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特許7365441インゴットのY軸補正用ワークプレート及びこれを用いたインゴットのY軸補正方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】インゴットのY軸補正用ワークプレート及びこれを用いたインゴットのY軸補正方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20231012BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20231012BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20231012BHJP
   B28D 5/04 20060101ALI20231012BHJP
   B28D 7/04 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
H01L21/304 611B
B24B41/06 Z
B24B27/06 D
B28D5/04 C
B28D7/04
H01L21/304 611W
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022026582
(22)【出願日】2022-02-24
(65)【公開番号】P2023101442
(43)【公開日】2023-07-21
【審査請求日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】10-2022-0003268
(32)【優先日】2022-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517354250
【氏名又は名称】エスケイ・シルトロン・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】キム,アルム
【審査官】境 周一
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-309737(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0887494(KR,B1)
【文献】特開平10-182299(JP,A)
【文献】特開平11-262917(JP,A)
【文献】特開平10-337695(JP,A)
【文献】特開平10-044143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 41/06
B24B 27/06
B28D 5/04
B28D 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤ切断装置を用いてインゴットを切断するためにインゴットの切断面角度に合わせてインゴットを付着させるワークプレートであって、
付着させる前記インゴットの長手方向に沿って鉛直方向下向きに湾曲するように上面が形成されるボトムプレートと、
下面が前記ボトムプレートの上面に沿って移動可能に結合され、X軸切断面角度に合わせて上部にインゴットが結合されるトッププレートと、を含む、インゴットのY軸補正用ワークプレートを用いたインゴットのY軸補正方法であって、
前記トッププレートの上部でX値ターゲットに合わせて前記インゴットを左右に水平移動させるX軸ターゲットマッチング段階と、
X値が調整された前記インゴットを前記トッププレートに付着するインゴット結合段階と、
前記インゴット結合段階の後、前記トッププレートをY値ターゲットに合わせて前記ボトムプレートの湾曲した上面に沿って移動させるY軸ターゲットマッチング段階と、を含む、インゴットのY軸補正方法
【請求項2】
前記ボトムプレートの上部には、前記トッププレートの移動の際に離脱せずに前記ボトムプレートの湾曲した長手方向に移動するようにガイドする移動ガイド部が形成された、請求項1に記載のインゴットのY軸補正方法
【請求項3】
前記移動ガイド部は、前記ボトムプレートの上面より小さい幅を有するように形成され、インゴットが付着される長手方向の上方に突設され、長手方向の上方に突設された両側面は下部内側から上部外側に傾くように形成された、請求項2に記載のインゴットのY軸補正方法
【請求項4】
前記トッププレートの下部には、前記移動ガイド部に結合されて前記移動ガイド部に沿って移動するように移動ガイド結合部が形成された、請求項2に記載のインゴットのY軸補正方法
【請求項5】
前記ボトムプレートの湾曲した上面に沿って接触したままで移動する前記トッププレートの両側面には折曲部が形成され、
前記折曲部の下端面は前記ボトムプレートの湾曲した上面形状に対応して形成され、
前記折曲部の内側面は前記移動ガイド部の両側面に対応して上部外側から下部内側に傾くように形成された、請求項3に記載のインゴットのY軸補正方法
【請求項6】
前記トッププレートは、前記トッププレートの長手方向の両端部をそれぞれ水平方向に押圧する線形移動手段の動作によって移動し、
前記線形移動手段で前記トッププレートの両端部を押圧するとき、前記線形移動手段の押圧部位が前記ボトムプレートと接触しないように、前記ボトムプレートの上部には前記線形移動手段の移動軌跡に沿って干渉防止溝が形成された、請求項5に記載のインゴットのY軸補正方法
【請求項7】
前記トッププレートを前記ボトムプレートに固定させるか、固定された状態を解除させる固定解除手段をさらに含む、請求項1に記載のインゴットのY軸補正方法
【請求項8】
前記固定解除手段は、
前記トッププレートの側面に形成された複数の締結ホールと、
前記締結ホールに結合され、前記ボトムプレートの上部側面を押圧して前記トッププレートを前記ボトムプレートに固定させる固定ボルトと、を含む、請求項7に記載のインゴットのY軸補正方法
【請求項9】
前記トッププレートには、インゴットのノッチ方向が一方向に均一に位置する、請求項1~8のいずれか一項に記載のインゴットのY軸補正方法
【請求項10】
前記インゴット結合段階の後、前記ボトムプレートに固定解除手段によって固定された前記トッププレートの固定された状態を解除させるトッププレート解除段階と、
前記Y軸ターゲットマッチング段階の後、前記固定解除手段によって前記ボトムプレートに前記トッププレートを固定させるトッププレート固定段階と、をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のインゴットのY軸補正方法。
【請求項11】
前記X軸ターゲットマッチング段階に先立ち、前記インゴットのノッチ方向を設定方向に固定させるノッチ方向調整段階をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のインゴットのY軸補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインゴットのY軸補正用ワークプレート及びこれを用いたインゴットのY軸補正方法に関し、特に、インゴットのY軸補正を容易に遂行することができるように構成したインゴットのY軸補正用ワークプレート及びこれを用いたインゴットのY軸補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、シリコンウエハーは肉眼でその結晶学的方向を区分することができないので、ウエハーのエッジ一部を平らに切断して方向性を表している。このように、平らに切れた部分はフラットゾーン(flat zone、以下、単純にフラットと言う)といい、フラットの数及び配置はウエハーの種類によって違う。また、このようなフラットはウエハーを作るに先立ち(インゴットをスライスするに先立ち)、インゴットのフラット配向(flat orientation)を検出してインゴットの長手方向に切削加工することによって形成される。このようなフラット配向はインゴットの特定の結晶学的配向であり、通常X線回折計(X-ray Diffractometer)のX線ゴニオメーター(X-ray Goniometer)を使って検出することになる。
【0003】
韓国登録特許第10-1263132号は、従来多数の装備が必要なシリコンインゴットの切断準備過程でゴニオメーターのみを用いて切断準備過程を遂行することができるように構成したインゴットオリエンテーション測定装置を紹介しており、韓国登録特許第10-1467691号は、ストッパーの回転によって固定ローラーと移動ローラーとの間隔が調節されることを特徴とするインゴットのオリエンテーションを測定するための装置を紹介している。
【0004】
図1は従来のインゴットオリエンテーション補正方式を示した概念図である。前述した従来のオリエンテーション補正方式は、まずY値(Vertical)が‘0’になるようにインゴット(Ingot)10を回転させた後、X値(Horizontal)がターゲット(Target)に合うように左右に移動させる方式であり、ターゲット(Target)に一致すれば、オリエンテーション補正を完了し、インゴット切断(Wire Saw)工程に進む。
【0005】
しかし、このような従来の補正方式は、Y値(Vertical)が無条件に‘0’に固定されなければならなく、ノッチアングル(Notch Angle)がインゴット10ごとに違うランダム(Random)方向に形成されるしかない補正方式である。
【0006】
最近になってノッチアングルを一方向に固定させた状態でX値及びY値に対する補正を要求している実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国登録特許第10-1467691号公報
【文献】韓国登録特許第10-1263132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする技術的課題は、ノッチ方向を一方向に固定させるとともにY軸調整まで遂行できるように構成したインゴットのY軸補正用ワークプレート及びこれを用いたインゴットのY軸補正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記のような技術的課題を解決するための本発明によるインゴットのY軸補正用ワークプレートは、ワイヤ切断装置を用いてインゴットを切断するためにインゴットの切断面角度に合わせてインゴットを付着させるワークプレートであって、インゴットが結合される長手方向の下方に湾曲するように上面が形成されるボトムプレートと、下面が前記ボトムプレートの上面に沿って移動可能に結合され、X軸切断面角度に合わせて上部にインゴットが結合されるトッププレートとを含むことを特徴とする。
【0010】
また、前記ボトムプレートの上部には、前記トッププレートの移動の際に離脱せずに前記ボトムプレートの湾曲した長手方向に移動するようにガイドする移動ガイド部が形成されることを特徴とする。
【0011】
また、前記移動ガイド部は、前記ボトムプレートの上面より小さい幅を有するように形成され、インゴットが付着される長手方向の上方に突設され、長手方向の上方に突設された両側面は下部内側から上部外側に傾くように形成されることを特徴とする。
【0012】
また、前記トッププレートの下部には、前記移動ガイド部に結合されて前記移動ガイド部に沿って移動するように移動ガイド結合部が形成されることを特徴とする。
【0013】
また、前記ボトムプレートの湾曲した上面に沿って接触したままで移動する前記トッププレートの両側面には折曲部が形成され、前記折曲部の下端面は前記ボトムプレートの湾曲した上面形状に対応して形成され、前記折曲部の内側面は前記移動ガイド部の両側面に対応して上部外側から下部内側に傾くように形成されることを特徴とする。
【0014】
また、前記トッププレートは、前記トッププレートの長手方向の両端部をそれぞれ水平方向に押圧する線形移動手段の動作によって移動し、前記線形移動手段で前記トッププレートの両端部を押圧するとき、前記線形移動手段の押圧部位が前記ボトムプレートと接触しないように、前記ボトムプレートの上部には前記線形移動手段の移動軌跡に沿って干渉防止溝が形成されることを特徴とする。
【0015】
また、前記トッププレートを前記ボトムプレートに固定させるか、固定された状態を解除させる固定解除手段をさらに含むことを特徴とする。
【0016】
また、前記固定解除手段は、前記トッププレートの側面に形成された複数の締結ホールと、前記締結ホールに結合され、前記ボトムプレートの上部側面を押圧して前記トッププレートを前記ボトムプレートに固定させる固定ボルトとを含むことを特徴とする。
【0017】
また、前記トッププレートには、インゴットのノッチ方向が一方向に均一に位置することを特徴とする。
【0018】
一方、前述したインゴットのY軸補正用ワークプレートを用いたインゴットのY軸補正方法は、前記トッププレートにX値(Horizontal)ターゲット(Target)に合わせて前記インゴットを左右に移動させるX軸ターゲットマッチング段階と、X値が調整された前記インゴットを前記トッププレートに付着するインゴット結合段階と、前記インゴット結合段階の後、前記トッププレートをY値(Vertical)ターゲットに合わせて前記ボトムプレートの湾曲した上面に沿って移動させるY軸ターゲットマッチング段階とを含むことを特徴とする。
【0019】
また、前記インゴット結合段階の後、前記ボトムプレートに固定解除手段によって固定された前記トッププレートの固定された状態を解除させるトッププレート解除段階と、前記Y軸ターゲットマッチング段階の後、前記固定解除手段によって前記ボトムプレートに前記トッププレートを固定させるトッププレート固定段階とをさらに含むことを特徴とする。
【0020】
また、前記X軸ターゲットマッチング段階に先立ち、前記インゴットのノッチ方向を設定方向に固定させるノッチ方向調整段階をさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
以上で説明した本発明によるインゴットのY軸補正用ワークプレート及びこれを用いたインゴットのY軸補正方法によれば、ノッチアングル(Notch Angle)の位置を固定させることができ、既存には制御することができなかったインゴットオリエンテーション(Ingot Orientation)のY軸(Y-axis)制御が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】従来のインゴットオリエンテーション補正方式を示す概念図である。
図2】本発明によるインゴットのY軸補正用ワークプレートの一実施例の斜視図である。
図3】本発明によるインゴットのY軸補正用ワークプレートの要部分解斜視図である。
図4】本発明によるインゴットのY軸補正用ワークプレートをボトムプレートとトッププレートとに区分して示す正面図である。
図5図4でボトムプレートとタブプレイトの結合状態を示すための透視図である。
図6】本発明によるインゴットのY軸補正用ワークプレートによって付着されたインゴットのY軸補正によるインゴットティルティング状態を示す図である。
図7】本発明によるインゴットのY軸補正方法の一実施例の構成図である。
図8】本発明によるインゴットのY軸補正用ワークプレートを用いたインゴットオリエンテーション補正方式を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例に基づいて説明し、発明に対する理解を助けるために添付図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
図面で大きさは説明の便宜性及び明確性のために誇張または省略するかあるいは概略的に示した。また、各構成要素の大きさは実際の大きさをそのまま反映するものではなく、同じ参照番号は図面の説明全般にわたって同じ要素を示す。
【0025】
図2は本発明によるインゴットのY軸補正用ワークプレートの一実施例による斜視図、図3は本発明によるインゴットのY軸補正用ワークプレートの要部分解斜視図、図4は本発明によるインゴットのY軸補正用ワークプレートをボトムプレートとトッププレートに区分して示す正面図、図5図4でボトムプレートとタブプレイトの結合状態を示すための透視図、図6は本発明によるインゴットのY軸補正用ワークプレートによって付着されたインゴットのY軸補正によるインゴットティルティング状態を示す図である。
【0026】
図2図6を参照して、本発明によるインゴットのY軸補正用ワークプレートの構造を説明すれば次のようである。
【0027】
ワークプレートとは、インゴット(Ingot)をインゴット切断装置(Wire Saw)に適用するための一種のジグ(Jig)と理解することができる。本発明によるインゴットのY軸補正用ワークプレート(以下、‘ワークプレート100’という)は、インゴット切断装置(図示せず)を用いてインゴット10を切断するために、インゴット10を切断面角度に合わせて付着固定するためのものであり、ボトムプレート110及びトッププレート120を含んでなることができる。
【0028】
ボトムプレート110は下側に位置して作業テーブルに固定されるためのものであり、作業テーブルの構造及び形状によってその下部形状が変わることができる。
ボトムプレート110の上部は、インゴット10が結合される長手方向に設定された曲率を有し、湾曲するように形成される。前記設定された曲率はインゴット10のY軸調整角度を考慮して設定することができる。
【0029】
前記のように設定された曲率を有するとともに湾曲するように形成されたボトムプレート110の上面にトッププレート120が移動可能に結合される。このために、トッププレート120の下面は、ボトムプレート110の上面に対応するように、前記設定された曲率と同じ曲率を有し、下方に湾曲するように形成される。トッププレート120の上面は平たく形成され、X軸切断面角度に合わせてインゴット10が付着固定される。ここで、炭酸カルシウム材から構成されたプレートの両面をボンディング処理してインゴット10を付着固定させることができる。インゴット10のX軸調整及びボンディング付着方式自体は公知の技術なので、これについての詳細な説明は省略する。ただ、従来にはインゴット10のY軸を零点に固定させただけであるので、インゴット10を回転させる過程でインゴット10に形成されたノッチ方向がそれぞれ異なっていたが、本発明によればノッチアングルを所望の角度に同一に調整した状態でトッププレート120の上面に付着固定させることができる。
【0030】
一方、ボトムプレート110の上部には、トッププレート120の移動の際にトッププレート120がボトムプレート110から離脱せずにボトムプレート110の湾曲した上方に移動することができるように、移動ガイド部111が形成される。移動ガイド部111の形状は、トッププレート120がボトムプレート110によって支持されるとともに左右に移動することができる構造であれば、公知の多様な形状のいずれにも製作されることができる。一例として、移動ガイド部111はボトムプレート110の上面より小さい幅を有するように形成されてインゴット10が付着される長手方向の上方に突設され、長手方向の上方に突設された両側面が下部内側から上部外側に傾くように形成されることができる。
【0031】
トッププレート120の下部には、移動ガイド部111に対応して結合される移動ガイド結合部121が形成されることができる。一例として、ボトムプレート110の湾曲した上面に沿って接触したままで移動するトッププレート120の両側面には下方に折曲部122が形成されることができる。折曲部122の下端面はボトムプレート110の湾曲した上面の形状に対応して形成され、折曲部122の内側面は移動ガイド部111の両側面に対応して上部外側から下部内側に傾くように形成されることができる。すなわち、トッププレート120の折曲部122がボトムプレート110の移動ガイド部111の両側面に結合されることで、上方に分離されず、湾曲面に沿って前後方向(図4及び図5で左右方向)にスライドする。
【0032】
一方、固定解除手段130をさらに備えることにより、ボトムプレート110の上面に沿って左右(図4及び図5を基準)に移動するトッププレート120をボトムプレート110に固定させるか、トッププレート120がボトムプレート110に固定された状態を解除することができる。
【0033】
固定解除手段130はトッププレート120をボトムプレート110に固定及び固定解除することができる構造であれば公知の多様な技術のいずれも適用することができる。一例として、固定解除手段130は締結ホール(図面符号なし)及び固定ボルト(図面符号なし)から構成することができる。前記締結ホールはトッププレート120の両側面のいずれか一側面に構成されることができ、複数から構成されることができる。図示のように、前記締結ホール(図面符号なし)はトッププレート120の折曲部122に形成されることができ、三つから構成されることができる。前記固定ボルト(図面符号なし)は前記締結ホールに結合されてボトムプレート110の上部側面を押圧することにより、トッププレート120をボトムプレート110に堅固に固定させることができる。
【0034】
前述したように形成されたトッププレート120は、線形移動手段(図示せず)によってボトムプレート110の上部で移動することができる。前記線形移動手段は、一例として、サーボモーターによって水平方向に前後進する押圧棒(図示せず)から構成されることができる。
【0035】
すなわち、図4及び図5を基準に、トッププレート120の両側にはそれぞれ前記線形移動手段が設けられ、前記線形移動手段に結合された前記押圧棒が水平方向に移動することができる。前記押圧棒が前進しながらトッププレート120の両端部を押圧することができる。ここで、トッププレート120の左側及び右側の中でY軸を調整しなければならない方向にトッププレート120を押圧して移動させることができる。ここで、最初に固定解除手段130によってボトムプレート110に固定されたトッププレート120から固定解除手段130を分離した後、前記線形移動手段によってトッププレート120を移動させることができる。前記線形移動手段によってトッププレート120を移動させてインゴット10のY軸調整を遂行することができ、このようなY軸調整によって、図6に示すように、インゴット10をティルティングさせることができる。トッププレート120のY軸調整が完了すれば、また固定解除手段130によってトッププレート120をボトムプレート110に固定させることができる。
【0036】
一方、前記線形移動手段によってトッププレート120の両端部を押圧するとき、前記線形移動手段の押圧部位、すなわち前記押圧棒がボトムプレート110と接触しないように、ボトムプレート110の上部には前記線形移動手段の移動軌跡に沿って干渉防止溝112が形成されることができる。
【0037】
また、作業者がワークプレート100を容易に把持することができるように、ボトムプレート110またはトッププレート120には取っ手140がさらに設けられることができる。ここで、取っ手140がトッププレート120に設けられる場合、取っ手140の上部にも干渉防止溝112が形成されることが好ましい。
【0038】
図7は本発明によるインゴットのY軸補正方法の一実施例の構成図、図8は本発明によるインゴットのY軸補正用ワークプレートを用いたインゴットオリエンテーション補正方式を示す概念図である。
【0039】
図面符号は図2図5を一緒に参照し、図7及び図8を参照して本発明によるインゴットのY軸補正方法を説明すれば次のようである。
【0040】
本発明によるインゴットのY軸補正用ワークプレートを用いたインゴットのY軸補正方法は、X軸ターゲットマッチング段階(S20)、インゴット結合段階(S30)、及びY軸ターゲットマッチング段階(S50)を含んでなることができる。ここで、トッププレート解除段階(S40)及びトッププレート固定段階(S60)をさらに含むことができる。また、ノッチ方向調整段階(S10)をさらに含むことができる。
【0041】
前記各段階での動作状態などは前述したインゴットのY軸補正用ワークプレートの説明を参照することができ、便宜上、図7に示した順に簡略に説明する。
【0042】
ノッチ方向調整段階(S10)では、ノッチ方向を所望の方向または設定方向に固定させることができる。すなわち、従来のように、Y値(Vertical)が‘0’になるようにインゴット10を回転させた後、X値(Horizontal)がターゲット(Target)に合うように左右に移動させる方式ではなく、ノッチ方向を設定の一方向に均一に統一させて固定させる方式である。
【0043】
X軸ターゲットマッチング段階(S20)では、トッププレート120の上部でインゴット10を左右に移動させてX値(Horizontal)ターゲット(Target)に合わせてインゴット10のX軸を調整することができる。
【0044】
インゴット結合段階(S30)では、前記のようにX軸が調整されたインゴット10をそのままトッププレート120の上部に付着することができる。すなわち、インゴット10はX軸がターゲットに合わせて調整された状態でトッププレート120に付着される。
【0045】
トッププレート解除段階(S40)では、トッププレート120及びボトムプレート110に形成された固定解除手段130を用いて、トッププレート120がボトムプレート110に固定された状態を解除することができる。すなわち、トッププレート120はボトムプレート110の上部湾曲面に沿って移動可能な状態になる。
【0046】
Y軸ターゲットマッチング段階(S50)では、トッププレート120をY値(Vertical)ターゲットに合わせてボトムプレート110の湾曲した上面に沿って移動させることができる。すなわち、トッププレート120は左右方向(図4及び図5基準)のみに動くので、トッププレート120に結合されたインゴット10のX軸はそのまま維持されながらY軸値のみが調整され、これによりインゴット10のY軸をターゲット値に合わせて補正することができる。
【0047】
トッププレート固定段階(S60)では、Y軸角度までターゲット(Taget)値に調整した後、固定解除手段130を用いてトッププレート120をボトムプレート110に固定させることができる。すなわち、トッププレート120はボトムプレート110の上部で位置固定された状態になる。
【0048】
図示しなかったが、トッププレート固定段階(S60)の後、ワークプレート100をインゴット切断装置に移送してインゴット切断作業を遂行することができる。
【0049】
以上で説明した本発明によるインゴットのY軸補正用ワークプレートを使うことにより、ノッチアングル(Notch Angle)の位置を固定させることができ、既存には制御できなかったインゴットオリエンテーション(Ingot Orientation)のY軸(Y-axis)制御が可能である。
【0050】
以上で実施例に基づいて説明した特徴、構造、効果などは本発明の少なくとも一実施例に含まれ、必ずしも一実施例のみに限定されるものではない。また、各実施例で例示した特徴、構造、効果などは実施例が属する分野で通常の知識を有する者によって他の実施例にも組み合わせられるか変形されて実施可能である。したがって、このような組合せ及び変形についての内容は本発明の範囲に含まれるものと解釈しなければならないであろう。
【符号の説明】
【0051】
10 インゴット
100 ワークプレート
110 ボトムプレート
111 移動ガイド部
112 干渉防止溝
120 トッププレート
121 移動ガイド結合部
122 折曲部
130 固定解除手段
140 取っ手
S10 ノッチ方向調整段階
S20 X軸ターゲットマッチング段階
S30 インゴット結合段階
S40 トッププレート解除段階
S50 Y軸ターゲットマッチング段階
S60 トッププレート固定段階
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8