(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】吸気口フィルタシステム
(51)【国際特許分類】
B01D 46/00 20220101AFI20231013BHJP
E04B 1/92 20060101ALI20231013BHJP
F24F 7/003 20210101ALI20231013BHJP
F24F 13/28 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
B01D46/00 C
E04B1/92
F24F7/003
F24F13/28
(21)【出願番号】P 2019106747
(22)【出願日】2019-06-07
【審査請求日】2021-03-12
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597174872
【氏名又は名称】アイ・ホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】田村 寛治
【合議体】
【審判長】井上 猛
【審判官】佐藤 陽一
【審判官】山本 佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-111641号公報
【文献】特開平8-285339号公報
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 46/00-46/54
E04B 1/62- 1/99
F24F 7/00 7/007
F24F 13/08-13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁に設けられた外気を吸気する吸気口を覆う吸気口フィルタシステムであって、
前記外壁に取り付けられ、前記吸気口
を覆うように配置され
、前記吸気口の上方から、前記吸気口より下方まで延び、最下部に下方に向かって開放された開口を有する内部空間を形成する外装体と、
前記内部空間において、前記吸気口と前記開口との間に配置され、前記外装体に着脱自在に取り付けられ、火山灰を除去可能なフィルタ部と、を備え
、
前記フィルタ部は、前記外装体に着脱自在に取り付けられるフレームと、
前記フレームに取り付けられるフィルタと、を備え、
前記フィルタ部は、前記吸気口と上下方向において離間した位置であって、前記外装体の下端から離間した位置に配置され
、
前記フィルタは、外縁を形成するフィルタフレームと、前記フィルタフレームに貼られた粉塵フィルタと、前記フィルタフレームの外周に設けられ、前記フィルタと前記外装体の内壁との隙間を塞ぐ、スポンジ素材又はゴム素材で形成されたパッキンと、を備える吸気口フィルタシステム。
【請求項2】
前記フィルタ部は、前記フィルタより前記外装体の前記開口側において、前記フレームに取り付けられる防虫網と、を更に備える請求項
1に記載の吸気口フィルタシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁に設けられた外気を吸気する吸気口を覆う吸気口フィルタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の外壁には、ファンを用いて外気を建物の内部に引き込むための吸気口が設けられる。
例えば、特許文献1には、建物の外壁の裏側に形成された通気層内で空気を通流させる壁用換気ユニットを、通気層の基礎側開口部に臨むように取り付けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、活火山の周辺地域では、噴火により、火山灰が舞っている。
このような火山灰を含む外気を、特許文献1の壁用換気ユニットで吸気した場合、ファンが故障したり、火山灰が通気層内に侵入し、室内の空気を汚染したりする。
【0005】
そこで、本発明では、上記の課題に鑑みて、火山灰が舞う地域において、建物の外壁に設けられた換気装置の故障や、室内に火山灰が侵入することを防止することが可能な吸気口フィルタシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0007】
本発明は、
建物の外壁に設けられた外気を吸気する吸気口を覆う吸気口フィルタシステムであって、
前記外壁に取り付けられ、前記吸気口を覆うように配置され、前記吸気口の上方から、前記吸気口より下方まで延び、最下部に下方に向かって開放された開口を有する内部空間を形成する外装体と、
前記内部空間において、前記吸気口と前記開口との間に配置され、前記外装体に着脱自在に取り付けられ、火山灰を除去可能なフィルタ部と、を備え、
前記フィルタ部は、前記外装体に着脱自在に取り付けられるフレームと、
前記フレームに取り付けられるフィルタと、を備え、
前記フィルタ部は、前記吸気口と上下方向において離間した位置であって、前記外装体の下端から離間した位置に配置され、
前記フィルタは、外縁を形成するフィルタフレームと、前記フィルタフレームに貼られた粉塵フィルタと、前記フィルタフレームの外周に設けられ、前記フィルタと前記外装体の内壁との隙間を塞ぐ、スポンジ素材又はゴム素材で形成されたパッキンと、を備える吸気口フィルタシステム。
【0008】
上記構成によれば、建物の外壁に設けられた外気を吸気する吸気口を覆う吸気口フィルタシステムは、外装体と、フィルタ部と、を備える。
外装体は、外壁に取り付けられ、吸気口が配置され、最下部に下方に向かって開放された開口を有する内部空間を形成する。
フィルタ部は、内部空間において、吸気口と開口との間に配置され、外装体に着脱自在に取り付けられ、火山灰を除去可能である。
【0009】
このように、外壁に取り付けられる外装体により、最下部に下方に向かって開放された開口を有する内部空間内に吸気口を配置し、吸気口と開口との間にフィルタ部を配置することで、一般的な換気装置を吸気口フィルタシステムで覆うことができるので、換気装置が直接的に火山灰に晒されるのを防止できる。
【0010】
ここで、通常、火山灰は、上方から舞い降りてくる。本発明の吸気口フィルタシステムは、外装体の最下部に下方に向かって開放された開口を有するので、吸気口が配置されている内部空間に吸引される火山灰を大幅に削減できる。
そして、仮に、下方に向かって開放された開口から、火山灰が吸引されたとしても、吸気口と開口との間には、火山灰を除去可能なフィルタ部が取り付けられているので、吸引した空気中に含まれる火山灰を確実に除去可能である。
【0011】
したがって、火山灰が舞う地域において、建物の外壁に設けられた換気装置の故障や、室内に火山灰が侵入することを防止することが可能な吸気口フィルタシステムを提供できる。
【0012】
また、本発明において、前記フィルタ部は、前記外装体に着脱自在に取り付けられるフレームと、
前記フレームに取り付けられるフィルタと、を備えてもよい。
【0013】
これにより、フィルタを交換する場合、フィルタ部を外装体から取り外し、作業し易い状態で、フィルタを交換できるので、建物の外壁に取り付けられた外装体の開口部から手等を挿入してフィルタを交換する場合に比べ、作業効率が向上する。
【0014】
また、本発明において、前記フィルタ部は、前記フィルタより前記外装体の前記開口側において、前記フレームに取り付けられる防虫網と、を更に備えてもよい。
【0015】
これにより、外装体の開口から侵入した害虫(シロアリ等)の侵入を防止したり、このような害虫がフィルタに付着し、フィルタを介した吸気が妨げられるのを防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、火山灰が舞う地域において、建物の外壁に設けられた換気装置の故障や、室内に火山灰が侵入することを防止することが可能な吸気口フィルタシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の好適な実施形態に係る吸気口フィルタシステムの概要を説明する図である。
【
図2】
図2は、本発明の好適な実施形態に係る吸気口フィルタシステムの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための好適の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0019】
図1は、本発明の好適な実施形態に係る吸気口フィルタシステム1の概要を説明する図である。
図1中の点線の矢印は、空気の流れを示している。
吸気口フィルタシステム1は、建物100の外壁110に設けられた外気を吸気する吸気口110a(差圧式換気口111や、熱交換器吸気口112等)を覆って、外壁110に設けられ、外装体10と、フィルタ部20と、を備える。
【0020】
外装体10は、外壁110に取り付けられ、最下部に下方に向かって開放された開口10bを有する内部空間10aを形成する箱形状に形成され、内部空間10aに吸気口110aが配置されている。外装体10は、例えば、鋼板を箱形状に形成してもよいし、骨組みとなるフレームに、外装材を貼って箱形状に形成してもよい。また、外装体10は、天板を外壁110から下方に傾斜させるのが望ましい。これにより、雨水や火山灰が天板に溜まってしまうことを防止できる。
【0021】
図2は、本発明の好適な実施形態に係る吸気口フィルタシステムの分解斜視図である。
フィルタ部20は、内部空間10aにおいて、吸気口110a(
図1参照)と開口10bとの間に配置され、外装体10に着脱自在に取り付けられ、火山灰を除去可能である。
フィルタ部20は、フレーム21と、フィルタ22と、防虫網23と、を備える。
【0022】
フレーム21は、外装体10の内部空間10aの内部寸法と、同じか僅かに小さい寸法で、外形が形成され、外装体10の内部空間10aに、例えば、固定金具やビス等で、着脱自在に取り付けられる。フレーム21は、
図2に示す例では、L型アングルにより形成され、四隅に配置され上下方向に延びる縦軸と、互いに隣接する縦軸とに接続された横軸と、を備える。フレーム21は、
図2に示す例に限らず、フィルタ22と、防虫網23と、を固定可能であり、外装体10の内部空間10aに配置可能であれば、任意の態様で形成することができる。
【0023】
フィルタ22は、外装体10の内部空間10aにおいて、吸気口110a(
図1参照)と開口10bとを隔てるように(下に向けて)配置され、フレーム21に着脱自在に取り付けられる。フィルタ22は、例えば、外縁を形成するフィルタフレームと、フィルタフレームに貼られた粉塵フィルタと、フィルタフレームの外周に設けられ、フィルタ22と外装体10の内壁との隙間を塞ぐパッキン(例えば、スポンジ素材やゴム素材等)と、を備える。粉塵フィルタは、不織布フィルタや、80μm角以下のメッシュ状フィルタを用いることができる。
【0024】
防虫網23は、外装体10の内部空間10aにおいて、フィルタ22より外装体10の開口10b側において、フレーム21に取り付けられる。防虫網23は、例えば、外縁を形成する防虫網フレームと、防虫網フレームに貼られた網と、フィルタフレームの外周に設けられ、防虫網23と外装体10の内壁との隙間を塞ぐパッキン(例えば、スポンジ素材やゴム素材等)と、を備える。網は、例えば、ステンレス製の線径0.18mmで、0.45mm×0.66mm以下(例えば、0.455mmや0.25mm等)の網目を形成したものを用いることができる。
【0025】
次に、吸気口フィルタシステム1の設置方法について説明する。
建物100の外壁110に設けられた吸気口110aを覆うように、開口10bが下になるように、外壁110に外装体10を取り付ける。
次に、フィルタ部20のフレーム21に、上段にフィルタ22、下段に防虫網23を取り付け、この状態のフレーム21を、上段側から、外装体10の内部空間10aに開口10bから挿入し、外装体10とフィルタ部20とを、固定金具で互いに固定する。
【0026】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態及び変形例に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態及び変形例に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0027】
1 吸気口フィルタシステム
10 外装体
10a 内部空間
10b 開口
20 フィルタ部
21 フレーム
22 フィルタ
23 防虫網
100 建物
110 外壁
110a 吸気口
111 差圧式換気口
112 熱交換器吸気口