(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】加湿装置
(51)【国際特許分類】
F24F 6/00 20060101AFI20231012BHJP
【FI】
F24F6/00 A
(21)【出願番号】P 2020096621
(22)【出願日】2020-06-03
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000109026
【氏名又は名称】ダイニチ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 直紀
(72)【発明者】
【氏名】阿部 利浩
(72)【発明者】
【氏名】野▲崎▼ 隆宏
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-047963(JP,A)
【文献】特開2003-021376(JP,A)
【文献】特開2008-275188(JP,A)
【文献】特開2018-121706(JP,A)
【文献】特開2013-178059(JP,A)
【文献】特開昭54-062644(JP,A)
【文献】特表2004-511744(JP,A)
【文献】特開2012-237459(JP,A)
【文献】実公昭58-026064(JP,Y2)
【文献】米国特許出願公開第2020/0061532(US,A1)
【文献】韓国登録実用新案第20-0438801(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/00-6/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加湿空気を発生させる加湿手段と、
本体の挿入口より装着されて水を貯える水槽部と、
前記水槽部の水位を検知するフロートおよび前記フロートが装着される枠体を有し、前記枠体を介して前記水槽部に着脱自在な水位検知部と、
前記枠体に設けられ、前記水位検知部を前記水槽部に固定する固定手段と、を備え
前記固定手段は、回動可能に設けられて前記固定手段をロック状態と非ロック状態とに切り換える操作部と、前記操作部に連動して回動し前記水槽部に係止する係止部と、前記操作部と前記係止部とを連結する連結部と、を備えて構成され、
前記操作部が回動範囲の端部である回動規制位置にあるとき、前記操作部が当接する第1当接機構と、前記係止部が当接する第2当接機構と、を備える加湿装置。
【請求項2】
前記第1当接機構は、前記枠体に設けられ、
前記第2当接機構は、少なくとも前記枠体または前記水槽部のいずれか一方に設けられている、請求項1に記載の加湿装置。
【請求項3】
前記枠体は、前記固定手段が取り付けられる取付面を有し、
前記第1当接機構は、前記取付面の一方の面に設けられ、
前記第2当接機構は、前記取付面の他方の面に設けられる、請求項1に記載の加湿装置。
【請求項4】
第3当接機構が前記水槽部に設けられており、
前記操作部が前記固定手段のロック状態における回動規制位置にあるとき、前記係止部が前記第3当接機構に当接する、請求項2または3に記載の加湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内空気の加湿を行う加湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、加湿装置においては、水を貯留する水槽を内部に備え、水槽に貯えられた水を加湿手段等によって気化させるなどして加湿空気を発生させるようになっている。そのため、水を貯える水槽の底部は常に水に浸かった状態であり、水に浸かった部分には水垢などの汚れが付着する。この汚れを放置すると雑菌が繁殖して臭いが発生する原因になるため、水槽には定期的なメンテナンスが必要とされる。
【0003】
一般的に、水槽は本体に着脱自在となっていて、水槽のメンテナンスに際しては本体から取り外して水洗いをするようになっている。また、水洗いの際に水槽の汚れを落としやすくするためには、水槽には凹凸が少ないほうがよい。そこで、水槽の水位を検知するフロートを着脱式とした加湿装置が提案されている(例えば、特許文献1)。メンテナンスの際にはフロートを取り外して水洗いすることで、フロートの周辺部分の汚れも容易に洗い流すことができる。
【0004】
また、出願人は、このようなフロートの取り外しを容易にする構造として、枠体内にフロートを収容する構成を提案した(特許文献2)。フロートは、水槽内の水位によって上下動することで水位を検知するものであるため、例えば発泡樹脂などの軽くて水に浮く素材から構成されている。そのため、フロートの強度は弱く、直接手で触れて取り外したりすると変形してしまう可能性がある。フロートが変形すると正確に水位を検知することができなくなり、加湿装置の動作に悪影響を及ぼすことになる。そこで、特許文献2の構成とすることで、フロートには手を触れることなく水位検知部を水槽に着脱することができるため、変形を防止するとともに、着脱を容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-89276号公報
【文献】特願2019-24548号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述のように水位検知部が取り外し可能に設けられる場合、正確に水位を検知するためには、水位検知部を適切な位置に固定しなければならない。例えば、特許文献2では、回動操作によってロック状態と非ロック状態を切り換える固定手段を備えている。この固定手段は、操作部と係止部とを嵌め合わせ、ネジなどの連結部材によって連結することで構成されているが、回動操作の際に操作部と係止部との連結箇所に大きな負荷がかかると、部品が破損してしまうおそれがある。固定手段が破損すると、ロック機能が働かなくなるため、正確に水位を検知することが難しくなってしまう。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためのもので、水位検知部を容易かつ確実に固定することができ、信頼性に優れた加湿装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、加湿空気を発生させる加湿手段と、
本体の挿入口より装着されて水を貯える水槽部と、
前記水槽部の水位を検知するフロートおよび前記フロートが装着される枠体を有し、前記枠体を介して前記水槽部に着脱自在な水位検知部と、
前記枠体に設けられ、前記水位検知部を前記水槽部に固定する固定手段と、を備え
前記固定手段は、回動可能に設けられて前記固定手段をロック状態と非ロック状態とに切り換える操作部と、前記操作部に連動して回動し前記水槽部に係止する係止部と、前記操作部と前記係止部とを連結する連結部と、を備えて構成され、
前記操作部が回動範囲の端部である回動規制位置にあるとき、前記操作部が当接する第1当接機構と、前記係止部が当接する第2当接機構と、を備える加湿装置である。
【発明の効果】
【0009】
上述のように構成することにより、固定手段にかかる負荷が低減されるので、破損してしまうことが抑制される。したがって、水位検知部を確実に固定することができ、信頼性に優れた加湿装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】本実施形態の加湿装置の構成を示す外観図である。
【
図3】本実施形態の加湿装置における貯水部の構成を示す斜視図である。
【
図4】本実施形態の加湿装置における貯水部を構成する部品を示す分解図である。
【
図7】本実施形態の固定手段を構成する部品を示す分解図である。
【
図8】本実施形態の水位検知部の取付状態を示す図であって、(A)は固定手段によって固定されているロック状態、(B)は固定手段による固定が解除されている非ロック状態を示す。
【
図9】本実施形態の第1当接機構の一例を示す図である。
【
図10】本実施形態の第2当接機構の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
好適と考える本発明の実施形態を、本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0012】
本発明は、水槽部の水位を検知する水位検知部を着脱自在とした加湿装置であって、水位検知部は水槽部の水位を検知するフロートと、このフロートが装着される枠体を有しており、枠体は水槽部に固定するための固定手段を備えている。この固定手段は、操作部と係止部とが連結されて構成されており、操作部を回動させることで係止部も回動しロック状態と非ロック状態が切り換えられる。そして、操作部を回動範囲の端部である回動規制位置に回動させると、操作部が第1当接機構と当接し、係止部が第2当接機構と当接する。つまり、操作部を回動規制位置まで回動させると、操作部と係止部が複数の点で当接することとなり、固定手段にかかる負荷が分散する。これにより、必要以上の負荷がかかった場合であっても、操作部と係止部との連結箇所にかかる負荷が分散して低減されるため、連結箇所の破損が抑えられる。よって、水位検知部を確実に固定することができるので信頼性に優れた加湿装置となる。
【0013】
また、第1当接機構は、枠体に設けられ、第2当接機構は、少なくとも枠体または水槽部のいずれか一方に設けられる。これにより、負荷を分散させるための当接機構を容易かつ適切な位置に設けることができる。
【0014】
また、枠体は、固定手段が取り付けられる取付面を有し、第1当接機構は、取付面の一方の面に設けられ、第2当接機構は、取付面の他方の面に設けられる。これにより、負荷を分散させるための当接機構を容易かつ適切な位置に設けることができる。
【0015】
また、水槽部に第3当接機構が設けられており、操作部が固定手段のロック状態における回動規制位置にあるとき、係止部が第3当接機構に当接する。固定手段を操作する際は、特に非ロック状態からロック状態にするときに大きな負荷をかけてしまい易いが、ロック状態となったときには、係止部が第2当接機構に加えて第3当接機構とも当接するので、より確実に負荷を分散させることができるため、信頼性に優れることとなる。
【実施例】
【0016】
以下、本発明の一実施例を図面により説明する。
【0017】
図1は、本実施形態の加湿装置の外観斜視図であり、
図2は、加湿装置の構成を示す外観図である。加湿装置の本体1の上面には、加湿装置の動作を指示するためのスイッチや運転状態を表示するランプ等が複数設けられた表示操作部2と、加湿空気を吹き出す吹出口3が設けられている。また、本体1の側面には室内の空気を本体1に取り入れるための吸込口4が設けられ、後述する水槽部7に水を供給する給水タンク5が本体1に着脱自在に設けられている。本実施形態の加湿装置では、給水タンクとして、第一給水タンク5a、第二給水タンク5bの2つの給水タンクを備えているが、給水タンク5は1つでもよい。そして本体1の正面には、給水タンク5内の水量を確認することのできる水量窓6が設けられている。
【0018】
また、本体1の底部には、給水タンク5(第一給水タンク5a、第二給水タンク5b)から水が供給されて一定量の水を貯える水槽部7を備えている。この水槽部7内には、吸水性を有する気化フィルタ8(8a、8b)が配置されていて、気化フィルタ8は一部が水槽部7内の水に浸漬されており、この水を吸い上げることにより湿潤している。水槽部7は天面が開口した形状であり、2つの給水タンク5a、5bを取り外すと本体1の挿入口1aから引出せるように摺動可能に設けられている。
【0019】
図3は、本実施形態の加湿装置における貯水部の構成を示す斜視図であり、
図4は、貯水部を構成する部品を示す分解図である。貯水部9は、上述の水槽部7と、水槽部7に立設する仕切部12と、水槽部7内の水位を検知する水位検知部13とを備えている。仕切部12と、水位検知部13は水槽部7に着脱自在に設けられている。
【0020】
水槽部7の内部は、仕切部12によって、2つの給水タンク5a、5bを収容する給水タンク収容部14と、気化フィルタ8を収容する気化フィルタ収容部15に区画されている。そして、この仕切部12には、給水タンク収容部14と気化フィルタ収容部15を連通する連通孔12aが設けられていて、給水タンク5から水槽部7に供給された水は、給水タンク収容部14からこの連通孔12aを介して気化フィルタ収容部15に流入し、水槽部7には一定量の水が貯えられて定水面が形成される。
【0021】
仕切部12は、正面(
図4において水位検知部13が取り付けられている面。正面の裏側は背面とする。)の左右両端に形成された係止片12bを有している。そして、水槽部7の仕切部12が取り付けられる位置には、内側に向けて係止壁7aが延びており、この係止壁7aには係止片12bが挿入される第1係止部71が形成されている。水槽部7に仕切部12を取り付ける際には、第1係止部71に係止片12bを係止させることで、仕切部12の上方向への移動が規制されて、上方向の位置ずれが抑制される。また、水槽部7の内壁には、仕切部12を取り付ける際のガイドとなるガイド片7bが設けられている。
【0022】
水位検知部13は、水槽部7内の水位に応じて上下に回動するフロート16と、フロート16が装着される枠体17を備えており、枠体17を介して水槽部7に取り付けられる。
【0023】
なお、本実施形態では、
図4に示すように水位検知部13と仕切部12は別の部材で構成されていて、分解することができるが、水位検知部13は仕切部12に固定されるようになっている。そのため、水位検知部13は仕切部12とともに水槽部7に着脱することができる。なお、着脱の形態はこれに限るものではなく、水位検知部13と仕切部12とが別々に水槽部7に取り付けられてもよいし、水位検知部13と仕切部12は分解できないような構造であっていてもよい。
【0024】
図5は、本実施形態の水位検知部の斜視図であり、
図6は、本実施形態の水位検知部の断面図である。水位検知部13を構成する枠体17は、底面171と、側面172と備える有底箱形状であり、底面171と側面172とに囲まれた空間である空間部18内にフロート16が収容されている。なお、枠体17は、底面171と側面172の他に上面を備えた形状であってもよい。そして枠体17の側面172には、フロート16の回動軸16aを受ける軸受部174が設けられている。
【0025】
枠体17の底面171と、側面172には通水孔20が形成されており、この通水孔20を介して空間部18の内と外を水が流通するようになっている。さらに枠体17の底面171には、下方すなわち水槽部7側に向けて凸となる当接部21が形成されている。これにより、水位検知部13を水槽部7に装着すると、この当接部21が水槽部7の底面と当接するため、枠体17の底面171と水槽部7の底面との間には水が流通する隙間が形成される。水槽部7内の水は、この隙間を通って空間部18の内と外とを効率よく流通するので、空間部18内に設けられたフロート16は水槽部7内の水位を正確に検知することができる。なお、本実施形態においては、通水孔20は底面171だけでなく側面172にも設けられているが、通水孔20は少なくとも底面171に設けられていればよい。
【0026】
また枠体17は、水槽部7と接続するための枠体側接続部173を備えている。この枠体側接続部173は、水位検知部13を水槽部7に固定するための固定手段19と、固定手段が取り付けられる取付面30とから構成されていて、取付面30は側面172の上端から外側に向って延びている。この枠体側接続部173を後述する水槽部側接続部23に接続することによって水位検知部13が水槽部7に取り付けられる。
【0027】
図7は、本実施形態の固定手段を構成する部品を示す分解図である。固定手段19は、ロック状態と非ロック状態とに切り換える際に操作する操作部191と、この操作部191の操作に連動して水平方向に回動する係止部192と、操作部191と係止部192とを固定するための連結部材であるネジ193を備える。なお、固定手段19を枠体17(取付面30)に取り付ける際には、操作部191と係止部192の間に取付面30が挟まれるが、図では取付面30は省略されている。
【0028】
操作部191は、係止部192と対向する面の中央にネジ193が挿入されるネジ孔191aを備えており、ネジ孔191aの近傍には係止部192のピン受け部(図示せず)に嵌合する2本のピン191bが突出形成されている。このピン191bは、操作部191と係止部192とを連結する連結部であって、ピン受け部に嵌め合わせることで、操作部191と係止部192とが一体となって空回りすることが防止されている。さらには、円筒突出部191c、操作部側当接部191d、操作部側当接部191dの間に形成された円弧状の溝部191e、ツマミ部191fを有している。
【0029】
係止部192は、略円筒状の係止部本体192aから、ロック片192bと、係止部側当接部192cが突出形成されている。操作部191を回動操作すると、係止部192もそれに伴って回動してロック片192bの位置が移動する。これにより、固定手段19をロック状態と非ロック状態とに切り換えることができる。
【0030】
図8は、水位検知部と水槽部との接続部分を示す図であって、(A)は固定手段によって固定されているロック状態、(B)は固定手段による固定が解除されている非ロック状態を示している。水槽部7には、水面よりも高い位置に水槽部側接続部7cが設けられていて、枠体側接続部173は水槽部側接続部7cに重ね合わせるようにして上方から接続され、固定手段19によって固定される。また、水槽部側接続部7cには、第2係止部72および第3係止部73が形成されている。
【0031】
第2係止部72は、水位検知部13が係止して水平方向への移動を規制する。水槽部7に水位検知部13が取り付けられて、枠体側接続部173が水槽部側接続部7cに接続されると、固定手段19のロック状態/非ロック状態にかかわらず、水位検知部13は第2係止部72によって水平方向(仕切部12の背面方向)への移動が規制される。つまり、仕切部12に背面方向へ移動する力を加えても係止部192が第2係止部72に当接するため、水位検知部13の移動が規制される。これにより、仕切部12の水平方向の位置ずれが抑制される。
【0032】
第3係止部73は、固定手段19がロック状態にあるとき、ロック片192bが係止して上方向への移動を規制する。
図8(A)のように、操作部191がロック位置にあるときは、ロック片192bが第3係止部73に嵌り込んだ状態になっている。ロック片192bが第3係止部73に嵌り込むことで、水位検知部13が上方に移動することが規制される。固定手段19を非ロック状態にするときは、操作部191が非ロック位置に向くように操作部191を回す。これにより係止部192が反時計周りに回動して、
図8(B)のようにロック片192bが第3係止部73から外れた状態となり、水位検知部13の上方向への移動の規制が解除される。
【0033】
また、枠体17は、固定手段19が取り付けられている取付面30の上面に、操作部191の回動範囲を示す矢印301が表示されていて、上述のように固定手段19をロック状態/非ロック状態に切り換えるときは、矢印301の先端に操作部191のツマミ部191fが位置するまで操作部191を回動させる。なお、矢印301で示した回動範囲の両端(矢印301の先端)は回動規制位置であり、この回動規制位置を超えて固定手段19を回動させることができないように、当接機構が設けられている。
【0034】
本実施形態の加湿装置では、当接機構として、第1当接機構と第2当接機構を備えている。第1当接機構と第2当接機構の例については後述するが、操作部191が回動規制位置にあるとき、操作部191が第1当接機構と当接し、係止部192が第2当接機構と当接する。なお、第1当接機構は枠体17に設けられ、第2当接機構は、少なくとも枠体17または水槽部7のいずれかに設けることができる。そのため、操作部191を回動規制位置まで回動させると、操作部191と係止部192が複数の点で当接することとなり、固定手段19にかかる負荷が分散される。
【0035】
固定手段19は、操作部191と係止部192とを連結して構成されている。そして、操作部191と係止部192は、ピン191bがピン受けに嵌合することで位置決めされており、操作部191と係止部192との連結箇所に負荷がかかるとピン191bが折れてしまうおそれがある。ピン191bが折れると、操作部191と係止部192とが空回りしてしまい、ロック状態/非ロック状態の切り替えができなくなってしまう。しかしながら、上述のように第1当接機構と第2当接機構とを設けることにより、操作部191と係止部192が複数の点で当接することとなり、固定手段19にかかる負荷が分散される。これにより、必要以上の負荷がかかった場合であっても、操作部191と係止部192との連結箇所にかかる負荷が低減し、連結箇所が破損してしまうことが防止される。よって、水位検知部13を確実に固定することができるので信頼性に優れた加湿装置となる。
【0036】
図9は、本実施形態の第1当接機構の一例を示す図であって、枠体17の取付面30を上から見た図である。取付面30は、操作部191の円筒突出部191cが挿入される孔である貫通孔31と、取付面30から突出する第1凸片32が設けられており、本実施形態においてはこの第1凸片32が第1当接機構となる。
【0037】
第1凸片32は、操作部191に設けられた溝部191eと対向する位置に設けられており、操作部191を回動操作することで、溝部191eが第1凸片32上を通過する。そして、操作部191が回動規制位置にあるとき、操作部側当接部191dが第1凸片32に当接するので、回動規制位置を超えた回動が制限される。なお、第1当接機構は、枠体17に設けられていて、操作部191を構成する部分と当接するようになっていればよく、その形状や配置は本実施形態に限定されるものではない。例えば、操作部側当接部191dを1箇所、第1凸片32を2箇所に形成して、操作部側当接部191dがロック状態と非ロック状態とで異なる第1凸片32に当接するように構成するともできる。
【0038】
図10は、本実施形態の第2当接機構の一例を示す図であって、操作部191が回動規制位置にあるときの枠体17の取付面30を下から見た図である。(A)は固定手段によって固定されているロック状態、(B)は固定手段による固定が解除されている非ロック状態を示す。取付面30は、2箇所に第2凸片33a、33bを備えており、本実施形態においては、この第2凸片33a、33bが第2当接機構となる。
【0039】
図10(A)で示すロック状態のときは、係止部側当接部192cは一方の第2凸片33aと当接している。そして、操作部191を回動させて
図10(B)で示す非ロック状態としたときは、係止部側当接部192cは他方の第2凸片33bと当接している。このように、操作部191が回動規制位置にあるときは、係止部側当接部192cは必ず第2凸片33a、33bのどちらかに当接するので、操作部191の回動規制位置を超えた回動が制限される。なお、第2当接機構は、係止部192を構成する部分と当接するようになっていればよく、その形状や配置は本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態では第2凸片33a、33bは枠体17に設けられているが、水槽部7(水槽部側接続部7c)に設けられていてもよいし、第2凸片33a、33bのうち一方を枠体17に設け、他方を水槽部7に設けてもよい。また、係止部側当接部192cを2箇所に設ければ、第2凸片を枠体17または水槽部7のどちらかの1箇所に設けることもできる。
【0040】
そして、水槽部7は、当接機構として、第3当接機構をさらに備えることができる。本実施形態においては、水槽部側接続部7cに設けられた第2係止部72(
図8参照)が、第3当接機構の役割も兼ねている。係止部192は、
図10に示すように、略円筒状の係止部本体192aの一部に平坦面192dが形成されており、操作部191が固定手段19のロック状態における回動規制位置にあるとき、この平坦面192dが第2係止部72に当接する。操作部191を操作する際は、特に非ロック状態からロック状態にするときに大きな負荷をかけてしまい易いが、ロック状態となったときには、前述の第1凸片32(第1当接機構)と第2凸片33a(第2当接機構)に加えて、第2係止部72(第3当接機構)とも当接するので、より確実に負荷を分散させることができるため、信頼性に優れることとなる。
【0041】
上記構成の加湿装置では、表示操作部2の運転スイッチを操作して運転開始の指示を行うと、図示しない送風機が駆動される。送風機の駆動により、室内の空気は吸込口4から本体1内に取り入れられ、取り入れられた空気は気化フィルタ8を通過する際に加湿空気となって吹出口3から排出されて加湿運転が行われる。
【0042】
なお、加湿運転を長期に亘って行うと、水槽部7には水垢やスケールなどの汚れが付着するので、加湿装置は水槽部7の清掃時期を判断して、使用者に報知するようになっている。例えば、加湿装置の稼働時間を計測し、稼動時間が所定時間に達すると表示操作部2のランプを点灯したり、警報音を出すなどして使用者に報知する。使用者はこの報知に基づき、水槽部7のメンテナンスを行う。水槽部7のメンテナンスとは、具体的には水槽部7内に溜まっている水を捨て、水槽部7を水洗いすることにより行われる。
【0043】
次に、上述の報知を受けてメンテナンスを行う際に、水位検知部13を着脱する手順について説明する。
【0044】
通常の使用状態においては、水位検知部13は水槽部7に固定されたロック状態となっている(
図8(A))。そのため、水槽部7から水位検知部13を取り外す場合は、まず固定手段19の操作部191を反時計回りに回して固定手段19のロック状態を解除し、非ロック状態にする(
図8(B))。その後、仕切部12を背面方向に傾斜させる。仕切部12を傾斜させると、係止片12bが第1係止部71から外れ、これと同時に水位検知部13の先端が持ち上がり、係止部192の第2係止部72への係止が解除される。これにより仕切部12は、第1係止部71による上方向へ移動の規制と、第2係止部72による水平方向への移動の規制がなくなるため、そのまま斜め上方に引き抜くことで水槽部7から取り外すことができる。
【0045】
水位検知部13を取り外したことで、水槽部7の凹凸が少なくなるため水洗いが容易になる。また、取り外した水位検知部13も水洗いすることで汚れを容易に落とすことができる。
【0046】
水槽部7に水位検知部13を取り付ける場合は、取り外す場合と逆の手順となる。まず、仕切部12を背面方向に傾斜させた状態で水槽部7の底面に当接させる。このとき、水槽部7の側面内壁には、ガイド片7bが設けられているので、仕切部12をこのガイド片7bに沿わせることで所定の位置に仕切部12を配置することができる。そして、仕切部12を、水槽部7の底面との当接箇所を支点にして正面方向に回転させて、係止片12bを第1係止部71に係止させる。これにより上方向への移動が規制される。また、これと同時に第2係止部72によって、水平方向への移動も規制されるため、仕切部12を正しい位置に取り付けることができる。その後、固定手段19の操作部191を回して水位検知部13を水槽部7に固定する。
【0047】
このように、水位検知部13は枠体17を介して水槽部7に着脱自在な構造であるため、取り付け、取り外しのいずれの場合においても、使用者はフロート16に触れることなく作業を完了させることができる。よって、フロート16を変形させてしまうおそれはなく、かつ容易に水位検知部13を着脱することができるため、メンテナンス性に優れた加湿装置となる。
【0048】
水位検知部13の取り付け、取り外しを行う際には固定手段19を操作するが、操作部191を回動範囲の端部である回動規制位置に回動させると、操作部191が第1当接機構と当接し、係止部192が第2当接機構と当接する。つまり、操作部191を回動規制位置まで回動させると、操作部191と係止部192が複数の点で当接することとなり、固定手段19にかかる負荷が分散する。これにより、必要以上の負荷がかかった場合であっても、操作部191と係止部192との連結箇所にかかる負荷が分散して低減されるため、固定手段19の破損が抑えられる。よって、水位検知部13を確実に固定することができるので信頼性に優れた加湿装置となる。
【0049】
さらに枠体17は、少なくとも底面171と側面172とを備えた形状とすることで、強度が確保されるので、枠体17が変形してしまうことが防止される。さらには、取り外した水位検知部13を落としたりぶつけたりしてしまった場合でも、フロート16は枠体17内に収容されているので、フロート16が変形してしまうことも防止される。
【0050】
また、水位検知部13は、水槽部7に対して上方から接続する枠体側接続部173を有しているので、水位検知部13の着脱は水槽部7の上方から行うこととなる。つまり、水位検知部13を取り外す場合は持ち上げる、取り付ける場合は設置位置に載置するだけでよい。そのため、水槽部7の水に手を浸すことなく着脱することができる。さらには、取り付け箇所を容易に確認することができるので作業性にも優れることとなる。
【符号の説明】
【0051】
1 本体
1a 挿入口
7 水槽部
8 気化フィルタ(加湿手段)
13 水位検知部
16 フロート
17 枠体
19 固定手段
191 操作部
191b ピン(連結部)
192 係止部
30 取付面
32 第1凸片(第1当接機構)
33a 第2凸片(第2当接機構)
33b 第2凸片(第2当接機構)
72 第2係止部(第3当接機構)