通させ、内袋の排出口側の外力付与部(第4の隔壁)を最後に開通させることにより、主隔室の薬液を混合させ、かつ、内袋の上下の副隔室の微量薬剤と混合させ、最終的に排出口から排出するようにしている。
【0004】
また、特許文献1は連続フィルムを縦送りしながら、隔室となる空洞部を加熱下型成形し、空洞部に少量薬剤を充填・封止してなる内側容器の製造方法も提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6564491号公報
【文献】特許第4822860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1においては、外袋の上下の主隔室間に、第1の隔壁を形成し、かつ主隔室と内袋の副隔室の完全分離のため、前記のように、内袋の主隔室近接側封止部(弱シール部)に沿って内袋の外面と外袋の対向内面とを剥離不能に溶着し、外力付与部となる強シール部が内袋をその側面部において外側容器の外周部に封着する強シール部まで延設され、第2隔壁を構成する構造となっている。第1隔壁の開通圧と比較して第2隔壁の開通圧力を大きくし、内袋の上下の主隔室を分離する第1隔壁を最初に開通させ、上下の主隔室間での薬液を混合し、加圧の更なる継続により第2隔壁を開通させ、混合薬液に対して少量薬剤を混合させる仕組みである。ところが、特許文献1の構造は、内袋の外力付与部となる強シール部が、内袋の側辺部の外袋の外周部に対する封着のための強シール部まで延設され、強シール部同士が接続される構造であり、強シール部の形成時におけるシール金型の熱及びシール圧の影響により接続部の直下において内袋の弱シール部が膠着され剥離性を喪失若しくは実質的に喪失し得ていた。これは、内袋の開口可能な弱シール部長を短縮せしめ、他方、弱シール部開通のための外力の大きさは変わらないため、弱シール部に相対的に大きな力が加わり、膠着部との境界の部分では応力集中により、より大きな力が加わる。また、内袋はサイズが小さいため、弱シールの有効長はそもそも大きくとれないため、応力集中の影響はより大きくなるため、合成樹脂フィルム(膠着部およびその周辺部)の破断による液漏れを生ずる懸念があった。
【0007】
また、複室容器は薬液の流れ方向において、主隔室間の第1隔壁、主隔室を内側容器と分離する第2隔壁、内側容器の上下隔壁間を分離する第3隔壁、内側容器の排出口側の封止部である第4隔壁との4隔壁を備え、これらの隔壁を所期の順序にて開通させることにより薬液を順次混合させ、排出口より排出するように意図されているが、従来のシール型によるシール構造では開通強度を意図した開通順序となるように調整することが困難であった。
【0008】
また、特許文献1に記載の連続フィルムの縦送りによる内側容器の製造では連続フィルムの移送速度に限界があり、製造工程上のネックとなっていた。
この発明は以上の問題点の解決のためなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の複室容器は:可撓性フィルムの外周部を剥離不能に溶着して袋状に形成し、液状薬剤を収容する少なくとも一つの主隔室を形成する外側容器と;外側容器の外周部に固着され、薬剤を排出するための排出口と;外側容器の内部における排出口との近接側に設置され、可撓性フィルムを剥離可能に溶着して袋状になす封止部を外周に有し、内部に補助薬剤を収容した副隔室を形成した内側容器と;主隔室に近接側の内側容器の封止部に沿って、外側容器と内側容器の対向面同士を高強度にて溶着し、主隔室に収容された液状薬剤部分の外部からの加圧下、主隔室に近接側の内側容器の封止部を開封させる外力付与部と;外側容器の外周部に近接した内側容器の封止部に沿って外側容器と内側容器の対向面同士を高強度にて溶着し、外側容器に対する内側容器の封止及び固着を行う内側容器封着部と;外力付与部と内側容器封着部との連接部における主隔室近接側において直下の内側容器封止部の膠着を防止するべく、外側容器と内側容器の対向面同士を低強度にて溶着する弱溶着部と;を具備して構成される。
【0010】
内側容器は扁平な実質的に長方形状をなし、外力付与部(第1外力付与部)は主隔室に近接した長方形の長辺に沿って設けられ、内側容器封着部は外側容器外周部に近接した長方形の対向短辺に沿って設けることができる。内側容器は、長方形の長辺に沿って設けられた開封可能な中間シールにより区画された複数の副隔室を有しており、中間シールに沿って外側容器と内側容器との対向面を剥離不能に溶着し、中間シールにその開通のための外力を加える第2外力付与部を具備することができる。そして、中間シールは、夫々が長辺方向に延び、短辺方向に離間した多数の筋状に構成することができる。
【0011】
複室容器の外力付与部及び内側容器封着部の形成のため、外側容器の幅方向に外側容器を挟むように一対設けられた第1のシール金型と、外側容器の両端部の夫々において外側容器の縦方向に外側容器を挟むように一対設けられた第2のシール金型とを備え、第1のシール金型は、外側容器の外周部側両端において対向シール面が離間方向にテーパ状とされ、第2のシール金型は主隔室側端部がテーパ状とされ、第1のシール金型により外力付与部が、次いで、第2のシール金型により内側容器封着部が形成され、第1のシール金型による成形時のテーパ面による弱シール部と第2のシール金型による成形時のテーパ面による弱シール部とが合体して弱溶着部となるシール方法が提供される。第2のシール金型は、外側容器を構成する合成樹脂フィルムと内側容器を構成する合成樹脂フィルムとが重なった部位でのシール用の高シール面と外側容器を構成する合成樹脂フィルムのみの部位でのシール用の低シール面とを備え、これにより、外側容器を構成する合成樹脂フィルムと内側容器を構成する合成樹脂フィルムとが重なった部位と外側容器を構成する合成樹脂フィルムのみの部位との合成樹脂フィルムの枚数の相違に基づく段差に関わらず、外側容器と内側容器とを密着シールするようにされる。第1のシール金型と第2のシール金型とは入れ子構造とすることができる。
【0012】
本発明の輸液容器の連続製造のため、上が開き底が閉じた二つ折りの連続合成樹脂フィルムを間欠的に横送りし、連続合成樹脂フィルムの静止状態において、順次、連続合成樹脂フィルムに上部は開口した一連の空洞部を加熱下の成形、開口部より空洞部への薬剤の注入、薬剤注入された空洞部における開口部のシール、及び連続合成樹脂フィルム切断による輸液容器の取り出しを行うことができる。
【0013】
また、複室容器において、内側容器に,幅方向に延びる開通可能な隔壁と、隔壁により区画され、縦方向に並び、夫々が幅方向に延びる複数の副隔室を形成させ、隔壁の真上に沿って内側容器の外面とこれに対向する外側容器の内面とを剥離不能に溶着する第2外力付与部を設け、内側容器の上記隔壁は、筋状のシール面を呈したシール金具により形成されるものであり、シール面の筋間隔により第2外力付与部により加わる外力下の隔壁の開通強度を調節することができる。
【0014】
更に、内側容器がその封止部の別々の部位において、第1外力付与部、第2外力付与部により開封される場合に、第1外力付与部により開封される内側容器の封止部の部位と、第2外力付与部により開封される内側容器の封止部の部位とで、シール金型における金型加熱部材との距離を違えることにより第1及び第2の夫々の外力付与部の開通強度を調節するようにすることができる。
【発明の効果】
【0015】
弱溶着部を設けることにより、外力付与部と内側容器封着部との連接部における主隔室近接側おいて、外側容器と内側容器との対向面の溶着が低強度となり、その直下における内側容器の封止部の膠着を防止し、開封性が損なわれないため、内袋の開封時に封止部の付け根の部位にどうしても生ずる応力集中を緩和することができるため、フィルムの破れ及びそれに伴う液漏れの防止を実現することができる。
【0016】
外力付与部と内側容器封着部とを別々のシール金具により形成することにより、夫々のシール金具端部のテーパ部という単純な構成により弱シール部となる弱溶着部を形成することができる。また、シール金具の入れ子構造により、外側容器の外周部と内側容器の収容部位とで段差があっても、シール面の密着が得られ、液漏れを防止することができる。
【0017】
内側容器の隔壁を構成するシール金具のシール面を凹凸状とすることにより筋状のシール面とすることにより、シール温度のみではでき難い隔壁の開通強度の微妙なコントロールが実現可能となり、複数の隔壁を備えた複室容器において複数の隔壁間での所期の開通順序をより確実に得ることができる。
【0018】
また、内側容器を構成する合成樹脂フィルムの剥離可能溶着による封止部の形成の際に、外側容器から加わる外力により開封される封止部の異なった部位において、シール金具の加熱部材(ヒータ)からの距離を適宜異ならせることにより、異なった封止部の部位において夫々の最適な開封強度を得ることができる。
【0019】
横送りによる内側容器の連続製造により、送りピッチが短縮し、サイクルタイムが短縮し、より効率的な生産が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1はこの発明の実施形態における輸液バッグの平面図である。
図2図2図1の輸液バッグの縦断面図(図1のII-II線に沿った矢視断面図)である。
図3図3図1の輸液バッグの緯断面図(図1のIII-III線に沿った矢視断面図)である。
図4図4はこの発明の実施形態における輸液バッグにおける内袋の平面図である。
図5図5図4の内袋の製袋工程ラインを模式的に示す図である。
図6図6図5の製袋ラインにおける第1シール金型の横断面図(図5のVI-VI線に沿う断面図)である。
図7図7図5の製袋ラインにおける第2シール金型の横断面図(図5のVII-VII線に沿う断面図)である。
図8図8は第2シール金型のシール面の正面図 (図7のVIII-VIII線より見た矢視図)である。
図9図9図5の第2ステーションBにおける1サイクルタイムにおける動作タイミング図である。
図10図10はこの発明の実施形態における複室容器の外袋の製袋工程における内袋挿入準備状態を模式的に示す図である。
図11図11図10と同様であるが外袋を構成する合成樹脂フィルムに挿入し第1長辺方向強シールの形成後の状態を模式的に示す図である。
図12図12図11の第1長辺方向強シールのためのシール金型を示す図(図11のXII-XII線に沿う断面図)である。
図13図13図12のシール金型によるシール後の外袋に対する内袋のシール後の第1長辺方向強シールにおいて、その左側端部における合成樹脂フィルム間の溶着状態を模式的に示す断面図である。
図14図14図10と同様であるが、第1、第2短辺方向強シール及び第2長辺方向強シールの形成後の状態を示す。
図15図15図14のシール金型の型開き状態でかつ中間に被シール部を挟んだ状態で示す断面図 (図16のXV-XV線に沿った矢視断面図)である(被シール部についてはシール金型による溶着が行われた後の状態を示す)。
図16図16図14のシール金型のシール面に平行な一面での断面図(図15のXVI-XVI線に沿った矢視断面図)である。
図17図17は、図1のA部拡大図である。
図18図18は、シール金型によるシール形成後の第1短辺方向強シールの部位における溶着部の模式的断面図(図16又は図17のXVIII-XVIII線に沿った矢視断面図)であり、型開き状態でのシール金型との位置関係も模式的に示している。
図19図19は、同じくシール金型によるシール形成後の弱溶着部における溶着部の断面図(図16又は図17のXIX-XIX線に沿った矢視断面図)であり、型開き状態での金型との位置関係も模式的に示している。
図20図20図11と同様であるが、第1長辺方向強シールの形状を図11のそれと幾分変更した別実施形態を示す。
図21図21図14と同様であるが、図20の別実施形態における第1、第2短辺方向強シール及び第2長辺方向強シールの形成を示す。
図22図22は別実施形態における完成状態の輸液バッグの平面図である
【発明を実施するための形態】
【0021】
[輸液バッグの全体構成]
図1はこの発明の実施形態としての輸液バッグ(本発明の複室容器)の全体の平面図を示しており、輸液バッグは扁平な外袋10(本発明の外側容器)と、外袋10の内部に収容された扁平な内袋12(本発明の内側容器)とを備える。図1において、内袋12に付した破線の引き出し線は、透明のため、その指示された部材が外から見えるが外袋10の内側に位置していることを示す。外袋10はインフレーション等により成形され、送り方向の中心で二つ折りにされた厚さ300μmといったポリエチレンフィルムなどの多層構造の合成樹脂軟質フィルムを素材とする。合成樹脂フィルムは二つ折りにされたものがロール状とされ、ロールから引き出された二つ折りの合成樹脂フィルムは外袋の輪郭に沿って切り出されることで、一対の合成樹脂フィルム片14, 15 (図2及び図3参照)とされる。外袋10を構成する一対の合成樹脂片フィルム14, 15は外に沿って全周に亘り剥離不能に溶着された外袋周縁シール(本発明の外側容器の外周部)16を構成する。外袋10を構成する上下合成樹脂フィルム片14, 15は外袋10の高さ方向の中間部において、対向内面同士が剥離可能に溶着されることにより全幅に延びる弱シール部18を形成しており(図2も参照)、弱シール部18は外袋10の内部を第1主隔室20及び第2主隔室22に区画する外力下開通可能な隔壁の機能を達成し、後述のように第1隔壁54と称される。
【0022】
図1において、第1主隔室20は高さ方向の中間部を省略して図示しているが、実際においては、第2主隔室22より幾分容積が大きくされる。そして、輸液バッグが高カロリー輸液用の場合は、第1主隔室20にはブドウ糖等を含有する薬液が、第2主隔室22にはアミノ酸等を含有する薬液が夫々収容され、外袋10における輸液部分の加圧による外力により第1隔壁18は開通され、第1主隔室20及び第2主隔室22の薬液は混合に至らしめられる。
【0023】
外袋周縁シール16における下辺部分には排出口24が、上辺部分には混注口26が、外周面の全周にて外袋周縁シール16を構成する樹脂シート片の対向部位16-1, 16-2間に密封されるように取り付けられる(図2も参照)。排出口24は合成樹脂を素材とする実質的に筒形状の成形品としての筒状部材より成り、内端(図1の上端)側は輸液バッグ内部(後述排出室59)に開口しており、外端(下端)側の拡径部の内径部分に封止用のゴム栓28が装着される。排出口24のゴム栓28は、輸液時は、周知のように、輸液セットの穿刺針により穿刺され、輸液バッグの薬剤を排出することができる。また、混注口26も合成樹脂を素材とする実質的に筒形状の成形品であり、下端は輸液バッグ内部(第1主隔室20)に開口し、外部に位置する上端における拡径部の内径部分に封止用のゴム栓30が装着され、混注時にゴム栓30を穿刺することにより、混注薬剤を輸液バッグ中の薬剤に混注することができる。
【0024】
内袋12(内側容器)は高カロリー輸液用の場合はビタミン等の補助薬剤を収納するためのものである。内袋12は細長い長方形をなし外袋10の内部における下側主隔室22と排出口18との間に配置されている。内袋12は素材としては厚さ100μmといった多層ポリエチレンフィルム等により構成され、耐薬品性のための薬剤と直接接触する特殊な表面層を備えたものとすることができ、例えば、微量薬剤がビタミンの場合は多層ポリエチレンフィルムより成る基材層の上に環状ポリオレフィン系樹脂(COP)表面層(内袋12の内面となる層)を形成することができる。基材層を構成するポリエチレン層とCOP樹脂層とは樹脂間の強い親和性により、インフレーション成形による加熱下で強固に一体化した状態で袋状に成形することができる。そして、COP樹脂層は融点が200℃程度であり、基材ポリエチレン層の120℃といった融点より、高い融点を持っている。内袋12はこの高い融点のCOP樹脂層を向かい合わせにし、後述のように熱成形により得られる凸形状成形部(固定形状部)を反対方向に対向するように重ね合わせ、対向する凸形状部間に夫々補助薬剤を収納するための副隔室を2列(後述の第1副隔室32及び第2副隔室34)に形成して構成される。図2及び図3は内袋12を外袋10内部に設置した状態を示すが内袋12を形成する上下の対向フィルム片36, 37間での反対方向に突出した凸形状の成形部の形状が示されている。
【0025】
図4の単品図によって内袋12の構造を更に詳細に説明すると、内袋12は長辺の長さL、短辺の長さMの長方形をなす。内袋12は図2及び図3において36, 37にて示す一対の対向合成樹脂フィルム片の外周部での剥離可能溶着構造として構成される。内袋12は外袋10の幅方向に細長い長方形をなしており、内袋12を構成する上下のフィルム片36, 37(図2及び図3)は全外周部において剥離可能に溶着され、内袋外周シール38(本発明の内側容器の封止部)を形成する。内袋外周シール38は、図4において、上側の第1長辺部(主室側長辺部)38-1と、下側の第2長辺部(排出口側長辺部)38-2と、左側の第1短辺部38-3と、右側の第2短辺部38-4と、第1長辺部からの上方(外袋10の主隔室22側)への張出部38-5と、から構成される。第1短辺部38-3及び第2短辺部38-4は、上下の仕切り用の剥離可能溶着部である中間シール40(本発明の中間封止部)により連結され、中間シール40により内袋12内部に第1副隔室32及び第2副隔室34(図2及び図3参照)が画成される。後述の製造方法において詳細に説明するように、内袋12の製袋は、二つ折りの連続合成樹脂シートを横送りし、横送りされる二つ折りの連続合成樹脂シートに、上側の開口部を除いた三方(第1長辺部38-1と、第2長辺部38-2と、第1短辺部38-3となる部分)を封止しつつ上側は開口した空洞部(第1副隔室32及び第2副隔室34となる部分)を一連に形成し、上側の開口部よりビタミン等の少量薬剤を空洞部に順次注入し、その後開口部(第2短辺部38-4となる部分)を封止し、第1副隔室32及び第2副隔室34に形成する仕組みにより行われる。後述のようにシール長を大きくとるため、第2短辺部38-4は第1副隔室32側及び第2副隔室34側内縁38-4’が屈曲された形状となっており単純な内縁形状の第1短辺部38-3とは異なっている。また、張出部38-5は、図2に示す外袋10への内袋12の装着状態では、外袋10の第2主隔室22内に延出され、外袋10の対向面に少なくとも内袋12側は剥離不能に溶着され(第2主隔室22内への延出部全体に亘り溶着でも良い)、この構造は、第1隔壁18の開通のための外力による対向部分14, 15の拡開変形(外袋10の膨れ)を、内袋12を構成する対向フィルム36, 37に効率的に伝達させ、内袋外周シール38の確実な開通のため役立たせることができる。また、図4において、紙面の上下に対向した張出部38-5間は半円形状のポイントシール41により適当な間隔をおいて剥離可能溶着されており、これは、輸液バックの組み立て工程における内袋12の取扱い時に、張出部38-5が開いてしまい内袋外周シール38が意図せずに開通されてしまうことを阻止することに役立てることができる。外袋10への内袋12の装着状態(図2)では、ポイントシール41は剥離されており、これは、張出部38-5が外袋10の対向内面に剥離不能溶着(図2)されることによりポイントシール41に外力が加わることによる。図4において、上下の仕切り用の剥離可能シールである中間シール40は、内袋12の製造過程における後述の熱シール時に、それぞれが長軸方向に延びる多数の溝を形成したシール面(図6の66-6, 68-6)を使用してシールが行われ、そのため、シール面には各々が長軸方向に延び、短軸方向に間隔をおいた筋状非溶着部(図4)が形成される。筋状非溶着部の形成により、筋状非溶着部の数や間隔の調整により、外袋10と後述の第2長辺方向強シール48により一体化時に、シール強度の微妙なコントロール(隔壁としての剥離可能シールの所期の開通順序)を可能とする。中間シール40の筋状部分によるシール強度のコントロールについては後で詳述する。
【0026】
内袋12の第1短辺部38-3及び第2短辺部38-4は第1長辺部38-1を越えて図4の上側 (内袋12の外袋10内部への装着状態(図1)では主隔室22側)に、夫々、38-3a及び38-4aにて示すように延出しており、この延出部38-3a及び38-4aは張出部38-5の図4左右への延長上に位置される。図2において、張出部38-5は外側容器の対向内面に剥離不能に溶着され、そのため、後述のように外力下内袋12を開封に至らしめるが、付け根の部分である延出部38-3a及び38-4aにおいては、後述のようにフィルムの破損及びそれに伴う液漏れの防止のため外袋10の対向内面と図1に示す後述弱シール部50, 52(本発明の弱溶着部)によって溶着されている。
【0027】
図1図3を参照して外袋10内における内袋12の取付構造について更に説明すると、外袋10の外袋周縁シール16は第2主隔室22の下端側において溶着幅が徐々に広げられ、その結果第2主隔室22の幅は下端に向け徐々に狭められ、内袋両端保持部16-3, 16-4を形成し、内袋12は外袋10内部における内袋両端保持部16-3, 16-4間に位置される。外袋10の内面と内袋12の外面間は、シール幅d(図1)で剥離不能に溶着する第1長辺方向強シール (本発明の(第1の)外力付与部) 42と、シール幅eで剥離不能に溶着する第1、第2短辺方向強シール44, 46(本発明の内側容器封着部)と、シール幅kで剥離不能に溶着する第2長辺方向強シール (本発明の別の(第2の) 外力付与部)48とが設けられる。第1長辺方向強シール42、第1、第2短辺方向強シール44, 46、及び第2長辺方向強シール48は、本発明のこの実施形態では、いずれもポリエチレンフィルム同士の溶着であり、溶着温度は170℃程度であり、外袋10と内袋外周シール38のCOP樹脂層同士の剥離可能溶着温度200 ℃程度より相当低い。第1長辺方向強シール42は、内袋外周シール38の第1長辺部38-1から張出部38-5にかけて上下が少し被るように(張出部38-5とのみ重なるようにしても良い)、第1長辺部38-1の全長に亘り配置され、第1長辺方向強シール42は内袋両端保持部16-3, 16-4に向けて外袋10の幅方向に延設される。第1長辺方向強シール42のシール幅d、即ち、第1長辺方向強シール42を形成するシール金型の加熱面の幅は、内袋外周シール38の第1長辺部38-1との重なりが僅かであるか又は全然重ならないかである。そして、第1長辺方向強シール42のシール温度170℃は内袋外周シール38のシール温度200℃より低い。しかしながら、第1長辺部38-1の全長に沿って、第1長辺方向強シール42が設けられため、後述の通り、第1長辺方向強シール42の成形時のシール金型の熱の影響により、第1長辺部38-1の開通強度は図4の内袋12のままの時の開通強度より相当高まる。そして、第1長辺方向強シール42を形成するシール金型のシール面は張出部38-5の殆ど全幅で重なっており、シール金型の低い温度により張出部38-5の外袋10の対向との剥離不能溶着が行われ、他方張出部38-5の対向内面間はCOP樹脂層同士であるため、第1長辺方向強シール42のシール温度170℃では溶着がされず、図2のように分離されたままである。
【0028】
図1において、第1、第2短辺方向強シール44, 46は、外袋10の内面と内袋12の外面とのポリエチレンフィルム同士の強溶着であり、そのシール金具のシール温度は第1長辺方向強シール42の形成のためのシール金具の温度と同じである。内袋外周シール38の、夫々、第1短辺部38-3、第2短辺部38-4と上下が重なるように配置されている(図3は右側の第2短辺方向強シール46が内袋外周シール38の第2短辺部38-4と重なる状態を示す)。外袋10内に内袋12を装着した状態において第1、第2短辺方向強シール44, 46の部位では外袋10の上下2フィルムと内袋12の上下2フィルムが重なって4枚構造であり、外袋外周部では外袋10の上下2フィルムであり、図3に第2短辺方向強シール46について示すように段差が生ずるが、後述するように、シール金型を入れ子構造(図15)とすることにより、段差部分を埋め対向面同士が密着され、外袋10と内袋12間のシール性を確保するようにしている。
【0029】
図1において、第2長辺方向強シール48は第1、第2短辺方向強シール44, 46間を一体に接続するべく外袋10の内面と内袋12の外面間を剥離不能に溶着し、かつ内袋外周シール38の中間シール40に沿ってその真上に位置され、外力による中間シール40の開通のため設けられる。第2長辺方向強シール48は中間シール40の真上に重なっており、第2長辺方向強シール48のシール時の熱影響による中間シール40の開通力への影響があり、中間シール40の開通圧に対する影響の制御のため、後述するように、中間シール40は非溶着部を筋状にならべた構造になっており、かつ第2長辺方向強シール48のシール幅kは中間シール40のシール幅より相当狭くなっている。
【0030】
後述のシール工程の説明で詳述するが、図1において、第1長辺方向強シール42の両端と、第1、第2短辺方向強シール44, 46の上端との交差部(交差鎖線にて示す領域(図1のA部拡大図である図17も参照))は、その内側に(真下に)内袋外周シール38の第1短辺部38-3及び第2短辺部38-4の延出部38-3a及び38-4a(図4も参照)が位置しており、外袋10の内面と内袋12の延出部38-3a及び38-4aの外面との溶着は弱シール部50, 52(本発明の弱溶着部)となっている。延出部38-3a及び38-4aは内袋12の張出部38-5の延長上にあり、仮に交差部まで強シールとすると、直下に位置する延出部38-3a及び38-4aは強シールのためのシール金型の熱及び加圧力の影響によりシール面の膠着が生じ、そのため外力による内側容器12の内袋外周シール38の第1長辺部38-1(第2隔壁)の有効な開封長が膠着部分の分だけ短縮する。そして、本実施形態では、内側容器12は外袋10の周縁シール16の内袋両端保持部16-3, 16-4間の狭隘部分に設置されており、内袋外周シール38の第1長辺部38-1の長さ自体が短縮されている構造となっていることもあって、内袋12の開封時に開封部の付け根の部分aに不可避的に働く応力集中も相対的に大きくなり、開封時にa部分において、合成樹脂フィルムの破裂及びそれに伴う薬液の漏洩の恐れがあった。これを防止するため、本発明では、後述するように、第1長辺方向強シール42を形成するシール金具のシール面の両端部及び第1、第2短辺方向強シール44, 46を形成するシール金具のシール面の主隔室側端部(内袋12の封止部38の第1短辺部38-3及び第2短辺部38-4の延出部38-3a及び38-4aの直上部分)がテーパ状(図12のテーパ面89a, 80b及び図15のテーパ面86-1b)にされ、これにより、図1の交差鎖線領域において外袋10の内面と内袋12の対向面を弱シール部50, 52としている。弱シール部50, 52とすることにより、内袋外周シール38の直下の部位である延出部38-3a及び38-4aが直上からのシール時(第1長辺方向強シール42及び第1、第2短辺方向強シール44, 46の形成時)の金型の熱及び加圧の影響が緩和されるため、シール面の膠着が防止され、内袋外周シール38は延出部38-3a及び38-4aまで開封することができるため、付け根の部分に働く応力集中がその分緩和されるため、合成樹脂フィルムの破れや薬液の漏洩を防止することができる。
【0031】
[輸液バッグの多段隔壁構造]
次に、本実施形態の輸液バッグにおける輸液バッグの多段隔壁構造について説明すると、本実施形態の輸液バッグにおいては、以下説明する4か所の開通可能シールとしての隔壁を順次開通させることにより、第1,第2主隔室20, 22の薬剤を混合させ、混合薬剤に内袋12の第1副隔室32の少量薬剤、そして第2副隔室34の少量薬剤を混入させ、最終的に排出口24から排出させている。
【0032】
図1において、外袋10を構成するポリエチレン対向部分14, 15の剥離可能シール18(図2)は外袋10内部を第1,第2隔室20, 22に分離し(図2も参照)、第1又は第2隔室20, 22において輸液収容部分を外部から加圧することにより、剥離可能シール18は開通し、剥離可能シール18は第1隔壁54を構成する。
【0033】
内袋外周シール38の第1長辺部38-1は第1短辺部38-3、第2短辺部38-4まで延設され、第1短辺部38-3、第2短辺部38-4に沿って第1、第2短辺方向強シール44, 46は外袋10と内袋12との対向面を溶着し、かつ第1、第2短辺方向強シール44, 46は第1長辺方向強シール42とも連接し、外袋10と内袋12の隙間や段差も埋められているため(図3参照)、内袋外周シール38の第1長辺部38-1は、主隔室22を内袋12の第1副隔室32側に分離すると共に、第1長辺方向強シール42の開通時に第1長辺方向強シール42から加わる外力により開通可能な第2隔壁55(図2)を形成する。内袋12の中間シール40は内袋外周シール38の左右の短辺部38-3, 38-4まで延設されており、第1及び第2副隔室32, 34間を分離し、かつ中間シール40に沿って、第2長辺方向強シール48は外袋10と内袋12の対向面同士を剥離不能に溶着しており、中間シール40は第2長辺方向強シール48より加わる外力によって開通可能な第3隔壁56(図2)を構成する。そして、排出口24に最近接した内袋外周シール38の第2長辺部38-2が第4隔壁57を構成し、第4隔壁57は、直上に開封用の強シール部を持たないが、強度としては後述のように4本の隔室うち最弱となっているため、近接する第2長辺方向強シール48からの外力が第3隔壁56を開通させると同時に開通する。これらの第1から第4隔壁は、外袋10(通常は容積が最大となる第1主隔室20)の輸液部分の加圧により開通可能であるが、夫々の溶着強度の後述の調整により第1隔壁54、第2隔壁55、第3隔壁56及び第4隔壁57の所期の開通順序を維持しつつ確実に開通させることができ、この点については、後に開通強度の測定データを併せて説明する。
【0034】
本実施形態における外袋10内における内袋12の装着状態では、図2において、内袋12の外側の空間58は、縦方向では、強シール部42, 48間に位置され、幅方向は左右の強シール部44, 46間に位置され、外部に完全に遮断された構造となっており、換言すれば空間58には空気のみが存在することができる。即ち、内袋12は空間58を“貫通”し、第3隔壁56(内袋12の中間シール40)より排出口24側における内袋12の外側の空間59(以下排出室)のみが排出口24に開口しているため、空間58は薬液の通過に全く関与しない構成となっている。排出室59は、外袋10の内部空間における内袋12と排出口24間に設けられ、輸液バッグの湿熱滅菌のための注射用水を微量収容することができる。即ち、内袋12の湿熱滅菌は排出室59における滅菌液又はその蒸気接触部位(内袋12の外面)は可能で、空間58内における内袋12の表面部位の滅菌はなし得ないが、空間58の湿熱滅菌ができないことは空間58が外部から完全遮断構造であるから問題はない。
【0035】
[内袋の製袋]
次に、本発明の実施形態における連続合成樹脂フィルム(この実施形態では多層ポリエチレンフィルム)の横送り方式による内袋12の製袋のための装置及びその動作について説明すると、図5において、内袋製造装置は素材である合成樹脂フィルムの移送方向である水平方向(横方向)に順々に配置された5つのステーション(作業位置)、即ち、芯金導入ステーションAと、第1シールステーションBと、薬液注入ステーションCと、第2シールステーションDと、製品取り出しステーションEを備える。内袋12の素材である多層ポリエチレンフィルムより成る基材層の内側に環状ポリオレフィン系樹脂(COP)層を形成した連続ポリエチレンフィルム60は、COP層同士を対向させてインフレーション成形し(チューブの内面部分を60-1, 60-2とする)、連続ポリエチレンフィルム60は、チューブの長手方向上辺部を切断した開口部を上にして、各ステーション.を一定時間間隔T(サイクルタイム)において間欠移動され、薬液を収容した内袋12とされる。
【0036】
芯金導入ステーションAにおいては、図4の内袋12において第1副隔室32及び第2副隔室34となる空洞部の形成のための芯金62, 64(上端が連結板66により一体化されている)の導入を行う。芯金62, 64は初期位置では、芯金導入ステーションにおいて、実線のようにポリエチレンフィルム60から上方に離間して位置しているが、矢印g (下降),g (前進),g (上昇)、g (後退)から成る運動をサイクルタイムTにおいて行う。
【0037】
第1シールステーションBは、図6に示すように、ポリエチレンフィルム60内面の対向部分60-1, 60-2間に配置された円形断面の芯金62, 64と、対向部分60-1, 60-2の夫々を挟んで、ポリエチレンフィルム60の移送方向fと直交する方向に水平移動下記可能に配置された一対のシール金型66, 68と、シール金型66, 68中の夫々の後述位置に埋設されたヒータ70, 72(セラミックヒータ等)を備える。 図6はシール及び隔室形成動作のため、円形断面の芯金62, 64はシール金型66, 68間の所定位置において静止した状態を示す。シール金型66, 68は、夫々が図6の紙面直交方向に延び、反対方向に凹んだ第1の対の長方形状のシール面66-1, 68-1及びシール面66-1, 68-1からフィルム移動方向fに離間し、夫々が図6の紙面直交方向に延び、反対方向に凹んだ第2の対の長方形状のシール面66-2, 68-2を備える。図6においては、第1の対の長方形シール面66-1, 68-1及び第2の対の長方形シール面66-2, 68-2は、夫々、断面円形の芯金62, 64と整列した位置にある。後述のように第1の対の長方形シール面66-1, 68-1は芯金62と協働することにより内袋12の第1副隔室32の薬剤導入部を除いた空洞部分を形成し、第2の対の長方形シール面66-2, 68-2は芯金64と協働することにより内袋12の第2副隔室32の薬剤導入部を除いた空洞部分を形成する。第1シールステーションBの一対のシール金型66, 68は、更に、フィルム移送方向fにおける長方形シール面66-1, 68-1の近接上流側に、夫々が図6の紙面直交方向に延び,一対の対向した平坦面状ダイ部66-3, 68-3を備え、長方形シール面66-2, 68-2の近接下流側に、夫々が図6の紙面直交方向に延びる一対の対向した平坦面状ダイ部66-4, 68-4を形成する。平坦面状ダイ部66-3, 68-3は内袋外周シール38の大隔室側長辺38-1の形成に与り、平坦面状ダイ部66-4, 68-4は内袋外周シール38の排出口側長辺38-2の形成に与る。一対のシール金型66, 68は、更に、平坦面状ダイ部66-3, 68-3のフィルム移送方向fの上流に、図6の紙面直交方向に等間隔に設けられ(図4の内袋12の場合は5個)、夫々がダイ面直交方向からみて楕円形の成形面としての平坦状のダイ部66-5, 68-5を備え、平坦状のダイ部66-5, 68-5は内袋12におけるポイントシール41の形成に与る。図5の138-5は、図4の内袋12において張出部分38-5となる非溶着部分を示す。図示しないが、第1シールステーションBには、図示を省略するが、シール後のポリエチレンフィルムを冷却する冷却金型を備える。
【0038】
シール金型66, 68は、更に、凹部の第1の対66-1, 68-1の間及び第2の対66-2, 68-2の間に対をなし、紙面直交方向に延びる凹凸状のダイ面66-6, 68-6を備える。ダイ面66-6, 68-6は、内袋12における中間シール40の形成に与るものである。ダイ面66-6, 68-6の凹部は、図4に示すようにシール後の中間シール40におけるシール面の各々が長軸方向に延び、短軸方向に間隔をおいたスリット状非溶着部(黒線にて示す)を形成するものであり、スリット状非溶着部の数及び幅の適切設定により、中間シール40を所期のシール強度に調整することが可能となる。即ち、図1に関して既に説明のように中間シール40には第2長辺方向強シール48が重ねて形成され、第2長辺方向強シール48の形成時の金型の対応部分の温度は剥離可能シール(前述のように溶融温度の高いCOP層同士の剥離可能溶着)である中間シール40の成形温度より低いが、外袋10の製袋時、第2長辺方向強シール48の形成のための金型による加圧のため、外部から加わる熱は温度が低くても中間シール40の剥離強度を高める。他方、本実施形態の輸液バックにおいては、前述の4本の隔壁を所期の順序で開通を行わせる要請があり、第2長辺方向強シール48を重ねることにより中間シール40の開通強度が強くなり過ぎることになり、4本の隔壁の開通順序が所期のものではなくなる懸念があるため、第2長辺方向強シール48を重ねることの影響に関わらず、中間シール40の剥離強度が上り過ぎないようにする手段として、中間シール40を幅方向に飛び飛びとして、中間シール40の開通強度における後述の適正値を得ることができる。
【0039】
シール金型66, 68は下端の全長に送り方向fに延びるダイ面66-7, 68-7を有しており、ダイ面66-7, 68-7により内袋の左側短辺38-3となる部分138-3(図5)のシールが行われる。他方、シール金型66, 68は上端の全長に送り方向fに延びるダイ面から後退した面66-8, 68-8を有しており、第1シールステーションBではこの部位ではポリエチレンフィルム60の対向部分60-1, 60-2のシールはされないため、次の薬液注入ステーションCでの薬液の注入口132-1, 134-1(図5)として残される。
【0040】
図6において、セラミックヒータ70, 72は、シール金型66, 68の実質的全高さ(図6の紙面直交方向)に延設されている。セラミックヒータ70, 72は、シール面66-3, 68-3; 66-4, 68-4; 66-6, 68-6との位置関係(ヒータとシール面間の距離)では、輸液バッグの第2隔壁55となる内袋12の外周シール38の第1長辺部38-1の成形のためのシール面66-3, 68-3が一番近くに位置し、第3隔壁56となる内袋12の中間シール40の成形のためのシール面66-6, 68-6が中間の距離にあり、第4隔壁57となる内袋外周シール38の第2長辺部38-2の成形のためのシール面66-4, 68-4が夫々のヒータ70, 72から最も離れて位置する。このような距離の相違は、距離の増大に応じて、開通可能シールのシール強度を変化させ(ヒータ70, 72から離間する程弱いシール強度となり)、かつダイ面66-6, 68-6の凹凸構造による中間シール40のシール強度のコントロールとも相まって、後述の第2隔壁55、第3隔壁56、第4隔壁57間における所期の開通順序のため役立てることができる。
【0041】
図5において、薬液注入ステーションCでは薬液の注入口132-1, 134-1から二つの空洞部への薬剤の注入が行われる。薬液注入ステーションCには、補助薬剤の注入口73, 74が設置され、注入口73, 74は夫々の薬剤ポンプやタンク(図示しない)に接続され、他方、注入口73, 74は第1シールステーションBにて形成された空洞部に向けて、下降すると共に夫々の薬剤の所定量の充填を行い、薬液充填後に上昇移動するように仕組まれている。
【0042】
第2シールステーションDには、薬液注入後の残余の開口部のシールを行う、第2シール金型が設けられる。図7に示すように、第2シール金型74は、空洞部に薬剤の注入がされたポリエチレンフィルム60の上部開口端を挟んで、一対設けられ、図8に示す形状のシール面を形成しており、シール面の形状は薬液注入後の開口部を閉塞することができるものであるが、空洞部132, 134への薬剤の注入によってポリエチレンフィルムの対向部分60-1, 60-2は図7に示すように上端部近くまで膨れている。そのため、下端側のシール面のように単なる矩形のシール面の形状ではシール長が足りず、シール面よりの薬剤の漏洩が懸念される。そこで、第2シール金型74のシール面の薬剤側は図8に示すように入り組んだ形状とすることにより相対的に大きなシール長を得るべく適宜屈曲した形状をなすようにされている。
【0043】
図5において、製品取り出しステーションEは、図示しないが、連続ポリエチレンフィルム60の送り方向の縦カッタ及びポリエチレンフィルム60の下面のトリミングのための緯カッタを備えており、完成した薬剤充填後の内袋12を取り出すことができる。
【0044】
図5において連続ポリエチレンフィルム60の水平移動はサイクルタイムT毎に間欠的に1ピッチ(=図4の内袋12の短辺長P)行われる。サイクルタイムTでの各ステーションA-Eの動作を説明すると、芯金導入ステーションAにおいては、サイクルタイムTでの動作の開始直前芯金62, 64はポリエチレンフィルム60内の規定位置(2点鎖線)おいて静止しており、サイクルタイムTの開始である図9のタイミングチャートにおける時刻tにおいて、ポリエチレンフィルム60は芯金62, 64と共に1ピッチ矢印gのように前進移動され、ポリエチレンフィルム60及び芯金62, 64は、図5に示す第1シールステーションBの所定位置において停止される。図9のタイミングチャートにおける時刻tにおいて、それ以前は図6に示すように離間位置していたシール金具66, 68は向き合う方向に移動され、芯金62, 64はポリエチレンフィルム60の対向部分60-1, 60-2を介してシール金具66, 68の対向した長方形断面形状シール面66-1, 68-1、対向した長方形断面形状シール面66-2, 68-2と、夫々、合体され、内袋12の第1、第2副隔室32, 34となる空洞部132, 134(図5)が形成される。更に、ポリエチレンフィルム60の対向部分60-1, 60-2を介して平坦面状ダイ部66-3及び 68-3、平坦面状ダイ部66-4及び 68-4、平坦面状ダイ部66-5及び 68-6、更には凹凸状のダイ面66-6及び 68-6が合体し、内袋12の第1長辺部38-1及び第2長辺部38-2となる部分138-1及び138-2, 中間シール40となるシール部140、更には、ポイントシール41となる部分141が、夫々、形成される。張出部分38-5となる部分138-5が非シールのまま残される。また、図6の下端の全長に送り方向に延びるダイ面66-7及び 68-7が合体し、図4における内袋12の第1短辺部38-3となるシール部分138-3 (図5)が形成され、他方、図6の上端における対向面66-8, 68-8はシール面から後退しているため、ポリエチレンフィルム60の対向部分60-1, 60-2は非溶着となり、空洞部132, 134への薬液注入用の開口部132-1, 134-1が形成される。次いで、冷却金型により冷却工程(タイミングt)が実施される。このようにして、空洞部132, 134やシール面となる各部の形成が行われる。タイミングtにおいて、シール金具66, 68は型開きのため図6の型開き状態まで離間方向に移動され、片開きに少し遅れてポリエチレンフィルム60から完全抜去される位置まで芯金62, 64は上昇(矢印g)し、芯金62, 64は完全上昇後のタイミングtにおいて矢印g4のように芯金導入ステーションAの上方位置に戻り、tにおいて矢印g5のように所定位置に向け下降する。
【0045】
このようにして、第1シールステーションBにおいて、封止(熱成形)が行われた連続ポリエチレンフィルム60は薬液注入ステーションCに1ピッチ移送され、連続ポリエチレンフィルム60の上面に形成された薬液注入用の開口部132-1, 134-2は、上方に退避位置された薬液注入口73, 74に、夫々、整列位置される。薬液注入口73, 74は、開口部132-1, 134-2を臨む位置まで下降(矢印h)される。薬液注入口73, 74は、夫々の注液パイプ及びポンプ(図示しない)を介して夫々の薬剤タンクに配管接続され、ポンプの所定時間の駆動により、矢印r,sのように薬液注入口73, 74より開口部132-1, 134-2を介し空洞部132, 134に所定量の薬液が収容される。その後、薬液注入口73, 74が退避位置まで上昇(矢印h)され、サイクルタイムの経過により連続ポリエチレンフィルム60は第2シールステーションDまで1ピッチp移動される。
【0046】
第2シールステーションDでは、当初図7のように離間位置していた一対のシール金型74のシール面74-1が向き合うように移動され、シール金型74はポリエチレンフィルム60の対向部分60-1, 60-2を合体するように剥離可能シールし、図4の内袋12の単品図において内袋外周シール38の第2短辺部38-4となるシール部138-4を形成し、全周で密閉された第1、第2副隔室32, 34の形成に至る。シール部138-4は、空洞部132, 134間のシール部140の上端と重なるように延設されているが、空洞部132, 134には薬液注入ステーションCにて薬液が上端部まで注入されているため、ポリエチレンフィルム60の対向部分60-1, 60-2は拡開状態となっている(図7)。シール金型74の合体動作は、ポリエチレンフィルム60の対向部分60-1, 60-2を圧着に至らせるが、シールに先立ちポリエチレンフィルム60が拡開していることは、圧着面の密着性の不十分による第1、第2副隔室32, 34間での薬液の漏洩の懸念がある。この実施形態における一対のシール金型74のシール面74-1の図8に示す空洞部132, 134(シール後は第1、第2副隔室32, 34)側での入り組んだ形状74-2はシール長(図4の38-4’)を延長することになるため、第1、第2副隔室32, 34間での薬剤の漏洩を起こり難くする効果がある。
【0047】
最後の製品取り出しステーションEでは、連続ポリエチレンフィルム60は縦カットラインl-l、トリミングラインl’- l’及び横カットラインm-mにて切断され、完成した内袋12として取り出すことができる。縦カットラインl-lは、この実施例では5個設けられるポイントシール41の真上を通過するように設定され、そのため、完成した内袋12ではポイントシール41は半円形状を呈している。トリミングラインl’- l’は次の製品(内袋12)となる部分の全端縁に沿って位置しており、縦カットラインl-lとの間のフィルム部分60Aがトリミング屑となる。
【0048】
[外袋の製袋]
外袋の製袋は基本的には本出願人による特許文献1のそれと同様に行われ、この明細書においては、本発明に関連する部分について焦点を絞って説明するが、必要に応じ特許文献1の記載を参照されたい。即ち、外袋を形成中の一対の合成樹脂フィルムは横置きに立て掛けられて横送りされ、その後の外袋への薬液の導入も外袋を横置きにして行われる。図10において、上下合成樹脂フィルム(重なっているため1枚に見えるが図10の紙面直交方向に2枚が重なった状態にある)における外袋を構成する輪郭に沿った、完成時には外袋の外袋周縁シール16の一部である強シール部を116にて示し、図1で第1隔壁54となる弱シール18は既に完成している。外周の強シール部は上側でも下側でも欠けているが、左側では図4で説明した完成した内袋12(縦置きとなっている)及び排出口24(図1)の装着及びその後の薬液の注入のため、シール部分116, 118以外の部分は上下が分離された状態にある。右側端部については図示しないが混注口26(図1)の装着及びその後の薬液の注入のための部位において上下が分離された状態にある(図示しない部分については必要あれば特許文献1を参照)。図10において、外袋の排出口装着側となる上下のポリエチレン対向部分110-1, 110-2(図12も参照)に対して内袋12はマニピュレータ(図示しない)によりポイントシール41側、即ち、内袋外周シール38の第1長辺部(主室側1長辺部)38-1が対向するように位置される。マニピュレータは、内袋12を矢印jのように外袋を構成する上下ポリエチレン対向部分110-1, 110-2間の規定位置まで挿入し、挿入後の状態を図11にて示す。規定位への内袋12の挿入が行われた状態において第1長辺方向強シール42の形成が行われる。即ち、第1長辺方向強シール42の成形のためのシール金型80は、図12に示すように、上下で対をなし、そのシール温度は約170℃であり、上下のシール金型80の合体により、外袋10と内袋12との対向ポリエチレンフィルムを剥離不能に溶着する。第1長辺方向強シール42による剥離不能溶着部を図11の傾斜斜線を施した領域として示す。第1長辺方向強シール42は、この実施形態のように、内袋外周シール38における第1長辺部38-1に沿って張出部38-5の直上を外袋の幅方向に延設される。第1長辺方向強シール42は、図11に示ように、内袋外周シール38の第1長辺部38-1にその開通性に影響しない範囲で僅か被っていても良い。図12に示すようにシール金型80のシール面は、内袋12の両端を越えて延びているが、シール金型80のシール面80-1の端80-2, 80-3はテーパ面をなしており、端部側程被シール面から後退しており、シール金型80により形成される第1長辺方向強シール42の両端部分はシール面の温度は強シールとするに十分高くても加圧が足りないためシール強度が徐々に弱化され、弱シール42-1, 42-2(図11の交差斜線領域)となる。そして、弱シール42-1, 42-2は、内袋外周シール38における第1、第2の短辺部38-3, 38-4の延出部38-3a及び38-4a(張出部38-5の延長上に位置する)の直上に位置している。延出部38-3a及び38-4aは弱シール42-1, 42-2の直下に位置しているため、第1長辺方向強シール42の形成時のシール金型80による加圧を受けるが、シール金型80のシール面80-2, 80-3のテーパ形状により加圧力が軽減されるため延出部38-3a及び38-4aの剥離性は影響を受けない。即ち、図13は、シール金型80の図12の左側のテーパ状のシール面80-2によるシール形成部を模式的に示しており、第1長辺方向強シール42は、内袋12の張出部38-5を外袋の対向フィルム面110-1, 110-2に剥離不能に溶着しているが、張出部38-5の対向内面間は非溶着のまま残される(図2も参照)。そして、張出部38-5の延長上にある延出部38-3a との対向面についてはシール金型80のテーパ状の80-2,シール面80-2との弱い圧着故に、外袋10と内袋12との対向面は弱シール42-1となっており、直下の内袋外周シール38の延出部38-4aについてもその開封性は維持され、換言すれば、弱シールのままである。図12の右端側の延出部38-4aについても図示はしないが延出部38-3aと同様であり、シール金型80のテーパ状のシール面80-3間の弱い圧着故に、外袋10と内袋12との対向面は弱シール42-2となっており、直下の内袋外周シール38の延出部38-3bについてもその開封性は維持され、換言すれば、弱シールのままとなる。弱シール42-1, 42-2の外側についてはシール面80a, 80bと係合しないから、対向フィルム面110-1, 110-2は非溶着のままである。
【0049】
次に、図1に示す外袋周縁シール16(内袋両端保持部16-3, 16-4)の、第1、第2短辺方向強シール44, 46、及び第2長辺方向強シール48の形成について説明すると、図14図11で得られた第1長辺方向強シール42に重ねて内袋両端保持部(周縁シール)16-3, 16-4、第1、第2短辺方向強シール44, 46、及び第2長辺方向強シール48を形成し、外袋10の内側と内袋12の表面同士を強溶着した状態を示す。図15において、内袋両端保持部16-3, 16-4(周縁シール16も含む)、第1、第2短辺方向強シール44, 46、及び第2長辺方向強シール48のためのシール金型84も上下で対をなし、上下のシール金型84が合体することにより外袋周縁シール16、第1、第2短辺方向強シール44, 46、及び第2長辺方向強シール48の成形が一挙に行われるようになっている。上下のシール金型84は完全対称なので、上側のシール金型84の構成のみ説明すると、シール金型84は、図16に示すように、内袋両端保持部16-3, 16-4を含めた外袋周縁シール16(図1も参照)の形成のための外側金型85と、第1、第2短辺方向強シール44, 46、及び第2長辺方向強シール48の形成ための内側金型86とから成り、外側金型85と内側金型86とは図15に示ように入れ子構造により一体化されている。図16に示すように、内側金型86は、上面より見て大略H形状をなし、第1、第2短辺方向強シール44, 46の形成のための金型部86-1, 86-2と第2長辺方向強シール48の形成のための金型部86-3から成る。図15に示すように、外側金型85は内側金型86を収容するための凹部85-2を備えている。第1短辺方向強シール44形成のための内側金型86の金型部86-1のシール面(本発明の高シール面)86-1aと、第2短辺方向強シール46形成のための金型部86-2の図示しないシール面と、第2長辺方向強シール48の形成のための金型部86-3のシール面86-3’とは、相互に面一であり、外袋周縁シール16の成形ための外側金型85のシール面(本発明の低シール面)85-1に対して段差δを呈している(図15では段差δの大きさは明確化のため誇張して図示している)。このような段差δは外袋10における内袋12の収容部と内袋12の無い部分とで合成樹脂フィルム厚が内袋12の収容部の4枚、内袋12の無い部分の2枚とフィルム2枚分の厚みの差があり、この差を埋め、外袋10に対して内袋12を隙間なく、即ち、薬液の漏洩無く、密着収容することができるようにするものである(図17及び図18に関連して後述)。そして、金型部86-1のシール面86-1aには、外袋の大隔室22側ではテーパ面86-1bが連なる。金型部86-2(図16)のシール面については、図示しないが、シール面86-1aと面一のシール面に同様なテーパ面が連なるようにされる。
【0050】
図15において、上下のシール金型84における外側金型85と内側金型86との合体のため、内側金型86に、複数本の取り付けねじ88が一体に設けられ、取り付けねじ88は外側金型85のばか孔90を挿通され、ばか孔90からの取り付けねじ88の突出端にナット92が螺合締結され、外側金型85と内側金型86の入れ子構造を実現している。
【0051】
外袋周縁シール16(内袋両端保持部16-3, 16-4を含む)、第1、第2短辺方向強シール44, 46、及び第2長辺方向強シール48の形成のため、図15に示す上下のシール金型84が外袋の上下合成樹脂フィルム、内袋12の上下合成樹脂フィルムを介して合体され、外側金型85のシール面85-1により外袋周縁シール16(内袋両端保持部16-3, 16-4も)が形成され、内側金型86の金型部86-1の平坦なシール面86-1a及び金型部86-2の同様なシール面により第1、第2短辺方向強シール44, 46が内袋12の外周シール38の第1、第2の短辺部38-3, 38-4に沿ってその真上において重なるように形成され、また、内側金型86の金型部86-3により第2長辺方向強シール48が内袋12の中間シール40の真上に形成され、これらの強シール部は図14において片側斜線を付した領域として示される。また、内側金型86の金型部86-1のテーパ状のシール面86-1b及び金型部86-2の図示しない同様なテーパ状のシール面は、合体時に被溶着部の加圧力を低下する(シール面85-1との段差は大きくなる)ことから、シール強度は低下し、第1、第2短辺方向強シール44, 46の主隔室側において、夫々、弱シール部44-1, 46-1(図14において交差斜線を付した領域)として連なる。弱シール部44-1, 46-1は、図11において得られた弱シール部42-1, 42-2と、夫々、重なっており、内袋外周シール38の延出部38-3a及び38-4aの直上に位置しており、上下で重なった図11の弱シール部42-1, 42-2と図14の弱シール部44-1, 46-1とが図1における輸液バッグの弱シール部50, 52(図1において交差斜線を施した部位)となる。
【0052】
このように外袋10内面に対する内袋12外面の強シール部42, 44, 46, 48の形成(外袋10内部への内袋12の装着)が完了後、残った開口部96等からの排出口及び混注口の装着、及び、残った開口部98からの主隔室への薬液の充填封止により薬液バッグが完成する(排出口及び混注口の装着及び主隔室への輸液充填等については特許文献1参照)。
【0053】
図18(図1又は図17のXVIII-XVIII線に沿った矢視断面)は、完成した薬剤バッグにおいて、第1短辺方向強シール44の部位を断面にて示しており、外側金型85のシール面85-1と内側金型86のシール面86-1aとの段差δ(明確化のため段差の大きさやフィルムの厚みは誇張して描かれている)により、内袋12の2枚と外袋10の4枚とのフィルムの枚数の厚み差が埋められ、内側金型86により外袋10と内袋12の対向面に強シール44が形成され、また段差部分と密着しつつ内袋両端保持部16-3(外袋周縁シール16)に連なり、外袋12に対する内袋12の封着を確保することができる。また、強シール44に沿った内袋の封止部38の第1短辺部38-3の部分38-3’は本来は弱シールとしての溶着であるが、内側金型86による加圧により膠着され開封性を喪失若しく殆ど喪失する。しかしながら、内側金型86のシール面86-1aから外れた内袋12の第1長辺部38-1については内側金型86による加圧及び熱の影響を受けないため開封性はそのままに維持される。以上のことは、第2第1短辺方向強シール44に沿って内袋12の第2短辺部38-4についても当てはまり、段差部分を密着下で封止することができる。
【0054】
これに対して、弱シール部50の部位でのシール成形時におけるシール金型84との位置関係は図19(図1又は図17のXIX-XIX矢視断面図)に模式的に示す通りであり、内側金型86のシール面86-1bのテーパ形状(図15)故に外袋10と内袋12との対向面は弱シール部50となり、真下に位置する内袋外周シール38における延出部38-3aに対する内側金型86の熱及び加圧の影響は弱く、延出部38-3aの開封性は損なわれない。また、延出部38-3aに連なる内袋12の張出部38-5間の非溶着部はそのままに維持する。そのため、主隔室の加圧による内袋12の開封時、即ち、図2の第2隔壁55(内袋12の内袋外周シール38の第1長辺部38-1)の開通時に、第2隔壁55が全幅で開通することができるため、付け根の部分(図1のa部)での応力集中は緩和され、フィルムの破れや液漏れを防止することができる。以上のことは、反対側の弱シール部52についても当てはまり、外力による第2隔壁55の開通時に直下の内袋外周シール38における延出部38-4aの開封性が維持されるため、同様なフィルムの破れや液漏れ防止効果が得られる。
【0055】
弱シール部50, 52(本発明の弱溶着部)は直下に位置する、内袋12の内袋外周シール38の外側容器外周部16との接続部における主隔室22近接側の部分、即ち本実施形態にあっては、内袋外周シール38の第1、第2短辺部38-3, 38-4k の延出部38-3a, 38-4aの開封性を維持することが肝要であり、外袋10の内面と内袋12の外面との間については、溶着状態が必ずしも開封可能である必要はなく、即ち、延出部38-3a, 38-4aの膠着防止による剥離可能性を維持し得るものであれば、弱シール部50, 52において外袋10と内袋12との対向面は剥離不能であっても差し支えない。本発明における弱溶着部の実施としての弱シール部50, 52の機能はこの趣旨で理解すべきものである。
【0056】
また、本実施形態においては、弱シール部50, 52の形成のため、第1段階として、両端にテーパ面80-2, 80-3を有する金型80によりシールを行い、第1長辺方向強シール42の端部に弱シール部42-1, 42-2(図11)を形成し、第2段階として、主隔室側にテーパ面86-bを有する金型部86-1, 86-2により第1、第2短辺方向強シール44, 46の端部に弱シール部44-1, 46-1を形成し、弱シール部42-1, 42-2と弱シール部44-1, 46-1との合体として最終的な弱シール部50, 52に構成しており、これは、金型のシール面としてフラット面に継続する単純なテーパ面を形成するだけで済むため、金型の設計や製作が容易でかつ必要な精度が得られるため有利である。しかしながら、一組の金型により第1長辺方向強シール42及び第1、第2短辺方向強シール44, 46に相当する部分のみならず弱シール部50, 52に相当する部分も一挙に1段階方式にて形成することは不可能ではなく、本発明の範囲に包含される。しかしながら、1段階方式はシール金型のシール面の形状が複雑化し、かつ高精度なものを要求するため、本発明の実施形態における2段階方式が実用的に優れているとは言い得る。
【0057】
図20図22(第1の実施形態における図11図14図1に相当)は別実施形態を示しており、内袋12は図4とは開通性向上ため中央部においてポイントシール14が省略されている(ポイントシール14は全体で4個)ことのみ相違する。また本発明の(第1の)外力付与部となる第1長辺方向強シール142の形状が特徴である。図11においては、第1長辺方向強シール142は内袋12の内袋外周シール38の主隔室側長辺38-1に少し被るように(上下重なるように)されていたが、この実施形態では第1長辺方向強シール142は内袋外周シール38の主隔室側長辺38-1とは重ならないように中間部が狭小化されている。これにより、第1長辺方向強シール142の形成時のシール型の内袋外周シール38への熱影響を緩和することができ、図2の第2隔壁56の開通強度の安定化を図ることができる。第1長辺方向強シール142は中間部では張出部38-5とのみ重なるようにされる。他の構成は図11と同様である。即ち、第1長辺方向強シール142の形成は図12に示すと同様なシール金型80を使用して行われる。第1長辺方向強シール142を形成する外袋のフィルム面110-1, 110-2と内袋12の内袋外周シール38の外周面との溶着面は片側斜線を付して表される。シール金型80の両端のテーパ部80a, 80により第1長辺方向強シール142は、内袋外周シール38の延出部38-3a及び38-4aの真上の部分が弱シール42-1, 42-2となる。
【0058】
図21は、第1、第2縦方向強シール44, 46及び第2長辺方向強シール48を図15及び図16と同様なシール型84により形成した状態を示す。即ち、第1、第2縦方向強シール44, 46は、片側斜線に示すように、内袋12の外周シール38の第1短辺部38-3, 第2短辺部38-4に夫々沿って形成され、第2長辺方向強シール48は内袋12の外周シール38の中間シール40に沿って形成される。そして、図15に示したと同様なシール型84のテーパ面86-1bにより、第1、第2縦方向強シール44, 46の隔室側端部は、夫々、交差斜線にて示す弱シール部44-1, 44-2(内袋外周シール38の延出部38-3a及び38-4aの真上に位置する)となる。この実施形態のシール型84は、図15のものとは第2縦方向強シール46に突出部46-2を形成する点が相違する。この突出部46-2は内袋12の外周シール38の第2長辺部38-2の第2短辺部38-4との接合部を補強する。
【0059】
図23は製袋が完了した別実施形態の輸液バッグを示しており、交差斜線部50, 52は、図20の弱シール部42-1, 42-2及び図21の弱シール部44-1, 44-2の重なりである弱シール部を示しており、弱シール部50, 52の形成により、この直下における内袋12の内袋外周シール38の延出部38-3a及び38-4aの膠着を防止し、開封時に内袋外周シール38を両端の延出部38-3a及び38-4aに至るまで開封することができるため、応力し集中を防止し、フィルムの破損及びそれに伴う液漏れの防止を実現することができる。
【0060】
[薬液バッグの開通順序]
この発明の実施形態の薬剤バッグにおいては、薬液バッグの薬剤収容部(第1、第2隔室20, 22)に収容された薬液の外部からの加圧による第1隔壁54(弱シール18)の開通及び第1隔壁54の開通に連動した第2隔壁55(内袋外周シール38の主隔室側長辺38-1)、第3隔壁56(内袋12の中間シール40)、第4隔壁57(内袋外周シール38の排出口側長辺38-2)の順序での開通を可能としているが、このような開通順序のため、各隔壁の開通強度の設定について説明すると、まず、内袋12単体での開通順序について説明すると、内袋12は図1に示すように、外袋10の内部では、第2主隔室22に近接して配置され、外袋10における薬液の図1の上から下への流通順序において、第1長辺部(主室側長辺部)38-1と、中間シール40、第2長辺部(排出口側長辺部)38-2の順序で配置されるが、即ち、開通順に3本の剥離可能シール38-1, 40, 38-2を備えるが、これらの3本の剥離可能シールについてサンプル数5に対して引張試験法によるシール強度(N/15mm)の結果を表1に示す。
【0061】
表1
サンプル番号 1 2 3 4 5 平均
第1長辺部38-1 2.5 2.2 2.4 2.3 2.5 2.4
中間シール40 0.9 0.9 1.0 1.0 1.0 1.0
第2長辺部38-2 1.4 1.4 1.3 1.5 1.3 1.4
【0062】
表1の結果から分るように内袋12のままの状態では、第1長辺部38-1のシール強度が最大とされ、これは、図6において、第1長辺部38-1の形成のためのシール面66-3, 66-3がヒータ70, 72の直下にあり、ヒータ70, 72に最も近いことによる。中間シール40はヒータ70, 72に次に近いがシール面66-6, 68-6が溝付きであるため、最弱のシール強度となる。また、第2長辺部38-2はシール面66-4, 68-4がヒータ70, 72から最も遠いが全面でのシールなので中間のシール強度となる。
【0063】
次に表2は図1の薬剤バッグとして完成した状態(湿熱滅菌も完了)での第1隔壁54(弱シール18)の開通及び第1隔壁54の開通に連動した第2隔壁55(内袋外周シール38の第1(主隔室側)長辺38-1)、第3隔壁56(内袋12の中間シール40)、第4隔壁57(内袋外周シール38の第2(排出口側)長辺38-2)の開通強度を示す。
【0064】
表2
No. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 平均
隔壁1 2.3 2.2 2.1 2.4 2.3 2.6 2.0 1.6 1.7 2.1
隔壁2 3.6 3.2 4.0 3.3 3.2 3.2 3.6 3.1 3.1 3.4
隔壁3 1.8 2.1 2.0 1.5 2.3 1.9 2.5 1.9 1.8 2.0
隔壁4 1.4 1.5 1.3 1.4 1.3 1.4 1.4 1.3 1.3 1.4
【0065】
表2に示すように内袋側の第2隔壁55(内袋外周シール38の主隔室側長辺38-1)、第3隔壁56(内袋12の中間シール40)の強度が高められ、これは、第2隔壁55を構成する内袋外周シール38の主隔室側長辺38-1は、外袋製袋時に主隔室側長辺38-1に少し重なって若しくは近接して第1長辺方向強シール42が上からシールされるため、その熱の影響により約1.4倍シール強度が増強され、また、第3隔壁56を構成する中間シール40については筋状のシール自体はシール強度の低下要因であるが、真上から重ねて第2長辺方向強シール48が形成されているため、2倍ものシール強度の増強となる。また、第4隔壁57を構成する内袋外周シール38の排出口側長辺38-2については外袋製袋時のシール熱がかからないので、内袋12の製袋時のシール強度のままとなっている。
【0066】
表2から分るように、完成後の輸液バッグの隔壁強度は、隔壁2が最強となっており、輸液時に輸液バッグを外部(主隔室の輸液収納部分)から押圧したとき、第1隔壁54が第2隔壁55より弱いため、最初に第1隔壁54の開通し、主隔室20, 22間の薬液の混合が起こる。そして、その後の加圧継続により隔壁2が開通すると、強度の大小により第3隔壁56、第4隔壁57の順に開通を起こさせることができ、主隔室間の混合薬液に副隔室の微量薬液に確実に混合させた上、排出室を介し排出口より排出することができる。
【0067】
また、第3隔壁56を構成する内袋12の中間シール40は、筋状の溝付きのシール金型を使用してシールしているため、筋状溝の間隔や数を適宜調整することにより開通強度を微細にコントロールできるため、4本の隔壁の如上の開通順序の確実化に寄与させることができる。即ち、内袋12の中間シール40の開通のための第2長辺方向強シール48は、中間シール40の直上に形成せざるを得ないがこの場合、第2長辺方向強シール48のシール幅の自由度が小さい(中間シール40の固着が生じやすい)が、中間シール40の縞状構造化により中間シール40の開封性を維持しつつ第2長辺方向強シール48による中間シール40の開通強度の設定の自由度を高めることができる。
【符号の説明】
【0068】
10…外袋(本発明の外側容器)
12…内袋(本発明の内側容器)
14, 15…外袋を構成する対向シート片
16…外袋周縁シール(本発明の外側容器の外周部)
16-3, 16-4…外袋周縁シールの内袋両端保持部
18…弱シール部
20…第1主隔室
22…第2主隔室
24…排出口
26…混注口
32…第1副隔室
34…第2副隔室
36, 37…内袋を構成する対向部分
38…内袋外周シール(本発明の内側容器封止部)
38-1…内袋外周シールの第1長辺部
38-2…内袋外周シールの第2長辺部
38-3…内袋外周シールの第1短辺部
38-4…内袋外周シールの第2短辺部
40…内袋中間シール
42…第1長辺方向強シール(本発明の外力付与部(第1外力付与部))
44, 46…第1、第2縦方向強シール (本発明の内側容器封着部)
48…第2長辺方向強シール(本発明の第2外力付与部)
50, 52…弱シール部(本発明の弱溶着部)
54…第1隔壁
55…第2隔壁
56…第3隔壁
57…第4隔壁
58…空間
59…排出室
62, 64…芯金
66, 68…シール金型
66-1, 68-1…シール金型における半円形凹部の第1の対
66-2, 68-2…シール金型における半円形凹部の第2の対
66-3, 68-3; 66-4, 68-4; 66-5, 68-5…シール金型における平坦状のダイ部
66-6, 68-6…シール金型における凹凸状のダイ面
70, 72…セラミックヒータ
73, 74…補助薬剤の注入口
80…第1長辺方向強シール形成用ダイ
80-1a, 80-2a…第1長辺方向強シール形成用ダイの両端テーパ面
84…内・外入れ子構造のシール金型
85…外側金型
85-1…外側金型のシール面(本発明の低シール面)
86…内側金型
86-1a…内側金型のシール面(本発明の高シール面)
86-1b…内側金型のテーパ面
A…芯金導入ステーション
B…第1シールステーション
C…薬液注入ステーション
D…第2シールステーション
E…製品取り出しステーションE
l-l…縦カットライン
m-m…横カットライン
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