(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G07F 17/26 20060101AFI20231012BHJP
【FI】
G07F17/26
(21)【出願番号】P 2022148875
(22)【出願日】2022-09-20
(62)【分割の表示】P 2020005196の分割
【原出願日】2020-01-16
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】佐枝 政夫
(72)【発明者】
【氏名】金岡 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】中井 康博
(72)【発明者】
【氏名】片本 浩司
(72)【発明者】
【氏名】村上 光一
(72)【発明者】
【氏名】早野 康友
【審査官】平野 貴也
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-282710(JP,A)
【文献】特開2014-038649(JP,A)
【文献】特開2011-154075(JP,A)
【文献】特開2002-338032(JP,A)
【文献】特開平10-261054(JP,A)
【文献】特開2008-299877(JP,A)
【文献】特開2019-106091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 5/00 - 19/00
G07D 1/00 - 3/16,
9/00 - 13/00
G07G 1/00 - 5/00
G07B 1/00 - 9/02
B41J 29/00 - 29/70
G03G 13/00,
15/00,
21/16 - 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体、
前記筐体に設けられ、携帯型の通信対象物を載置するための載置部、および
前記載置部に載置される前記通信対象物と無線通信を行う無線通信部を備え、
前記載置部の下端部には、当該載置部と前記通信対象物との間に隙間を形成する段差が設けられる、情報処理装置。
【請求項2】
前記載置部は、当該載置部の下端部の左右方向の全体に亘って設けられ、左右に延びる凹部を含む、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記筐体の上面は、背面側から前面側に向かって下り勾配となる傾斜面であり、
前記載置部の上面は、前記筐体の上面と同じ傾斜角度である第1傾斜面と、前記第1傾斜面の前面側に接続され、前記凹部の一部を構成し、当該第1傾斜面よりも前面側に向かって下り勾配となる第2傾斜面とを含む、請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記載置部の下端に沿って左右に延びる第1突起部を備え、前記載置部は、当該載置部の下端部において左右に延び
て前記第1突起部よりも低い第2突起部を含む、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記載置部に設けられる少なくとも1つの発光部をさらに備える、請求項1から4までのいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記載置部は、矩形状に形成され、
前記発光部は、前記載置部の4つの角部のそれぞれに設けられる、請求項5記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記載置部に設けられ、通信対象物をかざす位置の指標となる無線通信マークをさらに備え、
前記無線通信マークは、前記載置部において前記4つの角部の対角線が交差する位置に配置される、請求項6記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記無線通信部は、前記筐体に内蔵される無線通信用アンテナを含み、
前記無線通信用アンテナは、前記4つの角部の対角線が交差する位置に配置される、請求項6または7記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記4つの発光部のうちの下側の2つの発光部のそれぞれは、前記載置部の下端に沿って左右に延びる第1突起部の長手方向の両端部に設けられる、請求項6から8までのいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記載置部の下端に沿って左右に延びる第1突起部を備え、
前記載置部は、背面側から前面側に向かって下り勾配となり、
前記第1突起部は、前記通信対象物の背面側から前面側への移動を規制する、請求項1から9までのいずれかに記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報処理装置に関し、特にたとえば、傾斜面に設けられる近距離無線通信部を備える、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の背景技術の一例が特許文献1に開示される。背景技術の画像形成装置は、筐体上部の前面に設けられる操作表示部を備え、操作表示部の上面は、背面側から前面側に向かって下り勾配となる傾斜面である。この操作表示部の上面には、携帯端末のICチップとの間で無線通信を実行して、ICチップに設けられた記憶部へのデータの読み書きを行うリーダライタが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、背景技術では、リーダライタが傾斜面に設けられているので、リーダライタと通信対象物との間で無線通信を実行する場合、ユーザは通信対象物が落下しないように通信対象物を支える必要がある。すなわち、無線通信を実行する場合、ユーザは通信対象物から手を放すことができず、不便である。
【0005】
このような問題を解決するために、リーダライタの下端部にストッパとなる突起部を設け、リーダライタの上面に通信対象物を載置できるようにすることが考えられる。しかしながら、リーダライタの下端部に突起部を設けると、リーダライタの上面から通信対象物を取り出しにくくなるという問題が生じる。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、情報処理装置を提供することである。
【0007】
この発明の他の目的は、載置部に載置された通信対象物を簡単に取り出すことができる、情報処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、筐体、筐体に設けられ、携帯型の通信対象物を載置するための載置部、および載置部に載置される通信対象物と無線通信を行う無線通信部を備え、載置部の下端部には、当該載置部と通信対象物との間に隙間を形成する段差が設けられる、情報処理装置である。
【0009】
第2の発明は、第1の発明に従属する情報処理装置であって、載置部は、当該載置部の下端部の左右方向の全体に亘って設けられ、左右に延びる凹部を含む。
【0010】
第3の発明は、第2の発明に従属する情報処理装置であって、筐体の上面は、背面側から前面側に向かって下り勾配となる傾斜面であり、載置部の上面は、筐体の上面と同じ傾斜角度である第1傾斜面と、第1傾斜面の前面側に接続され、凹部の一部を構成し、当該第1傾斜面よりも前面側に向かって下り勾配となる第2傾斜面とを含む。
【0011】
第4の発明は、第1の発明に従属する情報処理装置であって、載置部の下端に沿って左右に延びる第1突起部を備え、載置部は、当該載置部の下端部において左右に延びて第1突起部よりも低い第2突起部を含む。
【0012】
第5の発明は、第1から第4までの発明のいずれかに従属する情報処理装置であって、載置部に設けられる少なくとも1つの発光部をさらに備える。
【0013】
第6の発明は、第5の発明に従属する情報処理装置であって、載置部は、矩形状に形成され、発光部は、載置部の4つの角部のそれぞれに設けられる。
【0014】
第7の発明は、第6の発明に従属する情報処理装置であって、載置部に設けられ、通信対象物をかざす位置の指標となる無線通信マークをさらに備え、無線通信マークは、載置部において4つの角部の対角線が交差する位置に配置される。
【0015】
第8の発明は、第6または第7の発明に従属する情報処理装置であって、無線通信部は、筐体に内蔵される無線通信用アンテナを含み、無線通信用アンテナは、4つの角部の対角線が交差する位置に配置される。
【0016】
第9の発明は、第6から第8までの発明のいずれかに従属する情報処理装置であって、4つの発光部のうちの下側の2つの発光部のそれぞれは、載置部の下端に沿って左右に延びる第1突起部の長手方向の両端部に設けられる。
【0017】
第10の発明は、第1から第9までの発明のいずれかに従属する情報処理装置であって、載置部の下端に沿って左右に延びる第1突起部を備え、載置部は、背面側から前面側に向かって下り勾配となり、第1突起部は、通信対象物の背面側から前面側への移動を規制する。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、載置部に載置された通信対象物を簡単に取り出すことができる。
【0019】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1はこの発明の一実施例である画像形成システムの外観構成を概略的に示す正面図である。
【
図2】
図2は情報処理装置の外観構成を概略的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は第1状態の情報処理装置の外観構成を示す側面図である。
【
図4】
図4は第2状態の情報処理装置の外観構成を示す側面図である。
【
図5】
図5は情報処理装置の上面の構成を示す平面図である。
【
図6】
図6は近距離通信部の構成を示す断面図である。
【
図7】
図7は
図1に示す情報処理装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は
図1に示す画像形成装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は変形例における近距離通信部の構成を示す断面図である。
【
図10】
図10は第2実施例における第1状態の情報処理装置の外観構成を示す斜視図である。
【
図11】
図11は第2実施例における第2状態の情報処理装置の外観構成を示す斜視図である。
【
図12】
図12は第3実施例の情報処理装置の外観構成を示す斜視図である。
【
図13】
図13は変形例における情報処理装置の外観構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施例]
図1を参照して、この発明の第1実施例である画像形成システム100は、情報処理装置10および画像形成装置70を含む。
【0022】
情報処理装置10は、スーパーマーケット、レストランまたはコンビニエンスストアなどの店舗、並びに駅、バスターミナル、空港、役所または図書館などの公共施設に配置(設置)されるマルチメディアキオスク(MMK)端末である。この情報処理装置10は、配置される場所に応じて各種情報または所定の商品若しくはサービスを利用者(ユーザ)に提供することができ、各種情報、商品およびサービスを提供するための複数の機能を有する。たとえば、情報処理装置10は、写真等を印刷(プリント)するサービスをユーザに提供することができる。また、詳細は後述するが、情報処理装置10は、画像形成装置70と協働して、コピー、ファクス(FAX)、スキャンおよび印刷などの所定のサービスをユーザに提供することもできる。
【0023】
なお、この明細書では、ユーザの立ち位置に対向する面、つまり後述するディスプレイ14の表示面が設けられる側の面を前面(正面)として情報処理装置10およびその構成部材の前後方向(奥行方向)を規定し、情報処理装置10およびその構成部材の左右方向(横方向)は、ユーザから情報処理装置10を見た状態を基準として規定する。これらのことは、画像形成装置70についても同様である。
【0024】
図2~
図4に示すように、情報処理装置10は、筐体28を備える。筐体28は、下部筐体28a、前カバー(前扉)30、上部筐体32、前側上部カバー34、後側上部カバー36、上段後部カバー38および下段後部カバー40を含む。
【0025】
下部筐体28aは、矩形箱状に形成され、下部筐体28aの下面には、キャスターまたは脚部材が取り付けられる。下部筐体28aは、キャスターまたは脚部材を介して情報処理装置10の設置場所の床面に載置される。
【0026】
前カバー30は、下部筐体28aの前面に設けられ、筐体28の前端部を構成し、ヒンジなどを用いて下部筐体28aに対して開閉可能に設けられる。
【0027】
上部筐体32は、下部筐体28aの上面に取り付けられる。上部筐体32の上面には前側上部カバー34および後側上部カバー36が取り付けられる。前側上部カバー34および後側上部カバー36は、筐体28の上端部(上面)の大部分を構成する。
【0028】
ただし、前側上部カバー34と後側上部カバー36とは、前後に隣接して配置され、前側上部カバー34は、上部筐体32の上面の前側(たとえば、上部筐体32の上面の前半分)に配置され、後側上部カバー36は、上部筐体32の上面の後側(たとえば、上部筐体32の上面の後半分)に配置される。また、前側上部カバー34の前端部は、前カバー30の上方に位置し、前側上部カバー34の前端部と、前カバー30の上端部とは、上下に隣接する。
【0029】
図3および4に示すように、前側上部カバー34の上面34aおよび後側上部カバー36の上面36aは、背面側から前面側に向かって下り勾配となる傾斜面である。ただし、前側上部カバー34の上面34aおよび後側上部カバー36の上面36aの水平方向に対する傾斜角度は、略同じ(たとえば、水平方向に対して30°)である。すなわち、前側上部カバー34の上面34aと後側上部カバー36の上面36aとは平行面である。このように、筐体28の上面を構成する、前側上部カバー34の上面34aおよび後側上部カバー36の上面36aの両方が傾斜面であるので、筐体28の上面が傾斜面であるともいえる。
【0030】
また、後側上部カバー36は、後側上部カバー36の上面36aの上端部(後端部)から背面側(後方)に延びる傾斜面36bを含む。傾斜面36bは、前面側から背面側に向かって下り勾配となる傾斜面である。また、上部筐体32は、傾斜面36bの背面側に連続する、前面側から背面側に向かって下り勾配となる傾斜面32aを含む。ただし、後側上部カバー36の傾斜面36bおよび上部筐体32の傾斜面32aのそれぞれの水平方向に対する傾斜角度は、略同じである。すなわち、後側上部カバー36の傾斜面36bと、上部筐体32の傾斜面32aとは、略平行面であり、略同一面である。
【0031】
図2~
図4に示すように、上段後部カバー38は、上部筐体32の背面に取り付けられ、下段後部カバー40は、下部筐体28aの背面に取り付けられる。ただし、上段後部カバー38と下段後部カバー40とは、上下に隣接して配置される。また、
図3および4に示すように、上段後部カバー38の背面38aは、背面側から前面側に向かって下り勾配となる傾斜面である。さらに、下段後部カバー40は、上段後部カバー38の背面38aに連続する、背面側から前面側に向かって下り勾配となる傾斜面40aを含む。ただし、上段後部カバー38の背面38aおよび下段後部カバー40の傾斜面40aのそれぞれの水平方向に対する傾斜角度は、略同じである。すなわち、上段後部カバー38の背面38aと、下段後部カバー40の傾斜面40aとは、略平行面であり、略同一面である。
【0032】
筐体28の上面(天面)の大部分は、前面側から順に、前側上部カバー34の上面34a、後側上部カバー36の上面36a、後側上部カバー36の傾斜面36b、上部筐体32の傾斜面32a、上段後部カバー38の背面38aおよび下段後部カバー40の傾斜面40aによって構成される。上述したように、筐体28の上面の大部分を構成するこれらの面は全て傾斜面であるので、筐体28の上面に埃が付着しにくい(埃が溜まりにくい)構造となっている。
【0033】
また、
図1~
図5に示すように、情報処理装置10は、タッチパネル12付きのディスプレイ14、メモリ接続部50、光ディスク接続部52、紙片用プリンタ18、符号読取部20、近距離通信部22、貨幣処理部24、および写真印刷部26等の複数の操作部品(操作機器)を含む。複数の操作部品のそれぞれは、情報処理装置10が有する機能を発揮するために設けられており、これらの操作部品によって、第1操作部60、第2操作部62および第3操作部64が構成される。
【0034】
まず、第1操作部60について説明する。第1操作部60は、タッチパネル12付きのディスプレイ14および枠体(支持部材)140を含む。タッチパネル12は、汎用のタッチパネルであり、静電容量方式、電磁誘導方式、抵抗膜方式、赤外線方式など、任意の方式のものを用いることができる。この第1実施例では、タッチパネル12としては、静電容量方式のタッチパネルが用いられ、ディスプレイ14の表示面上にタッチパネル12が設けられる。ただし、タッチパネル12とディスプレイ14とが一体的に形成されたタッチパネルディスプレイが用いられてもよい。ディスプレイ14としては、たとえばLCDまたはEL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどを用いることができる。タッチパネル12付きのディスプレイ14には、ホーム画面などの各種の操作画面が表示され、タッチパネル12付きのディスプレイ14は、ユーザによる入力操作(ユーザ操作)を受け付ける入力手段として利用される。
【0035】
図2および
図3に示すように、タッチパネル12付きのディスプレイ14は、タッチパネル12付きのディスプレイ14の周縁部および背面部を覆う枠体140に支持される。枠体140は、筐体28(情報処理装置10)の上面に支持され、筐体28の上面の一部を覆うように設けられる。詳しくは、枠体140は、筐体28の上面の前後方向の略中央部に支持される。本実施例では、枠体140は、前側上部カバー34の後端部に支持される。
【0036】
ただし、枠体140は、基本的には、ディスプレイ14の表示面が背面側から前面側に向かって下り勾配となるように筐体28に支持される。以下、ディスプレイ14の表示面が傾斜面となっている(第1操作部60を傾斜させた)状態のことを第1状態(基本状態)という。第1状態では、ディスプレイ14の表示面が第1操作部60の上面となるので、第1状態における第1操作部60の上面は、背面側から前面側に向かって下り勾配となる傾斜面である。
【0037】
また、第1状態におけるディスプレイ14の表示面の水平方向に対する傾斜角度は、筐体28の上面(後側上部カバー36の上面36a)の水平方向に対する傾斜角度と略同じである。すなわち、第1状態におけるディスプレイ14の表示面と、筐体28の上面とは、略平行面である。また、第1状態におけるディスプレイ14の表示面の前端部と前側上部カバー34の上面34aとは上下方向に離間する。すなわち、第1状態におけるディスプレイ14の表示面と、前側上部カバー34の上面34aとの間には段差がある。
【0038】
さらに、枠体140は、第1状態と、第1状態よりも第1操作部60の中心(タッチパネル12付きのディスプレイ14の中心)が前面側に変位した第2状態との間で変位可能に支持される。すなわち、第1操作部60は、第1状態と、第2状態との間で変位可能である。
【0039】
本実施例では、枠体140は、枠体140の下端部を中心に、筐体28に対して枠体140(第1操作部60)を回動可能に支持するヒンジ部(回動支持部)142によって支持される。具体的には、回動支持部142は、円柱状または円筒状の軸部と、軸部を回動可能に軸支する軸支部とを含み、筐体28および枠体140の一方に軸部が設けられ、他方に軸支部が設けられる。軸部および軸支部は、枠体140の下端部における左右の両端部に1組ずつ設けられる。また、軸部の軸線は、左右方向に延び、回動支持部142は、左右方向を軸として上下方向または前後方向に回動可能に枠体140(第1操作部60)を支持する。なお、軸部と軸支部とが接する(摺動する)部分は、外部から見えないように、枠体140の一部または前側上部カバー34の一部によって覆われている(カバーされている)。したがって、軸部と軸支部とが接する部分(回動支持部142の内部)に埃が入り込みにくい構造となっている。
【0040】
また、第1操作部60は、第1状態よりも第1操作部60の中心が背面側に向かう方向(傾斜角度が水平方向に近づく方向)には変位されない。
図3に示すように、筐体28の上面(本実施例では後側上部カバー36の上面)には、突起部360が設けられており、この突起部360の上面が第1操作部60の下面(枠体140の下面または背面)に当接することによって、傾斜角度が水平方向に近づく方向への第1操作部60の回動が規制されるからである。このように、第1操作部60が背面側に向かう方向に変位されない状態(変位不可能な状態)が第1状態である。すなわち、第1操作部60が突起部360に回動規制された状態が第1状態である。また、突起部360の上面は、上方に向かって膨らむ湾曲面であり、突起部360は、半円柱状(円柱の一部を構成する形状)に形成される。
【0041】
さらに、第1状態における第1操作部60の下面と、筐体28の上面との間には、突起部360の突出高さに応じた空間(開口部)66が形成される。突起部360は、筐体28の上面の前後左右方向の端部から所定の間隔を隔てて配置されているので、開口部66は、第1操作部60の下面における、左側、右側および背面側に形成される。すなわち、開口部66は、第1操作部60の支持部(回動支持部142)を除く全ての部分に形成される。ユーザは、左側、右側および背面側に設けた開口部に手を挿入し、第1操作部60を持って(掴んで)、回動させることができる。このように、第1操作部60の背面側に開口部66が形成されるので、第1操作部60を変位させる際の操作性の向上および第1操作部60を変位させる際にユーザの手指が挟まれることを防止できる。
【0042】
また、第1操作部60は、第1状態よりも第1操作部60の中心が前面側に向かう方向(傾斜角度が垂直方向に近づく方向)には変位(回動)可能である。第1状態よりも第1操作部60の中心が前面側に変位した状態が第2状態であり、
図4および
図5には、第2状態の一例として、第1状態よりも第1操作部60の中心が前面側に変位し、ディスプレイ14の表示面が略垂直面となっている状態を示す。
【0043】
ただし、本実施例では、第1操作部60は、ユーザの手動によって回動される。第1操作部60が回動されることによって、ディスプレイ14の表示面の傾斜角度が変更される。ただし、ディスプレイ14の表示面が略垂直面となっている状態よりも第1操作部60の中心が前面側に向かう方向(傾斜角度が垂直方向に近づく方向)への第1操作部60の回動を規制する規制部(図示せず)が設けられ、この規制部により、上述したようにディスプレイ14の表示面が略垂直面となる。
【0044】
次に、第2操作部62について説明する。
図1、
図2および
図5に示すように、第2操作部62は、メモリ接続部50、紙片用プリンタ18、符号読取部20および近距離通信部22等の複数の操作部品を含む。
【0045】
メモリ接続部50は、持ち運びが可能な可搬型の不揮発性メモリ(たとえばUSBメモリ、SDメモリカードおよびメモリースティックなどのフラッシュメモリ)を装着するための装着部(メモリスロット)を含む。メモリ接続部50は、複数の種類のフラッシュメモリのそれぞれに対応する複数のメモリスロットを含む。
【0046】
紙片用プリンタ18(第3画像形成部)は、たとえばサーマルプリンタ(感熱式プリンタ)またはドットインパクトプリンタであり、レシート、ジャーナルまたはクーポン券などの画像が印刷された紙片を発行する。具体的には、紙片用プリンタ18は、ロール紙上に各種の文字列、画像、コードパターン(バーコードなど)などを印刷し、印刷済の紙片を排紙部(排紙口)18aから排出する。
【0047】
符号読取部20は、たとえばレーザスキャナまたはカメラなどを含み、商品、商品の包装、カード、レシートなどに付された符号またはユーザ端末(携帯端末)の画面に表示された符号などを読み取ることができる。符号読取部20で読み取ることができる符号には、バーコード(1次元バーコード)または2次元コード(たとえばQRコード(登録商標)、マイクロQRコード、DataMATRIX、MaxiCODEおよびVeriCODEなど)などがある。
【0048】
近距離通信部22は、たとえば、ISO/IEC18092等の通信規格(いわゆるNFC(Near Field Communication))に従って、通信対象との間で無線による非接触のデータ通信を行うものである。たとえば、近距離通信部22は、Felica(登録商標)等の通信規格に従って、ICカード、携帯端末(フィーチャーフォン、スマートフォンおよびタブレットPC等)、身分証、会員証または社員証などの携帯型の通信対象物との間で無線による非接触のデータ通信を行う。近距離通信部22の通信可能距離は、数cm~数m程度である。
図5に示すように、近距離通信部22は、通信対象物を載置するための載置部220を含む。なお、載置部220の具体的な構成については後述する。
【0049】
近距離通信部22は、載置部220に載置された通信対象物に対して、通信対象物の記憶部に記憶されたデータの読み出しを指示する信号(読出し命令)を送信する。通信対象物は、読出し命令に対する応答としてデータを近距離通信部22に送信する。また、近距離通信部22は、通信対象物の記憶部に書き込むデータ(書き込みデータ)とともに書き込みを指示する信号(書き込み命令)を送信する。通信対象物の記憶部には、書き込み命令に従って、受信した書き込みデータが書き込まれる(記憶される)。
【0050】
また、近距離通信部22がデータ通信を行う通信対象物には、所謂電子マネー媒体が含まれる。電子マネー媒体とは、ICカードおよび携帯端末等であって、少なくとも電子マネーの残高(電子マネー残高)についてのデータを含む電子マネーによる決済(電子決済)に係るデータ(電子マネーデータ)を記憶する記憶部を備える媒体のことである。近距離通信部22が電子マネー媒体とデータ通信を行う場合、近距離通信部22は、電子マネー媒体に対して、電子マネー媒体に記憶された電子マネーデータの読み出しを指示する読出し命令を送信する。電子マネー媒体は、読出し命令に対する応答として電子マネーデータを近距離通信部22に送信する。また、近距離通信部22は、電子マネー媒体に書き込む書き込みデータとともに書き込みを指示する書き込み命令を送信する。電子マネー媒体の記憶部には、書き込み命令に従って、受信した書き込みデータが記憶部に記憶される。このように、近距離通信部22は、電子マネー読取部としても機能する。
【0051】
図2および
図5に示すように、第2操作部62を構成する各操作部品は、筐体28の上面に設けられ、第2操作部62は、第1操作部60よりも前面側に配置される。すなわち、第1操作部60は、第2操作部62よりも背面側に配置される。
【0052】
本実施例では、第2操作部62の各操作部品は、前側上部カバー34に設けられる。具体的には、符号読取部20と近距離通信部22(載置部220)とが左右に並んで第2操作部62の前面側(ユーザから見て手前側)に配置されており、符号読取部20の背面側に隣接してメモリ接続部50が配置され、近距離通信部22(載置部220)の背面側に隣接して紙片用プリンタ18が配置される。ただし、紙片用プリンタ18は、接続面42に設けられる排紙部18aを除く部分、特に第2操作部62に含まれる部分は平坦面であり、また、近距離通信部22(載置部220)の背面側には、メモリ接続部50および符号読取部20等の操作部品が配置されていない。このため、近距離通信部22(載置部220)の背面側には突起などの凸凹が存在しないので、載置部220よりも大きな通信対象物(たとえば、スマートフォンおよびタブレットPC等)でも近距離通信部22にかざす(近づける)ことができる。
【0053】
そして、第2操作部62の各操作部品が設けられる筐体28の上面(前側上部カバー34の上面34a)が、第2操作部62の上面となる。上述したように、筐体28の上面(前側上部カバー34の上面34a)は背面側から前面側に向かって下り勾配となる傾斜面であるので、第2操作部の上面は、背面側から前面側に向かって下り勾配となる傾斜面(水平方向に対して傾斜角度が30°)であり、第1状態における第1操作部60の上面(第1状態におけるディスプレイ14の表示面)に対して略平行面である。傾斜面には、水平面よりも飲み物の容器等が置かれにくいと考えられるので、筐体28に内蔵される電子部品の故障の原因となり得る飲み物の容器等が第2操作部62の上面に置かれることを抑制できる。
【0054】
また、第2操作部62の各操作部品が傾斜面(第2操作部62の上面)に設けられるので、目線が低いユーザであっても、目線が高いユーザであっても、各操作部品を視認および操作し易いという利点がある。すなわち、異なる身体的特徴を有する様々なユーザの視認性および操作性を向上させることができる。
【0055】
さらに、第2操作部の上面には、ユーザを案内ないし誘導するための文字列、図形および記号等の案内情報が表記される。案内情報は、シルク印刷によって第2操作部の上面に表記されることが望ましい。このようにすれば、ユーザの目線の高さにかかわらず、案内情報が視認され易くなるので、案内情報の視認性を向上させることができる。
【0056】
次に、第3操作部64について説明する。
図2~
図4に示すように、第3操作部64は、光ディスク接続部(光学ドライブ)52および紙片用プリンタ18の排紙部18aを含む。光ディスク接続部52は、光ディスク(たとえばCD-R、DVD-RおよびBD-Rなど)を装着するためのディスクドライブを含む。たとえば、光ディスク接続部52は、光ディスクに記憶された画像を印刷する際に利用される。なお、上述したメモリ接続部50と、光ディスク接続部52とをまとめて、各種の記憶媒体を接続するための記憶媒体接続部16ということもできる。
【0057】
第3操作部64は、第1操作部60の上面(第1状態におけるディスプレイ14の表示面)の前端部と、第2操作部62の上面の後端部との間に形成される接続面(接続部)42に設けられる。すなわち、第3操作部64は、第1操作部60および第2操作部62の間に配置される。なお、本実施例では、接続面42は、前側上部カバー34の後端部に形成される縦壁部の前面(たとえば、略垂直面)である。このように、第1操作部60および第2操作部62の間の縦壁部の前面に第3操作部64が配置されるので、ユーザが視認し易いことに加え、第1操作部60および第2操作部62の間のスペースを有効活用できる。また、筐体28の上面の大部分に、第1操作部60、第2操作部62および第3操作部64が配置されているので、筐体28の上面のスペースを無駄なく有効活用できる。
【0058】
図1に戻って、貨幣処理部24は、貨幣投入部24aおよび硬貨返却口24bを含む。貨幣投入部24aは、硬貨を投入するための硬貨投入口24c、紙幣を投入するための紙幣投入口24dおよび釣銭を返却するための釣銭返却レバー24e等を含む。
【0059】
硬貨投入口24cから投入された硬貨および紙幣投入口24dから投入された紙幣は、それぞれ種類毎に分類されて前カバー30に内蔵される貨幣格納部(不図示)に収容される。貨幣格納部は、硬貨用の格納部および紙幣用の格納部を含む。硬貨または紙幣が投入されると、硬貨用の格納部に収容された硬貨の種類および枚数と、紙幣用の格納部に収容された紙幣の種類および枚数とに応じて、投入金額が算出される。情報処理装置10において所定のサービス等が実行されると、そのサービス等の内容に応じた費用(サービス等の提供に係る料金)が投入金額から減算され、投入金額から料金を差し引いて残った金額(残額)が算出される。また、釣銭返却レバー24eが操作されると、残額に応じて、硬貨または紙幣が返却される。ただし、硬貨は、硬貨返却口24bから返却され、紙幣は、紙幣投入口24dから返却される。
【0060】
ただし、貨幣処理部24における貨幣での決済に代えて、またはこれに加えて、電子決済が行われることがある。たとえば、サービス等が選択された後に、情報処理装置10のディスプレイ14に複数の電子マネーのブランド(種類)を表示して、ユーザに決済用の電子マネーを選択させ、決済用の電子マネーを利用して決済を行い、決済が完了されることでサービス等が提供される。
【0061】
上述した貨幣格納部は、前カバー30に内蔵されており、貨幣投入部24aおよび硬貨返却口24bのそれぞれは、前カバー30(筐体28)の前面に設けられる。たとえば、貨幣投入部24aは、前カバー30の上端部に配置される。一方、硬貨返却口24bは、貨幣投入部24aの下方であって、貨幣投入部24aに対して所定の間隔を隔てて配置される。
【0062】
また、硬貨返却口24b、硬貨投入口24cおよび紙幣投入口24dの一部またはこれらの近傍の所定部分は、所定の色(第1の色)に着色される。本実施例では、硬貨返却口24bの上方に貼り付けられるラベル24fと、硬貨投入口24cの周囲を囲む略円形の枠線24gと、紙幣投入口24dの上方に貼り付けられるラベル24hとが、第1の色(たとえば、黄色)に着色される。ただし、前カバー30(筐体28)の前面における、ラベル24f、枠線24gおよびラベル24h以外の部分は、第1の色には着色されない。したがって、硬貨返却口24b、硬貨投入口24cおよび紙幣投入口24dの一部またはこれらの近傍の所定部分だけが第1の色に着色された状態となる。このため、硬貨返却口24b、硬貨投入口24cおよび紙幣投入口24dのそれぞれが互いに関連性があること(貨幣での決済に関連すること)をユーザに直感的に認識させることができる。
【0063】
写真印刷部26(第2画像形成部)は、たとえば昇華型プリンタまたはインクジェットプリンタ(特に染料インクを用いるインクジェットプリンタ)であり、写真用の用紙(写真用紙、たとえば光沢紙)またはラベル・シール用の用紙(以下、単にシール紙という。)上に画像を印刷する。写真印刷部26で印刷された写真は、写真排出部26aに排出される。シール紙は、画像が印刷される面(印刷面)の裏面に、粘着剤(のり)が塗布された粘着層が形成され、この裏面には、容易に剥がせる剥離紙(台紙または裏紙)が接着されている。
【0064】
ただし、写真印刷部26で写真用紙およびシール紙に画像を形成するための画像データとしては、記憶媒体接続部16に接続された記憶媒体に記憶された画像データ、またはサーバ等の外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。また、写真用紙等のサイズは、L判サイズまたは2L判サイズなどである。
【0065】
写真印刷部26は、前カバー30に内蔵されており、写真排出部26aは、前カバー30(筐体28)の前面に設けられる。ただし、写真排出部26aは、硬貨返却口24bと左右に並んで配置される。すなわち、写真排出部26aと硬貨返却口24bとは、略同じ高さに配置される。なお、貨幣投入部24a、硬貨返却口24bおよび写真排出部26aは、前カバー30(筐体28)の前面に設けられているので、上述した第1操作部60、第2操作部62および第3操作部64のいずれにも含まれない。これらの貨幣投入部24a、硬貨返却口24bおよび写真排出部26aをまとめて第4操作部ということもできる。
【0066】
次に、
図5および
図6を参照して、近距離通信部22の載置部220の具体的構成を説明する。載置部220は、筐体28の上面(前側上部カバー34の上面34a)に設けられ、載置面222および第1突起部224を含む。
【0067】
載置面222は、筐体28の上面(前側上部カバー34の上面34a)の一部によって構成される。すなわち、載置面222は、背面側から前面側に向かって下り勾配となる傾斜面である。また、載置面222は、通信対象物のうち、ICカード(JISX6301またはISO/IEC7810で規定される長方形状)の形状および大きさ(縦53.98mm×横85.60mm)に合わせた略矩形状に形成される。なお、載置面222の大きさは、通信対象物と同じまたは通信対象物よりも少し大きく設定される。また、載置部220全体としても、載置面222よりも少し大きい略矩形状に形成される。
【0068】
また、第1突起部224は、載置部220の下端縁(載置面222の下端縁)に沿って左右に延び、上方(筐体28の上面に対して略垂直)に突出する。本実施例では、第1突起部224は、載置部220の左端部から右端部に亘って、すなわち、載置部220の左右方向の全体に対向するように、形成される。なお、第1突起部224は、載置部220の左右方向の一部(たとえば中央部のみ)に対向するように形成されてもよい。
【0069】
このように、載置部220の下端縁に沿って第1突起部224が設けられるので、通信対象物が載置部220(載置面222)から滑り落ちることを防止(通信対象物の移動を規制)できる。
【0070】
また、
図6に示すように、載置面222の下端部には、段差が形成される。本実施例では、載置面222の下端部に設けられ、左右に延びる凹部226によって段差が形成される。段差(凹部226)は、載置面222の下端部の左右方向の略全体に亘って設けられる。具体的には、載置面222は、筐体28の上面と同じ同一面(同じ傾斜角度)である第1傾斜面228と、載置面222の下端部において第1傾斜面228の下側(前面側)に接続され、第1傾斜面228よりも前面側に向かって下り勾配となる(第1傾斜面228よりも水平方向に対する傾斜角度が大きい)第2傾斜面230とを含み、第1傾斜面228と第2傾斜面230との傾斜角度の違いによって、凹部226が形成される。すなわち、第2傾斜面230が凹部226を形成する。
【0071】
このように、載置面222の下端部に段差が形成されることによって、載置面222にICカード等の通信対象物が載置された場合、載置面222の下端部(通信対象物の下端部)では、通信対象物と載置面222との間に隙間(空間)が生じる。このため、ユーザによって通信対象物の下端部が上から押されると、その反対側(通信対象物の上端部)が起き上がるので、第1突起部224があったとしても、載置面222から通信対象物を取り出しやすくなる。
【0072】
また、
図5に戻って、載置部220は、複数の発光部232を含む。複数の発光部232のそれぞれは、LEDランプ等の光源を含み、載置面222の外側に隣接して配置される。すなわち、複数の発光部232のそれぞれは、ICカード(縦53.98mm×横85.60mm)が載置面222に載置された場合に、ICカードに重ならない位置に配置される。本実施例では、発光部232は、載置部220の上下左右方向の4つの角部のそれぞれ(載置部220の四隅)に設けられる。また、4つの発光部232のうち、下側に配置される2つの発光部232のそれぞれは、第1突起部224に設けられる。詳しくは、下側に配置される2つの発光部232のそれぞれは、第1突起部224の左右方向(長手方向)の両端部にそれぞれ設けられる。
【0073】
たとえば、発光部232は、料金の支払い方法として電子決済が選択されたときには点滅した状態となり、ユーザの注意を載置部220(載置面222)に引き付ける(ユーザを誘導する)。また、発光部232は、近距離通信部22と通信対象物(たとえば電子マネー媒体)とが通信中のとき、または近距離通信部22と通信対象物(たとえば電子マネー媒体)との通信(電子マネーデータの読取)が完了したときには点灯した状態となる。さらに、発光部232は、点灯した時点から所定時間経過したとき、通信対象物が載置部220から取り出されたとき(取り外されたとき)、または、他の操作部品(たとえば、タッチパネル12)が操作されたときに、消灯した状態となる。したがって、ユーザは、発光部232の点灯状態に応じて、近距離通信部22と通信対象物との通信状態(通信状況)を判断(認識)できる。
【0074】
このように、載置部220に発光部232が設けられているので、カードを載置する領域(載置面222)を指示(示唆)することによって、ユーザを誘導できる。また、発光部232が載置面222の外側に隣接して配置されるので、載置部220に載置されたまたはかざされた通信対象物(ICード)によって、発光部232が覆われない(隠れない)ので、通信対象物に対して読取中(通信)か、読取完了(通信完了)したかどうかがユーザは容易に判断(認識)できる。
【0075】
また、発光部232がICカードに重ならない位置に配置されており、また、近距離通信部22と通信対象物とが通信中の場合は発光部232が点灯するので、ユーザは、近距離通信部22と通信対象物との通信中であることを容易に判断することができ、通信中に誤って通信対象物が取り出されることがない。
【0076】
また、載置面222の中央部には、通信対象物をかざす(近づける)位置の指標となる、適宜の図形等を含む無線通信マーク234が設けられる。また、無線通信マーク234に対応する位置であって筐体28の内側には、近距離通信部22が通信対象物に対して信号を送受信するための無線通信用アンテナ236が内蔵される。無線通信マーク234および無線通信用アンテナ236は、載置部220の上下左右方向の4つの角部の対角線(対角に配置される発光部232同士を結ぶ線)が交差する位置に配置される。
【0077】
図7は
図1に示す情報処理装置10の電気的な構成を示すブロック図である。
図7を参照して、情報処理装置10はCPU122を含む。CPU122には、バス120を介してRAM124、記憶部126、タッチパネル制御回路128、表示制御回路130、記憶媒体接続部16、紙片用プリンタ18、符号読取部20、近距離通信部22、貨幣処理部24、写真印刷部26、点灯制御回路132および通信回路134が接続される。また、タッチパネル制御回路128にはタッチパネル12が接続され、表示制御回路130にはディスプレイ14が接続され、点灯制御回路132には、発光部232が接続される。
【0078】
CPU122は、情報処理装置10の全体的な制御を司る。RAM124は、CPU122のワーク領域およびバッファ領域として用いられる。
【0079】
記憶部126は、ROMまたはHDD等を含む情報処理装置10の主記憶装置であって、CPU122が情報処理装置10の各部位の動作を制御するための制御プログラム、各種情報についてのデフォルト値および各種の画面についての表示画像データ等を適宜記憶する。ただし、記憶部126としては、HDDに代えて、またはHDDとともに、SSD、フラッシュメモリ、EEPROMなどの他の不揮発性メモリが用いられてもよい。このことは、後述する画像形成装置70の記憶部86も同様である。
【0080】
なお、本実施例では、CPU122、RAM124および記憶部126は、画像形成システム100の主制御部として機能する。すなわち、主制御部を備える情報処理装置10が画像形成システム100の主制御装置(マスター装置)として機能する。また、CPU122、RAM124および記憶部126は、上部筐体32に収納される。
【0081】
タッチパネル制御回路128は、タッチパネル12に必要な電圧などを付与するとともに、タッチパネル12のタッチ有効範囲内でのタッチ操作(タッチ入力)を検出して、そのタッチ入力の位置を示すタッチ座標データをCPU122に出力する。
【0082】
表示制御回路130は、GPUおよびVRAMなどを含んでおり、CPU122の指示の下、GPUは、RAM124に記憶された画像生成データを用いてディスプレイ14に種々の画面を表示するための表示画像データをVRAMに生成し、生成した表示画像データをディスプレイ14に出力する。
【0083】
点灯制御回路132は、発光部232に含まれる光源を制御して、光源を点灯させたり、光源を消灯したりする。なお、各発光部232のそれぞれに含まれる光源は、個別に制御可能である。すなわち、各発光部232は個別に制御可能である。たとえば、近距離通信部22と通信対象物との通信状態に応じて、光源の点灯/消灯が制御される。
【0084】
通信回路134は、インターネットなどのネットワークに接続するための通信回路である。この通信回路134は、有線通信回路または無線通信回路であり、CPU122からの指示に従って、ネットワークを介して、画像形成装置70およびサーバ等の外部コンピュータ(外部端末)と通信する。ただし、通信回路134は、ネットワークを介さずに、有線または無線(たとえば赤外線方式、WiFi(登録商標)方式またはブルートゥース(Bluetooth;登録商標)方式で、画像形成装置70および外部端末などと直接通信することも可能である。
【0085】
なお、
図7に示す情報処理装置10の電気的な構成は単なる一例であり、これに限定される必要はない。たとえば、情報処理装置10には、他の入力手段として、操作パネルのようなハードウェアの操作ボタンが設けられたり、ハードウェアのキーボードが接続されたりすることがある。
【0086】
図1に戻って、画像形成装置(第1画像形成装置に相当)70は、印刷(プリント)機能、複写機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)である。ただし、画像形成装置70は、情報処理装置10の近傍に設置され、本実施例では、情報処理装置10の右側に隣接して設置される。
【0087】
画像形成装置70は、筐体80を備え、筐体80は、下部筐体80aと、下部筐体80aの上面に設けられる(連結される)上部筐体80bを含む。下部筐体80aには、画像形成部74および給紙部76が設けられ、上部筐体80bには、画像読取部72および排紙トレイ78が設けられる。
【0088】
画像読取部72は、透明材によって形成される原稿載置台を備え、上部筐体80b(筐体80)に内蔵される。原稿載置台の上方には、ヒンジ等を介して原稿押えカバー72aが開閉自在に取り付けられる。
【0089】
また、画像読取部72は、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等を備える。この画像読取部72は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度または色度が検出され、原稿表面の画像に基づく読取画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)またはCIS(Contact Image Sensor)等が用いられる。
【0090】
画像形成部74(第1画像形成部)は、下部筐体80a(筐体80)に内蔵される。この画像形成部74は、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置および定着装置などを備える電子写真方式の画像形成部である。また、画像形成部74は、カラーのプリント機能を備えており、画像形成部74には、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色について、感光体ドラム、帯電装置および現像装置等を含む複数の画像形成ステーションが設けられる。たとえば、画像形成部74は、給紙部76等から搬送される所定の記録媒体(用紙)上に電子写真方式によって画像を形成し、画像形成済みの用紙を画像読取部72および画像形成部74の間に設けられる排紙トレイ78に排出する。
【0091】
ただし、画像形成部74で用紙上に画像を形成するための印刷画像データとしては、画像読取部72で読み取った読取画像データ、情報処理装置10から送信された画像データ、または外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。
【0092】
なお、画像形成部74は、電子写真方式の画像形成部に限定されない。たとえば、画像形成部74は、たとえばインクジェット式の画像形成部であっても良い。
【0093】
ただし、下部筐体80aの上下方向の寸法(大きさ)は、情報処理装置10の前カバー30の上下方向の寸法と略同じであり、下部筐体80aと前カバー30とは、上下方向において略同じ位置に配置される。したがって、下部筐体80aの上端縁は、情報処理装置10の前カバー30の上端縁と略同じ高さに位置し、下部筐体80aの下端縁は、情報処理装置10の前カバー30の下端縁と略同じ高さに位置する。すなわち、下部筐体80aと前カバー30とは、互いの上端縁および下端縁の高さが一致する(上下方向の幅が対応する)ように構成される。
【0094】
また、上部筐体80bの上下方向の幅(大きさ)は、前側上部カバー34の下端部から第1状態における枠体140の上端部までの上下方向の幅と略同じであり、上部筐体80bの上端縁は、第1状態における枠体140の上端縁と略同じ高さに位置し、上部筐体80bの下端縁は、前側上部カバー34の下端縁と略同じ高さに位置する。
【0095】
すなわち、情報処理装置10における前カバー30および前側上部カバー34の境界線の上下方向の位置(高さ)と、画像形成装置70における下部筐体80aおよび上部筐体80bの境界線の高さとが一致し、情報処理装置10の上端(第1状態における枠体140の上端縁)の高さと、画像形成装置70の上端(上部筐体80bの上端縁)の高さとが一致する。
【0096】
また、前カバー30の大部分(上述した第1の色に着色される部分等は除く)は、第2の色(たとえば、薄い灰色)に着色されており、下部筐体80aもまた、第2の色または第2の色と同系色に着色される。ただし、同系色とは、色相環において、対象となる色に対して隣り合う色を意味する。
【0097】
また、前側上部カバー34および枠体140は、第1の色および第2の色とは異なる第3の色(たとえば、黒色または濃い灰色)に着色されており、上部筐体80bもまた、第3の色または第3の色と同系色に着色される。
【0098】
したがって、情報処理装置10および画像形成装置70のそれぞれにおいて、前カバー30および前側上部カバー34の境界線並びに下部筐体80aおよび上部筐体80bの境界線を境に、下方が第2の色に着色され、上方が第2の色とは異なる第3の色に着色される。このため、情報処理装置10と画像形成装置70とは別の装置でありながらも一体感が生じるので、画像形成システム100の美感が向上する。また、第1操作部60、原稿載置台および排紙トレイ78等のユーザが使用する可能性が高いコンポーネントは、いずれも上記境界線よりも上方に位置するので、第1操作部60から原稿載置台、第1操作部60から排紙トレイ78等のユーザ操作の動線を誘導することができる。
【0099】
また、排紙トレイ78は、前面側および左側(情報処理装置10側)が開口し、排紙トレイ78の底面は、情報処理装置10側に向かって上り勾配(情報処理装置10の反対側に向かって下り勾配)となる傾斜面を有する。また、排紙トレイ78の背面側には、上部筐体80bの一部である壁部80cが設けられる。すなわち、排紙トレイ78の背面は、壁部80cによって規定される。ただし、壁部80cの情報処理装置10側の端部(左端部)は、情報処理装置10(筐体28)の側面から所定の間隔を隔てて設けられる。したがって、情報処理装置10と壁部80cとの間には、採光用開口部92が形成される。自然光または情報処理装置10の設置場所の照明の光が採光用開口部92から排紙トレイ78に入るので、排紙トレイ78の内部が明るくなり、排紙トレイ78の視認性が向上する。
【0100】
図8は
図1に示す画像形成装置70の電気的な構成を示すブロック図である。
図8を参照して、画像形成装置70はCPU82を含む。CPU82には、バス90を介してRAM84、記憶部86、画像読取部72、画像形成部74および通信回路88が接続される。
【0101】
CPU82は、画像形成装置70の全体的な制御を司る。RAM84は、CPU82のワーク領域およびバッファ領域として用いられる。
【0102】
記憶部86は、HDD等の画像形成装置70の主記憶装置であって、CPU82が画像形成装置70の各部位の動作を制御するための制御プログラムおよび各種の画面についての表示画像データ等を適宜記憶する。なお、本実施例では、CPU82、RAM84および記憶部86は、画像形成システム100の副制御部として機能する。
【0103】
通信回路88は、インターネットなどのネットワークに接続するための通信回路である。この通信回路88は、有線通信回路または無線通信回路であり、CPU82からの指示に従って、ネットワークを介して、サーバ等の外部コンピュータと通信する。ただし、通信回路88は、ネットワークを介さずに、有線または無線で、情報処理装置10と直接通信することも可能である。
【0104】
なお、
図8に示す画像形成装置70の電気的な構成は単なる一例であり、これに限定される必要はない。
【0105】
この第1実施例の情報処理装置10によれば、第1操作部60を構成するディスプレイ14の表示面と、複数の操作部品を含む第2操作部62の上面とが、同じ方向に傾斜する傾斜面であるので、目線が低いユーザであっても、目線が高いユーザであっても、各操作部品を視認および操作し易いという利点がある。
【0106】
なお、上述の第1実施例では、載置面222の下端部に設けられる凹部226によって段差が形成されるようにしたが、これに限定される必要はない。たとえば、
図9に示すように、載置面222の下端部において左右に延びる第2突起部238によって段差が形成されるようにしてもよい。第2突起部238は、載置面222の左右方向の略全体に亘って設けられてもよいし、載置面222の左右方向の一部(たとえば中央部)に部分的に設けられてもよい。第2突起部238は、第1突起部224と同じ方向(上方または筐体28の上面に対して垂直)に突出するが、第2突起部238の上端の位置は、第1突起部224の上端の位置よりも下方である(筐体28の上面に近い)。すなわち、第2突起部238は、第1突起部224よりも突出量が少ない(突出高さが低い)。詳しくは、第2突起部238の上端の位置(第2突起部238の突出高さ)は、載置面222に通信対象物が載置された際に、通信対象物の下端部が第1突起部224を乗り越えない(第1突起部224よりも上方に位置しない)程度の高さに設定される。
[第2実施例]
第2実施例では、回動支持部142に代えて、情報処理装置10にスライド支持部44が設けられる以外は第1実施例と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
【0107】
図10および
図11に示すように、第2実施例では、筐体28は、前側上部カバー34および後側上部カバー36に代えて、筐体28の上端部(上面)の大部分を構成する上部カバー46を含む。
【0108】
また、枠体140は、筐体28に対して枠体140(第1操作部60)を第1操作部60の上面に沿って前後にスライド可能に支持するスライド支持部44によって支持される。すなわち、第1操作部60は、第1操作部60の上面に沿ってスライドされるので、傾斜角度を維持したまま、前後に変位する。
【0109】
スライド支持部44は、枠体140の左右の両端部に沿って設けられ、スライド可能に嵌合されるガイド溝462およびガイド突起144などを含む。本実施例では、ガイド溝462は、筐体28(上部カバー46)に形成され、ガイド突起144は、枠体140に形成される。なお、ガイド溝が枠体140に形成され、ガイド突起が筐体28(上部カバー46)に形成されてもよい。
【0110】
この第2実施例では、
図10に示すように、枠体140(第1操作部60)が最も背面側に位置する(枠体140の後端部が上部カバー46の背面側の竪壁に当接する)状態が第1状態であり、
図11に示すように、枠体140(第1操作部60)が前面側に変位した状態が第2状態である。
【0111】
この第2実施例によれば、第1実施例と同様に、第1操作部60の上面および第2操作部62の上面が同じ方向に傾斜しているので、ユーザの操作性を向上させることができる。
【0112】
また、上述した第2実施例の構成に加えて、情報処理装置10に、枠体140(第1操作部60)の位置を検出する位置検出センサが設けられてもよい。このようにすれば、第2操作部62の操作部品への操作が必要なタイミングで、第1操作部60が第2状態である(第2操作部62の一部が第1操作部60によって覆われている)場合に、第1操作部60を後方にスライドさせることを促す旨の報知画面をディスプレイ14に表示させたりして、第1操作部60を後方にスライドさせて第1状態にする(第2操作部62の上方を開放する)ことをユーザに促すことができる。加えて、情報処理装置10に、枠体140(第1操作部60)を移動させるための駆動機構が設けられてもよい。このようにすれば、第2操作部62の操作部品への操作が必要なタイミングで、第1操作部60を自動的に第1状態にすることができる。
[第3実施例]
第3実施例では、第1操作部60および第2操作部62の前後関係が逆転している以外は第1実施例と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
【0113】
図12に示すように、第3実施例では、筐体28は、前側上部カバー34および後側上部カバー36に代えて、筐体28の上端部(上面)の大部分を構成する上部カバー48を含む。また、第2操作部62は、筐体28の上面における第1操作部60よりも背面側に配置される。すなわち、第1操作部60は、第2操作部62よりも前面側に配置される。
【0114】
なお、第1操作部60は、第1実施例と同様に、回動支持部142によって回動可能に支持されている。また、第3操作部64は、上部カバー48の後端部に形成される縦壁部48aに設けられる。
【0115】
さらに、タッチパネル12付きのディスプレイ14以外の操作部品が、ユーザから見て手前側の第1操作部60に含まれてもよい。たとえば、
図13に示すように、メモリ接続部50が、第1操作部60に含まれてもよい。この場合、メモリ接続部50は、枠体140の左右の外側面(たとえば、右側面)に設けられる。
【0116】
この第3実施例によれば、第1実施例と同様に、第1操作部60の上面および第2操作部62の上面が同じ方向に傾斜しているので、ユーザの操作性を向上させることができる。
【0117】
なお、上述の実施例で挙げた具体的な構成等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。
【0118】
たとえば、第1操作部60の下面と筐体28の上面との間の開口部66を形成するための突起部360は、第1操作部60側に設けられていてもよい。
【0119】
また、載置部220に4つの発光部232が設けられるようにしたが、発光部232の数は4つに限定される必要はなく、3つ以下(たとえば1つ)でもよいし、5つ以上でもよい。
【符号の説明】
【0120】
100 …画像形成システム
10 …情報処理装置
22 …近距離通信部
28 …筐体
34 …前側上部カバー
60 …第1操作部
62 …第2操作部
64 …第3操作部
70 …画像形成装置
220 …載置部
226 …凹部(段差)