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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】ベローズ型アキュムレータ
(51)【国際特許分類】
   F15B 1/10 20060101AFI20231012BHJP
【FI】
F15B1/10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021514095
(86)(22)【出願日】2019-09-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 EP2019073942
(87)【国際公開番号】W WO2020053123
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-09-08
(31)【優先権主張番号】102018007280.1
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591204333
【氏名又は名称】ハイダック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】HYDAC TECHNOLOGY GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ヘルベルト バルテス
(72)【発明者】
【氏名】ペーター クロフト
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102015012253(DE,A1)
【文献】国際公開第2011/079852(WO,A1)
【文献】特開2005-163911(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第02563584(FR,A1)
【文献】特表2000-504810(JP,A)
【文献】実開平06-006701(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0180221(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 1/10- 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アキュムレータ筐体(2)を形成する少なくとも2つの筐体部分(4、6)から構成されているベローズ型アキュムレータであって、
前記アキュムレータ筐体(2)内部に移動可能に配置されると共に、2つの媒体スペース(8、22)を互いに分離しており、かつ、少なくとも1つの自由端部において、前記アキュムレータ筐体(2)内部の固定機構(24)に固定されている分離ベローズ(20)を有しており、前記固定機構(24)は、隣接して配置された前記筐体部分(4、6)と溶接されている、前記ベローズ型アキュムレータにおいて、
隣接して配置された前記筐体部分(4、6)は、チタン材料を備えており、前記固定機構(24)は、少なくとも2つの互いに連結された構成要素(26、30)から構成されており、少なくとも1つの前記構成要素(26)は、チタン材料を備えると共に、隣接して配置された前記筐体部分(4、6)と溶接されており、かつ、ステンレス鋼又はチタン材料から構成された他の前記構成要素(30)は、前記分離ベローズ(20)を前記固定機構(24)に固定するために使用されていることを特徴とする、ベローズ型アキュムレータ。
【請求項2】
前記分離ベローズ(20)及び前記固定機構(24)の他の前記構成要素(30)は、ステンレス鋼から構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のベローズ型アキュムレータ。
【請求項3】
2つの隣接する前記筐体部分(4、6)と前記固定機構(24)の1つの前記構成要素(30)はチタンから構成されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のベローズ型アキュムレータ。
【請求項4】
チタンから構成された1つの前記構成要素(26)とステンレス鋼から構成された他の前記構成要素(30)は、被覆によって互いに強固に連結されていることを特徴とする、請求項1から請求項3の何れか一項に記載のベローズ型アキュムレータ。
【請求項5】
前記固定機構は、閉リング(24)として形成されており、かつ、1つの前記構成要素(26)は、他の前記構成要素(30)を環状に包囲し、又は、環状かつ突出した突起を有する一方の端面(28)上において、前記分離ベローズ(20)が溶接されている端面から離れて面している他の前記構成要素に固定されていることを特徴とする、請求項1から請求項4の何れか一項に記載のベローズ型アキュムレータ。
【請求項6】
前記アキュムレータ筐体(2)の下部シェルと上部シェルとを形成する2つの隣接する前記筐体部分(4、6)の間の溶接継手(18)は、電子ビーム溶接法によって、前記固定機構(24)のチタン製の前記構成要素(26)と連結して得られることを特徴とする、請求項1から請求項5の何れか一項に記載のベローズ型アキュムレータ。
【請求項7】
前記分離ベローズ(20)の他方の自由端面は、前記分離ベローズ(20)と強固に溶接されたガイド部分(36)によって閉じられていることを特徴とする、請求項1から請求項6の何れか一項に記載のベローズ型アキュムレータ。
【請求項8】
前記ガイド部分(36)は、ガイド機構(40)と、シール機構(42)と、を有しており、かつ、前記シール機構(42)は、前記アキュムレータ筐体(2)内部の媒体ポート(12)が閉じているときに、前記分離ベローズ(20)の少なくとも端部位置において有効とされており、この位置とは異なる前記分離ベローズ(20)の他の作動位置において無効であることを特徴とする、請求項7に記載のベローズ型アキュムレータ。
【請求項9】
前記ガイド部分(36)は、前記媒体ポート(12)に面する端部において、ドーム部(44)を備えており、前記ドーム部(44)の外側の輪郭は、前記媒体ポート(12)の領域において前記アキュムレータ筐体(2)の下部シェル(10)の内側の輪郭に追従しており、一つの端部位置において、該内側の輪郭と少なくとも部分的に当接されて、支持されていることを特徴とする、請求項8に記載のベローズ型アキュムレータ。
【請求項10】
前記シール機構(42)は、前記ドーム部(44)と前記ガイド部分(36)の前記ガイド機構(40)との間に配置されており、前記ガイド機構(40)に対して直径方向に後退していることを特徴とする、請求項9に記載のベローズ型アキュムレータ。
【請求項11】
前記ガイド部分(36)は、チタンから形成されており、かつ、前記分離ベローズ(20)に面する端面上に、クラッディングによって強固に取り付けられると共に、ステンレス鋼から構成されており、前記分離ベローズ(20)との溶接継手が形成されている環状構成要素(56)を有することを特徴とする、請求項7から請求項10の何れか一項に記載のベローズ型アキュムレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アキュムレータ筐体を形成する少なくとも2つの筐体部分から構成されており、アキュムレータ筐体内部に移動可能に配置されると共に、2つの媒体スペースを互いに分離しており、かつ、少なくとも1つの自由端部においてアキュムレータ筐体内部の固定機構に固定されている分離ベローズを有するベローズ型アキュムレータであって、固定機構は、隣接して配置された筐体部分と溶接されているものに関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプのベローズ型アキュムレータは先行技術であり、例えば、特許文献1を参照されたい。ベローズ型アキュムレータは、好ましくは、圧力流体中において発生する圧力ピークを低減又は平滑化するために油圧システムにおいて有利に使用される。航空機への適用といった、いくつかの適用分野では、使用するベローズ型アキュムレータは、可能な限り軽量な構造重量と同時に圧力に対する高い耐圧性を維持する必要がある。公知のベローズ型アキュムレータは、これらの要件を十分に満たしていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許出願公開第102015012253号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の課題は、先行技術から出発して、構造重量と安全な運転挙動を保証する構造強度との間の特に好ましい関係を特徴とする、上述のタイプのベローズ型アキュムレータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、上記の課題は、請求項1の特徴をその全体において有するベローズ型アキュムレータによって解決される。
【0006】
請求項1の特徴部によれば、本発明の本質的特徴は、隣接して配置された筐体部分が、少なくとも部分的にチタン材料を有すること、固定機構が、少なくとも2つの互いに連結された構成要素から構成されており、少なくとも1つの構成要素が、少なくとも部分的にチタン材料を有すると共に、隣接して配置された筐体部分と溶接されていること、及び、別の金属材料から構成されている他の構成要素は、分離ベローズを固定機構に固定するために使用されていること、である。
【0007】
軽量で高強度な技術製品を製造する場合、専門家の間では、鋼などの他の金属材料の代わりにチタン材料を使用することが一般的な傾向である。この方法は、多くの用途において有利かつ実用的であるが、チタン材料と他の金属材料を溶接する必要がある場合には、実現不可能である。なぜなら、このような材料の組み合わせの溶接継手は、確実に実行できないためである。金属製ベローズに割り当てられた材料としてチタンを使用することは、ベローズの動的強度を極めて制限することとなるため、この問題は、チタン製の筐体部分を有するベローズ型アキュムレータを形成する場合にも生じる。このために、ベローズは、クロム-ニッケル-モリブデンステンレス鋼(AM350)といった、より適切な材料で作られなければならず、かつ、固定機構は、鋼材料で作られなければならないため、溶接継手に適さないチタン/鋼材の材料の組み合わせのために、全体がチタン製のベローズ型アキュムレータの製造は、今日まで不可能であった。
【0008】
請求項1に記載された、この問題の解決策は、互いに連結された構成要素から固定機構を構成するために提供するものであり、チタン材料で作られた構成要素のうちの1つは、チタン製の筐体部分に溶接されており、一方、別の金属材料から作られた他の構成要素は、問題なくベローズと溶接継手を形成する。アキュムレータ筐体が、チタンから構成されると共に、大部分を占めるため、本発明によるベローズ型アキュムレータは、高強度でありながら軽量とされており、用途に適したステンレス鋼から形成された金属ベローズを有して、運転挙動が良好であることを特徴とする。
【0009】
有利には、分離ベローズと固定機構の他の構成要素の両方が、ステンレス鋼から構成されている。ベローズの材料として、AM350の名称で入手できる、クロム-ニッケル-モリブデンステンレス鋼が、特に適している。固定機構に使用される材料は、有利には、優れた溶接性を備えたオーステナイト鋼である1.4435の材料とされてもよい。
【0010】
この場合、2つの隣接する筐体部分と固定機構の1つの構成要素は、チタンから構成されてもよい。これらの材料の組み合わせでは、筐体部分と固定機構の1つの構成要素との間の連結箇所における溶接継手、同様に、金属ベローズと固定機構の他の構成要素との間の連結を問題なく行うことができる。
【0011】
特に有利には、チタンから構成された1つの構成要素とステンレス鋼から構成された他の構成要素は、クラッディング(cladding)、好ましくは爆発圧着(explosive cladding)によって互いに強固に連結されるように配置されてもよい。技術的には、爆発溶接としても知られている公知の方法(http://smt-holland.com/)は、チタン及び鋼といった従来の溶接法では溶接できない材料を、互いに真空気密の方法で溶接することができる、常温圧接法とされている。爆発圧着の代わりに、他の適切なクラッディングが使用されてもよい。
【0012】
有利には、固定機構は、1つの構成要素が、他の構成要素を環状に包囲し、又は、環状かつ突出した突起を有する一方の端面上において、分離ベローズ(20)が溶接されている端面から離れて面している他の構成要素に固定されている、閉リングとして形成されている。
【0013】
アキュムレータ筐体の下部シェルと上部シェルを形成する2つの隣接する筐体部分の間の溶接継手は、有利には、電子ビーム溶接法を用いて固定機構のチタン製の構成要素と連結することで得られてもよい。
【0014】
好ましい例示的な実施形態において、分離ベローズの他の自由端面は、分離ベローズと強固に溶接されたガイド部分によって閉じられている。
【0015】
有利には、ガイド部分は、ガイド機構とシール機構とを有しており、シール機構は、アキュムレータ筐体内部の媒体ポートが閉じているときに、少なくとも分離ベローズの端部位置において有効とされており、この位置とは異なる分離ベローズの他の作動位置では無効とされている。このために、筐体部分の内側には、減少した内径のシール面に続く傾斜面が形成されてもよく、これを介して、シール機構は、端部位置に到達すると、シール面に乗り上げる。
【0016】
有利には、ガイド部分は、その媒体ポートに面する端部においてドーム部を備えてもよく、この外側の輪郭は、媒体ポートの領域において下部シェルの内側の輪郭に追従し、一方の端部位置において内側の輪郭と少なくとも部分的に当接されて、支持されている。従って、端部位置において、使われない残留体積は、下部シェル内部に実質的に残らない。
【0017】
シール機構は、ドーム部とガイド部分のガイド機構との間に配置されてもよく、かつ、シール機構の外径が、下方側筐体部分の内径が減少したシール面に適合するように、ガイド機構に対して直径方向に後退してもよい、
【0018】
特に有利な例示的な実施形態では、ガイド部分は、チタンから形成されており、かつ、分離ベローズに面する端面上に、クラッディングによって強固に取り付けられると共に、ステンレス鋼から構成されており、分離ベローズとの溶接継手が形成されている環状構成要素を有する。この結果、ドーム部と共に大面積の個別部分とされたガイド部分も軽量材料から構成される。
【0019】
以下に、図面に示された例示的な実施形態を参照して本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明によるベローズ型アキュムレータの例示的な実施形態の縦断面図を示す。
図2図2は、例示的な実施形態の固定機構の保持リングの平面図を示す。
図3図3は、例示的な実施形態の保持リングの縦断面図を示す。
図4図4は、図3においてIVで表示された領域の拡大部分断面図を示す。
図5図5は、ベローズ型アキュムレータの変形例の保持リングの縦断面図を示す。
図6図6は、図5においてVIで表示された領域の部分断面図を示す。
図7図7は、本発明によるベローズ型アキュムレータのガイド機構の縦断面図を示す。
図8図8は、変形例のガイド機構の図7にVIIIで表示された領域の拡大部分断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示された、本発明によるベローズ型アキュムレータの例示的な実施形態では、ベローズ型アキュムレータは、全体として2で表示されるアキュムレータ筐体を有しており、アキュムレータ筐体は、チタン製の2つの筐体部分から構成されており、このうちの一方は、4で表示される筐体主要部を形成しており、他方は、6で表示される筐体閉鎖部を形成する。主要部4は、円筒形状の内部8と、中心に配置された流体ポート12を除いて閉じられたドーム形状のポット底部10と、を有する。閉鎖部6は、長手方向筐体軸心14と同軸の充填開口部16を除いて閉じた半球形状とされている。主要部4と閉鎖部6とは、溶接線18において、これらの互いに向き合う端縁に沿って溶接されている。溶接線18とポット底部10との間の円筒形状の内部8には、金属製ベローズ20の形態の分離ベローズが収容されている。ベローズ型アキュムレータ用のベローズとしては一般的であるように、ベローズ20は、ステンレス鋼で作られており、本明細書の例では、クロム-ニッケル-モリブデン鋼合金(AM350)が与えられている。図1の上部である端部において、ベローズ20は、充填開口部16に隣接するアキュムレータ筐体2のガス側22へ向けて開放されており、ベローズ20の最後のひだは、保持リング24に溶接されている。保持リング24は、ベローズ20の不動のベローズ端部をアキュムレータ筐体2に固定するのに使用される固定機構を形成する。図1の簡略図では明白ではない保持リング24は、図3及び図4に、より詳細に示されているように、2つの材料構成要素から構成されている。1つの構成要素はチタンから作られており、他の構成要素は、鋼1.4435といったステンレス鋼から作られている、この多構成要素構造は、保持リング24とベローズ20の端部とを溶接すると共に、そのチタン製の構成要素とチタン製のアキュムレータ筐体2とを溶接する選択肢を提供する。ここでは、レーザー溶接は、溶接線18における筐体部分4、6と保持リング24のチタン製構成要素との間の継手を同時に形成するために使用される。
【0022】
図3及び図4は、保持リング24の多構成要素構造を示す。第1の構成要素は、第2の構成要素を形成するステンレス鋼リング30の平坦な端面28上に配置されたチタンリング26によって形成されており、この実施例では、ステンレス鋼リング30は、ステンレス鋼1.4435で構成されている。図4に最も明確に示すように、周方向に沿って、ステンレス鋼リング30から半径方向に突出するように、チタンリング26は、ステンレス鋼リング30よりもわずかに大きい直径を有する。チタンリング26の突起によって溶接領域を形成し、保持リング24は、固定するための溶接線18において、筐体部分4、6に溶接されている。図4においても見られるように、ステンレス鋼リング30は、チタンリング26とは離れて対面する自由端面上に、わずかに突出した環状ビード部32を有しており、環状ビード部32は、保持リング24とベローズ20の最後のひだと連結するための溶接線を形成する。
【0023】
図5及び図6は、第2の実施形態の保持リング24の多構成要素構造を示す。ここではステンレス鋼リング30は、隆起した周方向縁部34を有しており、その外周には、保持リング24を包囲するシリンダリングの形態でチタンリング26が配置されている。図3及び図4の例のように、チタンリング26は、溶接線18において溶接領域を形成する。同様に、図3及び図4に示すように、平坦な環状ビード部32は、ベローズ20と連結するための溶接線を形成する。図3及び図4の例のように、保持リング24の構成要素の強固な連結は、爆発圧着といったクラッディングによって形成されている。
【0024】
保持リング24と連結されたベローズの開放された端部の反対側とされた他方の自由端部において、ベローズ20の内部は、ステンレス鋼(鋼1.4435等)製のガイド部分36によって閉じられており、ガイド部分36は、対面するベローズ端部と強固に溶接されている。図7に別個に示されているガイド部分36は、円形ボウル(bowl)形状を有しており、その外周には、開放されたボウル形状縁部38を起点として、ガイド機構40と、これに隣接するシール機構42と、が形成されている。これには、ボウル形状の底部を形成するドーム部44が隣接しており、ドーム部44の輪郭は、筐体主要部4のポット底部10の内側の輪郭に対応する。それゆえ、図1に示されたベローズ20の端部位置において、ドーム部44は、ポット底部10の内側と当接する。図1を参照されたい。ガイド機構40は、ボウル形状縁部38の近傍において周方向の狭い環状溝46と、環状溝46とドーム部44との間に位置する広い環状溝48と、を有する。ガイド機構の狭い環状溝46は、図には示されていない狭いガイドリングを受容するために設けられており、シール機構42の環状溝48は、図1に見られるシールリング50を受容する。
【0025】
ベローズ型アキュムレータでそれ自体公知であり、先行技術として言及された特許文献1の図2にも示されているように、ベローズ20の外径は、筐体主要部4の円筒部分の内径よりもわずかに小さいため、ベローズ20と内壁との間にわずかな隙間が残る。環状溝46内のガイドリング(図示せず)は、図1に示す端部位置の外側へ移動するときに、隙間を維持しながらベローズのひだを内壁に沿って案内する機能を有する。この目的のために、ガイドリングは、欧州特許第2519748号明細書の図5及び図6に示されているように、良好な滑り特性を有するポリテトラフルオロエチレン等のプラスチックの平坦なリングから形成されている。流体が流体ポート12からベローズ20を取り囲む内部8へ流れることを許容するように、ガイドリングの外周において流体通路を形成するために、ガイドシューとして筐体壁に隣接するガイド体の間のガイドリングの外周における通路スペースとしての凹部が、形成されている。従って、運転時には、ベローズ20を取り囲む内部8は、オイル側の一部を形成する。ベローズ20が完全に圧縮されていない場合、ベローズのひだの間にある隙間は、オイル側の一部としての減衰スペースを形成し、減衰スペースは、その体積が運転時にベローズの動きに応じて変化する。この際に、ひだの先端と筐体内壁との間に、減衰スロットルが形成されており、主要部4の内壁とベローズ先端との間の選択された隙間の寸法がスロットルの断面積を決定する。
【0026】
図1に示されるように、筐体主要部4とポット底部10との間の移行部において、筐体の内径は、傾斜面52を形成する内部円錐52によって次第に縮小しており、ベローズ20が、図1に示す端部位置へ移動したときに、シール機構42のシールリング50が、この傾斜面を介して円筒形のシール面54へ到達する。この結果、流体ポート12から内部8への流体の通過は、ベローズの端部位置でのみ遮断されるが、ベローズの他の位置では開放されている。図1に見られるように、隔膜状の環状ディスクから構成されたベローズ20の場合、ディスクは、外周縁部まで平坦に延在するが、隔膜ディスクは、独国特許出願公開第102006014456号明細書の図4において例として示されているように、波形の輪郭を有してもよい。
【0027】
図8は、ベローズ型アキュムレータの特に軽量な構造を許容する実施形態を示す。ここでは、ガイド部分36は、チタンから構成されており、ベローズ20に面するボウル形状縁部38には、鋼1.4435といったステンレス鋼から作られたフラットリング56の形態の追加の構成要素を有する。フラットリング56は、その機能の点では、保持リング24上の鋼製の構成要素を形成する、図3から図6の鋼製リング30に対応している。図3から図6の鋼製リング30と同様に、フラットリング56も、爆発圧着といったクラッディングによってガイド部分36のボウル形状縁部38において端面に取り付けられている。鋼製リング30と同様に、フラットリング56も突出する環状ビード部32を有しており、ベローズ20との溶接継手の溶接線を形成する。
【0028】
図1に示すように、筐体主要部4は、溶接線18に隣接する厚肉部58を起点として、ポット底部10の領域まで延伸する薄肉の領域を有する。図1に示されているように、この領域は、ガラス繊維材料から構成された繊維巻き付け部60を有しており、溶接線18を越えて筐体部分6の開始領域まで延伸する。圧縮強度を高める繊維巻き付け部60の構造は、圧力容器において技術用語「ライナー」として知られている、巻き付け体の構造に相当する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8