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  • 特許-運転支援制御装置 図1
  • 特許-運転支援制御装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】運転支援制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/08 20120101AFI20231013BHJP
   B60W 30/14 20060101ALI20231013BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20231013BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20231013BHJP
   B60W 50/08 20200101ALI20231013BHJP
【FI】
B60W30/08
B60W30/14
B60W30/10
G08G1/16 C
B60W50/08
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019226691
(22)【出願日】2019-12-16
(65)【公開番号】P2021094970
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】原田 明寿
【審査官】竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-011654(JP,A)
【文献】特開2017-202768(JP,A)
【文献】国際公開第2018/109868(WO,A1)
【文献】特開2018-077068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウインドウの曇りを取り除いて車両内の視界を改善する視界改善機能及び運転者の運転操作により走行している車両の安全性を高めるように運転を支援する運転支援機能を有する車両に搭載可能な運転支援制御装置であって、
記視界改善機能を有するデフロスター及びデフォッガーのいずれかの動作状態を強める方向に切り替える操作を検知した場合に、前記運転支援機能に含まれる車線維持支援機能及び車線逸脱抑制機能の少なくとも一方の安全マージンが通常よりも広がるように作動基準の目標値を変更させる制御部を備え
前記制御部は、前記車線維持支援機能の安全マージンが通常時よりも広がるように作動基準の目標値を変更させた場合には、車線からのオフセット偏差に対する制御量を通常時よりも増大させて前記車線維持支援機能を作動させ、前記車線逸脱抑制機能の安全マージンが通常時よりも広がるように作動基準の目標値を変更させた場合には、通常時の制御よりも車線の内側で制御を開始するように前記車線逸脱抑制機能を作動させる、
運転支援制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、道路の車線を基準にして車両のふらつき度を検出し、検出したふらつき度が閾値を超えた場合に、車線維持支援装置を作動させる運転支援装置が開示されている。特許文献1の車線維持支援装置は、車線の内側の所定位置を車両が走行するように操舵機構に操舵補助トルクを付与することにより運転を支援する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-144691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の車線維持支援装置は、車両の走行状況によって判明する車両のふらつき度合いに基づいて車線維持支援装置の作動有無を判定する。この場合、車両の走行状況がある程度悪化しなければ車線維持支援装置を作動させることができないため、車線維持支援装置の作動開始が遅れるおそれがある。
【0005】
本発明は、車両の安全性を高める運転支援機能を状況に応じて早めに作動させることができる運転支援制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る運転支援制御装置は、車両内の視界を改善する視界改善機能及び車両の運転を支援する運転支援機能を有する車両に搭載可能な運転支援制御装置であって、前記視界改善機能に対する操作を検知した場合に、前記運転支援機能を作動させる又は前記運転支援機能が作動し易くなるように作動基準を変更させる制御部を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両の安全性を高める運転支援機能を状況に応じて早めに作動させることができる運転支援制御装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る運転支援制御装置を含む車両システムの概略構成を例示する図である。
図2】実施形態に係る運転支援制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは同一又は同様の構成を有する。
【0010】
図1を参照し、実施形態に係る運転支援制御装置1を含む車両システム100の構成について説明する。車両システム100は、車両に搭載可能なシステムであり、例えば、運転支援制御装置1、視界改善機能2及び運転支援機能3を含む。
【0011】
車両システム100には、上記の構成以外に、例えば、アクセルセンサ、ブレーキセンサ、ジャイロセンサ、加速度センサ、カメラ、ミリ波レーダ、LiDAR(Light Detection and Ranging)、超音波センサ(ソナー)、外気温センサ等の各種センサ、ドライブレコーダ、GPS(Global Positioning System)受信機、カーナビゲーション装置、車載通信機、及び自動運転機能等を含むことができる。
【0012】
運転支援制御装置1は、視界改善機能2に対する操作状況に応じて、運転支援機能3の作動状態を制御する。
【0013】
視界改善機能2は、ウインドウの内側の曇りを取り除く機能であり、例えば、デフロスターやデフォッガーが該当する。デフロスターは、例えばフロントウインドウ及びフロントドアウインドウの内側の曇りを取り除くものであり、デフォッガーは、例えばリアウインドウの内側の曇りを取り除くものである。
【0014】
運転支援機能3は、車両の安全性を高めるように運転を支援する機能であり、例えば、車線維持支援機能や、車線逸脱抑制機能、車線逸脱警報機能、先行車追従支援機能が該当する。
【0015】
車線維持支援機能は、例えば、車線の中央付近を走行するようにステアリング操作を支援する機能である。
【0016】
車線逸脱抑制機能は、例えば、車線を逸脱しそうになるとステアリングやブレーキ等を制御し、走行中の車線を維持するように車両を制御する機能(Lane Departure Prevention System(LDPS)機能)である。
【0017】
車線逸脱警報機能は、例えば、車線を逸脱しそうになると警報音を鳴らしてディスプレイに警告表示する等し、車線を逸脱しないように支援する機能である。
【0018】
先行車追従支援機能は、例えば、先行車両との車間距離を一定(目標車間距離)に保ちながら先行車両に追従して走行することを支援する機能である。
【0019】
運転支援制御装置1は、機能的な構成として、例えば、制御部10を有する。なお、運転支援制御装置1の構成要素は、これに限定されることなく、必要に応じて任意の構成要素を適宜追加することができる。
【0020】
制御部10は、視界改善機能2に対する操作を検知した場合に、運転支援機能3を作動させる、又は運転支援機能3が作動し易くなるように運転支援機能3の作動基準を変更させる。
【0021】
上記の視界改善機能2に対する操作としては、例えば、デフロスター又はデフォッガーをオフからオンに切り替える操作、デフロスター又はデフォッガーの強さを弱から強に切り替える操作、デフロスター又はデフォッガーの強さを所定以上の強さに切り替える操作、が該当する。所定以上の強さは、例えば、運転支援が必要になるウインドウの内側の曇り具合の範囲に基づいて、その範囲内にあるときに選択される強さを勘案して適宜設定することができる。
【0022】
上記の運転支援機能3の作動基準を変更させることには、例えば、車線維持支援機能の車線からのオフセット偏差に対する制御量を通常よりも強めること、車線逸脱抑制機能の制御の介入を通常よりも車線の内側で開始させることや制御量を通常よりも強めること、車線逸脱警報機能の警報音及び警告表示を通常よりも車線の内側で作動させること、先行車追従支援機能の目標車間距離を通常よりも広げること等のように、運転支援機能3の安全マージンが通常よりも広がるように目標値を変更することが該当する。
【0023】
ここで、制御部10は、上記の運転支援機能3を作動させることや、運転支援機能3の作動基準を変更させることに限定されず、運転支援機能3を作動するように運転者に提案することや、運転支援機能3の作動基準を変更するように運転者に提案することとしてもよい。
【0024】
また、制御部10は、上記の視界改善機能に対する操作に加え、外気温センサやその他のセンサによる測定値を用いて、ウインドウの内側の曇り具合等を判定し、運転支援機能3を作動させる、又は運転支援機能3が作動し易くなるように運転支援機能3の作動基準を変更させることとしてもよい。
【0025】
次に、図2を参照し、実施形態に係る運転支援制御装置1の動作の一例について説明する。
【0026】
最初に、運転支援制御装置1の制御部10は、視界改善機能2に対する操作を検知したかどうかを判定する(ステップS101)。この判定がNOである場合(ステップS101;NO)には、YESになるまでこの判定を繰り返す。
【0027】
上記ステップS101において視界改善機能2に対する操作を検知したと判定した場合(ステップS101;YES)に、運転支援制御装置1の制御部10は、運転支援機能3が作動しているかどうかを判定する(ステップS102)。この判定がYESである場合(ステップS102;YES)には、本動作を終了する。
【0028】
上記ステップS102において運転支援機能3が作動していないと判定した場合(ステップS102;NO)に、運転支援制御装置1の制御部10は、運転支援機能3を作動させる(ステップS103)。そして、本動作を終了する。
【0029】
前述したように、実施形態における運転支援制御装置1によれば、視界改善機能2に対する操作を検知した場合に、運転支援機能3を作動させるか、運転支援機能3が作動し易くなるように作動基準を変更させることができる。
【0030】
これにより、車両の安全性を高める運転支援機能3を状況に応じて早めに作動させることが可能となる。
【0031】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。
【符号の説明】
【0032】
1…運転支援制御装置、2…視界改善機能、3…運転支援機能、10…制御部、100…車両システム
図1
図2