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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】媒体排出装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/38 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
B65H31/38
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019157685
(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公開番号】P2021035870
(43)【公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】高橋 寿行
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-026544(JP,A)
【文献】特開2018-052656(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0088511(US,A1)
【文献】特開2009-126627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00- 31/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体が積載される積載台と、
前記積載台に向けて排出される前記媒体を規制する規制位置と、当該規制位置から退避した退避位置との間を移動する規制部と、
前記規制部を駆動する規制駆動部と、
前記退避位置から前記規制位置への前記規制部の移動量と、前記積載台に向けて排出される前記媒体の排出間隔とのうち少なくとも一方と、前記規制駆動部の駆動状況とに基づいて、前記規制部が前記媒体に対して規制動作を行う規制頻度を調整して前記規制部を制御する制御部と
を備えることを特徴とする媒体排出装置。
【請求項2】
前記制御部は、最後の前記媒体に対して前記規制部が前記規制動作を行うように前記規制頻度を調整して前記規制部を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の媒体排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体が積載される媒体排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙等の媒体が積載される積載台の周囲には、サイドフェンスなどの規制部が配置されている。また、この規制部が、積載台に向けて排出される媒体の端部に当接することで媒体の積載位置を規制する規制位置と、この規制位置から退避した退避位置との間で移動可能に配置された媒体排出装置が知られている。このような媒体排出装置では、規制部は、媒体が積載台に向けて排出される際に、退避位置から規制位置へ移動し、この規制位置から退避位置へ移動する規制動作(ジョガー動作)を行う事で排出された媒体を揃える事ができる。
【0003】
なお、上記規制動作を行うものではないが、トレイ上に積載されたシートを押圧する押圧手段の押し込み量を、シートの条件に応じて変化させるシート後処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-8920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、媒体が厚紙である場合には、媒体が薄紙である場合よりも媒体にコシがあることで、積載台に向けて排出される媒体が勢いよく飛びやすい。そのため、媒体が厚紙である場合には、媒体が薄紙である場合よりも、上記の退避位置を上記の規制位置から遠ざけ、規制部の移動量を増やすことが望ましい。このように、媒体の種類によって、規制部の移動量を変化させるとよい。
【0006】
しかしながら、規制部の移動量が増えるほど、規制部を駆動するモータ等の規制駆動部は、非駆動時間に対して駆動時間が相対的に長くなるため、発熱量が大きくなる。また、媒体が排出される排出間隔が短いほど、規制駆動部の非駆動時間に対して駆動時間が相対的に長くなるため、規制駆動部の発熱量が大きくなる。
【0007】
そのため、規制駆動部の温度が例えば仕様内の規定温度に達しないように規制駆動部の発熱を抑えながら、規制動作を行うことが望ましいといえる。
【0008】
本発明の目的は、媒体を規制するための規制駆動部の発熱を抑えることができる媒体排出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの態様では、媒体排出装置は、媒体が積載される積載台と、前記積載台に向けて排出される前記媒体を規制する規制位置と、当該規制位置から退避した退避位置との間を移動する規制部と、前記退避位置から前記規制位置への前記規制部の移動量と、前記積載台に向けて排出される前記媒体の排出間隔とのうち少なくとも一方に基づいて、前記規制部が前記媒体に対して規制動作を行う規制頻度を調整して前記規制部を制御する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0010】
前記態様によれば、媒体を規制するための規制駆動部の発熱を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施の形態に係る媒体排出装置を備える印刷システムの内部構成を示す図である。
図2】一実施の形態に係る媒体排出装置を備える印刷システムの主要な制御構成を示す図である。
図3】一実施の形態におけるサイド規制部及びエンド規制部の規制動作を説明するための平面図である。
図4】一実施の形態における規制頻度の決定処理(第1の例)を説明するためのフローチャートである。
図5】一実施の形態における規制頻度の決定処理(第2の例)を説明するためのフローチャートである。
図6】一実施の形態における規制頻度の決定処理(第3の例)を説明するためのフローチャートである。
図7】一実施の形態における規制頻度の決定処理(第4の例)を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態に係る媒体排出装置について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、一実施の形態に係る媒体排出装置30を備える印刷システム1の内部構成を示す図である。
【0014】
図2は、印刷システム1の主要な制御構成を示す図である。
図1及び図2に示す印刷システム1は、印刷装置10と、中間搬送装置20と、媒体排出装置30とを備える。
【0015】
なお、図1には、印刷装置10における媒体Mの直進搬送経路R1、及び中間搬送装置20における媒体Mの排出経路R4を実線で示す。また、図1には、印刷装置10における媒体Mの循環搬送経路R2を2点鎖線で、印刷装置10における反転搬送経路R3を破線で示す。媒体Mは、例えば、枚葉紙(用紙)などのシート状の媒体である。
【0016】
図1に示すように、印刷装置10は、媒体供給部11と、繰り出しローラ12と、複数の搬送ローラ対13と、吸着搬送部14と、印刷部15と、搬送経路切り替え部16,17と、積載台18とを備える。また、図2に示すように、印刷装置10は、制御部19aと、記憶部19bと、インターフェース部19cとを備える。
【0017】
媒体供給部11には、媒体Mが積載される。媒体供給部11は、印刷装置10と一体に配置されているが、印刷装置10とは別体に配置されていてもよい。
【0018】
繰り出しローラ12は、媒体供給部11に積載された複数枚の媒体Mのうち最上位に位置する媒体Mを繰り出して搬送する。
【0019】
搬送ローラ対13は、印刷装置10内の直進搬送経路R1、循環搬送経路R2、及び反転搬送経路R3のそれぞれに複数対配置され、媒体Mをニップしながら搬送する。
【0020】
吸着搬送部14は、印刷部15に対向するように配置されている。吸着搬送部14は、媒体Mを吸着しながらベルトによって媒体Mを搬送する。
【0021】
なお、繰り出しローラ12、複数の搬送ローラ対13、及び吸着搬送部14、並びに後述する中間搬送装置20の複数の搬送ローラ対21は、媒体Mを搬送する搬送手段の一例である。
【0022】
印刷部15は、例えば、印刷に用いられる各色分の図示しないラインヘッド型インクジェットヘッドを有する。なお、印刷部15の印刷方式は、インクジェット印刷方式以外の印刷方式であってもよい。
【0023】
搬送経路切り替え部16は、印刷部15によって印刷が行われた媒体Mの搬送経路を、中間搬送装置20へ続く直進搬送経路R1と、積載台18又は反転搬送経路R3へ続く循環搬送経路R2とに切り替える。
【0024】
搬送経路切り替え部17は、媒体Mの循環搬送経路R2を、積載台18へ続く搬送経路と、反転搬送経路R3へ続く搬送経路とに切り替える。なお、媒体Mは、反転搬送経路R3において表裏が逆転し、再び印刷部15へ搬送される。
【0025】
積載台18には、媒体排出装置30へ排出されない媒体Mが積載される。
図2に示す制御部19aは、印刷装置10全体の動作を制御する演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit)を有し、吸着搬送部14、印刷部15等の各部の動作を制御する。また、制御部19aは、後述する中間搬送装置20の複数の搬送ローラ対21を制御する。なお、印刷装置10の制御部19aと、後述する媒体排出装置30の制御部37とを兼ねる制御部が印刷システム1に配置されていてもよい。
【0026】
記憶部19bは、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM(Read Only Memory)、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)などである。
【0027】
インターフェース部19cは、媒体排出装置30等の機器との間で各種情報の授受を行う。例えば、インターフェース部19cは、媒体種情報を媒体排出装置30に送る。この媒体種情報は、例えば、媒体Mが厚紙であるか否かの厚さや、媒体Mのサイズなどである。
【0028】
図1に示す中間搬送装置20は、複数の搬送ローラ対21と、媒体通過検知センサ22とを備える。
【0029】
複数の搬送ローラ対21は、印刷装置10から排出された媒体Mをニップしながら搬送する。
【0030】
媒体通過検知センサ22は、排出経路R4において、媒体Mの有無を検知する。
図1に示すように、媒体排出装置30は、積載台31と、サイド規制部32,33と、エンド規制部34とを備える。また、図2に示すように、媒体排出装置30は、規制駆動部35と、昇降駆動部36と、制御部37と、記憶部38と、インターフェース部39とを備える。
【0031】
なお、媒体排出装置30は、印刷装置10とは別体に配置されているが、印刷装置10と一体に配置されていてもよい。また、媒体排出装置30は、単一の印刷装置10を備える印刷システム1に配置されているが、例えば、媒体Mの搬送経路に直列に配置された複数の印刷装置を備える印刷システムに配置されてもよい。また、媒体排出装置30は、印刷装置10から排出される媒体Mが積載されるのではなく、媒体Mに印刷以外の処理を行う処理装置や、媒体Mに処理を行わずに媒体Mを搬送する搬送装置から排出される媒体Mが積載されてもよい。また、中間搬送装置20が省略される場合には、媒体排出装置30は、印刷装置10から直接的に媒体Mが排出されてもよい。
【0032】
積載台31には、媒体Mが積載される。積載台31は、後述する昇降駆動部36の駆動によって昇降可能に配置されている。積載台31は、着脱自在に媒体排出装置30に配置されている。積載台31は、媒体Mが取り出される際に、台車100上に下降して台車100に載置され、媒体Mとともに媒体排出装置30から取り出されるとよい。なお、積載台31は、昇降不能に配置されていてもよい。
【0033】
図3に示すように、サイド規制部32,33は、積載台31に向けて排出される媒体Mの排出方向Dに直交する媒体Mの幅方向に互いに対向するように配置されている。サイド規制部32,33は、例えばサイドフェンスである。
【0034】
エンド規制部34は、積載台31に積載される媒体Mよりも、排出方向Dの下流側(図3における右側)に配置されている。エンド規制部34は、例えばエンドフェンスである。
【0035】
サイド規制部32,33及びエンド規制部34は、積載台31に向けて排出される媒体Mの端部に当接することで媒体Mの積載位置を規制する図3に2点鎖線で示す規制位置P2と、この規制位置P2から退避した退避位置P1との間を移動する規制部の一例である。サイド規制部32,33及びエンド規制部34の退避位置P1から規制位置P2への移動量(長さ)は、例えばすべて同一のΔLである。詳しくは後述するが、この移動量ΔLは、媒体Mが厚紙である場合には6[mm]であり、媒体Mが厚紙でない場合には3[mm]である。そのため、サイド規制部32,33及びエンド規制部34の規制位置P2は、媒体Mのサイズに応じて一定にすることができるが、退避位置P1は、媒体Mのサイズが一定であっても動量ΔLの変動に伴い変動する。
【0036】
サイド規制部32,33及びエンド規制部34は、退避位置P1から規制位置P2へ移動し、例えば規制位置P2で静止せずに、規制位置P2から退避位置P1へ移動する規制動作(ジョガー動作)を行う。すなわち、規制動作は、退避位置P1から規制位置P2へ移動し、退避位置P1へ戻る往復動作といえる。
【0037】
サイド規制部32,33及びエンド規制部34は、積載台31とは異なり、昇降駆動部36によって昇降駆動されずに配置されている。なお、後述する規制駆動部35の駆動によって退避位置P1と規制位置P2との間を移動する規制部は、サイド規制部32,33及びエンド規制部34のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0038】
図2に示す規制駆動部35は、例えば、モータ等のアクチュエータである。規制駆動部35は、排出途中の媒体Mに対して規制動作を行うようにサイド規制部32,33及びエンド規制部34を駆動する。なお、規制駆動部35は、サイド規制部32,33及びエンド規制部34を駆動する単一の駆動部であってもよいし、サイド規制部32,33及びエンド規制部34のうちのいずれかを駆動する複数の駆動部であってもよい。
【0039】
昇降駆動部36は、例えば、モータ等のアクチュエータである。昇降駆動部36は、制御部37の駆動制御によって、積載台31を昇降させる。なお、媒体排出装置30には、積載台31における媒体Mの積載面の高さが所定高さに達したことを検知する図示しない積載面検知センサが配置されている。制御部37は、この積載面検知センサの検知結果に基づいて、積載台31を例えば所定枚数分の高さ下降させるように昇降駆動部36を制御するとよい。
【0040】
制御部37は、媒体排出装置30全体の動作を制御する演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU)を有する。詳しくは後述するが、制御部37は、退避位置P1から規制位置P2へのサイド規制部32,33及びエンド規制部34の移動量ΔLと、積載台31に向けて排出される媒体Mの排出間隔とのうち少なくとも一方に基づいて、サイド規制部32,33及びエンド規制部34が媒体Mに対して規制動作を行う規制頻度(ジョガー頻度)を調整してサイド規制部32,33及びエンド規制部34(規制駆動部35)を制御する。この規制頻度は、例えば、1枚ごと、2枚ごとなどのジョガー動作が行われる媒体Mの割合である。
【0041】
記憶部38は、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAMなどである。
【0042】
インターフェース部39は、印刷装置10、中間搬送装置20等の機器との間で各種情報の授受を行う。例えば、インターフェース部39は、媒体通過検知センサ22の検知結果を取得する。制御部37は、サイド規制部32,33及びエンド規制部34が規制動作を行う対象である媒体Mに対しては、媒体通過検知センサ22を通過した後、所定時間経過後(例えば、数100[msec]後)に規制動作が行われるように規制駆動部35を制御する。
【0043】
図4は、本実施の形態における規制頻度の決定処理(第1の例)を説明するためのフローチャートである。
【0044】
第1の例では、サイド規制部32,33及びエンド規制部34の退避位置P1から規制位置P2への移動量ΔLに基づいて制御部37が規制頻度を決定する例について説明する。なお、図4に示すフローチャートの各処理は、図1に示す媒体排出装置30の制御部37によって、例えば、印刷装置10が印刷開始指示を受けたことの情報を印刷装置10から受信したとき(或いは、媒体Mが積載台31に向けて排出される前)に行われる。また、以下では、上述の説明と重複する事項については適宜省略しながら説明する。
【0045】
まず、制御部37は、印刷装置10の例えば印刷ジョブで設定される情報から、媒体Mが厚紙であるか否かの厚さを取得する(ステップS11)。この厚さは、媒体種情報の一例であるが、媒体種情報は、媒体Mのサイズなどであってもよい。また、媒体種情報は、印刷ジョブで設定される情報に限られず、印刷装置10(又は印刷システム1)の入力部における操作によって設定された情報などであってもよい。
【0046】
制御部37は、媒体Mが厚紙であるかを判定し(ステップS12)、媒体Mが厚紙でない場合(ステップS12:NO)、すなわち、媒体Mが標準厚さ又は薄紙である場合には、サイド規制部32,33及びエンド規制部34の移動量ΔLを3[mm]に決定する(ステップS13)。これにより、サイド規制部32,33及びエンド規制部34の退避位置P1及び規制位置P2は、媒体Mのサイズに応じて、サイド規制部32,33及びエンド規制部34の移動量ΔLが3[mm]となる位置で定まる。
【0047】
また、制御部37は、サイド規制部32,33及びエンド規制部34が規制動作を行う規制頻度を、1枚ごとの媒体M、すなわちすべての媒体Mに決定し(ステップS14)、図4に示す処理を終了する。
【0048】
上述のステップS12において、制御部37は、媒体Mが厚紙である場合(ステップS12:YES)、サイド規制部32,33及びエンド規制部34の移動量ΔLを6[mm]に決定する(ステップS15)。
【0049】
また、制御部37は、サイド規制部32,33及びエンド規制部34が規制動作を行う規制頻度を、2枚ごとの媒体Mに決定する(ステップS16)。ここで、移動量ΔLが6[mm]の場合に、移動量ΔLが3[mm]の場合よりも規制頻度を減らすのは、移動量ΔLが長いほど、規制駆動部35の非駆動時間に対して相対的に駆動時間が長くなり、規制駆動部35の発熱量が大きくなるためである。なお、移動量ΔLは、3[mm]及び6[mm]の2通りではなく、媒体種情報に基づいて3通り以上の長さに決定されてもよい。また、3通り以上の移動量ΔLに合わせて、規制頻度も3通り以上に決定されてもよい。
【0050】
次に、制御部37は、媒体Mの排出が停止する前の最後(例えば、印刷ジョブの最後)の媒体Mに対して規制動作が行われるかを判定する(ステップS17)。
【0051】
例えば、10枚の媒体Mが排出され、2,4,6,8,10枚目の媒体Mに規制動作が行われる予定である場合、制御部37は、最後の10枚目の媒体Mに対して規制動作が行われると判定し(ステップS17:YES)、図4に示す処理を終了する。
【0052】
一方、例えば、9枚の媒体Mが排出され、2,4,6,8枚目の媒体Mに規制動作が行われる予定である場合、制御部37は、最後の9枚目の媒体Mに対して規制動作が行われないと判定する(ステップS17:NO)。この場合、制御部37は、最後の9枚目の媒体Mに規制動作が行われるように、9枚目の媒体Mに対する規制動作を追加し、2,4,6,8,9枚目の媒体Mに規制動作が行われるように規制駆動部35を制御し(ステップS18)、図4に示す処理を終了する。
【0053】
なお、制御部37は、最後の媒体Mに規制動作を追加するのではなく、最後の9枚目の媒体Mに対して規制動作が行われるように、2,4,6,8枚目の媒体Mに規制動作が行われるのではなく、1,3,5,7,9枚目の媒体Mに規制動作が行われるように、規制動作の対象の媒体Mを切り替えて規制駆動部35を制御してもよい。或いは、制御部37は、最後の媒体Mに規制動作を追加するのではなく、最後の9枚目の媒体Mに対して規制動作が行われるように、2,4,6,8枚目の媒体Mに規制動作が行われるのではなく、8枚目の媒体Mを9枚目の媒体Mに変更して、2,4,6,9枚目の媒体Mに規制動作が行われるように規制駆動部35を制御してもよい。また、最後の媒体Mに規制動作が行われることが望ましくはあるが、ステップS17,S18の処理が省略されてもよい。
【0054】
図5は、本実施の形態における規制頻度の決定処理(第2の例)を説明するためのフローチャートである。
【0055】
第2の例では、制御部37が媒体Mの排出間隔に基づいて規制頻度を決定する例について説明する。
【0056】
まず、制御部37は、媒体Mの排出間隔を取得する(ステップS21)。この排出間隔は、例えば、媒体Mの搬送速度、媒体Mのサイズ、及び連続的に搬送される媒体M間の隙間に基づいて算出することができる。なお、排出間隔は、媒体Mの搬送速度が速いほど、媒体Mのサイズが小さいほど(排出方向Dにおける長さが短いほど)、或いは連続的に搬送される媒体M間の隙間が狭いほど、短くなる。
【0057】
制御部37は、排出間隔が予め定められた規定間隔よりも短いかを判定し(ステップS22)、短くないと判定すると(ステップS22:NO)、サイド規制部32,33及びエンド規制部34が規制動作を行う規制頻度を、1枚ごとの媒体M、すなわちすべての媒体Mに決定し(ステップS23)、図5に示す処理を終了する。なお、サイド規制部32,33及びエンド規制部34の移動量ΔLは、例えば、排出間隔によらずに一定である。
【0058】
制御部37は、排出間隔が規定間隔よりも短いと判定すると(ステップS22:YES)、サイド規制部32,33及びエンド規制部34が規制動作を行う規制頻度を、2枚ごとの媒体Mに決定する(ステップS24)。ここで、排出間隔が規定間隔よりも短い場合に規制頻度を減らすのは、規制駆動部35の非駆動時間に対して相対的に駆動時間が長くなり、規制駆動部35の発熱量が大きくなるためである。
【0059】
次に、制御部37は、媒体Mの排出が停止する前の最後(例えば、印刷ジョブの最後)の媒体Mに対して規制動作が行われるかを判定し(ステップS25)、最後の媒体Mに対して規制動作が行われる場合には(ステップS25:YES)、図5に示す処理を終了する。
【0060】
また、図4に示す第1の例で述べたとおり、最後の媒体Mに対して規制動作が行われない場合には(ステップS25:NO)、最後の媒体Mに対してサイド規制部32,33及びエンド規制部34が規制動作を行うように規制駆動部35を制御し(ステップS26)、図5に示す処理を終了する。
【0061】
図6は、本実施の形態における規制頻度の決定処理(第3の例)を説明するためのフローチャートである。
【0062】
第3の例では、サイド規制部32,33及びエンド規制部34の移動量ΔL(図4の第1の例参照)と、媒体Mの排出間隔(図5の第2の例参照)との両方に基づいて、制御部37が規制頻度を決定する例について説明する。
【0063】
まず、制御部37は、印刷装置10の例えば印刷ジョブで設定される情報から、媒体Mの厚さ(媒体種情報)及び排出間隔を取得する(ステップS31)。
【0064】
制御部37は、媒体Mが厚紙であるかを判定し(ステップS32)、媒体Mが厚紙でない場合(ステップS32:NO)、サイド規制部32,33及びエンド規制部34の移動量ΔLを3[mm]に決定する(ステップS33)。
【0065】
また、制御部37は、サイド規制部32,33及びエンド規制部34が規制動作を行う規制頻度を、1枚ごとの媒体M、すなわちすべての媒体Mに決定し(ステップS34)、図6に示す処理を終了する。
【0066】
上述のステップS32において、制御部37は、媒体Mが厚紙である場合(ステップS32:YES)、サイド規制部32,33及びエンド規制部34の移動量ΔLを6[mm]に決定する(ステップS35)。
【0067】
次に、制御部37は、排出間隔が予め定められた規定間隔よりも短いかを判定し(ステップS36)、短くないと判定すると(ステップS36:NO)、サイド規制部32,33及びエンド規制部34が規制動作を行う規制頻度を、3枚ごとの媒体Mで2回、すなわち、規制動作が行われる2枚の媒体Mと規制動作が行われない1枚の媒体Mとが交互に続くように決定する(ステップS37)。また、制御部37は、排出間隔が規定間隔よりも短いと判定すると(ステップS36:YES)、規制頻度を、2枚ごとの媒体Mに決定する(ステップS38)。
【0068】
次に、制御部37は、媒体Mの排出が停止する前の最後(例えば、印刷ジョブの最後)の媒体Mに対して規制動作が行われるかを判定し(ステップS39)、最後の媒体Mに対して規制動作が行われる場合には(ステップS39:YES)、図6に示す処理を終了する。
【0069】
また、図4に示す第1の例で述べたとおり、最後の媒体Mに対して規制動作が行われない場合には(ステップS39:NO)、最後の媒体Mに対してサイド規制部32,33及びエンド規制部34が規制動作を行うように規制駆動部35を制御し(ステップS40)、図6に示す処理を終了する。
【0070】
図7は、本実施の形態における規制頻度の決定処理(第4の例)を説明するためのフローチャートである。
【0071】
第4の例では、サイド規制部32,33及びエンド規制部34の移動量ΔLと、規制駆動部35の駆動状況とに基づいて、制御部37が規制頻度を決定する例について説明する。
【0072】
まず、制御部37は、印刷装置10の例えば印刷ジョブで設定される情報から、媒体Mの厚さ(媒体種情報)を取得するとともに、例えば過去の一定期間における規制駆動部35の駆動状況情報を取得する(ステップS41)。
【0073】
制御部37は、媒体Mが厚紙であるかを判定し(ステップS42)、媒体Mが厚紙でない場合(ステップS42:NO)、サイド規制部32,33及びエンド規制部34の移動量ΔLを3[mm]に決定する(ステップS43)。
【0074】
また、制御部37は、サイド規制部32,33及びエンド規制部34が規制動作を行う規制頻度を、1枚ごとの媒体M、すなわちすべての媒体Mに決定し(ステップS44)、図7に示す処理を終了する。
【0075】
上述のステップS42において、制御部37は、媒体Mが厚紙である場合(ステップS42:YES)、サイド規制部32,33及びエンド規制部34の移動量ΔLを6[mm]に決定する(ステップS45)。
【0076】
次に、制御部37は、規制駆動部35の駆動状況が、例えば、過去の一定期間における規制駆動部35の駆動期間の割合に基づいて、規制駆動部35の発熱量が大きくなっているかを判定する(ステップS46)。なお、制御部37は、今後排出される媒体Mの枚数などに基づいて、未来の規制駆動部35の駆動状況(又は、過去及び未来の両方の駆動状況)を予測したり、或いは、規制駆動部35の温度を測定したりすることによって、規制駆動部35の発熱量が大きくなっているかを判定してもよい。
【0077】
制御部37は、規制駆動部35の発熱量が大きくないと判定すると(ステップS46:NO)、サイド規制部32,33及びエンド規制部34が規制動作を行う規制頻度を、3枚ごとの媒体Mで2回、すなわち、規制動作が行われる2枚の媒体Mと規制動作が行われない1枚の媒体Mとが交互に続くように決定する(ステップS47)。また、制御部37は、規制駆動部35の発熱量が大きいと判定すると(ステップS46:YES)、規制頻度を、2枚ごとの媒体Mに決定する(ステップS48)。なお、規制駆動部35の駆動状況に応じて、規制頻度が3通り以上に決定されてもよい。
【0078】
次に、制御部37は、媒体Mの排出が停止する前の最後(例えば、印刷ジョブの最後)の媒体Mに対して規制動作が行われるかを判定し(ステップS49)、最後の媒体Mに対して規制動作が行われる場合には(ステップS49:YES)、図7に示す処理を終了する。
【0079】
また、図4に示す第1の例で述べたとおり、最後の媒体Mに対して規制動作が行われない場合には(ステップS49:NO)、最後の媒体Mに対してサイド規制部32,33及びエンド規制部34が規制動作を行うように規制駆動部35を制御し(ステップS50)、図7に示す処理を終了する。
【0080】
なお、図7に示す規制頻度の決定処理の第4の例では、サイド規制部32,33及びエンド規制部34の移動量ΔLと、規制駆動部35の駆動状況とに基づいて、制御部37が規制頻度を決定する例について述べた。しかしながら、媒体Mの排出間隔(図5に示す第2の例参照)と規制駆動部35の駆動状況とに基づいて、或いは、移動量ΔL及び媒体Mの排出間隔の両方(図6に示す第3の例参照)と規制駆動部35の駆動状況とに基づいて、制御部37が規制頻度を決定してもよい。
【0081】
以上説明した本実施の形態では、媒体排出装置30は、積載台31と、規制部の一例であるサイド規制部32,33及びエンド規制部34と、制御部37とを備える。積載台31には、媒体Mが積載される。サイド規制部32,33及びエンド規制部34は、積載台31に向けて排出される媒体Mを規制する規制位置P2と、この規制位置P2から退避した退避位置P1との間を移動する。制御部37は、退避位置P1から規制位置P2へのサイド規制部32,33及びエンド規制部34の移動量ΔLと、積載台31に向けて排出される媒体Mの排出間隔とのうち少なくとも一方に基づいて、サイド規制部32,33及びエンド規制部34が媒体Mに対して規制動作を行う規制頻度を調整してサイド規制部32,33及びエンド規制部34(規制駆動部35)を制御する。
【0082】
また、本実施の形態では、制御部37は、最後の媒体Mに対してサイド規制部32,33及びエンド規制部34が規制動作を行うように規制頻度を調整してサイド規制部32,33及びエンド規制部34(規制駆動部35)を制御する。
【0083】
また、本実施の形態では、媒体排出装置30は、サイド規制部32,33及びエンド規制部34を駆動する規制駆動部35を更に備え、図7に示す規制頻度の決定処理の第4の例のように、制御部37は、サイド規制部32,33及びエンド規制部34の移動量ΔLと媒体Mの排出間隔とのうち少なくとも一方と、規制駆動部35の駆動状況とに基づいて、規制頻度を調整してサイド規制部32,33及びエンド規制部34(規制駆動部35)を制御する。
【0084】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0085】
[付記1]
媒体が積載される積載台と、
前記積載台に向けて排出される前記媒体を規制する規制位置と、当該規制位置から退避した退避位置との間を移動する規制部と、
前記退避位置から前記規制位置への前記規制部の移動量と、前記積載台に向けて排出される前記媒体の排出間隔とのうち少なくとも一方に基づいて、前記規制部が前記媒体に対して規制動作を行う規制頻度を調整して前記規制部を制御する制御部と
を備えることを特徴とする媒体排出装置。
【0086】
[付記2]
前記制御部は、最後の前記媒体に対して前記規制部が前記規制動作を行うように前記規制頻度を調整して前記規制部を制御する
ことを特徴とする付記1記載の媒体排出装置。
【0087】
[付記3]
前記規制部を駆動する規制駆動部を更に備え、
前記制御部は、前記規制部の前記移動量と前記媒体の前記排出間隔とのうち少なくとも一方と、前記規制駆動部の駆動状況とに基づいて、前記規制頻度を調整して前記規制部を制御する
ことを特徴とする付記1又は2記載の媒体排出装置。
【符号の説明】
【0088】
1 印刷システム
10 印刷装置
11 媒体供給部
12 繰り出しローラ
13 搬送ローラ対
14 吸着搬送部
15 印刷部
16,17 搬送経路切り替え部
18 積載台
19a 制御部
19b 記憶部
19c インターフェース部
20 中間搬送装置
21 搬送ローラ対
22 媒体通過検知センサ
30 媒体排出装置
31 積載台
32,33 サイド規制部
34 エンド規制部
35 規制駆動部
36 昇降駆動部
37 制御部
38 記憶部
39 インターフェース部
100 台車
D 排出方向
M 媒体
P1 退避位置
P2 規制位置
R1 直進搬送経路
R2 循環搬送経路
R3 反転搬送経路
R4 排出経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7