(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】換気グリル
(51)【国際特許分類】
F24F 13/068 20060101AFI20231013BHJP
F24F 7/10 20060101ALI20231013BHJP
F24F 13/20 20060101ALI20231013BHJP
F24F 13/08 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
F24F13/068 B
F24F7/10 101A
F24F7/10 101G
F24F13/20
F24F13/08 A
(21)【出願番号】P 2019065596
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2022-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】水口 保
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03056833(EP,A1)
【文献】特開2011-094825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/068
F24F 7/10
F24F 13/20
F24F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
換気装置によって空気が給気されるダクトに接続されて居室面に固着されるベースと、
前記ベースの外形よりも大きく、前記ベースを覆うように対向して居室側より配置されたパネルと、
前記ベースの外辺には前記パネル側に向かって傾斜する
平板状のベース傾斜部
のみと、
前記パネルの外辺には前記ベース側に突出して形成されたパネル突出部と、を備え、
前記パネル突出部の外縁にはパネル突傾斜部が形成されており、前記ベース傾斜部と前記パネル突傾斜部との間より給気され、
前記パネル突出部は、前記ベースに最も接近するパネル突頂部と、前記パネル突頂部から前記パネルの内方に向かって傾斜するパネル突内傾斜部と、を備え、
前記パネル突傾斜部は、前記ベース傾斜部よりも、外方に形成され、
前記パネル突傾斜部は、前記パネルの居室側に形成された底面部において前記パネル突傾斜部と成す傾斜角が、前記底面部に平行な面と前記ベース傾斜部との成す傾斜角よりも大きく形成されていることを特徴とする換気グリル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気グリルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室外空気を室内に供給するために、天井板等に端末開口として設けられる換気グリルが知られている。この種の換気グリルにおいて、以前は前面中央に格子状などの吹出し開口を設けたものが一般的であったが、近年では、外周縁に沿って吹出し開口を設け、前面中央を化粧パネルで覆ったデザイン性のよい換気グリルが増えている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような換気グリルにおいて、デザイン性をよりよくするために、化粧パネルを保持するベースより、化粧パネルを大きくして、下方から吹出し開口を見えにくくしたものが求められてきている。しかしながら、このような換気グリルは、吹出し開口が換気グリルの側面部に形成されることになる。よって、この場合、吹出し気流が天井面に沿って水平に流れるため、結果として天井面が汚れてしまう問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、居室面から離れた方向に空気を吹出し可能なデザイン性のよい換気グリルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明の換気グリルは、ベースと、パネルと、ベース傾斜部と、パネル突出部と、を備えている。ベースは、換気装置によって空気が給気されるダクトに接続されて居室面に固着される。パネルは、ベースの外形よりも大きく、ベースを覆うように対向して居室側より配置される。平板状のベース傾斜部は、ベースの外辺においてパネル側に向かって傾斜する。パネル突出部は、パネルの外辺においてベース側に突出して形成される。パネル突出部の外縁にはパネル突傾斜部が形成されている。ダクトから供給された空気は、ベース傾斜部とパネル突傾斜部との間より給気される。パネル突出部は、ベースに最も接近するパネル突頂部と、パネル突頂部からパネルの内方に向かって傾斜するパネル突内傾斜部と、を備え、パネル突傾斜部は、ベース傾斜部よりも、外方に形成され、パネル突傾斜部は、パネルの居室側に形成された底面部においてパネル突傾斜部と成す傾斜角が、底面部に平行な面とベース傾斜部との成す傾斜角よりも大きく形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の換気グリルによれば、居室面に固着されたベースの外形よりも大きく、当該ベースを覆うように対向して下方よりパネルが配置される。そして、ダクトから供給された空気は、ベース傾斜部とパネル突傾斜部との間に形成された給気口より給気される。これにより、給気口は居室側より見えにくく、デザイン性がよい。また、パネル突出部により、ダクトから給気された空気の風路は狭くなり、その空気は加速される。そして、加速された空気は、ベース傾斜部とベース突傾斜部とによって、居室面から離れた方向に勢いよく吹出される。従って、居室面から離れた方向に空気を吹出し可能なデザイン性のよい換気グリルを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(a)は、本発明の一実施形態に係る換気グリルを上斜め方向から見た概略斜視図であり、
図1(b)は、同換気グリルを下斜め方向から見た概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。よって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。従って、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0010】
まず、
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る換気グリル1の概略構成について説明する。
図1(a)は、本実施形態に係る換気グリル1を上斜め方向から見た概略斜視図であり、
図1(b)は、同換気グリル1を下斜め方向から見た概略斜視図である。
【0011】
換気グリル1は、室外空気を室内に供給するために、室内の天井板または壁板等で形成される居室面に端末開口として設けられた、扁平四角形状をしたものであり、扁平四角形状のベース20と、同じく扁平四角形状のパネル30とによって構成される。
【0012】
ベース20は、換気グリル1が設置される居室面に固着された状態でパネル30を保持する部材である。ベース20には、上面中央部に貫通した開口21が形成されている。開口21には、換気装置(図示せず)によって室外より取り込んだ空気を給気するダクト(図示せず)が接続される。この開口21から、ダクトにて給気された室外空気が換気グリル1内部に取り込まれる。
【0013】
パネル30は、ベース20に保持された状態で、ベース20の外形よりも大きく、ベース20を覆うように居室側から対向して配置される部材である。パネル30は、居室側に扁平四角形状の底面部35が形成され、底面部35によって、ベース20側が視認できないようになっている。これにより、デザイン性のよい換気グリル1が実現される。また、底面部35の居室側から視認される面に何らかの意匠を施すことで、よりデザイン性を高めることができる。
【0014】
換気グリル1は、ベース20にパネル30が保持されて、ベース20とパネル30とが対向して配置されることで、ベース20とパネル30との間に、開口21より供給された空気を室内に給気する給気口31が形成されている。本実施形態では、換気グリル1の隣接する二つの辺に給気口31がそれぞれ形成される。一方、換気グリル1の他の隣接する二つの辺には、ベース20とパネル30とを連結する隔壁23が形成されている。
【0015】
一般的に、換気グリル1は、室内における天井面または壁面といった居室面の角付近に設置されることが多い。居室面の角から離れる方向に換気グリル1の給気口31を向け、居室面の角の方向に換気グリル1の隔壁23を向けるように換気グリル1を居室面に設置することで、室外空気を効率よく室内に向けて給気することができる。また、換気グリル1から居室面の角の方向に向けて、給気する空気の流れができることを抑制することで、直近の室内の壁に当該空気があたって居室面に汚れが発生することを抑制できる。
【0016】
また、上記したように、パネル30はベース20の外形よりも大きく、ベース20を覆うように居室側から対向して配置される。これにより、換気グリル1は、ベース20とパネル30との間に形成された給気口31を居室側より見えにくくすることができる。従って、換気グリル1のデザイン性をよりよくすることができる。
【0017】
次に、
図1及び
図2を参照して、換気グリル1の特徴的構成について説明する。
図2は、換気グリル1の断面図である。
【0018】
換気グリル1において、少なくとも給気口31が形成されているベース20の外辺には、パネル30に向かって傾斜するベース傾斜部22が形成されている。また、少なくとも給気口31が形成されているパネル30の外辺には、ベース20側に突出して形成されたパネル突出部32が形成されている。そして、パネル突出部32の外縁には、パネル突傾斜部33が形成されており、ベース傾斜部22とパネル突傾斜部33との間が給気口31となって、室外空気が室内へ給気される。
【0019】
このパネル突傾斜部33は、ベース傾斜部22よりも外方に形成されている。また、パネル30の底面部35においてパネル突傾斜部33と成す傾斜角(パネル突傾斜部33の傾斜角θ2)が、底面部35に平行な面とベース傾斜部22との成す傾斜角(ベース傾斜部22の傾斜角θ1)よりも大きくなるように、ベース傾斜部22及びパネル突傾斜部33が形成されている。
【0020】
一方、パネル突出部32は、ベース20に最も接近するパネル突頂部36を備えており、更に、パネル突頂部36からパネル30の内方に向かって傾斜するパネル突内傾斜部34を備えている。
【0021】
次に、以上のように形成された換気グリル1の作用効果について説明する。
【0022】
換気装置によってダクトから空気が給気されると、ベース20に形成された開口21からその室外空気が換気グリル1内部に取り込まれる。換気グリル1内部に取り込まれた空気は、開口21から給気口31までに形成される空気の風路を流通して、給気口31から室内に給気される。
【0023】
ここで、開口21から給気口31までに形成されるダクトから給気された空気の風路は、ベース20側に突出して形成されたパネル突出部32により狭くなる。これにより、パネル突出部32によって狭くなった風路を通過する空気が加速されることになる。
【0024】
一方、ベース20の外辺にはパネル側に向かって傾斜するベース傾斜部22が形成され、パネル30の外縁には、パネル突傾斜部33が形成されている。これにより、パネル突出部32により加速された空気は、パネル側に向かって傾斜するベース傾斜部22とパネル突傾斜部33とによって、居室面から離れた方向に勢いよく吹出される。よって、居室面から離れた方向に空気を吹出し可能なデザイン性のよい換気グリル1を実現できる。
【0025】
ここで、仮に、パネル突傾斜部33がベース傾斜部22よりも内側に形成されている場合、ベース傾斜部22により形成された居室面から離れた方向の空気の流れを下支えしづらい。これに対し、換気グリル1では、パネル突傾斜部33がベース傾斜部22よりも外側に形成されているので、ベース傾斜部22によって形成された居室面から離れた方向の空気の流れを下支えでき、より確実な流れを形成するとすることができる。
【0026】
また、仮に、パネル突傾斜部33の傾斜角θ2が、ベース傾斜部22の傾斜角θ1よりも小さくなるように、ベース傾斜部22及びパネル突傾斜部33が形成されている場合、ベース傾斜部22により形成された居室面から離れた方向の空気の流れがパネル突傾斜部33によって居室面側に引き戻される。このとき、居室面に沿った空気の流れが形成されるおそれもある。これに対し、換気グリル1では、パネル突傾斜部33の傾斜角θ2が、ベース傾斜部22の傾斜角θ1よりも大きくなるように、ベース傾斜部22及びパネル突傾斜部33が形成されているので、より確実に居室面から離れた方向の空気の流れを形成することができる。
【0027】
また、開口21から取り込まれた空気が給気口31に向けて流れる場合に、その空気の流れる風路は、パネル突内傾斜部34によってパネル突頂部36に向けて徐々に狭まれる。これにより、開口21から給気口31に向けて形成される風路がパネル突出部32によって狭められるとしても、急激に風路が狭まる箇所がある場合と比して、大きな圧力損失の発生を抑制できる。よって、給気口31から給気される空気の速度を十分に速く設定できる。
【0028】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、各実施形態は、それぞれ、他の実施形態が有する構成の一部または複数部分を、その実施形態に追加し或いはその実施形態の構成の一部または複数部分と交換等することにより、その実施形態を変形して構成するようにしても良い。また、上記各実施形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0029】
上記実施形態において、
図2には、パネル突出部32の断面形状が複数本の直線によって角張った形状となるようにパネル突出部32を形成した例を示した。これに対し、パネル突出部32の断面形状が曲線によって角を丸めた形状となるようにパネル突出部32を形成してもよい。パネル突出部32の角を丸めることで、開口21から給気口31へ向かう風に対する圧力損失を小さくできる。
【0030】
上記実施形態において、給気口31が換気グリル1の隣接する二つの辺に形成され、換気グリル1の他の隣接する二つの辺には隔壁23が形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、給気口31は、換気グリル1の1つ乃至3つの辺に形成され、換気グリル1の残りの辺には隔壁23が形成されてもよい。また、換気グリル1の全ての辺において給気口31が設けられてもよい。
【0031】
また、上記実施形態において、ベース20及びパネル30がそれぞれ扁平四角形状に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、その形状は、円形状等、任意の形状であってよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る換気グリルは、デザイン性が求められる換気グリルに適用可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 換気グリル
20 ベース
21 開口
22 ベース傾斜部
23 隔壁
30 パネル
31 給気口
32 パネル突出部
33 パネル突傾斜部
34 パネル突内傾斜部
35 底面部
36 パネル突頂部
θ1 ベース傾斜部の傾斜角
θ2 パネル突傾斜部の傾斜角