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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】台車および自動搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/04 20060101AFI20231012BHJP
   B61B 13/00 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
B62B5/04 A
B61B13/00 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020023688
(22)【出願日】2020-02-14
(65)【公開番号】P2021127042
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】千葉 拓史
(72)【発明者】
【氏名】関原 弦
(72)【発明者】
【氏名】唐 力
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-158047(JP,A)
【文献】特開2019-028974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 5/04
B61B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面および前記第1面の反対側の第2面を有し、前記第1面に資材を載置可能な第1プレートと、
前記第1プレートの前記第2面に設けられたキャスター部と、
前記第1プレートの前記第2面側の平坦な部分地面から同じ高さとなるように設けられる少なくとも2つの第1端子と、
前記少なくとも2つの第1端子に電気的に接続され、前記少なくとも2つの第1端子に対する給電状態に応じて前記キャスター部の動きを制限するロック機構部と、を含む、
台車。
【請求項2】
前記キャスター部は、複数設けられ、
前記ロック機構部は、前記複数のキャスター部のうち前記台車の移動方向に対して交差する方向に配置されたキャスター部に配置される、
請求項1に記載の台車。
【請求項3】
前記ロック機構部は、
前記少なくとも2つの第1端子が給電されないときに、前記キャスター部の車輪の回転を制止する、
請求項1または2に記載の台車。
【請求項4】
前記ロック機構部は、アクチュエータおよび前記アクチュエータに取り付けられたストッパーを含み、前記少なくとも2つの第1端子が給電されないとき、前記アクチュエータは前記ストッパーが前記車輪に接触するように動作する、
請求項3に記載の台車。
【請求項5】
前記第1プレートの前記第2面側に設けられる第2プレートをさらに含み、
前記少なくとも2つの第1端子は、前記第2プレートに設けられる、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の台車。
【請求項6】
前記第2プレートは、凹部を有し、
前記少なくとも2つの第1端子は、前記凹部に設けられる、
請求項5に記載の台車。
【請求項7】
請求項6に記載の台車と、
ロボット本体部、前記ロボット本体部を走行させる走行部、前記ロボット本体部の上面に設けられ昇降可能な昇降部、および前記ロボット本体部に設けられ、前記走行部および前記昇降部の動きを制御する制御部を備え、前記昇降部が前記台車と連結可能な牽引用ロボットとを含む、
自動搬送システム。
【請求項8】
前記昇降部は、先端に第2端子を有する突起を有し、
前記牽引用ロボットは、前記台車の下部に入り込み、
前記牽引用ロボットの前記昇降部が上方に変位し、前記少なくとも2つの第1端子と前記第2端子とが電気的に接続したときに前記少なくとも2つの第1端子は給電される、
請求項7に記載の自動搬送システム。
【請求項9】
前記突起は、複数であって、
前記凹部は、複数であって、
前記複数の突起は、前記複数の凹部に嵌合する、
請求項8に記載の自動搬送システム。
【請求項10】
前記複数の凹部は、仮想正方形の頂点に配置され、
前記複数の突起が配置される方向は、前記仮想正方形の対角線の方向と等しい、
請求項9に記載の自動搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設現場の資材の搬送に関連する、台車および自動搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)の技術開発が進み、さまざまな場面でAGVが利用され始めている。例えば、商品が保管された倉庫でAGVを利用すれば、多種多様な商品を自動で搬送することが可能となる。そのため、作業効率が向上し、コストを削減することができる。このようなAGVとして、特許文献1にはAGVが台車の下に潜り込み、AGVが台車を持ち上げて牽引する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-59460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建設現場において使用される台車は、静止状態を保持するためのストッパーを有する。ストッパーは、作業者に操作されることによって、台車の静止状態を保持している。このため、特許文献1に示すような技術を用いて台車を所定の場所まで移動させたとしても、ストッパーを機能させるためには、作業者の操作が必要となってしまう。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑み、作業者がストッパーの操作をしなくとも所定の位置に静止可能な台車および上記台車を利用した自動搬送システムを提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る台車は、第1面および前記第1面の反対側の第2面を有し、前記第1面に資材を載置可能な第1プレートと、前記第1プレートの前記第2面に設けられたキャスター部と、前記第1プレートの前記第2面側に設けられる第1端子と、前記第1端子に電気的に接続され、前記第1端子に対する給電状態に応じて前記キャスター部の動きを制限するロック機構部と、を含む。
【0007】
上記台車において、前記キャスター部は、複数設けられ、前記ロック機構部は、前記複数のキャスター部のうち前記台車の移動方向に対して交差する方向に配置されたキャスター部に配置されてもよい。
【0008】
上記台車において、前記ロック機構部は、前記第1端子が給電されないときに、前記キャスター部の車輪の回転を制止させてもよい。
【0009】
上記台車において、前記ロック機構部は、アクチュエータおよび前記アクチュエータに取り付けられたストッパーを含み、前記第1端子が給電されないとき、前記アクチュエータは前記ストッパーが前記車輪に接触するように動作してもよい。
【0010】
上記台車において、前記第1プレートの前記第2面側に設けられる第2プレートをさらに含み、前記第1端子は、前記第2プレートに設けられてもよい。
【0011】
上記台車において、前記第2プレートは、凹部を有し、前記第1端子は、前記凹部に複数設けられてもよい。
【0012】
本発明の一実施形態に係る自動搬送システムは、台車と、ロボット本体部、前記ロボット本体部を走行させる走行部、前記ロボット本体部の上面に設けられ昇降可能な昇降部、および前記ロボット本体部に設けられ、前記走行部および前記昇降部の動きを制御する制御部を備え、前記昇降部が前記台車と連結可能な牽引用ロボットとを含む。
【0013】
上記自動搬送システムにおいて、前記昇降部は、先端に第2端子を有する突起を有し、前記牽引用ロボットは、前記台車の下部に入り込み、前記牽引用ロボットの前記昇降部が上方に変位し、前記第1端子と前記第2端子とが電気的に接続したときに前記第1端子は給電されてもよい。
【0014】
上記自動搬送システムにおいて、前記突起は、複数であって、前記凹部は、複数であって、前記複数の突起は、前記複数の凹部に嵌合してもよい。
【0015】
上記自動搬送システムにおいて、前記複数の凹部は、仮想正方形の頂点に配置され、前記複数の突起が配置される方向は、前記仮想正方形の対角線の方向と等しくてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一実施形態を用いることにより、作業者がストッパーの操作をしなくとも所定の位置に静止可能な台車および上記台車を利用した自動搬送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る自動搬送システムの模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係る台車の斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るキャスター部の斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係るキャスター部の上面図およびA1-A2間の断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る台車の底面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る台車のB1-B2間の断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る牽引用ロボットの斜視図および断面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る台車と牽引用ロボットが連結する構成を示した斜視図および断面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る台車と牽引用ロボットが連結する構成を示した拡大断面図および回路図である。
図10】本発明の一実施形態に係る台車と牽引用ロボットが連結する構成を示した断面図である。
図11】本発明の一実施形態に係る台車と牽引用ロボットが連結する構成を示した拡大断面図および回路図である。
図12】本発明の一実施形態に係る台車と牽引用ロボットが連結したときのキャスター部の断面図である。
図13】自動搬送システムを利用した建設現場の模式図である。
図14】建設現場において、自動搬送用フロア地図の生成について説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、実施形態はあくまで一例にすぎず、当業者が、発明の主旨を保ちつつ適宜変更することによって容易に想到し得るものについても、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。しかし、図示された形状はあくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0019】
本明細書において、説明の便宜上、「上」、「上方」、または「上部」もしくは「下」、「下方」、または「下部」という語句を用いて説明するが、各構成の上下関係を説明しているに過ぎない。例えば、構造物(例えば、台車または牽引用ロボットなど)の構成の位置関係を説明する場合、構造物の通常使用する態様を基準とし、構造物が設置される面側(例えば、床面側)を「下」、「下方」、または「下部」とすることがある。
【0020】
本明細書において、各構成に付記される「第1」、「第2」などの文字は、各構成を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限り、それ以上の意味を有さない。
【0021】
本明細書および図面において、同一又は類似する複数の構成を総じて表記する際には同一の符号を用い、これら複数の構成のそれぞれを区別して表記する際には、大文字又は小文字のアルファベットを添えて表記する場合がある。また、一つの構成のうちの複数の部分を区別して表記する際には、ハイフンと自然数を用いる場合がある。
【0022】
また、以下の各実施形態は、技術的な矛盾を生じない限り、互いに組み合わせることができる。
【0023】
<第1実施形態>
(1-1.自動搬送システムの構成)
図1に、自動搬送システム10の構成を示す。図1に示すように、自動搬送システム10は、台車100、牽引用ロボット200、および自動搬送管理装置300を含む。
【0024】
台車100は、資材などを積載してキャスターを利用して移動することができる構造物をいう。
【0025】
牽引用ロボット200は、台車100と連結し、指示された所定の場所まで台車100を牽引しながら自動走行することができるロボットをいう。なお、この場合のロボットとして、例えば車両が挙げられる。そのため、牽引用ロボット200は、自動搬送車ということができる。
【0026】
自動搬送管理装置300は、自動搬送車を制御するとともに、自動搬送車が走行する工事用エレベータを制御し、自動搬送車および工事用エレベータと通信接続して自動搬送車および工事用エレベータを管理するサーバとして機能する。各構成について、以下に詳細に説明する。なお、自動搬送システム10は、作業者用の端末を含んでもよい。
【0027】
(1-2.台車の構成)
本発明の一実施形態に係る台車100について、図面を用いて説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る台車100の斜視図である。台車100は、台車本体部110、キャスター部120、ロック機構部130および連結プレート140を備える。なお、本実施形態において第1方向D1は、台車本体部110の短辺が延伸する方向をいう。第2方向D2は、台車本体部110の長辺が延伸する方向をいう。また、第3方向D3は、台車本体部110に対する法線方向をいう。
【0028】
台車本体部110(第1プレートともいう)は、上面(第1面110a)および下面(第2面110b)を有する。台車本体部110の第1面110aは、資材などを積載することができる。この例では、台車本体部110の第1面110aは、資材などが積載できるように平坦である。また、台車本体部110は、矩形状を有している。なお、第1面110aが平坦である例を示したが、これに限られない。台車本体部110は、平坦である場合に限定されず、平坦な部分を一部に含んでもよい。この場合、台車本体部110は、一部に窪みや開口が設けられていてもよい。台車本体部110は、矩形状に限定されず、円形状、楕円形状、菱型でもよい。
【0029】
台車本体部110は、資材を積載する関係上、強度が高い材料が用いられてもよい。この例では、台車本体部110にはスチールが用いられる。なお、これに限定されず、ステンレスなどの金属材料、アクリル、ポリプロピレン、ポリウレタンなどの樹脂材料、または木材が用いられてもよい。
【0030】
また、台車本体部110の表面には防錆塗装が施されていてもよい。例えば、防錆塗装として、台車本体部110の表面に亜鉛メッキ処理を行うことができる。さらに、台車本体部110の第1面110aには、図示しないが、積載した資材が崩れることを防止するためのストッパー、例えば、パイプなどを設けることもできる。また、台車本体部110は、適宜撥水処理が施されてもよい。
【0031】
図3は、キャスター部120の斜視図である。図4(A)は、キャスター部120の平面模式図である。図4(B)は、図4(A)のキャスター部120のA1-A2間の断面模式図である。図5は、台車100の底面図である。
【0032】
キャスター部120は、台車本体部110の第2面110bの四隅に設けられる。キャスター部120は、取付部121、本体部123および車輪125を含む。取付部121は、金具等を含み、本体部123と台車本体部110とを連結する。本体部123は、台車本体部110に対して垂直方向に回転軸を有するベアリング127を備える。これにより、本体部123は、車輪125の向きを変えることができる。車輪125は、本体部123に取り付けられ、車軸を中心に回転する。車輪125の材質は、特に限定されない。この例では、車輪125は、ゴム材料を含む。なお、車輪125の材料はゴムのほか、ナイロン、ウレタンなどの樹脂部材、またはスチールまたはステンレスなどの金属部材を含んでもよい。上記構成を有するキャスター部120により、台車100はあらゆる方向に移動することができる。
【0033】
ロック機構部130は、キャスター部120の一部に設けられる。具体的には、ロック機構部130は、キャスター部120に内蔵されている。ロック機構部130は、動きを制止(ロック)する機能を有する。
【0034】
ロック機構部130は、台車100に複数配置されることが望ましい。この場合、ロック機構部130は、台車100の進行する方向に対して交差する方向に配置されることが望ましい。この例では、ロック機構部130は、対角線上に配置されたキャスター部120a、120bに内蔵して配置されている。このように配置することにより、ロック機構部130は、短辺方向(第1方向D1)に沿って移動しても、長辺方向(第2方向D2)に沿って移動しても、台車100の動きをロックすることができる。
【0035】
図4に示すように、ロック機構部130は、ワイヤ131、アクチュエータ133およびストッパー135を有する。
【0036】
ワイヤ131は、台車本体部110に配置された配線111および連結プレート140に配置された配線145と接続されている。
【0037】
アクチュエータ133は、線形移動が可能なリニアモータを有する。この例では、リニアアクチュエータ(具体的にはシャフトモータ)が用いられる。なお、上述したベアリング127は、リニアアクチュエータの軸(シャフト133a)を挿通させるために、中空構造を有している。
【0038】
アクチュエータ133では、シャフト133aが上下方向に変位する。また、アクチュエータ133は、内部に弾性体(具体的には、スプリング)を含んでもよい。このとき、電力が供給されなくともスプリングによってシャフト133aの位置固定が可能である。
【0039】
ストッパー135は、アクチュエータ133の先端部に設けられる。具体的には、ストッパー135はアクチュエータ133のうちシャフト133aの先端部に設けられる。
【0040】
ストッパー135は、車輪125の回転を制止する機能を有する。ストッパー135には、車輪125に対して摩擦力の高い材料が用いられる。この例では、ストッパーとしてゴム材が用いられる。なお、ストッパー135には、ゴム材に限定されず、樹脂材料、または金属材料が用いられてもよい。
【0041】
また、ストッパー135は、上面から見たときに車輪125の回転面に重畳するように配置されている。この場合、ストッパー135が下方に変位して車輪125と接しているときには、車輪125の回転が抑えられる。他方、ストッパー135が上方に変位したとき、ストッパー135は車輪125から離れる。これにより、車輪125の回転が可能となる。
【0042】
ストッパー135は、アクチュエータ133に連結されている。ロック機構部130では、ワイヤ131に電流が流れると、アクチュエータ133が作動し、ストッパー135が変位することができる。
【0043】
アクチュエータ133は、台車本体部110に取り付けられた駆動素子115によって駆動してもよい。駆動素子115は、モータドライバを含む。
【0044】
図6は、台車100のB1-B2間の断面図である。連結プレート140は、台車本体部110に連結具によって取り付けられている。図5および図6に示すように、連結プレート140は、4つの端子141(第1端子ともいう)を有する。端子141は仮想正方形の頂点に配置される。
【0045】
連結プレート140は、凹部143を有する。端子141は、凹部143に配置される。より具体的には、端子141は、仮想正方形の頂点に配置された凹部143に設けられる。これにより、台車100が濡れた場合においても、端子141が濡れることが防止される。
【0046】
端子141は、連結プレート140内に設けられた配線145および台車本体部110に配置された配線111と接続されている。上述の通り、連結プレート140内に設けられた配線145および台車本体部110に配置された配線111は、ワイヤ131と接続されるため、端子141は、ワイヤ131と接続されているということができる。つまり、端子141とロック機構部130とは、電気的に接続されているということができる。
【0047】
端子141のうちB1-B2間に設けられた端子141aおよび端子141bは逆の極性を有する。また、端子141cおよび端子141dは逆の極性を有する。例えば、端子141aが作用電極として機能し、端子141bが共通電極として機能してもよい。端子141cが作用電極として機能し、端子141dが共通電極として機能してもよい。端子141が、牽引用ロボット200の端子233と接続されると、牽引用ロボット200から台車100へ電力が給電される。例えば、牽引用ロボット200が台車100の短辺と平行な方向に進む場合、端子141a、141bがそれぞれ、牽引用ロボット200の端子233a、233bと接続されると、牽引用ロボット200から台車100へ電力が給電される。また、牽引用ロボット200が台車100の長辺と平行な方向に進む場合、端子141c、141dがそれぞれ、牽引用ロボット200の端子233a、233bと接続されると、牽引用ロボット200から台車100へ電力が給電される。これにより、アクチュエータ133が動作し、ストッパー135を変位させることができる。
【0048】
連結プレート140には、形状が保持できる程度の強度を有する材料が用いられる。この例では、スチール製のプレートが用いられる。連結プレート140は、スチールに限定されず、SUSなどの金属材料、またはアクリル、塩化ビニル、ポリカーボネートなどの樹脂材料が用いられてもよい。
【0049】
また、台車100の下部、すなわち、台車本体部110の第2面110b側には、台車100を牽引する牽引用ロボット200が入り込むため、台車100の下部は、牽引用ロボット200が入り込むための間隙Sを有する。地面Grdから連結プレート140の下面部までの間隙Sは、牽引用ロボット200の高さH(図7(B)参照。)よりも大きい。間隙Sは、キャスター部120の取付部121の長さ、または車輪125の直径によっても調整することができる。
【0050】
本実施形態では、端子141に給電されたときに連結プレート140の配線145および台車本体部110の配線111およびワイヤ131を介してアクチュエータ133が動く。そして、アクチュエータ133に連結されたストッパー135がアクチュエータ133の動きに連動して変位する。つまり、端子141が給電されるか否かによって、キャスター部120に対するロック機構の作動又は解除が切り替わる。
【0051】
(1-3.牽引用ロボットの構成)
図1および図7を用いて、本発明の一実施形態に係る牽引用ロボット200について説明する。
【0052】
図7は、本発明の一実施形態に係る牽引用ロボット200の模式図である。具体的には、図7(A)は、牽引用ロボット200の上面側から眺めた牽引用ロボット200の斜視図である。図7(B)は、牽引用ロボット200のC1-C2間における断面図である。
【0053】
図1および図7に示すように、牽引用ロボット200は、ロボット本体部210、走行部220、および昇降部230を含む。ロボット本体部210は、2つの走行部220の間に位置している。
【0054】
ロボット本体部210は、制御部211、記憶部213、および通信部215を有する。ロボット本体部210は、自動搬送管理装置300からの指示を通信部215で受信する。通信部215には、無線モジュールなどの通信機器が用いられる。受信した指示情報は、記憶部213に記憶することができる。
【0055】
記憶部213には、SSD(Solid State Drive)の半導体メモリ等のほか、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク等)、光記録媒体、光磁気記録媒体、記憶媒体である記憶可能な素子が用いられる。
【0056】
制御部211は、コンピュータの一つであって、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programable Gate Array)などが用いられる。制御部211は、指示情報に基づいて、走行部220および昇降部230を制御することができる。
【0057】
牽引用ロボット200は、電源部217としてバッテリーを含む。具体的には、電源部217には、リチウムイオンバッテリが用いられる。また、ロボット本体部210には、走行部220を駆動するためのモータ、ブレーキなどが適宜設けられてもよい。
【0058】
走行部220は、ロボット本体部210の側方に設けられる。走行部220は、ロボット本体部210を走行させることができる。この例では、走行部220にクローラーが用いられる。本実施形態では、2つの走行部220を同じ方向に回転させることで、牽引用ロボット200は、前進または後退することができる。また、2つの走行部220を異なる方向に回転させることで、牽引用ロボット200は、その位置で回転(旋回)することができる。
【0059】
なお、本実施形態では、走行部220にクローラーが用いられた例を示したが、これに限定されない。例えば、走行部220、車輪を用いたものでもよく、具体的にはキャスターであってもよい。
【0060】
昇降部230は、上昇または降下する機能を有する。昇降部230の上昇および降下の制御は、制御部211によって行われる。昇降部230は複数の突起232を有している。この例では、昇降部230は2つの突起を有する。具体的には、突起232は、牽引用ロボット200の進行方向に対して直交する方向に直線状に配置される。このとき、突起232は、両側の端部に配置される。
【0061】
突起232は、昇降部230が上昇したときに、連結プレート140の凹部143に嵌合することができる。これにより、台車100と牽引用ロボット200とが離れることなく一体として移動することできる。
【0062】
また、突起232の先端には端子233(第2端子ともいう)が設けられている。このとき、端子233のうち一方の突起に設けられた端子233aと、他方の突起に設けられた端子233bとは、逆の極性を有する。端子233は、連結プレート140の端子141に接触したときに、牽引用ロボット200は、連結プレート140の端子141を介して、ロック機構部130に電力を供給することができる。
【0063】
また、牽引用ロボット200は、計測部240を有する。計測部240として、レーザーセンサーを用いることができる。この例では、計測部240は、牽引用ロボット200の前方(進行方向の先端)に配置される。なお、計測部240は、牽引用ロボット200の前方に限定されず、後方、側方または四方に配置されてもよい。レーザーセンサーは、牽引用ロボット200の前方にレーザー光を走査しながら出射し、出射光と反射光とに基づいて牽引用ロボット200の周囲の構造物などを検出することができる。具体的には、レーザーセンサーは、牽引用ロボット200と構造物との距離を算出することによって構造物を検出する。牽引用ロボット200と構造物との距離の算出は、制御部211を用いて行われる。なお、演算装置は、レーザーセンサーに設けられていてもよく、牽引用ロボット200のロボット本体部210に設けられていてもよい。なお、牽引用ロボット200と構造物との距離の算出は、TOF(Time of Flight)方式またはAM(Amplitude Modulation)方式によって行ってもよい。また、牽引用ロボット200は、自己の位置を計測するために、エンコーダを走行部220に有してもよい。
【0064】
また、ロボット本体部210は、さらにジャイロセンサーやGPS(Global Positioning System)信号受信器を含むIMU(Inertial Measurement Unit)を有してもよい。ジャイロセンサーやGPSを利用して構造物を検知し、ジャイロセンサーやGPSで得られたデータを基に構造物と牽引用ロボット200との距離を算出してもよい。
【0065】
(1-4.自動搬送管理装置の構成)
図1に戻って説明する。自動搬送管理装置300は、制御部310、記憶部320、通信部330、操作部340、および表示部350などを備える。
【0066】
制御部310は、コンピュータの一つであり、CPU、ASIC、FPGA、またはその他の演算処理回路を用いて、自動搬送管理制御のソフトウェア(プログラム)に規定された命令に基づく処理を制御する。また、制御部310からの命令によって、自動搬送管理制御プログラムを実行するためのユーザインターフェースが表示部350に提供される場合がある。
【0067】
記憶部320には、SSDの半導体メモリ等のほか、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク等)、光記録媒体、光磁気記録媒体、記憶媒体である記憶可能な素子が用いられる。記憶部320は、自動搬送管理制御用プログラムで用いられる位置情報、地図情報、牽引用ロボット200が自動で走行する道順等を記憶するデータベースとしての機能を有する。
【0068】
通信部330は、送受信機を有し、通信網介して牽引用ロボット200と自動搬送に関する情報の通信を行う。通信部330と、牽引用ロボット200との通信は、無線LAN、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、インターネット等の無線通信を用いてなされる。なお、通信部330は、牽引用ロボット200の他、工事用エレベータと通信してもよい。
【0069】
操作部340は、コントローラー、ボタン、またはスイッチを含む。操作部340は、上下左右への移動、押圧、または回転などの動作がなされることにより、その動作に基づく情報が制御部310に送信される。なお、タッチセンサを有する表示装置(タッチパネル)である場合、表示部350と操作部340とが、同じ場所に配置されてもよい。
【0070】
表示部350は、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイなどの表示デバイスであって、制御部310から入力される信号により表示内容が制御される。
【0071】
(1-5.台車のロック制御方法)
次に、本実施形態の台車100のロック制御方法について牽引用ロボット200との連結と合わせて説明する。
【0072】
まず、台車100の静止状態においては、図4(B)に示すようにストッパー135は、車輪125と接触している。
【0073】
図8(A)は、牽引用ロボット200が台車100の下部に入り込んだ時の斜視図を示す。図8(B)は、牽引用ロボット200が台車100の下部に入り込んだ時の断面模式図である。図8(A)および図8(B)に示すように、牽引用ロボット200は、台車100の長辺側から台車100の下部に入り込む。台車100の長辺側は、台車100の短辺側よりも2つの隣接するキャスター部120の間隔が大きいため、台車100の短辺側よりも台車100の下部の間隙が大きい。そのため、牽引用ロボット200は、台車100の短辺側からよりも台車100の長辺側からの方が台車100の下部に容易に入ることができる。台車100の下部に入り込んだ牽引用ロボット200は、台車100の下部で適宜回動(旋回)することができる。これにより、台車100を移動させたい方向を調整することができる。
【0074】
このとき、突起232が配置される方向は、凹部143が配置される方向と等しくなる。具体的には、上述の通り、凹部143が仮想正方形の頂点に配置されている場合、上記仮想正方形の対角線の方向と突起232が配置される方向とは等しい。これにより、牽引用ロボット200と台車100とを連結させる際の位置合わせが容易になる。
【0075】
図9(A)は、図8(B)を拡大した断面図である。図9(B)は、台車100および牽引用ロボット200により構成される回路図である。図9(A)に示すように、台車100および牽引用ロボット200の位置合わせが完了したとき、端子141と端子233は、対向する。具体的には、端子141aと端子233aが対向し、端子141bと、端子233bとが対向する。このとき、回路図は、少なくとも台車100のロック機構部130、端子141、牽引用ロボット200の端子233、および電源部217を含む。回路図において、端子141aと端子233a、および端子141bと端子233bとは接していないため、電気回路は開回路状態(スイッチがOFFの状態)となる。
【0076】
上述の通り、牽引用ロボット200の方向が特定された後、昇降部230が上昇動作する。図10は、牽引用ロボット200が上昇動作した時の断面模式図である。昇降部230が上昇動作するとき、突起232が連結プレート140の凹部143に嵌合する。このとき、複数の突起232と複数の凹部143が設けられていることにより、牽引用ロボット200の移動時および旋回時において、連結が外れることを防止することができる。
【0077】
また、突起232が連結プレート140の凹部143に嵌合するとき、牽引用ロボット200の端子233が、連結プレートの凹部内に設けられた端子141に電気的に接続する。このとき、端子141は、端子233を介して電源部217から電力が給電される。上述の通り、凹部143内に端子141が設けられることで、台車100と牽引用ロボット200との連結が維持されるため、台車100側の端子-牽引用ロボット200側の端子間の電気的接続も維持される。
【0078】
図11(A)は、図10の拡大断面図である。図11(B)は、台車100および牽引用ロボットが連結した時の回路図である。図11(A)に示すように、台車100側の端子141aと、牽引用ロボット200側の端子233a、および台車100側の端子141bと牽引用ロボット200側の端子233bとが接することにより、図11(B)に示すように、電気回路は閉回路状態(スイッチがONの状態)となる。
【0079】
図12は、端子141が給電された時のキャスター部120の断面図である。上述の通り、閉回路状態(スイッチがONの状態)となることにより、牽引用ロボット200から端子141に対して給電され、アクチュエータ133にも電力が供給される。これにより、アクチュエータ133が動作し、ストッパー135が上方に変位する。ストッパー135が上方に変位することにより、ストッパー135が車輪125から離れる。以上により、ロック機構部130によるロックが解除され、車輪125の回転が可能となる。
【0080】
つまり、本実施形態の台車100では、端子141と、端子233との接触は電気回路におけるスイッチとして機能し、連結プレート140の端子141への給電に連動して、ロック機構部130におけるキャスター部120に対するロック機構の作動または解除の状態が変化する。これにより、台車100を容易に制御することができる。
【0081】
また、本実施形態では、端子141が給電されない状態(基本状態)において、アクチュエータ133は、キャスター部120の車輪125の回転を制止するようにストッパー135を車輪125に接触させるため、車輪125が回転しない。このため、基本状態において、台車100は静止している。一方で、端子141が給電されると、ストッパー135が車輪125から離れるため、車輪125が回転可能となる。したがって、本実施形態の台車100は、常時所定の位置に静止可能であり、必要に応じて移動可能であるということができる。
【0082】
(1-6.自動搬送)
次に、本発明の一実施形態に係る台車100および牽引用ロボット200を用いて資材を自動搬送する例について説明する。なお、本実施形態における自動搬送とは、自動搬送車が自動搬送管理装置300と通信接続し、自動搬送管理装置300からの指示に基づく搬送と、自動搬送車が具備する自動搬送管理装置による自律搬送とを含む。自律搬送には、自動搬送車が所定の経路に沿って目的地に向かう搬送だけでなく、目標物を追従した搬送も含まれる。
【0083】
図13は、本発明の一実施形態に係る自動搬送システムを利用した建設現場の模式図である。図13に示す建設現場の建造物50は、複数のフロアを有している。建造物50の隣には、フロア間、すなわち、建造物50の高さ方向への資材53の搬送を可能にする工事用エレベータ60が設置されている。工事用エレベータ60は、建造物50の高さ方向に沿って延伸する脚柱61に昇降機62が取り付けられている。昇降機62は、脚柱61に沿って移動し、建造物50の各フロアで停止することができるように設定されている。なお、自動搬送システムには、工事用エレベータ60が含まれていてもよく、牽引用ロボット200および工事用エレベータ60は、自動搬送管理装置300によって制御することができる。
【0084】
作業フロア(資材の荷取り場または荷置き場)では、フロアの壁面の開口部を塞ぐようにシャッター51が設置されている。シャッター51は、工事用エレベータ60側に設置される。工事用エレベータ60を利用する場合にはシャッター51が開閉される。また、シャッター51の前には、フロアの床面と昇降機62の床面との段差を小さくするためのスロープ52が設置されている。なお、シャッター51の開閉も自動搬送管理装置300によって制御することができる。
【0085】
自動搬送システムにおいては、資材53が積載された台車100と牽引用ロボット200が連結し、牽引用ロボット200が、台車100を牽引しながら、荷取り場から荷置き場まで自動走行する。建設現場においては、資材53などがフロアの床面上に置いてあることも多く、牽引用ロボット200の搬送経路が限定される場合がある。そのため、牽引用ロボット200の自動走行を可能とするために、牽引用ロボット200の走行可能な搬送経路を特定しておいてもよい。また、自動搬送システムの利用を開始する前に、フロアの状況を示した地図(自動搬送用フロア地図)を生成しておいてもよい。
【0086】
図14は、建設現場において、自動搬送用フロア地図の生成について説明する図である。具体的には、図14(A)は、建設現場のフロアの状況を示す模式図であり、図14(B)は、生成された自動搬送用フロア地図の模式図である。
【0087】
図14(A)に示すように、建設現場における建造物50のフロアの床面上には、第1資材53-1および第2資材53-2が置かれている。牽引用ロボット200が自動走行する上で、第1資材53-1および第2資材53-2は障害物となり得る。また、建造物50のフロアには、建造物50を支えるための柱が設置されている。柱もまた、牽引用ロボット200の自動走行における障害物となり得る。牽引用ロボット200の自動走行の障害物となり得る、第1資材53-1、第2資材53-2、または柱などを全て障害物55としてマーキングした自動搬送用フロア地図を生成する。
【0088】
自動搬送用フロア地図を生成するため、牽引用ロボット200が自動走行するフロア(例えば、荷取り場または荷置き場など)内において、作業者は、牽引用ロボット200を手動で操作し、または自動で、走行させる。上述のように牽引用ロボット200にレーザーセンサーが搭載されている場合、牽引用ロボット200は、レーザーセンサーを用いて、第1資材53-1、第2資材53-2、または柱などを検知することができる。牽引用ロボット200は、検知された情報を基にして、図14(B)に示すような、第1資材53-1、第2資材53-2、または柱などが障害物55としてマーキングされた自動搬送用フロア地図を生成することができる。なお、自動搬送用フロア地図の生成における処理は、牽引用ロボット200でなくてもよい。牽引用ロボット200と通信接続し、牽引用ロボット200から情報を受信した自動搬送管理装置300で処理を行い、自動搬送用フロア地図を生成してもよい。
【0089】
また、自動搬送用フロア地図は、リアルタイムで自動搬送管理装置300により処理され、自動搬送用フロア地図が生成されてもよい。自動搬送用フロア地図は作業者の携帯端末で受信され、端末の表示部で表示されてもよい。作業者は、実際の牽引用ロボット200の走行と、表示部に表示された自動搬送用フロア地図とを比較して確認することができる。これにより、自動搬送用フロア地図の精度が向上する。
【0090】
また、牽引用ロボット200がジャイロセンサーを搭載する場合、フロアの床面上の段差を検出することができる。この場合、自動搬送用フロア地図には、障害物55だけでなく、段差も示すことが可能となる。
【0091】
自動搬送用フロア地図の情報、ならびに台車100および牽引用ロボット200の位置の情報など、自動搬送で必要な情報は自動搬送管理装置300によって制御され、管理される。例えば、台車100の初期位置(スタート位置)および搬送位置(ゴール位置)、または自動搬送システムの実行開始時間などは、自動搬送管理装置300を通じて制御し、管理することができる。
【0092】
自動搬送管理装置300によって自動搬送が実行されると、牽引用ロボット200は、自動走行を開始し、荷取り場フロアの初期位置の資材53が積載された台車100の下部に入り込み、台車100と連結する。この結果、台車100に含まれる端子141が、牽引用ロボット200の端子233と接続され、牽引用ロボット200から台車100へ電力が給電される。当該給電により、台車100のアクチュエータ133が稼働し、ストッパー135が上昇し、キャスター部120のロック機構が解除される。牽引用ロボット200は、自動搬送用フロア地図を基にして障害物55を避け、台車100を牽引しながら自動走行する。牽引用ロボット200は、荷取り場フロアのシャッター51の前、より具体的にはスロープ52の前で停止する。
【0093】
自動搬送管理装置300は、牽引用ロボット200がシャッター51の前で停止している信号を受信すると、工事用エレベータ60の昇降機62を牽引用ロボット200のいる荷取り場フロアまで移動させ、昇降機62の扉(図示しない。)を開ける。また、自動搬送管理装置300が、昇降機62が荷取り場フロアで停止した信号を受信すると、荷取り場フロアのシャッター51を開く。牽引用ロボット200は、昇降機62の扉およびシャッター51が開いた信号を受信すると、スロープ52を昇り、工事用エレベータ60の昇降機62に乗り込む。自動搬送管理装置300は、牽引用ロボット200が昇降機62の中で停止している信号を受信すると、昇降機62の扉およびシャッター51を閉じる。昇降機62の扉やシャッター51が閉じていることを確認した後、昇降機62を荷置き場フロアに移動させる。また、自動搬送管理装置300が、昇降機62が荷置き場フロアで停止し昇降機62の扉が開く信号を受信すると、荷取り場フロアのシャッター51を開く。
【0094】
牽引用ロボット200は、シャッター51が開いた信号を受信すると、自動走行を開始し、スロープ52を通って、昇降機62から荷置き場フロアに降りる。自動搬送管理装置300は、牽引用ロボット200がスロープ52を降りた信号を受信し、昇降機62内に何もないことを確認すると、昇降機62の扉およびシャッター51を閉める。牽引用ロボット200は、自動生成用フロア地図を基にして、障害物55を避けながら、自動走行し、搬送位置で停止する。
【0095】
自動搬送管理装置300は、牽引用ロボット200が搬送位置で停止している信号を受信すると、台車100と牽引用ロボット200との連結を解除する指示を送信する。牽引用ロボット200が台車100から離れることで、台車100に含まれる端子と牽引用ロボット200に含まれる端子が非接触となる。この結果、ストッパー135が下降し、ロック機構部130が作動し、台車100が静止状態となる。台車100との連結が解除された牽引用ロボット200は、シャッター51の前まで進み、上述した走行経路を逆に走行して、荷取り場フロアまで戻る。牽引用ロボット200は、別の資材53が積載された台車100と連結し、台車100を牽引しながら自動走行する。
【0096】
なお、本実施形態において、自動搬送システム10は、1つの牽引用ロボット200に限られない。自動搬送システム10は、複数の牽引用ロボット200を含むこともできる。すなわち、自動搬送システム10では、複数の台車100および複数の牽引用ロボット200を同時に利用して自動搬送することができる。また、自動搬送管理装置300は、複数の牽引用ロボット200が同時または連続的に、荷取り場フロアと荷置き場フロアを行き来できるように制御することができる。
【0097】
また、上記では、牽引用ロボット200を含む自動搬送システムを説明したが、自動搬送システムは、牽引用ロボット200に限られず、あらゆる自動搬送車に適用することができる。
【0098】
本実施形態に係る自動搬送システムは、牽引用ロボット200が、資材53が積載された台車100と連結し、台車100を荷取り場から荷置き場に自動で搬送することができる。例えば、夜間に自動搬送システムによる自動搬送を実行しておけば、作業者は、翌日の朝から自動搬送システムによって搬送された資材53を用いて作業を開始することができる。作業者は、翌日の朝に資材53の搬送作業から開始する必要があるが、自動搬送システムを利用すれば、資材53の搬送作業を省略することができる。そのため、自動搬送システムを利用することで、作業者の負担が軽減し、建設現場における作業効率が大幅に向上する。
【0099】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0100】
上述した各実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【0101】
(変形例)
なお、本実施形態では、台車本体部110と、連結プレート140が、別々に設けられる例を示したが、これに限定されない。台車本体部110と連結プレート140は、一体として一つの台車本体部を形成してもよい。
【0102】
また、本実施形態において、アクチュエータ133は、キャスター部120の内部に設けられる例を示したが、これに限定されない。例えば、アクチュエータは、キャスター部120の外側に設けられてもよいし、台車本体部110に内蔵されてもよい。
【0103】
また、本実施形態では、アクチュエータ133として、リニアアクチュエータを示したが、これに限定されない。例えば、アクチュエータ133として、電磁ソレノイドまたは電磁シリンダなどが用いられてもよい。
【0104】
また、本実施形態では、ロック機構部130は、対角線上に配置されたキャスター部120に近接して配置されている例を示したが、これに限定されない。例えば、ロック機構部130が、3個のキャスター部120に設けられてもよいし、四隅のキャスター部120のそれぞれに配置されてもよい。
【0105】
また、本実施形態では、突起232は、牽引用ロボット200の進行方向に対して直交する方向に直線状に2つ配置される例を示したがこれに限定されない。例えば、突起232は、中央部および両側の端部に直線状に配置されてもよい。この場合、中央の端子233と、端部の端子233とは、逆の極性を有してもよい。また、突起232は、台車100の進行方向に沿って配置されてもよい。
【0106】
また、本実施形態では、端子141が凹部143に設けられる例を示したが、これに限定されない。例えば、端子141が凹部143の外側(連結プレート140の上面)に設けられてもよい。これにより、端子233も突起232上ではなく、昇降部230の上面に設けられてもよい。この場合、アクチュエータ133への給電と、連結ずれの機能を独立で制御することができる。
【0107】
また、突起232は、設けられなくてもよい。このとき、端子141および端子2323、磁力を用いて接続してもよい。
【0108】
また、本実施形態では、台車100側の端子141が給電されることにより、ロック機構部130によるロック機構が解除される例を示したが、これに限定されない。例えば、台車100に電源部がある場合には、台車側の端子141と牽引用ロボット200側の端子233とが接触することにより閉回路化し、ロック機構が解除されてもよい。
【符号の説明】
【0109】
10・・・自動搬送システム,50・・・建造物,51・・・シャッター,52・・・スロープ,53・・・資材,54・・・柱,55・・・障害物,60・・・工事用エレベータ,61・・・脚柱,62・・・昇降機,100・・・台車,110・・・台車本体部,115・・・駆動素子,120・・・キャスター部,121・・・取付部,123・・・本体部,125・・・車輪,130・・・ロック機構部,131・・・ワイヤ,133・・・アクチュエータ,135・・・ストッパー,140・・・連結プレート,141・・・端子,143・・・凹部,200・・・牽引用ロボット,210・・・ロボット本体部,211・・・制御部,213・・・記憶部,215・・・通信部,217・・・電源部,220・・・走行部,230・・・昇降部,232・・・突起,233・・・端子,240・・・計測部,300・・・自動搬送管理装置,310・・・制御部,320・・・記憶部,330・・・通信部,340・・・操作部,350・・・表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14