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  • 特許-エレベータの復旧システム 図1
  • 特許-エレベータの復旧システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】エレベータの復旧システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
B66B5/00 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022034356
(22)【出願日】2022-03-07
(65)【公開番号】P2023129971
(43)【公開日】2023-09-20
【審査請求日】2022-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】宮川 行宏
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-112482(JP,A)
【文献】特開2018-144981(JP,A)
【文献】特開2008-1494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの機器の監視情報に基づいてエレベータの機器の異常の有無を判定する機器異常判定手段と、
エレベータの管理者が前記エレベータの外観の状態を示す外観情報を入力する操作を行う外観情報入力手段と、
前記エレベータの管理者に対して前記外観情報入力手段への操作権限を付与する権限付与手段と、
前記外観情報入力手段によって入力された前記外観情報に基づいて前記エレベータの外観の異常の有無を判定する外観異常判定手段と、
前記エレベータの塔内の状態を示す塔内情報に基づいて前記塔内の異常の有無を判定する塔内異常判定手段と、
前記機器異常判定手段が前記機器に異常が無いと判定し、前記外観異常判定手段が前記外観に異常が無いと判定し、前記塔内異常判定手段が前記塔内に異常が無いと判定している状態で、前記エレベータの運転を復旧する処理を実行する復旧実行手段と、を備える、
エレベータの復旧システム。
【請求項2】
エレベータの機器の監視情報に基づいてエレベータの機器の異常の有無を判定する機器異常判定手段と、
前記エレベータの外観の状態を示す外観情報に基づいてエレベータの外観の異常の有無を判定する外観異常判定手段と、
前記エレベータの塔内の状態を示す塔内情報に基づいて前記塔内の異常の有無を判定する塔内異常判定手段と、
前記機器異常判定手段が前記機器に異常が無いと判定し、前記外観異常判定手段が前記外観に異常が無いと判定し、前記塔内異常判定手段が前記塔内に異常が無いと判定している状態で、前記エレベータを復旧する処理を実行する復旧実行手段と、を備える、
エレベータの復旧システム。
【請求項3】
前記機器異常判定手段が前記機器に異常が無いと判定し、前記外観異常判定手段が前記外観に異常が無いと判定し、前記塔内異常判定手段が前記塔内に異常が無いと判定している状態であり、且つ前記復旧実行手段が前記エレベータの運転を復旧する処理を実行する前の状態で前記エレベータを試運転する処理を実行する試運転実行手段を備える、
請求項1又は請求項2に記載のエレベータの復旧システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、休止したエレベータの運転を復旧するためのエレベータの復旧システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、休止したエレベータの運転を復旧させる際に、エレベータに設置されているセンサーから得た情報に基づいて運転を復旧させるか否かの判定が行われている。例えば、特許文献1に開示されているシステムでは、かごドアに設けられている加速度センサーによって検出したかごドアの加速度に基づいてエレベータの異常を把握し、エレベータの運転の復旧作業を迅速に行うことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-189416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、休止したエレベータの運転を復旧させる作業では、エレベータの技術員による作業が必要になることもあり、このような場合、上記従来のシステムでは、エレベータの設置現場に技術員が到着するまでの間エレベータの運転の復旧作業を進めることができず、エレベータの運転の復旧が遅くなることがあった。
【0005】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、エレベータの運転を迅速に復旧できるエレベータの復旧システムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエレベータの復旧システムは、
エレベータの機器の監視情報に基づいてエレベータの機器の異常の有無を判定する機器異常判定手段と、
前記エレベータの外観の状態を示す外観情報を入力する外観情報入力手段と、
前記エレベータの管理者に対して前記外観情報入力手段への操作権限を付与する権限付与手段と、
前記外観情報入力手段によって入力された前記外観情報に基づいて前記エレベータの外観の異常の有無を判定する外観異常判定手段と、
前記エレベータの塔内の状態を示す塔内情報に基づいて前記塔内の異常の有無を判定する塔内異常判定手段と、
前記機器異常判定手段が前記機器に異常が無いと判定し、前記外観異常判定手段が前記外観に異常が無いと判定し、前記塔内異常判定手段が前記塔内に異常が無いと判定している状態で、前記エレベータの運転を復旧する処理を実行する復旧実行手段と、を備える。
【0007】
上記構成のエレベータの復旧システムによれば、エレベータの運転が休止した場合、エレベータの設置現場への技術員の到着を待たずして機器異常判定手段と塔内異常判定手段との異常の有無の判定、及び権限付与手段によって操作権限が付与されたエレベータの管理者による外観情報入力手段を用いた入力に基づく外観異常判定手段の異常の有無の判定によってエレベータの運転の復旧作業を進めることができるため、迅速にエレベータの運転を復旧できるようになる。
【0008】
本発明の別のエレベータの復旧システムは、
エレベータの機器の監視情報に基づいてエレベータの機器の異常の有無を判定する機器異常判定手段と、
前記エレベータの外観の状態を示す外観情報に基づいてエレベータの外観の異常の有無を判定する外観異常判定手段と、
前記エレベータの塔内の状態を示す塔内情報に基づいて前記塔内の異常の有無を判定する塔内異常判定手段と、
前記機器異常判定手段が前記機器に異常が無いと判定し、前記外観異常判定手段が前記外観に異常が無いと判定し、前記塔内異常判定手段が前記塔内に異常が無いと判定している状態で、前記エレベータを復旧する処理を実行する復旧実行手段と、を備える。
【0009】
上記構成のエレベータの復旧システムによれば、エレベータの運転が休止した場合、エレベータの設置現場への技術員の到着を待たずして機器異常判定手段と外観異常判定手段と塔内異常判定手段とによってエレベータの運転の復旧作業を進めることができる。従って、上記構成のエレベータの復旧システムは、迅速にエレベータの運転を復旧できるようになる。
【0010】
本発明のエレベータの復旧システムは、
前記機器異常判定手段が前記機器に異常が無いと判定し、前記外観異常判定手段が前記外観に異常が無いと判定し、前記塔内異常判定手段が前記塔内に異常が無いと判定している状態であり、且つ前記復旧実行手段が前記エレベータの運転を復旧する処理を実行する前の状態で前記エレベータを試運転する処理を実行する試運転実行手段を備えるようにしてもよい。
【0011】
上記構成のエレベータの復旧システムによれば、エレベータを試運転した後にエレベータの運転を復旧することができるため、安全にエレベータの運転を復旧できるようになる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明のエレベータの復旧システムは、エレベータの運転を迅速に復旧できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るエレベータの復旧システムの概要説明図である。
図2図2は、同実施形態に係るエレベータの復旧システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態にかかるエレベータの復旧システム(以下、運転復旧システムと称する)について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1に示すように、エレベータEの運転が停止した場合、エレベータEの保守部門に所属する技術員H1がエレベータEの設置現場に向かう。技術員H1がエレベータEの設置現場に向かっている間においても、エレベータEの運転の復旧を進めることができるように構成されている。
【0016】
本実施形態に係る運転復旧システム1は、図2に示すように、エレベータの機器の監視情報に基づいてエレベータの機器の異常の有無を判定する機器異常判定手段2と、エレベータの外観の状態を示す外観情報を入力する外観情報入力手段3と、前記エレベータの管理者H2(図1参照)に対して前記外観情報入力手段3への操作権限を付与する権限付与手段4と、前記外観情報入力手段3によって入力された前記外観情報に基づいてエレベータの外観の異常の有無を判定する外観異常判定手段5と、前記エレベータの塔内の状態を示す塔内情報に基づいて前記塔内の異常の有無を判定する塔内異常判定手段6と、エレベータを試運転する処理を実行する試運転実行手段7と、前記エレベータの運転を復旧する処理を実行する復旧実行手段8と、を備えている。
【0017】
機器異常判定手段2は、エレベータの機器の監視を行う機器監視手段20と、機器監視手段20による監視の内容を示す監視情報を取得する監視情報取得手段21と、監視情報取得手段21で取得した監視情報に基づいてエレベータの機器の異常(故障)の有無を判定する機器監視結果判手段22とを実行するように構成されている。
【0018】
機器監視手段20は、例えば、エレベータに設置されているセンサーで構成されていればよい。この場合、監視情報は、機器監視手段20を構成するセンサーによるエレベータの可動状況や、機器の動作状況の監視結果に基づいて作成されていればよい。
【0019】
外観情報入力手段3は、エレベータの管理者が外観情報を入力する操作を行う装置である。また、外観情報とは、例えば、乗り場の設備(乗り場に設置されている乗り場ドアやドア枠等)の状態を示す情報である。
【0020】
外観情報入力手段3は、管理者によって入力された外観情報が外観異常判定手段5に伝わるようになっていれば、例えば、エレベータの操作盤で構成されていてもよいし、エレベータの設置現場に常設されている常設端末や、エレベータの管理者が所有している携帯電子端末によって構成されていてもよい。
【0021】
また、外観情報入力手段3とする操作盤や、常設端末、携帯電子端末は、管理者が外観情報を入力操作する入力操作手段として、例えば、インターネットサービスや、自動応答電話サービス、電子メールを起動したり、外観情報を入力するためのチェックリストや、入力フォーム、ボタン等を表示したりするように構成されていればよい。
【0022】
入力操作手段は、外観情報入力手段3とする操作盤や、常設端末、携帯電子端末で実行するアプリケーションにより構成されていればよい。
【0023】
権限付与手段4は、物理的な手段や、電子的な手段により構成される。例えば、権限付与手段4を物理的な手段で構成する場合は、外観情報入力手段3の収納場所を施錠する鍵によって構成されていてもよいし、権限付与手段4を電子的な手段で構成する場合は、外観情報入力手段3に設定したパスワードによって構成されていてもよい。
【0024】
上述のように、外観情報とは、例えば、乗り場の設備(乗り場に設置されている乗り場ドアやドア枠等)の状態を示す情報であるため、外観異常判定手段5は、外観情報入力手段3によって入力された外観情報に基づいて、乗り場の設備(乗り場に設置されている乗り場ドアやドア枠等)の異常の有無を判定するように構成されている。
【0025】
塔内異常判定手段6は、塔内機器の異常(例えば、破損や、変形、焼損等)を検知するように構成されている。
【0026】
より具体的に説明すると、塔内異常判定手段6は、塔内機器の状態を観測する観測手段60と、観測手段60を搭載し且つ塔内で移動可能な移動手段61と、観測手段60で観測した塔内機器の状態を示す塔内観測情報に基づいて、塔内機器の異常の有無を判定する観測結果判定手段62と、を有する。
【0027】
観測手段60は、例えば、照明と、暗視カメラや、集音マイク、温度センサー、臭いセンサー等の観測装置によって構成されていればよい。
【0028】
移動手段61は、塔内に設定されている移動経路に沿って移動するように構成されていればよい。
【0029】
移動手段61は、例えば、塔内を移動する無人走行車や、ドローン(無人航空機)、ワイヤー搬送される移動体等によって構成し得る。
【0030】
移動手段61が無人走行車や、ドローン(無人航空機)で構成される場合、移動経路は、レーザー光線、照明の並び、ライン状のマーク、マークの並び、電磁誘導路等で設定されていればよい。この場合、移動手段61には、マークセンサー、光センサー、画像認識装置等を搭載し、レーザー光線、照明の並び、ライン状のマーク、マークの並び、電磁誘導路等を読み取りながら塔内を移動するように構成されていてもよい。
【0031】
また、移動手段61は、移動先の位置データと移動経路内での位置情報とに基づいて塔内を移動するように構成されていてもよい。
【0032】
試運転実行手段7は、エレベータの試運転を実行する試運転実行処理と、エレベータの試運転中に生じた異常の有無を判定する試運転異常判定処理とを実行するように構成されている。
【0033】
試運転実行処理では、ドア(乗り場ドア、かごドア)に開閉動作させる開閉試運転実行処と、乗りかごを走行させる走行試運転実行処理と、が実行される。
【0034】
開閉試運転実行処では、ドアを通常運転時よりも低い速度で開閉させる。また、開閉試運転実行処では、ドアを通常運転時よりも低い速度で開閉させた後、ドアの開閉速度を段階的に上げながらドアに開閉動作させるように構成されていてもよい。
【0035】
走行試運転実行処においても、乗りかごを通常運転時よりも低い速度で走行させる。また、走行試運転実行処では、乗りかごを通常運転時よりも低い速度で走行させた後、乗りかごの走行速度を段階的に上げながら乗りかごに走行動作させるように構成されていてもよい。
【0036】
試運転異常判定処理は、開閉試運転実行処の実行中や走行試運転実行処の実行中に異常(例えば、ドアの開閉動作の停止や、乗りかごの走行動作の停止等)が生じると、エレベータの試運転中に生じた異常があると判定し、異常が生じずに開閉試運転実行処と走行試運転実行処が完了すれば、エレベータの試運転中に生じた異常は無いと判定するよう構成される。
【0037】
復旧実行手段8は、試運転異常判定処理において、エレベータの試運転中に生じた異常は無いと判定されていれば、エレベータの運転を復旧するように構成されている。
【0038】
なお、本実施形態の運転復旧システム1では、機器異常判定手段2がエレベータの機器に異常が無いと判定した状態で外観情報入力手段3及び外観異常判定手段5が実行可能になり、外観異常判定手段5がエレベータの外観に異常が無いと判定した状態で塔内異常判定手段6が実行可能になり、塔内異常判定手段6がエレベータの塔内に異常が無いと判定した状態で試運転実行手段7が実行可能になり、試運転実行手段7による試運転時に異常が無い場合に復旧実行手段8が実行可能になる。
【0039】
本実施形態に係る運転復旧システム1の構成は、以上の通りである。続いて、運転復旧システム1の動作を説明する。
【0040】
エレベータの運転が停止した際、機器異常判定手段2によってエレベータの機器の異常の有無の判定が行われる。そして、機器異常判定手段2がエレベータの機器に異常が無いと判定されると、外観情報入力手段3及び外観異常判定手段5が実行可能な状態になる。
【0041】
エレベータの管理者は、権限付与手段4を用いて外観情報入力手段3を操作可能な様態にした後に、該外観情報入力手段3により外観情報を入力する。このようにすると、外観異常判定手段5によってエレベータの外観の異常の有無が判定される。そして、エレベータの外観に異常が無いと判定されると、塔内異常判定手段6が実行可能な状態になる。
【0042】
塔内異常判定手段6は、塔内を撮像した撮像情報を取得し、該撮像情報に基づいて塔内の異常の有無を判定する。そして、塔内異常判定手段6によって塔内に異常が無いと判定されると、試運転実行手段7が実行可能な状態になる。
【0043】
試運転実行手段7は、試運転として通常運転時よりも低い速度でドアに開閉動作をさせ、また、乗りかごに走行動作をさせる。そして、ドアの開閉動作と乗りかごの走行動作時に異常が検知されなければ、復旧実行手段8が実行可能な状態になり、復旧実行手段8がエレベータを通常運転させることで、運転の復旧が完了する。
【0044】
以上のように、本実施形態に係る運転復旧システム1によれば、エレベータの運転が休止した場合は、保守部門に属する技術員H1がエレベータの設置現場に到着するまでの間にエレベータの運転の復旧作業を進めることができるため、エレベータの運転を迅速に復旧できるという優れた効果を奏し得る。
【0045】
また、本実施形態の運転復旧システム1では、機器異常判定手段2によるエレベータの機器の異常の有無の判定が行われた後において、権限付与手段4により操作権限が付与された管理者によって外観情報を外観情報入力手段3に入力できるように構成されているため、技術員H1の到着を待たずして機器異常判定手段2によるエレベータの機器の異常の有無の判定以降に行われる外観異常判定手段5によるエレベータの外観の異常の有無の判定と、塔内異常判定手段6による塔内の異常の有無の判定も進めることができるため、エレベータの運転の復旧作業を滞りなく進めることができるようになっている。
【0046】
また、本実施形態の運転復旧システム1は、エレベータの機器にも、エレベータの外観にも、塔内にも異常が無かった場合、試運転実行手段7がエレベータに試運転させた後に復旧実行手段8がエレベータの運転を復旧するように構成されているため、安全にエレベータの運転を復旧できるようになっている。
【0047】
特に、復旧実行手段8は、ドアの開閉速度も乗りかごの走行速度も段階的に上げながらドアと乗りかごの試運転を行うように構成されているため、エレベータの運転の復旧作業の安全性が高まるようになっている。
【0048】
なお、本発明に係るエレベータの復旧システムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0049】
上記実施形態において特に言及しなかったが、運転復旧システム1は、例えば、エレベータの設置現場に配備されているコンピューターによって機器異常判定手段2、外観情報入力手段3、外観異常判定手段5、塔内異常判定手段6、試運転実行手段7、復旧実行手段8を実行するように構成したり、機器異常判定手段2、外観異常判定手段5、塔内異常判定手段6、試運転実行手段7、復旧実行手段8と、外観情報入力手段3とを別々のコンピューターで実行するように構成されていればよい。
【0050】
上記実施形態の運転復旧システム1は、復旧実行手段8がエレベータの運転を復旧させる前に、試運転実行手段7によるエレベータの試運転が行われるようになっていたが、この構成に限定されない。例えば、運転復旧システム1は、試運転実行手段7によるエレベータの試運転を行わずに復旧実行手段8がエレベータの運転を復旧させるように構成されていてもよい。すなわち、運転復旧システム1は、試運転実行手段7を備えていなくてもよい。
【0051】
但し、試運転実行手段7を備えている方が、エレベータの運転の復旧作業の安全性が高まる。
【0052】
上記実施形態の運転復旧システム1は、機器異常判定手段2によるエレベータの機器の異常の有無を判定と、外観情報入力手段3による外観情報の入力および外観異常判定手段5によるエレベータの外観の異常の有無の判定と、塔内異常判定手段6による塔内の異常の有無の判定とが順番に実行されるように構成されていたが、機器異常判定手段2によるエレベータの機器の異常の有無を判定と、外観情報入力手段3による外観情報の入力および外観異常判定手段5によるエレベータの外観の異常の有無の判定と、塔内異常判定手段6による塔内の異常の有無の判定とは並列に実行されるように構成されていてもよいし、実行される順番が異なっていてもよい。
【0053】
但し、運転復旧システム1が試運転実行手段7を備える場合は、機器異常判定手段2によるエレベータの機器の異常の有無を判定と、外観情報入力手段3による外観情報の入力および外観異常判定手段5によるエレベータの外観の異常の有無の判定と、塔内異常判定手段6による塔内の異常の有無の判定において異常が無かった場合に試運転実行手段7によるエレベータの試運転が行われるように構成されている必要がある。
【0054】
また、運転復旧システム1が試運転実行手段7を備えていな場合は、機器異常判定手段2によるエレベータの機器の異常の有無を判定と、外観情報入力手段3による外観情報の入力および外観異常判定手段5によるエレベータの外観の異常の有無の判定と、塔内異常判定手段6による塔内の異常の有無の判定において異常が無かった場合に復旧実行手段8がエレベータの運転を復旧させるように構成されている必要がある。
【0055】
上記実施形態の運転復旧システム1は、外観情報が管理者によって入力されるように構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、運転復旧システム1は、外観情報を自動的に取得し、自動的に取得した外観情報に基づいて外観異常判定手段5がエレベータの外観の異常の有無を判定するように構成されていてもよい。
【0056】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、機器異常判定手段2は、エレベータの機器に異常が有ると判定した場合は、エレベータの機器に生じている異常の内容を技術員及び保守部門に通知するように構成されていてもよい。
【0057】
また、外観異常判定手段5も、エレベータの外観に異常が有ると判定した場合は、エレベータの外観に生じている異常の内容を技術員及び保守部門に通知するように構成されていてもよい。
【0058】
また、塔内異常判定手段6も、エレベータの塔内に異常が有ると判定した場合は、エレベータの機器に生じている異常の内容を技術員及び保守部門に通知するように構成されていてもよい。
【0059】
また、試運転実行手段7も、試運転中に異常を検知した場合は、検知した異常の内容を技術員及び保守部門に通知するように構成されていてもよい。
【0060】
なお、上記のように、機器異常判定手段2や、外観異常判定手段5、塔内異常判定手段6、試運転実行手段7が異常を技術員及び保守部門に通知した場合、運転復旧システム1は、動作を停止させ、設置現場に到着した技術員により動作を再開させるように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…運転復旧システム、2…機器異常判定手段、3…外観情報入力手段、4…権限付与手段、5…外観異常判定手段、6…塔内異常判定手段、7…試運転実行手段、8…復旧実行手段、20…機器監視手段、21…監視情報取得手段、22…機器監視結果判手段、60…観測手段、61…移動手段、62…観測結果判定手段、H1…技術員、H2…管理者
図1
図2