(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/42 20060101AFI20231012BHJP
【FI】
H01R13/42 E
(21)【出願番号】P 2021072253
(22)【出願日】2021-04-22
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100205682
【氏名又は名称】高嶋 一彰
(72)【発明者】
【氏名】小林 亨
(72)【発明者】
【氏名】向島 伸幸
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-068679(JP,U)
【文献】特開2000-243502(JP,A)
【文献】特開2003-173840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/42
H01R 13/629
H01R 31/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子金具を収容する第1ハウジングと、
前記第1ハウジングに対して挿入され、前記第1ハウジングと嵌合する第2ハウジングと、
前記第2ハウジングの一側面に設けられた被係止部と、
前記第2ハウジングの一側面と対向する前記第1ハウジングの一側面に撓み変形可能に設けられ、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの嵌合に伴い撓み変形することで前記被係止部を乗り越えるように前記被係止部に係止する係止部と、
前記第2ハウジングに、前記係止部が前記被係止部に係止してなる係止状態において前記係止部の先端部と
隙間を隔てて近接対向する位置に設けられ、前記係止状態において前記係止部の先端部に対する外力の作用を規制する突起部と、
を備えたことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記被係止部は、突起状を呈し、
前記係止部は、前記係止状態において前記被係止部を包囲する概ね矩形枠状を呈し、
前記突起部は、前記第2ハウジングの挿入方向において前記被係止部の手前側に設けられ、前記係止状態において前記第2ハウジングの一側面に対向する前記係止部の先端縁とオーバーラップするように形成されている、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタであって、
前記突起部は、前記係止状態において前記係止部の先端部両側の角部と対向する位置に形成されている、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項4】
請求項3に記載のコネクタであって、
前記突起部は、前記第2ハウジングの幅方向において、前記被係止部よりも外側であって、前記被係止部と対向しない位置に配置されている、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか一項に記載のコネクタであって、
前記突起部は、前記係止部と同等の高さに設定されている、
ことを特徴とするコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコネクタとしては、以下の特許文献に記載されたものが知られている。
【0003】
このコネクタ100は、
図6に示すように、雌雄嵌合してなる樹脂製のコネクタであって、凹状に形成され、雌コネクタを構成する凹状の第1ハウジング101と、第1ハウジング101に対して嵌合可能に設けられ、雄コネクタを構成する凸状の第2ハウジング102と、を備える。
【0004】
第1ハウジング101の外側部には、第2ハウジング102側へ片持ち状に延びる鉤状の係止部101aが設けられていて、第2ハウジング102の外側部には、第1ハウジング101の係止部101aが係止可能な凹状の被係止部102aが設けられている。
【0005】
すなわち、係止部101aが被係止部102aに係止することで、第1ハウジング101と第2ハウジング102とが嵌合した状態で固定(ロック)され、第1ハウジング101と第2ハウジング102との嵌合状態が維持される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来のコネクタの場合には、係止状態にある第1ハウジング101の係止部101aと第2ハウジング102の被係止部とが、何ら保護されることなく、外部に露出した状態となっている。このため、例えば係止部101aの先端部が何かに引っかかるなど、第1ハウジング101及び第2ハウジング102の外部に作用する外的要因によって、係止部101aが持ち上げられ、被係止部102aに対する係止部101aの係止状態が解除されてしまうおそれがあり、なおも改善の余地を残していた。
【0008】
本発明は、かかる技術的課題に着目して案出されたものであり、外的要因による第1ハウジングと第2ハウジングの係止状態の意図しない解除を抑制することができるコネクタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、その一態様として、端子金具を収容する第1ハウジングと、前記第1ハウジングに対して挿入され、前記第1ハウジングと嵌合する第2ハウジングと、前記第2ハウジングの一側面に設けられた被係止部と、前記第2ハウジングの一側面と対向する前記第1ハウジングの一側面に撓み変形可能に設けられ、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの嵌合に伴い撓み変形することで前記被係止部を乗り越えるように前記被係止部に係止する係止部と、前記第2ハウジングに、前記係止部が前記被係止部に係止してなる係止状態において前記係止部の先端部と近接対向する位置に設けられ、前記係止状態において前記係止部の先端部に対する外力の作用を規制する突起部と、を備えている。
【0010】
このように、本発明によれば、係止部が被係止部に係止してなる係止状態において係止部と近接対向する位置に、係止部の先端部に対する外力の作用を規制する突起部が設けられている。このため、当該突起部によって、係止部に作用する外力を遮ることができ、係止部に外力が直接作用することが抑制される。これにより、係止部の先端部に作用した外力によって係止部が持ち上げられて被係止部から脱落してしまう不具合を抑制することができる。
【0011】
また、前記コネクタの別の態様として、前記被係止部は、突起状を呈し、前記係止部は、前記係止状態において前記被係止部を包囲する概ね矩形枠状を呈し、前記突起部は、前記第2ハウジングの挿入方向において前記被係止部の手前側に設けられ、前記係止状態において前記第2ハウジングの一側面に対向する前記係止部の先端縁とオーバーラップするように形成されていることが望ましい。
【0012】
このように、突起部が、第2ハウジングの挿入方向において被係止部の手前側であって、前記係止状態において第2ハウジングの一側面に対向する係止部の先端縁とオーバーラップするように形成されていることにより、係止部の先端部を持ち上げるように作用する外力を効果的に遮ることが可能となる。これにより、係止部に作用した外力によって当該係止部の先端部が持ち上げられて係止部が被係止部から脱落してしまう不具合を効果的に抑制することができる。
【0013】
また、前記コネクタのさらに別の態様として、前記突起部は、前記係止状態において前記係止部の先端部両側の角部と対向する位置に形成されていることが望ましい。
【0014】
このように、係止部が被係止部を包囲する矩形枠状に形成されている場合、係止部の先端部両側の角部に外力が作用することによって、係止部が被係止部から脱落しやすくなる。そこで、かかる係止部の先端部両側の角部と対向する位置に突起部を設けることで、当該突起部により、係止部の先端部両側の角部に作用する外力を効果的に遮ることが可能となる。これにより、係止部に作用した外力によって当該係止部の先端部の角部が持ち上げられて係止部が被係止部から脱落してしまう不具合を効果的に抑制することができる。
【0015】
また、前記コネクタのさらに別の態様として、前記突起部は、前記第2ハウジングの幅方向に複数設けられ、前記各突起部は、前記第2ハウジングの幅方向において前記被係止部よりも外側であって前記被係止部と対向しない位置に離間して配置されていることが望ましい。
【0016】
このように、第2ハウジングの幅方向において被係止部と対向しない位置に突起部が離間して配置されていることにより、第2ハウジングを成型する際、第2ハウジングの成形型を、第2ハウジングの奥行方向に2分割するだけの簡素な型分割とすることが可能となる。これにより、コネクタの生産性の向上、及び製造コストの低廉化を図ることができる。
【0017】
また、前記コネクタのさらに別の態様として、前記突起部は、前記係止部と同等の高さに設定されていることが望ましい。
【0018】
このように、突起部が係止部と同等の高さに設定されていることで、かかる突起部により、本係止部の高さ方向において本係止部の全体を保護することが可能となる。これにより、本係止部に外力が直接作用することをさらに効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、係止部が被係止部に係止してなる係止状態において係止部と近接対向する位置に、係止部の先端部に対する外力の作用を規制する突起部が設けられている。このため、当該突起部によって、係止部に作用する外力を遮ることができ、係止部に外力が直接作用することが抑制される。これにより、係止部の先端部に作用した外力によって係止部が持ち上げられて被係止部から脱落してしまう不具合を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るコネクタの分解斜視図である。
【
図2】
図1に示す第2ハウジングとバスバーの組み付け状態を示す縦断面図である。
【
図3】
図1に示すコネクタの組み付け状態を示す斜視図である。
【
図4】
図1に示す第1ハウジングと第2ハウジングの仮組み状態を表した図であって、本係止部及び本係止突起を通過するように第2ハウジングの挿入方向に沿って切断したコネクタの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係るコネクタの実施形態を、図面に基づいて詳述する。
【0022】
(コネクタの構成)
本実施形態に係るコネクタCNの具体的な構成について、
図1~
図5に基づいて詳述する。なお、各図の説明において、便宜上、第1ハウジング1については、第2ハウジング2と対向する側を「前」とし、反対側を「後」として定義する。一方、第2ハウジング2については、第1ハウジング1と対向する側を「前」とし、反対側を「後」として定義する。さらに、
図4~
図5の紙面上側に相当する方向を「上」とし、紙面下側に相当する方向を「下」と定義する。
【0023】
コネクタCNは、例えば
図1、
図5に示すように、電線3に接続(かしめ固定)される端子金具である雌端子4を収容する複数(本実施形態では4つ)の雌端子収容部11を有する第1ハウジング1と、各雌端子4にそれぞれ嵌合可能な複数(本実施形態では4つ)の雄端子52を有するバスバー5を収容し、第1ハウジング1に対して嵌合可能に設けられた第2ハウジング2と、を備える。換言すれば、本実施形態で例示するコネクタCNは、複数の雌端子4同士がバスバー5を介して電気的に接続される、いわゆる「ジョイントコネクタ」である。
【0024】
第1ハウジング1は、絶縁性を有する合成樹脂材料によって概ね四角筒状に形成されてなるものであり、後端側に、雌端子4を収容する雌端子収容部11が形成されると共に、前端側に、嵌入された第2ハウジング2を受容する第2ハウジング受容部12が形成されている。より具体的には、第1ハウジング1には、前後方向の中間部に、上下に延びる隔壁10が設けられていて、隔壁10よりも後方に雌端子収容部11が画定されると共に、隔壁10よりも前方に第2ハウジング受容部12が画定されている。
【0025】
雌端子収容部11は、後述する四角筒状の雌端子4を収容可能な横断面ほぼ矩形状となるように画定されていて、本実施形態では、4つの雌端子収容部11が、第1ハウジング1の幅方向に並列に配置されている。一方、第2ハウジング受容部12は、受容する第2ハウジング2に対応した凹形状を呈し、第1ハウジング1の幅方向の全域にわたって一体に形成されている。
【0026】
また、各雌端子収容部11を構成する第1ハウジング1の上部には、
図4、
図5に示すように、それぞれ雌端子4に係止することによって雌端子4の抜け止めに供するランス部13が設けられている。このランス部13は、後方から前方に向かって延びる片持ち梁状に形成され、基端部13aを支点として上下方向に撓み変形可能に設けられると共に、先端部13bが雌端子4の後述する端子接続部42の後端縁に係止可能に構成されている。
【0027】
より具体的には、ランス部13は、
図4に示すように、雌端子4が挿入されることによって上側に押し退けられるように弾性変形し、その後に弾性復帰して雌端子4の後述する端子接続部42の後端縁に係止することによって、雌端子4の後方移動を規制する。なお、このランス部13は、
図5に示すように、第1ハウジング1に第2ハウジング2が完全に嵌合することで、第2ハウジング2の後述するランス規制部23によって上方の移動(撓み変形)が規制され、雌端子4の抜け止めを構成する。
【0028】
また、第2ハウジング受容部12を構成する第1ハウジング1の上部のうち、幅方向の一方側には、第1ハウジング1と第2ハウジング2の本組み状態(
図5参照)の構成に供する本係止部(本発明に係る係止部に相当)14が形成されている。本組み状態では、第1ハウジング1と第2ハウジング2とが深く嵌合して第2ハウジング2(後述するランス規制部23)がランス部13の撓み変形を規制して、雌端子4の抜け止めが構成される。この本係止部14は、
図1、
図3に示すように、本係止開口部14aを画定する概ね矩形枠状を呈しており、互いに平行をなして前方に向かって直線状に延びる片持ち梁状に設けられた一対の本係止アーム部14b,14bと、この一対の本係止アーム部14b,14bの先端部同士を繋ぐかたちで設けられ、第2ハウジング2の後述する本係止突起24に係止可能な本係止片14cと、によって構成される。
【0029】
すなわち、本係止部14は、
図5に示すように、第1ハウジング1に対して第2ハウジング2を嵌合する際、一対の本係止アーム部14b,14bが上方に撓み変形することによって本係止片14cが第2ハウジング2の後述する本係止突起24を乗り越えて当該本係止突起24の後端部に係止することにより、第1ハウジング1と第2ハウジング2とが深く嵌合して、後述するランス規制部23により雌端子4の抜け止めが構成される前記本組み状態が維持される。
【0030】
また、第2ハウジング受容部12を構成する第1ハウジング1の上部のうち、幅方向の他方側には、第1ハウジング1と第2ハウジング2の仮組み状態(
図4参照)の構成に供する仮係止部15が形成されている。仮組み状態では、第1ハウジング1と第2ハウジング2とが前記本組み状態よりも浅く嵌合して第2ハウジング2(後述するランス規制部23)がランス部13の撓み変形を規制することなく雌端子4の抜け止めが構成されない。この仮係止部15は、
図1、
図3に示すように、前後方向に延びる長穴状の仮係止開口部15aを画定する概ね矩形枠状を呈しており、互いに平行をなして前方に向かって直線状に延びる片持ち梁状に設けられた一対の仮係止アーム部15b,15bと、この一対の仮係止アーム部15b,15bの先端部同士を繋ぐかたちで設けられ、第2ハウジング2の後述する仮係止突起25に係止可能な仮係止片15cと、によって構成される。
【0031】
すなわち、仮係止部15は、
図4に示すように、第1ハウジング1に対して第2ハウジング2を嵌合する際、一対の仮係止アーム部15b,15bが上方に撓み変形することによって仮係止片15cが第2ハウジング2の後述する仮係止突起25を乗り越えて当該仮係止突起25の後端部に係止することにより、第1ハウジング1と第2ハウジング2とが前記本組み状態よりも浅く嵌合して、後述するランス規制部23により雌端子4の抜け止めが構成されない前記仮組み状態が維持される。
【0032】
なお、この仮組み状態では、
図4に示すように、仮係止片15cが第2ハウジング2の後述する仮係止突起25を乗り越えた直後の当該仮係止突起25の後端部に係止した状態となり、第1ハウジング1に対する第2ハウジング2の抜け止めを構成する一方で、
図5に示すように、本係止片14cが第2ハウジング2の後述する本係止突起24を乗り越える直前の当該本係止突起24の前端部に当接した状態となり、後述するランス規制部23により雌端子4の抜け止めが構成されない。
【0033】
第2ハウジング2は、絶縁性を有する合成樹脂材料によって一体に形成されたものであり、例えば
図1、
図5に示すように、バスバー5の基部51を収容保持するバスバー保持部21と、バスバー保持部21の上部に連なり前方に向かってバスバー5の雄端子52と平行に延びる矩形板状の天板部22と、天板部22の先端部(前端部)に先細り状に形成され、第1ハウジング1のランス部13の撓み変形を規制するランス規制部23と、天板部22の上面に幅方向に並列に設けられた本係止突起(本発明に係る被係止部に相当)24及び仮係止突起(本発明に係る被仮係止部に相当)25と、を有する。
【0034】
バスバー保持部21は、
図2に示すように、前方に向かって開口する横断面ほぼ矩形状の凹部21aを有し、この凹部21aの内側にバスバー5の基部51が圧入されることで、雄端子52の先端側を外部(前方)に臨ませた状態でバスバー5を収容保持する。
【0035】
天板部22は、
図4、
図5に示すように、バスバー5の上側を覆うように雄端子52の先端付近まで前方に向かって直線状に延設されている。また、この天板部22は、
図1に示すように、第2ハウジング2の両側部において、バスバー保持部21との間に、第1ハウジング1に対する第2ハウジング2の嵌入を案内する一対のガイド溝26を形成する。この一対のガイド溝26は、第2ハウジング受容部12の両側部に形成された一対のリニアガイド16に係合することにより、第1ハウジング1に対する第2ハウジング2の嵌入を案内する。
【0036】
ランス規制部23は、本係止突起24が本係止部14に係止した本組み状態において、第1ハウジング1におけるランス部13の上方への撓み変形を受容するランス撓み空間SP内に挿入される。すなわち、かかる本組み状態では、ランス撓み空間SP内に挿入されたランス規制部23がランス部13の上部に当接し、ランス部13の撓み変形を規制する。これにより、ランス部13が雌端子4の端子接続部42の後端縁に係止した状態が維持され、雌端子4の抜け止めが構成される。
【0037】
また、ランス規制部23は、ランス部13が雌端子4の端子接続部42の後端縁に係止した状態、つまりランス部13が上方へ撓み変形していない状態で、はじめてランス撓み空間SPへの進入が許容される。換言すれば、第1ハウジング1に対する雌端子4の挿入が不十分であった場合、ランス部13が雌端子4の端子接続部42に乗り上げた状態となって、ランス規制部23がランス部13に干渉してランス撓み空間SPへの進入が規制される。かかる構成から、このランス規制部23は、雌端子4の挿入不備を検知する機能を有しており、ランス規制部23がランス撓み空間SPに進入してランス部13の撓み変形を規制可能な本組み状態をもって、第1ハウジング1に対する雌端子4の適切な挿入が保証される。
【0038】
本係止突起24は、
図1、
図3に示すように、概ね矩形ブロック状を呈し、天板部22と一体に形成されている。なお、この本係止突起24は、本係止部開口部14aの幅寸法に対して相対的に小さい幅寸法に設定されていて、一対の本係止アーム部14b,14bの一方と本係止突起24の一側面との間に、所定の隙間Y(
図3参照)が形成されるようになっている。また、この本係止突起24の前端部には、
図5に示すように、前方に向かって本係止突起24の高さ寸法T1が徐々に減少する傾斜面(テーパ面)を構成する本係止テーパ部24aが形成されている。この本係止テーパ部24aにより、本係止部14(本係止片14c)が当該本係止テーパ部24aに沿って比較的容易に持ち上げられ、比較的小さい押圧力で本係止部14を本係止突起24に容易に係止させることが可能となっている。
【0039】
仮係止突起25は、
図1、
図3に示すように、概ね矩形片状を呈し、天板部22と一体に形成されている。また、この仮係止突起25の前端部には、
図4に示すように、前方に向かって仮係止突起25の高さ寸法T2が徐々に減少する傾斜面(テーパ面)を構成する仮係止テーパ部25aが形成されている。この仮係止テーパ部25aにより、仮係止部15(仮係止片15c)が当該仮係止テーパ部25aに沿って比較的容易に持ち上げられ、比較的小さい押圧力で仮係止部15を仮係止突起25に容易に係止させることが可能となっている。
【0040】
また、本係止突起24に対して第2ハウジング2の挿入方向の手前側となる天板部22の後端縁には、特に
図3に示すように、第2ハウジング2の挿入方向において本係止部14の幅方向両側の角部である内側角部14d及び外側角部14eと対向する位置に、本係止部14と本係止突起24の係止状態において天板部22に対向する本係止部14(本係止片14c)の先端縁とオーバーラップするように、複数の突起部である一対の第1突起部27a及び第2突起部27bが設けられている。この第1突起部27a及び第2突起部27bは、第2ハウジング2の幅方向において本係止突起24よりも外側であって、かつ本組み状態において本係止部14に対し比較的小さな隙間X(
図5参照)を隔てて近接するように互いに離間して配置されていて、本係止部14(本係止片14c)と同等の高さに設定されている。具体的には、第1突起部27a及び第2突起部27bは、第2ハウジング2の挿入方向において天板部22に対向する本係止部14(本係止片14c)の先端縁とオーバーラップする位置に、本係止部14の先端両側部(内側角部14d及び外側角部14e)に近接して対向するように配置されることによって、第2ハウジング2の外部に作用する外力が本係止部14の内側角部14d及び外側角部14e(特に、本係止部14の持ち上げ作用を発生し得る、内側角部14d及び外側角部14eの下端縁)に直接作用することを抑制している。
【0041】
ここで、本実施形態では、第1突起部27a及び第2突起部27bのうち、第2突起部27bが、第1突起部27aよりも比較的幅広に形成されていて、本係止部14の外側角部14eのみならず前記隙間Yとも対向可能に形成されている。かかる構成から、具体的な図示は省略するが、この比較的幅広の第2突起部27bは、外部から隙間Yを通じて本係止片14cをくぐらせるように挿入された図示外の治具の突き当てに供するものであって、この突き当て状態において前記治具を抉るようにして本係止片14cを持ち上げることにより、本係止部14と本係止突起24の係止状態を解除し、第1ハウジング1と第2ハウジング2を分解(分離)することが可能となっている。
【0042】
なお、本実施形態では、第1突起部27aに対し第2突起部27bの幅方向の寸法が大きく設定されているが、当該第1突起部27a及び第2突起部27bの大きさについては、任意に設定可能である。換言すれば、第1突起部27a及び第2突起部27bの幅方向の寸法を同じ大きさに設定してもよく、また、第2突起部27bに対し第1突起部27aの幅方向の寸法を大きく設定してもよい。
【0043】
雌端子4は、導電性を有する所定の金属材料によって一体に形成されたものであって、電線3の先端部において被覆部31の一部が除去され露出した芯線部32に圧着される電線接続部41と、電線接続部41の先端側に一体に設けられ、雄端子52と嵌合して当該雄端子52に接続される概ね四角筒状の端子接続部42と、を有する。
【0044】
バスバー5は、導電性を有する金属板を打ち抜いて一体に形成されたものであって、とりわけ
図1、
図2に示すように、幅方向にわたって帯状に形成され、第2ハウジング2のバスバー保持部21に圧入保持される基部51と、基部51の前端部から互いに平行に延びる複数(本実施形態では4つ)の雄端子52と、を有する。
【0045】
(本実施形態の作用効果)
以下に、本実施形態に係るコネクタCNの作用効果について、具体的に説明する。
【0046】
従来のコネクタの場合には、
図6に示すように、係止状態にある第1ハウジング101の係止部101aと第2ハウジング102の被係止部とが、何ら保護されることなく、外部に露出した状態となっている。このため、例えば係止部101aの先端部が何かに引っかかるなど、第1ハウジング101及び第2ハウジング102の外部に作用する外的要因によって、係止部101aが持ち上げられ、被係止部102aに対する係止部101aの係止状態が解除されてしまうおそれがあり、なおも改善の余地を残していた。
【0047】
これに対して、本実施形態に係るコネクタCNによれば、本係止部14が本係止突起24に係止してなる係止状態において本係止部14(本係止片14c)と近接対向する位置に、本係止部14の先端部に対する外力の作用を規制する一対の突起部である第1突起部27a及び第2突起部27bが設けられている。
【0048】
このため、第1突起部27a及び第2突起部27bによって、本係止部14に作用する外力を遮ることでき、本係止部14に外力が直接作用することが抑制される。これにより、本係止部14の先端部に作用した外力によって本係止部14が持ち上げられて本係止突起24から脱落してしまう不具合を抑制することができる。
【0049】
特に、本実施形態においては、第1突起部27a及び第2突起部27bが、第2ハウジング2の挿入方向において本係止突起24の手前側に、本係止部14と本係止突起24の係止状態において天板部22と対向する本係止部14の先端縁とオーバーラップするように形成されている。このため、本係止部14の先端部(本係止片14c)を持ち上げるように作用する外力を効果的に遮ることが可能となる。これにより、本係止部14に作用した外力によって当該本係止部14の先端部が持ち上げられて本係止部14が本係止突起24から脱落してしまう不具合を効果的に抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態のように、本係止部14が概ね矩形枠状に形成されている場合、本係止部14の先端部の角部に外力が作用することにより、本係止部14が本係止突起24から脱落する可能性が高くなる。
【0051】
かかる懸念に鑑み、本実施形態では、一対の突起部である第1突起部27a及び第2突起部27bが、本係止部14の先端部両側の角部と対向する位置に設けられている。
【0052】
このように、本係止部14の先端部両側の角部と対向する位置に第1突起部27a及び第2突起部27bが設けられていることで、当該第1突起部27a及び第2突起部27bをもって、本係止部14の先端部両側の角部に作用する外力を効果的に遮ることが可能となる。これにより、本係止部14に作用した外力によって当該本係止部14の先端部の角部が持ち上げられて本係止部14が本係止突起24から脱落してしまう不具合を効果的に抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態では、一対の突起部である第1突起部27a及び第2突起部27bが、第2ハウジング2の幅方向において、本係止突起24よりも外側であって、当該本係止突起24と対向しない位置に配置されている。
【0054】
このように、第1突起部27a及び第2突起部27bが、第2ハウジング2の幅方向において、本係止突起24よりも外側であって、当該本係止突起24と対向しない位置に離間して配置されていることにより、第2ハウジング2を成型する際、当該第2ハウジング2の成形型を、第2ハウジング2の奥行方向に2分割するだけの簡素な型分割とすることが可能となる。これにより、コネクタCNの生産性の向上、及び製造コストの低廉化を図ることができる。
【0055】
また、本実施形態では、第1突起部27a及び第2突起部27bが、本係止部14と同等の高さに設定されている。
【0056】
このように、第1突起部27a及び第2突起部27bが本係止部14と同等の高さに設定されていることで、当該第1突起部27a及び第2突起部27bにより、本係止部14の高さ方向において本係止部14の全体を保護することが可能となる。これにより、本係止部14に外力が直接作用することをさらに効果的に抑制することができる。
【0057】
本発明は、前記各実施形態において例示した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適用対象の仕様等に応じて自由に変更することができる。
【0058】
特に、本実施形態では、本係止部14への外力の直接作用を抑制する突起部として、相互に離間した第1突起部27a及び第2突起部27bからなる一対の突起部として分離構成したものを例示しているが、かかる構成に限定されるものではない。換言すれば、具体的な図示については省略するが、第1突起部27a及び第2突起部27bを、本係止部14の先端部(本係止片14c)に近接して対向する一連の突起部として構成してもよい。この場合、当該突起部によって、本係止部14の先端部を第2ハウジング2の幅方向全域にわたって保護することが可能となる。これにより、本係止部14の先端部に作用した外力によって当該本係止部14の先端部が持ち上げられて本係止突起24から脱落してしまう不具合を抑制することができる。
【0059】
また、前記実施形態では、本発明に係る被係止部を凸状の本係止突起24として構成すると共に、本発明に係る係止部を矩形枠状の本係止部14として構成した態様を例示して説明したが、本発明に係る被係止部と係止部の係止形態は当該例示態様に限定されるものではない。換言すれば、本発明に係る被係止部を、前記従来のコネクタのような凹状の被係止部として構成すると共に、本発明に係る係止部を、前記従来のコネクタのような凸状の係止部として構成してもよく、かかる係止態様であっても、例えば前記第1突起部27a及び第2突起部27bなど本発明に係る突起部をもって、本係止部の先端部に作用した外力によって本係止部が持ち上げられて被係止部から脱落してしまう不具合を抑制することができる。
【0060】
さらに、前記実施形態では、第1ハウジング1に本係止部14及び仮係止部15を設けると共に、第2ハウジング2に本係止突起24及び仮係止突起25を設けた態様を例示して説明したが、第1ハウジング1に本係止突起24及び仮係止突起25を設けると共に、第2ハウジング2に本係止部14及び仮係止部15を設ける態様としても良い。
【符号の説明】
【0061】
1…第1ハウジング
2…第2ハウジング
3…電線
4…雌端子(端子金具)
14…本係止部(係止部)
24…本係止突起(被係止部)
27a…第1突起部(突起部)
27b…第2突起部(突起部)