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特許7365439カメラの画像データを使用して車両のレーダーセンサのレドームを温度調節するための加熱装置を動作させる方法、計算装置、加熱制御システム並びに車両
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  • 特許-カメラの画像データを使用して車両のレーダーセンサのレドームを温度調節するための加熱装置を動作させる方法、計算装置、加熱制御システム並びに車両 図1
  • 特許-カメラの画像データを使用して車両のレーダーセンサのレドームを温度調節するための加熱装置を動作させる方法、計算装置、加熱制御システム並びに車両 図2
  • 特許-カメラの画像データを使用して車両のレーダーセンサのレドームを温度調節するための加熱装置を動作させる方法、計算装置、加熱制御システム並びに車両 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】カメラの画像データを使用して車両のレーダーセンサのレドームを温度調節するための加熱装置を動作させる方法、計算装置、加熱制御システム並びに車両
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/03 20060101AFI20231012BHJP
   G01S 13/931 20200101ALI20231012BHJP
【FI】
G01S7/03 246
G01S13/931
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022019524
(22)【出願日】2022-02-10
(65)【公開番号】P2022158939
(43)【公開日】2022-10-17
【審査請求日】2022-04-21
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-06
(31)【優先権主張番号】10 2021 108 439.3
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ヨナタン・ロート
【合議体】
【審判長】山本 信平
【審判官】吉村 俊厚
【審判官】倉橋 紀夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-146342(JP,A)
【文献】特開2000-321348(JP,A)
【文献】特開昭60-173084(JP,A)
【文献】特開2020-50271(JP,A)
【文献】特開2001-42034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/03
G01S 13/931
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)のレーダーセンサ(5)のレドーム(4)を温度調節するための加熱装置(3)を動作させる、計算装置により実行される方法であって、以下の:
-車両(1)の周辺(11)および/または車両(1)のレドーム(4)の少なくとも一つの部分を記述する周辺データの受信、
-レドーム(4)を温度調節するための加熱装置(3)への加熱信号の出力
のステップを有する方法において、
計算装置により、
-周辺データとして、車両(1)の少なくとも一つのカメラ(8,9)の画像データが受信され、
-当該画像データに基づいて、周辺(11)における降下物および/またはレドーム(4)の前記部分に付いた降下物が検知され、
-レドーム(4)上の降下物の堆積(13)の確率を表す堆積確率が画像データに基づいて特定され、それにより、降下物がレドーム(4)上に堆積したか或いは堆積することになるかどうかの少なくともいずれかの推定が可能になり、当該堆積確率に応じて前記加熱信号が出力される
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項に記載の方法において、
車両(1)の周辺(11)を記述する周辺データは、前記車両(1)が存在する走行車線(15)の上および/または隣の前記降下物を記述するか、降ってくる前記降下物を記述するかの少なくともいずれかである画像データを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか一つに記載の方法において、
車両(1)の周辺(11)を記述する周辺データは、さらに他の道路利用者(14)が前記車両(1)の前方を走行している場合における追走中に跳ね上げられた降下物を記述する画像データを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1からのいずれか一つに記載の方法において、
計算装置により、
前記周辺データとして、周辺(11)における温度、周辺(11)における湿度および/または前記車両(1)の位置を記述するさらに他のデータが受信され、前記降下物は、前記画像データか或いは前記さらに他のデータかの少なくともいずれかに基づいて特徴付けられる
ことを特徴とする方法。
【請求項5】
車両(1)のレドーム(4)のための加熱制御システム(2)用の計算装置(7)であって、請求項1からのいずれか一つに記載の方法を実行するように構成されている計算装置(7)。
【請求項6】
請求項に記載の計算装置(7)と、レドーム(4)を温度調節するための加熱装置(3)と、画像データを提供する少なくとも一つのカメラ(8,9)とを有する車両(1)のレドーム(4)のための加熱制御システム(2)。
【請求項7】
請求項に記載の加熱制御システム(2)を有する特に乗用車としての車両(1)。
【請求項8】
請求項に記載の車両(1)において、
前記少なくとも一つのカメラ(8,9)は、少なくとも一つのレドーム(4)の前記部分が前記少なくとも一つのカメラ(8,9)の捕捉領域内に入るように前記車両(1)に配設されている
ことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のレーダーセンサのレドームを温度調節するための加熱装置を動作させる方法に関する。さらに、本発明は、計算装置並びに加熱制御システムに関する。最後に、本発明は、そのような加熱制御システムを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
最新の運転支援システムを備えた車両は、例えば車両の周辺の物体を検出する役割を担うレーダーセンサを有していることが多い。また、このようなレーダーセンサは、縦方向制御システムと一緒に使用される。これらのレーダーセンサは、いわゆるレドームによって覆われ、外界の影響から保護される。特に、降下物を伴う寒い気象状況では、レーダー機能と運転支援システム機能に悪い影響を及ぼす堆積物がレドーム上に形成される。
【0003】
この問題に対処するために、レーダーセンサのレドームのための加熱装置が従来技術より公知である。この加熱装置により、レドームの加熱または温度調節を行うことができる。このとき、従来技術による加熱装置は、例えば周辺温度に応じて制御される。例えば、加熱装置は、-5℃~5℃の温度範囲で起動するように設けることができる。その際、レドームの実際の状態に関する情報の還元は、大半において行われない。
【0004】
特許文献1は、自動車用レーダーのレドームのための加熱システムであって、レドームを加熱するための加熱素子と、その加熱素子に接続されて加熱素子を起動するための制御ユニットとを有する加熱システムを開示する。この制御ユニットは、外気温に特徴的な変数を受信または特定し、レドーム外表面上の降下堆積物の融点に関する変数を受信または特定し、その融点に関する変数に応じて少なくとも一つの温度閾値を特定し、その温度閾値と外気温との閾値比較に応じて加熱素子を起動するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国特許出願公開第102017221589号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、車両のレーダーセンサのレドームの温度調節をいかにわずかな労力によりエネルギー効率よく実現できるのかの解決手段を示すことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、本発明によれば、独立請求項に係る特徴を持つ方法、計算装置、加熱制御システム並びに車両により解決される。本発明の有利な発展態様は、従属請求項に記載されている。
【0008】
本発明による方法は、車両のレーダーセンサのレドームを温度調節するための加熱装置を動作させるのに用いられる。この方法は、車両の周辺および/または車両のレドームの少なくとも一部分を記述する周辺データの受信を含む。加えて、この方法は、周辺データに基づいた、レドームに付いた降下物の堆積の検知に関する。この方法はまた、検知された降下物の堆積に応じてレドームを温度調節するための加熱装置への加熱信号の出力を含む。さらに、車両の少なくとも一つのカメラの画像データである周辺データが受信され、その画像データに基づいて、周辺における降下物および/またはレドームの上記部分に付いた降下物が検知されるように設けられている。
【0009】
この方法を用いることで、レーダーセンサのレドームが温度調節されることになる。特に、レドームは、加熱装置によって加熱若しくは加温されることになる。レドームは、車両のレーダーセンサの覆いとして機能し、レーダーセンサを外界の影響から保護する役割を担う。レドームは、バンパー、エンブレムおよび/または車両の外装部品の一部により形成されていてもよい。レーダーセンサの動作中は、レドームを通して電磁線がレーダーセンサにより送信され再び受信される。
【0010】
この方法は、車両の計算装置により実行することができる。この計算装置は、少なくとも一つの電子制御装置により形成することができる。この計算装置によりいくつもの周辺データを受信することができる。これらの周辺データは、車両の周辺若しくは車両の周辺の一領域を記述することができる。代替的または付加的に、これらの周辺データは、レドーム自体か或いはその一部分を記述することができる。計算装置は、周辺データに基づいてレドーム上に降下物の堆積が存在するかどうか判断することができる。降下物は、特に、氷、雪および/または不純物を含む水であるとしてよい。この降下物は、特に周辺温度が氷点下の場合にレドームの面に付いて堆積する可能性がある。その結果、レドームを通した電磁線の送信および/または受信に悪い影響が及ぶ可能性が出て来る。レドームのこの降下物の堆積を取り除くことができるようにするために、加熱装置が起動される。これを行うために、加熱信号が計算装置から加熱装置に伝送される。この加熱信号は、電圧および/または電流として出力することができる。加熱装置を起動するために、電圧を加熱装置に印加するか或いは電流を加熱装置に流すかの少なくともいずれかを行なうことができる。加熱装置の加熱出力は、加熱信号により設定若しくは調整することができる。
【0011】
本発明によれば、周辺データとして、画像データが受信されるものとされている。これらの画像データには、デジタル式の画像またはシーケンスが含まれていてもよい。特に、これらの画像データは、可視波長領域を記述するものでもよい。これらの画像データは、車両のカメラによって提供することができる。画像データはこのとき、周辺に存在する降下物を記述することができる。例えば、画像データに基づいて、周辺に氷か雪が存在しているかどうかを判断することができる。代替的または付加的に、画像データは、レドーム自体か若しくはその一部分を記述するのでもよい。そのような画像データを提供できるようにするために、捕捉領域にレドームが少なくとも部分的に入る車両のカメラを用いればよい。
【0012】
つまり、本発明によれば、最近の車両にはいずれにしろ大抵存在するカメラの画像データを使用するようになっている。従って、例えば温度センサといった追加のセンサを組み込む必要はない。画像データは、加熱装置の制御のために使用することができる。従って、レドームの加熱装置は、総じてエネルギー効率の高い方法で動作させることができる。
【0013】
堆積を検知するために、レドームに付いた降下物の堆積の確率を表す堆積確率が画像データに基づいて特定され、この堆積確率に応じて加熱信号が出力されることが好ましい。つまり、堆積確率は、画像データに基づいて特定することができる。画像データに基づいて、降下物と、場合によっては降下物の種類も検知することができる。この情報に基づいて、次に降下物がレドーム上に堆積したか或いは堆積することになるかどうかの少なくともいずれかを推定することができる。堆積確率が高い場合には、加熱信号を出力するか若しくは比較的高い加熱装置の加熱出力を提供することができる。堆積確率が低い場合には、加熱信号を出力しないままにするか若しくは比較的低い加熱装置の加熱出力を提供することができる。このようにして、レドームの加熱は、必要に応じてエネルギー効率の良い方法で行うことができる。
【0014】
さらに他の実施形態において、画像データは、レドームの上記の部分を記述するおよび/またはレドームの上記の部分上の降下物の堆積を記述する。車両のカメラは、例えば、レドームの全体或いは上記の部分がカメラの捕捉領域内に入るように車両に配設することができる。カメラは、例えば、レドーム自体の面上に配設することができる。カメラは、レドームに隣接する車両の部品に配設することもできる。特に、カメラは、約180°の捕捉領域を持つことができる。この場合、カメラは、魚眼レンズ等を備えることができる。このカメラを使用すれば、レドームの外側を少なくとも部分的に捉えることができる。外側とはこのとき、車両の前に立つ観察者の方に面したレドームの側を意味する。
【0015】
レドーム上の降下物の堆積はこのとき、画像データの解析に基づいて検知される。レドームに対応している画像データの領域は分かっているとしてよい。この場合、画像データのこの領域において若しくは対応するピクセルにおいて、堆積が検知され得るのかどうか確かめることができる。加えて、降下物は、色に基づいて検知することができ、その結果、他の種類の汚れと区別することができる。また、降下物は、画素の色に基づいて検知することができる。例えば、降下物は、灰色および/または白色の色を呈している可能性がある。
【0016】
さらに他の実施形態において、降下物の量も検知することができる。降下物の量は、例えば、画像データに基づく層の厚さから検知することができる。検知された量に応じて、加熱装置の加熱出力を調整することができる。降下物は、画像データに基づいて特徴付けることもできる。例えば、氷の層、雪の層および/または泥を含んだシャーベット状の雪の堆積を区別することができる。この特徴に応じて、加熱装置の加熱出力を適宜調整することができる。
【0017】
さらに他の態様において、画像データは、車両が存在する走行車線の上および/または隣の降下物を記述する。代替的または付加的に、画像データは、降ってくる降下物を記述する。画像データに基づいて、例えば、走行車線上にある氷または雪を降下物として検知することができる。基本的に、車両の周辺に降った氷または雪を検知することができる。この情報は、堆積確率を特定する際にも考慮することができる。画像データに基づいて、降下物が現在その周辺で降っているかどうか若しくは降って来ているかどうか検知することもできる。例えば降雪が検知されると、堆積確率も高くなり得るが、これは、雪がレドームの上にも堆積すると考えることができるからである。この場合、周辺の温度も考慮することができる。
【0018】
さらに、有利であるのは、画像データが、さらに他の道路利用者が車両の前方を走行している場合における追走中に跳ね上げられた降下物を記述する場合である。追走は、さらに他の道路利用者が車両の前方に存在し、同じ走行方向に走行している交通状況を意味する。特に、この追走時に、その道路利用者の車輪によって、走行車線の上に積もった降下物が巻き上げられ、レーダーセンサのレドーム上で積層する可能性がある。そのような追走時には、巻き上げられた降下物によって、堆積確率が高くなる可能性がある。このときもまた、周辺の温度を考慮することができる。
【0019】
さらに他の態様は、周辺データとして、周辺における温度、周辺における湿度および/または車両の位置を記述するさらに他のデータが受信され、降下物は、画像データか或いは上記のさらに他のデータかの少なくともいずれかに基づいて特徴付けられるものとされている。画像データに加えて、さらに他の周辺データも受信することができ、それらのデータを加熱装置を制御するときに考慮することができる。例えば、車両の周辺の温度を記述するデータを温度センサから受信することができる。しかも、周辺の空気の湿度や湿り気を記述するデータを受信することもできる。加えて、車両が今いる位置若しくは経緯を記述する位置データを受信することができる。この位置データに基づいて、例えば、降下物の融解温度について結論を導き出すことができ、それにより加熱出力を調整することができるようになる。同様に、位置データに基づいて、その地域において融点を下げるために塩が撒かれているのかどうかを特定することができる。また、速度センサから速度データを受信することができる。この速度データに基づいて、レドーム上の降下物の堆積について或いは量について、少なくともいずれかについての結論を導き出すことができる。これは、特に、前述の追走の場合に適している。全体として、さらに他のデータ若しくは周辺データも、堆積確率を特定する際に考慮することができる。
【0020】
加えて、降下物が特徴付けられるようにすることもできる。これは、特に、氷、雪、泥を含んだシャーベット状の雪、雹、霰、霧、水などを区別することができることを意味する。この区別は、画像データに基づいて行なうことができる。そのために、例えば、公知のアルゴリズムを画像処理に使用することができる。加えて、上記のさらに他のデータ若しくは環境データを使用して、降下物を特徴付けることができる。さらに、気象サービスからのデータも考慮することができる。
【0021】
これに関連して、異なる種類の雪を区別することもできる。非常に低い温度では(例えば-1℃を下回る温度および/または比較的低い湿度では)、パウダースノーが発生することが多い。このパウダースノーは、圧力が加わっても、くっつき合わないため、レドーム上には堆積しないか僅かしか堆積しない。このパウダースノーでは、レドームを加熱すると逆効果になる。これは例えば、このパウダースノーが部分的に融解されてレドームの面上に付着し易くなる結果を招く可能性がある。これとは対照的に、比較的高い温度では(例えば、0℃を超える温度および/または高い湿度では)、湿った雪、水を含んだ雪および/または解けかけた雪が生じることが多い。これらのタイプの雪は、より堆積し易い傾向にあり、より多くの加熱出力を必要とする。様々な種類の降下物若しくは雪を考慮するとともに、それに関連する加熱対策を考慮することにより、レーダーセンサと、それに関連した運転支援システムの機能利用可能性を改善することができる。
【0022】
加えて、カメラ上若しくはカメラのレンズ上の降下物の堆積も検知することができる。この堆積は、画像データに基づいて検知することができる。この堆積が検知される場合、加熱信号を出力することができるか若しくは加熱装置の動作を制御することができる。
【0023】
車両のレドームのための加熱制御システム用の本発明による計算装置は、本発明による方法およびいくつかの有利な態様を実行するように構成されている。計算装置は、少なくとも一つの電子制御装置を有している。
【0024】
車両のレドームための本発明による加熱制御システムは、本発明による計算装置を有している。加えて、加熱制御システムは、レドームを温度調節するための加熱装置を有している。例えば、加熱装置は、加熱信号の出力により電流が流れる然るべきワイヤを有していてもよい。加熱装置は、計算装置に電気的に接続されていてもよい。さらに、加熱制御システムは、画像データを提供する少なくとも一つのカメラを備えていてもよい。この少なくとも一つのカメラは、データ送信のため若しくは画像データの伝送のために計算装置に接続されていてもよい。このカメラはまた、カメラヒータを備え、カメラ上の若しくはカメラのレンズ上の降下物の堆積を防ぐことができる。
【0025】
本発明による車両は、本発明による加熱制御システムを有している。この車両は、特に乗用車として設けられている。カメラは、レドームの少なくとも一部分がカメラの捕捉領域内に入るように車両に配設されていることが好ましい。このカメラは例えば、サラウンドビューシステムの一部とすることができ、車両の前部に配設することができる。代替的または付加的に、このカメラは、車両のフロントガラスの後側に配設されていてもよい。車両若しくは加熱制御システムは、車両の前部における第一のカメラと、フロントガラスの後側の第二のカメラを備えていてもよい。こうして、フロントガラスの後側の第二のカメラしか備えていない車両の場合であっても、周辺における降下物および/または追走時に巻き上げられた降下物に基づいてレドーム上への降下物の堆積についての推定を十分行なうことができる。
【0026】
車両が少なくとも部分的に電動の車両として構成されている場合には特に、エネルギー効率の良い加熱装置の動作は有利である。時として80Wもの加熱出力を要する公知の加熱制御システムとは対照的に、本発明により、加熱出力は、目的に合わせて上げたり下げたりすることができる。これにより、少なくとも部分的に電動の車両の場合に特に、航続距離を伸ばすことができる。
【0027】
本発明のさらに他の態様は、計算装置によるプログラムの実行時に本発明による方法およびその方法の有利な幾つかの態様を実行させる命令を含むコンピュータプログラムに関する。さらに、本発明は、コンピュータにより読み取り可能な、計算装置による実行時に本発明による方法およびその方法の有利な幾つかの態様を実行させる命令を含む(記憶)媒体に関する。
【0028】
本発明による方法に関して提示される好ましい実施形態およびその長所は、本発明による計算装置に関して、本発明による加熱制御システムに関して、本発明による車両に関して、本発明によるコンピュータプログラムに関して並びに本発明によるコンピュータ読み取り可能な(記憶)媒体についても然るべく有効である。
【0029】
本発明のさらなる特徴は、特許請求の範囲、図面および図面の説明から明らかになる。明細書において上で述べた特徴および特徴の組み合わせ並びに以下に図面の説明において述べるおよび/または図においてのみ示される特徴および特徴の組み合わせは、各々提示された組み合わせにおいてだけでなく、他の組み合わせ或いはそれ単体でも本発明の範囲を逸脱することなく利用可能である。
【0030】
次に、本発明を添付の図面を参照しながら好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】車両のレドームを温度調節するための加熱制御システムを備えた車両の概略的な図である。
図2】レドーム上の降下物の堆積を示す図1の車両の拡大図である。
図3図1の車両の図であって、さらに他の道路利用者が当該車両の前にいる追走中の車両を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図中、同じ部材または同じ機能の部材は、同一の符号を付す。
【0033】
図1は、乗用車として構成された車両1を側面視して概略的に示す図である。この車両1は、加熱制御システム2を有している。この加熱制御システム2はまた、車両1のレドーム4を温度調節する若しくは加熱するのに用いられる加熱装置3を有している。レドーム4は、車両1のレーダーセンサ5のカバーとして機能する。図示された例では、レドーム4は、車両1の外側パネル部(外装部)6の一部により形成されている。
【0034】
加えて、加熱制御システム2は、少なくとも一つの電子制御装置を有することのある計算装置7を有している。さらに、加熱制御システム2は、本例では、車両1の前部に配設されている第一のカメラ8を有している。しかも、加熱制御システム2は、本例では、車両1のフロントガラス10の後側に配設されている第二のカメラ9を備えている。第一のカメラ8を用いるとともに第二のカメラ9を用いて、車両1の周辺11を記述する画像データをそれぞれ提供することができる。これらの画像データは、周辺データを表している。さらに他の周辺データとして、周辺11における温度および/または湿度を記述するデータを提供することができる。加えて、周辺データは、車両1の現在の位置を記述してもよい。これらのさらに他の周辺データは、本例では、ユニット12により提供される。
【0035】
図2は、図1の車両1の拡大図を示す。ここでは、降下物の堆積13がレドーム4上に存在することが看取できる。降下物は、氷、雪、泥を含んだシャーベット状の雪などであり得る。この堆積13は、レーダー信号若しくは電磁線の送信および/または受信時にレーダーセンサ5に悪い影響を与える。レドーム4から堆積13を取り除くため若しくは堆積13を融かすために、加熱装置3が設けられている。この加熱装置3は、計算装置7により制御若しくは起動することができる。
【0036】
第一のカメラ8の画像データに基づいて、レドーム4に付いた堆積13を検知することができる。この場合、第一のカメラ8は、レドーム4が少なくとも部分的に第一のカメラ8の捕捉領域内に入るように車両1上に配設されている。第一のカメラ8は、好ましくも約180°の角度範囲で物体を捉えることができる。堆積13を検知するために、第一のカメラ8の画像データを計算装置7に伝送し、計算装置7によって解析することができる。この場合、堆積13は、レドーム4に対応する画像データ領域に検知することができる。特に、堆積13は、色情報に基づいて検知することができる。例えば、雪の混じった堆積13は、その白色または灰色の色によって検知することができる。
【0037】
画像データに基づいて特定される堆積の態様および/または存在についての情報は、レドーム4を加熱するための制御ループを可能にするために使用される。特に、検知された堆積13、堆積13の種類および/または堆積13の量に応じて、加熱装置3によって提供される加熱出力を制御することができる。
【0038】
図3は、概略図において、追走中の図1の車両を示す。この追走では、さらに他の道路利用者14が車両1の前を走行し、車両1とさらに他の道路利用者14は、同じ走行方向に移動している。さらに他の道路利用者14もまた、本例では乗用車である。車両1とさらに他の道路利用者14が存在する走行車線15上には、降下物が存在するものとされている。例えば、降下物として走行車線15上に雪が存在している。この走行車線15の上並びに走行車線15の隣の降下物は、第一のカメラ8および/または第二のカメラ9の画像データに基づいて検知することができる。
【0039】
加えて、走行車線15上の降下物が、さらに他の道路利用者14の、走行車線15上を転動する車輪により巻き上げられ若しくは跳ね上げられることがある。この巻き上げられた降下物は、ここでは線16により具体的に示されている。この巻き上げられた降下物も、第一のカメラ8および/または第二のカメラ9の画像データに基づいて検知することができる。画像データに基づいて、レドーム4に付いた降下物の堆積13を示す堆積確率を特定することができる。追加的に、堆積確率を特定するために、さらに他の周辺データも考慮してもよい。例えば、堆積確率は、追加的に、温度、湿度、車両1の位置および/または車両1の現在の速度に基づいて決定することもできる。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.
車両(1)のレーダーセンサ(5)のレドーム(4)を温度調節するための加熱装置(3)を動作させる方法であって、以下の:
-車両(1)の周辺(11)および/または車両(1)のレドーム(4)の少なくとも一部分を記述する周辺データの受信、
-周辺データに基づいた、レドーム(4)に付いた降下物の堆積(13)の検知、
-検知された降下物の堆積(13)に応じてレドーム(4)を温度調節するための加熱装置(3)への加熱信号の出力
のステップを有する方法において、
-周辺データとして、車両(1)の少なくとも一つのカメラ(8,9)の画像データが受信され、
-当該画像データに基づいて、周辺(11)における降下物および/またはレドーム(4)の前記部分に付いた降下物が検知される
ことを特徴とする方法。
2.
上記1に記載の方法において、
堆積(13)を検知するために、レドーム(4)に付いた降下物の堆積(13)の確率を表す堆積確率が画像データに基づいて特定され、当該堆積確率に応じて加熱信号が出力される
ことを特徴とする方法。
3.
上記1または2に記載の方法において、
前記画像データは、レドーム(4)の前記部分を記述するおよび/またはレドーム(4)の前記部分上の降下物の堆積を記述する
ことを特徴とする方法。
4.
上記1から3のいずれか一つに記載の方法において、
前記画像データは、前記車両(1)が存在する走行車線(15)の上および/または隣の前記降下物を記述するか、前記画像データは、降ってくる前記降下物を記述するかの少なくともいずれかである
ことを特徴とする方法。
5.
上記1から4のいずれか一つに記載の方法において、
前記画像データは、さらに他の道路利用者(14)が前記車両(1)の前方を走行している場合における追走中に跳ね上げられた降下物を記述する
ことを特徴とする方法。
6.
上記1から5のいずれか一つに記載の方法において、
前記周辺データとして、周辺(11)における温度、周辺(11)における湿度および/または前記車両(1)の位置を記述するさらに他のデータが受信され、前記降下物は、前記画像データか或いは前記さらに他のデータかの少なくともいずれかに基づいて特徴付けられる
ことを特徴とする方法。
7.
車両(1)のレドーム(4)のための加熱制御システム(2)用の計算装置(7)であって、上記1から6のいずれか一つに記載の方法を実行するように構成されている計算装置(7)。
8.
上記7に記載の計算装置(7)と、レドーム(4)を温度調節するための加熱装置(3)と、画像データを提供する少なくとも一つのカメラ(8,9)とを有する車両(1)のレドーム(4)のための加熱制御システム(2)。
9.
上記8に記載の加熱制御システム(2)を有する特に乗用車としての車両(1)。
10.
上記9に記載の車両(1)において、
前記少なくとも一つのカメラ(8,9)は、少なくとも一つのレドーム(4)の前記部分が前記少なくとも一つのカメラ(8,9)の捕捉領域内に入るように前記車両(1)に配設されている
ことを特徴とする車両。
図1
図2
図3