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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】折り畳み情報通信体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B42D 15/02 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
B42D15/02 501B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019164016
(22)【出願日】2019-08-22
(65)【公開番号】P2021030713
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000105280
【氏名又は名称】ケイディケイ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 義和
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雅人
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-034538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項4】
横幅が異なる第一葉片と第二葉片の2葉片が縦方向の折り線を介して横方向に連接された第一の単位シートと、前記第一の単位シートと同一構成の第三葉片及び第四葉片からなる第二の単位シートが、第一葉片と第三葉片及び第二葉片と第四葉片が接するように横方向の折り線を介して上下に配置された合計4葉片の情報通信体シートを、第二葉片と第四葉片が内側に挟み込まれるように縦横に折り畳み任意の対向面間を剥離可能に接着した折り畳み情報通信体における、前記折り畳まれた第二葉片と第四葉片の対向面間が剥離不能であると共に剥離展開後に第二葉片と第四葉片の連接葉片と第一葉片と第三葉片の連接葉片が分離する折り畳み情報通信体の製造方法であって、
横幅が異なる第一葉片と第二葉片の2葉片が縦方向の折り線を介して横方向に連接された第一の単位シートと、前記第一の単位シートと同一構成の第三葉片及び第四葉片からなる第二の単位シートが、第一葉片と第三葉片及び第二葉片と第四葉片が接するように横方向の折り線を介して上下に配置された合計4葉片の情報通信体シートが印刷された連続シート或いは枚葉シートを繰り出すシートの繰り出し工程と、
前記繰り出された折り畳み情報通信体シートの疑似接着予定面に疑似接着媒体を形成する疑似接着媒体の形成工程と、
前記疑似接着媒体が形成された折り畳み情報通信体シートを縦方向の折り線から縦方向の縁辺に段差を形成するように折り畳む第一の折り畳み工程と、
前記縦方向の折り線から折り畳まれた折り畳み情報通信体シートを単体の折り畳み情報通信体シートに切り出す第一の切除工程と、
前記切除された折り畳み情報通信体シートを横方向の折り線から二つ折りに折り畳む第二の折り畳み工程と、
前記二つ折りに折り畳まれた折り畳み情報通信体シートの対向する疑似接着媒体同士を剥離可能に接着する接着工程と
前記疑似接着媒体同士が剥離可能に接着した情報通信体シートの縦方向の折り線で折り畳まれて袋とじ状態となった縁辺を切除して開放する第二の切除工程とからなることを特徴とした折り畳み情報通信体の製造方法。
【請求項6】
折り畳み情報通信体シートの縦方向の余白を切除する切除工程を疑似接着媒体の形成工程の上流及び/又は下流に設けたことを特徴とした請求項4乃至6の何れかに記載の折り畳み情報通信体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の葉片を折り畳み、剥離可能に一体化した折り畳み情報通信体とその製造方法に関する。詳しくは展開動作が極めて容易でそのため内容の読取も容易になる折り畳み情報通信体とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、宣伝広告や案内状、パンフレット等の大量の情報を伝達する手段として、封筒に各種伝達物を印刷したシート等を折り畳み、封入封緘して郵送する方法が一般的である。しかし最近では個人情報の管理が重要となり、誤って他人の情報を封入したり、あて先を間違えて記載したために誤配したりする等の事故は極力避けなければならない。また多数の宣伝広告物や個別情報が記入されたシートを封入封緘する作業に掛かる多大な経費を削減したいところである。そのような状況下、例えば特開2000-43456号公報に記載される折り畳み封書用シートが提案されている。
【先行技術分野】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-43456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既述の引用文献に記載される折り畳み封書用シートは、一枚のシートにあて先を含めた一人分の個人情報全てを記載して折り畳み封書に仕上げるため、誤って他人の情報が混じることはない。また折り畳むことで自動的に封書になるため封入封緘の手間も省ける等の長所がある。しかし、突出した封緘片の特殊加工、封緘のための接着剤塗布加工、開封に際して封着片を引きちぎるための切取ミシン加工、接着部分が容易に剥離するための剥離剤塗布加工、二条のミシン目による開封手段等の複雑で手間が掛かる特殊加工等が必要で、既述の長所があるにも関わらず割高についてしまう。
【0005】
また既述の通りの複雑な構成からなるため、受取人側でも開封に際して込み入った動作を必要とする。従って特に年配の方々では開封順序や開封動作で躊躇して迷い、上手く展開することができずに誤って情報記載面を破損や汚損してしまうことなどが起こり得る。
【0006】
本発明の折り畳み情報通信体とその製造方法は、上記問題に鑑み、一枚のシートに情報を記載して縦横に折り畳み、情報通信体に仕上げるため、一つの封筒に各種情報が記載された複数のシートを封入する際に起こりがちな、他人の情報の誤封入や誤配等の事故が起こらず、また開封の端緒と剥離展開の原理が明快で単純なため剥離動作で迷うことが無く、さらに疑似接着媒体の被覆により情報記載面が保護されるので汚損や破損等の心配がなく、また剥離展開後にはシートの周囲に破断した跡が残らず、従って美観を損ねることが無い折り畳み情報通信体とその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の折り畳み情報通信体は、横幅が異なる第一葉片と第二葉片の2葉片が縦方向の折り線を介して横方向に連接された第一の単位シートと、前記第一の単位シートと同一構成の第三葉片及び第四葉片からなる第二の単位シートが、第一葉片と第三葉片及び第二葉片と第四葉片が接するように横方向の折り線を介して上下に配置された合計4葉片の情報通信体シートを、第二葉片と第四葉片が内側に挟み込まれるように縦横に折り畳み任意の対向面間を剥離可能に接着した折り畳み情報通信体において、前記折り畳まれた第二葉片と第四葉片の対向面間が剥離不能であると共に剥離展開後に第二葉片と第四葉片の連接葉片と第一葉片と第三葉片の連接葉片が分離することを特徴としている。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本発明の異なる態様の折り畳み情報通信体は、前記の折り畳み情報通信体において縦方向の折り線で折り畳まれて袋とじ状態となった縁辺を切除して開放することにより、剥離展開後に第二葉片と第四葉片の連接葉片と第一葉片と第三葉片の連接葉片が分離することを特徴としている。
【0009】
さらに、上記目的を達成するために、本発明の異なる態様の折り畳み情報通信体は、前記の折り畳み情報通信体において縦方向の折り線で折り畳まれて袋とじ状態となった縁辺を前記縦方向の折り線に形成された破断ミシンにより破断しながら開封することにより剥離展開後に第二葉片と第四葉片の連接葉片と第一葉片と第三葉片の連接葉片が分離することを特徴としている
【0010】
さらにまた、上記目的を達成するために、本発明の折り畳み情報通信体の製造方法は、横幅が異なる第一葉片と第二葉片の2葉片が縦方向の折り線を介して横方向に連接された第一の単位シートと、前記第一の単位シートと同一構成の第三葉片及び第四葉片からなる第二の単位シートが、第一葉片と第三葉片及び第二葉片と第四葉片が接するように横方向の折り線を介して上下に配置された合計4葉片の情報通信体シートを、第二葉片と第四葉片が内側に挟み込まれるように縦横に折り畳み任意の対向面間を剥離可能に接着した折り畳み情報通信体における、前記折り畳まれた第二葉片と第四葉片の対向面間が剥離不能であると共に剥離展開後に第二葉片と第四葉片の連接葉片と第一葉片と第三葉片の連接葉片が分離する折り畳み情報通信体の製造方法であって、横幅が異なる第一葉片と第二葉片の2葉片が縦方向の折り線を介して横方向に連接された第一の単位シートと、前記第一の単位シートと同一構成の第三葉片及び第四葉片からなる第二の単位シートが、第一葉片と第三葉片及び第二葉片と第四葉片が接するように横方向の折り線を介して上下に配置された合計4葉片の情報通信体シートが印刷された連続シート或いは枚葉シートを繰り出すシートの繰り出し工程と、前記繰り出された折り畳み情報通信体シートの疑似接着予定面に疑似接着媒体を形成する疑似接着媒体の形成工程と、前記疑似接着媒体が形成された折り畳み情報通信体シートを縦方向の折り線から縦方向の縁辺に段差を形成するように折り畳む第一の折り畳み工程と、前記縦方向の折り線から折り畳まれた折り畳み情報通信体シートを単体の折り畳み情報通信体シートに切り出す第一の切除工程と、前記切除された折り畳み情報通信体シートを横方向の折り線から二つ折りに折り畳む第二の折り畳み工程と、前記二つ折りに折り畳まれた折り畳み情報通信体シートの対向する疑似接着媒体同士を剥離可能に接着する接着工程と、前記疑似接着媒体同士が剥離可能に接着した情報通信体シートの縦方向の折り線で折り畳まれて袋とじ状態となった縁辺を切除して開放する第二の切除工程とからなることを特徴としている。
【0011】
本発明の折り畳み情報通信体の製造方法では、情報通信体シートの縦方向の折り線に折りミシン或いは折り筋等又は破断ミシン等の折り手段又は破断手段が形成されることが好ましい。前記折り手段又は破断手段の形成については、予め情報通信体用シートに形成されていても良いが、疑似接着媒体の形成工程の上流側で形成しても或いは下流側で形成しても構わない。また横方向の折り線に関しては、既述の折り手段が形成されていてもよいが、何ら折り手段を形成することなく、折り機によりそのまま強制的に折り畳んでも構わない。
【0012】
また本発明の折り畳み情報通信体の製造方法では、折り畳み情報通信体用シートが印刷された連続シート或いは枚葉シートの縦方向の余白の切除が行われる。連続シートの場合シートの搬送のためのマージナル孔が形成されているマージナル部分が前記縦方向の余白に該当し、枚葉シートの場合、化粧断ちで切除される余白の内の縦方向の余白が該当する。なお前記切除の時期に関して格別な制限はなく、加工に入る前に予め切除しておいても良いが、疑似接着媒体の形成工程の上流側で切除しても或いは下流側で切除しても構わない。さらに上流側と下流側で段階的に切除しても構わない。
【0013】
さらに本発明の折り畳み情報通信体の製造方法で、前記縦方向の切除の他に横方向の切除が行われることにより単体の折り畳み情報通信体シートが切り出される。連続シートの場合ダイカットローラ等の断裁装置を使用して、回転するシリンダに取り付けられた刃により一本断ちにより切り出しても良く、枚葉シートの場合は例えば断裁刃と固定刃の組み合わせから成るギロチン方式等の断裁装置によりドブ断ちをしながら切り出しても構わない。なお縦横方向の切除が一気に行えるトムソン等による抜き加工を採用しても構わない。
【0014】
本発明の折り畳み情報通信体及びその製造方法に使用される資材は、例えば上質紙、マット紙、コート紙等の通常の用紙、合成紙、不織布或いは樹脂フィルムシート等を好適に使用することができる。また折り畳み情報通信体の仕上がりサイズにも格別な制限はなく、郵便はがき、角型封筒、ゆうメール、メール便等称されるB5サイズやA4サイズの情報通信体各種類に適用することができる。
【0015】
そして折り畳まれた対向面同士を剥離可能に接着(以下疑似接着と称する)に使用する疑似接着媒体は、大きく以下の3種類に分けられる。
1)後糊方式
印刷後の用紙の疑似接着予定面に疑似接着性のUVニスを塗布して疑似接着被膜を形成したもの。前記疑似接着被膜同士を対向させて加圧或いは加熱・加圧処理を施すと剥離可能に接着する。塗布後艶消し状態になるエマルジョン型の弱粘着剤を塗布するものもある。
2)先糊方式
印刷前の用紙の疑似接着予定面に、合成ゴム或いは天然ゴム等を主成分とした疑似接着媒体を塗布して含侵させたもの。乾燥後に印刷・印字を行い、疑似接着予定面同士を対向させて加圧処理を施すと剥離可能に接着する。
3)フィルム方式
印刷後の用紙の疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートを被覆(ラミネート)して、前記疑似接着フィルムシート同士が対向するように折り合わせ、加熱或いは加熱・加圧処理を施すと剥離可能に接着する。なお、フィルム方式には対向する疑似接着予定面に予め被覆しておいて、折り合わせた後に剥離可能に接着する全面貼り方式と、折り畳んだ用紙の疑似接着予定面間に予め疑似接着している積層フィルムを挟み込み、用紙とフィルム間を接着して剥離可能に一体化する挟み込み方式の二種類がある。
【発明の効果】
【0016】
本発明の折り畳み情報通信体は、その製造方法において全ての情報を記載した一枚のシートを折り畳み封書形態に仕上げるので、個人情報等を記載した複数の別体のシートをそれぞれ封入封緘する場合に起こる、他者の情報の誤封入や誤配による情報の漏洩(他人の情報が混入し第三者の元へ送られる)等の重大な事故が起きない。
【0017】
本発明の折り畳み情報通信体は、簡単に言うと疑似接着予定面に疑似接着媒体及び完全接着媒体を形成して折り畳み接着するだけのものである。従って開封の動作も単純で、剥離用の段差が形成されている開封縁辺からただ開封するだけでよいのである。複雑に形成された開封構造や剥離展開に際しての複雑な手順がないので受取人が高齢でも極めて容易に剥離開封することが可能である。
【0018】
また個人情報等が記載される疑似接着予定面(隠蔽面)は疑似接着媒体により被覆されるため、汚損や破損の心配、さらに改竄の恐れもない。
【0019】
さらに剥離展開後には、従来の開封手段ようにシートの周囲に開封する際の封着片の破断による引裂き跡等が残らず、従って美観を損ねることが無く、また破断ミシンによる開封手段を選択することにより封着片等のごみの発生もなくなる。
【0020】
さらにまた本発明の折り畳み封書は、その製造の際に各種接着媒体の形成工程や折り手段の形成工程を含む面倒な作業工程をインラインのシステムで行えるので、素人でも大量の折り畳み封書を短時間で製造することが可能になる。勿論各工程の作業を専用の独立した加工装置によりオフラインで作業しても極めて容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】(A)は郵便はがきJ(折り畳み情報通信体)の表面図、(B)は裏面図である。
図2】(A)は図1(A)におけるI-I線断面図、(B)はII-II線断面図である。
図3】(A)は本実施例の郵便はがきを剥離開封した際の斜視図、(B)は(A)の状態から更に第二葉片と第四葉片の連接葉片と第一葉片と第三葉片の連接葉片を分離した状態を示す斜視図である。
図4】(A)は郵便はがきJの製造に用いる情報通信体シートSの平面図、(B)は裏面図である。
図5】(A)は情報通信体シートS表面の疑似接着予定面に完全接着フィルムシートK(斜線部分)が被覆されると共に縦方向の折り線に折りミシンが形成された状態を示す表面図、(B)は疑似接着フィルムシートG(斜線部分)が被覆された状態を示す裏面図である。
図6】(A)は縦方向の折り線5から二つ折りされた情報通信体シートSの平面図、(B)は(A)におけるIII-III線断面図、(C)はIV-IV線断面図である。
図7】(A)は図6(A)の横方向の折り線6から、第二葉片2及び第四葉片4に被覆された完全接着フィルムシートK同士が対向するように二つ折りされた、情報通信体シートSの平面図、(B)は(A)におけるV-V線断面図である。
図8】(A)及び(B)は、図2(A)における中央の対向葉片(第二葉片2及び第四葉片4)間の完全接着フィルムシートKを疑似接着フィルムシートGに変更した断面図である。
【実施例1】
【0022】
[郵便はがきJ1]
以下の各実施例では既述の疑似接着媒体の中のフィルム方式(全面貼り方式)に沿って説明する。また本実施例では折り畳み情報通信体の典型例である郵便はがきに沿ってその詳細を説明する。
本実施例の郵便はがきJは、図1(A)、(B)及び図2(A)、(B)に記載されるものであるが、その構成は図2(A)に示すように、上から第一葉片1、第二葉片2、第四葉片4及び第三葉片3の順に重ね合わされている。そして第一葉片1と第二葉片2の対向面間と第四葉片4と第三葉片3の対向面間が疑似接着フィルムシートGを介して剥離可能に接着されている。また第二葉片2と第四葉片4の対向面間が完全接着フィルムフィルムシートKを介して剥離不能に接着されている。
【0023】
既述の構成の郵便はがきJ1の受取人は、例えば図1(A)、(B)及び図2(A)に示す剥離側縁辺に沿って形成されている段差を利用して、図3(A)に示すように疑似接着フィルムシートGを介して剥離可能に接着している各葉片間を剥離する。そして中央に挟まれている第二葉片と第四葉片間は、完全接着フィルムシートKを介して剥離不能に接着一体化され1枚となり、図3(B)に示すように第一葉片1と第三葉片3の連接葉片から分離することができる。そして受取人は内部に記載されている各種情報を、透明或いは半透明の疑似接着フィルムシートGを透して確認することができるのである。
【0024】
なお前記郵便はがきJの構成は、中央の「POST CARD」が記載された第二葉片2と第四葉片4が2枚合わせで一体化した本体の両面に、第一葉片及び第三葉片が貼り合わされたものとなる。内国郵便約款で通常はがきと認められるためには、4葉片を合わせた全体重量が2~6gの範囲であると共に、本体葉片(前記剥離不能に貼り合わされた2葉片)の重量が2~6g以内という、二重の条件をクリアする必要があるが、全体重量を押さえるために薄手の用紙を選択しても、2葉片の貼り合わせの本体葉片であれば前記条件のクリアが極めて容易になる。
【実施例2】
【0025】
[郵便はがきJの製造方法]
本実施例の郵便はがきJの製造方法に使用される情報通信体シートSは図4(A)及び(B)に示すように、横幅の関係が第一葉片1<第二葉片2の2葉片が縦方向の折り線5を介して横方向に連接された単位シートt1と、同様に横幅の関係が第三葉片3(=第一葉片1)<第四葉片4(=第二葉片2)の2葉片が折り線5を介して横方向に連接された前記単位シートt1と同じ構成の単位シートt2が、折り線6を介して第一葉片1と第三葉片3及び第二葉片2と第四葉片4が接するように上下に配置された4葉片で構成されている。
【0026】
なお前記情報通信体シートSは、フォーム印刷で使用される連続シートに印刷されていても構わず、或いはオフセット印刷やデジタル印刷で使用される枚葉シートに印刷されていても構わない。
【0027】
また本実施例では前記縦方向の折り線5に折り畳みを容易にするための折りミシンが形成されているが、それ以外に折り筋等公知の折り手段が形成されていても構わない。また前記折りミシンは、後述する疑似接着フィルムシートGの被覆工程の上流及び/又は下流等の工程中で形成されても構わない。さらに疑似接着媒体の形成は、加工に入る以前の段階で連続シートや枚葉シートに予め形成されていても構わない。
【0028】
なお横方向の折り線6には後に折り機で折り畳まれる際の折り位置が二点鎖線で表されているが、前記横方向の折り線6に既述の公知の折り手段が形成されていても構わない。
【0029】
既述の構成の情報通信体シートSは製造工程の最上流の用紙載せ台に載置され、最上面の情報通信体シートSから順に、例えば一対或いは複数対のヒートローラからなるラミネータ等公知の被覆装置へ送り込まれ、図5(A)に斜線で示すように表面の完全接着予定面(第二葉片2及び第四葉片4の略全面)に完全接着フィルムシートKが被覆され、同図(B)に示すように裏面の疑似接着予定面(4葉片全面)に疑似接着フィルムシートGが被覆される。
【0030】
なお本実施例では、開封縁辺の段差を剥離の端緒として剥離展開することができるが、さらに受取人の開封動作を補助するために、開封側縁辺から疑似接着フィルムシートGを控えて被覆することにより非接着域を設ける等の開封補助手段を講じても構わない。
【0031】
前記の通り完全接着フィルムシートK及び疑似接着フィルムシートGが被覆された情報通信体シートSは、例えば周囲の不要な余白部分を切除した後に(切除する時期に関しては格別な制限はなく、例えば段階的に任意の余白部分を切除しても構わない)図6(A)、(B)及び(C)に示すように、縦方向の折り線5から第二葉片2と第一葉片1の裏面側及び第三葉片3と第四葉片4の裏面側が対向するように二つ折りに折り畳まれる。
【0032】
そして次に図7(A)及び(B)に示すように、横方向の折り線6から第二葉片2と第四葉片4に被覆されている完全接着フィルムシートK同士が対向するように二つ折りに折り畳まれる。なおこの二つ折りに折り畳む時点で情報通信体シートSは単体のシートに切り出されていることが好ましいが、後述する接着工程後に切り出しても構わない。
【0033】
そして次に、例えば加圧ローラ等による加圧装置、或いはヒートローラやヒータパネルと加圧ローラの組み合わせからなる加熱・加圧装置等による接着工程により、対向する完全接着フィルムシートK及び疑似接着フィルムシートG同士がそれぞれ接着され、折り畳まれた情報通信体シートS全体が接着一体化される。
【0034】
なお前記接着一体化された情報通信体シートSは図7(B)に示す、袋とじ状態の折り線5を含むX-X線部分の縁辺部分を第二の切除工程で切除することにより、図3(A)及び(B)に示すように剥離展開が可能となる。この縁辺部分の切除工程に関しては前記情報通信体シートSが接着一体化された後に連続的に行われるよう配置しても構わない。
【0035】
また例えば、第二の切除工程として、前記縁辺部分を切除することなく図2(A)を図7(B)と入れ替えた郵便はがきJとしておいて、図7(A)及び(B)に示すように、X-X線上に破線や「切取線」或いは「ここから切り落とす」等の図柄や文言を記載し、受取人が前記各種デザインに従い鋏やカッター等の切除道具により切り落として開封するようにしておいても構わない。
【0036】
また図7(B)に示す折り線5に、折りミシンや折り筋等の折り手段に代え破断ミシンを形成しておいて、受取人が切除道具を使用することなく破断しながら開封できる郵便はがきJとしても構わない。その場合、前記折り手段形成工程を破断手段形成工程へ変更するだけでよく、またそのようにすることで袋とじ状態の縁辺部分の切除工程に付随する切り屑が発生することが無いため極めて至便である。
【0037】
前記実施例における加工工程は専用ラインにより用紙の積載から最終の接着工程までを自動的にオンラインで行っても構わないが、例えば個別の各専用加工装置を使用して、それぞれの加工工程(被覆工程、切除工程、折り工程、接着工程等)をオフラインで行っても構わない。
【0038】
なお本発明は前記実施例に限られるものではない。
例えば中央の2葉片を剥離不能に貼り合わせる手段として完全接着フィルムシートKを使用しているが、疑似接着フィルムGに替えても構わない。その際図8(A)及び(B)から分かるように、中央の第二葉片2及び第四葉片4の対向面には、どの端部にも段差や非接着域などの剥離の端緒が形成されておらず揃っている。従って剥離の端緒がないので開くことができないのである。
また完全接着媒体も疑似接着フィルムシートK以外に、例えば所要の箇所に感熱接着剤、感圧接着剤、乾湿接着剤等の層を形成しておいて、それらの接着力が発揮する条件の加工工程を付加しても構わない。
【符号の説明】
【0039】
J 郵便はがき(折り畳み情報通信体)
S 情報通信体シート
t1、t2 単位シート
K 完全接着フィルムシート
G 疑似接着フィルムシート
1、2、3、4 葉片
5、6 折り線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8