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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】測定装置及び測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20231012BHJP
   G02B 21/06 20060101ALI20231012BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
G01B11/00 B
G02B21/06
G01B11/24 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020032575
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021135212
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000115902
【氏名又は名称】レーザーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100129953
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 康弘
(72)【発明者】
【氏名】権平 皓
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-74622(JP,A)
【文献】特開平11-173821(JP,A)
【文献】特開平5-240607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G02B 21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を照明する照明光を生成する光源と、
前記照明光を集光して試料を照明する対物レンズと、
共焦点光学系を介して、前記試料からの反射光を検出する検出器と、
前記試料に対する前記対物レンズの相対位置を変化させる駆動手段と、
前記相対位置と、前記反射光の強度と、の関係を取得し、取得した前記関係において、前記強度の閾値を設定した場合に、前記閾値以上の前記強度を示す複数の前記相対位置で、前記閾値以上の前記強度から前記閾値を減算した値を総和した総和量の重心を算出し、算出した前記重心に対応する前記相対位置を、前記試料の表面位置とする処理装置と、
を備えた測定装置であって、
前記試料の概形を示す概形データを取得する概形データ取得手段として、前記対物レンズよりも低倍率の低倍率対物レンズをさらに備え、
前記対物レンズと前記低倍率対物レンズとが前記照明光の光路中に選択的に挿入され、
前記閾値は、前記低倍率対物レンズを前記光路中に挿入された場合に取得された概形データに基づいて設定される、
測定装置。
【請求項2】
試料を照明する照明光を生成する光源と、
前記照明光を集光して試料を照明する対物レンズと、
共焦点光学系を介して、前記試料からの反射光を検出する検出器と、
前記試料に対する前記対物レンズの相対位置を変化させる駆動手段と、
前記相対位置と、前記反射光の強度と、の関係を取得し、取得した前記関係において、前記強度の閾値を設定した場合に、前記閾値以上の前記強度を示す複数の前記相対位置で、前記閾値以上の前記強度から前記閾値を減算した値を総和した総和量の重心を算出し、算出した前記重心に対応する前記相対位置を、前記試料の表面位置とする処理装置と、
を備えた測定装置であって、
前記閾値は、前記強度の最大値を示す前記相対位置から、焦点深度だけ変化させた前記相対位置での前記強度である、
測定装置。
【請求項3】
前記閾値以上の前記強度は、複数の極大値を有する、
請求項に記載の測定装置。
【請求項4】
前記処理装置は、前記相対位置と、前記反射光の強度と、の関係をグラフとして取得し、取得した前記グラフにおいて、前記強度の閾値を設定した場合に、前記閾値以上の前記強度の点と、前記閾値を示す直線で囲まれた領域の重心を算出し、算出した前記重心に対応する前記相対位置を、前記試料の表面位置とする、
請求項1~3のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項5】
前記駆動手段は、前記相対位置を所定の間隔で変化させる、
請求項1~4のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項6】
前記駆動手段は、前記試料または前記対物レンズを光軸方向に移動させる、
請求項1~のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項7】
前記対物レンズの視野において、前記試料の照明位置を走査する走査手段をさらに備えた、
請求項1~のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項8】
照明光を対物レンズで集光して試料を照明するステップと、
共焦点光学系を介して、前記試料からの反射光を検出するステップと、
前記試料に対する前記対物レンズの相対位置を変化させるステップと、
前記相対位置と、前記反射光の強度と、の関係を取得するステップと、
取得した前記関係において、前記強度の閾値を設定するステップと、
前記閾値以上の前記強度を示す複数の前記相対位置で、前記閾値以上の前記強度から前記閾値を減算した値を総和した総和量の重心を算出するステップと、
算出した前記重心に対応する前記相対位置を、前記試料の表面位置とするステップと、
を備えた測定方法であって、
前記対物レンズよりも低倍率の低倍率対物レンズによって前記試料の概形を示す概形データを取得するステップをさらに備え、
前記対物レンズと前記低倍率対物レンズとが前記照明光の光路中に選択的に挿入され、
前記閾値を設定するステップにおいて、
前記閾値を、前記低倍率対物レンズを前記光路中に挿入された場合に取得された前記概形データに基づいて設定する、
測定方法。
【請求項9】
照明光を対物レンズで集光して試料を照明するステップと、
共焦点光学系を介して、前記試料からの反射光を検出するステップと、
前記試料に対する前記対物レンズの相対位置を変化させるステップと、
前記相対位置と、前記反射光の強度と、の関係を取得するステップと、
取得した前記関係において、前記強度の閾値を設定するステップと、
前記閾値以上の前記強度を示す複数の前記相対位置で、前記閾値以上の前記強度から前記閾値を減算した値を総和した総和量の重心を算出するステップと、
算出した前記重心に対応する前記相対位置を、前記試料の表面位置とするステップと、
を備えた測定方法であって、
前記閾値を、前記強度の最大値を示す前記相対位置から、焦点深度だけ変化させた前記相対位置での前記強度とする、
測定方法。
【請求項10】
前記閾値を設定するステップにおいて、
前記閾値以上の前記強度は、複数の極大値を有する、
請求項に記載の測定方法。
【請求項11】
前記関係を取得するステップにおいて、
前記相対位置と、前記反射光の強度と、の関係をグラフとして取得し、
前記重心を算出するステップにおいて、
取得した前記グラフにおいて、前記閾値以上の前記強度の点と、前記閾値を示す直線と、で囲まれた領域の重心を算出し、算出した前記重心に対応する前記相対位置を、前記試料の表面位置とする、
請求項8~10のいずれか1項に記載の測定方法。
【請求項12】
前記変化させるステップにおいて、
前記相対位置を所定の間隔で変化させる、
請求項8~11のいずれか1項に記載の測定方法。
【請求項13】
前記変化させるステップにおいて、
前記試料または前記対物レンズを光軸方向に移動させる、
請求項8~12のいずれか1項に記載の測定方法。
【請求項14】
前記対物レンズの視野において、前記試料の照明位置を走査させるステップをさらに備えた、
請求項8~13のいずれか1項に記載の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置及び測定方法に関するものであり、例えば、共焦点顕微鏡を用いた測定装置及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
共焦点顕微鏡は、フォーカス方向及びフォーカス面内をスキャンして、焦点位置を3次元的に走査することにより、試料の3次元形状を取得するとともに、試料の表面を撮像することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-053042号公報
【文献】特開2010-266709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
共焦点顕微鏡による3次元形状の測定は、「フォーカスが合う位置で輝度が最大となる」ことを利用する。一般に、フォーカス方向のスキャンにおいて、輝度が最大になる位置を試料の表面と判断するが、光源から照射される光の強度の時間変動、反射光を受光するカメラの暗電流、及び、ショットノイズといったノイズ成分により、焦点深度程度のバラツキが生じる。そのため、単純に、フォーカス方向の最大輝度の位置から試料の表面の位置を導く方法では、試料の3次元形状における高さ情報に、焦点深度程度の誤差を含むことになる。
【0005】
上記課題に対して、輝度分布を2次関数等でフィッティングして、試料の表面の位置を算出する手法も提案されている。これにより、ノイズに対して比較的安定してデータを得ることができると考えられる。しかしながら、一般に用いられる最小2乗法では、外れ値の影響が大きく、また、輝度分布も単純な関数形状となっていないため、ズレが大きくなっている。
【0006】
本発明の目的は、このような問題を解決するためになされたものであり、試料の表面の位置を取得する際の誤差を抑制し、試料の形状を高精度に測定することができる測定装置及び測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の一態様に係る測定装置は、試料を照明する照明光を生成する光源と、前記照明光を集光して試料を照明する対物レンズと、共焦点光学系を介して、前記試料からの反射光を検出する検出器と、前記試料に対する前記対物レンズの相対位置を変化させる駆動手段と、前記相対位置と、前記反射光の強度と、の関係を取得し、取得した前記関係において、前記強度の閾値を設定した場合に、前記閾値以上の前記強度を示す複数の前記相対位置で、前記閾値以上の前記強度から前記閾値を減算した値を総和した総和量の重心を算出し、算出した前記重心に対応する前記相対位置を、前記試料の表面位置とする処理装置と、を備える。
【0008】
上記の測定装置では、前記処理装置は、前記相対位置と、前記反射光の強度と、の関係をグラフとして取得し、取得した前記グラフにおいて、前記強度の閾値を設定した場合に、前記閾値以上の前記強度の点と、前記閾値を示す直線で囲まれた領域の重心を算出し、算出した前記重心に対応する前記相対位置を、前記試料の表面位置としてもよい。
【0009】
上記の測定装置では、前記駆動手段は前記相対位置を所定の間隔で変化させてもよい。
【0010】
上記の測定装置では、前記駆動手段は、前記試料または前記対物レンズを光軸方向に移動させてもよい。
【0011】
上記の測定装置では、前記対物レンズの視野で、前記試料の照明位置を走査する走査手段をさらに備えてもよい。
【0012】
上記の測定装置では、前記閾値は、予め設定された固定値でもよい。
【0013】
上記の測定装置では、前記試料の概形を示す概形データを取得する概形データ取得手段をさらに備え、前記閾値は、前記概形データに基づいて設定されてもよい。
【0014】
上記の測定装置では、前記閾値は、前記強度の最大値を示す前記相対位置から、焦点深度だけ変化させた前記相対位置での前記強度でもよい。
【0015】
上記の測定装置では、前記閾値以上の前記強度は、複数の極大値を有してもよい。
【0016】
本実施形態の一態様に係る測定方法は、照明光を対物レンズで集光して試料を照明するステップと、共焦点光学系を介して、前記試料からの反射光を検出するステップと、前記試料に対する前記対物レンズの相対位置を変化させるステップと、前記相対位置と、前記反射光の強度と、の関係を取得するステップと、取得した前記関係において、前記強度の閾値を設定するステップと、前記閾値以上の前記強度を示す複数の前記相対位置で、前記閾値以上の前記強度から前記閾値を減算した値を総和した総和量の重心を算出するステップと、算出した前記重心に対応する前記相対位置を、前記試料の表面位置とするステップとを備える。
【0017】
上記の測定方法では、前記関係を取得するステップにおいて、前記相対位置と、前記反射光の強度と、の関係をグラフとして取得し、前記重心を算出するステップにおいて、取得した前記グラフにおいて、前記閾値以上の前記強度の点と、前記閾値を示す直線と、で囲まれた領域の重心を算出し、算出した前記重心に対応する前記相対位置を、前記試料の表面位置としてもよい。
【0018】
上記の測定方法では、前記変化させるステップにおいて、前記相対位置を所定の間隔で変化させてもよい。
【0019】
上記の測定方法では、前記変化させるステップにおいて、前記試料または前記対物レンズを光軸方向に移動させてもよい。
【0020】
上記の測定方法では、前記対物レンズの視野において、前記試料の照明位置を走査させるステップをさらに備えてもよい。
【0021】
上記の測定方法では、前記閾値を設定するステップにおいて、前記閾値を、予め設定された固定値としてもよい。
【0022】
上記の測定方法では、前記試料の概形を示す概形データを取得するステップをさらに備え、前記閾値を設定するステップにおいて、前記閾値を、前記概形データに基づいて設定してもよい。
【0023】
上記の測定方法では、前記閾値を、前記強度の最大値を示す前記相対位置から、焦点深度だけ変化させた前記相対位置での前記強度としてもよい。
【0024】
上記の測定方法では、前記閾値を設定するステップにおいて、前記閾値以上の前記強度は、複数の極大値を有してもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、試料の形状を高精度に測定することができる測定装置及び測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態に係る測定装置を例示した構成図である。
図2】実施形態に係る測定装置において、試料に対する対物レンズの相対位置と反射光の強度との関係を例示したグラフであり、横軸は、相対位置を示し、縦軸は、受光した反射光の強度を示す。
図3図2におけるIII領域を拡大したグラフである。
図4】実施形態に係る測定装置において、処理装置が算出した重心を例示したグラフであり、横軸は、相対位置を示し、縦軸は、受光した反射光の強度を示す。
図5】比較例に係る測定装置、及び、実施形態に係る測定装置によって測定した高さ情報の精度を例示したグラフであり、横軸は、対物レンズの種類を示し、縦軸は、高さ精度として3σを示す。
図6】比較例に係る測定装置、及び、実施形態に係る測定装置によって測定したウェハの形状を例示したグラフであり、横軸は、ウェハにおける動径方向の位置を示し、縦軸は、高さ情報を示す。
図7】実施形態に係る測定方法を例示したフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本実施形態の具体的構成について図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施の形態を示すものであって、本発明の範囲が以下の実施の形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示している。
【0028】
(実施形態)
実施形態に係る測定装置及び測定方法を説明する。まず、実施形態に係る測定装置の構成を説明する。その後、実施形態に係る測定装置を用いた測定方法を説明する。
【0029】
<測定装置の構成>
図1は、実施形態1に係る測定装置を例示した構成図である。図1に示すように、測定装置1は、共焦点光学系10、ステージ20、駆動手段30、処理装置40を備えている。測定装置1は、試料50の表面51の3次元形状を測定する装置である。駆動手段30は、駆動手段30a及び駆動手段30bの少なくともいずれかを含む。
【0030】
共焦点光学系10は、光源11、ハーフミラー12、レンズ13、ミラー14、レンズ15、レンズ16、対物レンズ17、検出器18を備えている。共焦点光学系10は、上記の光学部材以外に他の部材を含んでもよい。
【0031】
光源11は、試料50を照明する照明光を生成する。光源11は、ランプ光源、LED(Light Emitting Diode)、レーザ光源などの種々の光源を用いることが可能である。光源11は、点状の光源でもよいし、ライン光源でもよい。したがって、照明光は、光軸OXに直交する断面が円形状でもよいし、ライン状でもよい。照明光は、ピンホールを用いることで、円形状の照明光を生成してもよいし、スリットやシリンドリカルレンズを用いることで、ライン状の照明光を生成してもよい。
【0032】
共焦点光学系10を構成するため、照明光は、対物レンズ17の焦点面(フォーカス面)において、点状またはライン状の照明領域を形成する。なお、焦点面は、焦点Fを通って、光軸OXに直交する平面である。
【0033】
ここで、共焦点光学系10を説明するために、XYZ直交座標軸系を導入する。焦点面に平行な面をXY面とし、焦点面に直交する方向をZ軸方向とする。Z軸方向は、光軸OX及びフォーカス方向に沿っている。例えば、ライン状の照明光の場合には、照明領域の長手方向をY方向とし、短手方向をX方向とする。
【0034】
光源11からの照明光は、ハーフミラー12に入射する。ハーフミラー12は、入射した光の半分を透過して、残り半分を反射する。ハーフミラー12で反射された照明光は、レンズ13によって平行光束となる。平行光束となった照明光は、ミラー14に入射する。ミラー14は、照明光をレンズ15の方向に反射する。
【0035】
ミラー14には、走査手段14aが取り付けられてもよい。走査手段14aは、ミラー14の傾きを変化させ、ミラー14に入射する照明光の入射角及び反射角を変化させる。走査手段14aは、例えば、モータ、ピエゾ素子、アクチュエータ等である。なお、走査手段14aは、ミラー14に入射する照明光の入射角及び反射角を変化させることができれば、モータ、ピエゾ素子、アクチュエータ等に限らない。
【0036】
走査手段14aが取り付けられたミラー14は、例えば、ガルバノミラーである。走査手段14aは、対物レンズ17の視野において、試料50の照明位置を走査する。具体的には、走査手段14aは、ミラー14の傾きを変えることにより、試料50の照明位置をX軸方向及びY軸方向に走査する2次元スキャンを行う。なお、照明光がY軸方向に延びたライン状の場合には、走査手段14aは、X軸方向に走査する。これにより、照明光が2次元領域を照明するため、2次元共焦点画像を撮像することができる。
【0037】
ミラー14で反射した照明光は、レンズ15及びレンズ16で屈折される。レンズ15及びレンズ16は、例えば、リレーレンズである。レンズ16を通過した照明光は、平行光束となっている。
【0038】
レンズ16を通過した照明光は、対物レンズ17に入射する。対物レンズ17は、照明光を集光して試料50を照明する。対物レンズ17は、照明光を焦点面に集光する。対物レンズ17の焦点Fは、光軸OX上であって、試料50の表面51または試料50の表面51の近傍に位置する。
【0039】
対物レンズ17には、駆動手段30aが取り付けられてもよい。駆動手段30aは、対物レンズ17を光軸方向に移動させる。駆動手段30aは、例えば、モータ、ピエゾ素子、アクチュエータ等である。なお、駆動手段30aは、対物レンズ17を光軸方向に移動させることができれば、モータ、ピエゾ素子、アクチュエータ等にかぎらない。
【0040】
駆動手段30aは、試料50に対する対物レンズ17の相対位置を変化させる。これにより、照明光の焦点位置Fに対して、試料50の表面51を光軸方向にスキャンすることができる。駆動手段30aは、相対位置を所定の間隔で変化させてもよい。すなわち、駆動手段30aは、試料50に対する対物レンズ17の相対位置を離散的に変化させてもよい。
【0041】
なお、共焦点光学系10は、対物レンズ19をさらに備えてもよい。対物レンズ19は、対物レンズ17よりも低倍率である。対物レンズ19を用いることで、広い視野での撮像が可能となる。例えば、対物レンズ17及び対物レンズ19は図示しないレボルバ等に取り付けられている。対物レンズ19と対物レンズ17が光路中に選択的に挿入される。つまり、対物レンズ17及び対物レンズ19の一方が光路中に挿入され、他方が光路中から取り出される。対物レンズ19は、試料50の概形を示す概形データを取得するために用いられる。よって、対物レンズ19は、概形データを取得する概形データ取得手段である。
【0042】
試料50は、ステージ20上に載置されている。試料50は、例えば、半導体ウェハ等である。なお、試料50には、パターン等または薄膜等が設けられていてもよい。また、試料50は、ベアウェハでもよい。ステージ20は、真空チャック等により、試料50を保持していてもよい。試料50の+Z側の面を表(おもて)面51とする。照明光は、試料の+Z側から試料50を照明する。試料50がウェハの場合には、試料50の表面51には、例えば、パターンが形成されている。
【0043】
ステージ20には、駆動手段30bが取り付けられてもよい。駆動手段30bは、ステージ20及び試料50を光軸OX方向に移動させる。駆動手段30bは、例えば、モータ、ピエゾ素子、アクチュエータ等である。なお、駆動手段30bは、ステージ20及び試料50を光軸OX方向に移動させることができれば、モータ、ピエゾ素子、アクチュエータ等にかぎらない。
【0044】
駆動手段30bは、試料50に対する対物レンズ17の相対位置を変化させる。これにより、照明光の焦点位置Fに対して、試料50の表面51を光軸方向にスキャンすることができる。駆動手段30bは、相対位置を所定の間隔で変化させてもよい。すなわち、駆動手段30bは、試料50に対する対物レンズ17の相対位置を離散的に変化させてもよい。
【0045】
このように、駆動手段30は、対物レンズ17を光軸OX方向に移動させる駆動手段30aでもよいし、試料50を光軸OX方向に移動させる駆動手段30bでもよい。
【0046】
照明光は、試料50の表面51を照明する。そして、照明光は、試料50の表面51で反射される。試料50で反射した反射光は、照明光の光路を戻っていく。つまり、反射光は、対物レンズ17で平行光束となって、レンズ16に入射する。レンズ16及びレンズ15は、反射光を屈折する。レンズ15を通過した反射光は、ミラー14で反射されて、レンズ13に入射する。ミラー14に走査手段14aが取り付けられている場合には、反射光は、ミラー14でデスキャンされる。そして、ミラー14で反射された反射光は、レンズ13で屈折されて、ハーフミラー12に入射する。レンズ13からの反射光の半分が、ハーフミラー12を通過して、検出器18に入射する。
【0047】
レンズ13は、結像レンズであり、反射光を検出器18の受光面に集光している。検出器18は、例えば、複数の画素を備えたセンサである。具体的には、検出器18として、CCD(Charged Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサを用いることができる。
【0048】
照明光がライン状である場合には、ラインCCDまたはラインCMOSセンサを用いてもよい。この場合には、検出器18の受光面には、複数の画素がライン列に配列されている。検出器18の複数の画素は、Y方向に沿って配置される。
【0049】
検出器18は、反射光を検出して、検出結果のデータを処理装置40に出力する。すなわち、検出器18は、各画素が受光した反射光の強度を示す検出データを処理装置40に出力する。なお、反射光の強度と、輝度とを同様の挙動を示す相関のある値として扱う。反射光の強度と輝度とを同じ意味として扱ってもよい。
【0050】
なお、検出器18の受光面は、対物レンズ17の焦点面とは互いに共役な位置に配置されている。対物レンズ17で集光された照明光が、焦点面において、点状またはライン状の照明領域を形成する。検出器18の受光面では、反射光が点状またはY方向を長手方向とするライン状に集光される。焦点面から光軸方向にずれた面で反射された反射光は、検出器18の画素の外側に入射する。このようにすることで、共焦点光学系10を構成することができる。
【0051】
上記の例では、対物レンズ17の焦点面から共役な位置に検出器18を配置していたが、ピンホールまたはスリットを用いて共焦点光学系10を構成することも可能となる。例えば、ピンホールまたはライン状の照明領域に沿ったスリットを焦点面と共役な位置に配置する。検出器18がピンホールまたはスリットを通過した反射光を検出するよう、ピンホールまたはスリットの後ろ側に検出器18を配置する。ライン状の照明光の場合には、検出器18は、スリット方向に沿って複数の画素が配列されたラインセンサとする。
【0052】
このような構成とすることにより、焦点面で反射した反射光がピンホールまたはスリットを通過し、焦点面からずれた面で反射された反射光は、遮光される。よって、共焦点光学系10を構成することができる。
【0053】
本実施形態の測定装置1において、検出器18は、共焦点光学系10を介して、試料50からの反射光を検出する。共焦点光学系10では、駆動手段30により、フォーカス方向にスキャンして、試料50に対する対物レンズ17の相対位置を変化させる。これにより、反射光の強度が最大となる相対位置を、試料50の表面51の高さとして、高さ情報を得ることができる。
【0054】
また、測定装置1は、相対位置を変化させる毎に、各相対位置での最大の強度となる共焦点画像を取得する。そして、処理装置40は、各相対位置での共焦点画像を合成することにより、試料50の3次元形状を得ることができる。
【0055】
処理装置40は、例えば、プロセッサとメモリなどを備えたコンピュータであり、試料50の表面51の位置を測定するための処理を実行する。処理装置40は、例えば、PC(Personal Computer)である。処理装置40は、測定結果を表示するためのモニタや、ユーザからの入力を受け付けるためのキーボード、マウス、タッチパネルなどの入力機器を備えている。
【0056】
処理装置40は、走査手段14a及び駆動手段30を制御する。処理装置40は、共焦点光学系10で検出された検出データを収集する。処理装置40は、試料50に対する対物レンズ17の相対位置と、反射光の強度との関係を取得する。具体的には、処理装置40は、相対位置と、反射光の強度との関係をグラフとして取得する。
【0057】
図2は、実施形態に係る測定装置1において、試料50に対する対物レンズ17の相対位置と反射光の強度との関係を例示したグラフであり、横軸は、Z軸方向の相対位置を示し、縦軸は、受光した反射光の強度を示す。図3は、図2におけるIII領域を拡大したグラフである。図2に示すように、Z軸方向に沿った光軸OX方向に相対位置を変化させた場合には、反射光の強度のピークが測定される。ピーク位置が試料50の表面51の位置に対応する。
【0058】
図3に示すように、反射光の強度ピークの近傍を拡大すると、強度プロファイルは、細かく振動している。すなわち、強度プロファイルは、複数の極大値及び極小値を含んでいる。
【0059】
焦点面付近では焦点深度の幅だけ強度が変化しない領域が存在する。そのため、光源の時間変動、検出器18となるカメラの暗電流及びショットノイズといったノイズ成分によってピークの位置が変動しうる。したがって、最大輝度はノイズの影響を含んでおり、単純に、光軸OX方向における強度の最大値の位置から試料50の表面51の位置を導く方法では、測定した試料50の3次元形状に、焦点深度程度の誤差を含むことになる。そこで、本実施形態において、処理装置40は、反射光の強度分布(輝度分布)から、重心を求めることで高さ情報を得る。
【0060】
図4は、実施形態に係る測定装置1において、処理装置40が算出した重心Gを例示したグラフであり、横軸は、Z軸方向の相対位置を示し、縦軸は、受光した反射光の強度を示す。図4に示すように、処理装置40は、試料50に対する対物レンズ17の相対位置と、反射光の強度との関係を取得し、取得した関係において、強度の閾値Ithを設定する。具体的には、処理装置40は、相対位置と反射光の強度との関係を示すグラフにおいて、所定の強度を閾値Ithとして設定する。図4では、強度の閾値Ithは、例えば、500と設定されている。閾値Ithを設定する方法としては、例えば、以下の3つの方法が挙げられる。
【0061】
1.閾値Ithを予め固定値として設定する。
2.閾値Ithをラフスキャン時の測定結果に基づいて設定する。
3.閾値Ithをファインスキャン時の測定結果に基づいて設定する。
【0062】
例えば、1の場合のように、閾値Ithは、予め設定された固定値でもよい。例えば、予め、閾値Ithを固定値500と設定してもよい。または、閾値Ithを固定した値とするだけでなく、ピークの最大値の半値、ピークの変曲点、強度プロファイルのベース部分等、閾値Ithをピークの特性を示す固定値としてもよい。
【0063】
また、2の場合のように、予め、ラフスキャンにより、試料50の概形を示す概形データを取得した場合には、閾値Ithは、概形データに基づいて設定されてもよい。この場合にも、ラフスキャンの測定結果から、閾値Ithを固定値として設定してもよいし、ピークの最大値の半値、ピークの変曲点、強度プロファイルのベース部分等、閾値Ithをピークの特性を示す値に設定してもよい。
【0064】
さらに、3の場合のように、ファインスキャンにより、全データを取得した場合には、ファインスキャン時の測定結果から、閾値Ithを固定値として設定してもよいし、ピークの最大値の半値、ピークの変曲点、強度プロファイルのベース部分等、閾値Ithをピークの特性を示す値に設定してもよい。
【0065】
1及び2の場合には、ファインスキャン前に閾値Ithを決められるため、閾値Ithを決める際に全データを保持する必要がない。この場合、順次処理が可能となる。このため、メモリ使用量を抑制することができる。
【0066】
3の場合には、スキャン時のデータを全て保持しておく必要があるため、高容量のメモリを必要とする。しかしながら、検査装置への展開時などハードウェア上の制約が少なく、タクトを優先する場合は有利である。
【0067】
閾値Ithは、反射光の強度の最大値を示す相対位置から、焦点深度だけ変化させた相対位置での強度でもよい。その場合には、図3に示すように、相対位置と反射光の強度との関係において、閾値Ith以上の反射光の強度プロファイルは、ノイズ成分を起因とする複数の極大値及び極小値を有する。
【0068】
処理装置40は、反射光の強度の閾値Ithを設定した場合に、閾値Vt以上の強度を示す複数の相対位置で、閾値Ith以上の強度から閾値Ithを減算した値を総和した総和量の重心Gを算出する。例えば、処理装置40は、以下の(1)式より、総和量の重心Gを算出する。ここで、Zは、重心Gに相当する相対位置であり、Iは、反射光の強度において、閾値Ith以上の強度から閾値Ithを減算した値である。
【0069】
【数1】
【0070】
具体的には、図4に示すように、反射光の強度の閾値Ithを設定した場合に、閾値Ith以上の強度の点と、閾値Ithを示す直線で囲まれた総和量を示す領域の重心Gを算出する。処理装置40は、算出した重心Gに対応する相対位置Zを、試料50の表面51の位置とする。
【0071】
処理装置40が検出器18から取得した検出データを含む信号には、光源11の時間変動、検出器18の暗電流及びショットノイズ等のノイズ成分が重畳されている。しかしながら、閾値Ith以上の強度から閾値Ithを減算した値を総和した総和量、例えば、図4の色付けされた部分は、これらのノイズ成分を平均化して含んでいる。さらに、強度プロファイルのベース部分も除去されている。よって、ノイズ成分を無視することができる程度に低減することができる。このため、算出された重心Gへのノイズ成分の寄与は小さくなる。
【0072】
また、閾値Ith付近の反射光の強度は、最大値に比べて小さい。このため、算出される重心Gへのノイズ成分の寄与を低減することができる。したがって、焦点面付近の強度分布によってのみ重心Gの位置が決定される。これにより、高さ情報の精度を向上させることができる。
【0073】
図5は、比較例に係る測定装置、及び、実施形態に係る測定装置によって測定した高さ情報の精度を例示したグラフであり、横軸は、対物レンズの種類を示し、縦軸は、高さ精度として3σを示す。比較例の測定装置は、単純に、光軸OX方向における強度(輝度)の最大値の位置から試料50の表面51の位置を導いている。これに対して、実施形態の測定装置1は、強度(輝度)の重心から試料50の表面51の位置を導いている。
【0074】
図5に示すように、比較例の測定装置を用いて、試料50の表面51の位置を測定した場合には、測定のバラツキを示す3σは、10倍の対物レンズでは8.00[μm]であり、20倍の対物レンズでは0.63[μm]である。一方、本実施形態の測定装置1を用いて、試料50の表面51の位置を測定した場合には、測定のバラツキを示す3σは、10倍の対物レンズでは1.53[μm]であり、20倍の対物レンズでは0.11[μm]である。このように、比較例の測定装置を用いて、試料50の表面51の位置を測定した場合には、バラツキが大きくなっているのに対して、本実施形態の測定装置1を用いて、試料50の表面51の位置を測定した場合は、比較例の測定装置を用いた場合よりも、3σの値を向上させることができる。
【0075】
別の例としては、例えば、S/Nが6.4%の検出器18の検出データにおいて、比較例の測定装置を用いた高さ情報の測定精度は、10倍の対物レンズにおいて、3σ=2.6μmである。これに対して、本実施形態の測定装置1を用いた高さ情報の測定精度は、10倍の対物レンズにおいて、3σ=0.6μmである。したがって、本実施形態の測定装置1を用いることにより、3σを、2.6μmから0.6μmへ安定化させることができる。
【0076】
また、20倍の対物レンズでは、本実施形態の測定装置1を用いることにより、比較例と比べて、3σ=1.5μmから0.3μmへ安定化させることができる。
【0077】
比較例では、単純に、光軸OX方向における強度の最大値の位置を高さ情報として用いている。よって、比較例では、高さ情報に、光源11の時間変動、検出器18の暗電流及びショットノイズ等のノイズ成分を含んでいるため、離散値となっている。これに対して、本実施形態では、ノイズ成分を平均化して含んだ総和量から重心を算出し、算出した重心に対応する相対位置を、試料50の表面位置としている。よって、連続的な値を用いて算出することができる。
【0078】
図6は、比較例に係る測定装置、及び、実施形態に係る測定装置1によって測定したウェハの形状を例示したグラフであり、横軸は、ウェハにおける動径方向の位置を示し、縦軸は、高さ情報を示す。黒色の振動した線は、比較例による結果を示し、白色の線は、実施形態による結果を示す。図6には、VI領域を拡大したグラフも示している。なお、両者とも、ガルバノミラー等の走査手段14aをオフしている。
【0079】
図6及びVI領域の拡大図に示すように、強度(輝度)の最大値の位置からウェハの表面の位置を導く比較例では、高さ位置を示すプロファイルは、細かく振動している。これは、光源の時間変動、検出器18となるカメラの暗電流及びショットノイズといったノイズ成分を含むことによる。したがって、比較例によって測定したウェハの形状は、焦点深度程度の誤差を含むことになる。
【0080】
これに対して、強度(輝度)の重心からウェハの表面の位置を導く本実施形態では、高さ位置を示すプロファイルは、ノイズ成分が低減されている。
【0081】
図6に示す動径方向の位置において、R<0の部分で算術平均粗さRaを以下の(2)式より算出する。
【0082】
【数2】
【0083】
そうすると、比較例の場合には、Ra=0.385[μm]であるのに対して、本実施形態では、Ra=0.078[μm]である。このように、本実施形態では、ノイズ成分を含むバラツキを著しく低減することができる。
【0084】
<測定方法>
次に、実施形態に係る測定装置を用いた測定方法を説明する。図7は、実施形態に係る測定方法を例示したフローチャート図である。図7のステップS11に示すように、照明光を対物レンズ17で集光して試料50を照明する。具体的には、光源11で生成した照明光を用いて、共焦点光学系10を介して、試料50を照明する。
【0085】
次に、ステップS12に示すように、共焦点光学系10を介して、試料50からの反射光を検出する。具体的には、検出器18を用いて試料50からの反射光を検出する。
【0086】
次に、ステップS13に示すように、試料50に対する対物レンズ17の相対位置を変化させる。例えば、対物レンズ17に取り付けられた駆動手段30aまたはステージ20に取り付けられた駆動手段30bを用いて、相対位置を変化させる。その際において、駆動手段30aまたは駆動手段30bは、対物レンズ17または試料50を光軸OX方向に移動させる。なお、駆動手段30aまたは駆動手段30bは、相対位置を所定の間隔で変化させてもよい。また、例えば、ミラー14に取り付けられた走査手段14aを用いて、対物レンズ17の視野において、試料50の照明位置を走査させてもよい。
【0087】
次に、ステップS14に示すように、試料50に対する対物レンズ17の相対位置と、反射光の強度と、の関係を取得する。例えば、処理装置40は、検出器18から出力された検出データを用いて、横軸に相対位置をとり、縦軸に反射光の強度をとったグラフを作成する。これにより、処理装置40は、相対位置と、反射光の強度と、の関係をグラフとして取得する。
【0088】
次に、ステップS15に示すように、取得した関係において、反射光の強度の閾値Ithを設定する。閾値Ithを、予め設定された固定値としてもよい。また、閾値Ithを、反射光の強度の最大値を示す相対位置から、焦点深度だけ変化させた相対位置での強度としてもよい。この場合には、閾値Ith以上の反射光の強度プロファイルは、複数の極大値及び極小値を有してもよい。また、予め、試料50の概形を示す概形データを取得するステップをさらに備えてもよい。そして、閾値Ithを設定する際に、閾値Ithを、取得した概形データに基づいて設定してもよい。
【0089】
次に、ステップS16に示すように、閾値Ith以上の強度の重心Gを算出する。具体的には、処理装置40は、閾値Ith以上の反射光の強度を示す複数の相対位置で、閾値Ith以上の強度から閾値Ithを減算した値を総和した総和量の重心Gを算出する。例えば、処理装置40は、取得したグラフにおいて、閾値Ith以上の強度の点と、閾値Ithを示す直線と、で囲まれた領域の重心Gを算出する。
【0090】
次に、ステップS17に示すように、算出した重心Gに対応する相対位置を、試料50の表面51の位置とする。このようにして、本実施形態の測定方法により、試料50の表面51の形状を測定することができる。
【0091】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態の測定装置1は、閾値Ith以上の強度から閾値Ithを減算した値を総和した総和量の重心Gを算出する。総和量は、光源11の時間変動、検出器18の暗電流及びショットノイズ等のノイズ成分を平均化して含んでいる。よって、ノイズ成分を低減することができる。
【0092】
また、測定装置1は、算出した重心Gに対応する相対位置を、試料50の表面51の位置とする。このため、算出された重心Gへのノイズ成分の寄与を低減することができる。したがって、測定装置1は、試料50の表面51の位置を取得する際の誤差を抑制し、試料50の形状を高精度に測定することができる。
【0093】
処理装置40は、相対位置と、反射光の強度と、の関係をグラフとして取得し、取得したグラフにおいて、閾値Ith以上の強度の点と、閾値Ithを示す直線で囲まれた領域の重心Gを算出する。したがって、重心Gの位置を容易かつ高精度で算出することができる。
【0094】
駆動手段30によって、試料50または対物レンズ17を光軸OX方向に移動させるとともに、走査手段14aによって、試料50の照明位置を走査することができる。これにより、試料50の3次元形状を取得することができる。
【0095】
反射光の強度の閾値Ithを、固定値または概形データに基づいて設定することにより、順次処理を可能とし、メモリ使用量を抑制することができる。また、閾値Ithを、ファインスキャン時の測定結果に基づいて設定することにより、検査装置への展開時などのハードウェア上の制約を少なくし、タクトを優先することができる。
【0096】
閾値Ithを、反射光の強度の最大値を示す相対位置から、焦点深度だけ変化させた相対位置での強度とした場合には、閾値Ith以上の反射光の強度プロファイルは、複数の極大値及び極小値を有するようになる。すなわち、焦点面付近では、焦点深度の幅だけ反射光の強度が変化しない領域が存在し、光源11の時間変動、検出器18の暗電流及びショットノイズといったノイズ成分によってピークの位置が変動しうる。このような場合でも、本実施形態の測定装置1は、総和量の重心Gから試料50の表面51の位置を求めるので、試料50の表面51の位置を取得する際の誤差を抑制することができ、試料50の形状を高精度に測定することができる。
【0097】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態による限定は受けない。
【符号の説明】
【0098】
1 測定装置
10 共焦点光学系
11 光源
12 ハーフミラー
13 レンズ
14 ミラー
14a 走査手段
15 レンズ
16 レンズ
17 対物レンズ
18 検出器
19 対物レンズ
20 ステージ
30 駆動手段
30a 駆動手段
30b 駆動手段
40 処理装置
50 試料
51 表面
OX 光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7