(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】マップの生成方法及びそれを用いた画像ベースの測位システム
(51)【国際特許分類】
G06T 17/05 20110101AFI20231012BHJP
G01C 11/02 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
G06T17/05
G01C11/02
(21)【出願番号】P 2021178859
(22)【出願日】2021-11-01
【審査請求日】2021-11-01
(31)【優先権主張番号】10-2020-0145496
(32)【優先日】2020-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】319012978
【氏名又は名称】ネイバーラボス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】キム ドクファ
(72)【発明者】
【氏名】イ ドンファン
(72)【発明者】
【氏名】キム ウヨン
【審査官】村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-144710(JP,A)
【文献】特開2012-137933(JP,A)
【文献】特開2017-156162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00 - 7/90
G06T 17/05
G01C 11/00 - 11/36
G09B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空中で室外空間を撮影した画像に基づく3次元モデルデータを用いて、仮想カメラのポーズを特定するステップと、
前記仮想カメラのポーズ及び前記3次元モデルデータを用いて、前記仮想カメラで見る前記室外空間の画像をレンダリングするステップと、
前記レンダリングされた画像及び前記仮想カメラのポーズを用いて、特徴点マップを生成するステップとを含むことを特徴とする画像ベースの測位用マップの生成方法。
【請求項2】
前記室外空間の画像をレンダリングするステップにおいて、
前記仮想カメラのポーズ及び前記3次元モデルデータを用いて、前記室外空間の画像と共に、前記画像に対応するデプスマップをレンダリングすることを特徴とする請求項1に記載の画像ベースの測位用マップの生成方法。
【請求項3】
前記特徴点マップを生成するステップにおいて、
前記レンダリングされた画像を用いて、前記室外空間に位置するオブジェクトの特徴点を抽出し、前記レンダリングされたデプスマップを用いて、前記特徴点の3次元座標を抽出することを特徴とする請求項2に記載の画像ベースの測位用マップの生成方法。
【請求項4】
前記特徴点マップは、前記特徴点、前記3次元座標及び前記仮想カメラのポーズを備えることを特徴とする請求項3に記載の画像ベースの測位用マップの生成方法。
【請求項5】
前記室外空間の画像をレンダリングするステップにおいて、
必要なオブジェクトと不要なオブジェクトを区分し、前記室外空間の画像は前記不要なオブジェクトを排除してレンダリングされることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像ベースの測位用マップの生成方法。
【請求項6】
前記不要なオブジェクトには、木、道、人及び車両の少なくとも1つが含まれることを特徴とする請求項5に記載の画像ベースの測位用マップの生成方法。
【請求項7】
前記室外空間の画像は、離隔した建物間に道路がない画像を備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の画像ベースの測位用マップの生成方法。
【請求項8】
前記室外空間の2次元地図データを用いて、道路周辺に位置する歩道に沿って格子座標を生成するステップと、
空中で前記室外空間を撮影した画像に基づく前記3次元モデルデータから前記格子座標に対応する垂直座標を抽出するステップとをさらに含み、
前記仮想カメラのポーズは、前記格子座標及び前記垂直座標により定義される3次元座標に基づいて設定されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像ベースの測位用マップの生成方法。
【請求項9】
前記格子座標を生成するステップは、
前記2次元地図データを用いて、前記歩道上のノードの経緯度座標を検出するステップと、
前記経緯度座標を前記格子座標に変換するステップとを含むことを特徴とする請求項8に記載の画像ベースの測位用マップの生成方法。
【請求項10】
前記室外空間の2次元地図データは、前記歩道の平面座標を備えることを特徴とする請求項8又は9に記載の画像ベースの測位用マップの生成方法。
【請求項11】
前記3次元モデルデータは、前記室外空間の地形部分を示す数値標高モデルを備え、
前記垂直座標は、前記数値標高モデルから抽出されることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の画像ベースの測位用マップの生成方法。
【請求項12】
前記空中で前記室外空間を撮影した画像は、移動しながら撮影した複数の写真画像を備え、
前記3次元モデルデータは、前記複数の写真画像間の視差を用いて生成されることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像ベースの測位用マップの生成方法。
【請求項13】
画像ベースの測位システムにおいて、
特徴点マップを保存するデータベースと、
モバイル機器又は自律走行機器で実行され、前記特徴点マップ及び前記モバイル機器又は前記自律走行機器で撮影した画像を用いて、画像ベースの測位を行う駆動部とを備え、
前記特徴点マップは、
空中で室外空間を撮影した画像に基づく3次元モデルデータを用いて、
前記測位システムが仮想カメラのポーズを特定し、
前記仮想カメラのポーズ及び前記3次元モデルデータを用いて、
前記測位システムが前記仮想カメラで見る前記室外空間の画像をレンダリングし、
前記レンダリングされた画像及び前記仮想カメラのポーズを用いて、
前記測位システムが前記特徴点マップを生成するプロセスにより構築される
ことを特徴とする画像ベースの測位システム。
【請求項14】
電子機器で1つ以上のプロセスにより実行され、コンピュータ可読媒体に格納可能なプログラムであって、
前記プログラムは、
空中で室外空間を撮影した画像に基づく3次元モデルデータを用いて、仮想カメラのポーズを特定するステップと、前記仮想カメラのポーズ及び前記3次元モデルデータを用いて、前記仮想カメラで見る前記室外空間の画像をレンダリングするステップと、前記レンダリングされた画像及び前記仮想カメラのポーズを用いて、特徴点マップを生成するステップとを実行させるコマンドを含むことを特徴とするコンピュータ可読媒体に格納可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像ベースの測位に活用できるマップの生成方法及びそれを用いた画像ベースの測位システムに関する。
【背景技術】
【0002】
測位技術は、GPSベース、慣性センサベース、画像ベース、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)、VLC(Visible Light Communication)などの様々な方式のシステムが互いに密接な関係を有して発展してきている。
【0003】
このような測位技術のうち、画像ベースの測位(Visual Localization)は、撮影した写真を用いて位置を検出する技術であり、GPSと比較すると、誤差が少なく、ユーザが見る方向までも正確に測定できるという利点がある。このような画像ベースの測位のためには、撮影した写真と比較して位置を特定するためのマップを構築しなければならない。
【0004】
一方、近年、オンライン地図作成技術が非常に高度化し、多くのIT企業が室外空間の地図情報とそれを用いたサービスを提供している。一例として、飛行機やドローンなどが空中で撮影した航空写真を用いて3次元地図を生成する方法が活発に開発されている。
【0005】
例えば、特許文献1(2020年5月27日公開)は、3次元モデリング及びオルソ画像を生成するための航空撮影装置及び方法に関し、特許文献2(2020年5月19日登録)は、航空写真を用いて3次元地図を生成する装置及び方法に関する。
【0006】
このような航空写真ベースの3次元モデルデータは画像情報を有するので、画像ベースの測位用マップを構築するためのデータとして活用することができる。よって、画像ベースの測位用マップを生成するために、航空写真ベースの3次元モデルデータを用いる方法が考慮される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国公開特許第10-2020-0058079号公報
【文献】韓国登録特許第10-2115004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、航空写真ベースの3次元モデルデータを活用して画像ベースの測位用マップを生成する方法及びシステムを提供するものである。
【0009】
より具体的には、本発明は、3次元モデルデータを用いて道路や歩道で画像ベースの測位に活用できる3次元特徴点マップを生成する方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、特徴点マップを活用して1つの画像だけで3次元位置及びポーズを推定する画像ベースの測位を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明によるマップの生成方法及びそれを用いた画像ベースの測位システムにおいては、航空写真ベースの3次元モデルデータを仮想カメラの視点で画像にレンダリング(rendering)し、そのレンダリングされた画像で画像ベースの測位用マップを構築する。例えば、2次元地図データから平面座標を取得して3次元モデルデータから垂直座標を取得することにより3次元座標を定義し、前記3次元座標においてカメラのポーズを用いて室外空間の画像をレンダリングするプロセスを用いる。
【0012】
具体的には、画像ベースの測位用マップの生成方法は、空中で室外空間を撮影した画像に基づく3次元モデルデータを用いて、仮想カメラのポーズを特定するステップと、前記仮想カメラのポーズ及び前記3次元モデルデータを用いて、前記仮想カメラで見る前記室外空間の画像をレンダリングするステップと、前記レンダリングされた画像及び前記仮想カメラのポーズを用いて、特徴点マップを生成するステップとを含む。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記室外空間の画像をレンダリングするステップにおいては、前記仮想カメラのポーズ及び前記3次元モデルデータを用いて、前記室外空間の画像と共に、前記画像に対応するデプスマップ(depthmap)をレンダリングするようにしてもよい。
【0014】
前記特徴点マップを生成するステップにおいては、前記レンダリングされた画像を用いて、前記室外空間に位置するオブジェクトの特徴点を抽出し、前記レンダリングされたデプスマップを用いて、前記特徴点の3次元座標を抽出するようにしてもよい。
【0015】
前記特徴点マップは、前記特徴点、前記3次元座標及び前記仮想カメラのポーズを備えるようにしてもよい。
【0016】
本発明の他の実施形態において、前記室外空間の画像をレンダリングするステップにおいては、必要なオブジェクトと不要なオブジェクトを区分し、前記室外空間の画像は前記不要なオブジェクトを排除してレンダリングされるようにしてもよい。
【0017】
前記不要なオブジェクトには、木、道、人及び車両の少なくとも1つが含まれる。前記室外空間の画像は、離隔した建物間に道路がない画像を備えるようにしてもよい。
【0018】
本発明のさらに他の実施形態において、前記画像ベースの測位用マップの生成方法は、前記室外空間の2次元地図データを用いて、道路周辺に位置する歩道に沿って格子座標を生成するステップと、空中で前記室外空間を撮影した画像に基づく3次元モデルデータから前記格子座標に対応する垂直座標を抽出するステップとをさらに含み、前記仮想カメラのポーズは、前記格子座標及び前記垂直座標により定義される3次元座標に基づいて設定されるようにしてもよい。
【0019】
前記格子座標を生成するステップは、前記2次元地図データを用いて、前記歩道上のノードの経緯度座標を検出するステップと、前記経緯度座標を前記格子座標に変換するステップとを含む。前記室外空間の2次元地図データは、前記歩道の平面座標を備えるようにしてもよい。
【0020】
本発明のさらに他の実施形態において、前記3次元モデルデータは、前記室外空間の地形(bare earth)部分を示す数値標高モデル(Digital Elevation Model)を備え、前記垂直座標は、前記数値標高モデルから抽出される。
【0021】
前記空中で前記室外空間を撮影した画像は、移動しながら撮影した複数の写真画像を備え、前記3次元モデルデータは、前記複数の写真画像間の視差(disparity)を用いて生成されるようにしてもよい。
【0022】
また、本発明は、画像ベースの測位システムにおいて、特徴点マップを保存するデータベースと、モバイル機器又は自律走行機器で実行され、前記特徴点マップ及び前記モバイル機器又は前記自律走行機器で撮影した画像を用いて、画像ベースの測位を行う駆動部とを備え、前記特徴点マップは、3次元座標及び3次元モデルデータを用いて生成され、前記3次元モデルデータは、空中で室外空間を撮影した画像に基づいて生成され、前記3次元座標は、前記3次元モデルデータを用いて生成されることを特徴とする画像ベースの測位システムを開示する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によるマップの生成方法及びそれを用いた画像ベースの測位システムは、航空画像ベースの3次元モデルデータを用いてマップを生成するので、航空、海洋、道路、歩道などでクエリ画像を用いた画像ベースの測位が可能になる。
【0024】
また、3次元モデルデータを用いるので、所望の視点及び視野でレンダリングされた画像を生成することができ、ひいては木や道路などのように画像ベースの測位を妨げる要素をマッピングステップで排除することができるという利点がある。さらに、3次元モデルデータを用いて、センサノイズのないデプスマップの生成を実現し、ユーザが所望する量のデータの生成が可能になる。
【0025】
さらに、本発明は、既に構築されたデータである3次元モデルデータを用いてマップを生成するので、室外環境に対する事前スキャンプロセスのないマップの生成を実現する。よって、時間及びコストの効率性が向上する。
【0026】
さらに、本発明は、3次元モデルデータを活用して3次元地図を再建し、再建した3次元地図を用いて測位を行うので、1つの画像だけで3次元位置及びポーズを推定できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明による画像ベースの測位を行う動作を説明するための概念図である。
【
図2】
図1の画像ベースの測位を実現するシステムの一例を示す図である。
【
図3a】本発明による画像ベースの測位用マップの生成方法を示すフローチャートである。
【
図3b】
図3aのフローチャートの一実施形態を示す詳細フローチャートである。
【
図4】
図3bの格子座標を生成する方法を説明するための概念図である。
【
図5a】3次元モデルデータの一例を示す図である。
【
図6】レンダリングを行うカメラポーズを示す概念図である。
【
図7】
図3bのプロセスにより構築されたデータセットを示す概念図である。
【
図8】
図3bのプロセスによりレンダリングされた画像の一例を示す概念図である。
【
図9】
図3bにおける特徴点と3次元座標を抽出する方法を示す概念図である。
【
図10】
図9のデータを用いて画像ベースの測位を行う一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して本明細書に開示される実施形態について詳細に説明するが、図面番号に関係なく同一又は類似の構成要素には同一又は類似の符号を付し、その説明は省略する。以下の説明で用いる構成要素の接尾辞である「モジュール」及び「部」は、明細書の作成を容易にするために付与又は混用されるものであり、それ自体が有意性や有用性を有するものではない。また、本明細書に開示される実施形態について説明するにあたって、関連する公知技術についての具体的な説明が本明細書に開示される実施形態の要旨を不明にする恐れがあると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。なお、添付図面は本明細書に開示される実施形態を容易に理解できるようにするためのものにすぎず、添付図面により本明細書に開示される技術的思想が限定されるものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物又は代替物が本発明に含まれるものと理解されるべきである。
【0029】
第1、第2などのように序数を含む用語は様々な構成要素を説明するために用いられるが、上記構成要素は上記用語により限定されるものではない。上記用語は1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的でのみ用いられる。
【0030】
ある構成要素が他の構成要素に「連結」又は「接続」されていると言及された場合は、他の構成要素に直接連結又は接続されていてもよく、中間にさらに他の構成要素が存在してもよいものと解すべきである。それに対して、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結」又は「直接接続」されていると言及された場合は、中間にさらに他の構成要素が存在しないものと解すべきである。
【0031】
単数の表現には、特に断らない限り複数の表現が含まれる。
【0032】
本明細書において、「含む」や「有する」などの用語は、明細書に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はそれらの組み合わせが存在することを指定しようとするもので、1つ又はそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はそれらの組み合わせの存在や付加可能性を予め排除するものではないと理解すべきである。
【0033】
本発明は、マップの生成方法及びそれを用いた画像ベースの測位システムに関し、具体的には、航空画像ベースの3次元モデルデータを用いて航空、海洋、道路、歩道などで画像ベースの測位を行うシステムを提供するものである。
【0034】
本発明において、航空画像は、航空写真、航空ビデオ画像、航空イメージなどを含む意味で用いられる。これらのうち、航空写真(Aerial Photo)とは、航空機、飛行船、気球、ドローンなどに搭載されたカメラで撮影した写真をいい、地形図の作成及び判読による環境及び資源解析、形状解析などに主に用いられる。
【0035】
この場合、前記航空写真の多視点画像を処理することにより、撮影した地域を3次元モデルデータとして構築する。前記3次元モデルデータは、3次元レンダリング画像、オルソ画像(Orthophotograph)、数値表層モデル(DSM:Digital Surface Model)、数値標高モデル(DEM:Digital Elevation Model)などの情報を含む。
【0036】
レンダリング又は画像合成(image synthesis)とは、コンピュータプログラムを用いてモデル又はそれらを集めたシーンであるシーンファイル(scene file)から画像を生成する過程をいう。3次元レンダリングとは、3次元コンピュータグラフィックスで作成したモデルに色と質感を与えて撮影機のアングルで構図をとって光で陰影処理をすることにより、最終結果の画像を生成する過程を意味する。ここで、最終結果の画像は、前記3次元レンダリング画像であり得る。
【0037】
オルソ画像とは、写真撮影当時のカメラ姿勢及び地形起伏により生じた対象体の変位を除去した画像をいい、地表面の高低により発生する写真の歪みを補正して同一縮尺の地図のようにした画像であり得る。
【0038】
数値表層モデルとは、地表面上の自然的形状である地貌と人工的形状である地物を両方とも含むモデルをいい、数値標高モデルとは、地表面の高度値を数値として保存して地形の形状を示すモデルをいう。
【0039】
本発明においては、前記3次元モデルデータを用いて、歩道などで画像ベースの測位のための特徴点マップを生成する。ただし、本発明で例示する3次元モデルデータは、1つのデータセットに限定されるものではない。例えば、3次元レンダリング画像と数値標高モデルとは、異なるデータセットからそれぞれ取得されるようにしてもよい。
【0040】
一方、前記歩道とは、車両などが通る道路に併設された歩行者道を意味する。前記歩道は、車道の両側に設置され、人と車両の両方該当地域を通行できるようにすると共に、それぞれの経路を区分する。前記歩道は、狭い意味で、車道の横に設置された舗装された道を特定する言葉として用いられるが、本発明においては、これに限定されるものではない。すなわち、前記歩道は、人が通る道を通称する意味で用いられる。
【0041】
前記航空、海洋、道路、歩道などでの画像ベースの測位とは、前記航空、海洋、道路、歩道などでGPSを用いるのではなく、周辺を撮影した写真を用いて自身の正確な位置を把握する測位を意味する。ここで、前記歩道での画像ベースの測位とは、徒歩で移動するユーザが周辺を撮影し、撮影した画像からユーザの位置を把握することを意味する。
【0042】
なお、本発明において、前記画像ベースの測位は、モバイル機器や自律走行機器で行うことができる。
【0043】
前記モバイル機器とは、手に持ったり身につけて持ち運べる移動端末機を意味し、前記自律走行機器とは、自ら移動可能に構成されるモバイル装置を意味する。
【0044】
例えば、前記移動端末機には、携帯電話、スマートフォン(smart phone)、ノートパソコン(laptop computer)、デジタル放送端末、PDA(Personal Digital Assistants)、PMP(Portable Multimedia Player)、ナビゲーション、スレートPC(slate PC)、タブレットPC(tablet PC)、ウルトラブック(ultrabook)、ウェアラブルデバイス(例えば、スマートウォッチ(smartwatch)、スマートグラス(smart glass)、HMD(Head Mounted Display))などが含まれる。また、前記自律走行機器には、自律走行車、ドローン、ロボットなどが含まれ、前記ロボットには、掃除ロボット、案内ロボット、配達ロボットなど、移動しながら位置ベースのサービスを提供するロボットなどがある。
【0045】
なお、本発明の実施形態においては、歩道で位置を取得するか、徒歩で移動しながら位置を取得する新たな方式の測位方法及びシステムについて、前記モバイル機器や前記自律走行機器の位置を基準に説明するが、本発明は、必ずしもこれに限定されるものではない。前記モバイル機器や前記自律走行機器は、ユーザの位置を測定する1つの手段であり、他の機器を本発明に適用することもできる。
【0046】
このように、本発明によるマップの生成方法及びそれを用いた画像ベースの測位システムは、ユーザに現在の位置情報を提供し、そのために、航空画像を用いて生成したマップを用いる。以下、まず、画像ベースの測位及びそれを実現するシステムについて、その後、その画像ベースの測位に用いられるマップを生成する方法について、図面を参照してより詳細に説明する。
【0047】
図1は、本発明による画像ベースの測位を行う動作を説明するための概念図であり、
図2は、
図1の画像ベースの測位を実現するシステムの一例を示す図である。
【0048】
図1を参照すると、室外空間に自律走行機器としてロボットRが位置する。ロボットRは、配達ロボットや案内ロボットなどのサービスロボットであり得る。ただし、ロボットRが走行する空間の種類には制限がなく、ロボットRは、必要に応じて室内空間及び室外空間の少なくとも一方を走行することができる。本例において、ロボットRは、与えられたサービス提供などのタスクを実行するために、人々が徒歩で移動する歩道11を走行するものとする。
【0049】
ロボットRを用いて様々なサービスを提供するためには、ロボットRが正確かつ迅速に自身の位置を確認することが非常に重要である。よって、ロボットRは、歩道11を走行しながら迅速に画像ベースの測位を行うことができる。
【0050】
このような画像ベースの測位の例として、ロボットRは、道路12を挟んで一側の歩道11で他側の歩道を見ながら画像を撮影し、撮影した画像を3次元マップと比較して自身の位置を検出する。この場合、歩道11で見た画像を取得して3次元マップを生成することには多くの努力と時間が必要である。本発明においては、既に構築されたデータである3次元モデルデータを用いて特徴点マップを生成し、それにより室外環境に対する事前スキャンプロセスのないマップの生成を実現する。
【0051】
前記特徴点マップは、3次元の特徴点に関するデータを有するマップであり、フィーチャマップ、ロードマップ又は3次元特徴点マップともいう。本例においては、道路や歩道などの道で画像ベースの測位に活用されるマップを例示する。ただし、道路や歩道は、画像ベースの測位を行う地点の例示にすぎず、本発明の特徴点マップは、空中での画像ベースの測位にも活用することができる。以下、説明の便宜上、歩道11での画像ベースの測位を例に本発明を説明する。
【0052】
また、歩道11での画像ベースの測位は、
図2に示す画像ベースの測位システム100により実現することができる。
【0053】
画像ベースの測位システム100は、自律走行機器110及びコントロールサーバー120を備えてもよい。ただし、前述したように、本実施形態においては、自律走行機器110としてロボットRを例示するが、モバイル機器で代替してもよい。
【0054】
自律走行機器110は、無線通信部111、駆動部112及び制御部113の少なくとも1つを備える。
【0055】
無線通信部111は、自律走行機器110とコントロールサーバー120間、自律走行機器110と他の自律走行機器間、自律走行機器110とモバイル機器間、自律走行機器110と通信ネットワーク間の無線通信を行う。このような無線通信を行うために、無線通信部111は、無線インターネットモジュール、近距離通信モジュール、位置情報モジュールなどを備える。
【0056】
駆動部112は、制御部113の制御下で、自律走行機器110やモバイル機器で実行されるようにしてもよい。駆動部112は、特徴点マップ及び自律走行機器110やモバイル機器で撮影した画像を用いて画像ベースの測位を行う。このように画像ベースの測位を行うために、駆動部112は、イメージセンサなどを備えてもよい。
【0057】
前記特徴点マップは、道路12の周辺に位置する歩道視点の画像ベースの測位に活用できるマップであり、画像ベースの測位用に作成されたマップであってもよい。
【0058】
一方、制御部113は、無線通信を制御し、画像を撮影し、駆動部112を制御する動作と共に、通常、自律走行機器110やモバイル機器の全般的な動作を制御する。
【0059】
この場合、前記特徴点マップは、コントロールサーバー120から自律走行機器110に提供されるか、自律走行機器110の要求に応じてコントロールサーバー120で測位に用いられる。コントロールサーバー120は、無線通信部121、データベース122、演算部123及び制御部124の少なくとも1つを備える。
【0060】
無線通信部121は、制御部124の制御下で、自律走行機器110と無線通信を行う。また、制御部124は、演算部123及びデータベース122と連携し、特徴点マップを生成、保存及び更新する一連のプロセスを制御する。
【0061】
データベース122には、前記特徴点マップが保存され、前記特徴点マップには、座標情報、ポイントクラウド情報、画像情報、ポーズ情報などが備えられる。
【0062】
演算部123は、前記特徴点マップを最初に生成するか、生成した特徴点マップを更新する機能を実行する。他の例として、演算部123が自律走行機器110の駆動部112の機能を代わりに行うようにしてもよい。例えば、自律走行機器110で撮影した画像を用いて、画像ベースの測位のためのデータ処理や演算などを行って自律走行機器110の位置を算出し、その後算出した位置を自律走行機器110に提供するようにしてもよい。
【0063】
本発明において、前記特徴点マップは、航空画像をベースとして生成した3次元モデルデータを用いて特徴点を抽出し、レンダリング画像を生成することにより実現することができる。このように、本発明は、航空画像を活用して3次元モデリングを行って特徴点マップを生成し、特徴点マップを活用して測位を行うので、1つの画像だけで3次元位置及びポーズを推定できるという利点がある。
【0064】
以下、このような特徴点マップを生成する方法について、図面を参照してより詳細に説明する。
【0065】
図3aは、本発明による画像ベースの測位用マップの生成方法を示すフローチャートである。
【0066】
本発明による画像ベースの測位用マップの生成方法においては、まず、空中で室外空間を撮影した画像に基づく3次元モデルデータを用いて、仮想カメラのポーズを特定するステップが行われる。そして、室外空間の画像がレンダリングされ、特徴点マップが生成される。
【0067】
図3aに示すように、本発明によるマップの生成方法は、格子座標を生成するステップ(S110)、垂直座標を抽出するステップ(S120)、室外空間の画像をレンダリングするステップ(S130)、及び特徴点マップを生成するステップ(S140)を含んでもよい。
【0068】
格子座標を生成するステップ(S110)においては、室外空間の2次元地図データを用いて、道路周辺に位置する歩道に沿って格子座標を生成する。
【0069】
前記格子座標とは、縦横に所定の間隔を有する格子状の座標系を意味する。この場合、前記格子座標は、歩道の座標を含むようにしてもよい。
【0070】
次に、垂直座標を抽出するステップ(S120)においては、空中で前記室外空間を撮影した画像に基づく3次元モデルデータから前記格子座標に対応する垂直座標を抽出する。前記垂直座標は、地表面に垂直な方向の座標であり、前記格子座標に対応して抽出されるようにしてもよい。
【0071】
次に、室外空間の画像をレンダリングするステップ(S130)においては、前記格子座標及び前記垂直座標により定義される3次元座標に基づいて仮想カメラのポーズを特定し、前記仮想カメラのポーズ及び前記3次元モデルデータを用いて、前記仮想カメラで見る前記室外空間の画像をレンダリングする。
【0072】
前記仮想カメラのポーズは、前記室外空間内の任意の地点を撮影するカメラのポーズであり得る。よって、前記仮想カメラのポーズは、前記3次元モデルデータ内の任意の空間を基準に特定される。この場合、前記仮想カメラの位置は、前記3次元モデルデータ内のオブジェクト(建物など)と重ならない空間上に特定される。
【0073】
また、前記3次元座標を用いて歩道での座標値を定義してもよい。この場合、前記3次元座標により前記歩道での座標値が定義されるので、前記歩道でカメラポーズを特定することができる。さらに、前記特定されたカメラポーズ及び前記3次元モデルデータを用いると、前記歩道で見る前記室外空間の画像をレンダリングすることができる。このように、歩道を基準にして歩道上でカメラポーズを特定することにより、歩道上で画像ベースの測位を行う場合に用いられるマップの正確度が向上する。理想的には、カメラポーズに関係なくどのポーズでのクエリ画像が入っても正確な画像ベースの測位が可能であるが、演算誤差などを考慮すると、マップの生成のベースとなった画像のポーズと、測位用クエリ画像のポーズとが一致する場合に正確度が最も高くなる。よって、本発明においては、歩道の座標を得るために、歩道の座標値が含まれる3次元座標系を活用する。
【0074】
ここで、前記カメラポーズは、位置(position)を示す座標と、オリエンテーション(向き)(orientation)を示す姿勢とを含んでもよい。この場合、前記座標は、前記歩道の座標に対して所定の高さ、例えばロボットの高さや人の目の高さなどを加えた座標に特定されるようにしてもよい。また、前記姿勢は、任意に特定されるが、ロボットや人が実際にクエリ画像を送信する状況を仮定してそれに類似した姿勢に特定されるようにしてもよい。その例として、前記姿勢は、地面に水平な方向、建物を見る方向、徒歩の進行方向などを基準に特定されてもよい。
【0075】
次に、特徴点マップを生成するステップ(S140)においては、前記レンダリングされた画像及び前記仮想カメラのポーズを用いて、特徴点マップを生成する。
【0076】
前述したように、本発明による航空画像ベースの測位用マップの生成方法においては、2次元地図データ及び3次元モデルデータを用いて特徴点マップを生成する。ただし、本発明は、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、画像ベースの測位用マップの生成方法のステップの一部が省略されてもよい。その例として、前記3次元モデルデータに歩道に関する地表面座標データが含まれる場合は、前記格子座標を生成するステップ(S110)を省略して前記特徴点マップを生成するようにしてもよい。
【0077】
以下、画像ベースの測位用マップの生成方法の各ステップについて、例を挙げてより詳細に説明する。
【0078】
図3bは、
図3aのフローチャートの一実施形態を示す詳細フローチャートであり、
図4は、
図3bの格子座標を生成する方法を説明するための概念図であり、
図5a及び
図5bは、それぞれ、3次元モデルデータ及び数値標高モデルの一例を示す図であり、
図6は、レンダリングを行うカメラポーズを示す概念図であり、
図7は、
図3bのプロセスにより構築されたデータセットを示す概念図である。
【0079】
まず、
図3bに示すように、前記格子座標を生成するステップ(S110)は、2次元地図データから経緯度座標を検出する第1ステップ(S111)と、格子座標に変換する第2ステップ(S112)とを含んでもよい。
【0080】
まず、第1ステップ(S111)においては、2次元地図データを用いて、歩道上のノードの経緯度座標を検出する。
【0081】
前記2次元地図データは、ネイバー、グーグルなどのインターネット企業から提供される地図データであってもよい。他の例として、前記2次元地図データは、政府及び政府関係機関でオープンアプリケーションプログラムインターフェース(API)方式で公開されるデータであってもよい。
【0082】
この場合、
図4のように、2次元地図データ130は、歩道上の座標情報を備えてもよい。より具体的には、2次元地図データ130は、前記歩道の平面座標を備えてもよい。その例として、2次元地図データ130は、前記歩道に沿って予め設定された間隔で順次配置されるノードNを備え、ノードNの経緯度座標を有するデータであってもよい。
【0083】
前記経緯度座標は、本初子午線(Prime meridian)又はグリニッジ子午線面と赤道面を基準面とし、緯度(latitude)、経度(longitude)、高さ(height)情報を有する座標系であってもよい。より具体的には、前記経緯度座標は、緯度及び経度のGPS座標であってもよく、韓国は東経124~132度、北緯33~43度の間で度単位の座標値を有する。
【0084】
次に、第2ステップ(S112)においては、前記経緯度座標を前記格子座標に変換する。
図4に示すように、前記経緯度座標をUTM座標系(Universal Transverse Mercator Coordinate System)の座標に変換してもよい。前記UTM座標系は、2次元平面座標系であり、UTM(Universal Transverse Mercator)区域から構成されてもよい。前記UTM座標系は、位置を統一された体系をもって示すための格子座標体系を有するようにしてもよい。
【0085】
前記経緯度座標を前記UTM座標に変換する方法としては、例えばUTM投影変換を用いることができる。この場合、当該座標変換方法は、特定例に限定されるものではなく、本発明に適用できる様々な技法が考慮される。よって、本明細書においては、それについて特に制限はない。
【0086】
また、前述したように、本発明は、前記格子座標を生成するステップ(S110)で座標変換を必要としない場合も含む。例えば、歩道の格子座標を有する2次元地図データを用いる場合、座標変換が省略される。
【0087】
次に、空中で撮影した画像に基づく3次元モデルデータから前記格子座標に対応する垂直座標を抽出するステップ(S120)が行われる。この場合、当該垂直座標を抽出するステップは第3ステップになる。
【0088】
ここで、前記3次元モデルデータは、
図5aに示すように、ソウルなどの都市のモデリングデータであり得る。例えば、都市単位の大規模地域の航空写真を用いて都市規模の3次元モデルを構築することができる。
【0089】
前記航空写真は、前記空中で移動しながら撮影した複数の写真画像を備え、前記3次元モデルデータは、前記複数の写真画像間の視差を用いて生成されるようにしてもよい。前記視差を用いると、3次元の室外空間を撮影した2次元写真を再び3次元の現実世界に復元することができる。
【0090】
例えば、左右に移動しながら同一対象を撮影する場合、カメラに近くなるほど変化量が大きくなり、遠くなるほど変化量が小さくなる。ここで、変化量が視差であり、前記変化量の大きさを用いて複数の2次元写真を3次元に復元することができる。
【0091】
より具体的には、視差を用いて画像に投影された物体との距離を計算し、姿勢を推定した写真からマッチング点を用いて点単位で空間座標を算出する。この場合、異なる位置で同一地域を撮影した複数の画像から推定されたDense Matchingの結果をまとめて連続的な3次元デジタル表面(数値表層モデル(DSM))を生成する。前記Dense Matchingは、写真(マスター)の各ピクセル(x,y)に対して距離(デプス=視差)を変えて各デプス毎に隣接写真(スレーブ)との類似度を数値化してコストボリューム(Cost Volume)を構成するアルゴリズムであり得る。また、このようなアルゴリズムを用いるので、前記3次元モデルデータは、物体のデプス情報を備える。
【0092】
図5aの(a)は、3次元デジタル表面の高さに応じて異なる色(疑似カラー(Pseudo-color))をつけて表現したものであり、
図5aの(b)は、3次元デジタル表面を3次元モデルに完成して航空写真としてテクスチャまで処理した結果を示すものである。
【0093】
また、前記3次元モデルデータは、前記室外空間の地形(bare earth)部分を示す数値標高モデル(Digital Elevation Model)を備え、前記垂直座標は、前記数値標高モデルから抽出されるようにしてもよい。
図5bに示す前記数値標高モデルは、地表面の高度値を有し、それを用いて前記地表面に垂直な方向の座標を抽出する。この場合、前記垂直座標は、前記格子座標に含まれる歩道の座標に対応する地点の垂直方向の座標として抽出されるようにしてもよい。
【0094】
このように、前記格子座標及び前記垂直座標を抽出することにより、前記歩道に沿って3次元座標が定義される。前記3次元座標を用いて、前記室外空間の画像をレンダリングするステップ(S130)が行われるようにしてもよい。
【0095】
前記室外空間の画像をレンダリングするステップ(S130)は、第4ステップ(S131)と、第5ステップ(S132)とを含んでもよい。
【0096】
第4ステップ(S131)は、
図6に示すように、レンダリングを行う仮想カメラを設定するステップであってもよい。より具体的には、前記3次元座標を用いて、所望の視点でレンダリングを行う仮想カメラのポーズを生成するようにしてもよい。歩道で活用できる画像ベースの測位用マップを構築するために、前記所望の視点は、歩道視点であり得る。前記ポーズは、例えば、カメラフレームの位置(position)及びオリエンテーション(orientation)を含む。
【0097】
図6において、原点(O)の位置が仮想カメラの位置であり、ここで3次元モデルの特定の画像を見る方向が算出され、それにより前記仮想カメラのポーズが算出される。
【0098】
より具体的には、
図6の地上基準点(Pr)は、前記3次元座標にマッチングされ、前記地上基準点(Pr)を基準に画像(R)の姿勢が推定される。このような姿勢の推定のために、航空三角測量法、例えばバンドル調整法(bundle adjustment)などが用いられる。画像(R)の姿勢が推定されると、それを用いて原点(O)の位置と画像(R)を見る方向が算出される。
【0099】
一方、道路で車両が走行しながら撮影したストリートビュー画像(ロードビュー画像)などを用いると、道路のない部分で画像を取得することはできないが、本発明は、航空写真をベースとするので、どこでも所望の位置に前記仮想カメラを配置することができる。
【0100】
このように、仮想カメラのポーズが生成されると、第5ステップ(S132)において、画像とデプスマップをレンダリングする。
【0101】
例えば、仮想カメラのポーズが生成されると、前記3次元モデルデータを用いて、前記仮想カメラで見る前記室外空間の画像141をレンダリングするようにしてもよい。この場合、前記仮想カメラのポーズ及び前記3次元モデルデータを用いて、前記室外空間の画像141と共に、前記画像に対応するデプスマップ142をレンダリングする。
【0102】
ここで、デプスマップ142は、3次元シーン上でカメラから物体までの相対的な距離を示すマップであってもよい。
【0103】
前述したプロセスにおいて、
図7に示すように、レンダリングにより、画像141、デプスマップ142及びカメラポーズ143がデータセットとして生成される。
【0104】
次に、特徴点マップを生成するステップ(S140)が行われ、前記特徴点マップを生成するステップ(S140)は、歩道での画像ベースの測位のための特徴点マップのデータセットを構成するステップであってもよい。より具体的には、レンダリングされた画像141、レンダリングされたデプスマップ142及びレンダリング時のカメラポーズ143を用いて、画像ベースの測位用地図データセットを構築する。ただし、本発明は、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、レンダリングされた画像及びカメラポーズを用いて画像ベースの測位用地図データセットを構築するようにしてもよい。
【0105】
その例として、前記特徴点マップを生成するステップ(S140)は、第6ステップ(S141)と、第7ステップ(S142)とを含んでもよい。
【0106】
第6ステップ(S141)においては、前記レンダリングされた画像を用いて、前記室外空間に位置するオブジェクトの特徴点を抽出する。
【0107】
前記オブジェクトは、例えば建物151、152などであり、当該ステップにおいては、建物151、152などから特徴点161を抽出する。
【0108】
特徴点161は、画像において特徴となる地点であって、画像の重要な情報を含む地点である。このような地点として、特徴点161は、例えば建物の角などである。
【0109】
この場合、特徴点抽出技法により
図9のように、前記レンダリングされた画像141から特徴点161が抽出される。この場合、前記特徴点抽出技法は、特定例に限定されるものではなく、本発明に適用できる様々な技法が考慮される。よって、本明細書においては、それについて特に制限はない。
【0110】
ここで、前記レンダリングされた画像は、
図8のように、不要なオブジェクトを排除してレンダリングされた画像であってもよい。例えば、前記不要なオブジェクトには、木、道、人及び車両の少なくとも1つが含まれる。
【0111】
画像内に木、道路、人、車両領域から不要な特徴点が抽出されると、画像ベースの測位の性能及びマッピングの正確度が低下する。これを防止するために、木、道路、人、車両などのように動的に動くか季節によって変わるオブジェクトに対して、特徴点が抽出される対象を除去するようにしてもよい。
【0112】
より具体的には、画像をレンダリングする際に、建物151と建物152間で不要なオブジェクトを排除する。こうすることにより、
図8のように、前記室外空間の画像は、離隔した建物151、152間に道路がない画像を備えるようになる。よって、背景153に建物151、152のみ位置する画像がレンダリングされる。
【0113】
上記方法により、本発明は、一部の物体の形状、大きさ、位置などが変わっても容易に識別可能であり、カメラの視点が変わっても容易に検出可能な地点を特徴点として抽出することができる。
【0114】
この場合、前記室外空間の画像をレンダリングするステップは、必要なオブジェクトと不要なオブジェクトを区分し、前記室外空間の画像から前記不要なオブジェクトを排除してレンダリングするステップであってもよい。
【0115】
次に、第7ステップ(S142)においては、前記レンダリングされたデプスマップ142を用いて特徴点161の3次元座標を抽出する。より具体的には、前記抽出した特徴点161、前記仮想カメラのポーズ143、及び前記レンダリングされたデプスマップ142を用いることにより、前記抽出した特徴点161の3次元座標を抽出することができる。
【0116】
前述したプロセスにより、前記特徴点マップは、前記特徴点、前記3次元座標及び前記仮想カメラのポーズを備えるデータセットになる。
【0117】
画像ベースの測位のためのサーバが動作する前に、フィーチャ(対象物又はオブジェクト)、特徴点、及び特徴点の3次元座標を予め抽出して保存し、前記サーバの動作においては、抽出したフィーチャと特徴点の3次元座標のみを用いて測位演算を行う。こうすることにより、画像とデプスマップの読み込みに用いられる不要な演算を減少させることができる。
【0118】
前述した航空画像ベースの3次元モデルデータを用いて生成した特徴点マップを活用して、1つの画像だけで徒歩で移動するユーザの3次元位置及びポーズを推定することができる。例えば、ユーザは、モバイル機器を用いて自身の位置を確認したり、自身の位置をベースとするサービスの提供を受けることができる。
【0119】
図10は、
図9のデータを用いて画像ベースの測位を行う一例を示す概念図である。
【0120】
同図を参照すると、前記位置ベースのサービスの一例として、ユーザのモバイル機器で画像ベースの測位サービスを実現することができる。例えば、ユーザは、徒歩移動中に特定の地点で自身の位置を確認するために、スマートフォン191で前記画像ベースの測位サービスに関連するアプリケーションを実行し、周辺の街頭を撮影する。前記アプリケーションは、撮影した写真192の特徴点193と特徴点マップの特徴点194とを比較し、前記モバイル機器の3次元位置及びポーズを推定する。
【0121】
このように推定した3次元位置及びポーズを用いて、前記モバイル機器の正確な位置を推定することができる。この場合、前記モバイル機器では前記位置をベースとする様々なサービスを実行することができる。
【0122】
以上説明したように、本発明によるマップの生成方法及びそれを用いた画像ベースの測位システムは、3次元モデルデータを用いるので、所望の視点及び視野でレンダリングされた画像を生成することができ、ひいては木や道路などのように画像ベースの測位を妨げる要素をマッピングステップで排除することができるという利点がある。また、3次元モデルデータを用いて、センサノイズのないデプスマップの生成を実現し、ユーザが所望する量のデータの生成が可能になる。
【0123】
前述したマップの生成方法及びそれを用いた画像ベースの測位システムは、上記実施形態の構成や方法に限定されるものではなく、上記実施形態に様々な変形が行われるように、各実施形態の全部又は一部を選択的に組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0124】
11 歩道
12 道路
100 画像ベースの測位システム
110 自律走行機器
111 無線通信部
112 駆動部
113 制御部
120 コントロールサーバー
121 無線通信部
122 データベース
123 演算部
124 制御部
R ロボット