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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-12
(45)【発行日】2023-10-20
(54)【発明の名称】体積変化補償装置およびダンパー装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/14 20060101AFI20231013BHJP
   F15B 1/02 20060101ALI20231013BHJP
   F16F 9/52 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
F16F9/14 A
F15B1/02 Z
F16F9/52
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019085314
(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公開番号】P2020180668
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】519184930
【氏名又は名称】株式会社ソミックマネージメントホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【弁理士】
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】中屋 一正
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-264363(JP,A)
【文献】実開平06-051039(JP,U)
【文献】特開平11-082593(JP,A)
【文献】特開2000-230598(JP,A)
【文献】特開2006-144863(JP,A)
【文献】特表2013-508630(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/14
F16F 9/52
F15B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体からなる作動液を液密的に収容する作動液収容部に接続されて前記作動液の体積変化を補償する体積変化補償装置であって、
筒状に形成されて一方の開口部が前記作動液収容部に連通して前記作動液の一部を収容する本体筒と、
有底円筒状に形成されて前記本体筒内にて前記作動液の一部を収容しつつ軸線方向に沿って摺動自在に設けられた内筒ピストンと、
前記内筒ピストン内に軸線方向に沿って摺動自在に設けられた内筒内小ピストンと、
前記本体筒内における前記内筒ピストンに対して前記一方の開口部側とは反対側に設けられて前記内筒ピストンを前記一方の開口部側に弾性的に押圧する内筒ピストン押圧弾性体とを備え、
前記内筒ピストンは、
前記本体筒内にて前記一方の開口部側に開口する向きで配置されるとともに、前記内筒ピストンにおける前記内筒内小ピストンが対向する底部に同内筒ピストン内に対して空気を流通させるための空気孔が形成されており、かつ、前記作動液の体積変化を補償していない非作動状態において前記作動液収容部内の前記作動液の一部を収容していることを特徴とする体積変化補償装置。
【請求項2】
請求項1に記載した体積変化補償装置において、さらに、
前記内筒ピストン内に設けられて前記内筒内小ピストンを前記底部側に弾性的に押圧する小ピストン押圧弾性体を備えることを特徴とする体積変化補償装置。
【請求項3】
液体からなる作動液を液密的に収容する作動液収容部に接続されて前記作動液の体積変化を補償する体積変化補償装置であって、
筒状に形成されて一方の開口部が前記作動液収容部に連通して前記作動液の一部を収容する本体筒と、
有底円筒状に形成されて前記本体筒内にて前記作動液の一部を収容しつつ軸線方向に沿って摺動自在に設けられた内筒ピストンと、
前記内筒ピストン内に軸線方向に沿って摺動自在に設けられた内筒内小ピストンと、
前記本体筒内における前記内筒ピストンに対して前記一方の開口部側とは反対側に設けられて前記内筒ピストンを前記一方の開口部側に弾性的に押圧する内筒ピストン押圧弾性体と
前記内筒ピストンの底部から棒状に延びて前記本体筒における前記反対側の開口部から露出する延設体とを備え、
前記内筒ピストンは、
前記本体筒内にて前記一方の開口部側に開口する向きで配置されるとともに、前記内筒ピストンにおける前記内筒内小ピストンが対向する底部に同内筒ピストン内に対して空気を流通させるための空気孔が形成されていることを特徴とする体積変化補償装置。
【請求項4】
液体からなる作動液を液密的に収容する作動液収容部に接続されて前記作動液の体積変化を補償する体積変化補償装置であって、
筒状に形成されて一方の開口部が前記作動液収容部に連通して前記作動液の一部を収容する本体筒と、
有底円筒状に形成されて前記本体筒内にて前記作動液の一部を収容しつつ軸線方向に沿って摺動自在に設けられた内筒ピストンと、
前記内筒ピストン内に軸線方向に沿って摺動自在に設けられた内筒内小ピストンと、
前記本体筒内における前記内筒ピストンに対して前記一方の開口部側とは反対側に設けられて前記内筒ピストンを前記一方の開口部側に弾性的に押圧する内筒ピストン押圧弾性体と、
前記内筒内小ピストンを前記内筒ピストンにおける前記内筒内小ピストンが対向する底部に固定する固定具とを備え、
前記内筒ピストンは、
前記本体筒内にて前記一方の開口部側に開口する向きで配置されるとともに、前記内筒ピストンにおける前記内筒内小ピストンが対向する前記底部に同内筒ピストン内に対して空気を流通させるための空気孔が形成されていることを特徴とする体積変化補償装置。
【請求項5】
液体からなる作動液を液密的に収容する作動液収容部と、
前記作動液収容部内で前記作動液を押しながら摺動する作動液押圧体とを備えて前記作動液押圧体に入力される力を前記作動液を流動させることで減衰するダンパー装置において、
前記請求項1ないし前記請求項4のうちのいずれか1つに記載の体積変化補償装置を備えたことを特徴とするダンパー装置。
【請求項6】
請求項5に記載したダンパー装置において、
前記ダンパー装置は、
円筒状に形成された前記作動液収容部を有するとともに同作動液収容部内に径方向に沿う壁状に形成されて同作動液収容部内を仕切って前記作動液の周方向の流動を妨げる固定ベーンを有したハウジングと、
軸体の外周部に前記作動液収容部内を仕切りつつ前記作動液を押しながら回動する可動ベーンを有したロータとを備えたロータリダンパで構成されていることを特徴とするダンパー装置。
【請求項7】
請求項6に記載したダンパー装置において、
前記体積変化補償装置は、
前記ロータを構成する前記軸体の内部に形成されていることを特徴とするダンパー装置。
【請求項8】
請求項7に記載したダンパー装置において、
前記ロータを構成する前記軸体は、
前記固定ベーンによって仕切られた前記作動液収容部内における少なくとも2つの個室間で前記作動液を流通させる連通路を有しており、
前記体積変化補償装置は、
前記本体筒が前記連通路を介して前記作動液収容部に連通していることを特徴とするダンパー装置。
【請求項9】
請求項5ないし請求項8のうちのいずれか1つに記載したダンパー装置において、
このダンパー装置の想定される主要な温度環境において前記内筒ピストン内が容量限界まで前記作動液に満たされていることを特徴とするダンパー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を液密的に収容する作動液収容部に接続されて前記液体の体積変化を補償する体積変化補償装置およびこの体積変化補償装置を備えたダンパー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、四輪または二輪の自走式車両または産業用機械器具においては、回動機構において運動エネルギの減衰装置としてロータリダンパが用いられている。例えば、下記特許文献1には、減衰特性が異なる2つの減衰力発生要素を備えてロータの正転時と逆転時とで減衰力が異なるロータリダンパが開示されている。この場合、ロータリダンパには、作動油の温度変化による体積変化を補償するために体積変化補償装置としての体積変化補償装置を備えたダンパー装置温度補償機構が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-82593号公報
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたロータリダンパにおける温度補償機構においては、ガス室内に封入した気体の体積変化によって作動油の体積変化を補償するため、構成が複雑化するとともに気体を気密的に保持するための構造を精度良く製作する工程的および経済的な製造負担が大きいという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、簡単な構成で製造負担を軽減することができる体積変化補償装置およびこの体積変化補償装置を備えたダンパー装置を提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、液体からなる作動液を液密的に収容する作動液収容部に接続されて作動液の体積変化を補償する体積変化補償装置であって、筒状に形成されて一方の開口部が作動液収容部に連通して作動液の一部を収容する本体筒と、有底円筒状に形成されて本体筒内にて作動液の一部を収容しつつ軸線方向に沿って摺動自在に設けられた内筒ピストンと、内筒ピストン内に軸線方向に沿って摺動自在に設けられた内筒内小ピストンと、本体筒内における内筒ピストンに対して前記一方の開口部側とは反対側に設けられて内筒ピストンを前記一方の開口部側に弾性的に押圧する内筒ピストン押圧弾性体とを備え、内筒ピストンは、本体筒内にて前記一方の開口部側に開口する向きで配置されるとともに、内筒ピストンにおける内筒内小ピストンが対向する底部に同内筒ピストン内に対して空気を流通させるための空気孔が形成されており、かつ、作動液の体積変化を補償していない非作動状態において作動液収容部内の作動液の一部を収容していることにある。
【0007】
このように構成した本発明の特徴によれば、体積変化補償装置は、作動液収容部内の作動液の体積減少を主として内筒ピストン内に収容される作動液によって補償できるとともに、作動液収容部内の作動液の体積増加を主として本体筒の容積によって補償できる。すなわち、本発明に係る体積変化補償装置は、流体としては作動液収容部内に収容される作動液のみを使ってこの作動液の体積変化を補償することができるため、簡単な構成で製造負担を軽減することができる。
【0008】
また、本発明の他の特徴は、前記体積変化補償装置において、さらに、内筒ピストン内に設けられて内筒内小ピストンを底部側に弾性的に押圧する小ピストン押圧弾性体を備えることにある。
【0009】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、体積変化補償装置は、内筒内小ピストンを小ピストン押圧弾性体によって強制的に内筒ピストンの底部側に位置させることができるため、内筒ピストン内に作動液を充填する際に作動液を確実に内筒ピストンの容量限界まで充填することができる。すなわち、体積変化補償装置は、作動液収容部内の作動液の体積減少に対する補償量を最大化することができる。また、体積変化補償装置は、客先などで大気圧下で内筒ピストン内に作動液を充填する際においても、内筒ピストンを往復変位させて本内筒内の空気を抜く際に内筒内小ピストンを小ピストン押圧弾性体によって強制的に内筒ピストンの底部側に位置させることができるため、内筒ピストン内に空気が残留することを防止することができる。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、液体からなる作動液を液密的に収容する作動液収容部に接続されて作動液の体積変化を補償する体積変化補償装置であって、筒状に形成されて一方の開口部が作動液収容部に連通して作動液の一部を収容する本体筒と、有底円筒状に形成されて本体筒内にて作動液の一部を収容しつつ軸線方向に沿って摺動自在に設けられた内筒ピストンと、内筒ピストン内に軸線方向に沿って摺動自在に設けられた内筒内小ピストンと、本体筒内における内筒ピストンに対して前記一方の開口部側とは反対側に設けられて内筒ピストンを前記一方の開口部側に弾性的に押圧する内筒ピストン押圧弾性体と、内筒ピストンの底部から棒状に延びて本体筒における反対側の開口部から露出する延設体とを備え、内筒ピストンは、本体筒内にて前記一方の開口部側に開口する向きで配置されるとともに、内筒ピストンにおける内筒内小ピストンが対向する底部に同内筒ピストン内に対して空気を流通させるための空気孔が形成されていることにある。
【0011】
このように構成した本発明の特徴によれば、体積変化補償装置は、内筒ピストンの底部から棒状に延びて本体筒における反対側の開口部から露出する延設体を備えているため、本体筒内における内筒ピストンの位置を本体筒からの延設体の露出量によって容易に把握することができる。すなわち、体積変化補償装置は、延設体の本体筒からの露出量によって作動液収容部内の作動液の体積状況および温度状況を外部に示すことができる。また、体積変化補償装置は、大気圧下で内筒ピストン内に作動液を充填する際においては、本体筒から突出している延設体を進退操作することによって内筒ピストン内の空気を排出して空気が残留することを防止することができる。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、液体からなる作動液を液密的に収容する作動液収容部に接続されて作動液の体積変化を補償する体積変化補償装置であって、筒状に形成されて一方の開口部が作動液収容部に連通して作動液の一部を収容する本体筒と、有底円筒状に形成されて本体筒内にて作動液の一部を収容しつつ軸線方向に沿って摺動自在に設けられた内筒ピストンと、内筒ピストン内に軸線方向に沿って摺動自在に設けられた内筒内小ピストンと、本体筒内における内筒ピストンに対して前記一方の開口部側とは反対側に設けられて内筒ピストンを前記一方の開口部側に弾性的に押圧する内筒ピストン押圧弾性体と、内筒内小ピストンを内筒ピストンにおける内筒内小ピストンが対向する底部に固定する固定具とを備え、内筒ピストンは、本体筒内にて前記一方の開口部側に開口する向きで配置されるとともに、内筒ピストンにおける内筒内小ピストンが対向する底部に同内筒ピストン内に対して空気を流通させるための空気孔が形成されていることにある。
【0013】
このように構成した本発明の特徴によれば、体積変化補償装置は、内筒内小ピストンを内筒ピストンの底部に固定具によって一体的に固定することできるため、内筒ピストン内に作動液を充填する際に作動液を確実に内筒ピストンの容量限界まで充填することができる。また、体積変化補償装置は、大気圧下で内筒ピストン内に作動液を充填する際においても内筒内小ピストンを内筒ピストンの底部に固定具によって固定することできるため、内筒ピストン内に空気が残留することを防止することができる。
【0014】
また、本発明は体積変化補償装置の発明として実施できるばかりでなく、この体積変化補償装置を備えたダンパー装置の発明としても実施できるものである。
【0015】
具体的には、ダンパー装置は、液体からなる作動液を液密的に収容する作動液収容部と、作動液収容部内で作動液を押しながら摺動する作動液押圧体とを備えて作動液押圧体に入力される力を作動液を流動させることで減衰するダンパー装置において、請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載の体積変化補償装置を備えるとよい。
【0016】
このように構成した本発明の特徴によれば、ダンパー装置は、作動液収容部内の作動液の体積減少を主として内筒ピストン内に収容される作動液によって補償できるとともに、作動液収容部内の作動液の体積増加を主として本体筒の容積によって補償できる。すなわち、本発明に係るダンパー装置は、流体としては作動液収容部内に収容される作動液のみを使ってこの作動液の体積変化を補償することができるため、簡単な構成で製造負担を軽減することができる。
【0017】
また、この場合、前記ダンパー装置において、ダンパー装置は、円筒状に形成された作動液収容部を有するとともに同作動液収容部内に径方向に沿う壁状に形成されて同作動液収容部内を仕切って作動液の周方向の流動を妨げる固定ベーンを有したハウジングと、軸体の外周部に作動液収容部内を仕切りつつ作動液を押しながら回動する可動ベーンを有したロータとを備えたロータリダンパで構成されているとよい。
【0018】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、ダンパー装置は、円筒状に形成された作動液収容部を有するとともに同作動液収容部内に径方向に沿う壁状に形成されて同作動液収容部内を仕切って作動液の周方向の流動を妨げる固定ベーンを有したハウジングと、軸体の外周部に作動液収容部内を仕切りつつ作動液を押しながら回動する可動ベーンを有したロータとを備えたロータリダンパで作動液の体積変化を補償することができる。
【0019】
また、これらの場合、前記ダンパー装置において、体積変化補償装置は、ロータを構成する軸体の内部に形成されているとよい。
【0020】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、ダンパー装置は、体積変化補償装置がロータを構成する軸体の内部に形成されているため、ダンパー装置を効率的に構成して小型化することができる。
【0021】
また、これらの場合、前記ダンパー装置において、ロータを構成する軸体は、固定ベーンによって仕切られた作動液収容部内における少なくとも2つの個室間で作動液を流通させる連通路を有しており、体積変化補償装置は、本体筒が連通路を介して作動液収容部に連通しているとよい。
【0022】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、ダンパー装置は、体積変化補償装置がロータを構成する軸体に形成された連通路を介して作動液収容部に連通しているため、ダンパー装置を効率的に構成して小型化することができる。
【0023】
また、これらの場合、前記ダンパー装置において、このダンパー装置の想定される主要な温度環境において内筒ピストン内が容量限界まで作動液に満たされているとよい。
【0024】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、ダンパー装置は、このダンパー装置の想定される主要な温度環境において内筒ピストン内が容量限界まで作動液に満たされているため、作動液の体積減少に対する補償を最大化することができる。ここで、主要な温度環境とは、ダンパー装置が設置される使用環境における温度範囲のうちでダンパー装置が曝される時間が最も長い温度または使用環境における温度範囲の中央値である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係る体積変化補償装置を備えたダンパー装置の全体構成の概略的に示す斜視図である。
図2図1に示すダンパー装置の外観構成の概略を示す正面図である。
図3図2に示す3-3線から見たダンパー装置の構造を模式的に示した縦断面図である。
図4図1に示すダンパー装置のロータが時計回りに回動した作動状態を説明するためにダンパー装置の横断面の構造を模式的に示した説明図である。
図5図4に示した状態からロータが反時計回りに回動した状態を示す説明図である。
図6図2に示す6-6線から見た本発明に係る体積変化補償装置の小ピストン押圧弾性体が縮んだ状態の作動状態を説明するためにロータおよび体積変化補償装置の縦断面の構造を模式的に示した断面図である。
図7図6に示した状態から内筒ピストン内に作動液を充填した状態を模式的に示した断面図である。
図8図6に示した状態からダンパー装置側の作動液の温度が低下して体積が収縮することで内筒ピストン内の作動液がダンパー装置側に流出した状態を模式的に示した断面図である。
図9図7に示した状態からダンパー装置側の作動液の温度が上昇して体積が増加したことで本体筒内に更に作動液が流入した状態を模式的に示した断面図である。
図10】本発明の変形例に係る体積変化補償装置の縦断面の構造を模式的に示したロータの一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る体積変化補償装置およびこの体積変化補償装置を備えたダンパー装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、体積変化補償装置140を備えたダンパー装置100の全体構成の概略的に示す斜視図である。また、図2は、図1に示すダンパー装置100の外観構成の概略を示す正面図である。また、図3は、図2に示す3-3線から見たダンパー装置100の構造を模式的に示した縦断面図である。また、図4は、図1に示すダンパー装置100のロータ120が時計回りに回動した作動状態を説明するためにダンパー装置100の横断面の構造を模式的に示した説明図である。また、図5は、図4に示した状態からロータ120が反時計回りに回動した状態を示す説明図である。
【0027】
なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している部分がある。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。このダンパー装置100は、二輪の自走式車両(バイク)の後輪を上下動可能に支持するスイングアームの基端部に取り付けられて後輪の上下動時に運動エネルギを減衰させる減衰装置である。
【0028】
(ダンパー装置100の構成)
ダンパー装置100は、ハウジング101を備えている。ハウジング101は、ロータ120を回転自在に保持しつつダンパー装置100の筐体を構成する部品であり、アルミニウム材、鉄材、亜鉛材、またはポリアミド樹脂などの各種樹脂材によって構成されている。具体的には、ハウジング101は、主として、ハウジング本体102と蓋体110とで構成されている。
【0029】
ハウジング本体102は、後述するロータ120の可動ベーン126,127および作動液150を収容するとともにロータ120の軸体121の一方の端部を回転自在に支持する部品であり、筒体における一方端が大きく開口するとともに他方端が小さく開口する有底円筒状に形成されている。より具体的には、ハウジング本体102は、前記筒体における一方端で大きく開口する開口部102a側に円筒状の作動液収容部103が形成されるとともに、この作動液収容部103の底部103aに開口した状態でロータ支持部107が形成されている。
【0030】
作動液収容部103は、図4および図5にそれぞれ示すように、ロータ120の可動ベーン126,127とともに作動液150を液密的に収容する空間であり、ハウジング本体102内に中央部に配置されたロータ120を介して互いに対向する2つの半円筒の空間で構成されている。これらの作動液収容部103内には、固定ベーン104,105がハウジング本体102と一体的にそれぞれ形成されている。
【0031】
固定ベーン104,105は、ロータ120とともに作動液収容部103内を仕切って個室R1~個室R4を形成する壁状の部分であり、ハウジング本体102の軸線方向に沿って収容部壁面103bから内側に向かって凸状に張り出して形成されている。この場合、2つの固定ベーン104,105は、収容部壁面103bの内周面における周方向上での互いに対向する位置に設けられている。これらの各固定ベーン104,105は、後述する蓋体110およびロータ120の軸体121にそれぞれ対向する先端部分がそれぞれ凹状に凹む溝状に形成されており、これらの各溝内にシール体106が嵌め込まれている。
【0032】
シール体106は、作動液収容部103内に形成される個室R1~個室R4の液密性を確保するための部品であり、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムまたはフッ素ゴムなどの各種ゴム材などの弾性材料を側面視でL字状に形成して構成されている。このシール体106は、蓋体110の内側面およびロータ120の軸体121の外周面にそれぞれ摺動自在な状態で密着するように固定ベーン104,105の各先端部から張り出して取り付けられている。
【0033】
ロータ支持部107は、ロータ120の軸体121における一方の端部を回転自在な状態で支持する円筒状の部分である。このロータ支持部107は、ベアリングおよびパッキンなどのシール材を介してロータ120の支持軸部122を液密的に支持している。
【0034】
蓋体110は、ハウジング本体102に形成されている作動液収容部103を液密的に塞ぐための部品であり、円筒状に形成されたロータ支持部111の一方の端部がフランジ状に張り出した形状に形成されている。ロータ支持部111は、ロータ120の軸体121における他方の端部を回転自在な状態で支持する円筒状の部分である。このロータ支持部111は、ベアリングおよびパッキンなどのシール材を介してロータ120の接続部123の外周部を液密的に支持している。
【0035】
また、蓋体110には、バイパス通路112a,112b、調整ニードル113a,113bおよびエア抜き孔114a~114dがそれぞれ設けられている。バイパス通路112aは、作動液収容部103内における個室R1と個室R2とを互いに連通させて作動液150を互いに流通させるとともに個室R1および個室R2をそれぞれ外部に連通させる通路である。バイパス通路112bは、作動液収容部103内における個室R2と個室R4とを連通させて作動液150を互いに流通させるとともに個室R2および個室R4をそれぞれ外部に連通させる通路である。
【0036】
また、調整ニードル113a,113bは、バイパス通路112a,112b内をそれぞれ外部に対して密閉するとともに流通する作動液150の流量を調整するための部品であり、ドライバなどの工具(図示せず)を使って回動させることにより作動液150の流通量を増減することができる。
【0037】
エア抜き孔114a~114dは、個室R1~個室R4にそれぞれ個別に連通しており、個室R1~個室R4内の空気を抜く際に使用する貫通孔である。これらの各エア抜き孔114a~114dは、プラグによって着脱自在に塞がれている。この蓋体110は、4つのボルト115によってハウジング本体102における作動液収容部103が開口する側の端部に取り付けられている。
【0038】
ロータ120は、ハウジング101の作動液収容部103内に配置されて作動液収容部103内を4つの空間である個室R1、個室R2、個室R3および個室R4にそれぞれ仕切るとともに、この作動液収容部103内で回動することによりこれらの個室R1、個室R2、個室R3および個室R4の各個室の容積をそれぞれ増減させるための部品であり、主として、軸体121と可動ベーン126,127とで構成されている。
【0039】
軸体121は、可動ベーン126,127を支持する丸棒状の部分であり、アルミニウム材、鉄材、亜鉛材、またはポリアミド樹脂などの各種樹脂材によって構成されている。この軸体121は、両端部がそれぞれ筒状に形成されており、これらのうちの一方(図3において上側)の端部の外周部に支持軸部122が形成されるとともに内周部に後述する本体筒141が形成されている。また、軸体121における他方(図3において下側)の端部には、接続部123が形成されている。
【0040】
支持軸部122は、前記ロータ支持部107によって摺動自在に支持される円周面で構成された部分である。本体筒141は、後述する体積変化補償装置140の一部を構成している。接続部123は、ダンパー装置100が取り付けられる2つの部品間のうちの一方の部品に接続するための部分である。本実施形態においては、接続部123は、断面形状が六角形状の有底筒状の穴で構成されている。
【0041】
また、この軸体121には、図4および図5にそれぞれ示すように、第1双方向連通路124および第1片方向連通路125がそれぞれ形成されている。第1双方向連通路124は、可動ベーン126,127の一方への回動によって容積が同時に減少するとともに同可動ベーン126,127の他方への回動によって容積が同時に増加する2つの個室間で相互に作動液150の流通を可能とする通路である。本実施形態においては、第1双方向連通路124は、可動ベーン126,127の図示反時計回りの回動によって容積が同時に減少するとともに図示時計回りの回動によって容積が同時に増加する個室R1と個室R3とが互いに連通するように軸体121を貫通した状態で形成されている。
【0042】
第1片方向連通路125は、可動ベーン126,127の前記一方への回動によって容積が同時に増加するとともに同可動ベーン126,127の前記他方への回動によって容積が同時に減少する2つの個室間で一方から他方にのみ作動液150を流通させる通路である。本実施形態においては、第1片方向連通路125は、可動ベーン126,127の図示反時計回りの回動によって容積が同時に増加するとともに図示時計回りの回動によって容積が同時に減少する個室R2と個室R4とが個室R2から個室R4にのみ作動液150が流通するように一方向弁125aを介して軸体121を貫通した状態で形成されている。また、この第1片方向連通路125は、一方向弁125aに対して作動液150の流通方向の上流側で前記体積変化補償装置140にも連通している。
【0043】
一方向弁125aは、個室R2と個室R4とを連通させる第1片方向連通路125において作動液150の個室R2側から個室R4側への流通を許容しつつ個室R4側から個室R2側への流動を阻止する弁である。
【0044】
可動ベーン126,127は、作動液収容部103内を複数の空間に仕切りつつこれらの各空間の容積を液密的にそれぞれ増減させるための部品であり、軸体121(作動液収容部103)の径方向に延びる板状体によってそれぞれ構成されている。この場合、これら2つの可動ベーン126,127は、軸体121を介して互いに反対方向(換言すれば仮想の同一平面上)に延びて形成されている。これらの可動ベーン126,127は、底部103a、収容部壁面103bおよび蓋体110の内側面にそれぞれ対向するC字状(またはコ字状)の先端部分がそれぞれ凹状に凹む溝状に形成されており、これらの各溝内にシール体128が嵌め込まれている。
【0045】
シール体128は、前記シール体106と同様に、作動液収容部103内に形成される個室R1~個室R4の液密性を確保するための部品であり、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムまたはフッ素ゴムなどの各種ゴム材などの弾性材料を側面視でC字状(またはコ字状)に形成して構成されている。このシール体128は、底部103a、収容部壁面103bおよび蓋体110の内側面にそれぞれ摺動自在な状態で密着するように可動ベーン126,127の各先端部から張り出して取り付けられている。
【0046】
これらにより、可動ベーン126,127は、前記固定ベーン104,105と協働して作動液収容部103内に互いに4つの空間である個室R1、個室R2、個室R3および個室R4を互いに液密的に形成する。より具体的には、作動液収容部103内には、固定ベーン104と可動ベーン126とで個室R1が形成され、可動ベーン126と固定ベーン105とで個室R2が形成され、固定ベーン105と可動ベーン127とで個室R3が形成され、可動ベーン127と固定ベーン104とで個室R4が形成される。すなわち、個室R1、個室R2、個室R3および個室R4は、作動液収容部103内において周方向に沿って順次隣接して形成されている。
【0047】
これらの可動ベーン126,127には、第2双方向連通路131および第2片方向連通路132がそれぞれ形成されている。第2双方向連通路131は、第1双方向連通路124によって連通される2つの連通個室としての個室R1および個室R3のうちの個室R1と、第1片方向連通路125によって連通される2つの片側連通個室としての個室R2および個室R4のうちの個室R2とが互いに連通するように個室R1と個室R2とを仕切る可動ベーン126に形成されている。
【0048】
この第2双方向連通路131は、片側連通個室である個室R2側から連通個室である個室R1側に作動液150を流通させるとともに個室R1側から個室R2側に作動液150を制限しつつ流通させるように構成されている。具体的には、第2双方向連通路131は、一方向弁131aと絞り弁131bとが並列配置されて構成されている。
【0049】
一方向弁131aは、個室R2側から個室R1側に作動液150を流通させるとともに個室R1側から個室R2側へは作動液150の流れを阻止する弁で構成されている。また、絞り弁131bは、個室R1と個室R2との間で作動液150の流れを制限しつつ双方向に流通させることができる弁で構成されている。この場合、絞り弁131bにおける作動液150の流れを制限しつつとは、一方向弁131aにおける作動液150の流れ易さに対して同一条件(例えば、圧力および作動液の粘度など)下において作動液150が流れ難いことを意味する。
【0050】
第2片方向連通路132は、第2双方向連通路131が連通していない連通個室である個室R3と、第2双方向連通路131が連通していない片側連通個室である個室R4との間で片側連通個室である個室R4側から連通個室である個室R3側にのみ作動液150を制限しつつ流通させるように個室R3と個室R4とを仕切る可動ベーン127に形成されている。具体的には、第2片方向連通路132は、個室R4側から個室R3側にのみ作動液150を流通させる一方向弁132aと、作動液150の流通量を制限する絞り弁132bとが直列配置されて構成されている。この場合、絞り弁132bにおける作動液150の流れを制限しつつとは、一方向弁132aにおける作動液150の流れ易さに対して同一条件(例えば、圧力および作動液の粘度など)下において作動液150が流れ難いことを意味する。
【0051】
これらの第1双方向連通路124、第1片方向連通路125、第2双方向連通路131および第2片方向連通路132によってダンパー装置100は、個室R1ないし個室R4間における作動液150の流動が制限されることでロータ120の回動に際して減衰力が発生する。すなわち、本実施形態に係るダンパー装置100は、回転運動時に減衰力を発生させるロータリダンパで構成されている。
【0052】
体積変化補償装置140は、作動液収容部103内の作動液150の温度変化による膨張または収縮による体積変化を補償するための機具であり、ロータ120の軸体121内に第1片方向連通路125に連通した状態で設けられている。この体積変化補償装置140は、本体筒141を備えている。
【0053】
本体筒141は、内筒ピストン142を摺動自在に収容しつつ作動液収容部103内の作動液150の一部を収容する部分であり、円筒状に形成されている。この場合、本体筒141の容積は、作動液収容部103に収容される作動液150の想定される体積増加分の作動液150および本体筒141内で摺動する内筒ピストン142を収容可能な大きさ(内径および軸線方向の長さ)に形成されている。
【0054】
この本体筒141には、一方(図3において下側)の端部に作動液収容部103に連通して作動液収容部103との間で作動液150を流通させる接続通路141aが形成されている。接続通路141aは、本体筒141における一方(図3において下側)の端部が本体筒141の内径よりも小さく開口して軸体121内に形成された第1片方向連通路125に連通するように直線状に延びて形成されている。この場合、接続通路141aは、第1片方向連通路125の内径に対して同一または同内径以上の内径に形成してもよいが、第1片方向連通路125の内径未満の内径に形成することで本体筒141側から作動液150が流出し難くすることができる。
【0055】
本体筒141の内部には、内筒ピストン142、内筒ピストン押圧弾性体145およびプラグ146がそれぞれ設けられている。内筒ピストン142は、内筒内小ピストン143を摺動自在に収容しつつ本体筒141内にて作動液収容部103内に供給する作動液150を収容する部分であり、アルミニウム材、鉄材、亜鉛材、またはポリアミド樹脂などの各種樹脂材を有底円筒状に形成して構成されている。この場合、内筒ピストン142は、接続通路141a側に開口する向きで本体筒141内に配置されている。
【0056】
この内筒ピストン142の外周面は、本体筒141内にて摺動自在な外径に形成されているとともに環状の2つの溝が形成されており、これらの各溝内に本体筒141内に導かれた作動液150を液密的に収容するためのOリング142aがそれぞれ嵌め込まれている。また、内筒ピストン142の底部142bには、空気孔142cおよび延設体142dがそれぞれ形成されている。空気孔142cは、内筒ピストン142内に収容される内筒内小ピストン143の摺動を確保するために内筒ピストン142内に対して空気を流通させるための貫通孔である。
【0057】
延設体142dは、本体筒141内における内筒ピストン142の位置、すなわち、作動液収容部103内の作動液150の体積状況を表示するための部品である。具体的には、延設体142dは、内筒ピストン142の底部142bの中心部から軸線方向に延びて本体筒141の図示上側端部から突出して露出する長さの丸棒状に形成されている。
【0058】
一方、内筒ピストン142の内部の容積は、作動液収容部103に収容される作動液150の想定される体積減少を補足するために必要な作動液150およびこの内筒ピストン142内で摺動する内筒内小ピストン143を収容可能な大きさ(内径および軸線方向の長さ)に形成されている。この内筒ピストン142の内部には、内筒内小ピストン143および小ピストン押圧弾性体144がそれぞれ設けられている。
【0059】
内筒内小ピストン143は、内筒ピストン142内にて作動液150を接続通路141aに対して流出または流入させつつ収容するための部品であり、アルミニウム材、鉄材、亜鉛材、またはポリアミド樹脂などの各種樹脂材を円柱状に形成して構成されている。この内筒内小ピストン143の外周面は、内筒ピストン142内にて摺動自在な外径に形成されているとともに環状の1つの溝が形成されており、この溝内に内筒ピストン142内に導かれた作動液150を液密的に収容するためのOリング143aがそれぞれ嵌め込まれている。
【0060】
小ピストン押圧弾性体144は、内筒ピストン142内にて内筒内小ピストン143を底部142b側に常時弾性的に押圧するための部品であり、コイルスプリングで構成されている。この小ピストン押圧弾性体144は、一方(図3において下側)の端部が本体筒141の一方(図3において下側)の端部における接続通路141aの周囲を押圧するとともに、他方(図3において上側)の端部が内筒内小ピストン143を押圧している。
【0061】
内筒ピストン押圧弾性体145は、本体筒141内にて内筒ピストン142を接続通路141a側に常時弾性的に押圧するための部品であり、コイルスプリングで構成されている。この内筒ピストン押圧弾性体145は、一方(図3において下側)の端部が内筒ピストン142の底部142bを押圧するとともに、他方(図3において上側)の端部がプラグ146を押圧している。
【0062】
この内筒ピストン押圧弾性体145の弾性力は、ダンパー装置100の使用時において想定される主要な温度環境における作動液収容部103内の圧力が内筒ピストン142に作用している状態において内筒ピストン142を本体筒141の接続通路141a側の端部に押し付けることできる強さに設定される。ここで、主要な温度環境とは、ダンパー装置100が設置される使用環境における温度範囲のうちでダンパー装置100が曝される時間が最も長い温度または使用環境における温度範囲の中央値である。本実施形態においては、主要な温度環境は、25℃に設定されている。
【0063】
プラグ146は、本体筒141内にて前記内筒ピストン押圧弾性体145の押圧力を受け止めるための部品であり、金属材または樹脂材を円筒状に形成して構成されている。このプラグ146は、外周部に雌ネジが形成されており本体筒141における接続通路141aが設けられた側とは反対側の他方(図3において上側)の端部にネジ嵌合している。また、プラグ146は、中心部に形成された貫通孔146aに内筒ピストン142から延びる延設体142dが摺動自在に貫通している。
【0064】
この場合、プラグ146の中心部に形成された貫通孔146aは、延設体142dとの間に隙間が形成されており、本体筒141におけるプラグ146と内筒ピストン142との間の内部空間を内筒ピストン142の外部と同じ気圧(例えば、大気圧)にしている。これにより、内筒内小ピストン143は、内筒ピストン142内に空気孔142cを介して空気が出入りするため同内筒ピストン142内にて軸線方向に変位し易くなっている。
【0065】
作動液150は、作動液収容部103を回動する可動ベーン126,127に対して抵抗を付与することによりダンパー装置100にダンパー機能を作用させるための物質であり、作動液収容部103内に満たされている。この作動液150は、ダンパー装置100の仕様に応じた粘性を有する流動性を有する液状、ジェル状または半固体状の物質で構成されている。この場合、作動液150の粘度は、ダンパー装置100の仕様に応じて適宜選定される。本実施形態においては、作動液150は、油、例えば、鉱物油またはシリコーンオイルなどによって構成されている。
【0066】
(体積変化補償装置140への作動液150の充填)
次に、このように構成した体積変化補償装置140に作動液150を充填する作業について説明する。まず、作業者は、体積変化補償装置140が組み付けられていないダンパー装置100と体積変化補償装置140を構成する各部品とをそれぞれ用意してこれらの各部品をダンパー装置100に組み付けて体積変化補償装置140をダンパー装置100に組み付ける。
【0067】
具体的には、作業者は、内筒内小ピストン143の外周面にOリング143aを取り付けるとともに、内筒ピストン142の外周面にOリング142aを取り付ける。次に、作業者は、内筒ピストン142内に内筒内小ピストン143および小ピストン押圧弾性体144を挿入する。次に、作業者は、Oリング142a、内筒内小ピストン143および小ピストン押圧弾性体144が組み付けられた内筒ピストン142をロータ120を構成する軸体121の一方(図3において上側)の端部側に形成された本体筒141内に挿入する。
【0068】
次に、作業者は、内筒ピストン142が挿入された本体筒141内に内筒ピストン押圧弾性体145を挿入した後、本体筒141の前記他方(図3において上側)の端部にプラグ146を取り付ける。これにより、作業者は、体積変化補償装置140をダンパー装置100に組み付けることができる。この場合、体積変化補償装置140は、内筒ピストン142が内筒ピストン押圧弾性体145によって本体筒141の接続通路141a側の端部に弾性的に押し付けられているとともに、内筒内小ピストン143が小ピストン押圧弾性体144によって内筒ピストン142の底部142bに弾性的に押し付けられている。
【0069】
次に、作業者は、体積変化補償装置140に作動液150を充填する。具体的には、作業者は、図6に示すように、図示しない真空ポンプを用いた真空引き作業によってダンパー装置100におけるエア抜き孔114a~114dのうちの少なくとも1つを介して作動液収容部103内の空気を吸引して真空状態とする。これにより、体積変化補償装置140は、内筒内小ピストン143が小ピストン押圧弾性体144の弾性力に抗しながら本体筒141の接続通路141a側の端部に小ピストン押圧弾性体144を介して密着する。すなわち、内筒ピストン142は、容積が最小となる。
【0070】
次に、作業者は、図7に示すように、図示しない作動液供給用ポンプを用いてバイパス通路112a,112bのうちの少なくとも1つを介して作動液収容部103内に作動液150を供給する。この場合、体積変化補償装置140における本体筒141は、接続通路141aを介して作動液収容部103に連通している。このため、作業者は、個室R1~個室R4、第1双方向連通路124、第1片方向連通路125、第2双方向連通路131、第2片方向連通路132および内筒ピストン142内に作動液150をそれぞれ充満させることができる。
【0071】
この場合、作業者は、内筒ピストン142内の内筒内小ピストン143が底部142bに密着するまで作動液150を充填する。すなわち、作業者は、内筒ピストン142内の容量限界に達する最大容量で作動液150を充填する。この場合、作業者は、本体筒141から突出する延設体142dが変位しないように変位を規制しておくことで内筒ピストン142の不意の変位を防止することができる。
【0072】
また、作業者は、内筒ピストン142の容積を含むダンパー装置100全体の作動液150の容量を予め調べて把握しておき、この把握した定量の作動液150を充填することで内筒ピストン142内の最大容量で作動液150を充填することもできる。これらにより、作業者は、作動液収容部103内および体積変化補償装置140における内筒ピストン142内に作動液150を充填することができる。なお、この作動液150のダンパー装置100への充填作業は、ダンパー装置100の想定される主要な温度環境と同じ温度環境の部屋または装置内で行われるとよい。
【0073】
このように構成されたダンパー装置100は、互いに可動的に連結される2つの部品間に設けられる。例えば、ダンパー装置100は、二輪の自走式車両(図示しない)の基本骨格であるフレーム側を固定側としてハウジング101が取り付けられるとともに、二輪の自走式車両の後輪を上下動可能に支持するスイングアームの基端部側を可動側としてロータ120が取り付けられる。なお、図7および後述する図8図10においては、作動液150を濃いハッチングで示している。
【0074】
(ダンパー装置100の作動)
次に、このように構成されたダンパー装置100の作動について説明する。このダンパー装置100は、自走式車両の走行時にスイングアームが上下動する際にスイングアームに対して減衰力を発生させる。
【0075】
具体的には、ダンパー装置100は、図4に示すように、スイングアームが下降した状態から自走式車両の後輪が段差などに乗り上げて上昇した場合にはロータ120が図示時計回りに回動する。すなわち、ダンパー装置100は、可動ベーン126が固定ベーン105に向かって回動するとともに可動ベーン127が固定ベーン104に向かって回動する。
【0076】
この場合、ダンパー装置100は、第1双方向連通路124、第1片方向連通路125、第2双方向連通路131および第2片方向連通路132の作用によって個室R4のみが作動液150の流出が制限されて高圧状態となるため、後述する図示反時計回り時の減衰力に比べて小さい減衰力を発生させながらロータ120が図示時計回りに回動する。
【0077】
一方、ダンパー装置100は、図5に示すように、自走式車両の後輪が段差を乗り越えてスイングアームが上昇した状態から下降した場合にはロータ120が図示反時計回りに回動する。すなわち、ダンパー装置100は、可動ベーン126が固定ベーン104に向かって回動するとともに可動ベーン127が固定ベーン105に向かって回動する。
【0078】
この場合、ダンパー装置100は、第1双方向連通路124、第1片方向連通路125、第2双方向連通路131および第2片方向連通路132の作用によって個室R1および個室R3が作動液150の流出が制限されてそれぞれ高圧状態となるため、前記した図示時計回り時の減衰力に比べて大きな減衰力を発生させながらロータ120が図示反時計回りに回動する。すなわち、体積変化補償装置140は、ロータ120の図示時計回りおよび反時計回りの両回動時において共に高圧状態となることなく低圧状態が維持される個室R2に連通されている。
【0079】
なお、図4および図5においては、ロータ120の回動方向を太い破線矢印で示すとともに、第1双方向連通路124、第1片方向連通路125、第2双方向連通路131および第2片方向連通路132における作動液150の各流通方向を細い破線矢印で示している。また、図4および図5においては、作動油150の圧力が他の個室に対して相対的に高い状態を濃いハッチングで示し、圧力が相対的に低い状態を薄いハッチングで示している。
【0080】
一方、体積変化補償装置140は、前記したロータ120の回動運動に拘らず作動液150の温度変化に基づく体積変化を補償する。具体的には、体積変化補償装置140は、ダンパー装置100内の作動液150の温度が低下した場合においては作動液150全体の体積が減少するため、内筒ピストン142内の圧力が減少する。この場合、内筒内小ピストン143は、小ピストン押圧弾性体144によって内筒ピストン142内にて底部142b側に弾性的に押圧されている。しかしながら、この小ピストン押圧弾性体144の押圧力は、作動液150の体積減少時に内筒ピストン142内に作動液収容部103から作用する作動液150の収縮による吸引力に比べて十分に小さい。
【0081】
このため、内筒内小ピストン143は、作動液収容部103内の作動液150の体積が減少した場合には小ピストン押圧弾性体144の弾性力に抗しつつも容易に接続通路141a側に変位可能である。これにより、体積変化補償装置140は、図8に示すように、作動液収容部103内の作動液150の体積減少によって内筒ピストン142内の作動液150が接続通路141aおよび第1片方向連通路125をそれぞれ介して個室R2に供給されることで作動液収容部103内の作動液150の体積減少が補償される。
【0082】
一方、作動液150の温度が上昇した場合においては、体積変化補償装置140は、ダンパー装置100の作動液150全体の体積が増加するため、内筒ピストン142内の圧力が上昇する。この場合、内筒内小ピストン143は、内筒ピストン142内において底部142b側へのストロークが残っている場合には底部142b側に向かって変位する。また、内筒内小ピストン143は、内筒ピストン142内にて底部142bに突き当たっている場合には内筒ピストン142全体をプラグ146側に押圧する。
【0083】
この場合、内筒ピストン142を接続通路141a側に弾性的に押圧する内筒ピストン押圧弾性体145の押圧力は、作動液150の体積増加時に内筒ピストン142内および本体筒141内に作動液収容部103から作用する作動液150の膨張による押圧力に比べて小さい。
【0084】
このため、内筒ピストン142は、作動液収容部103内の作動液150の体積が増加した場合には内筒ピストン押圧弾性体145の弾性力に抗しつつもプラグ146側に変位可能である。これにより、体積変化補償装置140は、図9に示すように、作動液収容部103内の作動液150の体積増加によって個室R2内の作動液150が第1片方向連通路125および接続通路141aをそれぞれ介して本体筒141内に供給されることで作動液収容部103内の作動液150の体積増加が補償される。
【0085】
なお、体積変化補償装置140は、内筒ピストン142がプラグ146側に変位している状態においてダンパー装置100内の作動液150の温度が低下した場合には、まず、本体筒141内の作動液150が接続通路141aおよび第1片方向連通路125をそれぞれ介して個室R2に供給されることで作動液収容部103内の作動液150の体積減少が補償される。そして、体積変化補償装置140は、内筒ピストン142が本体筒141内の接続通路141a側の内壁に突き当たった後には、内筒ピストン142内の作動液150が接続通路141aおよび第1片方向連通路125をそれぞれ介して個室R2に供給されることで作動液収容部103内の作動液150の体積減少が補償される。
【0086】
また、体積変化補償装置140は、前記した作動液収容部103内の作動液150の体積変化の補償作用の過程において、プラグ146から突出する延設体142dの突出量によって作動液収容部103内の作動液150の体積状況および温度状況を外部に示すことができる。
【0087】
上記作動方法の説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、ダンパー装置100は、作動液収容部103内の作動液150の体積減少を主として内筒ピストン142内に収容される作動液150によって補償できるとともに、作動液収容部103内の作動液150の体積増加を主として本体筒141の容積によって補償できる。すなわち、本発明に係るダンパー装置100は、流体としては作動液収容部103内に収容される作動液150のみを使ってこの作動液150の体積変化を補償することができるため、簡単な構成で製造負担を軽減することができる。
【0088】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、各変形例の説明においては、上記実施形態と同様の部分については同じ符号を付して重複する説明は省略する。
【0089】
例えば、上記実施形態においては、本体筒141は、ロータ120の軸体121の一部によって構成されている。しかし、本体筒141は、軸体121とは別体で構成されて軸体121内に嵌め込まれる構成であってもよい。また、体積変化補償装置140は、軸体121内ではなく軸体121の外部(例えば、ハウジング101または蓋体110)に一体的または別体で設けることもできる。
【0090】
また、上記実施形態においては、体積変化補償装置140は、作動液収容部103内を真空にした状態で作動液150を充填するようにした。しかし、体積変化補償装置140は、作動液収容部103内を真空にすることなく大気圧下で作動液150を充填することもできる。この場合、作業者は、作動液収容部103内に作動液150を充填した状態で本体筒141から突出している延設体142dを進退操作することによって内筒ピストン142を本体筒141内で繰り返し進退させることで本体筒141内および内筒ピストン142内から空気を排出して本体筒141内および内筒ピストン142内に空気が残留することを防止することができる。
【0091】
この場合、体積変化補償装置140は、内筒内小ピストン143を内筒ピストン142の底部142bに固定する固定具147を備えるとよい。固定具147は、図10に示すように、内筒ピストン142の底部142bを貫通して内筒ピストン142に設けられた雌ネジにネジ嵌合するボルトで構成することができる。この場合、プラグ146は、本体筒141から外しておく。
【0092】
これによれば、体積変化補償装置140は、内筒内小ピストン143を内筒ピストン142の底部142bに固定具147によって固定することできるため、内筒ピストン142内に作動液150を充填する際に作動液150を確実に内筒ピストン142の容量限界まで充填することができる。また、作業者は、作動液収容部103内に作動液150を充填した状態で本体筒141から突出している延設体142dを進退操作(図示破線矢印参照)することによって内筒ピストン142を本体筒141内で繰り返し進退させることで本体筒141内および内筒ピストン142内から空気を排出して本体筒141内および内筒ピストン142内に空気が残留することを防止することができる。
【0093】
また、上記実施形態においては、体積変化補償装置140は、小ピストン押圧弾性体144を備えて構成した。しかし、体積変化補償装置140は、小ピストン押圧弾性体144を省略して構成することもできる。
【0094】
また、上記実施形態においては、体積変化補償装置140は、延設体142dを備えて構成した。しかし、体積変化補償装置140は、延設体142dを省略して構成することもできる。
【0095】
また、上記実施形態においては、作業者は、内筒ピストン142内に容量限界の最大容量で作動液150を充填した。しかし、作業者は、内筒ピストン142内に容量限界未満の量で作動液150を充填することもできる。
【0096】
また、上記実施形態においては、ダンパー装置100としてロータリダンパを採用した。しかし、本発明に係るダンパー装置は、液体からなる作動液を液密的に収容する作動液収容部と、作動液収容部内で作動液を押しながら摺動する作動液押圧体とを備えて作動液押圧体に入力される力を作動液を流動させることで減衰するダンパー装置に広く適用することができる。
【0097】
この場合、ダンパー装置としては、直線状に延びる円筒体状のシリンダ内に作動液が充填されるとともに、このシリンダ内を軸線方向に作動液を押し退けながら変位するピストンロッドを備えたショックアブソーバのような直動型のダンパー装置で構成することができる。この場合、シリンダが本発明に係る作動液収容部に相当するとともに、ピストンロッドが本発明に係る作動液押圧体に相当する。なお、上記実施形態においては、可動ベーン126,127が本発明に係る作動液押圧体に相当する。
【0098】
また、体積変化補償装置140は、液体からなる作動液を液密的に収容する作動液収容部に接続されて作動液の体積変化を補償する必要がある作動液150の密閉回路を備えた機具または装置に広く適用できるものである。例えば、体積変化補償装置140は、工作機械、建設機械、重機またはクランプ装置に搭載される密閉回路に接続して用いることができる。また、作動液150は、油以外の液体、例えば、水を採用することもできる。
【0099】
また、上記実施形態においては、ハウジング101は、ハウジング本体102を有底筒状に形成した。しかし、ハウジング101は、ハウジング本体102を筒状に形成するとともに、この筒状体の両端部を蓋体110に相当する板状体で塞いで構成することもできる。
【0100】
また、上記実施形態においては、ダンパー装置100は、1つの作動液収容部103内を固定ベーン104,105および可動ベーン126,127によって4つの個室である個室R1、個室R2、個室R3および個室R4に仕切った。しかし、ダンパー装置100は、可動ベーン126,127の一方への回動によって容積が同時に減少するとともに同可動ベーン126,127の他方への回動によって容積が同時に増加する個室を少なくとも2つ有するとともに、この可動ベーン126,127の前記一方への回動によって容積が同時に増加するとともに同可動ベーン126,127の前記他方への回動によって容積が同時に減少する個室を少なくとも2つ有していればよい。
【0101】
すなわち、ダンパー装置100は、1つの作動液収容部103内においてロータ120の一つの方向への回動時に容積が同時に増加する少なくとも2つの個室とこれらの個室とは別に容積が同時に減少する少なくとも2つの個室を有していればよい。したがって、ダンパー装置100は、1つの作動液収容部103内においてロータ120の一つの方向への回動時に容積が同時に増加する3つの個室とこれらの個室とは別に容積が同時に減少する3つの個室を有して構成することもできる。
【0102】
また、上記実施形態においては、ダンパー装置100は、ハウジング101を固定側としロータ120を可動側とした。しかし、ダンパー装置100におけるハウジング101に対するロータ120の回動は相対的なものである。したがって、ダンパー装置100は、ハウジング101を可動側としロータ120を固定側とすることもできることは当然である。
【0103】
また、上記実施形態においては、第2双方向連通路131および第2片方向連通路132は、可動ベーン126,127に設けた。しかし、第2双方向連通路131および第2片方向連通路132は、固定ベーン104,105に設けることもできる。
【0104】
また、上記実施形態においては、ダンパー装置100は、二輪自走式車両のスイングアームに取り付け場合について説明した。しかし、ダンパー装置100は、二輪自走式車両におけるスイングアーム以外の場所(例えば、シートの開閉機構)、二輪自走式車両以外の車両(四輪自走式車両におけるサスペンション機構、シート機構または開閉扉)または自走式車両以外の機械装置、電機装置または器具に取り付けて用いることができる。
【符号の説明】
【0105】
R1~R4…個室、
100…ダンパー装置、101…ハウジング、102…ハウジング本体、102a…開口部、103…作動液収容部、103a…底部、103b…収容部壁面、104,105…固定ベーン、106…シール体、107…ロータ支持部、
110…蓋体、111…ロータ支持部、112a,112b…バイパス通路、113a,113b…調整ニードル、114a~114d…エア抜き孔、115…ボルト、
120…ロータ、121…軸体、122…支持軸部、123…接続部、124…第1双方向連通路、125…第1片方向連通路、125a…一方向弁、126,127…可動ベーン、128…シール体、
131…第2双方向連通路、131a…一方向弁、131b…絞り弁、132…第2片方向連通路、132a…一方向弁、132b…絞り弁、
140…体積変化補償装置、141…本体筒、141a…接続通路、142…内筒ピストン、142a…Oリング、142b…底部、142c…空気孔、142d…延設体、143…内筒内小ピストン、143a…Oリング、144…小ピストン押圧弾性体、145…内筒ピストン押圧弾性体、146…プラグ、146a…貫通孔、147…固定具、
150…作動液。
図1
図2
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図10