(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-11
(45)【発行日】2023-10-19
(54)【発明の名称】方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
H04W 8/04 20090101AFI20231012BHJP
H04W 8/12 20090101ALI20231012BHJP
H04W 60/00 20090101ALI20231012BHJP
【FI】
H04W8/04
H04W8/12
H04W60/00
(21)【出願番号】P 2023131502
(22)【出願日】2023-08-10
【審査請求日】2023-08-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】397036309
【氏名又は名称】株式会社インターネットイニシアティブ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100162846
【氏名又は名称】大牧 綾子
(72)【発明者】
【氏名】柿島 純
【審査官】新井 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-319436(JP,A)
【文献】特開2011-130119(JP,A)
【文献】特開平05-300082(JP,A)
【文献】国際公開第2022/091188(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムで実施される方法であって、
前記システムは、階層化された親プロファイル管理装置と、子プロファイル管理装置とを備え、
前記親プロファイル管理装置は全ての加入者の加入者プロファイルを保持し、
前記子プロファイル管理装置は、前記親プロファイル管理装置から取得した
前記全ての加入者の前記加入者プロファイルを子加入者プロファイルとして保持し、
前記方法は、前記子プロファイル管理装置により、
端末装置からの位置登録要求信号の在圏情報が、前記端末装置の加入者識別番号に対応する前記子加入者プロファイルの在圏情報と異なる場合に、前記加入者識別番号と、前記位置登録要求信号の在圏情報とを含む在圏情報更新ファイルを前記親プロファイル管理装置へ送信することを含む方法。
【請求項2】
前記方法は、前記子プロファイル管理装置により、
前記在圏情報更新ファイルに基づいて、在圏情報が更新された前記加入者プロファイルを前記親プロファイル管理装置から取得することと、
前記在圏情報が更新された加入者プロファイルに基づいて、前記子加入者プロファイルを更新することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記在圏情報更新ファイルは、前記子プロファイル管理装置により、さらに
前記端末装置から、前記端末装置から読み出された加入者識別番号と、前記端末装置の在圏情報とを含む位置登録要求信号を受信することと、
前記位置登録要求信号の在圏情報が、前記加入者識別番号に対応する前記子加入者プロファイルの在圏情報と異なるかを判定することと、
前記位置登録要求信号の在圏情報が、前記加入者識別番号に対応する前記子加入者プロファイルの在圏情報と異なると判定したときに、前記加入者識別番号と、前記位置登録要求信号の在圏情報とを含む在圏情報更新ファイルを作成することと
により作成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、前記親プロファイル管理装置により、
前記子プロファイル管理装置から取得した在圏情報更新ファイルに基づいて、前記在圏情報更新ファイルの加入者識別番号に対応する在圏情報で、前記加入者プロファイルの在圏情報を更新すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、前記子プロファイル管理装置により
前記在圏情報更新ファイルを前記親プロファイル管理装置へ送信することと、
前記更新された加入者プロファイルを、前記親プロファイル管理装置から取得することと、
前記在圏情報が更新された加入者プロファイルに基づいて、前記子加入者プロファイルを更新することと
を、繰り返す請求項2に記載の方法。
【請求項6】
作成された前記在圏情報更新ファイルは定期的に前記子プロファイル管理装置から前記親プロファイル管理装置に送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記子プロファイル管理装置は、前記親プロファイル管理装置との通信ルート、およびユーザデータ管理装置との通信ルートが確立されている第1の子プロファイル管理装置と、
前記親プロファイル管理装置との通信ルート、およびユーザデータ管理装置との通信ルートが確立されていない第2の子プロファイル管理装置とを備え、
前記方法は、
前記第1の子プロファイル管理装置と前記第2の子プロファイル管理装置との間の通信ルートが確立されると、前記第1の子プロファイル管理装置から前記ユーザデータ管理装置へ位置登録要求信号の送信禁止指示を送信することと、
をさらに含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、
前記第2の子プロファイル管理装置と前記親プロファイル管理装置との間で通信ルートが確立され、前記第2の子プロファイル管理装置と前記ユーザデータ管理装置との間で通信ルートが確立されると、
前記親プロファイル管理装置により、前記第2の子プロファイル管理装置へ、前記全ての加入者の前記加入者プロファイルを送信することと、
前記第2の子プロファイル管理装置により、前記親プロファイル管理装置から全ての加入者の前記加入者プロファイルを取得し、子加入者プロファイルとして保持することと、
前記第2の子プロファイル管理装置により、前記ユーザデータ管理装置へ位置登録要求信号の送信要求指示を送信することと
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、
前記第2の子プロファイル管理装置により、端末装置からの位置登録要求信号の在圏情報が、前記端末装置の加入者識別番号に対応する前記子加入者プロファイルの在圏情報と異なる場合に、前記加入者識別番号と、前記位置登録要求信号の在圏情報とを含む在圏情報更新ファイルを作成することと
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、
前記第1の子プロファイル管理装置により、前記親プロファイル管理装置に対し、前記加入者プロファイルの
送信禁止要求を送信することと
前記第2の子プロファイル管理装置と前記親プロファイル管理装置との間で通信ルートが確立され、前記第2の子プロファイル管理装置と前記ユーザデータ管理装置との間で通信ルートが確立されると、前記第2の子プロファイル管理装置により、前記親プロファイル管理装置に対し、前記加入者プロファイルの送信要求を送信することと
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
システムであって、
前記システムは、階層化された親プロファイル管理装置と、子プロファイル管理装置とを備え
前記親プロファイル管理装置は全ての加入者の加入者プロファイルを保持し、
前記子プロファイル管理装置は、前記親プロファイル管理装置から取得した
前記全ての加入者の前記加入者プロファイルを子加入者プロファイルとして保持し、
前記子プロファイル管理装置は、
端末装置からの位置登録要求信号の在圏情報が、前記端末装置の加入者識別番号に対応する前記子加入者プロファイルの在圏情報と異なる場合に、前記加入者識別番号と、前記位置登録要求信号の在圏情報とを含む在圏情報更新ファイルを前記親プロファイル管理装置へ送信することと、を実行するよう構成されているシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、方法およびシステムに関する。より詳細には、加入者プロファイルを階層化した管理ネットワーク要素間で共有するための方法、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
製品・サービス販売終了(End of Sale :EOS)や、保守・サポートの終了(End of Life :EOL)などの際、加入者の加入者プロファイルを管理するデータベース(5Gの場合UDR:Unified Data Repository)を備える管理ネットワーク要素は収容している加入者プロファイルを、旧管理ネットワーク要素から新管理ネットワーク要素へ移管する必要がある。ここで、移管処理は、加入者の通信サービスや契約情報などを含む加入者プロファイルを、ある装置から別の装置に移す際に行われる手続をいう。例えば、移管処理は、旧統合データ管理装置の、加入者プロファイルを読み出しし、読み出した加入者プロファイルを検証して、正当な加入者であることを確認したのち、加入者プロファイルを新統合データ管理装置へ移行し、その後旧統合データ管理装置に記憶されていた加入者プロファイルを削除する処理を含むことができる。
【0003】
従来、移管中に、加入者の端末装置が移動し、位置登録要求信号を送信すると、この位置登録要求信号は、移管元の旧管理ネットワーク要素に送信され、移管先の新管理ネットワーク要素の加入者プロファイルの在圏情報に反映されない可能性があった。例えば移管中に端末装置が、モビリティ管理要素(5Gの場合AMF:Access and Mobility Management Function)間を移動すると、移管先の新管理ネットワーク要素において、在圏情報は移動前のモビリティ管理要素の識別子のままとなり、移動後のモビリティ管理要素識別子には更新されず、新管理ネットワーク要素の加入者プロファイルの在圏情報が、端末装置の実際の在圏情報とは異なるアンマッチ状態になることがある。従来、このアンマッチ状態を解消するために新管理ネットワーク要素から、リセット信号を配下の全てのモビリティ管理要素に送信していた。リセット信号を受信すると、モビリティ管理要素は該当加入者識別番号の端末装置から位置登録要求を受信したとき、位置登録要求信号を新管理ネットワーク要素へ送信する。
【0004】
しかし、リセット信号により、移管対象の全加入者の端末装置から位置登録要求信号が一斉に移管先の新管理ネットワーク要素に送信されることになる。このため、移管先の新管理ネットワーク要素の加入者プロファイルの在圏情報がアンマッチ状態にないにも関わらず、モビリティ管理装置はリセット信号を受信すると必ず移管先の新管理ネットワーク要素へ位置登録要求信号を送信していた。従って、モビリティ管理装置から新ネットワーク要素に向かってバースト的なトラヒックが発生し、これらの間のネットワークが輻輳する危険性がある。
【0005】
ところで、位置登録要求信号数を削減する技術として、特許文献1がある。特許文献1に記載の技術では、統合データ管理装置からのリセット信号に基づいて、モビリティ管理要素が位置登録要求信号を管理ネットワーク要素に送信する際に、モビリティ管理要素からの位置登録要求信号の送信数を低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、位置登録要求信号の送信数を減らすものの、アンマッチ状態にない端末装置も管理ネットワーク要素へ位置登録要求信号を送信する。
【0008】
本発明の目的は、管理ネットワーク要素を階層化することにより、親管理ネットワーク要素の処理負荷低減を図ることにある。
【0009】
また、本発明の他の目的の1つは、旧管理ネットワーク要素から新管理ネットワーク要素へ接続を切り替える際に、モビリティ管理装置から新管理ネットワーク要素に向かうバースト的なトラフィックの発生を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本開示の一態様は、システムで実施される方法であって、前記システムは、階層化された親プロファイル管理装置と、子プロファイル管理装置とを備え、前記親プロファイル管理装置は全ての加入者の加入者プロファイルを保持し、前記子プロファイル管理装置は、前記親プロファイル管理装置から取得した前記全ての加入者の前記加入者プロファイルを子加入者プロファイルとして保持し、前記方法は、前記子プロファイル管理装置により、端末装置からの位置登録要求信号の在圏情報が、前記端末装置の加入者識別番号に対応する前記子加入者プロファイルの在圏情報と異なる場合に、前記加入者識別番号と、前記位置登録要求信号の在圏情報とを含む在圏情報更新ファイルを作成することを含む方法を提供する。
【0011】
また、上述した課題を解決するために、本開示の一態様は、システムであって、前記システムは、階層化された親プロファイル管理装置と、子プロファイル管理装置とを備え、前記親プロファイル管理装置は全ての加入者の加入者プロファイルを保持し、前記子プロファイル管理装置は、前記親プロファイル管理装置から取得した前記全ての加入者の前記加入者プロファイルを子加入者プロファイルとして保持し、前記子プロファイル管理装置は、端末装置からの位置登録要求信号の在圏情報が、前記端末装置の加入者識別番号に対応する前記子加入者プロファイルの在圏情報と異なる場合に、前記加入者識別番号と、前記位置登録要求信号の在圏情報とを含む在圏情報更新ファイルを作成することと、を実行するよう構成されているシステムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の一実施形態における通信システムの概要を示す図である。
【
図2】本開示の一実施形態による通信システムにおける親統合データ管理装置と、配下にある子統合データ管理装置とで加入者プロファイルのデータベースを共有するための処理のフローを示す。
【
図3】本開示の一実施形態による、親、子統合データ管理装置の記憶部に記憶される加入者プロファイルのデータベースのデータ構造を例示する。
【
図4】本開示の一実施形態による、子統合データ管理装置の記憶部に記憶される在圏情報更新ファイルのデータ構造を例示する。
【
図5】
図2の在圏情報更新ファイルを作成するステップの処理の詳細を示す。
【
図6】本開示の一実施形態による通信システムにおいて、第1の子統合データ管理装置から、第2の子統合データ管理装置へ、接続を切り替えするための処理のフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。本開示の一実施形態は、以下のような構成を備える。
〔構成1〕
上記目的を達成するための方法の特徴構成は、システム(100)で実施される方法であって、前記システムは、階層化された親プロファイル管理装置(150)と、子プロファイル管理装置(116)とを備え、前記親プロファイル管理装置は全ての加入者の加入者プロファイル(300)を保持し(S204)、前記子プロファイル管理装置は、前記親プロファイル管理装置から取得した前記全ての加入者の前記加入者プロファイルを子加入者プロファイル(300C)として保持し(S206)、前記方法は、前記子プロファイル管理装置により、端末装置(102)からの位置登録要求信号の在圏情報が、前記端末装置の加入者識別番号に対応する前記子加入者プロファイル(300C)の在圏情報と異なる場合に、前記加入者識別番号と、前記位置登録要求信号の在圏情報とを含む在圏情報更新ファイル(400)を前記親プロファイル管理装置へ送信すること(S208)を含む方法にある。
【0014】
〔構成2〕
本開示に係る方法の別の特徴構成は、前記方法は、前記子プロファイル管理装置により、前記在圏情報更新ファイルに基づいて、在圏情報が更新された前記加入者プロファイルを前記親プロファイル管理装置から取得することと(S210)、前記在圏情報が更新された加入者プロファイルに基づいて、前記子加入者プロファイルを更新することと(S212)をさらに含む、点にある。
【0015】
〔構成3〕
本開示に係る方法の別の特徴構成は、前記子プロファイル管理装置により、前記在圏情報更新ファイルは、さらに前記端末装置から、前記端末装置から読み出された加入者識別番号と、前記端末装置の在圏情報とを含む位置登録要求信号を受信することと(S502)、前記位置登録要求信号の在圏情報が、前記加入者識別番号に対応する前記子加入者プロファイルの在圏情報と異なるかを判定することと(S504)、前記位置登録要求信号の在圏情報が、前記加入者識別番号に対応する前記子加入者プロファイルの在圏情報と異なると判定したときに、前記加入者識別番号と、前記位置登録要求信号の在圏情報とを含む在圏情報更新ファイルを作成することと(S506)により作成される、点にある。
【0016】
〔構成4〕
本開示に係る方法の別の特徴構成は、前記方法は、前記親プロファイル管理装置により、前記子プロファイル管理装置から取得した在圏情報更新ファイルに基づいて、前記在圏情報更新ファイルの加入者識別番号に対応する在圏情報で、前記加入者プロファイルの在圏情報を更新すること(S210)をさらに含む、点にある。
【0017】
〔構成5〕
本開示に係る方法の別の特徴構成は、前記方法は、前記子プロファイル管理装置により前記在圏情報更新ファイルを前記親プロファイル管理装置へ送信することと(S208)、前記更新された加入者プロファイルを、前記親プロファイル管理装置から取得することと(S212)、前記在圏情報が更新された加入者プロファイルに基づいて、前記子加入者プロファイルを更新することと(S212)を、繰り返す点にある。
【0018】
〔構成6〕
本開示に係る方法の別の特徴構成は、作成された前記在圏情報更新ファイルは定期的に前記子プロファイル管理装置から前記親プロファイル管理装置に送信される(S208)、点にある。
【0019】
〔構成7〕
本開示に係る方法の別の特徴構成は、前記子プロファイル管理装置は、前記親プロファイル管理装置との通信ルート、およびユーザデータ管理装置との通信ルートが確立されている第1の前記子プロファイル管理装置と、前記親プロファイル管理装置との通信ルート、およびユーザデータ管理装置との通信ルートが確立されていない第2の子プロファイル管理装置とを備え、前記方法は、前記第1の子プロファイル管理装置と前記第2の子プロファイル管理装置との間の通信ルートが確立されると、前記第1の子プロファイル管理装置から前記ユーザデータ管理装置へ位置登録要求信号の送信禁止指示を送信することと(S604)、をさらに含む、点にある。
【0020】
〔構成8〕
本開示に係る方法の別の特徴構成は、前記方法は、前記第2の子プロファイル管理装置と前記親プロファイル管理装置との間で通信ルートが確立され(S612)、前記第2の子プロファイル管理装置と前記ユーザデータ管理装置との間で通信ルートが確立されると(S614)、前記親プロファイル管理装置により、前記第2の子プロファイル管理装置へ、前記全ての加入者の前記加入者プロファイルを送信することと(S618)、前記第2の子プロファイル管理装置により、前記親プロファイル管理装置から全ての加入者の前記加入者プロファイルを取得し、子加入者プロファイルとして保持することと(S620)、前記第2の子プロファイル管理装置により、前記ユーザデータ管理装置へ位置登録要求信号の送信要求指示を送信することと(S620)をさらに含む、点にある。
【0021】
〔構成9〕
本開示に係る方法の別の特徴構成は、前記方法は、前記第2の子プロファイル管理装置により、端末装置からの位置登録要求信号の在圏情報が、前記端末装置の加入者識別番号に対応する前記子加入者プロファイルの在圏情報と異なる場合に、前記加入者識別番号と、前記位置登録要求信号の在圏情報とを含む在圏情報更新ファイルを作成することと(S208)をさらに含む、点にある。
【0022】
〔構成10〕
本開示に係る方法の別の特徴構成は、前記方法は、前記第1の子プロファイル管理装置により、前記親プロファイル管理装置に対し、前記加入者プロファイルの送信禁止要求を送信することと(S608)前記第2の子プロファイル管理装置と前記親プロファイル管理装置との間で通信ルートが確立され(S612)、前記第2の子プロファイル管理装置と前記ユーザデータ管理装置との間で通信ルートが確立されると(S614)、前記第2の子プロファイル管理装置により、前記親プロファイル管理装置に対し、前記加入者プロファイルの送信要求を送信することと(S616)をさらに含む、点にある。
【0023】
〔構成11〕
上記目的を達成するためのシステムの特徴構成は、システムであって、前記システムは、階層化された親プロファイル管理装置と、子プロファイル管理装置とを備え前記親プロファイル管理装置は全ての加入者の加入者プロファイルを保持し(S204)、前記子プロファイル管理装置は、前記親プロファイル管理装置から取得した前記全ての加入者の前記加入者プロファイルを子加入者プロファイルとして保持し(S206)、前記子プロファイル管理装置は、端末装置からの位置登録要求信号の在圏情報が、前記端末装置の加入者識別番号に対応する前記子加入者プロファイルの在圏情報と異なる場合に、前記加入者識別番号と、前記位置登録要求信号の在圏情報とを含む在圏情報更新ファイルを前記親プロファイル管理装置へ送信することと(S208)、を実行するよう構成されている点にある。
【0024】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明はあくまでも一例を示すものであって、本願発明の技術的範囲を以下の実施形態に限定する趣旨ではない。図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。しかし、本開示の実施形態は、必ずしもこのような態様に限定されない。本開示の実施形態が、特許請求の範囲において規定される範囲に含まれる様々な態様を取り得ることは、当業者にとって明らかであろう。
【0025】
図1は、本開示の一実施形態における通信システム100の概要を示す図である。通信システム100に示される各装置は、通信システム100で提供される主な機能、例えば、モビリティ管理機能、ユーザデータ管理機能、加入者プロファイル管理機能を実装するネットワーク要素である。
図1において、ネットワーク要素を装置で実現されるものとして示しているが、これら機能は、機能エンティティとして実現されてもよい。また、図示されるネットワーク要素の他に、他のネットワーク要素が、通信システム100の主要機能の一部または全部を実装するために使用されてもよい。また、図示されるネットワーク要素の他に、他のネットワーク要素を含んでもよい。
【0026】
通信システム100は、階層化された複数の統合データ管理装置を備える。より詳細には、通信システム100は、親統合データ管理装置150(#UDR
p)と、親統合データ管理装置の配下の複数の子統合データ管理装置116(#UDR
1~#UDR
n:nは任意の整数)とを備える。
図1中の各装置の#の後に示す文字および数字は、各装置に割り当てられる識別子の例を示す。子統合データ管理装置116(#UDR
1~#UDR
n)の配下には、それぞれ複数のユーザデータ管理装置114(#UDM
11~#UDM
nn)が通信可能に接続され、さらに、ユーザデータ管理装置114(#UDM
11~#UDM
nn)の配下には、それぞれ複数のモビリティ管理装置112(#AMF
11~#AMF
4n)が通信可能に接続される。1の子統合データ管理装置116と、配下の複数のユーザデータ管理装置114とは、メッシュ接続される。また、1のユーザデータ管理装置114と、配下の複数のモビリティ管理装置112とは、メッシュ接続される。なお、各モビリティ管理装置112の配下には、複数の基地局104が通信可能に接続される。
【0027】
端末装置(UE:User Equipment)102は基地局104を介してモビリティ管理装置112や、ユーザデータ管理装置114、子統合データ管理装置116、親統合データ管理装置150等で構成されるコアネットワークと通信することができる。通信システム100では、モビリティ管理装置112配下に在圏する端末装置102からの位置登録要求信号の送信先を、親統合データ管理装置150ではなく、子統合データ管理装置116に設定する。これにより、端末装置102からの位置登録要求信号は、子統合データ管理装置116で処理される。このため、親統合データ管理装置150への位置登録要求信号の集中を回避することができる。
【0028】
図1の例において、モビリティ管理装置112#AMF
11の配下に、端末装置102が在圏するものとする。本開示によると、子統合データ管理装置116は、親統合データ管理装置150にある端末装置102に対応付けられる加入者プロファイルのデータベース300(
図3)をコピーすることができる。端末装置102は、子統合データ管理装置116のコピーされたデータベース300Cを利用して、通信事業者の提供する各種ネットワークサービスを利用することができる。
【0029】
また、
図1の例において、端末装置102は、その後、モビリティ管理装置112#AMF
11から、異なるモビリティ管理装置#AMF
31の配下に移動するものとする。この移動中に、子統合データ管理装置116aから別の子統合データ管理装置116bへ切り替えが行われても、全ての子統合データ管理装置116は全ての加入者の加入者プロファイルを共有して保持しているので、端末装置102は、切り替え後の子統合データ管理装置116(#UDR
b)の加入者プロファイルを利用して、通信事業者のネットワークサービスを利用することができる。
【0030】
以下の実施形態において、通信システム100は3GPPの5G(5th Generation)の規格に準拠するものとして説明するが、実施形態は、必ずしも特定の規格に限定されるわけはなく、第4世代(4th Generation,4G)、第6世代(6th Generation,6G)などの他の通信規格に準拠することができる。
【0031】
(端末装置102)
端末装置102は、スマートフォンなどの携帯端末、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレット型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ(いわゆる、ノートパソコン)などとして実現される。
【0032】
端末装置102は、制御部、記憶部、送受信部、アンテナ、およびSIMなどのハードウェア資源を有する。制御部、記憶部、送受信部、およびSIMはバスを介して接続される。制御部は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などである。記憶部の具体例は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク、フラッシュメモリ、光ディスク等である。端末装置102の制御部は、端末装置102全体の動作・機能を制御する機能部である。制御部は、必要に応じて記憶部に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより、端末装置102における各種処理を実現する。送受信部は、アンテナを介して、アクセスネットワーク内の基地局装置と無線通信するための機能部である。
【0033】
端末装置102に搭載されるSIMには、通信事業者と契約するユーザの契約プロファイルが格納されている。SIMの契約プロファイルには、ユーザの加入者情報が格納され、携帯電話の回線契約に割り当てられる加入者識別番号(IMSI:International Mobile Subscriber Identity)、加入者であるユーザの電話番号(MSISDN:Mobile Subscriber International Subscriber Directory Number)、SIMカード番号(ICCID:Integrated Circuit Card Identifier)といった個別の識別子情報が含まれる。端末装置102は、子統合データ管理装置116に位置登録要求信号を送信し、通信事業者の提供する各種ネットワークサービスを利用することができる。
【0034】
(親統合データ管理装置150)
親統合データ管理装置150は、UDR(統合/ユーザデータリポジトリ: Unified Data Repository)を備える。親統合データ管理装置150は、UDRにおいて、検索または蓄積ができるよう整理された通信事業者とサービス契約する全ての加入者の加入者プロファイルの集まりをデータベース化して格納する。親統合データ管理装置150は複数の子統合データ管理装置116と通信可能に接続される。
【0035】
親統合データ管理装置150は、制御部、記憶部、送受信部などのハードウェア資源を有する。制御部、記憶部、送受信部はバスを介して接続されている。親統合データ管理装置150の制御部は、親統合データ管理装置150の全体の動作・機能を制御する機能部である。制御部は、必要に応じて記憶部に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより、親統合データ管理装置150における各種処理を実現する。送受信部は、親統合データ管理装置150が、子統合データ管理装置116等と通信するための機能部である。記憶部は、全ての加入者の加入者プロファイルのデータベースである加入者プロファイル・データベース300を記憶する。親統合データ管理装置150の加入者プロファイル・データベース300の詳細は、
図3を用いて後述する。
【0036】
以下、子統合データ管理装置116、モビリティ管理装置112、ユーザデータ管理装置114は、親統合データ管理装置150と同様のハードウェア構成を有しており、ハードウェア構成についての重複する説明は省略する。
【0037】
(子統合データ管理装置116)
子統合データ管理装置116は、複数存在し、それぞれUDRを備える。子統合データ管理装置116は、親統合データ管理装置150より取得した加入者プロファイル・データベース300に基づいて、情報を検索または蓄積ができるよう整理して、子加入者プロファイル・データベース300Cとして格納する。子統合データ管理装置116は親統合データ管理装置150と共通の最新の全ての加入者の加入者プロファイルを保持することができる。加入者が通信サービスを利用する際には、子統合データ管理装置116は子加入者プロファイル・データベース300Cから必要な情報を取得して、加入者へ適切なサービスを提供する。記憶部は、子加入者プロファイル・データベース300Cと、在圏情報更新ファイル400を記憶することができる。子加入者プロファイル・データベース300Cは、加入者プロファイル・データベース300と同様に構成される。子統合データ管理装置116の在圏情報更新ファイル400の詳細は、
図4を用いて後述する。また、在圏情報更新ファイル400の作成の詳細は
図5を用いて後述する。
【0038】
子統合データ管理装置116は切り替え前の子統合データ管理装置116a(#UDRa)と切り替え後の子統合データ管理装置116b(#UDRb)とを備えることができる。子統合データ管理装置116の「a」は切り替え前、「b」は切り替え後であることを指し、切り替え前、切り替え後を区別する必要の無い場合には、「a」、「b」を省略することがある。従来、製品・サービス販売終了などの際に、統合データ管理装置は、旧装置から新しい装置へ加入者プロファイルを移管していた。本開示によると、製品・サービス販売終了などの際に、加入者プロファイルを移管する必要はなく、単に、ユーザデータ管理装置の接続先を、子統合データ管理装置116aから、子統合データ管理装置116bに切り替えすればよい。端末装置102は、子統合データ管理装置116間の切り替えを意識することなく、ネットワークサービスを利用することができる。
【0039】
また、従来、統合データ管理装置は、自身が収容する加入者識別番号をそれぞれ事前に設定していた。本開示によると、親統合データ管理装置150と、配下の全ての子統合データ管理装置116は、全ての加入者の加入者識別番号を設定する。
【0040】
(モビリティ管理装置112)
モビリティ管理装置112は、AMF(Access and Mobility Management Function)の機能を提供するネットワーク要素である。モビリティ管理装置112は、端末装置102の位置登録や、呼出・基地局間ハンドオーバなどの管理を行う。
【0041】
(ユーザデータ管理装置114)
ユーザデータ管理装置114は、UDM(User Data Management)の機能を提供するネットワーク要素である。ユーザデータ管理装置114は、加入者データ、セッション情報、端末装置102の在圏情報、端末装置102のAKA(Authentication and Key Agreement)認証のための認証情報の格納や、管理を行う。AKA認証は、端末装置102のSIMと通信事業者網の間で取り交わされる認証/暗号キー配送の方式をいう。ユーザデータ管理装置114は親統合データ管理装置150には接続されず、子統合データ管理装置116に接続される。
【0042】
ユーザデータ管理装置114は、製品・サービス販売終了(End of Sale :EOS)や、保守・サポートの終了(End of Life :EOL)などの際に、接続先の子統合データ管理装置116を旧装置(子統合データ管理装置116a)から新装置(子統合データ管理装置116b)へ切り替えることができる。ユーザデータ管理装置114は、切り替えの際は事前に、第1の子統合データ管理装置116aへの位置登録要求信号の送信を一時停止する。切り替え後に、ユーザデータ管理装置114は、第2の子統合データ管理装置116bへ、任意のタイミングで位置登録要求信号の送信を開始する。
【0043】
従来、モビリティ管理装置112は、位置登録要求信号の送信先となるユーザデータ管理装置114の識別子を、加入者識別番号と関連付けて事前に設定していた。モビリティ管理装置112は、例えば、加入者識別番号「****a」から「****e」については、識別子#UDM1から#UDM4のユーザデータ管理装置を事前に設定し、加入者識別番号「****f」から「****z」については、#UDM5から#UDM10というように事前に設定していた。加入者識別番号「****a」から位置登録要求信号が端末装置102から送信されると、ラウンドロビンで選択されたユーザデータ管理装置114の#UDM1から#UDM4のいずれかへ位置登録要求信号が送信され、さらに、選択されたユーザデータ管理装置114から、加入者識別番号「****a」を収容する、事前設定された統合データ管理装置#1へ位置登録要求信号が送信されていた。
【0044】
本開示によると、子統合データ管理装置116は全ての加入者の加入者識別番号に対応する加入者プロファイルを保持する。モビリティ管理装置112は、全てのユーザデータ管理装置114から1つのユーザデータ管理装置114を任意に、例えばラウンドロビンで選択し、位置登録要求信号を選択されたユーザデータ管理装置114へ送信することができる。モビリティ管理装置112は位置登録要求信号の送信先となるユーザデータ管理装置114の識別子を、加入者識別番号と関連付けて事前に設定する必要はない。さらに、ユーザデータ管理装置114から、任意に、例えばラウンドロビンで選択された子統合データ管理装置116へ位置登録要求信号が送信される。ユーザデータ管理装置114は位置登録要求信号の送信先となる子統合データ管理装置116を、加入者識別番号と関連付けて事前に設定する必要はない。
【0045】
<加入者プロファイルの共有>
図2は、本開示の一実施形態による通信システム100における親統合データ管理装置150と、配下にある子統合データ管理装置116とで加入者プロファイルのデータベース300を共有するための処理200のフローを示す。処理に先立ち、顧客情報が顧客管理装置160の記憶部に格納されているものとする。顧客管理装置160は、携帯通信事業者がユーザに提供するネットワークサービスを管理するために必要な各種情報を有する。顧客情報は、携帯通信事業者の提供するネットワークサービスを契約するユーザの加入者識別番号ごとにユーザ契約に関する各種情報を記憶する。
【0046】
ステップS202において、顧客管理装置160は、ユーザからのサービスオーダに関するデータを読み出して、親統合データ管理装置150に送信する。サービスオーダデータは、ネットワークサービスを契約したユーザの加入者識別番号と、ユーザ契約情報を含む。
【0047】
次に、ステップS204において、親統合データ管理装置150は、受信したサービスオーダデータ(加入者識別番号、ユーザ契約情報)に基づいて、
図3に示す加入者プロファイルのデータベース300を作成し、記憶部に記憶する。また、親統合データ管理装置150は、加入者プロファイルのデータベース300を記憶すると、サービスオーダデータに基づく契約手続が完了した旨の通知を顧客管理装置160へ送信する。加入者プロファイルのデータベース300は、通信事業者の提供するネットワークサービスを契約する全てのユーザの加入者識別番号ごとにユーザ契約に関する各種情報を管理する。
【0048】
図3は、本開示の一実施形態による、親統合データ管理装置150の記憶部に記憶される加入者プロファイルのデータベース300のデータ構造を例示する。加入者プロファイルのデータベース300は、全ての加入者の加入者識別番号と、加入者が契約するサービス内容(データ通信、緊急呼発信、音声、SMSの契約有無など)と、全ての加入者識別番号にそれぞれ対応する電話番号と、端末装置102の在圏情報との項目を含むことができる。加入者プロファイルのデータベース300は、さらに、契約プランの詳細情報、ユーザの認証に使用される認証情報の項目などを含んでもよい。加入者識別番号はIMSI(International Mobile Subscriber Identity)であり、一般的には15桁の数字で構成されるが、本開示では説明の便宜上「****a」等と記載する。サービスオーダを契機として作成される加入者プロファイルのデータベース300の在圏情報は、端末装置が在圏するモビリティ管理装置の識別子が設定されている。
【0049】
図3の例では、加入者識別番号「****a」に対応する端末装置は、子統合データ管理装置116の切り替え前に、「#AMF
11」の識別子が割当てられているモビリティ管理装置112の配下に在圏している。
【0050】
図2に戻り、ステップS204において、親統合データ管理装置150は、
図3に示す加入者プロファイルのデータベース300を作成すると、配下にある全ての子統合データ管理装置116(#UDR
1~#UDR
n)へ加入者プロファイルのデータベース300を送信する。
【0051】
次に、ステップS206において、子統合データ管理装置116(#UDR1~#UDRn)は、それぞれ、加入者プロファイルのデータベース300を受信し、加入者プロファイルのデータベース300Cとして記憶部に記憶する。これにより、親統合データ管理装置150の配下にある全ての子統合データ管理装置116が共通の加入者プロファイルのデータベース300Cを保持することができる。
【0052】
次に、ステップS208において、子統合データ管理装置116(#UDR1~#UDRn)は、端末装置102からの位置登録要求信号に基づき、在圏情報が変更されたと判断すると、在圏情報が変更された加入者識別番号について、在圏情報更新ファイル400を作成する。子統合データ管理装置116は、作成した在圏情報更新ファイル400を定期的に、例えば15分間隔で、親統合データ管理装置150へ送信する。
【0053】
図4は、本開示の一実施形態による、子統合データ管理装置116の記憶部に記憶される在圏情報更新ファイル400のデータ構造を例示する。在圏情報更新ファイル400は、在圏情報が変更された端末装置102の加入者識別番号に関連付けられる情報のみで構成され、在圏情報に変更が無い端末装置102に対応する加入者識別番号の情報は含まない。在圏情報更新ファイル400は、少なくとも、在圏情報が変更された端末装置102に関連付けられる加入者識別番号と、この加入者識別番号に関連する変更後の在圏情報との項目を含む。
図4に示すように、在圏情報更新ファイル400は、ユーザが契約するサービス内容(データ通信、緊急呼発信、音声、SMSの契約有無など)の項目を含むことができる。在圏情報更新ファイル400は、さらに、加入者識別番号に対応する電話番号と、契約プランの詳細情報、ユーザの認証に使用される認証情報の項目などを含んでもよい。
【0054】
図4の例では、加入者識別番号「****a」に対応する端末装置は、「#AMF
31」の識別子が割当てられているモビリティ管理装置の配下に在圏している。つまり、ステップS208においては、端末装置102が、モビリティ管理装置「#AMF
11」の配下から(ステップS202)、モビリティ管理装置「#AMF
31」の配下に移動したことを意味する。加入者識別番号「****b」~「****d」に対応する端末装置は、在圏するモビリティ管理装置に変更が無かったため、これらの加入者識別番号の情報は在圏情報更新ファイル400に含まれない。
【0055】
次に、
図2に戻り、ステップS210において、親統合データ管理装置150は、在圏情報更新ファイル400を参照して、親統合データ管理装置の加入者プロファイルのデータベース300を更新する。詳細には、親統合データ管理装置150は、在圏情報更新ファイル400に含まれる加入者識別番号に対応する在圏情報を、ステップS204で作成した加入者プロファイルのデータベース300に反映させ、最新の加入者プロファイルのデータベース300を作成する。本例においては、加入者プロファイルのデータベース300の加入者識別番号「****a」に対応する在圏情報「#AMF
11」を、在圏情報更新ファイル400に含まれる加入者識別番号「****a」に対応する在圏情報「#AMF
31」で更新する。また、親統合データ管理装置150は、更新された最新の加入者プロファイルのデータベース300を配下の全ての子統合データ管理装置116(#UDR
1~#UDR
n)へ送信する。
【0056】
次に、ステップS212において、子統合データ管理装置116(#UDR1~#UDRn)は更新された加入者プロファイルのデータベース300を受信すると、ステップS206で記憶部に保持した加入者プロファイルのデータベース300Cを上書きする。本ステップでは、在圏情報に更新があった加入者プロファイルのみが更新される。つまり、本例においては、子加入者プロファイルのデータベース300Cの加入者識別番号「****a」に対応する在圏情報「#AMF11」を、在圏情報「#AMF31」で更新する。更新により、子の加入者プロファイルのデータベース300Cと親の加入者プロファイルのデータベース300とは同じ情報を共有することができる。
【0057】
以下、ステップS208からステップS12までの処理が定期的に繰り返される。これにより、端末装置102が在圏するモビリティ管理装置112の識別子に変更があっても、親統合データ管理装置150と、複数の子統合データ管理装置116との間で加入者プロファイルを共有することができる。また、親統合データ管理装置150の配下にある全ての子統合データ管理装置116(#UDR
1~#UDR
n)において、同じ処理(
図2のステップS206、ステップS208、およびステップS212の処理)が実施される。
【0058】
本開示によると、親統合データ管理装置150と、配下の全ての子統合データ管理装置116との間で最新の、全ての加入者に係る加入者プロファイルのデータベース300共有することができる。このため、従来のように統合データ管理装置の移管の際に、リセット信号を統合データ管理装置からモビリティ管理装置112へ送信する必要はない。従来、リセット信号を受信したモビリティ管理装置112は、位置登録要求信号を受信すると、全ての端末装置102に対し位置登録要求信号の送信を指示し、全ての端末装置102は、送信指示に従って、位置登録要求信号を統合データ管理装置へ送信していた。本開示によると、子統合データ管理装置116が、端末装置102の移動を在圏情報更新ファイル400で管理しており、どの端末装置102が移動したかを子統合データ管理装置116側で定期的に把握することができる。このため、そもそも子統合データ管理装置116はモビリティ管理装置112へリセット信号を送信しない。本開示によると、切り替え後であっても、端末装置から一斉に位置登録要求信号が子統合データ管理装置116へ送信されることはない。
【0059】
また、本開示によると、親統合データ管理装置150は、位置登録要求信号を端末装置102から直接受信しない。位置登録要求信号を受信する子統合データ管理装置116側で、在圏情報に変更があった加入者識別番号と、変更後の在圏情報とを含む在圏情報更新ファイル400を作成する。親統合データ管理装置150は、在圏情報更新ファイル400に基づき、全ての加入者を含む加入者プロファイルを更新し、更新された全ての加入者の加入者プロファイルを子統合データ管理装置116へ送信することで、親統合データ管理装置150と、子統合データ管理装置116とで共通の、最新の加入者プロファイルを保持する。
【0060】
<在圏情報更新ファイルの作成>
図5は、
図2のステップS208の処理の詳細を示す。
図5は、本開示の一実施形態による子統合データ管理装置116における在圏情報更新ファイル400を作成する処理500の詳細フローを示す。
【0061】
端末装置102は、例えば、電源投入時や、新しいエリアに移動したとき、所定間隔ごとなどの任意のタイミングで位置登録要求信号を送信する。処理に先立ち、位置登録要求信号は、基地局104(
図1)を介して、モビリティ管理装置112へ送信され、さらに、位置登録要求信号の送信先として選択された、例えばラウンドロビンで選択されたユーザデータ管理装置114へ送信される。このモビリティ管理装置112からの位置登録要求信号は、端末装置102のSIMから読み出された加入者識別番号(例えば「****a」)と、端末装置102が在圏するモビリティ管理装置112の識別子(例えば、#AMF
31)とを含む。ユーザデータ管理装置114は、選択された、例えばラウンドロビンで選択された子統合データ管理装置116(例えば#UDR
1)へ位置登録要求信号を送信する。この位置登録要求信号は、加入者識別番号(「****a」)と、端末装置102が在圏するモビリティ管理装置112の識別子(#AMF
31)とを含む。
【0062】
ステップS502において、子統合データ管理装置116(ここでは#UDR1)は、ユーザデータ管理装置114等を介して、端末装置102から位置登録要求信号を受信する。
【0063】
次に、ステップS504において、位置登録要求信号を受信した子統合データ管理装置116は、記憶部に格納されている全ての加入者の加入者プロファイルのデータベース300Cを参照し、加入者プロファイルのデータベース300Cの在圏情報に含まれるモビリティ管理装置112の識別子(#AMF11)が、位置登録要求信号に含まれるモビリティ管理装置112の識別子(#AMF31)と異なるか否かを判定する。
【0064】
次に、ステップS506において、子統合データ管理装置116は、モビリティ管理装置の識別子が異なる場合に、在圏情報が変更した、つまり端末装置102がモビリティ管理装置112間を移動したと判断する。子統合データ管理装置116は移動を判断すると、該当する加入者識別番号の各種情報(サービス内容等)をコピーし、かつコピーした情報に基づいて在圏情報を更新した在圏情報更新ファイル400を作成する。在圏情報更新ファイル400は、在圏情報が更新された加入者識別番号に対応する各種情報のみを含む。なお、複数の子統合データ管理装置116は、それぞれ別の端末装置102から位置登録要求信号を受信するので、複数の子統合データ管理装置116が保持する在圏情報更新ファイル400の内容はそれぞれ異なる。
【0065】
本開示によると、移動により端末装置102が在圏するモビリティ管理装置112が変わると、移動先の在圏情報を含む在圏情報更新ファイル400が作成される。在圏情報更新ファイル400は定期的に子統合データ管理装置116から親統合データ管理装置150へ送信される。新たに在圏情報更新ファイル400が送信されるまで、親統合データ管理装置150は、在圏情報更新ファイル400をバッファしておく。新たな在圏情報更新ファイル400を子統合データ管理装置116から受信すると、親統合データ管理装置150は、バッファした旧在圏情報更新ファイルを、新在圏情報更新ファイルで更新する。なお、本実施例においては、在圏情報はモビリティ管理装置112の識別子が変わると在圏情報が変更されたものと判断しているが、基地局104の識別子で在圏情報の変更を判断してもよい。この場合、加入者プロファイルのデータベース300や、在圏情報更新ファイル400は、在圏情報として、基地局104の識別子を格納する。
【0066】
<子統合データ管理装置の切り替え>
図6は、本開示の一実施形態による通信システム100において、第1の子統合データ管理装置116aから、第2の子統合データ管理装置116bへ、ユーザデータ管理装置からの接続を切り替えするための処理600のフローを示す。本処理600に先立ち、
図2で説明した処理200により、全ての子統合データ管理装置116は、全ての加入者についてそれぞれ最新の加入者プロファイルのデータベース300Cを共有して保持するものとする。また、全ての子統合データ管理装置116は、在圏情報更新ファイル400を保持していてもよい。図示の例において、第1の子統合データ管理装置は、切り替え前の子統合データ管理装置116a、第2の子統合データ管理装置は、切り替え後の子統合データ管理装置116bである。第1の子統合データ管理装置116aは、親統合データ管理装置150および、ユーザデータ管理装置114と間で通信ルートが確立されている一方、第2の子統合データ管理装置116bは、親統合データ管理装置150および、ユーザデータ管理装置114と間で通信ルートが確立されていない。切り替え後に利用される子統合データ管理装置116bは、他の子統合データ管理装置116と加入者プロファイルのデータベース300Cを共有していない。
【0067】
まず、ステップS602において、第1の子統合データ管理装置116aと、第2の子統合データ管理装置116bとの間で通信ルートを確立する。
【0068】
次に、ステップS604において、第1の子統合データ管理装置116aから、全てのユーザデータ管理装置114(#UDM11~#UDMnn)へ、第1の子統合データ管理装置116a宛の位置登録要求信号を送ることを禁止する送信禁止指示を同時に送信する。
【0069】
従来は移管中であっても、ラウンドロビンで、端末装置102から、モビリティ管理装置112、ユーザデータ管理装置114を介して統合データ管理装置へ、位置登録要求信号を送信していた。本開示によると、切り替え前に位置登録要求信号の送信禁止指示をユーザデータ管理装置114へ送付する。このため、切り替え中に、位置登録要求信号が端末装置102から、モビリティ管理装置112、ユーザデータ管理装置114を介して子統合データ管理装置116へ送信されることはない。
【0070】
次に、ステップS606において、全てのユーザデータ管理装置はそれぞれ、位置登録要求信号送信禁止指示に対し、肯定応答(ACK)を第1の子統合データ管理装置116aへ返す。
【0071】
次にステップS608において、第1の子統合データ管理装置116aは肯定応答(ACK)を受信すると、親統合データ管理装置150に対し、全ての加入者の加入者プロファイルのデータベース300を保持するデータベースの送信禁止要求と、第1の子統合データ管理装置116aが保持する在圏情報更新ファイル400を送信する。親統合データ管理装置150は受信した第1の子統合データ管理装置116aの在圏情報更新ファイル400を記憶部に格納する。
【0072】
次に、ステップS610において、親統合データ管理装置150は、全ての加入者の加入者プロファイルのデータベース300の送信禁止要求を受信すると、この送信禁止要求に対する肯定応答(ACK)を、第1の子統合データ管理装置116aへ送信する。加入者プロファイルのデータベース300の送信禁止要求に対する肯定応答を受信すると、親統合データ管理装置150は、加入者プロファイルのデータベース300を第1の子統合データ管理装置116aへ送信しない。さらに、第1の子統合データ管理装置116aは、受信した送信禁止要求に対する肯定応答(ACK)を、第2の子統合データ管理装置116bへ転送する。
【0073】
ステップS612において、第2の子統合データ管理装置116bは、第1の子統合データ管理装置116aを介して、加入者プロファイルのデータベース300の送信禁止要求に対する肯定応答(ACK)を受信すると、第2の子統合データ管理装置116bと親統合データ管理装置150との間で直接の通信ルートを確立する。さらに、第2の子統合データ管理装置116bの立ち上げ(例えば、切り替え処理のためのアプリケーションの立ち上げ)を行う。
【0074】
次に、ステップ614において、第2の子統合データ管理装置116bの立ち上げをトリガに、切り替え先の第2の子統合データ管理装置116bと、全てのユーザデータ管理装置114(#UDM11~#UDMnn)との間で通信ルートを確立する。
【0075】
次に、ステップ616において、第2の子統合データ管理装置116bは、全ての加入者プロファイルのデータベース300の送信要求を、親統合データ管理装置150へ送信する。
【0076】
次に、ステップS618において、親統合データ管理装置150は、全ての子統合データ管理装置116(#UDR
aを除く#UDR
1~#UDR
n)へ加入者プロファイルのデータベース300を送信するタイミング(
図2のステップS210)で、第2の子統合データ管理装置116bへ加入者プロファイルのデータベース300を送信する。
【0077】
次に、ステップS620において、切り替え先の第2の子統合データ管理装置116bは受信した加入者プロファイルのデータベース300を、子加入者プロファイルのデータベース300Cとして記憶部に記憶する。また、第2の子統合データ管理装置116bは、ステップS604においてユーザデータ管理装置114へ送信した位置登録要求信号の送信禁止指示を解除するために、全てのユーザデータ管理装置114に対し位置登録要求信号の送信要求を送信する。
【0078】
次に、ステップS622において、全てのユーザデータ管理装置114はそれぞれ、位置登録要求信号の送信要求に対し、肯定応答(ACK)を第2の子統合データ管理装置116bへ返す。
【0079】
以降は、
図2に示すステップS208からステップS212の処理を繰り返す。
【0080】
まず、ステップS208において、第2の子統合データ管理装置116bは、任意のタイミングで位置登録要求信号を端末装置102から受信し、在圏情報に変更があった加入者識別番号について、在圏情報更新ファイル400を作成する。端末装置102は、新しいエリアに移動して、在圏情報が変わったときなど任意のタイミングで位置登録要求信号を送信する。第2の子統合データ管理装置116bは、端末装置102が在圏するモビリティ管理装置112の識別子が、切り替え前の在圏情報と異なるときに、在圏情報が変更したと判断し、在圏情報更新ファイル400を作成する。そして、第2の子統合データ管理装置116bは、親統合データ管理装置150へ在圏情報更新ファイル400を送信する(
図2のステップS208)。
【0081】
次に、ステップS210において、親統合データ管理装置150は、在圏情報更新ファイル400を参照して、加入者プロファイルのデータベース300を更新し、配下の全ての子統合データ管理装置116(#UDRaを除く#UDR1~#UDRn)へ送信する。
【0082】
次に、ステップS212において、子統合データ管理装置116は、更新された加入者プロファイルのデータベース300に基づいて、子側の加入者プロファイルのデータベース300Cを更新する。
【0083】
次に、ステップS210において、親統合データ管理装置150は在圏情報更新ファイル400を受信すると、加入者プロファイルのデータベース300の在圏情報を、在圏情報更新ファイル400に基づいて更新し、更新された加入者プロファイルのデータベース300を、配下にある全ての子統合データ管理装置116(切り替え前の子統合データ管理装置116aは除く)へ送信する。
【0084】
次に、ステップS212において、子統合データ管理装置116は更新された加入者プロファイルのデータベース300を受信すると、記憶部に保持した加入者プロファイルのデータベース300Cを、データベース300で上書きする。
【0085】
本開示によると、通信システム100は、統合データ管理装置を親と子の階層に分けて、親と子で共通の全ての加入者の加入者プロファイルのデータベース300を保持する。子統合データ管理装置116は、加入者の端末装置の在圏情報に変更があると、変更があった端末装置の加入者識別番号の在圏情報を含む在圏情報更新ファイル400を作成し、親統合データ管理装置150へ通知する。この在圏情報更新ファイル400を定期的に親統合データ管理装置150へ送信し、在圏情報更新ファイル400に基づいて、共通加入者プロファイルを更新することができる。この結果、全ての子統合データ管理装置116は、最新の全ての加入者の加入者プロファイルを共通に保持することができる。このため、ある子統合データ管理装置116において障害が発生した場合や、保守・サポートが終了しても、加入者の加入者プロファイルの移管処理を行うことなく、新しい子統合データ管理装置116へ接続を切り替えるだけで、端末装置102は、新しい子統合データ管理装置116を利用した通信を開始することができる。
【0086】
また、本開示によると、切り替えの際にリセット信号が統合データ管理装置から、モビリティ管理装置112に送信されないので、リセット信号に基づいて一斉に位置登録要求信号が端末装置102から子統合データ管理装置へ送信されない。位置登録要求信号は、在圏情報に更新があった場合など任意のタイミングで、端末装置102から、モビリティ管理装置112、ユーザデータ管理装置114を介して、子統合データ管理装置116へ送信される。このため、モビリティ管理装置112から第2の子統合データ管理装置116bに向かって位置登録要求信号のバースト的なトラフィックは発生することはない。本開示によると、アンマッチ状態にない該当加入者識別番号についての在圏情報を、子統合データ管理装置から親統合データ管理装置へ送信しないため、親統合データ管理装置の処理負荷を低減することができる。
【0087】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、実施形態及び変形例の任意の組み合わせが可能であり、特許請求の範囲及び明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0088】
100…通信システム
102…端末装置
104…基地局
112…各モビリティ管理装置
112…モビリティ管理装置
114…ユーザデータ管理装置
116…子統合データ管理装置
150…親統合データ管理装置
160…顧客管理装置
300…加入者プロファイル・データベース
400…在圏情報更新ファイル
【要約】
【課題】加入者プロファイルを管理する旧管理ネットワーク要素から新管理ネットワーク要素へ切り替えること
【解決手段】システムで実施される方法であって、システムは、階層化された親プロファイル管理装置と、子プロファイル管理装置とを備え、親プロファイル管理装置は全ての加入者の加入者プロファイルを保持し、子プロファイル管理装置は、親プロファイル管理装置から取得した加入者プロファイルを子加入者プロファイルとして保持し、方法は、子プロファイル管理装置により、端末装置からの位置登録要求信号の在圏情報が、端末装置の加入者識別番号に対応する子加入者プロファイルの在圏情報と異なる場合に、加入者識別番号と、位置登録要求信号の在圏情報とを含む在圏情報更新ファイルを親プロファイル管理装置へ送信することを含む方法。
【選択図】
図2