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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】実装装置及び検出方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20231012BHJP
【FI】
H05K13/02 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021078301
(22)【出願日】2021-05-06
(62)【分割の表示】P 2019559891の分割
【原出願日】2017-12-19
(65)【公開番号】P2021119631
(43)【公開日】2021-08-12
【審査請求日】2021-05-21
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-19
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻山 岳史
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】尾崎 和寛
【審判官】内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-176290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を梱包した梱包部材を送り出す供給部と、
前記部品を前記梱包部材から採取する実装ヘッドと、
前記梱包部材を撮像可能な撮像部と、
前記撮像部を制御して前記梱包部材を撮像させて前記梱包部材の第1画像として、前記部品を採取する前の前記梱包部材を撮像した採取前画像と前記部品を採取したあとの前記梱包部材を撮像した採取後画像とを取得し、前記採取前画像と前記採取後画像との差分から前記部品の領域を抽出し、前記部品の領域外を前記梱包部材が有するそれぞれ部品を収容可能な収容部の領域として前記第1画像の基準パターンを取得した後、前記供給部を制御して前記梱包部材を送り出させると共に前記撮像部を制御して前記梱包部材を撮像させて前記梱包部材の第2画像を取得することにより、前記第2画像に含まれる前記基準パターンに適合する領域を求め、前記梱包部材が有する、それぞれ部品を収容可能な複数の収容部のうち、少なくとも隣接する第1収容部と第2収容部とを検出し、前記第1収容部を検出してから前記第2収容部を検出するまでの前記供給部が前記梱包部材を送り出す送り量に基づいて、前記梱包部材に形成された前記複数の収容部のうち隣接する収容部同士のピッチを求める制御部と、
を備えた実装装置。
【請求項2】
前記制御部は、求められた前記ピッチが、前記供給部に対して設定されているものと異なる場合は、作業者にその旨の情報を報知する、請求項1に記載の実装装置。
【請求項3】
部品を梱包した梱包部材を送り出す供給部と、
前記部品を前記梱包部材から採取する実装ヘッドと、
前記梱包部材を撮像可能な撮像部と、
前記撮像部によって撮像された撮像画像に基づいて、前記梱包部材が有する、それぞれ部品を収容可能な複数の収容部のうち、少なくとも隣接する第1収容部と第2収容部とを検出する収容部検出部と、
前記供給部が前記梱包部材を送り出す送り量を検出する送り量検出部と、を備え、
前記収容部検出部は、前記撮像部が撮像した前記梱包部材の第1画像としての、前記部品を採取する前の前記梱包部材を撮像した採取前画像と前記部品を採取したあとの前記梱包部材を撮像した採取後画像とを取得し、前記採取前画像と前記採取後画像との差分から前記部品の領域を抽出し、前記部品の領域外を前記梱包部材が有するそれぞれ部品を収容可能な収容部の領域として前記第1画像の基準パターンを取得し、前記供給部が前記梱包部材を送り出した際に前記撮像部が撮像した前記梱包部材の第2画像に基づいて、前記第2画像に含まれる前記基準パターンに適合する領域を求め、前記第1収容部と前記第2収容部を検出し、
前記送り量検出部は、前記第1収容部を検出してから前記第2収容部を検出するまでの前記送り量に基づいて、前記梱包部材に形成された前記複数の収容部のうち隣接する収容部同士のピッチを求める、実装装置。
【請求項4】
部品を梱包した梱包部材を送り出す供給部と前記部品を前記梱包部材から採取する実装ヘッドと前記梱包部材を撮像可能な撮像部とを備えた実装装置に用いられる検出方法であって、
(a)前記撮像部により前記梱包部材の第1画像として、前記部品を採取する前の前記梱包部材を撮像した採取前画像と前記部品を採取したあとの前記梱包部材を撮像した採取後画像とを取得し、前記採取前画像と前記採取後画像との差分から前記部品の領域を抽出し、前記部品の領域外を前記梱包部材が有するそれぞれ部品を収容可能な収容部の領域として前記第1画像の基準パターンを取得した後に、前記供給部により前記梱包部材を送ると共に前記撮像部により前記梱包部材の第2画像を取得するステップと、
(b)前記第1画像と前記第2画像とに基づいて、前記第2画像に含まれる前記基準パターンに適合する領域を求め、前記梱包部材が有する、それぞれ部品を収容可能な複数の収容部のうち、少なくとも隣接する第1収容部と第2収容部とを検出するステップと、
(c)前記第1収容部を検出してから前記第2収容部を検出するまでの前記供給部が前記梱包部材を送り出す送り量に基づいて、前記梱包部材に形成された前記複数の収容部のうち隣接する収容部同士のピッチを求めるステップと、
を含む検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、実装装置、検出装置及び検出方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、実装装置としては、部品を所定間隔で梱包したテープを撮像し、認識処理を実行して部品収容部のピッチを計測するものが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1の実装装置では、計測したピッチがライブラリデータと相違したときには異常である旨を報知する。また、特許文献2の実装装置では、送りピッチを予め定められた送りピッチから計測したピッチに変更して間欠送りする。これらの装置では、部品収納テープの送りピッチと部品吸着位置との整合を図ることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-171208号公報
【文献】特開2016-31959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1、2の装置では、撮像画像によっては、どの領域が部品収容部やテープで、どの領域が部品の領域であるのか判別することができず、部品の梱包ピッチを誤認識する場合があった。梱包ピッチを誤認識すると、実装処理に使用されない部品が大量に生じることなどがあるため、実装装置では、部品の梱包ピッチをより確実に求めることが求められていた。
【0005】
本明細書で開示する発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、部品の梱包ピッチをより確実に求めることができる実装装置、検出装置及び検出方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実装装置、検出装置及び検出方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本明細書で開示する実装装置は、
部品を所定間隔で梱包した梱包部材を送り出して部品を供給する供給部を装着する装着部と、
前記部品を前記梱包部材から採取する実装ヘッドと、
前記梱包部材を撮像する撮像部と、
前記部品を採取する前の前記梱包部材を撮像した採取前画像と、前記部品を採取したあとの前記梱包部材を撮像した採取後画像とに基づいて前記部品を梱包した梱包部材の基準パターンを取得し、該基準パターンに基づいて前記部品の梱包ピッチを求める制御部と、
を備えたものである。
【0008】
この実装装置では、部品を採取する前の梱包部材を撮像した採取前画像と、部品を採取したあとの梱包部材を撮像した採取後画像とに基づいて部品を梱包した梱包部材の基準パターンを取得し、この基準パターンに基づいて部品の梱包ピッチを求める。この実装装置では、採取前画像と採取後画像とを用いて部品の領域を検出することが可能であり、部品の梱包位置をより確実に把握することができるため、部品の梱包ピッチをより確実に求めることができる。ここで、「梱包部材」としては、テープなどが挙げられ、梱包方法としては、テープ上に部品が貼付されたものやテープに形成された収容部に部品が収容されたものなどが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実装システム10の一例を表す概略説明図。
図2】フィーダ16及び梱包部材30の説明図。
図3】梱包ピッチ検出ルーチンの一例を表すフローチャート。
図4】採取前画像50及び採取後画像51の説明図。
図5】梱包部材30を送り出さずに基準パターン54を求める説明図。
図6】梱包部材30を送り出して基準パターンを求める説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1は、本開示の一例である実装システム10の概略説明図である。図2は、フィーダ16及び梱包部材30の説明図である。実装システム10は、例えば、部品Pを基板Sに実装する処理を実行するシステムである。この実装システム10は、実装装置11と、ホストコンピュータ(PC)40とを備えている。実装システム10は、部品Pを基板Sに実装する実装処理を実施する複数の実装装置11が上流から下流に配置された実装ラインとして構成されている。図1では、説明の便宜のため実装装置11を1台のみ示している。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、図1、2に示した通りとする。
【0011】
実装装置11は、図1に示すように、基板処理部12と、実装部13と、部品供給部14と、パーツカメラ17と、制御装置25と、操作パネル28とを備えている。基板処理部12は、基板Sの搬入、搬送、実装位置での固定、搬出を行うユニットである。基板処理部12は、図1の前後に間隔を開けて設けられ左右方向に架け渡された1対のコンベアベルトを有している。基板Sはこのコンベアベルトにより搬送される。
【0012】
実装部13は、部品Pを部品供給部14から採取し、基板処理部12に固定された基板Sへ配置するユニットである。実装部13は、ヘッド移動部20と、実装ヘッド21と、吸着ノズル22(採取部材)とを備えている。ヘッド移動部20は、ガイドレールに導かれてXY方向へ移動するスライダと、スライダを駆動するモータとを備えている。実装ヘッド21は、複数の部品Pを採取してヘッド移動部20によりXY方向へ移動するものである。この実装ヘッド21は、スライダに取り外し可能に装着されている。実装ヘッド21の下面には、1以上の吸着ノズル22が取り外し可能に装着されている。実装ヘッド21は、部品Pを採取する複数の吸着ノズル22が円周上に装着可能である。吸着ノズル22は、負圧を利用して部品を採取するものである。部品Pの採取は、吸着ノズル22のほか、部品Pを機械的に保持するメカニカルチャックなどにより行ってもよい。実装ヘッド21の下面側には、マークカメラ23が配設されている。マークカメラ23は、実装ヘッド21の移動に伴い、XY方向に移動し、基板Sに形成されたマークを撮像するほか、部品供給部14の採取位置も撮像する。
【0013】
部品供給部14は、部品Pを所定間隔(梱包ピッチ)で梱包した梱包部材30(例えば、テープなど)を送り出して部品Pを実装部13へ供給するユニットである。この部品供給部14は、リールを装着した複数のフィーダ16が装着部15を介して実装装置11の前側に着脱可能に取り付けられている。各リールには、梱包部材30が巻き付けられ、この梱包部材30には、複数の部品Pが梱包部材30の長手方向に沿って梱包されている。梱包部材30には、図2に示すように、送り孔31と、収容部32とが形成されている。送り孔31は、フィーダ16に配設されたスプロケットの歯が挿入される。梱包部材30は、このスプロケットの回転駆動により送り出される。収容部32は、テープに形成された空間であり、ここに部品Pが収容される。なお、梱包部材30の部品Pの梱包方法としては、内部空間に収容されるもののほか、表面に部品Pを添付したものとしてもよい。梱包部材30は、リールから後方に向かって巻きほどかれ、部品Pが露出した状態で、吸着ノズル22で吸着される採取位置にフィーダ16により送り出される。フィーダ16は、図示しないコントローラを備えている。このコントローラは、梱包部材30の送り量(梱包ピッチ)を記憶すると共に、スプロケットの駆動モータを制御する。
【0014】
パーツカメラ17は、図1に示すように、実装ヘッド21に採取され保持された1以上の部品Pの画像を撮像する装置である。このパーツカメラ17は、部品供給部14と基板処理部12との間に配置されている。このパーツカメラ17の撮像範囲は、パーツカメラ17の上方である。パーツカメラ17は、部品Pを保持した実装ヘッド21がパーツカメラ17の上方を通過する際、1又は2以上の画像を撮像し、撮像画像を制御装置25へ出力する。制御装置25は、パーツカメラ17の撮像画像によって、梱包部材30から部品Pが採取されたか否かを検出することができる。
【0015】
制御装置25は、CPU26を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、各種データを記憶する記憶部27などを備えている。この制御装置25は、基板処理部12、実装部13、部品供給部14、パーツカメラ17、操作パネル28へ制御信号を出力し、実装部13や部品供給部14、パーツカメラ17、操作パネル28からの信号を入力する。記憶部27には、部品Pを基板Sへ実装する配置順や配置位置などを含む実装条件情報などが記憶されている。操作パネル28は、作業者からの入力を受け付け、作業者へ情報を報知するものであり、表示部と操作部とを有している。
【0016】
ホストPC40は、実装システム10の各装置の情報を管理するコンピュータである。ホストPC40は、実装装置11へ実装条件情報などを送信し、実装装置11から実装処理結果などを受信する。
【0017】
次に、こうして構成された本実施形態の実装システム10の動作、特に梱包部材30の収容部32の間隔である梱包ピッチを検出する処理について説明する。図3は、制御装置25のCPU26で実行される梱包ピッチ検出ルーチンの一例を表すフローチャートである。図4は、部品Pの採取前画像50(図4A)及び部品Pの採取後画像51(図4B)の説明図である。図5は、梱包部材30を送り出さずに基準パターン54を求める説明図であり、図5Aは部品Pの採取前の説明図、図5Bは部品Pの採取後の説明図であり、図5Cが基準パターン54の一例の説明図である。図5では、梱包部材30を側方から見た断面図で示した。図6は、梱包部材30を送り出して基準パターンを求める概略説明図であり、図6Aが収容部32が撮像領域にない採取前画像50であり、図6Bが部品Pを収容した収容部32の採取前画像50であり、図6Cが部品Pを採取後の収容部32の採取後画像51の説明図である。この実装装置11では、マークカメラ23の撮像により1つの画像に収容部32が複数含まれる場合は梱包部材30を送り出さない梱包部材固定検出により梱包ピッチを求め、1つの画像に収容部32が1つ含まれる場合は梱包部材30を送り出す梱包部材送出検出により梱包ピッチを求めるよう設定されている。また、実装装置11では、部品Pの採取前後の撮像画像を用いて梱包ピッチを求める第1処理と、部品Pを採取せずに梱包ピッチを求める第2処理とを予め定められた設定に基づいて切り替えて実行する。
【0018】
梱包ピッチ検出ルーチンは、記憶部27に記憶され、フィーダ16が部品供給部14に装着されたあと作業者の指示により実行される。このルーチンが実行されると、CPU26は、フィーダ16に記憶された情報を取得する(S100)。CPU26は、フィーダ16から、例えば、フィーダ16や梱包部材30、部品Pの識別子や、設定されている梱包部材30の送り量(梱包ピッチ)などを取得する。次に、CPU26は、取得した情報に基づいて梱包部材固定検出であるか否かを判定する(S110)。CPU26は、上記取得したフィーダ16の種別や梱包部材30の情報に基づき、1つの撮像画像中に収容部32が複数撮像されるか否かにより、梱包部材固定検出及び梱包部材送出検出のいずれを行うべきかを判定する。
【0019】
このフィーダ16において、1つの撮像画像中に収容部32が複数撮像されると判定すると、CPU26は、梱包部材固定検出を行うものとし、設定されている処理が第1処理であるか第2処理であるかを判定する(S120)。設定されている処理が部品Pの採取前後の撮像画像を用いて梱包ピッチを求める第1処理であるときには、CPU26は、実装ヘッド21をフィーダ16の上方へ移動させ、部品Pを採取する前の梱包部材30を採取前画像50としてマークカメラ23に撮像させる(S130、図4A参照)。次に、CPU26は、実装ヘッド21に部品Pを採取させ(S140)、パーツカメラ17で実装ヘッド21を撮像することにより、部品Pが実装ヘッド21に採取されているか否かを撮像画像に基づいて認識する(S150)。実装ヘッド21への部品採取が認識されなかったときには、CPU26は、例えば、最小の規格ピッチ分、梱包部材30を送り出し、S130~S150の処理を実行する。例えば、フィーダ16の装着直後に、収容部32が採取位置にないときであっても、この処理を繰り返せば、実装ヘッド21は部品Pを採取することができる。「最小の規格ピッチ」は、実装装置11で利用する種々の梱包部材30の梱包間隔のうち最も短いピッチ(例えば、1mmや2mmなど)とすればよい。
【0020】
部品採取が認識されると、CPU26は、実装ヘッド21をフィーダ16の上方へ移動させ、部品Pを採取したあとの梱包部材30を採取後画像51としてマークカメラ23に撮像させる(S160、図4B参照)。次に、CPU26は、採取前画像50と、採取後画像51とに基づいて梱包部材30の基準パターンを取得する(S170)。CPU26は、例えば、図5に示すように、採取前画像50と採取後画像51との差分から部品Pの領域を抽出し、部品Pの近傍の領域が収容部32であるとして、これを基準パターンとすることができる。図5Aに示すように、部品Pや梱包部材30の色が近似する場合は、輝度も近似することから部品の領域を正確に抽出することができない場合がある。この第1処理では、部品Pを採取することにより、部品Pの領域を正確に求め、誤りのない基準パターンを取得することができる。ここで、基準パターンを取得するに際して、CPU26は、採取前画像50の複数列の輝度を積算すると共に採取後画像51の複数列の輝度を足し合わせたり乗算するなど、積算して基準パターンを取得するものとしてもよい。図4の点線のように、複数列(例えば、30列)の輝度を積算すれば、黒の輝度が値30とすると、値900とすることができ、同系色であっても領域の判別をより精度よく行うことができる。続いて、CPU26は、採取前画像50又は採取後画像51の領域に対して基準パターン54のフィッティング処理を行い、梱包ピッチを求める(S180)。CPU26は、梱包部材30の撮像画像に含まれる基準パターンに適合する複数の領域の間隔から梱包ピッチを求める。CPU26は、例えば、図5に示した輝度積算値の各領域に対して基準パターン54のフィッティングを行うものとしてもよい。このようにして、梱包部材30の梱包ピッチを実測値として得ることができる。
【0021】
一方、S120で、設定されている処理が部品Pの採取前の撮像画像のみを用いて梱包ピッチを求める第2処理であるときには、CPU26は、マークカメラ23に採取前画像50を撮像させ(S190)、S170で採取前画像50から基準パターンを取得する。CPU26は、例えば、採取前画像50における採取位置の輝度分布を基準パターンとして取得する。この第2処理では、撮像処理が1回であり部品Pの採取も行わないので処理時間の短縮を行うことができるが、第1処理に比して正確さは劣る。実装装置11では、この優位点、不利点を勘案し使用者により第1処理か第2処理かを選択可能に構成されている。基準パターンを取得すると、CPU26は、上述したのと同様に、S180で基準パターンとのフィッティングにより梱包ピッチを求める。
【0022】
一方、S110で、このフィーダ16において、1つの撮像画像中に収容部32が1つのみ撮像されると判定すると、CPU26は、梱包部材送出検出を行うものとし、設定されている処理が第1処理であるか第2処理であるかを判定する(S200)。なお、以下の処理では上述した梱包部材固定検出と同様の処理については、同様の処理を行うものとして具体的な説明については省略する。次に、設定されている処理が第1処理であるときには、CPU26は、マークカメラ23に採取前画像50を撮像させる(S210、図6A,B参照)。次に、CPU26は、実装ヘッド21に部品Pを採取させ(S220)、部品Pが実装ヘッド21に採取されているか否かを認識する(S230)。実装ヘッド21への部品採取が認識されなかったときには、CPU26は、最小の規格ピッチ分、梱包部材30を送り出させ(S240)、S210~S230の処理を実行する。例えば、フィーダ16の装着直後に、収容部32が採取位置にないときであっても、この処理を繰り返せば、採取位置に収容部32が送り出される。
【0023】
部品採取が認識されると、CPU26は、マークカメラ23に採取後画像51を撮像させる(S250、図6C参照)。次に、CPU26は、採取前画像50と、採取後画像51とに基づいて梱包部材30の基準パターンを取得する(S260)。この基準パターンは、S170と同様の処理で取得することができる。続いて、CPU26は、最小の規格ピッチ分、梱包部材30を送り出させると共に梱包部材30を撮像し、上記基準パターンとのフィッティング処理を行い、梱包ピッチを求める(S270)。CPU26は、基準パターンを取得後に、梱包部材30を最小の規格ピッチ分送り出させ、梱包部材30を撮像させ、この撮像画像に基準パターンが含まれるかを判定する処理を繰り返し、基準パターンに適合する領域が検出されると、この検出時までの送り量から梱包ピッチを求める。このようにして、梱包部材30の梱包ピッチを実測値として得ることができる。
【0024】
一方、S200で、設定されている処理が第2処理であるときには、CPU26は、マークカメラ23に採取前画像50を撮像させ(S280)、S260で採取前画像50から基準パターンを取得する。CPU26は、例えば、採取前画像50(図6B)における採取位置の輝度分布を基準パターンとして取得する。基準パターンを取得すると、CPU26は、上述したのと同様に、S270で基準パターンとのフィッティングにより梱包ピッチを求める。
【0025】
続いて、CPU26は、得られた梱包ピッチを記憶すると共に、この梱包ピッチがフィーダ16に設定されているものと異なる場合は、作業者にその旨の情報を報知し(S290)、このルーチンを終了する。CPU26は、例えば、操作パネル28の表示部にメッセージと警告とを表示するものとしてもよい。部品Pが梱包される梱包部材30は、その梱包ピッチが複数種存在する場合がある。フィーダ16に梱包部材30を装着した際に、梱包ピッチを誤って入力すると、実装処理時に多数の部品ロスが生じることがあり得る。この実装装置11では、が梱包ピッチを自動計測するため、このような部品ロスを防止できる。なお、報知された内容を確認した作業者は、実装装置11が求めた梱包ピッチに変更する処理を行うものとしてもよい。あるいは、CPU26がフィーダ16に梱包ピッチを送信して更新させるものとしてもよい。
【0026】
そして、実装装置11は、求めた梱包ピッチの送り量で梱包部材30を送り出させ、実装条件情報に含まれる部品Pの配置順に従い、実装ヘッド21に梱包部材30から部品Pを採取させる実装処理を実行する。
【0027】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の実装ヘッド21が本開示の実装ヘッドに相当し、装着部15が装着部に相当し、フィーダ16が供給部に相当し、マークカメラ23が撮像部に相当し、CPU26が制御部に相当し、パーツカメラ17及び制御装置25が認識部に相当し、操作パネル28が報知部に相当し、制御装置25が検査装置に相当する。なお、本実施形態では、実装装置11の動作を説明することにより本開示の検出装置や検出方法の一例も明らかにしている。
【0028】
以上説明した本実施形態の実装装置11では、部品Pを採取する前の梱包部材30を撮像した採取前画像50と、部品Pを採取したあとの梱包部材30を撮像した採取後画像51とに基づいて、部品Pを梱包した梱包部材30の基準パターンを取得し、この基準パターンに基づいて部品Pの梱包ピッチを求める。この実装装置11では、採取前画像50と採取後画像51とを用いて部品Pの領域を検出することが可能であり、部品Pの梱包位置をより確実に把握することができるため、部品Pの梱包ピッチをより確実に求めることができる。また、制御装置25は、採取前画像50と採取後画像51とから基準パターンを取得したのち、梱包部材30を撮像した画像に含まれる基準パターンに適合する複数の領域の間隔から梱包ピッチを求める。この実装装置11では、例えば、1つの撮像画像に部品Pの梱包位置が複数含まれているときに、その撮像画像を用いて部品Pの梱包ピッチをより確実に求めることができる。
【0029】
また、制御装置25は、基準パターンを取得後に、梱包部材30を規格ピッチ分送り出させ梱包部材30を撮像させ、この撮像画像に基準パターンが含まれるかを判定する処理を繰り返し、基準パターンに適合する領域が検出されると、この検出時までの送り量から梱包ピッチを求める。この実装装置11では、例えば、1つの撮像画像に1つの部品の梱包位置が含まれているときなどに、規格ピッチの間隔で梱包部材30を送り出すことにより、次の梱包位置を検出することができる。この実装装置11では、梱包部材30を送り出して撮像した1以上の撮像画像を用いて部品Pの梱包ピッチをより確実に求めることができる。また、制御装置25は、採取前画像50の複数列の輝度を積算すると共に採取後画像51の複数列の輝度を積算して基準パターンを取得し、撮像画像の複数列の輝度を積算してこの撮像画像に基準パターンが含まれるかを判定する。梱包部材30や部品P、部品Pの梱包位置などは、同一系統色(例えば、黒や灰色)であることが多く、判別しにくいことがあるが、この実装装置11では、例えば多重露光などの方法を使って、複数列の輝度を積算することにより、それらの差をより明確にすることが可能であるため、部品の梱包ピッチを更に確実に求めることができる。
【0030】
また、制御装置25は、採取前画像50と採取後画像51とから取得した基準パターンに基づいて梱包ピッチを求める第1処理と、採取後画像51を用いずに採取前画像50から取得した基準パターンに基づいて梱包ピッチを求める第2処理とのいずれかを実行する。この実装装置11では、より確実に梱包ピッチを求める第1処理と、処理を簡略化した第2処理とのうちいずれかを実行することができる。更に、実装装置11では、実装ヘッド21が採取した部品Pをパーツカメラ17で確認するため、更に確実に部品の梱包ピッチを求めることができる。更にまた、実装装置11では、求めた梱包ピッチを作業者へ操作パネル28を介して報知することにより、正確な梱包ピッチで実装処理を行うことができる。そしてまた、制御装置25は、梱包ピッチを求めたのち、この梱包ピッチの送り量で梱包部材30をフィーダ16に送り出させ、実装ヘッド21に梱包部材30から部品Pを採取させる。この実装装置11では、部品Pの梱包ピッチをより確実に求めることにより、より確実な実装処理を実行することができる。
【0031】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0032】
例えば、上述した実施形態では、第2処理を選択可能に構成したが、特にこれに限定されず、第1処理のみとしてもよい。この実装装置においても、部品Pの梱包ピッチをより確実に求めることができる。また、上述した実施形態では、梱包部材固定検出と梱包部材送出検出とを切り替えて実行するものとしたが、いずれか一方のみ行うものとしてもよい。この実装装置では、採用した態様の上記効果を得ることができる。
【0033】
上述した実施形態では、複数列の輝度を積算して基準パターンを取得するものとしたが、特にこれに限定されず、複数列の輝度の積算を行わないものとしてもよい。部品Pと梱包部材30との色調が異なる場合は、部品Pの領域を判定できるため、部品Pの梱包ピッチをより確実に求めることができる。
【0034】
上述した実施形態では、パーツカメラ17により部品Pの採取を認識するものとしたが、部品Pが梱包部材30から採取されたことを検出可能であれば、特にこれに限定されず、例えば、実装ヘッド21の側方から画像を撮像する撮像部により部品Pの採取を認識するものとしてもよい。さらに、実装ヘッド21の側方から画像を撮像する撮像部が実装ヘッド21自身に設けられている場合は、部品Pが実装ヘッド21に採取されているか否かの認識のために、実装ヘッド21が部品供給部14から、パーツカメラ17や、実装ヘッド21外部に設けられたその他の撮像部へ移動しなくてよいため、部品Pの採取の認識を迅速に行なうことができる。あるいは、実装装置11は、部品Pの採取認識を省略してもよい。例えば、採取前画像50と採取後画像51との画像に差があるときには、部品Pの採取を認識するものとしてもよい。
【0035】
上述した実施形態では、求めた梱包ピッチを操作パネル28で作業者に報知するものとしたが、これを省略してもよい。また、実装装置11は、フィーダ16の梱包ピッチを正しい値に自動更新するものとしてもよい。この実装装置11では、更に確実に、実装処理を実行することができる。
【0036】
上述した実施形態では、本開示を実装装置11として説明したが、実装装置11の制御方法や、この制御方法を実現するプログラムとしてもよい。あるいは、本開示を制御装置25からなる検出装置としてもよいし、検出方法やそのプログラムとしてもよい。この検出装置は、例えば、ホストPC40が備えるものとしてもよいし、梱包部材30の検査専用装置としてもよい。
【0037】
ここで、本開示の実装装置において、前記制御部は、前記採取前画像と前記採取後画像とから前記基準パターンを取得したのち、前記梱包部材を撮像した画像に含まれる該基準パターンに適合する複数の領域の間隔から前記梱包ピッチを求めるものとしてもよい。この実装装置では、例えば、1つの撮像画像に部品の梱包位置が複数含まれているときに、その撮像画像を用いて部品の梱包ピッチをより確実に求めることができる。
【0038】
あるいは、本開示の実装装置において、前記制御部は、前記基準パターンを取得後に、前記梱包部材を規格ピッチ分送り出させ前記梱包部材を撮像させ該撮像画像に基準パターンが含まれるかを判定する処理を繰り返し、前記基準パターンに適合する領域が検出されると、該検出時までの送り量から前記梱包ピッチを求めるものとしてもよい。この実装装置では、例えば、1つの撮像画像に1つの部品の梱包位置が含まれているときなどに、規格ピッチの間隔で梱包部材を送り出すことにより次の梱包位置を検出することができる。このため、この実装装置では、梱包部材を送り出して撮像した1以上の撮像画像を用いて部品の梱包ピッチをより確実に求めることができる。ここで、「規格ピッチ」とは、実装装置で利用する種々の梱包部材の梱包間隔のうち最も短いピッチとしてもよい。
【0039】
本開示の実装装置において、前記制御部は、前記採取前画像の複数列の輝度を積算すると共に前記採取後画像の複数列の輝度を積算して前記基準パターンを取得し、撮像画像の複数列の輝度を積算して該撮像画像に前記基準パターンが含まれるかを判定するものとしてもよい。梱包部材や部品、部品の梱包位置などは、同一系統色(例えば、黒や灰色)であることが多く、判別しにくいことがあるが、この実装装置では、複数列の輝度を積算することによりそれらの差をより明確にすることが可能であるため、部品の梱包ピッチを更に確実に求めることができる。
【0040】
本開示の実装装置において、前記制御部は、前記採取前画像と前記採取後画像とから取得した基準パターンに基づいて前記梱包ピッチを求める第1処理と、前記採取後画像を用いずに前記採取前画像から取得した基準パターンに基づいて前記梱包ピッチを求める第2処理とのいずれかを実行するものとしてもよい。この実装装置では、より確実に梱包ピッチを求める第1処理と、処理を簡略化した第2処理とのうちいずれかを実行することができる。
【0041】
本開示の実装装置は、前記実装ヘッドが採取した部品を認識する認識部、を備え、前記制御部は、前記認識部により部品の採取が確認されたあとの撮像画像を前記採取後画像として前記基準パターンを取得するものとしてもよい。この実装装置では、実装ヘッドが採取した部品を確認するため、更に確実に部品の梱包ピッチを求めることができる。
【0042】
本開示の実装装置は、情報を作業者へ報知する報知部、を備え、前記制御部は、求めた前記梱包ピッチを前記報知部に前記作業者へ報知させるものとしてもよい。この実装装置では、求めた梱包ピッチを作業者へ報知することにより、正確な梱包ピッチで実装処理を行うことができる。
【0043】
本開示の実装装置において、前記制御部は、前記梱包ピッチを求めたのち、該梱包ピッチの送り量で前記梱包部材を前記供給部に送り出させ、前記実装ヘッドに前記梱包部材から前記部品を採取させるものとしてもよい。この実装装置では、部品の梱包ピッチをより確実に求めることにより、より確実な実装処理を実行することができる。
【0044】
本明細書で開示する検出装置は、
部品を所定間隔で梱包した梱包部材を送り出して部品を供給する供給部を装着する装着部と、前記部品を前記梱包部材から採取する実装ヘッドと、前記梱包部材を撮像する撮像部とを備えた実装装置に用いられる検出装置であって、
前記部品を採取する前の前記梱包部材を撮像した採取前画像と、前記部品を採取したあとの前記梱包部材を撮像した採取後画像とに基づいて前記部品を梱包した梱包部材の基準パターンを取得し、該基準パターンに基づいて前記部品の梱包ピッチを求める制御部、
を備えたものである。
【0045】
この検出装置は、上述した実装装置と同様に、採取前画像と採取後画像とを用いて部品の領域を検出することが可能であるため、部品の梱包ピッチをより確実に求めることができる。なお、この検出方法において、上述したいずれかの実装装置で実行する処理を追加してもよいし、上述したいずれか実装装置の構成を採用してもよい。
【0046】
本明細書で開示する検出方法は、
部品を所定間隔で梱包した梱包部材を送り出して部品を供給する供給部を装着する装着部と、前記部品を前記梱包部材から採取する実装ヘッドと、前記梱包部材を撮像する撮像部とを備えた実装装置に用いられる検出方法であって、
(a)前記部品を採取する前の前記梱包部材を撮像した採取前画像と、前記部品を採取したあとの前記梱包部材を撮像した採取後画像とに基づいて前記部品を梱包した梱包部材の基準パターンを取得するステップと、
(b)取得した前記基準パターンに基づいて前記部品の梱包ピッチを求めるステップと、
を含むものである。
【0047】
この検出方法では、上述した実装装置と同様に、採取前画像と採取後画像とを用いて部品の領域を検出することが可能であるため、部品の梱包ピッチをより確実に求めることができる。なお、この検出方法において、上述したいずれかの実装装置の処理を実行するステップ処理を追加してもよいし、上述したいずれか実装装置の構成を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本開示の実装装置、検出装置及び検出方法は、電子部品の実装分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 実装システム、11 実装装置、12 基板処理部、13 実装部、14 部品供給部、15 装着部、16 フィーダ、17 パーツカメラ、20 ヘッド移動部、21 実装ヘッド、22 吸着ノズル、23 マークカメラ、25 制御装置、26 CPU、27 記憶部、28 操作パネル、30 梱包部材、31 送り孔、32 収容部、40 ホストPC、50 採取前画像、51 採取後画像、54 基準パターン、P 部品、S 基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6