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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】安全回路装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/00 20060101AFI20231012BHJP
   H05K 5/06 20060101ALI20231012BHJP
   B65D 88/26 20060101ALI20231012BHJP
   B65D 90/22 20060101ALN20231012BHJP
【FI】
H05K5/00 A
H05K5/06 E
B65D88/26 Z
B65D90/22 Z
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020547323
(86)(22)【出願日】2018-11-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 GB2018053405
(87)【国際公開番号】W WO2019106346
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-11-12
(31)【優先権主張番号】1719841.7
(32)【優先日】2017-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517102994
【氏名又は名称】エルピーダブリュ テクノロジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LPW TECHNOLOGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【弁理士】
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】ヒーリー,カラム
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-143086(JP,U)
【文献】特開2002-221748(JP,A)
【文献】特許第6768642(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00
H05K 5/06
B65D 88/26
B65D 90/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
危険環境にある第1の電子回路を第2の電子回路と電子的に相互接続する一方で、前記第2の電子回路を前記危険環境から分離する安全回路配置を含む装置であって、
a)一端が前記危険環境と通じた通路を画定する本体と、
b)前記通路を横切って延び且つ前記通路を閉じるように、前記本体に取り付けられたPCBとを備え、前記PCBは、前記通路の前記一端から離れる方向に面した前記PCBの側面上に配置された絶縁材料からなる絶縁層内に入れられており、前記PCB及び前記絶縁層は、前記通路を横切る気密バリアを形成しており、
c)前記PCBは、前記危険環境内に配置された前記第1の電子回路と接続された少なくとも1つの第1のコネクタと、前記絶縁層を通って延び、前記第2の電子回路と接続された少なくとも1つの第2のコネクタを備えており、
d)前記少なくとも1つの第1のコネクタと前記少なくとも1つの第2のコネクタは、前記PCB及び前記絶縁層を通って、前記第1の電子回路が前記第2の電子回路に電子的に接続されるように電子的に結合されている装置。
【請求項2】
危険環境内の1以上の特性を監視するためのセンサ・アレンジメントを備えており、前記第1の電子回路は、前記危険環境の1以上のパラメータを監視するための少なくとも1以上のセンサを備えており、前記第2の電子回路は、前記センサ・アレンジメントの他の構成要素を備えている請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置は、少なくとも使用時に、前記通路の前記一端と流体接続する内容積部を有するコンテナに取り付けられてモジュールの一部を形成し、前記通路が前記一端において前記内容積部と流体接続される請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記モジュールは、前記コンテナに対して、分離可能に取り付け可能である請求項3に記載の装置。
【請求項5】
内容積部及び電子モジュールを備えたコンテナを備えた装置であって、前記電子モジュールは、前記コンテナの前記内容積部と一端が接続された通路を画定する本体を有しており、
a)前記通路を横切って延び且つ前記通路を閉じるように、前記本体に取り付けられたPCBを備え、前記PCBは、前記通路の前記一端と近い方の第1の側面と、前記通路の前記一端と遠い方の第2の側面を有しており、前記PCBは、前記PCBの前記第2の側面上の前記通路を横切って延びる絶縁材料からなる絶縁層内に入れられており、前記PCB及び前記絶縁層は、気密バリアを形成しており、前記気密バリアは、前記装置を、前記通路の前記一端と近い前記気密バリアの側の危険領域と、前記通路の前記一端と遠い前記気密バリアの側の非危険領域とに分けるようになっており、前記危険領域と前記非危険領域は、前記気密バリアによって互いに流体分離されており、
b)前記PCBは、前記危険領域内に配置された第1の電子回路と接続された少なくとも1つの第1のコネクタと、前記絶縁層を通って延び、前記非危険領域内に配置された第2の電子回路と接続された少なくとも1つの第2のコネクタを備えており、
c)前記少なくとも1つの第1のコネクタと前記少なくとも1つの第2のコネクタは、前記PCB及び前記絶縁層を通って、前記第1の電子回路が前記第2の電子回路に電子的に接続されるように電子的に結合されている装置。
【請求項6】
前記コンテナは、加圧コンテナであり、前記コンテナの内容積部は、所定量の加圧ガス及び所定量の粉体を収容する圧力チャンバであってもよい請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記電子モジュールは、前記コンテナの前記内容積部の1以上のパラメータを監視するためのセンサ・アレンジメントを備えており、前記第1の電子回路は、前記内容積部の1以上のパラメータを監視するための少なくとも1以上のセンサを備えており、前記第2の電子回路は、前記センサ・アレンジメントの他の構成要素を備えている請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
粉体コンテナの内容積部の1以上のパラメータを監視するためのセンサ・モジュールを備えた装置であって、前記センサ・モジュールは、通路を画定し、前記通路が前記コンテナの内容積部と一端で接続されるように加圧粉体コンテナに取り付け可能な本体を有しており、
a)前記通路を横切って延び且つ前記通路を閉じるように、前記本体に取り付けられたPCBを備え、前記PCBは、前記通路の前記一端と近い方の第1の側面と、前記通路の前記一端と遠い方の第2の側面を有しており、前記PCBは、前記PCBの前記第2の側面上の前記通路を横切って延びる絶縁材料からなる絶縁層内に入れられており、前記PCB及び前記絶縁層は、気密バリアを形成しており、前記気密バリアは、前記装置を、前記通路の前記一端と近い前記気密バリアの側の危険領域と、前記通路の前記一端と遠い前記気密バリアの側の非危険領域とに分けるようになっており、前記危険領域と前記非危険領域は、前記気密バリアによって互いに流体分離されており、
b)前記PCBは、前記危険領域内に配置された第1の電子回路と接続された少なくとも1つの第1のコネクタと、前記絶縁層を通って延び、前記非危険領域に配置された第2の電子回路と接続された少なくとも1つの第2のコネクタを備えており、
c)前記少なくとも1つの第1のコネクタと前記少なくとも1つの第2のコネクタは、前記PCB及び前記絶縁層を通って、前記第1の電子回路が前記第2の電子回路に電子的に接続されるように電子的に結合されている装置。
【請求項9】
前記粉体コンテナの前記内容積部の前記1以上のパラメータを監視するセンサ・アレンジメントを備え、
前記第1の電子回路は、使用時の前記内容積部の1以上のパラメータを監視するための少なくとも1以上のセンサを備えており、前記第2の電子回路は、前記センサ・アレンジメントの他の構成要素を備えている請求項8に記載の装置。
【請求項10】
少なくとも前記通路を画定する前記本体の部分は、金属材料から作られている請求項1乃至9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記絶縁層は、注封化合物、溶融ガラス、または、ろう付けセラミックを含むグループの中から選択される請求項1乃至10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記通路は、前記本体内に画定された段付きボアを備えており、前記段付きボアは、隣接する第1の部分と第2の部分を有しており、前記第1の部分は、前記第2の部分よりも大きな径を有しており、前記本体は、前記段付きボアの前記第1の部分と前記第2の部分が交わる部分に、前記通路の前記一端から離れる方向に向いたショルダ部を画定しており、前記PCBは、前記段付きボアの前記第1の部分内の前記ショルダ部に取り付けられている請求項1乃至11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記PCB及び前記ショルダ部の間に、シール部を有する請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記段付きボアは、前記第2の部分の前記第1の部分とは反対側の端部で前記第2の部分と隣接する第3の部分を有しており、前記第3の部分は、前記第2の部分よりも大きな径を有しており、前記本体は、前記段付きボアの前記第2の部分と前記第3の部分が交わる部分に、前記通路の前記一端に向いた第2のショルダ部を画定しており、前記第1の電子回路は、前記段付きボアの前記第3の部分内の前記第2のショルダ部に取り付けられ、且つ、前記PCBに電子的に結合された別のPCBを含む請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
前記本体は、少なくとも第2の電子回路の一部が収納されたハウジングを画定している請求項1乃至14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つのセンサは、酸素センサ、湿度センサ、静電気センサ、温度センサ、及び、圧力センサを含むグループの中から選択される1以上のセンサである請求項2,7または9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記センサ・アレンジメントの他の構成要素は、電池、ECU(PICでもよい)、通信ユニット、及び、アンテナを含むグループの中から選択される1以上のものである請求項2,7または9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記一端から前記通路に流体が進入することをフィルタするためにフィルタを備えている請求項1乃至17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記通路の前記一端の開口部を囲うために、前記通路を画定している前記本体にフィルタ・カバーが取り付けられており、前記フィルタ・カバーは、使用時に、前記通路に入るために通過しなければならないフィルタ付き孔部を有している請求項18に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、安全回路配置(safety circuit arrangement)を組み込んだ装置に関するものである。本発明は、特に、ただしこれに限定されないが、コンテナ、特に粉体(powder)および他の粒子状物質(particulate material)の貯蔵及び/または輸送のための加圧コンテナ(pressurised container)とともに使用するための安全回路配置を組み込んだセンサ・モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
粒子状物質を、所定量の不活性ガス(inert gas)を用いて加圧されたコンテナに貯蔵し、輸送することが知られている。このような加圧コンテナは、アディティブ・レイヤー・マニュファクチャリング(additive layer manufacturing [ALM])またはアディティブ・マニュファクチャリング(additive manufacturing [AM])(積層造形)で使用されるものなど、特に特殊な粉体の貯蔵及び輸送に使用されている。特に重要なのは、粉体がその使用場所に配送されたときに、使用可能な状態であることを確実にすることである。
【0003】
この問題に対処するため、我々は、国際公開2016/046539号(特許文献1)において、コンテナ内の状態を能動的に監視するためのシステムを有する加圧粉体コンテナ(pressurised powder container)を提案した。このコンテナは、粉体が所定量の加圧ガスと一緒に保持される圧力チャンバ(pressure chamber)を有する。監視システムには、圧力チャンバ内のさまざまなパラメータを検出するためのいくつかのセンサが含まれている。複数のセンサは、センサの読み取り値を記録し(records)、及び、ログを残す(logs)、チャンバの外部に配置された制御ユニットに接続されており、センサの読み取り値、または、ログファイル(log files)を遠隔監視ステーションに中継するようになっている通信モジュールを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開2016/046539号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
圧力チャンバの内部は、点火されると爆発の危険をもたらす可能性がある潜在的に危険な環境である。そのようなコンテナは、水と接触すると水素を発生する可能性がある、爆発性粉体またはアルミニウム粉体を貯蔵及び輸送するためによく使用される。そのため、安全に操作できるように、加圧ガス/粉体と接する、監視システムの複数のセンサやその他のパーツは、通常の使用中に発火源(ignition source)となってはならない。爆発の危険がある環境で安全に使用できる電子機器および回路には、「本質的に安全(intrinsically safe)」と指定された機器および回路が含まれる。これらは、通常の使用で発火源を生成するリスクを最小限に抑えるように設計されている。圧力チャンバ内での使用が安全でない監視システムの構成要素または部品は、チャンバ外に配置され、チャンバ内部から流体分離(fluidly isolated)されているが、危険環境(hazardous environment)内にある、安全な構成要素と電子的に接続する必要がある。
【0006】
電子システムの安全な部品を爆発性の危険環境内に配置し、これらを危険環境から隔離する必要がある電子システムの他の部品と接続する必要がある他の多くの用途がある。これらは、例えば、他のセンシング・アレンジメントまたは制御システムを含み得る。
【0007】
そこで、危険環境での使用に適した第1の電子回路を、危険環境での使用に適さない可能性のある第2の電子回路から分離する一方で、第1の電子回路と第2の電子回路の間の電気的接続を維持し、既知の装置の欠点を克服する、または、少なくとも軽減する、安全回路配置を備えた、改善された、または、代替の装置が必要である。
【0008】
コンテナ、及び、危険環境での使用に適した第1の電子回路を、危険環境での使用に適さない可能性のある第2の電子回路から分離する一方で、第1の電子回路と第2の電子回路の間の電気的接続を維持し、既知の装置の欠点を克服する、または、少なくとも軽減する、改善された、または、代替の安全回路配置を組み込んだ、電子モジュールを備えた装置の必要性もある。
【0009】
加圧粉体コンテナの内部等の危険環境を監視するための、既知の装置の欠点を克服する、または、少なくとも軽減する、改善された、または、代替のセンサ・モジュールの必要性が特にある。
【0010】
コンテナ内部の環境を監視可能な監視システムであり、且つ、使用時に発火リスクを伴うシステムの構成要素がコンテナ内の内容物から効果的に隔離された監視システムを備えたガス加圧粉体コンテナがさらに必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様によれば、危険環境にある第1の電子回路を第2の電子回路と電子的に相互接続する一方で、第2の電子回路を危険環境から分離する安全回路配置を含む装置(apparatus)であって、
a)一端が危険環境と通じた通路(passage)を画定する本体(body)と、
b)通路を横切って延び且つ通路を閉じるように、本体に取り付けられたPCBとを備え、PCBは、通路の一端から離れる方向に面したPCBの側面上に配置された絶縁材料からなる絶縁層(layer of insulating material)内に入れられており(encased)、PCB及び絶縁層は、通路を横切る気密バリア(gas tight barrier)を形成しており、
c)PCBは、危険環境内に配置された第1の電子回路と接続された少なくとも1つの第1のコネクタと、絶縁層を通って延び、第2の電子回路と接続された少なくとも1つの第2のコネクタを備えており、
d)少なくとも1つの第1のコネクタと少なくとも1つの第2のコネクタは、PCB及び絶縁層を通って、第1の電子回路が第2の電子回路に電子的に接続されるように電子的に結合されている装置を提供する。
【0012】
少なくとも通路を画定する本体の部分は、金属材料から作られていてもよい。
【0013】
第1の電子回路は、危険環境において使用するのに適しており、本質的に安全(intrinsically safe)であってもよい。
【0014】
通路は、一端が危険環境と流体接続(fluidly connected)していてもよく、使用時に一端が危険環境にアクセスできるようになっていてもよい。
【0015】
実施の形態によれば、装置は、危険環境内の1以上の特性(characteristics)を監視するためのセンサ・アレンジメント(sensor arrangement)を備えており、第1の電子回路は、危険環境の1以上のパラメータを監視するための少なくとも1以上のセンサを備えており、第2の電子回路は、センサ・アレンジメントの他の構成要素を備えている。
【0016】
装置は、少なくとも使用時に、通路の一端と流体接続する内容積部(interior volume)を有するコンテナに取り付けられるモジュールの一部を形成してもよい。モジュールは、コンテナに対して、分離可能に取り付け可能であってもよい。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、内容積部及び電子モジュールを備えたコンテナを備えた装置であって、電子モジュールは、コンテナの内容積部と一端が接続された通路を画定する本体を有しており、
a)通路を横切って延び且つ通路を閉じるように、本体に取り付けられたPCBを備え、PCBは、通路の一端と近い方の第1の側面と、通路の一端と遠い方の第2の側面を有しており、PCBは、PCBの第2の側面上の通路を横切って延びる絶縁材料からなる絶縁層内に入れられており、PCB及び絶縁層は、気密バリアを形成しており、気密バリアは、装置を、通路の一端と近い気密バリアの側の危険領域(hazardous region)と、通路の一端と遠い気密バリアの側の非危険領域(non-hazardous regions)とに分けるようになっており、危険領域と非危険領域は、気密バリアによって互いに流体分離されており、
b)PCBは、危険領域に配置された第1の電子回路と接続された少なくとも1つの第1のコネクタと、絶縁層を通って延び、非危険領域に配置された第2の電子回路と接続された少なくとも1つの第2のコネクタを備えており、
c)少なくとも1つの第1のコネクタと少なくとも1つの第2のコネクタは、PCB及び絶縁層を通って、第1の電子回路が第2の電子回路に電子的に接続されるように電子的に結合されている装置を提供する。
【0018】
少なくとも通路を画定する本体の部分は、金属材料から作られていてもよい。
【0019】
コンテナは、加圧コンテナであってもよい。コンテナの内容積部は、所定量の加圧ガス及び所定量の粉体を収容する圧力チャンバであってもよい。
【0020】
電子モジュールは、コンテナの内容積部の1以上のパラメータを監視するためのセンサ・アレンジメントを備えていてもよい。第1の電子回路は、内容積部の1以上のパラメータを監視するための少なくとも1以上のセンサを備えており、第2の電子回路は、センサ・アレンジメントの他の構成要素を備えていてもよい。
【0021】
本発明の第3の態様によれば、加圧粉体コンテナの内容積部の1以上のパラメータを監視するためのセンサ・モジュールを備えた装置であって、センサ・モジュールは、通路を画定し、通路がコンテナの内容積部と一端で接続されるように加圧粉体コンテナに取り付け可能な本体を有しており、
a)通路を横切って延び且つ通路を閉じるように、本体に取り付けられたPCBを備え、PCBは、通路の一端と近い方の第1の側面と、通路の一端と遠い方の第2の側面を有しており、PCBは、PCBの第2の側面上の通路を横切って延びる絶縁材料からなる絶縁層内に入れられており、PCB及び絶縁層は、気密バリアを形成しており、気密バリアは、装置を、通路の一端と近い気密バリアの側の危険領域と、通路の一端と遠い気密バリアの側の非危険領域とに分けるようになっており、危険領域と非危険領域は、気密バリアによって互いに流体分離されており、
b)PCBは、危険領域に配置された第1の電子回路と接続された少なくとも1つの第1のコネクタと、絶縁層を通って延び、非危険領域に配置された第2の電子回路と接続された少なくとも1つの第2のコネクタを備えており、
c)少なくとも1つの第1のコネクタと少なくとも1つの第2のコネクタは、PCB及び絶縁層を通って、第1の電子回路が第2の電子回路に電子的に接続されるように電子的に結合されている装置を提供する。
【0022】
少なくとも通路を画定する本体の部分は、金属材料から作られていてもよい。
【0023】
コンテナは、AM及び/またはALMに使用する金属粉体の貯蔵及び輸送のためのホッパ(hopper)であってもよい。ホッパは、AM及び/またはALM装置に粉体を分配するようになっていてもよい。
【0024】
実施の形態によれば、装置は、第1の電子回路は、使用時の内容積部の1以上のパラメータを監視するための少なくとも1以上のセンサを備えており、第2の電子回路は、センサ・アレンジメントの他の構成要素を備えている。
【0025】
上記の段落に記載の第1の態様、第2の態様、または、第3の態様のいずれか1つの装置では、絶縁層は、注封化合物(potting compound)、溶融ガラス(melted glass)、または、ろう付けセラミック(brazed ceramics)を含むグループの中から選択されてもよい。絶縁層は、Glassbond Sauereisen(RTM)によって製造されたElectrotemp Cement Powder No.10を含んでもよい。
【0026】
上記の段落に記載の第1の態様、第2の態様、または、第3の態様のいずれか1つの装置では、通路は、本体内に画定された段付きボア(stepped bore)を備えており、段付きボアは、隣接する第1の部分と第2の部分を有しており、第1の部分は、第2の部分よりも大きな径を有しており、本体は、段付きボアの第1の部分と第2の部分が交わる部分に、通路の一端から離れる方向に向いたショルダ部(shoulder)を画定しており、PCBは、段付きボアの第1の部分内のショルダ部に取り付けられている。PCB及びショルダ部の間に、シール部(seal)を有してもよい。段付きボアは、第2の部分の第1の部分とは反対側の端部で第2の部分と隣接する第3の部分を有しており、第3の部分は、第2の部分よりも大きな径を有しており、本体は、段付きボアの第2の部分と第3の部分が交わる部分に、通路の一端に向いた第2のショルダ部を画定しており、第1の電子回路は、段付きボアの第3の部分内の第2のショルダ部に取り付けられ、且つ、PCB(first PCB)に電子的に結合された別のPCB(further PCB)を含む。
【0027】
上記の段落に記載の第1の態様、第2の態様、または、第3の態様のいずれか1つの装置では、本体は、第2の電子回路の少なくとも一部が収納されたハウジング(housing)を画定してもよい。本体は、ベース部(base)と、ベース部から延び、ベース部と共に、少なくとも第2の電気回路(electric circuitry)の一部が配置される内容積部を画定する周壁部を含む、ハウジング本体部分(main housing body portion)を備えていてもよい。本体は、本体部分に取り外し可能に取り付けられ、且つ、ベース部から離れた側の周壁部の端部に係合可能な封止手段(closure member)も備えていてもよい。周壁部は、円筒状であってもよく、封止手段の外面は、ドーム形(dome shaped)をしていてもよい。封止手段は、複数の取り外し可能な留め具(fastener)によって本体部分の所定の位置に保持されていてもよい。封止手段は、外面に、1以上の留め具が配置される1以上の凹部(recesses)を有していてもよく、封止手段は、対応する数のインサート(insert)を有し、各インサートは、封止手段が本体部分に取り付けられた後、1つまたは複数の留め具を覆うように対応する凹部にインサートが可能である。実施の形態においては、封止手段は、留め具と対応する形状をした円形のインサートが配置される円形の凹部を有している。封止手段の外面がドーム形の場合、インサートの1つまたはそれぞれの外面は、封止手段の外面のドーム形の輪郭に一致する輪郭を有していてもよい。ベース部は、通路が、例えば、上述の段付きボアとして画定された中央ボス部(central boss)を備えていてもよい。
【0028】
上記の段落に記載の第1の態様、第2の態様、または、第3の態様のいずれか1つの装置では、第1の電子回路は、少なくとも1つのセンサを備えている。少なくとも1つのセンサは、酸素センサ(oxygen sensor)、湿度センサ(humidity sensor)、静電気センサ(electrostatic sensor)、温度センサ(temperature sensor)、及び、圧力センサ(pressure sensor)を含むグループの中から選択される1以上のセンサであってもよい。
【0029】
上記の段落に記載の第1の態様、第2の態様、または、第3の態様のいずれか1つの装置では、第2の電子回路は、センサ・アレンジメントの他の構成要素を備えている。センサ・アレンジメントの他の構成要素は、電池(battery)、ECU(PICでもよい)、通信ユニット(communications unit)、及び、アンテナ(antenna)を含むグループの中から選択される1以上のものであってもよい。
【0030】
上記の段落に記載の第1の態様、第2の態様、または、第3の態様のいずれか1つの装置では、一端から通路に流体が進入することをフィルタするためにフィルタ(filter)を備えていてもよい。実施の形態においては、通路の一端の開口部を囲うために、通路を画定している本体にフィルタ・カバー(filter cover)が取り付けられており、フィルタ・カバーは、使用時に、通路に入るために通過するフィルタ付き孔部(filtered aperture)を有している。フィルタは、PTFEフィルタであってもよい。
【0031】
本発明の第4の態様によれば、「安全でない」電子回路(“un-safe” electronic circuitry)を、危険環境における使用に適した「安全な」電子回路(“safe” electronic circuitry)から流体分離しながら、その間に電気的な接続を維持する方法を提供する。方法は、一端が危険環境に流体接続しているまたは接続可能になっている通路内に、通路を横切って延びるPCBによって、そして、PCBの少なくとも絶縁層が通路を完全に横切る一方の側を絶縁材料の層に入れることによって気密バリアを形成し、安全な電子回路と安全でない電子回路の間の電気的接続を確立するためにPCBを用いることからなる。
【0032】
本発明の第4の態様による方法は、上記の段落に記載の第1の態様、第2の態様、または、第3の態様のいずれか1つの装置を用いて実行してもよい。
【0033】
本発明の第5の実施の形態によれば、「安全でない」電子回路を、危険環境における使用に適した「安全な」電子回路から流体分離しながら、その間に電気的な接続を維持する安全回路装置を提供する。装置は、一端が危険環境に流体接続しているまたは接続可能になっている通路内に気密バリアを備えており、気密バリアは、通路を横切って延び、且つ、少なくとも絶縁層が通路を完全に横切る一方の側が絶縁材料の層に入ったPCBを備え、安全な電子回路と安全でない電子回路はPCBを介して電子的に接続されている。
【0034】
PCBは、絶縁層を通って延びる少なくとも1つの電子コネクタによって、安全でない電子回路及び安全な電子回路の少なくとも1つと結合されていてもよい。
【0035】
本発明の第5の態様による装置は、上記の段落に記載の第1の態様、第2の態様、または、第3の態様のいずれか1つの装置の特徴のいずれをも有することができる。
【0036】
本発明をはっきりと理解するために、1以上の本発明の実施の態様を、例として、添付の図を参照して示す:
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の一態様によるコンテナの実施の形態の概略図である。
図2図1のコンテナの一部として用いるセンサ・モジュールの側面図である。
図3図2のセンサ・モジュールのやや概略的な断面図である。
図4図3のセンサ・モジュールの一部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1に模式的に図示したように、粉体(特に積層造形(AM)で使用される金属粉体)を貯蔵及び/または輸送するためのコンテナ・アセンブリ10は、コンテナ11を含んでいる。コンテナ11は、粉体16(または他の粒子状物質)及び所定量の加圧ガス18を収容する圧力チャンバ14を画定する第1の本体12を有している。コンテナの第1の本体12は、部分的に円錐形状の本体部分(main body portion)12aと、取り外し可能な蓋12bを含んでいる。本体部分12aの円錐領域は、出口部(outlet)20に通じている。チャンバ14内の粉体16は、出口部20を通じて、分配(dispenced)可能である。出口部20は、出口バルブ22によって、選択的に開閉される。
【0039】
出口部20は、フランジ部24を有している。このフランジ部24によって、同時係属中の国際公開2016/046539号に開示した方法により、AM装置の入口孔(inlet port)に接続可能である。コンテナ11をAM装置に接続する装置及び方法は、本発明の一部を形成しないため、ここでは詳細には説明しない。読者は、必要に応じて、詳細について、国際公開2016/046539号を参照すべきである。特にコンテナ11をAM装置に接続するための構成に関する国際公開2016/046539号の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
コンテナ・アセンブリ10はまた、圧力チャンバ14内の環境を監視するための監視システム(monitoring system)またはセンサ・システム(概して符号30で示してある)を含む。監視システム30は、図1に模式的に図示してあり、コンテナ内のガス18及び/または粉体16の様々なパラメータを監視するようになっているセンサ32,34,36を備えている。センサ32,34,36は、圧力チャンバ14内のガスに曝されるように配置され、したがって、それ自体がチャンバ内に配置されてもよく、または、圧力チャンバ内と流体接触するようになっていてもよい。センサ32,34,36は、例えば、温度センサ、及び/または、湿度センサ、及び/または、酸素レベル・センサ、及び/または、静電気センサ、及び/または、圧力センサを含んでもよい。
【0041】
監視システム30は、圧力チャンバ14から流体分離された制御ユニット(sensor module)38を有している。制御ユニット38は、センサ読み取り値を、連続的に、または、周期的に、記録する、及び、ログを残すようになっており、また、センサの読み取り値、または、ログファイルを遠隔監視ステーションに中継するための通信モジュール(communication module)を有している。
【0042】
都合の良いことに、監視システム30は、コンテナの本体12に取り外し可能に取り付けられ、センサ32,34,36及び制御ユニット38のうち少なくともいくつかを収容しているセンサ・モジュールを含んでいる。図2乃至図4に、コンテナ11と共に使用するのに適したセンサ・モジュール40を図示してある。
【0043】
センサ・モジュール40は、内容積部44を有するハウジングを画定する第2のセンサ・モジュール本体42を有している。センサ・モジュール本体42は、センサ・モジュール本体部分42a及び取り外し可能なエンド・キャップ42bを含んでいる。センサ・モジュール本体部分42aは、略円筒状の周壁部45と、センサ・モジュール本体部分の内側端部(inner end)を部分的に閉じるベース部46を有している。センサ・モジュール全体に関連して使用する「内側端部(inner end)」の語は、コンテナの第1の本体12に取り付けられる側の端部を意味し、反対側の端部は、「外側端部(outer end)」とする。少なくともセンサ・モジュール本体部分42aは、例えば、スチール(steel)(ステンレス・スチール(stainless steel)を含む)、アルミニウム、及び、アルミニウム合金等の金属材料から作られている。
【0044】
ベース部46の小さなボス部50が、フランジ部48を越えて内側に向かって突出するように、内側端部近辺の周壁部45から径方向外側に向かってフランジ部48が突出している。使用時には、センサ・モジュール40は、対応するフランジ部を有するコンテナ本体12の接続ポートに取り付けられ、シール接続(sealed connection)を形成するために、トリクランプ(tri-clamp)及びガスケット(gasket)が用いられる。
【0045】
エンド・キャップ42bは、周壁部45の外側端部と係合する(engage)ように、本体部分12aに取り外し可能に取り付けられている。エンド・キャップ42bは、平面からみた場合、略円形であり、エンド・キャップ42bの外面52は、湾曲し、ドーム形を形成している。このことは、上部に積もる可能性のある粉体を集めないようにするため、利点がある。エンド・キャップ42bは、任意の適切な方法によって、センサ本体12aのベース部46に取り外し可能に固定されている。
【0046】
センサ・モジュールの本体部分12aのベース部46の中央領域は、円形のボス部54を含んでいる。ボス部54を通って、段付きボア56が延びており、通路が画定されている。センサ・モジュールがコンテナ11に取り付けられている場合、通路は、一端(内側端部)が圧力チャンバ14の内部と流体接続している。
【0047】
ボア56は、外側端部に第1の部分56aを有している。第1の部分56aは、より小さい直径を有する隣接する第2の部分56bに通じている。次に、第2の部分は、第2の部分56bの直径よりも大きな直径を有するボアの第3の部分56cに向かって開口している。ボアの第3の部分56cは、ベース部の内側に開口しており、上述の通路の他端を形成している。通路の他端は、圧力チャンバ14の内部と流体接続している。通路の他端における開口部は、センサ・モジュール本体42を外に向かって開くため、外側開口部(external opening)と呼ぶことがある。
【0048】
第1のプリント回路基板(printed circuit board 〔PCB〕)58は、ボアの第1の部分56aに取り付けられている。第1のPCB58は円形であり、ボアの第1の部分56aの外径よりわずかに小さい外径を有する。第1のPCBは、ボア56の第1の部分56aと、隣接するより小さな直径の第2の部分56bとの間の本体部に画定されたショルダ部60上に位置している。第1のPCBは、共通する円周上に間隔を開けて配置され、ショルダ部60の対応するねじ孔と係合する複数のねじ62を用いてショルダ部60に対して固定されている。複数のねじの半径方向内側の第1のPCBとショルダ部の間には、シール・リング(seal ring)64が配置されている。第1のPCB58は、小径の第2の部分56bへの入口でボアを横切って延び、ボア56を閉鎖する物理的バリアを形成している。第1のPCBは、ボアの大径の第1の部分56a内の絶縁材料からなる層66の層内に埋め込まれている。絶縁材料からなる層66は、注封化合物であってもよく、例えば、溶融ガラスまたはろう付けセラミックであってもよい。一実施の形態では、絶縁材料からなる層66は、Glassbond Sauereisen(RTM)によって製造されたElectrotemp Cement Powder No.10である。所定の位置に第1のPCB58を首尾よく取り付けた後、絶縁材料からなる層66は、典型的には、粉末、ペースト、または粘性材料としてボア56a内、そして、第1のPCB上に導入され、その後硬化される。
【0049】
絶縁材料からなる層66は、ボアの第1の部分56aを完全に横切って広がっているので、硬化後、第1のPCBおよび絶縁材料からなる層66は、センサ・モジュール40を、通路の一端に最も近いバリアの側(PCB側)の、概して符号68を付した第1の領域(危険領域)と、通路の一端から最も遠いバリアの側(絶縁層側)の、概して符号70を付した第2の領域(非危険領域)とに仕切る物理的バリアを形成する。第1のPCB58及び絶縁材料からなる層66によって形成されたバリアは気密であり、そのため、ボス部54の外側のセンサ・モジュールのハウジングの内部を含む第2の領域70は、第1の領域68である危険領域、及び、センサ・モジュールがコンテナ11に固定されている場合の圧力チャンバ14の内部から流体分離されている。
【0050】
センサ・モジュール40は、爆発の危険性を有する環境における使用に適した、概して符号72を付した第1の電子回路と、爆発の危険性を有する環境における使用に適さない、概して符号74を付した第2の電子回路とに分かれる電子回路を含んでいる。第1の電子回路72は、圧力チャンバ14の内部に露出した(流体接続した)センサ・モジュールの第1の領域68内に配置されている。第1の電子回路は、「本質的に安全」であってもよく、典型的には、センサ32,34,36のうち少なくともいくつかを含む。第2の電子回路74は、センサ・アレンジメントの他の構成要素を含み、そのうち少なくともいくつかは、潜在的に爆発の危険性を有する環境で使用するのは安全でない可能性がある。第2の電子回路74の大部分は、圧力チャンバ14の内部から流体分離された、第1のPCB58及び絶縁材料の層66によって形成されたバリアの遠位側のセンサ・モジュールのハウジング42内の第2の領域(非危険領域)70に配置されている。実際には、第1の領域68に配置しなければならない監視システムの電子機器の部品のみが第1の電子回路72に含まれており、これらはその環境において安全に使用できるように構成されている。監視システムの電子機器の他の全ての部品は、圧力チャンバ14の内部から隔離され、流体分離されるように、第2の電子回路74に組み込まれている。
【0051】
第1の電子回路72と第2の電子回路74の詳細な特徴(precise nature)は、その最も広い意味で本発明には関係がなく、任意の所与の用途の要件に応じて変えることができる。しかしながら、本実施の形態では、第2の電子回路74は、典型的には、同時係属中の国際公開2016/046539号に記載した制御ユニット38を含む。制御ユニット38は、センサの読み取り値を連続的に(continuously)または間欠的に(at intervals)記録及びログを残すようにされたモジュール(例えば、PICとメモリ・デバイス)、GSMモジュール、GPSユニット、アンテナ及び電池パックのような電源を有する電子制御ユニット(ECU)を含むことができる。
【0052】
センサ・アレンジメントは、圧力チャンバ14内に配置されていない、または、センサ・モジュールのハウジング42自体内に配置されていないが、制御ユニット38と電子的に接続されている更なるセンサや他の電子的な構成要素を含んでもよい。これには、圧力容器(pressure vessel)の内容物の重量を監視及び/若しくはログを残すためのひずみゲージ(strain gauge)若しくは計量装置、並びに/または、コンテナの動き(特に、例えば、振動や衝撃)を監視及び/若しくはログを残すようになっている加速度計、振動センサもしくはジャイロスコープが含まれる場合がある。そのような構成要素は、圧力チャンバ14の外のコンテナ11に取り付けられ、マルチピン・コネクタ76またはUSBコネクタなどの適切な手段によって、センサ・モジュール内の制御ユニット38及び/または他の電子機器に接続されてもよい。
【0053】
第1の電子回路72及び第2の電子回路74を電子的に相互接続するために、第1のPCB58は、ボアの第2の部分56bに面する側に、第1の電子回路72に接続される少なくとも1つの第1のコネクタ78と、第1のPCBの他方の面に、絶縁材料の層66を通って延びる第2の電子回路74と接続される少なくとも1つの第2のコネクタ80とを有している。本実施の形態において、第2のコネクタ80は、ピン・コネクタの形態である。第1のコネクタ78及び第2のコネクタ80は、第1のPCB58を通って第1の電子回路72が第2の電子回路72と電子的に接続されるように、導電性トラック(conductive tracks)によって第1のPCB58を通って電子的に結合されている。1以上の第1のコネクタ78があってもよく、及び/または、1以上の第2のコネクタ80があってもよく、それぞれが第1の電子回路及び第2の電子回路のそれぞれの部分に接続され、必要に応じて第1のPCBを通って様々に結合されていてもよい。第1のPCB58上には、他のコンポーネントがなくてもよく、代替的に第1のプリント配線基板(printed wiring board)と呼ぶことができる。
【0054】
本実施の形態においては、第1の電子回路72は、センサ32,34,36が取り付けられた第2のPCB82を含んでいる。第2のPCB82は、第1のPCB58の第1のコネクタ78のそれぞれと結合された1以上のコネクタ84を有している。
【0055】
ベース部46の内面(すなわち、使用時に、圧力チャンバ14の内部に向いた面)には、ボア56の開口部を覆って、フィルタ・ハウジング86が取り付けられている。フィルタ・ハウジングは、使用時に、圧力チャンバ14からボア56に入るために通過しなければならないフィルタ付き孔部(filtered aperture)を有している。フィルタは、PTFEフィルタであってもよい。フィルタは、圧力チャンバ14からボア56に粉体材料が入ることを防止する、または、少なくとも抵抗する。
【0056】
使用時には、第1のPCB58と絶縁材料の層66によって形成されたバリアによって、第1の電子回路74を圧力チャンバ14内の危険環境から流体分離し、第2の電子回路の発火源によって引き起こされる爆発のリスクを減らす。さらに、バリアは、第1の電子回路72が第2の電子回路の構成要素(例えば、電池)により過熱状態(overheating)にならないよう断熱する(insulate)。
【0057】
上記の実施形態は、例としてのみ説明されている。添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、多くの変形が可能である。例えば、本発明の実施の形態は、加圧された金属粉体のコンテナ11用のセンサ・モジュール40に関連して説明したが、センサ・モジュールは、危険領域を監視する必要がある他のタイプの装置での使用に適合され得ることが理解される。上記のセンサ・モジュール40は、金属粉体以外の材料を貯蔵及び/または輸送するために、加圧またはその他のコンテナと共に使用するように適合させることができる。これには、非金属粉体、及び、気体や液体などの他の非粉体材料を貯蔵及び/または輸送するためのコンテナが含まれる。センサ・モジュール40はまた、例えば、粉体ふるい(powder sieve)等の危険環境の監視が必要とされる、他のタイプの材料取扱い及び処理装置での使用にも適合させることができる。実際、危険環境での使用に適した「安全な」電子回路を、「安全でない」電子回路から分割または流体分離する一方で、PCB及び絶縁材料の層を用いて、且つ、安全な電子回路と安全でない電子回路の間に電気的な接続を確立するためにPCBを用いて、通路に作成された気密バリアによって、安全な電子回路と安全でない電子回路の間に電気的な接続を維持する、という基本概念は、危険環境から安全でない部品を効果的に隔離することで、電子システムの安全な部品を危険環境に配置し、且つ、回路の安全でない部品と電子的に接続する必要がある幅広い応用例(application)で採用できる。そのような応用例は、潜在的に危険な物質の保管及び/または輸送のための幅広いプロセス機器(process equipment)及び機器を含むことができる。
図1
図2
図3
図4